特許異議申立
2019-700968
パウチ
- 審判番号
- 2019-700968
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-201182外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月29日
- 審決日
- 2020年03月31日
- 公報発行日
- 2020年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 分類
- P1651.537-YAA(B65D) / P1651.121-YAA(B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項2号特許法113条2号特許法113条4号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6521412号発明「パウチ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6521412号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔7~10〕について訂正することを認める。
特許第6521412号の請求項1~10に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
特許第6521412号の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成26年10月6日に出願された特願2014-205818号の一部を、平成30年10月25日に新たな特許出願とし、令和元年5月10日に特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:令和元年5月29日)がされたものであって、本件特許異議の申立て以降の主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年11月29日
特許異議申立人 土田 裕介(以下「申立人」という。)による
本件特許の請求項1~10に係る特許に対する特許異議の申立て
令和2年1月28日付け
取消理由通知
令和2年3月11日
特許権者による意見書の提出及び訂正請求
(当該訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)
第2.本件訂正の適否についての判断
1.本件訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである。
なお、訂正箇所に下線を付した。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項7に、
「前記開口に横方向において対向している、」
とあるのを
「前記開口の横方向に存在している、」
に訂正する。
(請求項7の記載を直接又は間接に引用する請求項8~10も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項9に、
「前記開口に横方向において対向する領域」
とあるのを
「前記開口の横方向に存在している領域」
に訂正する。
(請求項9の記載を引用する請求項10も同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
特許明細書の段落【0012】に、
「前記開口に横方向において対向していてもよい。」
とあるのを、
「前記開口の横方向に存在していてもよい。」
に訂正する。
(4)訂正事項4
特許明細書の段落【0014】に、
「前記開口に横方向において対向する領域を少なくとも含んでいてもよい。」
とあるのを、
「前記開口の横方向に存在している領域を少なくとも含んでいてもよい。」
に訂正する。
2.一群の請求項
本件訂正は、訂正前の請求項7と、請求項7を直接または間接に引用する請求項8~10について訂正することを求めるものであるから、訂正後の請求項〔7~10〕は、特許法第120条の5第4項に規定された一群の請求項である。
3.本件訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項7における「前記未シール部の縁部のうち、前記中張出領域の前記収容空間側の縁部に対向する部分は、少なくとも部分的に、前記側部シール部側から前記収容空間側に向かうにつれて下方に傾斜するとともに、前記開口に横方向において対向している」との記載について、「前記中張出領域の前記収容空間側の縁部に対向する部分」が傾斜しており、かつ、未シール部の開口に横方向において対向している状態を把握できず不明確なものであったところ、「前記開口の横方向に存在している、」に訂正することで発明を明確にするためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、本件特許明細書には、以下の記載がある。
ア.「【0088】
なお、第1未シール部60の形状は、図3や図8に示す例に限定されない。図9及び図10に、第1未シール部60の形状の他の例を示す。このうち、図9に示す例では、平面視において、第1未シール部60は、台形状の形状をもつ。具体的には、横方向d1に直線状に延び出した第1縁部63の長さが、横方向d1に直線状に延び出した第2縁部64の長さよりも短い。従って、第3縁部65は、第1縁部63と繋がった端部が第2縁部64と繋がった端部よりも横方向d1において収容空間2から離間する側に位置するように、傾斜している。」
