2021-700785
家畜疾病管理システム、家畜疾病管理サーバ、家畜疾病管理方法、及び家畜疾病管理プログラム
- 審判番号
- 2021-700785
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-034140外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6828928
- 請求日
- 2021年08月06日
- 審決日
- 2022年09月07日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社Eco‐Pork
- 【権利者代理人】前川 直輝
- 【異議申立人】佐藤 義光
- 分類
- P1651.121-ZDA(G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 26項目
第1 手続の経緯
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特許第6828928号の請求項1~16に係る特許(以下、本件特許という。)についての出願は、令和2年2月28日に出願され、令和3年1月25日にその特許権の設定登録がされ、令和3年2月10日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
第2 補正の適否
本件特許に係る発明は、上記経緯のとおり、令和4年1月13日に訂正請求がなされ、同年3月17日に該訂正請求について手続補正がなされているので、まず、上記手続補正(以下、本件補正という。)について検討する。
1 令和4年1月13日にされた訂正請求の内容
上記訂正請求にてなされた訂正事項は、概略以下のとおりである。
訂正事項1
請求項1の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載に訂正する。
(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する2~5、及び13も同様に訂正する。)
訂正事項2
請求項6を削除する。
訂正事項3
請求項7の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項7の記載に訂正する。
(請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する8及び13も同様に訂正する。)
訂正事項4
請求項9の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項9の記載に訂正する。
(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する10及び13も同様に訂正する。)
訂正事項5
請求項11の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項11の記載に訂正する。
(請求項11の記載を直接的に引用する13も同様に訂正する。)
訂正事項6
請求項12の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項12の記載に訂正する。
(請求項12の記載を直接的に引用する13も同様に訂正する。)
訂正事項7
請求項13の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項13の記載に訂正する。
訂正事項8
請求項14の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項14の記載に訂正する。
訂正事項9
請求項15の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項15の記載に訂正する。
訂正事項10
請求項16の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項16の記載に訂正する。
2 令和4年3月17日になされた訂正請求書の補正について
当該補正により、訂正事項は概略以下のとおりとなった。
訂正事項1
請求項1の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載に訂正する。
(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する2~5、7、8及び13も同様に訂正する。)
訂正事項2
請求項6を削除する。
訂正事項3
請求項9の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項9の記載に訂正する。
(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する10及び13も同様に訂正する。)
訂正事項4
請求項11の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項11の記載に訂正する。
(請求項11の記載を直接的に引用する13も同様に訂正する。)
訂正事項5
請求項12の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項12の記載に訂正する。
(請求項12の記載を直接的に引用する13も同様に訂正する。)
訂正事項6
請求項13の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項13の記載に訂正する。
訂正事項7
請求項14の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項14の記載に訂正する。
訂正事項8
請求項15の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項15の記載に訂正する。
訂正事項9
請求項16の記載を訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項16の記載に訂正する。
3 判断
以上のとおり、補正前の訂正事項と補正後の訂正事項を比べると、本件補正は、本件補正前の訂正事項3を削除する補正であることは明白であって、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
したがって、令和4年3月17日になされた訂正請求書の補正は、特許法120条の5第9項で準用する同法131条の2第1項に適合する。
第3 訂正の適否
以上のとおり、令和4年3月17日になされた訂正請求書の補正は適法なものと認められたから、以下、上記補正後の訂正請求書に記載された訂正事項について検討する。
1 訂正請求の内容
本件訂正請求は、令和4年3月17日に補正された訂正請求書、訂正特許請求の範囲のとおり、特許第6828928号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、訂正請求の内容は、次のとおりである。
2 訂正請求の趣旨、一群の請求項について
訂正前の請求項1~13について、請求項2~13はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1-1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~13は、特許法120条の5第4項に規定される一群の請求項に該当するものである。
また、訂正前の請求項14、15、16は、他の請求項と引用関係を有しない請求項である。
よって、本件訂正請求は、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕、14、15、16について訂正することを求めるものである。
3 訂正事項
本件訂正に係る訂正事項は以下のとおりである。
(1)訂正事項1-1
請求項1に「家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報取得する飼養状況取得部」とあるのを、「家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部」と訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する2~5、7、8及び13も同様に訂正する。
(2)訂正事項1-2
請求項1に「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定部」とあるのを、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定し、さらに2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価して疾病リスクを推定する疾病リスク推定部」と訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する2~5、7、8及び13も同様に訂正する。
(3)訂正事項2
訂正前の請求項6を削除する。
(4)訂正事項3-1(「/」は改行を示す。以下同じ。)
請求項9に「前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、」、「さらに備える/請求項1から8のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。」とあるのを、「家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、/前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定部と、を備え、/前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、」、「さらに備える、家畜疾病管理システム。」と訂正する。
請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する10及び13も同様に訂正する。
(5)訂正事項3-2
請求項9に「当該所定の条件を満たした家畜に関する情報を記憶する疾病発症管理記憶部」とあるのを、「当該所定の条件を満たした家畜に関する情報を記憶し、情報の変更に対しロックをかける疾病発症管理記憶部」と訂正する。
請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する10及び13も同様に訂正する。
(6)訂正事項4-1
請求項11に「前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、」、「さらに備える/請求項1から10のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。」とあるのを、「家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、/前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定部と、を備え、/前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、」、「さらに備える、家畜疾病管理システム。」と訂正する。
請求項11の記載を直接的に引用する13も同様に訂正する。
(7)訂正事項4-2
請求項11に「所定の連絡先に通知を行う報知部」とあるのを、「複数の獣医師の中から所定の選択基準を満たす獣医師の連絡先に通知を行う報知部」と訂正する。
請求項11の記載を直接的に引用する13も同様に訂正する。
(8)訂正事項5
請求項12に「前記家畜の疾病リスクを含む疾病管理情報を所定の書式に変換する書式変換部をさらに備える/請求項1から11のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。」とあるのを、「家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、/前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定部と、を備え、/前記家畜の疾病リスクを含む疾病管理情報を所定の書式に変換する書式変換部をさらに備える、家畜疾病管理システム。」と訂正する。
請求項12の記載を直接的に引用する13も同様に訂正する。
(9)訂正事項6
請求項7に「請求項1から6のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。」、請求項13に「請求項1から12のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。」とあるのを、それぞれ、「請求項1から5のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。」、「請求項1から5及び7から12のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。」と訂正する。
(10)訂正事項7
請求項14に「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定部」とあるのを、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定し、さらに2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価して疾病リスクを推定する疾病リスク推定部」と訂正する。
(11)訂正事項8
請求項15に「疾病リスク推定部が、前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定ステップ」とあるのを、「疾病リスク推定部が、前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定し、さらに2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価して疾病リスクを推定する疾病リスク推定ステップ」と訂正する。
(12)訂正事項9
請求項16に「前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況と、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定ステップ」とあるのを、「前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定し、さらに2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価して疾病リスクを推定する疾病リスク推定ステップ」と訂正する。
なお、訂正前の請求項1~13は、請求項13が「前記家畜は豚である、/請求項1から12のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。」との記載であり、上記各請求項は引用関係にあるから、本件訂正のうち、訂正事項1~6は一群の請求項1~13について請求されている。
4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1-1
