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特許異議申立

2019-700686

電力変換装置

審判番号
2019-700686
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-101546外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年09月02日
審決日
2020年09月11日
公報発行日
2021年02月26日
結論
請求成立(取消)
当事者
審判長/審判官
分類
P1652.113-ZDA(H02M) / P1652.121-ZDA(H02M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6481505号発明「電力変換装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6481505号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1、4、5〕、6、7について訂正することを認める。 特許第6481505号の請求項1に係る特許を取り消す。 同請求項4、5、6、7に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6481505号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成27年5月19日に出願され、平成31年2月22日にその特許権の設定登録がされ、平成31年3月13日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和1年 9月 2日   :特許異議申立人 新井 誠一 による請求               項1及び4に対する特許異議の申立て 令和1年11月21日付け :取消理由通知書 令和2年 1月21日   :特許権者による意見書の提出 令和2年 2月14日付け :取消理由通知書(決定の予告) 令和2年 4月17日   :特許権者による意見書の提出及び訂正請求 令和2年 7月 3日   :特許異議申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の趣旨及び内容 令和2年4月17日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、特許第6481505号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、4、5、6及び7について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下の訂正事項のとおりである(なお、下線は訂正部分を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、それぞれの前記交差部が互いに離間するように、少なくともいずれか一方が屈曲していることを特徴とする」 と記載されているのを、 「前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、それぞれの前記交差部が互いに離間するように、少なくともいずれか一方が前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で屈曲していることを特徴とする」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4に「前記第1電力変換モジュール及び前記第2電力変換モジュールは冷却器上に配置され、前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で前記冷却器に近接または接触していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力変換装置。」とあるうち請求項1を引用するものについて、独立形式に改め新たに請求項6とする。これに伴い、特許請求の範囲の請求項4に「請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力変換装置。」と記載されているのを、「請求項2又は3に記載の電力変換装置。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5に「前記第1導通部材及び前記第2導通部材のそれぞれの前記交差部は、電流が互いに逆方向に向けて流れるように交差していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電力変換装置。」とあるうち請求項1を引用するものについて、独立形式に改め新たに請求項7とする。これに伴い、特許請求の範囲の請求項5に「請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電力変換装置。」と記載されているのを、「請求項2ないし4のいずれか1項に記載の電力変換装置。」に訂正する。 2 訂正要件についての判断 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項1、4及び5について、請求項4及び5は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1、4及び5に対応する訂正後の請求項1、6及び7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「前記第1導通部材及び前記第2導通部材」の「少なくともいずれか一方が屈曲している」ことを、「少なくともいずれか一方が前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で屈曲している」として屈曲している位置を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、本件特許の願書に添付した明細書(以下、単に「本件特許明細書」という。)の段落【0025】には、「正極同士を接続する第1バスバー45と、負極同士を接続する第2バスバー47とが、第1電力変換モジュール1と第2電力変換モジュール3との間で、交差部45g,47gにより互いに交差している。」と、また、段落【0023】には、「交差状態での互いの交差部は、縦壁部を有することによって、図2(a)中で紙面に直交する方向が互いに離間することになる。」