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特許異議申立

2023-700778

制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラム

審判番号
2023-700778
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-163090
登録番号
7214598
請求日
2023年07月27日
審決日
2024年05月07日
公報発行日
2024年08月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社東芝
  • 【権利者代理人】弁理士法人志賀国際特許事務所
  • 【権利者】東芝エネルギーシステムズ株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人志賀国際特許事務所
  • 【異議申立人】松本 征二
審判長/審判官
  • 審判長 林 毅
  • 審判官 須田 勝巳
  • 審判官 吉田 美彦
分類
P1651.113-YAA(H02M) / P1651.121-YAA(H02M) / P1651.537-YAA(H02M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7214598号発明「制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7214598号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、5、6、7、8について訂正することを認める。 特許第7214598号の請求項1、3ないし8に係る特許を維持する。 特許第7214598号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7214598号の請求項1~8に係る特許についての出願は、令和1年9月6日に出願され、令和5年1月20日にその特許権の設定登録がされ、令和5年1月30日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和5年7月27日に特許異議申立人 松本征二(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和5年11月30日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和6年2月1日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、異議申立人は、令和6年3月8日に意見書を提出した。 第2 特許異議の申立ての理由及び証拠 異議申立人が主張する特許異議の申立ての理由(以下、「申立理由」という。)及び証拠は、異議申立書の全趣旨からして、以下のとおりのものと認める。 1 特許異議の申立ての理由の概要 (1)申立理由1(特許法第29条第1項、同条第2項) ア 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第6号証の各々に記載された発明と同一であり、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 イ 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証、第2号証、甲第6号証の各々に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 ウ 本件特許の請求項2、3、6~8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、請求項2、3、6~8に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 エ 本件特許の請求項2、3、6~8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2、3、6~8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (2)申立理由2(特許法第29条第2項) ア 本件特許の請求項1~3に係る発明は、甲第1号証~甲第3号証、甲第5号証~第9号証の各々に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 イ 本件特許の請求項6~8に係る発明は、甲第1号証~甲第3号証、甲第7号証~第9号証の各々に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6~8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 ウ 本件特許の請求項4に係る発明は、甲第1号証、甲第4号証の各々に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 エ 本件特許の請求項5に係る発明は、甲第1号証、甲第3号証、甲第5号証の各々に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (3)申立理由3(特許法第36条第6項第1号) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下のア~キの点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 ア 「(ア)本件特許発明1~4について a 構成要件lAについて 構成要件lAは、「交流系統に対して並列に接続され、」との発明特定事項を含む。しかし、発明の詳細な説明において、電力系統1,2(「交流系統」に相当)と電力変換器30-1,30-2との接続態様は、記載されていない。 構成要件lAは、「相互に変換可能な」との発明特定事項を含む。しかし、「相互」および「変換可能」との用語は、いずれも本件特許の発明の詳細な説明には記載されていない。 構成要件lAは、「二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる制御装置」との発明特定事項を含む。まず、当該発明特定事項には、「システムに含まれる制御装置」が単独運転時に「スレーブモード運転」ではなく「マスターモード運転」を行うものである場合も含まれる。この場合、本件特許の段落0007に記載された「並列に設けられた直流送電システムにおいて、単独運転に移行する際の出力電力の負担が偏らないようにすることができる制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラムを提供する」という課題を解決することが不可能である。 また、当該発明特定事項には、「二以上の制御装置」に「制御装置」が含まれる場合と、「二以上の制御装置」に「制御装置」が含まれない場合とが含まれる。後者の場合、「システム」には3つ以上の「制御装置」が含まれることになるが、発明の詳細な説明には、2つの制御装置100-1,100-2を含む構成しか記載されていない。 さらに、構成要件lAには「二以上の制御装置とを有するシステム」との発明特定事項がある。この点、当該発明特定事項には、「システム」が3つ以上の「電力変換器」を有する場合、および3つ以上の「制御装置」を有する場合が含まれる。また、「システム」が直流送電システム20である場合と制御システムである場合とが含まれる。「システム」が制御システムである場合、本件特許の発明の詳細な説明には「システム」が3つ以上の「電力変換器」を有する構成、および3つ以上の「制御装置」を有する構成は記載されていない。「システム」が直流送電システム20である場合、発明の詳細な説明には、1つの制御装置100を含む直流送電システム20しか記載されていない。 b 構成要件1B,1Cについて 構成要件lBは「単独運転時」との発明特定事項を含み、構成要件lCは、「前記単独運転の開始時点」との発明特定事項を含む。当該発明特定事項には、平常運転から単独運転への直接移行と、平常運転から停電した後に単独運転を開始する間接移行(たとえば、甲第1号証等)とが含まれる。しかし、発明の詳細な説明には、間接移行に関しては記載されていない。そのため、間接移行の場合に本件発明をどのように適用すればよいかが不明である。その結果、間接移行の場合においても本件発明を適用すれば課題を解決できることを、当業者が認識することができない。 また、構成要件1Cは、「所定値」との発明特定事項を含む。しかし、当該発明特定事項には特段の限定がないため、本件特許の段落0007に記載された「並列に設けられた直流送電システムにおいて、単独運転に移行する際の出力電力の負担が偏らないようにすることができる制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラムを提供する」という課題を解決することが不可能な値を含む。 さらに、構成要件lCは、「前記電力変換器の出力を所定値に決定可能」との発明特定事項を含む。しかし、当該発明特定事項は、本件特許の発明の詳細な説明には記載されていない。そのため、当該発明特定事項によって本件特許の課題が解決することができるかどうかは、明細書に何ら記載が無く、また、出願時の技術常識に照らして当業者が課題を解決できると認識できる範囲のものでもない。」(異議申立書第87~89ページ) イ 「(イ)本件特許発明2について a 構成要件2Fについて 構成要件2Fは、「繰り返しの中で」との発明特定事項を含む。しかし、当該発明特定事項は、本件特許の段落0059に構成要件2Fと同様に表現されているだけで、具体的にどのような処理であるのか発明の詳細な説明に記載されていない。 b 構成要件2Gについて 構成要件2Gは、「所定値」との発明特定事項を含む。しかし、当該発明特定事項には特段の限定がないため、本件特許の段落0007に記載された「並列に設けられた直流送電システムにおいて、単独運転に移行する際の出力電力の負担が偏らないようにすることができる制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラムを提供する」という課題を解決することが不可能な値を含む。」(異議申立書第89ページ) ウ 「(ウ)本件特許発明3,4について 構成要件3Iは、「前記所定値」との発明特定事項を含む。しかし、当該発明特定事項には特段の限定がないため、本件特許の段落0007に記載された「並列に設けられた直流送電システムにおいて、単独運転に移行する際の出力電力の負担が偏らないようにすることができる制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラムを提供する」という課題を解決することが不可能な値を含む。このように、本件特許発明3および本件特許発明3を引用する本件特許発明4は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、同法第113条第4号の規定により取消されるべきである。」(異議申立書第89~90ページ) エ 「(エ)本件特許発明5について a 構成要件5Aについて 本件特許発明1について説明したように、構成要件lAには、発明の詳細な説明に記載されていない構成が含まれる。構成要件5Aは構成要件lAと同様であるから、構成要件5Aにも、発明の詳細な説明に記載されていない構成が含まれる。 b 構成要件5Bについて 本件特許発明1と同様に、構成要件5Bの「単独運転時」との発明特定事項、および構成要件5Cの「前記単独運転の開始時点」との発明特定事項は間接移行を含むにも関わらず、発明の詳細な説明には間接移行に関しては記載されていない。そのため、間接移行の場合に本件発明をどのように適用すればよいかが不明である。その結果、間接移行の場合においても本件発明を適用すれば課題を解決できることを、当業者が認識することができない。また、構成要件5Bの「CV制御」に関して、発明の詳細の説明に記載されていない。また、本件特許発明5には、構成要件5Bの「制御装置」の動作モード(「第1モード」および「第2モード」のいずれか)と構成要件5Aの「システム」に含まれる他の全制御装置の動作モードとが同じ場合が含まれる。しかし、本件特許の課題は、両者の動作が同じである場合には解決されない。さらに、構成要件5Bの「モード選択部」が「第1モード」を選択した場合に、「第2モード」を実行する他の制御装置が存在しない場合も含まれる。「第2モード」を行う制御装置が存在しない場合、本件特許の課題を解決することはできない。」 c 構成要件5Cについて 本件特許発明1と同様に、構成要件5Cの「所定値」との発明特定事項は課題を解決することが不可能な値を含む。さらに、本件特許発明1と同様に、構成要件5Cの「前記電力変換器の出力を所定値に決定可能」との発明特定事項を含む。しかし、当該発明特定事項は、本件特許の発明の詳細な説明には記載されていない。そのため、当該発明特定事項によって本件特許の課題が解決することができるかどうかは、明細書に何ら記載が無く、また、出願時の技術常識に照らして当業者が課題を解決できると認識できる範囲のものでもない。」(異議申立書第90~91ページ) オ 「(オ)本件特許発明6について a 構成要件6AAについて 構成要件lAについて説明したように、構成要件6AAの「交流系統に対して並列に接続され、」との発明特定事項、および「相互に変換可能な」との発明特定事項は、発明の詳細な説明に記載されていない。 また、構成要件6AAの「二以上の制御装置」には、構成要件6ABの「第1制御装置」と構成要件6Dの「第2制御装置」が含まれる場合と、いずれも含まれない場合と、どちらか一方のみが含まれる場合と、が考えられる。しかし、「第1制御装置」、「第2制御装置」のうちの少なくとも一方が「二以上の制御装置」に含まれない場合には、「制御システム」には3つの「制御装置」が含まれることになるが、発明の詳細な説明には、2つの制御装置100-1,100-2を含む構成しか記載されていない。 b 構成要件6AB,6B,6Cに関して 本件特許発明1と同様に、構成要件6AB,6Bの「単独運転時」との発明特定事項、および構成要件6Cの「前記単独運転の開始時点」との発明特定事項は間接移行を含むにも関わらず、発明の詳細な説明には間接移行に関しては記載されていない。そのため、間接移行の場合に本件発明をどのように適用すればよいかが不明である。その結果、間接移行の場合においても本件発明を適用すれば課題を解決できることを、当業者が認識することができない。 また、本件特許発明1と同様に、構成要件6Cの「所定値」との発明特定事項は課題を解決することが不可能な値を含む。さらに、構成要件6Cは、「前記電力変換器の出力を所定値に決定可能」との発明特定事項を含む。しかし、当該発明特定事項によって本件特許の課題が解決することができるかどうかは、明細書に何ら記載が無く、また、出願時の技術常識に照らして当業者が課題を解決できると認識できる範囲のものでもない。」(異議申立書第91~92ページ) カ 「(力)本件特許発明7について a 構成要件7AAについて 構成要件lAについて説明したように、構成要件7AAの「交流系統に対して並列に接続され、」との発明特定事項、および「相互に変換可能な」との発明特定事項は、発明の詳細な説明に記載されていない。 構成要件7AAの「二以上の制御装置」には、構成要件7ABの「二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が…であるシステムに含まれる『制御装置』」における「制御装置」が含まれる場合と、含まれない場合と、が考えられる。後者の場合、「システム」には3つの「制御装置」が含まれることになるが、発明の詳細な説明には、2つの制御装置100-1,100-2を含む構成しか記載されていない。 また同様に、構成要件7AAの「二以上の制御装置」には、構成要件7ABの「二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が...であるシステムに含まれる制御装置のうち、『前記第1制御装置とは異なる制御装置』」における「前記第1制御装置とは異なる制御装置」が含まれる場合と、含まれない場合と、が考えられる。後者の場合、「システム」には3つの「制御装置」が含まれることになるが、[発明を実施するための形態]には、2つの制御装置100-1,100-2を含む構成しか記載されていない。 b 構成要件7AB, 7B, 7Cに関して 溝成要件7ABには「二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が…であるシステムに含まれる制御装置」との発明特定事項がある。この点、当該発明特定事項には、「システム」が3つ以上の「電力変換器」を有する場合、および3つ以上の「制御装置」を有する場合が含まれる。また、「システム」が直流送電システム20である場合と制御システムである場合とが含まれる。「システム」が制御システムである場合、本件特許の発明の詳細な説明には「システム」が3つ以上の「電力変換器」を有する溝成、および3つ以上の「制御装置」を有する構成は記載されていない。「システム」が直流送電システム20である場合、発明の詳細な説明には、1つの制御装置100を含む直流送電システム20しか記載されていない。 本件特許発明1と同様に、構成要件7AB,7Bの「単独運転時」との発明特定事項、および構成要件6Cの「前記単独運転の開始時点」との発明特定事項は間接移行を含むにも関わらず、発明の詳細な説明には間接移行に関しては記載されていない。そのため、間接移行の場合に本件発明をどのように適用すればよいかが不明である。その結果、間接移行の場合においても本件発明を適用すれば課題を解決できることを、当業者が認識することができない。また、本件特許発明1と同様に、構成要件7Cの「所定値」との発明特定事項は課題を解決することが不可能な値を含む。 さらに、構成要件7Bの「有効電力と無効電力とを表す指令値」は、「単独運転時に、・・・生成して出力」されるため、構成要件7Cの「前記指令値を生成して出力する際」とは、「単独運転時」とほぼ同義と考えられる。そのため、構成要件7Cは、「『単独運転時』に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する」のような意味と考えられるが、単独運転を開始した後で「単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定」しても、「前記第1制御装置とは異なる制御装置」の動作が何か変更されることは無く、「電力変換器」の動作に関しても何ら影響が無いと考えられるため、本件特許発明7では、本願の発明の課題を解決することができない。」(異議申立書第92~94ページ) キ 「(キ)本件特許発明8について 構成要件8AA,8AB,8B,8Cは、構成要件7AA,7AB,7B,7Cとそれぞれ実質的に同様である。したがって、本件特許発明8は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、同法第113条第4号の規定により取消されるべきである。」(異議申立書第94ページ) (4)申立理由4(特許法第36条第6項第2号) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下のア~クの点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 ア 「(ア)本件特許発明1~4について a 構成要件lAについて 構成要件lAは、「交流系統に対して並列に接続され、」、「二以上の自励式の電力変換器」、および「システム」との発明特定事項を含む。この点、「交流系統に対して並列に接続され、」が「二以上の自励式の電力変換器」に係る場合、「システム」は、「二以上の自励式の電力変換器」を制御する制御システムである。一方、「交流系統に対して並列に接続され、」が「システム」に係る場合、「システム」は、並列に接続された、交流電力を直流電力に変換する送電システムである。しかし、構成要件lAにおいて、「交流系統に対して並列に接続され、」が「二以上の自励式の電力変換器」に係るのか、「システム」に係るのかが明確ではない。 構成要件lAは、「交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器」との発明特定事項を含む。この点、「相互に変換可能な」が「二以上の自励式の電力変換器」に係る場合、「二以上の自励式の電力変換器」の間で「交流と直流を相互に変換可能」ということになる。一方、「相互に変換可能な」が「電力変換器」に係る場合、「二以上の自励式の電力変換器」の各々が「交流と直流を相互に変換可能」ということになる。しかし、構成要件lAにおいて、「相互に変換可能な」が「二以上の自励式の電力変換器」に係るのか、あるいは「電力変換器」に係るのか明確ではない。 構成要件lAは、「二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる制御装置」との発明特定事項を含む。しかし、「システムに含まれる制御装置」が「二以上の制御装置」に含まれるか否かが明確ではない。 構成要件lAは、「二以上の制御装置とを有するシステム」との発明特定事項を含む。また、構成要件6AAは、「二以上の制御装置を備える制御システム」との発明特定事項を含む。両者は、「二以上の制御装置」を含むという点で共通しているが、名称が互いに異なる。そのため、構成要件lAの「システム」が構成要件6AAの「制御システム」と同じ技術的意味を有するのか、あるいは異なる技術的意味を有するのか明確ではない。また、構成要件lAの「システム」が、「制御システム」か「直流送電システム」か、どちらを指すのか明確ではない。 以上から、構成要件lAは、明確ではない。 b 構成要件1Bについて 構成要件lBは「単独運転時」との発明特定事項を含み、構成要件1Cは、「前記単独運転の開始時点」との発明特定事項を含む。