特許拒絶査定不服審判
2024-013223
制御装置、入力装置、制御方法、およびプログラム
- 審判番号
- 2024-013223
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-000340
- 請求日
- 2024年08月15日
- 審決日
- 2025年04月25日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】NECプラットフォームズ株式会社
- 【請求人代理人】浜野 絢子
- 【請求人代理人】北嶋 啓至
- 審判長/審判官
- 審判長 吉田 美彦
- 審判官 脇岡 剛
- 審判官 山崎 慎一
- 分類
- P18 .575-Z (G06F) / P18 .121-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023- 340「制御装置、入力装置、制御方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 7月18日出願公開、特開2024- 97115〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年1月5日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 6年 2月 6日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 3月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和 6年 6月18日付け:拒絶査定
令和 6年 8月15日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年8月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年8月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
タッチパネルへの入力に応じたタッチデータを受け付けるタッチパネル処理部と、
前記タッチパネルの正面にいる人を検出する人検出部と、
通常運用時において、前記タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力である異常入力が前記タッチデータから検出され、かつ前記タッチパネルの正面にいる人が検出されない場合、自装置の再起動を実行する再起動実行部と、
を備える制御装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和6年3月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
タッチパネルへの入力に応じたタッチデータを受け付けるタッチパネル処理部と、
前記タッチパネルの正面にいる人を検出する人検出部と、
通常運用時において、前記タッチパネルへの異常入力が前記タッチデータから検出され、かつ前記タッチパネルの正面にいる人が検出されない場合、自装置の再起動を実行する再起動実行部と、
を備える制御装置。」
2 補正の適否
本件補正に係る「前記タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力である異常入力」との事項は、当初明細書の段落0029に記載されたものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。
また、本件補正前の「タッチパネルへの異常入力」を本件補正後の「タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力である異常入力」とする補正(以下、「補正事項1」という。)は、タッチパネルへの異常入力の内容を限定するものであるから、上記補正事項1は、補正前の請求項1の発明特定事項を限定するものであり、本件補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明は、補正前の発明と単一性を満たすものである。(特許法第17条の2第4項)
そして、上記のとおり、補正事項1は、補正前の請求項1の発明特定事項を限定するものであり、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2019-220016号公報(令和1年12月26日公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は当審で付加したものである。以下、同様。)
(ア)「【0013】
<画像形成装置の構成>
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、制御部1を備える。制御部1は、CPUを含む。制御部1は、制御用のプログラムに基づき、画像形成装置100の各部を制御する。
【0014】
制御部1は、記憶部2に接続される。記憶部2は、ROMおよびRAMを含む。制御用のプログラムは、記憶部2に記憶される。制御部1は、記憶部2からの情報の読み出しおよび記憶部2への情報の書き込みを行う。
・・・(中略)・・・
【0020】
画像形成装置100は、ジョブの実行を指示する操作やジョブの実行条件を設定する操作など、種々の操作をユーザーから受け付ける。ユーザーから操作を受け付けるため、画像形成装置100には操作パネル6が設置される。操作パネル6のファームウェアFW(制御用のプログラム)は記憶部2に記憶される。
【0021】
