特許異議申立
2024-700754
ヒートシール性積層体、包装材料用積層体、および包装材料
- 審判番号
- 2024-700754
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-168338
- 登録番号
- 7432132
- 請求日
- 2024年08月08日
- 審決日
- 2026年04月28日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】大日本印刷株式会社
- 【権利者代理人】宮嶋 学
- 【権利者代理人】浅野 真理
- 【権利者代理人】高田 泰彦
- 【権利者代理人】柏 延之
- 【異議申立人】岡本 正義
- 審判長/審判官
- 審判長 田口 傑
- 審判官 長清 吉範
- 審判官 神山 茂樹
- 分類
- P1651.113-YAA(B32B) / P1651.121-YAA(B32B) / P1651.536-YAA(B32B) / P1651.537-YAA(B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第7項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7432132号発明「ヒートシール性積層体、包装材料用積層体、および包装材料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7432132号の特許請求の範囲を、令和7年12月23日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。
特許第7432132号の請求項1、2、4~12に係る特許を維持する。
特許第7432132号の請求項3に係る特許についての特許異議申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7432132号(以下「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、平成30年9月7日に出願され、令和6年2月7日に特許権の設定登録がされ、令和6年2月16日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 8月 8日 :特許異議申立人岡本正義(以下「申立人」という。)による請求項1~12に係る特許に対する特許異議の申立て
令和6年11月28日付け:取消理由通知書
令和7年 1月31日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和7年 5月26日 :申立人による意見書の提出
令和7年10月17日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和7年12月23日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
なお、令和7年1月31日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
また、令和8年1月15日付けで申立人に対して、訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を、期間を指定して行ったが、当該期間内に申立人からは応答がなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年12月23日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正自体を「本件訂正」という。)は、「特許第7432132号の特許請求の範囲を、本件請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求める。」ものであり、本件訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は、当審で訂正箇所に付したものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における、
「ガスバリア性樹脂層と、接着性樹脂層と、ポリオレフィン樹脂層とを備え、
ガスバリア性樹脂層、接着性樹脂層およびポリオレフィン樹脂層が、共押未延伸樹脂フィルムであり、
前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリオレフィンを含む第1のポリオレフィン樹脂層と、ポリオレフィンおよびヒートシール改質剤を含む第2のポリオレフィン樹脂層とを備え、」との記載を、
「ガスバリア性樹脂層と、接着性樹脂層と、ポリオレフィン樹脂層とを備え、
前記ポリオレフィン樹脂層が、
ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層と、
ポリプロピレンと、オレフィンコポリマーからなるヒートシール改質剤と、を含む第2のポリオレフィン樹脂層と、を備え、
前記第1のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上50μm以下であり、
前記第2のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上20μm以下であり、
前記第1のポリオレフィン樹脂層と前記第2のポリオレフィン樹脂層とが接しており、
前記ガスバリア性樹脂層、前記接着性樹脂層および前記ポリオレフィン樹脂層が、共押未延伸樹脂フィルムであり、」と訂正する。(請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項2及び4~12も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4における、
「請求項1~3のいずれか一項」との記載を、
「請求項1又は2」と訂正する(請求項4の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項5~12も同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5における、
「請求項1~4」との記載を、
「請求項1~2及び4」と訂正する(請求項5の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項6~12も同様に訂正する。)。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6における、
「請求項1~5」との記載を、
「請求項1~2及び4~5」と訂正する(請求項6の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項7~11も同様に訂正する。)。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6における、
「前記ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと、前記基材を構成するポリオレフィンと、が同一のポリオレフィンであり、」との記載を、
「前記ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと、前記基材を構成するポリオレフィンと、がポリプロピレンであり、」に訂正する(請求項6の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項7~11も同様に訂正する。)。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10における、
「前記包装材料用積層体全体における前記ポリオレフィンの含有量が、80質量%以上である、」との記載を、
「前記包装材料用積層体全体におけるポリプロピレンの含有量が、80質量%以上である、」に訂正する(請求項10の記載を引用する請求項11も同様に訂正する。)。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項12における、
「請求項1~5」との記載を、
「請求項1~2及び4~5」と訂正する。
(9)一群の請求項
訂正前の請求項1~12について、請求項2~12はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。よって、本件訂正請求は、一群の請求項〔1~12〕に対して請求されたものである。
2 訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1
訂正事項1の、訂正前の請求項1で「前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリオレフィンを含む第1のポリオレフィン樹脂層と、ポリオレフィンおよびヒートシール改質剤を含む第2のポリオレフィン樹脂層とを備え、」との記載を「ガスバリア性樹脂層と、接着性樹脂層と、ポリオレフィン樹脂層とを備え、」との記載の後に移動するとともに、第1及び第2のポリオレフィン樹脂層に含まれるポリオレフィンを「ポリプロピレン」にそれぞれ限定し、ヒートシール改質剤を「オレフィンコポリマーからなるヒートシール改質剤」に限定した訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、本件特許明細書の【0028】、【0031】、【0033】及び【0136】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。
訂正事項1の、訂正前の請求項1における、ポリオレフィン樹脂層を構成する第1及び第2のポリオレフィン樹脂層の厚さ及び積層関係を「接して」いると限定する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、本件特許明細書の【0017】、【0033】、【0035】、【0136】及び【図2】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。
訂正事項1の、訂正前の請求項1における「ガスバリア性樹脂層」、「接着性樹脂層」及び「ポリオレフィン樹脂層」のそれぞれに「前記」を冠する訂正は、「ガスバリア性樹脂層」、「接着性樹脂層」及び「ポリオレフィン樹脂層」が、前段に記載の「ガスバリア性樹脂層と、接着性樹脂層と、ポリオレフィン樹脂層とを備え、」のそれぞれ対応することを明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。
(3)訂正事項3~5、8
訂正事項3~5、8は、訂正前の請求項4~6、12について、訂正事項2によって請求項3が削除されたことに伴い、引用する請求項の数を減少させ、また、訂正事項2によって削除された請求項3を引用しているという不明瞭な状態を解消させるものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項6
訂正事項6は、訂正前の請求項6において、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと、基材を構成するポリオレフィンが同一のポリオレフィンであるとする、「同一のポリオレフィン」を「ポリプロピレン」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、本件特許明細書の【0046】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。
(5)訂正事項7
訂正事項7は、請求項10において、「前記ポリオレフィンの含有量」における「ポリオレフィン」を「ポリプロピレン」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、本件特許明細書の【0028】、【0033】及び【0041】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。
3 申立人の主張について
