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特許異議申立

2024-701182

酸化染毛剤組成物

審判番号
2024-701182
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-121566
登録番号
7497835
請求日
2024年12月10日
審決日
2026年06月19日
公報発行日
2026年09月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ホーユー株式会社
  • 【権利者代理人】恩田 誠
  • 【権利者代理人】恩田 博宣
  • 【異議申立人】福田 義道
審判長/審判官
  • 審判長 齋藤 恵
  • 審判官 野田 定文
  • 審判官 冨永 保
分類
P1651.537-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第4項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7497835号発明「酸化染毛剤組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7497835号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3〕及び〔2、4〕について訂正することを認める。 特許第7497835号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 以下において下線は当審が付与したものであり、「・・・」は記載の省略を表す。 第1 手続の経緯 特許第7497835号の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成30年6月27日に出願され、令和6年6月3日にその特許権の設定登録がされ、同年同月11日に特許掲載公報が発行され、その後、その全請求項に係る特許に対し、同年12月10日に特許異議申立人 福田 義道(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 特許異議の申立て以後の手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和7年1月27日付け 取消理由通知 同年 3月31日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 4月14日付け 訂正請求があった旨の通知 同年 5月16日 意見書の提出(申立人) 同年 7月 7日付け 取消理由通知(決定の予告)(以下「第1予告」ということがある。) 同年 9月 5日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年10月14日付け 訂正請求があった旨の通知 同年11月14日 意見書の提出(申立人) 令和8年 1月30日付け 取消理由通知(決定の予告)(以下「第2予告」ということがある。) 同年 4月 3日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) なお、令和7年3月31日及び同年9月5日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 また、すでに申立人に意見書の提出の機会が与えられており、下記第2のとおり、令和8年1月30日に提出された訂正請求書による訂正の請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、下記第5及び第6で述べるとおり、提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論となると合議体は判断したところ、特許法第120条の5第5項ただし書に規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるとき」に該当するといえるから、申立人に再度の意見書の提出の機会は与える必要がないと判断した。 第2 訂正の適否 1 請求の趣旨及び訂正の内容 令和8年4月3日に提出された訂正請求書による訂正(以下当該請求書を「本件訂正請求書」といい、当該訂正を「本件訂正」という。)の「請求の趣旨」は、「特許第7497835号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求める。」というものであって、その内容は、以下の訂正事項1~6からなるものである。 (この項における下線は、訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 請求項1の、 「前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%の範囲内であり、かつカプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内であり」 との記載を、 「前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内であり、かつカプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内であり」 との記載に訂正する。 請求項1の記載を直接的に引用する請求項3も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 請求項2の、 「前記主要中間体が下記(C)成分から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化染毛剤組成物。 (C)パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びこれらの塩。」 との記載を、 「酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、 前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%の範囲内であり、かつカプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内であり、 使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内であり、使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有し、 前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み、前記カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上であり、前記主要中間体が下記(C)成分から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする酸化染毛剤組成物(レゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)。 (D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。 (C)パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びこれらの塩。」 との記載に訂正する。 請求項2の記載を直接的に引用する請求項4も同様に訂正する。 (3)訂正事項3 請求項3の 「請求項1又は請求項2に記載の酸化染毛剤組成物を毛髪の既染部に適用することを特徴とする染毛方法。」 との記載を、 「請求項1に記載の酸化染毛剤組成物を毛髪の既染部に適用することを特徴とする染毛方法。」 との記載に訂正する。 (4)訂正事項4 請求項3に、 「請求項1又は請求項2に記載の酸化染毛剤組成物を毛髪の既染部に適用することを特徴とする染毛方法。」 と記載されているのを、 「請求項2に記載の酸化染毛剤組成物を毛髪の既染部に適用することを特徴とする染毛方法。」 との記載に訂正し、新たな請求項4とする。 (5)訂正事項5 明細書の【0032】の、 「植物油としては、・・・パーム油、卵黄油等が例示される。」 との記載を、 「植物油としては、・・・パーム油等が例示される。」 との記載に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の段落【0057】の、 「以下に本発明の実施例及び比較例を説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例及び比較例によって限定されない。」 と記載を、 「以下に本発明の実施例及び比較例を説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例及び比較例によって限定されない。なお、以下、実施例11は、参考例11に置き換えるものとする。」 との記載に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、請求項1に記載された、「使用時」の「酸化染料の純分換算の合計含有量」を、「0.01~0.15質量%の範囲内」から「0.01~0.13質量%の範囲内」に限定し、かつ、「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比」を、「0.01~1の範囲内」から「0.01~0.6の範囲内」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の【0027】には、「酸化染料である主要中間体とカプラーはそれぞれ1種以上が使用されるが、それらの合計含有量は、酸化染毛剤組成物の使用時(複数剤の混合時)に純分換算で0.01~0.15質量%の範囲内であるが、0.03~0.14質量%の範囲内であることがより好ましく、0.04~0.13質量%の範囲内であることが特に好ましく」と、「使用時」の「酸化染料の純分換算の合計含有量」の上限値として0.13質量%が記載されており、また、同段落には、「またカプラーの合計含有量に対する主要中間体の合計含有量の質量比(主要中間体/カプラー)は、彩度の効果の観点から、純分換算で0.01~1の範囲内であるが、0.1~0.9質量%の範囲内であることがより好ましく、0.15~0.8質量%の範囲内であることが特に好ましく、0.2~0.6であることが更に好ましい。」と、「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比」の上限値として0.6が記載されているから、訂正事項1は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載された範囲内においてするものである。 そして、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、 (i) 訂正事項2-1 訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、請求項1の記載を引用しないものとする訂正 (ii) 訂正事項2-2 「酸化染毛剤組成物」について、「(レゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)」との記載を追加する訂正 からなるものである。 ア 訂正事項2-1について 訂正事項2-1は、訂正前の請求項2について、請求項1を引用しないものとすることで、請求項間の引用関係を解消した上で、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 また、訂正事項2-1は、本件特許明細書等に記載された範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ 訂正事項2-2について 訂正事項2-2は、特定の酸化染毛剤組成物を除くことによって「酸化染毛剤組成物」を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項2-2は、請求項2に記載された「酸化染毛剤組成物」から、第2予告における取消理由2の引用文献である甲1~甲3に記載されたレゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除こうとするものであるところ、特定の態様の酸化染毛剤組成物を除くことが、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるとする理由はないから、本件特許明細書等に記載された範囲内においてするものである。 そして、訂正事項2-2は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3及び4 訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、訂正事項3は、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項3の記載を訂正後の請求項3の記載とし、訂正事項4は、訂正前の請求項2の記載を引用する請求項3の記載を訂正後の請求項4の記載とするものであるから、いずれの訂正も、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 また、訂正事項3及び4は、本件特許明細書等に記載された範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4)訂正事項5 訂正事項5は、本件特許明細書等の【0032】に植物油の例として記載されていた「卵黄油」を削除するものであるところ、「卵黄油」は植物油ではないから、卵黄油を植物油の例とする記載が明確でなかったのを削除することによって明確な記載とするものである。 