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特許異議申立

2024-701037

燃焼システム及び燃焼方法

審判番号
2024-701037
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-139342
登録番号
7477198
請求日
2024年10月21日
審決日
2026年06月10日
公報発行日
2026年09月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社プランテック
  • 【権利者代理人】山城 正機
  • 【異議申立人】立和名 由紀子
審判長/審判官
  • 審判長 大山 健
  • 審判官 槙原 進
  • 審判官 鈴木 充
分類
P1651.161-YAA(F23G) / P1651.121-YAA(F23G) / P1651.851-YAA(F23G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条の2、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7477198号発明「燃焼システム及び燃焼方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7477198号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、5について訂正することを認める。 特許第7477198号の請求項1、2及び5に係る特許を維持する。 特許第7477198号の請求項3及び4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7477198号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和4年9月1日に出願され、令和6年4月22日にその特許権の設定登録がされ、令和6年5月1日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年10月21日 : 特許異議申立人 立和名 由紀子(以下「申立人」という。)による請求項1~5に係る特許に対する特許異議の申立て 令和7年 2月13日付け: 取消理由通知 同年 4月16日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 6月 4日 : 特許権者による手続補正書(方式)の提出 同年 7月17日 : 申立人による意見書の提出 同年10月 1日付け: 取消理由通知(決定の予告) 同年12月 4日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 なお、申立人に対し令和7年12月15日付けで特許法第120条の5第5項の規定による訂正請求があった旨の通知をし、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からは何らの応答がなかった。 また、令和7年4月16日に特許権者がした訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和7年12月4日に提出された訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求は、本件特許の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、以下の訂正事項1~4のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すために付したものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段と、を備える燃焼システム。」と記載されているのを「前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段と、前記水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置とを備え、前記再循環ガスに混合する前記酸素として、前記水電気分解装置における電気分解によって発生させた酸素を用いるとともに、前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、前記燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とをさらに備える、燃焼システム。」に訂正する。(請求項1を引用する請求項2も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「前記水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップと、を備える燃焼方法。」と記載されているのを「前記水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップと、前記水分を分離するステップで分離した水を電気分解する水電気分解ステップとを備え、前記再循環ガスに混合する酸素として、前記水電気分解ステップで発生させた酸素を用いるとともに、前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出ステップと、前記燃焼状態検出ステップで検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御ステップとを備える、燃焼方法。」に訂正する。 2 訂正の目的、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された再循環ガスに混合する「酸素」に関し、訂正後の請求項1において、「前記水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置とを備え、前記再循環ガスに混合する前記酸素として、前記水電気分解装置における電気分解によって発生させた酸素を用いるとともに、前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、前記燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とをさらに備える」という事項(以下「特定事項A」という。)を付加し、酸素の発生源及び複数のストーカに供給される酸化剤の酸素濃度を制御するための手段を特定するものである(訂正後の請求項1を引用する請求項2についても同様である。)から、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1で付加された特定事項Aに関し、特許明細書等には、以下の記載がある。 (ア)酸素の発生源に関する記載 ・「【請求項4】 前記水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置を備え、 前記再循環ガスに混合する酸素として前記水電気分解装置における電気分解によって発生した酸素を用いる、 請求項3に記載の燃焼システム。」 ・「【0028】 第7の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段と、水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置を備え、再循環させた燃焼排ガスに混合する酸素として水電気分解装置における電気分解によって発生した酸素を用いる。 【0029】 第7の特徴に係る発明によれば、燃焼排ガスから分離回収した水分を電気分解することで発生させた酸素を酸化剤の一部として使用することで、酸化剤として使用する酸素を廃棄物処理プロセスの系内で賄うことができ、酸素を輸送又は発生させるためのエネルギを節約することができる。」 ・「【0038】 図1は、本実施形態にかかる燃焼システムの概略系統図を示したものであり、当該燃焼システムは、ストーカ式焼却炉100と、排ガス冷却装置200と、バグフィルタ300と、水分離手段400と、排ガス再循環送風機500と、二酸化炭素分離手段600と、水電気分解装置700と、酸素発生装置800と、制御装置900と、図示しない煙突によって構成される。」 ・「【0051】 水電気分解装置700は、水を電気分解して酸素と水素を発生させるものである。本実施形態における水電気分解装置700は、水を貯留する電解槽、電源、電源の正極と接続される陽極、電源の負極と接続される陰極などによって構成される。」 ・「【0062】 [燃焼方法] 次に、本実施形態に係るストーカ式焼却炉100を用いた燃焼方法について説明する。なお、通常の燃焼運転中であって、既に各ストーカ131~136上において乾燥・燃焼・後燃焼が行われている状況について説明する。この場合、再循環送風機500によって再循環させた燃焼排ガス、及び、水電気分解装置700又は酸素発生装置800で発生させた酸素が、酸化剤供給手段140に供給される。」 ・「【図1】 [図:0001439178000001.jpg] 」 (イ)複数のストーカに供給される酸化剤の酸素濃度を制御するための手段に関する記載 ・「【請求項3】 前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、 前記燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とを備える、 請求項1又は2に記載の燃焼システム。」 ・「【0020】 第3の特徴に係る発明は、第1または第2の特徴に係る発明であって、複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、複数のストーカのうち所定のストーカに供給される酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とを備える。 【0021】 第3の特徴に係る発明によれば、複数設けられたストーカのそれぞれの領域における燃焼状態に応じ、所定のストーカに供給される酸化剤の酸素濃度を制御するため、ストーカの局所的な温度上昇を抑制することができるとともに、焼却残渣の熱しゃく減量を規制値以下に抑制することができる。」 ・「【0044】 燃焼状態検出手段160は、燃焼室110内の燃焼状態、好ましくは、それぞれのストーカ131~136上における個別の燃焼状態を検出するために設置されたものであり、例えば、それぞれのストーカ131~136の上方における燃焼室内温度を検出する温度検出手段や、廃棄物の燃え切り点の位置を検出する赤外線カメラ又は光量センサなどによって構成される。ただし、燃焼状態検出手段160は、それぞれのストーカ131~136上における燃焼状態を検出することができるものであれば、上記に限定されるものではない。」 ・「【0065】 また、複数段配設された燃焼ストーカ132~135については、燃焼室110内の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段160の検出結果に基づいて、各ストーカに供給される酸化剤の酸素濃度が制御される。このとき、制御装置900は酸素流量調整手段142d~145dを個別に制御することによって、再循環ガスに混入させる酸素の流量を個別に調整し、各燃焼ストーカ132~135に供給される酸化剤の酸素濃度が燃焼状態に応じた適切な酸素濃度となるよう調整を行う。」 ・「【図2】 [図:0001439178000002.jpg] 」 特定事項Aは、これらの記載事項に基づくものであるから、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、訂正前の請求項1に対して、特定事項Aを直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではない(訂正前の請求項1を引用する請求項2に対しても同様である。)から、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項3を削除するというものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項3を削除するというものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項3を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項4を削除するというものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項4を削除するというものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項4を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項5に記載された再循環ガスに混合する「酸素」に関し、訂正後の請求項5において、「前記水分を分離するステップで分離した水を電気分解する水電気分解ステップとを備え、前記再循環ガスに混合する酸素として、前記水電気分解ステップで発生させた酸素を用いるとともに、前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出ステップと、前記燃焼状態検出ステップで検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御ステップ」という事項(以下「特定事項B」という。)を付加し、酸素の発生源及び複数のストーカに供給される酸化剤の酸素濃度を制御するための手段を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4で付加された特定事項Bは、特定事項Aと同様の内容であり、上記(1)イで摘記した特許明細書等の記載事項に基づくものであるから、訂正事項4は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、訂正前の請求項5に対して、特定事項Bを直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 なお、訂正前の請求項1~5の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1~4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項1~4について、請求項2~4はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正の請求のうち、請求項1~4についての訂正は、一群の請求項〔1~4〕についてされたものである。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、結論のとおり、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、5について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(なお、本件発明3及び4は本件訂正により削除された。)。 