特許異議申立
2024-700182
ユニット建物
- 審判番号
- 2024-700182
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-153071
- 登録番号
- 7334384
- 請求日
- 2024年02月28日
- 審決日
- 2025年11月27日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】トヨタホーム株式会社
- 【権利者代理人】加藤 和詳
- 【権利者代理人】福田 浩志
- 【異議申立人】渋谷 都
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 西田 秀彦
- 審判官 土屋 真理子
- 分類
- P1651.113-ZDA(E04B) / P1651.121-ZDA(E04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第113条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特許第7334384号発明「ユニット建物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7334384号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。
特許第7334384号の請求項1~3及び5に係る特許を取り消す。
特許第7334384号の請求項4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7334384号の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和元年8月23日に出願され、令和5年8月21日にその特許権の設定登録がされ、同月29日に特許掲載公報が発行された。
その後の本件特許異議の申立ての概要は、次のとおりである。
令和6年 2月28日 :特許異議申立人渋谷 都(以下「申立人」と
いう。)による請求項1~5に係る特許に対
する特許異議の申立て
令和6年 6月 7日付け:取消理由通知書
同年 7月26日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 8月 8日付け:手続補正指令書(方式)
同年 8月26日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
同年11月26日 :申立人による意見書の提出
令和7年 2月17日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 4月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 5月 9日付け:審尋
同月29日 :特許権者による回答書の提出
同年 6月 6日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
同年 7月17日付け:訂正拒絶理由通知書
同年 8月28日 :特許権者による意見書及び手続補正書の提出
同年10月 8日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年7月26日にされた訂正の請求は、令和7年4月22日に新たな訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。
第2 訂正の適否
1 令和7年4月22日提出の訂正請求書による訂正の内容
令和7年4月22日提出の訂正請求書による訂正(以下、第2の1及び2中において「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記第1開口部、前記第2開口部及び前記第3開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置する床部を介して往来が可能とされている、」と記載されているものを、
「前記第1開口部、前記第2開口部及び前記第3開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置すると共に、前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆う床部を介して往来が可能とされており、
前記床部は、前記第2側面部及び前記第3側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されている、」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2,3も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に
「 前記第1建物ユニットにおける前記延在方向一方側に当該第1建物ユニット及び前記第2建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第2建物ユニットと連通された第4建物ユニットと、
前記第1建物ユニットにおける前記延在方向他方側に当該第1建物ユニット及び前記第3建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第3建物ユニットと連通された第5建物ユニットと、
をさらに有する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のユニット建物。」
と記載されているものを、
「 屋外側と屋内側とを連通可能な第1開口部が設けられた第1側面部を備えた第1建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第2開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向一方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第2側面部を備えた第2建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第3開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第3側面部を備えた第3建物ユニットと、
を有し、
前記第1開口部、前記第2開口部及び前記第3開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置すると共に、前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆う床部を介して往来が可能とされており、
前記第2建物ユニットの長手方向及び前記第3建物ユニットの長手方向は、いずれも、前記第1側面部の延在方向と同じ方向を向いており、
前記第1建物ユニットにおける前記延在方向一方側に当該第1建物ユニット及び前記第2建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第2建物ユニットと連通された第4建物ユニットと、
前記第1建物ユニットにおける前記延在方向他方側に当該第1建物ユニット及び前記第3建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第3建物ユニットと連通された第5建物ユニットと、
をさらに有する、
ユニット建物。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に
「前記第2建物ユニットの躯体を構成する第1フレームの建物上方側の部分において前記第3建物ユニット側でかつ前記第1建物ユニットと反対側に設けられた第1仕口部と、当該第3建物ユニットの躯体を構成する第2フレームの建物上方側の部分において当該第2建物ユニット側でかつ当該第1建物ユニットと反対側に設けられた第2仕口部と、を連結する補強部材をさらに有する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載のユニット建物。」
と記載されているものを、
「 屋外側と屋内側とを連通可能な第1開口部が設けられた第1側面部を備えた第1建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第2開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向一方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第2側面部を備えた第2建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第3開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第3側面部を備えた第3建物ユニットと、
を有し、
前記第1開口部、前記第2開口部及び前記第3開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置すると共に、前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆う床部を介して往来が可能とされており、
前記第2建物ユニットの内部空間の全体及び前記第3建物ユニットの内部空間の全体は、完全な屋内空間となっており、
前記第2建物ユニットの躯体を構成する第1フレームの建物上方側の部分において前記第3建物ユニット側でかつ屋外側に設けられた第1仕口部と、当該第3建物ユニットの躯体を構成する第2フレームの建物上方側の部分において当該第2建物ユニット側でかつ屋外側に設けられた第2仕口部と、を連結する補強部材をさらに有する、
ユニット建物。」に訂正する。
(4)一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて
ア 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~5は、請求項2~5が、本件訂正前の請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正請求は、一群の請求項について請求されたものである。
イ 別の訂正単位とする求めについて
本件訂正後の請求項4,5について、特許権者は、当該訂正が認められるときに請求項1とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
2 訂正拒絶理由通知の概要
令和7年7月17日付け訂正拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。
特許請求の範囲の請求項5に係る訂正事項3による訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合するものではない。
よって、一群の請求項である請求項1~5についてする本件訂正を認めることはできない。
3 令和7年8月28日提出の手続補正書による手続補正について
(1)手続補正の内容
令和7年8月28日提出の手続補正書による手続補正(以下、単に「手続補正」という。)は、令和7年4月22日提出の訂正請求書、訂正特許請求の範囲の全文を、該手続補正書に添付した訂正請求書、訂正特許請求の範囲のとおり補正するものであり、訂正事項3を削除する補正である。
また、本件訂正後の請求項4について、特許権者は、当該訂正が認められるときに請求項1とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
(2)手続補正の適否についての当審の判断
訂正拒絶理由通知に対しては、訂正事項の削除等、訂正請求書の要旨を変更しないものであれば補正することができるところ、手続補正は、訂正事項3に係る訂正を削除するものであるから、認められる。
4 訂正についての当審の判断
(1)訂正の内容について
上記3のとおり、手続補正は認められるので、手続補正により補正された本件訂正請求書による訂正(以下において「本件訂正」という。)の訂正事項は、上記1(1)及び(2)に記載されたとおりのものである。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置する床部について、さらに、「前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆う」こと及び「前記床部は、前記第2側面部及び前記第3側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されている」ものであることを特定して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。
(イ)新規事項の有無
願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲、図面とあわせて「本件明細書等」という。)の【0040】に「図1に示されるように、建物ユニット16の第1側面部としての「側面部16A」、建物ユニット18の第2側面部としての「側面部18A」及び建物ユニット20の第3側面部としての「側面部20A」によって空間が仕切られている」と記載され、また、【0047】に「側面部16A、18A、20Aが配置されることで、屋外側が解放されると共に、側面部18B、20Bから屋内側に凹んだ空間が確保されると共に、当該空間の高さ方向下側には、ウッドデッキ86が配置されている。」と記載され、図1に、以下の図が示される。
「
[図:0001434090000001.jpg]
」
そして、図1から、ウッドデッキ86が、側面部16A、18A、20Aで仕切られた空間の全面を覆うこと、すなわち、ウッドデッキ86が、側面部16A、18A、20A、及び、側面部18A、20Aの最外端どうしを結ぶ(すなわち、側面部18Bと側面部20Bを結ぶことで形成される)仮想線によって仕切られてなる仮想的な方形により画定された立体的な空間における方形の面の全面を覆うことが看取される。
さらに、図1から、ウッドデッキ86が側面部16Aから、側面部18A、20Aの最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されているものであることが看取される。
