特許拒絶査定不服審判
2024-018030
プログラム
- 審判番号
- 2024-018030
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-137423
- 請求日
- 2024年11月11日
- 審決日
- 2025年08月19日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社コロプラ
- 【請求人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 吉田 美彦
- 審判官 福西 章人
- 分類
- P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-137423「プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 7年 3月 7日出願公開、特開2025- 31293〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
理 由
第1.手続の経緯
本願は、令和5年8月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 2月14日付け:拒絶理由通知書
令和6年 4月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 5月10日付け:拒絶理由(最後)通知書
令和6年 7月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 7月31日付け:令和6年7月11日に提出された手続補正書
でした補正の却下の決定、
拒絶査定
令和6年11月11日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年11月11日に提出された手続補正書でした補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年11月11日に提出された手続補正書でした補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
コンピュータを、
仮想空間で実行すべきタスクであるチャレンジを、当該チャレンジを実行する応答者に提供するチャレンジ提供手段と、
前記応答者が前記チャレンジを実行した結果であるレスポンスと、前記チャレンジに対する正解との比較結果に基づいて、前記応答者が人間であるか否かを判定するレスポンス判定手段と、して機能させ、
前記チャレンジは、前記仮想空間に配置された仮想オブジェクトに対して、当該仮想空間に配置され、前記応答者が操作するアバターに所定のアクションを実行させることを含み、
前記レスポンス判定手段は、前記応答者が操作するアバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否かに応じて前記応答者が人間であるか否かを判定する、プログラム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和6年4月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
コンピュータを、
仮想空間で実行すべきタスクであるチャレンジを、当該チャレンジを実行する応答者に提供するチャレンジ提供手段と、
前記応答者が前記チャレンジを実行した結果であるレスポンスと、前記チャレンジに対する正解との比較結果に基づいて、前記応答者が人間であるか否かを判定するレスポンス判定手段と、して機能させ、
前記チャレンジは、前記仮想空間に配置された仮想オブジェクトに対して、当該仮想空間に配置され、前記応答者が操作するアバターに所定のアクションを実行させることを含む、プログラム。」
2 補正の適否
本件補正は、請求項1に「前記レスポンス判定手段は、前記応答者が操作するアバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否かに応じて前記応答者が人間であるか否かを判定する」との事項を付加するものであるところ、当該事項は、願書に最初に添付された明細書の段落【0085】等に記載されたものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。
また、本件補正は特許法第17条の2第4項の規定にも適合するものである。
また、本件補正に係る補正事項は、補正前の請求項1の発明特定事項である「レスポンス判定手段」を限定するものであり、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2010/0037147号明細書(2010年(平成22年)2月11日公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(なお、当審が作成した仮訳を()内に付した。また、強調のため、下線を当審で付した。以下、同様。)
「[0001] 1. Field of the Invention
[0002] The invention relates generally to computer-generated virtual world environments, and particularly,to a system, method and computer program product for providing human identification proofs verifying an avatar in the virtual world environment as being controlled by a human user, as opposed to an automated program, e.g., “bot”.」
(【当審仮訳】
[0001] 1. 発明の分野
[0002] 本発明は、一般的にコンピュータ生成による仮想世界環境に関し、特に、仮想世界環境内のアバターが自動化プログラム(例えば「ボット」)ではなく人間ユーザーによって制御されていることを検証するための、人間識別証明を提供するシステム、方法およびコンピュータプログラム製品に関する。)
「[0055] FIG. 1 depicts an illustrative component diagram of one embodiment of the present invention. In FIG. 1, there is a computer-generated virtual world environment (e.g., Second Life R) 10 and, a real world environment 100. As shown in FIG. 1, in one embodiment, a hosting server or like computing engine 20 generates the virtual environment 10 including a graphical representation of objects and the boundaries of the virtual environment. Typically, hosting server 20 generates one or more graphical user interfaces that present information to the user and allow the user to navigate and input information into system 10. Further, typically, the virtual environment can be represented on a user device in two or three dimensions and may comprise any environment that may programmed via a modeling language, e.g., virtual reality modeling language (VRML, pronounced “ver-mel”). VRML is a standardized language for describing the animation and three dimensional modeling of geometric objects. It is understood that virtual worlds are programmed in other types of modeling languages, C, C++, X3D, U3D, 3DMLW, among other languages. Similarly, the computing engine can be used to generate the virtual characters for interacting in the virtual environment.
