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特許異議申立

2023-701224

バリア基板層と内向きバリア材料層とを含むバリア層を備える寸法安定性食品容器を製造するためのシート状複合体

審判番号
2023-701224
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-541149外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7278951
請求日
2023年11月20日
審決日
2025年07月31日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(B32B) / P1651.113-YAA(B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7278951号発明「バリア基板層と内向きバリア材料層とを含むバリア層を備える寸法安定性食品容器を製造するためのシート状複合体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許第7278951号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~20〕について訂正することを認める。
特許第7278951号の請求項1~4、6、8~14、16~20に係る特許を維持する。
特許第7278951号の請求項5、7、15に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経過

特許第7278951号の請求項1~20に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2018年(平成30年)1月12日(優先権主張外国庁受理 2017年1月30日 ドイツ(DE))を国際出願日とする出願であって、令和5年5月12日にその特許権の設定登録がされ、同年5月22日に特許掲載公報が発行された。

本件特許についての特許異議申立人渋谷都(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和5年11月20日 特許異議の申立て

令和6年 3月28日付け 取消理由通知

同年 6月21日 特許権者による意見書・訂正請求書の提出

同年 8月 8日 申立人による意見書の提出

同年12月26日付け 取消理由通知(決定の予告)

令和7年 4月14日 特許権者による意見書・訂正請求書の提出

同年 5月 8日付け 訂正請求があった旨の通知

なお、令和7年5月8日付けの訂正請求があった旨の通知に対して申立人による応答はなかった。

また、令和6年6月21日の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否

1 訂正の内容

令和7年4月14日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)~(14)のとおりである(下線は訂正箇所を表し、「・・・」は省略を表す。)。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「-押出成形工程でシート状複合体(100)に挿入または塗布されるものである」と記載されているのを「-ポリマー混合物を含み、前記ポリマー混合物は、その都度ポリマー混合物の総重量を基準にして、30~80重量%のmPEと、少なくとも20重量%の追加ポリマーとを含み、

-押出成形工程でシート状複合体(100)に挿入または塗布されるものであり、

前記シート状複合体(100)は、外側(101)に溝(306)を有し、

前記シート状複合体の内側に面する前記バリア層の層表面が第1の接着促進層に隣接し、前記第1の接着促進層がアクリル酸コポリマーを含む」に訂正をする。(請求項1の記載を引用する請求項2~4、6、8~10、18~20も同様の訂正をする。)

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(4)訂正事項4

特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれか一項」と記載されているのを「請求項1~4のいずれか一項」に訂正する。

(5)訂正事項5

特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか一項」と記載されているのを「請求項1~4,6のいずれか一項」に訂正する。

(6)訂正事項6

特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか一項」と記載されているのを「請求項1~4,6,8のいずれか一項」に訂正する。

(7)訂正事項7

特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9のいずれか一項」と記載されているのを「請求項1~4,6,8,9のいずれか一項」に訂正する。

(8)訂正事項8

特許請求の範囲の請求項11に「b)前記キャリア層(104)に前記バリア層(107)を重ね合わせることによってシート状複合体(100)を得るステップと」と記載されているのを、「b)前記キャリア層(104)に前記バリア層(107)を重ね合わせることによってシート状複合体(100)を得るステップと、

c)前記キャリア層(104)から離れた方向に面する前記バリア層(107)の層表面に第1の接着促進組成物と接触させることによって、第1の接着促進層を得るステップであって、前記第1の接着促進組成物がアクリル酸コポリマーを含む、ステップと」と訂正し、「少なくとも70重量%以上の熱可塑性ポリマーを含む」と記載されているのを、「少なくとも70重量%以上の熱可塑性ポリマーを含み、

前記内側ポリマー層(111)がポリマー混合物を含み、前記ポリマー混合物は、その都度ポリマー混合物の総重量を基準にして、30~80重量%のmPEと、少なくとも20重量%の追加ポリマーとを含み、

前記ステップbにおいて重ね合わせることが、前記シート状複合体(100)において、前記キャリア層(104)の第1の側が前記バリア層(107)に面するように達成され、前記方法(200)は、前記キャリア層(104)の前記第1の側の反対側で前記キャリア層(104)に溝を形成する方法ステップI)をさらに含む」に訂正をする。(請求項11の記載を引用する請求項12~20も同様の訂正をする。)

(9)訂正事項9

特許請求の範囲の請求項15を削除する。

(10)訂正事項10

特許請求の範囲の請求項16に「請求項11~15のいずれか一項」と記載されているのを「請求項11~14のいずれか一項」に訂正する。

(11)訂正事項11

特許請求の範囲の請求項17に「請求項11~16のいずれか一項」と記載されているのを「請求項11~14,16のいずれか一項」に訂正する。

(12)訂正事項12

特許請求の範囲の請求項18に「請求項1~10又は17のいずれか一項」と記載されているのを「請求項1~4,6,8~10又は17のいずれか一項」に訂正する。

(13)訂正事項13

特許請求の範囲の請求項19に「請求項1~10又は17のいずれか一項」と記載されているのを「請求項1~4,6,8~10又は17のいずれか一項」に訂正する。

(14)訂正事項14

特許請求の範囲の請求項20に「請求項1~10又は17のいずれか一項」と記載されているのを「請求項1~4,6,8~10又は17のいずれか一項」に訂正する。

(15)一群の請求項

本件訂正前の請求項1~20は、請求項2~10が、本件訂正前の請求項1の記載を直接又は間接的に引用する関係にあり、請求項12~17が、本件訂正前の請求項11の記載を直接又は間接的に引用する関係にあり、請求項18~20が、本件訂正前の請求項1又は11の記載を直接又は間接的に引用する関係でもあるから、本件訂正の請求は、一群の請求項〔1~20〕について請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について