と、さらに、段落【0028】には、「本実施形態は、第1バスバー45及び第2バスバー47は、互いに交差する交差部45g,47gが互いに離間するように、縦壁部により屈曲している。」と記載されている。したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 さらに、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 イ 訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項4が請求項1ないし3いずれか1項の記載を引用する記載であったところ、請求項1を引用しないものとして引用する請求項の数を減少させた上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、および第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。そして、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 また、訂正前の請求項4のうち請求項1を引用するものに特許異議の申立がされているところ、訂正後の請求項4に関する訂正は、訂正前の請求項4が引用する請求項のうち請求項1を引用しないものとしたものであり、特許異議の申立てがされていなかった請求項のみとして、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、独立特許要件が課されるものである。 しかしながら、下記「第4 4 独立特許要件について」で後述するように、訂正後の請求項4に係る発明については特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。また、他に請求項4に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正後の請求項4に係る発明は、訂正の要件としての独立特許要件を満たしている。 さらに、訂正後の請求項6は、下記「第3 1 異議申立の対象請求項について」で後述するように、訂正前の請求項4のうち、請求項1を引用する部分(異議申立あり)を新たな請求項としたものであり異議申立された請求項であるから、独立特許要件は課されない。 ウ 訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項5が請求項1ないし4いずれか1項の記載を引用する記載であったところ、請求項1を引用しないものとして引用する請求項の数を減少させたた上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、および第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。そして、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 ここで、訂正前の請求項5には特許異議の申立がされておらず、さらに、訂正後の請求項5、7に関する訂正は、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであり独立特許要件が課されるものである。 しかしながら、下記「第4 4 独立特許要件について」で後述するように、訂正後の請求項5、7に係る発明については特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。また、他に請求項5、7に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正後の請求項5、7に係る発明は、訂正の要件としての独立特許要件を満たしている。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号および第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項ないし第7項の規定に適合する。そして、特許権者から、訂正後の請求項6及び7について訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項〔1、4、5〕、6、7について一群の請求項ごとに訂正することを認める。 第3 本件特許発明 1 異議申立の対象請求項について 本件では訂正前の請求項1、及び請求項4のうち請求項1を引用するものについて特許異議の申立がされている。 その後になされた本件訂正請求について、上記第2で判断したとおり、訂正は全て認められるところ、訂正後の請求項1ないし7に係る発明と、訂正前の請求項1ないし5に係る発明との対応関係は、以下のとおりである。 (1)訂正後の請求項1: 訂正前の請求項1を減縮した。 (2)訂正後の請求項2: 訂正前の請求項2。 (3)訂正後の請求項3: 訂正前の請求項3。 (4)訂正後の請求項4: 訂正前の請求項4のうち、請求項2、3を引用する部分(異議申立なし)を、新たな請求項とした。 (5)訂正後の請求項5: 訂正前の請求項5のうち、請求項2ないし4を引用する部分を、新たな請求項とした。 (6)訂正後の請求項6: 訂正前の請求項4のうち、請求項1を引用する部分を、新たな請求項とした。 (7)訂正後の請求項7: 訂正前の請求項5のうち、請求項1を引用する部分を、新たな請求項とした。 上記訂正前後の請求項の対応関係から、本件訂正後の請求項1、6に係る発明は、異議申立がされた訂正前の請求項1及び4に係る発明を減縮するか、その一部を新たな請求項としたものであり、異議申立がされていないと扱うべき事情のない請求項である。 2 本件特許発明 本件訂正請求により訂正された請求項1、4ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」、「本件特許発明4」ないし「本件特許発明7」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、4ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 第1電力変換モジュールと、 前記第1電力変換モジュールに対し離間した状態で並列配置される第2電力変換モジュールと、 前記第1電力変換モジュールの前記第2電力変換モジュールに近接した位置に並べて設けられ、互いに異極となる第1電極端子及び第2電極端子と、 前記第2電力変換モジュールの前記第1電力変換モジュールに近接した位置に並べて設けられ、互いに異極となる第3電極端子及び第4電極端子と、 前記第1電極端子と当該第1電極端子に対して同極となる前記第3電極端子とを接続する第1導通部材と、 前記第2電極端子と当該第2電極端子に対して同極となる前記第4電極端子とを接続する第2導通部材と、を有し、 前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で互いに交差する交差部をそれぞれ備え、 前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、それぞれの前記交差部が互いに離間するように、少なくともいずれか一方が前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で屈曲していることを特徴とする電力変換装置。 