この点、「単独運転」が行われる構成には、平常運転から単独運転への直接移行と、平常運転から停電した後に単独運転を開始する間接移行とが含まれる。しかし、構成要件1B,1Cにおいて、「単独運転」が行われる構成が、直接移行および間接移行のいずれであるか明確ではない。 また、構成要件1Bは、「前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成」との発明特定事項を含む。しかし、「前記電力変換器」が、構成要件lAの「二以上の電力変換器」の各々を指すのか、あるいは、これれのいずれを指すのかが明確ではない。 c 構成要件lCについて 構成要件lCは、「前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能」との発明特定事項を含む。この点、構成要件lBの「指令値生成部」は「単独運転の開始時点」においても初期値として何らかの値を出力すると考えられる以上、構成要件lCは構成要件lBに対して新たな技術的特徴を追加していない。また、当該発明特定事項には、「所定値」に決定する場合と、「所定値」に決定しない場合とが含まれるが、後者の場合に本件特許の課題が解決されるか否かは不明である。このように、構成要件lCの技術的意味は明確ではない。また、構成要件lCの「単独運転の開始時点」との発明特定事項について、いつどの時点が「単独運転の開始時点」となるのか明確でない。 以上から、構成要件lB、lCは、明確ではない。」(異議申立書第94~96ページ) イ 「(イ)本件特許発明2について a 構成要件2Fについて 構成要件2Fは、「繰り返しの中で」との発明特定事項を含む。しかし、当該発明特定事項は、本件特許の段落0059に構成要件2Fと同様に表現されているだけで、具体的にどのような処理であるのか明確でない。 b 構成要件2Gについて 構成要件2Gは、「所定値」との発明特定事項を含む。この点、構成要件lCにも「所定値」との発明特定事項が含まれるが、構成要件2Gの「所定値」が構成要件lCの「所定値」と同じであるのか否かが明確ではない。」(異議申立書第96~97ページ) ウ 「(ウ)本件特許発明3について 構成要件3Iは、「前記所定値」との発明特定事項を含む。この点、構成要件lCおよび構成要件2Gの各々にも「所定値」との発明特定事項が含まれるが、構成要件3Iの「前記所定値」が構成要件lCの「所定値」および構成要件2Gの「所定値」のいずれを指し示しているかが明確ではない。このように、本件特許発明3および本件特許発明3を引用する本件特許発明4は、明細書および図面の記載ならびに出願時の技術常識を考慮したとしても明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、同法第113条第4号の規定により取消されるべきである。」(異議申立書第97ページ) エ 「(エ)本件特許発明4について 本件特許の請求項4は、請求項1~3のいずれか1項に従属するため、構成要件4Lの「前記『指令値』の変化率」における「指令値」が、構成要件4Kの「外部から入力された指令値」を指すのか、請求項1等の「有効電力と無効電力とを表す指令値」を指すのか、明確でない。このように、本件特許発明4は、明細書および図面の記載ならびに出願時の技術常識を考慮したとしても明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、同法第113条第4号の規定により取消されるべきである。」(異議申立書第97ページ) オ 「(オ)本件特許発明5について a 構成要件5Aについて 本件特許発明1について説明したように、構成要件lAは、明確ではない。構成要件5Aは構成要件lAと同様であるから、構成要件5Aも明確ではない。 b 構成要件5B,5Cについて 構成要件5Bの「単独運転時」との発明特定事項、および構成要件5Cの「前記単独運転の開始時点」との発明特定事項は、本件特許発明1と同様に明確ではない。また、構成要件5Bの「前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成」との発明特定事項も、本件特許発明1と同様に明確ではない。さらに、構成要件5Cの「前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能」との発明特定事項も、本件特許発明1と同様に明確ではない。したがって、構成要件5B,5Cは、明確ではない。」(異議申立書第97~98ページ) カ 「(力)本件特許発明6について a 構成要件6AAについて 構成要件6AAは、「交流系統に対して並列に接続され、」、「二以上の自励式の電力変換器」、および「制御システム」との発明特定事項を含む。しかし、構成要件6AAにおいて、「交流系統に対して並列に接続され、」が「二以上の自励式の電力変換器」に係るのか、「制御システム」に係るのかが不明確である。また、構成要件6AAにおいて、「相互に変換可能な」が「二以上の自励式の電力変換器」に係るのか、あるいは「電力変換器」に係るのか明確ではない。 b 構成要件6AB,6B,6C,6Dに関して 構成要件6AB,6Bの「単独運転時」との発明特定事項、および構成要件6Cの「前記単独運転の開始時点」との発明特定事項、構成要件6Bの「前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成」との発明特定事項、および構成要件6Cの「前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能」との発明特定事項は、本件特許発明1と同様に明確ではない。また、構成要件6ABの「第1制御装置」および構成要件6Dの「第2制御装置」の各々が構成要件6AAの「二以上の制御装置」に含まれるか否かが明確ではない。さらに、構成要件6ABの「第1制御装置」と構成要件6Dの「第2制御装置」が、同じものであるか異なるものであるかが明確ではない。 以上から、構成要件6AB,6B,6C,6Dは、明確ではない。」(異議申立書第98~99ページ) キ 「(キ)本件特許発明7について a 構成要件7AA,7ABについて 構成要件7AAの「交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器」との発明特定事項は、本件特許発明1と同様に明確ではない。また、構成要件7AAの「交流系統に対して並列に接続され、」が、構成要件7AAの「二以上の自励式の電力変換器」に係るのか、それとも構成要件7ABの「システム」に係るのかが明確ではない。 構成要件7AA,7ABは、「二以上の制御装置とを有し、…であるシステム」との発明特定事項を含む。また、構成要件6AAは、「二以上の制御装置を備える制御システム」との発明特定事項を含む。両者は、「二以上の制御装置」を含むという点で共通しているが、名称が互いに異なる。そのため、構成要件7AA,7ABの「システム」が構成要件6AAの「制御システム」と同じ技術的意味を有するのか、あるいは異なる技術的意味を有するのかが明確ではない。 構成要件7AAの「二以上の制御装置」には、構成要件7ABの「二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が…であるシステムに含まれる『制御装置』」における「制御装置」が含まれるか否かが明確ではない。 以上から、構成要件7AA,7ABは明確ではない。 b 構成要件7AB,7B,7Cに関して 構成要件7AB,7Bの「単独運転時」との発明特定事項、構成要件7Cの「前記単独運転の開始時点」との発明特定事項、および構成要件7Bの「前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成」との発明特定事項は、本件特許発明1と同様に明確ではない。構成要件7ABの「前記第1制御装置とは異なる制御装置」が「第2制御装置」の誤記であるか否かが明確ではない。構成要件7Bの「単独運転時」には「前記」の記載が無いため、構成要件7Bの「単独運転時」が構成要件7ABの「単独運転時」と同じであるか否かが明確ではない。 また、構成要件7Cの「前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する」との発明特定事項は、本件特許発明1と同様の理由で、構成要件7Cは構成要件7Bに対して新たな技術的特徴を追加しておらず、構成要件7Cの技術的意味が明確ではない。さらに、構成要件7ABの「前記第1制御装置とは異なる制御装置」が構成要件7AAの「二以上の制御装置」に含まれるか否かが明確ではない。 構成要件7Bの「有効電力と無効電力とを表す指令値」は、「単独運転時に、・・・生成して出力」されるため、構成要件7Cの「前記指令値を生成して出力する際」とは、「単独運転時」とほぼ同義と考えられる。そのため、構成要件7Cは、「『単独運転時』に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する」のような意味と考えられるが、単独運転を開始した後で「単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定」しても、「前記第1制御装置とは異なる制御装置」の動作が何か変更されることは無く、「電力変換器」の動作に関しても何ら影響が無いと考えられ、構成要件7Cの技術的意味が明確ではない。 以上から、構成要件7AB,7B,7Cは、明確ではない。」(異議申立書第99~100ページ) ク 「(ク)本件特許発明8について 構成要件8AA,8AB,8B,8Cは、構成要件7AA,7AB,7B,7Cとそれぞれ実質的に同様である。したがって、本件特許発明8は、明細書および図面の記載ならびに出願時の技術常識を考慮したとしても明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、同法第113条第4号の規定により取消されるべきである。」(異議申立書第101ページ) 2 証拠 甲第1号証:特開平11-89096号公報 甲第2号証:特開平4-190634号公報 甲第3号証:特許第6011739号公報 甲第4号証:再公表特許第2013/145263号 甲第5号証:特開2016-187290号公報 甲第6号証:特開平3-27730号公報 甲第7号証:特開2002-171674号公報 甲第8号証:特開2001-224142号公報 甲第9号証:特開2003-79054号公報 第3 当審取消理由の概要 令和5年11月30日付けで当審が通知した取消理由(以下、「当審取消理由」という。)の概要は次のとおりである。 1 当審取消理由1(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の理由1-1~理由1-5の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (1)理由1-1 請求項1の記載には、本件明細書の段落【0007】に記載されている「並列に設けられた直流送電システムにおいて、単独運転に移行する際の出力電力の負担が偏らないようにすることができる制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラムを提供する」という課題を解決するための手段(特に、「平常運転時」において、サンプリングを行う毎に、「電力変換器の出力」を「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値」又は「スレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」に相当する値に更新すること。)が反映されていないから、請求項1に係る発明は、明細書及び図面の記載若しくは示唆又は本件特許出願時の技術常識に照らし、上記課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものとはいえない。 (2)理由1-2 請求項1は、「システムに含まれる制御装置」が「単独運転時」に「スレーブモード運転」を行うものであることを特定しておらず、「システムに含まれる制御装置」が「単独運転時」に「マスターモード運転」を行うものである場合を含むものであるから、その場合、本件明細書の段落【0007】に記載された上記課題を解決することは不可能であり、請求項1に係る発明は、明細書に記載の上記課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものとはいえない。 (3)理由1-3 請求項1の記載では、「システムに含まれる制御装置」が「前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置(明細書及び図面に記載の「制御装置100-1,100-2」)」以外の「制御装置」である場合をも含むものとなっているところ、明細書及び図面には、2つの「制御装置100-1,100-2」以外の「制御装置」を含む構成は記載されていない。 (4)理由1-4 請求項1の「決定可能である」との記載について、「決定可能」とは、決定することができる、という可能性を意味する語であるところ、「前記指令値生成部」が、「指令値」を「所定値」に決定する場合と、「所定値」に決定しない場合とを含む記載となっているが、明細書及び図面には、「指令値生成部」が、「指令値」を「所定値」に決定したりしなかったりすることは記載も示唆もなく、そのことが本願出願時における技術常識とも認められない。 (5)理由1-5 請求項5には、「CV制御を行う第1モード」と記載されているが、発明の詳細な説明には、「マスターモード運転を行う電力変換器30がCVCF制御で運転される」ことは記載されているものの、「CV制御」で運転されることは記載されていない。 2 当審取消理由2(明確性) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の理由2-1~理由2-4の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (1)理由2-1 請求項1には、「二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる制御装置であって」と記載されているが、この記載では、「システムに含まれる制御装置」と「二以上の制御装置」との関係が明確ではない。 (2)理由2-2 請求項1には、「所定値」と記載され、請求項1を引用する請求項2には、「所定値」と記載され、請求項1または2を引用する請求項3には、「前記所定値」と記載されているが、請求項1~3に記載されるこれらの「所定値」が同じ「所定値」を指すのか否かが明確でない。 (3)理由2-3 請求項6には、「二以上の制御装置を備える制御システムであって、・・・第1制御装置と、・・・第2制御装置と、を備える制御システム。」と記載されているが、当該記載では、「二以上の制御装置」と「第1制御装置」及び「第2制御装置」とがどのような関係を有しているのかが不明確である。 (4)理由2-4 請求項7には、「二以上の制御装置とを有し、前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置」と記載されているが、当該記載では、「二以上の制御装置」と「システムに含まれる制御装置」とが同じものであるのか否かが不明確である。 3 当審取消理由3(新規性) 請求項1、3、6~7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第6号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、3、6~7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 4 当審取消理由4(進歩性) 請求項1、3、5~8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証、甲第5号証、甲第7号証、甲第8号証及び甲第9号証に記載された発明に基いて、また、請求項1、3、5~8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証、甲第1号証及び甲第5号証に記載された発明に基いて、また、請求項5、8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第6号証及び甲第5号証に記載された発明並びに周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、3、5~8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第4 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和6年2月1日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」ともいう。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は、訂正された箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる制御装置であって、 単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え、 前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能である、 制御装置。」とあるのを、 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置であって、 単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え、 前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであり、 前記指令値生成部は、 前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 制御装置。」と訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項2~請求項4も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に 「 請求項1または2記載の制御装置。」とあるのを 「 請求項1記載の制御装置。」と訂正する。 請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に 「 請求項1から3のうちいずれか1項記載の制御装置。」とあるのを 「 請求項1または3記載の制御装置。」と訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の段落【0008】に 「【0008】 実施形態の制御装置は、交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる。制御装置は、指令値生成部を持つ。指令値生成部は、単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する。指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能である。」とあるのを 「【0008】 実施形態の制御装置は、交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる。制御装置は、指令値生成部を持つ。指令値生成部は、単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する。指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであり、前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる。」と訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項5に 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる制御装置であって、 単独運転時に、CV制御を行う第1モードと、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成する第2モードとのいずれかを選択するモード選択部を備え、 前記第2モードにおいて前記指令値を生成する指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能である、 制御装置。」とあるのを、 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置であって、 単独運転時に、CVCF制御を行う第1モードと、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成する第2モードとのいずれかを選択するモード選択部を備え、 前記第2モードにおいて前記指令値を生成する指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであり、 前記指令値生成部は、 前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 制御装置。」と訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項6に 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器ををそれぞれ制御する二以上の制御装置を備える制御システムであって、 単独運転時にCVCF制御を行う第1制御装置と、 前記単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え、前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能である第2制御装置と、 を備える制御システム。」