訂正事項1-1に係る請求項1についての訂正は、訂正前の「飼養状況情報取得する飼養状況取得部」の記載では、「飼養状況情報」の係り受けが不明であり「飼養状況取得部」の構成が明確ではなかったのに対し、「飼養状況情報を取得する飼養状況取得部」の記載とすることで、「飼養状況取得部」が「飼養状況情報」を取得する構成であることが明確となったから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該構成は発明の詳細な説明に、「飼養状況取得部112は、畜舎101に設置されたカメラ102から飼養状況情報として図2のような豚P1、P2、P3を含む畜舎101内の画像情報を取得する機能を有する。また、飼養状況取得部112は、飼養状況情報として、畜舎101のマイク103からの音情報、臭気センサ104からの臭気情報、温湿度センサ105からの温湿度情報、空気流量センサ106からの空気流量情報、気圧センサ107からの気圧情報を取得可能である。」(【0042】)の記載があるから、新規事項の追加に該当しない。
また、上記訂正により実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項1-2
訂正事項1-2に係る請求項1についての訂正は、訂正前の「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定部」の記載を、訂正後の「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定し、さらに2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価して疾病リスクを推定する疾病リスク推定部」の記載とするものである。
上記訂正により、「疾病リスク推定部」が、疾病リスクを推定する際に「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定」する構成をさらに有する構成であること、及び「家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価」する構成をさらに有する構成であることに限定された。
したがって、訂正事項1-2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、当該構成は発明の詳細な説明に、「疾病リスク推定部115は、画像情報だけでなく、音情報、臭気情報等の他の飼養状況情報を用いて、疾病リスク量を算出可能である。例えば疾病リスク推定部115は、音情報から豚の呼吸状態(呼吸音、呼吸数、咳、くしゃみ、鳴き声)に関する病状を比較可能であり、臭気情報から豚の排泄物の状態(下痢等)に関する病状と比較可能である。」(段落【0058】)、「また、疾病リスク推定部115は、豚自体の状況からだけでなく、豚が置かれている環境に基づいて疾病リスク量の妥当性を評価してもよい。つまり環境情報が類似する2以上の畜舎において飼養される肉豚群において、例えば双方の活動度を比較することで飼育環境のみの差による活動量の低下という誤検知の状況を比較する等して疾病リスクを推定してもよい。」(段落【0060】)などの記載があるから新規事項の追加に該当しない。
また、上記訂正により実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項2、6
訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項6を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項6は、訂正前の、請求項6の記載を引用する請求項7、請求項13の記載について、訂正事項2により請求項6が削除されたことにより、それぞれ、請求項6の記載の引用を削除する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項3-1
訂正事項3-1に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項9について請求項1との引用関係を解消するものであるから、引用関係の解消を目的としており、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項3-2
訂正事項3-2に係る請求項9についての訂正は、訂正前の「当該所定の条件を満たした家畜に関する情報を記憶する疾病発症管理記憶部」の記載を、訂正後の「当該所定の条件を満たした家畜に関する情報を記憶し、情報の変更に対しロックをかける疾病発症管理記憶部」の記載とするものである。
上記訂正により、「疾病発症管理記憶部」が、家畜に関する情報を記憶することに加えて「情報の変更に対しロックをかける」構成をさらに有する構成であることが限定された。
したがって、訂正事項3-2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、当該構成は発明の詳細な説明に、「この疾病発症DB114に記憶されている情報は、容易に情報が改変、改ざんができないように情報の変更に対してロックをかけたり、特定の運営者又は飼養者にのみ編集権限が付与されたり、している。」(段落【0049】)などの記載があるから新規事項の追加に該当しない。
また、上記訂正により実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6)訂正事項4-1
訂正事項4-1に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項11について請求項1との引用関係を解消するものであるから、引用関係の解消を目的としており、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(7)訂正事項4-2
訂正事項4-2に係る請求項11についての訂正は、訂正前の「所定の連絡先に通知を行う報知部」の記載を、訂正後の「複数の獣医師の中から所定の選択基準を満たす獣医師の連絡先に通知を行う報知部」の記載とするものである。
上記訂正により、「報知部」が通知する所定の連絡先について、「複数の獣医師の中から所定の選択基準を満たす獣医師の連絡先」の構成をさらに有する構成であることが限定された。
したがって、訂正事項4-2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、当該構成は発明の詳細な説明に、「通知を行う獣医師は、畜舎にかかりつけの獣医師がいる場合は、予め畜舎と紐づけて獣医師を設定しておいてもよい。又は、報知部116が獣医師DB117に記憶されている獣医の中から適した獣医を選択して、1又は複数の獣医に通知を行ってもよい。当該報知部116における選択基準としては、畜舎に近いことや、営業日及び営業時間であること、専門分野が適当であること等がある。」(段落【0064】)などの記載があるから新規事項の追加に該当しない。
また、上記訂正により実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(8)訂正事項5
訂正事項5に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項12について請求項1との引用関係を解消するものであるから、引用関係の解消を目的としており、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(9)訂正事項7-訂正事項9
訂正事項7-訂正事項9に係る訂正は、「家畜疾病管理システム」の発明である請求項1の発明のカテゴリを、それぞれ、「家畜疾病管理サーバ」、「家畜疾病管理方法」、「家畜疾病管理プログラム」のカテゴリとした発明である請求項14-請求項16の記載を、請求項1に対する訂正である訂正事項1-2と同様に訂正したものである。
したがって、訂正事項7-訂正事項9は、訂正事項1-2で判断したのと同様、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(10)小括
上記のとおり、訂正事項1-1ないし9に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、上記訂正事項に係る請求項の特許については、それぞれ特許異議申立がなされているので、独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕、14、15、16について訂正することを認める。
第4 本件発明
請求項1~5、7~16に係る発明は、令和4年3月17日に補正された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~5、7~16に記載された以下のとおりの発明である。(以下、各請求項に係る発明を本件発明1、本件発明2などという。)
【請求項1】
家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、
前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定し、さらに2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価して疾病リスクを推定する疾病リスク推定部と、
を備える家畜疾病管理システム。
【請求項2】
前記疾病リスク推定部は、前記画像情報から抽出した家畜の外観から前記家畜の状況を解析し、当該家畜の状況に応じた疾病リスクを推定する、
請求項1に記載の家畜疾病管理システム。
【請求項3】
前記疾病リスク推定部は、前記画像情報から抽出した家畜の活動量から前記家畜の状況を解析し、当該家畜の状況に応じた疾病リスクを推定する、
請求項1又は2に記載の家畜疾病管理システム。
【請求項4】
前記飼養状況取得部は、前記家畜のいる空間にて発せられる音を前記飼養状況情報として取得し、
前記疾病リスク推定部は、前記飼養状況取得部により取得した前記音から前記家畜の状況を解析し、当該家畜の状況に応じた疾病リスクを推定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。
【請求項5】
前記飼養状況取得部は、前記家畜のいる空間にて発せられる臭気を前記飼養状況情報として取得し、
前記疾病リスク推定部は、前記飼養状況取得部により取得した前記臭気から前記家畜の状況を解析し、当該家畜の状況に応じた疾病リスクを推定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
前記疾病リスク推定部は、前記家畜の状況に応じた疾病リスクを、疾病種類別に推定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。
【請求項8】
前記疾病リスク推定部は、前記家畜の状況に応じた疾病リスクを、少なくとも呼吸器系疾病、消化器系疾病、神経系疾病を含む疾病種類別に推定する、
請求項7に記載の家畜疾病管理システム。
【請求項9】
家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、
前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定部と、を備え、
前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、当該所定の条件を満たした家畜に関する情報を記憶し、情報の変更に対しロックをかける疾病発症管理記憶部を、さらに備える、家畜疾病管理システム。
【請求項10】
前記疾病発症管理記憶部に記憶された家畜に関する情報は、前記家畜の飼養者に閲覧可能である
請求項9に記載の家畜疾病管理システム。
【請求項11】
家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、
前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定部と、を備え、
前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、複数の獣医師の中から所定の選択基準を満たす獣医師の連絡先に通知を行う報知部を、さらに備える、家畜疾病管理システム。
【請求項12】
家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、
前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び、2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた疾病リスクを推定する疾病リスク推定部と、を備え、
前記家畜の疾病リスクを含む疾病管理情報を所定の書式に変換する書式変換部をさらに備える、家畜疾病管理システム。
【請求項13】
前記家畜は豚である、
請求項1から5及び7から12のいずれか一項に記載の家畜疾病管理システム。
【請求項14】
家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、
前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定し、さらに2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価して疾病リスクを推定する疾病リスク推定部と、
を備える家畜疾病管理サーバ。
【請求項15】
飼養状況取得部が、家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記畜舎ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得ステップと、
疾病リスク推定部が、前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定し、さらに2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価して疾病リスクを推定する疾病リスク推定ステップと、
を備える家畜疾病管理方法。
【請求項16】
家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の畜舎ごとの環境情報を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得ステップと、
前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定し、さらに2以上の畜舎について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記疾病リスクの妥当性を評価して疾病リスクを推定する疾病リスク推定ステップと、
をコンピュータに実行させる家畜疾病管理プログラム。
第5 取消理由(決定の予告)の概要
請求項1~5、7、8、13~16に係る特許に対して、当審が令和4年5月19日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
(理由1)
請求項1~5、7、8、13~16に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証~甲第6号証に記載された技術を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1~5、7、8、13~16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
第6 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 本件発明1
本件発明1は、上記第4に示したとおりである。
イ 各甲号証の記載
取消理由通知において引用した各甲号証には以下の事項が記載されている。
(ア)甲第1号証(中国特許出願公開第110779575号明細書)の記載及び引用発明
甲第1号証には以下のとおりの記載がある。
[図:0001393064000001.jpg]
[図:0001393064000002.jpg]
(当審訳)