【請求項4】 前記第1電力変換モジュール及び前記第2電力変換モジュールは冷却器上に配置され、 前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で前記冷却器に近接または接触していることを特徴とする請求項2又は3に記載の電力変換装置。 【請求項5】 前記第1導通部材及び前記第2導通部材のそれぞれの前記交差部は、電流が互いに逆方向に向けて流れるように交差していることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の電力変換装置。 【請求項6】 第1電力変換モジュールと、 前記第1電力変換モジュールに対し離間した状態で並列配置される第2電力変換モジュールと、 前記第1電力変換モジュールの前記第2電力変換モジュールに近接した位置に並べて設けられ、互いに異極となる第1電極端子及び第2電極端子と、 前記第2電力変換モジュールの前記第1電力変換モジュールに近接した位置に並べて設けられ、互いに異極となる第3電極端子及び第4電極端子と、 前記第1電極端子と当該第1電極端子に対して同極となる前記第3電極端子とを接続する第1導通部材と、 前記第2電極端子と当該第2電極端子に対して同極となる前記第4電極端子とを接続する第2導通部材と、を有し、 前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で互いに交差する交差部をそれぞれ備え、 前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、それぞれの前記交差部が互いに離間するように、少なくともいずれか一方が屈曲し、 前記第1電力変換モジュール及び前記第2電力変換モジュールは冷却器上に配置され、 前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で前記冷却器に近接または接触していることを特徴とする電力変換装置。 【請求項7】 第1電力変換モジュールと、 前記第1電力変換モジュールに対し離間した状態で並列配置される第2電力変換モジュールと、 前記第1電力変換モジュールの前記第2電力変換モジュールに近接した位置に並べて設けられ、互いに異極となる第1電極端子及び第2電極端子と、 前記第2電力変換モジュールの前記第1電力変換モジュールに近接した位置に並べて設けられ、互いに異極となる第3電極端子及び第4電極端子と、 前記第1電極端子と当該第1電極端子に対して同極となる前記第3電極端子とを接続する第1導通部材と、 前記第2電極端子と当該第2電極端子に対して同極となる前記第4電極端子とを接続する第2導通部材と、を有し、 前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で互いに交差する交差部をそれぞれ備え、 前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、それぞれの前記交差部が互いに離間するように、少なくともいずれか一方が屈曲し、 前記第1導通部材及び前記第2導通部材のそれぞれの前記交差部は、電流が互いに逆方向に向けて流れるように交差していることを特徴とする電力変換装置。」 第4 当審の判断 1 取消理由の概要 令和2年2月14日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。 理由1) 請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 理由2) 請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1乃至3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 引用文献1:特開2007-6565号公報(甲第1号証) 引用文献2:特開2005-192311号公報(甲第3号証) 引用文献3:国際公開第2007/094162号(甲第4号証) 2 取消理由の判断 (1)引用文献の記載事項 (1-1)引用文献1の記載事項 取消理由で通知した引用文献1には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0009】 以下、本発明によるエレベータ駆動装置の実施例を図面を用いて説明する。 【0010】 図1は、本発明の一実施例である電力変換装置の外観を示す。冷却フィン1000における鉛直方向に平行な面に、コンバータモジュール2000とインバータモジュール2001が、鉛直方向に対して互いに左右に設置される。各モジュール上面の周縁に直流端子P,Nが設けられるが、本実施例においては、各モジュールは略直方体状でありモジュール上面が矩形状であるため、直流端子P,Nは上面の一辺に沿って設けられる。コンバータモジュール2000とインバータモジュール2001は、これらの上面が冷却フィン1000における設置面に平行になるように、かつコンバータモジュール2000の直流端子とインバータモジュール2001の直流端子とが互いに対向して隣接するように配置される。すなわち、各モジュールの上面は、冷却フィンにおけるこれらモジュールの設置面と同様に鉛直方向に平行となる。また、各モジュール上面における直流端子が設けられる周縁部すなわち一辺が互いに対向している。各モジュールの直流端子と平滑コンデンサ3000~3003は、各モジュールの間から各モジュール及び冷却フィン1000の下方に引き出される配線によって互いに接続される。すなわち、平滑コンデンサ3000~3003は、コンバータモジュール2000において直流端子が設けられるモジュール上面の一辺に接する側面とインバータモジュール2001における同様の側面、すなわち互いに対向するモジュール側面間の空間の外部に配置される。」 イ 「【0012】 図2は、本発明の他の実施例である電力変換装置の外観を示す。