とあるのを、 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置を備える制御システムであって、 単独運転時にCVCF制御を行う第1の前記制御装置と、 前記単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え、前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定する第2の前記制御装置と、 を備え 前記指令値生成部は、 前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 制御システム。」と訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項7に 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有し、前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置が、 単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力し、 前記指令値を生成して出力する際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する、 制御方法。」とあるのを、 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有し、前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる前記制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置が、 単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力し、 前記指令値を生成して出力する際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定し、 前記指令値を生成するための制御要素が、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行い、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素が、出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 制御方法。」と訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項8に 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有し、前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置に、 単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力させ、 前記指令値を生成して出力させる際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定させる、 プログラム。」とあるのを、 「 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有し、前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる前記制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置に、 単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力させ、 前記指令値を生成して出力させる際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定させ、 前記指令値を生成するための制御要素が、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行い、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素が、出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 プログラム。」と訂正する。 (10)一群の請求項 本件訂正請求のうち、特許請求の範囲に係る訂正は、一群の請求項〔1-4〕、及び請求項5、6、7、8に対して請求されたものである。 また、明細書に係る訂正(訂正事項5)は、一群の請求項〔1-4〕について請求されたものである。 よって、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる制御装置」を「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置」と訂正することによって、「システムに含まれる制御装置」と「前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置」との関係を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の「前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能である」との記載を「前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであり、 前記指令値生成部は、 前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」と訂正することにより、「所定値」及び「指令値生成部」を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1によってその関係が明確化された「システムに含まれる制御装置」及び「前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置」は、願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の段落0011~0014、0036、及び願書に添付した図面(以下、「本件図面」という。)の図1、図6に記載された「制御装置100」に対応するものであるから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 また、訂正事項1の「前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであり、 前記指令値生成部は、 前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」ことは、本件明細書の段落0048~0059、0060~0068、0069~0079、及び本件図面の図9、図12、図13に記載されているから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、単に「本件明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 前記ア及びイから明らかなように、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内で、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリー、対象又は目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (3)訂正事項3及び4について ア 訂正の目的 訂正事項3及び4は、訂正事項2に伴う請求項の従属関係の整合を図るための訂正である。 したがって、訂正事項3及び4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3及び4は、訂正事項2に伴う請求項の従属関係の整合を図るための訂正であり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3及び4は、訂正事項2に伴う請求項の従属関係の整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (4)訂正事項5について ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるところ、訂正事項1は、上記アに記載したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、訂正事項5も同様に、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (5)訂正事項6について ア 訂正の目的 訂正事項6は、訂正前の請求項5の「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる制御装置」を「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置」と訂正することによって、「システムに含まれる制御装置」と「前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置」との関係を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項6は、訂正前の請求項5の「CV制御を行う第1モード」を本件明細書の段落0027等の記載に即して「CVCF制御を行う第1モード」に訂正して、誤記を訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とするものである。 また、訂正事項6は、訂正前の請求項5の「前記第2モードにおいて前記指令値を生成する指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能である」との記載を「前記第2モードにおいて前記指令値を生成する指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであり、 前記指令値生成部は、 前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」と訂正することにより、「所定値」及び「指令値生成部」を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、同第2号に規定する誤記の訂正、及び同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6によってその関係が明確化された「システムに含まれる制御装置」及び「前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置」は、本件明細書の段落0011~0014、0036、及び本件図面の図1、図6に記載された「制御装置100」に対応するものであるから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 また、訂正事項6の「前記第2モードにおいて前記指令値を生成する指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであり、 前記指令値生成部は、 前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」ことは、本件明細書の段落0048~0059、0060~0068、0069~0079、及び本件図面の図9、図12、図13に記載されているから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 よって、訂正事項6は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項6は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 前記ア及びイから明らかなように、訂正事項6は、本件明細書等に記載した事項の範囲内で、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリー、対象又は目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (6)訂正事項7について ア 訂正の目的 訂正事項7は、訂正前の請求項6の「電力変換器ををそれぞれ制御する」を「電力変換器をそれぞれ制御する」に訂正して、誤記を訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とするものである。 また、訂正事項7は、訂正前の請求項6の「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器を」「それぞれ制御する二以上の制御装置を備える制御システムであって、」「単独運転時にCVCF制御を行う第1制御装置と」「第2制御装置と」「を備え」との記載を「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置を備える制御システムであって、」「単独運転時にCVCF制御を行う第1の前記制御装置と」「第2の前記制御装置と」「を備え」と訂正することによって、制御システムが備える「二以上の制御装置」と、「単独運転時にCVCF制御を行う第1の制御装置」及び「第2の制御装置」との関係を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項7は、訂正前の請求項6の「前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定可能である」との記載を「前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定する」と訂正するとともに、訂正前の請求項6の「指令値生成部」について、「前記指令値生成部は、 前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」と訂正することにより、「所定値」及び「指令値生成部」を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、同第2号に規定する誤記の訂正、及び同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項7によってその関係が明確化された「二以上の制御装置」、「単独運転時にCVCF制御を行う第1の制御装置」及び「第2の制御装置」は、本件明細書の段落0011~0014、0036、及び本件図面の図1、図6に記載された「制御装置100」に対応するものであるから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 また、訂正事項7の「前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定する」こと、及び「前記指令値生成部は、 前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」ことは、本件明細書の段落0048~0059、0060~0068、0069~0079、及び本件図面の図9、図12、図13に記載されているから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 よって、訂正事項7は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項7は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 前記ア及びイから明らかなように、訂正事項7は、本件明細書等に記載した事項の範囲内で、誤記を訂正し、制御装置の関係を明確化し、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリー、対象又は目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (7)訂正事項8について ア 訂正の目的 訂正事項8は、訂正前の請求項7の「前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置」との記載を「前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる前記制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置」と訂正することによって、「システムに含まれる制御装置」と「二以上の制御装置」との関係を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項8は、訂正前の請求項7の「前記指令値を生成して出力する際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する」との記載を「前記指令値を生成して出力する際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定し、 前記指令値を生成するための制御要素が、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行い、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素が、出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」と訂正することにより、「所定値」及び「指令値を生成する」処理を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8によってその関係が明確化された「システムに含まれる制御装置」と「二以上の制御装置」は、本件明細書の段落0011~0014、0036、及び本件図面の図1、図6に記載された「制御装置100」に対応するものであるから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 また、訂正事項8の「前記指令値を生成して出力する際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定し、 前記指令値を生成するための制御要素が、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行い、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素が、出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」ことは、本件明細書の段落0048~0059、0060~0068、0069~0079、及び本件図面の図9、図12、図13に記載されているから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 よって、訂正事項8は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項8は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 前記ア及びイから明らかなように、訂正事項8は、本件明細書等に記載した事項の範囲内で、制御装置の関係を明確化し、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリー、対象又は目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (8)訂正事項9について ア 訂正の目的 訂正事項9は、訂正前の請求項8の「前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置」との記載を「前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる前記制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置」と訂正することによって、「システムに含まれる制御装置」と「二以上の制御装置」との関係を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項9は、訂正前の請求項8の「前記指令値を生成して出力させる際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定させる」との記載を「前記指令値を生成して出力させる際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定させ、 前記指令値を生成するための制御要素が、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行い、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素が、出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」と訂正することにより、「所定値」及び「指令値を生成する」処理を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項9によってその関係が明確化された「システムに含まれる制御装置」と「二以上の制御装置」は、本件明細書の段落0011~0014、0036、及び本件図面の図1、図6に記載された「制御装置100」に対応するものであるから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 また、訂正事項9の「前記指令値を生成して出力させる際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定させ、 前記指令値を生成するための制御要素が、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行い、 前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素が、出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」ことは、本件明細書の段落0048~0059、0060~0068、0069~0079、及び本件図面の図9、図12、図13に記載されているから、本件明細書及び本件図面に記載した事項の範囲内のものである。 