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特許異議申立

2025-701096

洗車の管理システム

審判番号
2025-701096
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2024-069149
登録番号
7686207
請求日
2025年11月26日
審決日
2026年06月30日
公報発行日
2026年07月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】タケウチビユーテー株式会社
  • 【異議申立人】SK 弁理士法人
審判長/審判官
  • 審判長 角田 慎治
  • 審判官 中木 努
  • 審判官 河合 弘明
分類
P1651.121-Y (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第113条第1項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7686207号発明「洗車の管理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7686207号の請求項1ないし請求項5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7686207号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし請求項5に係る特許についての出願は、令和2年6月29日の出願である特願2020-111862号の一部を、令和6年4月22日に新たな特許出願としたものであって、令和7年5月23日にその特許権の設定登録がなされ、令和7年6月2日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、請求項1ないし請求項5に係る特許に対して、令和7年11月26日に特許異議申立人 SK弁理士法人(以下、単に「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし請求項5に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明5」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 洗車場利用者の各洗車場における決済処理を、各々の利用者が有する端末装置から実行可能な洗車の管理システムであって、 洗車場での洗車の提供にあたり利用者に請求される代金を、当該利用者と、複数の洗車場運営者の中から特定された当該洗車場を運営する洗車場運営者との間で決済し得るように、前記特定された洗車場運営者と各々の利用者との間で紐付された決済データベースに接続される決済手段を備え、 前記決済手段は、該特定された洗車場運営者と各利用者との間での決済処理を、予め、又はその決済時点でなされた当該洗車場運営者と各利用者との間での金銭価値の授受に基づいて、個々の洗車イベント毎に実行可能であることを特徴とする洗車の管理システム。 【請求項2】 洗車場利用者の各洗車場における決済処理を、各々の利用者が有する端末装置から実行可能な洗車の管理システムであって、 洗車場での洗車の提供にあたり利用者に請求される代金を、当該利用者と、複数の洗車場運営者の中から特定された当該洗車場を運営する洗車場運営者との間で決済し得る決済手段を備え、 前記決済手段は、該特定された洗車場運営者と各利用者との間での決済処理を、個々の洗車イベント毎に実行可能であり、 前記決済手段には、各利用者から個々の洗車場運営者に預けられた金銭価値を特定するデータが登録されており、前記決済手段は、各洗車場運営者毎に仕分けられる決済データベースに接続されることを特徴とする洗車の管理システム。 【請求項3】 前記決済データベースには、利用者を特定する会員IDデータと、個々の洗車場運営者を特定する運営者IDデータと、金銭価値の預け入れを含む決済された金銭価値を特定するデータとが夫々登録されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の洗車の管理システム。 