本実施例では、図1とは異なり、冷却フィン1000におけるモジュール設置面において、コンバータモジュール2000とインバータモジュール2001が鉛直方向に沿って上下に配置され、更に平滑コンデンサ3000~3003が各モジュール及び冷却フィンの横方向すなわち左側あるいは右側に配置される。すなわち、本実施例においても、各モジュールの直流端子が対向するように配置され、かつ平滑コンデンサが互いに対向するモジュール側面間の空間の外部に配置される。他の構成は、図1と同様である。従って、図2の実施例は、図1の実施例と同様の効果を有し、さらに、各モジュールが上下方向に配置されるので、コンバータモジュールとインバータモジュールとを合わせた電力変換部の幅を冷却フィン1個分低減できる。従って、電力変換装置の設置面積を低減することができる。なお、本実施例においても、平滑コンデンサが各モジュールの左右どちらかに配置されるので、図1の実施例と同様に、平滑コンデンサに対する各モジュールからの熱流の影響が緩和される。」 ウ 「【0017】 図4は、図2の実施例において図3の回路構成を適用した電力変換装置の外観を示す。図4に示されるように、図2の実施例に比べて平滑コンデンサの個数が半減される。このため、平滑コンデンサ部を小型化できるので、平滑コンデンサとモジュールを電気的に接続する配線長すなわち配線インダクタンスを低減でき、コンバータモジュールやインバータモジュールに実装される半導体スイッチング素子のオン/オフ時に発生する過電圧を抑制する効果がある。」 エ 「【0021】 図7は、本発明によるさらに他の実施例である電力変換装置の外観を示す。本実施例は、図4の実施例において、コンバータモジュール,インバータモジュール及び平滑コンデンサ間の配線を細長い配線バーとし、直流正極側(P側)の配線バー5000と直流負極側(N側)の配線バー5001の少なくとも一部分が積層されるようにしたものである。本実施例によれば、平滑コンデンサが、互いに対向するモジュール側面間の空間の外部に配置されているが、積層された配線バーにより、配線インダクタンスを低減できるので、半導体スイッチング素子のオン/オフ時に発生する過電圧を抑制することができる。」 オ 「【図1】 」 カ 「【図2】 」 キ 「【図4】 」 ク 「【図7】 」 ・上記ア及び図1(上記オ)には、電力変換装置がコンバータモジュール2000、インバータモジュール2001、及び平滑コンデンサ3000~3003からなること、また、各モジュールは略直方体状でありモジュール上面が矩形状であるため、直流端子P,Nはモジュール上面の一辺に沿って設けられること、さらに、コンバータモジュール2000の直流端子とインバータモジュール2001の直流端子では異極の端子同士が互いに対向して配置されることが記載されている。 ・上記イ及び図2(上記カ)には、他の実施例として、図1とは異なり、コンバータモジュール2000とインバータモジュール2001が鉛直方向に沿って上下に配置し、更に平滑コンデンサ3000~3003が各モジュール及び冷却フィンの横方向すなわち左側あるいは右側に配置すること、また、他の構成は、図1と同様であることが記載されている。 ・さらに、上記ウ及び図4(上記キ)には、図4は、図2の実施例において図3の回路構成を適用した電力変換装置であって、平滑コンデンサの個数が半減されることが記載されている。 また、図4より、コンバータモジュール2000の直流端子とインバータモジュール2001の直流端子では異極の端子同士が互いに対向して配置されていること、さらに、コンバータモジュール2000およびインバータモジュール2001の直流端子Pと平滑コンデンサ3000、3001の一方の端子が配線され、また、コンバータモジュール2000およびインバータモジュール2001の直流端子Nと平滑コンデンサ3000、3001の他方の端子が配線されることが看取できる。 ・そして、上記エには、図7(上記ク)の実施例は、図4の実施例において、コンバータモジュール、インバータモジュール及び平滑コンデンサ間の配線を細長い配線バーとし、直流正極側(P側)の配線バー5000と直流負極側(N側)の配線バー5001の少なくとも一部分が積層されるようにしたものであることが記載されている。 また、配線バー5000と配線バー5001は積層される部分では、短絡してしまうことから離間していることは明らかである。さらに、図7の下図からも、配線バー5000と配線バー5001は、各々、各モジュールの上面に平行な離間する面を有していることが看取できる。 そして、図7の下図によれば、各モジュールの端子及びコンデンサの端子と配線バー5000及び配線バー5001との接続箇所では他の部分に比べて線が重なり太い線として描かれていること、この接続箇所と配線バー5000及び配線バー5001の各モジュールの上面に平行な面とは屈曲により接続されていること、さらに、配線バー5000及び配線バー5001の屈曲後の長さは平行な面を離間させるために異なっていることが看取できる。 さらに、図7の下図と上図を比較すると、図7の下図において各配線バー5000、5001の平行な面からコンデンサの端子との接続箇所に向かって伸びる部分の屈曲部は、図7の上図において実線として描かれていることが看取できる。そうすると、各配線バーの平行な面から各モジュールの各端子との接合箇所に向かって伸びる部分については、図7の上図において、各配線バーが重なっている部分と各モジュールの各端子に向かって伸びる部分の接合部が実線として描かれているから、この接合部において各配線バーは屈曲しているものと認められる。また、この接合部は、コンバータモジュールとインバータモジュールの間であることが看取できる。 したがって、引用文献1には、直流正極側(P側)の配線バー5000と直流負極側(N側)の配線バー5001はコンバータモジュール2000とインバータモジュール2001の間で屈曲によって離間されることが記載されているといえる。 