よって、訂正事項9は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項9は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 前記ア及びイから明らかなように、訂正事項9は、本件明細書等に記載した事項の範囲内で、制御装置の関係を明確化し、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリー、対象又は目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (9)独立特許要件について 訂正事項3~5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるため、また、全ての請求項に対して異議申立てがなされているので、訂正事項1ないし9の全ての訂正事項について、独立特許要件は課されない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、5、6、7、8について訂正することを認める。 第5 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~8に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明8」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 なお、各請求項の記号は、説明のために当審で付したものである。また、分説記号1A…が付された構成を、以下、「構成要件1A」…という。 【請求項1】 1A:交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置であって、 1B:単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え、 1C:前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであり、 1D:前記指令値生成部は、 1D-1:前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 1D-2:前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 1E:制御装置。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 3A:前記所定値を設定する設定部を更に備える、 請求項1記載の制御装置。 【請求項4】 4A:平常運転時から前記単独運転時に切り替わる際に、外部から入力された指令値を交流電流制御部に出力する状態から、前記指令値生成部の出力を前記交流電流制御部に出力する状態に切り替わるスイッチを更に備え、 4B:前記スイッチと前記交流電流制御部との間に設けられ、前記指令値の変化率を制限する制限部を更に備える、 4C:請求項1または3記載の制御装置。 【請求項5】 5A:交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置であって、 5B:単独運転時に、CVCF制御を行う第1モードと、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成する第2モードとのいずれかを選択するモード選択部を備え、 5C:前記第2モードにおいて前記指令値を生成する指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであり、 5D:前記指令値生成部は、 5D-1:前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 5D-2:前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 5E:制御装置。 【請求項6】 6A:交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置を備える制御システムであって、 6B:単独運転時にCVCF制御を行う第1の前記制御装置と、 6C-1:前記単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え、 6C-2:前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定する第2の前記制御装置と、 を備え 6D:前記指令値生成部は、 6D-1:前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、 6D-2:前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 6E:制御システム。 【請求項7】 7A:交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有し、前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる前記制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置が、 7B:単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力し、 7C:前記指令値を生成して出力する際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定し、 7D:前記指令値を生成するための制御要素が、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行い、 7E:前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素が、出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 7F:制御方法。 【請求項8】 8A:交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有し、前記二以上の制御装置のうち一つの第1制御装置が単独運転時にCVCF制御を行うものであるシステムに含まれる前記制御装置のうち、前記第1制御装置とは異なる制御装置に、 8B:単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力させ、 8C:前記指令値を生成して出力させる際に、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定させ、 8D:前記指令値を生成するための制御要素が、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行い、 8E:前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素が、出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる、 8F:プログラム。 第6 甲号証の記載 1 甲第1号証 (1)甲第1号証の記載事項 甲第1号証(以下、「甲1」ともいう。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、参考のために当審で付与したものである。以下同様。) 「【0021】 【発明の実施の形態】本発明の実施の1形態につき、図1ないし図5を参照して説明する。図1は分散型電源設備の全体構成を示し、分散型電源としての#1,#2,…,#nの各太陽光発電装置1は、それぞれ太陽電池2,インバータ3及び蓄電池等の直流電力貯蓄媒体4を備えた並列電源装置からなる。 ・・・中略・・・ 【0023】つぎに、インバータ3は図2に示すように電力用スイッチング半導体等からなるスイッチング回路部3a,マイクロコンピュータ等からなる制御回路部3b及び計器用の変流器3c,変圧器3dを有し、変流器3cはインバータ3の交流の出力電流Im(m=1,2,…,n)を計測して電流計測出力imを制御回路部3bに供給し、変圧器3dは負荷電圧Voutに等しいそれぞれの交流の出力電圧Vmを計測し、電圧計測出力vm(=vout)を制御回路部3bに供給する。 【0024】この制御回路部3bは、計測出力im,vm及び図示省略された各種の接点信号等に基づき、スイッチング回路部3b(当審注:「スイッチング回路部3b」は、「スイッチング回路部3a」の誤記と認められる。)を運転モードにしたがって駆動する。 【0025】そして、電力系統5の系統電源6が構内負荷等の図1の負荷7に給電される系統正常時は、主に太陽電池2が電力を発生する日中に、各太陽光発電装置1のインバータ3が連系運転モードの制御により電力系統5に連系運転されて並列運転され、各太陽光発電装置1の太陽電池2の直流電力がインバータ3により交流電力に変換される負荷7に並列給電される。 ・・・中略・・・ 【0027】つぎに、災害等の発生により系統電源6が停電すると、各太陽光発電装置1はいわゆる単独運転による感電等を防止するため、電力系統5から解列される。 【0028】図1の破線は電力系統5が停電状態であることを示し、図中の×印は解列点を示す。 【0029】そして、手動操作又はシーケンス制御等の自動操作により、各太陽光発電装置1のインバータ3に自立運転モードが指令されると、各太陽光発電装置1のインバータ3はつぎに説明するように動作する。 ・・・中略・・・ 【0031】そして、#1の太陽光発電装置1のインバータ3が基準のインバータに設定されている場合、まず、#1の太陽光発電装置1のインバータ(以下#1のインバータという)3のみが電圧制御運転を開始する。 【0032】このとき、#1のインバータ3の制御回路部3bは電圧型インバータ制御のプログラムにしたがって、図3の電圧制御機能が動作する。 【0033】そして、出力電流検出手段9は電流計測出力i1に基づき、#1のインバータ3の出力電流I1が例えば定格の50~90%(実効値)の設定値Iαに上昇するまでローレベル(L)の電圧上昇指令を形成して出力する。 【0034】また、図示省略されたデジタル又はアナログの基準周波数形成手段は例えば1周期の波形データの読出しのくり返し又は発振器の自走発振により、系統電源6が60Hzのときは2π・60,50Hzのときは2π・50の基準角周波数ω0 (=2π・f,fは周波数)の信号を常時形成する。 【0035】そして、#1のインバータ3の出力電圧V1を定格電圧Vcを上限とする基準角周波数ω0 の電圧にして負荷電圧Voutを定めるため、運転基準信号作成手段10は、基準角周波数ω0 の信号に基づき、振幅|v|の正弦波形の電圧制御基準信号|v|sin(ω0 ・t)を形成し、その振幅|v|を電圧上昇指令が入力される間にソフトスタート特性で0から増大する。 【0036】さらに、減算器11により作成手段9(当審注:「作成手段9」は、「作成手段10」の誤記と認められる。)の電圧制御基準信号と,現在の負荷電圧Voutの検出出力である電圧計測出力v1 との誤差を演算し、この誤差の信号をフィードバック制御の信号処理手段12に供給する。 【0037】そして、信号処理手段12は前記誤差の信号にP(比例)-I(積分)制御等の一般的なフィードバック制御の信号処理を施して電圧制御のインバータ駆動信号を形成し、この駆動信号を制御回路部3bからスイッチング回路部3aに供給してこの回路部3aをスイッチング駆動する。 【0038】このスイッチング駆動により、#1のインバータ3は自装置の電圧制御基準信号に基づく自己同期制御により、電圧制御運転されて角周波数ω0 の交流電圧源を形成し、この交流電圧源はソフトスタート特性で電圧が定格電圧Vcを上限として0から上昇する。 【0039】一方、#1のインバータ3の出力電圧V1の上昇にしたがって負荷電圧Voutが例えば定格の3/4の所定値に上昇すると、残りの#2,…,#nの各太陽光発電装置1のインバータ(以下#2~#nのインバータという)3がそれぞれ電流制御運転を開始する。 【0040】すなわち、#2~#nのインバータ3の制御回路部3bは、自立運転モードが指令されると、それぞれの電流型インバータ制御のプログラムにしたがって、図4の電流制御機能が動作する。 【0041】そして、出力電圧検出手段13は電圧計測出力v2 ,…,vnに基づき、#1のインバータ3の出力により負荷電圧Voutが例えば定格電圧Vcの3/4の所定値Vαまで上昇すると、ローレベルの電流増加指令を形成して出力する。 【0042】また、図示省略されたデジタル又はアナログの周波数検出手段は、電圧計測出力v2 ,…,vnのデジタル波形分析,電圧計測出力v2 ,…,vnに基づくPLL同期発振等により、#1のインバータ3の出力に基づく負荷電圧Voutの角周波数ω0 をデジタル的又はアナログ的に検出する。 【0043】そして、作成手段10と同様の運転基準信号作成手段14は、#2~#nのインバータ3の出力電流I2~Inを#1のインバータ3の出力電圧V1と同相にするため、角周波数ω0 に基づき、電圧制御基準信号に同期した振幅|i|の正弦波形の電流制御信号|i|sin(ω0 ・t)を形成するとともに、例えば前記設定値Iαを上限として出力電流I2~Inを大きくするように、振幅|i|をソフトスタート特性で0から徐々に増大する。 【0044】さらに、減算器15は電流制御基準信号と,電流計測出力i2 ,…,inとの誤差を演算し、この誤差の信号を出力する。 【0045】そして、減算器15の出力端子に運転オン・オフ用のアナログスイッチ16が直列接続され、このスイッチ16は起動判定回路17の判定出力の2値変化により、例えば負荷電圧Voutが所定値Vαに上昇したときにオンする。 【0046】このアナログスイッチ16のオンにより、減算器15の誤差の信号が信号処理手段12と同様のフィードバック制御の信号処理手段18に供給され、この処理手段18は前記の誤差の信号にフィードバック制御の信号処理を施し、電流制御のインバータ駆動信号を形成する。 【0047】このインバータ駆動信号が制御回路部3bからスイッチング回路部3aに供給され、この回路部3aがスイッチング駆動される。 【0048】このスイッチング駆動により、#2~#nのインバータ3はそれぞれ#1のインバータ3の出力電圧に同期して電流制御運転され、角周波数ω0 の交流電流源を形成する。 【0049】そして、#1のインバータ3は出力電圧V1の上昇にともなって出力電流I1が所定値Iαをこえると、出力電流検出手段8の出力がハイレベル(H)の電圧下降指令に反転し、この指令により運転基準信号作成手段10が電圧制御基準信号の振幅|v|を低減し、出力電圧V1を引下げて定格電圧Vcに維持する。 【0050】また、#2~#nのインバータ3は負荷電圧Voutが定格電圧Vcに達すると、出力電圧検出手段13の出力がハイレベルの電流減少指令に反転し、この指令により運転基準信号作成手段14が電流制御基準信号の振幅|i|を低減して出力電流I2~Inを減少する。 【0051】したがって、#1のインバータ3は電圧制御運転により、出力電圧V1が定格電圧Vcにフィードバック制御され、残りの#2~#nのインバータ3は電流制御運転により、出力電流I2~Inが出力電圧V1に同相かつ設定値Iα以下になるようにフィードバック制御される。 【0052】これらのフィードバック制御により、各太陽光発電装置1は、装置間で出力電力や出力電流等の出力に関連した情報をやりとりすることなく、並列同期運転されて負荷7に給電する。 【0053】このとき、#1の太陽光発電装置1の出力電力を図1に示すP1+jQ1(P1は有効電力,Q1は無効電力)とすると、残りの#2~#nの太陽光発電装置1の出力電力は、出力電流I2~Inが出力電圧V2~Vn(=Vout)に同期して同相になるため、それぞれ同図の有効電力P2,…,Pnになる。 【0054】また、負荷電流IL (=I1 +I2 +…+In)が通流する負荷7の消費電力を図1のPL +jQL (PL は有効電力,QL は無効電力)とすると、有効電力PL は各太陽光発電装置1の有効電力P1 ,P2 ,…,Pnでまかなわれ、無効電力QL は#1の太陽光発電装置1の無効電力Q1でまかなわれる。 【0055】つぎに、負荷7が力率1の場合の各太陽光発電装置1の出力の運転開始後の具体的な変化の1例につき、図5を参照して説明する。同図において、(1)(当審注:原文は丸付きの数字。以下、同様に、丸付き数字を括弧付きの数字で表記する。),(2),…は運転開始(スタート)の時系列をt0 とした場合のt0 ~t1 ,t1 ~t2 ,…,t10~t11の時系列の各運転期間(区間)を示す。 【0056】まず、スタート直後の運転期間(1)には、#1のインバータ3のみが電圧制御運転され、その出力電圧V1(=Vout)が徐々に上昇してその出力電流I1も増加する。 【0057】そして、t1 に出力電圧V1が設定値Vαに上昇すると、#2~#nのインバータ3の電流制御運転が開始され、運転期間(2)には、#1のインバータ3の出力電圧V1がさらに上昇するとともに、#2~#nのインバータ3の出力電流I2~Inが0から徐々に増加する。」 「【図1】 [図:0001413316000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001413316000002.jpg] 」 「【図3】 [図:0001413316000003.jpg] 」 「【図4】 [図:0001413316000004.jpg] 」 「【図5】 [図:0001413316000005.jpg] 」 (2)甲1発明 上記(1)の記載(特に下線部の記載)によれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、以下において、括弧内は、上記アで摘記した事項のうち対応する事項を示す。 「それぞれ太陽電池2,インバータ3及び蓄電池等の直流電力貯蓄媒体4を備えた並列電源装置からなる分散型電源としての#1,#2,…,#nの各太陽光発電装置1を備えた分散型電源設備に含まれるインバータ3が有する、マイクロコンピュータ等からなる制御回路部3bであって、(段落0021、0023、図1、図2) インバータ3は、電力用スイッチング半導体等からなるスイッチング回路部3aを有し、(段落0023、図2) 制御回路部3bは、スイッチング回路部3aを運転モードにしたがって駆動するものであり、(段落0024、図2) 電力系統5の系統電源6が負荷7に給電される系統正常時は、各太陽光発電装置1のインバータ3が連系運転モードの制御により電力系統5に連系運転されて並列運転され、各太陽光発電装置1の太陽電池2の直流電力がインバータ3により交流電力に変換され、負荷7に並列給電され、(段落0025) 災害等の発生により系統電源6が停電すると、各太陽光発電装置1はいわゆる単独運転による感電等を防止するため、電力系統5から解列され、(段落0027) シーケンス制御等の自動操作により、各太陽光発電装置1のインバータ3に自立運転モードが指令され、(段落0029) #1の太陽光発電装置1のインバータ3が基準のインバータに設定されている場合、まず、#1の太陽光発電装置1のインバータ(以下#1のインバータという)3のみが電圧制御運転を開始し、このとき、#1のインバータ3の制御回路部3bは電圧型インバータ制御のプログラムにしたがって電圧制御機能が動作し、(段落0031、0032) 基準周波数形成手段は、発振器の自走発振により、系統電源6が60Hzのときは2π・60,50Hzのときは2π・50の基準角周波数ω0 (=2π・f,fは周波数)の信号を常時形成し、(段落0034) 運転基準信号作成手段10は、基準角周波数ω0 の信号に基づき、振幅|v|の正弦波形の電圧制御基準信号|v|sin(ω0 ・t)を形成し、その振幅|v|を電圧上昇指令が入力される間にソフトスタート特性で0から増大し、(段落0035、図3) さらに、減算器11により作成手段10の電圧制御基準信号と,現在の負荷電圧Voutの検出出力である電圧計測出力v1 との誤差を演算し、この誤差の信号をフィードバック制御の信号処理手段12に供給し、(段落0036、図3) 信号処理手段12は前記誤差の信号にP(比例)-I(積分)制御等の一般的なフィードバック制御の信号処理を施して電圧制御のインバータ駆動信号を形成し、(段落0037、図3) このスイッチング駆動により、#1のインバータ3は自装置の電圧制御基準信号に基づく自己同期制御により、電圧制御運転されて角周波数ω0 の交流電圧源を形成し、この交流電圧源はソフトスタート特性で電圧が定格電圧Vcを上限として0から上昇し、(段落0038) #1のインバータ3の出力電圧V1の上昇にしたがって負荷電圧Voutが例えば定格の3/4の所定値に上昇すると、残りの#2,…,#nの各太陽光発電装置1のインバータ(以下#2~#nのインバータという)3がそれぞれ電流制御運転を開始し、(段落0039) #2~#nのインバータ3の制御回路部3bは、自立運転モードが指令されると、それぞれの電流型インバータ制御のプログラムにしたがって、電流制御機能が動作し、(段落0040) 周波数検出手段は、#1のインバータ3の出力に基づく負荷電圧Voutの角周波数ω0 をデジタル的又はアナログ的に検出し、(段落0042) 運転基準信号作成手段14は、#2~#nのインバータ3の出力電流I2~Inを#1のインバータ3の出力電圧V1と同相にするため、角周波数ω0 に基づき、電圧制御基準信号に同期した振幅|i|の正弦波形の電流制御信号|i|sin(ω0 ・t)を形成するとともに、例えば前記設定値Iαを上限として出力電流I2~Inを大きくするように、振幅|i|をソフトスタート特性で0から徐々に増大し、(段落0043) 減算器15は電流制御基準信号と,電流計測出力i2 ,…,inとの誤差を演算し、この誤差の信号を出力し、(段落0044) そして、減算器15の出力端子に運転オン・オフ用のアナログスイッチ16が直列接続され、このスイッチ16は起動判定回路17の判定出力の2値変化により、例えば負荷電圧Voutが所定値Vαに上昇したときにオンし、(段落0045) このアナログスイッチ16のオンにより、減算器15の誤差の信号がフィードバック制御の信号処理手段18に供給され、この処理手段18は前記の誤差の信号にフィードバック制御の信号処理を施し、電流制御のインバータ駆動信号を形成し、(段落0046) このインバータ駆動信号が制御回路部3bからスイッチング回路部3aに供給され、この回路部3aがスイッチング駆動され、(段落0047) このスイッチング駆動により、#2~#nのインバータ3はそれぞれ#1のインバータ3の出力電圧に同期して電流制御運転され、角周波数ω0 の交流電流源を形成し、(段落0048) #1の太陽光発電装置1の出力電力をP1+jQ1(P1は有効電力,Q1は無効電力)とすると、残りの#2~#nの太陽光発電装置1の出力電力は、出力電流I2~Inが出力電圧V2~Vn(=Vout)に同期して同相になるため、それぞれ有効電力P2,…,Pnになり、(段落0053) 運転期間(1)の開始時点(t0(スタート))において、#1のインバータ3の出力電圧V1は0であり、また、運転期間(1)の開始時点(t0(スタート))から終了時点(t1)まで、#2~#nのインバータ3の出力電流I2~Inは0であり、(図5) スタート直後の運転期間(1)には、#1のインバータ3のみが電圧制御運転され、その出力電圧V1(=Vout)が徐々に上昇してその出力電流I1も増加し、(段落0056) そして、t1 に出力電圧V1が設定値Vαに上昇すると、#2~#nのインバータ3の電流制御運転が開始され、運転期間(2)には、#2~#nのインバータ3の出力電流I2~Inが0から徐々に増加する、(段落0057) 制御回路部3b。」 