2021-700704
毛髪化粧料、及び、毛髪の染毛、脱染又は脱色方法
- 審判番号
- 2021-700704
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-004202外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6817704
- 請求日
- 2021年07月20日
- 審決日
- 2023年01月27日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法114条4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第4号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第114条第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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特許第6817704号の請求項1、2に係る特許(以下、「本件特許」ということがある。)についての出願は、平成28年1月13日に出願され、令和3年1月4日にその特許権の設定登録がされ、同年1月20日に特許掲載公報が発行された。
その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
「申立人 」という。)による特許異議の
申立て
同 年 3月17日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提
出(受付日:同年3月22日)
同 年 5月25日 :申立人による意見書の提出
(受付日:同年5月26日)
同 年 7月29日付け:取消理由通知(予告)
同 年10月 3日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出(受付日:同年10月4日)
なお、特許権者が令和4年3月17日にした訂正請求書による訂正の請求は、同年10月3日の訂正請求書による訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされたので、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
また、本件訂正請求は、特許法第120条の5第5項ただし書に規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情」がある場合に該当し、本件訂正請求後に、改めて、申立人に意見書を提出する機会を与えないこととした。そのように判断した理由は以下のとおり。
毛髪化粧料に含まれる後発泡剤の種類の限定において、本件訂正請求による訂正の訂正事項1(「n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含有し」)は、同年3月17日にされた訂正請求書による訂正の請求(以下、「先の訂正請求」という。)における請求項1における訂正の訂正事項1の内容(「n-ブタン、n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含有し」)から、「n-ブタン」を除いたものであり、その余の訂正は、先の訂正請求に係る訂正と同一の内容を訂正したものである。そして、同年5月25日提出の申立人の意見書において、先の訂正請求に係る訂正事項1における「n-ブタン」以外のその余の訂正についても意見を述べており、本件訂正請求の内容についての意見書を提出する機会は既に与えられているといえる。
よって、迅速かつ効率的な審理の観点から、本件訂正請求の内容については、申立人にさらに意見を求めないことと判断した。
第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおり、一群の請求項である請求項1、2に対する訂正に係るものである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であり、」と記載されているのを
「前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であり、前記第1剤と前記第2剤に後発泡剤として、n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含有し、」
に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されていることを特徴とする毛髪化粧料。」
と記載されているのを
「前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されており、クリーム状、ジェル状、又はペースト状であることを特徴とする毛髪化粧料。」
に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1
訂正事項1に係る請求項1についての訂正は、毛髪化粧料に含まれる後発泡剤の種類を「n-ペンタン、イソペンタンのいずれか1種以上を含有」するものに限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0047】に、「後発泡剤は第1剤と第2剤に配合され、各剤を後発泡性組成物せしめるものであり、エアゾール容器等の高圧環境下から毛髪化粧料の使用環境下(通常、常温、大気圧下)に吐出されると後発泡性組成物を発泡させるような成分であればよく、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、・・・が挙げられる。特に、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタンが好ましい。」との記載があるので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項に対し、何ら新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加に該当するものではない。また、当該訂正事項1は上記のとおり、後発泡剤の種類を特定してより限定するものであり、請求項1に記載された事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
(2) 訂正事項2
訂正事項2に係る請求項1についての訂正は、複数剤同時吐出容器に充填されている毛髪化粧料の形状、すなわち発泡前の毛髪化粧料の形状を「クリーム状、ジェル状、又はペースト状」に限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0026】に、「発泡前の後発泡性組成物は、後発泡剤が気化して発泡すればどのような状態でもよく、例えば、液状、クリーム状、ジェル状、ペースト状等が挙げられる。好ましくは、クリーム状、ジェル状、ペースト状であり、発泡を遅らせたり、発泡後に良好な泡を得られたりするという利点を有する。」との記載があるので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項に対し、何ら新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加に該当するものではない。また、当該訂正事項2は 上記のとおり、発泡前の毛髪化粧料の形状を特定してより限定するものであり、請求項1に記載された事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
3 小括
以上のとおり、訂正事項1、2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1、2]について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求によって訂正された請求項1、2に係る発明(以下、「本件発明1、2」といい、これらを総称して「本件発明」ともいう。)は、令和4年10月3日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、
前記第1剤及び前記第2剤に、高級アルコールを含有すること、
前記第1剤及び前記第2剤に、ノニオン性界面活性剤を含有すること、
前記第1剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第1剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であり、前記第2剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第2剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であり、
前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を0.5~20質量%含有する後発泡性組成物であって、
前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であり、
前記第1剤と前記第2剤に後発泡剤として、n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含有し、
さらに、前記第1剤、前記第2剤のいずれか一方又は両方が多価アルコールを含有し、
前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されており、
クリーム状、ジェル状、又はペースト状であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
請求項1に記載の毛髪化粧料を使用して、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法。
第4 令和4年1月17日付け取消理由及び同年7月29日付け取消理由(予告)の概要
1 令和4年1月17日付け取消理由の概要
訂正前の請求項1、2に係る特許に対して、当審が令和4年1月17日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
「1.(進歩性) 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。2.(サポート要件) 下記の請求項に係る本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。<引用文献等一覧>1.特開2014-47184号公報2.特開2014-47171号公報3.特開2012-140368号公報(甲第1号証)4.特開2014-234227号公報」
2 令和4年7月29日付け取消理由(予告)の概要
「2 (サポート要件) 下記の請求項に係る本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。」
第5 取消理由に対する当審の判断
当審は、令和4年7月29日付けの取消理由(決定の予告)及び同年1月17日付けの取消理由は、いずれも理由がないと判断する。
以下、詳述する。
1 令和4年7月29日付け取消理由(予告)について
(1) 具体的な理由
本件発明1、2において、毛髪化粧料に用いる後発泡剤のうちn-ブタンについて、以下の内容のサポート要件違反を通知した。