[0008]ビッグデータプラットフォームに基づく家畜監視システムであって、互いに通信可能に接続された検知端末と上位コンピュータとを備え、前記検知端末は、畜産場サイトに設置され、畜産場サイトの環境情報および飼育動物の画像情報を検出して上位コンピュータに送信し、前記上位コンピュータは、以下のように使用される。
[0009]受信した飼育動物の画像情報に基づいて、飼育動物の健康状態を判断し、自畜産場の環境情報と飼育動物の健康状態をクラウドプラットフォームに送信すること。
[0010]クラウドプラットフォームから、他の畜産場の環境情報や飼育動物の健康状態を受信し、自畜産場の環境情報や飼育動物の健康状態と比較して、自畜産場の飼育動物の健康状態を予測すること。
[0011]本発明が提供する技術的解決策では、畜産場の上位コンピュータは、クラウドプラットフォームを通じて、他の畜産場の環境状況や飼育動物の健康状態を受信することができ、飼育動物の健康状態は、ほとんどが環境に関連しているので、自畜産場の環境情報と他の畜産場の環境情報を比較することで、飼育動物の健康状態を予測することができる。
[0012]さらに、前記検知端末は、通信装置に接続されたターミナルプロセッサと、ダストセンサ、光センサ、ガスセンサ、温湿度センサからなり、前記通信装置は前記上位コンピュータと通信可能に接続され、前記ガスセンサは、二酸化炭素センサ、アンモニアセンサ、酸素センサからなることを特徴とする。
[0013]畜産場の動物に最も影響を与える環境要因は、環境の温度、湿度、二酸化炭素濃度、アンモニア濃度、酸素濃度なので、温湿度センサ、二酸化炭素センサ、アンモニアセンサ、酸素センサを畜産場に設置する必要がある。
[0014]さらに、上位コンピュータは、飼育動物の画像情報を受信した後、飼育動物の画像情報に基づいて飼育動物の活動頻度を取得し、飼育動物の活動頻度が設定された頻度よりも低い場合には、飼育動物の健康状態が異常であると判断する。
[0015]動物の健康状態に異常があると活動が低下するので、飼育動物の活動頻度に応じて、健康状態に異常があるかどうかを正確に判断することができる。
[0016]さらに、上位コンピュータは、他の畜産場の環境情報や飼育動物の健康状態を受信した後、飼育動物の健康状態が異常な畜産場があれば、その畜産場との距離が設定値よりも小さいかどうかを判断し、小さい場合には、その畜産場の飼育動物の健康状態が危険であると判断する。
[0017]動物の病気には地域性があるものもあるので、同じ地域の他の畜産場で飼育されている動物の健康状態が問題になった場合、自畜産場で飼育されている動物の健康状態も危険にさらされる。
[0018]さらに、上位コンピュータが他の畜産場の環境情報と飼育動物の健康状態を受信した後、飼育動物の健康状態に異常がある場合、他の畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似度を計算し、両者の類似度が設定された類似度よりも大きい場合、自畜産場の飼育動物の健康状態が危険であると判断する。
[0019]動物の健康に最も影響を与えるのは環境なので、2つの畜産場の環境が同じであれば、一方の畜産場で飼育されている動物の健康に異常があれば、もう一方の畜産場で飼育されている動物の健康も危険にさらされることになる。
[0020]さらに、2つの畜産場の温度、湿度、ガス濃度の差が対応する設定差よりも小さい場合には、2つの畜産場の環境情報の類似性が設定類似性よりも大きいと判断される。
[0021]さらに、前記上位コンピュータと通信可能に接続されたユーザ端末をさらに備え、前記上位コンピュータが前記家畜の健康状態が異常または危険であると判断した場合に、前記ユーザ端末にアラームメッセージを送信することを特徴とする。
[0022]上位コンピュータと通信可能に接続されたユーザ端末は、畜産場で飼育されている動物の健康状態が異常であったり、危険があったりした場合に、タイムリーにアラームメッセージを送信することができるように設けられているので、タイムリーに対策を収集することができる。
[図:0001393064000003.jpg]
(当審訳)
[0029]本実施形態が提供するビッグデータプラットフォームに基づく家畜監視システムは、図1に示すような構造を有しており、上位コンピュータとn台の検知端末を含み、nは1以上の整数である。
[0030]各検知端末は、対応する飼育エリアに設置されており、検知端末はプロセッサを含み、図2に示すように、光センサ、ダストセンサ、カメラ、温湿度センサ、ガスセンサ、通信装置と接続されている。光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが飼育エリアに設置されており、温湿度センサは飼育エリアの温度情報と湿度情報を検出してプロセッサに送信し、光センサは飼育エリアの光強度情報を検出してプロセッサに送信し、ダストセンサは飼育エリアのダスト濃度情報を検出してプロセッサに送信し、カメラは,飼育エリアの画像を検出してプロセッサに送信するために使用され、ガスセンサには、二酸化炭素センサ、アンモニアセンサ、酸素センサがあり、飼育エリアの二酸化炭素濃度、アンモニア濃度、酸素濃度を検出し、プロセッサに送信する。
[0031]本実施形態では、プロセッサは89C52シリーズのマイクロコントローラであり、通信装置はRS485通信モジュールであり、RS485バス通信により上位コンピュータに接続されており、検知端末上でプロセッサと上位コンピュータとの情報のやり取りを実現している。プロセッサは、光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが収集したデータを受け取ると、通信機器を介して上位コンピュータに送信する。
[図:0001393064000004.jpg]
(当審訳)
[0033]プロセッサから送られてきたデータを受け取った上位コンピュータは、次のような処理を行う。
[0034]畜産場の画像情報をもとに、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断する。
[0035]飼育動物の健康状態に問題がある場合は活動量が低下するので、活動量から飼育動物の健康状態が異常であるかどうかを判断することができる。
[0036]本実施形態の畜産場の画像情報に基づいて、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断する方法は
[0037]画像から飼育動物を特定し、その動物の各活動をカウントして、1分間の動物の活動数を得ること。
[0038]その動物の1分間の活動回数が設定された回数より少ないかどうかを判断し、少ない場合はテストを継続する。
[0039]連続した5分間の動物の活動回数が設定された回数よりも少ない場合、動物の健康状態が異常であると判断される。
[図:0001393064000005.jpg]
(当審訳)
[0040]上位コンピュータは、飼育動物の健康情報を判定した後、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、飼育動物の健康状態をクラウドプラットフォームにアップロードし、クラウドプラットフォームに接続された他の畜産場の監視システムは、クラウドプラットフォームを通じて、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、飼育動物の健康状態を閲覧することができる。同様に、畜産場の上位コンピュータは、クラウドプラットフォームを介して、他の畜産場の光強度、ダストの濃度、温度、湿度、ガス濃度、飼育動物の健康状態などにもアクセスできる。
[0041]上位コンピュータは、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態を、クラウドプラットフォーム上の他の畜産場の光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態と比較することで、飼育動物の健康状態に起こりうるリスクを予測することができる。
[図:0001393064000006.jpg]
(当審訳)
[0043](1) 上位コンピュータから、他の畜産場の光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、飼育動物の健康状態を取得し、飼育動物の健康状態に異常がある飼育動物がいるかどうかを判断すること。
[0044]畜産場の飼育動物の健康状態に異常が見られる場合は、図4に示すように、この畜産場と自畜産場の距離を計算し、この距離が設定した距離よりも小さい場合は、自畜産場の飼育動物の健康状態が危険であると判断する。
[0045](2) 上位コンピュータから光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、他の畜産場の飼育動物の健康状態を取得した後、いずれかの畜産場の飼育動物の健康状態が異常であるかどうかを判断する。
[0046]飼育動物の健康状態に異常がある場合、該畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似性が設定された類似性よりも大きいかどうかを判断する。
[0047]異常が発生した畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似度が設定された類似度よりも大きい場合、図5に示すように、自畜産場の飼育動物の健康状態に異常があると判断する。
[0048]2つの畜産場の環境情報が設定値よりも大きいかどうかを判断する方法は、
[0049]2つの畜産場間の光強度差、ダスト濃度差、温度差、湿度差、酸素濃度差、二酸化炭素濃度差、アンモニア濃度差を算出し、それらが対応する設定差より大きいかどうかを判断し、
[0050]両畜産場の光強度の差、ダスト濃度の差、温度の差、湿度の差、酸素濃度の差、二酸化炭素濃度の差、アンモニア濃度の差が対応する設定差よりも小さい場合、両畜産場の環境情報の類似性は設定類似性よりも大きいと判断される。
甲第1号証の以上の記載によれば、甲第1号証には以下のとおりの発明(以下、引用発明という。)が記載されている。
「各検知端末は、対応する飼育エリアに設置されており、検知端末はプロセッサを含み、光センサ、ダストセンサ、カメラ、温湿度センサ、ガスセンサ、通信装置と接続され、([0030])光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが飼育エリアに設置され、([0030])温湿度センサは飼育エリアの温度情報と湿度情報を検出してプロセッサに送信し、光センサは飼育エリアの光強度情報を検出してプロセッサに送信し、ダストセンサは飼育エリアのダスト濃度情報を検出してプロセッサに送信し、カメラは、飼育エリアの画像を検出してプロセッサに送信し、ガスセンサには、二酸化炭素センサ、アンモニアセンサ、酸素センサがあり、飼育エリアの二酸化炭素濃度、アンモニア濃度、酸素濃度を検出し、プロセッサに送信し、([0030])プロセッサは、光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが収集したデータを受け取ると、通信機器を介して上位コンピュータに送信し、([0031])続きを表示(全16行)上位コンピュータは、飼育動物の健康情報を判定した後、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、飼育動物の健康状態をクラウドプラットフォームにアップロードし、([0040])畜産場の上位コンピュータは、クラウドプラットフォームを介して、他の畜産場の光強度、ダストの濃度、温度、湿度、ガス濃度、飼育動物の健康状態などにもアクセスでき、([0040])プロセッサから送られてきたデータを受け取った上位コンピュータは、畜産場の画像情報をもとに、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断し、([0033]、[0034])畜産場の画像情報に基づいて、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断する方法は、画像から飼育動物を特定し、その動物の各活動をカウントして、1分間の動物の活動数を得、その動物の1分間の活動回数が設定された回数より少ないかどうかを判断し、少ない場合はテストを継続し、連続した5分間の動物の活動回数が設定された回数よりも少ない場合、動物の健康状態が異常であると判断することであり、([0035]-[0039])上位コンピュータは、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態を、クラウドプラットフォーム上の他の畜産場の光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態と比較することで、飼育動物の健康状態に起こりうるリスクを予測することができ、([0041])上位コンピュータから光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、他の畜産場の飼育動物の健康状態を取得した後、いずれかの畜産場の飼育動物の健康状態が異常であるかどうかを判断し、([0045])飼育動物の健康状態に異常がある場合、該畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似性が設定された類似性よりも大きいかどうかを判断し、([0046])異常が発生した畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似度が設定された類似度よりも大きい場合、自畜産場の飼育動物の健康状態に異常があると判断する、([0047])ビッグデータプラットフォームに基づく家畜監視システム。([0008])」
また、上記引用発明の「家畜監視システム」は、以下のとおりの「上位コンピュータ」の発明(以下、「引用発明a」という)であるともいえる。