【請求項4】 洗車場利用者の各洗車場における決済処理を、各々の利用者が有する端末装置から実行可能な洗車の管理システムであって、 洗車場での洗車の提供にあたり利用者に請求される代金を、当該利用者と、複数の洗車場運営者の中から特定された当該洗車場を運営する洗車場運営者との間で決済し得る決済手段を備え、 前記決済手段は、該特定された洗車場運営者と各利用者との間での決済処理を、個々の洗車イベント毎に実行可能であり、 各利用者が保有する端末装置には、各洗車場の洗い装置で実施される1つの洗車イベントを予約し得る予約アプリが格納されており、 前記予約アプリは、各洗車場の洗い装置で実施される1つの洗車イベントを、個々の洗車場又は個々の洗車場運営者毎に選択して予約可能であることを特徴とする洗車の管理システム。 【請求項5】 前記決済手段は、各洗車場運営者と各利用者との間での決済処理を前記予約アプリにより実行可能であることを特徴とする、請求項4に記載の洗車の管理システム。」 第3 申立人の主張及び証拠方法 1 申立人の主張の概要 申立人は、特許異議申立書の「3 申立ての理由」の「(5)むすび」(特許異議申立書20ページ)において、「本件特許発明1ないし5は、甲1発明および甲第2号証記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 従って、本件特許発明1ないし5は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。」と主張しているから、本件特許についての特許異議申立の理由の概要は、以下のとおりである。 <申立理由> 本件特許発明1ないし本件特許発明5は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件特許発明1ないし本件特許発明5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 申立人が提出した証拠方法 甲第1号証:特開2020-91772号公報 甲第2号証:特開2019-159484号公報 第4 各甲号証に記載された事項 1 甲第1号証の記載事項 (1)甲第1号証(特開2020-91772号公報)には、以下の各記載がある。(なお、下線は合議体で付与した。) ア 「【0005】 本発明は、・・・(略)・・・決済設定だけでなく洗車設定も併せて・・・(略)・・・ユーザのアプリケーションに出力することで、洗車機での料金精算を含む受付処理を素早く行うことができるデジタルプリペイドカード連動洗車システム・・・(略)・・・を提供することを目的とする。」 イ 「【0019】 本発明によれば、ユーザの洗車履歴等の各種実績を集中的に管理できる・・・(略)・・・」 ウ 「【0022】 [1.デジタルプリペイドカード連動洗車システムの構成] 本実施形態に係る洗車装置400、端末装置100、および、サーバ(デジタルプリペイドカード連動洗車サーバ)200を通信可能に接続したデジタルプリペイドカード連動洗車システムの構成の一例について、図1を参照して説明する。・・・(略)・・・ 【0023】 [端末装置100の構成] 図1において、端末装置100は、携帯電話、スマートフォン・・・(略)・・・等の携帯端末・・・(略)・・・であってもよい。 【0024】 端末装置100は、制御部102と記憶部106と入出力部112とを備えており、端末装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。 【0025】 入出力部112は、データの入出力(I/O)を行う機能を有していてもよい。・・・(略)・・・ 【0026】 端末装置100は、他の装置とネットワーク300を介して通信可能に接続し、他の装置とデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、洗車装置400、端末装置100およびサーバ200を相互に通信可能に接続する機能を有し、例えば、インターネット・・・(略)・・・である。」 エ 「【0032】 ユーザデータベース206bは、端末装置100のユーザ(例えば、洗車アプリケーションの会員等)のユーザデータを記憶する。ここでユーザデータベース206bは、端末装置100のユーザのプリペイドデータ(デジタルプリペイドカードデータ)を含むユーザデータを記憶していてもよい。ここで、プリペイドデータは、洗い放題チケットデータを含んでいてもよい。また、洗い放題チケットデータは、洗い放題有効期限を含んでいてもよい。また、プリペイドデータは、プリペイド残高・・・(略)・・・を含んでいてもよい。・・・(略)・・・ 【0034】 ・・・(略)・・・洗車メニュー表示制御部202aは、端末装置100での洗車アプリケーション起動後、・・・(略)・・・洗車項目を選択可能とした洗車メニュー画面を端末装置100の入出力部112に表示させるように制御してもよい。 