特許拒絶査定不服審判
2017-004781
電子機器
- 審判番号
- 2017-004781
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-011267外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月05日
- 審決日
- 2018年01月26日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017- 11267「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月 8日出願公開、特開2017-102952〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は,平成27年8月24日に出願した特願2015-164548号(以下,「原出願」という。)の一部を平成29年1月25日に新たな特許出願としたものであって,同年1月31日付けの拒絶理由通知に対して同年3月1日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,同年3月2日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年4月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成29年3月1日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
ケースと,
前記ケースの側面に配置された電源ボタンと,
前記電源ボタンを触れる指の指紋を検出する検出部と
を備え,
前記電源ボタンは,前記ケースから露出する,前記指が触れる露出面を有し,
前記側面のうち,少なくとも前記露出面の周囲が,前記露出面の外縁よりも突出する,
電子機器。」
3.引用例
(1)引用例1
原査定の拒絶理由で引用された,本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である,特開2002-112340号公報(平成14年4月12日出願公開。以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。)
A 「【0023】図1において,この移動機の本人認証システム11は,指紋を当接されて指紋を電気信号に変える指紋走査部13とこの電気信号に変えられた指紋を指紋として認識する指紋認識部14と,パスワードを入力するパスワード入力部15と,どの手続にどの本人認証手段を用いるか設定を行う本人認証設定部16と,パスワードや指紋によりなされた情報を移動機の固有ID17により暗号化する暗号化部18と,暗号化された信号を親局11に送信する送受信部19とから成る。
【0024】移動機固有ID17は,移動機に一意的に割り振られているID,例えばSIM(Subscriber Identity Module)番号やMIN(Mobile Identification Number)などであり,これは親局には予め知られている。
【0025】親局11には,移動機から送られてきた信号を受信する送受信部21と,受信した信号をその移動機固有IDで復号化する復号化部22と,移動機で本人認証設定部16で設定された使用目的と認証手段の関係に基づいて信号を送ってきた移動機が本人により使用されていることの認証処理を行う認証処理部23と,具体的に指紋照合により本人を行う指紋照合認証処理部24と,パスワードによる本人認証を行うパスワード認証処理部25と,これらの認証手段により本人であることが確認された後,使用目的に沿った処理がなされる初期実行プロセス実行部26が含まれている。
【0026】本発明の一実施形態における移動機10の外観の例を図3に示す。この移動機は通常の携帯電話やPHSなどであり,前面下部には,文字などを入力する入力ボタン31を有し,前面上部には,入力された文字や受信した情報を表示するための表示画面32が設けられている。
【0027】この移動機30の,通常,使用者が手で保持する側面には,指紋ソーサ33が設けられていて使用者の指紋の情報が取得される。これは移動機の入りスイッチと兼用(あるいは作動開始を意味するログオン)になっている。
【0028】この指紋ソーサ33は図1の指紋走査部13に該当する。指紋ソーサ33は指先くらいの大きさの皿型の軽い凹面形状をしている。このように移動機30の側面の通常使用者が把持する位置に設けられていると,目で指の位置を確認することなく指を当てることができ,認証手段が指紋の場合には,本人認証のための特別の操作が必要でなく,極めて容易に本人認証ができる利点がある。
【0029】即ち,図6に示すように,移動機における本人認証は,ステップS61で指紋ソーサ33に指を載せて押下すると,ステップS62で移動機内の指紋認識部(図示せず)が稼動し,ステップS63で本人であるかどうか確認され,本人であるとステップS64でログオンし,ステップS65で予め登録されている動作群の処理を行う。ステップS63で指紋が予め登録されている指紋と一致しないと,ステップS66その旨表示される。