「1 本件発明が解決しようとする課題本件発明は、酸化染毛剤、毛髪脱染剤、毛髪脱色剤などの複数剤を混合して適用する毛髪化粧料に関するものであるところ(【0001】)、本件特許の明細書(以下、「本件明細書」という。)には、「発明が解決しようとする課題」について記載する段落【0005】及び【0006】において、段落【0005】に、・複数剤型の毛髪化粧料に後発泡性組成物を適用すると、複数の剤をそれぞれのエアゾール容器から吐出するため、使用者の吐出操作に応じて各剤の状態が異なる場合があり、各剤の状態が異なると混合性が低下するとの問題があること、・吐出後に混合操作を必要とする複数剤型の毛髪化粧料では、後発泡性組成物を使用することが困難であったこと続きを表示(全18行)が指摘され、そして、段落【0006】に「本発明の課題は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、各剤に後発泡性組成物を適用しつつ、優れた混合性を有する毛髪化粧料を提供することである。」との記載があるから、本件発明が解決しようとする課題は、「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、各剤に後発泡性組成物を適用しつつ、優れた混合性を有する毛髪化粧料を提供すること」であると認められる。2 後発泡剤のn-ブタンについて・・・本件明細書には、後発泡剤の種類について、段落【0047】に、「(後発泡剤)後発泡剤は第1剤と第2剤に配合され、各剤を後発泡性組成物せしめるものであり、エアゾール容器等の高圧環境下から毛髪化粧料の使用環境下(通常、常温、大気圧下)に吐出されると後発泡性組成物を発泡させるような成分であればよく、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられる。特に、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタンが好ましい。」との記載はあるものの、全実施例で具体的に使用されているのは、イソペンタン単独か、イソペンタンとn-ブタンの組合せ、又は、n-ペンタンとn-ブタンの組合せのみである。イソペンタン(沸点36.1℃)、n-ペンタン(沸点27.8℃)のように、どちらかといえば化粧料の分野で一般的に常温とされる25℃よりも沸点が高いもの、つまり一般的な使用の際には吐出後にすぐに発泡しない後発泡剤が必須で用いられており、一方で、n-ブタン(沸点-1℃)のように大気圧下、常温で気体のもののみを用いた例はない。そして、本件明細書の段落【0010】、【0011】に、各剤が泡の状態であると毛髪への適用量が不十分となることや、本件発明では、吐出直後のクリーム状やジェル状の状態を残したまま、毛髪に適用できる旨の記載があるとおり、本件発明1に含まれる後発泡剤は、吐出後すぐに(瞬時に)発泡するようなものは想定されていない。・・・そうすると、後発泡剤として、n-ブタンのみを含む場合、つまり、イソペンタンやn-ペンタンのような常温よりも沸点の高い後発泡剤を2剤に含まない場合を含む、本件発明1について、上記した課題を解決できるものと認めることはできない。請求項1を引用する本件発明2についても同様である。」
(2) 判断
上記理由は、本件訂正前の請求項1、2に係る発明において、後発泡剤としてn-ブタンのみを単独で含む場合に該当するものであったところ、本件訂正請求により、本件発明1、2では、後発泡剤としてn-ブタンのみを単独で含む態様は除外されたので、上記理由はその理由がない。
2 令和4年1月17日付け取消理由
(1) 理由1(進歩性)について
ア 具体的な理由
(ア)本件発明1、2は、引用文献1に記載された発明並びに引用文献3及び引用文献4に記載された事項に基いて当業者が発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(イ)本件発明1、2は、引用文献2に記載された発明並びに引用文献3及び引用文献4に記載された事項に基いて当業者が発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
イ 引用文献1に記載された発明に対して(上記ア(ア)の場合)
(ア) 引用文献1に記載された発明
引用文献1の請求項1、【0001】、【0007】、~【0015】、【0030】~【0032】、【0050】~【0052】、【0054】~【0055】、【0078】~【0089】、【0093】~【0124】の記載、特に、請求項1、【0055】、【0095】、実施例の記載からみて、引用文献1には、
「第1剤と第2剤を含む複数剤を使用時に吐出して混合するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物であって、下記(A)の条件を満たす剤を構成に含むエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物であり、各剤が、(A)乳化物であり、非イオン性界面活性剤、C20以上の高級アルコール、及びC18以下の高級アルコールを配合し、かつ、前記非イオン性界面活性剤と高級アルコールとの質量比が、第1剤は、非イオン性界面活性剤/高級アルコール=1.5~50であり、第2剤は、非イオン性界面活性剤/高級アルコール=1.5~50又は1.0であり、ポリエチレングリコール440、1,3-ブチレングリコール又はグリセリンから選択される溶剤を配合し、第1剤、第2剤が同時吐出排出機構を備えたエアゾール容器に充填されている、前記組成物。」
の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
(イ) 本件発明1について
a 対比
本件発明1と引用発明1を対比する。
引用文献1には、通常、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物における第1剤はアルカリ剤を配合し、第2剤は酸化剤を配合することが記載されているから(引用文献1【0004】)、引用発明1の「第1剤」、「第2剤」は、本件発明1の「アルカリ剤を含有する第1剤」、「酸化剤を含有する第2剤」に相当する。
引用発明1の各剤の「非イオン性界面活性剤」、「高級アルコールC20以上の高級アルコール、及びC18以下の高級アルコール」は、本件発明1の前記第1剤及び前記第2剤に含有する「高級アルコール」、「ノニオン性界面活性剤」に相当する。
引用発明1の第1剤が「非イオン性界面活性剤/高級アルコールの比は1.5~50」であり、第2剤が「非イオン性界面活性剤/高級アルコール=1.5~50又は1.0」であることは、本件発明1の「前記第1剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第1剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であり、前記第2剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第2剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であり」との条件と一部重複する。
引用発明1の各剤の「ポリエチレングリコール440、1,3-ブチレングリコール又はグリセリンから選択される溶剤」は、本件発明1の「前記第1剤、前記第2剤のいずれか一方又は両方が多価アルコールを含有」することに相当する。
引用発明1の「第1剤、第2剤が同時吐出排出機構を備えたエアゾール容器に充填されている」「エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物」は、本件発明1の「前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填」されている「毛髪化粧料」に相当する。
そうすると、本件発明1と引用発明1は、
「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、前記第1剤及び前記第2剤に、高級アルコールを含有すること、前記第1剤及び前記第2剤に、ノニオン性界面活性剤を含有すること、前記第1剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第1剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であり、前記第2剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第2剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であり、さらに、前記第1剤、前記第2剤のいずれか一方又は両方が多価アルコールを含有し、前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されていることを特徴とする毛髪化粧料。」
の発明である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
本件発明1は、「前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を0.5~20質量%含有する後発泡性組成物であって、
前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10」と特定するのに対し、引用発明1は、このような特定がない点
<相違点1-2>
本件発明1は、「第1剤と第2剤の後発泡剤として、n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含有し」と特定するのに対し、引用発明1は、このようなn-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含む後発泡剤を用いることの特定がない点
<相違点1-3>
本件発明1は、第1剤、第2剤の剤型が、「クリーム状、ジェル状、又はペースト状」であるのに対し、引用発明1は、このような特定がない点。
b 判断
上記相違点1-3について検討する。
引用文献1の【発明が解決しようとする課題】の項目に当たる段落【0009】~【0015】のうちの段落【0015】に、
「乳化物の安定性、染毛力及び泡質に優れたエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を提供することを、解決すべき課題とする。」
との記載があるように、引用発明1は、「泡質に優れたエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を提供すること」を課題としている。
そして、引用発明1における「泡質に優れた」とは、引用文献1の段落【0010】に「乳化物の安定性は、きめの細かい泡を吐出するためにも重要となる。」との記載や、実施例において、の泡質試験の評価において、「吐出直後」の「泡のきめ細かさ」を評価する旨の記載があるから(【0107】、【0108】)、引用発明1では、エアゾール式染毛剤において、吐出直後の泡のきめ細かな泡質に優れたものを提供することを目的とするものといえる。
一方、引用文献3には、「第1内容物を充填した第1容器と、第2内容物を充填した第2容器とを有し、第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品が記載され、第1内容物と第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする2剤式発泡性エアゾール製品」であって、「前記第1内容物と第2内容物が、酸化染料を含有する染毛剤用第1剤と、酸化剤を含有する染毛剤用第2剤とからなる2液式酸化染毛剤である2液式発泡性エアゾール製品」に係る発明(特許請求の範囲請求項1、6)が記載されているところ、当該文献の段落【0017】に
「「泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる」とは、吐出直後の吐出物はクリーム状、ゲル状、液状などほとんどが発泡していない状態、もしくは一部が発泡した状態であり、経時的に吐出物が発泡して泡が増大し、泡比重が小さくなる」
と記載されているとおり、引用文献3に記載された「泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする」「2液式酸化染毛剤である2液式発泡性エアゾール製品」において、吐出直後の泡の泡質はきめ細かいものではない。
また、引用文献4には、多価アルコールと発泡剤に対する役割が記載されているものの、引用発明1のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物について、第1剤と第2剤の剤型をクリーム状、ジェル状、又はペースト状とすることについての技術的な記載はなく、引用発明1の上記相違点1-3に係る特定の剤型を採用できるような記載はない。
そうすると、「吐出直後」に「きめ細かい泡」とすることを目的とする引用発明1においては、引用文献3に記載された事項(後発泡剤)を採用し得ないから、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3、4に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではない。
