特許異議申立
2021-700862
液処理プラントおよび液処理プラントの製造方法
- 審判番号
- 2021-700862
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-179363外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6840494
- 請求日
- 2021年09月08日
- 審決日
- 2022年11月28日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】オルガノ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人YKI国際特許事務所
- 【異議申立人】田中 亜実
- 分類
- P1651.121-ZDA(E04H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6840494号発明「液処理プラントおよび液処理プラントの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6840494号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、10〕、6、〔7~9〕、11、12、13について訂正することを認める。
特許第6840494号の請求項7、9に係る特許を取り消す。
特許第6840494号の請求項1~4、6、11~13に係る特許を維持する。
特許第6840494号の請求項5、8、10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6840494号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成28年9月14日に出願され、令和3年2月19日にその特許権の設定登録がされ、同年3月10日に特許掲載公報が発行された。
その後、その請求項1ないし10に係る特許について、令和3年9月8日に特許異議申立人田中亜実(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和3年12月24日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である令和4年3月4日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正請求に対して、申立人は令和4年4月25日に意見書を提出し、さらに当審は、令和4年7月5日付けで取消理由(決定の予告)を通知した。
なお、令和4年7月5日付けの取消理由通知(決定の予告)に対して、期間を指定して意見を申し述べる機会を与えたが、特許権者からは何ら応答がなかった。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
令和4年3月4日付けの訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、
「被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
最上階に設けられ、物品を吊り上げるクレーンと、前記クレーンの移動をガイドするホイストレールと、を有するホイストクレーンと、
各階層ごとに設けられ、前記クレーンとの間で物品を授受するためのスペースである吊り上げ場と、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有し、
前記各階層ごとの吊り上げ場は、その水平位置が前記ホイストレールの方向に順番にズレている、
ことを特徴とする液処理プラント。」
に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~4も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(3)訂正事項3
ア 訂正事項3-1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6が、請求項1から5のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、そのうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「 被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
前記架台の1階において、予め規定された防液エリアを取り囲むように設けられ、前記防液エリアの外部への液体の漏出を防止する防液堤と、
前記架台の二階の梁部材の下側のうち前記防液エリアの外側となる位置に設けられ、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンと、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有する、
ことを特徴とする液処理プラント。」
に訂正する。
イ 訂正事項3-2
特許請求の範囲の請求項6が、請求項1から5のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、そのうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、
「 被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
前記架台の1階において、予め規定された防液エリアを取り囲むように設けられ、前記防液エリアの外部への液体の漏出を防止する防液堤と、
前記架台の二階の梁部材の下側のうち前記防液エリアの外側となる位置に設けられ、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンと、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有し、
二階以上の階層に配される処理設備は、前記梁部材、または、前記梁部材に連結された板材に設置される、
ことを特徴とする液処理プラント。」
と記載し、新たな請求項11とする。
ウ 訂正事項3-3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6が、請求項1から5のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、そのうち、請求項1を引用する請求項3を引用するものについて、独立形式に改め、
「 被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
前記架台の1階において、予め規定された防液エリアを取り囲むように設けられ、前記防液エリアの外部への液体の漏出を防止する防液堤と、
前記架台の二階の梁部材の下側のうち前記防液エリアの外側となる位置に設けられ、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンと、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有し、
前記架台は、前記梁部材の上に設置される網材を備える、
ことを特徴とする液処理プラント。」
と記載し、新たな請求項12とする。
エ 訂正事項3-4
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6が、請求項1から5のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、そのうち、請求項1を引用する請求項4を引用するものについて、独立形式に改め、