【0030】指紋ソーサ33は,凹面の他,平面で感触の異なる材料により形成して,指先で指紋ソーサの位置がすぐ判別できるようにしてもよい。
(途中省略)
【0043】上記実施形態では,指紋ソーサに指を置き,軽く押すなどの何らかの操作を加えることによって,あるいはキャパシタセンサ,圧力センサ,などにより,指が載せられたことを検知することによって,指紋認識部が起動し指紋認識が発せられる。指紋が認識されることによって本人認証が完了し,移動機から定期券情報が発せられ,改札機と情報を交換することによって通り抜けることができる。」
B 「【図1】
」
C 「【図3】
」
D 「【図6】
」
ここで,上記引用例1に記載されている事項について検討する。
ア 上記Aの段落【0027】の「この移動機30の,通常,使用者が手で保持する側面には,指紋ソーサ33が設けられていて使用者の指紋の情報が取得される。これは移動機の入りスイッチと兼用(あるいは作動開始を意味するログオン)になっている。」との記載,及び上記Cで引用した図3の記載から,
“移動機の側面には,移動機の入りスイッチと兼用になっている指紋ソーサが設けられていること”,が読み取れ,
また,上記Aの段落【0026】の「本発明の一実施形態における移動機10の外観の例を図3に示す。この移動機は通常の携帯電話やPHSなどであり」との記載から,
“移動機は,携帯電話などである”ことが読み取れ,
さらに,上記Cで引用した図3の記載から,
“移動機”は,何らかの“ケース”に収納されたものであることが読み取れ,また,
“移動機の側面”は,“移動機のケースの側面”ということができるから,
以上を総合すると,引用例1には,
“ケースと,前記ケースの側面に設けられた移動機の入りスイッチと兼用になっている指紋ソーサと,を備えた携帯電話などの移動機”
が記載されていると認められる。
イ 上記Aの段落【0028】の「指紋ソーサ33は指先くらいの大きさの皿型の軽い凹面形状をしている。このように移動機30の側面の通常使用者が把持する位置に設けられていると,目で指の位置を確認することなく指を当てることができ」との記載,及び上記Cで引用した図3の記載から,
“指紋ソーサは,指先くらいの大きさの皿型の軽い凹面形状で,指を当てることができる”ことが読み取れる。
ウ 上記Aの段落【0023】の「この移動機の本人認証システム11は,指紋を当接されて指紋を電気信号に変える指紋走査部13とこの電気信号に変えられた指紋を指紋として認識する指紋認識部14・・・から成る。」との記載,同じく上記Aの段落【0028】の「この指紋ソーサ33は図1の指紋走査部13に該当する。」との記載,同じく上記Aの段落【0029】の「移動機における本人認証は,ステップS61で指紋ソーサ33に指を載せて押下すると,ステップS62で移動機内の指紋認識部(図示せず)が稼動し」との記載,同じく上記Aの段落【0043】の「上記実施形態では,指紋ソーサに指を置き,軽く押すなどの何らかの操作を加えることによって,あるいはキャパシタセンサ,圧力センサ,などにより,指が載せられたことを検知することによって,指紋認識部が起動し指紋認識が発せられる。」との記載,及び上記Bで引用した図1の記載から,
“指紋ソーサは,指紋を当接されて指紋を電気信号に変えること”,また,“指紋ソーサに指を載せて押下すると,あるいは,指紋ソーサに指が載せられたことを検知すると,指紋認識部が起動すること”,さらに,“指紋認識部は,指紋ソーサによって電気信号に変えられた指紋を指紋として認識すること”が読み取れるから,
引用例1には,
“指紋ソーサは,指紋を当接されて指紋を電気信号に変えるものであり,指紋ソーサに指を載せて押下すると,あるいは,指紋ソーサに指が載せられたことを検知すると,指紋認識部が起動して,指紋ソーサによって電気信号に変えられた指紋を指紋として認識する”
ことが記載されていると認められる。
エ 上記Aの段落【0029】の「即ち,図6に示すように,移動機における本人認証は,ステップS61で指紋ソーサ33に指を載せて押下すると,ステップS62で移動機内の指紋認識部(図示せず)が稼動し,ステップS63で本人であるかどうか確認され,本人であるとステップS64でログオンし,ステップS65で予め登録されている動作群の処理を行う。」との記載,及び上記Dで引用した図6の記載から,
“指紋ソーサに指を載せて押下すると,指紋認識部が稼動し,使用者が本人であると確認されるとログオンすること”が読み取れ,
また,上記Aの段落【0027】の「これは移動機の入りスイッチと兼用(あるいは作動開始を意味するログオン)になっている。」との記載から,
“ログオンは,作動開始を意味する”ことが読み取れるから,
上記ウでの検討と合わせると,引用例1には,
“指紋ソーサは,指紋を当接されて指紋を電気信号に変えるものであり,指紋ソーサに指を載せて押下すると,あるいは,指紋ソーサに指が載せられたことを検知すると,指紋認識部が起動して,指紋ソーサによって電気信号に変えられた指紋を指紋として認識し,使用者が本人であると確認されると作動開始する”
ことが記載されていると認められる。