「【請求項1】 下方から酸化剤を供給する複数のストーカと、燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給する酸化剤供給手段と、前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整する酸素濃度調整手段とを備えるストーカ式焼却炉と、 アルカリ薬剤を吹き込むことで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するろ布を備えるバグフィルタと、 前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段と、 前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去され前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記酸化剤供給手段に供給する再循環送風機と、 前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段と、 前記水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置とを備え、 前記再循環ガスに混合する前記酸素として、前記水電気分解装置における電気分解によって発生させた酸素を用いるとともに、 前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、 前記燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とをさらに備える、 燃焼システム。 【請求項2】 前記酸素濃度調整手段は、前記再循環ガスに混合される酸素の供給量を前記ストーカごとに調整する酸素供給量調整手段によって構成される、 請求項1に記載の燃焼システム。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 下方から酸化剤を供給する複数のストーカを備えたストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法であって、 燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給するステップと、 前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整するステップと、 アルカリ薬剤が吹き込まれたろ布で前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するステップと、 前記煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離するステップと、 前記煤塵や酸性成分が除去され前記水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記複数のストーカに供給するステップと、 前記水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップと、 前記水分を分離するステップで分離した水を電気分解する水電気分解ステップとを備え、 前記再循環ガスに混合する酸素として、前記水電気分解ステップで発生させた酸素を用いるとともに、 前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出ステップと、 前記燃焼状態検出ステップで検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御ステップとを備える、 燃焼方法。」 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1、2及び5に係る特許に対して、当審において、令和7年10月1日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)理由1(拡大先願) 本件特許の請求項1、2及び5に係る発明は、本件特許の出願の日前の日本語特許出願であって、その出願後に国際公開がされた下記(2)の日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記日本語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)から、請求項1、2及び5に係る特許は、同法第29条の2の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)引用された先願 甲第1号証:PCT/JP2022/045526号(国際公開第2023/112862号)(以下「甲1」という。) なお、甲1の国内の出願番号は、特願2023-567760号である。 2 当審の判断 (1)甲1の先願について ア 甲1の先願明細書等の記載 甲1は、国際出願日が2022年12月9日(優先権主張2021年12月14日、2022年3月29日、日本国)の国際出願であって2023年6月22日に国際公開されたものであり、その明細書、請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の記載事項及び図示事項がある。なお、下線は当審で付したものである(以下同様。)。 「[0026] (第1実施形態) 図1は、本発明の第1実施形態に係るごみ焼却設備1の構成を示すブロック図である。ごみ焼却設備1は、廃棄物焼却設備であり、ごみピット2と、焼却炉3と、排ガス流路4と、制御部(図示省略)とを備える。制御部は、例えば、CPU等を備えるコンピュータであり、ごみ焼却設備1の全体制御を担う。ごみピット2は、廃棄物ピットであり、廃棄物であるごみを貯留する。焼却炉3は、ごみピット2から投入されるごみを焼却する。排ガス流路4は、焼却炉3から排出される排ガスが流れる煙道である。図1の例では、排ガス流路4は、焼却炉3から後述の二酸化炭素回収装置44に至る流路である。図1では、焼却炉3と後述のボイラ管群41との間の矢印のみに符号4を付している。ごみピット2および焼却炉3の詳細については後述する。 [0027] ごみ焼却設備1は、ボイラ管群41と、ろ過式集じん器42(以下、単に「集じん器42」という。)と、湿式洗煙塔43と、二酸化炭素回収装置44とをさらに備える。ボイラ管群41、集じん器42、湿式洗煙塔43および二酸化炭素回収装置44は、排ガス流路4に設けられ、排ガスの流れ方向における上流側から下流側に向かって(すなわち、焼却炉3から離れる方向に向かって)順に配置される。 [0028] ボイラ管群41は、焼却炉3から排出される排ガスを熱源として蒸気を生成する。集じん器42は、いわゆるバグフィルタであり、排ガスに含まれる飛灰をろ布により捕集する。集じん器42の上流側において、粉末状の排ガス処理薬剤が排ガスに供給され、集じん器42において飛灰と共に当該排ガス処理薬剤が捕集されてもよい。排ガス処理薬剤は、硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等の除去に利用される。集じん器42の出口における排ガスの温度は、例えば150℃~200℃である。集じん器42を通過した排ガスは湿式洗煙塔43に流入する。 [0029] 湿式洗煙塔43は、例えば、苛性ソーダ等のアルカリ薬剤および水を含む液体を排ガス中に噴霧する。これにより、排ガスの温度を、例えば30℃~70℃に低下させるとともに、排ガスに含まれる硫黄酸化物、塩化水素等を除去する。また、排ガスの温度低下にともない、排ガス中に含まれる水分量も減る。湿式洗煙塔43は、排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫部であり、排ガス中の塩化水素を除去する脱塩部でもある。二酸化炭素回収装置44は、湿式洗煙塔43を通過した排ガスから二酸化炭素を回収する。二酸化炭素回収装置44の一例は、化学吸収法により二酸化炭素を回収するものであり、吸収塔と、再生塔とを備える。吸収塔では、例えば、アミンおよび水を含む液体が排ガス中に噴霧され、二酸化炭素が当該液体に吸収される。すなわち、排ガスから二酸化炭素が除去される。二酸化炭素を吸収した液体は、再生塔に送られて加熱され、二酸化炭素が取り出されて回収される。回収された二酸化炭素は、メタネーションによるメタンの生成等に利用されたり、地中等に貯留される(CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage))。後述の再循環排ガスライン6が設けられるごみ焼却設備1では、排ガス中の二酸化炭素濃度が高くなっているため、CCUSを容易に行うことができる。二酸化炭素回収装置44は、化学吸収法以外の方式により二酸化炭素を回収するものであってもよい。 [0030] 以上のように、湿式洗煙塔43および二酸化炭素回収装置44は、集じん器42を通過した排ガスに対して水を含む液体を供給して、排ガスから所定成分を除去する排ガス処理部45である。以下の説明では、湿式洗煙塔43および二酸化炭素回収装置44(排ガス処理部45)を通過した排ガスを、「処理済みガス」という。ごみ焼却設備1における処理済みガスは、水、酸素および窒素を多く含むガスである。」 「[0033] ごみ焼却設備1は、再循環排ガスライン6と、ファン66と、予熱器67と、酸素混合部68とをさらに備える。再循環排ガスライン6は、後述の再循環排ガスが流れる流路であり、再循環排ガスライン6の一端は、排ガス流路4において集じん器42よりも下流側の取出位置P1に接続される。図1の例では、取出位置P1は、湿式洗煙塔43と二酸化炭素回収装置44との間の位置である。再循環排ガスライン6により、排ガス流路4を流れる排ガスの一部が再循環排ガスとして取り出される。既述の二酸化炭素回収装置44は、排ガス流路4において取出位置P1よりも下流側に設けられるため、取出位置P1から取り出された再循環排ガスは、高い二酸化炭素濃度、および、低い酸素濃度を有する。再循環排ガスライン6の他端は、焼却炉3に接続され、当該再循環排ガスが焼却炉3内に供給される。図1では、取出位置P1に接続する矢印のみに符号6を付している。 [0034] ファン66および予熱器67は、再循環排ガスライン6に設けられる。ごみ焼却設備1の一例では、再循環排ガスの流れにおける上流側から下流側に向かって(すなわち、取出位置P1から離れる方向に向かって)、予熱器67およびファン66が順に配置される。2つの予熱器(第1および第2予熱器)が用いられ、上流側から下流側に向かって第1予熱器、ファン66および第2予熱器が順に配置されてもよい。再循環排ガスライン6におけるファン66および予熱器67の順序は任意に決定されてよい。 [0035] ファン66は、再循環排ガスライン6の上流側から下流側へと向かう再循環排ガスの流れを形成する。予熱器67は、例えば、ボイラ(ボイラ管群41)からの蒸気を熱媒体として用いて再循環排ガスを加熱可能である。予熱器67は、必要に応じて再循環排ガスを加熱するのみであってよい。 [0036] 酸素混合部68は、空気よりも酸素濃度(体積濃度)が高いガス(以下、単に「高濃度酸素ガス」という。)を空気から生成する装置であり、例えば、PSA式の酸素ガス発生装置である。酸素混合部68で生成された高濃度酸素ガスは、再循環排ガスライン6において再循環排ガスに混合される。第1予熱器、ファン66および第2予熱器が設けられる例では、ファン66と第2予熱器との間に高濃度酸素ガスが混合される。高濃度酸素ガスの混合により、取出位置P1における排ガスよりも酸素濃度が高い再循環排ガスが得られ、焼却炉3に供給される。高濃度酸素ガスは、空気よりも十分に酸素濃度が高く、当該酸素濃度は、例えば、50vol%以上であり、好ましくは、65vol%以上であり、より好ましくは、80vol%以上であり、さらに好ましくは、100%である。高濃度酸素ガスは、空気以外から生成されてもよい。例えば、水の電気分解により、高濃度酸素ガスを生成してもよい。」 「[0041] 焼却炉3は、投入ホッパ31と、ごみ供給部32と、一次燃焼室33と、二次燃焼室34とを備える。投入ホッパ31には、ごみクレーン23によりごみピット2からごみが投入される。ごみ供給部32は、プッシャまたはスクリューフィーダ等を有し、投入ホッパ31の底部から一次燃焼室33内にごみを供給する。 [0042] 一次燃焼室33の底部には、ごみ供給部32から離れる方向に向かって順に、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333および排出口334が配列される。乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333では、周知の搬送動作により、ごみ供給部32側から排出口334に向かってごみが搬送される。乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333のそれぞれでは、後述の一次燃焼用ガスが一次燃焼室33内に向けて噴出され、搬送途上のごみが燃焼する。燃焼後のごみ(主として灰)は排出口334を介して一次燃焼室33外に排出される。」 「[0044] 図2の例では、再循環排ガスライン6は、酸素混合部68による高濃度酸素ガスの混合位置よりも下流側(焼却炉3側)の分岐点P2にて、一次燃焼用ガスライン61と、二次燃焼用ガスライン62とに分岐する。一次燃焼用ガスライン61は、複数のラインに分岐して、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333の風箱にそれぞれ接続する。二次燃焼用ガスライン62は、複数のラインに分岐して、複数のノズル341にそれぞれ接続する。 [0045] 再循環排ガスライン6において分岐点P2よりも上流側の位置には、抜き出しガスライン21が接続される。これにより、高濃度酸素ガスが混合された再循環排ガスに、ごみピット2からの抜き出しガスがさらに混合される。再循環排ガス、高濃度酸素ガスおよび抜き出しガスの混合ガスは、一次燃焼用ガスライン61および二次燃焼用ガスライン62に流入する。以下の説明では、一次燃焼用ガスライン61を流れるガスを「一次燃焼用ガス」といい、二次燃焼用ガスライン62を流れるガスを「二次燃焼用ガス」という。一次燃焼用ガスは、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333から一次燃焼室33内に供給される。二次燃焼用ガスは、複数のノズル341から二次燃焼室34内に供給される。 [0046] 一次燃焼用ガスおよび二次燃焼用ガスの酸素濃度は、例えば、30vol%以下であり、典型例では、25vol%以下である。当該酸素濃度は、例えば0vol%よりも大きく、好ましくは3vol%以上である。図2の例における一次燃焼用ガスおよび二次燃焼用ガスの酸素濃度は、再循環排ガス、高濃度酸素ガスおよび抜き出しガスの混合比の変更や、高濃度酸素ガスの酸素濃度の変更等により調整可能である。また、一次燃焼用ガスおよび二次燃焼用ガスのそれぞれの酸素濃度が、個別に調整可能であってもよい。この場合、例えば、一次燃焼用ガスライン61および二次燃焼用ガスライン62のそれぞれにおいて、再循環排ガス、高濃度酸素ガスおよび抜き出しガスの混合比が個別に変更可能なように、配管設計が変更されるとともに、ダンパおよび流量計等が設けられる。さらに、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333のそれぞれにおける一次燃焼用ガスの酸素濃度が、個別に調整可能であってもよい。同様に、複数のノズル341のそれぞれにおける二次燃焼用ガスの酸素濃度が、個別に調整可能であってもよい。ごみ焼却設備1では、複数の混合部が設けられ、再循環排ガス、高濃度酸素ガスおよび抜き出しガスの混合比が互いに独立して可変とされ、焼却炉3内に供給されてもよい。 [0047] 以上に説明したように、好ましいごみ焼却設備1は、排ガス流路4を流れる排ガスの一部を再循環排ガスとして取り出して焼却炉3内に供給する再循環排ガスライン6と、再循環排ガスライン6を流れる再循環排ガスに対して、空気よりも酸素濃度が高いガス(上述の高濃度酸素ガス)を混合する酸素混合部68とを備える。ごみ焼却設備1では、再循環排ガスに高濃度酸素ガスを混合して、焼却炉3における燃焼用ガスとして利用することにより、再循環排ガスに空気を混合する場合に比べて、排ガス流路4から取り出す再循環排ガスの量を多くすることができる。その結果、排ガス流路4において再循環排ガスライン6の接続位置(すなわち、取出位置P1)よりも下流側に流れる排ガス量を容易に低減することができる。また、系外から焼却炉3内に供給される空気(特に、窒素)の量を極力少なくして運転を続けることで、排ガスに含まれる窒素の量が徐々に減少し、二酸化炭素回収装置44を通過する排ガスの主な成分を二酸化炭素、水および余剰酸素にすることができる。このような運転をする場合、排ガスに含まれる二酸化炭素濃度が高くなるため、二酸化炭素回収装置44にて効率よく二酸化炭素を分離することができる。また、このような運転をする場合、湿式洗煙塔43において、排ガスの温度低下にともない、排ガス中に含まれる水分量も減るため、再循環排ガスに含まれる水分を除去することもできる。」 「[図1] [図:0001439178000003.jpg] [図2] [図:0001439178000004.jpg] 」 イ 上記アから認められること (ア)上記アの段落[0026]及び[0027]の記載事項並びに図1及び図2の図示事項から、焼却炉3と、集じん器42と、湿式洗煙塔43と、二酸化炭素回収装置44とを備えるごみ焼却設備1が認められる。 (イ)上記アの段落[0041]及び[0042]の記載事項並びに図2の図示事項から、焼却炉3は、下方から一次燃焼用ガスを供給する乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333を備えることが認められる。 (ウ)上記アの段落[0036]、[0044]及び[0045]の記載事項並びに図1及び図2の図示事項から、焼却炉3は、排ガスを再循環させた再循環排ガスに高濃度酸素ガスを混合した混合ガスを一次燃焼用ガスとして乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給する、高濃度酸素ガスを生成する酸素混合部68が接続された再循環排ガスライン6を備えることが認められる。 (エ)上記アの段落[0045]及び[0046]の記載事項並びに図1及び図2の図示事項から、焼却炉3は、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給される一次燃焼用ガスの酸素濃度を乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333ごとに調整する、一次燃焼用ガスライン61の再循環排ガス、高濃度酸素ガス及び抜き出しガスの混合比や高濃度酸素ガスの酸素濃度の変更等が個別に変更可能な、配管設計がされるとともに、ダンパ及び流量計等が設けられた手段(以下「酸素濃度の調整手段」という。)を備えることが認められる。 (オ)上記アの段落[0028]の記載事項から、集じん器42は、粉末状の排ガス処理薬剤を供給することで、焼却炉3から排出された排ガス中の硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等を除去するとともに飛灰を除去するろ布を備えるバグフィルタであることが認められる。 (カ)上記アの段落[0028]及び[0047]の記載事項から、湿式洗煙塔43は、前記集じん器42を経て飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去された排ガスから水分を分離することが認められる。 (キ)上記(オ)及び(カ)と、上記アの段落[0033]~[0035]及び[0044]の記載事項並びに図1及び図2の図示事項とから、ごみ焼却設備1は、集じん器42を経て飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去され湿式洗煙塔43で水分が分離された排ガスである再循環排ガスを、高濃度酸素ガスを生成する酸素混合部68が接続された再循環排ガスライン6に供給するファン66を備えることが認められる。 (ク)上記アの段落[0029]の記載事項及び図1の図示事項とから、二酸化炭素回収装置44は、湿式洗煙塔43で水分が分離された排ガス中の二酸化炭素を分離回収することが認められる。 (ケ)上記(ウ)と、上記アの段落[0036]の記載事項とから、ごみ焼却設備1は、水を電気分解する電気分解装置を備え、再循環排ガスに混合する高濃度酸素ガスとして、電気分解装置における電気分解によって生成した高濃度酸素ガスを用いることが認められる。 (コ)上記(エ)と、上記アの段落[0045]及び[0046]の記載事項とから、酸素濃度の調整手段は、前記再循環排ガスに混合される酸素の供給量を前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333ごとに調整するダンパ及び流量計等によって構成されることが認められる。 (サ)上記アの段落[0026]、[0041]及び[0042]の記載事項並びに図1及び図2の図示事項から、下方から一次燃焼用ガスを供給する乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333を備えた焼却炉3を用いた燃焼方法が認められる。 (シ)上記アの段落[0036]、[0044]及び[0045]の記載事項並びに図1及び図2の図示事項から、燃焼方法において、排ガスを再循環させた再循環排ガスに高濃度酸素ガスを混合した混合ガスを一次燃焼用ガスとして乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給するステップを備えることが認められる。 (ス)上記アの段落[0045]及び[0046]の記載事項並びに図1及び図2の図示事項から、燃焼方法において、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給される一次燃焼用ガスの酸素濃度を乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333ごとに調整するステップを備えることが認められる。 (セ)上記アの段落[0028]の記載事項から、燃焼方法において、粉末状の排ガス処理薬剤が供給されたろ布で前記焼却炉3から排出された排ガスをろ過することで当該排ガス中の硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等を除去するとともに飛灰を除去するステップを備えることが認められる。 (ソ)上記アの段落[0028]及び[0047]の記載事項から、燃焼法において、飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去された排ガスから水分を分離するステップを備えることが認められる。 (タ)上記(セ)及び(ソ)と、上記アの段落[0033]~[0035]及び[0044]の記載事項並びに図1及び図2の図示事項とから、燃焼法において、飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去され水分が分離された排ガスを再循環排ガスとして乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給するステップを備えることが認められる。 (チ)上記アの段落[0029]の記載事項及び図1の図示事項とから、燃焼方法において、水分が分離された排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップを備えることが認められる。 (ツ)上記(シ)と、上記アの段落[0036]の記載事項とから、焼却炉3を用いた燃焼方法は、水を電気分解する電気分解ステップを備え、再循環排ガスに混合する高濃度酸素ガスとして、電気分解ステップにおける電気分解によって生成した高濃度酸素ガスを用いることが認められる。 ウ 甲1発明1 上記ア及びイの(ア)~(ケ)によると、甲1の先願明細書等には、次の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されている。 「下方から一次燃焼用ガスを供給する乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333と、排ガスを再循環させた再循環排ガスに高濃度酸素ガスを混合した混合ガスを一次燃焼用ガスとして前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給する、高濃度酸素ガスを生成する酸素混合部68が接続された再循環排ガスライン6と、前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給される前記一次燃焼用ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333ごとに調整する酸素濃度の調整手段とを備える焼却炉3と、 粉末状の排ガス処理薬剤を供給することで、前記焼却炉3から排出された排ガス中の硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等を除去するとともに飛灰を除去するろ布を備えるバグフィルタである集じん器42と、 前記集じん器42を経て飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去された排ガスから水分を分離する湿式洗煙塔43と、 前記集じん器42を経て飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去され前記湿式洗煙塔43で水分が分離された排ガスである前記再循環排ガスを、前記高濃度酸素ガスを生成する酸素混合部68が接続された再循環排ガスライン6に供給するファン66と、 前記湿式洗煙塔43で水分が分離された排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素回収装置44と、 水を電気分解する電気分解装置とを備え、 前記再循環ガスに混合する高濃度酸素ガスとして、前記電気分解装置における電気分解によって生成した高濃度酸素ガスを用いる、 ごみ焼却設備1。」 エ 甲1発明2 上記ア及びイの(ア)~(コ)によると、甲1の先願明細書等には、次の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されている。 「甲1発明1において、 前記酸素濃度の調整手段は、前記再循環排ガスに混合される酸素の供給量を前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333ごとに調整するダンパ及び流量計等によって構成される、 ごみ焼却設備1。」 オ 甲1発明3 上記ア及びイの(サ)~(ツ)によると、甲1の先願明細書等には、次の発明(以下「甲1発明3」という。)が記載されている。 「下方から一次燃焼用ガスを供給する乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333を備えた焼却炉3を用いた燃焼方法であって、 排ガスを再循環させた再循環排ガスに高濃度酸素ガスを混合した混合ガスを一次燃焼用ガスとして前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給するステップと、 前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給される前記一次燃焼用ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333ごとに調整するステップと、 粉末状の排ガス処理薬剤が供給されたろ布で前記焼却炉3から排出された排ガスをろ過することで当該排ガス中の硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等を除去するとともに飛灰を除去するステップと、 前記飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去された排ガスから水分を分離するステップと、 前記飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去され前記水分が分離された排ガスを前記再循環排ガスとして前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給するステップと、 前記水分が分離された排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップと、 水を電気分解する電気分解ステップとを備え、 前記再循環排ガスに混合する高濃度酸素ガスとして、前記電気分解ステップにおける電気分解によって生成した高濃度酸素ガスを用いる、 燃焼方法。」 (2)甲第2号証(以下「甲2」という)について 甲2は、本件特許の出願前の技術常識を示すために申立人が提出した次の文献である。 甲2:平野 陽三,「大気汚染防止機器」,初版,株式会社産業調査会,1995年3月28日,163頁 そして、甲2には、以下の事項が記載されている。 「湿式排ガス処理装置に付設するミスト分離器(ミストエリミネーター、デミスターなどともいう)は、できるだけコンパクトであると同時に、圧力損失が小さく、かつ高い効率が求められる。通常は、湿式装置の出口に付設して一体として設計され」(163頁左欄19行~右欄4行) (3)対比・判断 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 a 後者の「一次燃焼用ガス」は、前者の「酸化剤」に相当し、同様に、「乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333」は「複数のストーカ」に、「排ガス」は「燃焼排ガス」に、「再循環排ガス」は「再循環ガス」に、「高濃度酸素ガス」は「酸素」に、「混合ガス」は「気体」に、「高濃度酸素ガスを生成する酸素混合部68が接続された再循環排ガスライン6」は「酸化剤供給手段」に、「酸素濃度の調整手段」は「酸素濃度調整手段」に、「焼却炉3」は「ストーカ式焼却炉」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「下方から一次燃焼用ガスを供給する乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333と、排ガスを再循環させた再循環排ガスに高濃度酸素ガスを混合した混合ガスを一次燃焼用ガスとして前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給する、高濃度酸素ガスを生成する酸素混合部68が接続された再循環排ガスライン6と、前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給される前記一次燃焼用ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333ごとに調整する酸素濃度の調整手段とを備える焼却炉3」は、 前者の「下方から酸化剤を供給する複数のストーカと、燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給する酸化剤供給手段と、前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整する酸素濃度調整手段とを備えるストーカ式焼却炉」に相当する。 