(ウ) 本件発明2について
本件発明2は、請求項1に記載の毛髪化粧料を使用して、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法に関するものである。一方、引用発明1のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は毛髪を染毛する方法に用いるものであるから、引用文献1には、引用発明1を使用して毛髪を染毛する方法の発明についても記載されている。
そして、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法としてみた場合に、本件発明2と引用発明1を使用した毛髪を染毛する方法とは、上記(イ)aで示した相違点以外に相違点はなく、相違点1-3については本件発明1と同様に判断されるから、本件発明2についても、引用文献1に記載された発明及び引用文献3、4に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
ウ 引用文献2に記載された発明に対して(上記ア(イ)の場合)
(ア) 引用文献2に記載された発明
引用文献2には、請求項1,4の記載、段落【0006】~【0017】、【0082】~【0084】、実施例の記載、特に、【0089】及び表1の実施例1の記載からみて、
「複数剤を使用時に吐出して混合するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物であって、前記複数剤が、C16以上の高級アルコールを配合する乳化物である1剤と、C14以下の高級アルコールを配合する乳化物である2剤を含むエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物であり、第1剤が、セタノール 1 (質量%)続きを表示(全27行)POE(2)ラウリルエーテル 1.5POE(30)セチルエーテル 1.5ポリエチレングリコール400 41,3-ブチレングリコール 3亜硫酸ナトリウム 0.3ジエチレントリアミン5酢酸5Na 0.328%アンモニア水 270%エタノールアミン液 4精製水 残量を含有した乳化物の原液に噴射剤を95:5で配合したものであり、第2剤が、ミスチルアルコール 0.1 (質量%)セタノール 1POE(10)セチルエーテル 0.8過酸化水素(35%) 5ヒドロキシエタンホスホン酸 0.1ヒドロキシエタンジホスホン酸4Na 0.2フェノキシエタノール 0.1プロピレングリコール 0.5塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.1精製水 残量を含有した乳化物の原液に噴射剤を95:5で配合したものであり、第1剤と第2剤を同時混合吐出機構を備えたエアゾール容器に充填した、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物」
の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
(イ) 本件発明1について
a 対比
引用発明2の第1剤の「28%アンモニア水」、「70%エタノールアミン液」は、本件発明1の第1剤が含有する「アルカリ剤」に相当する。
引用発明2の第2剤の「過酸化水素(35%)」は、本件発明1の第2剤が含有する「酸化剤」に相当する。
引用発明2の第1剤の「セタノール」、第2剤の「ミスチルアルコール」「セタノール」は、本件発明1の第1剤、第2剤の「高級アルコール」に相当する。
引用発明2の第1剤の「POE(2)ラウリルエーテ」、「POE(30)セチルエーテル」、第2剤の「POE(10)セチルエーテル」は、本件発明1の第1剤、第2剤の「ノニオン性界面活性剤」に相当する。
引用発明2の第1剤の「ポリエチレングリコール400」、「1,3-ブチレングリコール」、第2剤の「プロピレングリコール」は、本件発明1の「多価アルコール」に相当するから、引用発明2は、本件発明1の「前記第1剤、前記第2剤のいずれか一方又は両方が多価アルコールを含有し」との条件を満たす。
引用発明2の「第1剤と第2剤を同時混合吐出機構を備えたエアゾール容器に充填した、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物」は、本件発明1の「前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されていることを特徴とする毛髪化粧料」に相当する。
そうすると、本件発明1と引用発明2は、
「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、前記第1剤及び前記第2剤に、高級アルコールを含有すること、前記第1剤及び前記第2剤に、ノニオン性界面活性剤を含有すること、さらに、前記第1剤、前記第2剤のいずれか一方又は両方が多価アルコールを含有し、前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されていることを特徴とする毛髪化粧料。」
の発明である点で一致し、以下の相違点2-1で一応相違し、相違点2-2~2-4で相違する。
<相違点2-1>
本件発明1は、「前記第1剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第1剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であり、前記第2剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第2剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であり」と特定するのに対し、引用発明2は、このような特定はない点。
<相違点2-2>
本件発明1は、「前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を0.5~20質量%含有する後発泡性組成物であって、前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10」と特定するのに対し、引用発明2は、このような特定がない点。
<相違点2-3>
本件発明1は、「第1剤と第2剤の後発泡剤として、n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含有し」と特定するのに対し、引用発明2は、このようなn-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含む後発泡剤を用いることの特定がない点。
<相違点2-4>
本件発明1は、第1剤、第2剤の剤型が、「クリーム状、ジェル状、又はペースト状」であるのに対し、引用発明2は、このような特定がない点。
b 判断
まず、相違点2-3について検討する。
引用文献2の【発明が解決しようとする課題】の項目に当たる段落【0010】には、
「更に研究を重ねたところ、全く意外なことに、C14以下の高級アルコールを含む剤とC16以上の高級アルコールを含む剤を組み合わせて使用することで、泡質を改善し、染毛力を向上しうることを本願発明者は見出した。更に、そのような酸化染毛剤組成物の各剤を乳化物とし、当該乳化物である各剤をエアゾール容器を用いて泡状に吐出して使用することが好ましいことを見出した。当該吐出された泡状の酸化染毛剤組成物は泡質がもっちりとしており、かつ、優れた染毛力を示す。泡質がもっちりとすることで、例えば塗布時の垂れ落ちを抑制できる等、操作性が向上した。」
と記載があるとおり、引用発明2は、泡状に吐出し、その泡質がもっちりとすることで、優れた染毛力を示し、塗布時に垂れ落ちがないようにできることを目的とするものである。
一方、引用文献3には、「第1内容物を充填した第1容器と、第2内容物を充填した第2容器とを有し、第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品が記載され、第1内容物と第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする2剤式発泡性エアゾール製品」であって、「前記第1内容物と第2内容物が、酸化染料を含有する染毛剤用第1剤と、酸化剤を含有する染毛剤用第2剤とからなる2液式酸化染毛剤である2液式発泡性エアゾール製品」に係る発明(特許請求の範囲請求項1、6)が記載されているところ、当該文献の段落【0017】に
「「泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる」とは、吐出直後の吐出物はクリーム状、ゲル状、液状などほとんどが発泡していない状態、もしくは一部が発泡した状態であり、経時的に吐出物が発泡して泡が増大し、泡比重が小さくなる」
と記載されているとおり、引用文献3に記載された「泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする」「2液式酸化染毛剤である2液式発泡性エアゾール製品」においては、吐出直後の泡はもっちりしたものではない。
また、引用文献4には、多価アルコールと発泡剤に対する役割が記載されているものの、引用発明2のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物について、第1剤と第2剤の剤型に後発泡剤を配合することについての技術的な記載はなく、引用発明2の上記相違点2-3に係る特定の後発泡剤を採用できるような記載はない。
そうすると、「泡状に吐出し、その泡質がもっちりとすることで、優れた染毛力を示し、塗布時に垂れ落ちがないようにできること」を目的とする引用発明2において、引用文献3に記載された事項(後発泡剤)を採用しないから、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、引用文献2に記載された発明及び引用文献3、4に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではない。
(ウ) 本件発明2について
本件発明2は、請求項1に記載の毛髪化粧料を使用して、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法に関するものである。一方、引用発明2のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は毛髪を染毛する方法に用いるものであるから、引用文献2には、引用発明2を使用して毛髪を染毛する方法の発明についても記載されている。
そして、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法としてみた場合に、本件発明2と引用発明2を使用した毛髪を染毛する方法とは、上記(イ)aで示した相違点以外に相違点はなく、これらの相違点については本件発明1と同様に判断されるから、本件発明2についても、引用文献2に記載された発明及び引用文献3、4に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
エ 小括
よって、進歩性に関する取消理由の理由1はその理由がない。
(2) 理由2(サポート要件)について
ア 具体的な理由
(ア)各剤(第1剤、第2剤)の剤型について、本件明細書の段落【0010】の記載及び実施例の記載からみて、本件発明の各剤は、クリーム状やジェル状(ゲル状)のものと認められるから、剤型について何ら特定のない本件発明1、2はサポート要件を満たさない。
(イ)後発泡剤の種類について、後発泡剤として、イソペンタンやn-ペンタンのような常温よりも沸点の高い後発泡剤を2剤に含まない場合を含む本件発明1、2について、本件発明の課題を解決できるものと直ちに認めることはできない。
(ウ)各剤における多価アルコールの配合について、本件発明1では、多価アルコールを、第1剤及び第2剤の一方のみに配合してもよい特定となっているところ、多価アルコールが各剤において溶剤であるとともに、本件明細書の段落【0050】のように発泡を遅延させる分散安定性としての機能も発揮するものであることを踏まえれば、実施例のように両剤に多価アルコールを配合した場合は、後発泡剤の分散安定性が各剤で発揮され、吐出後に優れた混合性を発揮し、本件発明の課題が解決できることは理解できるものの、1剤のみに多価アルコールを配合した場合に、実施例と同様の良好な混合性が発揮されると直ちに認めることはできない。