2 甲第2号証 (1)甲第2号証の記載事項 甲第2号証(以下、「甲2」ともいう。)には、以下の事項が記載されている。 「(産業上の利用分野) 本発明は直流電源を電力系統と連系して運転する交直変換装置システムに関する。」 「(従来の技術) 最近、新エネルギー技術やエネルギー貯蔵技術の開発が進められている。それらの多くは電力を直流の形で発生、あるいは貯蔵することが多いため、交流と直流の変換を行う変換装置が重要な役割を占めてきている。これらのシステムは、実用時には、一般的に、運用上の理由から多数のバンクで構成することが多く、交流連系点に母線を設け、並列に接続される。また、これらの変換装置には運転制御機能の優れている自励式が採用されることが多くなってきており、その特性を生かし、電力系統が停電した時には系統から切離し、非常用電源として、変換装置自身の持つ周波数基準、電圧基準で独立に運転すること、すなわち、連系運転から独立運転へ移行できことが要求されることが多い。(平成1年6月23日出願の特願平1-159497「電池電力貯蔵システム」) さらに、従来の実用時には、複数の変換装置システムバンクからなるシステムで、各々の変換装置システムバンクの、起動から電力系統への並入、系統故障時の電力系統からの解列、電力系統復電後の系統への再連系等が必要となるが、従来、充分な検討がなされていなかった。」 「(発明が解決しようとする課題) 以上、説明したように従来の構成には、次のような問題点がある。すなわち、電圧同期信号を母線からとった構成(第3図)を採用した場合、独立運転から再連系運転に直接移行することができない、また、電圧同期信号を受電しゃ断器の系統側からとった構成(第4図)を採用した場合、独立運転に移行したとき、安定に運転できない。 本発明の目的は、以上述べた問題点を解決し、運転の自由度が高く、かつ安定に運転できる交直変換装置システムを提供することにある。」 「〔発明の構成〕 (課題を解決するための手段) 本発明の交直変換装置システムは、交直変換装置の出力電圧の同期をとるための電圧信号の取り出しを電力系統側と母線側の両方に設け、各々の変換装置に与える同期信号を運転の条件に応じて切換える切換器を設ける。」 「(作用) 上記のような構成にすると、系統連系運転時と独立運転時にそれぞれ系統側および母線側から電圧同期信号をとることができるので変換装置を安定に運転することができる。」 「(実施例) 第1図は、直流電源1,2として二次電池1(91)、二次電池2(92)を用いた場合の実施例である。図において、(1)は電力系統、(2)は受電しゃ断器、(31)、(32)は変換装置システムバンクNo1、No2、(5)はこれらの変換装置システムバンクを並列に接続する母線、(41)、(42)は母線に変換装置システムバンクを接続する連系しゃ断器No1、No2である。また、(6)は同一母線に接続される一般負荷群を示す。(71)は系統側の電圧同期信号、(72)は母線からとった電圧同期信号、(8)は変換器に与える同期信号を切り換える切換え装置である。 このような構成において系統連系運転に入る場合は、受電しゃ断器(2)を投入して、電力系統(1)の電圧を母線(5)に印加する。変換装置システムバンクNo1(31)、及びNo2(32)は、電圧同期信号(71)、(72)に対応して、変換装置の出力電圧を同期させてから、連系しゃ断器No1(41)、No2(42)を投入して、母線(5)に、連系される。このとき、切換え装置(8)は電圧同期信号(71)、(72)のどちらを選定していも良い、こののち、制御指令により、二次電池1(91)、2(92)と、電力系統(1)、一般負荷群(6)の間で電力のやりとりを行う。 次に、この系統連系運転状態から、独立運転に移行することを考える。このため、まず第一に切換え器(8)を母線側信号(72)に切り換え、続いて、受電しゃ断器(2)を解放する。このとき、変換装置システムバンクNol(31)は、しゃ断器(2)が切れたことで、外部からの同期信号を無視し、変換装置内部の周波数基準で定出力電圧運転に移行し、バンクNo2(32)は、母線の電圧信号(72)に同期した運転を継続することにより、全体システムとして、安定に独立運転することが出来る。ただし、このとき、受電しゃ断器開放前の電力の状態を制御装置(本発明の趣旨範囲外なので図中には示さない)で把握しておき、変換装置システムバンクNo2(32)に、適切な有効電力、無効電力基準を与える。 つぎに、この独立運転の状態から電力系統に再連系することを考える。系統から切り離された独立運転の状態では、独自の周波数基準で独立運転をしている変換装置システムバンクNo1(31)が、調整可能な要素である。そこで変換装置システムバンクNo1(31)を系統側の電圧同期信号(71)に同期させ、同期が確立した後、受電しゃ断器(2)を投入する。この時、変換装置システムバンクNo2は母線の電圧信号すなわち変換装置システムバンクNo1に同期して運転を継続しているので、独立運転から、連系運転への移行にはなんら影響しない。この時も、制御装置からは各バンクに適切な有効電力、無効電力基準を与えることが必要であるが、本発明の趣旨範囲外なので詳細は省略する。 以上説明したように、この実施例では変換装置システムに与える同期用の信号を系統側と母線側の両方から取るようにし、運転状況の移行に応じて選択できるよう構成したので、起動から連系運転、連系運転から単独運転、単独運転から再連系運転までの移行が実施できることになり、運転の自由度が増すと共に安全性の高いシステムが実現できることになる。」 「(他の実施例) 本発明は二次電池、変換装置が3組以上の場合においても適用できることは言うまでもない。」 「〔発明の効果〕 以上述べたように、本発明による交直変換装置システムにおいては、変換装置システムに与える同期用の信号を系統側と母線側の両方から取るようにし、運転状況の移行に応じて選択できるように切換え器を追加するだけで、起動から連系運転、連系運転から単独運転、単独運転から再連系運転までの移行が簡単に実施できることになり、運転の自由度が増すと共に安全性が向上する。」 「第1図 [図:0001413316000006.jpg] 」 (2)甲2発明 上記(1)の記載(特に下線部の記載)によれば、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「直流電源1,2として二次電池1(91)、二次電池2(92)を用い、電力系統(1)、受電しゃ断器(2)、変換装置システムバンクNo1、No2(31)、(32)、これらの変換装置システムバンクを並列に接続する母線(5)、母線に変換装置システムバンクを接続する連系しゃ断器No1、No2(41)、(42)、同一母線に接続される一般負荷群(6)、系統側の電圧同期信号(71)、母線からとった電圧同期信号(72)、及び変換器に与える同期信号を切り換える切換え装置(8)で構成され、直流電源を電力系統と連系して運転する交直変換装置システムに含まれる制御装置であって、 電力系統(1)は、受電しゃ断器(2)を介して母線(5)と接続され、 変換装置システムバンクNo1、No2(31)、(32)は、母線(5)に並列に接続され、 INV-1が、変換装置システムバンクNo1(31)に含まれ、INV-2が変換装置システムバンクNo2(32)に含まれ、 系統連系運転に入る場合、変換装置システムバンクNo1(31)、及びNo2(32)は、電圧同期信号(71)、(72)に対応して、変換装置の出力電圧を同期させてから、連系しゃ断器No1(41)、No2(42)を投入して、母線(5)に、連系され、こののち、制御指令により、二次電池1(91)、2(92)と、電力系統(1)、一般負荷群(6)の間で電力のやりとりを行うものであり、 系統連系運転状態から、独立運転に移行する場合、まず第一に切換え器(8)を母線側信号(72)に切り換え、続いて、受電しゃ断器(2)を解放し、変換装置システムバンクNo1(31)は、しゃ断器(2)が切れたことで、外部からの同期信号を無視し、変換装置内部の周波数基準で定出力電圧運転に移行し、バンクNo2(32)は、母線の電圧信号(72)に同期した運転を継続することにより、全体システムとして、安定に独立運転することが出来、このとき、制御装置は、受電しゃ断器開放前の電力の状態を把握しておき、変換装置システムバンクNo2(32)に、適切な有効電力、無効電力基準を与える 制御装置。」 3 甲第3号証 甲第3号証(以下、「甲3」ともいう。)には、以下の事項が記載されている。 「【0030】 例えば、出力部30は、複数の電力変換器2に同一のタイミングで電力を出力させる。より好ましくは、出力部30は、複数の電力変換器2の出力電圧の位相のゼロクロスポイントにおいて、複数の電力変換器2の出力を開始させる。なお、出力部30は、電力を出力するか否かを切り替える遮断器又はスイッチを有してよい。」 「【0046】 同期部40は、複数の電力変換器2の出力電圧の位相を同期させる。本例の同期部40は、複数のスレーブ電力変換部20の出力電圧Vo'の位相を、マスタ電力変換部10の出力電圧Voの位相である目標位相Pdに同期させる。同期部40は、マスタ電力変換部10および複数のスレーブ電力変換部20の位相を同期させることにより、ゼロクロスポイントからの立ち上がりのタイミングを揃える。 【0047】 出力部30は、電力変換装置1が出力した電力を制御装置100の外部に出力するか否かを切り替える。例えば、出力部30は、同期部40により、マスタ電力変換部10と複数のスレーブ電力変換部20との出力電圧との電圧および位相が同期した後に、出力部30は、電力変換装置1の出力した電力を制御装置100の外部に出力する。この場合、出力部30は、複数のスレーブ電力変換部20のそれぞれの電力を同一のタイミングで外部へ出力させてよい。また、出力部30は、複数のスレーブ電力変換部20の各位相が目標位相Pdに同期された後に、マスタ電力変換部10に電力を外部へ出力させてもよい。」 4 甲第4号証 甲第4号証(以下、「甲4」ともいう。)には、以下の事項が記載されている。 「【0011】 電力変換システム10は、コントローラ1、n個の直流電源2、交流電力系統3、及びn台のインバータINV1~INVnを備えている。ここで、‘n’は、2以上の整数である。 【0012】 インバータINV1~INVnの直流側には、それぞれ直流電源2が接続されている。全てのインバータINV1~INVnの交流側は、交流電力系統3に接続されている。インバータINV1~INVnは、直流電源2から供給される直流電力を交流電力に変換して、交流電力系統3に供給する。インバータINV1~INVnは、コントローラ1から出力される制御指令値C1~Cnに従って、制御される。その他に、インバータINV1~INVnには、それぞれ制御部(図示せず)が設けられている。インバータINV1~INVnは、それぞれに設けられた制御部により、コントローラ1からの指令以外に必要な制御がされる。例えば、制御部は、監視、計測、保護、コントローラ1とのデータの送受信、又はコントローラ1による制御の仲介などを行う。なお、制御部で実行される機能の一部は、コントローラ1で実行するようにしてもよい。」 「【0015】 コントローラ1は、全てのインバータINV1~INVnを統括するような制御をする。コントローラ1は、各インバータINV1~INVnを制御するための制御指令値C1~Cnを生成する。コントローラ1は、各インバータINV1~INVnに一定の時間間隔で制御指令値C1~Cnを出力して、各インバータINV1~INVnの出力電力PQ1~PQnを制御する。これにより、交流電力系統3に供給する電力PQtが制御される。 【0016】 制御指令値C1~Cnには、有効電力及び無効電力のそれぞれに対する設定値が含まれている。ここで、設定値とは、インバータINV1~INVnに予め設定されている出力電力値を決定する値である。従って、コントローラ1が決定する設定値は、各インバータINV1~INVnの出力電力PQ1~PQnに対する電力指令値に相当する。これらの設定値は、上位制御系から入力される交流電力系統3が要求する要求電力値をn台のインバータINV1~INVnで分担するように決定される。なお、要求電力値は、予めコントローラ1に設定されていてもよい。」 「【0018】 また、コントローラ1は、インバータINV1~INVnの出力電力PQ1~PQnを変化させる場合、電力の変化率を演算する。コントローラ1は、演算した電力の変化率が予め設定された出力変化率の許容範囲内になるように設定値を決定する。例えば、インバータINV1~INVnの出力電力PQ1~PQnを急激に変化させる場合としては、直流電源2がPVセルであり、PVセルに急激に日射するようになった場合などが考えられる。」 「【0027】 また、コントローラ1は、インバータINV1~INVnの総和の出力電力PQtを制御周期Ttxで予め設定された電力変化率の許容範囲内で徐々に出力電力PQtを変化させることで、目標となる出力電力PQtに早く到達させることができる。これにより、電力変換システム10は、大幅に出力電力PQtを変化させる場合でも、急激な電力変動をさせることなく、交流電力系統3に安定した電力供給をすることができる。」 5 甲第5号証 甲第5号証(以下、「甲5」ともいう。)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、複数の電力源を並列接続した電力供給システム、及び電力変換装置に関する。」 「【0006】 複数のパワーコンディショナが並列接続されている分散型のシステムでは、自立運転時に複数のパワーコンディショナから出力される交流の周波数および位相を同期させる必要がある。そのためには1台のパワーコンディショナ(マスタ機)から出力される交流の波形を他のパワーコンディショナ(スレーブ機)が監視し、他のパワーコンディショナ(スレーブ機)がその周波数および位相に同期した交流を出力すればよい。 【0007】 本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の電力変換装置が並列接続されている電力供給システムにおいて、自立運転時のマスタ機を決定する技術を提供することにある。」 「【0012】 図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電システム1の構成を示す図である。太陽光発電システム1は、並列接続される複数の太陽電池モジュール20及び複数のパワーコンディショナ10を備える。複数のパワーコンディショナ10は、複数の太陽電池モジュール20から出力される直流電力をそれぞれ交流電力に変換する。以下、本実施の形態では3並列の例を説明するが並列数は任意である。 【0013】 本実施の形態に係る太陽光発電システム1は系統電源2と連系する。系統電源2が接続される第1ノードN1と、複数のパワーコンディショナ10a-10cの交流出力経路L1a-L1cのそれぞれとの間に複数の系統スイッチS1a-S1cが挿入される。複数の系統スイッチS1a-S1cがオン状態では太陽光発電システム1と系統電源2が連系し、オフ状態では両者が遮断される。図1では系統スイッチS1a-S1cにはB接点リレーを用いている。なお図示しないが、第1ノードN1と系統電源2の間にはトランスが接続され、その後段に一般負荷が接続される。 【0014】 本実施の形態に係る太陽光発電システム1は、系統電源2の停電時、系統電源2から独立して太陽光発電システム1単体で交流を出力する自立運転モードを備える。系統電源2から独立した交流を出力する自立出力端子3に接続される第2ノードN2と、複数のパワーコンディショナ10a-10cの交流出力経路L1a-L1cのそれぞれとの間に複数の自立出力スイッチS2a-S2cが挿入される。複数の自立出力スイッチS2は、複数の系統スイッチS1a-S1cと並列に接続される。複数の自立出力スイッチS2a-S2cがオン状態では自立出力端子3から交流が出力され、オフ状態では出力されない。図1では自立出力スイッチS2a-S2cにはA接点リレーを用いている。」 「【0016】 パワーコンディショナ10は、DC-ACコンバータ11、制御回路12、系統駆動スイッチ13及び自立駆動スイッチ14を備える。パワーコンディショナ10と系統電源2が連系している系統連系モードでは、制御回路12は、系統電源2から供給される交流の周波数および位相に同期した交流をDC-ACコンバータ11から出力させる。 【0017】 自立運転モードではパワーコンディショナ10がマスタ機であるかスレーブ機であるかにより動作が異なる。マスタ機である場合、制御回路12は予め設定された周波数の交流をDC-ACコンバータ11から出力させる。具体的には自機に搭載されている水晶振動子から供給される波形の周波数に同期した交流をDC-ACコンバータ11から出力させる。スレーブ機である場合、制御回路12は、マスタ機から供給される交流の周波数および位相に同期した交流をDC-ACコンバータ11から出力させる。」 「【0034】 図2は、実施例1に係るマスタ機の決定手順を示すフローチャートである。第1パワーコンディショナ10aは系統電源2の停電を検知すると(S10のY)、第1系統スイッチS1aをターンオフさせるよう制御する(S11)。その後、1分経過すると(S12のY)、第1自立出力スイッチS2aをターンオンさせるよう制御する(S13)。第1パワーコンディショナ10aは自機が正常であるか否かステータスを確認し、正常であれば(S14のY)自機をマスタ機に設定し(S15)、異常があれば(S14のN)自機をスレーブ機に設定する(S16)。 【0035】 第2パワーコンディショナ10bは系統電源2の停電を検知すると(S20のY)、第2系統スイッチS1bをターンオフさせるよう制御する(S21)。その後、2分経過すると(S22のY)、第2自立出力スイッチS2bをターンオンさせるよう制御する(S23)。第2パワーコンディショナ10bは第2交流出力経路L1bを監視し、電圧が検出されるか否か判定する(S24)。電圧が検出された場合(S24のY)、自機をスレーブ機に設定する(S27)。電圧が検出されない場合(S24のN)、第2パワーコンディショナ10bは自機が正常であるか否かステータスを確認する(S25)。正常であれば(S25のY)自機をマスタ機に設定し(S26)、異常があれば(S25のN)自機をスレーブ機に設定する(S27)。 【0036】 第3パワーコンディショナ10cは系統電源2の停電を検知すると(S30のY)、第3系統スイッチS1cをターンオフさせるよう制御する(S31)。その後、3分経過すると(S32のY)、第3自立出力スイッチS2cをターンオンさせるよう制御する(S33)。第3パワーコンディショナ10cは第3交流出力経路L1cを監視し、電圧が検出されるか否か判定する(S34)。電圧が検出された場合(S34のY)、自機をスレーブ機に設定する(S37)。電圧が検出されない場合(S34のN)、第3パワーコンディショナ10cは自機が正常であるか否かステータスを確認する(S35)。正常であれば(S35のY)自機をマスタ機に設定し(S36)、異常があれば(S35のN)自機をスレーブ機に設定する(S37)。」 「【0042】 以上説明したように実施例1によれば、複数のパワーコンディショナ10a-10cが並列接続されている太陽光発電システム1において、自立運転時のマスタ機を簡単かつ確実に決定できる。