上記ア~エの検討から,引用例1には,次のとおりの発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ケースと,
前記ケースの側面に設けられた移動機の入りスイッチと兼用になっている指紋ソーサと,を備えた携帯電話などの移動機であって,
前記指紋ソーサは,指先くらいの大きさの皿型の軽い凹面形状で,指を当てることができ,
前記指紋ソーサは,指紋を当接されて指紋を電気信号に変えるものであり,指紋ソーサに指を載せて押下すると,あるいは,指紋ソーサに指が載せられたことを検知すると,指紋認識部が起動して,指紋ソーサによって電気信号に変えられた指紋を指紋として認識し,使用者が本人であると確認されると作動開始する,
携帯電話などの移動機。」
(2)引用例2
原査定の拒絶理由で引用された,本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である,特開2007-179343号公報(平成19年7月12日出願公開。以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。)
E 「【0019】
以下,図1~図7を参照して本発明の実施例を説明する。
この実施例は,秘匿情報の出力を制限するセキュリティ機能付き情報処理装置として携帯電話装置に適用した場合を例示したもので,図1は,セキュリティ機能付き携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この携帯電話装置は,例えば,2つの筐体(上部筐体,下部筐体)が開閉可能に取り付けられた折り畳み自在なもので,通話機能,メール機能,インターネット接続機能などが備えられている。この場合,電話帳(アドレス帳)情報,スケジュール帳情報,メールフォルダ情報,発信履歴情報,着信履歴情報などを管理するデータ
(途中省略)
【0023】
図2は,折り畳み式の装置本体を開いた状態を示した図であり,キー操作部12には,指紋センサFS付きの電源ボタンPWが設けられている。
すなわち,電源ボタンPWのキートップ部分には指紋センサFSが接着固定されており,電源ON操作時にその操作者の親指の指紋パターンを自動検出するようにしている。この場合,CPU1は,入力された指紋パターンと予め記憶部2に登録されている正規ユーザの指紋パターンとを比較することによってユーザ認証(本人確認)を行い,本人(正規なユーザ)であれば,実情報(秘匿情報)のアクセスを許可し,この実情報を読み出してメイン表示部10に表示出力させる。その際,実情報のアクセスが許可されたことをユーザ本人に報知するようにしている。この本人報知の方法は予め当該ユーザが任意に選択設定した方法で行われるが,図2の例では,任意の図形(例えば,ハート型図形)のアイコン表示で本人報知が行われた状態を示している。」
F 「【図2】
」
(3)引用例3
原査定の拒絶理由で引用された,本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である,特開2000-165378号公報(平成12年6月16日出願公開。以下,「引用例3」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。)
G 「【要約】
【課題】 簡単な操作で指紋認証を行ない,移動無線端末などのセキュリティを高める。
【解決手段】 移動無線端末機の電源スイッチ1に指紋読取部2を設ける。電源スイッチ1を押すと指紋認証が行なわれ,指紋登録部3に登録した指紋と一致したら移動無線端末機を動作させる。さらに,マイク6から入力された音声の声紋を,声紋登録部7に登録された声紋と照合し,一致したら通話可能とする。通話開始後一定時間経過したら,タイマ部9により電源をオフにする。動作状態のままでの紛失や盗難の場合でも,不正使用を防止できる。スイッチ1を押すという簡単な操作だけで指紋認証ができ,移動無線端末機のセキュリティを高めることができる。また,通話スイッチに多段スイッチを用いて,半押しで指紋認証と乱数発生を行ない,全押しで通話を行なうようにすることもできる。」
H 「【0030】(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態は,移動無線端末機の電源スイッチに指紋読取部を設け,複数の人の指紋を指紋登録部に登録し,指紋読取部で読み取った読取指紋データと指紋登録部の登録指紋データとを指紋認証部で比較し,指紋認証部の比較結果に基づいて使用者を認識するとともに移動無線端末機を動作させ,入力音声の声紋データと登録してある声紋データとを比較した結果に基づいて移動無線端末機を通信可能にし,移動無線端末機の動作開始後一定時間経過したら電源をオフにする指紋認証装置である。」
I 「【図1】
」
(4)引用例4
原査定の拒絶査定で引用された,本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である,特開2006-134144号公報(平成18年5月25日出願公開。以下,「引用例4」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。)