「各検知端末は、対応する飼育エリアに設置されており、検知端末はプロセッサを含み、光センサ、ダストセンサ、カメラ、温湿度センサ、ガスセンサ、通信装置と接続され、([0030])光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが飼育エリアに設置され、([0030])温湿度センサは飼育エリアの温度情報と湿度情報を検出してプロセッサに送信し、光センサは飼育エリアの光強度情報を検出してプロセッサに送信し、ダストセンサは飼育エリアのダスト濃度情報を検出してプロセッサに送信し、カメラは、飼育エリアの画像を検出してプロセッサに送信し、ガスセンサには、二酸化炭素センサ、アンモニアセンサ、酸素センサがあり、飼育エリアの二酸化炭素濃度、アンモニア濃度、酸素濃度を検出し、プロセッサに送信し、([0030])プロセッサは、光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが収集したデータを受け取ると、通信機器を介して上位コンピュータに送信し、([0031])続きを表示(全16行)上位コンピュータは、飼育動物の健康情報を判定した後、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、飼育動物の健康状態をクラウドプラットフォームにアップロードし、([0040])畜産場の上位コンピュータは、クラウドプラットフォームを介して、他の畜産場の光強度、ダストの濃度、温度、湿度、ガス濃度、飼育動物の健康状態などにもアクセスでき、([0040])プロセッサから送られてきたデータを受け取った上位コンピュータは、畜産場の画像情報をもとに、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断し、([0033]、[0034])畜産場の画像情報に基づいて、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断する方法は、画像から飼育動物を特定し、その動物の各活動をカウントして、1分間の動物の活動数を得、その動物の1分間の活動回数が設定された回数より少ないかどうかを判断し、少ない場合はテストを継続し、連続した5分間の動物の活動回数が設定された回数よりも少ない場合、動物の健康状態が異常であると判断することであり、([0035]-[0039])上位コンピュータは、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態を、クラウドプラットフォーム上の他の畜産場の光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態と比較することで、飼育動物の健康状態に起こりうるリスクを予測することができ、([0041])上位コンピュータから光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、他の畜産場の飼育動物の健康状態を取得した後、いずれかの畜産場の飼育動物の健康状態が異常であるかどうかを判断し、([0045])飼育動物の健康状態に異常がある場合、該畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似性が設定された類似性よりも大きいかどうかを判断し、([0046])異常が発生した畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似度が設定された類似度よりも大きい場合、自畜産場の飼育動物の健康状態に異常があると判断する、([0047])ビッグデータプラットフォームに基づく家畜監視システムの上位コンピュータ。([0008])」
また、上記引用発明の「家畜監視システム」は、以下のとおりの「家畜監視方法」の発明(以下、「引用発明b」という)であるともいえる。
「各検知端末は、対応する飼育エリアに設置されており、検知端末はプロセッサを含み、光センサ、ダストセンサ、カメラ、温湿度センサ、ガスセンサ、通信装置と接続され、([0030])光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが飼育エリアに設置され、([0030])温湿度センサは飼育エリアの温度情報と湿度情報を検出してプロセッサに送信し、光センサは飼育エリアの光強度情報を検出してプロセッサに送信し、ダストセンサは飼育エリアのダスト濃度情報を検出してプロセッサに送信し、カメラは、飼育エリアの画像を検出してプロセッサに送信し、ガスセンサには、二酸化炭素センサ、アンモニアセンサ、酸素センサがあり、飼育エリアの二酸化炭素濃度、アンモニア濃度、酸素濃度を検出し、プロセッサに送信し、([0030])プロセッサは、光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが収集したデータを受け取ると、通信機器を介して上位コンピュータに送信し、([0031])続きを表示(全16行)上位コンピュータは、飼育動物の健康情報を判定した後、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、飼育動物の健康状態をクラウドプラットフォームにアップロードし、([0040])畜産場の上位コンピュータは、クラウドプラットフォームを介して、他の畜産場の光強度、ダストの濃度、温度、湿度、ガス濃度、飼育動物の健康状態などにもアクセスでき、([0040])プロセッサから送られてきたデータを受け取った上位コンピュータは、畜産場の画像情報をもとに、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断し、([0033]、[0034])畜産場の画像情報に基づいて、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断する方法は、画像から飼育動物を特定し、その動物の各活動をカウントして、1分間の動物の活動数を得、その動物の1分間の活動回数が設定された回数より少ないかどうかを判断し、少ない場合はテストを継続し、連続した5分間の動物の活動回数が設定された回数よりも少ない場合、動物の健康状態が異常であると判断することであり、([0035]-[0039])上位コンピュータは、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態を、クラウドプラットフォーム上の他の畜産場の光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態と比較することで、飼育動物の健康状態に起こりうるリスクを予測することができ、([0041])上位コンピュータから光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、他の畜産場の飼育動物の健康状態を取得した後、いずれかの畜産場の飼育動物の健康状態が異常であるかどうかを判断し、([0045])飼育動物の健康状態に異常がある場合、該畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似性が設定された類似性よりも大きいかどうかを判断し、([0046])異常が発生した畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似度が設定された類似度よりも大きい場合、自畜産場の飼育動物の健康状態に異常があると判断する、([0047])ビッグデータプラットフォームに基づく家畜監視方法。([0008])」
また、上記引用発明bの「家畜監視システムの上位コンピュータ」は、以下のとおりの「家畜監視システムの上位コンピュータに実行させるプログラム」の発明(以下、「引用発明c」という)であるともいえる。
「各検知端末は、対応する飼育エリアに設置されており、検知端末はプロセッサを含み、光センサ、ダストセンサ、カメラ、温湿度センサ、ガスセンサ、通信装置と接続され、([0030])光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが飼育エリアに設置され、([0030])温湿度センサは飼育エリアの温度情報と湿度情報を検出してプロセッサに送信し、光センサは飼育エリアの光強度情報を検出してプロセッサに送信し、ダストセンサは飼育エリアのダスト濃度情報を検出してプロセッサに送信し、カメラは、飼育エリアの画像を検出してプロセッサに送信し、ガスセンサには、二酸化炭素センサ、アンモニアセンサ、酸素センサがあり、飼育エリアの二酸化炭素濃度、アンモニア濃度、酸素濃度を検出し、プロセッサに送信し、([0030])プロセッサは、光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ、カメラが収集したデータを受け取ると、通信機器を介して上位コンピュータに送信し、([0031])続きを表示(全16行)上位コンピュータは、飼育動物の健康情報を判定した後、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、飼育動物の健康状態をクラウドプラットフォームにアップロードし、([0040])畜産場の上位コンピュータは、クラウドプラットフォームを介して、他の畜産場の光強度、ダストの濃度、温度、湿度、ガス濃度、飼育動物の健康状態などにもアクセスでき、([0040])プロセッサから送られてきたデータを受け取った上位コンピュータは、畜産場の画像情報をもとに、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断し、([0033]、[0034])畜産場の画像情報に基づいて、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断する方法は、画像から飼育動物を特定し、その動物の各活動をカウントして、1分間の動物の活動数を得、その動物の1分間の活動回数が設定された回数より少ないかどうかを判断し、少ない場合はテストを継続し、連続した5分間の動物の活動回数が設定された回数よりも少ない場合、動物の健康状態が異常であると判断することであり、([0035]-[0039])上位コンピュータは、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態を、クラウドプラットフォーム上の他の畜産場の光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態と比較することで、飼育動物の健康状態に起こりうるリスクを予測することができ、([0041])上位コンピュータから光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、他の畜産場の飼育動物の健康状態を取得した後、いずれかの畜産場の飼育動物の健康状態が異常であるかどうかを判断し、([0045])飼育動物の健康状態に異常がある場合、該畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似性が設定された類似性よりも大きいかどうかを判断し、([0046])異常が発生した畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似度が設定された類似度よりも大きい場合、自畜産場の飼育動物の健康状態に異常があると判断する、([0047])ビッグデータプラットフォームに基づく家畜監視システムの上位コンピュータに実行させるプログラム。([0008])」
(イ)甲第2号証(韓国公開特許第10-2015-0130803号公報)の記載
甲第2号証には以下のとおりの記載がある。
[0008]
[図:0001393064000007.jpg]
(当審訳)
[0008]
「本発明の1側面は撮像装置から受信された映像データから畜舎内の動物の中で伝染病の疑いのある対象が存在するのか判断して、該当の対象の映像データと共に伝染病の疑いの兆し発生信号を送信する1次サーバー、1次サーバーから伝染病疑いの兆し発生信号を受信して、伝染病疑い対象の映像データを基に伝染病発生可否を再診断して伝染病疑い兆し警報信号を送信する2次サーバー及び伝染病疑い兆し警報信号を受信して動物の映像データを要請してこれを表示する管理者端末を含む伝染病モニタリングシステムを提供する。」
[0068]
[図:0001393064000008.jpg]
(当審訳)
[0068]
「伝染病疑い対象抽出部(124)は候補対象抽出部(123)で抽出された候補対象の映像データと伝染病と関わる少なくとも一つの外形的病変を比べて候補対象の外形が外形的病変とマッチングされるのか確認して、マッチングされる候補対象を伝染病疑い対象で抽出する。例えば、家禽類の場合AIの外形的病変がトサカと脚部分の青色症であることができるし、この時伝染病疑い対象抽出部(124)は候補対象のトサカと脚部分の映像データをHSI色相基盤で処理して、前記処理されたトサカと脚部分の映像データが青色症の外形的病変と所定値以上の類似度にマッチングされると、該当の候補対象を伝染病疑い対象として抽出する。」
[0076]
[図:0001393064000009.jpg]
(当審訳)
[0076]
「また、制御部は動物オブジェクトの中であらかじめ設定された行動パターンを見せる動物対象を候補対象で抽出する(440,450)。すなわち、制御部は特定伝染病の病変と関わる行動パターンを有する動物対象が存在するのか判断して(440)、該当の動物対象を候補対象として抽出する(450)。例えば、前記特定伝染病がAIの場合、活動量が少ないとか羽を立てたまま集団で集まるなどの行動パターンを見せる対象が候補対象として抽出されうる。」
[0100]
[図:0001393064000010.jpg]
[0101]
[図:0001393064000011.jpg]
(当審訳)
「[0100]出力部(340)は管理者端末機で処理される情報を表示出力する。[0101]一方、出力部(340)とタッチパッドが相互レイヤー構造を成してタッチスクリーンで構成される場合、出力部(340)は出力装置以外に入力装置でも使われることができる。出力部(340)は液晶ディスプレイ、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ、有機発光ダイオード、フレキシブルディスプレイ、3次元ディスプレイの中で少なくとも一つを含むことができる。このような出力部(340)は通信部(310)で受信した現場映像である動物の映像データと周辺環境情報を表示して管理者にとって肉眼で動物オブジェクトが伝染病疑い兆しを見せるのか判断するようにして、畜舎の周辺環境情報を通じて畜舎内伝染病発生になったのか確診するようにする。」
(ウ)甲第3号証(特開2018-42485号公報)の記載
甲第3号証には以下のとおりの記載がある。
「【0030】なお、本実施形態において、各牛舎における各枠内の各タグリーダ20は、別途、所定の時間間隔(例えば、1時間)ごとに、気温および湿度からなる環境データを家畜牛管理サーバ2へ送信するようになっている。これにより、当該環境データを摂水データと照らし合わせて、本当に体調不良か否かを見極めたり、牛舎内に設置した大型ファンをオンオフする際の合理的な判断材料となる。また、環境の変化が著しい場合、家畜牛は体調を崩しやすいため、生産者に対して細心の注意を払うべき目安を提供することも可能である。」
「【0052】ただし、異状個体検出部55は、各家畜牛の飲水量とともに外気温との関連性も同時に参酌し、多くの家畜牛の飲水量が増えていても、気温が高い場合には、異状個体として検出しなくてもよい。そのようなケースでは、家畜牛の体調不良ではなく、暑さに起因する水分補給の増加である可能性が高いためである。」
「【0069】そして、異状個体検出部55は、個体滞在時間が減少傾向または増加傾向にある家畜牛がいるか否かを判定する(ステップS18)。当該判定の結果、減少傾向または増加傾向の家畜牛がいる場合(ステップS18:YES)、異状個体検出部55が当該家畜牛を異状個体として検出し報知する(ステップS19)。これにより、生産者は、個体滞在時間と比例関係にある飲水量が、減少傾向または増加傾向の家畜牛を早期かつ簡易に把握する。このため、当該家畜牛を入念に検査し、体調不良等であれば適切に対処することが可能となる。また、異状個体検出部55は、各家畜牛の飲水量とともに外気温等を同時に参酌することで、異状個体の誤検出を防止し、牛舎内を適温となるように調節する。」
(エ)甲第4号証(韓国登録特許第10-1961311号公報)の記載
甲第4号証には以下のとおりの記載がある。
[0001]
[図:0001393064000012.jpg]
(当審訳)
[0001]
「本発明は家畜用疾病予測及び通知システムに関することで、さらに詳しくは家畜の首に装着されたネックレス型のデータ収集装置で収集された多様な情報(体温、脈拍、活動量、音、映像情報)を分析して家畜の疾病(ブタコレラ、狂牛病、口蹄疫、その他)を予測して、疾病予測情報を家畜疾病管理本部に転送することと同時に使用者(家畜オーナー)に転送することで、リアルタイムで家畜の疾病状態を認知して後続措置を速かに施行して伝染病による被害を最小化することができるようにした家畜用疾病予測及び通知システムに関する。」
[図:0001393064000013.jpg]
(当審訳)