そうすると、「前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆う」こと及び「前記床部は、前記第2側面部及び前記第3側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されている」ことは、本件明細書等から自明な事項であるといえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものには該当しないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項4が請求項1~3の何れか1項を引用していたのを、請求項1について、その内容を請求項4に記載して引用しないものとするとともに、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置する床部について、さらに、「前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆う」ことと特定して限定し、第2建物ユニット及び第3建物ユニットの配置される方向について、さらに「前記第2建物ユニットの長手方向及び前記第3建物ユニットの長手方向は、いずれも、前記第1側面部の延在方向と同じ方向を向いて」いるものに特定して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。
(イ)新規事項の有無
訂正前の請求項4の、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置する床部について、さらに、「前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆う」ものとする訂正は、上記ア(イ)において検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
訂正前の請求項4における第2建物ユニット及び第3建物ユニットの配置される方向について、図1からは、第2建物ユニット18の長手方向及び第3建物ユニット20の長手方向が、第1建物ユニット16の側面部16Aが延びるのと同じ方向を向いていることが看取される。
そうすると、訂正前の請求項4において「前記第2建物ユニットの長手方向及び前記第3建物ユニットの長手方向は、いずれも、前記第1側面部の延在方向と同じ方向を向いて」いることを特定する訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2に係る訂正は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものには該当しないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて
本件訂正前の請求項1~5は、請求項2~5が、本件訂正前の請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正請求は、一群の請求項について請求されたものである。
一方、特許権者は、上記3(1)に示したとおり、本件訂正後の請求項4について、当該訂正が認められるときに請求項1とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
しかしながら、訂正後の請求項4は、請求項1との引用関係が解消しても、請求項1及び4の記載を引用する請求項5を介して、請求項1と連関する関係にあり、依然として特許法第120条の5第4項(特許法施行規則第45条の4)に規定する一群の請求項を構成するから、前記別の訂正単位とする求めは認められない。
(3)訂正についての当審の判断のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、手続補正により補正された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正が認められたことから、本件特許の請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、手続補正により補正された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~5の記載は、次のとおりである。
【請求項1】
屋外側と屋内側とを連通可能な第1開口部が設けられた第1側面部を備えた第1建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第2開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向一方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第2側面部を備えた第2建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第3開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第3側面部を備えた第3建物ユニットと、
を有し、
前記第1開口部、前記第2開口部及び前記第3開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置すると共に、前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆う床部を介して往来が可能とされており、
前記床部は、前記第2側面部及び前記第3側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されている、
ユニット建物。
【請求項2】
前記第2建物ユニットの外周面の一部を構成しかつ前記第2側面部と出隅部を構成する第1外側側面部及び前記第3建物ユニットの外周面の一部を構成しかつ前記第3側面部と出隅部を構成する第2外側側面部の少なくとも一方は、屋外側からの視線を遮ることが可能な外壁パネルで構成されている、
請求項1に記載のユニット建物。
【請求項3】
前記第1外側側面部及び前記第2外側側面部が前記外壁パネルで構成され、
建物高さ方向から見て前記第1外側側面部から前記第1側面部までの距離と前記第2外側側面部から当該第1側面部までの距離とが同じ距離に設定されている、
請求項2に記載のユニット建物。
【請求項4】
屋外側と屋内側とを連通可能な第1開口部が設けられた第1側面部を備えた第1建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第2開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向一方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第2側面部を備えた第2建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第3開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第3側面部を備えた第3建物ユニットと、
を有し、
前記第1開口部、前記第2開口部及び前記第3開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置すると共に、前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆う床部を介して往来が可能とされており、
前記第2建物ユニットの長手方向及び前記第3建物ユニットの長手方向は、いずれも、前記第1側面部の延在方向と同じ方向を向いており、
前記第1建物ユニットにおける前記延在方向一方側に当該第1建物ユニット及び前記第2建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第2建物ユニットと連通された第4建物ユニットと、
前記第1建物ユニットにおける前記延在方向他方側に当該第1建物ユニット及び前記第3建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第3建物ユニットと連通された第5建物ユニットと、
をさらに有する、
ユニット建物。
【請求項5】
前記第2建物ユニットの躯体を構成する第1フレームの建物上方側の部分において前記第3建物ユニット側でかつ前記第1建物ユニットと反対側に設けられた第1仕口部と、当該第3建物ユニットの躯体を構成する第2フレームの建物上方側の部分において当該第2建物ユニット側でかつ当該第1建物ユニットと反対側に設けられた第2仕口部と、を連結する補強部材をさらに有する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載のユニット建物。
第4 特許異議申立理由、取消理由の概要及び証拠
1 特許異議申立理由の概要
申立人の主張する特許異議申立理由は、概略以下のとおりである。
(新規性)請求項1~4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1~4に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。
(進歩性)請求項1~5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~5号証に記載された周知技術に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
2 申立人が提出した証拠
申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。
(1)特許異議申立書に添付した証拠
甲第1号証 特開2019-85814号公報
甲第2号証 特開平10-306504号公報
甲第3号証 特開2007-231587号公報
甲第4号証 特開2007-247157号公報
甲第5号証 特開2011-32745号公報
(2)令和6年11月26日付け意見書に添付した証拠
甲第6号証 特開2016-216925号公報
甲第7号証 特開2010-248695号公報
(3)令和7年10月8日付け意見書に添付した証拠
甲第8号証 特開2018-131760号公報
3 取消理由の概要
当審において令和7年2月17日付け取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)請求項1~5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
4 引用文献
取消理由通知書(決定の予告)において引用した文献は、以下のとおりである。
引用文献1:特開2019-85814号公報(甲第1号証)
引用文献2:特開平10-306504号公報(甲第2号証)
引用文献A:特開平11-50522号公報
引用文献B:特開2002-167985号公報
第5 当審の判断
1 引用文献について
(1)引用文献1:特開2019-85814号公報(甲第1号証)
ア 明細書の記載事項
本件特許出願前に公開された甲第1号証(以下「引用文献1」という。)の明細書には、次の記載がある。
(ア)「【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の住宅は、建物本体部と、その建物本体部の上方に設けられた屋根部とを備え、前記建物本体部の外周部には外壁部が設けられ、前記屋根部は、前記外壁部よりも屋外側に張り出した軒部を有している住宅であって、前記外壁部には、前記建物本体部における所定の側面を形成する第1外壁部が含まれており、前記第1外壁部の屋外側には、床部の設定された半屋外空間が設けられており、前記第1外壁部の前記半屋外空間側には、当該第1外壁部と離間対向する対向壁部が設けられており、前記対向壁部は、その壁幅方向に所定の間隔をおいて複数配置され、それら各対向壁部はいずれも前記軒部に接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、建物本体部における所定の側面を形成する第1外壁部の屋外側に、床部の設定された半屋外空間が設けられている。第1外壁部の半屋外空間側(屋外側)には、第1外壁部と離間対向する対向壁部が設けられている。この場合、半屋外空間で過ごす際には、その対向壁部により住宅外部からの視線を遮ることができるため、半屋外空間において一定のプライバシ性を確保することができる。
【0009】
また、対向壁部は、その壁幅方向に所定の間隔をおいて複数配置されているため、隣り合う対向壁部の間には壁間開口部が形成されている。この場合、半屋外空間において開放感が損なわれるのを抑制しながら、プライバシ性の確保を図ることができる。
【0010】
さらに、各対向壁部はいずれも、屋根部において外壁部よりも張り出した軒部に接続されている。この場合、各対向壁部について屋根部との一体感を高めることができ、ひいては住宅との一体感を高めることができる。これにより、住宅の外観が損なわれるのを抑制しながら、半屋外空間を好適に利用することが可能となる。
【0011】
第2の発明の住宅は、第1の発明において、前記半屋外空間には、前記軒部の下方に形成された軒下空間が含まれており、前記軒下空間は、前記各対向壁部に跨がって連続して形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、建物本体部における所定の側面側に連続した軒下空間を形成することができる。また、軒下空間の一部が、各対向壁部により屋外側から覆われるため、軒下空間においてプライバシ性の確保を図ることが可能となる。
・・・
【0017】
第5の発明の住宅は、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記建物本体部には、前記所定の側面において開口し、かつ当該所定の側面よりも屋内側に凹んだ凹状部が形成されており、前記半屋外空間は、床部の設定されたテラス空間となっており、その一部が前記凹状部に入り込んだ入り込み空間となっており、その入り込み空間は、前記軒下空間の一部を含んで形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、建物本体部に、その所定の側面において開口した凹状部が形成され、その凹状部に半屋外空間(テラス空間)の一部が入り込んでいる。そして、その入り込んだ入り込み空間が、軒下空間の一部を含んでいる。凹状部においては外部からの視線を届きにくくすることができるため、この場合、(凹状部内の)軒下空間で過ごすに際し、より一層プライバシ性の確保を図ることが可能となる。
【0019】