【0035】 ・・・(略)・・・認証データは、特約店識別子、店舗識別子、チケット種別、および/または、洗車項目等を含んでいてもよい。また、情報コードは、情報コード識別子、および/または、情報コード出力時刻等がコード化されていてもよい。・・・(略)・・・なお、洗車店舗は、店舗識別子のみで識別可能であってもよく、特約店識別子と店舗識別子とを合せて識別可能であってもよい。すなわち、異なる特約店(販売会社)同士で、同一の店舗識別子を用いている場合等、「特約店識別子+店舗識別子」で洗車店舗を特定してもよい。 【0036】 ・・・(略)・・・コード表示制御部202cは、端末装置100にてチケット種別としてプリペイド洗車チケットが選択された場合、プリペイド残高から洗車項目に対応する金額を仮減算処理し、仮プリペイド残高を取得してもよい。 【0037】 ・・・(略)・・・プリペイド残高より洗車項目に対応する金額が高いと判定した場合、オートチャージ設定データに基づいて、オートチャージ金額の加算処理により当該プリペイド残高を更新してもよい。 【0038】 ・・・(略)・・・更新部202eは、・・・(略)・・・洗車実施データに基づいて、プリペイド残高から洗車項目に対応する金額を減算処理するユーザデータの更新を実行してもよい。また、更新部202eは、・・・(略)・・・洗車実施データに基づいて、洗車履歴を追加するユーザデータの更新を実行してもよい。・・・(略)・・・」 オ 「【0050】 ・・・(略)・・・ユーザデータベース206bに記憶されたユーザデータ等に基づいて、光学読取可能なQRコード(登録商標)を生成し、チケット種別、QRコード(登録商標)識別子、および、QRコード(登録商標)出力時刻等を含む認証データを洗車装置400に送信する(ステップSA-4)。 ・・・(略)・・・ 【0055】 そして、サーバ200の更新部202eは、洗車実施データに基づいて、プリペイド残高から洗車項目に対応する金額を減算処理し、且つ、洗車履歴を追加する、ユーザデータベース206bに記憶されたユーザデータの更新を実行し(ステップSA-8)、処理を終了する。」 カ 「【0059】 ・・・(略)・・・スマートフォン100にて洗車アプリケーション起動後、ユーザによりチケット種別としてプリペイド洗車チケットが選択された場合(ステップSB-1)、洗車項目を選択可能とした洗車メニュー画面をスマートフォン100に表示させ、ユーザにより「泡ムートン洗浄:2,730円」および「下回り洗浄:1,500円」が選択された場合(ステップSB-2)、・・・(略)・・・プリペイド残高から洗車項目に対応する金額が仮減算処理される(ステップSB-3)。 【0060】 ・・・(略)・・・洗車装置400にて洗車が実行され、サーバ200への洗車実施データのフィードバックにより仮プリペイド残高を更新後の確定したプリペイド残高として減算処理が実行され、且つ、洗車履歴が追加されることで、利用実績が登録される(ステップSB-5)。」 キ 「【0070】 また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。」 ク 「【0079】 本発明は、洗車機を設置するサービスステーション、カー用品店、および、セルフ洗車場等を含むカーケアを行う業界において有用である。」 (2)甲第1号証に記載された発明 ア 上記「(1)」の「ア」の段落0005には「決済設定だけでなく洗車設定も併せて・・・(略)・・・ユーザのアプリケーションに出力することで、洗車機での料金精算を含む受付処理を素早く行うことができるデジタルプリペイドカード連動洗車システム」が記載されているから、甲第1号証には、「決済設定」及び「洗車設定」を「ユーザのアプリケーションに出力することで、洗車機での料金精算を含む受付処理を」「行うことができるデジタルプリペイドカード連動洗車システム」が記載されていると認められる。 イ 上記「(1)」の「イ」の段落0019には「本発明によれば、ユーザの洗車履歴等の各種実績を集中的に管理できる」ことが記載されているから、甲第1号証には、「ユーザの洗車履歴等の各種実績を集中的に管理できる」システムが記載されているといえる。 ウ 上記「(1)」の「ウ」の段落0023には「端末装置100は、携帯電話、スマートフォン・・・(略)・・・等の携帯端末・・・(略)・・・であってもよい」と記載されているから、甲第1号証の「端末装置100」は、「携帯電話、スマートフォン等の携帯端末」であるといえる。 