操作パネル6は、タッチスクリーン61を備える。タッチスクリーン61は、制御部1に接続される。制御部1は、ファームウェアFWに基づき、タッチスクリーン61の表示動作を制御する。また、制御部1は、タッチスクリーン61に対する操作を検知する。
【0022】
タッチスクリーン61は、画面を表示し、表示中の画面(ソフトウェアボタン)に対する操作をユーザーから受け付ける。タッチスクリーン61は、表示パネル62およびタッチパネル63を含む。表示パネル62は、液晶表示パネルであってもよいし、有機EL表示パネルであってもよい。タッチパネル63は、静電容量方式のタッチパネルである。
【0023】
表示パネル62は、ユーザーから操作を受け付けるための操作画面を表示する。操作画面には、ソフトウェアボタンが配される。タッチパネル63は、表示パネル62の表面上に設置される。そして、タッチパネル63の外部に露出した表面がユーザーから操作を受け付ける操作受付面となる。表示パネル62に表示されたソフトウェアボタンに対して操作を行うとき、ユーザーはタッチパネル63の操作受付面のうちソフトウェアボタンの表示位置に対応する位置を指やタッチペンなどの被接触体でタッチする。
【0024】
制御部1は、表示パネル62による操作画面の表示中、タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されているか否かを検知する処理を行う。そして、タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを検知した場合、制御部1は、タッチパネル63の操作受付面のうちタッチされたタッチ位置を検知し、当該検知したタッチ位置に対応する位置のソフトウェアボタンがユーザーにより操作されたと判断する。
【0025】
なお、操作パネル6には、ハードウェアボタ64も設けられる。制御部1は、ハードウェアボタン64に対する操作を検知する。
【0026】
<人体検知処理>
画像形成装置100は、人体検知部7を備える。人体検知部7は、人感センサー71を含む。さらに、人体検知部7は、増幅回路72など種々の回路を含む。人感センサー71は、画像形成装置100の周囲における人の存在/非存在(人が存在するか否か)を検知するためのセンサーである。たとえば、人感センサー71として焦電型赤外線センサーが用いられる。増幅回路72は、人感センサー71の出力電圧値を増幅する回路である。
【0027】
人体検知部7は、制御部1に接続される。人体検知部7は、人感センサー71の増幅後の電圧値を制御部1に出力する。制御部1は、人体検知部7の出力(人感センサー71の増幅後の出力電圧値)に基づき、画像形成装置100の周囲における人の存在/非存在を検知する人体検知処理を行う。制御部1は、人感センサー71の増幅後の出力電圧値と予め定められた閾値とを比較することにより、画像形成装置100の周囲における人の存在/非存在を判断する。制御部1は、人感センサー71の増幅後の出力電圧値が閾値よりも大きいとき、画像形成装置100の周囲に人が存在すると判断する。
【0028】
人感センサー71は、図2に示すように、画像形成装置100の正面に設置される。そして、人感センサー71は、人感センサー71の設置位置から前方に向かって広がる扇形状の範囲を検知範囲Drとする。このような範囲が人感センサー71の検知範囲Drとされているため、画像形成装置100の周囲(たとえば、画像形成装置100の側面側)に人が存在しても、人が存在しないと制御部1が判断する場合がある。」
(イ)「【0039】
<保守処理>
・・・(中略)・・・
【0042】
サーバー201から画像形成装置100へは、更新プログラムと共に、更新予定日時が送信される。制御部1は、更新予定日時が到来すると、保守処理の開始タイミングになったと判断する。なお、サーバー201からキャリブレーション命令を受信した場合、制御部1は、キャリブレーション命令を受信したとき、保守処理の開始タイミングになったと判断する。
【0043】
制御部1は、保守処理の開始タイミングになったと判断したとき、所定条件が満たされているか否かを判断する。所定条件については、後に詳細に説明する。所定条件が満たされている場合、制御部1は、保守処理を行う。
【0044】
制御部1によるタッチパネル63のキャリブレーションでは、ベースラインの補正が行われる。ベースラインは、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていない状態(タッチパネル63が操作されていない状態)での静電容量値を示すものであり、記憶部2に記憶される。制御部1は、タッチパネル63のキャリブレーションを行うとき、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていない状態での静電容量値を検知し、当該検知した静電容量値に基づき既存のベースラインを補正する。
【0045】
ここで、制御部1がタッチパネル63のキャリブレーションを行っているときにタッチパネル63の操作受付面がタッチされると、ベースラインが誤った値に補正される。ベースラインが誤った値に補正されると、たとえば、タッチパネル63に対して操作を行っても、当該操作が検知されないという不都合が発生し得る。したがって、タッチパネル63のキャリブレーションは、画像形成装置100の周囲に人が存在しないときに行われるのが好ましい。
【0046】
そこで、制御部1は、保守処理の開始タイミングになって以降、図3に示すフローチャートに沿った処理を行う。
【0047】
以下に、図3に示すフローチャートを参照し、保守処理の開始タイミングになって以降に制御部1が行う処理の流れを説明する。図3に示すフローチャートは、保守処理の開始タイミングになったと制御部1が判断したときにスタートする。
