特許異議申立
2025-701131
半導体製造装置用部材
- 審判番号
- 2025-701131
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-539014
- 登録番号
- 7705456
- 請求日
- 2025年12月11日
- 審決日
- 2026年05月22日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日本碍子株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人アイテック国際特許事務所
- 【異議申立人】佐藤 義光
- 【異議申立人】小澤 佳郎
- 審判長/審判官
- 審判長 小宮 慎司
- 審判官 緑川 隆
- 審判官 河本 充雄
- 分類
- P1651.113-Y (H10P) / P1651.121-Y (H10P)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7705456号発明「半導体製造装置用部材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7705456号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7705456号の請求項1~6に係る特許(以下、「本件特許」ともいう。)についての出願は、2022年(令和4年)12月19日に国際出願され、令和7年7月1日にその特許権の設定登録がされ、令和7年7月9日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、令和7年12月11日に特許異議申立人 佐藤 義光(以下、「申立人A」という。)により、令和8年1月8日に特許異議申立人 小澤 佳郎(以下、「申立人B」という。また、「申立人A」と合わせて、「申立人ら」という。)により、それぞれ特許異議の申立てがされた。
(以下、申立人Aが提出した異議申立書を「異議申立書A」、申立人Bが提出した異議申立書を「異議申立書B」という。)
第2 本件発明
本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの内部に設けられた円形の内側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレートと、
を備え、
前記内側ヒータ電極は、平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ、前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の97%以上であり、
前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであり、前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている、
半導体製造装置用部材。
【請求項2】
外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの内部に設けられた円形の内側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレートと、
を備え、
前記内側ヒータ電極は、平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ、前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の100%以上である、
半導体製造装置用部材。
【請求項3】
前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の97%以上103%以下である、
請求項1に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項4】
前記内側ヒータ電極の外周縁と前記外側ヒータ電極の内周縁との間隔は、2mm以上18mm以下である、
請求項1又は2に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項5】
前記セラミックプレートと前記冷却プレートとの間には、樹脂接着層が設けられている、
請求項1又は2に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項6】
前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の100%以上103%以下である、
請求項2に記載の半導体製造装置用部材。」
第3 申立理由の概要
1 特許異議の申立理由
申立人らの主張は、概略、以下のとおりである。
(1) 申立理由1(甲A1に基づく新規性欠如)(申立人Aによる理由1)
本件発明2、5は、甲A1に記載された発明であるから、請求項2、5に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
(2) 申立理由2(甲A1を主たる証拠とした場合の進歩性欠如)(申立人Aによる理由2)
本件発明1~6は、甲A1に記載された発明、甲A2~甲A4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3) 申立理由3(甲A4を主たる証拠とした場合の進歩性欠如)(申立人Aによる理由3)
本件発明1~6は、甲A4に記載された発明、甲A1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(4) 申立理由4(甲B1を主たる証拠とした場合の進歩性欠如)(申立人Bによる理由1)
本件発明1~6は、甲B1に記載された発明、甲B2~甲B5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 申立人らの提出した証拠
(1) 申立人Aの提出した証拠
申立人Aは、次の甲第1号証~甲第4号証(以下、それぞれ「甲A1」~「甲A4」という。)を証拠として提出している。
甲A1:特開2016-189425号公報
甲A2:特開2003-347177号公報
甲A3:特開2007-300057号公報
甲A4:特開2020-4928号公報
(2) 申立人Bの提出した証拠
申立人Bは、次の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ「甲B1」~「甲B5」という。)を証拠として提出している。
甲B1:特開2015-159186号公報
甲B2:特開2017-195060号公報
甲B3:特開2018-157186号公報
甲B4:特開2020-4928号公報(甲A4と同じ文献)
甲B5:特開2020-61401号公報
第4 申立人らの提出した証拠の記載
1 甲A1の記載及び甲A1発明
(1) 甲A1の記載
甲A1には、以下の記載がある(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェハを加熱することができるセラミックヒータと、そのセラミックヒータの制御方法と、例えば半導体ウェハの固定、半導体ウェハの平面度の矯正、半導体ウェハの搬送などに用いられる静電チャックと、その静電チャックの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体製造装置では、半導体ウェハ(例えばシリコンウェハ)に対して、ドライエッチング(例えばプラズマエッチング)等の処理が行われている。このドライエッチングの精度を高めるためには、半導体ウェハを確実に固定しておく必要があるので、半導体ウェハを固定する固定手段として、静電引力によって半導体ウェハを固定する静電チャックが提案されている。
・・・
【0006】
また、近年では、図19(a)に示すように、セラミック基板P1のうち、半導体ウェハP2を載置する中心部P3を、上述のように複数の加熱ゾーンP4に区分するとともに、中心部P3の外周側を囲むように外周部P5を設け、その外周部P5に外周側発熱体P6を配置して、外周部P5の温度を独自に制御する技術が開発されている。
【0007】
この技術では、半導体ウェハP2を加工する際には、外周部P5上に外周リング(フォーカスリング)P7を載置し、この外周リングP7を外周部P5により加熱することによって、外周リングP7を半導体ウェハP2より高温に加熱している。なお、外周リングP7を半導体ウェハP2より高温に加熱することにより、エッチング等の加工の際に、半導体ウェハP2に不純物等が付着することを低減できる。
・・・
【0013】
本第1態様では、中心側発熱体は、第1層発熱体と第2層発熱体とを有しており、セラミックヒータを厚み方向から見た場合に(以下平面視と記すこともある)、第1層発熱体は、各ゾーン発熱体を有するとともに、第2層発熱体は、最外周の加熱ゾーンと重なるように配置された複数の補助発熱体を有している。
【0014】
従って、外周側発熱体を発熱させることによって、セラミック基板の外周側を加熱した場合でも、第1層発熱体の最外周のゾーン発熱体と第2層発熱体の複数の補助発熱体の発熱状態を調節することにより、中心部の温度に対する外周側発熱体による影響を低減することができる。これによって、セラミック基板の中心部の温度(面内温度)を容易に均一化することができる。
・・・
【0048】
・静電チャックとしては、セラミック基板の厚み方向に金属ベースが積層され、セラミック基板に、被吸着物を吸着する吸着用電極を備えた構成を採用できる。つまり、セラミック基板の第1主面(被吸着物を吸着する側の面)と反対側の第2主面側に、板状の金属ベースを接着剤層によって接合した構成を採用できる。また、冷却用流体が流れる冷却路等の冷却部を、例えば金属ベースに備えた構成を採用できる。
・・・
【0050】
・金属ベースを使用する場合には、その材料として、銅、アルミニウム、鉄、チタンなどを挙げることができる。また、接着剤層にてセラミック基板と接合する場合には、その接着剤の材料として、セラミック基板と金属ベースとを接合させる力が大きい材料であることが好ましく、例えばインジウムなどの金属材料や、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂材料を選択することができる。しかし、セラミック基板の熱膨張係数と金属ベースの熱膨張係数との差が大きいため、接着剤は、緩衝材としての機能を有する弾性変形可能な樹脂材料からなることが特に好ましい。
・・・
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に、本発明を実施するための形態(実施例)について説明する。
【実施例1】
【0053】
ここでは、例えば半導体ウェハを吸着保持できる静電チャックを例に挙げる。
a)まず、本実施例1の静電チャックの構造について説明する。
図1に示す様に、本実施例1の静電チャック1は、図1の上側にて半導体ウェハ3を吸着する装置であり、第1主面(吸着面)5及び第2主面7を有する円盤状のセラミックヒータ9と、円盤状の金属ベース(クーリングプレート)11とを、例えばインジウムからなる接合層12(図4参照)を介して接合したものである。
【0054】
本実施例1では、セラミックヒータ9は、後述する発熱体等を備えたセラミック基板13から構成されている。このセラミック基板13は、吸着面5側の構成として、セラミック基板13の厚み方向(図1の上下方向)から見た場合に(以下平面視と記すこともある)、図2に示すように、中心(軸中心)側の円形の中心部15と、中心部15の径方向外側(外周側)にて中心部15の周囲(全周)を囲むように配置された環状の外周部17と、中心部15と外周部17との間に設けられて中心部15と外周部17とを一部分離する環状の断熱用溝19を備えている。
・・・
【0056】
更に、図1に示すように、金属ベース11には、セラミック基板13(従って半導体ウェハ3)を冷却するために、冷却用流体が流される冷却路23が設けられている。なお、金属ベース11は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属製であり、冷却用流体としては、例えばフッ化液又は純水等の冷却用液体などを用いることができる。
【0057】
また、半導体ウェハ3の加工時には、図3に示すように、セラミック基板13の外周部17の上面に、その上面全体を覆うように、例えばシリコン等からなる環状の外周リング25が載置される。なお、図1~図3では、吸着面5等の構成を模式的に示している。
・・・
【0060】
また、中心部15の内部には、図4の上方より、吸着用電極31、第2層発熱体33、第1層発熱体35が、各セラミック層27により上下方向に分離されて配置されており、外周部17の内部には、外周側発熱体37が配置されている。
【0061】
このうち、第2層発熱体33及び第1層発熱体35により構成される中心側発熱体39によって、中心部15(従って半導体ウェハ3)が加熱され、外周側発熱体37によって、外周部17(従って外周リング25)が加熱される。
【0062】
なお、第2層発熱体33、第1層発熱体35、外周側発熱体37は、電圧が印加されて電流が流れると発熱する金属材料(W等)からなり、後述するように、長尺(所定幅の線状)の発熱パターンにより構成されている。
・・・
【0064】
<第1層発熱体35>
図5(a)に示すように、セラミック基板13の中心部15には、セラミック基板13の平面方向における各領域をそれぞれ加熱(従って温度調節)できるように、平面視で、複数の加熱ゾーン41が設定されている。
【0065】
具体的には、中心部15に設けられた加熱ゾーン41は、中心部15の軸中心を含む1つの円形の第1加熱ゾーン41aと、第1加熱ゾーン41aの外周側を帯状に囲む円環状の第2加熱ゾーン41bと、第2加熱ゾーン41bの外周側を帯状に囲む円環状の第3加熱ゾーン41cと、第3加熱ゾーン41cの外周側を帯状に囲む円環状の第4加熱ゾーン41dとから構成されており、それらは同心状に配置されている。なお、図5(a)の破線が各加熱ゾーン41の境界を示している。
【0066】
また、第2加熱ゾーン41bは、同じ中心角(等ピッチ)となるように、3つの個別ゾーンに区分され、第3加熱ゾーン41cは、等ピッチで、同様に3つの個別ゾーンに区分され、第4加熱ゾーン41d(即ち最外周の加熱ゾーン)は、等ピッチで、8つの個別ゾーンに区分されている。従って、各個別ゾーンの形状は、湾曲した所定幅の円弧状の領域となっている。
【0067】
そして、図5(b)に示すように、第1加熱ゾーン41aと、第2~第4加熱ゾーン41b~41dの個別ゾーンには、第1層発熱体35としてゾーン発熱体43が配置されている。つまり、それぞれ第1~第4ゾーン発熱体43a、43b、43c、43dが配置されている。ここでは、第1加熱ゾーン41aも個別ゾーンと称する。なお、図5(b)では実線で各ゾーン発熱体43a~43dを示している。
【0068】