J 「【0019】
(カード本体)
図2は図1のA-A’断面を示す図であってICカードKの構造を示す断面図である。図3は図2のB-B’断面を示す図であってFPCのパターンの一部を示す平面図である。また,図4はICカードKの要部を示す断面拡大図である。
図2に示すように,カード本体10は,基材13a,13bと,FPC(Flexible Print Circuit,可撓性基板)14と,スペーサ部材15と,ICチップ16と,保護フィルム17a,17bと,スイッチ部(スイッチ手段)18とによって構成されている。
ここで,基材13a,13bは,プラスチック等の可撓性を有する樹脂材料からなるものであり,互いに対向して配置されている。また,基材13a,13bは,その内側にFPC14,スペーサ部材15,及びICチップ16を備えており,これらを保護する機能を有している。また,基材13a,13bの各々の外側表面には,保護フィルム17a,17bが形成されており,基材13a,13bに傷がついたり,汚れが付着したりするのを防止している。更に,基材13b及び保護フィルム17bの各々には,指紋センサ11に対応する位置に貫通孔13c,17cが形成されており,これによりカード本体10に開口部10aが形成され,指紋センサ11を露出させている。
【0020】
また,FPC14は,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリイミド等の寸法安定性の優れたプラスチックフィルムからなる回路基板である。このようなプラスチックフィルムは,折り曲げ自在の特性,即ち,可撓性を有するフィルムであるため,立体的な配線や屈曲部への回路接続等を可能としている。また,FPC14には,その表面側に指紋センサ11が形成されており,その裏面側にCu等からなる低抵抗の金属配線14a,14bとICチップ16とが形成されている。ここで,当該指紋センサ11は,不図示の金属配線を介してICチップ16に接続されている。また,当該金属配線14a,14bは,ICチップ16に接続されている。
【0021】
図3及び図4に示すように,指紋センサ11が形成されているFPC14の裏面側(指紋センサの検出面の反対側)には,スイッチ部18が形成されている。当該スイッチ部18は,金属配線14aが延在して形成された第1電極14cと,金属配線14bが延在して形成された第2電極14dと,基材13a上に形成された金属端子(導通部材)19とを有している。当該第1電極14c及び第2電極14dは,FPC14の裏面側において非導通となっているが,金属端子13bと平面的に重なって配置されているため,指紋センサ11に指の押圧力が付与された場合には第1電極14c及び第2電極14dが金属端子19を介して導通するようになっている。
【0022】
また,図4に示すように,FPC14は指紋センサ11の周囲に,伸縮自在な伸縮部14eを有している。当該伸縮部14eは,指紋センサ11に指の押圧力が付与されていない場合には湾曲形状となっており,また,指紋センサ11に指の押圧力が付与された場合にはFPC14の撓み伴って,紙面左右方向に伸びるようになっている。
【0023】
また,スペーサ部材15は,FPC14と基材13aとの間に配置された部材であり,FPC14の表面に凹凸状に形成されたICチップ16を埋設することで,基材13aとスペーサ部材15との接触面に平坦化を施している。
更に,スペーサ部材15には,指紋センサ11が形成されているFPC14の裏面側に
,貫通孔15aが形成されている。従って,基材13aとFPC14との間に空間15bが形成されたものとなり,指紋センサ11に指の押圧力が付与されると,FPC14が空間15b内において自在に撓むようになっている。
また,スペーサ部材15の材料としては,プラスチック等の可撓性を有する樹脂材料が適宜採用される。なお,スペーサ部材15の材料として,基材13a,13bと同一材料を採用してもよい。また,上記のようにスペーサ部材15と基材13aの各々は,別体となっているが,一体に形成されてもよい。
【0024】
次に,上記構成のカード本体10の厚さについて説明する。
各部の厚さは,基材13a,13bの各々が約100μm程度,保護フィルム17a,17bの各々が約50μm程度,FPC14とスペーサ部材15とを重ね合わせた厚さが約400~500μm程度となっている。従って,カード本体10の合計の厚さは,700μm~800μm程度となっており,当該厚さ寸法をICカードの規格内に収めることが可能となっている。
【0025】
(指紋センサ)
図5はICカードKにおける指紋センサの構成を示す模式図である。
指紋センサ11は,剥離転写技術(後述)によってFPC14上に形成されたものであり,可撓性を有している。
図5に示すように,指紋センサ11は,静電容量型,すなわち凹凸を有する指紋と検出面11aとの間の距離に応じて変化する静電容量を測定して,指紋データを検出するようになっている。このような静電容量型の指紋センサ11は,光源が不要であるために薄型化することが容易であり,かつ表面保護層(パッシベーション膜)を適切に選択することによって,耐傷性を向上させることが可能となっている。