【0048】
ステップS1において、制御部1は、人感センサー71の検知距離Ddを第1距離よりも長い第2距離に設定する。すなわち、制御部1は、増幅回路72の増幅率をデフォルト値よりも大きい値に変更する。これにより、図3に示すフローチャートのスタート時点では第1距離であった人感センサー71の検知距離Ddが第2距離に変更され、図3に示すフローチャートのスタート時点よりも人感センサー71の検知範囲Drが拡大する。
【0049】
制御部1は、人感センサー71の検知距離Ddを第2距離に設定するとき、保守処理の開始から完了までにかかる処理時間を認識する。そして、制御部1は、人が歩く一般的な速度として予め定められた歩行速度で第2距離を除算することにより得られる時間が処理時間よりも長くなるよう第2距離を設定する。
【0050】
なお、人感センサー71の検知距離Ddが第2距離に設定されるのは、保守処理の開始タイミングになったと制御部1が判断したときだけである。すなわち、制御部1は、保守処理を行わないときには人感センサー71の検知距離Ddを第1距離に設定する。
【0051】
続いて、ステップS2において、制御部1は、人感センサー71の検知距離Ddを第2距離に設定した状態で人体検知処理を行う。すなわち、制御部1は、人感センサー71の増幅後の出力電圧値に基づき、画像形成装置100の周囲(人感センサー71の拡大後の検知範囲Dr)における人の存在/非存在を検知する。
【0052】
そして、ステップS3において、制御部1は、人体検知処理の結果に基づき、画像形成装置100の周囲に人が存在するか否(人感センサー71の拡大後の検知範囲Drに人が存在するか否か)を判断する。その結果、画像形成装置100の周囲に人が存在しないと制御部1が判断した場合には、ステップS4に移行する。
【0053】
ステップS4に移行すると、制御部1は、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されているか否かを判断する。その結果、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されていないと制御部1が判断した場合には、ステップS5に移行する。
・・・(中略)・・・
【0056】
ステップS3において、画像形成装置100の周囲(人感センサー71の拡大後の検知範囲Dr)に人が存在すると制御部1が判断した場合には、ステップS3の処理が繰り返される。画像形成装置100の周囲に人が存在しないと制御部1が判断するまで、ステップS4には移行しない。すなわち、画像形成装置100の周囲に人が存在する状態で保守処理が開始されることはない。
【0057】
ステップS4において、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されていると制御部1が判断した場合には、ステップS8に移行する。たとえば、画像形成装置100の側面側からユーザーが手を伸ばしてタッチパネル63の操作受付面に触れている場合がある。また、タッチパネル63に異常が発生している場合がある。これらの場合に、画像形成装置100の周囲(人感センサー71の拡大後の検知範囲Dr)に人が存在しないことを制御部1が検知しているにもかかわらず、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力され得る。
【0058】
ステップS8に移行すると、制御部1は、保守処理の開始タイミングになったと判断してから、人感センサー71の増幅後の出力電圧値に基づき人が存在しないことを検知している状態で、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されたまま(タッチパネル63の出力信号に変化がないまま)、所定時間が経過したか否かを判断する。言い換えると、制御部1は、再起動条件を満たすか否かを判断する。所定時間を示す情報は記憶部2に予め記憶される。制御部1は、所定時間が経過したか否かを判断するため、保守処理の開始タイミングになったと判断すると計時を開始する。
【0059】
ステップS8において、所定時間が経過する前にタッチパネル63の出力信号に変化があったと制御部1が判断した場合には、ステップS3に移行する。すなわち、制御部1は、ステップS3およびS4の各処理を繰り返す。
【0060】
ここで、タッチパネル63の操作受付面に対する操作としては、タップ操作が一般的である。ユーザーはタッチパネル63の操作受付面に対し、被接触体を接触させてから被接触体を離すという一連の操作をタップ操作として行う。その結果、タッチパネル63の出力信号が変化する。したがって、所定時間が経過する前にタッチパネル63の出力信号に変化があった場合には、画像形成装置100の側面側(人感センサー71の拡大後の検知範囲Drの外側)からユーザーが手を伸ばしてタッチパネル63の操作受付面に触れている可能性が高い。この場合には、再起動は不要である。したがって、ステップS3に移行する。
【0061】
ステップS8において、タッチパネル63の出力信号に変化がないまま所定時間が経過したと制御部1が判断した場合には、ステップS9に移行する。なお、タッチパネル63の出力信号に変化がないということは、タッチパネル63に異常が発生している可能性が高いということである。タッチパネル63に異常が発生していても、タッチパネル63を再起動することにより、タッチパネル63の異常が解消される。
【0062】