第2~第4ゾーン発熱体43b~43dは、長尺の発熱パターンからなり、各個別ゾーンの形状に合わせて、例えばU字状に形成されている。詳しくは、各ゾーン発熱体43a~43dは、各加熱ゾーン41の内周や外周の湾曲に沿うように湾曲した形状を有するとともに、周方向の一端にてU字状に曲がっている。なお、第1ゾーン発熱体43aは、第1加熱ゾーン41aの円形の形状に合わせて、長尺の発熱パターンが(一部が切り欠かかれた)円形となっている。
・・・
【0069】
<第2層発熱体33>
・・・
【0071】
そして、図6(b)に示すように、第1~第3補助加熱ゾーン45a~45cには、第2層発熱体33として、それぞれ長尺の発熱パターンからなる補助発熱体47が、同心状に配置されている。つまり、第1補助加熱ゾーン45aに円環状の第1補助発熱体47aが配置され、第2補助加熱ゾーン45bに円環状の第2補助発熱体47bが配置され、第3補助加熱ゾーン45cに円環状の第3補助発熱体47cが配置されている。なお、図6(b)では実線で補助発熱体47を示している。
【0072】
<外周側発熱体37>
図6(b)に示すように、セラミック基板13の外周部17には、円環状に外周側発熱体37が配置されている。
・・・
【0087】
e)次に、本実施例1の静電チャック1の制御方法について説明する。
本処理は、電子制御装置59により実施される処理である。
ここでは、静電チャック1により半導体ウェハ3を加熱する際に、セラミック基板13の中心部15の平面方向における温度(中心部15の面内温度)を均一化するための処理について説明する。
【0088】
図9及び図10(a)に示すように、まず、ステップ(S)100では、セラミックヒータ9による加熱が指示されたか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ110に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
【0089】
ステップ110では、外周リング25を半導体ウェハ3より高温にするために、外周側発熱体37に対して、所定の電圧を印加する処理(即ち通電(オン:ON)して発熱させる処理:以下同様)を行う。
【0090】
続くステップ120では、半導体ウェハ3を加熱するために、中心側発熱体39のうち、第1層発熱体35に所定の電圧を印加する処理を行う。但し、第1層発熱体35のうち、最外周の第4加熱ゾーン41dの第4ゾーン発熱体43dに印加する電圧は、他の第1~第3加熱ゾーン41a~41cの第1~第4ゾーン発熱体43a~43cに印加する電圧より低くする。
【0091】
これにより、最外周の第4加熱ゾーン41dの第4ゾーン発熱体43dの発熱状態を、他の第1~第3加熱ゾーン41a~41cの第1~第3ゾーン発熱体43a~43cの発熱状態より低くする。従って、この状態では(但し外周側発熱体37の影響を考慮しない場合)、第4加熱ゾーン41dの温度は、他の第1~第3加熱ゾーン41a~41cの温度より低くなる。
【0092】
なお、図10(a)では、ゾーン発熱体43において、高い発熱状態をHで示し、高い発熱状態Hより低い発熱状態をLで示している(以下同様)。
続くステップ130では、中心部15の面内温度を均一にするために、第2層発熱体33の第1~第3補助発熱体47a~47cに印加する電圧を制御し、その発熱状態を調節し、一旦本処理を終了する。
【0093】
具体的には、電圧の高い方から順番に、第1補助発熱体47aの印加電圧、第2補助発熱体47bの印加電圧、第3補助発熱体47cの印加電圧とする制御を行う。これにより、第1補助発熱体47aの発熱状態は最も高く、第2補助発熱体47bの発熱状態は中程度に、第3補助発熱体47cの発熱状態は最も低くなる。つまり、外部からの影響を考慮しない場合には、温度の高い方から順番に、第1補助加熱ゾーン45a、第2補助加熱ゾーン45b、第3補助加熱ゾーン45cとなる。
【0094】
なお、図10(a)では、各補助発熱体47において、最も高い発熱状態をHで示し、中程度の発熱状態をMで示し、最も低い発熱状態をLで示している(以下同様)。従って、発熱状態は、H>M>Lとなる。
【0095】
このような制御処理によって、セラミック基板13の中心部15の面内温度を均一化する。なお、前記ステップ110~130の処理の順番を入れ換えてもよい。」
「【図1】
[図:0001436209000001.jpg]
」
「【図4】
[図:0001436209000002.jpg]
」
「【図5】
[図:0001436209000003.jpg]
」
「【図6】
[図:0001436209000004.jpg]
」
「【図10】
[図:0001436209000005.jpg]
」
(2) 甲A1に記載された事項
ア 上記(1)の【0053】によれば、静電チャック1は、上側にて半導体ウェハ3を吸着する装置であり、第1主面5及び第2主面7を有する円盤状のセラミックヒータ9と、円盤状の金属ベース11とを接合したものである。
また、上記(1)の【図1】によれば、セラミックヒータ9の第1主面5に半導体ウェハ3が載置され、第1主面5とは反対側の面である第2主面7に金属ベース11が接合されることが見て取れる。
そうすると、静電チャック1は、上側にて半導体ウェハ3を吸着する装置であって、第1主面5に半導体ウェハ3が載置される円盤状のセラミックヒータ9と、セラミックヒータ9の第1主面と反対側の面である第2主面7に接合された円盤状の金属ベース11とで構成されるといえる。
イ 上記(1)の【0054】によれば、セラミックヒータ9は、セラミック基板13から構成されており、セラミック基板13は、セラミック基板13の厚み方向から見た場合に、中心側の円形の中心部15と、中心部15の径方向外側にて中心部15の周囲を囲むように配置された環状の外周部17と、中心部15と外周部17との間に設けられて中心部15と外周部17とを一部分離する環状の断熱用溝19を備えている。
ウ 上記(1)の【0056】によれば、金属ベース11には、セラミック基板13を冷却するために、冷却用流体が流される冷却路23が設けられている。
エ 上記(1)の【0007】、【0057】によれば、セラミック基板13の外周部17の上面に、その上面全体を覆うように、環状の外周リング(フォーカスリング)25が載置される。
オ 上記(1)の【図4】(a)によれば、中心部15の上面は、中心部15の外周の位置にある突起(断熱用溝19に最も近い突起)と、外周より内側に設けられた複数の突起を備え、中心部の外周の位置にある突起と外周より内側に設けられた複数の突起の上面には、半導体ウェハ3が載置されることが見て取れる。
カ 上記(1)の【図4】(a)によれば、外周リング25が載置される外周部17の上面は、中心部15の上面より低いことが見て取れる。
キ 上記(1)の【0060】~【0062】によれば、中心部15の内部には、吸着用電極31、第2層発熱体33、第1層発熱体35が、上下方向に分離されて配置されており、電圧が印加されて電流が流れると発熱する金属材料からなる第2層発熱体33及び第1層発熱体35により構成される中心側発熱体39によって、中心部15が加熱される。
ク 上記(1)の【0064】、【0065】によれば、中心部15には、平面視で、第1加熱ゾーン41a~第4加熱ゾーン41dが設定されおり、【0067】によれば、第1加熱ゾーン41a~第4加熱ゾーン41dには、第1層発熱体35として、第1~第4ゾーン発熱体43a~43dが配置されている。
また、上記(1)の【図5】(b)によれば、中心部15には、平面視で円形領域に、第1加熱ゾーン41a~第4加熱ゾーン41dが設定され、第1加熱ゾーン41a~第4加熱ゾーン41dに、第1~第4ゾーン発熱体43a~43dが配置されることが見て取れる。
更に、上記(1)の【0071】によれば、第2層発熱体33は、第1~第3補助発熱体47a~47cからなり、上記(1)の【図6】(b)によれば、中心部15には、平面視で円形領域に、円環状の第1~第3補助発熱体47a~47cが配置されることが見て取れる。
そうすると、中心部15には、平面視で円形領域に、第1層発熱体35及び第2層発熱体33が配置されているといえる。
ケ 上記(1)の【図4】(a)によれば、中心側発熱体39を構成する第2層発熱体33と第1層発熱体35とが、中心部15の上面の外周の位置にある突起の一部と重なることが見て取れるから、中心側発熱体39を構成する第2層発熱体33と第1層発熱体35は、平面視でも中心部15の上面の外周の位置にある突起の一部と重なるように設けられているといえる。また、上記(1)の【図4】(a)によれば、第2層発熱体33と第1層発熱体35は、半導体ウェハ3が載置される中心部15の上面と平行に配置されることが見て取れる。
コ 上記(1)の【0060】、【0061】、【0072】によれば、外周部17の内部には、円環状に外周側発熱体37が配置されており、外周側発熱体37によって、外周部17が加熱される。
また、上記(1)の【図6】(b)によれば、外周側発熱体37が、中心部15を取り囲むように外周部17に配置されることが見て取れる。
(3) 甲A1発明
上記(2)によれば、甲A1には次の発明(以下、「甲A1発明」という。)が記載されている。(各構成末尾の括弧内は、上記(2)の引用元を示す。)
「上側にて半導体ウェハ3を吸着する装置である静電チャック1であって、
第1主面5に半導体ウェハ3が載置される円盤状のセラミックヒータ9と、セラミックヒータ9の第1主面と反対側の面である第2主面7に接合された円盤状の金属ベース11とで構成され、(ア)
セラミックヒータ9は、セラミック基板13から構成されており、
セラミック基板13は、セラミック基板13の厚み方向から見た場合に、中心側の円形の中心部15と、中心部15の径方向外側にて中心部15の周囲を囲むように配置された環状の外周部17と、中心部15と外周部17との間に設けられて中心部15と外周部17とを一部分離する環状の断熱用溝19を備えており、(イ)
金属ベース11には、セラミック基板13を冷却するために、冷却用流体が流される冷却路23が設けられており、(ウ)
セラミック基板13の外周部17の上面に、その上面全体を覆うように、環状の外周リング(フォーカスリング)25が載置され、(エ)
中心部15の上面は、中心部15の外周の位置にある突起と、外周より内側に設けられた複数の突起を備え、中心部15の外周の位置にある突起と外周より内側に設けられた複数の突起の上面には、半導体ウェハ3が載置され、(オ)
外周リング25が載置される外周部17の上面は、中心部15の上面より低く、(カ)
中心部15の内部には、吸着用電極31、第2層発熱体33、第1層発熱体35が、上下方向に分離されて配置されており、電圧が印加されて電流が流れると発熱する金属材料からなる第2層発熱体33及び第1層発熱体35により構成される中心側発熱体39によって、中心部15が加熱され、(キ)
中心部15には、平面視で円形領域に、第1層発熱体35及び第2層発熱体33が配置され、(ク)
中心側発熱体39を構成する第2層発熱体33と第1層発熱体35は、平面視で中心部15の上面の外周の位置にある突起の一部と重なるように設けられ、第2層発熱体33と第1層発熱体35は、半導体ウェハ3が載置される中心部15の上面と平行に配置され、(ケ)
外周部17の内部には、中心部15を取り囲むように、円環状に外周側発熱体37が配置されており、外周側発熱体37によって、外周部17が加熱される、(コ)
静電チャック1。」
2 甲A2の記載
甲A2には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にウェハを加熱する際に用いるウェハ加熱装置に関するものであり、例えば半導体ウェハや液晶装置あるいは回路基板等のウェハ上に薄膜を形成したり、前記ウェハ上に塗布されたレジスト液を乾燥焼き付けしてレジスト膜を形成する際に好適なウェハ支持部材に関するものである。
・・・
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】図1は本発明に係るウェハ支持部材1の1例を示す断面図で、炭化珪素または窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスからなる板状セラミックス体2の一方の主面を、ウェハWを載せる載置面3とするとともに、他方の主面に抵抗発熱体5を形成し、該抵抗発熱体5に電気的に接続する給電部6を具備し、給電部6に給電端子11が接続している。これらの給電部6を囲む金属ケース19が接続部材17を介して板状セラミックス体2の他方の主面の周辺部に固定されている。
・・・
【0024】本発明のウェハ支持部材1は、板状セラミックス体2の一方の主面において、前記抵抗発熱体5の外接円Cの直径DCが前記板状セラミックス体2の直径Dの90~99%であることを特徴とする。」
「【図1】
[図:0001436209000006.jpg]
」
3 甲A3の記載
甲A3には、以下の記載がある。
「【背景】
【0001】
本発明は、基板処理チャンバ内で基板を保持するための基板支持体に関する。
・・・
【0010】
セラミックパック24の基板受容面26の中央と周辺の加熱帯42a、bでの温度は、更に、セラミックパック24の中に組み込まれた複数のヒータコイル50、52、例えば、第1ヒータコイル50と第2ヒータコイル52を用いて制御される。例えば、ヒータコイル50、52は、相互の周りに離れて同心に放射状に隔置され得る。一変形例においては、第1ヒータコイル50はセラミックパック24の中央部54aに位置し、第2ヒータコイル52はセラミックパック24の周辺部54bに位置する。第1と第2のヒータコイル50、52はセラミックパック24の中央部及び周辺部54a、54bの温度の独立した制御を可能にし、更に、セラミックパック24の裏面28上のメサ30と協働して、セラミックパック24の受容面26上に配置された基板25の温度プロファイルの調節を可能にする。」
「【図1】
[図:0001436209000007.jpg]
」
4 甲A4(甲B4)の記載及び甲A4発明
(1) 甲A4の記載
甲A4には、以下の記載がある。
「【0001】
本明細書によって開示される技術は、静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体を製造する際にウェハを保持する保持装置として、静電チャックが用いられる。静電チャックは、所定の方向(以下、「第1の方向」という)に略垂直な表面(以下、「上面」という)を有する、例えばセラミックス部材等の板状部材と、板状部材の内部に設けられたチャック電極とを備えており、チャック電極に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、板状部材の上面にウェハを吸着して保持する。
・・・
【0005】
上記静電チャックにおいて、ヒータ電極は、上記第1の方向視において、上記シールバンド領域に重なる部分を有している。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
静電チャックに保持される対象物は、板状部材の上面の内のシールバンド領域に形成された環状かつ凸状のシールバンドに接する。また、該対象物は、シールバンドに加えて、板状部材における上面の内の内側領域に形成された凸状の複数の突起にも接する。このため、ヒータ電極から、板状部材におけるシールバンドが形成されたシールバンド領域に伝達された熱および板状部材における内側領域の内の突起が形成された部分に伝達された熱は、該対象物に直接的に伝達される。