イ.「【図9】
」
上記ア.及びイ.には、傾斜している第3縁部65が開口61の横方向d1に存在していることが記載されている。
よって、訂正事項1は、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項9における「前記中張出領域は、前記下角領域から上方に向かうにつれて前記側部シール部側へ傾斜するように延びる領域であって、重ねられた積層フィルムの側縁に位置する前記未シール部の前記開口に横方向において対向する領域を少なくとも含む」との記載について、「傾斜するように延びる領域」が傾斜しており、かつ、未シール部の開口に横方向において対向している状態を把握できず不明確なものであったところ、「前記開口の横方向に存在している領域」に訂正することで発明を明確にするためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、本件特許明細書の上記(1)ア.及びイ.には、傾斜している中張出領域55eが、開口61の横方向d1に存在していることが記載されている。
よって、訂正事項2は、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3及び4について
訂正事項3及び4は、訂正前の明細書の記載において、請求項7及び9の発明特定事項を記載した箇所である段落【0012】及び【0014】の記載を、本件訂正後の請求項7及び9のものに整合させるためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、新規事項を追加するものではなく、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
さらに、訂正事項3、4に係る請求項7~10の全てについて訂正が請求されるものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。
4.小括
以上のとおり、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正明細書及び本件訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔7~10〕について訂正することを認める。
第3.訂正後の本件発明
上記第2.のとおり、本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1~10は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された、次のとおりのものである。
なお、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に係る発明を、以下「本件発明1」等という。
「【請求項1】
重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間を有するパウチであって、
重ねられた積層フィルムをヒートシールした側部シール部と、
前記側部シール部によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされない未シール部と、
を有し、
前記未シール部は、当該パウチの上側寄りに位置し、且つ、重ねられた積層フィルムの側縁に達して開口しており、
前記側部シール部は、前記未シール部を挟んで両側に位置する上側シール部分及び下側シール部分と、前記未シール部の少なくとも一部を取り囲むようにして前記上側シール部分と前記下側シール部分とに接続され、且つ、前記上側シール部分及び前記下側シール部分よりも前記収容空間側に向けて張り出した張出部分と、を有し、
前記張出部分は、前記下側シール部分から横方向に沿って延び出した下張出領域と、前記下張出領域に接続され、前記上側シール部分よりも前記下側シール部分に近接した位置に、前記収容空間側に向かって突出した下角領域と、前記下角領域に接続された中張出領域と、を含み、
前記下張出領域の前記収容空間側の縁部は直線状であり、前記中張出領域の前記収容空間側の縁部は直線状であり、前記下角領域の前記収容空間側の縁部は前記収容空間に向かって凸に湾曲しており、
平面視において、前記収容空間の上縁の中央となる上中点と、前記収容空間の下縁の中央となる下中点との中央となる位置に中心をもつ仮想円の当該中心から、前記未シール部まで最短距離となる仮想直線を引いたとき、前記仮想直線と前記張出部分との重なる範囲の長さをa1とし、前記下側シール部分の巾をW2とした場合に、a1<W2の関係を満たし、
前記下角領域の前記収容空間側の縁部の、前記収容空間に向かって凸に湾曲している部分は、前記下張出領域の前記収容空間側の縁部の、直線状の部分よりも下側には位置しない、パウチ。
【請求項2】
前記仮想直線は前記下角領域と重なる、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記未シール部の縁部は、前記下張出領域の前記収容空間側の縁部に対向するとともに直線状に延びる部分と、前記中張出領域の前記収容空間側の縁部に対向するとともに直線状に延びる部分と、を含む、請求項1又は2に記載のパウチ。
【請求項4】
前記未シール部の前記縁部のうち、前記下張出領域の前記収容空間側の縁部に対向する部分は、少なくとも前記下側シール部分に至るまで直線状に延びている、請求項3に記載のパウチ。
【請求項5】