よって、一方のみに多価アルコールを配合した場合を含む本件発明1、2について、発明の詳細な説明に記載されたものとすることはできない。
イ 判断
本件発明の課題は、上記1(1)で認定したとおり
「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、各剤に後発泡性組成物を適用しつつ、優れた混合性を有する毛髪化粧料を提供すること」
である。
上記ア(ア)の理由について、本件訂正により、本件発明1において第1剤、第2剤の剤型はクリーム状、ジェル状、ペースト状に限定されたので、その理由はない。
また、上記ア(イ)の理由については、上記1で検討したとおりであり、本件訂正により、本件発明1において後発泡剤の種類が限定されたので、その理由はない。
上記ア(ウ)の理由について、令和4年3月17日提出の意見書において、特許権者は、1剤のみに多価アルコールを配合した追加実験例を提示し、当該実験例は、1剤のみに配合した場合であっても、吐出直後、2分後、10分後における2剤の混合性が良好なことを示している。
そうすると、意見書に提示された追加実験例により、一方のみに多価アルコールを配合した場合を含む本件発明1、2について、課題を解決することが理解できるので、上記ア(ウ)の理由についてはその理由がない。
ウ 小括
よって、サポート要件に関する取消理由の理由2はその理由がない。
第6 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由
(1) 理由1(進歩性)
ア 本件発明1、2は、甲第1~6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
イ 本件発明1、2は、甲第1~3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2) 理由2(サポート要件)
本件請求項1,2に係る特許は、下記の点で特許請求の範囲の記載が不備であるため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
ア 本件明細書の実施例には、多価アルコールが第1剤、第2剤の両方に配合された場合に効果を奏することが記載されており、多価アルコールが第1剤と第2剤の一方のみに配合されない場合を含む請求項1、2に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。
イ 多価アルコールの含有量が特定されない請求項1、2に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。
ウ 後発泡剤として配合する化合物や含有量に関し、請求項1、2に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。
エ 高級アルコール、ノニオン性界面活性剤の種類、含有量が特定されない請求項1、2に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。
(3) 理由3(明確性)
本件請求項1,2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備であるため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
ア 請求項1に記載の「高級アルコール」について、その炭素数の範囲を含め、化合物の範囲が特定されておらず、不明確である。
請求項1を引用する請求項2についても同様である。
(4) 証拠方法
(以下、甲第1~6号証を「甲1」等と略す。)
2 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由
上記1の特許異議申立理由のうち、取消理由通知で採用しなかったのは、理由1(進歩性)の理由ア、イ、理由2(サポート要件)の理由イ、エ、理由3(明確性)の理由アである。
以下、これらの理由について検討する。
(1) 理由1(進歩性)の理由アについて
この理由は、甲1を主引用例とした進歩性に関する理由である。
ア 甲1に記載された事項及び甲1に記載された発明
(ア) 甲1に記載された事項
a1 「【請求項1】
第1内容物を充填した第1容器と、
第2内容物を充填した第2容器とを有し、
第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品であって、
前記第1内容物および/または第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする2液式発泡性エアゾール製品。
・・・
【請求項3】
前記第1内容物と第2内容物が噴射剤を含有し、それぞれの噴射剤の蒸気圧が異なる請求項1または2記載の2液式発泡性エアゾール製品。
【請求項4】
前記噴射剤において、一方の噴射剤が、20℃における蒸気圧が0.01~0.2MPaである低圧噴射剤を含有し、他方の噴射剤が、20℃における蒸気圧が0.3~0.7MPaである高圧噴射剤を含有する請求項3記載の2液式発泡性エアゾール製品。
【請求項5】
前記低圧噴射剤を含有する第1内容物または第2内容物がさらに加圧剤を含有する請求項4記載の2液式発泡性エアゾール製品。
【請求項6】
前記第1内容物と第2内容物が、酸化染料を含有する染毛剤用第1剤と、酸化剤を含有する染毛剤用第2剤とからなる2液式酸化染毛剤である請求項1~5のいずれか1項に記載の2液式発泡性エアゾール製品。」
b1 「【0001】
本発明は、第1内容物および/または第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする2液式発泡性エアゾール製品に関する。」
c1 「【0017】
本発明において「泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる」とは、吐出直後の吐出物はクリーム状、ゲル状、液状などほとんどが発泡していない状態、もしくは一部が発泡した状態であり、経時的に吐出物が発泡して泡が増大し、泡比重が小さくなることをいう。
・・・
【0021】
本発明では、2つの吐出物を混合しやすく、混合物を目的物に塗布する際に塗布しやすく、塗布した場所が確認しやすい点から、第1内容物と第2内容物の少なくとも一方が、吐出直後の吐出物は液状もしくは一部が発泡した状態であり、経時的に吐出物が発泡して泡が増大し、泡比重が小さくなるものを用いる。
【0022】
前記吐出物の泡比重を吐出直後から経時的に小さくする方法としては、たとえば、界面活性剤や有効成分を含有する水性原液と噴射剤とからなり、噴射剤として20℃における蒸気圧が0.01~0.2MPaである低圧噴射剤を用いる場合などが挙げられる。
【0023】
前記低圧噴射剤としては、たとえば、ノルマルブタン(蒸気圧:0.1MPa)、イソブタン(蒸気圧:0.2MPa)、ノルマルペンタン(蒸気圧:0.05MPa)、イソペンタン(蒸気圧:0.07MPa)などの炭素数が4~5個の脂肪族炭化水素、メチルパーフルオロブチルエーテル(蒸気圧:0.02MPa)、エチルパーフルオロブチルエーテル(蒸気圧:0.01MPa)などのハイドロフルオロエーテルなどがあげられ、これら単独であるいは混合して前記蒸気圧の範囲に調整したものを用いる。特に2つの吐出物を混合してからゆっくりと発泡する点から蒸気圧が0.05~0.15MPaであるものを用いることが好ましい。
【0025】
前記低圧噴射剤は内容物中3~40質量%、さらには5~30質量%配合することが好ましい。低圧噴射剤の配合量が3質量%よりも少ない場合は発泡性が不充分になり、吐出後の泡の増大がほとんどなく、経時的に泡比重が小さくなりにくい傾向がある。一方、40質量%よりも多い場合は吐出時に飛び散りやすく、塗布後の泡消えが悪くなる傾向がある。
・・・
【0029】
前者の発泡完了型の内容物としては、たとえば、界面活性剤や有効成分を含有する水性原液と噴射剤とからなり、噴射剤として20℃における蒸気圧が0.3~0.7MPaである高圧噴射剤を用いる場合などが挙げられる。」
d1 「【0033】
後者の非発泡型の内容物としては、例えば、有効成分を含有する原液と、原液を加圧する加圧剤とからなる内容物などが挙げられる。
【0034】
前記原液は、たとえば、クリーム状、ゲル状、液状など特に限定されない。また、前記加圧剤としては、たとえば、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気、酸素ガス、亜酸化窒素ガスなどの圧縮ガスが挙げられる。
【0035】
なお原液と加圧剤からなる内容物のエアゾール容器への好ましい充填形態として、可撓性を有する内部容器を備えた二重エアゾール容器を用い、原液を内部容器に充填し、加圧剤を内部容器と外部容器の間の空間に充填したものが挙げられる。この場合、原液が内部容器に充填されているため、粘度の高い原液であってもほぼ全量を吐出でき、また染毛剤のような腐食性の強い原液であっても外部容器が腐蝕されない点から好ましい。
【0036】
この内容物はクリーム状、ゲル状、液状など原液とほとんど同じ状態で吐出され、経時的にもほとんど変化しないが、泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる吐出物と混合することで、該吐出物による泡の増大により各内容物に含まれる有効成分同士が接触しやすく、有効成分の効果が得られやすい。さらに塗布しているときも発泡状態が一定時間継続するため塗り伸ばしやすく、塗布した部分を目視にて確認することができ、さらに塗布する際に液状化していないため液だれを抑えることができる。
・・・
【0038】
2液式発泡性エアゾール組成物を2液式酸化染毛剤とする場合について説明する。
【0039】
前記酸化染料を含有する染毛剤用第1剤としては、酸化染料、染毛補助成分、アルカリ剤、安定化剤、粘度調整剤、染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分、界面活性剤、油性成分などを溶媒に含有した染毛剤用第1剤原液、および噴射剤からなるものが挙げられる。」
e1 「【0052】
前記界面活性剤としては、酸化染毛剤に使用される通常の界面活性剤であれば特に限定されず、例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン/メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン/メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)/メチルポリシロキサン共重合体、脂肪酸石鹸、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルグルタミン酸、N-アシルグリシン塩、N-アシルアラニン塩、ベヘントリモニウムメトサルフェート/セタノール/イソアルキル(C10~40)アミドプロピルエチルジモニウムメトサルフェート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの1種または2種以上を用いることができる。
【0053】
前記界面活性剤を含有させる場合は染毛剤用第1剤原液中に0.01~20質量%、さらには0.1~15質量%が好ましい。界面活性剤の含有量が下限より少ない場合は吐出物が発泡しにくい傾向があり、上限より多い場合はべたつきやすく、使用感が低下しやすくなる傾向がある。
【0054】
前記油性成分としては、酸化染毛剤に使用される通常の油性成分であれば特に限定されず、例えばメチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、コハク酸ジエトキシエチルなどのエステル油、スクワラン、スクワレン、イソパラフィン、流動パラフィンなどの炭化水素、ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール、ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックスなどのロウ(ワックス)などの1種または2種以上を用いることができる。
【0055】