申立人は、令和7年1月31日の特許権者による訂正請求について、令和7年5月26日に意見書を提出し、訂正事項3は、訂正要件違反である旨を主張している。当該訂正請求は、上記第1に記載したように、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなすものであるが、本件訂正事項6においても同様の訂正がされているので念のため検討する。
(1)申立人の主張
特許請求の範囲の請求項6における「前記ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと、前記基材を構成するポリオレフィンと、が同一のポリオレフィンであり、」との記載を、「前記ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと、前記基材を構成するポリオレフィンと、がポリプロピレンであり、」にする訂正は、「同一の」という規定が削除されることにより、訂正後の請求項6は、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと、基材を構成するポリオレフィンとが「異なる」態様も含むように訂正することは、特許請求の範囲の減縮とはいえず、特許請求の範囲拡張といわざるを得ない。
(2)申立人の主張に対する当審の判断
下記第5の2(1)エ(ウ)で説示したように、「同一のポリオレフィン」とは、同じ種類のポリオレフィン樹脂(例えば、両者がポリプロピレン等)であることを意味していることと理解することが妥当である。
そうすると、訂正後の請求項6は、訂正前の同一のポリオレフィンとしてポリプロピレンに限定したものであるから、特許請求の範囲を減縮したものであり、特許請求の範囲を拡張したものではない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
4 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1~8に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記のとおり、本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~12に係る発明(以下「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
基材がポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルムからなる包装材料用積層体に使用されるヒートシール性積層体であって、
ガスバリア性樹脂層と、接着性樹脂層と、ポリオレフィン樹脂層とを備え、
前記ポリオレフィン樹脂層が、
ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層と、
ポリプロピレンと、オレフィンコポリマーからなるヒートシール改質剤と、を含む第2のポリオレフィン樹脂層と、を備え、
前記第1のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上50μm以下であり、
前記第2のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上20μm以下であり、
前記第1のポリオレフィン樹脂層と前記第2のポリオレフィン樹脂層とが接しており、
前記ガスバリア性樹脂層、前記接着性樹脂層および前記ポリオレフィン樹脂層が、共押未延伸樹脂フィルムであり、
ヒートシールされる側が前記第2のポリオレフィン樹脂層である
ことを特徴とする、ヒートシール性積層体。
【請求項2】
前記第2のポリオレフィン樹脂層における前記ヒートシール改質剤の含有量が、10質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載のヒートシール性積層体。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記ガスバリア性樹脂層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む、請求項1又は2に記載のヒートシール性積層体。
【請求項5】
前記ガスバリア性樹脂層の厚さが、0.5μm以上10μm以下である、請求項1~2及び4のいずれか一項に記載のヒートシール性積層体。
【請求項6】
基材と、請求項1~2及び4~5のいずれか一項に記載のヒートシール性積層体とを備え、
前記基材が、前記ポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルムであり、
前記ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと、前記基材を構成するポリオレフィンと、がポリプロピレンであり、
前記ガスバリア性樹脂層の厚みが、前記ポリオレフィン樹脂層の厚みよりも小さいことを特徴とする、包装材料用積層体。
【請求項7】
前記基材と、前記ヒートシール性積層体との間に、蒸着膜をさらに備える、請求項6に記載の包装材料用積層体。
【請求項8】
前記基材と、前記蒸着膜との間に、接着層をさらに備える、請求項7に記載の包装材料用積層体。
【請求項9】
前記蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜であり、
前記接着層が、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とリン酸変性化合物とを含む樹脂組成物の硬化物を含む、請求項8に記載の包装材料用積層体。
【請求項10】
前記包装材料用積層体全体におけるポリプロピレンの含有量が、80質量%以上である、請求項6~9のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
請求項6~10のいずれか一項に記載の包装材料用積層体から構成される、包装材料。
【請求項12】
請求項1~2及び4~5のいずれか一項に記載のヒートシール性積層体と、
前記ヒートシール性積層体の前記ガスバリア性樹脂層表面に設けられた蒸着膜と
を備える積層体。」
第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由について
本件訂正前の請求項1~12に係る発明に対して、当審において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
取消理由2(甲1を主引用例とする進歩性)及び3(引用文献1を主引用例とする進歩性)
本件特許の請求項1~12に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<引用文献等一覧>
甲1:特開2009-107340号公報(申立人の提示した甲第1号証)
甲2:特開2006-281675号公報(同甲第2号証)
甲3:特開2018-16012号公報(同甲第3号証)
甲4:国際公開第2018/006980号(同甲第4号証)
引用文献1:特開2009-96153号公報(申立人が提出した参考資料1)
2 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由についての当審における判断
当審合議体は以下のとおり、上記取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由2及び3によっては、本件発明1、2、4~12に係る特許は取り消されるべきものではないと判断する。
(1)引用文献の記載、引用文献に記載された発明について
ア 甲1
(ア)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。(甲1にない下線は当審で付した。「・・・」は摘記の省略を示す。以下同様。)
「【請求項10】
フレキシブル包装用ウェブであって、
(a)120000psi未満の割線係数及び150%を超える破断点伸びを特徴とする非延伸シーラントフィルムを備える第1層を有し、ここで、該非延伸シーラントフィルムはエチレン/ビニルアルコール共重合体の熱可塑性基層とヒートシール層とを備え、該非延伸シーラントフィルムの基層は、その上に付着した1.0~100ナノメートルの厚さを有する金属被覆を有し;
(b)該金属被覆に隣接して配置される第2層をさらに有し、ここで、該第2層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド若しくはポリ乳酸の延伸フィルム又は紙若しくは再生セルロースのフィルムを備え;
(c)該フレキシブル包装用ウェブが73°F及び0%の相対湿度で0~0.5cm3/100インチ2/24時間(23℃で0~7.75cm3/m2/24時間)の酸素ガス透過速度を有し、100°F及び90%の相対湿度で0~0.1g/100インチ2/24時間(38℃で0~1.55g/m2/24時間)の水蒸気透過速度を有する、
フレキシブル包装用ウェブ。
【請求項11】
前記非延伸シーラントフィルムが同時押出インフレートフィルムである、請求項10に記載のフレキシブル包装用ウェブ。
【請求項12】
前記金属被覆が真空蒸着アルミニウム又はアルミニウム含有合金である、請求項10に記載のフレキシブル包装用ウェブ。
【請求項13】
前記基層が0.05~10ミルの厚さ(1.27~254ミクロン)を有する、請求項10に記載のフレキシブル包装用ウェブ。」
「【0003】
当該技術分野においては、フレキシブル包装用フィルムのバリア特性を改善させるために金属化フィルムを使用することが知られている。通常、このようなバリアフィルムは、金属の薄層、典型的にはアルミニウムの薄層を、金属の付着前に延伸された熱可塑性基材に付着させることによって形成されている。これらの重合体基材又はフィルムに必要なことは、金属化される前に、これらのものが一軸延伸されること、すなわち一方向に引き延ばされこと、又は、ほとんどの場合には、二軸延伸されること、すなわち、縦方向及び横方向の両方に引き延ばされることである。・・・」
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
酸素バリア特性、水蒸気バリア特性及び/又はシール特性が改善された同時押出非延伸金属化シーラントフィルムを有するフレキシブル包装用ウェブを提供することが本発明の目的である。」
「【0019】
定義
本明細書において使用するときに、用語「積層」とは、多層フィルム構造を形成させるために2つ以上の連続するフィルム表面を互いに結合させることによる方法及びそれによって得られた製品をいう。積層は、フィルムと接着剤とを接着積層を使用して又はフィルムとタイ層とを押出被覆を使用して結合させることによって達成できる。・・・」
「【0025】
・・・適宜、樹脂を周知の方法によりタンブラー、ミキサー又はブレンダーを備える市販の装置を使用してブレンド又は機械混合することができ、そして、周知の添加剤、例えば、加工助剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、顔料及びそれらの混合物を押出前にブレンドによって当該樹脂に取り入れることができる。・・・」
「【0033】
本明細書において使用するときに、用語「ポリオレフィン」とは、当業者に知られている任意の方法によって形成できる単量体単位間にメチレン結合を有する単独重合体及び共重合体(例えば二元重合体、三元共重合体などを含む)をいう。ポリオレフィンの好適な例としては、ポリエチレン(PE)、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE);エチレンと1種以上のα-オレフィン、例えばブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1又は共単量体としてのこの種のものとの共重合体を含むポリエチレン、例えば線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)及び超低密度ポリエチレン(ULDPE);エチレン/プロピレン共重合体;ポリプロピレン;プロピレン/エチレン共重合体;ポリイソプレン;ポリブチレン;ポリブテン;ポリ-3-メチルブテン-1;ポリ-4-メチルペンテン-1;イオノマーなどが挙げられる。・・・」