第6の発明の住宅は、第5の発明において、隣り合う前記各対向壁部の間の壁間開口部は、前記対向壁部の壁幅方向において前記凹状部と同じ位置に設定されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、隣り合う対向壁部の間の壁間開口部が、対向壁部の壁幅方向において凹状部と同位置に設定されているため、(凹状部内の)軒下空間で過ごすに際し、開放感が著しく損なわれるのを抑制しながら、より一層プライバシ性の確保を図ることが可能となる。
【0021】
第7の発明の住宅は、第6の発明において、前記第1外壁部は、前記凹状部を挟んだ両側に設けられた一対の外壁部分を有し、前記隣り合う各対向壁部は、前記各外壁部分にそれぞれ対向して設けられており、前記外壁部分と前記対向壁部との間の空間として、互いに離間する第1壁間空間部及び第2壁間空間部が設けられ、前記軒下空間は、前記第1壁間空間部及び前記第2壁間空間部と、それら各壁間空間部を繋ぐ繋ぎ空間部とを有して形成され、前記各壁間空間部の間には、前記床部が設定されていない庭空間が設けられ、前記繋ぎ空間部は、前記庭空間を迂回するように前記凹状部に入り込んで形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、軒下空間が、互いに離間する第1壁間空間部及び第2壁間空間部と、それら各壁間空間部を繋ぐ繋ぎ空間部とを有して形成されている。この場合、壁間空間部が複数設けられているため、各壁間空間部をそれぞれ異なる目的で同時に利用することが可能となる。例えば、第1壁間空間部を住宅の居住者がプライベートな目的で利用し、第2壁間空間部を別の居住者が来客を招いてパブリックな目的で利用するといったことが可能となる。
【0023】
また、各壁間空間部の間には、床部の設定されていない庭空間が設けられているため、各壁間空間部を互いに分離することができ、その結果、各壁間空間部を異なる目的で利用する上で好都合となっている。この場合、庭空間に樹木等の植栽を植えれば、各壁間空間部の間で相互に視線を遮ることが可能となり、各壁間空間部それぞれにおいてプライバシ性を高めることが可能となる。」
(イ)「【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、住宅が平屋建てとされており、その住宅が複数の建物ユニットが互いに組み合わされて構築されるユニット式住宅となっている。図1は、その住宅の外観を示す外観図である。図2は、住宅の間取りを示す平面図である。
【0028】
図1及び図2に示すように、敷地11内には住宅10が設けられている。住宅10は、基礎12上に設けられた建物本体13と、その建物本体13の上方に配設された屋根部14とを備える。建物本体13は、水平方向に並設された複数の建物ユニット20により構成されている。なお、建物本体13が建物本体部に相当する。また、図2では便宜上、各建物ユニット20の4隅に配置される柱21のみを図示している。
【0029】
図3は、建物ユニット20の構成を示す斜視図である。同図3に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
・・・
【0034】
各建物部31,32の張出部31a,32aの間には凹状部35が形成されている。凹状部35は、建物本体13の西面13aにて開口し当該西面13aよりも屋内側に向けて袋状に凹んでいる。また、各建物部31,32の張出部31b,32bの間には凹状部36が形成されている。凹状部36は、建物本体13の東面13bにて開口し当該東面13bよりも屋内側に向けて袋状に凹んでいる。なお、これら各凹状部35,36のうち、凹状部35が、特許請求の範囲に記載された「凹状部」に相当する。また、建物本体13の西面13aが「建物本体部における所定の側面」に相当する。
・・・
【0036】
住宅10(詳しくは建物本体13)には、外壁部16により囲まれた内側に複数の屋内空間が設けられている。屋内空間としては、玄関41と、リビング42と、ダイニングキッチン43と、和室44と、寝室45と、脱衣室46と、浴室47と、トイレ48と、廊下49とが設けられている。
・・・
【0040】
住宅10には、上述した各屋内空間41~49に加えて、外壁部16の屋外側に隣接してテラス空間56,57が設けられている。これらのテラス空間56,57はいずれも屋外にデッキ56a,57aが敷設されることにより形成された床上空間となっている。このため、各テラス空間56,57では、その床面が地上面よりも高い位置に設定されている。また、各テラス空間56,57の床面は、屋内空間41~49の床面と略同じ高さ位置に設定されている。なお、屋外に敷設される床部としてはデッキ以外に、タイルやコンクリート床等を用いてもよい。
・・・
【0045】
外壁部16には、上記各外壁部分62,63を繋ぐ外壁部16cがさらに含まれている。この外壁部16cは、平面視にて凹状部35をコ字状に囲むようにして形成されている。
【0046】
テラス空間57は、建物本体13の西側と南側とに跨がって形成されている。テラス空間57は、建物本体13の西側において外壁部16aの各外壁部分62,63と外壁部16cとに跨がって形成されている。この場合、テラス空間57は、その一部が凹状部35に入り込んだ入り込み空間64となっている。この入り込み空間64では、その3方が外壁部16cにより囲まれている。また、テラス空間57は、建物本体13の南側において外壁部16bに隣接し、リビング42とダイニングキッチン43(ダイニング空間43a)とに跨がって設けられている。
【0047】
テラス空間57は、外壁部16aの外壁部分62を隔てて脱衣室46と隣接している。外壁部分62には、脱衣室46からテラス空間57への出入りを可能とする出入口66が設けられ、この出入口66には出入口扉67が設けられている。
【0048】
テラス空間57において入り込み空間64は、外壁部16cを隔てて脱衣室46及び廊下49にそれぞれ隣接している。また、入り込み空間64は、外壁部16cを隔ててダイニングキッチン43(キッチン空間43b)と隣接している。外壁部16cには、ダイニングキッチン43から入り込み空間64への出入りを可能とする出入口73が設けられ、その出入口73にはガラス戸74が設けられている。
【0049】
テラス空間57は、外壁部16a~16cを隔ててリビング42と隣接している。この場合、リビング42は、その3方が各外壁部16a~16cにより囲まれている。各外壁部16a~16cにはそれぞれテラス空間57とリビング42とを連通する窓部76~78が設けられている。これら各窓部76~78のうち、窓部76は外壁部16a(詳しくは外壁部分63)に設けられ、窓部77は外壁部16bに設けられ、窓部78は外壁部16cに設けられている。これら各窓部76~78のうち、窓部76には窓ガラス81が嵌め込まれており、窓部77,78にはガラス戸82,83が設けられている。このように、リビング42では、その3面に窓部76~78が設けられ、それら各窓部76~78からそれぞれテラス空間57を見通すことが可能となっている。また、各窓部76~78のうち、窓部77,78はいわゆる掃き出し窓とされ、その窓部77,78を介してリビング42からテラス空間57への出入りが可能となっている。したがって、以下においては、これらの窓部77,78を出入口77,78ともいう。
・・・
【0052】
図4及び図5に示すように、対向壁部88は、その壁幅方向に所定の間隔をおいて複数(具体的には2つ)配置されている。これら各対向壁部88のうち、一方の対向壁部88(以下、この符号にaを付す)は外壁部16aの外壁部分62と対向して設けられ、他方の対向壁部88(以下、この符号にbを付す)は外壁部分63と対向して設けられている。
・・・
【0057】
テラス空間57は、その一部が軒部18の下方に形成された軒下空間91となっている。以下、この軒下空間91について説明する。
【0058】
軒下空間91は、各外壁部16a~16cの屋外側に隣接しており、それら各外壁部16a~16cに跨がって連続して形成されている。軒下空間91は、外壁部16a(詳しくは両外壁部分62,63)及び外壁部16cに隣接して設けられた第1軒下空間92と、外壁部16bに隣接して設けられた第2軒下空間93とを有している。この場合、第1軒下空間92は、建物本体13の西側に設けられ、第2軒下空間93は、建物本体13の南側に設けられている。
【0059】
第1軒下空間92は、外壁部16aの外壁部分62と対向壁部88aとの間の空間である第1壁間空間部95と、外壁部16aの外壁部分63と対向壁部88bとの間の空間である第2壁間空間部96と、それら各壁間空間部95,96を繋ぐ繋ぎ空間部97とを有している。図4では便宜上、これら各空間部95~97の外縁をそれぞれ点線の枠で示している。また、これと同様に、第2軒下空間93の外縁も点線の枠で示している。
・・・
【0061】
第1壁間空間部95と第2壁間空間部96との間には、デッキ57aが設定されていない庭空間99が設けられている。デッキ57aには、各壁間空間部95,96の間において建物本体13側に凹んだ凹部101が形成されている。この凹部101は、屋外側(建物本体13側とは反対側)に向けて開口しており、その凹部101(全域)を利用して庭空間99が形成されている。そして、この庭空間99には、植栽としての樹木Sが植え込まれている。この樹木Sは、第1壁間空間部95と第2壁間空間部96とを互いに仕切るようにして設けられている。」
(ウ)「【0073】
第1壁間空間部95は、横並びに設けられた複数(具体的には2つ)の建物ユニット20(以下、建物ユニット20aという)の内部空間を用いて形成されている。これら各建物ユニット20aは、その(平面視)長手方向を対向壁部88aの壁厚み方向(東西方向)に向けた状態で、対向壁部88aの壁幅方向(南北方向)に並んで配置されている。そして、第1壁間空間部95は、これら各建物ユニット20aの内部に跨がって形成されている。なお、図4では、各建物ユニット20aを他の建物ユニット20と区別するため、それら各建物ユニット20aの柱21を黒塗りして示している。
【0074】
各建物ユニット20aの短辺側の側面部には、それら両ユニット20aに跨がって対向壁部88aが形成されている。対向壁部88aは、当該側面部を構成する柱21、天井大梁22及び床大梁23を利用して形成されている。また、各建物ユニット20aの内部には、両ユニット20aに跨がって外壁部16aの外壁部分62が形成されている。
【0075】
第2壁間空間部96は、横並びに設けられた複数(具体的には2つ)の建物ユニット20(以下、建物ユニット20bという)の内部空間を用いて形成されている。これら各建物ユニット20bは、その(平面視)長手方向を対向壁部88bの壁厚み方向(東西方向)に向けた状態で、対向壁部88bの壁幅方向(南北方向)に並んで配置されている。そして、第2壁間空間部96は、これら各建物ユニット20bの内部に跨がって形成されている。なお、図4では、各建物ユニット20bを他の建物ユニット20と区別するため、それら各建物ユニット20bの柱21を黒塗りして示している。
【0076】
各建物ユニット20bの短辺側の側面部には、それら両ユニット20bに跨がって対向壁部88bが形成されている。対向壁部88bは、当該側面部を構成する柱21、天井大梁22及び床大梁23を利用して形成されている。また、各建物ユニット20bの内部には、両ユニット20bに跨がって外壁部16aの外壁部分63が形成されている。
【0077】
建物ユニット20aと建物ユニット20bとはいずれも(平面視)長手方向の長さが同じとされ、同方向において同じ位置に配置されている。また、建物ユニット20aと建物ユニット20bとの間は、建物ユニット20が設けられていない非ユニット空間となっている。この非ユニット空間には繋ぎ空間部97が形成されている。また、この非ユニット空間を利用して凹状部35が形成されている。この場合、各建物ユニット20a,20bの間の間隔は凹状部35の幅と同じとなっている。また、建物ユニット20a,20bの長手方向の長さは、同方向における凹状部35の(平面視)底面位置から対向壁部88a,88bの外面までの距離と同じとなっている。
【0078】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0079】
外壁部16aの屋外側に隣接させてテラス空間57を設け、その外壁部16aの屋外側には当該外壁部16aと離間対向する対向壁部88を設けた。この場合、テラス空間57で過ごす際、その対向壁部88により住宅外部からの視線を遮ることができる。そのため、テラス空間57において一定のプライバシ性を確保することができる。」
イ 図面
引用文献1の【図2】及び【図4】は、以下のとおり。
(ア)【図2】
「
[図:0001434090000002.jpg]
」
(イ)【図4】
「
[図:0001434090000003.jpg]
ウ 図面から看取できる事項
(ア)【図2】の一部
以下に、【図2】の一部を示す。段落【0028】の「建物本体13は、水平方向に並設された複数の建物ユニット20により構成されている。なお、建物本体13が建物本体部に相当する。また、図2では便宜上、各建物ユニット20の4隅に配置される柱21のみを図示している。」との記載を踏まえ、図中の、本件特許の請求項1に係る発明と対応する建物ユニットには、当審において長方形を付与した。以下、便宜上、ユニットを当該図に付した「A1」、「A2」、「B」、「C」として区別して表すことがある。
「
[図:0001434090000004.jpg]
」
(イ)上記ア(イ)の段落【0036】の「屋内空間として・・・ダイニングキッチン43が設けられている」との記載、段落【0040】の「外壁部16の屋外側に・・・テラス空間・・・57が設けられ」との記載及び段落【0048】の「外壁部16cには、ダイニングキッチン43から入り込み空間64への出入りを可能とする出入口73が設けられ、」との記載を踏まえると、上記イ(ア)の図2(上記(ア)の図2の一部に付した符号も参照のこと、以下同様。)及び上記イ(イ)の図4から、A1ユニットは、屋内空間であるダイニングキッチン43から屋外側のテラス空間57への出入りを可能とする出入口73が設けられた外壁部16cを備えることが看取される(看取事項1-1)。
(ウ)上記ア(イ)の段落【0029】の「建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備え・・・それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている」との記載、段落【0036】の「屋内空間として・・・リビング42が設けられている」との記載、段落【0040】の「外壁部16の屋外側に隣接してテラス空間・・・57が設けられ」との記載、及び段落【0049】の「・・・窓部78は外壁部16cに設けられている。・・・窓部・・・78はいわゆる掃き出し窓とされ、その窓部・・・78を介してリビング42からテラス空間57への出入りが可能となっている」との記載を踏まえると、上記イ(ア)の図2及びイ(イ)の図4から、Bユニットは、屋内空間であるリビング42から屋外側のテラス空間57への出入りが可能となっているいわゆる掃き出し窓とされる窓部78が設けられている外壁部16cを有する側面部を備えることが看取される(看取事項1-2)。