訂正事項1は、訂正前の請求項1の「内側ポリマー層(111)」との事項に、「ポリマー混合物を含み、前記ポリマー混合物は、その都度ポリマー混合物の総重量を基準にして、30~80重量%のmPEと、少なくとも20重量%の追加ポリマーとを含み」、との限定を付加し、訂正前の請求項1に「前記シート状複合体(100)は、外側(101)に溝(306)を有し」及び「前記シート状複合体の内側に面する前記バリア層の層表面が第1の接着促進層に隣接し、前記第1の接着促進層がアクリル酸コポリマーを含む」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正事項1は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の【0028】の「内側ポリマー層はポリマー混合物を含み、ポリマー混合物は、その都度ポリマー混合物の総重量を基準にして、・・・より好ましくは30~80重量%の範囲のmPEと、・・・より好ましくは少なくとも20重量%の範囲の追加のポリマーとを含む。」との記載、請求項5や【0018】の「本発明の実施形態13では、シート状複合体1は先行する実施形態のうちのいずれかに従って設計され、シート状複合体が外側に線状窪みを含む。・・・更に好ましい線状窪みは、材料の線状変位である。好ましい材料の線状変位は溝である。」との記載、及び、請求項7の記載に基づくことは明らかであるから、新規事項を追加するものではない。

また、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(2)訂正事項2、3、9について

訂正事項2、3、9は、それぞれ請求項5、7、15を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(3)訂正事項4~7、10~14について

訂正事項4~7、10~14は、それぞれ、請求項5、7又は15を削除するのに伴って、引用する請求項から請求項5、7又は15を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(4)訂正事項8について

訂正事項8は、訂正前の請求項11に、「c)前記キャリア層(104)から離れた方向に面する前記バリア層(107)の層表面に第1の接着促進組成物と接触させることによって、第1の接着促進層を得るステップであって、前記第1の接着促進組成物がアクリル酸コポリマーを含む、ステップ」、「前記内側ポリマー層(111)がポリマー混合物を含み、前記ポリマー混合物は、その都度ポリマー混合物の総重量を基準にして、30~80重量%のmPEと、少なくとも20重量%の追加ポリマーとを含み」及び「前記ステップbにおいて重ね合わせることが、前記シート状複合体(100)において、前記キャリア層(104)の第1の側が前記バリア層(107)に面するように達成され、 前記方法(200)は、前記キャリア層(104)の前記第1の側の反対側で前記キャリア層(104)に溝を形成する方法ステップI)をさらに含む」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正事項8は、本件明細書等の請求項15の記載、【0028】の記載、及び、【0048】の「ステップb)における重ね合わせは、キャリア層の第1の側がシート状複合体のバリア層に面するように達成され」や【0122】の「ステップI)205において、上記で得られた図1によるシート状複合体100が溝切りされる。この目的のために、溝切り工具がシート状複合体100の外側101に作用し、溝と呼ばれる線状の窪みがキャリア層104に生成される。」との記載に基づくことは明らかであるから、新規事項を追加するものではない。

また、訂正事項8は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

3 小括

以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~20〕について訂正することを認める。

第3 本件発明

上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の請求項1~4、6、8~14、16~20に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~4、6、8~14、16~20に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。