「 被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
前記架台の1階において、予め規定された防液エリアを取り囲むように設けられ、前記防液エリアの外部への液体の漏出を防止する防液堤と、
前記架台の二階の梁部材の下側のうち前記防液エリアの外側となる位置に設けられ、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンと、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有し、
前記架台のうち、少なくとも2階以上の階層の外周は、柵で囲まれている、
ことを特徴とする液処理プラント。」
と記載し、新たな請求項13とする。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7を、
「土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台を建設するステップと、
被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備を、前記架台の各階層に分散して据え付けるステップと、
を備え、
前記架台の一つの階層を建設した後、当該一つの階層より上層の階層を建設する前に、当該一つの階層に対応する処理設備を据え付け、
前記架台の複数の階層のうち、1階の階高は、2階の階高よりも大きく、
前記架台の1階には、少なくとも一つのタンクを含む複数の処理設備を配置する、
ことを特徴とする液処理プラントの製造方法。」
に訂正する。(請求項7を引用する請求項9も同様に訂正する。)
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9に「請求項7または8に記載の液処理プラントの製造方法であって、」と記載されているのを、「請求項7に記載の液処理プラントの製造方法であって、」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10を削除する。
2 訂正の適否の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1の発明を特定する事項である「液処理プラント」について、「最上階に設けられ、物品を吊り上げるクレーンと、前記クレーンの移動をガイドするホイストレールと、を有するホイストクレーンと、各階層ごとに設けられ、前記クレーンとの間で物品を授受するためのスペースである吊り上げ場と」を備え、さらに該「吊り上げ場」について、「前記各階層ごとの吊り上げ場は、その水平位置が前記ホイストレールの方向に順番にズレている」ことを限定付加する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項
訂正事項1は、訂正前の請求項5に記載された事項である。よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(3)訂正事項3(訂正事項3-1~訂正事項3-4)
訂正事項3のうち、訂正事項3-1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項6が、請求項1から5のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、そのうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、また、訂正事項3-2~訂正事項3-4は、同様に、そのうち請求項1を引用する請求項2を引用するもの、請求項1を引用する請求項3を引用するもの、請求項1を引用する請求項4を引用するものについて、それぞれ、独立形式に改めて、新たに請求項11、請求項12、請求項13とする訂正であるから、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、上記の訂正内容を踏まえると、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項7に、発明を特定する事項である「架台」について、
「前記架台の複数の階層のうち、1階の階高は、2階の階高よりも大きく、前記架台の1階には、少なくとも一つのタンクを含む複数の処理設備が配置する」ことを限定付加する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項4は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項
訂正事項4のうち、「前記架台の複数の階層のうち、1階の階高は、2階の階高1よりも大きく、」については、訂正前の請求項8に、「前記架台の複数の階層のうち、少なくとも一つの階層の階高は、当該一つの階層より上層階の階高よりも大きい」こと、及び本件明細書の段落【0038】に「本実施形態では、一階の階高を、二階の階高よりも、また、二階の階高を三階の階高よりも大きくしている。」と記載されており、また、「前記架台の1階には、少なくとも一つのタンクを含む複数の処理設備が配置されている、」については、本件明細書の段落【0030】に「比較的大型で、重量のある処理設備12、例えば、多量の液体を貯留するタンクや水槽等は、この梁部材22または土台19に直接設置される。」と、段落【0046】「架台14の一階(土台19)には、」と記載されていることからみて、訂正事項4は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(5)訂正事項5
訂正事項5は、請求項8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(6)訂正事項6
訂正事項6は、訂正前の請求項9が請求項7または8の記載を引用するものであったところ、請求項7のみの記載を引用するものとしていることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(7)訂正事項7
訂正事項7は、請求項10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(8)訂正の単位について
ア 一群の請求項について
訂正前の請求項1~6、10について、請求項2~6、10は、それぞれ請求項1を直接または間接的に引用するものであるから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~6、10に対応する訂正後の請求項1~6、10~12は、一群の請求項である。
また、訂正前の請求項7~9について、請求項8、9は、それぞれ請求項7を直接または間接的に引用するものであるから、訂正事項4によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項7~9に対応する訂正後の請求項7~9は、一群の請求項である。
イ 別の訂正単位とする求めについて
特許権者は、訂正後の請求項6、11、12、13について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
3 訂正請求のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、10〕、6、〔7~9〕、11、12、13について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正請求による訂正は認められるから、本件特許の請求項1ないし13に係る発明(以下「本件発明1」等といい、全体の発明を「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