そこで、ステップS9に移行すると、制御部1は、再起動条件が満たされたと判断し、操作パネル6(タッチパネル63)および人体検知部7の再起動を行う。画像形成装置100全体を再起動してもよい。その後、ステップS3に移行し、制御部1は、ステップS3およびS4の各処理を繰り返す。すなわち、制御部1は、人体検知部7の再起動後の出力(人感センサー71の増幅後の出力電圧値)およびタッチパネル63の再起動後の出力に基づき、保守処理を開始するか否かを判断する。」
(ウ)「図1
[図:0001424420000001.jpg]
」
(エ)「図2
[図:0001424420000002.jpg]
」
(オ)「図3
[図:0001424420000003.jpg]
」
イ 引用発明
上記引用文献1の記載について検討する。
(ア)上記ア(ア)の段落0013の「画像形成装置100は、制御部1を備える。」との記載、及び上記ア(ウ)の図1の記載から、引用文献1には、“制御部1を備える画像形成装置100”が記載されていると認められる。
(イ)上記ア(ア)の段落0020の「画像形成装置100には操作パネル6が設置される。」との記載、段落0021の「操作パネル6は、タッチスクリーン61を備える。」との記載、段落0022の「タッチスクリーン61は、表示パネル62およびタッチパネル63を含む。」との記載、及び上記ア(ウ)の図1の記載から、引用文献1には、“画像形成装置100”は、“タッチパネル63を含む操作パネル6”を含むことが記載されていると認められる。
(ウ)上記ア(ア)の段落0026の「画像形成装置100は、人体検知部7を備える。人体検知部7は、人感センサー71を含む。」との記載、段落0028の「人感センサー71は、図2に示すように、画像形成装置100の正面に設置される。」との記載、及び上記ア(エ)の図2の記載から、引用文献1には、“画像形成装置100”は、“画像形成装置100の正面に設置される人感センサー71を含む人体検知部7”を備えることが記載されていると認められる。
(エ)上記(ア)~(ウ)のことから、引用文献1には、“制御部1と、タッチパネル63を含む操作パネル6と、画像形成装置100の正面に設置される人感センサー71を含む人体検知部7とを備える画像形成装置100”が記載されていると認められる。
(オ)上記ア(ア)の段落0013の「制御部1は、CPUを含む。制御部1は、制御用のプログラムに基づき、画像形成装置100の各部を制御する。」との記載から、引用文献1には、“制御部1は、CPUを含み、制御用のプログラムに基づき、画像形成装置100の各部を制御するものであ”ることが記載されていると認められる。
(カ)上記ア(ア)の段落0024の「制御部1は、表示パネル62による操作画面の表示中、タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されているか否かを検知する処理を行う。そして、タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを検知した場合、制御部1は、タッチパネル63の操作受付面のうちタッチされたタッチ位置を検知し、当該検知したタッチ位置に対応する位置のソフトウェアボタンがユーザーにより操作されたと判断する。」との記載から、引用文献1には、“制御部1は、タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されているか否かを検知する処理を行い、タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを検知した場合、タッチパネル63の操作受付面のうちタッチされたタッチ位置を検知し、当該検知したタッチ位置に対応する位置のソフトウェアボタンがユーザーにより操作されたと判断”することが記載されていると認められる。
(キ)上記ア(ア)の段落0027の「制御部1は、人体検知部7の出力(人感センサー71の増幅後の出力電圧値)に基づき、画像形成装置100の周囲における人の存在/非存在を検知する人体検知処理を行う。」との記載から、引用文献1には、“制御部1は、人感センサー71の増幅後の出力電圧値に基づき、画像形成装置100の周囲における人の存在/非存在を検知する人体検知処理を行うものであ”ることが記載されていると認められる。
(ク)上記ア(イ)の段落0042の「制御部1は、更新予定日時が到来すると、保守処理の開始タイミングになったと判断する。」との記載、段落0046の「制御部1は、保守処理の開始タイミングになって以降、図3に示すフローチャートに沿った処理を行う。」との記載、段落0051の「ステップS2において、制御部1は、人感センサー71の検知距離Ddを第2距離に設定した状態で人体検知処理を行う。すなわち、制御部1は、人感センサー71の増幅後の出力電圧値に基づき、画像形成装置100の周囲(人感センサー71の拡大後の検知範囲Dr)における人の存在/非存在を検知する。」との記載、段落0052の「ステップS3において、制御部1は、人体検知処理の結果に基づき、画像形成装置100の周囲に人が存在するか否(人感センサー71の拡大後の検知範囲Drに人が存在するか否か)を判断する。」との記載、及び上記ア(オ)の図3の記載から、引用文献1には、“制御部1は、更新予定日時が到来して保守処理の開始タイミングになったと判断すると、人体検知処理を行い、人体検知処理の結果に基づき、画像形成装置100の周囲に人が存在するか否か、すなわち、人感センサー71の検知範囲に人が存在するか否かを判断”することが記載されていると認められる。