「【0043】
図1は、本発明に従う金属化非延伸同時押出シーラントフィルム10の一実施形態の部分断面図を示している。熱可塑性基層11と、基層11の表面上に付着した金属被覆12と、ヒートシール層13とを少なくとも備えるフィルム10が示されている。基層11は、任意の天然又は合成熱可塑性材料、好ましくはポリオレフィン、例えばポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブチレン;ポリエチレン共重合体(エチレン/α-オレフィン、エチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン/ノルボルネン共重合体(COC)、エチレン/酢酸ビニル(EVA)及びエチレン/アクリル酸共重合体(EAA)が挙げられるが、これらに限定されない。);ポリアミド、特に、非晶質ポリアミド;ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート及びポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;イオノマー;並びにそれらのブレンドを含むことができる。好ましいエチレン/アクリル酸共重合体(EAA)の例としては、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(米国ミシガン州ミッドランド)から入手できるDow Primacor(商標)類の樹脂、例えば、0.938g/cm3の公表密度、5g/10分のメルトフロー、96℃の融点を有するDow Primacor(商標)1430等級のものが挙げられる。好ましい実施形態では、基層11は、エチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン/ノルボルネン共重合体(COC)、非晶質ポリアミド及びそれらのブレンドを含むことができる。・・・好ましくは、基層11は、0.05~10ミルの全厚さを有する。
【0044】
金属被覆12は、基層11の一以上の表面に、当業者に知られている従来のあらゆる金属付着方法により付着できる。金属被覆12は、任意の金属、金属酸化物又は金属合金を含むことができ、好ましくは、これはアルミニウム又はアルミニウム合金である。好ましくは、真空蒸着技術を使用してアルミニウム又はアルミニウム合金の層を基層11の表面に適用する。好ましくは、金属被覆12は、1.0~100ナノメートルの厚さを有する。
【0045】
図に示すように、ヒートシール層13は基層11に隣接して位置し、また任意の望ましいヒートシール性材料を含むことができる。好ましくは、ヒートシール層13は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、イオノマー、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、又はそれらのブレンドを含む。・・・」
「【0047】
別の実施形態では、シーラントフィルム10は、第2シーラント層(図示しない)をさらに備え、当該第2シーラント層は、ヒートシール層13と接触した状態にあり、かつ、ヒートシール層13と基層11との間に位置する。・・・」
「【0049】
図3は、本発明の別の実施形態を示す。図に示すように、包装用ウェブ200は、金属化非延伸同時押出シーラントフィルム10(熱可塑性基層11、金属被覆12及びヒートシール層13を含む)、延伸フィルム20及び接着剤層21を備える。好ましくは、延伸フィルム20は二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)フィルムである。接着剤層21は、フィルム20をフィルム10に張り付ける役割をする。一実施形態では、接着剤層21は、二液型ポリウレタン接着剤である。OPETフィルムの例としては、商品名Skyrol(商標)の下に販売されれているもの、特にSKC Co.,Ltd.(韓国ソウル)が製造する48ゲージSkyrol(商標)SP65が挙げられるが、これらに限定されない。」
(イ)甲1に記載された発明
上記(ア)より、甲1には、特に、【0005】、【請求項10】~【請求項13】に着目すると、以下の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。なお、括弧内に主な参照箇所を示す。以下同様。
[甲1発明1]
「フレキシブル包装用ウェブであって、
(a)120000psi未満の割線係数及び150%を超える破断点伸びを特徴とする非延伸シーラントフィルムを備える第1層を有し、ここで、該非延伸シーラントフィルムはエチレン/ビニルアルコール共重合体の熱可塑性基層とヒートシール層とを備え、該非延伸シーラントフィルムの基層は、その上に付着した1.0~100ナノメートルの厚さを有する金属被覆を有し;
(b)該金属被覆に隣接して配置される第2層をさらに有し、ここで、該第2層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド若しくはポリ乳酸の延伸フィルム又は紙若しくは再生セルロースのフィルムを備え;
(c)該フレキシブル包装用ウェブが73°F及び0%の相対湿度で0~0.5cm3/100インチ2/24時間(23℃で0~7.75cm3/m2/24時間)の酸素ガス透過速度を有し、100°F及び90%の相対湿度で0~0.1g/100インチ2/24時間(38℃で0~1.55g/m2/24時間)の水蒸気透過速度を有し、(【請求項10】)
前記非延伸シーラントフィルムが同時押出インフレートフィルムであり、(【請求項11】)
前記金属被覆が真空蒸着アルミニウム又はアルミニウム含有合金であり、(【請求項12】)
前記基層が0.05~10ミルの厚さ(1.27~254ミクロン)を有する、(【請求項13】)
フレキシブル包装用ウェブ。」
イ 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
引用文献1には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、軟包装の分野で、主に食品、化成品等の包装容器の蓋材や包装袋に使用される多層積層フィルムであって、充分な密封性を有すると共に開封性に優れ、ボイル処理及びレトルト処理等の加熱処理にも耐え得る耐熱性を有し、食品の長期保存に必要なガスバリア性を有し、さらにピール部の糸引きなどにより外観を損ねることなく、実用性と美観性を両立した多層積層フィルム、並びにそれを用いる包装容器及び包装袋に関するものである。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の易開封性を目的としたフィルムは、材料コストが高く、製膜条件における自由度(ブレンド条件など)が低く、また、低温シール性を高める等の目的でポリブテンのような耐熱性に劣る物質を含むため、ピール部に糸引きを生じて外観が損なわれるものであった。さらに、これらのフイルムは、食品の長期保存に必要なガスバリア性を有しないため、食品包装に用いる場合は、新たにガスバリア性フィルムをラミネートする必要があり、製造にコストがかかるものであった。」
「【0008】
本発明の多層積層フィルムのシール層(A)は、非相溶の高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなり、これらの樹脂のうちの成分比率の高い方が海、成分比率の低い方が島を形成する海島構造をとる。
【0009】
本発明においては、上記樹脂のMFR(メルトマスフローレイト)をコントロールすることにより海島構造を制御して、所望の凝集剥離強度を達成することができる。・・・」
「【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明について、以下に詳しく説明する。
本発明の多層積層フィルムは、シール層(A)、並びにその上に順に積層された基材層(B)、(C)及び(D)、並びに場合によりさらに基材層(E)及び(F)を有する。図1は、シール層(A)上に、基材層(B)~(F)が積層された6層構造の多層積層フィルムを示すものである。
<1>シール層(A)
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。また、本発明において、密度は「JIS K 7112」に準拠して測定した。
(1)シール層(A)を構成する高密度ポリエチレン
本発明において、ポリエチレンには、エチレン・ホモポリマー、及びエチレンと他のα-オレフィン(例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等)とのブロック又はランダム共重合体が包含される。
シール層(A)を構成する高密度ポリエチレンは、密度が0.945~0.965g/cm3であり、より好ましくは0.950~0.955g/cm3であり、そしてMFR(190℃)が1~7g/10分であり、より好ましくは1~4g/10分である比較的溶融粘度の高い樹脂を使用する。
【0012】
上記において、密度が0.945g/cm3未満であると、糸引きが生じ易くなり、また0.965g/cm3を超えると、製膜時に未溶融物が生じる可能性があり、フィルムの外観不良になる恐れがある。
そして、MFR(190℃)が1g/10分未満であると、流れ性が低下するために製造が困難になり、その上、高MFRのポリプロピレンとの相溶性不良を起こして目に見えるムラが生じるため好ましくない。また7g/10分を超えると、ポリプロピレンのMFRとの差がなくなるため、相互分散度が高くなり、目的の易開封性が得られないため好ましくない。ここで、MFR(190℃)は「JIS K6922」に準拠して測定した。
本発明で使用するのに好適な高密度ポリエチレンとしては、例えばプライムポリマー(株)製のハイゼックス3300F、日本ポリエチレン(株)製のノバテックHJ360及びHJ362N等が挙げられる。
【0013】
(2)シール層(A)を構成するポリプロピレン
本発明において、ポリプロピレンには、プロピレン・ホモポリマー、及びプロピレンと他のα-オレフィンとのブロック又はランダム共重合体が包含される。
シール層(A)を構成するポリプロピレンとしては、密度が0.9~0.91g/cm3であり、
そしてMFR(230℃)が5~30g/10分である樹脂を使用する。適度なシール強度を得るためには、エチレン・プロピレンランダム共重合体が特に好ましい。ブロック共重合体は、凝集破壊強度が高くなりすぎて良好な易開封性が得られない場合がある。
【0014】
上記において、MFR(230℃)が5g/10分未満であると、低MFRの高密度ポリエチレンと流動性が近くなることから、微分散状態になるため、適度な易開封性が得られない。また、MFR(230℃)が30g/10分を超えると、高流動性であるため、インフレーション製膜法によって製膜することができない。ここで、MFR(230℃)は「JIS K6921」に準拠して測定した。
本発明で使用するのに好適なポリプロピレンとしては、例えばプライムポリプロ(株)製のエチレン・プロピレンランダム共重合体(J235T)、日本ポリプロ(株)製のノバテックFL03H等が挙げられる。
【0015】
(3)ブレンド比率
シール層(A)の高密度ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド比率は、10~60重量部の高密度ポリエチレンと、40~90重量部のポリプロピレンとからなることが好ましいが、要求される接着強度に応じて、ブレンド比率を変更することができる。
ポリプロピレンの比率が上記の範囲より高いと接着強度が高くなりすぎて良好な易開封性が得られず、また比率が低いと十分な接着強度が得られず、包装容器や包装袋としての密封性が満足できない。
【0016】
<2>基材層
本発明の多層積層フィルムの基材層は、シール層(A)と相俟って易開封性に寄与するだけでなく、食品の長期保存に必要なガスバリア性、包装容器の蓋材として又は包装袋として機能を果たすための強度、ボイル処理等の加熱処理に耐え得る耐熱性、及び製膜安定性も要求される。
