特許拒絶査定不服審判
2017-002371
触感呈示装置
- 審判番号
- 2017-002371
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-265905外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月17日
- 審決日
- 2017年11月20日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-265905「触感呈示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 2日出願公開、特開2015-121983〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成25年12月24日の出願であって、平成28年11月15日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同月22日)、これに対して平成29年2月17日に審判の請求がなされ、その後、平成29年8月1日付けで当審より拒絶理由が通知され、平成29年10月6日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。
2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年10月6日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「 【請求項1】
接触を検出する接触検出部と、
前記接触検出部に対する押圧を検出する押圧検出部と、
前記接触検出部を振動させる複数の振動部と、
前記押圧検出部が検出する押圧に基づくデータが所定の基準を満たすと、前記複数の振動部を複数の異なる態様でそれぞれ振動させて、前記接触検出部に接触物が接触している位置において、所定の条件により構成される目的の触感を呈示するように制御する制御部と、
を備える触感呈示装置。」
3.引用発明等
(1) 引用文献1、引用発明について
平成29年8月1日付けの拒絶理由通知に引用された、本願出願前に公開された、特開2005-258666号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審において付与。以下同様。)。
ア 段落【0002】-【0010】
「【背景技術】
【0002】
従来から、入力装置としてタッチパネルと画像表示部(LCD等)の間に圧電バイモルフ型のアクチュエータを配置し、アクチュエータを励磁することでユーザに触感フィードバックを与えるようにし、押圧操作を行った場所や操作力によって入力装置側からの反応を異なったものとし、それによって操作感を多彩なものとする様にした技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
図10、図11、図12は特許文献1に開示された電子機器のタッチパネルの構成を示すもので、具体的には、図10に示す様に駆動モード選択部72は、領域判定信号SRが領域R1~R0のいずれに属するかを第1の指標とし、操作力判定信号FBが表現している区分が操作力区分F1~F4のいずれに属するかを第2の指標として、それら第1と第2の指標の組合せに対してどの駆動モードを選択すべきかが、テーブル72aにあらかじめ格納されている。図10のテーブル72a中の記号S11,S12、…は、たとえば図11のような各種の駆動モード波形のいずれかを選択して指定するためのコードである。
【0004】
図11は駆動モード記憶部73に記憶されている種々の駆動モード波形を模式的に示したものである。たとえば、図11(a)は小振幅で継続的振動を行うモードを示し、図11(b)は大振幅の振動モード波形である。図11(c)は図11(a)、(b)とは周波数が異なる振動モード波形を示し、また、図11(d)、(e)はそれぞれ、単時間の振動を1回または2回行う例を示している。さらに図11(f)は1回の振動(ワンショットパルス)のみを与えるような振動モード波形である。
【0005】
これらの駆動モード波形は所定のパラメータコードで識別可能となっており、図11(d)の例では、振動周波数VF、振動振幅VDおよび振動持続時間VTなどがそれらのパラメータである。
【0006】