前記未シール部の前記縁部のうち、前記下張出領域の前記収容空間側の縁部に対向する部分は、前記開口に至るまで直線状に延びている、請求項4に記載のパウチ。
【請求項6】
前記張出部分は、前記下側シール部分よりも前記上側シール部分に近接した位置に、前記収容空間側に向かって突出した更なる角領域と、前記上側シール部分から前記更なる角領域まで延び出した上張出領域と、を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項7】
前記未シール部の縁部のうち、前記中張出領域の前記収容空間側の縁部に対向する部分は、少なくとも部分的に、前記側部シール部側から前記収容空間側に向かうにつれて下方に傾斜するとともに、前記開口の横方向に存在している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項8】
前記未シール部の前記開口の、上下方向における延在範囲が、前記未シール部の縁部のうち前記側部シール部側から収容空間側に向かうにつれて下方に傾斜するように延びる部分の、上下方向における延在範囲と同じである、請求項7に記載のパウチ。
【請求項9】
前記中張出領域は、前記下角領域から上方に向かうにつれて前記側部シール部側へ傾斜するように延びる領域であって、重ねられた積層フィルムの側縁に位置する前記未シール部の前記開口の横方向に存在している領域を少なくとも含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項10】
前記収容空間に内容物が収容されており、上部シール部が形成されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のパウチ。」
第4.取消理由の概要
訂正前の本件特許の請求項1~10に係る特許に対して、当審が特許権者に通知した令和元年9月27日付けの取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
(1)【請求項7】は、「前記中張出領域の前記収容空間側の縁部に対向する部分」が傾斜しており、かつ、未シール部の開口に横方向において対向していることを特定しているが、その状態を明確に把握できない。
(2)【請求項9】は、「傾斜するように延びる領域」が傾斜しており、かつ、未シール部の開口に横方向において対向していることを特定しているが、上記(1)と同様の理由により「対向」している状態を明確に把握できない。
第5.当審の判断
1.請求項7について
本件訂正事項1により、請求項7は、上記第3.に示したとおりのものとなった。
これにより、「前記中張出領域の前記収容空間側の縁部に対向する部分」が傾斜しており、かつ、未シール部の開口に横方向に存在している状態であるという構成が明確となった。
よって、請求項7の記載は明確である。
2.請求項9について
本件訂正事項2により、請求項9は、上記第3.に示したとおりのものとなった。
これにより、「傾斜するように延びる領域」が傾斜しており、かつ、未シール部の開口に横方向に存在している状態であるという構成が明確となった。
よって、請求項9の記載は明確である。
3.小括
以上のとおり、請求項7、9の記載は明確であり、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしているから、本件特許は特許法第113条第4号に該当するものとはいえない。
第6.取消理由としなかった特許異議の申立理由について
1.申立理由
申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、以下のように主張している。
本件発明1~10は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、その特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
甲第1号証:特開2013-136403号公報
甲第2号証:特開2010-36968号公報
甲第3号証:特開2007-297081号公報
甲第4号証:特開2007-137472号公報
甲第5号証:実願平2-50424号(実開平4-10079号)のマイクロフィルム
2.甲第1号証の記載
甲第1号証(以下各甲号証を「甲1」等という。)の記載事項から認定できる発明のうち本件発明1に対応する発明(以下「甲1発明」という。)は、申立人も主張(申立書14ページ16行~15ページ10行)しているように、以下のとおりのものである。
なお、申立人主張のとおり各発明特定事項に分説記号を付した。
「甲1_1a 重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間を有する電子レンジ加熱用袋。
甲1_1b 前後2面の壁面フィルムの左右両側の端縁部をヒートシールされたサイドシール部6。
甲1_1c ポイントシール部12に囲まれた未シール部13。
甲1_1d サイドシール部6に設けられた未シール部16。
甲1_1e 電子レンジ加熱袋用は、未シール部16を挟んで両側に位置する甲1上側シール部分及び甲1下側シール部分と、未シール部16を取り囲むようにして甲1上側シール部分と甲1下側シール部分とに接続され、且つ、甲1上側シール部分及び甲1下側シール部分よりも収容空間側に向けて張り出したポイントシール部12を有する。
甲1_1f ポイントシール部12は、甲1下側シール部分から横方向に沿って延び出した甲1下張出領域と、甲1下張出領域に接続され、甲1上側シール部分より甲1下側シール部分に近接した位置に、収容空間側に向かって突出した突端15と、突端15に接続された甲1中張出領域と、を含む。