(ケ)上記ア(イ)の段落0058の「制御部1は、保守処理の開始タイミングになったと判断してから、人感センサー71の増幅後の出力電圧値に基づき人が存在しないことを検知している状態で、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されたまま(タッチパネル63の出力信号に変化がないまま)、所定時間が経過したか否かを判断する。」との記載、段落0061の「タッチパネル63の出力信号に変化がないまま所定時間が経過したと制御部1が判断した場合には、ステップS9に移行する。なお、タッチパネル63の出力信号に変化がないということは、タッチパネル63に異常が発生している可能性が高いということである。タッチパネル63に異常が発生していても、タッチパネル63を再起動することにより、タッチパネル63の異常が解消される。」との記載、段落0062の「制御部1は、再起動条件が満たされたと判断し、操作パネル6(タッチパネル63)および人体検知部7の再起動を行う。画像形成装置100全体を再起動してもよい。」との記載、及び上記ア(オ)の図3の記載から、引用文献1には、“制御部1は、人が存在しないことを検知している状態で、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されたまま(タッチパネル63の出力信号に変化がないまま)所定時間が経過したと判断した場合には、タッチパネル63に異常が発生している可能性が高いため、画像形成装置100全体の再起動を行い、タッチパネル63の異常を解消する”ことが記載されていると認められる。
上記(ア)~(ケ)の検討から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
制御部1と、タッチパネル63を含む操作パネル6と、画像形成装置100の正面に設置される人感センサー71を含む人体検知部7とを備える画像形成装置100であって、
制御部1は、CPUを含み、制御用のプログラムに基づき、画像形成装置100の各部を制御するものであり、
制御部1は、タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されているか否かを検知する処理を行い、タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを検知した場合、タッチパネル63の操作受付面のうちタッチされたタッチ位置を検知し、当該検知したタッチ位置に対応する位置のソフトウェアボタンがユーザーにより操作されたと判断し、
制御部1は、人感センサー71の増幅後の出力電圧値に基づき、画像形成装置100の周囲における人の存在/非存在を検知する人体検知処理を行うものであり、
制御部1は、更新予定日時が到来して保守処理の開始タイミングになったと判断すると、人体検知処理を行い、人体検知処理の結果に基づき、画像形成装置100の周囲に人が存在するか否か、すなわち、人感センサー71の検知範囲に人が存在するか否かを判断し、
制御部1は、人が存在しないことを検知している状態で、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されたまま(タッチパネル63の出力信号に変化がないまま)所定時間が経過したと判断した場合には、タッチパネル63に異常が発生している可能性が高いため、画像形成装置100全体の再起動を行い、タッチパネル63の異常を解消する、
画像形成装置100。
ウ 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2009-176162号公報(平成21年8月6日公開。以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【0001】
本発明は、ロボット全体の制御を行うティーチングペンダントに備わるタッチパネルの異常検出に関するものである。」
(イ)「【0006】
上記した従来の技術では、操作時期信号が入力さされないときに座標位置信号が入力されるとエラーを検出しているが、タッチパネルを検出するハードウェア装置側で溶着したときは操作時期信号が入力され、かつタッチパネルが押されたことになり座標位置が入力されるので、作業者に故障していることが通知できない。
工場の生産ラインで使用するような装置にあっては、そのタッチパネルの誤動作時における対応の遅れが莫大な損失をもたらし、又は人命に危険を及ぼすことさえある。
そこで、本発明の目的は、タッチパネルおよびキーボードの動作不良等を作業者がティーチングペンダントを操作する前に通知することにより、タッチパネルの異常時における対応が的確かつ迅速に行える故障検出手段を備えたシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、ロボットの操作を行うティーチングペンダントと、前記ティーチングペンダントおよびマニピュレータが接続されたロボット全体の制御を行うロボット制御装置を備えたロボットシステムであって、前記ティーチングペンダントは、表示装置と、タッチパネルからの入力検出手段と、電源投入時に前記タッチパネルの異常検出手段と、を備え、前記異常検出手段は、前記タッチパネルの操作座標位置が所定時間連続して入力される場合はタッチパネルの異常と判定することを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記タッチパネルの異常検出手段は、前記電源投入時に代えて、前記ロボットの教示を行なう教示モードへ移行したときに、タッチパネルの異常判定を行なうことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記タッチパネルの異常検出手段は、前記電源投入時に代えて、前記タッチパネルの異常判定を常時おこなうことを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記タッチパネルの異常検出手段は、前記タッチパネルの異常判定に加えて、前記表示手段に異常メッセージを表示することを特徴とするものである。」