図10のテーブル72aの記憶内容を変更することにより、操作部74の駆動にバリエーションを与えることができる。たとえば、操作領域R1~R6については弱い振動を与えたいときには図11(a)の振動モードを指定するようにS11~S64の範囲のコードを決めればよい。また、操作力Fが大きいほど振動の強さを大きくしたいときには、図10の操作力区分F1、F2では図11(a)の振動モード波形を、操作力区分F3,F4では図11(b)の振動モード波形をそれぞれ指定しておけばよい。非操作領域R0についてのコードS01~S04は、「駆動なし」を指定する、弱い振動を与えるように成されている。
【0007】
このようにして領域判定信号SRと操作力判定信号FBとによってひとつの駆動モード波形が選択されると、その駆動モード波形を規定するパラメータ値が駆動モード記憶部73から読出され、1つの圧電素子駆動部75に与えられる。それに応じて圧電素子E1~E4に振動電圧が与えられて圧電素子E1~E4が振動または微少変形するとともに、その振動または微少変位が操作部74のタッチパネルに伝播する。これは、ユーザが操作領域R1~R7のいずれかを所定以上の力で押下したときに、操作部74のタッチパネルを振動させ、その操作が受け付けられたことをユーザに触覚的に知らせることになる。
……(中略)……
【0010】
上述の図10および図11並びに図12示した従来構成によると、複数の圧電素子を異なるモード波形で駆動することや操作面77上を指でスライドすることで、強弱の異なる感触を得ることが可能な電子機器が示されているが、複数の圧電素子を複数の圧電素子駆動部75を介して、複数の圧電素子に異なる振動指令信号を出力する構成の開示はない。上述の従来技術の様な複数の振動指令信号で複数の圧電素子を励振するとき下記の様な問題点を生ずる。」
イ 段落【0021】
「【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明の1形態例を図1乃至図9によって説明する。図1は電子機器としての1形態例を示すPDA(個人用携帯情報端末)の斜視図、図2は入力手段近傍のアクチュエータ配置を説明するための要部の分解状態を示す平面図、図3は圧電型アクチュエータの動作を説明するための側断面図、図4は本発明の入力装置および電子機器並びに電子機器の感触フィードバック入力方法を説明するためのブロック図、図5はPDAの操作説明用斜視図、図6はタッチパネル上の領域説明用平面図、図7はアクチュエータに供給する振動指示波形図、図8は唸り振動感触を得る構成を説明するためのタッチパネルの平面図、図9は空間的に移動可能な振動感触を得る構成を説明するためのタッチパネルの平面図である。」
ウ 段落【0033】
「【0033】
本発明において、複数のアクチュエータ5A~5Dを異なる振幅制御波形P1、P2、P3で駆動させる理由は、従来技術で述べたように、複数の課題に基づいている。すなはち(当審注:「すなわち」の誤記と認める。)、
(イ)第1の課題はクリック感などの比較的単純な触覚フィードバックの場合は、複数あるアクチュエータのなかで、ユーザの触覚の強さに最も寄与するアクチュエータ5のみを駆動することにより、PDA1の消費電力の低減を図る。
(ロ)第2の課題は入力操作部に比較的大きな入力エリアを持つ場合に、入力エリアの面内で触感の強さのバラつきが起きないようにすることで、どの点を押圧しても同じ強さの振動感触を得るようにする。
(ハ)第3の課題は複数のアクチュエータ5を異なる振動波形P1、P2、P3で駆動したときの特殊な触覚的効果を図る。
ことである。以上の(イ)乃至(ハ)の課題に応じた、それぞれ動作を以下に説明する。」
エ 段落【0037】-【0040】
「【0037】
次に、(ロ)項の動作を図6(A)(B)(C)および図7により説明する。図6(A)は平面図、図7(B)(当審注:「図6(B)」の誤記と認める。)は4隅に配設した、4個のアクチュエータ5A~5Dに同じ位相の駆動波形信号を供給した場合のタッチパネル4のシートの撓み状態を示すものであり、図6(C)は図6(B)(当審注:「図6(A)」の誤記と認める。)のA-A矢視図である。上述の各図において、たとえば、10インチの大きさを持つタッチパネル4の下端の4隅に4個のアクチュエータ5A~5Dを設け、タッチパネル4は説明を容易にするため9つの領域(エリア)に分割し、それぞれのエリアをA、B、C、・・・G、H、Iとし、ユーザの指21にフィードバックする振動感触をクリック感などのアクナレッジ波形となす、ここではサイン波形をアクチュエータ5A~5Dに供給する例によって説明する。