(1)基材層(B)
本発明の多層積層フィルムの基材層(B)を構成する樹脂としては、ポリエチレン又はエチレン・プロピレン共重合体が使用される。基材層(B)は、後述の基材層(C)のマレイン酸由来の臭いが、包装内の内容物の香りに影響を与えるのを防ぐ。
本発明で使用する好適なポリエチレン又はエチレン・プロピレン共重合体は、例えばプライムポリマー(株)製のエチレン・α-オレフィン共重合体(エボリューSP2020)、及び日本ポリプロ(株)製のエチレン・プロピレンランダム共重合体(ノバテックFW4BT)等が挙げられる。
【0017】
(2)基材層(C)
本発明の多層積層フィルムの基材層(C)を構成する樹脂としては、エチレン・無水マレイン酸グラフト共重合体又はプロピレン・無水マレイン酸グラフト共重合体が使用される。この樹脂は、基材層(B)と(D)を強固に接着することができる接着性樹脂として機能する。本発明で使用するのに好適なエチレン・無水マレイン酸グラフト共重合体又はプロピレン・無水マレイン酸グラフト共重合体としては、例えばプライムポリマー(株)製のエチレン・無水マレイン酸グラフト共重合体(アドマーNF548)、及びプライムポリマー(株)製のプロピレン・無水マレイン酸グラフト共重合体(アドマーQF551)等が挙げられる。
【0018】
(3)基材層(D)
本発明の多層積層フィルムの基材層(D)を構成する樹脂としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体が使用される。この樹脂は、酸素の透過を阻止する酸素バリア性を有する。本発明で使用するのに好適なエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、例えばクラレ(株)製のエバールE151及びエバールEU105が挙げられる。
【0019】
(4)基材層(E)及び(F)
本発明の多層積層フィルムにおいて、基材層(D)の上にさらに、接着性樹脂からなる基材層(E)、及びその上に最表層として基材層(F)を積層することができる。基材層(E)を構成する樹脂としては、上述の基材層(C)に挙げたものを使用することができる。また、基材層(F)を構成する樹脂としては、上述の基材層(B)に挙げたものを使用することができる。
インフレーション製膜法により製造する場合、基材層(B)、(C)、(E)及び(F)を構成する樹脂はいずれもMFR(230℃)が1~20g/10分であり、そして基材層(D)を構成するエチレン・ビニルアルコール共重合体はMFR(190℃)が1~10g/10分であることが好ましい。この範囲に規定することにより、良好なインフレーション製膜が可能となる。
【0020】
<3>包装材料
本発明の多層積層フィルムの基材層表面に、適宜、各種包装材料、例えば延伸フィルムを1層又は2層以上ラミネートすることができる。
本発明において、「延伸フィルム」とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、6-ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネートからなるフィルムを指す。特に好ましい延伸フィルムとしては、透明性、機械的強度及び包装適性に優れたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6-66)等からなる延伸フィルムが挙げられる。本発明の多層積層フィルムに各種延伸フィルムをラミネートすることにより、フィルムの物理的強度が向上し、また熱収縮性のような加熱処理に好ましい性質が付与される。
上記のような包装材料は、例えばドライラミネート法、無溶剤型ラミネーション法、押し出しラミネーション法、共押し出しラミネーション法等によりラミネートすることができる。
【0021】
<4>層厚
シール層(A)に関しては層厚が20μm以下、好ましくは10μm以下であるものが良い。20μmを超えると剥離層(凝集破壊層)が汚くなり、剥離面の美麗性に劣るものになる。また、基材層(B)及び(F)は層厚5~50μmであることが好ましく、基材層(C)及び(E)は層厚1~20μmであることが好ましく、基材層(D)は層厚5~30μmであることが好ましい。
バリア層については、ここで規定する範囲以下にすると十分なバリア性が得られなくなり、一方、この範囲以上に厚くすると高コストになるため好ましくない。
また、接着樹脂層については、ここで規定する範囲以下にすると十分な接着性が得られなくなり、一方、この範囲以上に厚くすると、高コストならびに樹脂由来の臭いのため、包装用フィルムとして用いることができなくなる。
【0022】
<5>物性
次に、本発明の多層積層フィルムに要求される物性を設定する際の要因について説明する。
(1)凝集破壊(凝集剥離)強度
本発明の多層積層フィルムの易開封性又は凝集破壊強度のコントロールは、シール層(A)に用いる高密度ポリエチレンとポリプロピレンの配合比を変更することで行う。
【0023】
(2)ガスバリア性
酸素の透過を阻止する酸素バリア性は、基材層(D)として、エチレン・ビニルアルコール共重合体からなる層を積層することにより得られる。食品の長期保存に充分な酸素バリア性を得るためには、基材層(D)は少なくとも5μmの層厚を有するべきである。また、本発明の多層積層フィルムにおいて、基材層(D)は最大30μmの層厚を有する。層厚をこれよりも厚くすると、コストがかかりすぎるために好ましくない場合がある。
また、内容物(食品等)の品質低下を抑止するために、本発明の多層積層フィルムにさらに酸素及び/又は水蒸気バリア性を有する包装材料を積層してもよい。
本発明の多層積層フィルムは、単独で又は場合により適当な包装材料をさらに積層することにより、酸素透過度に関して、JIS K 7126に準拠した手法で得られる数値として3.0cc/m2・日・atm以下という優れた酸素バリア性を示すことができる。
【0024】
<6>多層積層フィルムの構成
次に、図2に示す例により、本発明の多層積層フィルムの構成を説明する。図2は本発明によるシール層(A)及び基材層(B)~(D)を有する多層積層フィルム上に、ラミネート接着剤層を積層し、その上に延伸フィルムからなる包装資材の基材を積層し、さらにその上に、必要に応じて印刷を施したラミネート接着剤層を積層し、その上に延伸フィルムからなる包装資材の基材を積層したものである。
【0025】
<7>包装容器
本発明の多層積層フィルムは包装容器の蓋材用シーラントフィルム等に使用される。具体的には、ポリプロピレンで形成された容器の開口部に、シール層(A)が接するように重ねられた状態でヒートシールされ、開封時には、該シール層(A)の凝集破壊が起こる。
【0026】
<8>包装袋
本発明の多層積層フィルムは、包装袋として好ましく使用することができる。本発明の多層積層フィルムからなる包装袋は、優れた易開封性及びガスバリア性を有する。・・・」
「【0036】
[実施例2]
(1)シール層(A)
高密度ポリエチレン(プライムポリマー(株)製ハイゼックス3300F:密度=0.950g/cm3、MFR(190℃)=1.1g/10分)30重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ(株)製ノバテックFL02C:密度=0.9g/cm3、MFR(230℃)=20g/10分)70重量部を十分に混錬し、シール層(A)用樹脂組成物を調製した。
【0037】
(2)基材層(B)
エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ(株)製ノバテックFW4BT:密度=0.90g/cm3、MFR(230℃)=6.5g/10分)100重量部からなる基材層(B)用樹脂組成物を調製した。
【0038】
(3)基材層(C)
プロピレン・無水マレイン酸グラフト共重合体(プライムポリマー(株)製アドマーQF551:密度=0.89g/cm3、MFR(230℃)=5.7g/10分)100重量部からなる基材層(C)用樹脂組成物を調製した。
【0039】
(4)基材層(D)
エチレン・ビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製エバールEU105:密度=1.14g/cm3、MFR(190℃)=5.5g/10分)100重量部からなる基材層(D)用樹脂組成物を調製した。
上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、総厚50μmの多層積層フィルム(シール層(A)5μm/基材層(B)20μm/基材層(C)5μm/基材層(D)20μm)を製造した。」
「【0046】
[実施例4]
実施例1で製造した多層積層フィルムのシール層(A)とは反対側の基材層(D)表面にコロナ処理を施し、その表面に2液硬化型ウレタン接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族イソシアネート)を塗布し、ポリエステルフィルム2枚を積層した(最初に東洋紡(株)製二軸延伸PETフィルム[E5200](両面コロナ処理):厚さ12μmを、次いで東洋紡(株)製二軸延伸PETフィルム[E5100](片面コロナ処理):厚さ12μmを積層した)。得られた多層積層フィルムは、(シール層(A)/基材層(B~D)/DL/ポリエステルフィルム層/DL/ポリエステルフィルム層)の構造を有する(DLは接着剤部分を意味する)。
【0047】
[実施例5及び6]
実施例2及び3で製造した多層積層フィルムをそれぞれ用いて、実施例4と同様に延伸フィルムを積層した。」
(イ)引用文献1に記載された発明
上記(ア)より、引用文献1には、特に、【0016】~【0018】、【0025】、【0026】、【0036】~【0039】の実施例2、【0046】の実施例4及び【0047】の実施例5に着目すると、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明1]
「シール層(A)とは反対側の基材層(D)表面にコロナ処理を施し、その表面に2液硬化型ウレタン接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族イソシアネート)を塗布し、ポリエステルフィルム2枚を積層し(最初に東洋紡(株)製二軸延伸PETフィルム[E5200](両面コロナ処理):厚さ12μmを、次いで東洋紡(株)製二軸延伸PETフィルム[E5100](片面コロナ処理):厚さ12μmを積層した)、(シール層(A)/基材層(B~D)/DL/ポリエステルフィルム層/DL/ポリエステルフィルム層)の構造を有する(DLは接着剤部分を意味する)包装容器の蓋材用シーラントフィルムや包装袋に使用される多層積層フィルムに使用される、(【0046】、【0047】、【0025】、【0026】)
総厚50μmの多層積層フィルム(シール層(A)5μm/基材層(B)20μm/基材層(C)5μm/基材層(D)20μm)(【0039】、【0018】)であって、
高密度ポリエチレン(プライムポリマー(株)製ハイゼックス3300F:密度=0.950g/cm3、MFR(190℃)=1.1g/10分)30重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ(株)製ノバテックFL02C:密度=0.9g/cm3、MFR(230℃)=20g/10分)70重量部を十分に混錬し、シール層(A)用樹脂組成物を調製し、(【0036】)
エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ(株)製ノバテックFW4BT:密度=0.90g/cm3、MFR(230℃)=6.5g/10分)100重量部からなる、基材層(C)のマレイン酸由来の臭いが、包装内の内容物の香りに影響を与えるのを防ぐ基材層(B)用樹脂組成物を調製し、(【0037】、【0016】)
プロピレン・無水マレイン酸グラフト共重合体(プライムポリマー(株)製アドマーQF551:密度=0.89g/cm3、MFR(230℃)=5.7g/10分)100重量部からなる、接着性樹脂として機能する基材層(C)用樹脂組成物を調製し、(【0038】、【0017】)