したがって、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、この訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5)訂正事項6 訂正事項6は、本件特許明細書等の【0057】に記載された「実施例11」が、訂正事項1~4による訂正後の請求項1~4に記載される「酸化染毛剤組成物」及び「染毛方法」のいずれにも該当しないという不整合を解消する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、この訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (6)一群の請求項及び明細書の訂正と関係する請求項について 本件訂正前の請求項1~3について、請求項2及び3は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用して記載されているものであって、上記の訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~4についての本件訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項についてされたものである。 また、上記の訂正事項5は訂正後の請求項1及び2に記載された「(E)植物油」に関する訂正であるから、訂正後の請求項1~4についての訂正であり、上記の訂正事項6は訂正後の請求項1~4との整合性に関する訂正であるから、訂正後の請求項1~4についての訂正であるところ、本件訂正の請求は、明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てである訂正後の請求項1~4についてされており、当該請求は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。 (7)独立特許要件について 本件特許異議申立においては、訂正前の請求項1~3に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~4に係る発明について、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 (8)別の訂正単位とする求めについて 本件訂正の請求について、訂正後の請求項2及び4について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することが求められている。 (9)申立人の主張について 申立人は、令和7年11月14日付けの意見書2~5頁において、令和7年9月5日に提出された訂正請求書における、請求項2の、いわゆる除くクレームとする訂正について、 (i) 訂正事項2における除くクレームによる訂正は、進歩性欠如の取消理由を解消させるためのものであって新規性欠如の取消理由を解消させるためのものではなく、さらに、特許権者は、当該訂正により技術的思想が変化していないことや、当該訂正前から本件特許発明2は進歩性があったこと等、当該訂正が新規事項の追加にはあたらない根拠を意見書等で十分に説明しているとも認められず、特許権者が「除くクレーム」により進歩性欠如の取消理由が解消したと主張する場合には、訂正後の本件特許発明2が、その技術的思想が甲第1~3号証に記載の発明の技術的思想と顕著に異なるものではない発明から、甲第1~3号証に記載の発明の技術的思想と顕著に異なるものへと変化していると認められること。 (ii) 訂正事項2における除くクレームに関しては、訂正後の本件特許明細書に明示的な記載のない事項に基づいて訂正がされているため、当業者は、訂正後の本件特許明細書を考慮して「レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種」の意義を解釈することはできないこと。 を指摘して、当該訂正は、新たな技術的事項を導入するものにほかならず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものとはいえない旨主張している。 ここで、上記第1で述べたとおり、令和7年9月5日に提出された訂正請求書による訂正の請求は取り下げられたものとみなされるが、本件訂正は、訂正事項2-2として、いわゆる除くクレームを含むものであり、この点で上記訂正の請求と同様であるから、上記申立人の主張について検討する。 (i)の主張について、特許権者は、令和8年4月3日提出の訂正請求書10~11頁において、第2予告の取消理由で提示した甲1~3の記載を挙げた上で、除くクレームとする訂正を行ったこと、したがって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する旨を主張しており、その説明が十分であるかはともかく、当該訂正が新規事項の追加にはあたらないことを説明している。 また、当該訂正は、それに伴う明細書の訂正を行うなどをすることによって、請求項2に係る発明の技術的思想が変化するというものではなく、単に、訂正前の酸化染毛剤組成物から特定の酸化染毛剤を除くものであるにすぎない。 したがって、技術的思想が甲1~甲3に記載の発明の技術的思想と顕著に異なるものではない発明から、甲1~甲3に記載の発明の技術的思想と顕著に異なるものへと変化しているとはいえない。 (ii)の主張について、本件訂正における除くクレームは、「レゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く」とするものであり、訂正後の本件特許明細書に明示的な記載がなくても除かれる物は明確であって、当業者はその技術的意義を理解することができる。 したがって、上記申立人の主張は採用できない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合し、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3〕及び〔2、4〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正後の請求項1~4に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明4」といい、それらを併せて「本件発明」ということがある。)。 「【請求項1】 酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、 前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内であり、かつカプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内であり、 使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内であり、使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有し、 前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み、前記カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上であることを特徴とする酸化染毛剤組成物。 (D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。 