【0038】
図7(A)(B)の波形および図7(C)(D)の表はそれぞれのアクチュエータ5A5C、5B、5Dに加える振動指令信号のパターン、すなはち(当審注:「すなわち」の誤記と認める。)、DAC15A~15Dの出力波形と、そのときのタッチパネル4の9分割したそれぞれのエリアA~Iでの指21に感触として感ずる振動の強弱を示す。ここではタッチパネル4の上側および下側の同一辺に設置されたアクチュエータ5A、5Cと5B、5Dを一対の組として、4つのアクチュエータを2つのグループのアクチュエータ5A、5Cおよび5B、5Dに分け、それぞれのグループには同じ振動波形を出力するようにしている。表中、左側の図7(C)に示すパターンでは2つのグループのアクチュエータ5A、5Cおよび5B、5Dに対して同一のサイン波(単発)22が出力されている(4つのアクチュエータ5A~5Dは全て同一)。このように4個のアクチュエータ5A~5Dに同一位相のサイン波22を供給した場合には図6(B)に示すようにタッチパネル4の中央部24のエリアD、E、Fで大きく撓むことになる。この様にタッチパネル4の領域による振動量(撓み量)の違で中央部24が大きく撓む原因はタッチパネル4の共振の1次モードによるタッチパネル4自体の図6(C)に示す様にアクチュエータ5A、5Cおよび5B、5Dの矢印D、D方向の動きによって並進する変形の影響と考えられる。一方、右側の図7(D)に示すパターンでは、2つのグループの一方のグループのアクチュエータ5A、5Cに対して他方のグループのアクチュエータ5B、5Dの位相が半波長だけ異なるサイン波22および23が出力される。図7(C)に対応するパターンにおいては、タッチパネル4上のエリアE、D、Fが強く励振され、図7(D)に対応するパターンでは、ちょうど反対に、領域A、B、C,G,H、Iが強く励振される。この様に2つのアクチュエータ5A、5Cと5B、5Dの振動波形の位相を逆にした場合に何故周辺部の振動量が大きくなるかについては、4本のアクチュエータ5A~5Dを同位相で加振する際はタッチパネル4を並進的に動かすのに対し、異なる位相の場合はタッチパネル4の中央部24を中心とした図(D)(当審注:「図6(D)」の誤記である。)に示す様な回転的な動きになるので、より少ない力で動かすことが可能であるためと考えられる。なお、この場合、結果として得られる振動量はタッチパネル4自体の変形によるものでなく、アクチュエータ5A~5Dによるタッチパネル4の変位量と考えられる。
【0039】
上述の構成で、例えば、ユーザがタッチパネル4のエリアEを触れたとすると、その座標値から、振動制御手段14は図7(A)の5A~5Dにあるようなパターンの振動指令信号であるサイン波22を各アクチュエータ5A、5Cと5B、5Dに出力する。またユーザがエリアBに触れた場合は、同様に図7(B)にあるパターンの指令値である互いに位相の異なるサイン波22,23がアクチュエータ5A、5Cおよび5B、5Dに出力される。その結果として、ユーザはどの領域を触れたとしても、ほぼ同様な強さを持つ触感的なアクナレッジ感(クリック感)を得ることができる。
【0040】
上述の構成の動作によると、比較的大きなサイズの平面状入出力装置(例えば10インチ以上のタッチパネル)に対しても、ほぼ均一な強さを持った触覚フィードバックを付加することが可能になる。従来は十分なフィードバックを得るために、もっぱらアクチュエータ5A~5Dの出力を大きくすることが考えられていたが、アクチュエータ5A~5Dの出力を大きくすると、一般にアクチュエータ5A~5D自体のサイズも大きくなり、また消費電力の点でも好ましくない。本発明ではより出力の小さいアクチュエータ5A~5Dで、ユーザに十分な触覚フィードバックを与えることができる。」
オ 段落【0041】-【0044】
「【0041】
さらに、(ハ)項の動作を図8(A)(B)図9(A)(B)によって説明する。図8(A)に示す構成はタッチパネル4の左右端の下部にアクチュエータ5A、5Bを配設し、振動制御手段14のプロセッサ18とDAC15A、DAC15Bおよび電流アンプ16A、16Bを介して、メモリ17から図8(B)に示す様に互いに近接した周波数fからなる、たとえば、周波数f1=200Hzと周波数f2=195Hzのようなサイン波26、27,からなる振動命令信号が連続的に波形制御手段14から与えられる。このときユーザの感じる指20の触感は、2個のアクチュエータ5A、5Bが発生する振動数の差(この場合5Hz)に相当する、いわゆる「唸り」の感触である。