「[0041]次に、マイク(105)は家畜が出す音声を入力して制御部(107)に伝達する。制御部(107)は入力された音声情報を周波数データで変換して音響情報を生成する。[0042]ここで家畜ステータス情報で、活動量情報、温度情報、心臓拍動数情報(心拍動情報)、動き映像情報、音声情報などを言及したが、本発明はこれに限定されることではなくて家畜のステータス情報を獲得することができる既に知られた多様なセンサや装置を付加的に利用することもできる。[0043]制御部(107)はそれぞれのセンサや装備から測定及び獲得した家畜のステータス情報を蝕合して家畜ステータス情報を生成して、内部メモリーに保存した個体識別番号をマッピングして最終的な家畜ステータス情報を生成する。このように生成されたデジタル家畜ステータス情報はデジタル/アナログ変換部(131)を通じてアナログ家畜ステータス情報信号に変換された後、周波数混合機(132)に伝達される。周波数混合機(132)は伝達される家畜ステータス情報信号と周波数変換器(109)で提供する局所発振周波数を混合して、中間周波数(IF)を生成する。このように生成した中間周波数は無線通信モジュール(104)を通じてデータ収集及び疾病予測サーバー(200)に伝送される。」
[図:0001393064000014.jpg]
[図:0001393064000015.jpg]
(当審訳)
「[0047]例えば、収集した活動量情報と活動量基準情報を比較して、その大小有無で該当の家畜の疾病状態を診断する。あわせて収集した体温情報と体温基準情報を比較して、その大小有無で該当の家畜の状態を診断する。また、収集した心臓拍動数情報と心臓拍動数基準情報を比較して、その大小有無で該当の家畜の状態を診断する。このように3種のステータス情報を基盤で一次的な家畜疾病有無状態を予測する。ここで収集した情報と基準情報を比較してその差による該当の家畜の疾病有無を判断する方法は、データベース(206)に動物学界や官公庁(疾病管理本部)で提供した標準該当の家畜の疾病判断情報を利用することができる。[0048]続いて、状態分析部(203)は前記家畜ステータス情報から音声情報と動き映像情報を分析して、家畜の疾病状態を予測する。[0049]例えば、取得した動き映像から動き情報を抽出して、抽出した動き情報を分析して、動きが過度に発生する状況が持続する、あるいは、動きが全くない状態が一定時間以上持続する場合(就寝時間は除外)、データベース(206)に登録しておいた該当の家畜の動き情報による疾病判断方法で疾病有無を判断する。一般的に家畜が特定疾病にかかった場合、異常行動を見せることは学界や疾病管理本部を通じて既に知られた事実なので、このような情報を根拠で動き映像を分析して該当の家畜の疾病有無を予測するようになる。[0050]また、状態分析部(203)は家畜ステータス情報から音声分析を通じて家畜の状態を診断する。すなわち、家畜が上げる音を周波数で変換する。家畜の音を周波数で変換する方式は、家畜の音声をフーリエ変換を通じて周波数で変換することで簡単に具現することができる。引き続き周波数分析技法を通じて分析して家畜の状態を診断する。ここで周波数分析は家畜の音声による動物学界の情報や多様な経験を通じて累積したビッグデータを基盤で分析するのが望ましい。[0051]続いて、一次的に分析した家畜状態予測情報と動き映像分析及び音声分析を通じて分析した家畜状態予測情報を総合的に分析して、最終的に家畜の疾病を予測する。既存の家畜の疾病予測は単純に体温や脈拍などのような単純な方法にのみ判断するので、以上気温や周辺環境温度などによって発生する単純体温変更にも疾病と判断するエラーが多かった。一方、本願発明は体温、脈拍、活動量、動き映像及び音声を総合的に分析するので、家畜の疾病予測に正確性をはかることができるようになる。」
(オ)甲第5号証(米国特許出願公開第2019/0302074号明細書)の記載
甲第5号証には以下のとおりの記載がある。
「FIELD OF THE INVENTION[0001] The present invention relates to detection system of enteric diseases, in particular in animals, and to a relating detection method of enteric diseases, in particular in animals. In general, the present invention relates to detection systems of diseases in animals, in particular in farm animals, aimed at monitoring the health of the population.」
(当審訳)
「発明の分野[0001]本発明は、動物における腸疾患、特に、動物における腸疾患の検出方法を提供することにある。一般的に、本発明は、家畜群の健康体をモニタする目的で、動物、特に疾患の検出システムに関するものである。」
「OBJECTS AND SUMMARY OF THE INVENTION[0008]The object of the present invention is to provide a system for the early diagnosis of enteric diseases and a relating detection method of enteric diseases that solve some drawbacks of the prior art.」
(当審訳)
「本発明の目的及び概要[0008]本発明の目的は、腸疾患の早期診断のためのシステムおよび従来技術の欠点のいくつかを解決する腸疾患の検出方法を提供することである。」
「[0051]The detection method of enteric diseases in animals provides for suctioning air from an environment with said animals; determining by means of sensor means information about the type and concentration of a plurality of smelling molecules in the air; detecting a risk of enteric diseases associated with the information about the type and concentration of smelling molecules; reporting to a user a risk of enteric diseases in the animals.[0052]In particular, the information about the type and concentration of the smelling molecules are compared with reference data stored and referred to enteric disease cases in animals, preferably by differentiating enteric diseases in animals by comparing a concentration of at least one or preferably several types of smelling molecules with respect to reference values of the reference data. Following the aforementioned ability of self-learning of the system, the dataset becomes increasingly reliable in properly classifying the samples in the infected and uninfected category.」
(当審訳)
「[0051]動物における腸疾患の検出方法は、前記動物がいる環境から空気を吸引することと、空気中に含まれる複数の臭気分子の種類及び濃度に関する情報をセンサ手段によって決定することと、臭気分子の種類及び濃度に関する情報に関連した腸疾患のリスクを検出することと、前記動物の腸疾患のリスクをユーザに報知する構成を備えている。[0052]特に、臭気分子の種類及び濃度についての情報は記憶され、動物における腸疾患の場合に参照する参照データと比較して、好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは参照データの参照値に関して分子の匂いの数種の濃度を比較することによって、動物における腸疾患を区別することである。システムの自己学習の能力に続いて、データセットが、感染および未感染のカテゴリ内のサンプルを適切に分類することにますます信頼性がある。」
(カ)甲第6号証(中国特許出願公開第101751509号明細書)の記載
甲第6号証には以下のとおりの記載がある。
[図:0001393064000016.jpg]
(当審訳)
「[0099]このエキスパートシステムでは、我が国で発見された142種類の豚病気を、病原の因子によって、豚のウイルス感染症、豚の細菌性感染症、豚の寄生虫病、豚の中毒症、豚の栄養欠乏と代謝疾患、豚の内科的疾患、豚の外科的疾患、豚の産科疾患の8組に分類している。豚の病気の診断をした経験があり豚の病気の予測診断が可能ユーザは、「疑わしい病名に基づく診断」方法を利用して再診断を行うことができる。左側にある疑わしい病名に対応する疾患の組を表すボタンをクリックしてから、疑わしい病名をクリックすると、エキスパートシステムは右側のウインドウにその疾病に関連する症状を表示し、ユーザの観察結果と一致する症状を選択してから「診断」ボタンを押すと、エキスパートシステムは、診断結果を表示し、病気の豚が罹患した可能性がある疾患の病名及び罹患している可能性を診断し、また、エキスパートシステムは、診断を確定するためには、他の症状があるか否かについて注意深く観察ことをユーザに提示し、ユーザが診断した病気の豚の症状と一致する症状があれば、それらを再度選択して、再度診断を行うことができ、これを繰り返すことにより、ユーザは、エキスパートシステムからの正しい結果を得ることができる。同時に、エキスパートシステムは、ユーザの理解及び学習のために、病気の詳細情報、予防や治療対策及び症状のカラーチャートをユーザに提供する。」
ウ 対比・判断
本件発明1と上記引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「畜産場の画像情報」は、飼育エリアに設置されたカメラにより撮影された画像の情報であり、画像情報から飼育動物を特定しているところ、上記飼育動物は家畜と言い得るものであり、当該家畜を撮影した画像であることは明らかであるから、「家畜を撮像した画像情報」である。
(イ)引用発明の「光センサ、ダストセンサ、温湿度センサ、ガスセンサ」は、「飼育エリアに設置され」、それぞれ、飼育エリアの「光強度情報」、「ダスト濃度情報」、「温度情報と湿度情報」、「二酸化炭素濃度、アンモニア濃度、酸素濃度」などの、飼育エリアの環境の情報を検出している。上記飼育エリアは、「家畜を飼育する際のひとまとまりの領域(以下単に飼育領域という。)」といえる点で、本件発明1の畜舎に対応する。
してみると、引用発明の各センサは「前記家畜が収容された複数の飼育領域にそれぞれ設けられた環境情報取得器」であり、これら取得器から検出された情報は、「取得した前記飼育領域ごとの環境情報」ということができる。
そして、引用発明の上位コンピュータは、カメラ及び各センサからの情報を取得しているから、「家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の飼育領域にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記飼育領域ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部」を備えているといえる。
もっとも、上記飼育領域が、本件発明1では「畜舎」であるのに対し、引用発明では「飼育エリア」である点で相違する。
(ウ)引用発明の上位コンピュータは、「画像から飼育動物を特定し、その動物の各活動をカウントして、1分間の動物の活動数を得、
その動物の1分間の活動回数が設定された回数より少ないかどうかを判断し、少ない場合はテストを継続し、
連続した5分間の動物の活動回数が設定された回数よりも少ない場合、動物の健康状態が異常であると判断する」のであるから、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況」「に応じて健康状態に異常があるかどうか」を判断(すなわち推定)している点で、本件発明1の「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況」、「を用いて疾病リスクを推定し」と、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いて家畜の健康状態を推定し」と対応している。
もっとも、本件発明1では推定するのが「疾病リスク」であるのに対し、引用発明では「健康状態に異常があるかどうか」である点で相違する。
加えて、引用発明の上位コンピュータは、「光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態を、クラウドプラットフォーム上の他の畜産場の光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態と比較することで、飼育動物の健康状態に起こりうるリスクを予測することができ」るものであって、上記比較は、「飼育動物の健康状態に異常がある場合、該畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似性が設定された類似性よりも大きいかどうかを比較し」、「異常が発生した畜産場の環境情報と自畜産場の環境情報の類似度が設定された類似度よりも大きい場合、自畜産場の家畜の健康状態に異常があると」判断(すなわち推定)するものであるから、「2以上の畜産場について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた家畜の健康状態を推定」している。
(エ)上記(ウ)の、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況」「に応じた健康状態を」推定することと、「2以上の畜産場について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた健康状態を推定」することの関係について、甲第1号証の記載によれば、段落[0033]ないし段落[0039]では、上位コンピュータの処理として、「畜産場の画像情報をもとに、飼育動物の健康状態に異常があるかどうかを判断する」ことが記載され、段落[0040]に「上位コンピュータは、飼育動物の健康情報を判定した後、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、飼育動物の健康状態をクラウドプラットフォームにアップロードし、クラウドプラットフォームに接続された他の畜産場の監視システムは、クラウドプラットフォームを通じて、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、飼育動物の健康状態を閲覧することができる。同様に、畜産場の上位コンピュータは、クラウドプラットフォームを介して、他の畜産場の光強度、ダストの濃度、温度、湿度、ガス濃度、飼育動物の健康状態などにもアクセスできる。」、段落[0041]に「上位コンピュータは、光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態を、クラウドプラットフォーム上の他の畜産場の光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報、および飼育動物の健康状態と比較することで、飼育動物の健康状態に起こりうるリスクを予測することができる。」と記載されている。