また、同図2及び図4から、Bユニットの側面部の有する窓部78が設けられている外壁部16cは、A1ユニットの出入口73が設けられた外壁部16cの一方側(平面図における下側)の周縁部と連続しかつ当該周縁部の屋外側にA1ユニットの出入口73が設けられた外壁部16cと入隅部を構成するように延びることが看取される(看取事項1-3)。
(エ)上記ア(イ)の段落【0029】の「建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備え・・・それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている」との記載、段落【0036】の「屋内空間としては、・・・脱衣室46・・・廊下49とが設けられ・・・」との記載及び段落【0040】の「外壁部16の屋外側に・・・テラス空間・・・57が設けられ」との記載を踏まえると、上記イ(ア)の図2及びイ(イ)の図4から、Cユニットは、屋内空間である脱衣室46と屋外側のテラス空間57とを連通可能な開口部及び屋内空間である廊下49と屋外側のテラス空間57を連通可能な開口部が設けられている外壁部16cを有する側面部を備えることが看取される(看取事項1-4)。
また、同図2及び図4から、Cユニットの側面部の有する開口部が設けられている外壁部16cは、A1ユニットに隣接するA2ユニットにおける他方側(平面図における上側)の周縁部と連続しかつA2ユニットの外壁部16cと入隅部を構成するように延びることが看取される(看取事項1-5)。
(オ)上記ア(イ)の段落【0040】の「テラス空間・・・57は・・・屋外にデッキ・・・57aが敷設され・・・その床面が地上面よりも高い位置に設定されている。・・・テラス空間・・・57の床面は、屋内空間41~49の床面と略同じ高さ位置に設定されている」との記載、上記ア(イ)の段落【0061】の「デッキ57aには、・・・凹部101が形成され・・・庭空間99が形成されている」との記載を踏まえると、上記イ(ア)の図2及びイ(イ)の図4から、A1ユニット及びA2ユニットの外壁部16c、Bユニットの側面部及びCユニットの側面部で仕切られた空間の、屋内空間41~49の床面と略同じ高さ位置に、テラス空間57の床面であるデッキ57aが庭空間99が形成される凹部101以外の全面に敷設されることが看取される(看取事項1-6)。
(カ)上記ア(イ)の段落【0052】の「対向壁部88は、その壁幅方向に所定の間隔をおいて・・・2つ・・・配置され・・・これら各対向壁部88のうち、一方の対向壁部88(以下、この符号にaを付す)は・・・設けられ、他方の対向壁部88(以下、この符号にbを付す)は・・・設けられている」との記載、段落【0074】の「建物ユニット20aの短辺側の側面部には、・・・対向壁部88aが形成されている。・・・また、各建物ユニット20aの内部には、両ユニット20aに跨がって外壁部16aの外壁部分62が形成されている。」との記載及び段落【0076】の「建物ユニット20bの短辺側の側面部には、・・・対向壁部88bが形成されている。・・・また、各建物ユニット20bの内部には、両ユニット20bに跨がって外壁部16aの外壁部分63が形成されている。」との記載を踏まえると、上記イ(ア)の図2及びイ(イ)の図4から、Bユニットには、その外壁部16cを有する側面部と出隅部を構成する対向壁部88bが短辺側の側面部に形成され、Bユニットの内部には外壁部分62が形成され、Cユニットには、その外壁部16cを有する側面部と出隅部を構成する対向壁部88aが短辺側の側面部に形成され、Cユニットの内部には外壁部分63が形成されること、及び、Bユニットの対向壁部88b及びCユニットの対向壁部88aはA1ユニット及びA2ユニットの外壁部16cと同じ方向を向いていることが看取される(看取事項1-7)。
また、同図2及び図4から、対向壁部88bからA1ユニットの外壁部16cまでの距離と対向壁部88aからA1ユニットの外壁部16cまでの距離とが同じ距離であることが看取される(看取事項1-8)。
(キ)上記イ(ア)の図2及びイ(イ)の図4から、住宅10は、A1ユニットの外壁部16cの一方側(平面図における下側)にA1ユニットとBユニットと隣接された状態で配置される、A1ユニットとBユニットと連通されたユニットと、A2ユニットの外壁部16cの他方側(平面図における上側)にA2ユニットとCユニットと隣接された状態で配置される、A2ユニットとCユニットと連通されたユニットと、を備えることが看取される(看取事項1-9)。
エ 引用発明1
第1の実施形態に着目すると、上記ア~ウより、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明1)
建物本体13を備える住宅10であって、
建物本体13は、複数の建物ユニット20により構成されており、(【0028】)
建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備え、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格が形成されており、(【0029】)
住宅10には、外壁部16により囲まれた内側に屋内空間が設けられており、屋内空間として、リビング42、ダイニングキッチン43、脱衣室46、廊下49が設けられており、(【0036】)
住宅10には、外壁部16の屋外側にテラス空間57が設けられ、テラス空間57は屋外にデッキ57aが敷設され、テラス空間57の床面は、屋内空間41~49の床面と略同じ高さ位置に設定されており、(【0040】)
A1ユニットは、屋内空間であるダイニングキッチン43から屋外側のテラス空間57への出入りを可能とする出入口73が設けられた外壁部16cを備え、(看取事項1-1)
Bユニットは、屋内空間であるリビング42から屋外側のテラス空間57への出入りが可能となっているいわゆる掃き出し窓とされる窓部78が設けられている外壁部16cを有する側面部を備え、Bユニットの側面部の有する窓部78が設けられている外壁部16cは、A1ユニットの出入口73が設けられた外壁部16cの一方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部の屋外側にA1ユニットの出入口73が設けられた外壁部16cと入隅部を構成するように延び、(看取事項1-2及び1-3)
Cユニットは、屋内空間である脱衣室46と屋外側のテラス空間57とを連通可能な開口部及び屋内空間である廊下49と屋外側のテラス空間57とを連通可能な開口部が設けられている外壁部16cを有する側面部を備え、Cユニットの側面部の有する開口部が設けられている外壁部16cは、A1ユニットに隣接するA2ユニットにおける他方側の周縁部と連続しかつA2ユニットの外壁部16cと入隅部を構成するように延び、(看取事項1-4及び1-5)
A1ユニット及びA2ユニットの外壁部16c、Bユニットの側面部及びCユニットの側面部で仕切られた空間の、屋内空間41~49の床面と略同じ高さ位置に、テラス空間57の床面であるデッキ57aが庭空間99が形成される凹部101以外の全面に敷設され、(看取事項1-6)
Bユニットには、その外壁部16cを有する側面部と出隅部を構成する対向壁部88bが短辺側の側面部に形成され、Bユニットの内部には外壁部分62が形成され、Cユニットには、外壁部16cを有する側面部と出隅部を構成する対向壁部88aが短辺側の側面部に形成され、Cユニットの内部には外壁部分63が形成され、対向壁部88bからA1ユニットの外壁部16cまでの距離と対向壁部88aからA1ユニットの外壁部16cまでの距離とが同じ距離であり、(看取事項1-7及び1-8)
外壁部分62と対向壁部88aとの間の空間と外壁部分63と対向壁部88bとの間の空間は軒下空間であり、(【0059】)
Bユニットの対向壁部88b及びCユニットの対向壁部88aはA1ユニット及びA2ユニットの外壁部16cと同じ方向を向いており、(看取事項1-7)
対向壁部88により住宅外部からの視線を遮ることができ、(【0074】)
A1ユニットの外壁部16cの一方側にA1ユニットとBユニットと隣接された状態で配置される、A1ユニットとBユニットと連通されたユニットと、A2ユニットの外壁部16cの他方側にA2ユニットとCユニットと隣接された状態で配置される、A2ユニットとCユニットと連通されたユニットと、を備える、(看取事項1-9)
住宅10。
(2)引用文献2:特開平10-306504号公報(甲第2号証)
ア 記載事項
本件特許出願前に公開された特開平10-306504号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
(ア)「【0017】
【発明の実施の形態】
〔第一実施形態〕以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態のユニット式建物1が示されている。このユニット式建物1は二階建ての建物であり、基礎2上に載置した直方体形状の一階建物ユニット11,12,13,14と、これらの一階建物ユニット11~14上に配置した直方体形状の二階建物ユニット15,16,17,18とを有して構成され、二階建物ユニット15~18の上には図示しない屋根が設けられている。
【0018】建物ユニット11~18は、平面視で矩形の平面形状を有する互いに同じ形状および大きさのものであり、図2に示すように、四本の柱21と、これらの四本の柱21の上端間を連結する長辺上梁22および短辺上梁23と、四本の柱21の下端間を連結する長辺下梁24および短辺下梁25とを含む直方体形状の骨組み26を各々備えている(図2では建物ユニット11について図示)。これらの柱21および梁22,23,24,25はそれぞれ仕口27を介して結合されている。
【0019】このような建物ユニット11~18は、図1および図3に示すように、建物1に凹部19が形成されるように平面コ字状に並べて配置されている。すなわち、建物1の一階部分では三つの一階建物ユニット11,12,13が短辺方向に並設され、このうち一階建物ユニット12,13の間には、これらの一階建物ユニット11,12,13と直交して一階建物ユニット14が配置され、これらの隣接する一階建物ユニット12,13,14に囲まれた部分によって凹部19が構成されている。この一階部分と同様に、建物1の二階部分では、三つの二階建物ユニット15,16,17が短辺方向に並設され、このうち二階建物ユニット16,17の間には、これらの建物ユニット15,16,17と直交する二階建物ユニット18が配置され、隣接する二階建物ユニット16,17,18に囲まれた部分により凹部19が構成されている。
【0020】各階において、凹部19を囲む建物ユニット、つまり、凹部19を挟んで対向する建物ユニット12,13,16,17および凹部19の奥行き方向端部に配置された建物ユニット14,18には、それぞれ開口部としての窓28が凹部19に面して設けられ(建物ユニット13,17については図示省略)、これらの窓28を通じて建物1内部への採光および通風が確保されている。
・・・
【0022】一方、凹部19を挟んで向かい合う一階建物ユニット12,13の間および二階建物ユニット16,17の間には、それぞれ凹部19に跨る補強梁30A,30Bが架け渡されている。この補強梁30A,30Bは、それぞれ一階建物ユニット12,13および二階建物ユニット16,17の柱21の上端部に結合され(補強梁30Bについては図示省略)、具体的には、図4に示すように、柱21の上端面に配置される連結プレート31を介して柱21の上端部に固定されている。
【0023】図4に示す補強梁30Aの一方の端部と一階建物ユニット13の柱21との結合部分では、連結プレート31は、一階建物ユニット13とその上の二階建物ユニット17とを結合する連結部材に兼用されている。この連結プレート31は、一階建物ユニット13および二階建物ユニット17の各柱21に挟み込まれる挟持面32と、補強梁30Aを結合するための接合面33とを有して略L字状に形成されている。挟持面32には、位置決め用孔34,35と、ボルト38を挿通するためのボルト孔36とが形成されている。
【0024】この挟持面32の各位置決め用孔34,35には、それぞれ一階建物ユニット13の柱21上端の仕口27に立設された位置決めピン27A,27Bが挿通され、これらの位置決めピン27A,27Bの先端部は二階建物ユニット17の柱21の下端の仕口27に挿入されている。これにより、二階建物ユニット17が一階建物ユニット13に対して位置決めされている。また、二階建物ユニット17の柱21の下端の仕口27、挟持面32のボルト孔36および一階建物ユニット13の柱21上端の仕口27にはボルト38が挿通され、このボルト38にはナット39が螺合されている。これにより、積層した一階建物ユニット13および二階建物ユニット17の柱21同士が結合され、連結プレート31はこれらの柱21に上下から挟み込まれて固定されている。連結プレート31は、接合面33が凹部19側になる向きに固定され、この接合面33に補強梁30Aの一方の端部が溶接等によって取り付けられている。なお、補強梁30Aは、連結プレート31を設置する前に予め接合面33に固定しておいてもよく、或いは、連結プレート31を設置した後に接合面33に取り付けてもよい。
【0025】この補強梁30Aの一方の端部と同様に、図示しないが、補強梁30Aの他方の端部は連結プレートを介して一階建物ユニット12の柱21の上端部に固定され、この連結プレートは上下に積層される一階建物ユニット12および二階建物ユニット16の連結部材に兼用されている。また、図示しないが、二階建物ユニット16,17の各柱21の上端部間に架設される補強梁30Bも、前述した一階建物ユニット12,13間に架設した補強梁30Aの場合と同様に、連結プレートを介して柱21に結合されている。但し、二階建物ユニット16,17上には建物ユニットが載置されないので、連結プレートは、ボルトおよびナットによって、二階建物ユニット16,17の柱21上端の仕口27の上端面に固定されている。」
(イ)【図1】
「
[図:0001434090000005.jpg]
」
(ウ)【図4】
「
[図:0001434090000006.jpg]