【0008】
ここで、シールバンド領域に形成されたシールバンドは、板状部材の上面に環状に形成されている。一方、内側領域に形成された複数の突起は、それぞれ独立して形成されている。このため、シールバンドの単位体積当たりの表面積は、各突起の単位体積当たりの表面積と比較して小さい。このような違いにより、シールバンドは、各突起と比較して放熱しにくい構造となっているため、板状部材の上面におけるシールバンド領域は、高温の温度特異点となりやすい。特に、ヒータ電極が、板状部材における第1の方向視でシールバンド領域に重なる部分に配置されている場合には、ヒータ電極の発熱は、最短距離で板状部材の上面におけるシールバンド領域に伝達されるため、シールバンド領域は、更に高温の温度特異点となりやすい。このようなシールバンド領域は、各突起と比較して上記対象物と広範囲にわたって接触するため、シールバンド領域の温度が対象物の温度に与える影響は大きい。
【0009】
そのため、従来の静電チャックでは、板状部材の上面の温度分布の制御性(ひいては、ウェハの温度分布の制御性)の点で向上の余地がある。
・・・
【0015】
本静電チャックでは、板状部材の内部に配置された複数のヒータ電極が、内側ヒータ電極と外側ヒータ電極とを備える。内側ヒータ電極は、第1の方向視において、内側領域に重なる部分を有し、かつ、シールバンド領域に重なる部分を有しないヒータ電極である。外側ヒータ電極は、第1の方向視において、外側領域に重なる部分を有し、かつ、シールバンド領域に重なる部分を有しないヒータ電極である。換言すれば、本静電チャックでは、内側ヒータ電極および外側ヒータ電極は、板状部材におけるシールバンド領域重なり部分以外の部分に配置されている。このため、本静電チャックによれば、内側ヒータ電極および外側ヒータ電極の発熱が、最短距離で板状部材の第1の表面におけるシールバンド領域に伝達されることを抑制することができ、ひいては、板状部材におけるシールバンド領域が高温の温度特異点となることを抑制することができる。従って、本静電チャックによれば、板状部材における第1の表面(より詳しくは、吸着面)における温度分布の制御性(ひいては、第1の表面(より詳しくは、吸着面)に保持された対象物の温度分布の制御性)を向上させることができる。
・・・
【0025】
静電チャック100は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置されたセラミックス部材10およびベース部材20を備える。セラミックス部材10とベース部材20とは、セラミックス部材10の下面S2(図2参照)とベース部材20の上面S3とが上記配列方向に対向するように配置される。なお、セラミックス部材10は、特許請求の範囲における板状部材に相当する。
【0026】
セラミックス部材10は、略円板状部材であり、セラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)により形成されている。セラミックス部材10の外周の上側には切り欠きが形成されている。このため、セラミックス部材10の上面S1は、上段と下段とに分かれている。また、セラミックス部材10の上面S1の内の上段の外周には、Z軸方向視において環状、かつ、Z軸方向において凸状のシールバンド180が形成されている。なお、シールバンド180の構成については、後に詳述する。
【0027】
セラミックス部材10の上面S1は、シールバンド領域SRと、内側領域IRと、外側領域ORとから構成されている。より詳細には、上述した上面S1の上段は、シールバンド領域SRと内側領域IRとから構成されており、上面S1の下段は、外側領域ORから構成されている。
【0028】
セラミックス部材10の上面S1におけるシールバンド領域SRは、シールバンド180が位置する領域である。内側領域IRは、Z軸方向視においてシールバンド領域SRの内側に接する領域である。内側領域IRには、Z軸方向において凸状の複数の突起170が形成されている。なお、突起170の構成については、後に詳述する。外側領域ORは、Z軸方向視においてシールバンド領域SRの外側に接する領域である。
【0029】
静電チャック100は、セラミックス部材10の上面S1、より詳しくは、当該上面S1の内の、シールバンド領域SRと内側領域IRとから構成される吸着面Scに、対象物(例えばウェハW)を保持する。セラミックス部材10の上面S1の内の吸着面ScはZ軸方向に略直交し、かつ、当該吸着面ScのZ軸方向視における形状は略円形である。また、セラミックス部材10の上面S1の内の外側領域ORには、例えば、静電チャック100を固定するための治具(不図示)が係合する。なお、セラミックス部材10の上面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、Z軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。また、本明細書では、Z軸方向に直交する方向を「面方向」ということがある。
・・・
【0035】
セラミックス部材10の内部には、また、セラミックス部材10の吸着面Scの温度分布の制御性(すなわち、吸着面Scに保持されたウェハWの温度分布の制御性)のためのヒータ電極50と、ヒータ電極50への給電のための構成とが配置されている。ヒータ電極50の構成については、後に詳述する。
・・・
【0044】
ベース部材20は、セラミックス部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置された接着部材30によって、セラミックス部材10に接合されている。接着部材30は、例えばシリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の接着材により構成されている。接着部材30の厚さは、例えば0.1mm~1mm程度である。
【0045】
ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、ベース部材20が冷却され、接着部材30を介したベース部材20とセラミックス部材10との間の伝熱(熱引き)によりセラミックス部材10が冷却され、セラミックス部材10の吸着面Scに保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
・・・
【0049】
図3に示すように、本実施形態において、複数のヒータ電極50は、2つの内側ヒータ電極510(内側ヒータ電極510Aおよび内側ヒータ電極510B)と、1つの外側ヒータ電極530とを含んでいる。各ヒータ電極510,530は、Z軸方向視で線状の抵抗発熱体であるヒータライン部511,531と、ヒータライン部511,531の両端部にそれぞれ接続されたヒータパッド部(第1のヒータパッド部513,533および第2のヒータパッド部515,535)とを有する。各ヒータ電極510,530のヒータライン部511,531は、Z軸方向視で略円周状または略螺旋状に延びる形状である。また、Z軸方向視で、ヒータパッド部513,515の幅は、ヒータライン部511の幅より大きく、ヒータパッド部533,535の幅は、ヒータライン部531の幅より大きい。
【0050】
図3および図4に示すように、内側ヒータ電極510は、セラミックス部材10における内側領域重なり部分IPの内部に配置されている。換言すると、内側ヒータ電極510は、Z軸方向視において、内側領域IRに重なる部分を有し、かつ、シールバンド領域SRに重なる部分を有していない。内側ヒータ電極510は、吸着面Scの内の内側領域IRを加熱するためのヒータである。
【0051】
一方、外側ヒータ電極530は、外側領域重なり部分OPの内部に配置されている。換言すると、外側ヒータ電極530は、Z軸方向視において、外側領域ORに重なる部分を有し、かつ、シールバンド領域SRに重なる部分を有していない。外側ヒータ電極530は、低温となりやすい吸着面Sc(すなわち、シールバンド領域SRおよび内側領域IR)の外周付近を補助的に加熱するためのヒータである。」
「【図1】
[図:0001436209000008.jpg]
【図2】
[図:0001436209000009.jpg]
【図3】
[図:0001436209000010.jpg]
【図4】
[図:0001436209000011.jpg]
」
(2) 甲A4に記載された事項
ア 上記(1)の【0025】によれば、静電チャック100は、セラミックス部材10およびベース部材20を備え、セラミックス部材10の下面S2とベース部材20の上面S3とが対向するように配置される。
イ 上記(1)の【0026】、【0027】によれば、セラミックス部材10は、略円板状部材であり、上面S1が、シールバンド領域SRと内側領域IRとから構成される上段と、外側領域ORから構成される下段とに分かれている。
また、上記(1)の【0029】によれば、吸着面Scは、シールバンド領域SRと内側領域IRとからなる。
また、上記(1)の【図1】によれば、セラミックス部材10の上面S1において、吸着面Scから構成される上段は円形であり、吸着面Scと比べて低い位置に外側領域ORから構成される下段は環状であることが見て取れる。
そうすると、セラミックス部材10は、略円板状部材であり、上面S1が、シールバンド領域SRと内側領域IRとからなる吸着面Scから構成される円形の上段と、吸着面Scと比べて低い位置の外側領域ORから構成される環状の下段とに分かれているといえる。
ウ 上記(1)の【0026】、【0028】によれば、上段の外周には、凸状のシールバンド180が形成され、シールバンド180が位置する領域がシールバンド領域SRである。
また、上記(1)の【図1】によれば、上面S1における、シールバンド領域SRと内側領域IRとから構成される上段の外周に、シールバンド領域SRが設けられている。
そうすると、上段の外周に設けられたシールバンド領域SRに、凸状のシールバンド180が形成されるものといえる。
エ 上記(1)の【0029】によれば、シールバンド領域SRと内側領域IRとから構成される吸着面ScにウェハWを保持し、外側領域ORには、静電チャック100を固定するための治具が係合する。
オ 上記(1)の【0035】、【0049】によれば、セラミックス部材10の内部には、吸着面Scの温度分布の制御性のためのヒータ電極50として、線状の抵抗発熱体を有する内側ヒータ電極510と外側ヒータ電極530が配置される。
また、上記(1)の【図3】によれば、内側ヒータ電極510は、平面視で円形の領域に設けられ、外側ヒータ電極530は内側ヒータ電極510を取り囲むように設けられた環状であることが見て取れる。
そうすると、セラミックス部材10の内部には、吸着面Scの温度分布の制御性のためのヒータ電極50として、平面視で円形の領域に設けられた線状の抵抗発熱体を有する内側ヒータ電極510と、内側ヒータ電極510を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極530が配置されているといえる。
カ 上記(1)の【0049】によれば、内側ヒータ電極510は、ヒータライン部511を有し、外側ヒータ電極530は、ヒータライン部531を有するとされている。
また、上記(1)の【図4】によれば、ヒータライン部511とヒータライン部531は、シールバンド領域SRと内側領域IRから構成される面であって、高さH1のシールバンド180が形成される面に対して平行な同一平面に設けられることが見て取れる。
更に、上記(1)の【0029】によれば、シールバンド領域SRと内側領域IRとからなる面は、吸着面Scである。
そうすると、内側ヒータ電極510と外側ヒータ電極530は、シールバンド180が形成される吸着面Scに対して平行な同一平面に設けられている。
キ 上記(1)の【0045】によれば、ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成され、冷媒流路21に冷媒が流されると、ベース部材20が冷却され、セラミックス部材10が冷却される。
ク 上記(1)の【0050】によれば、内側ヒータ電極510は、内側領域IRに重なる部分を有し、かつ、シールバンド領域SRに重なる部分を有していない。
(3) 甲A4発明
上記(2)によれば、甲A4には次の発明(以下、「甲A4発明」という。)が記載されている。(各構成末尾の括弧内は、上記(2)の引用元を示す。)
「セラミックス部材10およびベース部材20を備え、セラミックス部材10の下面S2とベース部材20の上面S3とが対向するように配置される静電チャック100であって、(ア)
セラミックス部材10は、略円板状部材であり、上面S1が、シールバンド領域SRと内側領域IRとからなる吸着面Scから構成される円形の上段と、吸着面Scと比べて低い位置の外側領域ORから構成される環状の下段とに分かれており、(イ)
上段の外周に設けられたシールバンド領域SRに、凸状のシールバンド180が形成され、(ウ)
シールバンド領域SRと内側領域IRとから構成される吸着面ScにウェハWを保持し、外側領域ORには、静電チャック100を固定するための治具が係合し、(エ)
セラミックス部材10の内部には、吸着面Scの温度分布の制御性のためのヒータ電極50として、平面視で円形の領域に設けられた線状の抵抗発熱体を有する内側ヒータ電極510と、内側ヒータ電極510を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極530が配置され、(オ)
内側ヒータ電極510と外側ヒータ電極530は、シールバンド180が形成される吸着面Scに対して平行な同一平面に設けられ、(カ)
ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成され、冷媒流路21に冷媒が流されると、ベース部材20が冷却され、セラミックス部材10が冷却される、(キ)
内側ヒータ電極510は、内側領域IRに重なる部分を有し、かつ、シールバンド領域SRに重なる部分を有しておらず、(ク)
静電チャック100。」
5 甲B1の記載及び甲B1発明
(1) 甲B1の記載
甲B1には、以下の記載がある。
「【請求項1】
被加熱物を載置する載置面を有し、前記被加熱物を加熱するためのヒータ部が設けられた本体部と、
該本体部よりも外径が小さく、前記本体部の前記載置面とは反対側において前記本体部を支持する中空の支持部とを備え、
前記ヒータ部は、内側ヒータと該内側ヒータよりも径方向の外側に配置された外側ヒータとを有しており、
前記内側ヒータと前記外側ヒータとは、互いに独立して制御可能に構成されており、
前記支持部内には、前記内側ヒータに接続された内側ヒータ端子と前記外側ヒータに接続された外側ヒータ端子とが配設されており、
前記本体部の内部には、該本体部の厚み方向において前記内側ヒータと前記支持部との間に配置され、前記本体部よりも熱伝導率が低い断熱層が設けられていることを特徴とする加熱装置。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体ウェハ等を加熱するための加熱装置に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の加熱装置の構造では、ヒータの発熱時にヒータの熱が支持部内の金属製のヒータ端子へと逃げてしまう、いわゆる熱引きが生じ、半導体ウェハを載置する本体部の載置面(ヒータ端子直上部分)に、周囲よりも温度が低い領域(温度特異点)が発生してしまう。