エチレン・ビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製エバールEU105:密度=1.14g/cm3、MFR(190℃)=5.5g/10分)100重量部からなる、酸素バリア性を有する基材層(D)用樹脂組成物を調製し、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて製造した総厚50μmの多層積層フィルム(シール層(A)5μm/基材層(B)20μm/基材層(C)5μm/基材層(D)20μm)。(【0039】、【0018】)」
(2)甲1を主引用例とする場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明1を対比する。
・甲1発明1の「金属被覆に隣接して配置される第2層」が備える「ポリプロピレン」の「延伸フィルム」は、ポリプロピレンがポリオレフィンであることから、本件発明1の「基材がポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルム」に相当する。
・甲1発明1の「フレキシブル包装用ウェブ」は、包装材料用であり、また、「非延伸シーラントフィルムを備える第1層を有し」、「該非延伸シーラントフィルムの基層は、その上に付着した1.0~100ナノメートルの厚さを有する金属被覆を有し」、「該金属被覆に隣接して配置される第2層をさらに有し」ていることから積層体といえるので、本件発明1の「包装材料用積層体」に相当する。
・甲1発明1の「第1層」の「非延伸シーラントフィルム」は「エチレン/ビニルアルコール共重合体の熱可塑性基層」と「ヒートシール層」を有しているので、本件発明1の「ヒートシール性積層体」に相当する。
・甲1発明1の「非延伸シーラントフィルム」に備わる「エチレン/ビニルアルコール共重合体の熱可塑性基層」は、本件発明4の「ガスバリア性樹脂層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む」ことを鑑みると、本件発明1の「ガスバリア性樹脂層」に相当する。
・甲1発明1の「ヒートシール層」は、本件発明1の「ポリオレフィン樹脂層」とは「樹脂を含む層」である限りにおいて一致するとともに、ヒートシールされるので、本件発明1の「ポリオレフィン樹脂層が、ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層と、ポリプロピレンおよびオレフィンコポリマーからなるヒートシール改質剤と、を含む第2のポリオレフィン樹脂層とを備え、前記第1のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上50μm以下であり、前記第2のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上20μm以下であり、前記第1のポリオレフィン樹脂層と前記第2のポリオレフィン樹脂層とが接しており、」「ヒートシールされる側が前記第2のポリオレフィン樹脂層」と、「樹脂を含む層が、第2の樹脂層を備え、」「ヒートシールされる側が前記第2の樹脂層」である限りにおいて一致する。
・甲1発明1の「第1層」の「非延伸シーラントフィルム」は「エチレン/ビニルアルコール共重合体の熱可塑性基層」と「ヒートシール層」を備えた同時押出インフレートフィルムであるので、本件発明1の「ヒートシール性積層体」が「ガスバリア性樹脂層と、接着性樹脂層と、ポリオレフィン樹脂層とを備え、」「前記ガスバリア性樹脂層、前記接着性樹脂層および前記ポリオレフィン樹脂層が、共押未延伸樹脂フィルムであ」ることと、「ヒートシール性積層体」が「ガスバリア性樹脂層と、樹脂を含む層とを備え、」「前記ガスバリア性樹脂層、および前記樹脂を含む層が、共押未延伸樹脂フィルムであ」る限りにおいて一致する。
以上より、本件発明1と甲1発明1とは以下の点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。
<一致点1-1>
「基材がポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルムからなる包装材料用積層体に使用されるヒートシール性積層体であって、
ガスバリア性樹脂層と、樹脂を含む層とを備え、
前記樹脂を含む層が、
第2の樹脂層を備え、
前記ガスバリア性樹脂層、および前記樹脂を含む層が、共押未延伸樹脂フィルムであり、
ヒートシールされる側が前記第2の樹脂層である、
ヒートシール性積層体。」
<相違点1-3>
本件発明1では、ポリオレフィン樹脂層が、「ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層と、ポリプロピレンと、オレフィンコポリマーからなるヒートシール改質剤と、を含む第2のポリオレフィン樹脂層と、を備え、前記第1のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上50μm以下であり、前記第2のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上20μm以下であ」るのに対し、甲1発明1では、そのような構成を有しているか不明な点。
(イ)判断
上記相違点1-3について検討する。
上記(1)ア(ア)に示したように、甲1の【0047】には、「シーラントフィルム10は、第2シーラント層(図示しない)をさらに備え、当該第2シーラント層は、ヒートシール層13と接触した状態にあり、かつ、ヒートシール層13と基層11との間に位置する」こと、すなわち、本件発明1の第1のポリオレフィン樹脂層に相当する層をさらに設ける点が記載されているものの、第2シーラント層を「ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層」とし、「前記第1のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上50μm以下」、ヒートシール層を「ポリプロピレンと、オレフィンコポリマーからなるヒートシール改質剤と、を含む第2のポリオレフィン樹脂層」とし、「前記第2のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上20μm以下」とすることについては、甲1のみならず、申立人が提出した証拠及び文献のいずれにも記載も示唆も見いだせない。
よって、甲1発明1において相違点1-3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
(ウ)小括
以上によれば、本件発明1は、甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件発明2、4~12について
本件発明2、4~12は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加するものであるから、上記ア(イ)で説示したのと同様の理由により、甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)引用文献1を主引用例とする場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明1を対比する。
・引用発明1の「東洋紡(株)製二軸延伸PETフィルム[E5100](片面コロナ処理):厚さ12μm」は、本件発明1の「基材」及び「延伸樹脂フィルム」に相当し、引用発明1の「PET」は、本件発明1の「ポリオレフィン」とは「樹脂」の限りで一致するので、本件発明1の「基材がポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルム」とは、「基材が樹脂により構成される延伸樹脂フィルム」の限りで一致する。
・引用発明1の「包装容器の蓋材用シーラントフィルムや包装袋に使用される多層積層フィルム」は、本件発明1の「包装材料用積層体」に相当し、「東洋紡(株)製二軸延伸PETフィルム[E5100](片面コロナ処理):厚さ12μm」からなるものであるので、本件発明1の「基材がポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルムからなる包装材料用積層体」とは、「基材が樹脂により構成される延伸樹脂フィルムからなる包装材料用積層体」の限りで一致する。
・引用発明1の「総厚50μmの多層積層フィルム(シール層(A)5μm/基材層(B)20μm/基材層(C)5μm/基材層(D)20μm)」は、シール層(A)5μmを有しているので本件発明1の「ヒートシール性積層体」に相当し、「(シール層(A)/基材層(B~D)/DL/ポリエステルフィルム層/DL/ポリエステルフィルム層)の構造を有する(DLは接着剤部分を意味する)、包装容器の蓋材用シーラントフィルムや包装袋に使用される多層積層フィルム」に使用されているので、本件発明1の「基材がポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルムからなる包装材料用積層体に使用されるヒートシール性積層体」とは、「基材が樹脂により構成される延伸樹脂フィルムからなる包装材料用積層体に使用されるヒートシール性積層体」の限りで一致する。
・引用発明1の「酸素バリア性を有する基材層(D)」は、本件発明1の「ガスバリア性樹脂層」に相当する。
・引用発明1の「接着性樹脂として機能する基材層(C)」は、本件発明1の「接着性樹脂層」に相当する。
・引用発明1の「基材層(B)」は、「エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ(株)製ノバテックFW4BT:密度=0.90g/cm3、MFR(230℃)=6.5g/10分)100重量部からなる、基材層(C)のマレイン酸由来の臭いが、包装内の内容物の香りに影響を与えるのを防ぐ基材層(B)用樹脂組成物」からなるものであるから、本件発明1の「ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層」に相当し、引用発明1の「シール層(A)」は、「高密度ポリエチレン(プライムポリマー(株)製ハイゼックス3300F:密度=0.950g/cm3、MFR(190℃)=1.1g/10分)30重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ(株)製ノバテックFL02C:密度=0.9g/cm3、MFR(230℃)=20g/10分)70重量部を十分に混錬し」た「シール層(A)用樹脂組成物」からなるものであり、「高密度ポリエチレン」は本件発明1の「ヒートシール改質剤」に相当するので、本件発明1の「ポリプロピレンと、オレフィンコポリマーからなるヒートシール改質剤と、を含む第2のポリオレフィン樹脂層」とは、「ポリプロピレンと、ヒートシール改質剤と、を含む第2のポリオレフィン樹脂層」である限りにおいて一致する。
そうすると、引用発明1の「基材層(B)」と「シール層(A)」をあわせたものが、本件発明1の「ポリオレフィン樹脂層」に相当するとともに、「ヒートシールされる側が前記第2のポリオレフィン樹脂層である」ことに相当する。
・引用発明1の「基材層(B)20μm」は、本件発明1の「第1のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上50μm以下であり」を満たし、引用発明1の「シール層(A)5μm」は、本件発明1の「第2のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上20μm以下である」を満たす。