【0042】
このような、唸りを利用すると、通常人間には感知が困難な、低い周波数領域(ここでは5Hz)における触覚の振動を指21で感じ取ることが可能となる。
【0043】
図9(A)(B)は複数のアクチュエータ5A,5B、5C、5Dの加振方法を時間的かつ空間的(アクチュエータの配置方向)に変化させることで、ユーザにダイナミックな動きの感覚を想起させるようにしたものである。図9(A)はタッチパネル4の下端に4個のアクチュエータ5A、5B、5C、5Dを配設して励振する場合の特殊効果について示す。4個のアクチュエータ5A、5B、5C、5Dには図9(B)にあるような振動命令信号が振動制御手段14から与えられている。この例では、ユーザの指21に対して時計回りCWになるよう、アクチュエータ5A-5B-5D-5C・・を、時間的に順次、数パルスに区切った振動指令信号で駆動している。この場合のユーザの受ける感覚は、指の周りを波が回るような感覚になる。
【0044】
以上のように、上述の構成の動作によると、これまで提案されてきた、クリック感に代表されるアクナレッジのような感覚を超えた、全く新しい触感フィードバックの提示が可能になる。さらに、このような効果を使って、触覚的に様々な情報を伝達することも可能である。」
よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「電子機器において、複数のアクチュエータ5A~5Dを異なる振幅制御波形P1、P2、P3で駆動させる理由は、複数の課題に基づいており、すなわち、
(イ)第1の課題はクリック感などの比較的単純な触覚フィードバックの場合は、複数あるアクチュエータのなかで、ユーザの触覚の強さに最も寄与するアクチュエータ5のみを駆動することにより、電子機器の消費電力の低減を図り、
(ロ)第2の課題は入力操作部に比較的大きな入力エリアを持つ場合に、入力エリアの面内で触感の強さのバラつきが起きないようにすることで、どの点を押圧しても同じ強さの振動感触を得るようにし、
(ハ)第3の課題は複数のアクチュエータ5を異なる振動波形P1、P2、P3で駆動したときの特殊な触覚的効果を図る、
ことであり、
(ロ)項の課題に応じた動作において、10インチの大きさを持つタッチパネル4の下端の4隅に4個のアクチュエータ5A~5Dを設け、タッチパネル4は9つの領域(エリア)に分割し、それぞれのエリアをA、B、C、・・・G、H、Iとし、ユーザの指21にフィードバックする振動感触をクリック感などのアクナレッジ波形となすサイン波形をアクチュエータ5A~5Dに供給するものであって、
タッチパネル4の上側および下側の同一辺に設置されたアクチュエータ5A、5Cと5B、5Dを一対の組として、4つのアクチュエータを2つのグループのアクチュエータ5A、5Cおよび5B、5Dに分け、それぞれのグループには同じ振動波形を出力するようにして、
ユーザがタッチパネル4の中央部24のエリアD、E、Fを触れたとすると、その座標値から、振動制御手段14は4つのアクチュエータ5A~5Dは全て同一であるようなパターンの振動指令信号であるサイン波22を各アクチュエータ5A、5Cと5B、5Dに出力し、ユーザがエリアA、B、C、G、H、Iに触れた場合は、互いに位相の異なるサイン波22,23がアクチュエータ5A、5Cおよび5B、5Dに出力され、その結果として、ユーザはどの領域を触れたとしても、ほぼ同様な強さを持つ触感的なアクナレッジ感(クリック感)を得ることができる、
電子機器。」
(2) 引用文献2について
当審拒絶理由に引用され、本願出願前に公開された、引用文献2(特開2013-250710号公報)には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 段落【0053】-【0058】
「【0053】
タッチパネルコントローラー10はステップS11へ処理を戻し、タッチセンサー22が押下位置情報を出力し、押圧力検出部23が押圧力を出力すると(ステップS11;YES)、その押圧力が予め定められた閾値未満であって(ステップS12;NO)、ホームポジション体勢が認定済みである場合(ステップS13;YES)、キー画像判別部13は押下位置にあるキー画像を判別する(ステップS22)。キー画像判別部13が判別したキー画像が入力可能なキー画像である場合(ステップS23;YES)、キー画像判別部13は振動制御部12に対してそのキー画像の表示領域を示す情報を出力し、振動制御部12はその表示領域に配置されたアクチュエーターを選択して第3振動パターンで振動させる。更に、タッチパネルコントローラー10はスピーカー30に押下されたキー画像の種類をアナウンスさせる(ステップS24)。