「【請求項1】
シート状複合体(100)であって、
前記シート状複合体(100)の外側(101)から前記シート状複合体(100)の内側(102)への方向に層列の層として、
a)キャリア層(104)と、
続きを表示(全97行)
b)i)バリア基板層(108)と、
ii)バリア材料層(109)と、
を備えるバリア層(107)と、
を備え、
前記キャリア層(104)が、厚紙、板紙、及び紙から成る群から選択される1つ、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせを含み、
前記バリア基板層(108)が、前記バリア基板層(108)の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でポリマーを含み、前記ポリマーが、重縮合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択され、
前記バリア材料層(109)が、
-単層構造であり、
-前記バリア材料層(109)の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でバリア材料を含み、前記バリア材料が、酸化物、金属、ケイ素含有化合物、ポリマー、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択され、
-1nm~1μmの範囲の厚さを有し、
-前記内側(102)に面する前記バリア基板層(108)の層表面上で前記バリア基板層(108)を覆い、
前記シート状複合体(100)が、内側ポリマー層(111)を更に含み、
前記内側ポリマー層(111)が、前記シート状複合体(100)の前記内側(102)に面する前記バリア層(107)の側で前記バリア層(107)を覆い、
前記内側ポリマー層(111)が、
-前記内側ポリマー層(111)の総重量を基準にして、少なくとも70重量%以上の熱可塑性ポリマーを含み、
-ポリマー混合物を含み、前記ポリマー混合物は、その都度ポリマー混合物の総重量を基準にして、30~80重量%のmPEと、少なくとも20重量%の追加ポリマーとを含み、
-押出成形工程でシート状複合体(100)に挿入または塗布されるものであり、
前記シート状複合体(100)は、外側(101)に溝(306)を有し、
前記シート状複合体の内側に面する前記バリア層の層表面が第1の接着促進層に隣接し、前記第1の接着促進層がアクリル酸コポリマーを含む、
シート状複合体。
【請求項2】
前記バリア層(107)が、2~35μmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のシート状複合体(100)。
【請求項3】
前記バリア基板層(108)が、前記バリア材料層(109)に隣接している、請求項1又は2に記載のシート状複合体(100)。
【請求項4】
前記バリア層(107)が、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する、
a.0.1~40cm3/(m2・d・bar)の範囲の酸素透過速度、
b.0.1~40g/(m2・d)の範囲の水蒸気透過速度、
請求項1~3のいずれか一項に記載のシート状複合体(100)。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記バリア層が、前記バリア層の重量を基準にして50重量%未満のアルミニウム含有量を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のシート状複合体。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記シート状複合体の前記外側に面する前記バリア層の層表面が、追加の接着促進層に隣接し、前記追加の接着促進層が、エチレン-アルキルアクリレートコポリマーを含む、請求項1~4,6のいずれか一項に記載のシート状複合体。
【請求項9】
前記シート状複合体が、外側ポリマー層を更に含み、
前記外側ポリマー層が、前記シート状複合体の前記外側に面する前記キャリア層の側で前記キャリア層を覆う、
請求項1~4,6,8のいずれか一項に記載のシート状複合体。
【請求項10】
前記シート状複合体が、前記キャリア層と前記バリア層との間に中間ポリマー層を含む、請求項1~4,6,8,9のいずれか一項に記載のシート状複合体。
【請求項11】
方法(200)であって、
a)i)キャリア層(104)を含むシート状複合体前駆体と、
ii)A)バリア基板層(108)と、
B)前記バリア基板層(108)を覆うバリア材料層(109)と、
を含むバリア層(107)と、
を設けるステップと、
b)前記キャリア層(104)に前記バリア層(107)を重ね合わせることによってシート状複合体(100)を得るステップと、
c)前記キャリア層(104)から離れた方向に面する前記バリア層(107)の層表面に第1の接着促進組成物と接触させることによって、第1の接着促進層を得るステップであって、前記第1の接着促進組成物がアクリル酸コポリマーを含む、ステップと、
d)前記キャリア層(104)とは反対側の前記バリア層(107)の側に、押出成形工程において内側ポリマー組成物を重ね合わせることによって内側ポリマー層(111)を得るステップと、
を備え、
前記バリア基板層(108)が、前記バリア基板層(108)の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でポリマーを含み、前記ポリマーが、重縮合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択され、 前記バリア材料層(109)が、
-単層構造であり、
-前記バリア材料層(109)の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でバリア材料を含み、前記バリア材料が、酸化物、金属、ケイ素含有化合物、ポリマー、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択され、
-1nm~1μmの範囲の厚さを有し、
前記ステップb)(202)の重ね合わせの間、前記バリア材料層(109)が、前記キャリア層(104)とは反対側に面する前記バリア基板層(108)の側に配置され、
前記内側ポリマー層(111)が、前記内部ポリマー層(111)の総重量を基準にして、少なくとも70重量%以上の熱可塑性ポリマーを含み、
前記内側ポリマー層(111)がポリマー混合物を含み、前記ポリマー混合物は、その都度ポリマー混合物の総重量を基準にして、30~80重量%のmPEと、少なくとも20重量%の追加ポリマーとを含み、
前記ステップbにおいて重ね合わせることが、前記シート状複合体(100)において、前記キャリア層(104)の第1の側が前記バリア層(107)に面するように達成され、前記方法(200)は、前記キャリア層(104)の前記第1の側の反対側で前記キャリア層(104)に溝を形成する方法ステップI)をさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記バリア層(107)が、2~35μmの範囲の厚さを有する、請求項11に記載の方法(200)。
【請求項13】
前記バリア基板層(108)が前記バリア材料層(109)に隣接している、請求項11又は12に記載の方法(200)。
【請求項14】
前記バリア層(107)が、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する、
a.0.1~40cm3/(m2・d・bar)の範囲の酸素透過速度、
b.0.1~40g/(m2・d)の範囲の水蒸気透過速度、
請求項11~13のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項15】
(削除)
【請求項16】
前記バリア層が、前記バリア層の重量を基準にして50重量%未満のアルミニウム含有量を特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項11~14,16のいずれか一項に記載の前記方法(200)によって得られるシート状複合体(100)。
【請求項18】
方法(500)であって、
A.第1の長手方向縁部及び追加の長手方向縁部を含む、請求項1~4,6,8~10又は17のいずれか一項に記載のシート状複合材(100)を設けるステップと、
B.前記シート状複合体(100)を折り畳むステップと、
C.前記第1の長手方向縁部を前記追加の長手方向縁部と接触させ、前記第1の長手方向縁部を前記追加の長手方向縁部に接合することによって長手方向継ぎ目(302)を得るステップと、
を備える、方法。
【請求項19】
方法(600)であって、
i.請求項1~4,6,8~10又は17のいずれか一項に記載のシート状複合体を含む容器前駆体(300)を設けるステップと、
ii.前記シート状複合体(100)を折り畳むことによって前記容器前駆体(300)の基部領域(304)を形成するステップと、
iii.前記基部領域(304)を封鎖するステップと、
iv.前記容器前駆体(300)を食品(401)で充填するステップと、
v.上部領域(303)内で前記容器前駆体(300)を封鎖することによって密閉容器(400)を得るステップと、
を備える、方法。
【請求項20】
食品容器を製造するための、請求項1~4,6,8~10又は17のいずれか一項に記載のシート状複合体(100)の使用。」