エ 上記「(1)」の「エ」の段落0032には「ユーザデータベース206bは、端末装置100のユーザ(例えば、洗車アプリケーションの会員等)のユーザデータを記憶する」ことが記載されている。 オ 上記「(1)」の「エ」の段落0034には「端末装置100での洗車アプリケーション起動後、・・・(略)・・・洗車項目を選択可能とした」こと、段落0038には「更新部202eは、・・・(略)・・・洗車実施データに基づいて、プリペイド残高から洗車項目に対応する金額を減算処理するユーザデータの更新を実行してもよい」こと、がそれぞれ記載されている。 すなわち、甲第1号証には、「端末装置100での洗車アプリケーション起動後、」洗車項目を選択可能」であり、「洗車実施データに基づいて、」「洗車項目に対応する金額を」「プリペイド残高から減算処理する」、「ユーザデータの更新を実行」するシステムが記載されているといえる。 カ 上記「(1)」の「ク」の段落0079には「洗車機を設置するサービスステーション、カー用品店、および、セルフ洗車場等」と記載されているから、甲第1号証の「洗車機」は、サービスステーション、カー用品店、セルフ洗車場を含む「洗車場」に設置されるといえる。 キ 上記「ア」ないし「カ」を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲1発明> 「決済設定及び洗車設定をユーザのアプリケーションに出力することで、洗車場に設置される洗車機での料金精算を含む受付処理を行うことができるデジタルプリペイドカード連動洗車システムであって、 ユーザの洗車履歴等の各種実績を集中的に管理できること、 ユーザデータベース206bは、携帯電話、スマートフォン等の携帯端末である端末装置100のユーザ(例えば、洗車アプリケーションの会員等)のユーザデータを記憶すること、 端末装置100での洗車アプリケーション起動後、洗車項目を選択可能であること、 洗車実施データに基づいて、洗車項目に対応する金額をプリペイド残高から減算処理するユーザデータの更新を実行すること、 を備える、デジタルプリペイドカード連動洗車システム。」 2 甲第2号証の記載事項 (1)甲第2号証(特開2019-159484号公報)には、以下の記載がある。(なお、下線は合議体で付与した。) ア 「【0005】 一方、ハウス型電子マネーは、・・・(略)・・・店舗名義で発行される。このようなハウス型電子マネーは、サーバ管理型の電子マネーであり、・・・(略)・・・種々の店舗で汎用的に利用可能なブランドプリペイドカードと区別されている。 【0006】 ハウス型電子マネーでは、利用者がチャージした金額を、ハウス型電子マネーを導入した企業や店舗が前受金として直接預かる仕組みとなっている。・・・(略)・・・」 イ 「【0015】 ハウス型電子マネーへの現金のチャージは、店舗に設置された店舗端末の他、例えば利用者の利用者端末(例えば、スマートフォン)を介して行うことができる。店舗端末で現金をチャージする場合、現金をチャージした店舗が、チャージされた現金を利用する店舗となる。一方、利用者端末で現金をチャージする場合、利用者が現金をチャージする店舗を指定する。・・・(略)・・・」 ウ 「【発明を実施するための形態】 【0028】 次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。実施形態では、ハウス型電子マネー、利用者の携帯端末、店舗に設置される店舗端末、及び利用者の携帯端末及び店舗端末とネットワークを介して接続されたハウス型電子マネーの管理サーバ・・・(略)・・・を備えるハウス型電子マネーの管理システム・・・(略)・・・について説明する。以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。」 エ 「【0050】 ・・・(略)・・・管理サーバ4は、処理部41、操作部42、表示部43、通信部44、記憶部45を備え、処理部41は、CPU411、メモリ412を有する。 ・・・(略)・・・ 【0052】 ・・・(略)・・・管理サーバ4に格納された制御プログラムに従って、・・・(略)・・・決済処理部等の機能部を機能させる。・・・(略)・・・ 【0054】 管理サーバの記憶部45は、認証部、チャージ処理部、決済処理部によって処理され、カードID、グループID、店舗ID、チャージ残高、ボーナス特典残高、利用ポイント残高等を記憶する。・・・(略)・・・ 【0055】 ・・・(略)・・・カード情報テーブルは、ハウス型電子マネーの基本情報を管理するテーブルであり、カード情報テーブルには、「カードID」、「バーコード」、「PIN番号」、「ユーザID」、「店舗ID」、「追加日」、「削除日」の項目が設けられ、各項目に対応する情報が記憶されている。