」
(エ)上記(ア)の記載を踏まえると、上記(イ)の図1からは、補強梁30A,30Bは、それぞれ、凹部19を挟んで向かい合う一階建物ユニット12,13及び二階建物ユニット16,17において、建物ユニット14,18と反対側の端部において架け渡される様子が看取される(看取事項2-1)。
(オ)上記(ア)の記載を踏まえると、上記(ウ)の図4からは、補強梁30Aの一方の端部と一階建物ユニット13の柱21との結合部分において、補強梁30Aの一方の端部は、柱21上端の仕口27に固定されている様子が看取される(看取事項2-2)。
イ 引用文献2記載技術
上記アより、引用文献2には、以下の技術事項(以下「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献2記載技術)
建物ユニット11~18は、平面視で矩形の平面形状を有する互いに同じ形状および大きさのものであり、四本の柱21と、これらの四本の柱21の上端間を連結する長辺上梁22および短辺上梁23と、四本の柱21の下端間を連結する長辺下梁24および短辺下梁25とを含む直方体形状の骨組み26を各々備え、これらの柱21および梁22,23,24,25はそれぞれ仕口27を介して結合されており、(【0018】)
このような建物ユニット11~18は、建物1に凹部19が形成されるように平面コ字状に並べて配置され、(【0019】)
凹部19を囲む建物ユニットである凹部19を挟んで対向する建物ユニット12,13,16,17および凹部19の奥行き方向端部に配置された建物ユニット14,18には、それぞれ開口部としての窓28が凹部19に面して設けられている建物において、(【0020】)
凹部19を挟んで向かい合う一階建物ユニット12,13の間および二階建物ユニット16,17の間には、それぞれ凹部19に跨る補強梁30A,30Bが架け渡されており、(【0022】)
補強梁30A,30Bは、それぞれ、凹部19を挟んで向かい合う一階建物ユニット12,13及び二階建物ユニット16,17において、建物ユニット14,18と反対側の端部において架け渡され、(看取事項2-1)
補強梁30Aの一方の端部と一階建物ユニット13の柱21との結合部分において、補強梁30Aの一方の端部は、柱21上端の仕口27に固定され、
この補強梁30Aの一方の端部と同様に、補強梁30Aの他方の端部は一階建物ユニット12の柱21の上端部に固定され、(看取事項2-2)
二階建物ユニット16,17の各柱21の上端部間に架設される補強梁30Bも、前述した一階建物ユニット12,13間に架設した補強梁30Aの場合と同様に、柱21に結合されていること。(【0025】)
(3)引用文献A:特開平11-50522号公報
ア 記載事項
本件特許出願前に公開された特開平11-50522号公報(当審における職権調査により発見した文献、以下「引用文献A」という。)には、次の記載がある。
(ア)「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するためになされたもので、複数個の上階建物ユニットと下階建物ユニットから構成され、平面視でコ字型になされたユニット建物の相対する建物ユニット間に突出して設けられるバルコニーユニットにおいて、バルコニーユニットは平面視でコ字型になされ、このバルコニーユニットの屋内側外周面がユニット建物の凹部の建物本体部の内側側壁面に取り付けられているものである。
【0006】本発明のバルコニーユニットは、バルコニーユニットが平面視でコ字型になされていれば、適宜なものでよい。例えば、平面視でコ字型のバルコニーユニットが一体になり、建物本体部の内側側壁面に取り付けられたとき、折れ曲がった部分が繋げられていると、建物本体部が個々の部屋に仕切られていても、バルコニーが通路となり、バルコニーを通って、ユニット建物で相対する建物ユニット間を行き来できるので、好ましい。
【0007】本発明において、平面視でコ字型になされたユニット建物の凹部の建物本体部の内側の各面に面している部屋毎に出入口となる開口部が設けられていると、開口部よりバルコニーに出入りできるので、好ましい。」
(イ)「【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1により詳述する。本発明の一実施例を示すもので、図1の(イ)は平面視でコ字型になされたユニット建物の凹部の建物本体部の内側側壁面にバルコニーユニットが取り付けられている状態を示す要部拡大斜視説明図、(ロ)はユニット建物の凹部の建物本体部の内側側壁面にバルコニーユニットが取り付けられている状態を示す正面図、(ハ)は平面視でコ字型になされたバルコニーユニットの上面図である。
【0010】図1に示す如く、1はバルコニーユニットで、バルコニーユニット1は複数個の上階建物ユニット2と下階建物ユニット3から構成され、このバルコニーユニット1は平面視でコ字型になされたユニット建物4の相対する上階建物ユニット2、2間に突出して設けられ、床パネル11と、床パネル11用の床フレーム(図示省略)と、側壁パネル15と、排水溝16と、手摺17とからなっている。このバルコニーユニット1の床パネル11用の床フレームと手摺17の屋内側外周面18とが取付具で、ユニット建物4の凹部41の建物本体部の内側側壁面42に取り付けられているものである。
【0011】床パネル11は、上層の床仕上材(塩化ビニル樹脂が塗布されたほぼ均一な鋼板製、図示省略)と、中層のスチレン樹脂発泡体(図示省略)と、下層のベニヤ合板(図示省略)とからなっている。側壁パネル15は木質セメント板(図示省略)とグラスウール(図示省略)とからなっている。
【0012】平面視でコ字型になされたユニット建物4の凹部41の建物本体部の内側の各面に面している部屋毎に出入口となる開口部43、43、43が設けられている。」
(ウ)【図1】
「
[図:0001434090000007.jpg]
」
(エ)【図2】
「
[図:0001434090000008.jpg]
」
(オ)「平面視でコ字型になされたユニット建物4」における開口部43、43、43が設けられている3のユニットのうち、中央のユニットを「ユニット1」、図1、図2でみてユニット1の左側のユニットを「ユニット2」、同右前のユニットを「ユニット3」と呼称する。
a 上記(イ)の記載を踏まえると、上記(ウ)図1及び上記(エ)図2からは、開口部43が設けられた内側側壁面42を備えたユニット1と、開口部43が設けられると共に建物高さ方向から見てユニット1の内側側壁面42の延在方向一方側の周縁部と連続しかつ当該内側側壁面42からユニット1の内側側壁面42の屋外側に当該ユニット1の内側側壁面42と入隅部を構成するように延びる内側側壁面42を備えたユニット2と、
開口部43が設けられると共に建物高さ方向から見てユニット1の内側側壁面42の延在方向他方側の周縁部と連続しかつ当該内側側壁面42からユニット1の内側側壁面42の屋外側に当該ユニット1の内側側壁面42と入隅部を構成するように延びる内側側壁面42を備えたユニット3と、を有することが看取される(看取事項A-1)。
b 同様に、上記(ウ)図1及び上記(エ)図2からは、ユニット2は外周面の一部を構成しかつユニット2の内側側壁面42と出隅部を構成する外側側面部を有し、ユニット3は外周面の一部を構成しかつユニット3の内側側壁面42と出隅部を構成する外側側面部を有し、
建物高さ方向から見たユニット2及び3の外側側面部のユニット1の内側側壁面42までの距離は、同じであることが看取される(看取事項A-2)。
c 上記(エ)【図2】からは、ユニット1における延在方向一方側にユニット1及びユニット2と隣接された状態で配置される建物ユニットと、ユニット1における延在方向他方側にユニット1及びユニット3と隣接された状態で配置される建物ユニットと、をさらに有することが看取される(看取事項A-3)。
イ 引用発明A
上記アより、引用文献Aには、以下の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明A)
平面視でコ字型になされたユニット建物の凹部の建物本体部の内側側壁面にバルコニーユニットが取り付けられているユニット建物であって、
バルコニーユニット1の床パネル11用の床フレームがユニット建物4の凹部41の建物本体部の内側側壁面42に取り付けられているものであり、(【0010】)
開口部43が設けられた内側側壁面42を備えたユニット1と、
開口部43が設けられると共に建物高さ方向から見てユニット1の内側側壁面42の延在方向一方側の周縁部と連続しかつ当該内側側壁面42からユニット1の内側側壁面42の屋外側に当該ユニット1の内側側壁面42と入隅部を構成するように延びる内側側壁面42を備えたユニット2と、
開口部43が設けられると共に建物高さ方向から見てユニット1の内側側壁面42の延在方向他方側の周縁部と連続しかつ当該内側側壁面42からユニット1の内側側壁面42の屋外側に当該ユニット1の内側側壁面42と入隅部を構成するように延びる内側側壁面42を備えたユニット3と、を有し、(看取事項A-1)
ユニット2は外周面の一部を構成しかつユニット2の内側側壁面42と出隅部を構成する外側側面部を有し、ユニット3は外周面の一部を構成しかつユニット3の内側側壁面42と出隅部を構成する外側側面部を有し、
建物高さ方向から見たユニット2及び3の外側側面部のユニット1の内側側壁面42までの距離は、同じであり、(看取事項A-2)
ユニット1における延在方向一方側にユニット1及びユニット2と隣接された状態で配置される建物ユニットと、ユニット1における延在方向他方側にユニット1及びユニット3と隣接された状態で配置される建物ユニットと、をさらに有し、(看取事項A-3)
開口部よりバルコニーに出入りでき、(【0007】)
バルコニーが通路となり、バルコニーを通って、ユニット建物で相対する建物ユニット間を行き来できる、(【0006】)
ユニット建物。
(4)引用文献B:特開2002-167985号公報
ア 記載事項
本件特許出願前に公開された特開2002-167985号公報(当審における職権調査により発見した文献、以下「引用文献B」という。)には、次の記載がある。
(ア)「【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1の発明は、例えば、図1~図3に示すように、建物本体2にバルコニー5が設けられたバルコニー付き住宅1であって、前記建物本体2には、その外壁面10から建物本体2の内側に向けて窪む凹部3が形成されており、この凹部3を形成する壁面4a,4a,4b間に前記バルコニー5が設けられるとともに、このバルコニー5の下方に居室6が設けられており、この居室6の前記外壁面10側を向く面には窓16が設けられ、この窓16は、前記バルコニー5より外側に突出していることを
特徴とする。
【0032】2階部分は、図3に示すように、階段ホール45に連続して2階の居間46が配設されており、この2階の居間46の奥には、廊下47を介して食堂48と便所49が配設され、さらにこの食堂48に隣接して台所50が配設されている。そして、この2階の居間46と食堂48との間でかつ、廊下47に隣接して、上述したバルコニー5が設けられている。前記2階の居間46,食堂48、および廊下47には、ルーフバルコニー5に出入りすることができる扉が設けられている。」
(イ)【図1】
「
[図:0001434090000009.jpg]
」
(ウ)【図3】
「
[図:0001434090000010.jpg]
」
(エ)上記(ア)の段落【0004】の「この凹部3を形成する壁面4a,4a,4b間に前記バルコニー5が設けられる」との記載及び段落【0032】の「居間46,食堂48、および廊下47には、ルーフバルコニー5に出入りすることができる扉が設けられている」との記載を踏まえると、上記(ウ)の図3からは、ルーフバルコニー5に出入りすることができる扉は、凹部3を形成する壁面4a,4a,4bのそれぞれに設けられていることが看取される(看取事項B-1)。
イ 引用発明B
上記アより、引用文献Bには、以下の発明(以下「引用発明B」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明B)
建物本体2にバルコニー5が設けられたバルコニー付き住宅1であって、
建物本体2には、その外壁面10から建物本体2の内側に向けて窪む凹部3が形成されており、この凹部3を形成する壁面4a,4a,4b間に前記バルコニー5が設けられ、(【0004】)
2階部分は、居間46と食堂48との間でかつ、廊下47に隣接して、バルコニー5が設けられており、居間46,食堂48、および廊下47には、ルーフバルコニー5に出入りすることができる扉が設けられ、(【0032】)
ルーフバルコニー5に出入りすることができる扉は、凹部3を形成する壁面4a,4a,4bのそれぞれに設けられている、(看取事項B-1)
バルコニー付き住宅1。
(5)引用文献4:特開2018-131760号公報(甲第8号証)
ア 記載事項
本件特許出願前に公開された特開2018-131760号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
(ア)「【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】住宅の外観を示す外観図。
【図2】住宅の一階部分の間取りを示す平面図。
【図3】住宅の二階部分の間取りを示す平面図。
【図4】住宅内部を示す縦断面図。
【図5】住宅を構成する各建物ユニットの配置構成を示す斜視図。
【図6】(a)が一階部分における各建物ユニットの配置構成を示す図であり、(b)が二階部分における各建物ユニットの配置構成を示す図。
【図7】建物ユニットの構成を斜視図。
【図8】中間の建物ユニット群における二階部分の各建物ユニットの構成を示す平面図。
【図9】上下に並ぶ各吹き抜けユニットの構成を示す斜視図。」
(イ)【0043】
各テラス空間43,44のうち、テラス空間43は、外壁部36を隔ててリビングダイニング22(詳しくは第1吹き抜け空間22a)の北側に隣接して設けられている。テラス空間43は、屋外にデッキ43a(床部)が敷設されることにより形成された床上空間となっており、その床面がリビングダイニング22の床面と略同じ高さ位置に設定されている。なお、外壁部36が第1外壁部に相当する。」
(ウ)「【0069】