[0056] FIG. 1 further depicts a mechanism for communicating between the virtual world environment 10 and the real world 100. In one embodiment, there is a virtual world hosting computer, e.g., server device 20, in the virtual world environment 10 that is equipped with programs, APIs, functions, and subroutines to enable interactions within and operate the virtual world 10. The virtual world hosting computer 20 may store configuration and setting information of each user registered in the virtual world 10. A user operates client computing devices 12a, . . . ,12n that provide functionality for interfacing the user to the virtual world environment. Thus, the client computing devices 12a, . . . ,12n that provide functionality for interfacing the user to the virtual world environment as depicted in FIG. 1, can further include a transceiver having appropriate circuitry for communicating over the network. The transceiver can be implemented as a wired or wireless modem, a network interface card, a network port, and the like that enables communication with the network. The system can also include a keyboard, a mouse or other controller such as a joystick, activatable buttons, touch-enabled apparatuses and the like for inputting commands and making selections. Further, the system includes a media recording/playback device 29, e.g., digital or analog recorder, associated and operatively connected with a client device 12a, . . . 12n that enables a user to record any visual and audio information as specified for implementing a particular HIP, and communicate the recording, as will be described in greater detail herein below.」
(【当審仮訳】
[0055] 図1は、本発明の一実施形態における構成要素図の一例を示している。図1には、コンピュータ生成による仮想世界環境(例えば、Second Life R)10と現実世界環境100が存在している。図1に示すように、一実施形態では、ホスティングサーバまたは同様の計算エンジン20が、オブジェクトのグラフィカルな表現および仮想環境の境界を含む仮想環境10を生成する。通常、ホスティングサーバ20は、ユーザーに情報を提示し、ユーザーがシステム10内をナビゲートしたり情報を入力したりできるようにする、1つまたは複数のグラフィカルユーザーインターフェースを生成する。さらに、通常、仮想環境はユーザーデバイス上で2次元または3次元で表現することができ、例えばバーチャルリアリティモデリング言語(VRML、発音は「ヴァーメル」)などのモデリング言語によってプログラム可能なあらゆる環境を含むことができる。VRMLは、幾何学的オブジェクトのアニメーションおよび三次元モデリングを記述するための標準化された言語である。仮想世界は、他にもC、C++、X3D、U3D、3DMLWなどのモデリング言語でプログラムされることが理解されている。同様に、計算エンジンは仮想環境内で相互作用するための仮想キャラクターを生成するためにも用いることができる。
[0056] 図1はさらに、仮想世界環境10と現実世界100との間で通信を行うための機構を示している。一実施形態においては、仮想世界環境10内に、仮想世界ホスティング用コンピュータ、すなわちサーバ装置20が存在し、これは仮想世界10内での相互作用を可能にし、仮想世界10を運用するためのプログラム、API、関数、サブルーチンを備えている。仮想世界ホスティング用コンピュータ20は、仮想世界10に登録された各ユーザーの構成情報および設定情報を保存することができる。ユーザーは、仮想世界環境とのインターフェース機能を提供するクライアント計算装置12a, ... ,12nを操作する。したがって、図1に示すように、ユーザーと仮想世界環境とのインターフェース機能を提供するクライアント計算装置12a, ... ,12nは、さらにネットワーク上で通信を行うための適切な回路を備えた送受信機を含むことができる。送受信機は、有線または無線のモデム、ネットワークインターフェースカード、ネットワークポートなど、ネットワークとの通信を可能にする装置として実装することができる。本システムはまた、コマンドの入力や選択を行うためのキーボード、マウス、ジョイスティック、作動可能なボタン、タッチ対応装置などのコントローラを含むことができる。さらに、本システムは、特定のHIPを実装するために指定された任意の映像および音声情報をユーザーが記録し、その記録を通信できるようにする、クライアント装置12a, ... ,12nと関連し動作的に接続されたメディア記録/再生装置29(例えばデジタルまたはアナログレコーダ)を含む。詳細については後述する。)
「
[図:0001427765000001.jpg]
」
(仮訳は省略)