【0007】
また、従来の加熱装置の構造では、ヒータの発熱時に支持部内の大気が加熱され、支持部内の雰囲気温度が高くなった場合に、半導体ウェハを載置する本体部の載置面のうち、支持部直上部分の温度がその外周部分よりも高くなり、載置面の温度ばらつき(温度ムラ)が生じてしまう。
【0008】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、被加熱物を載置する載置面における、温度特異点発生の防止及び温度ばらつきの抑制が可能であり、被加熱物をより均一に加熱することができる加熱装置を提供しようとするものである。
・・・
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1~図3に示すように、本実施形態の加熱装置1は、被加熱物8を載置する載置面201を有し、被加熱物8を加熱するためのヒータ部4が設けられた本体部2と、本体部2よりも外径が小さく、本体部2の載置面201とは反対側において本体部2を支持する中空の支持部3とを備えている。ヒータ部4は、内側ヒータ41と内側ヒータ41よりも径方向の外側に配置された外側ヒータ42とを有しており、内側ヒータ41と外側ヒータ42とは、互いに独立して制御可能に構成されている。
【0027】
同図に示すように、支持部3内には、内側ヒータ41に接続された内側ヒータ端子412と外側ヒータ42に接続された外側ヒータ端子422とが配設されている。本体部2の内部には、本体部2の厚み方向において内側ヒータ41と支持部3との間に配置され、本体部2よりも熱伝導率が低い断熱層5が設けられている。以下、これを詳説する。
【0028】
図1に示すように、加熱装置1は、半導体製造装置に用いられ、被加熱物8である半導体ウェハを加熱するためのものである。加熱装置1は、円形板状の本体部2と、その本体部2を支持する円筒状の支持部3とを備えている。以下、説明の便宜上、本体部2側を上側、支持部3側を下側として説明する。
【0029】
同図に示すように、本体部2は、アルミナを主成分とするアルミナ質焼結体からなる。本体部2の厚みは、15mm以下である。本体部2の一方の主面(上面)は、被加熱物8を載置するための載置面201である。本体部2の他方の主面(下面)は、支持部3の一方の端部(上端部31)に支持される被支持面202である。また、本体部2は、その厚み方向(上下方向)Xに積層された第1層21及び第2層22を有している。
【0030】
第1層21は、円形板状を呈している。第1層21の上面は、前述の載置面201である。第2層22は、円形板状の底部221と、底部221の外周部から立設された円筒状の立設部222とを有している。立設部222は、第1層21に対してロウ付けにより接合されている。なお、接合方法は、これに限定されるものではなく、他の接合方法により接合されていてもよい。
・・・
【0034】
図1、図2に示すように、本体部2の第1層21の内部には、ヒータ部4が配設されている。ヒータ部4は、第1層21の中央部分(内側領域211)に配設された内側ヒータ41と、内側ヒータ41よりも径方向外側(外側領域212)に配設された外側ヒータ42とを有している。内側ヒータ41及び外側ヒータ42は、略同一平面上において複数の同心円が描かれるように、発熱体を所定のパターンで配設してなる。
・・・
【0036】
また、内側ヒータ端子412は、電源接続部材413を介して内側ヒータ用電源(図示略)に接続されている。また、同様に、外側ヒータ端子422は、電源接続部材423を介して外側ヒータ用電源(図示略)に接続されている。そして、内側ヒータ41と外側ヒータ42とは、互いに独立して制御可能に構成されている。すなわち、投入する電力量等によって発熱温度、発熱量、ワット密度等を制御可能に構成されている。
・・・
【0038】
また、同図に示すように、内側ヒータ41の外径D41は、本体部2の載置面201に載置される被加熱物8の外径(例えば300mm)よりも大きくなるように設定されている。また、断熱層5の外径D5も、本体部2の載置面201に載置される被加熱物8の外径よりも大きくなるように設定されている。また、外側ヒータ42は、本体部2の載置面201に載置される被加熱物8よりも外側となるように配置されている。
【0039】
次に、本実施形態の加熱装置1における作用効果について説明する。
本実施形態の加熱装置1において、本体部2の内部には、その本体部2の厚み方向Xにおいて内側ヒータ41と支持部3との間に配置され、本体部2よりも熱伝導率が低い断熱層5が設けられている。すなわち、内側ヒータ41と支持部3内に配設された内側ヒータ端子412及び外側ヒータ端子422との間に、断熱層5が配置されている。
【0040】
そのため、ヒータ部4の発熱時に、ヒータ部4(内側ヒータ41)から支持部3内の内側ヒータ端子412及び外側ヒータ端子422への直接的な熱引きを断熱層5によって抑制することができる。これにより、被加熱物8を載置する本体部2の載置面201(内側ヒータ端子412及び外側ヒータ端子422直上部分)における温度特異点の発生を防止することができる。
【0041】
また、ヒータ部4の発熱時に支持部3内(内部空間30)の大気が加熱され、支持部3内(内部空間30)の雰囲気温度が高くなった場合でも、本体部2に設けた断熱層5によって載置面201への影響、つまり載置面201における支持部3直上部分の温度がその外周部分よりも高くなることを抑制することができる。これにより、本体部2の載置面201における温度ばらつき(温度ムラ)を抑制することができる。
【0042】
一方、本体部2において、内側ヒータ41と支持部3との間に断熱層5を配置したことにより、ヒータ部4の熱が断熱層5の径方向外側、つまり本体部2の外周部分を経由して支持部3に伝わり、載置面201の内側と外側で温度ばらつきが生じるおそれがある。そこで、ヒータ部4は、互いに独立して制御可能に構成された内側ヒータ41及び外側ヒータ42を有している。
【0043】
そのため、例えば、本体部2から支持部3への熱引きが大きくなる本体部2の外周部分において、その部分に対応する外側ヒータ42の発熱量を大きくしたり、本体部2の載置面201の温度分布に合わせて内側ヒータ41及び外側ヒータ42の発熱温度、発熱量、ワット密度等を制御したりすることができる。これにより、本体部2の載置面201の温度を精度良く調整することができ、載置面201における温度ばらつきを抑制することができる。」
「【図1】
[図:0001436209000012.jpg]
【図2】
[図:0001436209000013.jpg]
」
(2) 甲B1に記載された事項
ア 上記(1)の【0026】、【0028】によれば、加熱装置1は、被加熱物8である半導体ウェハを載置する載置面201を有し、被加熱物8を加熱するためのヒータ部4が設けられた本体部2と、本体部2を支持する中空の支持部3とを備えている。また、ヒータ部4は、内側ヒータ41と内側ヒータ41よりも径方向の外側に配置された外側ヒータ42とを有しており、内側ヒータ41と外側ヒータ42とは、互いに独立して制御可能に構成されている。
また、上記(1)の【0034】によれば、ヒータ部4は本体部2の内部に配設されている。
イ 上記(1)の【0028】、【0029】によれば、本体部2は、円形板状であり、アルミナを主成分とするアルミナ質焼結体からなる。
ウ 上記(1)の【0027】によれば、支持部3内には、内側ヒータ41に接続された内側ヒータ端子412と外側ヒータ42に接続された外側ヒータ端子422とが配設され、本体部2の内部には、本体部2の厚み方向において内側ヒータ41と支持部3との間に配置され、本体部2よりも熱伝導率が低い断熱層5が設けられている。
エ 上記(1)の【0034】によれば、内側ヒータ41及び外側ヒータ42は、略同一平面上において、発熱体を所定のパターンで配設してなる。
また、上記(1)の【0036】によれば、内側ヒータ41と外側ヒータ42は、投入する電力量によって発熱温度、発熱量を制御可能に構成されている。
そして、上記(1)の【図1】によれば、内側ヒータ41及び外側ヒータ42は、載置面201に平行に設けられることが見て取れる。
さらに、上記(1)の【図2】によれば、内側ヒータ41は、平面視で円形の領域に設けられ、内側ヒータ41を取り囲むように環状の外側ヒータ42が設けられることが見て取れる。
オ 上記(1)の【0038】によれば、内側ヒータ41の外径D41は、被加熱物8の外径よりも大きくなるよう設定され、外側ヒータ42は、被加熱物8よりも外側となるように配置されている。
(3) 甲B1発明
上記(2)によれば、甲B1には次の発明(以下、「甲B1発明」という。)が記載されている。(各構成末尾の括弧内は、上記(2)の引用元を示す。)
「被加熱物8である半導体ウェハを載置する載置面201を有し、被加熱物8を加熱するためのヒータ部4が設けられた本体部2と、本体部2を支持する中空の支持部3とを備えた、加熱装置1であって、
ヒータ部4は、本体部2の内部に配設され、内側ヒータ41と内側ヒータ41よりも径方向の外側に配置された外側ヒータ42とを有し、内側ヒータ41と外側ヒータ42とは、互いに独立して制御可能に構成されており、(ア)
本体部2は、円形板状であり、アルミナを主成分とするアルミナ質焼結体からなり、(イ)
支持部3内には、内側ヒータ41に接続された内側ヒータ端子412と外側ヒータ42に接続された外側ヒータ端子422とが配設され、
本体部2の内部には、本体部2の厚み方向において内側ヒータ41と支持部3との間に配置され、本体部2よりも熱伝導率が低い断熱層5が設けられており、(ウ)
内側ヒータ41及び外側ヒータ42は、略同一平面上において、発熱体を所定のパターンで配設してなるものであって、投入する電力量によって発熱温度、発熱量を制御可能に構成され、
内側ヒータ41及び外側ヒータ42は、載置面201に平行に設けられ、内側ヒータ41は円形の領域に設けられ、内側ヒータ41を取り囲むように環状の外側ヒータ42が設けられ、(エ)
内側ヒータ41の外径D41は、被加熱物8の外径よりも大きくなるよう設定され、外側ヒータ42は、被加熱物8よりも外側となるように配置されている、(オ)
加熱装置1。」
6 甲B2の記載
甲B2には、以下の記載がある。
「【請求項1】
環状のセラミック基板と、該セラミック基板の周方向に沿って配置された、通電により発熱する発熱部と、を備えるとともに、
前記セラミック基板の厚み方向の一方に、プラズマ加工の際に用いられるフォーカスリングを搭載する搭載面を有する、環状の加熱部材において、
前記発熱部は、前記セラミック基板の内部及び前記搭載面と反対側の表面の少なくとも一方に配置されるとともに、前記加熱部材の内周側から外周側に沿って配置されて個別に温度調節が可能な複数の発熱体からなり、
前記セラミック基板には、平面視での前記複数の発熱体の間に、前記セラミック基板よりも断熱性の高い断熱部を備え、
前記断熱部の少なくとも一部は、前記複数の発熱体よりも前記搭載面側に設けられることを特徴とする加熱部材。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフォーカスリングを加熱できる加熱部材と、その加熱部材を備えた複合加熱部材に関するものである。
・・・
【0042】
図1に示す様に、第1実施形態の静電チャック1は、図1の上側にて被加工物である半導体ウェハ3を吸着して加熱することができる複合加熱部材である。
この静電チャック1は、厚み方向(図2の上下方向)から見た平面視で、円盤形状の中央加熱部材5と、中央加熱部材5の外周を囲むように配置された円環形状の外周加熱部材7とを備えている。つまり、外周加熱部材7の中心側に中央加熱部材5が配置されている。
【0043】
この中央加熱部材5と外周加熱部材7とは、平面視で円環形状の空間である分離部8を介して、分離した状態にて同軸に配置されている。なお、中央加熱部材5と外周加熱部材7とは、その底面(図2の下方)にて、取付部材(図2参照)9にそれぞれ固定されている。
【0044】
このうち、中央加熱部材5は、半導体ウェハ3が搭載される部材であり、円盤形状の中央セラミックヒータ11と円盤形状の中央金属ベース13とが積層されて中央接合層15により接合されたものである。
【0045】
また、外周加熱部材7は、円環形状のフォーカスリング17(図2参照)が搭載される部材であり、円環形状の外周セラミックヒータ19と円環形状の外周金属ベース21とが積層されて外周接合層23により接合されたものである。
・・・
【0050】
中央金属ベース13は、中央セラミックヒータ11と同径の円盤形状であり、中央セラミックヒータ11と同軸に接合されている。この中央金属ベース13には、中央セラミックヒータ11(従って半導体ウェハ3)を冷却するために、冷却用流体(冷媒)が流される流路(中央冷却路)31が設けられている。なお、冷却用流体としては、例えばフッ化液又は純水等の冷却用液体などを用いることができる。
・・・
【0053】
次に、中央加熱部材5の各構成について、図2に基づいて詳細に説明する。
<中央セラミックヒータ>
図2に模式的に示すように、中央セラミックヒータ11(従って中央セラミック基板29)は、その第2主面B1側が、例えばインジウム等の接着剤からなる中央接合層15により、中央金属ベース13の第3主面C1側に接合されている。
【0054】
この中央セラミック基板29は、複数のセラミック層(図示せず)が積層されたものであり、アルミナを主成分とするアルミナ質焼結体である。なお、アルミナ質焼結体は、絶縁体(誘電体)である。
【0055】
中央セラミック基板29の内部には、図2の上方より、中央吸着電極25、中央発熱部27等が配置され、中央発熱部27は複数の中央発熱体35から構成されている。
このうち、中央吸着電極25は、例えば平面形状が半円状の一対の電極25a、25b(図1参照)から構成されている。この中央吸着電極25とは、静電チャック1を使用する場合には、両電極25a、25bの間に、直流高電圧を印加し、これにより、半導体ウェハ3を吸着する静電引力(吸着力)を発生させ、この吸着力を用いて半導体ウェハ3を吸着して固定するものである。なお、中央吸着電極25については、これ以外に、周知の各種の構成(単極性や双極性の電極など)を採用できる。
【0056】
また、中央発熱部27を構成する中央発熱体35は、電圧が印加されて電流が流れると発熱する金属材料(タングステン等)からなる抵抗発熱体である。
この中央発熱体35は、中央セラミック基板29の平面方向において区分された各加熱ゾーン(図示せず)をそれぞれ加熱(従って温度調節)できるように、同一平面上に複数配置されている。なお、加熱ゾーンは、平面視で、同心状に複数列設けられるととともに、周方向にも複数設けられている。」
「【図2】
[図:0001436209000014.jpg]
」
7 甲B3の記載
甲B3には、以下の記載がある。
「【請求項1】
セラミックス基板の内部に、通電により発熱する抵抗発熱体が配置されたセラミックスヒータにおいて、