してみると、図7の実施例のものに着目して、上記記載事項及び図面を勘案すると引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「コンバータモジュール2000、インバータモジュール2001、及び平滑コンデンサ3000、3001からなる電力変換装置において、コンバータモジュール2000とインバータモジュール2001が鉛直方向に沿って上下に配置され、更に平滑コンデンサ3000、3001が各モジュールの横方向に配置され、 各モジュールは略直方体状でありモジュール上面が矩形状であるため、直流端子P、Nはモジュール上面の一辺に沿って設けられ、また、コンバータモジュール2000の直流端子とインバータモジュール2001の直流端子では異極の端子同士が互いに対向して配置され、 コンバータモジュール2000およびインバータモジュール2001の直流端子Pと平滑コンデンサ3000、3001の一方の端子が配線され、また、コンバータモジュール2000およびインバータモジュール2001の直流端子Nと平滑コンデンサ3000、3001の他方の端子が配線され、 コンバータモジュール2000、インバータモジュール2001及び平滑コンデンサ3000、3001間の上記配線を細長い配線バー5000、5001とし、直流正極側(P側)の配線バー5000と直流負極側(N側)の配線バー5001の少なくとも一部分が積層されており、また、配線バー5000と配線バー5001がコンバータモジュール2000とインバータモジュール2001の間で屈曲により離間している、 電力変換装置。」 (1-2)引用文献2、3の記載事項 ア 取消理由で通知した引用文献2には、以下の事項が記載されている。 「【0049】 図4を参照して、バスバー整列部195では、モータジェネレータの形態(すなわち、上記接続端子の配置順)に合わせた配列順序とするために、バスバー161~163,171~173を適宜屈曲させたり、交差させたりすることが必要となる。この際、各バスバー間に十分な絶縁距離を確保する必要があるため、バスバー整列部195はある程度のスペースを有する。」 「【図4】 」 イ 引用文献3の記載事項 取消理由で通知した引用文献3には、以下の事項が記載されている。 「[0014] 図7は第4実施例の構成を示す図である。板状の導体131a,131b, 131cバスバ一の間に薄板状の132b,132c絶縁体を挿入し、131a,131cバスバーの外面に132a,132d絶縁体を配置して積層したものである。13lbバスバーを直線状に形成し、131a,131cバスバーは131bバスバーの経路で平行に重なり合うように形成している。図8は130積層バスバーを上面から透視した図である。133a,133b,133c内部端子、134a,134b,134c内部端子は互いに重なり合わない位置に形成し、131bバスバーの経路に13la,131cバスバーの経路を重ね合わせた135領域Aでバスバー同士は隣接する形状を形成している。バスバー同士が隣接する領域を狭くすることで、バスバーと絶縁体を小型化することができる。バスバーと絶縁体を小型化すれば材料の節約になるだけでなぐ別の部品を近接させて実装できる等、装置を小型化することもできる。」 「[図7] 」 引用文献2、3には、以下の技術事項が記載されていると認められる。 「端子間を接続する導通部材同士が接触しないように離間するために、少なくともいずれか一方の導通部材を屈曲させること。」 (2) 対比・判断 (2-1)理由1)について(特許法29条第1項第3号) 本件特許発明1と引用発明を対比する。 ・引用発明の「コンバータモジュール2000」は、本件特許発明1の「第1電力変換モジュール」に相当する。 ・引用発明の「インバータモジュール2001」は、コンバータモジュール2000と鉛直方向に沿って上下に配置されるものであるから、本件特許発明1の「前記第1電力変換モジュールに対し離間した状態で並列配置される第2電力変換モジュール」に相当する。 ・引用発明の「コンバータモジュール2000」の「直流端子P」と「直流端子N」は、モジュール上面の一辺に沿って設けられ、また、インバータモジュール2001の直流端子N、Pと対向するものであるから、本件特許発明1の「前記第1電力変換モジュールの前記第2電力変換モジュールに近接した位置に並べて設けられ、互いに異極となる第1電極端子及び第2電極端子」に相当する。 ・同様に、引用発明の「インバータモジュール2001」の「直流端子P」と「直流端子N」は、本件特許発明1の「前記第2電力変換モジュールの前記第1電力変換モジュールに近接した位置に並べて設けられ、互いに異極となる第3電極端子及び第4電極端子」に相当する。 ・引用発明の「直流正極側(P側)の配線バー5000」は、「コンバータモジュールの2000およびインバータモジュール2001の直流端子Pと平滑コンデンサ3000、3001の一方の端子」との「が配線」を配線バーとしたものであり、コンバータモジュール2000およびインバータモジュール2001の直流端子P間を接続するものと認められるから、本件特許発明1の「前記第1電極端子と当該第1電極端子に対して同極となる前記第3電極端子とを接続する第1導通部材」に相当する。 ・引用発明の「直流負極側(N側)の配線バー5001」は、「コンバータモジュール2000およびインバータモジュール2001の直流端子Nと平滑コンデンサ3000、3001の他方の端子」との「配線」を配線バーとしたものであり、コンバータモジュール2000およびインバータモジュール2001の直流端子N間を接続するものと認められるから、本件特許発明1の「前記第2電極端子と当該第2電極端子に対して同極となる前記第4電極端子とを接続する第2導通部材」に相当する。 ・引用発明では異極の端子同士が互いに対向するように配置されている。そして、上述したように引用発明の「配線バー5000」及び「配線バー5001」は、そのような配置で同極の直流端子同士を接続するものと認められ、さらに、少なくとも一部分が積層されるものであるから、コンバータモジュール2000とインバータモジュール2001との間で交差していることは明らかである。したがって、引用発明は、本件特許発明1の「前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で互いに交差する交差部をそれぞれ備え」る構成を有するものである。 ・また、引用発明の「配線バー5000と配線バー5001がコンバータモジュール2000とインバータモジュール2001の間で屈曲により離間している」ことは、本件特許発明1の「前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、それぞれの前記交差部が互いに離間するように、少なくともいずれか一方が前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で屈曲している」ことに相当する。 ・以上のとおり、引用発明の「電力変換装置」は、本件特許発明1の「第1電力変換モジュール」、「第2電力変換モジュール」、「第1導通部材」、及び「第2導通部材」に相当する構成を備えるものであるから、本件特許発明1の「電力変換装置」に相当する。 