前記油性成分を含有させる場合は染毛剤用第1剤原液中に0.01~15質量%、さらには0.1~10質量%が好ましい。油性成分の含有量が下限より少ない場合は配合効果が得られにくい傾向があり、上限より多く含有した場合は発泡しにくくなる傾向がある。
【0056】
前記溶媒としては、水やアルコール類およびこれらの混合物などが挙げられる。前記水としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水などが挙げられる。また、前記アルコール類としては、エタノール、イソプロパノールなどの1価の低級アルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールなどが挙げられる。
【0057】
前記酸化剤を含有する染毛剤用第2剤としては、酸化剤、pH調整剤、安定化剤、粘度調整剤、染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分、界面活性剤、油性成分などを溶媒に含有した染毛剤用第2剤原液、および噴射剤からなるものが挙げられる。」
f1 「【実施例】
【0071】
<染毛剤用第1剤原液の調製>
表1に示す染毛剤用第1剤原液を調製した。
【0072】
【表1】
[図:0001396249000001.jpg]
【0073】
<染毛剤用第2剤原液の調製>
表2に示す染毛剤用第2剤原液を調製した。
【0074】
【表2】
[図:0001396249000002.jpg]
【0075】
<第1剤エアゾール製品の製造>
第1剤エアゾール製品Aの製造
第1容器に表1の染毛剤用第1剤原液aを47.5g(95質量%)充填し、該容器にエアゾールバルブを固着した。次いで低圧噴射剤1(*17)を2.5g(5質量%)充填し、窒素ガスにて0.6MPaまで加圧した。さらに、エアゾールバルブに吐出部材を取り付け、第1剤エアゾール製品Aを製造した。得られたエアゾール製品について泡比重を評価した。泡比重は30秒毎に計測し、経時的変化を評価した。結果を表3に示す。
【0076】
第1剤エアゾール製品Bの製造
染毛剤用第1剤原液aの充填量を42.5g(85質量%)、低圧噴射剤1(*17)の充填量を7.5g(15質量%)としたこと以外は第1剤エアゾール製品Aと同様にエアゾール製品を製造し、同様に評価した。
【0077】
第1剤エアゾール製品C~Fの製造
染毛剤用第1剤原液aの代わりに染毛剤用第1剤原液b~eをそれぞれ用いたこと以外は第1剤エアゾール製品Bと同様にエアゾール製品を製造し、評価した。
【0078】
第1剤エアゾール製品Gの製造
低圧噴射剤2(*18)を用いたこと以外は第1剤エアゾール製品Aと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0079】
第1剤エアゾール製品Hの製造
低圧噴射剤2(*18)を用いたこと以外は第1剤エアゾール製品Bと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0080】
第1剤エアゾール製品Iの製造
染毛剤用第1剤原液aの充填量を35.0g(70質量%)、低圧噴射剤2(*18)の充填量を15.0g(30質量%)充填したこと以外は第1剤エアゾール製品Hと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
・・・
【0085】
【表3】
[図:0001396249000003.jpg]
[図:0001396249000004.jpg]
[図:0001396249000005.jpg]
【0086】
表3に示す結果から、第1剤エアゾール製品A~Jは吐出直後に一部が発泡し経時的にさらに発泡する吐出物であり、噴射剤の種類や原液と噴射剤の配合比よって差異こそあれ、吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっている。つまり、発泡が進行していることがわかる。また、第1剤エアゾール製品KおよびLは吐出直後に発泡が完了し、時間の経過とともに泡比重が大きくなっている。つまり、破泡していることがわかる。さらに、第1剤エアゾール製品Mは吐出後わずかに発泡したが、その後破泡して液状になることがわかる。
【0087】
表3に示した第1剤エアゾール製品の一部である第1剤エアゾール製品C、G、JおよびKの吐出直後から120秒後までの泡比重の経時的変化を図1にグラフで示した。第1剤エアゾール製品C、GおよびJについては吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっていることがわかる。また、第1剤エアゾール製品Kについては、吐出後時間の経過とともに泡比重が大きくなっていることがわかる。
【0088】
<第2剤エアゾール製品の製造>
第2剤エアゾール製品Aの製造
第2容器に表2の染毛剤用第2剤原液aを50.0g(100質量%)充填し、該容器にエアゾールバルブを固着した。次いで0.6MPaまで窒素ガスの加圧を行った。さらに、エアゾールバルブに噴射部材を取り付け、第2剤エアゾール製品Aを製造した。得られたエアゾール製品について泡比重を評価した。泡比重は30秒毎に計測し経時的変化を評価した。結果を表4に示す。
【0093】
【表4】
[図:0001396249000006.jpg]
【0094】
表4に示す結果から、第2剤エアゾール製品Aは吐出後わずかに発泡したが、その後破泡して液状になることがわかる。また、第2剤エアゾール製品BおよびEは吐出直後に一部が発泡し経時的にさらに発泡する吐出物であり、吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっている。つまり、発泡が進行していることがわかる。さらに、第2剤エアゾール製品CおよびDは吐出直後に発泡が完了し、時間の経過とともに泡比重が大きくなっている、つまり、破泡していることがわかる。
【0095】
表4に示した第2剤エアゾール製品の一部である第2剤エアゾール製品A~Cの吐出直後から120秒後までの泡比重の経時的変化を図2にグラフで示した。第2剤エアゾール製品Aについては吐出物がわずかに発泡したが、その後破泡して液状になることがわかる。第2剤エアゾール製品Bについては吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっていることがわかる。また、第2剤エアゾール製品Cについては、吐出後時間の経過とともに泡比重が大きくなっていることがわかる。
【0096】
<実施例1~15、比較例1および2>
第1剤エアゾール製品A~M、第2剤エアゾール製品A~Eを用いて表5に示す組合せで2液式発泡性エアゾール製品を製造した。なお、第1内容物A~Mは表3の第1剤エアゾール製品A~Mの内容物を、第2内容物A~Eは表4の第2剤エアゾール製品A~Eの内容物を充填したことを表わす。得られた2液式発泡性エアゾール製品について、発泡性、混合性、塗布しやすさ、塗布部の確認、泡比重を評価した。また、吐出直後から2分後までの泡比重の変化率(g/ml・min)を測定した。結果を表5に示す。
【0097】
【表5】
[図:0001396249000007.jpg]
【0098】
表5に示す結果から、実施例1~12は第1内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる2液式発泡性エアゾール製品であり、実施例13および14は第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる2液式発泡性エアゾール製品であり、実施例15は第1内容物および第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる2液式発泡性エアゾール製品であるため、吐出物の発泡性、混合性、塗布しやすさ、および塗布部の確認結果において優れる2液式発泡性エアゾール製品であることがわかる。
【0099】
表5に示した実施例のうち、実施例1、8、12、15、比較例1および2の吐出直後、1分後および2分後の泡比重を図3にグラフで示した。実施例1、8、12および15は吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっていることがわかる。また、比較例1および2については、吐出後時間の経過とともに泡比重が大きくなっていることがわかる。」
(イ) 甲1に記載された発明
甲1には、摘記a1~f1の記載があり、摘記a1からみて、「第1内容物を充填した第1容器と、第2内容物を充填した第2容器とを有し、第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品が記載され、第1内容物と第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする2剤式発泡性エアゾール製品」であって、「前記第1内容物と第2内容物が、酸化染料を含有する染毛剤用第1剤と、酸化剤を含有する染毛剤用第2剤とからなる2液式酸化染毛剤である2液式発泡性エアゾール製品」に係る発明が記載されている(摘記a1の請求項1、6)。
そして、摘記f1より、実施例として、第1剤、第2剤ともに低圧噴射剤を用いた例として、第1剤エアゾール製品C(染毛剤用第1原液b、低圧噴射剤イソペンタン、原液/低圧噴射剤の配合比(質量)85/15)、第2剤エアゾール製品B(染毛剤用第2原液a、低圧噴射剤イソペンタン/ノルマルブタン(44/56)質量比、原液/低圧噴射剤の配合比(質量)95/5)を用いた実施例15が記載されている。
そうすると、甲1に記載された発明として、
「第1内容物を充填した第1容器と、第2内容物を充填した第2容器とを有し、第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品であって、第1内容物と第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする2剤式発泡性エアゾール製品であり、前記第1内容物と第2内容物が、・酸化染料を含有する第1剤として第1剤エアゾール製品C(染毛剤用第1剤原液b、低圧噴射剤:イソペンタン、原液/低圧噴射剤の配合比(質量)85/15)、・酸化剤を含有する第2剤として第2剤エアゾール製品B(染毛剤用第2剤原液b、低圧噴射剤:イソペンタン/ノルマルブタン(44/56)質量比、原液/低圧噴射剤の配合比(質量)95/5)とからなる2液式酸化染毛剤である2液式発泡性エアゾール製品。続きを表示(全40行)<染毛剤用第1剤原液b> 質量%硫酸パラフェニレンジアミン 0.50メタアミノフェノール 0.18パラアミノフェノール 0.07モノエタノールアミン 8.00炭酸水素アンモニウム 1.00無水亜硫酸ナトリウム 0.50L-アスコルビン酸ナトリウム 0.20ペンテト酸(* 1) 0.10プロピレングリコール(* 2) 10.00ソルビトール(* 3) 5.00ポリクオタニウム-22 (* 4) 0.60ポリクオタニウム-7 (* 5) 2.00ポリオキシエチレンセチルエーテル(* 6) 1.00ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(* 7) 15.00ラウリルグルコシド(* 8) -ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(* 9) -ステアリン酸(*1 0) 2.40ミリスチン酸(*1 1) 4.60オレイン酸(* 1 2) -精製水 45.85エタノール 3.00合計 100.00<染毛剤用第2剤原液b> 質量%過酸化水素水(35%) 16.46リン酸(85%) 0.11リン酸水素2ナトリウム 0.30エチドロン酸(*1 3) 0.20グリチルリチン酸2カリウム 0.05ポリオクタニウム6 -オレス-20 -ラウリル硫酸ナトリウム(*1 4) 0.50ラノリンアルコール(*1 5) 0.75セトステアリルアルコール(*1 6) 4.50水 77.13合計 100.00 」
の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
イ 本件発明1について