甲1_1h 甲1中張出領域の収容空間側の縁部は直線状である。
甲1_1i 突端15の収容空間側の縁部は収容空間に向かって凸に湾曲している。
甲1_1j ポイントシール部12のシール幅は2mm~5mmであり、サイドシール部6のシール幅は6mm~20mmである。」
3.対比・判断
本件発明1と甲1発明を対比すると、申立人も主張(申立書20ページ8行~22ページ10行)しているように、少なくとも相違点1及び2で相違しており、そのうち相違点2は以下のとおりのものである。
<相違点2>
本件特許発明1では、「前記下張出領域の前記収容空間側の縁部は直線状であり、前記下角領域の前記収容空間側の縁部の、前記収容空間に向かって凸に湾曲している部分は、前記下張出領域の前記収容空間側の縁部の、直線状の部分よりも下側には位置しない」(発明特定事項1G,1K)のに対し、甲1発明では、甲1下張出領域の収容空間側の縁部が直線状であり、突端15の収容空間側の縁部の、収容空間に向かって凸に湾曲している部分が、甲1下張出領域の収容空間側の縁部の、直線状の部分よりも下側には位置しないことが限定されない点。
事案に鑑み、上記<相違点2>について検討する。
甲1には、以下の記載がある。
「【0025】
図8は、易蒸通手段11を構成するポイントシール部12の形状の一例を示す図である。図8(a)~(c)に示すように、易蒸通手段11を構成するポイントシール部12は、サイドシール部6またはトップシール部8と連結して、コの字形状、台形状または三角形状等に形成することができる。ここで、ポイントシール部12の袋の中心部よりの下端に、突き出た突端15を設けることにより、シール部の剥離後退が確実かつスムーズに進み易くなる。」
「
」
以上の記載によれば、突端15は、「ポイントシール部12の袋の中心部よりの下端に、突き出た突端15」(下線は当審が付した。)であり、【図8】にも突端15が中心部よりの下端に突き出ている様子が描かれている。そして、突端15が中心部よりの下端に突き出ていることによって「シール部の剥離後退が確実かつスムーズに進み易くなる」ものである。
そうすると、甲1発明の突端15は、中心部よりの下端に突き出ていることによって、シール部の剥離後退が確実かつスムーズに進み易くなるという機能・作用を奏するものであるから、これを突き出ないようにすること、すなわち直線状の部分よりも下側に位置しないようにすることには阻害事由がある。
よって、申立人が主張(申立書23ページ6~14行)するように、角領域が直線状の部分よりも下側に位置しないものが甲2、甲3によって公知であるとしても、甲1発明は、甲2、甲3の記載事項を適用することに阻害事由がある。
また、申立人は、
『甲第1号証の段落0023には、「易蒸通手段11は、任意の形状であってよい」旨が記載されている。すなわち、甲1発明では、易蒸通手段11を構成するポイントシール部12を様々な形状とすることが想定されており、どのような形状とするかは当業者の設計事項である。』(申立書23ページ2~5行)
と主張している。
しかしながら、甲1の上記記載は、あくまで甲1発明の範囲内での形状変更が可能であることを意味するのであって、あらゆる部分についていかようにも形状変更が可能であることを意味するものでないことが明らかである。
そして、上述したように、甲1発明の突端15は、中心部よりの下端に突き出ていることによって、シール部の剥離後退が確実かつスムーズに進み易くなるという機能・作用を奏するものであるから、これを突き出ないようにすること、すなわち直線状の部分よりも下側に位置しないようにすることは、甲1発明の範囲内での形状変更ではない。
よって、申立人の主張は、採用することができない。
以上のとおり、本件発明1は、甲1発明、及び甲2、甲3記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということができないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。
また、本件発明2~10は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に限定するものであるから、本件発明2~10についても同様に、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。
以上のとおり、本件発明1~10は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえないから、その特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。
第7.むすび
以上のとおり、本件発明7、9に係る特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしており、その特許は特許法第113条第4号に該当しないから、取り消すことはできない。
また、本件発明1~10は、甲1発明、及び甲2、甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に適合するものであり、その特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。
そして、他に本件発明1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-700968