してみると、請求項1に係る発明と引用発明は、全ての発明特定事項において一致しており、両者の間に相違点はないから、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明である。 この点について、特許権者は令和2年4月17日付け意見書において、「なお、引用文献1の図7では、配線バー5000,5001は、互いに対向するモジュール側面間の空間から、当該空間の外部に配置された平滑コンデンサ3000,3001へ向かって延び、それらの近傍(即ち、上記空間の外部)で屈曲しているが、当該屈曲部はコンバータモジュール2000とインバータモジュール2001との間に位置していないので、上記課題を解決することができない。」(意見書第5頁第10ー14行)と主張している。 しかしながら、上記「(1) (1-1)引用文献1の記載事項」で説示したように、各配線バーは、コンデンサへの接続部分以外にも、各モジュールの上面の端子と接続するための屈曲部を有しおり、また、この屈曲部はコンバータモジュール2000とインバータモジュール2001との間に位置しているものと認められる。 よって、上記主張は採用できない。 (2-2)理由2)について(特許法第29条第2項) 仮に、引用文献1における図面は概略図であって、コンバータモジュール2000とインバータモジュール2001の間で屈曲によって離間していることまでは読み取れないとすると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていることになる。 「コンバータモジュール2000、インバータモジュール2001、及び平滑コンデンサ3000、3001からなる電力変換装置において、 コンバータモジュール2000とインバータモジュール2001が鉛直方向に沿って上下に配置され、更に平滑コンデンサ3000、3001が各モジュールの横方向に配置され、 各モジュールは略直方体状でありモジュール上面が矩形状であるため、直流端子P、Nはモジュール上面の一辺に沿って設けられ、また、コンバータモジュール2000の直流端子とインバータモジュール2001の直流端子では異極の端子同士が互いに対向するように配置され、 コンバータモジュール2000およびインバータモジュール2001の直流端子Pと平滑コンデンサ3000、3001の一方の端子が配線され、また、コンバータモジュール2000およびインバータモジュール2001の直流端子Nと平滑コンデンサ3000、3001の他方の端子が配線され、 コンバータモジュール2000、インバータモジュール2001及び平滑コンデンサ3000、3001間の上記配線を細長い配線バー5000、5001とし、直流正極側(P側)の配線バー5000と直流負極側(N側)の配線バー5001の少なくとも一部分が積層されており、また、配線バー5000と配線バー5001が離間している、 電力変換装置。」 なお、引用発明2と引用発明とは、引用発明2が「配線バー5000と配線バー5001が離間している」のに対して、引用発明は「配線バー5000と配線バー5001がコンバータモジュール2000とインバータモジュール2001の間で屈曲により離間している」点で異なる。 そこで、本件特許発明1と引用発明2を対比すると、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 (相違点1) 前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、それぞれの前記交差部が互いに離間するように、本件特許発明1では「少なくともいずれか一方が前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で屈曲している」のに対して、引用発明2ではその旨の特定がされていない点。 上記相違点1について検討する。 上記引用文献2及び引用文献3に記載されるように(上記「(1-2引用文献2、3の記載事項)」を参照。)、端子間を接続する導通部材同士が接触しないように離間させるために、少なくともいずれか一方を屈曲させることは周知の技術である。 また、屈曲箇所をいずれの箇所とするかは設計的事項に過ぎず、また、通常であれば、他の部材との接触を避けるために交差する直前において屈曲させるものと認められる。 したがって、第1導通部材及び2導通部材の交差部を互いに離間させた引用発明2において、その離間させる具体的な構成として該周知の技術を採用して交差する直前である各モジュールの間で屈曲させ、本件特許発明1の上記相違点1の構成とすることは当業者が容易に想到し得るものである。 この点について、特許権者は令和2年1月21日付け意見書において、 「(オ)しかしながら、引用文献1は、コンバータモジュールとインバータモジュールとの間の細長い配線バーに関して、段落【0021】及び図7に記載された形態以外の形態を開示していない。即ち、引用文献1には、本件特許発明の『第1導通部材及び第2導通部材が、それぞれの交差部が互いに離間するように、少なくともいずれか一方が屈曲している』構成(構成B)についての記載や示唆がない。 (カ)また、引用文献1は、コンバータモジュールとインバータモジュールとの間の間隔を小さくして電力変換装置の小型化を図る点に関して、何ら記載しておらず、『コンバータモジュールとインバータモジュールとの間の間隔を小さくした場合に、配線バー5000,5001の電極端子間の経路長が短くなって、それらに過度な応力が発生する恐れがある』という課題については、記載も示唆もしていない。そうすると、仮に、引用文献1のコンバータモジュールとインバータモジュールとの間の間隔を小さくすることまで想到できたとしても、上記課題についての記載や示唆がない以上、配線バー5000、5001の少なくともいずれか一方を、それぞれ交差部が互いに離間するように屈曲させることで、配線バー5000,5001に発生する応力を緩和しようとする動機づけはない。従って、コンバータモジュールとインバータモジュールとの間の間隔を小さくする場合に、配線バー5000,5001の少なくともいずれか一方を、それぞれの交差部が互いに離間するように屈曲させることが容易とはいえない。」、 「(ク)即ち、引用文献2に記載の技術は、モータジェネレータの形態に合わせた配列順序とすることを主たる目的として、バスバー161~163,171~173を屈曲させたものである。 (ケ)そうすると、引用文献1の構成に引用文献2の技術を採用することの示唆や動機付けは得られない。即ち、引用文献1の配線バー5000,5001は、すでにコンバータモジュール2000及びインバータモジュール2001の形態に合わせた配列順序になっているから、引用文献1の構成において、コンバータモジュール2000及びインバータモジュール2001の形態に合わせた配列順序にするために配線バー5000,5001を屈曲させることの示唆や動機付けは得られない。