(ア) 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明の「第1内容物を充填した第1容器と、第2内容物を充填した第2容器とを有し、第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品であって、第1内容物と第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする2剤式発泡性エアゾール製品」であって、「第1内容物と第2内容物が、酸化染料を含有する第1剤、酸化剤を含有する第2剤とからなる2液式酸化染毛剤である2液式発泡性エアゾール製品」は、本件発明1の
「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されて」いる「毛髪化粧料」に相当する。
甲1発明の第1剤の「ポリオキシエチレンセチルエーテル」は、本件発明1の「ノニオン性界面活性剤」に相当し、甲1発明の第1剤が含有する「プロピレングリコール」、「ソルビトール」は、本件発明1の「前記第1剤、前記第2剤のいずれか一方又は両方が多価アルコールを含有」することに相当する。
甲1発明の第2剤の「ラノリンアルコール」、「セトステアリルアルコール」は、本件発明1の「高級アルコール」に相当する。
甲1発明の第1剤の「低圧噴射剤」の「イソペンタン」、第2剤の「イソペンタン/ノルマルブタン」は、本件発明1の「第1剤と前記第2剤の後発泡剤として、n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上」に相当する。また、第1剤及び第2剤における後発泡剤(低圧噴射剤)の含有量、第1剤と第2剤の後発泡剤(低圧噴射剤)の含有量の比率においても、甲1発明は、第1剤の後発泡剤(低圧噴射剤)の含有量は配合比から計算して15重量%、第2剤の後発泡剤(低圧噴射剤)は5重量%であり、含有量の比率は15/5=3と計算できるから、これらに数値においても本件発明1の条件を満たしている。
そうすると、両発明は、
「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、前記第2剤に、高級アルコールを含有すること、前記第1剤に、ノニオン性界面活性剤を含有し、前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であり、前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を0.5~20質量%含有する後発泡性組成物であって、前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤として、n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含有し、さらに、前記第1剤、前記第2剤のいずれか一方又は両方が多価アルコールを含有し、前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されている、毛髪化粧料。」
の発明である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1は、
「前記第1剤にも、高級アルコールを含有すること、前記第2剤にも、ノニオン性界面活性剤を含有すること、前記第1剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第1剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であり、 前記第2剤中の前記高級アルコールの含有量の合計値に対する前記第2剤中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値の比が0.1~5であ」るのに対し、甲1発明ではこのような特定はない点。
<相違点2>
本件発明1は、第1剤、第2剤の剤型が「クリーム状、ジェル状、又はペースト状である」と特定するのに対し、甲1発明は、これについて特定がない点。
(イ) 判断
上記相違点1について検討するに、まず、本件発明1において、第1剤、第2剤ともに、高級アルコール、ノニオン性界面活性剤を配合し、これらを特定の割合で組み合わせるのは、本件明細書の【0081】に記載のあるとおり、第1剤と第2剤の混合性が向上するとの効果のためである。
これに対し、甲1には、摘記d1に、配合できる油剤の一例として高級アルコールが挙げられ、配合できる界面活性剤としてノニオン性界面活性剤が挙げられているものの、甲1発明の第1剤の油剤である「ステアリン酸、ミリスチン酸」に代えて高級アルコールを採用し、第2剤の界面活性剤である「ラウリル硫酸ナトリウム」に代えて、ノニオン性界面活性剤を採用し、かつ、第1剤、第2剤ともに、「高級アルコール」、「ノニオン性界面活性剤」を特定の割合で配合することを動機付ける記載はない。
また、甲2、3には、2剤同時吐出型染毛剤において、第1剤と第2剤の両方に、高級アルコールとノニオン性界面活性剤を配合した実施例が記載されているものの(甲2:特許請求の範囲、【0014】~【0017】、実施例、【0029】表1、【0030】表2、甲3:特許請求の範囲、【0061】表1、【0062】表2)、当該染毛剤においては2剤を吐出するために窒素等の圧縮ガスを用いており(甲2:【0023】、甲3:【0071】)、後発泡剤を用いた発泡性のものではない。そして、甲2に、酸・アルカリに強いので非イオン性界面活性剤を用いることができる旨の記載はあるものの(甲2【0017】)、その他の甲2、甲3の記載をみても、後発泡剤を含有する甲1発明における第1剤、第2剤において、油剤、界面活性剤として、例示された化合物の中からそれぞれ「ノニオン性界面活性剤」、「高級アルコール」を選択し、特定の割合で含有させることを動機付ける記載や示唆はない。
さらに、甲4、甲5には、後発泡ゲル組成物において、後発泡剤とともに多価アルコールを配合することが記載され(甲4:特許請求の範囲、【0012】、甲5:請求項1、第3頁右欄第3~9行、実施例1,3,4)、甲6には、炭素数3~6の脂肪族炭化水素や炭素数1~2のハロゲン化脂肪族炭化水素が、多価アルコールに溶解して蒸気圧が低下することが記載されているものの(第1頁第1欄第48~64行、第1頁第2欄第19行~第2頁第3欄第3行)、甲1発明において、本件発明1の相違点1に係る構成の採用を動機付ける記載はない。
そうすると、甲1発明において、本件発明1の相違点1の構成とすることは、甲2~6の記載をみても当業者が容易になし得たものとはいえない。
よって、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
ウ 本件発明2について
本件発明2は、請求項1に記載の毛髪化粧料を使用して、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法に関するものである。一方、甲1発明の2液式発泡性エアゾール製品は毛髪を染毛する方法に用いるものであるから、甲1には、甲1発明を使用して毛髪を染毛する方法の発明についても記載されている。
そして、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法としてみた場合に、本件発明2と甲1発明を使用した毛髪を染毛する方法とは、上記イ(ア)で示した相違点以外に相違点はなく、これらの相違点については本件発明1と同様に判断されるから、本件発明2についても、甲1発明及び甲2~6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 理由1(進歩性)の理由イについて
この理由は、甲2又は3を主引用例とした進歩性に関する理由である。
ア 甲2を主引用例とした場合について
(ア) 甲2に記載された事項
a2 「【請求項1】
第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有するエアゾール容器に充填した染毛剤において、第一剤と第二剤との粘度が共に50,000mPa・s以下であり、第一剤と第二剤との粘度の比率が、第一剤/第二剤=0.8~1.2であることを特徴とする二剤同時吐出型染毛剤。
【請求項2】
第一剤と第二剤とが共に高級アルコールを0.1~10.0重量%含有することを特徴とする請求項1記載の二剤同時吐出型染毛剤。
【請求項3】
第一剤を充填した第一内装パウチ及び第二剤を充填した第二内装パウチを1つの耐圧容器に収納し、内装パウチと耐圧容器間に圧縮ガスを充填した、第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有する二重構造エアゾール容器、もしくは、第一剤と第二剤とをそれぞれ内袋を有する耐圧容器の内袋中に充填し、内袋と耐圧容器間に圧縮ガスを充填した、2つの容器を連結し第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有する二連エアゾール容器を用いることを特徴とする請求項1~2のいずれか一項記載の二剤同時吐出型染毛剤。」
b2 「【0007】
本発明は、第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有するエアゾール容器に充填した二剤同時吐出型染毛剤において、使い始めから使い終わるまで第一剤と第二剤とを所定の吐出量の比率にて同時に吐出することで、毛髪に対し簡便かつムラなく均一に染め上げることが出来る染毛剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有するエアゾール容器に充填した二剤同時吐出型染毛剤において、第一剤と第二剤との粘度が共に50,000mPa・s以下であり、第一剤と第二剤との粘度の比率を、第一剤/第二剤=0.8~1.2にすることにより、使い始めから使い終わるまで第一剤と第二剤との吐出量の比率の変化が少なく、安定に所定の吐出量の比率にて同時に吐出することが出来ることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有するエアゾール容器に充填した二剤同時吐出型染毛剤において、使い始めから使い終わるまで第一剤と第二剤との吐出量の比率の変化が少なく、安定に所定の吐出量の比率にて同時に吐出することが出来るため、毛髪に対し簡便かつムラなく均一に染め上げることが出来る。」
c2 「【0014】
本発明の二剤同時吐出型染毛剤は、第一剤と第二剤とが共に高級アルコールを0.1~10.0重量%含有することを特徴とする。
【0015】
本発明の二剤同時吐出型染毛剤に含有される高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。これらの中でも特に安定性の点から、直鎖飽和高級アルコールであるラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。その含有量は0.1~10.0重量%、好ましくは0.5~5.0重量%である。0.1重量%未満であると分離等、剤の経時的安定性に影響があり、10.0重量%を超えると剤の粘度が高くなり、圧縮ガス等による容器からの吐出が困難になるため、吐出量にムラが生じ、第一剤と第二剤とを所定の吐出量の比率にて同時に吐出することが困難になる。
【0016】
本発明の二剤同時吐出型染毛剤には非イオン性界面活性剤を適宜配合することが可能である。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテル類、POE脂肪酸類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POEソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N-アルキルジメチルアミンオキシド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0017】
これらの中でも酸やアルカリ剤に強いことから、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類が好ましく、更にこれらの中ではPOEアルキルエーテル類が特に好ましい。POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル等が挙げられる。その含有量は0.1~10.0重量%、好ましくは2.0~6.0重量%である。0.1重量%未満であると分離等、剤の経時的安定性に影響があり、10.0重量%を超えると剤の粘度が高くなり、圧縮ガス等による容器からの吐出が困難になるため、吐出量にムラが生じ、第一剤と第二剤とを所定の吐出量の比率にて同時に吐出することが困難になる。又、非イオン性界面活性剤は異なる2種以上を含有することが好ましく、1種はHLB値9.0未満、他の1種はHLB値13.0以上であることが好ましい。