……(中略)……
【0056】
続いて、タッチセンサー22が押下位置情報を出力し、押圧力検出部23が押圧力を出力すると(ステップS11;YES)、その押圧力が予め定められた閾値以上である場合(ステップS12;YES)、キー画像判別部13は押下位置にあるキー画像を判別する(ステップS25)。キー画像判別部13が判別したキー画像が入力可能なキー画像である場合(ステップS26;YES)、入力確定部15は判別されたキー画像が示すアルファベットの入力を確定する。
【0057】
更に、キー画像判別部13は振動制御部12に対してそのキー画像の表示領域を示す情報を出力し、振動制御部12はその表示領域に配置されたアクチュエーターを選択して第4振動パターンで振動させる。更に、タッチパネルコントローラー10はスピーカー30に入力が確定されたキー画像の種類をアナウンスさせる(ステップS27)。
【0058】
つまり、図16に示すように、ユーザーが右手親指で「M」キーを閾値以上の力で押下すると、表示制御部11は入力欄51に「M」と表示させ、「M」キーが第4振動パターンで振動し、スピーカー30が「エムを入力しました」と再生する。これにより、ユーザーは指先からキー画像の入力が確定されたことが分かり、耳から「M」キーが入力されたことが分かる。」
イ 段落【0071】-【0075】
「【0071】
タッチパネルコントローラー10はステップS11へ処理を戻し、タッチセンサー22が押下位置情報を出力し、押圧力検出部23が押圧力を出力すると(ステップS11;YES)、その押圧力が予め定められた閾値未満であって(ステップS12;NO)、ホームポジションが確定済みである場合(ステップS13;YES)、キー画像判別部13は押下位置にあるキー画像を判別する(ステップS22)。キー画像判別部13が判別したキー画像が入力可能なキー画像である場合(ステップS23;YES)、キー画像判別部13は振動制御部12に対してそのキー画像の表示領域を示す情報を出力すると共に、振動制御部12はその表示領域に配置されたアクチュエーターを選択し、第3振動パターンで振動させる。更に、タッチパネルコントローラー10はスピーカー30に押下されたキー画像の種類をアナウンスさせる(ステップS24)。
……(中略)……
【0074】
続いて、タッチセンサー22が押下位置情報を出力し、押圧力検出部23が押圧力を出力すると(ステップS11;YES)、その押圧力が予め定められた閾値以上である場合(ステップS12;YES)、キー画像判別部13は押下位置にあるキー画像を判別する(ステップS25)。キー画像判別部13が判別したキー画像が入力可能なキー画像である場合(ステップS26;YES)、入力確定部15は判別されたキー画像が示すひらがなの入力を確定する。
【0075】
更に、キー画像判別部13は振動制御部12に対してそのキー画像の表示領域を示す情報を出力し、振動制御部12はその表示領域に配置されたアクチュエーターを選択して第4振動パターンで振動させる。更に、タッチパネルコントローラー10はスピーカー30に入力が確定されたキー画像の種類をアナウンスさせる(ステップS27)。」
4.対比
本願発明と引用発明とを対比すると次のことがいえる。
(1) 引用発明の10インチの大きさを持つ「タッチパネル4」は、9つの領域(エリア)A、B、C、・・・G、H、Iのいずれかにユーザが触れたことを検出しているから、本願発明の「接触を検出する接触検出部」に相当する。
(2) 引用発明の「タッチパネル4の上側および下側の同一辺に設置されたアクチュエータ5A、5Cと5B、5D」における、「アクチュエータ5A、5C」と「アクチュエータ5B、5D」の2つのグループは、本願発明の「前記接触検出部を振動させる複数の振動部」に相当する。
(3) 引用発明の「ユーザがタッチパネル4の中央部24のエリアD、E、Fを触れたとすると、その座標値から、振動制御手段14は4つのアクチュエータ5A~5Dは全て同一であるようなパターンの振動指令信号であるサイン波22を各アクチュエータ5A、5Cと5B、5Dに出力し、ユーザがエリアA、B、C,G,H、Iに触れた場合は、互いに位相の異なるサイン波22,23がアクチュエータ5A、5Cおよび5B、5Dに出力され」ることは、本願発明の「前記押圧検出部が検出する押圧に基づくデータが所定の基準を満たすと、前記複数の振動部を複数の異なる態様でそれぞれ振動させて」いることと、「所定の条件を満たすと、前記複数の振動部を複数の異なる態様でそれぞれ振動させ」る点で共通するといえる。