・引用発明1の「上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて」「製造」された「総厚50μmの多層積層フィルム(シール層(A)5μm/基材層(B)20μm/基材層(C)5μm/基材層(D)20μm)」における、「シール層(A)5μm/基材層(B)20μm」は、本件発明1の「前記第1のポリオレフィン樹脂層と前記第2のポリオレフィン樹脂層とが接して」いる態様に相当し、「シール層(A)5μm/基材層(B)20μm/基材層(C)5μm/基材層(D)20μm」は、本件発明1の「ガスバリア性樹脂層、接着性樹脂層およびポリオレフィン樹脂層が、共押未延伸樹脂フィルムであ」ることに相当する。
以上より、本件発明1と引用発明1とは以下の点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。
<一致点2-5>
「基材が樹脂により構成される延伸樹脂フィルムからなる包装材料用積層体に使用されるヒートシール性積層体であって、
ガスバリア性樹脂層と、接着性樹脂層と、ポリオレフィン樹脂層とを備え、
前記ポリオレフィン樹脂層が、
ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層と、
ポリプロピレンおよびヒートシール改質剤を含む第2のポリオレフィン樹脂層とを備え、
前記第1のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上50μm以下であり、
前記第2のポリオレフィン樹脂層の厚さが、5μm以上20μm以下である、
前記第1のポリオレフィン樹脂層と前記第2のポリオレフィン樹脂層とが接しており、
前記ガスバリア性樹脂層、前記接着性樹脂層および前記ポリオレフィン樹脂層が、共押未延伸樹脂フィルムであり、
ヒートシールされる側が前記第2のポリオレフィン樹脂層である、
ヒートシール性積層体。」
<相違点2-7>
ヒートシール改質剤が、本件発明1では、「オレフィンコポリマー」であるのに対し、引用発明1では「高密度ポリエチレン」である点。
(イ)判断
上記相違点2-7について検討する。
ヒートシール改質剤について、本件明細書の【0031】に「ヒートシール改質剤としては、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと相溶性に優れるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、オレフィンコポリマーなどが挙げられる。」と記載されている。
一方、上記(1)イ(ア)で示したように、引用文献1の【0008】には、「本発明の多層積層フィルムのシール層(A)は、非相溶の高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなり、これらの樹脂のうちの成分比率の高い方が海、成分比率の低い方が島を形成する海島構造をとる。」、【0009】に「本発明においては、上記樹脂のMFR(メルトマスフローレイト)をコントロールすることにより海島構造を制御して、所望の凝集剥離強度を達成することができる。」と記載されている。
そうすると、引用文献1の上記記載事項に接した当業者であれば、引用発明1において、非相溶の「高密度ポリエチレン」と「エチレン・プロピレンランダム共重合体」からなる「シール層(A)」において、「高密度ポリエチレン」に代えて、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと相溶性に優れる「オレフィンコポリマー」を採用することは阻害要因があるといえる。
よって、引用発明1において、相違点2-7に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
(ウ)小括
以上によれば、本件発明1は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件発明2、4~12について
本件発明2、4~12は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加するものであるから、上記ア(イ)で説示したのと同様の理由により、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由の概要
申立理由1(実施可能要件)
本件特許の請求項1~12に係る発明についての特許は、発明の詳細な説明の記載が、次の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
申立理由2(2-1、2-2、2-3)(サポート要件)
本件特許の請求項1~12に係る発明についての特許は、次の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
申立理由3(明確性要件)
本件特許の請求項6~12に係る発明についての特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(1)申立理由1(実施可能要件)及び申立理由2-1(サポート要件)
ア 主張1
請求項1の「ヒートシール改質剤」なる文言で表される剤には、ありとあらゆる添加剤が含まれると解するのが妥当であるが、本件明細書には、「ヒートシール改質剤としては、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと相溶性に優れるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、オレフィンコポリマーなどが挙げられる。」(【0031】)や、具体例として、「(三井化学(株)製)」「タフマーA-4085S」(【0136】)と記載されているだけで、ありとあらゆる添加剤を意図した記載はない。
したがって、本件の出願時の技術常識に照らしても、本件発明1の範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないし、本件の発明の詳細な説明は、本件発明1について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。
本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2~12も同様である。
イ 主張2
本件明細書において、ヒートシール改質剤として実質的に記載されているのは、ポリプロピレンに対するヒートシール改質剤である「(三井化学(株)製)」「タフマーA-4085S」(【0136】)のみ。一方、本件請求項1では、ヒートシール改質剤と共に用いるのは、ポリプロピレンではなく、ポリオレフィンであると規定されており、本件明細書には、ポリプロピレン以外のポリオレフィンに用いるヒートシール改質剤が実質的に記載されていないことから、ポリプロピレンでなく、ポリオレフィンとしている本件発明1の範囲まで、本件の出願時の技術常識に照らしても、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないし、本件発明の詳細な説明は、本件発明1について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。
本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2~12も同様である。
(2)申立理由2-2(サポート要件)
本件発明1の課題は、「包装材料用積層体のヒートシール層として使用することができ、高い酸素バリア性および水蒸気バリア性を有するヒートシール性積層体を提供すること」(【0004】)である。
この課題を解決することができたヒートシール性積層体として、本件明細書に実質的に記載されているのは、実施例1~3のみであり、本件発明1で規定するポリオレフィンとして、ポリプロピレンを用いたヒートシール性積層体しか実質的に記載されていない。
ポリプロピレンとそれ以外のポリオレフィンとは、一般的にガスバリア性が異なることは技術常識であるから、ポリプロピレン以外のポリオレフィンをも用いた場合にも、本件明細書の実施例と同様に、本件発明1の課題を解決できたとはいえない。
したがって、本件請求項1には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。
本件発明を直接又は間接的に引用する本件発明2~12も同様である。
(3)申立理由2-3(サポート要件)及び申立理由3(明確性要件)
本件請求項6では、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと、基材を構成するポリオレフィンとが同一のポリオレフィンであることが規定されているが、「同一」とは、「同じであること」、「差がなく等しいこと」を意味し、例えば、同一のポリプロピレンとは、あるポリプロピレンと全く同じ構成及び物性を有するポリプロピレンのことを意味すると解するのが妥当である。
しかしながら、本件明細書において具体的に記載されているのは、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンが、ポリプロピレン(TPC(株)製、商品名:FL7540L)である(【0136】)のに対し、基材を構成するポリオレフィンが、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、商品名:P2108)であり(【0138】)、これらは全く同じ構成及び物性を有するポリオレフィンであるとはいえない。
このため、本件請求項6で解される内容と、本件明細書の実施例に記載の内容とが異なっており、「同一のポリオレフィン」が意味するところが不明確であり、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと、基材を構成するポリオレフィンとが同一のポリオレフィンである積層体については、本件明細書においてサポートされていない。
本件発明を直接または間接的に引用する本件発明7~11も同様である。
(4)申立理由4(甲1を主引用例とする新規性)
本件特許の請求項1~5及び12に係る発明は、甲1に記載された発明であるから、請求項1~5及び12に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(5)申立理由5(甲2を主引用例とする新規性及び進歩性)
本件特許の請求項1、3~6及び11に係る発明は、甲2に記載された発明であるから、請求項1、3~6及び11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、本件特許の請求項1~6、10、11に係る発明は、甲2に記載された発明に基いて、本件特許の請求項7、8及び12に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲1に記載された事項に基いて、本件特許の請求項9に係る発明は、甲2に記載された発明、甲1~甲3に記載された事項に基いて、本件特許の請求項10に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<証拠方法一覧>
申立人は甲1~甲4号証を提出している。
甲1:特開2009-107340号公報(甲第1号証)
甲2:特開2006-281675号公報(甲第2号証)
甲3:特開2018-16012号公報(甲第3号証)
甲4:国際公開第2018/006980号(甲第4号証)
2 申立理由についての判断
(1)申立理由1(実施可能要件)、2(サポート要件)、3(明確性要件)について
ア 申立理由1(実施可能要件)について
(ア)判断規範
発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満たすというためには、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度の記載があることを要する。以下検討する。
(イ)上記判断規範についての当審の判断
本件発明は、上記第3に記載されたとおりのものであるところ、ヒートシール性積層体の全体構成については、本件明細書の【0017】、【0018】に、包装材料積層体の全体構成については、【0037】~【0041】に、基材については、【0043】~【0060】に、蒸着膜については、【0061】~【0067】に、ガスバリア性樹脂層については、【0019】~【0024】に、接着性樹脂層については、【0025】~【0027】、【0068】~【0116】に、ポリオレフィン樹脂層については【0028】~【0036】にそれぞれ記載されている。