また、仮に、引用文献2のバスバー161~163,171~173が、それら同士が接触して短絡しないようにすることを目的として、屈曲されたものであったとしても、引用文献1の配線バー5000,5001の間にすでに隙間が存在しているから、引用文献1の構成において、配線バー5000,5001が互いに接触して短絡しないようにするためにこれらを屈曲させることの示唆や動機付けは得られない。」、 「(サ)即ち、引用文献3の131a,131cバスバーは、屈曲してはいるものの、薄板状の132b,132c絶縁体が131a,131b,131cバスバーとの間に挿入されているから、バスバー同士が接触しないようにすることを目的として、屈曲されたものではない。 (シ)仮に、引用文献3の131a,131cバスバーが、それら同士が接触して短絡しないように屈曲されたものであったとしても、引用文献1の配線バー5000,5001の間にはすでに隙間が存在しているから、引用文献1の構成に引用文献3の技術を採用することの示唆や動機付けは得られない。即ち、引用文献1の構成において、配線バー5000,5001が互いに接触して短絡しないようにするためにこれらを屈曲させることの示唆や動機付けは得られない。」、 と主張している。 しかしながら、引用文献1(引用発明2)は配線バー5000と5001が離間しているものであるから、離間するための具体的な構成が必要であることは明らかである。また、引用文献1(引用発明2)においても「コンバータモジュール2000の直流端子とインバータモジュール2001の直流端子では異極の端子同士が互いに対向するように配置され」るものであるから、直流端子の配列順序は異なっている。 そして、引用文献2のものは、直流端子の配列順序が異なったものである。 さらに、引用文献3において、131a、131b、131cバスバーは互いに交差する「バスバーの経路を重ね合わせた135領域A」(本願の「交差部」に相当)を有している。そして、該「135領域A」においては131a、131b、131cバスバー同士を屈曲し離間させないと絶縁体を挿入できず短絡するものであるから、引用文献3においても、屈曲はバスバー同士が接触しないようにすることを目的としたものといえる。 してみれば、直流端子の配列順序が異なり配線バー5000、5001が離間している引用文献1(引用発明2)において、配線バーが互いに接触して短絡しないようにするための具体的な手段として引用文献2及び引用文献3に記載に技術事項(屈曲させること)を採用することには動機がないとはいえない。 よって、上記主張は採用できない。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 異議申立人は、訂正前の請求項4について以下の特許異議の申立てを行っている。 (1)申立理由の概要 請求項4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証乃至甲第10号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 甲第1号証:特開2007-6565号公報(引用文献1) 甲第2号証の1:特開2013-73966号公報 甲第2号証の2:特開2011-96917号公報 甲第3号証:特開2005-192311号公報(引用文献2) 甲第4号証:国際公開第2007/094162号(引用文献3) 甲第5号証:特開2013-55781号公報 甲第6号証:国際公開第2007/108207号 甲第7号証:特開2012-186920号公報 甲第8号証:特開平8-126182号公報 甲第9号証:富士時報 第85巻第3号 富士電機株式会社 平成24年5      月10日発行 188-193頁 甲第10号証:特開平7-142658号公報 (2)各甲号証の記載事項 甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証の記載事項に関しては、それぞれ上記「2 (1) (1-1)引用文献1の記載事項、(1-2)引用文献2の記載事項、(1-3)引用文献3の記載事項」の記載のとおりである。 ア 甲第2号証の1の記載事項 甲第2号証の1には、以下の事項が記載されている。 「【0025】 バスバーは、先端(導電部材に接続している部分の先端)が板状であればよく、金属板を連結する導電部材は板状でなくケーブル状(ワイヤ)であってもよい。また、バスバー先端の金属板と素子モジュールから伸びる電極は、ヒートシンクによって両側から挟持されると同時に、導電性の接着剤で接着されてもよい。」 イ 甲第2号証の2の記載事項 甲第2号証の2には、以下の事項が記載されている。 (ア)「図5 」 (イ)「図6 」 (ウ)「図7 」 ウ 甲第5号証の記載事項 甲第5号証には、以下の事項が記載されている。 「図4 」 エ 甲第6号証の記載事項 甲第6号証には、以下の事項が記載されている。 「図6 」 オ 甲第7号証の記載事項 甲第7号証には、以下の事項が記載されている。 (ア)「図2 」 (イ)「図7 」 カ 甲第8号証の記載事項 甲第8号証には、以下の事項が記載されている。 「図1 」 キ 甲第9号証の記載事項 甲第9号証には、以下の事項が記載されている。 「図5 」 ク 甲第10号証の記載事項 甲第10号証には、以下の事項が記載されている。 「図1 」 (3)対比・判断 訂正前の請求項4は、請求項1を引用しない訂正後の請求項4、請求項1を引用する訂正後の請求項6となった。ここで、異議申立のあった請求項4は、請求項1を引用したものであるから、訂正後の請求項6(本件特許発明6)について判断する。 本件特許発明6と甲第1号証に記載された発明(引用発明)と対比すると、本件特許発明6は、訂正請求により請求項1で減縮された「前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で」という構成を有しておらず、また、「前記第1電力モジュール及び前記第2電力変換モジュールは冷却器上に配置され、前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で前記冷却器に近接または接触している」という構成を有するものであるから、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 (相違点2) 本件特許発明6では「前記第1電力モジュール及び前記第2電力変換モジュールは冷却器上に配置され、前記第1導通部材及び前記第2導通部材は、前記第1電力変換モジュールと前記第2電力変換モジュールとの間で前記冷却器に近接または接触している」のに対して、引用発明ではその旨の特定がされていない点。 