・・・
【0023】
本発明の二剤同時吐出型染毛剤に用いられる圧縮ガスとしては、例えば、ジメチルエーテル、液化石油ガス、窒素ガス、代替フロン等、一般にエアゾール製品に用いられるものや、圧縮空気等を用いることが出来る。これらの中でも特に変質防止の面から、窒素ガスが好ましい。
【0024】
本発明の二剤同時吐出型染毛剤において、第一剤と第二剤とにかかる初期内圧は、使用性の面から、25℃において0.3~0.8MPaが好ましく、0.4~0.7MPaであることがより好ましい。又、第一剤と第二剤とにかかる初期内圧の比率を、第一剤/第二剤=0.95~1.05とすることで、より本発明の効果が得られる。」
d2 「【0029】
【表1】
[図:0001396249000008.jpg]
【0030】
【表2】
[図:0001396249000009.jpg]
【0031】
【表3】
[図:0001396249000010.jpg]
【0032】
表1,2から明らかなように、本発明の二剤同時吐出型染毛剤は、同時吐出性において優れていた。一方、表3より、第一剤と第二剤との粘度差が大きい比較例1~3、第一剤の粘度が高く、粘度差が大きい比較例4、及び第一剤と第二剤共に粘度が高く、粘度差が大きい比較例5は同時吐出性が劣っていた。
【0033】
実施例14(脱色剤)
下記組成の脱色剤を調製し、第一剤と第二剤との所定の吐出量の比率を、第一剤/第二剤=1.0とした。原液の第一剤50gを充填した第一内装パウチ及び第二剤50gを充填した第二内装パウチを1つの耐圧容器に収納し、内装パウチと耐圧容器間に窒素ガスを充填した、第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有する二剤同時吐出型脱色剤の評価を行った。
(第一剤)
成分 配合量(重量%)
1) セチルアルコール 5.00
2) 流動イソパラフィン 10.00
3) 流動パラフィン 5.00
4) ジメチルポリシロキサン 5.00
5) ポリオキシエチレンステアリルエーテル 5.00
6) 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(70%) 1.50
7) ステアリン酸 0.50
8) 香料 0.50
9) ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液 1.00
10) 大豆たん白加水分解物 0.50
11) 加水分解シルク液 0.50
12) アンモニア水(25%) 6.00
13) 精製水 残量
合 計 100.00
製法
成分1~8を80℃にて加温溶融したものに、成分9,13を85℃にて加温溶融したものを加えて混合する。次いで撹拌しながら冷却を行い、45℃にて成分10~12を加え、室温まで撹拌しながら冷却を行い、第一剤を得た。
初期内圧 0.50MPa (充填:窒素ガス)
粘度 24,000mPa・s
【0034】
(第二剤)
成分 配合量(重量%)
1) セチルアルコール 5.00
2) ステアリルアルコール 4.00
3) 流動パラフィン 5.00
4) ポリオキシエチレンセチルエーテル 5.00
5) ヒドロキシエタンジホスホン酸(60%) 0.20
6) リン酸 0.02
7) リン酸水素二ナトリウム 0.10
8) 過酸化水素水(35%) 16.60
9) 精製水 残量
合 計 100.00
製法
成分1~5を80℃にて加温溶融したものに、成分6,7,9を85℃にて加温溶融したものを加えて混合する。次いで撹拌しながら冷却を行い、40℃にて成分8を加え、室温まで撹拌しながら冷却を行い、第二剤を得た。
初期内圧 0.50MPa (充填:窒素ガス)
粘度 25,000mPa・s
粘度比率(第一剤/第二剤) 0.96」
(イ) 甲2に記載された発明
摘記a2~d2,特にa2の請求項1、2とd2の表1~表2の第1剤、第2剤の組成からみて、 以下の発明が記載されていると認められる。
「第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有するエアゾール容器に充填した染毛剤において、第一剤と第二剤との粘度が共に50,000mPa・s以下であり、第一剤と第二剤との粘度の比率が、第一剤/第二剤=0.8~1.2であり、第一剤と第二剤とが共に高級アルコールを0.1~10.0重量%含有し、非イオン性界面活性剤としてPOEアルキルエーテル類を0.1~10.0重量%含有する、二剤同時吐出型染毛剤。」(以下、「甲2発明」という。)
(ウ) 本件発明1について
a 対比
本件発明1と甲2発明を対比すると、少なくとも以下の点で両発明は相違する。
<相違点A>
本件発明1は、「前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を0.5~20質量%含有する後発泡性組成物であって、前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であり、前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤として、n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含有する」ことを特定するのに対し、甲2発明は、後発泡剤を含有しない点。
b 判断
相違点Aについて検討する。
甲2には、摘記a2の請求項3、摘記c2の段落【0023】に記載があるように、窒素ガス等の圧縮ガスを、耐圧容器と第1剤又は第2剤を充填した内袋との間に充填して第1剤又は第2剤を同時吐出させるものであり、そのために第1剤と第2剤の粘度を特定の範囲としたものである。そして、甲2には、後発泡剤に関する記載はなく、甲2発明は、第1剤又は第2剤が吐出時に発泡するものではない。
一方、甲1には、2液式発泡性エアゾール製品に関する発明が記載されており((1)ア(ア)摘記a1)、経時的に吐出物が発泡して泡が増大し、泡比重が小さくなることを特徴とするものであって、第1剤又は第2剤の原液と噴射剤を一緒に充填するものであり、噴射剤として、ノルマルブタン、イソペンタン等の低圧噴射剤が使用できることが記載されている。ここで、低圧噴射剤は、本件発明1における後発泡剤に相当するものである。
ここで、甲2発明は、発泡性のものではないから、甲1に記載された事項に基づいて、後発泡剤を採用し、発泡性のものとすることは当業者が容易になし得たことではない。
そうすると、本件発明1は、甲2に記載された発明及び甲1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(エ) 本件発明2について
本件発明2は、請求項1に記載の毛髪化粧料を使用して、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法に関するものである。一方、甲2発明の2液式発泡性エアゾール製品は毛髪を染毛する方法に用いるものであるから、甲2には、甲2発明を使用して毛髪を染毛する方法の発明についても記載されている。
そして、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法としてみた場合に、本件発明2と甲2発明を使用した毛髪を染毛する方法とは、上記(ウ)aで示した相違点Aがあり、この相違点については本件発明1と同様に判断されるから、本件発明2についても、甲2発明及び甲1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 甲3を主引例とした場合について
(ア) 甲3に記載された事項
a3 「【請求項1】
ステムを有し、充填された噴射剤の圧力によって当該ステムから内容物を吐出可能なエアゾール缶からなる吐出容器に内容物として収納され、該吐出容器から吐出されて使用される毛髪化粧剤であって、
1000~100000cpsの粘度となるように生成されたことを特徴とする毛髪化粧剤。
【請求項2】
前記毛髪化粧剤は、アルカリ剤および酸化染料の少なくとも一方が含まれた第1剤と、酸化剤が含まれた第2剤とからなり、
該第1剤と該第2剤とを互いに混合することにより使用される2剤混合型であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧剤。
【請求項3】
前記毛髪化粧剤において、
前記第1剤の粘度をa、前記第2剤の粘度をbとしたとき、
【請求項4】
前記毛髪化粧剤において、
前記第1剤には、カチオン性化合物が含まれ、
前記第2剤には、アニオン性化合物が含まれていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の毛髪化粧剤。
【請求項5】
ステムを有し、充填された噴射剤の圧力によって該ステムから内容物を排出可能なエアゾール缶と、
前記エアゾール缶の前記ステムを外部から押圧するための操作部材と、
前記操作部材を押圧することにより前記ステムから排出される内容物を外部へ吐出するための吐出部材とを備えた吐出容器に、内容物として前記請求項1に記載の毛髪化粧剤を収納したことを特徴とする毛髪化粧品。
【請求項6】
ステムを有し、充填された噴射剤の圧力によって該ステムから内容物を吐出可能な一対のエアゾール缶と、
前記一対のエアゾール缶を互いに連結するための連結部材と、
前記一対のエアゾール缶の前記ステムを外部から同時に押圧するための操作部材と、
前記操作部材を押圧することにより前記各ステムから排出される内容物を外部へ吐出するための吐出部材と
を備えた同時吐出容器の各エアゾール缶に、内容物として請求項2~4のいずれか記載の毛髪化粧剤を構成する第1剤および第2剤を夫々収納したことを特徴とする毛髪化粧品。
【請求項7】
前記エアゾール缶の内側には内袋が設けられ、
該内袋に前記毛髪化粧剤が収納されることにより、充填された噴射剤と該毛髪化粧剤とが互いに混じり合わないようになっていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の毛髪化粧品。
【請求項8】
請求項1~4のいずれかに記載した毛髪化粧剤の使用方法であって、
前記毛髪化粧剤を収納した吐出容器から前記毛髪化粧剤を直接塗布用のブラシ上に吐出させ、該ブラシにて毛髪を梳くことにより、前記毛髪化粧剤を毛髪に塗布することを特徴とする毛髪化粧剤の使用方法。」
b3 「【0007】
ところで、特に、2剤型の染毛剤は、無色の低分子の酸化染料中間体を毛髪繊維中に浸透させ、この毛髪繊維中で酸化重合を行わせることにより、色素塩基を生成させ、この色素塩基を毛髪繊維の酸性基に化学結合させて染色するものである。そして、この2剤型の染毛剤を使用する場合には、使用する直前に第1剤と第2剤とを混合するのが一般的である。
【0008】
しかし、従来より、このような2剤型の染毛剤を使用する場合に、混合直後に染毛した毛髪と、混合後にしばらくしてから染毛した毛髪とでは、染毛状態(例えば、色の濃淡等)が異なることが知られていた。
・・・
【0014】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、毛髪に塗布して使用する毛髪化粧剤の操作性を高め、速やかに毛髪に塗布できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段,発明の実施の形態及び発明の効果】
【0015】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、ステムを有し、充填された噴射剤の圧力によって当該ステムから内容物を吐出可能なエアゾール缶からなる吐出容器に内容物として収納され、該吐出容器から吐出されて使用される毛髪化粧剤であって、1000~100000cpsの粘度となるように生成されたことを特徴とする。
【0016】
先に述べたように、毛髪化粧品に用いられる毛髪化粧剤は、使用目的や使用対象物に合わせ、種々の剤型に調製される。例えば、一般的な剤型としては、泡状、ゲル状、ジェリー状、ペースト状、クリーム状等が挙げられる。」
c3 「【実施例】
【0059】
以下、本発明を具体化した各実施例について説明する。