「[0065] For example, as shown in FIG. 1, a first avatar, e.g., depicted as avatar 15a, and second avatar, e.g., depicted as avatar 15b, are shown interacting in a rendered virtual world environment depicted via browser displays interfaces 18a, 18n, of respective user's client devices, e.g., 12a and 12n. In one embodiment of the invention, the virtual world hosting computer 20, at its own initiative, operates to generate the CAPTCHA or other HIP message 94 to a user device, associated with a suspected avatar exhibiting non-human behavior in the virtual world, as identified by the hosting server for communication to an identified user client device associated with the suspect avatar in the virtual world 10. Alternatively, in one embodiment, the virtual world hosting computer 20 responds to a first avatar's request message 95, e.g., generated at a user's client device, e.g., device 12a, through its representing avatar 15a, to request the host computer 20 to surface a HIP message to effectively challenge a second avatar, e.g., avatar 15b, in the virtual world, and verify that second or suspect avatar's “humanness”. In this embodiment, the hosting computer 20 responds to received request message 95 by generating a communication 97 that includes a HIP or CAPTCHA challenge 98 (either generated by the hosting device 20, or alternately, it could be generated by another server device 21 (e.g., www.captcha.net) in communication with the network 99, and which message 97 is communicated to the challenged avatar's device 12n, e.g., for surfacing as HIP or CAPTCHA challenge pop-up display 35 directed to the avatar, e.g., avatar 15b, who's humanness is being tested, via that challenged avatar's client device 12n.」
(【当審仮訳】[0065] 例えば、図1に示すように、第1のアバター(例えばアバター15aとして描かれている)および第2のアバター(例えばアバター15bとして描かれている)が、それぞれのユーザークライアント装置(例えば12aおよび12n)のブラウザ表示インターフェース18a、18nを介して描画された仮想世界環境内で相互作用している様子が示されている。本発明の一実施形態においては、仮想世界ホスティング用コンピュータ20が自らの判断で、仮想世界内で非人間的な挙動を示すとホスティングサーバによって特定された疑わしいアバターに関連付けられたユーザーデバイスに対し、CAPTCHAまたは他のHIPメッセージ94を生成し、特定されたユーザークライアント装置に送信するよう動作する。あるいは、別の実施形態では、仮想世界ホスティング用コンピュータ20は、第1のアバターの要求メッセージ95(例えばユーザークライアント装置12a上で、そのアバター15aを通じて生成される)に応答し、ホストコンピュータ20に対して、仮想世界内で第2のアバター(例えばアバター15b)に効果的にHIPメッセージを提示し、その第2または疑わしいアバターの「人間性」を検証するよう要求することができる。この実施形態では、ホスティングコンピュータ20は、受信した要求メッセージ95に応答して、HIPまたはCAPTCHAチャレンジ98を含む通信97を生成する(このチャレンジ98はホスティング装置20によって生成されてもよいし、あるいはネットワーク99と通信する他のサーバ装置21(例えばwww.captcha.net)によって生成されてもよい)。この通信97は、チャレンジ対象のアバターの装置12nに送信され、例えばアバター15bの「人間性」をテストするために、そのチャレンジ対象アバターのクライアント装置12nを介して、HIPまたはCAPTCHAチャレンジのポップアップ表示35として提示される。)
「[0071] In a further alternate embodiment, a CAPTCHA 98 may be presented via communicated message 97 to a client device, e.g., client 12n, that is generated to present a list of required actions that a human user would be able to complete, but that a bot would not be programmed to complete. Example actions that may be performed may include, but not limited to, actions such as: ‘spin your avatar around counter-clockwise three times’ or ‘tell me what time it was half an hour ago’. Virtually any action that may be performed using the input device(s) used by a particular user can be used.」
(【当審仮訳】[0071] さらに別の実施形態では、CAPTCHA 98が通信メッセージ97を介してクライアント装置(例えばクライアント12n)に提示される場合があり、このCAPTCHAは、人間ユーザーであれば完了できるが、ボットには完了できないような一連の必要な動作のリストを提示するよう生成される。実行可能な動作の例としては、「アバターを反時計回りに3回回転させてください」や「30分前が何時だったか教えてください」などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定のユーザーが使用する入力装置を用いて実行可能なほぼすべての動作が利用可能である。)