第4 取消理由(決定の予告)の概要

当審において通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。

[取消理由]

本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

以下、「甲第○号証」は「甲○」という。

記

[引用文献一覧]

甲1:特開2013-151296号公報
甲2:特開2002-337292号公報
甲3:特開2010-89821号公報
甲4:特許第2919288号公報
甲5:特開2003-291947号公報
甲7:越山了一、外6名、「パッケージ大百科」、株式会社朝倉書店、1994年12月10日、90~93ページ

[上記取消理由における請求項と引用文献等との関係]

・請求項 1~3

・引用文献 甲1

・請求項 4、6、7、12~17

・引用文献 甲1、3、4、7

・請求項 8、9

・引用文献 甲1、3~5、7

・請求項 10、18~20

・引用文献 甲1~5、7

・請求項 11~13

・引用文献 甲1、3、7

第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由の概要

申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1~9、11~20に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正前発明1」等という。)について、通知した取消理由(決定の予告)以外に、以下の主張をする。

なお、申立人は、特許異議申立書とともに、以下の証拠も提出した。

甲6:特許第3145196号公報

・特許異議申立理由1(新規性)

本件訂正前発明1~9、11~20は、甲1に記載された発明である。

第6 当審の判断

1 引用文献の記載事項等

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(1)甲1について

ア 記載事項

甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付与。また「・・・」は省略を示す。以下同様。)。

「【背景技術】
【0002】
従来、食品や医薬品などを包装する包装材料として、例えば、紙層/ポリエチレン層/アルミ箔層/ポリエステル層/シーラント層のような各層が積層されてなる積層体を用いた紙容器が広く用いられてきた。
この積層体のポリエステル層とシーラント層との貼り合わせは、通常はポリエステルフィルムからなるポリエステル層に二液硬化型ポリウレタン系などのドライラミネート用接着剤を塗布してから、シーラント層を押出ラミネートすることにより行っていた。そして、このような積層体は適度のラミネート強度やガスバリア性などを有しており、食品や医薬品などを包装するための包装材料として広く使用されている。」
「【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の液体用紙容器に用いる積層体の一例の概略の断面構成を示している。図1(A)はバリア層に蒸着フィルムを用いた場合、図1(B)はバリア層にアルミニウム箔を用いた場合のそれぞれ断面を示す
図1(A)に示した積層体は、容器外側となる紙基材(1)の上面に熱可塑性樹脂層(2)を積層し、下面に接着層(7)、バリア層(3)、接着層(4)、シーラント層(5)を順次に積層してなる積層体である。外側の熱可塑性樹脂層(2)の表面には印刷インキ層(6)が必要に応じて設けられている。
続きを表示(全22行)
【0025】
本発明の液体用紙容器に用いる積層体を構成する紙基材(1)としては、通常、カップ原紙等の板紙が用いられる。坪量と密度は容器の容量やデザインにより適宜選定されるが、通常は坪量200g/m2~500g/m2の範囲で密度0.6g/cm3~1.1g/cm3の範囲のカップ原紙がよく用いられる。
本発明の液体用紙容器に用いる積層体を構成する熱可塑性樹脂層(2)としては、主に低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン系樹脂が用いられ、押し出し加工により紙表面にコートを行なう。インキの密着性を向上させるために印刷時に押し出し面にコロナ処理を行なうことが多い。
【0026】
本発明の液体用紙容器に用いる積層体を構成する接着層(7)は、紙基材(1)とバリア層(3)の接着を行なうものであり、バリア層(3)の上に、押し出し加工による高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンーメタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンーアクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレン(PP)等の接着性のある熱可塑性樹脂層が用いられる。厚みとしては10μm~60μmの範囲が適当であり、10μm以下では充分な接着強度が得られない。
その際、アンカーコート、オゾン処理、コロナ処理等を施すことによって接着強度を向上させることも可能である。
【0027】
本発明の液体用紙容器に用いる積層体を構成するバリア層(3)としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンなどのプラスチックの延伸または未延伸のフィルムにアルミニウムなどの金属やアルミナ、酸化珪素などの金属酸化物の薄膜(5nm~100nm)を蒸着した厚みが6μm~25μm程度の透明蒸着加工フィルム、さらに厚みが5μm~15μm程度のアルミニウム箔などが適用できる。
アルミニウム箔とポリエステルフィルムをドライラミネートしたフィルムでもよい。この場合アルミニウム箔の厚みは5μm~15μm程度、ポリエステルフィルムの厚みは6μm~25μm程度がよい。
それらの一方の面にコロナ処理などの必要な表面処理がなされていてその上に接着層が安定的に形成できるようになっていれば、いずれのタイプのフィルムでもバリア層基材として使用可能である。
【0028】