各実施例では、本発明の毛髪化粧剤および毛髪化粧品を用い、本発明の毛髪化粧剤の使用方法にて毛髪化粧剤を毛髪等に塗布することによりそれらの評価を行った。以下に、その内容を詳細に説明する。
(実施例1~5、比較例1~3)
実施例1~5および比較例1~3の毛髪化粧剤には、第1,第2剤を混合して使用する2剤型の染毛剤を用いた。
【0060】
まず、各実施例1~5および比較例1~3の実施内容について表1,2、並びに後述する表3,4を用いて説明する。
【0061】
【表1】
[図:0001396249000011.jpg]
【0062】
【表2】
[図:0001396249000012.jpg]
【0064】
実施例2における毛髪化粧品の染毛剤は、第1剤が表1中の処方型1-aにて調製され、第2剤が表2中の処方型2-aにて調製されている。そして、第1,第2剤は同時吐出容器に収納されている。尚、以下において同時吐出容器とは、図3および図4に示した後述する同時吐出容器20を指す。
【0065】
実施例3における毛髪化粧品の染毛剤は、第1剤が表1中の処方型1-aにて調製され、第2剤が表2中の処方型2-bにて調製されている。そして、第1,第2剤は同時吐出容器に収納されている。
【0066】
実施例4における毛髪化粧品の染毛剤は、第1剤が表1中の処方型1-bにて調製され、第2剤が表2中の処方型2-bにて調製されている。そして、第1,第2剤は同時吐出容器に収納されている。
【0067】
実施例5における毛髪化粧品の染毛剤は、第1剤が表1中の処方型1-cにて調製され、第2剤が表2中の処方型2-aにて調製されている。そして、第1,第2剤は同時吐出容器に収納されている。
・・・
【0071】
吐出容器2を図2に示す状態、即ち、操作部材14をステム8に係合させた状態とし、操作部材14の押下に伴ってステム8が押し下げられると、エアゾール缶4内の毛髪化粧剤は、収納された噴射剤(窒素ガス)の圧力によりステム8から排出され、さらにノズル16から吐出される。
・・・
【0094】
【表3】
[図:0001396249000013.jpg]
【0095】
【表4】
[図:0001396249000014.jpg]
【0096】
以上の結果から明らかなように、実施例2,3の場合が最も染毛操作性が優れていることが判った。また、実施例1~5は比較例1~3のいずれよりも染毛操作性が優れていることが判った。」
(イ) 甲3に記載された発明
摘記a3~c3の記載、特に、摘記a3の請求項1~3、摘記c3の表1~3の実施例2の記載からみて、甲3には以下の発明が記載されていると認められる。
「ステムを有し、充填された噴射剤の圧力によって当該ステムから内容物を吐出可能なエアゾール缶からなる同時吐出容器に内容物として収納され、該同時吐出容器から吐出されて使用される毛髪化粧剤であって、1000~100000cpsの粘度となるように生成され、前記毛髪化粧剤は、アルカリ剤および酸化染料の少なくとも一方が含まれた処方型1-aの第1剤と、酸化剤が含まれた処方型2-aの第2剤とからなり、該第1剤と該第2剤とを互いに混合することにより使用される2剤混合型である毛髪化粧剤。」(以下、「甲3発明」という。)
(ウ) 本件発明1について
a 対比
本件発明1と甲3発明を対比すると、少なくとも以下の点で両発明は相違する。
<相違点B>
本件発明1は、「前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を0.5~20質量%含有する後発泡性組成物であって、前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であり、前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤として、n-ペンタン、又はイソペンタンのいずれか1種以上を含有する」ことを特定するのに対し、甲3発明は、後発泡剤を配合しない点。
b 判断
相違点Bについて検討する。
甲3発明は、混合直後に染毛した毛髪と、混合後にしばらくしてから染毛した毛髪とでは、染毛状態(例えば、色の濃淡等)が異なることから、毛髪に塗布して使用する毛髪化粧剤の操作性を高め、速やかに毛髪に塗布できるようにすることを目的とするものである(摘記b3)。そして、毛髪化粧料と噴射剤とは、充填された噴射剤は、毛髪化粧料と混じり合わないように構成されているものである(摘記a3 請求項5~7)。
一方、甲1には、2液式発泡性エアゾール製品に関する発明が記載されており((1)ア(ア)摘記a1)、経時的に吐出物が発泡して泡が増大し、泡比重が小さくなることを特徴とするものであって、噴射剤として、ノルマルブタン、イソペンタン等の低圧噴射剤が使用できることが記載されている。そして、当該発泡性エアゾール製品においては、第1剤又は第2剤の原液とともに当該低圧噴射剤が充填されており、当該低圧噴射剤は、本件発明1における後発泡剤に相当するものである。
ここで、甲3発明は、上述したとおり、充填された噴射剤は、毛髪化粧料と混じり合わないように構成されているものであり、甲1に記載された2液式発泡性エアゾール製品は、第1剤又は第2剤の原液とともに上記の低圧噴射剤が充填され、両者は異なる構成のものであるから、甲3発明に甲1に記載された事項を組み合わせることはできない。
そうすると、本件発明1は、甲3に記載された発明及び甲1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(エ) 本件発明2について
本件発明2は、請求項1に記載の毛髪化粧料を使用して、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法に関するものである。一方、甲3発明の毛髪化粧剤は毛髪を染毛する方法に用いるものであるから、甲3には、甲3発明を使用して毛髪を染毛する方法の発明についても記載されている。
そして、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法としてみた場合に、本件発明2と甲3発明を使用した毛髪を染毛する方法とは、上記(ウ)aで示した相違点Bがあり、この相違点については本件発明1と同様に判断されるから、本件発明2についても、甲3発明及び甲1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3) 理由2(サポート要件)の理由イ、エについて
理由2(サポート要件)の理由イ、エを再掲する。
「イ 多価アルコールの含有量が特定されない請求項1、2に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。エ 高級アルコール、ノニオン性界面活性剤の種類、含有量が特定されない請求項1、2に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。」
ア 本件発明の解決すべき課題
本件発明の解決すべき課題は、上記第5 1(1)で認定したとおり
「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、各剤に後発泡性組成物を適用しつつ、優れた混合性を有する毛髪化粧料を提供すること」
である。
イ 理由2(サポート要件)の理由イについて
(ア) 判断
本件発明1、2において、多価アルコールの含有量は特定されていないが、本件明細書には、
「【0050】(後発泡剤の分散安定剤)発泡を遅延するために、後発泡剤の分散安定剤として多価アルコールを配合することが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等が例示される。多価アルコールの含有量は、各剤において0.1~60質量%の範囲内であることが好ましく、1~50質量%の範囲内であることが更に好ましく、10~40質量%の範囲内であることが特に好ましい。」
との記載があり、
・多価アルコールが、発泡の遅延するための、後発泡剤の分散安定剤であること、
・多価アルコールの含有量は、各剤において0.1~60質量%の範囲内であることが好ましいこと、
が記載されている。
そして、請求項1、2に多価アルコールの含有量の記載がないが、後発泡剤の含有量の記載はあり、この後発泡剤の配合量に応じて、発泡を遅延させるための分散安定剤として機能する量を多価アルコールとして配合すればよく、また、上記段落【0050】には、各剤における多価アルコールの含有量の範囲の記載もあり、さらに、具体的な実施例もあるから、これらの記載を合わせみれば、発明の詳細な説明に開示された内容を本件発明の範囲にまで拡張ないし一般化できるものといえる。
(イ) 申立人の主張について
a 主張の概要
申立人は、令和4年5月25日提出の意見書において、さらに以下の点を主張している。
・多価アルコールによる後発泡剤の分散安定との効果は、一方の剤のみへの配合によっても得られるのであれば、第1剤、第2剤の全体の多価アルコールの含有量により影響を受けるはずであり、少量の多価アルコールしか含有しない場合には、良好な混合性が得られるか不明であり、多価アルコールの含有量が特定されなければ、発明の課題が解決できない。
b 主張についての判断
上記(ア)で述べたとおり、請求項1、2に多価アルコールの含有量の記載がないが、後発泡剤の含有量の記載はあり、この後発泡剤の配合量に応じて、発泡を遅延させるための分散安定剤として機能する量を多価アルコールとして配合すればよく、また、本件明細書の段落【0050】には、多価アルコールの含有量の記載があり、また、実施例にも配合されている。
これらの記載を合わせみれば、当業者は本件発明の毛髪化粧料において、良好な混合性が得られるように適切な多価アルコールの含有量を決定できるといえ、よって、請求項1、2に多価アルコールの含有量の特定がないことにより、本件発明の解決すべき課題を解決できないとはいえず、申立人の主張は採用できない。
ウ 理由2(サポート要件)の理由エについて
(ア) 判断
請求項1、2には、高級アルコール、ノニオン性界面活性剤の種類、含有量が特定されていないが、本件明細書には、段落【0063】~【0065】に、ノニオン性界面活性剤の種類と含有量について記載があり、高級アルコールの種類については段落【0080】に記載があり、その含有量については、第1剤、第2剤における高級アルコールの合計量とノニオン性界面活性剤の合計量の比として請求項1において特定されている。そして、具体的な実施例も記載されている。
これらの記載を合わせみれば、発明の詳細な説明に開示された内容を本件発明の範囲にまで拡張ないし一般化できるものといえる。
(4) 理由3(明確性)の理由アについて
理由3(明確性)の理由アを再掲する。
「ア 請求項1に記載の「高級アルコール」について、その炭素数の範囲を含め、化合物の範囲が特定されておらず、不明確である。請求項1を引用する請求項2についても同様である。」
ア 判断
高級アルコールについて、請求項1、2では、炭素数等の具体的な化合物の範囲は記載されていないが、本件特許明細書には、
「【0080】高級アルコールとしては、好ましくは炭素数8以上のアルコールである。例えば、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール等が挙げられる。」
との記載がある。そして、この段落の記載をみれば、当業者であれば、「高級アルコール」の範囲を認識できるから、請求項1、2において、炭素数等の化合物の範囲が記載されていなくとも、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるというものではない。
(5) 小括
取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について、いずれもその理由はない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、請求項1、2に係る特許は、令和4年1月17日付け取消理由通知に記載した取消理由及び同年7月29日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由、並びに、これらの取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法第114条第4項の規定により、請求項1、2に係る特許について、結論のとおり決定する。
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2021-700704