最上階に設けられ、物品を吊り上げるクレーンと、前記クレーンの移動をガイドするホイストレールと、を有するホイストクレーンと、
各階層ごとに設けられ、前記クレーンとの間で物品を授受するためのスペースである吊り上げ場と、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有し、
前記各階層ごとの吊り上げ場は、その水平位置が前記ホイストレールの方向に順番にズレている、
ことを特徴とする液処理プラント。
【請求項2】
請求項1に記載の液処理プラントであって、
二階以上の階層に配される処理設備は、前記梁部材、または、前記梁部材に連結された板材に設置される、ことを特徴とする液処理プラント。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液処理プラントであって、
前記架台は、前記梁部材の上に設置される網材を備える、ことを特徴とする液処理プラント。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液処理プラントであって、
前記架台のうち、少なくとも2階以上の階層の外周は、柵で囲まれている、ことを特徴とする液処理プラント。
【請求項5】(削除)
【請求項6】
被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
前記架台の1階において、予め規定された防液エリアを取り囲むように設けられ、前記防液エリアの外部への液体の漏出を防止する防液堤と、
前記架台の二階の梁部材の下側のうち前記防液エリアの外側となる位置に設けられ、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンと、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有する、
ことを特徴とする液処理プラント。
【請求項7】
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台を建設するステップと、
被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備を、前記架台の各階層に分散して据え付けるステップと、
を備え、
前記架台の一つの階層を建設した後、当該一つの階層より上層の階層を建設する前に、当該一つの階層に対応する処理設備を据え付け、
前記架台の複数の階層のうち、1階の階高は、2階の階高よりも大きく、
前記架台の1階には、少なくとも一つのタンクを含む複数の処理設備を配置する、
ことを特徴とする液処理プラントの製造方法。
【請求項8】(削除)
【請求項9】
請求項7に記載の液処理プラントの製造方法であって、
前記架台の1階を建設するステップは、予め規定された防液エリアを取り囲んで前記防液エリアの外部への液体の漏出を防止する防液堤の形成ステップを含み、
前記処理設備のうち薬品に関する処理設備である薬品設備は、前記防液堤内に据え付ける、
ことを特徴とする液処理プラントの製造方法。
【請求項10】(削除)
【請求項11】
被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
前記架台の1階において、予め規定された防液エリアを取り囲むように設けられ、前記防液エリアの外部への液体の漏出を防止する防液堤と、
前記架台の二階の梁部材の下側のうち前記防液エリアの外側となる位置に設けられ、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンと、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有し、
二階以上の階層に配される処理設備は、前記梁部材、または、前記梁部材に連結された板材に設置される、
ことを特徴とする液処理プラント。
【請求項12】
被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
前記架台の1階において、予め規定された防液エリアを取り囲むように設けられ、前記防液エリアの外部への液体の漏出を防止する防液堤と、
前記架台の二階の梁部材の下側のうち前記防液エリアの外側となる位置に設けられ、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンと、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有し、
前記架台は、前記梁部材の上に設置される網材を備える、
ことを特徴とする液処理プラント。
【請求項13】
被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備と、
土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台と、
前記架台の1階において、予め規定された防液エリアを取り囲むように設けられ、前記防液エリアの外部への液体の漏出を防止する防液堤と、
前記架台の二階の梁部材の下側のうち前記防液エリアの外側となる位置に設けられ、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンと、
を備え、
前記複数の処理設備は、前記架台の複数の階層に、分散して配置され、
異なる階層に配置された少なくとも二つの前記処理設備は、配管で接続されており、
前記架台の最上階は、屋根がない部分を有し、
前記架台のうち、少なくとも2階以上の階層の外周は、柵で囲まれている、
ことを特徴とする液処理プラント。」
第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正請求に係る訂正後の請求項7及び9に係る特許に対して、当審が令和4年7月5日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
請求項7に係る発明は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基いて、請求項9に係る発明は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7及び9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証:相良紘、入門化学プラント設計 基本設計の進め方と実際、
株式会社培風館、2000年2月10日、表紙、目次、
50-53頁、裏表紙
甲第2号証:特開2000-160162号公報
甲第3号証:特開2007-107785号公報
甲第5号証:化学プラント建設便覧、玉置明善編、丸善株式会社、
昭和55年11月30日、表紙、目次、174-177頁、
512-519頁、裏表紙
第5 当審の判断
1 証拠の記載
(1)甲第1号証
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。以下、同様。)
ア 「入門化学プラント設計 基本設計の進め方と実際」(表紙)
イ 「3・6 プロットプラン
プロットプランとは,プラント全体を構成する各プロセスユニットのレイアウト,あるいは各プロセスユニットの中の装置個々のレイアウトを意味しており,いわゆる設備や装置の配置図である。」(50頁下から7~4行)