(ウ)「【0017】
次に異常を検出したときに作業者に伝える手段を図5を用いて説明する。
タッチパネルの異常を検出すると図5のタッチパネル異常検出メッセージ45を表示し、作業者にタッチパネル4が異常であることを伝える。また、LED6を点灯表示させ作業者に知らせることも可能である。異常メッセージ表示画面において詳細ボタン46にキーボード5内にある矢印キーでカーソルを移動させ、キーボード5内のエンタキーを押すと、タッチパネル溶着47箇所の詳細を確認できる。ただし、図6で示すようにタッチパネルの異常を検出するときは、作業者が指先48で押したときに、座標の検出位置が変わるので、そのときは異常と判断しないように処理する。
【0018】
さらに、タッチパネルの異常検出においては、作業者が表示部2を長時間タッチすることは通常ありえないので、オンライン処理に移行してからも一定時間、連続でしかも同じ座標値が入力されれば、異常と判断できる。これにより、作業者の判断ミスを引き起こすことなく、かつ本体装置の暴走を未然に防止できることも可能である。」
(エ)引用文献2記載事項
a 上記(イ)より、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2記載事項1」という。)が記載されていると認められる。
「タッチパネルの異常検出手段は、タッチパネルの異常判定を常時おこなうこと。」
b 上記(イ)(ウ)より、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2記載事項2」という。)が記載されていると認められる。
「タッチパネルにおいて、一定時間、連続でしかも同じ座標値が入力されるとタッチパネルの異常と判断すること。」
エ 引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2018-041175号公報(平成30年3月15日公開。以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【0001】
本発明は、電子機器及び画像形成装置に関し、特に、タッチパネル式の表示部を動作異常から早期に復帰させる技術に関する。」
(イ)「【0032】
パネル制御部472をこのような異常状態から解除するために、主制御部100は、パネル制御部472に対して、予め定められた監視期間(例えば30秒)を設定して、当該監視時間の経過毎に定期的に、図3に示すシリアル通信ラインL1により、シリアル通信で監視信号を送信する。この監視信号に対して主制御部100がパネル制御部472から応答信号を受信できなければ、主制御部100はパネル制御部472にリセット信号を出力して、パネル制御部472に再起動動作を行わせる。言い換えると、通常動作モード中にパネル制御部472が異常状態となってフリーズ等した場合、ユーザーが表示部473に表示されたキーを押下しても画像形成装置1は応答せず、その後しばらくして(長くして上記監視期間)、パネル制御部472が再起動した後に、操作部47が操作を受け付けるようになる。」
(ウ)引用文献3記載事項
上記(ア)(イ)より、引用文献3には、以下の事項(引用文献3記載事項)が記載されていると認められる。
「タッチパネル式の表示部を動作異常から早期に復帰させるために、通常動作モード中に、主制御部からパネル制御部に定期的(30秒毎)に監視信号を送信し、この監視信号に対する応答信号を受信できない場合には、リセット信号を出力して、パネル制御部に再起動動作を行わせること。」
(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 「タッチパネル処理部」について
引用発明の「タッチパネル63」は、本件補正発明の「タッチパネル」に相当し、引用発明の「タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを示す電圧信号」は、本件補正発明の「タッチパネルへの入力に応じたタッチデータ」に相当する。
そして、引用発明の「制御部1」は、「タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されているか否かを検知する処理を行い、タッチパネル63の操作受付面がタッチされたことを検知した場合、タッチパネル63の操作受付面のうちタッチされたタッチ位置を検知し、当該検知したタッチ位置に対応する位置のソフトウェアボタンがユーザーにより操作されたと判断」する機能を有するものであるから、引用発明の「制御部1」の上記機能部分は、本件補正発明の「タッチパネルへの入力に応じたタッチデータを受け付けるタッチパネル処理部」に相当する。
イ 「人検出部」について
引用発明の「人感センサー71を含む人体検知部7」は、「画像形成装置100の正面に設置される」ものであり、画像形成装置の“正面にいる人を検出する”ものであるといえる。
ここで、引用発明において、画像形成装置のタッチパネルが、画像形成装置の“正面”に設けられることは明示的には特定されていないものの、操作用のタッチパネルを画像形成装置の“正面”に設けることは技術常識であるから、“画像形成装置の正面”は、“タッチパネルの正面”とも言い換えることができるものである。