「[0076] FIG. 2 illustrates conceptually a method diagram for processing (issuing and responding to) CAPTCHAs in accordance with the present invention. As shown in FIG. 2, a human participant 101 represented by an avatar interacting in a virtual world, communicates via an interface provided via the server device 120a, to issue a CAPTCHA to a suspected bot (challenged avatar) 105. The server device 120a receives commands generated at the user's device and responds to commands to implement the functionality for issuing a HIP or CAPTCHA to the suspected bot 105. The “bot” or, a user represented by the avatar that is challenged, is prompted to respond via that server device 120b which may be the same or different server as server 120a. If the challenged avatar is represented by a human participant, that user will most likely respond and if responded to appropriately, a success notification message 110 is communicated to the challenging human participant 101 and the “bot” 105 and such success notification may be indicated in the display interface providing the virtual world at the human participant devices (not shown) interfacing with servers 120a,b. Alternately, if the challenged avatar is represented by a bot, there will most likely not be any response, or at least a response that may not be appropriate, in which case a failure notification message 115 is communicated to the challenging human participant 101 and the “bot” 105 such failure notification may be indicated in the display interface providing the virtual world at the human participant devices (not shown) interfacing with servers 120a,b. Via the server device, any success and/or failure notification messages emanating as a result of a determining successful or failed CAPTCHA responses, may be further communicated as messages 116 to an administrator via an administrator's computing device (not shown) interfacing with server 120b. These success/failure notifications may be aggregated and/or analyzed to determine an appropriate action: e.g., disable the challenged avatar's involvement in the virtual world, intervene with, or suspend the challenged avatar's involvement in the virtual world and/or preventing the challenged avatar from further navigating within the virtual world. Alternately, other ‘punishments’ could be exacted. For instance, accounts could be temporarily disabled, an administrator may investigate the failed CAPTCHA then or at a later time, a second (or third time . . . ), notifications could be communicated to one or many additional non-administrative users, and/or initiate issuance of more complicated CAPTCHAs for verification, etc.」
(【当審仮訳】[0076] 図2は、本発明に係るCAPTCHAの処理(発行および応答)方法を概念的に示したものである。図2に示すように、仮想世界内でアバターとして表現される人間参加者101は、サーバ装置120aを介して提供されるインターフェースを通じて、疑わしいボット(チャレンジ対象アバター)105に対してCAPTCHAを発行する。サーバ装置120aは、ユーザのデバイスで生成されたコマンドを受信し、疑わしいボット105に対してHIPまたはCAPTCHAを発行する機能を実装するためのコマンドに応答する。チャレンジを受けたアバター、すなわち「ボット」またはそのアバターで表現されるユーザは、サーバ装置120b(これはサーバ120aと同一または異なるものであり得る)を介して応答を促される。チャレンジ対象のアバターが人間参加者によって操作されている場合、そのユーザは高い確率で適切に応答するので、適切な応答がなされた場合には、成功通知メッセージ110がチャレンジを行った人間参加者101および「ボット」105に送信される。この成功通知は、仮想世界を提供する表示インターフェース上(図示せず)においても示され得る。一方、チャレンジ対象のアバターがボットである場合、通常は応答がないか、少なくとも適切な応答がなされないため、その場合には失敗通知メッセージ115がチャレンジを行った人間参加者101および「ボット」105に送信され、この失敗通知も仮想世界を提供する表示インターフェース上(図示せず)に示され得る。サーバ装置を介して、CAPTCHA応答の成否判定に基づく成功または失敗通知メッセージは、さらに管理者のコンピューティングデバイス(図示せず)を介してサーバ120bに接続された管理者に対してメッセージ116として送信され得る。これらの成功/失敗通知は集約または分析され、適切な対応、例えばチャレンジ対象アバターの仮想世界への関与の無効化、介入または一時停止、さらには仮想世界内での移動の制限等が決定される場合がある。あるいは、他の#罰則#が科されることもあり得る。例えば、アカウントの一時的な無効化、管理者による即時または後日の失敗CAPTCHAの調査、2回目(または3回目…)の通知の送信、追加の非管理者ユーザへの通知、さらにはより複雑なCAPTCHAの発行による再検証の開始等が挙げられる。)