【請求項2】 酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、 前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%の範囲内であり、かつカプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内であり、 使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内であり、使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有し、 前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み、前記カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上であり、前記主要中間体が下記(C)成分から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする酸化染毛剤組成物(レゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)。 (D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。 (C)パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びこれらの塩。 【請求項3】 請求項1に記載の酸化染毛剤組成物を毛髪の既染部に適用することを特徴とする染毛方法。 【請求項4】 請求項2に記載の酸化染毛剤組成物を毛髪の既染部に適用することを特徴とする染毛方法。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由通知で通知した取消理由について 1 特許異議申立理由の概要 申立人が、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~3に係る特許に対して申し立てた特許異議の申立ての理由は、概要、以下の(1)~(3)のとおりであって、申立人は、特許異議申立書に添付して、証拠方法として、下記(4)に示した甲第1~7号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲7」ということがある。)を提出した。 (1)特許法第36条第6項第1号について(同法第113条第4号) 本件の特許請求の範囲の記載には不備があり、本件特許発明1~3は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 具体的な理由の概要は次のとおりである。 a 「パラフェニレンジアミン、硫酸パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、硫酸2,2’-[(4ーアミノフェニル)イミノ]ビスエタノール」及びこれらの類似化合物に加えて、それら以外のあらゆる主要中間体をも包含する本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。 b アボカド油、オリブ油、メドウフォーム油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、アルモンド油、サフラワー油、ツバキ油、及びシュガースクワランに加えて、それら以外のあらゆる植物油をも包含する本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。 c 植物油の配合量が1.00質量%よりも十分に小さいときでさえ、色持ちの評価ポイントの平均値が確実に3.0以上となり、よって本件特許発明の課題を解決できるのか否か明らかではない。 (2)特許法第36条第6項第2号について(同法第113条第4号) 本件の特許請求の範囲の記載には不備があり、本件特許発明1~3は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 具体的な理由の概要は次のとおりである。 a 本件特許発明1の「主要中間体」の用語は明確ではない。 b 本件特許発明1の「植物油」の用語は明確ではない。 (3)特許法第29条第2項について(同法第113条第2号) 本件特許発明1~3は、甲第1~3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)甲各号証 甲第1号証:特開2016-132661号公報 甲第2号証:特開2016-132662号公報 甲第3号証:特開2018-12678号公報 甲第4号証:特表2004-507484号公報 甲第5号証:特開2009-29754号公報 甲第6号証:特開2013-241505号公報 甲第7号証:大木道則ら編、化学大辞典、株式会社東京化学同人、第1版第7刷、2005年7月1日発行、368~369頁、「オリブ油」の項、2380頁、「やし油」の項 2 申立人が、令和7年5月16日提出の意見書において主張する新たな取消理由 (2-1)理由1(特許法第36条第6項第2号、明確性) 理由1の具体的な理由の概要は次のとおりである。 本件特許時の請求項1に対し、「(レゾルシン、p-フェニレンジアミン0.1質量%、28%アンモニア水5.0質量%又は28質量%アンモニア水4.0質量%、炭酸水素アンモニウム4.0質量%又は70質量%モノエタノールアミン10.0質量%、オリーブ油3.0質量%を含む酸化染毛剤第1剤と、35%過酸化水素15.0質量%又は35質量%過酸化水素15.0質量%を含む酸化染毛剤第2剤を1:1で混合する酸化染毛剤組成物の構成を除く。)」との発明特定事項が導入された。 しかしながら、当該事項によりどのような構成を除くのか明確ではない。 また、「除く」部分が請求項に係る発明の大きな部分を占めたり、多数にわたる場合には、一の請求項から一の発明を把握できないことがある場合に該当するから、請求項1~3に係る発明が明確でない。 3 申立人が、令和7年11月14日提出の意見書において主張する新たな取消理由 [取消理由4](明確性) 令和7年9月5日提出の訂正請求書により訂正された本件請求項2及び4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。 具体的な理由の概要は次のとおりである。 「レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩」のうち「その誘導体、並びにそれらの塩」の技術的範囲を明確に把握することができず、また、「除く」部分が請求項2に係る発明の大きな部分を占めたり、多数にわたる場合には、訂正後の請求項2の記載から一の発明を把握できないことがあるから、訂正後の請求項2に係る発明が明確でない。 また、申立人は取消理由4の根拠として下記甲第8号証を提示した。 甲第8号証:特開2017-218397号公報(以下「甲8」ということがある。) 