前記セラミックス基板には、一方の主面から前記抵抗発熱体に到る開口部を有するとともに、
前記開口部の内部には、前記セラミックス基板の熱伝導率と同じまたは前記セラミックス基板の熱伝導率より熱伝導率が大きく、かつ、セラミックスおよび樹脂の少なくとも1種からなる封止材が配置された、
セラミックスヒータ。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の被加工物を加熱できるセラミックスヒータ、及びそのセラミックスヒータを備えた静電チャック、並びに、そのセラミックスヒータの製造方法に関するものである。
・・・
【発明を実施するための形態】
【0043】
[1.第1実施形態]
ここでは、第1実施形態として、例えば半導体ウェハを吸着保持できる静電チャックを例に挙げる。
【0044】
[1-1.構成]
まず、第1実施形態の静電チャックの構造について説明する。
図1に示す様に、本第1実施形態の静電チャック1は、図1の上側にて被加工物である半導体ウェハ3を吸着する装置であり、セラミックスヒータ5と冷却基板7とが積層されて接着剤層9により接合されたものである。
・・・
【0046】
このうち、セラミックスヒータ5は、円盤形状であり、吸着用電極11や発熱部13等を備えたセラミックス基板17から構成されている。
冷却基板7は、セラミックスヒータ5より大径の円盤形状の金属ベースであり、セラミックスヒータ5と同軸に接合されている。この冷却基板7には、セラミックス基板17(従って半導体ウェハ3)を冷却するために、冷却用流体(冷媒)が流される流路(冷却路)19が設けられている。なお、冷却用流体としては、例えばフッ化液又は純水等の冷却用液体などを用いることができる。
・・・
【0048】
なお、リフトピン孔21とは別に、冷却用ガス孔(図示せず)を設けてもよい。冷却用ガスとしては、例えばヘリウムガスや窒素ガス等の不活性ガスなどを用いることができる。
次に、静電チャック1の各構成について、図2に基づいて詳細に説明する。
<セラミックヒータ>
図2に模式的に示すように、セラミックスヒータ5(従ってセラミックス基板17)は、その第2主面B側が、例えばシリコーンからなる接着剤層9により、冷却基板7の第3主面C側に接合されている。」
・・・
【0050】
セラミックス基板17の内部には、図2の上方より、吸着用電極11、複数の発熱体25からなる発熱部13等が配置されている。
また、後述するように、各発熱体25から第2主面Bに到るように、それぞれ開口部27が設けられており、各開口部27にはそれぞれ封止材29が配置されている。」
「【図2】
[図:0001436209000015.jpg]
」
8 甲B5の記載
甲B5には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、対象物を保持する保持装置に関する。
・・・
【0016】
静電チャック10は、ウェハWおよびフォーカスリングFRを静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内で使用される。静電チャック10は、主としてウェハWを保持する中央静電チャック部100と、主としてフォーカスリングFRを保持する外周静電チャック部200とを備える。なお、中央静電チャック部100および外周静電チャック部200は、共通の支持部材(不図示)上に設置されている。静電チャック10、中央静電チャック部100および/または外周静電チャック部200は、特許請求の範囲における保持装置に相当し、ウェハWおよび/またはフォーカスリングFRは、特許請求の範囲における対象物に相当する。
【0017】
A-2.中央静電チャック部100の構成:
A-2-1.中央静電チャック部100の基本構成:
中央静電チャック部100は、Z軸方向視で略円形の部材である。中央静電チャック部100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された中央セラミックス部材110および中央ベース部材120を備える。中央セラミックス部材110と中央ベース部材120とは、中央セラミックス部材110の下面S12と中央ベース部材120の上面S13とが、後述する中央接合部130を挟んで上記配列方向に対向するように配置される。すなわち、中央ベース部材120は、中央ベース部材120の上面S13が中央セラミックス部材110の下面S12側に位置するように配置される。
・・・
【0031】
中央セラミックス部材110の中央吸着面S11における外縁付近には、連続的な壁状凸部(不図示)が形成されている。壁状凸部は、シールバンドとも呼ばれる。Z軸方向視での壁状凸部の形状は、例えば、中央セラミックス部材110の中央吸着面S11の中心点を中心とした略円環状である。また、中央セラミックス部材110の中央吸着面S11における壁状凸部より内側の領域には、複数の独立した柱状凸部(不図示)が形成されている。Z軸方向視での各柱状凸部の形状は、例えば、略円形である。なお、中央セラミックス部材110の中央吸着面S11における壁状凸部より内側の領域の内、柱状凸部が形成されていない部分は、凹部となっている。壁状凸部および柱状凸部の高さは、例えば、10μm~20μm程度である。ウェハWは、中央セラミックス部材110の中央吸着面S11における壁状凸部と柱状凸部とに支持される。ウェハWが壁状凸部および柱状凸部に支持された状態では、ウェハWの表面(下面)と、中央セラミックス部材110の中央吸着面S11(柱状凸部が形成されていない凹部)との間に、空間が存在することとなる。
・・・
【0035】
A-3.外周静電チャック部200の構成:
A-3-1.外周静電チャック部200の基本構成:
外周静電チャック部200は、Z軸方向視で中央静電チャック部100を取り囲むような略円環状の部材である。外周静電チャック部200と中央静電チャック部100との間には、わずかな隙間が存在している。外周静電チャック部200は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された外周セラミックス部材210および外周ベース部材220を備える。外周セラミックス部材210と外周ベース部材220とは、外周セラミックス部材210の下面S22と外周ベース部材220の上面S23とが、後述する外周接合部230を挟んで上記配列方向に対向するように配置される。すなわち、外周ベース部材220は、外周ベース部材220の上面S23が外周セラミックス部材210の下面S22側に位置するように配置される。
・・・
【0038】
図2に示すように、外周セラミックス部材210の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成された外周チャック電極240が配置されている。Z軸方向視での外周チャック電極240の形状は、例えば略円環状である。外周チャック電極240にチャック用電源(不図示)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってフォーカスリングFRが外周セラミックス部材210の外周吸着面S21に吸着固定される。外周チャック電極240は、特許請求の範囲におけるチャック電極に相当する。
・・・
【0043】
外周ベース部材220の内部には冷媒流路221が形成されている。冷媒流路221に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、外周ベース部材220が冷却され、外周接合部230を介した外周ベース部材220と外周セラミックス部材210との間の伝熱(熱引き)により外周セラミックス部材210が冷却され、外周セラミックス部材210の外周吸着面S21に保持されたフォーカスリングFRが冷却される。これにより、フォーカスリングFRの温度分布の制御が実現される。」
「【図1】
[図:0001436209000016.jpg]
」
第5 当審の判断
1 申立理由1(甲A1に基づく新規性欠如)及び申立理由2(甲A1を主たる証拠とした場合の進歩性欠如)について
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲A1発明を対比する。
(ア) 「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有するセラミックプレート」を備える点について
a 甲A1発明において、「セラミック基板13」は、「円形の中心部15」を備え、「中心部15」は、「円形」であり、「中心部15の上面には、中心部15の外周の位置にある突起が設けられ」るものであるから、「セラミック基板13」は、「外周」に沿って「突起」を備えた「円形」の「中心部15の上面」を有しているといえる。
また、甲A1発明において、「中心部15の外周の位置にある突起」の「上面には、半導体ウェハ3が載置され」るものである。
そうすると、甲A1発明の「外周」に沿って「突起」を備えた「円形」の「中心部15の上面」は、「円形」の「半導体ウエハ3」載置面であるといえる。
一方、本件発明1の「セラミックプレート」は、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有する」ものであるところ、「シールバンド」について、本件特許に係る願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の【0015】には、「ウエハ載置面21には、図2に示すように、外縁に沿ってシールバンド22が形成され、シールバンド22の内側の全面に複数の円形小突起23が形成されている。・・・シールバンド22の頂面及び円形小突起23の頂面にはウエハWが載置される。」と記載されているから、「シールバンド」の上面にはウエハが載置されるものといえる。
以上によれば甲A1発明の「中心部15の外周の位置にある突起」、「半導体ウエハ3」は、本件発明1の「シールバンド」、「ウエハ」にそれぞれ相当し、甲A1発明の「外周に沿って」「突起」を備えた「円形」の「中心部15の上面」は、本件発明1の「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面」に相当する。
b 甲A1発明において、「セラミック基板13」は、「中心部15の径方向外側にて中心部15の周囲を囲むように配置された環状の外周部17」を備え、「外周部17の上面は、中心部15の上面より低」いものであるから、「中心部15の上面」の外側に「中心部15の上面」と比べて低い「環状の外周部17」の「上面」を備えているといえる。
また、甲A1発明の「外周部17の上面」は、「環状の外周リング(フォーカスリング)25が載置され」るから、フォーカスリング載置面といえる。
そうすると、甲A1発明の「環状」の「外周部17の上面」は、本件発明1の「前記ウエハ載置面の外側」の「前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面」に相当する。
c 上記第4の1(1)の【図1】によれば、甲A1発明の「セラミック基板13」は、平らな皿状の形状を有していることが見て取れるから、セラミックプレートといえる。
そうすると、上記a及びbも勘案すれば、甲A1発明の「セラミック基板13」と本件発明1の「セラミックプレート」は、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有するセラミックプレート」である点で一致し、本件発明1と甲A1発明とは、「セラミックプレート」を備える点で一致する。
(イ) 「前記セラミックプレートの内部に設けられた円形の内側ヒータ電極」及び「前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極」を備える点について
a 甲A1発明において、「セラミック基板13」が備える「中心部15の内部」には、「中心側発熱体39」を構成する「第2層発熱体33」及び「第1層発熱体35」が配置されており、「第1層発熱体35」と「第2層発熱体33」は、「平面視で円形領域」に配置されるものであるから、「中心側発熱体39」は、「セラミック基板13」の「内部」に設けられ、かつ、「平面視で円形領域」に設けられるものである。
一方、本件発明1の「内側ヒータ電極」は「円形の内側ヒータ電極」であるところ、本件明細書の【0017】には、「内側ヒータ電極30は、平面視でウエハ載置面21とほぼ一致する円形領域に設けられている。内側ヒータ電極30は、ウエハ載置面21と平行な仮想面上に抵抗発熱線を一筆書きの要領で一端から他端まで交差することなく配線したものである。」と記載されているから、「円形の内側ヒータ電極」とは、「平面視」で「円形領域」に設けられる「内側ヒータ電極」であるといえる。
そうすると、甲A1発明の「セラミック基板13」の「内部」に設けられ、かつ、「平面視で円形領域」に設けられる「中心側発熱体39」は、本件発明1の「前記セラミックプレートの内部に設けられた円形の内側ヒータ電極」に相当する。
b 甲A1発明において、「セラミック基板13」が備える「外周部17の内部」には、「中心部15を取り囲む」ように、「円環状」に「外周側発熱体37」が配置されており、「中心部15の内部」には、「第2層発熱体33」及び「第1層発熱体35」により構成される「中心側発熱体39」が配置されているから、「セラミック基板13」の「内部」には、「中心側発熱体39」「を取り囲む」ように、「円環状」に「外周側発熱体37」が設けられているといえる。
そうすると、甲A1発明の「円環状」に設けられた「外周側発熱体37」は、本件発明1の「前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極」に相当する。
c 上記a及びbによれば、本件発明1と甲A1発明とは、「内側ヒータ電極」と、「外側ヒータ電極」とを「備える」点で一致する。
(ウ) 「前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレート」を備える点について
甲A1発明の「セラミックヒータ9」の「第1主面5」は、「半導体ウェハ3が載置される」ものであるから、「半導体ウエハ3」載置面であるといえる。
また、甲A1発明において、「セラミックヒータ9は、セラミック基板13から構成されて」いるものであり、上記(ア)cで検討したように、甲A1発明の「セラミック基板13」は、本件発明1の「セラミックプレート」と、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有する」「セラミックプレート」である点で一致するものであることからすれば、甲A1発明の「セラミックヒータ9」の、「半導体ウエハ3」載置面である「第1主面5」は、本件発明1の「前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面」に相当する。
そして、甲A1発明の「金属ベース11」は、「セラミック基板13を冷却するために、冷却用流体が流される冷却路23が設けられ」ているとともに、「セラミックヒータ9の第1主面と反対側の面である第2主面7に接合され」ているから、本件発明1の「前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレート」に相当する。