「
[図:0001427765000002.jpg]
」
(仮訳は省略)
「[0087] Thus the invention includes an article of manufacture which comprises a computer usable medium having computer readable program code means embodied therein for causing a function described above. The computer readable program code means in the article of manufacture comprises computer readable program code means for causing a computer to effect the steps of a method of this invention. Similarly, the present invention may be implemented as a computer program product comprising a computer usable medium having computer readable program code means embodied therein for causing a function described above. The computer readable program code means in the computer program product comprising computer readable program code means for causing a computer to effect one or more functions of this invention. Furthermore, the present invention may be implemented as a program storage device readable by machine, tangibly embodying a program of instructions executable by the machine to perform method steps for causing one or more functions of this invention.」
(【当審仮訳】[0087] したがって、本発明は、上記の機能を実行させるためのコンピュータ可読プログラムコード手段が組み込まれたコンピュータ使用可能媒体を含む製造物品を包含するものである。当該製造物品におけるコンピュータ可読プログラムコード手段は、本発明の方法の各工程をコンピュータに実行させるためのコンピュータ可読プログラムコード手段を含む。同様に、本発明は、上記の機能を実行させるためのコンピュータ可読プログラムコード手段が組み込まれたコンピュータ使用可能媒体を含むコンピュータプログラム製品として実施することもできる。当該コンピュータプログラム製品におけるコンピュータ可読プログラムコード手段は、本発明の一つまたは複数の機能をコンピュータに実行させるためのコンピュータ可読プログラムコード手段を含む。さらに、本発明は、機械によって読み取り可能なプログラム記憶装置として実施することもでき、当該記憶装置は、本発明の一つまたは複数の機能を実行させるための方法ステップを機械が実行可能な命令プログラムとして有形的に具現化するものである。)
イ 引用発明1
引用文献1の「ホスティングコンピュータ20」([0055])、「仮想世界ホスティング用コンピュータ、すなわちサーバ装置20 」([0056])、「サーバ装置120a 」([0076])は、いずれも同じものと認められるので、これらは「サーバ装置」と表記することができる。
また、引用文献1の[0087]の記載を参酌すれば、引用文献1に記載の「コンピュータプログラム製品」は、「機械が実行可能な命令プログラム」すなわち「コンピュータプログラム」を含む概念と認められる。
そうすると、上記アの摘記事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。(なお、括弧内の[]は、上記アの段落番号を指す。)
「仮想世界環境内のアバターが自動化プログラム(例えば「ボット」)ではなく人間ユーザーによって制御されていることを検証するための、人間識別証明を提供するコンピュータプログラムに関し([0002])、サーバ装置は、CAPTCHAチャレンジ98を含む通信97を生成し、このチャレンジ98はサーバ装置によって生成され、この通信97は、チャレンジ対象のアバターの装置12nに送信され、例えばアバター15bの「人間性」をテストするために、そのチャレンジ対象アバターのクライアント装置12nを介して、CAPTCHAチャレンジのポップアップ表示35として提示され([0065])、このCAPTCHAは、人間ユーザーであれば完了できるが、ボットには完了できないような一連の必要な動作のリストを提示するよう生成され、実行可能な動作の例としては、”アバターを反時計回りに3回回転させてください”などが挙げられ([0071])、チャレンジ対象のアバターが人間参加者によって操作されている場合、そのユーザは高い確率で適切に応答するので、適切な応答がなされた場合には、成功通知メッセージ110がチャレンジを行った人間参加者101および「ボット」105に送信され、一方、チャレンジ対象のアバターがボットである場合、通常は応答がないか、少なくとも適切な応答がなされないため、その場合には失敗通知メッセージ115がチャレンジを行った人間参加者101および「ボット」105に送信される([0076])、コンピュータプログラム。」
(3)引用文献2
ア 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開2009-89757号公報、(2009年(平成21年)4月30日公開。以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0054】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係るネットワークゲームシステムの概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0055】
本ネットワークゲームシステム10では、一例として、インターネット13上にシステム全体を管理するサーバ11が配置されている。そして、本ネットワークゲームシステム10における各端末12は、インターネット13を介してサーバ11と通信可能に接続されている。
各端末12は、同一の仮想空間(ゲーム空間)を共有し、それぞれのプレイヤが異なるキャラクタ(自キャラクタ)を操作可能となっている。