すなわち、上位コンピュータは、まず、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況」「に応じた家畜の健康状態」を推定(以下、第1の推定という。)した後、「2以上の畜産場について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況、に応じた健康状態」を推定(以下、第2の推定という。)しているから、第1の推定を行った後第2の推定を行うものであって、この点で第1の推定の内容を第2の推定でさらに評価しているといえる。
したがって、本件発明1と引用発明とは「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いて家畜の健康状態を推定し、さらに2以上の飼育場所について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記健康状態の妥当性を評価して健康状態を推定する健康状態推定部」を有している点で共通している。
もっとも、本件発明1では、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定」であるのに対し、引用発明では、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」おらず、また、上記(ウ)と同様「健康状態」が「健康状態に異常があるかどうか」である点、さらに、「2以上の飼育場所」が、本件発明1では「2以上の畜舎」であるのに対し、引用発明では「2以上の畜産場」である点で相違する。
(オ)上記クラウドプラットフォーム上の情報を用いて、健康状態を推定する上位コンピュータは、全体として、「家畜健康状態管理システム」といえるものの、上記(ウ)と同様「疾病管理」とまではいえない点で相違する。
(カ)以上のことから、本件発明1と引用発明とは、以下の一致点で一致し相違点で相違する。
(一致点)
家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の飼育領域にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記飼育領域ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、
前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いて健康状態を推定し、さらに2以上の飼育場所について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記健康状態の妥当性を評価して健康状態を推定する健康状態推定部と、
を備える家畜健康状態管理システム。
(相違点)
相違点1
飼育領域が、本件発明1では「畜舎」であるのに対し、引用発明では「飼育エリア」である点。
相違点2
健康状態の推定について、本件発明1では、「疾病リスク」の推定であるのに対し、引用発明では「健康状態が異常であるかどうか」を推定している点。
相違点3
飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いた健康状態の推定が、本件発明1では、画像情報に加えて、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」いるのに対し、引用発明では、画像情報のみを用い、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」いない点。
相違点4
2以上の飼育場所が、本件発明1では「2以上の畜舎」であるのに対し、引用発明では「2以上の畜産場」である点。
<判断>
(ア)相違点1について
畜舎といえば、通常1棟の建物のことをいう。これに対して、引用発明の「飼育エリア」は、ひとまとまりの飼育環境のことを想定しており、当該ひとまとまりの飼育環境を、1棟の建物全体とするか、あるいは、1棟の建物全体をいくつかに区切り、当該区切られた空間を飼育エリアとするかは、当業者が、当該1棟の建物の大きさや飼育する家畜の種類などを考慮して適宜選択し得た事項である。
したがって、引用発明の飼育エリアを畜舎とすることは当業者が容易になし得たことである。
(イ)相違点2について
本件発明1の「疾病リスク」について本件特許明細書の発明の詳細な説明を参酌すると、以下のとおり記載されている。
「【0050】疾病リスク推定部115は、飼養状況情報や疾病発症診断情報等を用いて肉豚群の疾病リスクを推定する機能を有している。例えば、疾病リスク推定部115は、飼養状況取得部112により取得し飼養DB113に記憶された飼養状況情報(画像情報、音情報、臭気情報、温湿度情報、空気流量情報)から豚の状況を解析し、当該豚の状況に応じた疾病リスクを推定する。【0051】疾病リスクの推定は、疾病に罹患している可能性の度合いである疾病リスク量を算出することで行う。本実施形態における疾病リスク推定部115は、疾病リスク量として、上述した肉豚群としての群罹患リスク量と、疾病別罹患リスク量を算出する。群罹患リスク量は、例えば、病状の軽いものから順にリスクA、リスクB、リスクC、リスクDの4段階に設定されている。【0052】当該群罹患リスク量の判定要素としては、豚の姿勢と動きや、豚の耳、鼻、目、胸部、呼吸、腹部、被毛、下痢、尾かじり、耳かじり、へそ吸い、四肢に異常状態などがあり、疾病リスク推定部115の解析を通じ、推定される。具体的には、図4に群罹患リスク量に応じた病状例が示されている。【0053】図4に示すように、リスクAは、耳が垂れていたり、目がよどんで涙目になっていたり、腹部が若干へこんでいたり、表情や姿勢に元気がなかったりする状態である。リスクBは、リスクAよりも、明かに削痩があったり、痩せて腹部がへこんでいたり、肉付きが悪くなり始めていたり、肩甲骨が浮き出ていたり、居心地の悪い姿勢(硬直姿勢又は背中を丸めている)をしていたり、沈うつ状態であったり、被毛粗剛であったり、皮膚が汚れていたり、目の周辺に滲出物があったり、耳が垂れていたりする状態である。リスクCは、リスクBよりも、重度の削痩があったり、重度の筋肉、脂肪の消失があったり、肩甲骨がさらに浮き出ていたり、元気を消失していたり、さらに被毛粗剛であったり、さらに皮膚が汚れていたり、淀んでいるうつろな目と黒色の滲出物があったり、さらに耳が垂れていたりする状態である。リスクDは、重度の削痩であったり、重度の外傷があったり、歩行不可能であったりする状態である。なお、図4に記載の病状例は一例であり、これ以外の病状があってもよい。」
「【0057】また、疾病リスク推定部115は、動画又は複数の静止画からなる画像情報から豚の移動量を活動量として解析し、当該豚の活動量から豚の元気度合いを推定して、上述の病状と比較することで疾病リスク量を算出してもよい。」
これらの記載によれば、本件発明1の疾病リスク推定は、動画又は複数の静止画からなる画像情報から豚の移動量を活動量として解析し、当該豚の活動量から豚の元気度合いを推定して、上述の病状と比較することで疾病リスク量を算出することを含むから、例えば、豚の移動量を活動量として解析し、当該豚の活動量から豚の元気度合いを推定して、上述の病状と比較することでリスクA~リスクDの4つの段階に、家畜の健康状態を分けることも疾病リスクの推定に含むものである。
一方、引用発明では、「画像から飼育動物を特定し、その動物の各活動をカウントして、1分間の動物の活動数を得、その動物の1分間の活動回数が設定された回数より少ないかどうかを判断し、少ない場合はテストを継続し、連続した5分間の動物の活動回数が設定された回数よりも少ない場合、動物の健康状態が異常であると判断する」ものであり、家畜の活動量から、当該活動量を閾値と比較することで健康状態に異常があるか否かを判断しているものであって、1分間の活動回数という一つのパラメータが閾値を超えるか否かで健康状態を“異常”、“異常でない”の2つの状態に分けて推定するものであり、引用文献1の[0021]には、「家畜の健康状態が異常または危険である」ことを判定するとも記載され、「健康状態が異常または危険」ということは、「健康状態のリスク」、さらには「疾病のリスク」ともいい得るものである。
そうすると、本件発明1の「疾病リスク」には、特定の疾病の状態に限らず「レベルA」のような健康状態でない状態を含み、引用発明の1つのパラメータが閾値を超えるか否かで健康状態を“異常”、“異常でない”の2つの状態に分け、健康状態が異常であることを推定するものも、技術的範囲に含むものであるから、相違点2は、実質上の相違点ではない。
また、相違点2が実質上の相違点であったとしても、引用発明は、パラメータが閾値を超えるか否かで健康状態を“異常”、“異常でない”の状態を推定し、その結果、引用文献1の[0021]、[0022]に記載されているように、異常の場合にユーザ端末にアラームメッセージを送信するものであり、この閾値は、どの程度の異常でアラームメッセージを送信するかによって決める設計的事項といえるから、閾値を高くし、健康状態がより悪い状態、すなわち、疾病リスクを推定するようになすことは当業者が容易になし得たことである。
さらに、特許権者は、本件発明1の疾病リスクは、特定の疾病に罹患しているリスクであるかのような主張をしていたが、発明の詳細な説明を参酌すると、本件発明1の疾病リスクが、上記主張のようなリスクのみを特定しているといえないことは上記のとおりである。
仮に、疾病リスクが、特許権者が主張するようなものであるとしても、甲第4号証には「家畜が特定疾病にかかった場合、異常行動を見せることは学界や疾病管理本部を通じて既に知られた事実なので、このような情報を根拠で動き映像を分析して該当の家畜の疾病有無を予測する」こと、すなわち、特定疾病に罹患したときに見られる異常行動について分析して疾病の有無を判断する技術事項が記載されており、家畜の健康状態を判断することとして、上記甲第4号証にあるような、活動に関する情報を参酌して、特定の疾病にかかったことを示すリスクについての判断結果を得ることは当業者が容易になし得たことである。
(ウ)相違点3について
甲第2号証の「このような出力部(340)は通信部(310)で受信した現場映像である動物の映像データと周辺環境情報を表示して管理者にとって肉眼で動物オブジェクトが伝染病疑い兆しを見せるのか判断するようにして、畜舎の周辺環境情報を通じて畜舎内伝染病発生になったのか確診するようにする。」の記載によれば、動物の映像データに加えて動物の周辺環境情報も併せて動物が伝染病になったか確診することが記載されているといえる。
また、甲第3号証の「当該環境データを摂水データと照らし合わせて、本当に体調不良か否かを見極めたり、牛舎内に設置した大型ファンをオンオフする際の合理的な判断材料となる」(【0030】)、「各家畜牛の飲水量とともに外気温との関連性も同時に参酌し、多くの家畜牛の飲水量が増えていても、気温が高い場合には、異状個体として検出しなくてもよい。そのようなケースでは、家畜牛の体調不良ではなく、暑さに起因する水分補給の増加である可能性が高いためである」(【0052】)、「異状個体検出部55は、各家畜牛の飲水量とともに外気温等を同時に参酌することで、異状個体の誤検出を防止し、牛舎内を適温となるように調節する」(【0069】)などの記載によれば、動物の活動と環境との間には関連がみられ、単に動物の活動状態だけではなく動物が置かれた環境も考慮して、動物に異常が生じているか否か判断することが記載されているといえる。
引用発明及び甲第2号証、甲第3号証は、いずれも、家畜の健康状態を判断するものであって、引用発明に、上記甲第2号証、甲第3号証に記載された事項を適用し、上記相違点3の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
(エ)相違点4について
引用発明の「2以上の畜産場」について、各畜産場において、畜舎がいくつ存在するかは任意であり、一つの畜産場において一つの畜舎のみの場合も普通に想定されることは明らかであり、この場合「畜産場」と「畜舎」とは同義であることは明白であって、相違点4は格別なものであるということはできない。
さらに、本件発明1の「2以上の畜舎」について、本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0060】、【0081】などの記載を参酌すると、「つまり環境情報が類似する2以上の畜舎において飼養される肉豚群において、例えば双方の活動度を比較することで飼育環境のみの差による活動量の低下という誤検知の状況を比較する等して疾病リスクを推定してもよい」、「環境情報の類似性を用いて2以上の畜舎について家畜の状況を比較することにより家畜の状況を解析し、当該家畜の状況に応じた疾病リスクを推定することで、例えば環境に依存した活動度の低下に対して疾病リスク量を上昇させる等(例:寒いことによる活動度の低下を疾病罹患と判断、等)の誤った判断が抑制される。」、「また、畜舎101の温湿度や空気流量等の環境情報から類似性を用いて2以上の畜舎について豚の状況を比較することにより豚の状況を解析して疾病リスクを推定することで、豚自体だけでなく豚のいる環境からも疾病リスクを推定することができ、疾病リスクの誤判断を抑制し、さらに疾病リスクの推定精度を向上させることができる」と記載されており、環境情報が類似する2以上の飼育単位について、家畜の状況を比較することにより疾病リスクをより正確に判断することを目的とするものである。この点、甲第1号証においても、「本発明が提供する技術的解決策では、畜産場の上位コンピュータは、クラウドプラットフォームを通じて、他の畜産場の環境状況や飼育動物の健康状態を受信することができ、飼育動物の健康状態は、ほとんどが環境に関連しているので、自畜産場の環境情報と他の畜産場の環境情報を比較することで、飼育動物の健康状態を予測することができる。」([0011])とあって、飼育単位として「畜産場」を「畜舎」とすることに格別の意味は無いから、引用発明において畜産場を畜舎として本件発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
(オ)まとめ(判断)
したがって、本件発明1は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明2について
ア 本件発明2
本件発明2は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明2は、請求項1の記載を引用し、さらに「前記疾病リスク推定部は、前記画像情報から抽出した家畜の外観から前記家畜の状況を解析し、当該家畜の状況に応じた疾病リスクを推定する」という特定事項を有するものである。
請求項1の記載を引用する特定事項については、上記(1)にて指摘したとおりである。
本件発明2がさらに有する特定事項について検討する。
引用発明では、前記画像情報から家畜の疾病リスクを推定するにあたり、「その動物の1分間の活動回数」を用いており、「前記画像情報から抽出した家畜の外観から前記家畜の状況を解析し」ていない点で、本件発明2と引用発明とは相違する。
上記相違点について検討するに、甲第2号証の[0008]、[0068]、[0076]などの記載によれば、家畜を撮像して、その映像から対象となる家畜が伝染病に感染しているか否か推定する技術として、家畜映像のうち、外形的病変とマッチされる映像があるか否かにより感染の有無を判定することや、家畜映像から、当該家畜の行動パターンから活動量が少ないことを判定して、感染の有無を判定することが普通に行われていることが開示されている。