また、本件発明1と甲A1発明とは、「冷却プレート」を備える点で一致する。
(エ) 「前記内側ヒータ電極は、平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ、前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の97%以上であり」について
甲A1発明の「中心側発熱体39を構成する第2層発熱体33と第1層発熱体35」は、「平面視で中心部15の上面の外周の位置にある突起の一部と重なる」ように設けられる。また、上記(ア)aで検討したように、甲A1発明の「中心部15の外周の位置にある突起」は、本件発明1の「シールバンド」に相当する。
そうすると、甲A1発明の「中心側発熱体39」は、本件発明1の「前記内側ヒータ電極は、平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ」る点で共通する。
(オ) 「前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであり、前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている」点について
甲A1発明の「中心側発熱体39を構成する第2層発熱体33」は、「半導体ウェハ3が載置される中心部15の上面と平行に配置され」たものであって、「電圧が印加されて電流が流れると発熱する金属材料」からなるものであるから、「半導体ウェハ3が載置される中心部15の上面」と平行な一つの仮想面上に配置されたものであって、抵抗発熱体を配線したものといえる。
そうすると、甲A1発明の「第2層発熱体33」は、本件発明1の「前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したもの」に相当する。
(カ) 「半導体製造装置用部材」について
上記第4の1(1)の【0002】によれば、甲A1発明の「静電チャック1」は、半導体製造装置に用いられるものであるから、半導体製造装置用部材であるといえる。
したがって、甲A1発明の「静電チャック1」は、本件発明1の「半導体製造装置用部材」に相当する。
(キ) 上記(ア)~(カ)より、本件発明1と甲A1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「 外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの内部に設けられた、円形の内側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレートと、
を備え、
前記内側ヒータ電極は、平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ、
前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものである、
半導体製造装置用部材。」
[相違点]
(相違点1)
本件発明1は、「内側ヒータ電極」の外径が、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面」の外径の97%以上であるのに対し、甲A1発明は、「中心側発熱体39」の外径と「中心部15の上面」の外径との関係が特定されていない点。
(相違点2)
本件発明1は、「前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている」のに対し、甲A1発明は、そのように構成されていない点。
イ 判断(進歩性欠如について)
(ア) 検討
相違点1について検討する。
甲A1には、「中心側発熱体39」の外径を「中心部15」の外径の97%以上とすることは記載も示唆もないし、甲A1発明において、相違点1に係る構成とすることが、設計的事項であるともいえない。
また、甲A2~甲A4、甲B1~甲B5を見ても、「内側ヒータ電極」の外径が、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面」の外径の97%以上とすることは記載されておらず、技術常識であるともいえないから、甲A1発明において、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
(イ) 申立人Aの主張について
a 相違点1に関して、申立人Aは、異議申立書Aの16頁9行~11行、23頁下から5行~24頁1行において、甲A1における「ウエハ載置面の外径」とは、環状に設けられたシールバンドの外径、すなわち、図4(a)のうち、断熱用溝19の左側にある突起の上面の外径のことであり、中心側発熱体39の外径が、ウエハ載置面の外径の100%以上であることが見て取れるから、甲A1には、相違点1に係る本件発明1の構成が記載されている旨主張する。
b そこで、検討するに、申立人Aの上記主張は、本件発明1の「ウエハ載置面」が、「シールバンド」の上面であることを前提とするものであるところ、本件発明1には、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面」との記載があり、「ウエハ載置面」について、「シールバンド」を備えること、及び、「円形」であることが特定されている。そうすると、本件発明1の「ウエハ載置面」は、その面上に「シールバンド」を備える「円形」の面であって、「シールバンド」の上面であるとはいえない。
そして、このような解釈は、本件明細書の【0014】に、「セラミックプレート20は、円形のウエハ載置面21と、環状のフォーカスリング載置面26とを備える。」との記載があり、【0015】に、「ウエハ載置面21には、外周に沿って環状のシールバンド22が設けられている。ウエハ載置面21には、図2に示すように、外縁に沿ってシールバンド22が形成され、シールバンド22の内側の全面に複数の円形小突起23が形成されている。・・・なお、ウエハ載置面21のうちシールバンド22や円形小突起23の設けられていない部分を、基準面24と称する。」との記載があり、「ウエハ載置面21」は、シールバンド22や円形小突起23の設けられた部分と、シールバンド22や円形小突起23の設けられていない部分(基準面24)からなる「円形」の面であることの記載とも齟齬しない。
そうすると、甲A1の図4(a)における、断熱用溝19の左側にある突起と、更にその左側にある2つの突起を取り除いた中心部15の上面が本件発明1の「ウエハ載置面」であり、甲A1の図4(a)における、中心部15の上面の外径、つまり、断熱用溝19に接する位置で計測される中心部15の直径が、本件発明1の「ウエハ載置面の外径」である。
以上を踏まえると、甲A1の図4(a)によれば、中心側発熱体39の外径が、ウエハ載置面の外径の100%以上であることは見て取れない。また、図4(a)には、中心側発熱体39の外径と中心部15の上面の外径との関係について、何らの記載も示唆もないから、中心側発熱体39の外径が、ウエハ載置面の外径の97%以上であるかも不明である。
よって、申立人Aの上記主張は、採用できない。
c また、相違点1に関して、申立人Aは、異議申立書A 24頁2行~14行において、甲A2の【0024】、【0019】には、板状セラミック体2(セラミックプレート)に内蔵された抵抗発熱体5(内側ヒータ電極)の外径を、載置面3(ウエハ載置面)の外径の例えば97%以上とし得ることを示す記載があり、甲A1発明に甲A2に記載された事項を適用して相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである旨主張する。
d しかしながら、甲A1(上記第4の1(1))の【0013】、【0014】、【0087】~【0095】、【図10】(a)に記載されているように、甲A1の静電チャック1は、セラミック基板13の中心部15の平面方向における温度を均一化するために、中心側発熱体39の第1層発熱体35において、最外周の第4加熱ゾーン41dの第4ゾーン発熱体43dの発熱状態を、第1~第3ゾーン発熱体43a~43cの発熱状態より低くし、更に、第2層発熱体33の第1~第3補助発熱体47a~47cの発熱状態を調節するものである。
そうすると、甲A1発明の静電チャックは、上記bで示したように、中心部15の上面の外径が本件発明1の「ウエハ載置面の外径」に相当するところ、中心部15の外径に対する中心側発熱体39の外径の比によって、中心部15の温度を均一化する必要がないものであり、甲A1発明に甲A2に記載された事項を適用する動機付けはないから、申立人Aの上記主張は採用できない。
(ウ) まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲A1発明、甲A2~甲A4、甲B1~甲B5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件発明2について
ア 対比
本件発明2は、本件発明1から「前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであり、前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている」との事項を削除し、「前記内側ヒータ電極の外径」について、「前記ウエハ載置面の外径の97%以上」であることを「前記ウエハ載置面の外径の100%以上」であるとする限定を付加したものである。
そうすると、上記(1)アでの検討を参酌して本件発明2と甲A1発明とを対比すると、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「 外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの内部に設けられた、円形の内側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレートと、
を備え、
前記内側ヒータ電極は、平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられる、
半導体製造装置用部材。」
[相違点]
(相違点3)
本件発明2は、「内側ヒータ電極」の外径が、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面」の外径の100%以上であるのに対し、甲A1発明は、「中心側発熱体39」の外径と「中心部15の上面」の外径との関係が特定されていない点。
イ 判断(新規性欠如について)
上記(1)イ(イ)bで検討した図4(a)を含め、甲A1には、「中心側発熱体39」の外径を「中心部15の上面」の外径の100%以上とすることは記載も示唆もないから、相違点3は実質的なものである。
したがって、本件発明2は、甲A1発明ではない。
ウ 判断(進歩性欠如について)
(ア) 検討
上記イのとおり、相違点3は実質的なものであり、また、甲A1発明において、相違点3に係る構成とすることが、設計的事項であるともいえない。
さらに、甲A2~甲A4、甲B1~甲B5を見ても、「内側ヒータ電極」の外径が、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面」の外径の100%以上とすることは記載されておらず、技術常識であるともいえないから、甲A1発明において、相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
(イ) 申立人Aの主張について
相違点3に関して、申立人Aは、上記(1)イ(イ)aと同様の主張をするが、上記(1)イ(イ)bでの検討と同様に、申立人Aの上記主張は採用できない。
(ウ) まとめ
以上のとおりであるから、本件発明2は、甲A1発明、甲A2~甲A4、甲B1~甲B5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3) 本件発明3~6について
本件発明3~6は、本件発明1又は2を限定した発明であり、甲A1発明と対比すると、少なくとも、上記(1)ア(キ)の相違点1又は上記(2)アの相違点3を有する。
そうすると、本件発明5と甲A1発明との間には相違点1又は相違点3があるため、本件発明5は、甲A1発明ではない。
また、上記(1)イ、上記(2)ウと同様に、本件発明3~6は、甲A1発明、甲A2~甲A4、甲B1~甲B5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4) 小括
以上のとおり、本件発明2、5は、甲A1発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
また、本件発明1~6は、甲A1発明、甲A2~甲A4、甲B1~甲B5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明1~6は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由1、2には理由がない。
2 申立理由3(甲A4を主たる証拠とした場合の進歩性欠如)について
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲A4発明を対比する。
(ア) 「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有するセラミックプレート」を備える点について
a 甲A4発明において、「セラミック部材10」の「上面S1」は、「シールバンド領域SRと内側領域IRとからなる吸着面Scから構成される円形の上段」を備えており、「上段の外周に設けられたシールバンド領域に、凸状のシールバンド180が形成され」るから、外周に沿って「シールバンド180」を備えた「吸着面Scから構成される円形の上段」を有するといえる。
また、甲A4発明において、「シールバンド領域SRと内側領域IRとから構成される吸着面Sc」には「ウェハW」が保持されることから、「吸着面Scから構成される円形の上段」は「ウエハW」載置面といえる。
そうすると、甲A4発明の「セラミック部材10」の「上面S1」における外周に沿って「シールバンド180」を備えた「吸着面Scから構成される円形の上段」は、本件発明1の「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面」に相当する。
b 甲A4発明において、「セラミック部材10」の「上面S1」は、「吸着面Scと比べて低い位置の外側領域ORから構成される環状の下段」を備え、「外側領域ORには、静電チャック100を固定するための治具が係合」するものである。
そして、フォーカスリングとは、ウェハに対するプラズマ処理の均一性を向上させるために用いられるものであるところ、甲A4発明の「治具」は、「静電チャック100を固定するための」ものであり、フォーカスリングではないから、甲A4発明の「治具が係合」する「外側領域OR」は、フォーカスリング載置面とはいえない。
そうすると、甲A4発明の「外側領域ORから構成される環状の下段」は、本件発明1の「フォーカスリング載置面」と、「前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状の面」である点で共通する。