以下では、発明の理解を容易にするため、端末12としてインターネットへの接続が可能なゲーム装置を一例にあげて、説明する。なお、ゲーム装置以外にも、各種のコンピュータ、PDA、携帯電話などの情報処理装置を端末として用いることができる。」
「【0072】
サーバ11は、例えば、CPU、RAM、ROM、DVD-ROMドライブ、ハードディスク、および、NIC等を備えた一般的なコンピュータ(汎用のパーソナルコンピュータ等)からなり、図3に示すように、受信部201と、端末管理部202と、イベント発生部203と、判定部204と、ゲーム状況更新部205と、送信部206と、を備えている。」
「【0077】
図3に戻って、イベント発生部203は、端末管理部202にて管理される各端末12におけるゲームの進行状態に基づいて、プレイヤによる手動操作を検証するための検証イベントを、対象の端末12にて発生させる。
例えば、キャラクタが敵を倒した際、ステージ等をクリアした際、最高得点等を更新した際、及び、必要な文字(パスワード等)を求める際といった進行状態に基づいて、イベント発生部203は、その端末12にて検証イベントを発生させる。
検証イベントは、一例として、サーバ11自身が生成した検証画像をゲーム装置にて表示させ、この検証画像に応じた操作をプレイヤに要求するイベントである。
【0078】
この検証画像は、例えば、特定画像(特定オブジェクト等)が任意の位置に配置された画像であり、この特定画像をプレイヤに指示(特定画像の位置を回答)させるための画像である。
具体的にイベント発生部203は、図5(a)に示すような複数の区画に区分けされた領域中から、1つの区画をランダムに選択する。そして、選択した区画に特定画像としての御札画像Fを配置する。なお、御札画像Fを配置した区画の情報は、サーバ11内だけで管理される。
続いて、イベント発生部203は、御札画像Fを配置した区画を除いて、所定数の区画をそれぞれ重ならない様にランダムに選択する(重なってしまった場合には、再度ランダムに選択する)。そして、選択した各区画に、他の画像をそれぞれ配置する。つまり、図5(b)に示すように、石画像や草画像を適宜配置する。
このようにしてイベント発生部203は、特定画像等を配置した図5(c)に示すような1枚の(1まとまりの)検証画像を生成する。つまり、検証画像には、特定画像としての御札画像Fがどこに配置されているかを示す情報は何ら含まれておらず、人間の目による判断でなければ、御札画像Fの位置が判らないようになっている。
なお、図5(c)に示す検証画像は、一例として、地面用の画像であり、後述する送信部206により端末12に送られた際には、図5(d)に示すように、仮想空間中の地面として配置される(合成される)。
なお、上記CPU等がこのようなイベント発生部203として機能しうる。」
「【図5】
[図:0001427765000003.jpg]
」
「【0080】
上述した検証イベントが発生されると、図6(a)に示すように、端末11では、イベント発生部203が生成した検証画像Gが地面に配置されて(合成されて)、表示される。そして、この検証画像Gの上を、プレイヤに操作されるキャラクタJcが移動可能となっている。なお、プレイヤがキャラクタJcを移動させる際の操作情報は、サーバ11に送信される。
そして、判定部204は、受信部201を介して、端末12から送られる操作情報を受信し、手動操作が行われたか否かを判定する。例えば、判定部204は、受信した操作情報から、御札画像Fが拾われたかどうかを判別し、これに基づいて手動操作の有無を判定する。
すなわち、プレイヤが通常にプレイしている場合、検証画像G(御札画像F)が表示されると、プレイヤはその御札画像Fを拾うために、図6(b)のごとくキャラクタJcを御札画像Fの位置まで移動させる。そして、プレイヤはその御札画像Fを拾う動作をキャラクタJcに指示することになる。
そのため、判定部204は、このような操作内容を示す操作情報から、キャラクタJcの位置(拾う動作を行った位置)を得ると、実際の御札画像Fの位置と比較する。そして、両位置が一致した場合、プレイヤにより手動操作が行われていると判定する。
一方、両者の位置が一致しなかった場合や、拾う動作が指示されることなく所定時間が経過した場合には、判定部204は、キャラクタJcが御札画像Fを選定できなかったと判定する。つまり、プレイヤにより手動操作が行われていない(若しくは、そのおそれがある)と判定する。
なお、上記CPU等がこのような判定部204として機能しうる。」
「【図6】
[図:0001427765000004.jpg]
」
「【0106】
また、上述したステップS405にて、端末12から操作情報を受信すると(ステップS405;Yes)、サーバ11は、プレイヤによる手動操作であるかどうかを検証する(ステップS407)。
すなわち、判定部204は、受信した操作情報等に基づいて、御札画像が拾われたかどうかを判別し、手動操作が行われたかどうかを検証する。具体的には、上述した図6(b)に示すように、キャラクタJcの位置(拾う動作が指示された位置)が、検証画像Gにおける御札画像Fの位置と一致しているかどうかを判別する。つまり、プレイヤが通常にプレイしている場合、検証画像G(御札画像F)を視認して、その御札画像Fを拾う動作をキャラクタJcに指示することになる。
そのため、操作情報から、キャラクタJcの位置と御札画像Fの位置とが一致していれば、プレイヤにより手動操作が行われたと断定できる。
なお、両者の位置が一致しなかった場合は、ボットによる自動操作であることが疑わしくなるが、プレイヤの誤操作(操作ミス)の場合も考えられるため、この時点では断定できない。」
イ 引用発明2
上記アの摘記事項から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。(なお、括弧内の【】は、前記アの段落番号を指す。)
「 ネットワークゲームシステム10では、インターネット13上にシステム全体を管理するサーバ11が配置され、そして、本ネットワークゲームシステム10における各端末12は、インターネット13を介してサーバ11と通信可能に接続され(【0055】)、
各端末12は、同一の仮想空間(ゲーム空間)を共有し、それぞれのプレイヤが異なるキャラクタ(自キャラクタ)を操作可能となっており、端末12はインターネットへの接続が可能なゲーム装置であり(【0055】)、
サーバ11は、イベント発生部203と、判定部204とを備え(【0072】)、
イベント発生部203は、端末管理部202にて管理される各端末12におけるゲームの進行状態に基づいて、プレイヤによる手動操作を検証するための検証イベントを、対象の端末12にて発生させ(【0077】)、
検証イベントは、サーバ11自身が生成した検証画像をゲーム装置にて表示させ、この検証画像に応じた操作をプレイヤに要求するイベントであり、この検証画像は、例えば、特定画像(特定オブジェクト等)が任意の位置に配置された画像であり(【0078】)、
イベント発生部203は、複数の区画に区分けされた領域中から、1つの区画をランダムに選択し、そして、選択した区画に特定画像としての御札画像Fを配置し、なお、御札画像Fを配置した区画の情報は、サーバ11内だけで管理され(【0078】)、
判定部204は、受信部201を介して、端末12から送られる操作情報を受信し、手動操作が行われたか否かを判定し(【0080】)、
検証画像G(御札画像F)が表示されると、プレイヤはその御札画像Fを拾うために、キャラクタJcを御札画像Fの位置まで移動させ、そして、プレイヤはその御札画像Fを拾う動作をキャラクタJcに指示し(【0080】)、
