特許拒絶査定不服審判
2017-013221
電子機器
- 審判番号
- 2017-013221
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-266055外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年09月06日
- 審決日
- 2018年05月08日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-266055「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 2日出願公開、特開2015-121996〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年12月24日の出願であって、平成28年9月16日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年11月25日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、平成29年2月10日付けで拒絶理由通知(最後)がなされ、平成29年4月19日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、平成29年5月31日付けで平成29年4月19日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、平成29年9月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
表面および背面にタッチセンサを有する電子機器であって、
任意の画面を表示中に背面のタッチセンサの操作を検出すると、表示されていないオブジェクトを、表示部に表示させる制御部を備えることを特徴とする電子機器。」
第3 原査定の拒絶の理由
拒絶査定の理由である、平成29年2月10日付け拒絶理由通知(最後)の理由のうちの理由3は、次のとおりのものである。
この出願の請求項1-5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1-2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2011-36424号公報
引用文献2:特開2013-142907号公報
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、図面とともに以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。
(1) 段落【0009】-【0010】
「【0009】
図1及び図2は、実施の形態に係るゲーム装置10の外観を示す。図1に示すように、ゲーム装置10の表側、すなわち、ユーザがゲーム装置10を把持して操作するときにユーザに面する側には、指示入力ボタン21、方向キー22、Rボタン23、Lボタン24などの入力装置20と、表示装置68が備えられている。表示装置68には、ユーザの指やスタイラスペンなどによる接触を検知するためのタッチパネル69が併設されている。ゲーム装置10の内部には、ゲーム装置10の傾きを検知する傾きセンサ25が備えられている。
【0010】
図2に示すように、ゲーム装置10の裏側には、背面タッチパネル70が備えられている。ゲーム装置10の裏側にも、表側と同様に表示装置を設けてもよいが、本実施の形態では、ゲーム装置10の裏側には表示装置を設けずに、背面タッチパネル70のみを設ける。」
(2) 段落【0015】-【0016】
「【0015】
制御部40は、起動制御部41、画面管理部42、イベント制御部43、機能制御部44、及びアプリケーション45を含む。アプリケーション45は、基本画面を用いて所定の機能を提供する。機能制御部44は、副画面を用いて提供される様々な機能を制御する。起動制御部41は、起動すべき機能を決定する。画面管理部42は、アプリケーション45により提供される基本画面と、機能制御部44により提供される副画面とを管理する。イベント制御部43は、入力装置20、タッチパネル69、及び背面タッチパネル70から入力される操作入力を、適切な対象へ通知する。
【0016】
図4(a)(b)(c)は、背面タッチパネルの操作により所定の機能を起動する方法について説明するための図である。図4(a)に示すように、ユーザが、背面タッチパネル70上を、ゲーム装置10の裏側から見て左から右へ指をずらすと、図4(b)に示すように、ユーザから見ると右から左へ指をずらしたことになる。このとき、入力部30は、背面タッチパネル70において、入力位置を左から右へ移動する操作がなされたことを制御部40へ伝達する。イベント制御部43は、伝達された操作入力を、起動制御部41へ通知する。起動制御部41は、操作に対応する機能を起動するよう機能制御部44に指示し、画面管理部42は、図4(c)に示すように、起動された機能による表示画面を表示するための副画面72を、右から左へ引き出されるように表示装置68に表示させる。これにより、ユーザが指で副画面72を右から左へ引き出したように見せることができるので、直感的に分かりやすいユーザインタフェースを実現することができる。」
(3) 段落【0025】-【0031】
「【0025】
つづいて、副画面により提供される機能の例について説明する。これらの機能は、機能制御部44により実現される。
【0026】
図7(a)(b)(c)は、コピー機能について説明するための図である。……(以下略)
【0027】
図8(a)(b)(c)は、マスク機能について説明するための図である。……(以下略)
【0028】
図9は、画像フィルタ機能について説明するための図である。……(以下略)
【0029】
図10(a)(b)(c)は、消音機能について説明するための図である。……(以下略)
【0030】
図11は、操作履歴記録機能について説明するための図である。……(以下略)
【0031】
図12(a)(b)(c)は、情報表示機能について説明するための図である。図12(a)に示すように、画像表示機能を有するアプリケーションにより画像が表示されているときに、情報表示機能を有する副画面72が引き出されると、図12(b)に示すように、機能制御部44は、表示中の画像に関する情報を副画面72に表示する。図12(c)に示すように、副画面72が重なった部分の情報のみが表示されてもよい。これにより、副画面72からはみ出た領域に表示されるべき情報は不可視となるので、例えば、ユーザが情報を暗記したり記憶を確認したりするような場合に、情報を容易に可視化したり不可視化したりすることができる。また、機能制御部44は、副画面72によりコンテクストメニューを提供してもよい。」
2 引用発明
したがって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、「副画面により提供される機能」が「情報表示機能」である場合として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「ゲーム装置10の表側、すなわち、ユーザがゲーム装置10を把持して操作するときにユーザに面する側には、指示入力ボタン21、方向キー22、Rボタン23、Lボタン24などの入力装置20と、表示装置68が備えられ、表示装置68には、ユーザの指やスタイラスペンなどによる接触を検知するためのタッチパネル69が併設され、ゲーム装置10の裏側には表示装置を設けずに、背面タッチパネル70のみを設け、