c 上記第4の4(1)の【図2】によれば、甲A4発明の「セラミック部材10」は、平らな皿状の形状を有していることが見て取れるから、セラミックプレートといえる。
そうすると、上記a及びbも勘案すれば、甲A4発明の「セラミック部材10」と本件発明1の「セラミックプレート」は、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状の面を有するセラミックプレート」である点で共通し、本件発明1と甲A4発明とは、「セラミックプレート」を備える点で一致する。
(イ) 「前記セラミックプレートの内部に設けられた円形の内側ヒータ電極」及び「前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極」を備えるについて
a 甲A4発明において、「セラミックス部材10の内部」には、「円形の領域に設けられた内側ヒータ電極510」が配置されている。
一方、上記1(1)ア(イ)aで示したように、本件発明1の「円形の内側ヒータ電極」とは、「平面視」で「円形領域」に設けられる「内側ヒータ電極」である。
そうすると、甲A4発明の「セラミック部材10の内部」に配置された「円形の領域に設けられた内側ヒータ電極510」は、本件発明1の「前記セラミックプレートの内部に設けられた円形の内側ヒータ電極」に相当する。
b 甲A4発明において、「セラミックス部材10の内部」には、「内側ヒータ電極510を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極530」が配置されている。
そうすると、甲A4発明の「セラミック部材10の内部」に配置された「内側ヒータ電極510を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極530」は、本件発明1の「前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極」に相当する。
c 上記a及びbによれば、本件発明1と甲A4発明とは、「内側ヒータ電極」と、「外側ヒータ電極」とを備える点で一致する。
(ウ) 「前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレート」を備える点について、
a 甲A4発明の「ベース部材20」は、「セラミックス部材10の下面S2とベース部材20の上面S3とが対向するように配置され」ており、「下面S2」は「上面S1」とは反対側の面であるから、甲A4発明の「ベース部材20」は、「セラミックス部材10」の「上面S1」とは反対側の「下面S2」に設けられているといえる。
また、上記(ア)aで検討したように、甲A4発明の「セラミック部材10」の「上面S1」は、「吸着面Scから構成される円形の上段」を有し、「吸着面Scから構成される円形の上段」は「ウエハW」載置面といえる。
そうすると、甲A4発明の「ベース部材20」は、「セラミック部材10」の「ウエハW」載置面である「上面S1」とは反対の「下面S2」に設けられているといえる。
b 甲A4発明において、「ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成され、冷媒流路21に冷媒が流されると、ベース部材20が冷却され、セラミックス部材10が冷却され」るから、「ベース部材20」は、冷却プレートといえる。
また、上記(ア)cで検討したように、甲A4発明の「セラミック部材10」は、セラミックプレートといえる。
c そうすると、甲A4発明の「セラミック部材10」の「ウエハW」載置面である「上面S1」とは反対の「下面S2」は、本件発明1の「前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面」に相当し、甲A4発明の「ベース部材20」と本件発明1の「冷却プレート」は、「前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレート」である点で一致する。
(エ) 「前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであり、前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている」点について
a 甲A4発明の「内側ヒータ電極510」は、「シールバンド180が形成される吸着面Scに対して平行な」「平面に設けられ」ているから、「シールバンド180が形成される吸着面Sc」と平行な一つの仮想面上に設けられているといえる。そして、上記(ア)aでの検討と同様に、「シールバンド180が形成される吸着面Sc」は、「ウエハW」載置面といえる。
また、甲A4発明の「内側ヒータ電極510」は、「線状の抵抗発熱体」を有するものであるから、抵抗発熱線を配線したものといえる。
そうすると、甲A4発明の「内側ヒータ電極510」は、「ウエハW」載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであるから、本件発明1の「内側ヒータ電極」とは、「前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したもの」である点で共通する。
b 甲A4発明の「外側ヒータ電極530」は、「内側ヒータ電極510」と「同一平面上に設けられている」から、本件発明1の「前記外側ヒータ電極」とは、「前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている」点で共通する。
(オ)「半導体製造装置用部材」について
上記第4の4(1)の【0002】、【0025】によれば、甲A4発明の「静電チャック100」は、半導体製造装置に用いられるものであるから、半導体製造装置用部材といえる。
したがって、甲A4発明の「静電チャック100」は、本件発明1の「半導体製造装置用部材」に相当する。
(カ) 上記(ア)~(オ)より、本件発明1と甲A4発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「 外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状の面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの内部に設けられた、円形の内側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレートと、
を備え、
前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであり、前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている、
半導体製造装置用部材。」
[相違点]
(相違点4)
本件発明1は、「前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状の」「面」が、「フォーカスリング載置面」であるのに対し、甲A4発明は、そのように構成されていない点。
(相違点5)
本件発明1は、「内側ヒータ電極」が、「平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ」るのに対し、甲A4発明は、「内側ヒータ電極510」が、そのように構成されていない点。
(相違点6)
本件発明1は、「前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の97%以上であ」るのに対し、甲A4発明は、「内側ヒータ電極510」の外径と「セラミックス部材10」の「上段」の外径との関係が特定されていない点。
イ 判断(進歩性欠如について)
(ア) 検討
事案に鑑み、相違点5について検討する。
甲A4(上記第4の4(1))の【0007】、【0008】の記載によれば、静電チャックにおいて、ヒータ電極が、板状部材における第1の方向視でシールバンド領域に重なる部分に配置されている場合には、ヒータ電極の発熱がシールバンド領域に伝達されるため、シールバンド領域は、高温の温度特異点となりやすいとの課題があるといえ、【0015】には、静電チャックにおいて、内側ヒータ電極および外側ヒータ電極を、板状部材におけるシールバンド領域重なり部分以外の部分に配置することで、内側ヒータ電極および外側ヒータ電極の発熱が、最短距離でシールバンド領域に伝達されることを抑制することができ、シールバンド領域が高温の温度特異点となることを抑制することができることが記載されている。
そうすると、甲A4発明の静電チャック100は、内側ヒータ電極510をシールバンド領域SRと重ならない部分に配置することで課題を解決したものであるから、甲A4発明において、内側ヒータ電極510をシールバンド180の少なくとも一部と重なる部分に配置することには阻害要因があり、このことは、甲A1~甲A3、甲B1~甲B5の記載に左右されるものではない。
したがって、甲A4発明において、相違点5に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ) 申立人Aの主張について
相違点5に関して、申立人Aは、異議申立書Aの34頁3行~最終行において、甲A4の【0005】、【0050】、甲A1の図4(a)の記載によれば、甲A4発明において、ウエハ載置面の直下に配置された内側ヒータ電極を、上面視において、シールバンドと重なるように設けるべきか否かは、処理中におけるウエハの温度分布等に応じて、当業者が適宜選択し得る程度の設計的事項にすぎない旨主張する。
しかしながら、上記(ア)で示したように、甲A4発明の静電チャック100において、内側ヒータ電極510をシールバンド180の少なくとも一部と重なる部分に配置することには阻害要因があり、甲A4発明において、内側ヒータ電極510を、相違点5に係る構成を採用することは、当業者が適宜選択し得る程度の設計的事項にすぎないとはいえず、申立人Aの上記主張は採用できない。
(ウ) まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲A4発明、甲A1~甲A3、甲B1~甲B5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件発明2について
ア 対比
本件発明2は、本件発明1から「前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであり、前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている」との事項を削除し、「前記内側ヒータ電極の外径」について、「前記ウエハ載置面の外径の97%以上」であることを「前記ウエハ載置面の外径の100%以上」であるとする限定を付加したものである。
そうすると、上記(1)アでの検討を参酌して本件発明2と甲A4発明とを対比すると、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「 外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状の面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの内部に設けられた、円形の内側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレートと、
を備える、
半導体製造装置用部材。」
[相違点]
(相違点7)
本件発明1は、「前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状の」「面」が、「フォーカスリング載置面」であるのに対し、甲A4発明は、そのように構成されていない点。
(相違点8)
本件発明2は、「内側ヒータ電極」が、「平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ」るのに対し、甲A4発明は、「内側ヒータ電極510」が、そのように構成されていない点。
(相違点9)
本件発明2は、「前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の100%以上であ」るのに対し、甲A4発明は、「内側ヒータ電極510」の外径と「セラミックス部材10」の「上段」の外径との関係が特定されていない点。
イ 判断(進歩性について)
(ア) 検討
事案に鑑み、相違点8について検討する。
上記(1)イ(ア)で示したように、甲A4発明において、内側ヒータ電極510をシールバンド180の少なくとも一部と重なる部分に配置することには阻害要因があり、このことは、甲A1~甲A3、甲B1~甲B5の記載に左右されるものではない。
そうすると、甲A4発明において、相違点8に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ) 申立人Aの主張について
相違点8に関して、申立人Aは、異議申立書Aの36頁下から5行~37頁25行において、上記(1)イ(イ)と同様の主張をする。
しかしながら、上記(1)イ(イ)の検討と同様に、甲A4発明において、内側ヒータ電極510を、相違点8に係る構成を採用することは、当業者が適宜選択し得る程度の設計的事項にすぎないとはいえず、申立人Aの上記主張は採用できない。
(ウ) まとめ
以上のとおりであるから、本件発明2は、他の相違点について検討するまでもなく、甲A4発明、甲A1~甲A3、甲B1~甲B5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3) 本件発明3~6について
本件発明3~6は、本件発明1又は2を限定した発明であり、甲A4発明と対比すると、少なくとも、上記(1)ア(カ)の相違点5又は上記(2)アの相違点8を有する。
よって、上記(1)イ、上記(2)イと同様に、本件発明3~6は、甲A4発明、甲A1~甲A3、甲B1~甲B5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4) 小括
以上のとおり、本件発明1~6は、甲A4発明及び甲A1~甲A3、甲B1~甲B5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明1~6は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない
したがって、申立理由3には理由がない。
3 申立理由4(甲B1を主たる証拠とした場合の進歩性欠如)について
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲B1発明を対比する。
(ア) 「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有するセラミックプレート」を備える点について
a 甲B1発明において、「本体部2」は、「被加熱物8である半導体ウェハを載置する載置面201」を有するものであって、「円形板状」であるから、「載置面201」は、円形といえる。