そして、【0135】~【0141】に記載される、実施例1~3でヒートシール性積層体及び包装材料用積層体を製造し、【0156】【表2】で、所定の性能を満たし、使用できることを確認している。
以上より、当業者は、過度の試行錯誤をすることなく、その物を製造し、使用することができる程度に、発明の詳細な説明は、明確かつ十分に記載されているものといえる。
イ 申立理由2(サポート要件)について
(ア)判断規範
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。以下検討する。
(イ)上記判断規範についての当審の判断
本件明細書の【0004】の記載から、本件特許に係る発明が解決しようとする課題は「包装材料用積層体のヒートシール層として使用することができ、高い酸素バリア性および水蒸気バリア性を有するヒートシール性積層体を提供することである。また、本発明の解決しようとする課題は、該ヒートシール性積層体を備える包装材料用積層体を提供することである。さらに、本発明の解決しようとする課題は、該包装材料用積層体から構成される包装材料を提供すること」である。
そして、請求項1では、ヒートシール性積層体がガスバリア性樹脂層を備えること、ポリオレフィン樹脂層が第1、第2のポリオレフィン樹脂層を備えることや、各層の成分、厚さを規定しており、【0135】~【0141】に記載される実施例1~3が、本件特許に係る発明が解決しようとする課題を解決するものとして記載されている。
そうすると、請求項1の記載は、上記発明が解決しようとする課題を解決できると認識できる範囲のものであると判断できる。
ウ 申立理由3(明確性要件)について
(ア)判断規範
特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載のみならず、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。以下検討する。
(イ)上記判断規範についての当審の判断
本件発明1、2、4~12の特許請求の範囲の記載は明確であり、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
エ 申立人の主張に対する当審の判断
(ア)申立理由1(実施可能要件)及び申立理由2-1(サポート要件)について
a 主張1について
訂正により、本件発明1のヒートシール改質剤は、オレフィンコポリマーからなるものに規定されたため、上記主張1は当たらないものとなった。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
b 主張2について
訂正により、本件発明1のヒートシール改質剤と共に用いられるのは、ポリプロピレンと規定されたため、上記主張2は当たらないものとなった。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
(イ)申立理由2-2(サポート要件)について
訂正により、本件発明1のポリオレフィンはポリプロピレンと規定されたため、上記主張は当たらないものとなった。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
(ウ)申立理由2-3(サポート要件)及び申立理由3(明確性要件)について
本件明細書の【0046】の「本発明の包装材料用積層体が備える基材は、ポリオレフィンにより構成されており、このポリオレフィンは、上記ヒートシール性積層体のポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと同一のもの使用する。基材およびポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンを同一ポリオレフィンとすることにより、包装材料用積層体のリサイクル性を向上することができる。このようなポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン-プロピレン共重合体およびプロピレン-ブテン共重合体などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンおよびポリプロピレンが好ましい。」なる記載より、同一のポリオレフィンとは、同じ種類のポリオレフィン樹脂(例えば、両者がポリプロピレン等)であることを意味しているものであり、両者が全く同じ構成及び物性を有することまでを意味するものでないことと理解できる。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
オ 小括
以上より、申立理由1~3は、理由がない。
(2)申立理由4(甲1を主引用例とする新規性)について
上記第4の2(2)ア(ア)で説示したように、本件発明1と甲1発明1を対比すると、実質的な相違点1-3が存在する。
したがって、本件発明1及び本件発明2~5及び12は、甲1発明1ではない。
(3)申立理由5(甲2を主引用例とする新規性及び進歩性)について
ア 甲2に記載された発明等
(ア)甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
「【請求項1】
耐熱性エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層(A層)、ポリアミド樹脂層(B層)、接着樹脂層(C層)、ポリプロピレン樹脂層(D層)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と非晶性または結晶化度15%以下のエチレン-αオレフィン共重合体との混合物からなる樹脂層(E層)、およびエチレン-プロピレンランダム共重合体および/またはメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂からなる樹脂層(F層)の少なくとも6層からなることを特徴とする易開封性共押出フィルム。
【請求項2】
下記(1)~(4)から選ばれる層構成を有する請求項1に記載の易開封性共押出フィルム。
(1)A層/B層/C層/D層/E層/F層
(2)A層/B層/C層/F層/E層/D層
(3)B層/A層/C層/D層/E層/F層
(4)B層/A層/C層/F層/E層/D層」
「【請求項9】
最外層である前記A層またはB層上に、印刷したあるいは無地の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)または二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)をさらに有する、請求項1~8のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。」
「【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の易開封性共押出フィルムにより形成された蓋材。
【請求項13】
請求項12に記載の蓋材を使用した深絞り成形容器。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、優れた酸素バリアー性、イージーピール性および耐熱性を兼ね備え、特に高温殺菌処理のような熱水処理後においても白化や層間剥離を起こさず、また、夾雑物シール性およびホットタック性が良好であり、ドライラミネートにより各層を積層することによるコスト高になる問題、深絞り容器等として用いる場合における残留溶媒による内容物の汚染の問題を生じない、易開封性共押出フィルムを提供することにある。」
「【0011】
第一の本発明は、耐熱性エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層(A層)(10)、ポリアミド樹脂層(B層)(20)、接着樹脂層(C層)(30)、ポリプロピレン樹脂層(D層)(40)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と非晶性または結晶化度15%以下のエチレン-αオレフィン共重合体との混合物からなる樹脂層(E層)(50)、およびエチレン-プロピレンランダム共重合体および/またはメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂からなる樹脂層(F層)(60)の少なくとも6層からなることを特徴とする易開封性共押出フィルム(100)である。
【0012】
上記の易開封性共押出フィルムは、下記(1)~(4)から選ばれる層構成(100a~100d)を有していることが好ましい。
(1)A層(10)/B層(20)/C層(30)/D層(40)/E層(50)/F層(60)
(2)A層(10)/B層(20)/C層(30)/F層(60)/E層(50)/D層(40)
(3)B層(20)/A層(10)/C層(30)/D層(40)/E層(50)/F層(60)
(4)B層(20)/A層(10)/C層(30)/F層(60)/E層(50)/D層(40)」
「【0019】
上記の易開封性共押出フィルム(100)は、最外層である前記A層(10)またはB層(20)上に、印刷したあるいは無地の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)または二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)(70、80)をさらに有しているフィルム(200、300)であることが好ましい。」
「【0022】
第二の本発明は、上記の易開封性共押出フィルム(100、200、300)により形成された蓋材である。」
「【0030】
A層10は、共押出フィルム100に酸素バリアー性を付与する役割を有する。また、A層10の厚みは、要求される酸素バリアー性に合わせて適宜設定することができ、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、さらに好ましくは8μm以上である。一方、A層10の厚みの上限は、良好な成形性を確保する等の観点から、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。」
「【0041】
<E層50>
E層50は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LLDPE」と省略する場合がある。)と非晶性または結晶化度15%以下のエチレン-αオレフィン共重合体との混合物からなる樹脂(以下、「混合樹脂」と省略する場合がある。)層である。本発明の易開封性共押出フィルムにおいては、剥離時にイージーピール性を付与する目的で、D層40とF層60との間に、E層50を設ける。」
「【0048】
<F層60>
F層60は、エチレンプロピレンランダム共重合体および/またはメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂(以下、これらを「特殊PP」と省略する場合がある。)からなる樹脂層である。エチレン-プロピレンランダム共重合体の融点は、下限が好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上、さらに好ましくは140℃以上であり、上限が好ましくは155℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは145℃以下である。エチレン-プロピレンランダム共重合体の融点が130℃以上155℃以下の範囲にあれば、比較的低温でヒートシールを実現できるため望ましい。エチレン-プロピレンランダム共重合体中のエチレンとプロピレンの配合比(「エチレン」:「プロピレン」)は、上記融点の範囲内で適宜定められ、好ましくは「3:97」~「20:80」、より好ましくは「5:95」~「15:85」、さらに好ましくは「7:93」~「10:90」である。
【0049】