制御部40は、起動制御部41、画面管理部42、イベント制御部43、機能制御部44、及びアプリケーション45を含み、
背面タッチパネルの操作により所定の機能を起動する方法について、
ユーザが、背面タッチパネル70上を、ゲーム装置10の裏側から見て左から右へ指をずらすと、ユーザから見ると右から左へ指をずらしたことになり、このとき、入力部30は、背面タッチパネル70において、入力位置を左から右へ移動する操作がなされたことを制御部40へ伝達し、イベント制御部43は、伝達された操作入力を、起動制御部41へ通知し、起動制御部41は、操作に対応する機能を起動するよう機能制御部44に指示し、画面管理部42は、起動された機能による表示画面を表示するための副画面72を、右から左へ引き出されるように表示装置68に表示させ、これにより、ユーザが指で副画面72を右から左へ引き出したように見せることができるので、直感的に分かりやすいユーザインタフェースを実現することができ、
機能制御部44により実現される、副画面により提供される機能の例として、コピー機能、マスク機能、画像フィルタ機能、操作履歴記録機能などがあり、
情報表示機能について、画像表示機能を有するアプリケーションにより画像が表示されているときに、情報表示機能を有する副画面72が引き出されると、機能制御部44は、表示中の画像に関する情報を副画面72に表示し、これにより、副画面72からはみ出た領域に表示されるべき情報は不可視となるので、例えば、ユーザが情報を暗記したり記憶を確認したりするような場合に、情報を容易に可視化したり不可視化したりすることができ、また、機能制御部44は、副画面72によりコンテクストメニューを提供してもよい、
ゲーム装置10。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1) 引用発明の「ゲーム装置」は、後述する相違点を除き、本願発明の「電子機器」に対応する。
引用発明のゲーム装置の「タッチパネル68」と「背面タッチパネル70」は、本願発明の「タッチセンサ」に相当する。
よって、「ゲーム装置10の表側、すなわち、ユーザがゲーム装置10を把持して操作するときにユーザに面する側には、指示入力ボタン21、方向キー22、Rボタン23、Lボタン24などの入力装置20と、表示装置68が備えられ、表示装置68には、ユーザの指やスタイラスペンなどによる接触を検知するためのタッチパネル69が併設され、ゲーム装置10の裏側には表示装置を設けずに、背面タッチパネル70のみを設け」る引用発明の「ゲーム装置10」は、本願発明の「表面および背面にタッチセンサを有する電子機器」に相当する。
(2) 引用発明の「起動制御部41、画面管理部42、イベント制御部43、機能制御部44、及びアプリケーション45を含」む「制御部40」は、後述する相違点を除き、本願発明の「制御部」に対応する。
引用発明の「副画面72」は、「ユーザが、背面タッチパネル70上を、ゲーム装置10の裏側から見て左から右へ指をずらすと」、「副画面72を、右から左へ引き出されるように表示装置68に表示させ、これにより、ユーザが指で副画面72を右から左へ引き出したように見せることができる」から、本願発明の「表示されていないオブジェクト」に相当する。
よって、引用発明の「制御部40」が「機能制御部44」を含み、「ユーザが、背面タッチパネル70上を、ゲーム装置10の裏側から見て左から右へ指をずらすと、ユーザから見ると右から左へ指をずらしたことになり」、「副画面により提供される機能の例」である、「情報表示機能について、画像表示機能を有するアプリケーションにより画像が表示されているときに、情報表示機能を有する副画面72が引き出されると、機能制御部44は、表示中の画像に関する情報を副画面72に表示し、これにより、副画面72からはみ出た領域に表示されるべき情報は不可視となるので、例えば、ユーザが情報を暗記したり記憶を確認したりするような場合に、情報を容易に可視化したり不可視化したりすることができ、また、機能制御部44は、副画面72によりコンテクストメニューを提供してもよい」ことは、本願発明の「制御部」が「任意の画面を表示中に背面のタッチセンサの操作を検出すると、表示されていないオブジェクトを、表示部に表示させる」ことと、「制御部」が「画面を表示中に背面のタッチセンサの操作を検出すると、表示されていないオブジェクトを、表示部に表示させる」点で共通するといえる。
したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点・相違点があるといえる。
[一致点]
「表面および背面にタッチセンサを有する電子機器であって、
画面を表示中に背面のタッチセンサの操作を検出すると、表示されていないオブジェクトを、表示部に表示させる制御部を備えることを特徴とする電子機器。」
[相違点]
本願発明の制御部は、「任意の」画面を表示中に背面のタッチセンサの操作を検出すると、表示されていないオブジェクトを、表示部に表示させるのに対して、引用発明の制御部40は、「画像表示機能を有するアプリケーション」により「画像」が表示されているときに、背面タッチパネル70の操作を検出すると、「情報表示機能を有する副画面72」を引き出されるように表示するものであって、「任意の」画面を表示中に、背面のタッチセンサの操作に応じて、表示されていないオブジェクトを表示することは、特定がなされていない点。
5.当審の判断
[相違点]について
引用発明の「画像表示機能を有するアプリケーション」により、「画像」が表示されているときに、背面タッチパネル70の操作を検出すると、「情報表示機能を有する副画面72」を引き出されるように表示する機能は、引用発明の「副画面により提供される機能」の一例であることは明らかである。
一般に、「画像」ファイルを含む、「任意のファイル」に対して、ファイルのサイズや更新日時などの情報を表示する機能は、いわゆる「プロパティ」表示機能として、文献を挙げるまでもなく、普通に行われている。
さらに、引用発明は、「副画面72によりコンテクストメニューを提供してもよ」いこと、すなわち、実行中のアプリケーションや、選択中のアイコンなどに応じて、変化するメニューを、副画面として表示するものでもある。
よって、引用発明に接した当業者であれば、引用発明の「画像表示機能を有するアプリケーション」以外の他のアプリケーションや、他の種類のファイルが表示されている場合にも、副画面による情報表示を行うように構成することによって、「任意の」画面を表示中に、背面のタッチセンサの操作に応じて、表示されていないオブジェクトを表示する、上記[相違点]に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に推考し得ることである。
さらに、本願発明の効果も、引用発明に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。
6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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