接着層(4)は、前記のバリア層(3)の上に、押し出し加工による高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンーメタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンーアクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレン(PP)等の接着性のある熱可塑性樹脂が用いられるが低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いるのが接着性の面からさらに好ましい。
【0029】
この場合の押し出し温度が280℃の低温押し出しによるラミネートとすることによって特にLDPEでは低臭効果が顕著である。
その際、例えばバリア層(3)の接液面側にアンカーコート、オゾン処理、コロナ処理等を施すことによって接着強度を向上させることも可能である。アンカーコート剤の塗布量は0.01g/m2から1.0g/m2の範囲が適当である。
【0030】
他方、接着層(4)上に設けられるシーラント層(5)は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などからなる層である。
具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモ・ブロック・ランダムの各ポリプロピレン樹脂や、プロピレン-αオレフィン共重合体などのプロピレン系樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体やエチレン-メタクリル酸共重合体などのエチレン-α,β不飽和カルボン酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチルやエチレン-アクリル酸エチルやエチレン-メタクリル酸メチルやエチレン-メタクリル酸エチルなどのエチレン-α,β不飽和カルボン酸共重合体のエステル化物、カルボン酸部位をナトリウムイオン、亜鉛イオンで架橋した、エチレン-α,β不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン-無水マレイン酸グラフト共重合体やエチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸のような三元共重合体に代表される酸無水物変性ポリオレフィン、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体などのエポキシ化合物変性ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体から選ばれる樹脂の単体あるいは2種以上のブレンド物などにより設けられる。」
「【0040】
この内層フィルムとカップ原紙をポリエチレンの押出し加工により貼り合せて、カップ原紙の反対面に熱可塑性樹脂層を形成し、さらに熱可塑性樹脂層の表面にコロナ処理を行う。
次工程で印刷、ブランクス形状に打ち抜き加工を行い、さらに加熱溶着によりスリーブを作成する。具体的にはこの紙を基材とした積層体を容器の形状に合わせて所定の形状に打ち抜き、同時に折曲げ用の罫線を入れたブランクスとして成形する。そのブランクスを罫線に沿って折曲げ、組み立てて必要な部分を接着することによって本発明の液体用紙容器を製造することが出来る。
【0041】
続きを表示(全12行)
たとえば図2(A)に示したゲーベルトップ型(屋根型)の液体用紙容器は図2(B)に示したブランクスから通常の方法で容易に製造することが出来る。
一般的な紙箱ブランクスを折り曲げて箱を形成する場合には、まず、ブランクス(B)を給紙部から折りぐせ部に供給して折ぐせを付けた後、底折り部に供給して底板を内側に折込んで側板に重ねると共に、耳部を外側に折込む。
次に、糊付け部において、耳部の裏面側と接着フラップの表面側に接着材層をそれぞれ形成した後、残りの底板を内側に折り曲げて側板に重ねる。
次に、本折り部において、側板を折込んで一方の底板を他方の底板に折り重ねることにより、一方の底板の耳部の接着材層が他方の底板に接着すると共に、接着フラップの接着材層が側板に接着し、折り畳まれた状態の紙箱(スリーブ)を完成する。
【0042】
この状態での紙箱は接着部分の乾燥が完了していないので、圧着搬送部の上下一対の圧着ベルトにて紙箱を圧着しながら搬送して紙箱の接着を促進して成形を完了し、排出部によって次工程に排出される。
この折り畳まれた状態の紙箱に充填装置によってボトム成形後に内容物の充填と必要な部分の封止を行うことによって内容物の充填された容器を作成する。
図3(A)に示したフラット型の液体用紙容器も同様に図3(B)に示したブランクスから通常の方法で容易に製造することが出来る。・・・」
「【0043】
<実施例1>
以下の層構成の積層体を作成した。
LDPE樹脂層(20μm)/板紙(350g/m2)/EMAA(20μm)/アルミナ蒸着PETフィルム(12μm)/アンカーコート(0.5g/m2)/LDPE(30μm)/シーラントLLDPEフィルム(30μm)。
厚みが12μmのアルミナ蒸着二軸延伸PETフィルムを使用し、その蒸着面にアンカーコート剤をグラビアコート法で塗工してアンカーコート層を形成しながら、厚み30μmのLDPE樹脂を前記アンカー層上に押し出し温度280℃、加工速度80m/minで押し出してシーラント層としてのLLDPEフィルムを積層し、内層フィルムを得た。アンカーコート層の乾燥後の塗布量は0.5g/m2であった。
【0044】
坪量350g/m2のカップ原紙と上記内層フィルムをEMAA樹脂の押出しラミネートにより貼り合わせて、容器外側となるカップ原紙の反対面にLDPE樹脂を20μmの厚みで押出してさらにその表面にコロナ処理を行った。
コロナ処理面に印刷を施し印刷寸法に合わせて、ゲーベルトップ型の柱状容器(図2B)となるようなブランクス形状に打ち抜き加工をし、さらに必要部分を加熱溶着により接着して折り畳まれた状態(スリーブ状態)の紙容器を得た。
さらに、充填工程に於いて、容器のボトム成形後に内容物として20%エタノール水溶液を充填してからトップ成形して充填済み容器を作成した。」
「【図1】
[図:0001427911000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001427911000002.jpg]
」