判定部204は、このような操作内容を示す操作情報から、キャラクタJcの位置(拾う動作を行った位置)を得ると、実際の御札画像Fの位置と比較し、そして、両位置が一致した場合、プレイヤにより手動操作が行われていると判定し、一方、両者の位置が一致しなかった場合や、拾う動作が指示されることなく所定時間が経過した場合には、判定部204は、キャラクタJcが御札画像Fを選定できなかったと判定する(【0080】)、
ネットワークゲームシステム(【0054】)。」
(4)対比
本件補正発明と引用発明1を対比する。
(ア)引用発明1の「サーバ装置」は、本件補正発明の「コンピュータ」に相当する。
(イ)引用発明1の「仮想世界」は、本件補正発明の「仮想空間」に相当する。
(ウ)引用発明1の「“アバターを反時計回りに3回回転させてください”など」の「実行可能な動作」として「提示され」る「CAPTCHAチャレンジ98」は、本件補正発明の「仮想空間で実行すべきタスクであるチャレンジ」に相当する。
(エ)引用発明1の「チャレンジ対象のアバター」は、当該アバターを操作する主体として「人間ユーザー」あるいは「ボット」を想定しているところ、当該想定される「チャレンジ対象のアバター」を操作する主体は、本件補正発明の「応答者」に相当する。
(オ)引用発明1の「サーバ装置」は、引用発明1の「コンピュータプログラム」で動作するものであって、当該「コンピュータプログラム」は、「サーバ装置」を種々の機能的な手段として機能させるものと認められる。また、引用発明1の「コンピュータプログラム」は、本件補正発明の「プログラム」に相当する。
(カ)上記(オ)を参酌すると、「サーバ装置」に「CAPTCHAチャレンジ98を含む通信97を生成し」「チャレンジ対象のアバターの装置12nに送信」させる「コンピュータプログラム」は、本件補正発明の「コンピュータを、」「仮想空間で実行すべきタスクであるチャレンジを、当該チャレンジを実行する応答者に提供するチャレンジ提供手段と」「して機能させ」る「プログラム」に相当する。
(キ)引用発明1の「応答」は、本件補正発明の「前記応答者が前記チャレンジを実行した結果であるレスポンス」に相当する。
(ク)引用発明1は「“アバターを反時計回りに3回回転させてください”」という「CAPTCHAチャレンジ98」に「適切な応答がなされた場合には、成功通知メッセージ110」を、「適切な応答がなされない」「場合には失敗通知メッセージ115」を「送信」するものであるから、「CAPTCHAチャレンジ98」への「応答」が適切であったか否かを判定するものであるといえる。また、当該判定は「アバターを反時計回りに3回回転」させたか否かを確認することで行うものであることは明らかであるから、「アバターを反時計回りに3回回転」することは、「“アバターを反時計回りに3回回転させてください”」という「CAPTCHAチャレンジ98」に対する「正解」といい得るものである。
そうすると、引用発明1において、「応答」が「アバターを反時計回りに3回回転」させるものであったか否か確認することで行う判定は、本件補正発明の「前記応答者が前記チャレンジを実行した結果であるレスポンスと、前記チャレンジに対する正解との比較結果に基づいて、前記応答者が人間であるか否かを判定する」ことに相当する。
(ケ)上記(オ)及び(ク)を踏まえると、「サーバ装置」に上記の「判定」を行わせる「コンピュータプログラム」は、本件補正発明の「コンピュータを、」「前記応答者が前記チャレンジを実行した結果であるレスポンスと、前記チャレンジに対する正解との比較結果に基づいて、前記応答者が人間であるか否かを判定するレスポンス判定手段と、して機能させ」る「プログラム」に相当する。
(コ)引用発明1の「”アバターを反時計回りに3回回転させてください”など」の「CAPTCHAチャレンジ98」は、「チャレンジ対象のアバター」を操作する主体に対して当該アバターによる「動作」の実行を指示するものであって、「動作」は「アクション」と同義であるから、本件補正発明の「前記チャレンジは、前記仮想空間に配置された仮想オブジェクトに対して、当該仮想空間に配置され、前記応答者が操作するアバターに所定のアクションを実行させることを含」むこととは、「前記チャレンジは、当該仮想空間に配置され、前記応答者が操作するアバターに所定のアクションを実行させることを含」む点で共通する。
(サ)引用発明1において、「応答」が「アバターを反時計回りに3回回転」させるものであったか否かを確認することで行う判定は「仮想世界環境内のアバターが自動化プログラム(例えば「ボット」)ではなく人間ユーザーによって制御されていることを検証するため」のものであるから、本件補正発明の「前記レスポンス判定手段は、前記応答者が操作するアバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否かに応じて前記応答者が人間であるか否かを判定する」ことに相当する。
(シ)以上によると、本願補正発明と引用発明1は、次の点で一致し、また相違する。
【一致点】
「コンピュータを、
仮想空間で実行すべきタスクであるチャレンジを、当該チャレンジを実行する応答者に提供するチャレンジ提供手段と、
前記応答者が前記チャレンジを実行した結果であるレスポンスと、前記チャレンジに対する正解との比較結果に基づいて、前記応答者が人間であるか否かを判定するレスポンス判定手段と、して機能させ、
前記チャレンジは、当該仮想空間に配置され、前記応答者が操作するアバターに所定のアクションを実行させることを含み、
前記レスポンス判定手段は、前記応答者が操作するアバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否かに応じて前記応答者が人間であるか否かを判定する、プログラム。」
【相違点】
本件補正発明は、「チャレンジ」が「前記仮想空間に配置された仮想オブジェクトに対して、当該仮想空間に配置され、前記応答者が操作するアバターに所定のアクションを実行させること」であると共に、「レスポンス判定手段」が「前記応答者が操作するアバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否かに応じて前記応答者が人間であるか否かを判定する」ものであるのに対し、引用発明1においては、「CAPTCHAチャレンジ98」は、「仮想世界環境内の」「チャレンジ対象アバター」に「”アバターを反時計回りに3回回転させてください”など」の「動作」を実行させるものであり、当該「動作」が適切になされたか否かを確認することで「仮想世界環境内のアバターが自動化プログラム(例えば「ボット」)ではなく人間ユーザーによって制御されていること」を判定するものである点。
(5)判断
上記相違点について検討する。
引用文献1の[0071]には、「実行可能な動作の例としては、“アバターを反時計回りに3回回転させてください”や“30分前が何時だったか教えてください”などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定のユーザーが使用する入力装置を用いて実行可能なほぼすべての動作が利用可能である。」と記載されるように、引用文献1には、引用発明1における「CAPTCHAチャレンジ98」が、引用発明1において特定した態様に限定されないことが示唆されている。また、認証処理においては、複数の処理を組み合わせたり個々の処理を複雑化したりするなどして、第三者から認証手法を見破られないようにすることは特に文献を挙げるまでもなく本願出願時における技術常識もしくは常套手段である。