また、カード残高管理テーブルは、ハウス型電子マネーの残高を管理するテーブルであり、「番号」、「カードID」、「資本ID」、「チャージ残高」、「ボーナス特典残高」、「利用ポイント残高」、「最終利用日」、「追加日」の項目が設けられ、各項目に対応する情報が記憶されている。・・・(略)・・・ 【0056】 ・・・(略)・・・ユーザIDは、ユーザ毎に割り当てられた固有の識別情報である。「店舗ID」は、発行店舗IDともいい、本発明の店舗識別情報の一例であり、店舗毎に割り当てられた固有の識別情報である。・・・(略)・・・「資本ID」は、同一資本の店舗を識別するために割り当てられた固有の識別情報である。「チャージ残高」は、本発明のチャージ情報の一例であり、チャージした店舗毎に管理される、チャージされた現金の金額に関する残高情報である。・・・(略)・・・」 オ 「【0059】 ・・・(略)・・・チャージ処理や決済処理は、ネットワークを介して接続された、店舗端末3、携帯端末2、管理サーバ4が同期することで実現される。」 カ 「【0071】 ここで、メニュー画面に表示されるメニューについて説明する。「店舗名からモバイルカード発行の画面」、及び「お手持ちのカードからモバイルカード発行」の画面では、必要事項を入力することで、モバイルカードとしてのハウス型電子マネー1を発行することができる。「店舗名からモバイルカード発行の画面」が選択されると、携帯端末2は、携帯端末の表示部23に、店舗検索画面を表示し、ハウス型電子マネー1を発行する店舗の指定を受け付ける。・・・(略)・・・ 【0073】 ステップ14では、携帯端末の表示部23に、ハウス型電子マネーの残高が表示される。具体的には、管理サーバ4は、カードIDと店舗IDに関連付けられたチャージ残高・・・(略)・・・を携帯端末2へ送る。携帯端末2は、管理サーバ4から送られたチャージ残高・・・(略)・・・に基づいて、携帯端末の表示部23に残高照会画面を表示させる。・・・(略)・・・携帯端末2に表示される残高照会画面には、「バーコード」、「チャージ残高」、・・・(略)・・・「店舗名」、「店舗情報」等、が表示されている。」 キ 「【0078】 ・・・(略)・・・ステップ21では、店舗端末3が起動される。・・・(略)・・・ 【0079】 ステップ22では、店舗端末3により、ハウス型電子マネー1が読み取られる。・・・(略)・・・カード利用画面が表示された後、物理カードとしての店舗端末3のカードリーダ5により、ハウス型電子マネー1に書き込まれたカードIDが読み込まれ、管理サーバ4により、カードID、店舗IDが照合される。店舗端末3のカードリーダ5により、モバイルカードとしてのハウス型電子マネー1の画面に表示されたバーコードを読み込んでもよい。・・・(略)・・・ 【0080】 ステップ23では、店舗端末の表示部33に、ハウス型電子マネーの残高が表示される。・・・(略)・・・カードIDと店舗IDが一致している場合、管理サーバ4は、カードIDと店舗ID に関連付けられたチャージ残高・・・(略)・・・を店舗端末3へ送り、店舗端末の表示部33に残高照会画面が表示される(図15参照)。・・・(略)・・・ 【0081】 ステップ24では、カード利用が選択される。・・・(略)・・・ 【0082】 ステップ25では、決済金額が入力される。・・・(略)・・・ 【0083】 ステップ26では、決済が完了する。具体的には、店舗端末3にて、チャージ金額が入力され、「Enter」が選択されると、決済金額が管理サーバ4へ送られる。管理サーバ4は、店舗端末3から送られた決済金額に基づいて、決済前のチャージ残高からチャージ金額を減算してチャージ残高を算出する。」 ク 「【0091】 ・・・(略)・・・利用者の情報は、店舗IDや資本IDで、任意にグルーピングすることができる。・・・(略)・・・」 (2)甲第2号証に記載された技術的事項 ア 上記「(1)」の「ア」の段落0005には「ハウス型電子マネーは、・・・(略)・・・店舗名義で発行される」こと、及び「サーバ管理型の電子マネーであ」ることが、段落0006には「ハウス型電子マネーでは、利用者がチャージした金額を、ハウス型電子マネーを導入した企業や店舗が前受金として直接預かる仕組みとなっている」ことが、それぞれ記載されているから、甲第2号証には、「店舗名義で発行され」、「利用者がチャージした金額を店舗が前受金として直接預かる仕組み」であり、「サーバ管理型の電子マネー」である、「ハウス型電子マネー」が記載されているといえる。 