そして、引用発明の制御部1は、「人感センサー71の増幅後の出力電圧値に基づき、画像形成装置100の周囲における人の存在/非存在を検知する人体検知処理を行う」機能を有するものであるから、上記の検討を踏まえると、引用発明の制御部1の当該機能部分は、本件補正発明の「前記タッチパネルの正面にいる人を検出する人検出部」に相当する。
ウ 「再起動実行部」について
(ア)引用発明の「制御部1」は、「人が存在しないことを検知している状態で、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されたまま(タッチパネル63の出力信号に変化がないまま)所定時間が経過したと判断した場合には、タッチパネル63に異常が発生している可能性が高い」と判断するものであるところ、当該「タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号」であって、所定時間が経過する間、「タッチパネル63から出力されたまま(タッチパネル63の出力信号に変化がないまま)」となっている「電圧信号」は、“タッチパネル”から制御部1に入力される“異常な入力”であるから、本件補正発明の「前記タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力である異常入力」とは、“前記タッチパネルの異常入力”である点で共通する。
そして、上記アの“タッチデータ”の検討も踏まえると、引用発明の「タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されたまま(タッチパネル63の出力信号に変化がないまま)所定時間が経過したと判断した場合」と、本件補正発明の「前記タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力である異常入力が前記タッチデータから検出され」た場合とは、後記する点で相違するものの、“前記タッチパネルの異常入力が前記タッチデータから検出され”た場合である点で共通する。
(イ)上記イの検討を踏まえると、引用発明の「人が存在しないことを検知している状態」は、本件補正発明の「前記タッチパネルの正面にいる人が検出されない場合」に相当する。
(ウ)引用発明の「画像形成装置」は、上記アの「タッチパネル処理部」の機能部分、上記イの「人検出部」の機能部分、及び後記する「再起動実行部」の機能部分を備える「制御部1」を含む“装置”であるから、本件補正発明の“制御装置”あるいは“自装置”に対応するものである。
そうすると、引用発明の「制御部1」が有する、「画像形成装置100全体の再起動を行」う機能部分は、本件補正発明の“自装置の再起動を実行する再起動実行部”に対応する。
(エ)上記(ア)~(ウ)の検討を踏まえると、引用発明の「制御部1」が有する「人が存在しないことを検知している状態で、タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されたまま(タッチパネル63の出力信号に変化がないまま)所定時間が経過したと判断した場合には、タッチパネル63に異常が発生している可能性が高いため、画像形成装置100全体の再起動を行い、タッチパネル63の異常を解消する」機能部分と、本件補正発明の「通常運用時において、前記タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力である異常入力が前記タッチデータから検出され、かつ前記タッチパネルの正面にいる人が検出されない場合、自装置の再起動を実行する再起動実行部」とは、“前記タッチパネルの異常入力が前記タッチデータから検出され、かつ前記タッチパネルの正面にいる人が検出されない場合、自装置の再起動を実行する再起動実行部”である点で共通する。
エ 上記ウ(ウ)の検討から、引用発明の「画像形成装置」は、本件補正発明の「制御装置」に対応する。
上記ア~エの検討から、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
タッチパネルへの入力に応じたタッチデータを受け付けるタッチパネル処理部と、
前記タッチパネルの正面にいる人を検出する人検出部と、
前記タッチパネルの異常入力が前記タッチデータから検出され、かつ前記タッチパネルの正面にいる人が検出されない場合、自装置の再起動を実行する再起動実行部と、
を備える制御装置。
[相違点1]
タッチパネルの異常が検出され、かつ、人が検出されない場合に自装置の再起動を実行する処理が、本件補正発明では、「通常運用時において」実行されるのに対して、引用発明では、「更新予定日時が到来して保守処理の開始タイミングになったと判断すると」実行される点。
[相違点2]
タッチパネルの異常入力が、本件補正発明では、「タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力である」のに対して、引用発明では、「タッチパネル63の操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されたまま(タッチパネル63の出力信号に変化がないまま)所定時間が経過」するような入力である点。
(4)判断
事案に鑑み、上記相違点1、2についてまとめて検討する。
引用発明は、「更新予定日時が到来して保守処理の開始タイミングになったと判断」された時に、タッチパネルの異常を解消する処理を実行するものではあるものの、引用発明のタッチパネルの「操作受付面がタッチされていることを示す電圧信号がタッチパネル63から出力されたまま所定時間が経過」するような異常は、保守処理の開始タイミングにおいてのみ発生するものではなく、通常運用時も含めて常時発生する可能性があるものである。