図5及び図6(a)に示すように、各建物ユニット群X2,X3の一階部分11には、建物ユニット70として、建物ユニット群X1の吹き抜けユニット70A,70B(換言すると外壁部36)よりも住宅奥行方向X(換言すると、第1吹き抜け空間22aと第2吹き抜け空間22bとが並ぶ吹抜並び方向)にて屋外側に張り出して設けられた張出ユニット70G,70Hと、建物ユニット群X1の吹き抜けユニット70C,70D(換言すると外壁部37)よりも住宅奥行方向Xにて屋外側に張り出して設けられた張出ユニット70I,70Jとが含まれている。これら各張出ユニット70G~70Jのうち、各張出ユニット70G,70Iが建物ユニット群X2に設けられ、各張出ユニット70H,70Jが建物ユニット群X3に設けられている。なお、各建物ユニット群X2,X3の張出ユニット70G,70Hが第1張出ユニットに相当し、各建物ユニット群X2,X3の張出ユニット70I,70Jが第2張出ユニットに相当する。
【0070】
各建物ユニット群X2,X3の張出ユニット70G,70Hにより、建物本体13には、外壁部36よりも屋外側に張り出した一対の下階張出部81が形成されている。また、各張出ユニット70G,70Hの間は建物ユニット70が設けられていないユニット外部空間とされており、このユニット外部空間を含んでテラス空間43が形成されている。この場合、テラス空間43は、その少なくとも一部が各張出ユニット70G,70H(各下階張出部81)の間に挟まれて形成され、詳しくは各下階張出部81において互いに対向する一対の壁部81aと外壁部36とにより囲まれた内側に形成されている。
(エ)【図2】
「
[図:0001434090000011.jpg]
」
(オ)【図6】(a)
「
[図:0001434090000012.jpg]
」
(カ)看取事項
上記(ア)~(ウ)の記載を踏まえると、上記(エ)の【図2】及び上記(オ)【図6】(a)より、外壁部36を備えた建物ユニット70と、この外壁部36の延在方向一方側ないし他方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から外壁部36と入隅部を構成するように延びる壁部81aをそれぞれが備えた張出ユニット70G,70Hを有する住宅において、
デッキ43a(床部)が敷設されることにより形成された床上空間となっているテラス空間43は、互いに対向する一対の壁部81aと外壁部36とにより囲まれた内側の全面と張出ユニット70G,70Hの一対の壁部81aの最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出するように形成されることが看取される(看取事項4-1)。
イ 引用文献4記載事項
上記アより、引用文献4には、以下の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献4記載事項)
外壁部36を備えた建物ユニット70と、この外壁部36の延在方向一方側ないし他方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から外壁部36と入隅部を構成するように延びる壁部81aをそれぞれが備えた張出ユニット70G,70Hを有する住宅において、
デッキ43a(床部)が敷設されることにより形成された床上空間となっているテラス空間43は、互いに対向する一対の壁部81aと外壁部36とにより囲まれた内側の全面と張出ユニット70G,70Hの一対の壁部81aの最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出するように形成されること。(看取事項4-1)
2 対比、判断
(1)本件発明1
ア 対比
本件発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「屋内空間であるダイニングキッチン43から屋外側のテラス空間57への出入りを可能とする出入口73が設けられた外壁部16cを備え」る「A1ユニット」は、本件発明1の「屋外側と屋内側とを連通可能な第1開口部が設けられた第1側面部を備えた第1建物ユニット」に相当する。
(イ)引用発明1の「屋内空間であるリビング42から屋外側のテラス空間57への出入りが可能となっているいわゆる掃き出し窓とされる窓部78」は、本件発明1の「前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第2開口部」に相当し、引用発明1において「A1ユニットの出入口73が設けられた外壁部16cの一方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部の屋外側にA1ユニットの出入口73が設けられた外壁部16cと入隅部を構成するように延び」る「窓部78が設けられている外壁部16cを有する側面部」は、本件発明1の「前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第2開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向一方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第2側面部」に相当し、これを備える「Bユニット」は、本件発明1の「第2側面部を備えた第2建物ユニット」に相当する。
(ウ)引用発明1の「屋内空間である脱衣室46と屋外側のテラス空間57とを連通可能な開口部及び屋内空間である廊下49と屋外側のテラス空間57とを連通可能な開口部」は、本件発明1の「前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第3開口部」に相当する。本件発明1の「第1側面部の延在方向他方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第3側面部を備えた第3建物ユニット」と、引用発明1の「A1ユニットに隣接するA2ユニットにおける他方側の周縁部と連続しかつA2ユニットの外壁部16cと入隅部を構成するように延び」る、「開口部が設けられている外壁部16cを有する側面部」を備える「Cユニット」とは、「前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第3開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部側において入隅部を構成するように延びる第3側面部を備えた第3建物ユニット」の点で共通する。
(エ)引用発明1の「A1ユニット及びA2ユニットの外壁部16c、Bユニットの側面部及びCユニットの側面部で仕切られた空間」は、本件発明1の「建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間」に相当する。
(オ)引用発明1の「デッキ57a」は、「A1ユニット及びA2ユニットの外壁部16c」から「Bユニット」の「窓部78が設けられている外壁部16cを有する側面部」及び「Cユニット」の「開口部が設けられている外壁部16cを有する側面部」の延びる方向に延出しているといえる。
そうすると、本件発明1の「建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置すると共に、前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆いかつ前記第2側面部及び前記第3側面部が延びる方向に延出された床部」と、引用発明1の「A1ユニット及びA2ユニットの外壁部16c、Bユニットの側面部及びCユニットの側面部で仕切られた空間」において「屋内空間41~49の床面と略同じ高さ位置」に、「敷設され」る「デッキ57a」とは、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置すると共に、前記空間の建物高さ方向下側を覆いかつ前記第2側面部及び前記第3側面部が延びる方向に延出された床部」の点で共通する。
(カ)本件発明1の「前記第1開口部、前記第2開口部及び前記第3開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置すると共に、前記空間の建物高さ方向下側の全面を覆いかつ前記第2側面部及び前記第3側面部が延びる方向に延出された床部を介して往来が可能とされている」ことと、引用発明1において「A1ユニット」に設けられた「出入口73」が「屋内空間であるダイニングキッチン43から屋外側のテラス空間57への出入りを可能とする」ものであり、「Bユニット」に設けられた「掃き出し窓とされる窓部78」が「屋内空間であるリビング42から屋外側のテラス空間57への出入りが可能となっている」ものであり、「Cユニット」の「外壁部16c」に「テラス57とを連通可能な開口部が設けられて」おり、「デッキ57a」が「A1ユニット及びA2ユニットの外壁部16c、Bユニットの側面部及びCユニットの側面部で仕切られた空間」において「屋内空間41~49の床面と略同じ高さ位置」に、「敷設され」ることとは、上記(エ)及び(オ)の対比を踏まえると、「前記第1開口部、前記第2開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置すると共に、前記空間の建物高さ方向下側を覆いかつ前記第2側面部及び前記第3側面部が延びる方向に延出された床部を介して往来が可能とされている」点で共通する。
(キ)引用発明1の「複数の建物ユニット20により構成され」る「建物本体13」を備える「住宅10」は、本件発明1の「ユニット建物」に相当する。
(ク)そうすると、本件発明1と引用発明1とは、以下の一致点、相違点を有する。
(一致点)
屋外側と屋内側とを連通可能な第1開口部が設けられた第1側面部を備えた第1建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第2開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向一方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第2側面部を備えた第2建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第3開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部側において入隅部を構成するように延びる第3側面部を備えた第3建物ユニットと、
を有し、
前記第1開口部、前記第2開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側を覆いかつ前記第2側面部及び前記第3側面部が延びる方向に延出された床部を介して往来が可能とされている、
ユニット建物。
(相違点1)
本件発明1は、第3建物ユニットが「第1建物ユニット」の「前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部」と「連続」し、「第3側面部」が「第1建物ユニット」の「前記第1側面部」と入隅部を構成するように延びるのに対し、引用発明1は、A1ユニットに隣接するA2ユニットが存在するため、「A1ユニット」の他方側の周縁部と「連続」するものではなく、「A1ユニット」の「外壁部16c」と入隅部を構成するように延びるものではない点。
(相違点2)
本件発明1は、「第3開口部」が、「前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置する床部を介して往来が可能とされている」のに対し、引用発明1は、そのように特定されていない点。
(相違点3)
本件発明1は、床部が「建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間」の「全面」を覆い、「前記第2側面部及び前記第3側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されている」のに対し、引用発明1は、「デッキ57a」(本件発明1の「床部」に相当)が庭空間99が形成される凹部101を有しているため、「全面」を覆うものではなく、「Bユニット」の「窓部78が設けられている外壁部16cを有する側面部」(本件発明1の「第2側面部」に相当)及び「Cユニット」の「開口部が設けられている外壁部16cを有する側面部」(本件発明1の「第3側面部」に相当)の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されたものではない点。
イ 判断
(ア)相違点1について
上記相違点1について検討する。
a 引用発明Aの「ユニット1」及び「ユニット3」は、それぞれ、本件発明1の「第1建物ユニット」及び「第3建物ユニット」に相当する。そして、引用発明Aの「ユニット3」は、「ユニット1」に隣接するものであり、「ユニット1の内側側壁面42の延在方向他方側の周縁部と連続しかつ当該内側側壁面42からユニット1の内側側壁面42の屋外側に当該ユニット1の内側側壁面42と入隅部を構成するように延びる内側側壁面42を備え」るものであるから、引用発明Aは、相違点1に係る本件発明1の「第3建物ユニット」が「第1建物ユニット」の「前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部」と「連続」し、「第3側面部」が「第1建物ユニット」の「前記第1側面部」と入隅部を構成するように延びることに相当する構成を備える。
b ユニットの大きさは、当業者が適宜決定することができるものであるところ、引用発明1はA1ユニットとそれに隣接するA2ユニットとを備えるものとなっているが、これを、引用発明Aのように1つのユニットとし、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(イ)相違点2について
上記相違点2について検討する。
a 引用発明Aは、「平面視でコ字型になされたユニット建物」であって、ユニット1~3のそれぞれの「内側側壁面」(本件発明1の「第1側面部」、「第2側面部」及び「第3側面部」に相当)に設けられた「開口部43」により、「前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置する床部」を介して往来可能とされたものである。
b 引用発明Bは、「建物本体2」に「その外壁面10から建物本体2の内側に向けて窪む凹部3が形成されており、この凹部3を形成する壁面4a,4a,4b間に前記バルコニー5が設けられ」た「バルコニー付き住宅1」であって、「凹部3を形成する壁面4a,4a,4b」(本件発明1の「第1側面部」、「第2側面部」及び「第3側面部」に相当)のそれぞれに「ルーフバルコニー5に出入りすることができる扉」が設けられたものであり、ルーフバルコニー5を介して往来可能であることは自明である。