イ 上記「(1)」の「イ」の段落0015には「ハウス型電子マネーへの現金のチャージは、店舗に設置された店舗端末の他、利用者の利用者端末(例えば、スマートフォン)を介して行うことができる」こと、「利用者端末で現金をチャージする場合、利用者が現金をチャージする店舗を指定する」ことがそれぞれ記載されているから、甲第2号証には、「利用者の利用者端末(例えば、スマートフォン)を介して」「現金のチャージ」を行うものであり、「利用者が現金をチャージする店舗を指定する」「ハウス型電子マネー」が記載されているといえる。 ウ 上記「(1)」の「ウ」の段落0028には「ハウス型電子マネー、利用者の携帯端末、店舗に設置される店舗端末、及び利用者の携帯端末及び店舗端末とネットワークを介して接続されたハウス型電子マネーの管理サーバ・・・(略)・・・を備えるハウス型電子マネーの管理システム」が記載されているから、甲第2号証には、「利用者の携帯端末」と「店舗端末」と「管理サーバ」が「ネットワークを介して接続されたハウス型電子マネーの管理システム」が記載されているといえる。 エ 上記「(1)」の「エ」の段落0052には「管理サーバ4に格納された制御プログラムに従って、・・・(略)・・・決済処理部等の機能部を機能させる」ことが記載されている。 オ 上記「(1)」の「オ」の段落0059には「チャージ処理や決済処理は、ネットワークを介して接続された、店舗端末3、携帯端末2、管理サーバ4が同期することで実現される」ことが記載されている。 カ 上記「(1)」の「キ」の段落0083には「管理サーバ4は、店舗端末3から送られた決済金額に基づいて、決済前のチャージ残高からチャージ金額を減算してチャージ残高を算出する」ことが記載されている。 キ 上記「ア」ないし「カ」を総合すると、甲第2号証には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 <甲第2号証に記載された技術的事項> 「利用者の携帯端末と店舗端末と管理サーバがネットワークを介して接続されたハウス型電子マネーの管理システムであって、 電子マネーは店舗名義で発行され、利用者がチャージした金額を店舗が前受金として直接預かる仕組みであり、利用者が現金をチャージする店舗を指定するものであること、 利用者の利用者端末(例えば、スマートフォン)を介して現金のチャージを行うこと、 管理サーバ4に格納された制御プログラムに従って、決済処理部等の機能部を機能させること、 チャージ処理や決済処理は、ネットワークを介して接続された、店舗端末3、携帯端末2、管理サーバ4が同期することで実現されること、 管理サーバ4は、店舗端末3から送られた決済金額に基づいて、決済前のチャージ残高からチャージ金額を減算してチャージ残高を算出すること、 を備える、ハウス型電子マネーの管理システム。」 第5 当審の判断 1 本件特許発明1に対する申立理由(第29条第2項)について (1)対比 本件特許発明1と甲1発明を対比すると、次のことがいえる。 ア 甲1発明の「ユーザ(例えば、洗車アプリケーションの会員等)」は、洗車場に設置される洗車機での料金精算を含む受付処理を行うことができるデジタルプリペイドカード連携洗車システムの利用者であるから、本件特許発明1の「洗車場利用者」に相当する。 イ 甲1発明の「洗車場に設置される洗車機での料金精算」は、洗車場に設置される洗車機の利用料金をユーザが支払うことを意味するから、本件特許発明1の「洗車場利用者の各洗車場における決済処理」に相当する。 ウ 甲1発明の「携帯電話、スマートフォン等の携帯端末である端末装置100」は、「決済設定及び洗車設定をユーザのアプリケーションに出力すること」及び「端末装置での洗車アプリケーション起動後、洗車項目を選択可能であること」を考慮すると、当該ユーザのアプリケーションの利用を通じて、ユーザが端末装置の利用を占有していると解されるから、当該「端末装置100」は、本件特許発明1の「各々の利用者が有する端末装置」に相当する。 エ 甲1発明の「デジタルプリペイドカード連動洗車システム」は、ユーザの洗車履歴等の各種実績を集中的に管理できる洗車システムであることから、本件特許発明1の「洗車の管理システム」に相当する。 オ 甲1発明の「洗車実施データに基づいて、洗車項目に対応する金額をプリペイド残高から減算処理する」ことは、当該「洗車実施データ」が洗車場に設置される洗車機における実施データを、当該「洗車項目に対応する金額」が利用者の支払うべき金額を、当該「プリペイド残高から減算処理する」ことが金額価値を移転する決済処理を、それぞれ意味することから、本件特許発明1の「洗車場での洗車の提供にあたり利用者に請求される代金」の「決済手段」に相当する。 