実施例1では複数のパワーコンディショナ10a-10c間で、どれをマスタ機に設定するか通信し合う必要がない。アドレスが最も若いパワーコンディショナ10を常にマスタ機に設定することも考えられるが、そのパワーコンディショナ10が故障中である場合、実際にはマスタ機が存在しない状態で運転されてしまうことになる。これに対して実施例1によれば、正常に交流を出力している複数のパワーコンディショナ10a-10cの中でアドレスが最も若いパワーコンディショナ10がマスタ機に設定されるため、マスタ機が不在な状態で運転されることを防止できる。」 「【図1】 [図:0001413316000007.jpg] 」 「【図2】 [図:0001413316000008.jpg] 」 6 甲第6号証 (1)甲第6号証の記載事項 甲第6号証(以下、「甲6」ともいう。)には、以下の事項が記載されている。 「〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は系統に連系して運転される電池電電力貯蔵システムに関する。」(第1頁右下欄2~5行) 「(従来の技術) 電池電力貯蔵システムは通常、電力系統に連系し、電力需要の昼夜間の変動を平準化するために用いられる。即ち、夜間の電力需要の小さい時に系統から電力を取り込み、交直変換装置で直流に変え、電池に貯える。そして昼間の電力需要の大きい時に電池の放電した電力を系統へ供給する。又、この電池電力貯蔵システムは変換装置に自励式のものを用いることにより、電力系統が停電した場合にも、発電設備として用いることができるためこういったシステムは一般需要家サイドで電力のピーク値を減らすために用いられることが多い。 従来、自己消弧機能を持つ半導体素子(例えばGTO,GTR)が開発されるにつれて自励式変換器の適用がすすみつつあり、電力貯蔵システムにおいても主流となりつつある(電気学会雑誌103巻8号(昭和58年8月)P19~22)。」(第1頁右下欄6行~第2頁左上欄3行) 「(発明が解決しようとする課題) しかしながら、自励式変換装置を系統と切り離して運転する場合は、変換装置自身の持つ周波数基準,電圧基準で運転することになるため、例えば、電池電力貯蔵システムが2バンク以上から構威される場合、各機器が単独に運転することになると、全体としての同期がとれず、バンク間でのアンバランス等で安定に運転できず、場合によってはシステムがトリップしてしまう。又、仮に運転を続けられる場合でも負荷に供給する電力に対し各バンクの供給する電力の分相を制御できない。これに対し一般需要家におけるニーズとしては連系から単独に切換える時に動揺なしで切換わり、かつ電池の状態に応じて最適な分担で運転できることが要求される。 本発明は系統と連系して運転する自励式変換装置を用いた電池電力貯蔵システムを単独運転に移行させる時に安定に切換えることができ、又、各バンクの供給する電力の分担を制御できるシステムを得ることを目的とする。」(第2頁左上欄4行~同頁右上欄3行) 「〔発明の構成〕 (課題を解決するための手段) 本発明の電池電力貯蔵システムは、連系運転から単独運転への切換指令を受けて連系しゃ断器を開放させると同時に1つの電池電力貯蔵バンクの自励式変換装置に単独運転指令を与え他のバンクの変換装置に対して出力電力の指令値を与える制御装置を備えた構成とする。」(第2頁右上欄4~11行) 「(作 用) このような構成にすると、負荷にたいする電力供給が電力系統から貯蔵バンクへ移行するときに、複数の貯蔵バンクの位相がそろい、有効電力と無効電力の分担も適切におこなわれる。」(第2頁右上欄12~16行) 「(実施例) 本発明の第1の実施例を第1図と第2図によって説明する。実施例は、系統1に連系しゃ断器2を介して連系される電池電力貯蔵バンクNo1 3,バンクNo2 4,及び、これらのバンクと同一の母線5から電力供給される負荷群6から成るシステムにおいて、単独運転切換指令7を受け、その指令から、連系しゃ断器2の開放操作8を行なうと同時に電力貯蔵バンクNo1の自励式変換装置(INV-1)9に単独運転指令11を与え、又、単独運転への切換前に負荷群6に供給していた電力を計測系l2により計測し、その値をもとに演算13により各バンクの出力分担を決定し自励式変換装置(INV-2)10に有効電力,無効電力の指令値14を与える制御装置15から構成される。 第1図において系統1に連系して電池電力貯蔵バンクNo1,バンクNo2を運転しているとする。この時自励式変換装置(INV-1)9,(INV-2)10は負荷平準化運転のスケジュールに沿って運転されている。この運転は系統1の電圧の位相,大きさに対し、変換装置の出力電圧の位相,大きさを変えることにより有効電力,無効電力を制御している。この時に、何らかの原因(例えば系統停電など)で単独運転に移行する必要が生じた時、制御装置l5は単独運転切換指令7をうけて、連系しゃ断器2をしゃ断する。この時、しゃ断器が切れてしまうと変換装置9,10の出力制御をするための基準となる電圧がなくなってしまうため、変換装置は制御不能におちいってしまう。そこで、しゃ断器2のしゃ断と同時に制御装置15から変換装置(INV-1)9に単独運転指令11を与え、変換装置の内部基準により周波数,電圧値を決定して運転させる。このことにより変換装置(INV-2)10は単独運転をしている変換装置(INV-1)9の出力電圧に対し、出力電圧を制御することにより連系運転時と全く同様に有効電力,無効電力の制御が可能となる。この時負荷群6が必要とする電力は計測系12により測定されているので、制御装置l5はこの値を供給しつづけるのに最も適した変換装置INV-1,INV-2の出力分担を演算し、その結果からINV-2に有効電力,無効電力指令値を与える。このことにより連系運転から単独運転に安定に切換えるとともに変換装置の出力の分担を制御できることになる。 なお、上述の説明では電力貯蔵バンクが2つの場合について説明したが、多数ある場合も全く同様に制御できること及び、単独運転を行なう変換装置は多数あるバンクのうち任意の1台でよいことは言うまでもない。」(第2頁右上欄17行~第3頁左上欄5行) 「〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明により系統に連系して運用される電池電力貯蔵システムにおいて、その電池電力貯蔵システムが2バンク以上から構或される場合に、連系運転から単独運転に安定に切換えるとともに、各バンクから供給される電力の分担を制御できるシステムを得ることができる。」(第3頁左下欄19行~同頁右上欄5行) 「第1図 [図:0001413316000009.jpg] 」 「第2図 [図:0001413316000010.jpg] 」 (2)甲6発明 上記(1)の記載(特に下線部の記載)によれば、甲6には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。 「系統1に連系しゃ断器2を介して連系される電池電力貯蔵バンクNo1 3,バンクNo2 4,及び、これらのバンクと同一の母線5から電力供給される負荷群6から成るシステムと、単独運転切換指令7を受け、その指令から、連系しゃ断器2の開放操作8を行なうと同時に電力貯蔵バンクNo1の自励式変換装置(INV-1)9に単独運転指令11を与え、又、単独運転への切換前に負荷群6に供給していた電力を計測系l2により計測し、その値をもとに演算13により各バンクの出力分担を決定し自励式変換装置(INV-2)10に有効電力,無効電力の指令値14を与える制御装置15を備えた電池電力貯蔵システムに含まれる制御装置15であって、 自励式変換装置(INV-1)9と自励式変換装置(INV-2)10は、連系しゃ断器2を介して系統1に並列に接続されており、 自励式変換装置(INV-1)9と自励式変換装置(INV-2)10は、交流と直流を相互に変換可能なものであり、 しゃ断器2のしゃ断と同時に制御装置15から変換装置(INV-1)9に単独運転指令11を与え、変換装置の内部基準により周波数,電圧値を決定して運転させ、変換装置(INV-2)10は単独運転をしている変換装置(INV-1)9の出力電圧に対し、出力電圧を制御することにより連系運転時と全く同様に有効電力,無効電力の制御が可能となり、この時負荷群6が必要とする電力は計測系12により測定されているので、制御装置l5はこの値を供給しつづけるのに最も適した変換装置INV-1,INV-2の出力分担を演算し、その結果からINV-2に有効電力,無効電力指令値を与え、このことにより連系運転から単独運転に安定に切換えるとともに変換装置の出力の分担を制御できることになり、 電力貯蔵バンクが多数ある場合も全く同様に制御でき、単独運転を行なう変換装置は多数あるバンクのうち任意の1台でよい、 制御装置15。」 7 甲第7号証 甲第7号証(以下、「甲7」ともいう。)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電力貯蔵機能を内蔵した太陽光発電システムに関する。」 「【0031】図1は本発明による電力貯蔵型太陽光発電システムの実施例である。4は本発明に係るパワーコンディショナである。パワーコンディショナ4における41は昇圧チョッパ、42は双方向チョッパ、43はインバータで、他は従来例と同様である。本発明ではパワーコンディショナ4に内蔵した昇圧チョッパ41と双方向チョッパ42により太陽電池1の発電電力と蓄電池2の充放電電力をそれぞれ個別に制御する。すなわち、インバータ43は双方向電力変換を行い直流電圧を系統7との連系運転に必要な一定電圧に維持する。太陽電池1の出力電圧は昇圧チョッパ41にてこの一定電圧に昇圧されるので、昇圧チョッパ41の変圧比を調整することにより、その入力電圧すなわち太陽電池1の出力電圧を太陽電池1の最大出力電圧にあわせることができる。通常、その動作としては、太陽電池1の出力電力を定期的に監視して、太陽電池1の出力電力が常に最大となるように昇圧チョッパ41の入力電圧を調整する最大電力追従制御を行うことが多い。」 「【図1】 [図:0001413316000011.jpg] 」 8 甲第8号証 甲第8号証(以下、「甲8」ともいう。)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池及び蓄電池を直流電源として備え、連系運転,自立運転の機能を有する太陽光発電装置に関し、詳しくはその蓄電池の充電に関する。」 「【0018】 【発明の実施の形態】本発明の実施の1形態につき、図1~図5を参照して説明する。図1は回路構成を示し、分散設置した複数のACアレイ部1a,1b,…,1nは、直流電源として太陽電池2及び蓄電池3を備え、太陽電池2の直流出力を逆流防止ダイオード4を介して双方向インバータからなる静止型の電力変換装置5に供給し、蓄電池3の直流出力を充放電路切換回路6の逆流防止ダイオード6aを介して電力変換装置5に供給する。」 「【0029】そして、この連系運転指令に基づき、電力変換装置5を系統電源14に同期して連系運転し、太陽電池2,蓄電池3の直流出力を、電力変換装置5の電流制御の逆変換により、系統電源14に同期した交流電力に変換し、この交流電力を電力系統14の負荷に供給して分散型電源を形成する。」 「【0037】そして、電力変換装置5の順変換により、系統電源14から充電用の直流電力を形成し、この直流電力をスイッチ6bを介して蓄電池3に供給し、この蓄電池3を充電する。」 「【図1】 [図:0001413316000012.jpg] 」 9 甲第9号証 甲第9号証(以下、「甲9」ともいう。)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、蓄電池を備えた太陽光発電システムに関し、電力需要の変動曲線に応じて出力を制御して電力需要時のピークに応じた最適な電力出力を行う蓄電池を備えた太陽光発電システムに関する。」 「【0028】図1に示すように、住宅10の屋根上に太陽電池装置1が設置される。この太陽電池装置1は、たとえば、公称の発電設備容量が3kWのものであり、結晶系シリコン太陽電池、非晶質シリコン太陽電池などの太陽電池モジュールを所定の個数を並列、または直列に接続して構成される。この太陽電池装置1から発電された直流電力が図示しない直流側開閉器を介して電流制御部4に与えられる。この電流制御部4は、後述するように、制御回路3の制御に基づき、太陽電池装置1からの直流電力を蓄電池部2へ与えるか、インバータ装置5へ与えるか切り替え制御を行う。この実施の形態としては、インバータ装置5として、双方向インバータ装置を用いている。 【0029】太陽電池装置1からの直流電力を蓄電池部2へ与えると、蓄電池部2内に内蔵した蓄電池が充電される。太陽電池装置1からの直流電力がインバータ装置5に与えられると、このインバータ装置5にて直流電力が交流に変換され、交流電力が分電盤6を介して住宅のコンセント等の電気系統に与えられ、家庭内負荷7に電力が与えられる。 【0030】また、家庭内の電気系統には、分電盤6を介して商用の電力系統8からも電力が供給されるように構成されており、夜間など太陽電池装置1から供給される電力が不足した場合には、電力系統8からの電力が利用できるように構成されている。 【0031】前記したインバータ装置5は、電力系統8から与えられた交流電力を直流電力に変換する機能も有しており、電力系統8からの電力を電流制御部4を介して蓄電池部2に与え、蓄電池部2の蓄電池を充電できるように構成されている。」 「【図1】 [図:0001413316000013.jpg] 」 第7 当審取消理由についての判断 1 当審取消理由1(サポート要件)について 当審取消理由1(サポート要件)の理由1-1~理由1-5は、本件訂正によりいずれも解消した。 よって、当審取消理由1の理由によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。 2 当審取消理由2(明確性)について 当審取消理由2(明確性)の理由2-1~理由2-4は、本件訂正によりいずれも解消した。 よって、当審取消理由2の理由によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。 3 当審取消理由4(進歩性)について (1)甲第1号証に基づく進歩性について ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 a 構成要件1Aについて (a)甲1発明における「電力系統5の系統電源6」は、「60Hz」または「50Hz」の交流が想定される電源であるから、当該系統電源6が接続される「電力系統5」は、構成要件1Aの「交流系統」に相当する。 (b)甲1発明の「インバータ3」は、「電力系統5の系統電源6が負荷7に給電される系統正常時は」、「連系運転モードの制御により電力系統5に連系運転されて並列運転され」るものであるから、「インバータ3」は、「電力系統5」に“並列に接続され”ているといえる。 (c)甲1発明では、「各太陽光発電装置1の太陽電池2の直流電力がインバータ3により交流電力に変換され」ていることから、甲1発明の「インバータ3」は、“直流を交流に変換可能”なものであり、当該変換は、インバータ3の「スイッチング回路部3a」によって行われるものであるから、甲1発明の「スイッチング回路部3a」は、“直流を交流に変換可能”な“電力変換器”であるといえる。 そして、甲1発明の「インバータ3」は、「#1,#2,…,#nの各太陽光発電装置1」に備えられるから、“二以上”のものであり、当該“二以上”のインバータ3が有する「スイッチング回路部3a」もまた、“二以上”のものである。 また、甲1発明の「スイッチング回路部3a」は、「電力用スイッチング半導体等からなる」ものであって、甲1発明の「インバータ3」は、「自立運転モード」が指令されると、「発振器の自走発振」により形成した「60Hz」や「50Hz」の基準角周波数ω0の信号に基づいて、角周波数ω0 の交流電圧源を形成することができるものであるから、インバータ3が有する「スイッチング回路部3a」は、“自励式”であるといえる。 そうすると、甲1発明の「#1,#2,…,#nの各太陽光発電装置1」が備える「インバータ3」が有する「スイッチング回路部3a」と構成要件1Aの「交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器」とは、“直流を交流に変換可能な二以上の自励式の電力変換器”である点で共通する。 (d)甲1発明において、「インバータ3」は、「電力用スイッチング半導体等からなるスイッチング回路部3a」と、「スイッチング回路部3aを運転モードにしたがって駆動する」「制御回路部3b」を有するものであるから、「制御回路部3b」は「スイッチング回路部3a」を“制御する制御装置”であるといえる。 そして、上記(c)によれば、甲1発明の「スイッチング回路部3a」は、“二以上”のものであるから、これを制御する「制御回路部3b」も“二以上”のものである。 したがって、甲1発明の「#1,#2,…,#nの各太陽光発電装置1」が備える「インバータ3」が有する「制御回路部3b」は、構成要件1Aの「前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置」に相当する。 (e)上記(c)及び(d)の検討を踏まえると、甲1発明の「それぞれ太陽電池2,インバータ3及び蓄電池等の直流電力貯蓄媒体4を備えた並列電源装置からなる分散型電源としての#1,#2,…,#nの各太陽光発電装置1を備えた分散型電源設備」と構成要件1Aの「二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステム」とは、“二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステム”である点で共通する。 (f)上記(a)~(e)の検討から、甲1発明の「それぞれ太陽電池2,インバータ3及び蓄電池等の直流電力貯蓄媒体4を備えた並列電源装置からなる分散型電源としての#1,#2,…,#nの各太陽光発電装置1を備えた分散型電源設備に含まれるインバータ3が有する、マイクロコンピュータ等からなる制御回路部3b」と構成要件1Aの「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置」とは、後記する点で相違するものの、“交流系統に対して並列に接続され、直流を交流に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置”である点で共通する。 b 構成要件1Bについて (a)甲1発明は、「災害等の発生により系統電源6が停電すると、各太陽光発電装置1はいわゆる単独運転による感電等を防止するため、電力系統5から解列され」るものであるところ、甲1発明の「各太陽光発電装置1」が「電力系統5から解列され」て「単独運転」となる“時”が構成要件1Bの「単独運転時」に相当する。 (b)甲1発明は、「各太陽光発電装置1」が「電力系統5から解列され」て「単独運転」となる“時”、#1の太陽光発電装置1のインバータ3のみが電圧制御運転を開始し、#1のインバータ3の出力電圧V1の上昇にしたがって負荷電圧Voutが定格の3/4の所定値に上昇すると、残りの#2,…,#nの各太陽光発電装置1のインバータ3がそれぞれ電流制御運転を開始するものであり、#2~#nのインバータ3は、それぞれ#1のインバータ3の出力電圧に同期して電流制御運転され、その結果、#2~#nの太陽光発電装置1の出力電力はそれぞれ有効電力P2,…,Pnとなるものである。 ここで、「#2~#nの太陽光発電装置1」の「出力電力」が「有効電力P2,…,Pn」となるようにするためには、当該出力電力が「有効電力P2,…,Pn」と“ゼロの無効電力”であることを表す“指令値”を用いて動作する必要があるところ、そのような“指令値”は外部から入力されていないから、当該“指令値”は、「信号処理手段18」の内部で生成されて出力されていると認められる。 そして、甲1発明の「#2~#nの太陽光発電装置1」の「出力電力」が「有効電力P2,…,Pn」と“ゼロの無効電力”であることを表す“指令値”は、構成要件1Bの「前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値」に相当するものであるから、当該“指令値”を生成して出力する「信号処理手段18」は、構成要件1Bの「前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部」に相当する。 (c)上記(a)、(b)より、甲1発明と構成要件1Bとは、「単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え」ている点で一致する。 c 構成要件1Cについて 甲1発明は、「運転期間(1)の開始時点(t0(スタート))から終了時点(t1)まで、#2~#nのインバータ3の出力電流I2~Inは0であ」るから、“単独運転の開始時点”において、インバータ3の出力電流は、“0”であるといえ、当該出力電流を“0”に“決定する”「信号処理手段18」は、構成要件1Cの「前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する」「指令値生成部」に対応する。 してみれば、甲1発明と構成要件1Cとは、後記する点で相違するものの、“前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定するものであ”る点で共通する。 d 構成要件1Eについて 上記aの検討から、甲1発明の「制御回路部3b」は、構成要件1Eの「制御装置」に対応する。 e 上記a~dの検討から、本件発明1と甲1発明との一致点、及び、相違点は、次のとおりである。 [一致点] 交流系統に対して並列に接続され、直流を交流に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置であって、 単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え、 前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する、 制御装置。 [相違点] [相違点1-1] 本件発明1は、電力変換器が、「交流と直流を相互に変換可能な」ものであるのに対して、甲1発明の「スイッチング回路部3a」は、「直流を交流に変換可能な」ものではあるものの、「交流と直流を相互に変換可能な」ものであることは特定されていない点。 [相違点1-2] 指令値生成部が決定する「所定値」が、本件発明1では、「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」であるのに対して、甲1発明では、“出力電流0”という値である点。 [相違点1-3] 本件発明1の「指令値生成部」は、「前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」ものであるのに対して、甲1発明の「信号処理手段18」は、そのような処理を行うものとしては特定されていない点。 (イ)判断 a 事案に鑑み、相違点1-2及び相違点1-3についてまとめて検討する。 本件発明1の「指令値生成部」は、「単独運転時」に、電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力するものであり、かつ、「前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力」を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであって、当該「指令値生成部」は、「前記単独運転時とは異なる平常運転時」において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させるものである。 そして、本件発明1は、このような構成をとることによって、平常運転から単独運転に切り替わった時点(単独運転開始時点)で、「平常運転時」(前回のサンプリング時)に更新しておいた「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値」又は「スレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」をすぐに利用することができるようになるという作用効果を奏するものである。 これに対して、甲1発明の「信号処理手段18」は、「誤差の信号にフィードバック制御の信号処理を施し、電流制御のインバータ駆動信号を形成し」、「このインバータ駆動信号が制御回路部3bからスイッチング回路部3aに供給され、この回路部3aがスイッチング駆動され」、「このスイッチング駆動により、#2~#nのインバータ3はそれぞれ#1のインバータ3の出力電圧に同期して電流制御運転され、角周波数ω0 の交流電流源を形成」するものではあるものの、この動作は、「単独運転時」における動作であって、「系統正常時」(本件発明1における「単独運転時とは異なる平常運転時」)における動作ではない。 そして、甲1発明には、「単独運転時とは異なる系統正常時」における「信号処理手段18」の動作については何も記載されておらず、また、甲第1号証には、「単独運転時とは異なる系統正常時」に、「単独運転時」に指令値を生成して出力する指令値生成部に含まれる制御要素の出力値を「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」に置換して次回の処理に反映させること(以下、「相違点1-2及び相違点1-3に係る構成」ともいう。)について、記載も示唆もされていない。 また、「相違点1-2及び相違点1-3に係る構成」については、甲第2号証~甲第9号証のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、そのような構成とすることが、本件特許の出願前における周知技術であったともいえない。 したがって、「相違点1-2及び相違点1-3に係る構成」は、当業者が、甲1発明及び甲第2号証~甲第9号証に記載された発明に基づいて、容易に想到することができたものとはいえない。 よって、相違点1-1について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が、甲1発明及び甲第2号証~甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 イ 本件発明3~4について 本件発明3~4は、本件発明1の構成をすべて含む発明であるから、本件発明1と同様に、当業者が、甲1発明及び甲第2号証~甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 ウ 本件発明5~8について 本件発明5~8は、本件訂正により、上記「相違点1-2及び相違点1-3に係る構成」を有するものとなっているから、本件発明5~8と甲1発明とは、少なくとも、上記相違点1-2及び相違点1-3の点で相違する。 そして、上記ア(イ)で判断したように、「相違点1-2及び相違点1-3に係る構成」は、当業者が、甲1発明及び甲第2号証~甲第9号証に記載された発明に基づいて、容易に想到することができたものとはいえない。 したがって、「相違点1-2及び相違点1-3に係る構成」を有する本件発明5~8も、本件発明1と同様に、当業者が、甲1発明及び甲第2号証~甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 (2)甲第2号証に基づく進歩性について ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 a 構成要件1Aについて (a)甲2発明の「電力系統(1)」は構成要件1Aの「交流系統」に相当する。 そして、甲2発明の「電力系統(1)」は、受電しゃ断器(2)を介して母線(5)と接続され、「変換装置システムバンク」は、母線(5)に並列に接続されているから、「変換装置システムバンク」に含まれるINV-1、INV-2は、「電力系統(1)」に対して“並列に接続され”ているといえる。 甲2発明の「変換装置システムバンクNo1(31)、及びNo2(32)」は、「制御指令により、二次電池1(91)、2(92)と、電力系統(1)、一般負荷群(6)の間で電力のやりとりを行うものであ」るから、「変換装置システムバンク」に含まれる「INV-1、INV-2」は、構成要件1Aの「電力変換器」に相当するものであり、「交流と直流を相互に変換可能な二以上の電力変換器」であるといえる。 そうすると、甲2発明の「INV-1、INV-2」と構成要件1Aの「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器」とは、“交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の電力変換器”である点で共通する。 (b)甲2発明の「変換装置システムバンクNo1(31)、及びNo2(32)」は、「電圧同期信号(71)、(72)」に対応して変換装置の出力電圧を同期させ、また、「制御指令」により、二次電池1(91)、2(92)と、電力系統(1)、一般負荷群(6)の間で電力のやりとりを行うものであるから、「変換装置システムバンクNo1(31)、及びNo2(32)」が、「電圧同期信号(71)、(72)」や「制御指令」を受けて「INV-1、INV-2」をそれぞれ制御するための“制御装置”を有していることは明らかである。 (c)上記(a)、(b)の検討から、甲2発明の「交直変換装置システム」は、「INV-1、INV-2」(二以上の電力変換器)と、「INV-1、INV-2」をそれぞれ制御するための“二以上の制御装置”を有している点で、構成要件1Aの「システム」に対応する。 (d)甲2発明の「交直変換装置システム」は、「受電しゃ断器開放前の電力の状態を把握しておき、変換装置システムバンクNo2(32)に、適切な有効電力、無効電力基準を与える」「制御装置」を含むものである。 (e)上記(a)~(d)の検討から、甲2発明の「制御装置」と構成要件1Aの「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置」とは、後記する点で相違するものの、“交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置”である点で共通する。 b 構成要件1Bについて 甲2発明の「交直変換装置システム」は、「系統連系運転状態から、独立運転に移行する」ものであるところ、甲2発明の「交直変換装置システム」が「独立運転」をする“時”は構成要件1Bの「単独運転時」に相当する。 そして、甲2発明の「制御装置」は、「受電しゃ断器開放前の電力の状態を把握しておき、変換装置システムバンクNo2(32)に、適切な有効電力、無効電力基準を与える」ものであり、変換装置システムバンクNo2(32)のINV-2は、与えられた「適切な有効電力、無効電力基準」によって“適切な有効電力と無効電力を出力する”ことができるものと認められるから、甲2発明において、制御装置が変換装置システムバンクNo2(32)に与える「適切な有効電力、無効電力基準」は、構成要件1Bの「前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値」に相当するといえる。 そうすると、甲2発明の「制御装置」は、「単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する」「機能」を備えている点で、本件発明1の「制御装置」と共通しており、当該「機能」を「指令値生成部」と呼ぶことは任意である。 してみれば、甲2発明の「制御装置」と本件発明1の「制御装置」とは、“単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え”ている点で一致する。 c 構成要件1Cについて 甲2発明では、「系統連系運転状態から、独立運転に移行する場合」、「制御装置は、受電しゃ断器開放前の電力の状態を把握しておき、変換装置システムバンクNo2(32)に、適切な有効電力、無効電力基準を与える」ものであるところ、「制御装置」は、「系統連系運転状態から、独立運転に移行する」“時”に、「受電しゃ断器開放前の電力の状態」に応じた「適切な有効電力、無効電力基準」を与えるものと認められる。 ここで、甲2発明の「系統連系運転状態から、独立運転に移行する」“時”は、構成要件1Cの「単独運転の開始時点」に相当する。 そして、甲2発明の「制御装置」が変換装置システムバンクNo2(32)に与える「適切な有効電力、無効電力基準」は、「系統連系運転状態から、独立運転に移行する」“時”に変換装置システムバンクNo2(32)のINV-2の出力の値を「受電しゃ断器開放前の電力の状態」に対応した“所定値”とするためのものである。 そうすると、上記bの検討を踏まえれば、甲2発明の「制御装置」(が備える“指令値生成部”)と構成要件1Cの「指令値生成部」とは、“前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する”点で共通する。 d 構成要件1Eについて 上記a~cの検討を踏まえれば、甲2発明の「制御装置」は、構成要件1Eの「制御装置」に対応する。 e 上記a~dの検討から、本件発明1と甲2発明との一致点、及び、相違点は、次のとおりである。 [一致点] 交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置であって、 単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え、 前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する、 制御装置。 [相違点] [相違点1-1’] 本件発明1の「電力変換器」は、「自励式」のものであるのに対して、甲2発明の「INV-1、INV-2」は自励式のものであるとの特定はされていない点。 [相違点1-2’] 指令値生成部が決定する「所定値」が、本件発明1では、「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」であるのに対して、甲2発明では、“受電しゃ断器開放前の電力の状態に対応した所定値”である点。 [相違点1-3’] 本件発明1の「指令値生成部」は、「前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」ものであるのに対して、甲2発明の「制御装置」は、そのような処理を行うことは特定されていない点。 (イ)判断 a 事案に鑑み、相違点1-2’及び相違点1-3’についてまとめて検討する。 本件発明1の「指令値生成部」は、「単独運転時」に、電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力するものであり、かつ、「前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力」を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであって、当該「指令値生成部」は、「前記単独運転時とは異なる平常運転時」において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させるものである。 そして、本件発明1は、このような構成をとることによって、平常運転から単独運転に切り替わった時点(単独運転開始時点)で、「平常運転時」(前回のサンプリング時)に更新しておいた「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値」又は「スレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」をすぐに利用することができるようになるという作用効果を奏するものである。 これに対して、甲2発明の「制御装置」は、「系統連系運転状態から、独立運転に移行する場合、まず第一に切換え器(8)を母線側信号(72)に切り換え、続いて、受電しゃ断器(2)を解放し、変換装置システムバンクNo1(31)は、しゃ断器(2)が切れたことで、外部からの同期信号を無視し、変換装置内部の周波数基準で定出力電圧運転に移行し、バンクNo2(32)は、母線の電圧信号(72)に同期した運転を継続することにより、全体システムとして、安定に独立運転することが出来、このとき、制御装置は、受電しゃ断器開放前の電力の状態を把握しておき、変換装置システムバンクNo2(32)に、適切な有効電力、無効電力基準を与える」ものではあるものの、系統連系運転に入る場合(単独運転時とは異なる系統正常時)においては、「変換装置システムバンクNo1(31)、及びNo2(32)は、電圧同期信号(71)、(72)に対応して、変換装置の出力電圧を同期させてから、連系しゃ断器No1(41)、No2(42)を投入して、母線(5)に、連系され、こののち、制御指令により、二次電池1(91)、2(92)と、電力系統(1)、一般負荷群(6)の間で電力のやりとりを行う」だけであり、本件発明1のように、「単独運転時」に指令値を生成して出力する指令値生成部に含まれる制御要素の出力値を「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」に置換して次回の処理に反映させること(以下、「相違点1-2’及び相違点1-3’に係る構成」ともいう。)については、記載も示唆もされていない。 また、「相違点1-2’及び相違点1-3’に係る構成」は、甲第1号証及び甲第3号証~甲第9号証のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、そのような構成とすることが、本件特許の出願前における周知技術であったともいえない。 したがって、「相違点1-2’及び相違点1-3’に係る構成」は、当業者が、甲2発明及び甲第1号証、甲第3号証~甲第9号証に記載された発明に基づいて、容易に想到することができたものとはいえない。 よって、相違点1-1’について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が、甲2発明及び甲第1号証、甲第3号証~甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 イ 本件発明3~4について 本件発明3~4は、本件発明1の構成をすべて含む発明であるから、本件発明1と同様に、当業者が、甲2発明及び甲第1号証、甲第3号証~甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 ウ 本件発明5~8について 本件発明5~8は、本件訂正により、上記「相違点1-2’及び相違点1-3’に係る構成」を有するものとなっているから、本件発明5~8と甲1発明とは、少なくとも、上記相違点1-2’及び相違点1-3’の点で相違する。 そして、上記ア(イ)で判断したように、「相違点1-2’及び相違点1-3’に係る構成」は、当業者が、甲2発明及び甲第1号証、甲第3号証~甲第9号証に記載された発明に基づいて、容易に想到することができたものとはいえない。 したがって、「相違点1-2’及び相違点1-3’に係る構成」を有する本件発明5~8も、本件発明1と同様に、当業者が、甲2発明及び甲第1号証、甲第3号証~甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 (3)甲第6号証に基づく進歩性について ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲6発明とを対比する。 a 構成要件1Aについて (a)甲6発明の「系統1」は構成要件1Aの「交流系統」に相当する。 そして、甲6発明の「自励式変換装置(INV-1)9」と「自励式変換装置(INV-2)10」は、「交流と直流を相互に変換可能」なものであるから、構成要件1Aの「二以上の自励式の電力変換器」に相当するといえる。 また、「自励式変換装置(INV-1)9」と「自励式変換装置(INV-2)10」は、連系しゃ断器2を介して系統1に並列に接続されているものである。 そうすると、甲6発明の「系統1に並列に接続され」、「交流と直流を相互に変換可能」な「自励式変換装置(INV-1)9」と「自励式変換装置(INV-2)10」は、構成要件1Aの「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器」に相当する。 (b)甲6発明の「変換装置(INV-1)9」は、しゃ断器2のしゃ断と同時に「制御装置15」から「単独運転指令11」が与えられ、変換装置の内部基準により周波数,電圧値を決定して運転を実行するものであるから、「変換装置(INV-1)9」が「単独運転指令11」を受けて、「変換装置の内部基準により周波数,電圧値を決定して運転をする」ための“制御装置”を有していることは明らかである。 また、甲6発明の「変換装置(INV-2)10」は、単独運転をしている変換装置(INV-1)9の出力電圧に対し、出力電圧を制御することにより連系運転時と全く同様に有効電力,無効電力の制御が可能となるものであり、また、「制御装置l5」は、変換装置INV-1,INV-2の出力分担を演算し、その結果からINV-2に有効電力,無効電力指令値を与えるものであるから、「変換装置(INV-2)10」が、「変換装置(INV-1)9の出力電圧に対し、出力電圧を制御する」ため、あるいは、「制御装置l5」からの「有効電力,無効電力指令値」を受けて「有効電力,無効電力の制御」を行うための“制御装置”を有していることは明らかである。 (c)上記(a)、(b)の検討から、甲6発明の「電池電力貯蔵システム」は、「自励式変換装置(INV-1)9と自励式変換装置(INV-2)10」(二以上の電力変換器)と、「自励式変換装置(INV-1)9と自励式変換装置(INV-2)10」をそれぞれ制御するための“二以上の制御装置”を有している点で、構成要件1Aの「システム」に対応する。 (d)甲6発明の「電池電力貯蔵システム」は、「単独運転切換指令7を受け、その指令から、連系しゃ断器2の開放操作8を行なうと同時に電力貯蔵バンクNo1の自励式変換装置(INV-1)9に単独運転指令11を与え、又、単独運転への切換前に負荷群6に供給していた電力を計測系l2により計測し、その値をもとに演算13により各バンクの出力分担を決定し自励式変換装置(INV-2)10に有効電力,無効電力の指令値14を与える制御装置15」を含むものである。 (e)上記(a)~(d)の検討から、甲6発明の「制御装置15」は、構成要件1Aの「交流系統に対して並列に接続され、交流と直流を相互に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置」に相当する。 b 構成要件1Bについて 甲6発明の「単独運転」は構成要件1Bの「単独運転」に相当し、甲6発明の「電池電力貯蔵システム」は、「単独運転切換指令7を受け」ると、その指令に基づいて「単独運転」を実行するものであるから、甲6発明の「電池電力貯蔵システム」が「単独運転」を実行する“時”は、構成要件1Bの「単独運転時」に相当する。 そして、甲6発明の「制御装置15」は、「単独運転切換指令7を受け、その指令から、連系しゃ断器2の開放操作8を行なうと同時に電力貯蔵バンクNo1の自励式変換装置(INV-1)9に単独運転指令11を与え、又、単独運転への切換前に負荷群6に供給していた電力を計測系l2により計測し、その値をもとに演算13により各バンクの出力分担を決定し自励式変換装置(INV-2)10に有効電力,無効電力の指令値14を与える」ものであるところ、「制御装置15」が「各バンクの出力分担を決定し」、「自励式変換装置(INV-2)10」に与える「有効電力,無効電力の指令値14」は、構成要件1Bの「単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値」に相当するといえる。 