イ 甲1発明1

上記ア(特に、【0024】~【0030】、【0043】参照。)を総合すると、甲1には、実施例1に係る次の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。

「積層体であって、
積層体の外側から積層体の内側への方向の順序の層構成として、
LPDE樹脂層(2)と、板紙である紙基材(1)と、EMAAからなる接着層(7)と、アルミナの薄膜を蒸着したPETフィルムである、厚さが12μmのバリア層(3)と、アルミナの蒸着面に形成されたアンカーコートと、LDPEからなる接着層(4)と、LLDPEフィルムであるシーラント層(5)とを備え、
シーラント層(5)は、押し出しで積層されるものである、積層体。」

ウ 甲1発明2

上記ア(特に、【0024】~【0030】、【0043】、【0044】参照。)を総合すると、甲1には、実施例1に係る積層体の製造方法として、次の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。

「積層体の外側から積層体の内側への方向の順序の層構成として、
LPDE樹脂層(2)と、板紙である紙基材(1)と、EMAAからなる接着層(7)と、アルミナの薄膜を蒸着したPETフィルムである、厚さが12μmのバリア層(3)と、アルミナの蒸着面に形成されたアンカーコートと、LDPEからなる接着層(4)と、LLDPEフィルムであるシーラント層(5)とを備え、
シーラント層(5)は、押し出しで積層されるものである、積層体の製造方法において、
バリア層(3)のアルミナの薄膜側に押し出しでシーラント層(5)を積層し、原紙である紙基材(1)とアルミナの薄膜を蒸着したPETフィルムであるバリア層(3)を、EMAAからなる接着層(7)を介して貼り合わせる、製造方法。」

2 取消理由(決定の予告)についての判断

(1)本件発明1について

ア 対比

本件発明1と甲1発明1とを対比すると、後者の「積層体」は、前者の「シート状複合体(100)」に相当し、以下同様に、「外側」は「外側(101)」に、「内側」は「内側(102)」に、「紙基材(1)」は「キャリア層(104)」に、「アルミナの薄膜」は「バリア材料層(109)」に、「PETフィルム」は「バリア基板層(108)」に、「バリア層(3)」は「バリア層(107)」に、「接着層(4)」は「第1の接着促進層」に、「シーラント層(5)」は「内側ポリマー層(111)」に、それぞれ相当する。

後者の「積層体の外側から積層体の内側への方向の順序の層構成として」は、前者の「前記シート状複合体(100)の外側(101)から前記シート状複合体(100)の内側(102)への方向に層列の層として」に相当する。

後者の「アルミナの薄膜を蒸着したPETフィルムである、」「バリア層(3)」は、前者の「バリア基板層(108)と、バリア材料層(109)と、を備えるバリア層(107)」に相当する。

後者の「板紙である紙基材(1)」は、前者の「前記キャリア層(104)が、厚紙、板紙、及び紙から成る群から選択される1つ、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせを含」むことに相当する。

PETはポリマーの一種であることを勘案すると、後者の「PETフィルム」は、前者の「前記バリア基板層(108)が、前記バリア基板層(108)の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でポリマーを含」むことに相当する。

後者の「アルミナ」は、前者の「酸化物」に相当し、後者の「薄膜」は単層であり、後者において、アンカーコート層がアルミナの蒸着面に形成されることを踏まえると、アルミナの薄膜は、PETフィルムに対して、積層体の内側にあると認められるから、後者の「アルミナの薄膜を蒸着したPETフィルムである」ことは、前者の「前記バリア材料層(109)が、単層構造であり、前記バリア材料層(109)の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でバリア材料を含み、前記バリア材料が、酸化物、金属、ケイ素含有化合物、ポリマー、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択され、」「前記内側(102)に面する前記バリア基板層(108)の層表面上で前記バリア基板層(108)を覆」うことに相当する。

後者の「積層体の外側から積層体の内側への方向の順序の層構成として、」「バリア層(3)と、」「シーラント層(5)とを備え」ることは、前者の「前記シート状複合体(100)が、内側ポリマー層(111)を更に含み、前記内側ポリマー層(111)が、前記シート状複合体(100)の前記内側(102)に面する前記バリア層(107)の側で前記バリア層(107)を覆」うことに相当する。