c 3つの側面で仕切られた空間の内側に床部を設け、3つの側面のそれぞれに設けた開口部を、床部を介して往来可能とすることは、上記引用発明A、Bに示されるように、周知技術(以下「周知技術1」という。)である。
d 引用発明1において、周知技術1を採用し、A1ユニットの外壁部16cに設けられた出入口73、Bユニットの外壁部16cに設けられた掃き出し窓である窓部78とともにCユニット3の外壁部16cに設けられた開口部からも建物ユニット間を行き来できるように、屋内空間である脱衣室46ないし廊下49と屋外側のテラス空間57との間の開口部を介して出入り可能とし、もって相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ)相違点3について
上記相違点3について検討する。
a 引用発明1は庭空間99が形成される凹部101を有しているため、デッキ57aが「全面」を覆うものではないことについて
引用文献1の「床部の設定されていない庭空間」は、庭空間を設けることによって、その両側の空間を互いに分離して異なる目的で利用する上で好都合であることや、庭空間に樹木等の植栽を植えれば、相互に視線を遮ることが可能となり、プライバシ性を高めることが可能となる旨記載されているように、(上記1(1)ア(ア))、空間の使用目的等に応じてその有無を適宜選択できるものである。
第1の実施形態に着目した引用発明1においては、庭空間99が形成されたものとなっているが、上述のように、テラス空間に庭空間を設けるか否かは、空間の使用目的等を考慮して当業者が適宜決定できることであり、テラス空間を一体性のある空間とすることを優先させ、庭空間としての凹部を設けないことも当然に想定されているものである。
よって、引用発明1において、テラス空間に庭空間99を設けないものとし、デッキ57a(床部)を「建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間」の「全面」を覆うものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。
b 引用発明1は、デッキ57a(床部)が、側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されたものではない点について
本件特許は、願書に最初に添付された明細書において先行技術文献である特許文献1(特開2002-167985号公報、引用文献B)を示し、先行技術文献に開示される建物が、その外壁面から屋内側に凹む凹部が形成されており、この凹部を囲む壁面にそれぞれ窓(開口部)が設けられて屋内への採光の効率を高めることができるものの、木質パネル工法で施工されており、現場での建物の構築作業の簡略化を図るという点においては改善の余地が有ることから、屋内への採光の効率を高めつつ、構築作業の簡略化を図ることができるユニット建物を得ることを発明の目的とするものであり、明細書の段落【0007】、【0047】、【0052】等には、建物の外壁面から屋内側に凹む凹部について記載され、段落【0047】には、側面部16A、18A、20Aが配置されることで、屋外側が解放されると共に、側面部18B、20Bから屋内側に凹んだ空間が確保され、当該空間の高さ方向下側にウッドデッキ86が配置されて、ウッドデッキ86を介して、建物ユニット16、18、20間の往来が可能とされることが記載される。
しかし、ウッドデッキ86について、明細書には段落【0047】以外に記載はなく、すなわち、ウッドデッキが側面部18B、20Bの最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されていることについて何らの記載はなく、ウッドデッキが側面部18B、20Bの最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されていることによって特段の技術的意義を有する旨の記載ないし示唆も当然ない。
そして、引用発明1において、デッキ57a(床部)の敷設範囲や建物の側面部との関係は、建物の施主の要望等に応じて適宜決定できるものであるところ、側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出することができない事情はない。例えば、引用文献4記載事項は、ユニットを用いた住宅において、デッキ43a(床部)が敷設されることにより形成された床上空間となっているテラス空間43を、互いに対向する一対の壁部81aと外壁部36とにより囲まれた内側の全面と張出ユニット70G,70Hの一対の壁部81aの最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出するように形成したものである。また、上述したように、本件特許は、ウッドデッキが側面部18B、20Bの最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されていることによる特段の技術的意義を有するものでもない。
そうすると、引用発明1において、デッキ57a(床部)を「Bユニット」の「窓部78が設けられている外壁部16cを有する側面部」(本件発明1の「第2側面部」に相当)及び「Cユニット」の「開口部が設けられている外壁部16cを有する側面部」(本件発明1の「第3側面部」に相当)の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されたものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。
また、引用発明1において、デッキ57aが側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されたものとすることに関し、特許権者は、本件発明1は、床部の延出された場所が第1建物ユニットの直前から十分離れた場所であり、床部の延出された場所を通過することができることから、第2開口部と第3開口部との間を移動する者及び第1建物ユニット内にいる者双方のプライバシを確保することができるとの効果を主張する(下記ウ(ア)b)が、引用発明1において、デッキ57aを上述のように側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されたものとすれば、延出された部分も含めてデッキ57aとして歩行等に使用できることは当然のことであるから、本件発明1が、床部が「建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間」の「全面」を覆い、「前記第2側面部及び前記第3側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されている」ことによって格別の効果を奏するといえるものでもない。
c 以上のとおりであるから、引用発明1において、相違点3に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 特許権者の主張について
(ア)特許権者の主張の概要
a デッキ57aが「全面」を覆うものとする点について
特許権者は、令和7年4月22日提出の意見書中において、概略以下の主張をする。
引用発明1では、デッキ57aの途中に凹部101を設け、その部分を庭空間99として植栽Sを配置することで、第1壁間空間部95と第2壁間空間部96を視線・動線の両面で分離し、それぞれを別用途で同時利用できるようにしている(段落[0061][0062][0088])。床を全面に張り出してしまうと凹部101・庭空間99が消失し、この効果が得られないため、引用発明1の設計思想に逆行する。
b デッキ57aを側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されたものとする点について
特許権者は、令和7年4月22日提出の意見書中において、引用発明1において、「前記第2側面部及び前記第3側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されている」ように変更をする示唆や動機付けは存在しない旨主張する。
また、本件発明1の「床部」が「第1側面部、第2側面部及び第3側面部で仕切られた空間の下側全面」よりも、「広くなっている」ことについて、令和6年7月26日提出の意見書5.(4)エ.において、概略以下の主張をする。
「床部」が「第1側面部、第2側面部及び第3側面部で仕切られた空間の下側全面」よりも、「広くなっている」ために、第2開口部と第3開口部との間を往来する際に、床部において第1建物ユニットの直前から十分離れた場所(延出された場所)を通過することができ、第2開口部と第3開口部との間を移動する者及び第1建物ユニット内にいる者双方のプライバシを確保することができる。
(イ)主張の検討
a デッキ57aが「全面」を覆うものとする点について
第1の実施形態に着目した引用発明1においては、庭空間99が形成されたものとなっているが、引用文献1において「床部の設定されていない庭空間」を設けることは実施形態における一態様にすぎない。
そして、テラス空間に庭空間を設けるか否かは、空間の使用目的等を考慮して当業者が適宜決定できることであるから、テラス空間を一体性のある空間とすることを優先させる等、庭空間としての凹部を設けないことも当然に想定されているものであり、引用文献1に庭空間99が形成される一つの実施形態において、庭空間を設けることによる効果が記載されているとしても、そのことによって、引用発明1の設計思想に逆行するために引用発明1において庭空間を設けないものとし、デッキ57aを「全面」を覆うものとすることができないとはいえない。
また、「庭空間99として植栽Sを配置することで、第1壁間空間部95と第2壁間空間部96を視線・動線の両面で分離し、それぞれを別用途で同時利用できるように」することは、「床部の設定されていない」庭空間を設けずとも、「デッキ57a」上に鉢植え等の植栽を配置することでも可能であり、引用発明1においてデッキ57aが「全面」を覆うものとすることは、「床を全面に張り出してしまうと凹部101・庭空間99が消失し、この効果が得られない」ために阻害要因があるとまでいえるものではない。
b デッキ57aを側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されたものとする点について
上記イ(ウ)bにおいて示したように、デッキ57a(床部)の敷設範囲や建物の側面部との関係は、建物の施主の要望等に応じて適宜決定できるものであり、引用発明1においてはデッキ57aが側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出していないとしても、それを「延出」するように変更することは、当業者が適宜なし得たことである。
また、上記イ(ウ)bにおいて示したように、引用発明1において、デッキ57aを側面部の最外端どうしを結ぶ仮想線よりも屋外側に延出されたものとすれば、延出された部分も含めてデッキ57aとして歩行等に使用できることは当然のことであり、延出しない場合よりも第1建物ユニットとの間が離れることも当然であるから、デッキが有する通常の効果からみて、格別の効果を発揮するとまではいえず、特許権者の主張する効果は、引用発明1及び引用文献4から予測し得る効果である。
c 以上のとおりであるから、特許権者の意見を考慮しても、上記イの判断は左右されない。
エ 小括
本件発明1は、引用発明1、引用発明A及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明2
ア 対比
本件発明2と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「Bユニット」の「外壁部16cと出隅部を構成する対向壁部88b」は、「対向壁部88b」はBユニットの外周面の一部であるから、本件発明2の「第2建物ユニットの外周面の一部を構成しかつ前記第2側面部と出隅部を構成する第1外側側面部」に相当する。同様に「Cユニット」の「外壁部16cと出隅部を構成する対向壁部88a」は、本件発明2の「第3建物ユニットの外周面の一部を構成しかつ前記第3側面部と出隅部を構成する第2外側側面部」に相当する。
(イ)引用発明1の「対向壁部88b」及び「対向壁部88a」がパネル状の外壁を構成する部材であることは明らかであり、引用発明1が「対向壁部88により住宅外部からの視線を遮ることができ」ることは、本件発明2の「前記第2建物ユニットの外周面の一部を構成しかつ前記第2側面部と出隅部を構成する第1外側側面部及び前記第3建物ユニットの外周面の一部を構成しかつ前記第3側面部と出隅部を構成する第2外側側面部の少なくとも一方は、屋外側からの視線を遮ることが可能な外壁パネルで構成されている」ことに相当するといえる。
(ウ)そうすると、本願発明2と引用発明1とは、上記(1)ア(ク)の一致点に加え、「前記第2建物ユニットの外周面の一部を構成しかつ前記第2側面部と出隅部を構成する第1外側側面部及び前記第3建物ユニットの外周面の一部を構成しかつ前記第3側面部と出隅部を構成する第2外側側面部の少なくとも一方は、屋外側からの視線を遮ることが可能な外壁パネルで構成されている」点で一致し、上記(1)ア(ク)の相違点1~3において相違する。
イ 判断
相違点1~3については、上記(1)イにおいて検討したとおりである。
ウ 小括
本件発明2は、引用発明1、引用発明A及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明3
ア 対比
本件発明3と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「対向壁部88b」及び「対向壁部88a」がパネル状の外壁を構成する部材であることは明らかであり、引用発明1において「対向壁部88bからA1ユニットの外壁部16cまでの距離と対向壁部88aからA1ユニットの外壁部16cまでの距離とが同じ距離であ」ることは、本件発明3の「前記第1外側側面部及び前記第2外側側面部が前記外壁パネルで構成され、建物高さ方向から見て前記第1外側側面部から前記第1側面部までの距離と前記第2外側側面部から当該第1側面部までの距離とが同じ距離に設定されている」ことに相当するといえる。
(イ)そうすると、本願発明3と引用発明1とは、上記(1)ア(ク)の一致点及び(2)ア(ウ)の一致点に加え、「前記第1外側側面部及び前記第2外側側面部が前記外壁パネルで構成され、建物高さ方向から見て前記第1外側側面部から前記第1側面部までの距離と前記第2外側側面部から当該第1側面部までの距離とが同じ距離に設定されている」点で一致し、上記(1)ア(ク)の相違点1~3において相違する。