ウ 「プロットプランは平面配置図と立面配置図からなり,配置計画の良否はポンプの動力消費,プラントサイトの面積,メインテナンスの頻度などと密接に関係する(図3・7:図3・6に示すプロセスフローダイアグラムに対するプロットプラン)。サイトの面積を狭くすれば,土地代,基礎工事費,配管工事費の削減に寄与するが,狭い場所にプラントを建設するとなると,装置を重層化しなければならず,大きな鉄骨架構を必要とし,またメインテナンスも複雑になる。・・・合理的なレイアウトは運転の操作性を高め,たとえば,プロセス流体の系統的な流れに沿って配管をレイアウトすれば,操作が容易になるばかりではなく,定期的な点検作業も楽になる。作業性(すなわちアクセスエリア)を十分に確保することは,機器や機材の搬入を容易にして建設期間の短縮と建設費の削減につながる一方,熱交換器や加熱炉などのメインテナンスを支障なく行うこともできる。」(51頁下から5行~53頁11行)
エ 図3・6、図3・7は以下のとおり。
図3・6
[図:0001396254000001.jpg]
図3・7
[図:0001396254000002.jpg]
オ 上記エの図3・7をみると、特に立面図(“A”-“A”)から、一階の階高は、二階の階高よりも大きいことが看取できる。
カ 上記アの「化学プラント設計」との記載、上記ウの「装置を重層化しなければならず,大きな鉄骨架構を必要とし」との記載を踏まえて、上記エの図3・6及び図3・7をみると、「化学プラント」は「タンクやポンプ等の複数の設備」と「鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する鉄骨架構」を「備えている」こと、「複数の設備は、鉄骨架構の複数の階層に、分散して配置され」ていること、「異なる階層に配置された少なくとも二つの設備は、配管で接続されている」こと、「二階以上の階層に配される処理設備は、梁部材に設置される」こと、「鉄骨架構の最上階は、屋根がない」ことを看取することができる。
キ 上記ウの「サイトの面積を狭くすれば,・・・基礎工事費・・・の削減に寄与する」との記載、及び上記カを踏まえて、上記エの図3・6及び図3・7をみると、鉄骨架構は土台を備えていることが看取でき、そして、上記カの柱部材は、土台から鉛直方向に延びていることは自明である。
ク 上記アないしキからみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。
「タンクやポンプ等の複数の設備と、
土台と、土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する鉄骨架構と、
を備え、
複数の設備は、鉄骨架構の複数の階層に、分散して配置され
異なる階層に配置された少なくとも二つの設備は、配管で接続されており、
二階以上の階層に配される複数の設備は、梁部材に設置されており、
鉄骨架構の最上階は、屋根がなく、
一階の階高は、二階の階高よりも大きい、
化学プラント。」
(2)甲第2号証
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤掘削時に用いられる安定液の製造プラントに関する。」
イ 「【0008】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するため、本発明は、フレーム枠内の下階部分に密閉型の攪拌槽及び清水槽を配置し、上階部分に安定液を構成する各粉体材料を収納した複数の貯留槽を配置し、各貯留槽の下部を粉体輸送手段及び混合手段を介して前記攪拌槽の上部に接続したことを特徴とする。
【0009】従って、本発明では、安定液製造に必要な全装置をフレーム枠内の一カ所にパッケージしてあるため、コンパクトであり、また閉じられた系で備蓄されている材料の投入から混合分散までを行えるため、製造時における粉体材料の移送や投入に人手を要することがなく、作業を省力化でき、また粉塵の発生による問題がない。」
ウ 「【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】図1は本発明に係る安定液製造プラントの正面図、図2(a)~(c)は同プラントの側面図、並びに下階である1階の平面図、及び上階である2階の平面図である。
【0016】同図において、製造プラント1は、全自動のバッチ式プラントであって、平面視で長方形状に枠組みされたフレーム枠2で囲われた内部に安定液製造のために必要な全装置を一括してパッケージした構造となっている。フレーム枠2は、例えば二階建構造であり、その屋上部周囲は養生用のハンドレール3で囲われ、梯子4などにより各階が行き来可能に連絡されている。
【0017】製造プラント1の内部において、各装置は、以下に述べる装置及び配置となっている。まず、フレーム枠2内の下階部分である一階部分では、中央に配置された密閉式攪拌槽5と、攪拌槽5を挟む一方側(図中で左側)に配置され、外部からの給水を受けて水を蓄える清水槽6と、攪拌槽5の他方側(図中で右側)に配置され、プラント1の自動運転用シーケンサ及びマイクロコンピュータ、タッチパネルディスプレイなどを装備した制御盤7、端子板8などの運転制御用機器、及び切替弁動力源としてのコンプレッサ9を備えている。
【0018】また、フレーム枠2内の上階部分である二階部分では、その一方に配置されたホッパー状のベントナイト貯留槽10と、他方に並列して配置された同じくホッパー状の高分子(CMC)の貯留槽11及び分散剤貯留槽12と、各貯留槽10~12の下部吐出口に供給口を接続した状態で水平配置された粉体移送用の三つのスクリューコンベア14,15,16を備えている。なお、各貯留槽10,11、12の頂部は図示しない粉体輸送管に接続され、残量が少なくなった場合には、順次輸送管を通じて材料が供給されるようになっている。
【0019】これら各貯留槽10~12及び前記攪拌槽5は、フレーム枠2内において荷重検出手段としてのロードセル17を介して懸吊支持され、このロードセル17は後述するプラント運転時における制御のための荷重センサとして機能している。すなわち、各貯留槽10~12内の材料の攪拌槽5への供給量は、ロードセル17により稼働初期重量からの減量分として検出される。また、攪拌槽5内の材料及び清水の添加量は同じくロードセルにより稼働初期重量からの増量分として検出される。
【0020】各スクリューコンベア14~16の吐出口は、それぞれ攪拌槽5の上面に配置された攪拌混合用の三つのジェット管18に連通している。各ジェット管18は、清水槽6に接続したポンプ20からの圧力水をノズルより噴出するジェット水流によって、スクリューコンベア14~16から供給される材料粉体を攪拌槽5内にジェット噴射するものであって、図3または図4に示す形状構造となっている。
【0021】図3に示すジェット管18は、CMC用のジェット管であって、スクリューコンベア14~16の吐出口に連結される環状フランジ18aを周囲に形成した円筒形の粉体投入管18bと、投入管18bの下部一側部にあって、これと所要角度をなして一体に形成され、かつ矩形状フランジ18cを周囲に形成した矩形状断面開口のジェット水流の吸入管18dと、投入管18bの他側部側にあって、前記吸入管18dと同軸上に一体化され、これより断面形の大きな矩形状断面開口の吐出管18eとからなるものであり、このうち前記投入管18bはアクリル樹脂などの透明体から構成され、その内部を流動する粉体を外方から目視観察できるようにしている。
【0022】一方、図4に示すジェット管18は、ベントナイト用のジェット管であって、矩形状断面開口の吐出管18eの天井部が先端に向かって先細りとなるように傾斜してから吸入管18dと平行に延びるノズル部18fを有する点がCMC用のジェット管と異なっているが、その他の点はCMC用のジェット管と同じ構成となっている。
【0023】従って、投入管18b内に供給される粉体材料(ベントナイト、高分子材料、分散剤)は、吸入管18dを通じて噴出するジェット水流に攪乱されつつ混合されて直ちに均一に分散され、この状態で吐出管18eを通じて攪拌槽5内に投入されることになり、二次凝集塊を形成することなく攪拌槽5に投入され、攪拌槽5内でさらに混合されることになる。