LLDPEは熱可塑性ポリマーの一種であることを勘案すると、後者の「LLDPEフィルムであるシーラント層(5)」は、前者の「前記内側ポリマー層(111)が、前記内側ポリマー層(111)の総重量を基準にして、少なくとも70重量%以上の熱可塑性ポリマーを含」むことに相当する。

後者の「シーラント層(5)は、押し出しで積層されるものである」ことは、前者の「前記内側ポリマー層(111)が」「押出成形工程でシート状複合体(100)に挿入または塗布されるものである」ことに相当する。

そうすると、本件発明1と甲1発明1の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点1>

「シート状複合体であって、
前記シート状複合体の外側から前記シート状複合体の内側への方向に層列の層として、
a)キャリア層と、
b)i)バリア基板層と、
続きを表示(全19行)
ii)バリア材料層と、
を備えるバリア層と、
を備え、
前記キャリア層が、厚紙、板紙、及び紙から成る群から選択される1つ、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせを含み、
前記バリア基板層が、前記バリア基板層の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でポリマーを含み、
前記バリア材料層が、
単層構造であり、
前記バリア材料層の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でバリア材料を含み、前記バリア材料が、酸化物、金属、ケイ素含有化合物、ポリマー、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択され、
前記内側に面する前記バリア基板層の層表面上で前記バリア基板層を覆い、
前記シート状複合体が、内側ポリマー層を更に含み、
前記内側ポリマー層が、前記シート状複合体の前記内側に面する前記バリア層の側で前記バリア層を覆い、
前記内側ポリマー層が、
前記内側ポリマー層の総重量を基準にして、少なくとも70重量%以上の熱可塑性ポリマーを含み、
押出成形工程でシート状複合体に挿入または塗布されるものである、
シート状複合体。」

<相違点1>

バリア基板層が含むポリマーについて、本件発明1では、「重縮合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群」から選択されるのに対し、甲1発明1では、PETである点。

<相違点2>

バリア材料層について、本件発明1では、「1nm~1μm」の範囲の厚さを有するのに対し、甲1発明1では、不明である点。

<相違点3>

本件発明1では、「前記シート状複合体は、外側に溝を有する」のに対し、甲1発明1では、そのような特定はない点。

<相違点4>

内側ポリマー層について、本件発明1では、「ポリマー混合物を含み、前記ポリマー混合物は、その都度ポリマー混合物の総重量を基準にして、30~80重量%のmPEと、少なくとも20重量%の追加ポリマーとを含」むのに対し、甲1発明1では、そのような特定はない点。

<相違点5>

本件発明1では、前記シート状複合体の内側に面する前記バリア層の層表面が第1の接着促進層に「隣接する」のに対し、甲1発明1では、積層体の外側から積層体の内側への方向の順序の層構成として、バリア層(3)と、アンカーコート層と、接着層(4)とを備え、バリア層(3)と接着層(4)は隣接していない点。

<相違点6>

第1の接着促進層について、本件発明7では、「アクリル酸コポリマーを含む」のに対し、甲1発明1では、LDPEである点。

イ 相違点についての判断

事案に鑑み、相違点4から検討する。

相違点4に係る本件発明1の構成について、甲1だけでなく、他のいずれの証拠にも、記載も示唆も見いだせない。

したがって、甲1発明1において、相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

以上により、相違点4以外の相違点を検討するまでもなく本件発明1は、甲1発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件発明2~4、6、8~10、18~20について

本件発明2~4、6、8~10、及び、本件発明1に従属する本件発明18~20は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(1)イで説示したのと同様の理由により、甲1発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件発明11について

ア 対比

本件発明11と甲1発明2とを対比すると、後者の「原紙である紙基材(1)とアルミナの薄膜を蒸着したPETフィルムであるバリア層(3)を、EMAAからなる接着層(7)を介して貼り合わせる」ことは、前者の「b)前記キャリア層(104)に前記バリア層(107)を重ね合わせることによってシート状複合体(100)を得るステップ」及び「前記ステップbにおいて重ね合わせることが、前記シート状複合体(100)において、前記キャリア層(104)の第1の側が前記バリア層(107)に面するように達成される」ことに相当し、後者の「バリア層(3)のアルミナの薄膜側に押し出しでシーラント層(5)を積層」することは、前者の「前記キャリア層(104)とは反対側の前記バリア層(107)の側に、押出成形工程において内側ポリマー組成物を重ね合わせることによって内側ポリマー層(111)を得るステップ」に相当する。

また、後者において、アルミナの薄膜を蒸着したPETフィルムであるバリア層(3)と、アルミナの蒸着面に形成されたアンカーコートと、接着層(4)とは、この順序で構成されているので、紙基材(1)は、バリア層(3)のPETフィルム側に配置されることになるから、後者の「原紙である紙基材(1)とアルミナの薄膜を蒸着したPETフィルムであるバリア層(3)を、EMAAからなる接着層(7)を介して貼り合わせること」は、前者の「前記ステップbの重ね合わせの間、前記バリア材料層(109)が、前記キャリア層(104)とは反対側に面する前記バリア基板層(108)の側に配置され」ることにも相当する。