指紋センサ11は,FPC14上に設けられており,このFPC14上には,所定の間隔を空けて互いに平行に形成された不図示の複数の走査線と,この走査線に対して直交するように所定の間隔を空けて互いに平行に形成された複数の信号線116とが設けられている。」
K 「【0036】
(スイッチ部の動作)
次に,図4及び図7を参照して,スイッチ部の動作について説明する。
図7はICカードKの要部を示す断面拡大図であって,利用者の指が指紋センサを押圧した状態を示す図である。
図7に示すように,ICカードKの利用者が指Fを指紋センサ11に押し当てることで,指紋センサ11に対して紙面下方向に押圧力が付与される。これにより,押圧力の方向に伴って指紋センサ11及びFPC14は撓み,これと同時に伸縮部14eは紙面左右方向に伸長する。すると,FPC14の裏面側に形成されている第1電極14c及び第2電極14dは,金属端子19と接触し,当該第1電極14c及び第2電極14dは導通状態となる。そして,スイッチ部18は,ON状態のスイッチ信号を第2演算処理部22に入力する。第2演算処理部22は,当該スイッチ信号を受けると,指紋センサ11を動作状態にする。ここで,図7のように指紋センサ11は指Fによって押圧された状態となっているので,指紋センサ11は検出面11aから指紋情報を検出し,当該検出された抽出指紋データは,第2演算処理部22に入力される。」
L 「【図1】
」
M 「【図2】
」
N 「【図5】
」
O 「【図7】
」
(5)参考文献1
本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である,特開2005-115513号公報(平成17年4月28日出願公開。以下,「参考文献1」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。)
P 「【0032】
また,本発明の第2の実施の形態の指紋検出装置21は,図3に示すように,下部壁22aと周壁22bと上部壁22cとを有するケース22が配設され,このケース2は,内部に空洞部23が形成されている。
前記上部壁22cには,開口部22dが形成されている。また,空洞部23には,横長状のセンサホルダ24が配設され,このセンサホルダ24の下面の横長方向には,球面状の第1凸部24aと第2凸部24bとが突出形成されている。
【0033】
また,センサホルダ24の上面には,指紋センサ25が取り付けれれ,指紋センサ25の上面のセンサ面25aが,開口部22dに位置している。
また,センサ面25aには,第1の実施の形態と同様に,位置決め部(図示せず)およびセンタマーク(図示せず)が設けられている。
【0034】
また,センサホルダ24の第2凸部24bの下部には,第2可動接点26と第1固定接点27とからなる第1スイッチ機構28が配設されている。前記第1可動接点26は,第1固定接点27と所定の間隔を有して互いに絶縁されて下部壁22aに配設された一対の端子部29,29に,外周端部が常時接して配設されている。
また,センサホルダ24の第2凸部24bの下部には,第2可動接点30と第2固定接点31とからなる第2スイッチ機構32が配設されている。
【0035】
前記第2可動接点30は,第2固定接点31と所定の間隔を有して互いに絶縁されて下部壁22aに配設された一対の端子部33,33に,外周端部が常時接して配設されている。
即ち,第1,第2スイッチ機構28,32は,指紋センサ25の下部において指紋センサ25に載置した指の長手方向に沿って複数個配設されている。
また,第1,第2可動接点26,30は,第1の実施の形態の可動接点6と同様に,反転板バネからなり,それぞれドーム状に形成されてクリック発生手段が構成されている。
そして,第1,第2可動接点26,30は,ドーム状の頂部が押動されて反転することにより,クリック感が生起されるようになっている。
【0036】
このような第2の実施の形態の指紋検出センサ21の操作を説明すると,図3に示すように,初期状態における指紋センサ25は,第1,第2可動接点26,30の頂部に,センサホルダ24の第1,第2凸部24a,24bが当接して上昇位置にある。
そして,上昇位置にある指紋センサ25のセンサ面25aに載置した指で,指紋センサ25を下方に押動すると,図4に示すように,センサホルダ24の第1,第2凸部24a24bが,第1,第2可動接点26,30の頂部を押動する。
このことにより,反転した第1,第2可動接点26,30が,第1,第2固定接点27,31に電気的に接触してスイッチング動作が行われる。
【0037】
前記スイッチング動作に連動して,同時に第1,第2可動接点26,30に形成したドーム状のクリック発生手段によってクリック感が生起される。
そして,前記スイッチング動作で,第1スイッチ機構28は,一対の端子部29と第1固定接点27との間のスイッチ回路が切り換わってONする。
前記第1スイッチ機構28のスイッチング動作と同時,あるいは若干前後して,第2スイッチ機構32も,一対の端子部33と第1固定接点31との間のスイッチ回路が切り換わってONする。
【0038】