【0024】なお、投入された各材料の攪拌槽5内での攪拌は、清水供給時において前記と同様にジェット水流の攪拌作用によって攪拌されるほか、全量供給後は、図1,2に示すように、攪拌槽5の側部に配置されたスラリーポンプ21の駆動による循環攪拌作用によっておこなわれる。このポンプ21は、後述する弁切替により一バッチ分の運転を終えた時点で製品の移送用ポンプとして作用し、配管系を通じてプラント1外に配置された図示しない安定液貯留タンクに移送される。」
エ 「【0041】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発明による安定液製造プラントにあっては、安定液製造に必要な全装置をフレーム枠内の一カ所にパッケージしてあるため、コンパクトであり、また閉じられた系で材料の投入から混合分散までを行えるため、製造時における粉体材料の移送や投入に人手を要することがなく、作業を省力化でき、粉塵の発生による問題がない。
【0042】さらには、シーケンサなどの制御機構を導入することにより、材料投入から、混合分散及び安定液貯留槽の移送までを全自動で行える利点がある。」
オ 「【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る安定液製造プラントの正面図である。
【図2】(a)は同プラントの側面図、(b),(c)は同プラントの1,2階部分の平面図である。」
カ 図1及び図2は以下のとおり。
【図1】
[図:0001396254000003.jpg]
【図2】
[図:0001396254000004.jpg]
図1及び図2から、平面視で長方形状に枠組みされたフレーム枠2は、鉛直方向に延びる複数の柱部材、水平方向に延びる複数の梁部材とで構成されていること、二階部分に備えられた、ベントナイト貯留槽10と、ホッパー状の高分子(CMC)の貯留槽11及び分散剤貯留槽12と、三つのスクリューコンベア14,15,16は、梁部材に設置されること、屋上部には屋根がないことが看取できる。
キ 通常、構造物の1階のフロアには、コンクリート等で形成した土台が配置されており、柱部材は該土台から延びることは、当業者に自明な事項である。
この点を踏まえると、上記アないしカからみて、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認める。
「平面視で長方形状に枠組みされたフレーム枠2で囲われた内部に安定液製造のために必要な全装置を一括してパッケージした構造となっている、地盤掘削時に用いられる安定液の製造プラント1であって、
フレーム枠2は、土台と、土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材、水平方向に延びる複数の梁部材とで構成された二階建構造であり、その屋上部周囲は養生用のハンドレール3で囲われ、梯子4などにより各階が行き来可能に連絡されており、
製造プラント1の内部において、フレーム枠2内の下階部分である一階部分では、中央に配置された密閉式攪拌槽5と、攪拌槽5を挟む一方側に配置され、外部からの給水を受けて水を蓄える清水槽6と、攪拌槽5の他方側に配置され、プラント1の自動運転用シーケンサ及びマイクロコンピュータ、タッチパネルディスプレイなどを装備した制御盤7、端子板8などの運転制御用機器、及び切替弁動力源としてのコンプレッサ9を備えており、
また、フレーム枠2内の上階部分である二階部分では、その一方に配置されたホッパー状のベントナイト貯留槽10と、他方に並列して配置された同じくホッパー状の高分子(CMC)の貯留槽11及び分散剤貯留槽12と、各貯留槽10~12の下部吐出口に供給口を接続した状態で水平配置された粉体移送用の三つのスクリューコンベア14,15,16を備え、各貯留槽10,11、12の頂部は粉体輸送管に接続され、残量が少なくなった場合には、順次輸送管を通じて材料が供給されるようになっており、ベントナイト貯留槽10と、ホッパー状の高分子(CMC)の貯留槽11及び分散剤貯留槽12と、三つのスクリューコンベア14,15,16は、梁部材に設置され、
屋上部では屋根を備えておらず、
各スクリューコンベア14~16の吐出口は、それぞれ攪拌槽5の上面に配置された攪拌混合用の三つのジェット管18に連通し、各ジェット管18は、清水槽6に接続したポンプ20からの圧力水をノズルより噴出するジェット水流によって、スクリューコンベア14~16から供給される材料粉体を攪拌槽5内にジェット噴射するものであり、
投入管18b内に供給される粉体材料(ベントナイト、高分子材料、分散剤)は、吸入管18dを通じて噴出するジェット水流に攪乱されつつ混合されて直ちに均一に分散され、この状態で吐出管18eを通じて攪拌槽5内に投入されることになり、二次凝集塊を形成することなく攪拌槽5に投入され、攪拌槽5内でさらに混合されることになる、
安定液の製造プラント1。」
(3)甲第3号証
甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明はボイラ設備の据付工法に係り、特に鉄骨建屋内に配置される各種機器類およびそれに付属する付属部材類の据付における作業能率、安全性の向上を図るのに好適な据付工法に関する。」
イ 「【背景技術】
【0002】
第19図は、発電用の一般的なボイラ設備の概略構成図である。
ボイラ本体1は周囲及び上部を鉄骨2で構成されたボイラ建屋3内に配置され、ボイラ建屋3の上部を横切るトップガーダ4より、スリングボルトを介して吊下げられている。
【0003】
ボイラ本体1への燃焼用2次空気は、押込ファン、空気予熱器5、ウインドボックス6などを経てバーナ上部の火炉燃焼室へと導かれる。また、石炭燃料運搬用空気は、前記空気予熱器5から一次空気ダクト7を経てミル8へ導かれる。
【0004】
燃料となる石炭はバンカ9に貯留されており、給炭機10で計量されながらミル8に供給されて、所定の粒径に粉砕される。ミル8で生成されて微粉炭は、前記石炭燃料運搬用空気とともにフューエルパイプを通って、ウインドボックス6内に設置されたバーナに供給され、火炉燃焼室で燃焼される。
【0005】
火炉燃焼室で燃焼して生成した高温の燃焼ガスは、ボイラ本体1の煙道内に設置されている2次過熱器11,3次過熱器12,再熱器13,1次過熱器14,節炭器15などの内部を流通する内部流体と熱交換される。熱交換された燃焼ガスは、節炭器出口ガスダクト16,脱硝装置,空気予熱器5,空気予熱器出口ガスダクト17を通って、ボイラ建屋3外の機器へ導かれる。
【0006】
一方、ボイラ本体1への給水はボイラ建屋3外の複水器から主給水管を通って節炭器15を始めとする前記各種熱交換器へ導かれ、熱交換により高温、高圧の蒸気となり、主蒸管を通ってボイラ建屋3外の高圧タービンへ導かれる。
【0007】
中圧タービンからの蒸気は低温再熱蒸気管を介して再熱器13へと導かれ再熱された蒸気は高温再熱蒸気管を通ってボイラ建屋3外の低圧タービンへ導かれる。
【0008】
図20~図29は、従来のボイラ設備の据付け工法を説明するための概略構成図である。これらの図において図21、図23、図25、図27、図29は図20、図22、図2、図26、図28のそれぞれのA-A視図である。
【0009】