そうすると、甲6発明の「制御装置15」は、「単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する」「機能」を備えている点で、本件発明1の「制御装置」と共通しており、当該「機能」を「指令値生成部」と呼ぶことは任意である。 してみれば、甲6発明の「制御装置15」と本件発明1の「制御装置」とは、“単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え”ている点で一致する。 c 構成要件1Cについて 甲6発明の「制御装置15」は、「単独運転切換指令7を受け、その指令から、連系しゃ断器2の開放操作8を行なうと同時に電力貯蔵バンクNo1の自励式変換装置(INV-1)9に単独運転指令11を与え、又、単独運転への切換前に負荷群6に供給していた電力を計測系l2により計測し、その値をもとに演算13により各バンクの出力分担を決定し自励式変換装置(INV-2)10に有効電力,無効電力の指令値14を与える」ものであるところ、「制御装置15」は、「単独運転切換指令7を受け」た“時”に、「単独運転への切換前に負荷群6に供給していた電力を計測系l2により計測し、その値をもとに演算13により各バンクの出力分担を決定し」、自励式変換装置(INV-2)10に「有効電力,無効電力の指令値14」を与えるものと認められる。 ここで、甲6発明の「単独運転切換指令7を受け」た“時”は、構成要件1Cの「単独運転の開始時点」に相当する。 そして、甲6発明の「制御装置15」が自励式変換装置(INV-2)10に与える「有効電力,無効電力の指令値14」は、「単独運転切換指令7を受け」た“時”に自励式変換装置(INV-2)10の出力の値を「単独運転への切換前に負荷群6に供給していた電力」「の値をもとに演算13により」「決定」された「各バンクの出力分担」に対応した“所定値”とするためのものである。 そうすると、上記bの検討を踏まえれば、甲6発明の「制御装置15」(が備える“指令値生成部”)と構成要件1Cの「指令値生成部」とは、“記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する”点で共通する。 d 構成要件1Eについて 上記a~cの検討を踏まえれば、甲6発明の「制御装置15」は、構成要件1Eの「制御装置」に対応する。 e 上記a~dの検討から、本件発明1と甲6発明との一致点、及び、相違点は、次のとおりである。 [一致点] 交流系統に対して並列に接続され、直流を交流に変換可能な二以上の自励式の電力変換器と、前記二以上の電力変換器をそれぞれ制御する二以上の制御装置とを有するシステムに含まれる前記制御装置であって、 単独運転時に、前記電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力する指令値生成部を備え、 前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を所定値に決定する、 制御装置。 [相違点] [相違点1-1’’] 指令値生成部が決定する「所定値」が、本件発明1では、「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」であるのに対して、甲6発明では、“単独運転への切換前に負荷群6に供給していた電力の値をもとに演算13により決定された有効電力及び無効電力の指令値14”である点。 [相違点1-2’’] 本件発明1の「指令値生成部」は、「前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含み、前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる」ものであるのに対して、甲6発明の「制御装置15」は、そのような処理を行うことは特定されていない点。 (イ)判断 a 事案に鑑み、相違点1-1’’及び相違点1-2’’についてまとめて検討する。 本件発明1の「指令値生成部」は、「単独運転時」に、電力変換器に出力させる有効電力と無効電力とを表す指令値を生成して出力するものであり、かつ、「前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力」を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものであって、当該「指令値生成部」は、「前記単独運転時とは異なる平常運転時」において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させるものである。 そして、本件発明1は、このような構成をとることによって、平常運転から単独運転に切り替わった時点(単独運転開始時点)で、「平常運転時」(前回のサンプリング時)に更新しておいた「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値」又は「スレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」をすぐに利用することができるようになるという作用効果を奏するものである。 これに対して、甲6発明の「制御装置」は、「単独運転への切換前に負荷群6に供給していた電力を計測系l2により計測し、その値をもとに演算13により各バンクの出力分担を決定し自励式変換装置(INV-2)10に有効電力,無効電力の指令値14を与える」ものの、単独運転への切換前(単独運転時とは異なる系統正常時)には、負荷群6に供給していた電力を計測系l2により計測しているだけであり、本件発明1のように、「単独運転時」に指令値を生成して出力する指令値生成部に含まれる制御要素の出力値を「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値」に置換して次回の処理に反映させること(以下、「相違点1-1’’及び相違点1-2’’に係る構成」ともいう。)については、記載も示唆もされていない。 また、「相違点1-1’’及び相違点1-2’’に係る構成」は、甲第1号証~甲第5号証、甲第7号証~甲第9号証のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、そのような構成とすることが、本件特許の出願前における周知技術であったともいえない。 したがって、「相違点1-1’’及び相違点1-2’’に係る構成」は、当業者が、甲6発明及び甲第1号証~甲第5号証、甲第7号証~甲第9号証に記載された発明に基づいて、容易に想到することができたものとはいえない。 よって、本件発明1は、当業者が、甲6発明及び甲第1号証~甲第5号証、甲第7号証~甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 イ 本件発明3~4について 本件発明3~4は、本件発明1の構成をすべて含む発明であるから、本件発明1と同様に、当業者が、甲6発明及び甲第1号証~甲第5号証、甲第7号証~甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 ウ 本件発明5~8について 本件発明5~8は、本件訂正により、上記「相違点1-1’’及び相違点1-2’’に係る構成」を有するものとなっているから、本件発明5~8と甲6発明とは、少なくとも、上記相違点1-1’’及び相違点1-2’’の点で相違する。 そして、上記ア(イ)で判断したように、「相違点1-1’’及び相違点1-2’’に係る構成」は、当業者が、甲6発明及び甲第1号証~甲第5号証、甲第7号証~甲第9号証に記載された発明に基づいて、容易に想到することができたものとはいえない。 したがって、「相違点1-1’’及び相違点1-2’’に係る構成」を有する本件発明5~8も、本件発明1と同様に、当業者が、甲6発明及び甲第1号証~甲第5号証、甲第7号証~甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 (4)小括 上記(1)~(3)のとおりであるから、当審取消理由4(進歩性)の理由によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。 4 当審取消理由3(新規性)について (1)甲第6号証に基づく新規性について 上記3(3)ア(ア)の検討によれば、本件発明1と甲6発明とは、相違点1-1’’及び相違点1-2’’の点で相違する。 また、本件発明1を引用する本件発明3、及び本件発明1と同様の構成を有する本件発明6~7は、少なくとも、相違点1-1’’及び相違点1-2’’の点で甲6発明と相違する。 そして、上記3(3)ア(イ)の検討によれば、上記相違点1-1’’及び相違点1-2’’は、形式的な相違点ではなく実質的な相違点である。 したがって、本件発明1、3、6~7は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第6号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえない。 (2)小括 上記(1)のとおりであるから、当審取消理由3(新規性)の理由によっては、請求項1、3、6~7に係る特許を取り消すことはできない。 第8 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立理由1(特許法第29条第1項)について 異議申立人は、申立理由1において、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証の各々に記載されており、また、本件特許の請求項2、3、6~8に係る発明は、甲第1号証に記載されている旨を主張している。 しかしながら、上記「第7 3(1)ア(ア)」で検討したとおり、本件発明1、3~8と甲1発明とは、少なくとも相違点1-1~相違点1-3の点で相違しており、上記「第7 3(1)ア(イ)」の検討によれば、上記相違点1-2及び相違点1-3は、形式的な相違点ではなく実質的な相違点であるから、本件発明1、3~8は、甲第1号証に記載された発明とはいえない。 また、上記「第7 3(2)ア(ア)」で検討したとおり、本件発明1と甲2発明とは、相違点1-1’~相違点1-3’の点で相違しており、上記「第7 3(2)ア(イ)」の検討によれば、上記相違点1-2’及び相違点1-3’は、形式的な相違点ではなく実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明とはいえない。 したがって、異議申立人の主張する申立理由1によっては、本件発明1~8に係る特許を取り消すことはできない。 2 申立理由2(特許法第29条第2項)について 上記「第7 3」で検討した取消理由(進歩性)のほか、甲第1号証~甲第9号証に記載された発明をどのように組み合わせても、本件発明1の構成要件1C~1D-2、本件発明5の構成要件5C~5D-2、本件発明6の構成要件6C-2~1D-2、本件発明7の構成要件7C~7E、及び本件発明8の構成要件8C~8Eを容易に想到し得たということはできないから、異議申立人の主張する申立理由2によっては、本件発明1~8に係る特許を取り消すことはできない。 3 申立理由3(特許法第36条第6項第1号)について 異議申立人は、異議申立書の87~94ページにおいて、前記「第2 1(3)」のとおり主張している。 しかしながら、上記で主張された点は、いずれも、本件訂正により解消しているか、本件特許明細書の記載と本件出願時の技術常識から当業者に自明な事項であるものと認められる。 したがって、異議申立書で指摘された事項が本件明細書にサポートされていないとの理由で本件発明1~8に係る特許を取り消すことはできない。 4 申立理由4(特許法第36条第6項第2号)について 異議申立人は、異議申立書の94~101ページにおいて、前記「第2 1(4)」のとおり主張している。 しかしながら、上記で主張された点は、いずれも、本件訂正により解消しているか、本件明細書の記載及び技術常識を参酌すれば明確であるといえ、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとまではいえない。 したがって、異議申立書で指摘された事項が不明確であるとの理由で本件発明1~8に係る特許を取り消すことはできない。 第9 異議申立人の令和6年3月8日の意見書における主張について 1 明確性に関する主張 (1)異議申立人は、本件訂正により追加されたF1~F3の事項について、以下のとおり、不明確であると主張している。 ア 「ア 訂正請求によって新たに特定された構成要件 本件訂正請求によって、独立請求項1、5、6の各々に以下の構成要件F1、F2、F3が新たに特定された。 Fl:指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定するものである。 F2:前記指令値生成部は、前記指令値を生成するための制御要素であって、サンプリングの繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素を含む。 F3:前記指令値生成部は、前記単独運転時とは異なる平常運転時において、前記制御要素の出力値を前記所定値に置換して次回の処理に反映させる。」(意見書2ページ) イ 「イ 明確性 本件訂正請求後の独立請求項1、5~8は、構成要件Fl、FlAの「より速やかに」とは何と比較して「速やか」なのかという点、および構成要件F1、FlAの「所望の状態」とは具体的にどのような状態であるのかという点において、不明確である。 また、限定1の「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値」との記載は、「所定値」が「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる」と解されるところ、単なる値に過ぎない「所定値」が「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制すること」は不可能である。したがって、限定1の記載は不可能なことを可能と記載している点で矛盾している。 限定2についても同様である。」(意見書3~4ページ) (2)当審の判断 ア 構成要件Flの「より速やかに」に関する主張について 明細書の記載を参酌すれば、請求項で特定されるような「所定値を設定する構成」を採用しない場合に比べて、「より速やかに所望の状態にすることができる」という意味であることは明らかであって、この点が不明確であるとはいえない。 イ 構成要件F1の「所望の状態」に関する主張について 「所望の状態」は、本件発明1の「前記指令値生成部は、前記単独運転の開始時点における前記電力変換器の出力を、スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる所定値、又はスレーブモード運転として出力する電力を、より速やかに所望の状態にすることができる所定値に決定する」との記載からみて、「スレーブモード運転として出力する電力の状態」であって、制御によって実現すべき「望ましい状態」のことであることはその文言上明らかである。 したがって、「所望の状態」との記載が不明確であるということもできないから、「所望の状態」に関する異議申立人の主張は採用できない。 ウ 「所定値」に関する主張について 異議申立人は、単なる値に過ぎない「所定値」が「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制すること」は不可能である旨主張するが、本件特許は、制御要素の出力値を上記のような「所定値」に置換することで、「スレーブモード運転として出力する電力の立ち上がりが遅延するのを抑制することができる」よう構成されているのであるから、異議申立人の主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものではなく、これを採用することはできない。 2 進歩性に関する主張 (1)異議申立人は、本件訂正により追加された「F1~F3」について、以下のとおり主張している。 「ウ 進歩性 (ア)構成要件Fl、F1Aについて 訂正前の独立請求項1、5~8の「所定値」は、構成要件Fl、FlAにおいて、限定ClまたはC2によって限定されている。しかし、限定ClまたはC2によって限定されても、「所定値」が単なる値であることに変わりはない。また、限定ClおよびC2の「~できる」との記載から明らかなように、限定ClおよびC2は、独立請求項1、5~8の発明主題の構成ではなく、当該構成から奏される作用または効果に過ぎない。このように、限定ClおよびC2は、独立請求項1、5~8の発明主題を限定していないから、新規性、進歩性に寄与し得ない。 令和5年7月27日付の異議申立書において主張したように、訂正前の独立請求項1の構成要件lC、独立請求項5の構成要件5C、独立請求項6の構成要件6C、訂正前の独立請求項7の構成要件7C、および独立請求項8の構成要件8Cは、甲第1号証および甲第3号証に開示されている。限定ClおよびC2が新規性、進歩性に寄与し得ない以上、構成要件Fl、F1Aは依然として甲第1号証および甲第3号証に開示されている。 (イ)構成要件F2、F2Aについて 異議申立書において主張したように、甲第1号証の信号処理手段18は、フィードバック制御として電流制御基準信号と今回の電流計測出力i2~inとの誤差を次回の処理に反映させることを繰り返すフィードバック制御(構成要件2Fの「繰り返し」に相当)を行うから、構成要件2Fの「繰り返しの中で前回の処理結果を反映させて処理を行う制御要素」に相当する。信号処理手段18による上記下線部のフィードバック制御において、電流計測出力i2~inのサンプリングが繰り返されることは、今回の誤差を次回の処理に反映させるというフィードバック制御の一般的な処理内容から明らかである。したがって、甲第1号証は、構成要件F2、F2Aを開示している。 (ウ)構成要件F3、F3Aについて 異議申立書において主張したように、構成要件2Gは、甲第1号証に開示されている。構成要件2Gに基づく構成要件F3、F3Aの「前記所定値」は、構成要件Fl、FlAの「所定値」を指している。構成要件Fl、FlAの「所定値」は、異議申立書において主張したように、甲第2号証の変換装置INV-2によって出力される予め決まっている有効電力および無効電力の値に相当するとともに、甲第3号証のスレーブ電力変換部20の出力有効電力および出力無効電力に相当する。また、構成要件2Gの「所定値」は、異議申立書において主張したように、甲第1号証の負荷電圧Voutに対応する有効電力および無効電力の値に対応する。これらは、有効電力および無効電力の値という点で共通している。したがって、甲第1号証、甲第2号証、および甲第3号証を組み合わせることによって、構成要件2Gの「所定値」(甲第1号証の負荷電圧Voutに対応する有効電力および無効電力の値)が構成要件lCの「所定値」(甲第2号証の変換装置INV-2によって出力される予め決まっている有効電力および無効電力の値、または甲第3号証のスレーブ電力変換部20の出力有効電力および出力無効電力)を指す構成とすることは、当業者にとって容易である。当該構成は、構成要件F3、F3Aの「前記所定値」が構成要件Fl、FlAの「所定値」を指す構成に相当する。すなわち、当業者は、甲第1号証、甲第2号証、および甲第3号証を組み合わせることによって構成要件F3、F3Aを容易に想到することができる。 (エ)小括 以上のように、構成要件F1、F1Aは甲第1号証および甲第3号証によって開示され、構成要件F2、F2Aは甲第1号証に開示され、構成要件F3、F3Aは甲第1号証に開示されている。また、甲第1号証、甲第2号証、および甲第3号証を組み合わせることによって、構成要件F3、F3Aの「前記所定値」が構成要件Fl、FlAの「所定値」を指す構成を、当業者は容易に想到することができる。さらに、構成要件F1~F3、FlA~F3A以外の構成要件は、令和5年7月27日付の異議申立書において主張したように、甲第1号証~甲第19号証のいずれかに開示されているか、あるいは、当業者であれば容易に想到し得るものである。したがって、本件訂正請求後の請求項1、3~8に係る特許は、特許法第29条第2項および同法第113条第2号の規定により取り消されるべきである。」(意見書の4~6ページ) (2)しかしながら、甲第1号証~甲第3号証には、F1~F3の構成に対応する相違点1-2及び相違点1-3に係る構成について記載も示唆もされていないことは、上記「第7 3」で検討したとおりである。 加えて、異議申立人の意見書における「限定ClおよびC2が新規性、進歩性に寄与し得ない以上、構成要件Fl、F1Aは依然として甲第1号証および甲第3号証に開示されている」との主張はその前提(限定ClおよびC2が新規性、進歩性に寄与し得ない)において誤りである。 よって、異議申立人の意見書における主張は採用することができない。 3 小括 したがって、異議申立人の意見書における主張はいずれも採用することができない。 第10 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては、本件請求項1、3~8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、3~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項2に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、特許異議の申立てについて、請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700778

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