そうすると、甲B1発明の円形の「被加熱物8である半導体ウェハを載置する載置面201」は、本件発明1の「円形のウエハ載置面」に相当する。
b 甲B1発明において、「本体部2」は、「円形板状」であるからプレートといえ、また、「アルミナを主成分とするアルミナ質焼結体」からなるものであるから、セラミックといえる。
そうすると、甲B1発明の「本体部2」は、セラミックプレートといえる。
c 上a及びbによれば、甲B1発明の「本体部2」と本件発明1の「セラミックプレート」は、「円形のウエハ載置面を有するセラミックプレート」である点で共通し、本件発明1と甲B1発明とは、「セラミックプレート」を備える点で共通する。
(イ) 「前記セラミックプレートの内部に設けられた円形の内側ヒータ電極」及び「前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極」を備える点について
a 甲B1発明において、「ヒータ部4」は、「内側ヒータ41」を有し、「本体部2の内部に配設され」るものであるから、「内側ヒータ41」も「本体部2の内部に配設され」るものである。また、甲B1発明の「内側ヒータ41」は、「円形の領域に設けられ」ている。
一方、上記1(1)ア(イ)で示したように、本件発明1の「円形の内側ヒータ電極」とは、「平面視」で「円形領域」に設けられる「内側ヒータ電極」である。
そうすると、甲B1発明の「本体部2の内部」に配設され、「円形の領域に設けら」る「内側ヒータ41」は、本件発明1の「前記セラミックプレートの内部に設けられた円形の内側ヒータ電極」に相当する。
b 甲B1発明において、「ヒータ部4」は、「外側ヒータ42」を有し、「本体部2の内部に配設され」るものであるから、「外側ヒータ42」も「本体部2の内部に配設され」るものである。また、「外側ヒータ42」は、「内側ヒータ41を取り囲むように環状」に設けられている。
そうすると、甲B1発明の「本体部2の内部」に配設され、「円形の領域に設けら」る「環状」の「外側ヒータ42」は、本件発明1の「前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極」に相当する。
c 上記a及びbによれば、本件発明1と甲B1発明とは、「内側ヒータ電極」と、「外側ヒータ電極」とを備える点で一致する。
(ウ) 「前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであり、前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている」点について
a 甲B1発明の「内側ヒータ41」は、「発熱体を所定のパターンで配設してなるもの」であって、「載置面201に平行に設けられ」るものであるから、「載置面201に平行」な一つの仮想面上に「発熱体」を配線したものといえる。
また、甲B1発明の「内側ヒータ41」は、「投入する電力量によって発熱温度、発熱量を制御可能に構成され」るものであるから、「内側ヒータ41」の「発熱体」は抵抗発熱線といえる。
そうすると、甲B1発明の「内側ヒータ41」と本件発明1の「内側ヒータ電極」は、「前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したもの」である点で共通する。
b 甲B1発明の「外側ヒータ42」は、「内側ヒータ41」と「略同一平面上」に設けられている。
そうすると、甲B1発明の「外側ヒータ42」と本件発明1の「外側ヒータ電極」は、「前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている」点で共通する。
(エ)「半導体製造装置用部材」について
また、上記第4の5(1)の【0001】、【0028】によれば、甲B1発明の「加熱装置1」は、半導体製造装置に用いられるものであるから、半導体製造装置用部材といえる。
そうすると、甲B1発明の「加熱装置1」は、本件発明1の「半導体製造装置用部材」に相当する。
(オ) 上記(ア)~(エ)より、本件発明1と甲B1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「 円形のウエハ載置面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの内部に設けられた、円形の内側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極と、
を備え、
前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであり、前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている、
半導体製造装置用部材。」
[相違点]
(相違点10)
セラミックプレートについて、本件発明1は、「ウエハ載置面」が「外周に沿ってシールバンドを備えた」ものであるのに対し、甲B1発明は、「載置面201」が「シールバンド」を備えるものではない点。
(相違点11)
セラミックプレートについて、本件発明1は、「前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有する」のに対し、甲B1発明は、そのように構成されていない点。
(相違点12)
本件発明1は、「前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレート」を備えるのに対し、甲B1発明は、そのように構成されていない点。
(相違点13)
本件発明1は、「内側ヒータ電極」が、「平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ」るのに対し、甲B1発明は、「内側ヒータ41」が、そのように構成されていない点。
(相違点14)
本件発明1は、「前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の97%以上であ」るのに対し、甲B1発明は、「内側ヒータ41」の外径と、「載置面201」の外径との関係が、そのように構成されていない点。
イ 判断(進歩性欠如について)
(ア) 検討
a 本件明細書の【0002】の記載によれば、従来知られている半導体製造装置用部材は、「外周に沿ってシールバンドを備えた円形のウエハ載置面を有すると共に、ウエハ載置面の外側にウエハ載置面と比べて低い環状段差面を有する」セラミックプレートを用いており、当該セラミックプレートは、「ウエハ載置面」が「外周に沿ってシールバンドを備えた」という相違点10に係る構成、及び、「ウエハ載置面の外側にウエハ載置面と比べて低い環状段差面を有する」という相違点11に係る構成を備えたものである。
また、本件明細書の【0004】、【0005】によれば、そのようなセラミックプレートは、「シールバンドの直下に内側ヒータ電極も外側ヒータ電極も存在しない場合、ウエハのうちシールバンドと対向する外周領域の温度が下がるおそれがあった」という課題を有しており、本件発明1は、その課題を解決するものである。
そうすると、本件発明1は、相違点10、11に係る両構成を有する半導体製造装置用部材のセラミックプレートにおいて生じる課題を解決するためのものであるから、相違点10、11に係る両構成を前提とするものである。
そして、本件明細書の【0006】、【0007】の記載によれば、本件発明1は、上記の前提となる構成を有する「セラミックプレート」において、相違点13、14に係る構成である「前記内側ヒータ電極は、平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ、前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の97%以上」とすることで上記課題を解決したものと理解できる。
b 以上によると、本件発明1は、相違点10、11に係る構成を前提とした半導体製造装置用部材のセラミックプレートにおいて生じる課題を解決するために、セラミックプレートの内部に設けられた内側ヒータ電極を相違点13、14に係る構成のように配置したものであるから、相違点10、11、13、14に係る構成は、一体不可分の構成といえる。
したがって、相違点10、11、13、14は、まとめて検討する。
c 甲B1発明の「本体部2」は、相違点10、11、13、14に係る構成を備えていないところ、甲A1~甲A4、甲B2~甲B5を見ても、相違点10、11、13、14に係る構成は記載されておらず、技術常識であるともいえないから、甲B1発明において、相違点10、11、13、14に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
(イ) 申立人Bの主張について
相違点10、11、13、14に関して、申立人Bは、異議申立書Bの35頁下から4行~37頁20行において、内側ヒータ41が被載置物8よりも大きい甲B1発明と、甲B2、甲B3に記載されたシールバンドSB2、SB3とを組み合わせると、甲B1発明の本体部2が周知技術であるシールバンドを備え、かつ、甲B2、甲B3に記載されたシールバンドSB2、SB3と半導体ウエハ3の大小関係に基づいて、内側ヒータが平面視で、本体部のシールバンドの少なくとも一部と重なるように設けることは、幾何学的・構造的に当然に導かれる事項であり、
加えて、甲B1には、「内側ヒータ41の外形D41は、本体部2の載置面201に載置される被加熱物8の外径(例えば300mm)よりも大きくなるように設定されている」ことが記載され、すなわち、甲B1発明は、載置面の外周の部分に内側ヒータが重なるようにすることで、半導体ウエハの外周部を加熱し、半導体ウエハの温度の均一性を高めるものであるから、ウェハのうち、温度が低下しやすい外周の部分を重点的に加熱するために、ヒータをその位置に配置することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない旨主張する。
しかしながら、申立人Bの上記主張は、一体不可分である相違点10、11、13、14について、個々に甲B1発明に適用することを主張するものであるから、採用することができない。
(ウ) まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲B1発明、甲A1~甲A4、甲B2~甲B5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件発明2について
ア 対比
本件発明2は、本件発明1から「前記内側ヒータ電極は、前記ウエハ載置面と平行な一つの仮想面上に抵抗発熱線を配線したものであり、前記外側ヒータ電極は、前記内側ヒータ電極と同一平面上に設けられている」との事項を削除し、「前記内側ヒータ電極の外径」について、「前記ウエハ載置面の外径の97%以上」であることを「前記ウエハ載置面の外径の100%以上」であるとする限定を付加したものである。
そうすると、上記(1)アでの検討を参酌して本件発明2と甲B1発明とを対比すると、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「 円形のウエハ載置面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの内部に設けられた、円形の内側ヒータ電極と、
前記セラミックプレートの内部にて、前記内側ヒータ電極を取り囲むように設けられた環状の外側ヒータ電極と、
を備える、
半導体製造装置用部材。」
[相違点]
(相違点15)
本件発明1は、「ウエハ載置面」が「外周に沿ってシールバンドを備えた」ものであるのに対し、甲B1発明は、「載置面201」が「シールバンド」を備えるものではない点。
(相違点16)
本件発明1は、「前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面と比べて低い環状のフォーカスリング載置面を有する」のに対し、甲B1発明は、そのように構成されていない点。
(相違点17)
本件発明1は、「前記セラミックプレートの前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられた冷却プレート」を備えるのに対し、甲B1発明は、そのように構成されていない点。
(相違点18)
本件発明1は、「内側ヒータ電極」が、「平面視で前記シールバンドの少なくとも一部と重なるように設けられ」るのに対し、甲B1発明は、「内側ヒータ41」が、そのように構成されていない点。
(相違点19)
本件発明1は、「前記内側ヒータ電極の外径は、前記ウエハ載置面の外径の100%以上であ」るのに対し、甲B1発明は、「内側ヒータ41」の外径と、「載置面201」の外径との関係が、そのように構成されていない点。
イ 判断(進歩性欠如について)
(ア)検討
上記(1)イ(ア)a、bと同様に検討すると、本件発明2において、相違点15、16、18、19に係る構成は一体不可分の構成といえるから、まとめて検討する。
そうすると、甲B1発明の「本体部2」は、相違点15、16、18、19に係る構成を備えていないところ、甲A1~甲A4、甲B2~甲B5を見ても、相違点15、16、18、19に係る構成は記載されておらず、技術常識であるともいえないから、甲B1発明において、相違点15、16、18、19に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ) 申立人Bの主張について
相違点15、16、18、19に関して、申立人Bは、異議申立書B 39頁下から4行~41頁4行において、上記(1)イ(イ)と同様の主張をする。
しかしながら、申立人Bの上記主張は、一体不可分である相違点15、16、18、19について、個々に甲B1発明に適用することを主張するものであるから、採用することができない。
(ウ) まとめ
以上のとおりであるから、本件発明2は、甲B1発明、甲A1~甲A4、甲B2~甲B5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3) 本件発明3~6について
本件発明3~6は、本件発明1又は2を限定した発明であり、甲B1発明と対比すると、少なくとも、上記(1)ア(オ)の相違点10~相違点14又は上記(2)アの相違点15~相違点19を有する。
そうすると、上記(1)イ、上記(2)イと同様に、本件発明3~6は、甲B1発明、甲A1~甲A4、甲B2~甲B5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4) 小括
以上のとおり、本件発明1~6は、甲B1発明、甲A1~甲A4、甲B2~甲B5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明1~6は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
したがって、申立理由4には理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び申立人の提出した証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-701131