上記(1)アを踏まえると、本件発明11と甲1発明2との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点2>

「方法であって、
a)キャリア層を含むシート状複合体前駆体と、
バリア基板層と、前記バリア基板層を覆うバリア材料層と、を含むバリア層と、
を設けるステップと、
続きを表示(全14行)
b)前記キャリア層に前記バリア層を重ね合わせることによってシート状複合体を得るステップと、
d)前記キャリア層とは反対側の前記バリア層の側に、押出成形工程において内側ポリマー組成物を重ね合わせることによって内側ポリマー層を得るステップと、
を備え、
前記バリア基板層が、前記バリア基板層の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でポリマーを含み、
前記バリア材料層が、
単層構造であり、
前記バリア材料層の重量を基準にして少なくとも50重量%の範囲でバリア材料を含み、前記バリア材料が、酸化物、金属、ケイ素含有化合物、ポリマー、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択され、
前記ステップbの重ね合わせの間、前記バリア材料層が、前記キャリア層とは反対側に面する前記バリア基板層の側に配置され、
前記内側ポリマー層が、前記内部ポリマー層の総重量を基準にして、少なくとも70重量%以上の熱可塑性ポリマーを含み、
前記ステップbにおいて重ね合わせることが、前記シート状複合体において、前記キャリア層の第1の側が前記バリア層に面するように達成される、方法。」

<相違点7>

本件発明11では、「前記キャリア層から離れた方向に面する前記バリア層の層表面に第1の接着促進組成物と接触させることによって、第1の接着促進層を得るステップであって、前記第1の接着促進組成物がアクリル酸コポリマーを含む、ステップ」を備えるのに対し、甲1発明2では、そのような構成を有しない点。

<相違点8>

内側ポリマー層について、本件発明11では、「ポリマー混合物を含み、前記ポリマー混合物は、その都度ポリマー混合物の総重量を基準にして、30~80重量%のmPEと、少なくとも20重量%の追加ポリマーとを含」むのに対し、甲1発明2では、そのような特定はない点。

<相違点9>

バリア基板層が含むポリマーについて、本件発明11では、「重縮合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群」から選択されるのに対し、甲1発明2では、PETである点。

<相違点10>

バリア材料層について、本件発明11では、「1nm~1μm」の範囲の厚さを有するのに対し、甲1発明2では、不明である点。

<相違点11>

本件発明11では、「前記キャリア層の前記第1の側の反対側で前記キャリア層(104)に溝を形成する方法ステップI)をさらに含む」のに対し、甲1発明2では、そのような構成を有しない点。

イ 相違点についての判断

事案に鑑み、相違点8から検討すると、相違点8は相違点4と実質的に同じであるから、相違点8以外の相違点を検討するまでもなく、上記(1)イで説示したのと同様の理由により、本件発明11は、甲1発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)本件発明12~14、16について

本件発明12~14、16は、本件発明11の発明特定事項を全て含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(3)イで説示したのと同様の理由により、甲1発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(5)本件発明17について

請求項1の記載及び請求項17が引用する請求項11の記載を参照すると、本件発明17は、少なくとも本件発明1の発明特定事項を全て含むのは明らかであるから、上記(1)イで説示したのと同様の理由により、甲1発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(6)本件発明18~20について

本件発明17に従属する本件発明18~20は、上記(5)で説示したように、少なくとも本件発明1の発明特定事項を全て含むのは明らかであるから、上記(1)イ及び(2)で説示したのと同様の理由により、甲1発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 特許異議申立理由1(新規性)についての判断

上記2(1)ア、同(2)、同(3)ア、同(4)、同(5)及び(6)で説示したように、本件発明1~4、6、8、9、11~14、16~20と、甲1発明1又は甲1発明2とには、相違点4又は相違点4と実質的に同じ相違点があり、甲1には、相違点4に係る構成については記載も示唆もないことから、本件発明1~4、6、8、9、11~14、16~20は甲1に記載された発明ではない。

よって、特許異議申立理由1は成り立たない。

第7 むすび

以上により、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1~4、6、8~14、16~20に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項1~4、6、8~14、16~20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

また、請求項5、7、15は、本件訂正により削除されたため、申立人による特許異議の申立てにおける請求項5に係る特許についての申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

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2023-701224

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    共通の審決分類: 113・B32B、121・B32B
  • 2026-700157異議申立 / 2026-06-23 / 維持リサイクルフィルム
    共通の審決分類: 113・B32B、121・B32B
  • 2025-700885異議申立 / 2026-06-09 / 訂正認容金属調加飾シート及びこれを備える金属調加飾成形体
    共通の審決分類: 113・B32B、121・B32B
  • 2025-700024異議申立 / 2026-05-21 / 訂正認容化粧シート、化粧材及び樹脂組成物
    共通の審決分類: 113・B32B、121・B32B
  • 2024-700754異議申立 / 2026-04-28 / 訂正認容ヒートシール性積層体、包装材料用積層体、および包装材料
    共通の審決分類: 113・B32B、121・B32B

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