特許訂正審判
2025-390180
遊技機
- 審判番号
- 2025-390180
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-079311
- 登録番号
- 7734390
- 請求日
- 2025年12月10日
- 審決日
- 2026年03月02日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社三洋物産
- 【請求人代理人】杉谷 勉
- 審判長/審判官
- 審判長 秋田 将行
- 審判官 太田 恒明
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 分類
- P141 .852-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第29条第1項第3号、特許法第39条第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項、特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7734390号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7734390号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7734390号(以下「本件特許」という。)は、令和2年4月28日に特許出願(特願2020-79311)したものであり、令和7年8月28日に特許権の設定登録がなされ、その後、同年12月10日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)及び特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のものである。
1 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に、「前記内枠に対して開閉可能に取り付けられる前面枠とを備える遊技機であって、」と記載されているのを、「内枠と、前記内枠に対して開閉可能に取り付けられる前面枠とを備える遊技機であって、」に訂正する。
2 訂正事項2
本件特許明細書の段落【0006】に「前記内枠に対して開閉可能に取り付けられる前面枠とを備える遊技機であって、」と記載されているのを、「内枠と、前記内枠に対して開閉可能に取り付けられる前面枠とを備える遊技機であって、」に訂正する。
なお、下線は合議体により付与したものであり、訂正箇所を表す。
第4 当審における判断
1 訂正事項1について
(1) 特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)について
訂正前の請求項1の記載は、次のとおりである。
「A 前記内枠に対して開閉可能に取り付けられる前面枠とを備える遊技機であって、
B 前記遊技機は、
光を照射する照射手段を覆うように該照射手段よりも前方側に配設され、該照射された光を透過し得るカバー部を備え、
C 前記照射手段から前記カバー部に前記光が照射され、該照射された光が前記カバー部を透過して前記前面枠の前面側に位置する遊技者に視認され得るように構成され、
D 前記遊技機は、
少なくとも前記カバー部を、第1の位置と第2の位置とに変移させることが可能な駆動手段を備え、
E 前記カバー部が前記第1の位置に変移される状況では、前記照射手段から照射された光によって前記第1の位置に変移される前記カバー部が第1の被照射態様で照射され、前記カバー部が前記第2の位置に変移される状況では、前記照射手段から照射された光によって前記第2の位置に変移される前記カバー部が前記第1の被照射態様とは異なる第2の被照射態様で照射され得るように構成され、
F 前記第1の位置と前記第2の位置は、前記遊技機の正面視において異なる位置である
G ことを特徴とする遊技機。」
(なお、記号A等は、分説するため合議体が付した。記号A等が付された事項を以下「特定事項A」等という。以下同様。)
ここで、特定事項Aの記載には、「前記内枠」と記載されているが、当該記載以前に「内枠」は記載されていない。
してみると、特定事項Aの「前記内枠」の記載以前に「内枠」に関する記載が必要であることは、当業者に明らかである。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第126条1項ただし書第2号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものに該当する。
(2) 特許法第126条第5項(新規事項の追加の有無)について
訂正事項1は、誤記を訂正するものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3) 特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)について
訂正事項1は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、本件特許請求の範囲の請求項1の記載は、それ自体で誤りであることが明らかであり、かつ、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面の記載全体から、正しい記載が自明な事項として定まり、その誤りを正しい記載にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4) 特許法第126条第7項(独立特許要件)について
ア 本件訂正後の請求項1に係る発明
本件訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)は、以下の記載によって特定されるものである。
「A 内枠と、
前記内枠に対して開閉可能に取り付けられる前面枠とを備える遊技機であって、
B 前記遊技機は、
光を照射する照射手段を覆うように該照射手段よりも前方側に配設され、該照射された光を透過し得るカバー部を備え、
C 前記照射手段から前記カバー部に前記光が照射され、該照射された光が前記カバー部を透過して前記前面枠の前面側に位置する遊技者に視認され得るように構成され、