また、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂の融点は、下限が好ましくは120℃以上、より好ましくは123℃以上、さらに好ましくは125℃以上であり、上限が好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下である。メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂の融点が、120℃以上140℃以下の範囲であれば、比較的低温でヒートシールを実現できるため望ましい。」
「【0062】
(易開封性共押出フィルムの製造方法)
上記した、A層10、B層20、C層30、D層40、E層50、F層60を構成する樹脂を、それぞれ一軸または二軸混練押出機に導入し、フィードブロック方式またはマルチマニュホールド方式の共押出によって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロールで引き取る一般的な方法により積層シートを得ることができる。これにより、本発明の第一~第四実施形態の易開封性共押出フィルム100a~100dを得ることができる。そして、最外層であるA層10またはB層20上に上記した二軸延伸フィルム70をラミネートすることによって、本発明の第五実施形態の易開封性共押出フィルム200を得ることができる(二軸延伸フィルム70に印刷層80が形成されているときは、第六実施形態の易開封性共押出フィルム300を得ることができる。)。」
「
[図:0001438259000001.jpg]
」
「
[図:0001438259000002.jpg]
」
(イ)甲2に記載された発明
上記(ア)より、甲2には、【0012】において(1)の層構成とした場合に、【0011】、【0019】、【0022】、【0062】、図1(a)及び図3の記載に注目すると、以下の発明(以下「甲2発明1」という。)が記載されていると認められる。
[甲2発明1]
「蓋材(【0022】)を形成する、耐熱性エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層(A層10)、ポリアミド樹脂層(B層20)、接着樹脂層(C層30)、ポリプロピレン樹脂層(D層40)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と非晶性または結晶化度15%以下のエチレン-αオレフィン共重合体との混合物からなる樹脂層(E層50)、およびエチレン-プロピレンランダム共重合体およびメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂からなる樹脂層(F層60)の少なくとも6層(【0011】)の最外層である前記A層10上に、印刷した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)(70、80)をさらに有する(【0019】)易開封性共押出フィルム300であって、A層10、B層20、C層30、D層40、E層50、F層60を構成する樹脂を、それぞれ一軸または二軸混練押出機に導入し、フィードブロック方式またはマルチマニュホールド方式の共押出によって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロールで引き取る一般的な方法により積層シートを得ることができ、そして、最外層であるA層10上に印刷層80が形成されている二軸延伸フィルム70をラミネートすることによって得られた(【0062】)、印刷した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)/A層/B層/C層/D層/E層/F層の層構成を有する易開封性共押出フィルム300(【0012】、【0062】)。」
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲2発明1を対比する。
・甲2発明1の「印刷した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)(70、80)」は、ポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルムであるため、本件発明1の「基材がポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルム」に相当する。
・甲2発明1の「易開封性共押出フィルム300」は、蓋材を形成する積層体なので、本件発明1の「包装材料用積層体」に相当する。
・甲2発明1の「耐熱性エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層(A層10)」は、甲2の【0030】に「A層10は、共押出フィルム100に酸素バリアー性を付与する役割を有する。」と記載されていることから、本件発明1の「ガスバリア性樹脂層」に相当する。
・甲2発明1の「接着樹脂層(C層30)」は、本件発明1の「接着性樹脂層」に相当する。
・甲2発明1の「ポリプロピレン樹脂層(D層40)」は、本件発明1の「ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層」に相当する。
・甲2発明1の「エチレン-プロピレンランダム共重合体およびメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂からなる樹脂層(F層60)」は、甲2の【0048】の「F層60は、エチレンプロピレンランダム共重合体および/またはメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂(以下、これらを「特殊PP」と省略する場合がある。)からなる樹脂層である。」及び「エチレン-プロピレンランダム共重合体の融点が130℃以上155℃以下の範囲にあれば、比較的低温でヒートシールを実現できるため望ましい。」との記載、【0049】の「メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂の融点が、120℃以上140℃以下の範囲であれば、比較的低温でヒートシールを実現できるため望ましい。」との記載より、ポリプロピレンを含み、ヒートシールされる側であるので、本件発明1の「ポリプロピレンと、オレフィンコポリマーからなるヒートシール改質剤とを、含む第2のポリオレフィン樹脂層」と「ポリプロピレンを含む第2のポリオレフィン樹脂層」の限りで一致するとともに、本件発明1の「ヒートシールされる側が前記第2のポリオレフィン樹脂層」に相当する。
・甲2発明1の「ポリプロピレン樹脂層(D層40)」と「エチレン-プロピレンランダム共重合体およびメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂からなる樹脂層(F層60)」をあわせたものが、本件発明1の「ポリオレフィン樹脂層」に相当し、甲2発明1は「A層10、B層20、C層30、D層40、E層50、F層60を構成する樹脂を、それぞれ一軸または二軸混練押出機に導入し、フィードブロック方式またはマルチマニュホールド方式の共押出によって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロールで引き取る一般的な方法により積層シートを得ることができ」るものなので、甲2発明1の耐熱性エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層(A層10)、接着樹脂層(C層30)、ポリプロピレン樹脂層(D層40)及びエチレン-プロピレンランダム共重合体およびメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂からなる樹脂層(F層60)は、本件発明1の「共押未延伸樹脂フィルム」といえるとともに、「ヒートシール性積層体」に相当する。
以上より、本件発明1と甲2発明1とは以下の点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。
<一致点>
「基材がポリオレフィンにより構成される延伸樹脂フィルムからなる包装材料用積層体に使用されるヒートシール性積層体であって、
ガスバリア性樹脂層と、接着性樹脂層と、ポリオレフィン樹脂層とを備え、
前記ポリオレフィン樹脂層が、
ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層と、
ポリプロピレン、を含む第2のポリオレフィン樹脂層と、を備え、
前記ガスバリア性樹脂層、前記接着性樹脂層および前記ポリオレフィン樹脂層が、共押未延伸樹脂フィルムであり、
ヒートシールされる側が前記第2のポリオレフィン樹脂層である、
ヒートシール性積層体。」
<相違点>
本件発明1では、ポリプロピレンを含む第1のポリオレフィン樹脂層と、ポリプロピレンと、オレフィンコポリマーからなるヒートシール改質剤を含む第2のポリオレフィン樹脂層とが接しているのに対し、甲2発明1では、ポリプロピレン樹脂層(D層40)とエチレン-プロピレンランダム共重合体およびメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂からなる樹脂層(F層60)との間に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と非晶性または結晶化度15%以下のエチレン-αオレフィン共重合体との混合物からなる樹脂層(E層50)が存在しており、D層40とF層60が接していない点。
(イ)判断
上記相違点について検討する。
まず、上記相違点は実質的な相違点である。
次に、上記ア(ア)に示したように、甲2の【0008】より、甲2発明1の解決しようとする課題は、イージーピール性を備えた易開封性共押出フィルムを提供することである。
そして、上記ア(ア)で示したように、甲2の【0041】には、E層50について、「<E層50>E層50は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LLDPE」と省略する場合がある。)と非晶性または結晶化度15%以下のエチレン-αオレフィン共重合体との混合物からなる樹脂(以下、「混合樹脂」と省略する場合がある。)層である。本発明の易開封性共押出フィルムにおいては、剥離時にイージーピール性を付与する目的で、D層40とF層60との間に、E層50を設ける。」と記載されているように、当該課題を解決するための必須の構成であり、甲2発明1からE層50を除いて、D層40とF層60が接するようにすることには阻害要因があるといえる。
よって、甲2発明1において、上記相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
(ウ)小括
以上によれば、本件発明1は、甲2発明1ではなく、また、甲2発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 本件発明2、4~12について
本件発明2、4~12は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加するものであるから、上記イ(イ)で説示したのと同様の理由により、本件発明4~6及び11は、甲2発明1でなく、また、本件発明2、4~12は、甲2発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 まとめ
以上より、取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由については、いずれも理由がない。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1、2、4~12に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1、2、4~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項3に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700754