また、タッチパネルの異常入力と判断する信号の一態様として、「一定時間、連続でしかも同じ座標値が入力される」という態様(本件補正発明の「タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力」という態様に相当する。)は、例えば引用文献2(上記第2の2(2)ウの引用文献2記載事項2を参照)にも記載されており、そのような異常入力の態様もまた、通常運用時も含めて常時発生する可能性があるといえる。
そうすると、通常運用時において、「タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力」という異常入力を解消することは、引用発明のタッチパネルも含め、タッチパネル一般に内在する課題であるといえる。
そして、例えば上記引用文献2(上記第2の2(2)ウを参照)には、「タッチパネルの異常検出手段は、タッチパネルの異常判定を常時おこなうこと。」(引用文献2記載事項1)が記載され、引用文献3(上記第2の2(2)ウを参照)には、「タッチパネル式の表示部を動作異常から早期に復帰させるために、通常動作モード中に、主制御部からパネル制御部に定期的(30秒毎)に監視信号を送信し、この監視信号に対する応答信号を受信できない場合には、リセット信号を出力して、パネル制御部に再起動動作を行わせること。」(引用文献3記載事項)が記載されているように、タッチパネルの異常を解消する処理を通常運用時にも行うことは、本願出願前に当該技術分野における周知技術であることからすれば、引用発明に上記周知技術を適用し、通常運用時においても、「前記タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力である異常入力」を解消するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、令和6年3月18日提出の意見書、及び審判請求書において以下のとおり主張をしている。
(ア)「引用文献1の手法では、保守処理の開始タイミング(更新予定日時)にならないと、再起動が実行されません。すなわち、引用文献1の手法では、通常運用時においては、タッチパネルに発生した異常に対応するために装置を再起動することができません。また、引用文献1の手法では、タッチパネルのキャリブレーションの実行中にユーザーがタッチパネルに触れるのを抑制することを目的としており、ユーザーの便宜に配慮して、通常時においてタッチパネルに発生した異常に応じた再起動を実行することはないと考えます。
一方、補正後の本願請求項は、通常運用時において、タッチパネルへの異常入力がタッチデータから検出され、かつ接近センサ処理部により物体が検出されない場合、自装置の再起動を実行します。そのため、補正後の本願請求項によれば、通常運用時においてタタッチパネルに発生した異常に対応するために、装置を再起動することができます。すなわち、補正後の本願請求項によれば、通常運用時の任意のタイミングにおいて、装置を自動的に再起動できます。このような効果は、引用文献1の手法では得ることができません。」(意見書の2ページ1~12行)
(イ)「補正後の本願請求項においては、「前記タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力」を異常入力として検出する。補正後の本願請求項によれば、ノイズ等の誤動作に基づく連続入力を検出できる。すなわち、補正後の本願請求項によれば、タッチパネルを備える装置に障害が発生したときに、必要に応じて当該装置を復旧させることができるという顕著な効果が得られる。
引用文献1の手法では、ノイズ等の誤動作に基づく連続入力は、人による操作であると判別されて、再起動されない。すなわち、引用文献1の手法では、ノイズ等の誤動作に基づく連続入力が発生しても、再起動されないため、当該装置を復旧させることはありえない。」(審判請求書11ページ)
イ 請求人の主張について検討する。
引用発明のタッチパネルは、通常運用時においても「タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力」という異常を解消するという課題を内在しており、この課題を解決するべく、引用発明に周知技術を適用して、通常運用時においても、「前記タッチパネルの同一領域への所定回数以上の連続した入力である異常入力」を解消するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことであることは、上記(4)において判断したとおりである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(6)補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年8月15日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年3月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された下記の引用文献1、3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2011-181068号公報
引用文献3:特開2018-041175号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献3の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、補正事項1に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-013223