まず図20ならびに図22に示すように、所定本数の1節鉄骨柱21を建て、その1節鉄骨柱21間に第1床梁、床22と第2床梁、床23を設置する。次に図22ならびに図23に示すように、前記1節鉄骨柱21の上に2節鉄骨柱24を建て、その2節鉄骨柱24間に第3床梁、床25と第4床梁、床26を設置する。次に図24ならびに図25に示すように、2節鉄骨柱24の上に3節鉄骨柱27を建て、その3節鉄骨柱27間に第5床梁、床28と第6床梁、床29を設置する。次に図26ならびに図27に示すように、3節鉄骨柱27の上に4節鉄骨柱30を建て、その4節鉄骨柱30間に第7床梁、床31と第8床梁、床32とトップガーダ33を設置してボイラ建屋34の建設を終了する。
【0010】
しかる後、図28ならびに図29に示すように、前記トップガーダ33を使用してボイラ建屋34の上側からボイラ本体35を吊り下げる。また、ダクト36、バンカ37、給炭機38、フューエルパイプ39、スートブロワ40、各種配管、ケーブルトレイ41、手摺、電気盤などをクレーン、仮設モノレール、チェンブロックなどを使って、ボイラ建屋34の側面より搬入し、位置設定し溶接固定して、ボイラ設備の据付けを終了する。
【0011】
従来のボイラ設備の据付け工法では、鉄骨の製作からそれを現地で据付けてボイラ建屋を建設するまでの一貫作業を鉄骨製作メーカが行なっていた。そしてボイラ建屋内に設置するダクト、バンカ、給炭機、フューエルパイプ、スートブロワ、各種配管、ケーブルトレイ、手摺、電気盤などは、ボイラ建屋が完成してから搬入して据付けていた。」
ウ 「【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように従来のボイラ設備の据付け工法は、ボイラ建屋が完成してからダクト、バンカ、給炭機、フューエルパイプ、スートブロワ、各種配管、ケーブルトレイ、手摺、電気盤などの各種機器類およびそれに付属する付属部材類を据付けていた。
【0014】
そのためダクト、配管などは組立てられたボイラ建屋内に搬入し易くするため、比較的小さいピースに細分化したダクトパネル、配管ピースとして、クレーン、仮設モノレール、チェンブロックなどを使ってボイラ建屋の側面より搬入していた。
【0015】
そのためボイラ建屋建設後に各種機器類や付属部材類の搬入作業、設置作業などが集中すること、ダクトや配管等の作業が全て高所作業となり作業能率が低下すること、限られた空間での作業のため作業が制限され工程が長くなること、高所での危険作業時間が多く、建設コストが高く、事故の確立が高くなるなどの問題があった。
【0016】
また、複数の部材を組み合わせてユニット化し、それをクレーンで設定場所の上部に吊り上げてから降ろして設置する場合、既に設置済みの梁や柱などが邪魔になるため、ユニットの搬入、設置が困難であるなどの問題があった。
【0017】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、作業能率の良好なボイラ設備の据付け工法を提供することにある。」
エ 「【発明の効果】
【0029】
本発明は前述のようにボイラ建屋を建設しながら、その建設中のボイラ建屋内へ各種機器類や付属部材類を搬入して設置するため、ボイラ建屋の柱や梁が邪魔になることが少なく、そのために各種機器類や付属部材類の搬入、設置が容易である。また、ボイラ建屋の建設と各種機器類や付属部材類の搬入、設置が並行に行なわれる。このようなことから、作業能率の向上が図れる。」
オ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に本発明の実施形態を図と共に説明する。図1~図10は、実施形態に係るボイラ設備の据付け工法を説明するための概略構成図である。これらの図において図2、図4、図6、図8、図10は図1、図3、図5、図7、図9のそれぞれのA-A視図である。また図11~図18は、そのボイラ設備の据付け時の状態を示す斜視図である。
【0031】
まず図1ならびに図2に示すように、所定本数の1節鉄骨柱21を建てながら、その1節鉄骨柱21間に第1フロワユニット45を設置する。図11は、クレーン46を使って1節鉄骨柱21を建てている状態を示している。
【0032】
鉄骨は柱と梁で構成され、各接合部は例えばL形などの金具とボルトで連結されている。柱は、上下に複数分割されたものを現地で組立てて使用する。床は、鉄骨の梁の上に設置され、床梁、グレーチング又はチェッカプレートなどで構成され、各々は溶接接続されている。
【0033】
フロワユニットは、少なくとも床の梁ならびに床を有し、予めクレーンの吊り制限荷重内に組立てて構成したものである。このフロワユニットは、前記鉄骨の梁や柱との取り合いを簡便にするため、取合い部に取合い金具が装備されており、この取合い金具を介してフロワユニットを各節の鉄骨柱間に設置される。
【0034】
前記第1フロワユニット45上には、ダクトブロック47、フューエルブロック48、ケーブルトレイ49、ミルなどが搬入されて、設置される。ダクトブロック47、フューエルブロック48、ケーブルトレイ49は第1フロワユニット45と別に搬入してもよいし、一緒に搬入してもよい。例えばフロワユニット45とダクトブロック47を一体にして搬入したり、フロワユニット45とフューエルブロック48を一体にして搬入すると作業効率が良い。
【0035】
ダクトブロック47やフューエルブロック48などの機器のブロック化ならびにそれらとフロワユニット45との一体化は、据付け現場の近くあるいは工場で行なわれる。
【0036】
矩形ダクトはケーシングがボックス状に形成され、ダクト内部にサポートを有し、外部には保温材と外装板が施され、途中にダンパやエキスパンションジョイントが取付けられる。丸ダクトはケーシングが円筒形に形成され、外部に保温材と外装板が施され、途中にエキスパンションジョイントが取付けられる。
【0037】
前記ダクトブロック47は、少なくともダクトケーシングパネル、内部サポート、ダンパを有し、予めクレーンの吊り制限荷重内で組立ててブロック状に構成されている。
【0038】
フューエルパイプは、直管とベント管と連結金具とこれらを鉄骨に支持するためのサポート部材で構成される。前記フューエルブロック48は、少なくともフューエルパイプとその支持装置(サポート部材)を有し、クレーンの吊り制限荷重内で組立ててブロック状に構成されている。
【0039】
第1フロワユニット45の上方に第2フロワユニット50が設置され、ダクトブロック47や給炭機51の搬入、取り付けが行われる。図12は、複数台のクレーン46を使用してダクトブロック47や給炭機51を設置している状態を示している。
【0040】
次に図3ならびに図4に示すように、2節鉄骨柱24を建て、その2節鉄骨柱24間に第3フロワユニット52と第4フロワユニット53を設置するとともに、バンカコーンブロック57、配管55ならびにスートブロワ56などを搬入して設置する。
【0041】
バンカブロック54(バンカコーンブロック57ならびに後述のバンカシリンダブロック60)は、バンカの構成部品をクレーンの吊り制限荷重内でリング状に組立てたものである。
【0042】
前記配管55は、工場から現地までの輸送制限内の大きさ(長さ)に製作された長尺状のものである。
【0043】
図13は、複数台のクレーン46を使用してバンカコーンブロック57を設置している状態を示している。ボイラ本体34を吊り下げるまで、ボイラ建屋34は平面形状がコの字形に建設されるから、同図に示されているようにその建設中のボイラ建屋34の内側にクレーン46を入れて、バンカコーンブロック57などの各種機器を搬入することができる。
【0044】
次に図5ならびに図6に示すように、3節鉄骨柱27を建て、その3節鉄骨柱27間に第5フロワユニット58を設置するとともに、配管55ならびにスートブロワ56などを搬入して設置する。
【0045】
そして第5フロワユニット58の上方に第6フロワユニット59を設置するとともに、配管スキッド60ならびにバンカシリンダブロック60などを搬入して設置する。前記配管スキッド60は、少なくとも配管と弁を一体に連結したものである。