b 後者の「粉末状の排ガス処理薬剤」と、前者の「アルカリ薬剤」とは、「所定の薬剤」という限りにおいて一致する。 そして、後者の「粉末状の排ガス処理薬剤を供給すること」と、前者の「アルカリ薬剤を吹き込むこと」とは、「所定の薬剤を供給する」という限りにおいて一致する。 また、後者の「硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等」は、前者の「酸性成分」に相当する。 そして、後者の「粉末状の排ガス処理薬剤を供給することで、前記焼却炉3から排出された排ガス中の硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等を除去する」ことと、前者の「アルカリ薬剤を吹き込むことで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を中和する」こととは、「所定の薬剤を供給することで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を処理する」という限りにおいて一致する。 また、後者の「飛灰」は、前者の「煤塵」に相当し、同様に、「ろ布」は「ろ布」に、「バグフィルタである集じん器42」は「バグフィルタ」に、それぞれ相当する。 そうすると、後者の「粉末状の排ガス処理薬剤を供給することで、前記焼却炉3から排出された排ガス中の硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等を除去するとともに飛灰を除去するろ布を備えるバグフィルタである集じん器42」と、 前者の「アルカリ薬剤を吹き込むことで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するろ布を備えるバグフィルタ」とは、 「所定の薬剤を供給することで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を処理するとともに煤塵を除去するろ布を備えるバグフィルタ」という限りにおいて一致する。 c 後者の「湿式洗煙塔43」は、前者の「水分離手段」に相当する。 そして、後者の「前記集じん器42を経て飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去された排ガスから水分を分離する湿式洗煙塔43」は、 前者の「前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段」に相当する。 d 後者の「ファン66」は、前者の「再循環送風機」に相当する。 そして、後者の「前記集じん器42を経て飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去され前記湿式洗煙塔43で水分が分離された排ガスである前記再循環排ガスを、前記高濃度酸素ガスを生成する酸素混合部68が接続された再循環排ガスライン6に供給するファン66」は、 前者の「前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去され前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記酸化剤供給手段に供給する再循環送風機」に相当する。 e 後者の「二酸化炭素回収装置44」は、前者の「二酸化炭素分離手段」に相当する。 そして、後者の「前記湿式洗煙塔43で水分が分離された排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素回収装置44」は、 前者の「前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段」に相当する。 f 後者の「電気分解装置」は、前者の「水電気分解装置」に相当する。 そして、後者の「水を電気分解する電気分解装置」と、前者の「前記水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置」とは、「水を電気分解する水電気分解装置」という限りにおいて一致する。 g 後者の「前記再循環排ガスに混合する高濃度酸素ガスとして、前記電気分解装置における電気分解によって生成した高濃度酸素ガスを用いる」ことは、前者の「前記再循環ガスに混合する前記酸素として、前記水電気分解装置における電気分解によって発生させた酸素を用いる」ことに相当する。 h 後者の「ごみ焼却設備1」は、前者の「燃焼システム」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲1発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「下方から酸化剤を供給する複数のストーカと、燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給する酸化剤供給手段と、前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整する酸素濃度調整手段とを備えるストーカ式焼却炉と、 所定の薬剤を供給することで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を処理するとともに煤塵を除去するろ布を備えるバグフィルタと、 前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段と、 前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去され前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記酸化剤供給手段に供給する再循環送風機と、 前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段と、 水を電気分解する水電気分解装置とを備え、 前記再循環ガスに混合する前記酸素として、前記水電気分解装置における電気分解によって発生させた酸素を用いる、 燃焼システム。」 [相違点1-1] 「所定の薬剤を供給することで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を処理する」「バグフィルタ」に関し、本件発明1では、「アルカリ薬剤を吹き込むことで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を中和する」のに対して、甲1発明1では、「粉末状の排ガス処理薬剤を供給することで、前記焼却炉3から排出された排ガス中の硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等を除去する」点。 [相違点1-2] 「水電気分解装置」で「電気分解する」「水」が、本件発明1では、「前記水分離手段で分離した水」であるのに対して、甲1発明1では、湿式洗煙塔43により排ガスから分離された水であるか不明な点。 [相違点1-3] 本件発明1では、「前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、前記燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とをさらに備える」のに対して、甲1発明1では、そのような燃焼状態検出手段及び制御手段を備えていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、相違点1-3について検討する。 甲1発明1において、「前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整する酸素濃度調整手段」に相当する構成を備えるとしても、申立人が技術常識を示すために提出した上記(2)の甲2の記載事項を考慮しても、上記相違点1-3に係る本件発明1の発明特定事項を備えているとは認められず、また、上記相違点1-3に係る本件発明1の発明特定事項が本件特許の出願前に周知又は慣用の技術であると認められる証拠も見当たらない。 そうすると、少なくとも相違点1-3は実質的な相違点であるから、甲1発明1は、本件発明1と実質的に同一であるとはいえない。 イ 本件発明2について (ア)対比 本件発明1を引用する本件発明2と甲1発明2とは、少なくとも、上記ア(ア)で示した相違点1-1、相違点1-2及び相違点1-3で相違する。 (イ)判断 そうすると、上記ア(イ)と同様の理由により、本件発明2と甲1発明2とは、実質的に同一ではない。 ウ 本件発明5について (ア)対比 本件発明5と甲1発明3とを、上記ア(ア)の対比を踏まえて、対比する。 a 後者の「下方から一次燃焼用ガスを供給する乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333を備えた焼却炉3を用いた燃焼方法」は、 前者の「下方から酸化剤を供給する複数のストーカを備えたストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法」に相当する。 b 後者の「排ガスを再循環させた再循環排ガスに高濃度酸素ガスを混合した混合ガスを一次燃焼用ガスとして前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給するステップ」は、 前者の「燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給するステップ」に相当する。 c 後者の「前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給される前記一次燃焼用ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333ごとに調整するステップ」は、 前者の「前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整するステップ」に相当する。 d 後者の「粉末状の排ガス処理薬剤が供給されたろ布で前記焼却炉3から排出された排ガスをろ過することで当該排ガス中の硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等を除去するとともに飛灰を除去するステップ」と、 前者の「アルカリ薬剤が吹き込まれたろ布で前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するステップ」とは、 「所定の薬剤が供給されたろ布で前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の酸性成分を処理するとともに煤塵を除去するステップ」という限りにおいて一致する。 e 後者の「前記飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去された排ガスから水分を分離するステップ」は、 前者の「前記煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離するステップ」に相当する。 f 後者の「前記飛灰や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等が除去され前記水分が分離された排ガスを前記再循環排ガスとして前記乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333に供給するステップ」は、 前者の「前記煤塵や酸性成分が除去され前記水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記複数のストーカに供給するステップ」に相当する。 g 後者の「前記水分が分離された排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップ」は、 前者の「前記水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップ」に相当する。 h 後者の「電気分解ステップ」は、前者の「水電気分解ステップ」に相当する。 そして、後者の「水を電気分解する電気分解ステップ」と、前者の「前記水分を分離するステップで分離した水を電気分解する水電気分解ステップ」とは、「水を電気分解する水電気分解ステップ」という限りにおいて一致する。 i 後者の「前記再循環排ガスに混合する高濃度酸素ガスとして、前記電気分解ステップにおける電気分解によって生成した高濃度酸素ガスを用いる」ことは、前者の「前記再循環ガスに混合する酸素として、前記水電気分解ステップで発生させた酸素を用いる」ことに相当する。 以上のことから、本件発明5と甲1発明3との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「下方から酸化剤を供給する複数のストーカを備えたストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法であって、 燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給するステップと、 前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整するステップと、 所定の薬剤が供給されたろ布で前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の酸性成分を処理するとともに煤塵を除去するステップと、 前記煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離するステップと、 前記煤塵や酸性成分が除去され前記水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記複数のストーカに供給するステップと、 前記水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップと、 水を電気分解する水電気分解ステップとを備え、 前記再循環ガスに混合する酸素として、前記水電気分解ステップで発生させた酸素を用いる 燃焼方法。」 [相違点5-1] 「所定の薬剤が供給されたろ布で前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の酸性成分を処理する」「ステップ」に関し、本件発明5では、「アルカリ薬剤が吹き込まれたろ布で前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の酸性成分を中和する」のに対して、甲1発明3では、「粉末状の排ガス処理薬剤が供給されたろ布で前記焼却炉3から排出された排ガスをろ過することで当該排ガス中の硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等を除去する」点。 [相違点5-2] 「水電気分解ステップ」で「電気分解する」「水」が、本件発明5では、「前記水分を分離するステップで分離した水」であるのに対して、甲1発明3では、「排ガスから水分を分離するステップ」で分離された水であるか不明な点。 [相違点5-3] 本件発明5では、「前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出ステップと、前記燃焼状態検出ステップで検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御ステップとを備える」のに対して、甲1発明3では、そのような燃焼状態検出ステップ及び制御ステップを備えていない点。 (イ)判断 相違点5-1は相違点1-1と、相違点5-2は相違点1-2と、相違点5-3は相違点1-3と、それぞれ実質的に同じであるから、上記ア(イ)の検討を踏まえると、少なくとも上記相違点5-3は、実質的な相違点である。 したがって、本件発明5と甲1発明3とは、実質的に同一ではない。 3 まとめ 以上のとおり、本件発明1、本件発明2、本件発明5は、それぞれ甲1発明1、甲1発明2、甲1発明3と実質的に同一ではない。 そうすると、本件特許の請求項1、2及び5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。 第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由の概要 (1)理由2(進歩性) 本件訂正前の本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記(2)の甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証~甲第10号証に記載された技術事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)申立人が提出した証拠方法 甲第3号証:特開2017-215124号公報(以下「甲3」という。) 甲第4号証:特開2000-199619号公報(以下「甲4」という。) 甲第5号証:特開2010-107129号公報(以下「甲5」という。) 甲第6号証:特開2022-25655号公報(以下「甲6」という。) 甲第7号証:特開2003-161420号公報(以下「甲7」という。) 甲第8号証:特開2005-213631号公報(以下「甲8」という。) 甲第9号証:特開2005-164205号公報(以下「甲9」という。) 甲第10号証:国際公開第2012/035777号(以下「甲10」という。) (3)申立人が提出した参考資料 また、申立人は、令和7年7月17日提出の意見書に添付して以下の参考資料を提出した。 参考資料1:特開2021-135024号公報 参考資料2:「7.8 燃焼改善によるNOx対策」と題する資料 参考資料3:WARP(国立国会図書館 インターネット資料収集保存事業)の検索ページの出力物 (https://warp.ndl.go.jp/advancedsearch/) 2 当審の判断 (1)各甲号証について ア 甲3について (ア)甲3の記載 甲3には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0029】 図1は、本実施形態に係る廃棄物焼却装置の全体構成を示しており、この廃棄物焼却装置は、焼却炉Iに一次空気供給手段IIそして後続装置IIIさらには循環排ガス供給手段IVが接続されて構成されている。そして、本実施形態装置では、上記装置、手段等に加え、一次空気供給手段の一部と循環排ガス供給手段の一部とで構成される混合ガス酸素濃度調整手段をも有している。以下、焼却炉I、一次空気供給手段II、後続装置III、循環排ガス供給手段IVそして混合ガス酸素濃度調整手段について説明する。」 「【0033】 一次空気供給手段IIは、燃焼室2内の乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cの下方に、風箱が設けられているとともに、各風箱へ一次空気を送る送風機7が設けられている。送風機7により供給される燃焼用の一次空気が一次空気供給ライン8を通って各風箱に供給され、各火格子5a,5b,5cを通って燃焼室2内に供給される。一次空気供給ライン8は、各火格子5a,5b,5cへの分岐ライン8a,8b,8cを有し、各分岐ラインには流量調整機構としてのダンパ又はバルブ9a,9b,9cが設けられている。なお、燃焼用の一次空気は、火格子5a,5b,5c上の廃棄物の乾燥及び燃焼に使われるほか、火格子5a,5b,5cの冷却作用、廃棄物の攪拌作用を有する。 【0034】 上記燃焼炉Iに接続されている後続装置IIIは、焼却炉Iから排出された排ガスとの熱交換により熱回収を行い蒸気を発生させる熱回収系統としてのボイラ10と、該ボイラ10で熱回収された排ガスを除塵するバグフィルタ11と、該バグフィルタ11で除塵された排ガスを大気中へ放出するための煙突12とを備えている。 【0035】 本実施形態では、さらに循環排ガス供給手段IVが設けられている。該循環排ガス供給手段IVは、バグフィルタ11の出口側の排ガスダクト(煙道)と乾燥火格子5a、燃焼火格子5b、後燃焼火格子5cの下方の風箱とを循環排ガス供給ライン13で接続していて、バグフィルタ11による除塵後の排ガスを循環排ガスとして各風箱へ送り込むようになっている。循環排ガス供給ライン13は、各火格子5a,5b,5cへの分岐ライン13a,13b,13cを有している。各分岐ライン13a,13b,13cには流量調整を行うダンパ又はバルブ14a,14b,14cが設けられている。また、上記循環排ガス供給ライン13には送風機15が設けられている。 【0036】 かくして、それぞれの火格子5a,5b,5c下の風箱に一次空気と循環排ガスが、それぞれの流量が調整されて供給され、混合ガスとして火格子5a,5b,5cへ供給され、廃棄物、焼却灰に通気される。なお、上記風箱への一次空気そして循環排ガスを供給するためのライン等の構成は図示したものに限定されず、焼却炉の規模、形状、用途等により適宜選択され得る。 【0037】 一次空気供給手段IIからの一次空気と循環排ガス供給手段IVからの循環排ガスとの混合ガスは、本実施形態では、酸素濃度調整手段によりその酸素濃度が調整される。該酸素濃度調整手段は、循環排ガス供給手段IVの送風機15、ダンパ又はバルブ14a,14b,14cと一次空気供給手段IIのダンパ又はバルブ9a,9b,9cにより構成されている。かくして、混合ガスの酸素濃度は、上記送風機15による循環排ガスの供給量、各ダンパ又はバルブ14a,14b,14cと各ダンパ又はバルブ9a,9b,9cのそれぞれの開度の加減により調整される。」 「【0057】 後燃焼火格子の温度と後燃焼火格子上の焼却灰層の温度との相関関係を予め把握しておき、後燃焼火格子の温度を測定し後燃焼火格子上の焼却灰層の温度を求め、求めた焼却灰層の温度に基づき、後燃焼火格子の下方へ供給する一次空気供給量及び循環排ガス供給量のうち少なくとも一つを制御することが好ましい。後燃焼火格子の下方へ供給する一次空気供給量は、一次空気供給手段IIのダンパ又はバルブ9cの開度の加減により調整され、循環排ガス供給量は、循環排ガス供給手段IVの送風機15による循環排ガスの供給量、ダンパ又はバルブ14cの開度の加減により調整される。」 「【図1】 [図:0001439178000005.jpg] 」 (イ)上記(ア)から認められること a 上記(ア)の段落【0029】及び【0034】の記載事項並びに図1の図示事項から、焼却炉Iと、バグフィルタ11とを備える廃棄物焼却装置が認められる。 b 上記(ア)の段落【0033】、【0035】及び【0036】の記載事項並びに図1の図示事項によると、乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cが、下方に設けられた風箱から供給された混合ガスを燃焼室2内に下方から上方に供給していることから、焼却炉Iは、下方から燃焼用の一次空気と循環排ガスの混合ガスを供給する乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cを備え、排ガスを再循環させた循環排ガスに一次空気を混合した気体を混合ガスとして前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給する一次空気供給手段II、循環排ガス供給手段IV並びに乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cの下方の各風箱からなる手段(以下「混合ガス供給手段」という。)を備えることが認められる。 c 上記(ア)の段落【0033】、【0035】及び【0037】の記載事項並びに図1の図示事項から、焼却炉Iは、乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給される混合ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cごとに調整する酸素濃度調整手段を備えることが認められる。 d 上記(ア)の段落【0034】の記載事項及び図1の図示事項から、バグフィルタ11は、焼却炉Iから排出された排ガスの除塵をすることが認められる。 e 上記(ア)の段落【0035】の記載事項及び図1の図示事項から、廃棄物焼却装置は、バグフィルタ11を経て除塵された排ガスを循環排ガスとして混合ガス供給手段に供給する送風機15を備えることが認められる。 f 上記(ア)の段落【0033】及び【0037】の記載事項並びに図1の図示事項から、酸素濃度調整手段は、循環排ガスに混合される一次空気の供給量を乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cごとに調整する一次空気供給手段IIのダンパ又はバルブ9a,9b,9cによって構成されることが認められる。 g 上記(ア)の段落【0057】の記載事項及び図1の図示事項から、廃棄物焼却装置は、後燃焼火格子5cの温度を測定する後燃焼火格子の温度測定手段と、前記後燃焼火格子の温度測定手段で測定された前記後燃焼火格子5cの温度に応じて、前記後燃焼火格子5cに供給される一次空気の供給量を制御する制御手段とを備えることが認められる。 そして、上記b、c及びfを合わせてみると、制御手段は、後燃焼火格子5cの下方に供給される一次空気の供給量を制御することにより、後燃焼火格子5cに供給される混合ガスの酸素濃度を制御するものであることが認められる。 h 上記(ア)の段落【0029】、【0033】、【0035】及び【0036】の記載事項並びに図1の図示事項から、下方から燃焼用の一次空気と循環排ガスの混合ガスを供給する乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cを備えた焼却炉Iを用いた燃焼方法が認められる。 i 上記(ア)の段落【0033】、【0035】及び【0036】の記載事項並びに図1の図示事項から、燃焼方法において、排ガスを再循環させた循環排ガスに一次空気を混合した気体を混合ガスとして前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給するステップを備えることが認められる。 j 上記(ア)の段落【0033】、【0035】及び【0037】の記載事項並びに図1の図示事項から、乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給される混合ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cごとに調整するステップを備えることが認められる。 k 上記(ア)の段落【0034】の記載事項及び図1の図示事項から、焼却炉Iから排出された排ガスをろ過することで当該排ガスの除塵をするステップを備えることが認められる。 l 上記(ア)の段落【0035】の記載事項及び図1の図示事項から、除塵された排ガスを循環排ガスとして乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給するステップを備えることが認められる。 m 上記gで認められる事項並びに上記(ア)の段落【0057】の記載事項及び図1の図示事項から、燃焼方法は、後燃焼火格子5cの温度を測定する後燃焼火格子の温度測定ステップと、前記後燃焼火格子の温度測定ステップで測定された前記後燃焼火格子5cの温度に応じて、前記後燃焼火格子5cに供給される一次空気の供給量を制御する制御ステップとを備えることが認められる。 そして、上記b、c及びfを合わせてみると、制御ステップは、後燃焼火格子5cの下方に供給される一次空気の供給量を制御することにより、後燃焼火格子5cに供給される混合ガスの酸素濃度を制御するものであることが認められる。 (ウ)甲3発明1 上記(ア)及び(イ)のa~e、gを総合すると、甲3には、次の事項からなる発明(以下「甲3発明1」という。)が記載されている。 「下方から燃焼用の一次空気と循環排ガスの混合ガスを供給する乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cと、排ガスを再循環させた循環排ガスに一次空気を混合した気体を混合ガスとして前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給する一次空気供給手段II、循環排ガス供給手段IV並びに乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cの下方の各風箱からなる混合ガス供給手段と、前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給される前記混合ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cごとに調整する酸素濃度調整手段とを備える焼却炉Iと、 前記焼却炉Iから排出された排ガスの除塵をするバグフィルタ11と、 前記バグフィルタ11を経て除塵された排ガスを前記循環排ガスとして前記混合ガス供給手段に供給する送風機15と、 前記後燃焼火格子5cの温度を測定する後燃焼火格子の温度測定手段と、 前記後燃焼火格子の温度測定手段で測定された前記後燃焼火格子5cの温度に応じて、前記後燃焼火格子5cに供給される前記一次空気の供給量を制御する制御手段とを備える、 廃棄物焼却装置。」 (エ)甲3発明2 上記(ア)及び(イ)のa~fを総合すると、甲3には、次の事項からなる発明(以下「甲3発明2」という。)が記載されている。 「甲3発明1において、 前記酸素濃度調整手段は、前記循環排ガスに混合される一次空気の供給量を前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cごとに調整する一次空気供給手段IIのダンパ又はバルブ9a,9b,9cによって構成される、 廃棄物焼却装置。」 (オ)甲3発明3 上記(ア)及び(イ)のh~mを総合すると、甲3には、次の事項からなる発明(以下「甲3発明3」という。)が記載されている。 