上記相違点2について検討する。 引用文献1(甲第1号証)の段落【0010】には、コンバータモジュール2000(「第1電力モジュール」)とインバータモジュール2001(「第2電力変換モジュール」)が、冷却フィン1000(「冷却器」)の面に設置されることは記載されている。 しかしながら、引用文献1の図7の下図を参照すると、配線バー5000(「第1導通部材」)及び配線バー5001(「第2導通部材」)は、冷却フィン1000から離れるように配置されるものであって近接または接触すものではない。 仮に、配線バーを冷却することが周知の技術課題であり、冷却のために各配線バーのこの積層されている部分を冷却フィン側に近接または接触させたとしても、一方の配線バーは冷却フィンに対して近接または接触し冷却することができると認められるが、該一方の配線バーから離間した他方の配線バーが同様に冷却されるとはいえない。してみると、引用文献1のものにおいて、各配線バーを冷却のために冷却フィン側に近接または接触させる理由が存在しない。 また、甲第2号証ないし甲第10号証には、配線バーの冷却に関しては記載されていない。 したがって、本件特許発明6は、甲第1号証に記載された発明、および、甲第2号証ないし甲第10号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 この点について、異議申立人は特許異議申立書において、「・・・、冷却効果を得ることも鑑みれば、「板状導電部材」を冷却フィン(1000)に近づけるように屈曲させることは、当業者がなし得る設計事項に過ぎない。」(特許異議申立書27頁6-8行)と主張している。 しかしながら、上記で検討したように、板状導電部材である配線バーを冷却フィン側に近接または接触させたとしても、一方の配線バーは冷却フィンに対して近接または接触し冷却することができると認められるが、他方の配線バーが同様に冷却されるとはいえない。よって、冷却効果を得ることを鑑みても、引用発明は「板状導電部材」を冷却フィン(1000)に近づけるように屈曲させるものではなく、当業者がなし得る設計事項に過ぎないとはいえない。 したがって、上記主張は採用できない。 4 独立特許要件について 上記「第2 2 (2)」における「イ 訂正事項2について」及び「ウ 訂正事項3について」に記載したように、本件特許発明4、5、7については独立特許要件が課されるので、独立特許要件について検討する。 上記甲第1号証ないし甲第10号証には、請求項4、5が引用する請求項2の「前記第1導通部材は、前記第1電極端子との接続部から前記第2電極端子に対して離れる方向に延設される第1導通部材第1部分と、前記第1導通部材第1部分から前記第2電力変換モジュールに向けて延設される第1導通部材第2部分と、前記第3電極端子との接続部から前記第4電極端子に対して離れる方向に延設される第1導通部材第3部分と、 前記第1導通部材第3部分から前記第1電力変換モジュールに向けて延設される第1導通部材第4部分と、前記第1導通部材第2部分の前記第1導通部材第1部分と反対側及び、前記第1導通部材第4部分の前記第1導通部材第3部分と反対側を、互いに接続する第1導通部材第5部分と、を有し、前記第2導通部材は、前記第2電極端子との接続部から前記第1電極端子に対して離れる方向に延設される第2導通部材第1部分と、前記第2導通部材第1部分から前記第2電力変換モジュールに向けて延設される第2導通部材第2部分と、前記第4電極端子との接続部から前記第3電極端子に対して離れる方向に延設される第2導通部材第3部分と、第2導通部材第3部分から前記第1電力変換モジュールに向けて延設される第2導通部材第4部分と、前記第2導通部材第2部分の前記第2導通部材第1部分と反対側及び、前記第2導通部材第4部分の前記第2導通部材第3部分と反対側を、互いに接続する第2導通部材第5部分と、を有すること」が記載されていない。 また、上記甲第1号証ないし甲第10号証には、請求項7の「前記第1導通部材及び前記第2導通部材のそれぞれの前記交差部は、電流が互いに逆方向に向けて流れるように交差していること」が記載されていない。 したがって、請求項4、5、7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証ないし甲第10号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 また、他に請求項4、5、7に係る発明を拒絶すべき理由を発見しない。 第5 むすび 以上のとおり、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものである。 また、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、および周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 したがって、請求項1に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 請求項4、5、6、7に係る特許を維持する。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-700686

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    同じ当事者: 日産自動車株式会社
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    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条1項3号、特許法29条2項
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    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条1項3号、特許法29条2項
  • 2023-700737異議申立 / 2026-03-27 / 維持樹脂発泡シート及び粘着テープ
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条1項3号、特許法29条2項
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