カ したがって、上記「ア」ないし「オ」を総合すれば、本件特許発明1と甲1発明は、以下の点で一致し、また相違する。 <一致点> 「洗車場利用者の各洗車場における決済処理を、各々の利用者が有する端末装置から実行可能な洗車の管理システムであって、 洗車場での洗車の提供にあたり利用者に請求される代金の決済手段を備える、洗車の管理システム。」 <相違点1> 本件特許発明1の決済手段が「当該利用者と、複数の洗車場運営者の中から特定された当該洗車場を運営する洗車場運営者との間で決済し得るように、前記特定された洗車場運営者と各々の利用者との間で紐付された決済データベースに接続される」のに対して、甲1発明ではそのような特定がない点。 <相違点2> 本件特許発明1の決済手段が「該特定された洗車場運営者と各利用者との間での決済処理を、予め、又はその決済時点でなされた当該洗車場運営者と各利用者との間での金銭価値の授受に基づいて、個々の洗車イベント毎に実行可能である」のに対して、甲1発明ではそのような特定がない点。 (2)判断 まず相違点1について検討する。 ア 相違点1について 甲第2号証に記載された技術的事項には、決済手段について「管理サーバ4に格納された制御プログラムに従って、決済処理部等の機能部を機能させる」こと、及び「管理サーバ4は、店舗端末3から送られた決済金額に基づいて、決済前のチャージ残高からチャージ金額を減算してチャージ残高を算出する」ことを開示するものの、「当該利用者と、複数の洗車場運営者の中から特定された当該洗車場を運営する洗車場運営者との間で決済し得る」ことが甲第2号証の技術的事項には開示されていないことから、甲1発明に基いて上記相違点1に係る構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。 イ したがって、他の相違点(相違点2)について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 なお、申立人は、「甲1発明の管理システムにおいては利用者の金銭価値の授受の相手方が特定されていない」(特許異議申立書13ページ)と主張しているが、甲1発明では「洗車実施データに基づいて、洗車項目に対応する金額をプリペイド残高から減算処理するユーザデータの更新を実行する」とあることから、利用者の金銭授受の相手方は、「デジタルプリペイドカード連動洗車システム」であり、「洗車場を運営する洗車場運営者」ではない。また、甲第2号証に記載された技術的事項においては、利用者の金銭授受の相手方は、「ハウス型電子マネーの管理システム」であり、「洗車場を運営する洗車場運営者」ではない。 つまり、甲第1号証及び甲第2号証には、本件特許発明1の「当該利用者と、複数の洗車場運営者の中から特定された当該洗車場を運営する洗車場運営者との間で決済し得る」ことは、記載も示唆もされていない。 3 本件特許発明2及び本件特許発明3について 本件特許発明2は、少なくとも上記相違点1と同じ点で相違することから、本件特許発明1と同様である。 また、本件特許発明3は、本件特許発明2の発明特定事項を全て含むものであるから、本件特許発明2と同様である。 4 本件特許発明4及び本件特許発明5について 本件特許発明4は、少なくとも上記相違点1と同じ点で相違することから、本件特許発明1と同様である。 また、本件特許発明5は、本件特許発明4の発明特定事項を全て含むものであるから、本件特許発明4と同様である。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件特許発明1ないし本件特許発明5は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であっても、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証に記載された技術的事項に基いて、容易に発明をすることができたものではない。 したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許発明1ないし本件特許発明5は、特許法第113条第1項第2号には該当しないから、取り消すことはできない。 また、他に、本件特許発明1ないし本件特許発明5を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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