そして,第1,第2スイッチ機構28,32の両方がONすると,制御部(図示せず)によって指紋検出の開始が指示されて,指の指紋に対応して発生する静電容量を制御部が検知して指紋が検出される。
即ち,本発明の第2の実施の形態では,第1,第2スイッチ機構28,32の全てが,スイッチング動作が行われてONしたときに指紋検出が開始されるようになっている。
その後,指紋センサ25を押し下げていた指を指紋センサ25から取り去ると,第1,第2可動接点26,30は,ドーム状に自動復帰する。
このことにより,センサホルダ24が押し上げられて,指紋センサ25が図3に示す初期状態に自動復帰する。同時に,第1,第2スイッチ機構28,32がOFFとなる。」
Q 「図3
」
R 「図4
」
(6)参考文献2
本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である,実願昭60-35396号(実開昭61-153238号)のマイクロフィルム(昭和61年9月22日出願公開。以下,「参考文献2」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。)
S 「本考案は,キーをそのまわりの少なくとも一部分よりもへこませて配置する構成を提案する。
以下,本考案の実施例を図面に従って説明する。
第1図は機器の一例として複写機を示し,この複写機の上部にはコタクトガラス1が固設され,その上に原稿2が載置され,これを圧板3によって押えてコピーをとることができる。コンタクトガラス1の手前には操作部4が設けられ,ここに多数のキー入力装置が配設されている。
各キー入力装置は第2図および第3図に示す如くプリント板5上に設けられたスイッチ6,このスイッチをオン,オフするキー7を有し,各キー7はキー支持板8により支えられ,支持板8の上面は操作部カバー9によって覆われている。各キー7はオペレータによってその上面7aを押下され,これによリスイッチ6が作動され,複写機が制御される。
第2図および第3図から明らかなように,各キー7はその上面7aが操作部カバー9の上面9aよりもへこんだ状態で配置され,両上面間には段差Aが存在する。
上述の如く各キー7はそのまわりのカバー上面よりもへこんで位置しているため,オペレータが複写機を操作しているとき,その身体の一部が操作部4に触れたとしても,カバー9の上面9aに触れるものの,これよりも凹入したキー7を押下させるような大きな力で該キー7に触れることは通常あリ得ない。したがってキー7を不本意に押下し,スイッチ6をオン,オフさせる不都合を阻止,ないしは抑制することができる。たとえば,オペレータがコンタクトガラス1上に原稿2を載せ,コピーモードをセットした後,コピーをとろうとする直前に,プリントキー以外のキーにオペレータの身体の一部が誤って触れ,これを押してしまう恐れを防止することができる。
その反面,操作しようとするキーに対しては,凹入したキーの上面7aにオペレータが指を入れることができるため,これを支障なく操作することができ,キーをへこませて配置したことによリ操作性が低下することはない。」(第3頁6行~第5頁5行)
T 「第2図
」
U 「第3図
」
(7)参考文献3
本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である,実願平3-69218号(実開平5-15247号)のCD-ROM(平成5年2月26日出願公開。以下,「参考文献3」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。)
V 「 【0006】
【実施例】
以下,図1を参照して本考案の詳細について説明する。
図1は本考案の一実施例を示す断面図であり,図2と同一部分は同記号を用いている。 図1において,ラバー製スイッチ・シート3の押ボタン部5上には,底部8を押ボタン部5の外径と略同形に形成すると共に頂部9を底部8よりも小径に形成した凸型のアクリル樹脂製のアクチュエータ10が載置される。11は入出力端末機の外装カバーであってABS樹脂等を割型にモールドしたものであり,このカバー11の電源スイッチ5に対向する位置にアクチュエータ10の頂部9が嵌合する穴12が設けられている。アクチュエータ10の頂部9はカバー11の表面よりも幾分低く構成することによって,不用意なスイッチ操作を防止している。またカバー11に設けた穴12の外側角部には面取りを施したことにより,アクチュエータ10を押し易くすると共に押した際の触感を良くしている。」
W 「【図1】
」
4.対比
本願発明と,引用発明とを比較する。
ア 引用発明の「携帯電話などの移動機」は,“電子的”に動作する“電子機器”と言いうるものであるから,引用発明の「移動機」が本願発明の「電子機器」に相当する。
イ 引用発明の「ケース」が本願発明の「ケース」に相当する。
ウ 引用発明の「指紋ソーサ」は,「前記ケースの側面に設けられた」ものであるから,本願発明の「電源ボタン」とは,共に,「前記ケースの側面に配置された」ものである点で共通する。