D 前記遊技機は、
少なくとも前記カバー部を、第1の位置と第2の位置とに変移させることが可能な駆動手段を備え、
E 前記カバー部が前記第1の位置に変移される状況では、前記照射手段から照射された光によって前記第1の位置に変移される前記カバー部が第1の被照射態様で照射され、前記カバー部が前記第2の位置に変移される状況では、前記照射手段から照射された光によって前記第2の位置に変移される前記カバー部が前記第1の被照射態様とは異なる第2の被照射態様で照射され得るように構成され、
F 前記第1の位置と前記第2の位置は、前記遊技機の正面視において異なる位置である
G ことを特徴とする遊技機。」
イ 特許法第29条第1項第3号及び同条第2項に関して
(ア) 本件特許の審査において提示された文献
本件特許の審査過程において、公知文献として、以下の文献が示された。
公知文献1: 特開2006-311901号公報
公知文献2: 特開2019-122416号公報
a 公知文献1に記載された構成
公知文献1には、パチンコ機の前面側で発光演出を行う電飾装置20を備え、電飾装置20が回転発光部26を備え、回転発光部26がランプ28とランプ28の周囲を回転する第1の反射部材29とを備える構成が開示されている(段落【0020】~【0024】及び図1,4,5等)。
b 公知文献2に記載された構成
公知文献2には、前方側の後壁カバー部6356と、後壁発光部6354を備える後方側の後壁基板6352とからなる箱後壁部6350が、切り株開口部6210を通して視認可能であり、後壁カバー部は駆動手段によって前後に移動可能である構成が開示されている(段落【5279】、【5283】~【5289】、【5553】、【5579】、図496~498等)。
(イ) 公知文献1及び2との対比・判断
公知文献1及び2には、本件特許発明の特定事項D~Fによって特定される以下の構成が記載されていない。
「D 前記遊技機は、
少なくとも前記カバー部を、第1の位置と第2の位置とに変移させることが可能な駆動手段を備え、
E 前記カバー部が前記第1の位置に変移される状況では、前記照射手段から照射された光によって前記第1の位置に変移される前記カバー部が第1の被照射態様で照射され、前記カバー部が前記第2の位置に変移される状況では、前記照射手段から照射された光によって前記第2の位置に変移される前記カバー部が前記第1の被照射態様とは異なる第2の被照射態様で照射され得るように構成され、
F 前記第1の位置と前記第2の位置は、前記遊技機の正面視において異なる位置である」構成。
そして、本件特許発明は、上記の構成を備えることにより、カバー部の被照射態様を第1の被照射態様と第2の被照射態様とに変化させるときに、カバー部が遊技機の正面視において異なる位置である第1の位置と第2の位置とにおいて、カバー部の被照射態様を第1の被照射態様と第2の被照射態様とに変化させることができるという、公知文献1及び2に記載された事項では得られない格別の効果を奏する。
してみると、本件特許発明は、公知文献1及び2に記載された発明ではなく、また、公知文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到できたものでもない。
(ウ) 小括
よって、本件特許発明は、特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、特許法第29条第2項の規定にも該当しないものである。
ウ 特許法第39条第2項に関して
(ア) 本件特許の審査において提示された出願
本件特許の審査過程において、同日発明として、以下の発明が示された。
同日発明1:特願2020-079314(特許第7532872号)
同日発明2:特願2020-079310(特許第7604782号)
同日発明3:特願2020-079313(特許第7604783号)
(イ) 同日発明1~3との対比・検討
本件特許発明は、同日発明1~3に記載されていない、以下の発明特定事項Dを備えるものである。
「少なくとも前記カバー部を、第1の位置と第2の位置とに変移させることが可能な駆動手段を備え」る構成
一方、同日発明1は、「少なくとも前記カバー部を、第1の位置と第2の位置とに変移させることが可能に構成されて」いる点が特定され、同日発明2は、「少なくとも前記カバー部を、第1の位置と第2の位置とに変移させることが可能に構成されて」いる点が特定され、同日発明3は、「少なくとも前記カバー部を、第1の位置と第2の位置とに変移させることが可能に構成されて」いる点が特定されているが、いずれの発明も、「駆動手段を備え」る点が特定されたものではない。
そして、同日発明1~3は、カバー部を、第1の位置と第2の位置とに変移させるにあたって駆動手段を用いる場合に加えて、駆動手段によらずにホール等での作業者等によって、前記カバー部を、第1の位置と第2の位置とに変移させるものを含むものであることから、本件特許発明とは実質的に同一ではない。
したがって、本件特許発明は、同日発明1~3と同一の発明とはいえない。
(ウ) 小括
よって、本件特許発明は、特許法第39条第2項の規定に該当しないものである。
エ まとめ
以上のことから、本件特許発明は、特許法第29条第1項第3号には該当せず、特許法第29条第2項の規定にも該当せず、また、特許法第39条第2項の規定にも該当しない。
そして、他に本件特許発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は発見しない。
したがって、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の段落【0006】について、訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、訂正事項1と同様に、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とし、かつ同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項~第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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