「下方から燃焼用の一次空気と循環排ガスの混合ガスを供給する乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cを備えた焼却炉Iを用いた燃焼方法であって、 排ガスを再循環させた循環排ガスに一次空気を混合した気体を混合ガスとして前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給するステップと、 前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給される前記混合ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cごとに調整するステップと、 前記焼却炉Iから排出された排ガスをろ過することで当該排ガスの除塵をするステップと、 前記除塵された排ガスを前記循環排ガスとして前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給するステップと、 前記後燃焼火格子5cの温度を測定する後燃焼火格子の温度測定ステップと、前記後燃焼火格子の温度測定ステップで測定された前記後燃焼火格子5cの温度に応じて、前記後燃焼火格子5cに供給される前記一次空気の供給量を制御する制御ステップとを備える、 燃焼方法。」 イ 甲4について (ア)甲4の記載 甲4には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物焼却炉と灰溶融炉が直結され、廃棄物を焼却し、その際に発生する灰を溶融処理する廃棄物焼却溶融炉に関するものである。」 「【0061】中間天井16を迂回した排ガスの大部分は、二次燃焼室17に導かれ、ここで、炉内攪拌気体の出口19から吹出される攪拌気体により攪拌されて旋回流となり、二次燃焼を効率的に行う。そして、排熱ボイラ18により熱交換を行った後、その大部分は除塵器13、熱交換器14、排ガス循環ブロワ15からなる排ガス循環系に導かれ、酸素と混合されて、再び廃棄物焼却炉内に吹き込まれる。排ガスの一部は、排ガス処理装置に送られ、ダストや有害物質を除去された後に煙突から大気中に放散される。 【0062】図1に示される実施の形態においては、排ガス循環ブロワ15を通った排ガスを酸素と混合した気体が火格子の下部から主燃焼室3内に吹き込まれているが、排ガス中にHCl等が含まれる場合には、火格子が腐食される場合がある。このような場合には、火格子の下からは空気を吹き込み、酸素と排ガスの混合気体は主燃焼室に直接吹き込むようにすることが好ましい。」 「【図1】 [図:0001439178000006.jpg] 」 ウ 甲5について (ア)甲5の記載 甲5には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0007】 そこで、本発明はフューエルNOxの生成量をさらに低減できる酸素燃焼ボイラシステム及び酸素燃焼ボイラシステムの制御方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明は、煙道に設置された乾式脱塵装置の下流側に排ガス取入口が設置され、アフターガスポートに供給する酸素の濃度をバーナに供給する酸素の濃度より低下させる再循環ガス性状調整装置を有することを特徴とする。」 「【0011】 図1は酸素燃焼ボイラシステムの構成を示す。燃料の石炭は、石炭搬送装置によって石炭粉砕ミル11に供給され、微粉炭燃焼に適した粒度に粉砕される。粉砕された石炭(微粉炭)は、石炭供給配管19を通ってバーナ12に供給される。石炭粉砕ミル11には1次ガス配管14aが接続されており、1次ガス配管14aは石炭粉砕ミル11に再循環排ガスを供給する。石炭供給配管19の中途には酸素供給配管16が接続され、必要に応じて酸素が混合される。石炭供給配管19中における再循環排ガスに適当量の酸素を混合することで、バーナ12における石炭の着火性能を高めることができる。」 「【0013】 バーナ12は、再循環ガス供給配管である2次ガス配管14bを備えており、2次ガス配管14bに酸素供給配管16が接続されている。そして、バーナ12は、酸素供給配管16から供給された酸素と再循環排ガスの混合ガスを火炉に噴出する。また、バーナ12は、石炭供給配管19から供給される微粉炭も火炉に噴出し、微粉炭と混合ガスによって火炎を形成する。 【0014】 バーナ12の下流側にはアフターガスポート13が配置され、再循環ガス供給配管14はアフターガス配管14cによってアフターガスポート13にも接続されている。また、アフターガス配管14cにも、酸素供給配管16が接続されている。そして、バーナ12とは別に、アフターガスポート13も酸素と再循環ガスの混合ガスをボイラ1に供給する。」 「【0018】 ボイラ1で生成した排ガスは、煙道20に導かれて脱硝装置2に供給され、排ガス中のNOx成分が低減される。煙道20には、脱硝装置2のほか、排ガスを処理する複数の装置からなる排ガス処理設備を備える。ただし、燃焼方法の改善などでNOxの生成量が十分に低減できる場合、脱硝装置2は省略しても良い。脱硝装置2を出た排ガスは、熱交換設備3に供給されて減温される。熱交換設備3で排ガスから回収された熱は、同じく熱交換設備3に供給された再循環排ガスに与えられてボイラ1に循環され、プラントの熱効率低下を抑止する。熱交換設備3を出た排ガスは、乾式脱塵装置4に導かれて95%以上の煤塵成分を除去される。 【0019】 排ガス取入口22は、乾式脱塵装置4の下流側に配置されている。そして、排ガス取入口22から取り入れられた排ガスの一部は、再循環ファン21によって再循環ガス供給配管14に誘引されて、熱交換設備3で加熱される。その後、排ガスは、前記の通り石炭粉砕ミル11,バーナ12およびアフターガスポート13に供給される。 【0020】 再循環に供されない排ガスは、湿式脱硫装置5で95%以上のSO2が除去される。その後、排ガスは、湿式脱塵装置6で98%以上のSO3成分が除去され、冷却脱水塔7で排ガス中の水分率が大幅に低減される。なお本実施例において、乾式脱塵装置,湿式脱硫装置および湿式脱塵装置のような排ガス中の煤塵や硫黄化合物の除去装置は、設計者の裁量により設置の要否や除去率の仕様を変更してもかまわない。また、乾式脱硫装置のような類似の機能を有する装置を代替として設置してもよい。 【0021】 冷却脱水塔7を出た排ガスのCO2濃度は、おおよそ90%以上となる。そのため、CO2分離液化設備8は、容易に排ガス中のCO2を分離液化できる。また、分離したCO2は高圧気体のままで、パイプライン等で需要元へ供給しても良い。CO2分離液化設備8で液化されない残部は、オフガスとして排出する。オフガスの主たる成分は、窒素,酸素であり、NOx等の微量成分と若干のCO2が含まれる。オフガスは酸素製造設備10で発生する多量の窒素と混合され、煙突9から大気中に放散される。」 「【0041】 図2は、本実施例における酸素燃焼ボイラシステムの系統図である。 【0042】 本実施例は、実施例1と同様の作用を有する装置で構成される部分が多いため、以下では実施例1との相違点のみを述べる。以下に記述されない装置に関しては、実施例1におけるのと同様の作用効果を有するものとする。 【0043】 本実施例が実施例1と異なる点は、排ガス取入口22が冷却脱水塔7の下流側に設置され、除塵と除湿がなされた再循環排ガスをボイラに供給できることにある。冷却脱水塔7は、水分除去装置に相当する。実施例1の構成では、再循環排ガス中の水分濃度が30%程度となる。一方、本実施例の構成では、再循環排ガス中の水分濃度を5%以下とすることができる。再循環排ガス中の水分濃度が低下したことにより、バーナから供給される水分量も減少する。そのため、還元燃焼域の水分に由来するOHラジカル濃度が大幅に低下する。還元燃焼域におけるOHラジカル濃度の低減がフューエルNOx低減に効果的であることは前述した通りである。」 「【図2】 [図:0001439178000007.jpg] 」 (イ)上記(ア)から認められること。 上記(ア)の段落【0013】の記載事項及び図2の図示事項から、排ガスを再循環ガスとしてバーナー12に供給することが認められ、また、バーナー12は、混合ガスの供給手段であることが認められる。 (ウ)甲5の技術事項1 上記(ア)及び(イ)によると、甲5には、次の事項(以下「甲5の技術事項1」という。)が記載されている。 「酸素燃焼ボイラシステムにおいて、 乾式脱塵装置4を経て煤塵成分が除去された排ガスから水分を除去する冷却脱水塔7と、 前記冷却脱水塔7で水分が除去された排ガス中の二酸化炭素を分離液化するCO2分離液化設備8と、 を備え、 前記乾式脱塵装置4を経て煤塵成分が除去され前記冷却脱水塔7で水分が除去された排ガスを再循環ガスとして混合ガスの供給手段に供給すること。」 (エ)甲5の技術事項2 上記(ア)及び(イ)によると、甲5には、次の事項(以下「甲5の技術事項2」という。)が記載されている。 「酸素燃焼ボイラシステムの燃焼方法において、 煤塵成分が除去された排ガスから水分を除去するステップと、 前記水分が除去された排ガス中の二酸化炭素を分離液化するステップと、 を備え、 前記煤塵成分が除去され前記水分が除去された排ガスを再循環ガスとして混合ガスの供給手段に供給すること。」 エ 甲6について (ア)甲6の記載 甲6には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0002】 従来、ごみの焼却炉から排出される排ガスを処理するに際し、まずボイラや水噴霧により200℃以下に減温してから、バグフィルタ入口で粉体の消石灰を吹き込み塩化水素及び硫黄化合物等の酸性ガスを中和除去していた。」 「【0038】 アルカリ薬剤供給装置70は、排ガス中に含まれる塩化水素や硫黄酸化物等の酸性成分を中和するためのアルカリ薬剤を排ガス中及びバグフィルタ30に供給するものであり、バグフィルタ30の上流側、好ましくは排ガス冷却装置20とバグフィルタ30の間の排ガス煙道40に配設される。アルカリ薬剤供給装置70としては、アルカリ薬剤を定量的に連続して排ガス煙道40に切り出すことが可能な貯留槽などが使用される。 【0039】 本実施形態においては、アルカリ薬剤として消石灰が使用されるが、使用される薬剤の種類は、これに限ったものではない。」 (イ)甲6の技術事項1 バグフィルタが、排ガス中の煤塵を除去するろ布を備えることは技術常識であり、上記(ア)によると、甲6には、次の事項(以下「甲6の技術事項1」という。)が記載されている。 「焼却炉から排出された排ガスを処理するバグフィルタにおいて、アルカリ薬剤を吹き込むことで、排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するろ布を備えること。」 (ウ)甲6の技術事項2 上記(ア)によると、甲6には、次の事項(以下「甲6の技術事項2」という。)が記載されている。 「焼却炉から排出された排ガスを処理する方法において、アルカリ薬剤が吹き込まれたろ布で焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去すること。」 オ 甲7について (ア)甲7の記載 甲7には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0036】図4に示す第2実施例において、01はストーカ炉100の頂部に設置されて該ストーカ炉100内における燃焼火炎120を撮像する赤外線カメラ等の炉頂カメラである。03は燃え切り点検出装置で、前記炉頂カメラ01での撮像画像を画像処理して前記燃焼火炎120のストーカ101の位置に対応する燃え切り点の位置を検出して後述する制御装置に入力するものである。130a、130b、130c、130d、130eは前記ストーカ101を構成する前段の乾燥段から主燃焼段を経て後段のおき燃焼段121の下部に夫々設けられた風箱である。5は酸素供給装置、9は該酸素供給装置5と前記各風箱130a~130eへの一次空気管111とを接続する酸素供給管である(該酸素供給管9は前記風箱130a~130eに直接接続してもよい)。6は前記各酸素供給管9の管路を開閉する酸素流量調整弁である。 【0037】04は制御装置で、前記燃え切り点検出装置03から入力されるストーカ101の位置に対応する燃焼火炎120の燃え切り点の位置に基づき、該燃え切り点の位置が一定値よりも灰側にあるときはストーカ101の主燃焼段124の風箱130b、130c、130d、及びおき燃焼段の風箱130eへの酸素供給量を増加せしめ、前記燃え切り点の位置が一定位置よりもごみ供給側にあるときは前記主燃焼段124の風箱130b、130c、130d、及びおき燃焼段の風箱130eへの酸素供給量を減少せしめるものである。以上の構成以外は図1に示す第1実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。 【0038】かかる第2実施例において、ストーカ炉100の頂部に設置された炉頂カメラ01で撮像されたストーカ炉100内における燃焼火炎120の撮像信号は燃え切り点検出装置03に入力される。該燃え切り点検出装置03においては、前記撮像画像を画像処理して前記燃焼火炎120のストーカ101の位置、つまり該ストーカ101の主燃焼段124からおき燃焼段121に至るストーカ101上の位置に対応する燃焼火炎120の燃え切り点の位置を検出して前記制御装置04に入力する。 【0039】該制御装置04においては、燃え切り点検出装置03からの、ストーカ101上の位置つまり前記主燃焼段124の風箱130b、130c、130d、及びおき燃焼段の風箱130eに対応する位置に対応する燃え切り点の検出信号に基づき、該燃え切り点の位置、即ち燃え切り点の位置が、予め設定された基準位置即ち所要の高温燃焼をなし得る燃焼火炎120の燃え切り点の位置よりも灰側にあるときは、かかる燃え切り点の位置に対応する風箱(例えば風箱130b)への酸素供給管9に設けられた酸素流量調整弁6の開度を大きくして前記燃え切り点の位置への酸素供給量を増加せしめる。これにより、前記燃え切り点高さの位置における酸素量が増加して燃焼火炎が強められる。 【0040】また、前記燃え切り点の位置が前記基準位置よりもごみ供給側にあるときは、かかる燃え切り点の位置に対応する風箱(例えば風箱130c)への酸素供給管9に設けられた酸素流量調整弁6の開度を小さくして前記燃え切り点の位置への酸素供給量を減少せしめる。これにより、前記燃え切り点の位置における酸素量が減少して燃焼火炎が弱められる。」 「【図4】 [図:0001439178000008.jpg] 」 (イ)甲7の技術事項 上記(ア)によると、甲7には、次の事項(以下「甲7の技術事項」という。)が記載されている。 「ストーカ炉100において、 ストーカ101の主燃焼段124からおき燃焼段121に至るストーカ101上の位置に対応する燃焼火炎120の燃え切り点の位置を検出する燃え切り点検出装置03と、 前記燃え切り点検出装置03で検出された燃え切り点の位置に応じて、 前記ストーカ101の主燃焼段124の風箱130b、130c、130d、及びおき燃焼段の風箱130eへの各酸素供給量を制御する制御装置04とを備えること。」 カ 甲8について (ア)甲8の記載 甲8には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0024】 以下、図面に基づいて本発明の各実施形態を説明する。 図1は本願発明のバイオマス資源からの水素及び酸素の製造システムの構成図であり、図1に於いて、1はバイオマス資源、2はバイオマス資源の燃焼装置、3は廃熱回収装置、4は排ガス処理装置、5は水分回収装置、6は発電装置、7は溶融燃焼装置、8は燃焼残渣冷却装置、9は水電気分解装置、10は水素貯留槽、11は酸素貯留槽、G1 ~G4 は燃焼排ガス、Sは蒸気、Eは発生電力、H2 は水素ガス、Aは燃焼用空気、O2 は酸素ガス、Cは燃焼残滓、C1 は溶融スラグ、C2 は水砕スラグ、Wは冷却水である。」 「【0027】 熱回収をした後の燃焼排ガスG2 は、排ガス処理装置4で浄化されたあと、水分回収装置5へ送られる。