引用発明の「指紋ソーサ」は,「移動機の入りスイッチと兼用になっている」ものであり,「指を載せて押下する」ことで「入りスイッチ」を操作するための“ボタン”であるといえるから,本願発明の「電源ボタン」とは,共にスイッチを操作するための“ボタン”である点で共通する。
してみれば,引用発明の「前記ケースの側面に設けられた移動機の入りスイッチと兼用になっている指紋ソーサ」と本願発明の「前記ケースの側面に配置された電源ボタン」とは,「前記ケースの側面に配置されたボタン」である点で共通する。
エ 引用発明の「指紋ソーサ」は,「指紋を当接されて指紋を電気信号に変える」ものであるところ,ここで,指紋ソーサによって電気信号に変えられる指紋は,「指紋ソーサに載せて指紋ソーサを押下する指」,あるいは,単に,「指紋ソーサに載せられた指」の指紋であり,いずれの指も,「指紋ソーサ」を“触れる指”であるということができる。
一方,本願明細書の段落【0055】には,「その後,ステップs4において,制御部100は,指紋センサ140で指紋が検出されているか否かを判定する。言い換えれば,制御部100は,電源ボタン3aに指が触れているか否かを判定する。このとき,電源ボタン3aは,ユーザの指で触れられていれば良く,ユーザの指で押されていても良いし,ユーザの指で押されていなくても良い。」と記載されていて,この記載からも,電源ボタンに指が“触れている”とは,電源ボタンが“ユーザの指で押されていても良いし,ユーザの指で押されていなくても良い”と解されることから,
上記ウで検討したこととあわせると,引用発明の「指紋ソーサ」に“触れる指”は,「ボタンを触れる指」である点で,本願発明の「電源ボタンを触れる指」と共通する。
オ 引用発明の「指紋を当接されて指紋を電気信号に変える」「指紋ソーサ」(前者)と,本願発明の「前記電源ボタンを触れる指の指紋を検出する検出部」(後者)とを対比すると,
前者の「指紋ソーサ」が「電気信号に変える」「指紋」は,上記エの検討から,「指紋ソーサ」を“触れる”「指」の「指紋」であるから,上記ウでの検討をあわせると,「ボタンを触れる指の指紋」である点で,後者の「前記電源ボタンを触れる指の指紋」と共通し,
前者の「指紋を電気信号に変える」ことは,「指紋を」“検出する”ことに他ならないから,
前者と後者とは,
「前記ボタンを触れる指の指紋を検出する検出部」
である点で,共通する。
カ 引用発明の「指紋ソーサ」は,「指先くらいの大きさの皿型の軽い凹面形状で,指を当てることができ」るものであり,また,「指を載せて押下する」ものであるから,「指が触れる露出面を有し」ているということができ,また,当該「露出面」は,「ケースから露出する」ものであるといえる。
してみれば,引用発明の「指紋ソーサ」と本願発明の「電源ボタン」とは,「前記ケースから露出する,前記指が触れる露出面を有し」ている点で共通する。
以上の検討から,本願発明と引用発明とは,
「ケースと,
前記ケースの側面に配置されたボタンと,
前記ボタンを触れる指の指紋を検出する検出部と
を備え,
前記ボタンは,前記ケースから露出する,前記指が触れる露出面を有している
電子機器。」
の点で一致し,以下の点で相違する。
[相違点1]
ケースの側面に配置されたボタンが,
本願発明では,「電源ボタン」であるのに対して,引用発明の指紋ソーサ(ボタン)は,電源ボタンであるとの特定はなされていない点。
[相違点2]
本願発明では,「(ケースの)側面のうち,少なくとも(ボタンの)露出面の周囲が,前記露出面の外縁よりも突出する」ようになっているのに対して,
引用発明では,そのようになっていない点。
5.判断
上記各相違点について,検討する。
[相違点1]について
本願明細書には,以下(ア)~(キ)のような記載がある。
(ア)「操作ボタン3aは,例えば電源ボタンである。電源ボタンは,電子機器1において,一部の機能を停止したり,停止している機能を復帰(起動)したりするための操作ボタンである。」(段落【0015】)
(イ)「また,通常モードにおいて,電源ボタン3aが操作されたとき,通常モードからスリープモードに遷移する。」(段落【0037】)
(ウ)「一方で,スリープモードにおいて,電源ボタン3aが操作されたとき,スリープモードから通常モードに遷移する。つまり,スリープモードにおいて,電源ボタン3aが操作されたとき,電子機器1では,スリープモードに遷移するときに停止された機能が復帰する。・・・」(段落【0038】)
(エ)「スリープモードにおいて,電源ボタン3aが操作されたときと,ホームボタン3dが操作されたとき,スリープモードが解除されて,電子機器1の動作モードはロックモードとなり,表示領域20にロック画面350が表示される。」(段落【0043】)
(オ)「このように,電子機器1では,ロックモードのときにユーザ認証が行われることから,正規のユーザは,ロック画面350が表示されているときに,電源ボタン3aを,それがオン状態とならないように指で触ることによって,電子機器1にロックモードを解除させることができる。」(段落【0048】)
(カ)「指紋登録モードにおいて,正規のユーザが自身の手の指を電源ボタン3a上に置くと,指紋センサ140は当該指の指紋を検出し,検出指紋を示す指紋画像を出力する。」(段落【0049】)