イ 判断
相違点1~3については、上記(1)イにおいて検討したとおりである。
ウ 小括
本件発明3は、引用発明1、引用発明A及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明4
ア 対比
本件発明4と引用発明1とを対比する。
(ア)(1)ア(ア)~(キ)における本件発明1と引用発明1との対比は、本件発明4と引用発明1との対比においても同様である。
(イ)引用発明1が「A1ユニットの外壁部16cの一方側にA1ユニットとBユニットと隣接された状態で配置される、A1ユニットとBユニットと連通されたユニットと、A2ユニットの外壁部16cの他方側にA2ユニットとCユニットと隣接された状態で配置される、A2ユニットとCユニットと連通されたユニットと、を備える」ことは、本件発明4の「前記第1建物ユニットにおける前記延在方向一方側に当該第1建物ユニット及び前記第2建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第2建物ユニットと連通された第4建物ユニットと、前記第1建物ユニットにおける前記延在方向他方側に当該第1建物ユニット及び前記第3建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第3建物ユニットと連通された第5建物ユニットと」、を有することに相当する。
(ウ)そうすると、本件発明4と引用発明1とは、以下の一致点、相違点を有する。
(一致点)
屋外側と屋内側とを連通可能な第1開口部が設けられた第1側面部を備えた第1建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第2開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向一方側の周縁部と連続しかつ当該周縁部から当該第1側面部の前記屋外側に当該第1側面部と入隅部を構成するように延びる第2側面部を備えた第2建物ユニットと、
前記屋外側と前記屋内側とを連通可能な第3開口部が設けられると共に建物高さ方向から見て前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部側において入隅部を構成するように延びる第3側面部を備えた第3建物ユニットと、
を有し、
前記第1開口部、前記第2開口部は、建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側を覆いかつ前記第2側面部及び前記第3側面部が延びる方向に延出された床部を介して往来が可能とされており、
前記第1建物ユニットにおける前記延在方向一方側に当該第1建物ユニット及び前記第2建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第2建物ユニットと連通された第4建物ユニットと、前記第1建物ユニットにおける前記延在方向他方側に当該第1建物ユニット及び前記第3建物ユニットと隣接された状態で配置されると共に、内部が当該第1建物ユニット及び当該第3建物ユニットと連通された第5建物ユニットと、をさらに有する
ユニット建物。
(相違点1’)
本件発明4は、第3建物ユニットが「第1建物ユニット」の「前記第1側面部の延在方向他方側の周縁部」と「連続」し、「第3側面部」が「第1建物ユニット」の「前記第1側面部」と入隅部を構成するように延びるのに対し、引用発明1は、A1ユニットに隣接するA2ユニットが存在するため、「A1ユニット」の他方側の周縁部と「連続」するものではなく、「A1ユニット」の「外壁部16c」と入隅部を構成するように延びるものではない点。
(相違点2’)
本件発明4は、「第3開口部」が、「前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間の建物高さ方向下側に位置する床部を介して往来が可能とされている」のに対し、引用発明1は、そのように特定されていない点。
(相違点3’)
本件発明4は、床部が「建物高さ方向から見て前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部で仕切られた空間」の「全面」を覆うのに対し、引用発明1は、「デッキ57a」(本件発明1の「床部」に相当)が庭空間99が形成される凹部101を有しているため、「全面」を覆うものではない点。
(相違点4)
本件発明4は、「前記第2建物ユニットの長手方向及び前記第3建物ユニットの長手方向は、いずれも、前記第1側面部の延在方向と同じ方向を向いて」いるのに対し、引用発明1は、そのように特定されていない点
イ 判断
(ア)相違点1’~3’について
相違点1’~3’については、上記(1)イ(ア)、(イ)及び(ウ)aにおいて相違点1~3について検討したのと同様であり、当業者が容易になし得たことである。
(イ)相違点4について
上記相違点4について検討する。
引用発明1のBユニットは、その外壁部16cを有する側面部と出隅部を構成する対向壁部88bが短辺側の側面部に形成され、Bユニットの内部には外壁部分62が形成され、外壁部分63と対向壁部88bとの間の空間が軒下空間とされたものであり、Cユニットも同様に、外壁部16cを有する側面部と出隅部を構成する対向壁部88aが短辺側の側面部に形成され、Cユニットの内部には外壁部分63が形成され、外壁部分62と対向壁部88aとの間の空間が軒下空間とされたものである。
そして、引用発明1は、このBユニットの対向壁部88b及びCユニットの対向壁部88aはA1ユニット及びA2ユニットの外壁部16cと同じ方向を向いているために、A1ユニット及びA2ユニットの外壁部16c(本件発明4の「第1側面部」に相当)の延在方向がBユニット及びCユニット(同「第2建物ユニット」及び「第3建物ユニット」の短手方向となっているものである。
そうすると、引用発明1のBユニット及びCユニットについて、単に90度回転のようにしてその長手方向をA1ユニット及びA2ユニットの外壁部16cの方向としようとすると、各ユニットに関係する構造体を中心として建物全体の形状や構造についても変更されるものとなるとともに、対向壁部の配置も異なることとなるから、阻害要因を有するものであり、そのような変更をすることは当業者が容易になし得たことではない。
ユニット建物は、一般的には、建物を構成するユニットとして種々の形状、大きさが選択し得るものであり、長手方向及び短手方向の配置についても、設計変更できる余地が大きいものである。しかし、そのような性質が一般的なユニット建物は備えることを考慮しても、引用発明1においてBユニット及びCユニットは、軒下空間を設けることを前提として、短辺側の側面部を対向壁部88b、対向壁部88aとし、内部に外壁部分63、62を設けたものであって、軒下空間と建物内部の空間を有する側を長手方向とすることに合理性を有するから、そのようなBユニット及びCユニットについて、対向壁部と外壁部分の設置を短手方向から長手方向とするような変更は、単に適宜なし得る設計事項であるとはいえない。
また、引用発明1のBユニット及びCユニットについて、対向壁部と外壁部分の設置を短手方向から長手方向に変更することを記載ないし示唆する証拠はない。
ウ 申立人の主張について
(ア)申立人の主張の概要
申立人は、令和7年10月8日付けの意見書において、概略以下の主張をする。
甲第8号証の図2、6に示すように、床部を囲むユニットについて、「第2建物ユニットの長手方向及び第3建物ユニットの長手方向は、いずれも、第1側面部の延在方向と同じ方向を向いている」構成を採用することは、周知技術であって、しかも、甲第8号証の出願人である本件の特許権者も熟知しているものである。
住宅の設計は、依頼者の要望などに沿って適宜設計変更し得るものであるから、引用発明1において床部を囲む住宅の内部の空間である、脱衣室46と浴室47を有する内部空間やリビング42の内部空間を、第1側面部の延材方向に長くしたり、対向壁部を第1側面部の延在方向と交差する位置にも設けたりする設計変更は、必要であれば適宜なし得るものであり、その設計変更に合わせて、上記の周知技術を採用し、本件発明4を想到することは、当業者であれば容易になし得たことであるといえる。
特許権者は、相違点4に係る構成に対応する構成が開示されている文献について、引用発明1に適用する動機付けがなく、阻害要因があるとさえいえる旨主張するが、上述のとおり、引用発明1において設計変更は適宜なし得るものであり、しかも、ユニットについては、甲第3号証、甲第4号証に示すように、種々の形状、大きさが選択し得るものであるから、引用発明1において上記周知技術を適用し、本件発明4を想到することは阻害要因があるものではなく容易であって、特許権者の主張は採用できない。
(イ)主張の検討
甲第8号証が、中央のユニットと左右のユニットによって囲まれる床部を有するユニット建物について、左右のユニットの長手方向が中央ユニットの長手方向と同じ方向を向いているものを開示するものであるとしても、甲第8号証のユニットは、対向壁部と外壁部分によって軒下空間を設けることを前提としない通常のユニットであるから、引用発明1の対向壁部と外壁部分によって軒下空間を設けることを前提としたBユニット及びCユニットの設置について、短手方向であるものを長手方向と変更することについて記載ないし示唆するものとはいえない。
取消理由通知書(決定の予告)において引用した引用文献A、申立人が提出した甲第3号証、甲第4号証に記載されたユニットも、いずれも、軒下空間を設けることを前提としない通常のユニットである。そして、そのような通常のユニットについて、一般に種々の形状、大きさや配置が選択し得るものであり、依頼者の要望等に応じて長手方向及び短手方向の配置を設計変更できる余地が大きいといえるとしても、引用発明1の建物は、短辺側の側面部を対向壁部88b、対向壁部88aとし、内部に外壁部分63、62を設けたユニットを、所定の方向に軒下空間を設けることを前提として、他の構造体と共に配置しているものであって、建物全体の配置や他の構造体等との関係からみてユニットの形状、大きさや長手方向及び短手方向の配置の設計変更の余地が通常のユニットと同視できる程度に大きいといえるものではないから、通常のユニットについて、一般に種々の形状、大きさや配置が選択し得ることを根拠として、引用発明1のBユニット及びCユニットの設置について、対向壁部と外壁部分の設置を短手方向から長手方向とするような変更が当業者が容易になし得たこととはいえない。
よって、申立人の上記主張を考慮しても、上記イの判断は左右されない。
エ 小括
本件発明4は、引用発明1、引用発明A、周知技術1及び甲第8号証に記載した事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明5
ア 対比
本件発明5と引用発明1とを対比すると、両者は、上記(1)ア(ク)の一致点で一致し、相違点1~3に加え、以下の点で相違する。
(相違点5)
本件発明5は、「前記第2建物ユニットの躯体を構成する第1フレームの建物上方側の部分において前記第3建物ユニット側でかつ前記第1建物ユニットと反対側に設けられた第1仕口部と、当該第3建物ユニットの躯体を構成する第2フレームの建物上方側の部分において当該第2建物ユニット側でかつ当該第1建物ユニットと反対側に設けられた第2仕口部と、を連結する補強部材をさらに有する」ものであるのに対し、引用発明1はそのようなものではない点。
イ 判断
上記相違点5について検討する。
(ア)引用文献2記載技術において、「補強梁30A,30B」が、「凹部19を挟んで向かい合う一階建物ユニット12,13の間および二階建物ユニット16,17の間」に、「凹部19の奥行き方向端部に配置された」「建物ユニット14,18と反対側の端部」において「架け渡され」るものであり、「補強梁30Aの一方の端部」が「柱21上端の仕口27に固定され」、「補強梁30Aの他方の端部は、この補強梁30Aの一方の端部と同様に、一階建物ユニット12の柱21の上端部に固定され、二階建物ユニット16,17の各柱21の上端部間に架設される補強梁30Bも、前述した一階建物ユニット12,13間に架設した補強梁30Aの場合と同様に、柱21に結合されている」ことは、建物ユニット12,13,16,17のそれぞれにおいて、「凹部19を挟んで」対となる建物ユニットと「向かい合う」側であって、「建物ユニット14,18と反対側の端部」の「柱21」の上端、すなわち「建物上方側の部分」において、「補強梁30A,30B」が「仕口27」に「固定され」るものであるから、一階建物ユニット12,13のいずれか一方及び二階建物ユニット16,17のいずれか一方を、それぞれ、「第2建物ユニット」、他方を「第3建物ユニット」とすると、本件発明5の「前記第2建物ユニットの躯体を構成する第1フレームの建物上方側の部分において前記第3建物ユニット側でかつ前記第1建物ユニットと反対側に設けられた第1仕口部と、当該第3建物ユニットの躯体を構成する第2フレームの建物上方側の部分において当該第2建物ユニット側でかつ当該第1建物ユニットと反対側に設けられた第2仕口部と、を連結する補強部材をさらに有する」ことに相当するといえる。
(イ)引用発明1の「住宅10」は、「Bユニット」と「Cユニット」の「A1ユニット」及び「A1ユニット」と反対側の部分は、連結されない状態となっており、この部分を補強すべく引用文献2記載技術の上記構成を採用し、相違点5に係る本件発明5の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 小括
本件発明5は、引用発明1、引用発明A、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本件発明1~3は、引用発明1、引用発明A及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。また、本件発明5は、引用発明1、引用発明A、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうすると、本件発明1~3及び5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1~3及び5に係る特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明4に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び当審より通知した取消理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700182