(4) 引用発明の「……互いに位相の異なるサイン波22,23がアクチュエータ5A、5Cおよび5B、5Dに出力され、その結果として、ユーザはどの領域を触れたとしても、ほぼ同様な強さを持つ触感的なアクナレッジ感(クリック感)を得ることができる」ことは、本願発明の「前記接触検出部に接触物が接触している位置において、所定の条件により構成される目的の触感を呈示する」ことに相当する。
(5) 上記(3)-(4)から、引用発明の「ユーザがタッチパネル4の中央部24のエリアD、E、Fを触れたとすると、その座標値から、振動制御手段14は4つのアクチュエータ5A~5Dは全て同一であるようなパターンの振動指令信号であるサイン波22を各アクチュエータ5A、5Cと5B、5Dに出力し、ユーザがエリアA、B、C,G,H、Iに触れた場合は、互いに位相の異なるサイン波22,23がアクチュエータ5A、5Cおよび5B、5Dに出力され、その結果として、ユーザはどの領域を触れたとしても、ほぼ同様な強さを持つ触感的なアクナレッジ感(クリック感)を得ることができる」ように制御する「振動制御部12」は、本願発明の「前記押圧検出部が検出する押圧に基づくデータが所定の基準を満たすと、前記複数の振動部を複数の異なる態様でそれぞれ振動させて、前記接触検出部に接触物が接触している位置において、所定の条件により構成される目的の触感を呈示するように制御する制御部」と、「所定の条件を満たすと、前記複数の振動部を複数の異なる態様でそれぞれ振動させて、前記接触検出部に接触物が接触している位置において、所定の条件により構成される目的の触感を呈示するように制御する制御部」である点で共通するといえる。
(6) 引用発明の「電子機器」は、「ユーザはどの領域を触れたとしても、ほぼ同様な強さを持つ触感的なアクナレッジ感(クリック感)を得ることができる」から、後述する相違点を除き、本願発明の「触感呈示装置」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点・相違点があるといえる。
[一致点]
「接触を検出する接触検出部と、
前記接触検出部を振動させる複数の振動部と、
所定の条件を満たすと、前記複数の振動部をそれぞれ振動させて、前記接触検出部に接触物が接触している位置において、所定の条件により構成される目的の触感を呈示するように制御する制御部と、
を備える触感呈示装置。」
[相違点1]
本願発明では、「前記接触検出部に対する押圧を検出する押圧検出部」を備えるのに対して、引用発明では、押圧を検出する手段を備えていない点。
[相違点2]
一致点である「所定の条件を満たすと」が、本願発明では、「前記押圧検出部が検出する押圧に基づくデータが所定の基準を満たすと」であるのに対して、引用発明では、「ユーザがタッチパネル4の中央部24のエリアD、E、Fを触れた」場合と「ユーザがエリアA、B、C,G,H、Iに触れた場合」である点。
5.当審の判断
[相違点1]、[相違点2]について
タッチの押圧力を検出する手段を設けて、押圧力に応じて触感を呈示する点は、上記引用文献1の【背景技術】欄(上記3.(1)アの「従来から……、押圧操作を行った……操作力によって入力装置側からの反応を異なったものとし、それによって操作感を多彩なものとする様にした技術が…」の記載を参照されたい。)、上記引用文献2(上記3.(2)ア、イの下線部を参照されたい。)に記載されるように、周知技術である。
よって、引用発明において、所望の操作感を得るために、タッチの押圧力を検出する手段を設けて、押圧力に応じて触感を呈示する周知技術を付加することによって、「前記接触検出部に対する押圧を検出する押圧検出部」を備えて、「前記押圧検出部が検出する押圧に基づくデータが所定の基準を満たすと」目的の触感を呈示するように構成して、上記[相違点1]、[相違点2]に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。
さらに、本願発明の効果も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。
6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-002371