したがって、引用発明の撮影画像から得られる家畜の活動量に基づく疾病リスクの推定に対して、甲第2号証記載の事項を適用し、上記相違点の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
したがって、本件発明1の記載を引用する本件発明2は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明3について
ア 本件発明3
本件発明3は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明3は、請求項1又は2の記載を引用し、さらに「前記疾病リスク推定部は、前記画像情報から抽出した家畜の活動量から前記家畜の状況を解析し、当該家畜の状況に応じた疾病リスクを推定する」という特定事項を有するものである。
請求項1又は2の記載を引用する特定事項については、上記(1)、(2)にて指摘したとおりである。
本件発明3がさらに有する特定事項について検討する。
本件発明1について検討したとおり、引用発明は
「画像から飼育動物を特定し、その動物の各活動をカウントして、1分間の動物の活動数を得、その動物の1分間の活動回数が設定された回数より少ないかどうかを判断し、少ない場合はテストを継続し、連続した5分間の動物の活動回数が設定された回数よりも少ない場合、動物の健康状態が異常であると判断する」
のであって、活動回数は活動量といえるから、本件発明3がさらに備える構成を有している。
したがって、本件発明1、本件発明2の記載を引用する本件発明3は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明4について
ア 本件発明4
本件発明4は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明4は、請求項1から3の記載を引用し、さらに「前記飼養状況取得部は、前記家畜のいる空間にて発せられる音を前記飼養状況情報として取得し、
前記疾病リスク推定部は、前記飼養状況取得部により取得した前記音から前記家畜の状況を解析し、当該家畜の状況に応じた疾病リスクを推定する」という特定事項を有するものである。
請求項1から3の記載を引用する特定事項については、上記(1)から(3)にて指摘したとおりである。
本件発明4がさらに有する特定事項について検討する。
本件発明4では、上記さらに有する特定事項を備えているのに対し、引用発明は、当該構成を備えていない点で、本件発明4と引用発明とは相違する。
上記相違点について検討する。
甲第4号証の[0001]、[0041]-[0043]、[0047]-[0051]の記載によれば、家畜の映像を分析して得た動き情報や、家畜が出す音声をマイクから取得し、得られた音声情報などを総合して家畜の疾病予測をする技術が開示されているから、引用発明に甲第4号証記載の事項を適用し、上記相違点の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
したがって、本件発明1から3の記載を引用する本件発明4は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)本件発明5について
ア 本件発明5
本件発明5は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明5は、請求項1から4の記載を引用し、さらに「前記飼養状況取得部は、前記家畜のいる空間にて発せられる臭気を前記飼養状況情報として取得し、
前記疾病リスク推定部は、前記飼養状況取得部により取得した前記臭気から前記家畜の状況を解析し、当該家畜の状況に応じた疾病リスクを推定する」という特定事項を有するものである。
請求項1から4の記載を引用する特定事項については、上記(1)から(4)にて指摘したとおりである。
本件発明5がさらに有する特定事項について検討する。
本件発明5では、上記さらに有する特定事項を備えているのに対し、引用発明は、当該構成を備えていない点で、本件発明5と引用発明とは相違する。
上記相違点について検討する。
引用発明では、「アンモニアセンサ」を備え、「アンモニア濃度」も健康状態の異常の推定に利用しており、この「アンモニア濃度」は臭気に含まれるものである。
さらに、甲第5号証の[0001]、[0008]、[0051]、[0052]などの記載によれば、動物がいる環境の空気の成分から臭気を分析し、その臭気を発する分子の種類と濃度とから動物の(腸)疾患を検出することが開示されている。
してみると、引用発明において、上記甲第5号証に記載された事項を適用し、上記相違点の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
したがって、本件発明1から4の記載を引用する本件発明5は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第5号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)本件発明7について
ア 本件発明7
本件発明7は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
請求項7に係る発明(以下本件発明7という。)は、請求項1から5の記載を引用し、さらに「前記疾病リスク推定部は、前記家畜の状況に応じた疾病リスクを、疾病種類別に推定する」という特定事項を有するものである。
請求項1から5の記載を引用する特定事項については、上記(1)から(5)にて指摘したとおりである。
本件発明7がさらに有する特定事項について検討する。
引用発明は、格別「前記家畜の状況に応じた疾病リスクを、疾病種類別に推定する」という特定事項を備えていない。
しかしながら、引用発明では、「畜産場の画像情報」から飼育動物の「健康状態が異常であると判断」し、さらに、「光強度情報、ダスト濃度情報、温度情報、湿度情報、ガス濃度情報」などを利用して、「飼育動物の健康状態に起こりうるリスクを予測」するものであり、予測される健康状態の異常の種類は当然複数であることが想定される。
そして、甲第6号証の[0099]の記載をみれば、家畜の病気を疾病の種類に分類し、当該分類ごとにそのリスクを推定することが行われていることは明らかであるから、引用発明において想定される複数の疾病について、「前記家畜の状況に応じた疾病リスクを、疾病種類別に推定する」ようにすることは当業者が容易になし得たことである。
したがって、本件発明1から5の記載を引用する本件発明7は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7)本件発明8について
ア 本件発明8
本件発明8は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明8は、請求項7の記載を引用し、さらに「前記疾病リスク推定部は、前記家畜の状況に応じた疾病リスクを、少なくとも呼吸器系疾病、消化器系疾病、神経系疾病を含む疾病種類別に推定する」という特定事項を有するものである。
請求項7の記載を引用する特定事項については、上記(6)にて指摘したとおりである。
本件発明8がさらに有する特定事項について検討する。
甲第6号証には、疾病の分類について「豚のウイルス感染症、豚の細菌性感染症、豚の寄生虫病、豚の中毒症、豚の栄養欠乏と代謝疾患、豚の内科的疾患、豚の外科的疾患、豚の産科疾患」に分類している。
疾病の分類について、上記甲第6号証のような分類の他に、臓器別の分類を行うことは普通に行われていることであり(例えば、甲第5号証では「腸疾患の早期診断」のように、消化器である腸についての診断を行うことを前提としている。)、本件発明8の特定事項にある分類とすることは当業者が容易になし得たことである。
したがって、本件発明7の記載を引用する本件発明8は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8)本件発明9、10について
ア 本件発明9、10
本件発明9、10は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明9は、上記訂正請求により、請求項1との引用関係を解消し、さらに「前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、当該所定の条件を満たした家畜に関する情報を記憶し、情報の変更に対しロックをかける疾病発症管理記憶部」の記載とすることで、「疾病発症管理記憶部」の構成を限定した発明となった。
そして、上記限定された構成である「前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、当該所定の条件を満たした家畜に関する情報を記憶し、情報の変更に対しロックをかける疾病発症管理記憶部」は、甲第1号証ないし甲第6号証の各証拠に記載されておらず、また、本件特許出願前周知の事項であるということもできない。
申立人は、上記限定された構成について「記憶部に記憶される情報が変更されないようにロックをかけることは、文献をあげるまでもなく周知」と主張するが、本件発明9の特定事項は「前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、当該所定の条件を満たした家畜に関する情報を記憶し、情報の変更に対しロックをかける疾病発症管理記憶部」であって、一般的な、記憶部においてロックをかける発明を特定しているわけではない。すなわち、「前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、当該所定の条件を満たした家畜に関する情報」「の変更に対しロックをかける」ことにより「この疾病発症DB114に記憶されている情報は、容易に情報が改変、改ざんができない(【0049】)」顕著な効果(すなわち、疾病の発生に関する情報の改変、改ざんの防止)を実現しているのである。
したがって、本件発明9は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
また、請求項10に係る発明は、請求項9の記載を直接引用し、さらに限定する構成を備える発明であるから、本件発明9と同様、上記引用発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(9)本件発明11について
ア 本件発明11
本件発明11は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明11は、上記訂正請求により、請求項1との引用関係を解消し、さらに「前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、複数の獣医師の中から所定の選択基準を満たす獣医師の連絡先に通知を行う報知部」の記載とすることで、「報知部」の構成を限定した発明となった。
そして、上記限定された構成である「前記疾病リスク推定部により推定された疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、複数の獣医師の中から所定の選択基準を満たす獣医師の連絡先に通知を行う報知部」は、甲第1号証ないし甲第6号証の各証拠に記載されておらず、また、本件特許出願前周知の事項であるということもできない。
申立人は、上記限定された構成について「甲第2号証には、警報を通知するシステムにおいて、伝染病が発生しそうな状態になると予測認知して、「畜舎管理者」、「農林畜産食品部の担当公務員」、「国家災難疾病管理本部」、「環境布」など関連機関に情報を提供する技術思想が開示されており、ここに列挙された関連機関は、警報を通知すべき相手として「獣医師」と区別される理由は何ら存在しない。」と述べているが、甲第2号証に列挙された通知先は、いずれも、伝染病が発生しそうな状況を把握し、管理する行政機関であって、疾病を治療する獣医師ではない。
本件発明11は上記限定された構成を備えることで「疾病リスクが所定の条件を満たした場合に、獣医師VET等の所定の連絡先に通知を行うことで、疾病リスクが高まった際に速やかに適切な処置を行うことができる。」(【0084】)という効果を奏するものであり、当該効果は、甲第2号証に記載された技術事項から当業者にとって自明な事項でも、容易に想定される事項でもない。
したがって、本件発明11は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(10)本件発明12について
ア 本件発明12
本件発明12は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明12は、上記訂正請求により、請求項1との引用関係を解消した発明となった。
そして、本件発明12の特定構成である「前記家畜の疾病リスクを含む疾病管理情報を所定の書式に変換する書式変換部」は、甲第1号証ないし甲第6号証の各証拠に記載されておらず、また、本件特許出願前周知の事項であるということもできない。
申立人は、当該特定事項について「ここで「所定の書式」は、何ら具体的に規定されたものではないので、疾病管理情報を他のシステムへ送信するときに、利用する通信サービスに適した送信用の形式に変換するものと解釈し得る。」とし、「甲第2号証の段落[0033]には、感染症疑い症状警報信号がLTE、3Gサービス網を利用して送信される場合にテキストメッセージの形式であることが理解できる旨の記載があり、そのような警報信号を通信サービスに適した送信用の形式に変換することを示唆するものである。」の旨や「そもそも、一般的に、情報管理システムで処理される情報は、例えばワークメモリに展開されている場合の書式、記録部へ記録される場合の書式、プリンタへ出力される場合の書式等は互いに異なり、処理の目的に応じて都度変換が行われることは技術常識である」旨の主張をしている。
しかし、本件特許明細書の段落【0065】の「書式変換部118は、疾病発症DB114に記録された、豚の疾病リスク量を含む疾病管理情報を所定の書式に変換する機能を有する。具体的には、書式変換部118は、獣医師VETによって届出が必要な疾病と判断されたことを受け、飼養DB113に記憶されている行政等への届出書式に必要な疾病管理情報を抽出し、当該届出書式に情報を整理して入力したのち、届出書を出力する機能を有する。」、段落【0085】の「また、書式変換部118により、豚の疾病リスクを含む疾病管理情報を所定の書式に変換できることで、行政機関への届出作業を省力化することができる。」などの記載をみれば、本件特許明細書全体の記載から見て、本件発明12の「所定の書式」は、申立人が主張するような一般的な書式や通信サービスに適した書式などを想定していないことは明らかであり、上記主張を採用することはできない。
したがって、本件発明12は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(11)本件発明13について
ア 本件発明13
本件発明13は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明13は、請求項1~5、7~12の記載を引用し、さらに「前記家畜は豚である」という特定事項を有するものである。
請求項1~5、7、8の記載を引用する特定事項については、上記(1)から(7)にて指摘したとおりである。
本件発明13がさらに有する特定事項について検討する。
引用発明は、家畜について格段の特定はなされていないが、家畜として「豚」は普通に知られた存在であり、このことは、上記甲第2号証(例えば[0002]等)、甲第4号証(例えば[0001]等)、甲第5号証(例えば[0002]等)、甲第6号証([0004]等)の記載をみれば明らかである。
したがって、引用発明の飼育動物を豚とすることは当業者が容易になし得たことである。