【0046】
図14は、クレーン46を使用してバンカシリンダブロック60を設置している状態を示しており、他の場所ではクレーン46を使用して第5フロワユニット58を設置している。
【0047】
次に図7ならびに図8に示すように、4節鉄骨柱30を建てて、配管55などを搬入して設置した後、その4節鉄骨柱30間に第7フロワユニット61ならびに第8フロワユニット62を設置するとともに、トップガーダ33などを搬入して設置する。
【0048】
図15は、クレーン46を使用して第8フロワユニット62の床梁を架設するとともに、他のクレーン46で配管55を設置している状態を示している。図16はクレーン46を使用してトップガーダ33を設置している状態を、図17はトップガーダ33付近の天井梁63を設置している状態を、それぞれ示している。このようにしてボイラ建屋34のほとんどの建設が終了するとともに、ボイラ建屋34へのほとんどの機器の搬入、設置が終了する。
【0049】
次に図9ならびに図10に示すように、ボイラ建屋34の後面開口部64からボイラ本体35を入れ(図10参照)、ボイラ本体35をジャッキによって所定の高さまでジャッキアップして、スリングボルトを介してトップガーダ33で吊り下げる。ボイラ建屋34の建設と並行して搬入できなかった他の機器類や付属部材などは、ボイラ建屋34の建設が終了した後に搬入、設置することができる。
【0050】
図18は、ボイラ本体35(図示せず)を設置した後に、空気予熱器出口ダクト17、空気予熱器5ならびに節炭器出口ダクト16などを設置する状態を示している。このようにしてボイラ設備の据付けを終了する。
【0051】
前記実施形態では、ミル8やバンカ9などをボイラ建屋34の前面側に設置する例を示したが、これらをボイラ建屋34の側面側に設置することもできる。
【0052】
前記実施形態によれば、ボイラ建屋内に設置される各種機器類や付属部材類の多くを高所でなく、地上付近で組立てでき、鉄骨と同様にクレーンで直接組立てができるため、作業の安全性の向上が図れ、ボイラ建設期間中の作業量の平準化、作業能率の向上から建設コストの低減が図れる。」
カ 図9及び図18は以下のとおり。
【図9】
[図:0001396254000005.jpg]
【図18】
[図:0001396254000006.jpg]
図9及び図18をみると、複数の設備は、複数の階層に、分散して配置され、異なる階層の配置された少なくとも二つの設備は、配管で接続されていること、及び最上階は、屋根のない部分を有することが看取できる。
キ 上記アないしカからみて、甲第3号証には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認める。
「ボイラ設備の据付け工法であって、
まず、所定本数の1節鉄骨柱21を建てながら、その1節鉄骨柱21間に第1フロワユニット45を設置するものであって、
鉄骨は柱と梁で構成され、各接合部は例えばL形などの金具とボルトで連結され、床は、鉄骨の梁の上に設置され、床梁、グレーチング又はチェッカプレートなどで構成され、各々は溶接接続されており、
フロワユニットは、少なくとも床の梁ならびに床を有し、前記鉄骨の梁や柱との取り合いを簡便にするため、取合い部に取合い金具が装備されており、この取合い金具を介してフロワユニットを各節の鉄骨柱間に設置されており、
前記第1フロワユニット45上には、ダクトブロック47、フューエルブロック48、ケーブルトレイ49、ミルなどが搬入されて、設置され、
第1フロワユニット45の上方に第2フロワユニット50が設置され、ダクトブロック47や給炭機51の搬入、取り付けが行われ、
次に、2節鉄骨柱24を建て、その2節鉄骨柱24間に第3フロワユニット52と第4フロワユニット53を設置するとともに、バンカコーンブロック57、配管55ならびにスートブロワ56などを搬入して設置し、
次に、3節鉄骨柱27を建て、その3節鉄骨柱27間に第5フロワユニット58を設置するとともに、配管55ならびにスートブロワ56などを搬入して設置し、
そして第5フロワユニット58の上方に第6フロワユニット59を設置するとともに、配管スキッド60ならびにバンカシリンダブロック60などを搬入して設置し、
次に、4節鉄骨柱30を建てて、配管55などを搬入して設置した後、その4節鉄骨柱30間に第7フロワユニット61ならびに第8フロワユニット62を設置するとともに、トップガーダ33などを搬入して設置し、
このようにしてボイラ建屋34のほとんどの建設が終了するとともに、ボイラ建屋34へのほとんどの機器の搬入、設置が終了し、
次に、ボイラ建屋34の後面開口部64からボイラ本体35を入れ、ボイラ本体35をジャッキによって所定の高さまでジャッキアップして、スリングボルトを介してトップガーダ33で吊り下げる。ボイラ建屋34の建設と並行して搬入できなかった他の機器類や付属部材などは、ボイラ建屋34の建設が終了した後に搬入、設置することができ、
ボイラ本体35を設置した後に、空気予熱器出口ダクト17、空気予熱器5ならびに節炭器出口ダクト16などを設置して、ボイラ設備の据付けを終了するものであって、
複数の設備は、複数の階層に、分散して配置され、異なる階層の配置された少なくとも二つの設備は、配管で接続されており、
最上階は、屋根のない部分を有する、
ボイラ設備の据付け工法。」
(4)甲第5号証
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「化学プラント建設便覧」(表紙)
イ 「8・3 プラント敷地内機器のレイアウト
8・3・1 機器類レイアウトの考え方
・・・
1) 建設時の作業性・安全性をよくするための考慮,たとえば建設用移動クレーン,ホイストおよびプラント機器の運搬・据付・組立などのために作業空間を持つようにする。
・・・
8・3・2 機器類レイアウト決定の要点
a.基本形態の選択 ・・・
・・・
b.機器レイアウトの決定 ・・・
(i)プラント内一般:1)・・・,6)ポンプ・熱交換器・塔・槽などの床回りは,運転中および分解補修時に油などの危険物が流出するおそれがあるので舗装し,高さ15cm以上のトーウォール(toe wall)で囲まなければならない(危険物の規制に関する政令第9条12号).・・・
(iv)ポンプ及び圧縮機:1)・・・.3)圧縮機は・・・天井には走行クレーンやホイスト付きモノレールを備える.4)・・・
(vi)鉄架構および配管架台:1)・・・また鉄架構の昇降階段またははしごは,最少2カ所設置して緊急時に備える.2)・・・。」(174頁7行~177頁15行)
ウ 513頁の「表14・14 床構造の長所および短所」には、「構造別」に「鉄筋コンクリート床」、「しま鋼板床」、「グレーティング床」及び「エキスパンドメタル床」が示されている。
2 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
(1)本件発明7について
ア 対比
本件発明7と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「土台と、土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する鉄骨架構」は、本件発明7の「土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台」に相当する。
(イ)甲1発明の「化学プラント」は、「タンクやポンプ等の複数の設備」を備えることから、本件発明7の「液処理プラント」に相当し、甲1発明の「タンクやポンプ等の複数の設備」であって、「複数の設備は、鉄骨架構の複数の階層に、分散して配置され」ていることは、本件発明7の「被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備を、前記架台の各階層に分散して据え付ける」ことに相当する。