当該水分回収装置5は、浄化処理後の燃焼排ガスG3 を冷却することにより、排ガスG3 内に含有されている水蒸気を水として回収するものであり、回収された水はほぼ純水に近い純度を有している。尚、本実施形態では、排ガス処理装置4で処理した後の燃焼排ガスG3 から水分回収を行なうようにしているため、排ガス内の有害物質の回収水に及ぼす影響が略零になり、水の回収効率が向上する。 また、水蒸気成分を回収された後の低温排ガスG4 は、煙突等から大気中へ放散される。」 「【0030】 前記廃熱回収装置3で発生された蒸気Sは、発電装置6へ供給され、発生された電力Eは水電気分解装置9へ供給される。 また、当該水電気分解装置9へは、前記水分回収装置5で回収された清浄水WEが供給されており、ここで所謂水の電気分解が行なわれる。また、発生した水素は水素貯留槽10へ、また酸素は酸素貯留槽11へ夫々貯留される。」 「【0033】 本発明に於いては、前記水の電気分解により生じた酸素ガスO2 が燃焼装置3へ(また、溶融燃焼装置7が備えられているときには、当該溶融燃焼装置7へ)供給され、このO2 の有効利用により、燃焼排ガスG(又はG0 )内のCO2 量の減少を図ることが可能となる。 即ち、水の電気分解により副次的に発生されるO2 を利用して所謂酸素富化ガスを利用した燃焼(又は溶融燃焼)を行なうことにより、燃焼装置等の小型化が図れるため、水素製造プラントの大幅な小型化が可能となる。」 「【図1】 [図:0001439178000009.jpg] 」 (イ)甲8の技術事項 上記(ア)によると、甲8には、次の事項(以下「甲8の技術事項」という。)が記載されている。 「燃焼装置2において、 水分回収装置5で浄化処理後の燃焼排ガスから回収した清浄水WEを電気分解する水電気分解装置9を備え、 燃焼に利用される酸素富化ガスに利用する酸素として前記水電気分解装置9における電気分解によって発生した酸素を用いること。」 キ 甲9について (ア)甲9の記載 甲9には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0001】 本発明は、燃焼設備における燃焼に、燃焼排ガスを利用して生成される酸素と排ガスを混合してなる酸化剤を用い、燃焼に伴い発生する窒素酸化物を抑制して、高効率燃焼、熱回収効率の向上を図ることができる燃焼設備の燃焼方法とその設備に関するものである。」 「【0027】 前記燃焼排ガスを処理する排ガス処理設備2は、排ガス温度を下げる減温処理と、除じん処理とが行われる装置が設けられる。これらはいずれも既知の構成(具体的な構成は省略する)のものであり、熱回収された排ガスは、減温処理塔22に導かれて冷却処理され、次工程の除じん操作が可能な温度まで減温される。」 「【0046】 これらのような混合器54によって混合される酸素と前記燃焼排ガスとは、バッファタンク51から取り出される酸素量を制御弁58により燃焼室1に供給される燃料に対して空気過剰率が一定となるように制御し、これに対して前述のように管路49′中の制御ダンパ53によって混合する前記排ガスの供給量を制御することで、燃焼炉1aでの燃焼温度を適正範囲に調整できる。また、混合前の排ガスを管路49′中に設けられる除湿装置52を作動させて含有する水分を除去するようにすれば、排ガス中の水分が多くて、ドレン化を避ける必要がある場合、効果的である。また、除湿装置の代わりに加熱器としてもよい。」 「【図2】 [図:0001439178000010.jpg] 」 ク 甲10について (ア)甲10の記載 甲10には、次の記載事項及び図示事項がある。 「[0057] 脱硫装置6を通過した排ガスは、脱硫処理によって温度が下がっているので、そのまま作用ガスとすると排ガス中の水蒸気が凝縮し、作用ガス供給配管12等のボイラプラントの機器の腐食や閉塞等が発生するおそれがある。そこで、本実施例は、集塵装置5の入口側の第1の熱交換器113で排ガスの熱を回収し、その熱を利用して第2の熱交換器114で排ガスを加熱して作用ガスとする。これによれば、排ガス中に含まれる水蒸気が凝縮しにくくなり、ボイラプラントの各機器の腐食や閉塞等に対する保全性を高めることができる。」 「[図15] [図:0001439178000011.jpg] 」 ケ 参考資料1について (ア)参考資料1の記載 参考資料1には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0017】 処理装置は、燃焼室7の上方に設けられた排ガス出口22からメタネーション反応器3に延びる燃焼排ガス移送ライン24を備えている。さらに、処理装置は、燃焼排ガス移送ライン24および流動床炉1に接続された二酸化炭素戻りライン25を備えている。二酸化炭素戻りライン25の一端は、燃焼排ガス移送ライン24に接続されており、二酸化炭素戻りライン25の他端は、第2風箱16に接続されている。燃焼室7で発生した二酸化炭素の一部は、二酸化炭素戻りライン25を通って燃焼室7に戻され、残りの二酸化炭素は、燃焼排ガス移送ライン24を通ってメタネーション反応器3に送られる。 【0018】 電気分解装置2によって生成された酸素は、酸素移送ライン30および二酸化炭素戻りライン25を通って燃焼室7に送られる。酸素移送ライン30の一端は電気分解装置2に接続され、酸素移送ライン30の他端は二酸化炭素戻りライン25に接続されている。酸素は、二酸化炭素戻りライン25を流れる二酸化炭素に混合される。二酸化炭素戻りライン25を流れる二酸化炭素および酸素の混合体は、第2流動化ガスとして、燃焼室7内に導かれ、燃焼室7内の流動媒体を流動させる。本実施形態では、第2流動化ガス供給ライン12は、燃焼排ガス移送ライン24の一部と、二酸化炭素戻りライン25と、酸素移送ライン30から少なくとも構成されている。」 「【0029】 原料の残渣は、燃焼室7内で燃焼し、二酸化炭素を発生する。二酸化炭素は、排ガス出口22を通じて燃焼室7から排出され、燃焼排ガス移送ライン24を通ってメタネーション反応器3に移送される。メタネーション反応器3は、その内部にメタネーション触媒(図示せず)を有しており、二酸化炭素と水素とを反応させてメタンと水(H2O)を生成する。このように、メタネーション反応器3に流入した二酸化炭素と水素は、メタンと水に変換されるので、二酸化炭素は大気中に放出されない。生成されたメタンは、メタン移送ライン53を通って移送され、生成された水は、ドレイン54を通ってメタネーション反応器3から排出される。」 「【0033】 電気分解装置2は、水を水素と酸素に電気分解する装置である。電気分解装置2は、水供給ライン60に接続されており、水(H2O)は水供給ライン60を通じて電気分解装置2に供給される。電気分解装置2は、さらにCO2フリー発電機62に電気的に接続されている。CO2フリー発電機62は、再生可能エネルギーによって駆動される発電機であり、発電のために二酸化炭素を発生しない。再生可能エネルギーの例としては、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマス(動植物に由来する有機物)などが挙げられる。本実施形態では、このようなCO2フリー発電機62によって生成されたCO2フリー電力が電気分解装置2に供給される。CO2フリー発電機62の発電量変動を吸収するために、CO2フリー発電機62によって生成されたCO2フリー電力を一旦蓄電池(図示せず)に溜め、蓄電池から電気分解装置2にCO2フリー電力を供給してもよい。」 「【図1】 [図:0001439178000012.jpg] 」 コ 参考資料2について (ア)参考資料2の記載 参考資料2には、次の記載事項がある。 ただし、申立人は、上記意見書の4頁26行~27行において、「参考資料2の検索条件は参考資料3参照」と述べているが、参考資料3の記載を参酌しても、参考文献2のURL及び保存日を確認することができない。 「thermal NOxは○1燃焼温度が高いほど、○2燃焼領域での酸素濃度が高いほど、○3高温域での燃焼ガスの滞留時間が長いほど、多量に発生する。また、fuel NOxは燃焼領域での酸素濃度が高いほど多く発生する。」(150頁27行~29行。なお、「○数字」は数字を丸囲みしたもの。) サ 参考資料3について (ア)参考資料3の記載 参考資料3には、次の記載事項がある。 「www.env.go.jp/earth/coop/coop/document/02-apctmj1/02-apctmj1-0708.pdf」(「ページURL」の欄) (2)対比・判断 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲3発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 a 後者の「燃焼用の一次空気と循環排ガスの混合ガス」は、燃焼用の一次空気に酸素が含まれているから、前者の「酸化剤」に相当する。 また、後者の「乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5c」は、前者の「複数のストーカ」に相当し、同様に、「排ガス」は「燃焼排ガス」に、「循環排ガス」は「再循環ガス」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「循環排ガスに一次空気を混合した気体」は、前者の「再循環ガスに酸素を混合した気体」に相当する。 また、後者の「一次空気供給手段II、循環排ガス供給手段IV並びに乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cの下方の風箱からなる混合ガス供給手段」は、前者の「酸化剤供給手段」に相当する。 また、後者の「酸素濃度調整手段」は、前者の「酸素濃度調整手段」に相当し、同様に、「焼却炉I」は「ストーカ式焼却炉」に相当する。 そうすると、後者の「下方から燃焼用の一次空気と循環排ガスの混合ガスを供給する乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cと、排ガスを再循環させた循環排ガスに一次空気を混合した気体を混合ガスとして前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給する一次空気供給手段II、循環排ガス供給手段IV並びに乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cの下方の各風箱からなる混合ガス供給手段と、前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給される前記混合ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cごとに調整する酸素濃度調整手段とを備える焼却炉I」は、 前者の「下方から酸化剤を供給する複数のストーカと、燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給する酸化剤供給手段と、前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整する酸素濃度調整手段とを備えるストーカ式焼却炉」に相当する。 b 後者の「バグフィルタ11」は、前者の「バグフィルタ」に相当する。 そして、後者の「前記焼却炉Iから排出された排ガスの除塵をするバグフィルタ11」と、 前者の「アルカリ薬剤を吹き込むことで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するろ布を備えるバグフィルタ」とは、 「前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の煤塵を除去するバグフィルタ」という限りにおいて一致する。 c 後者の「送風機15」は、前者の「再循環送風機」に相当する。 そして、後者の「前記バグフィルタ11を経て除塵された排ガスを前記循環排ガスとして前記混合ガス供給手段に供給する送風機15」と、 前者の「前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去され前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記酸化剤供給手段に供給する再循環送風機」とは、 「前記バグフィルタを経て煤塵が除去された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記酸化剤供給手段に供給する再循環送風機」という限りにおいて一致する。 d 後者の「前記後燃焼火格子5cの温度を測定する後燃焼火格子の温度測定手段」と、 前者の「前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段」とは、 「前記複数のストーカに関する所定の状態を検出する状態検出手段」という限りにおいて一致する。 e 後者の「前記後燃焼火格子5c」は、前者の「前記複数のストーカのうち所定のストーカ」に相当する。 また、後者の「前記一次空気の供給量を制御する」ことは、一次空気に含まれる酸素の供給量を制御することになり、前者の「酸化剤」に相当する後者の「混合ガス」の酸素濃度を制御することになるから、前者の「前記酸化剤の酸素濃度を制御する」ことに相当する。 そして、後者の「前記後燃焼火格子の温度測定手段で測定された前記後燃焼火格子5cの温度に応じて、前記後燃焼火格子5cに供給される前記一次空気の供給量を制御する制御手段」と 前者の「前記燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段」とは、 「前記状態検出手段で検出された複数のストーカに関する所定の状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段」という限りにおいて一致する。 f 後者の「廃棄物焼却装置」は、前者の「燃焼システム」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲3発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「下方から酸化剤を供給する複数のストーカと、燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給する酸化剤供給手段と、前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整する酸素濃度調整手段とを備えるストーカ式焼却炉と、 前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の煤塵を除去するバグフィルタと、 前記バグフィルタを経て煤塵が除去された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記酸化剤供給手段に供給する再循環送風機と、 前記複数のストーカに関する所定の状態を検出する状態検出手段と、 前記状態検出手段で検出された複数のストーカに関する所定の状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とを備える、 燃焼システム。」 [相違点3-1] 「前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の煤塵を除去するバグフィルタ」に関し、本件発明1では、「アルカリ薬剤を吹き込むことで」、「燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するろ布を備える」のに対して、甲3発明1では、かかる事項は特定されていない点。 [相違点3-2] 本件発明1では、「前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段」を備えるのに対して、甲3発明1では、かかる事項を備えていない点。 [相違点3-3] 「前記バグフィルタを経て煤塵が除去された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記酸化剤供給手段に供給する再循環送風機」に関し、本件発明1では、「燃焼排ガス」が、「前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去され前記水分離手段で水分が分離された」ものであるのに対して、甲3発明1では、「排ガス」が、「前記バグフィルタ11を経て除塵された」ものである点。 [相違点3-4] 本件発明1では、「前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段」を備えるのに対して、甲3発明1では、かかる事項を備えていない点。 [相違点3-5] 本件発明1では、「前記水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置とを備え、 前記再循環ガスに混合する前記酸素として、前記水電気分解装置における電気分解によって発生させた酸素を用いる」のに対して、甲3発明1では、かかる事項を備えていない点。 [相違点3-6] 「前記複数のストーカに関する所定の状態を検出する状態検出手段と、 前記状態検出手段で検出された複数のストーカに関する所定の状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とを備える」ことに関し、 本件発明1では、「前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、 前記燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とを備える」のに対して、 甲3発明1では、「前記後燃焼火格子5cの温度を測定する後燃焼火格子の温度測定手段と、 前記後燃焼火格子の温度測定手段で測定された前記後燃焼火格子5cの温度に応じて、前記後燃焼火格子5cに供給される前記一次空気の供給量を制御する制御手段とを備える」点。 (イ)判断 事案に鑑み、相違点3-5について検討する。 甲8の段落【0024】及び【0033】の記載事項並びに図1の図示事項によれば、甲8の技術事項は、燃焼装置2において、燃焼排ガスの再循環を行っておらず、燃焼装置2等の小型化を図るため、水電気分解装置9における電気分解によって発生した酸素を利用した酸素富化ガスが燃焼装置2へ供給され、燃焼用空気Aと酸素富化ガスを混合して燃焼させるものである。 一方、甲3発明1は、廃棄物焼却装置において、排ガスを再循環させた循環排ガスに一次空気を混合した気体を混合ガスとして前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給するものである。 そうすると、甲3発明1と甲8の技術事項とは、燃焼装置への酸化剤の供給についての前提構成が異なるため、甲3発明1に甲8の技術事項を適用する動機付けは認められない。 仮に、甲3発明1に甲8の技術事項を適用するとしても、甲8の技術事項では、燃焼装置等の小型化を図るため、燃焼排ガス内のCO2 量の減少を図るべく、燃焼用空気と酸素富化ガスを混合して燃焼させる必要があることから、甲3発明1においては、燃焼用空気と酸素富化ガスを混合した気体が混合ガスとして乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給されることになり、一致点に係る本件発明1の「燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給する酸化剤供給手段」を備えないものとなってしまうので、阻害要因が認められる。 なお、参考資料1~参考資料3の記載事項ないし図示事項を参酌しても、上記相違点3-5に係る本件発明1の構成が、本件特許の出願前に周知又は慣用の技術であったとは認められない。 したがって、甲3発明1において、上記相違点3-5に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 そして、本件発明1は、上記相違点3-5に係る構成を備えることによって、「燃焼排ガスから分離回収した水分を電気分解することで発生させた酸素を酸化剤の一部として使用することで、酸化剤として使用する酸素を廃棄物処理プロセスの系内で賄うことができ、酸素を輸送又は発生させるためのエネルギを節約することができる。」という効果を奏する。 以上から、本件発明1は、相違点3-1~相違点3-4及び相違点3-6を検討するまでもなく、甲3発明1、甲5の技術事項1、甲6の技術事項1、甲7の技術事項、甲8の技術事項、及び、他の甲号証及び参考資料の記載事項ないし図示事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について (ア)対比 本件発明1を引用する本件発明2と甲3発明2とは、少なくとも上記ア(ア)の相違点3-1~相違点3-6で相違する。 (イ)判断 そうすると、上記ア(イ)と同様の理由により、本件発明2は、甲3発明2、甲5の技術事項1、甲6の技術事項1、甲7の技術事項、甲8の技術事項、及び、他の甲号証及び参考資料の記載事項ないし図示事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明5について (ア)対比 本件発明5と甲3発明3とを、上記ア(ア)の対比を踏まえて、対比する。 a 後者の「下方から燃焼用の一次空気と循環排ガスの混合ガスを供給する乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cを備えた焼却炉Iを用いた燃焼方法」は、 前者の「下方から酸化剤を供給する複数のストーカを備えたストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法」に相当する。 b 後者の「排ガスを再循環させた循環排ガスに一次空気を混合した気体を混合ガスとして前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給するステップ」は、 前者の「燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給するステップ」に相当する。 c 後者の「前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給される前記混合ガスの酸素濃度を前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cごとに調整するステップ」は、 前者の「前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整するステップ」に相当する。 d 後者の「前記焼却炉Iから排出された排ガスをろ過することで当該排ガスの除塵をするステップ」と、 前者の「アルカリ薬剤が吹き込まれたろ布で前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するステップ」とは、 「前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の煤塵を除去するステップ」という限りにおいて一致する。 e 後者の「前記除塵された排ガスを前記循環排ガスとして前記乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cに供給するステップ」と、 前者の「前記煤塵や酸性成分が除去され前記水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記複数のストーカに供給するステップ」とは、 「前記煤塵が除去された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記複数のストーカに供給するステップ」という限りにおいて一致する。 f 後者の「前記後燃焼火格子5cの温度を測定する後燃焼火格子の温度測定ステップ」と、 前者の「前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出ステップ」とは、 「前記複数のストーカに関する所定の状態を検出する状態検出ステップ」という限りにおいて一致する。 g 後者の「前記後燃焼火格子5c」は、前者の「前記複数のストーカのうち所定のストーカ」に相当する。 また、後者の「前記一次空気の供給量を制御する」ことは、一次空気に含まれる酸素の供給量を制御することになり、前者の「酸化剤」に相当する後者の「混合ガス」の酸素濃度を制御することになるから、前者の「前記酸化剤の酸素濃度を制御する」ことに相当する。 そして、後者の「前記後燃焼火格子の温度測定ステップで測定された前記後燃焼火格子5cの温度に応じて、前記後燃焼火格子5cに供給される前記一次空気の供給量を制御する制御ステップ」と 前者の「前記燃焼状態検出ステップで検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御ステップ」とは、 「前記状態ステップで検出された複数のストーカに関する所定の状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御ステップ」という限りにおいて一致する。 以上のことから、本件発明5と甲3発明3との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「下方から酸化剤を供給する複数のストーカを備えたストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法であって、 燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給するステップと、 前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整するステップと、 前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の煤塵を除去するステップと、 前記煤塵が除去された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記複数のストーカに供給するステップと、 前記複数のストーカに関する所定の状態を検出する状態検出ステップと、 前記状態ステップで検出された複数のストーカに関する所定の状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御ステップとを備える、 燃焼方法。」 [相違点3-7] 「前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の煤塵を除去するステップ」に関し、本件発明5では、「アルカリ薬剤が吹き込まれたろ布」で「当該燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去する」のに対して、甲3発明3では、かかる事項は特定されていない点。 [相違点3-8] 本件発明5では、「前記煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離するステップ」を備えているのに対して、甲3発明3では、かかるステップを備えていない点。 [相違点3-9] 「前記煤塵が除去された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記複数のストーカに供給するステップ」に関し、本件発明5では、「燃焼排ガス」が「前記煤塵や酸性成分が除去され前記水分が分離された」ものであるのに対して、甲3発明3では、「排ガス」が「前記除塵された」ものであり、かかる事項は特定されていない点。 [相違点3-10] 本件発明5では、「前記水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップ」を備えているのに対して、甲3発明3では、かかるステップを備えていない点。 [相違点3-11] 本件発明5では、「前記水分を分離するステップで分離した水を電気分解する水電気分解ステップとを備え、 前記再循環ガスに混合する前記酸素として、前記水電気分解ステップで発生させた酸素を用いる」のに対して、甲3発明3では、かかる事項を備えていない点。 [相違点3-12] 「前記複数のストーカに関する所定の状態を検出する状態検出ステップと、 前記状態ステップで検出された複数のストーカに関する所定の状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御ステップ」ことに関し、 本件発明5では、「前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出ステップと、 前記燃焼状態検出ステップで検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御ステップとを備える」のに対して、 甲3発明3では、「前記後燃焼火格子5cの温度を測定する後燃焼火格子の温度測定手段と、 前記後燃焼火格子の温度測定手段で測定された前記後燃焼火格子5cの温度に応じて、前記後燃焼火格子5cに供給される前記一次空気の供給量を制御する制御手段とを備える」点。 (イ)判断 本件発明5は、燃焼システムである本件発明1で実行される制御方法を特定したものであり、相違点3-7~相違点3-12は相違点3-1~相違点3-6と、それぞれ実質的に同じである。 そうすると、本件発明5は、上記アの本件発明1についての検討を踏まえると、甲3発明3、甲5の技術事項2、甲6の技術事項2、甲7の技術事項、甲8の技術事項、及び、他の甲号証及び参考資料の記載事項ないし図示事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 まとめ 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1、2及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 第6 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項1、2及び5に係る特許は、特許法第29条の2の規定及び同法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、同法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものではない。 また、他に本件特許の請求項1、2及び5に係る特許に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件訂正により請求項3及び4が削除されたため、本件特許の請求項3及び4に係る特許に対する特許異議の申立ては、その対象となる特許が存在しなくなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701037

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