よって、本件発明1~5、7、8の記載を引用する本件発明13は、上記引用発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(12)本件発明14について
ア 本件発明14
本件発明14は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明14と引用発明aとを対比する。
(ア)上記(1)ウの対比を援用すると、引用発明aの上位コンピュータは、「家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の飼育領域にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記飼育領域ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部」を備えているといえる。
もっとも、上記飼育領域が、本件発明14では「畜舎」であるのに対し、引用発明aでは「飼育エリア」である点で相違する、といえる。
(イ)上記(1)ウの対比を援用すると、本件発明14と引用発明aとの対比は、以下のとおりであるといえる。
本件発明14の家畜疾病管理サーバと引用発明aの上位コンピュータとは、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いて家畜の健康状態を推定し、さらに2以上の飼育場所について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記健康状態の妥当性を評価して健康状態を推定する健康状態推定部」を有している点で共通している。
もっとも、本件発明14では、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定」するのに対し、引用発明aでは、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」おらず、また、「健康状態」が、本件発明14では「疾病リスク」であるのに対し、引用発明aでは「健康状態に異常があるかどうか」である点、さらに、「2以上の飼育場所」が、本件発明14では「2以上の畜舎」であるのに対し、引用発明aでは「2以上の畜産場」である点で相違する。
(ウ)引用発明aの上位コンピュータは、その特定事項からみて、家畜の健康状態につて管理するサーバということができるから、本件発明14の「家畜疾病管理サーバ」と「家畜健康状態管理サーバ」である点で共通する。
もっとも、本件発明14は「家畜疾病管理サーバ」であるのに対し、引用発明aは、「疾病管理」とまではいえない点で相違する。
(エ)以上のことから、本件発明14と引用発明aとは、以下の一致点で一致し相違点で相違する。
(一致点)
家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の飼育領域にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記飼育領域ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得部と、
前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いて健康状態を推定し、さらに2以上の飼育場所について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記健康状態の妥当性を評価して健康状態を推定する健康状態推定部と、
を備える家畜健康状態管理サーバ。
(相違点)
相違点1
飼育領域が、本件発明14では「畜舎」であるのに対し、引用発明aでは「飼育エリア」である点。
相違点2
健康状態の推定について、本件発明14では、「疾病リスク」の推定であるのに対し、引用発明aでは「健康状態が異常であるかどうか」を推定している点。
相違点3
飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いた健康状態の推定が、本件発明14では、画像情報に加えて、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」いるのに対し、引用発明aでは、画像情報のみを用い、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」いない点。
相違点4
2以上の飼育場所が、本件発明14では「2以上の畜舎」であるのに対し、引用発明aでは「2以上の畜産場」である点。
<判断>
上記相違点は、上記(1)ウで検討した相違点と同じであり、先の検討と同様いずれの相違点も引用発明a及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易になし得たものであるといえる。
したがって、本件発明14は、上記引用発明a及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(13)本件発明15について
ア 本件発明15
本件発明15は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明15と引用発明bとを対比する。
(ア)上記(1)ウの対比を援用すると、引用発明bの家畜監視方法は、「飼養状況取得部が、家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の飼育領域にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記飼育領域ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得するステップ」を備えているといえる。
もっとも、上記飼育領域が、本件発明15では「畜舎」であるのに対し、引用発明bでは「飼育エリア」である点で相違する、といえる。
(イ)上記(1)ウの対比を援用すると、本件発明15と引用発明bとは、以下のとおりであるといえる。
引用発明bの家畜監視方法は、「健康状態推定部が、前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いて家畜の健康状態を推定し、さらに2以上の飼育場所について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記健康状態の妥当性を評価して健康状態を推定するステップ」を有している点で本件発明15と共通している。
もっとも、本件発明15では、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定」するのに対し、引用発明bでは、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」おらず、また、「健康状態」が、本件発明15では「疾病リスク」であるのに対し、引用発明bでは「健康状態に異常があるかどうか」である点、さらに、「2以上の飼育場所」が、本件発明15では「2以上の畜舎」であるのに対し、引用発明bでは「2以上の畜産場」である点で相違する。
(ウ)引用発明bの家畜監視方法は、その特定事項からみて、家畜の健康状態について管理する方法ということができるから、本件発明15の「家畜疾病管理方法」と「家畜健康状態管理方法」である点で共通する。
もっとも、本件発明15は「家畜疾病管理方法」であるのに対し、引用発明bは、「疾病管理」とまではいえない点で相違する。
(エ)以上のことから、本件発明15と引用発明bとは、以下の一致点で一致し相違点で相違する。
(一致点)
飼養状況取得部が、家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の飼育領域にそれぞれ設けられた環境情報取得器により取得した前記飼育領域ごとの環境情報、を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得ステップと、
健康状態推定部が、前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いて健康状態を推定し、さらに2以上の飼育場所について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記健康状態の妥当性を評価して健康状態を推定する健康状態推定ステップと、
を備える家畜健康状態管理方法。
(相違点)
相違点1
飼育領域が、本件発明15では「畜舎」であるのに対し、引用発明bでは「飼育エリア」である点。
相違点2
健康状態の推定について、本件発明15では、「疾病リスク」の推定であるのに対し、引用発明bでは「健康状態が異常であるかどうか」を推定している点。
相違点3
飼養状況取得ステップにより取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いた健康状態の推定が、本件発明15では、画像情報に加えて、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」いるのに対し、引用発明bでは、画像情報のみを用い、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」いない点。
相違点4
2以上の飼育場所が、本件発明15では「2以上の畜舎」であるのに対し、引用発明bでは「2以上の畜産場」である点。
<判断>
上記相違点は、上記(1)ウで検討した相違点と同じであり、先の検討と同様いずれの相違点も引用発明b及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易になし得たものであるといえる。
したがって、本件発明15は、上記引用発明b及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(14)本件発明16について
ア 本件発明16
本件発明16は、上記第4に示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明16と引用発明cとを対比する。
(ア)上記(1)ウの対比を援用すると、引用発明cの家畜監視システムの上位コンピュータに実行させるプログラムは、「家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の飼育領域ごとの環境情報を含む飼養状況情報を取得するステップ」を備えているといえる。
もっとも、上記飼育領域が、本件発明16では「畜舎」であるのに対し、引用発明cでは「飼育エリア」である点で相違する、といえる。
(イ)上記(1)ウの対比を援用すると、本件発明16と引用発明cとは、以下のとおりであるといえる。
引用発明cの家畜監視システムの上位コンピュータに実行させるプログラムは、「前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いて家畜の健康状態を推定し、さらに2以上の飼育場所について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記健康状態の妥当性を評価して健康状態を推定するステップ」を有している点で本件発明16と共通している。
もっとも、本件発明16では、「前記飼養状況取得部により取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況、及び前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて疾病リスクを推定」するのに対し、引用発明cでは、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」おらず、また、「健康状態」が、本件発明16では「疾病リスク」であるのに対し、引用発明cでは「健康状態に異常があるかどうか」である点、さらに、「2以上の飼育場所」が、本件発明16では「2以上の畜舎」であるのに対し、引用発明cでは「2以上の畜産場」である点で相違する。
(ウ)引用発明cの家畜監視システムの上位コンピュータに実行させるプログラムは、その特定事項からみて、コンピュータに実行させる家畜の健康状態について管理するプログラムということができるから、本件発明16の「コンピュータに実行させる家畜疾病管理プログラム」と「コンピュータに実行させる家畜健康状態管理プログラム」である点で共通する。
もっとも、本件発明16は「家畜疾病管理プログラム」であるのに対し、引用発明cは、「疾病管理」とまではいえない点で相違する。
(エ)以上のことから、本件発明16と引用発明cとは、以下の一致点で一致し相違点で相違する。
(一致点)
家畜を撮像した画像情報、及び、前記家畜が収容された複数の飼育領域ごとの環境情報を含む飼養状況情報を取得する飼養状況取得ステップと、
前記飼養状況取得ステップにて取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いて健康状態を推定し、さらに2以上の飼育場所について前記環境情報の類似性を用いて解析した前記家畜の状況を用いて前記健康状態の妥当性を評価して健康状態を推定する健康状態推定ステップと、
を備えるコンピュータに実行させる家畜健康状態管理プログラム。
(相違点)
相違点1
飼育領域が、本件発明16では「畜舎」であるのに対し、引用発明cでは「飼育エリア」である点。
相違点2
健康状態の推定について、本件発明16では、「疾病リスク」の推定であるのに対し、引用発明cでは「健康状態が異常であるかどうか」を推定している点。
相違点3
飼養状況取得ステップにより取得した前記画像情報に映る家畜を抽出して解析した前記家畜の状況を用いた健康状態の推定が、本件発明16では、画像情報に加えて、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」いるのに対し、引用発明cでは、画像情報のみを用い、「前記畜舎ごとの環境情報を解析した前記家畜の状況を用いて」いない点。
相違点4
2以上の飼育場所が、本件発明16では「2以上の畜舎」であるのに対し、引用発明cでは「2以上の畜産場」である点。
<判断>
上記相違点は、上記(1)ウで検討した相違点と同じであり、先の検討と同様いずれの相違点も引用発明c及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易になし得たものであるといえる。
したがって、本件発明16は、上記引用発明c及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明1~5、7、8、13、14、15、16は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証ないし甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。そうすると、本件発明1~5、7、8、13、14、15、16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1~5、7、8、13、14、15、16に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明9~12に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項9~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
なお、請求項6に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項6に対してなされた特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700785