(キ)「したがって,正規のユーザは,右手で持つ電子機器1の電源ボタン3aを右手親指で触ることによって,電子機器1にロックモードを解除させることができる。また,正規のユーザは,左手で持つ電子機器1の電源ボタン3aを左手人差し指で触ることによって,電子機器1にロックモードを解除させることができる。」(段落【0051】)
上記(ア)~(キ)の記載からすると,本願発明の「電源ボタン」とは,電子機器において,一部の機能を停止したり,停止している機能を復帰(起動)したりするための操作ボタンであり,例えば,電子機器を,通常モードからスリープモードに遷移させたり,スリープモードから通常モードに遷移させたりする機能を有し,また,電源ボタン上に置かれた指の指紋を検出する機能も有しているものであると認められる。
一方,引用発明の「入りスイッチ」は,これと兼用になっている指紋ソーサに指を載せたり押下したりすると,その指の指紋を認識する機能を有していることに加えて,使用者が本人であると確認されると,移動機の作動を開始させるという機能,すなわち,本願明細書でいうところの「停止している機能を復帰(起動)する機能」と同様の機能も有しており,結局のところ,引用発明の「入りスイッチを押すための指紋ソーサ」と本願発明の「電源ボタン」とは,それが有している機能の点で,何ら変わるところがない。
してみれば,相違点1は,実質的な相違点とはいえない。
なお,仮に,本願発明の「電源ボタン」が上記の「停止している機能を復帰(起動)する機能」を有していないボタンを特定するとしても,例えば,引用例2(上記E,Fを参照)には,携帯電話装置において,電源ボタンによる電源ON操作に応答して,電源ボタンに付いている指紋センサによって指紋パターンを取得してユーザ認証することが記載され,また,引用例3(上記G~Iを参照)には,移動無線端末機において,電源スイッチに指紋読取部を設け,電源スイッチを押すと指紋認証を行うことが記載されているように,携帯電話等の移動機に設けられ,指紋検出を行うボタンを電源ボタンとすることは,本願の原出願の出願前に,指紋の検出及び認証を行う移動機の技術分野において既に周知技術であったと認められる。
そして,引用発明は,携帯電話などの移動機において,「指紋ソーサに指を載せて押下すると,あるいは,指紋ソーサに指が載せられたことを検知すると,指紋認識部が起動して,指紋ソーサによって電気信号に変えられた指紋を指紋として認識し,使用者が本人であると確認されると作動開始する」ものであり,指紋の検出及び認証を行う移動機である点で,上記周知技術と共通の技術分野に属するものであるから,当該技術分野に属する引用発明において,上記周知技術を考慮して,移動機に設けられ,指紋検出を行うボタンである指紋ソーサを電源ボタンとすること,すなわち,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点2]について
操作面に指紋読み取り部を設けたボタンにおいて,操作面全体をケース面より低くする構成,すなわち,ケース面のうち,ボタンの露出面の周囲が前記露出面の外縁よりも突出する構成(以下,「露出面埋没構成」という。)とすることは,例えば,引用例4(上記J~Oの記載を参照),或いは参考文献1(上記P~Rの記載を参照)に記載されているように,本願の原出願の出願前に当該技術分野において周知技術であったものと認められ,また,ボタンを“露出面埋没構成”とすることも,例えば参考文献2(上記S~Uの記載を参照)や参考文献3(上記V,Wの記載を参照)にみられるように,本願の原出願の出願前に,ボタン構成のバリエーションとして普通に採用されていたものと認められることから,露出面とケース面との関係をどのように構成するかは,操作性等を考慮して当業者が必要に応じて適宜決定しうる設計的事項であるものと認められる。
加えて,上記Aで引用した引用例1の段落【0030】には,「指紋ソーサ33は,凹面の他,平面で感触の異なる材料により形成して,指先で指紋ソーサの位置がすぐ判別できるようにしてもよい。」と記載されており,指紋ソーサの構成を適宜変更してもよいことが示唆されている。
さらに,上記相違点2に係る構成とすることにより得られる,「露出面を外縁まで含めてより確実に保護する」という効果は,意見書及び審判請求書においては主張されているものの,当初明細書の発明の詳細な説明には記載されていないことからみても,当該効果が,上記相違点2に係る構成から得られる本願発明が奏する格別顕著な効果であるとは認められない。
してみれば,引用発明において,上記周知技術を採用し,指紋ソーサを,“露出面埋没構成”とすること,すなわち,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
そして,上記各相違点を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,引用発明及び周知技術から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
6.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-004781