実際、引用発明2にあるように、仮想空間内の御札画像F(特定オブジェクト)に対して仮想空間内のキャラクターJcが拾う動作を行ったか否かでプレイヤにより手動操作が行われているか否かを判定すること、すなわち、「チャレンジ」が「前記仮想空間に配置された仮想オブジェクトに対して、当該仮想空間に配置され、前記応答者が操作するアバターに所定のアクションを実行させること」であると共に、「レスポンス判定手段」が「前記応答者が操作するアバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否かに応じて前記応答者が人間であるか否かを判定する」ものであることは、本願出願時における公知技術である。また、引用発明2は、引用発明1と課題及び技術分野が共通していることは明らかである。
そうすると、引用発明1に引用発明2の構成を適用し、引用発明1における「CAPTCHAチャレンジ98」を「前記仮想空間に配置された仮想オブジェクトに対して、当該仮想空間に配置され、前記応答者が操作するアバターに所定のアクションを実行させること」とするとともに、「前記応答者が操作するアバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否かに応じて前記応答者が人間であるか否かを判定する」ことは当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、本件補正発明は、当業者が、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
(6)請求人の主張について
審判請求書において、請求人は、次のように主張している。
「引用文献2は、「キャラクタJcの位置と御札画像Fの位置とが一致していれば、プレイヤにより手動操作が行われたと断定できる」(引用文献2の段落[0106]より抜粋)ことを開示しているにすぎず、本願の発明特定事項のように「アバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否か」を基にアバターの操作主体が人であるか否かを判断することは開示していません。」
当該主張について検討する。
まず、明細書には本件補正発明における「レスポンス判定手段」について以下の記載が存在する。
「【0085】
図12は、チャレンジ実行画面420の画面遷移例を示す図である。図12に示すように、ユーザはメッセージ421を読取り、操作装置42を操作して本人アバター422にボール423を拾わせて(チャレンジ実行画面420a参照)アバターA424に渡すと(チャレンジ実行画面420b参照)、ユーザ端末20(レスポンス入力受付手段260)は、アバターA424に渡した操作をレスポンスデータとしてサーバ10に送信する。サーバ10(レスポンス判定手段114)は、ボール423がアバターA424に渡されたことを確認すると、チャレンジは成功する。」
当該記載によると、本件補正発明は、ユーザが操作装置42を操作した操作情報である「アバターA424に渡した操作」を「サーバ10」に送信することにより「サーバ10」(レスポンス判定手段)が「ボール423がアバターA424に渡されたことを確認する」ことにより「前記レスポンス判定手段は、前記応答者が操作するアバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否かに応じて前記応答者が人間であるか否かを判定する」態様を含むものと認められる。他方、引用発明1は、「サーバ装置」が「当該CAPTCHAチャレンジ98に対するCAPTCHA応答が適切であったか否を判定」するものであるところ、「サーバ装置」が、ユーザが操作した情報に相当する「CAPTCHA応答」を受信してこれが適切なものであるのか否かを判定しているのであるから、この点において何ら本件補正発明とは変わらない。
さらに、引用発明2は「操作情報からキャラクタJcが拾う動作を行った位置を取得して実際の御札画像Fの位置と比較」するものであるところ、比較の対象となる「御札画像Fの位置」は、「キャラクタJc」が「拾う動作を行った位置」であることを前提としているところ、「御札画像Fの位置」で「拾う動作」という「所定のアクション」を実行したか否かを判定するものであるといえるから、この点においても、本件補正発明と相違しない。
また、請求人は、引用文献2に対して、次のようにも主張する。
「引用文献2によれば、キャラクタJcの 位置と御札画像Fを<拾わせる>チャレンジに対して、実際にはキャラクタJc が御札画像Fを<踏む>動作を行っても御札画像Fの位置にキャラクタJcの位置が一致したためプレイヤが人であると誤判定をする懸念がある」、
「仮にボットの自動操作によりキャラクタJcを画面内で上下左右に走査して移動させた場合、引用文献2記載発明では、御札画像Fの位置にキャラクタJcの位置が一致するだけで、実際には御札画像を拾うという動作を行わなくてもチャレンジ成功となり、プレイヤが人であると誤判定がされます」
上記主張について検討するに、引用発明2は、「検証画像G(御札画像F)が表示されると、プレイヤはその御札画像Fを拾うために、キャラクタJcを御札画像Fの位置まで移動させ、そして、プレイヤはその御札画像Fを拾う動作をキャラクタJcに指示し、判定部204は、このような操作内容を示す操作情報から、キャラクタJcの位置(拾う動作を行った位置)を得ると、実際の御札画像Fの位置と比較し」との構成から、御札画像Fの位置にキャラクタJcの位置が一致するだけではなく、その位置でキャラクタJcが御札画像Fを拾う動作をしたか否かをも判定していることは明らかである。
したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものではなく、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年11月11日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年4月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された下記の引用文献1および引用文献2に記載された発明に記載された技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:米国特許出願公開第2010/0037147号明細書
引用文献2:特開2009-89757号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1および引用文献2の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)、(3)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「レスポンス判定手段」に係る「前記レスポンス判定手段は、前記応答者が操作するアバターが前記所定のアクションに係る動作を実行したか否かに応じて前記応答者が人間であるか否かを判定する」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)、(5)に記載したとおり、当業者が、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、当業者が、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-018030