(ウ)甲1発明の「一階の階高は、二階の階高よりも大きい」ことは、本件発明7の「前記架台の複数の階層のうち、1階の階高は、2階の階高よりも大き」いことに相当する。
(エ)甲1発明の「複数の設備は、鉄骨架構の複数の階層に、分散して配置され」ていることと、本件発明7の「前記架台の1階には、少なくとも一つのタンクを含む複数の処理設備を配置する」こととは、「前記架台の1階には、複数の処理設備を配置する」ことで共通する。
(オ)甲1発明は、「複数の設備」や「二階以上の階層を構成する鉄骨架構」を備え、各設備と鉄骨架構の各階層との関係を特定した「化学プラント」である以上、該「化学プラント」となるには、各設備を鉄骨架構の各階層に配置又は設置する工程を備えることは自明であるから、甲1発明は、「化学プラント」の発明である上に、さらに「化学プラントの製造方法」の発明でもあるといえる。
(カ)以上のことから、本件発明7と甲1発明とは、
「土台と、前記土台から鉛直方向に延びる複数の柱部材と、水平方向に延びる複数の梁部材と、で二階以上の階層を構成する架台を建設するステップと、
被処理液に対して規定の処理を施すための複数の処理設備を、前記架台の複数の階層に分散して据え付けるステップと、
を備え、
前記架台の複数の階層のうち、1階の階高は、2階の階高よりも大きく、
前記架台の1階には、複数の処理設備を配置する、
液処理プラントの製造方法。」で一致するものの、以下の点で相違している。
(相違点1)液処理プラントに関し、本件発明7は、前記架台の一つの階層を建設した後、当該一つの階層より上層の階層を建設する前に、当該一つの階層に対応する処理設備を据え付けるのに対し、甲1発明は、処理設備を据え付ける順番の特定がない点。
(相違点2)架台の1階の処理設備について、本件発明7は、少なくとも一つのタンクを含むのに対し、甲1発明は、タンクを含むかどうか不明な点。
イ 判断
上記相違点1、2について検討する。
(ア)相違点1
甲第3号証に記載された甲3発明は、概略、1節鉄骨柱21を建てながら、その1節鉄骨柱21間に第1フロアユニット45を設置し、第1フロアユニット45の上方に第2フロアユニット50が設置され、次に2節鉄骨柱24を建て、その2節鉄骨柱24間に第3フロアユニット52と第4フロアユニット56を設置し、同様に、第3節鉄骨柱27を建てて第5フロアユニット58と第6フロアユニット59を設置するものであって、つまりは、甲3発明は、一つの階層を建設した後、当該一つの階より上層の階層を建設する前に、当該一つの階層に対応する設備を据え付ける構成を備えている。
よって、甲1発明の化学プラントの製造方法を行う際に、甲3発明の上記構成を適用することにより、上記相違点1に係る本件発明7の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(イ)相違点2
液処理プラントにおいて、各設備の配置は、製造工程や重量バランス等を勘案して当業者が適宜選択し得ることであるところ、甲1発明においても、必要に応じて1階にタンクを備えることは、当業者が適宜なし得たことである。
特に、タンクは、他の設備に比して、体積や重量が大きい場合が多く、製造工程に影響がない範囲で1階に配置することは、当業者が必然的に考慮する事項である。
なお、甲第2号証に記載される甲2発明は、1階に攪拌槽5や清水槽6を設けている。
(ウ)以上のとおりであるから、本件発明7は、甲1発明、甲2発明及び甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明9について
甲第5号証には、プラント内の機器レイアウトの決定に関し、「ポンプ・熱交換器・塔・槽などの床回りは,運転中および分解補修時に油などの危険物が流出するおそれがあるので舗装し,高さ15cm以上のトーウォール(toe wall)で囲まなければならない(危険物の規制に関する政令第9条12号)」ことが記載されている。
甲1発明についても、上記政令に従って、トーウォールを設けるべきであるから、甲1発明の1階において、運転中および分解補修時に油などの危険物が流出するおそれのある部分を高さ15cm以上のトーウォールで取り囲むように形成するステップを含むものとすることは、当業者が当然になすべきことである。
したがって、本件発明9は、甲1発明、甲2発明、甲3発明及び甲第5号証に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、概略、本件訂正請求前の本件特許の請求項1ないし10に係る発明について、上記甲第1号証ないし甲第3号証、甲第5号証に加えて、甲第4号証(「配管便覧」、株式会社化学工業社、昭和48年9月25日、536,537,540頁)を提示して、新規性または進歩性がない旨の主張を行っており、そのうち、特に、請求項5に記載の構成について、化学プラントにおいてホイストクレーンを設けることは、甲第5号証に開示されるように周知技術であって、該クレーンを最上階に設けることは設計事項であり、各階層ごとに吊り上げ場を設け、該吊り上げ場をホイストレールの方向に順番にズラして設置することは当業者が容易に想到することである旨、請求項6に記載の構成について、架台の1階において、防液エリアを取り囲むように防液堤を設けることは、甲第5号証に記載され、二階における下側の前記防液エリアの外側となる位置に、上側からの滴下した液体を一時貯留するドレンパンを備えることは、当業者が容易に想到することである旨、を要点とするものである。
しかしながら、上記の要点の主張のうち、各階層ごとに設けた吊り上げ場をホイストレールの方向に順番にズラして設置すること、及び二階における下側の前記防液エリアの外側となる位置に、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンを備えることは、申立人が提示した文献には記載されておらず、示唆する記載もないことから、当業者が容易に想到し得るとは認められない。
さらに、上記の各階層ごとに設けた吊り上げ場をホイストレールの方向に順番にズラして設置すること、及び二階における下側の前記防液エリアの外側となる位置に、上側から滴下した液体を一時貯留するドレンパンを備えることについて、周知技術または公知技術であると認める証拠は他に見当たらない。
以上のことから、申立人の主張する特許異議申立て理由によって、本件訂正請求前の請求項5に記載の構成を発明特定事項とする本件発明1~4に係る特許、及び本件訂正請求前の請求項6に記載の構成を発明特定事項とする本件発明6、11~13に係る特許を取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明7は、甲1発明、甲2発明及び甲3発明に基いて、本件発明9は、甲1発明、甲2発明、甲3発明及び甲第5号証に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
本件発明1~4、6、11~13については、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由又は特許異議申立書に記載された特許異議申立て理由によって、その特許を取り消すことはできない。さらに、他にその特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件発明5、8、10に係る特許は、上記のとおり訂正により削除されたので、その特許に対する特許異議の申立ては、対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700862