4 令和7年1月27日付け取消理由通知で通知した取消理由の概要 本件特許時の請求項1~3に係る特許に対して令和7年1月27日付け取消理由通知で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (1)[取消理由1](明確性) 本件請求項1~3に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。 よって、本件請求項1~3に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たしていない特許出願に対してされたものである。 具体的な理由の概要は次のとおりである。 本件明細書には、 「【0032】 (植物油) 植物油としては、・・・卵黄油等が例示される。」 と記載されており、植物を原材料とするものではない「卵黄油」が例示されているから、請求項1に記載された「(E)植物油」が、結果的にどのような範囲の物を包含するかが明確でなくなっている。 (2)[取消理由2](進歩性) 本件請求項1~3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記文献に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 取消理由2について提示した文献は次のとおりである。 甲1:特開2016-132661号公報(申立人が提示した甲第1号証) 甲2:特開2016-132662号公報(同甲第2号証) 甲3:特開2018-12678号公報(同甲第3号証) 5 令和7年7月7日付け取消理由通知(決定の予告)(第1予告)で通知した取消理由の概要 令和7年3月31日に提出された訂正請求書により訂正された請求項1~3に係る特許に対して第1予告で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (1)[取消理由2](進歩性) 本件請求項1~3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記文献に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 取消理由2について提示した文献は次のとおりである。 甲1:特開2016-132661号公報 甲2:特開2016-132662号公報 甲3:特開2018-12678号公報 (2)[取消理由3](明確性) 本件請求項1~3に係る特許は、以下の点で特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。 よって、本件請求項1~3に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たしていない特許出願に対してされたものである。 具体的な理由の概要は次のとおりである。 本件請求項1に「(レゾルシン、p-フェニレンジアミン0.1質量%、28%アンモニア水5.0質量%又は28質量%アンモニア水4.0質量%、炭酸水素アンモニウム4.0質量%又は70質量%モノエタノールアミン10.0質量%、オリーブ油3.0質量%を含む酸化染毛剤第1剤と、35%過酸化水素15.0質量%又は35質量%過酸化水素15.0質量%を含む酸化染毛剤第2剤を1:1で混合する酸化染毛剤組成物の構成を除く。)」と記載されているところ、下線を付した2つの「又は」がいずれの事項を選択的な事項とするものであるかが明確でない。 したがって、本件発明1は明確でない。 本件請求項1の記載を直接又は間接的に引用する記載により特定される本件発明2及び3も明確でない。 6 令和8年1月30日付け取消理由通知(決定の予告)(第2予告)で通知した取消理由の概要 令和7年9月5日に提出された訂正請求書により訂正された請求項1~4に係る特許に対して第2予告で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (1)[取消理由2](進歩性) 本件請求項1及び3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記文献に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1及び3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 取消理由2について提示した文献は次のとおりである。 甲1:特開2016-132661号公報 甲2:特開2016-132662号公報 甲3:特開2018-12678号公報 (2)[取消理由4](明確性) 本件請求項2及び4に係る特許は、以下の点で特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。 よって、本件請求項2及び4に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たしていない特許出願に対してされたものである。 具体的な理由の概要は次のとおりである。 本件請求項2の「(レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)」との記載によってどのような範囲の「酸化染毛剤組成物」が除かれるのかが明確でなく、その結果、本件請求項2に係る発明の酸化染毛剤に含まれる物質の範囲が不明確であるから、本件請求項2に記載された特許を受けようとする発明は明確でない。 本件請求項2の記載を引用する本件請求項4に記載された特許を受けようとする発明も明確でない。 この取消理由4は、申立人が、令和7年11月14日提出の意見書において主張する取消理由4と同趣旨の理由である。 第5 当審合議体の判断 当審合議体は、本件訂正後の請求項1~4(以下、本件訂正後の請求項を「本件請求項1」などということがある。)に係る特許は、特許異議申立理由、申立人が令和7年5月16日提出の意見書において主張する理由1、申立人が令和7年11月14日提出の意見書において主張する取消理由4、及び令和8年1月30日付け取消理由通知(決定の予告)(第2予告)で通知した取消理由2及び取消理由4によって取り消すことはできないと判断する。 理由は次のとおりである。 1 第2予告で通知した取消理由について (1)取消理由2について 取消理由2は、申立人が申し立てた申立理由(3)と同様の理由である。 ア 引用文献 甲1:特開2016-132661号公報 甲2:特開2016-132662号公報 甲3:特開2018-12678号公報 イ 引用文献の記載事項 (ア)甲1 甲1には以下の記載がある。 甲1a)「【請求項1】 炭酸塩を含有する酸化染毛剤第1剤において、 (A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種であって、(A)成分の配合量の上限が0.2質量%以下と、 (B)m-アミノフェノール、5-アミノ-o-クレゾール、及びα-ナフトールから選ばれる少なくとも1種のカプラーと、 (C)p-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、p-アミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の染料中間体を0.01~0.45質量%と、を含有し、 前記酸化染毛剤第1剤中における前記(A)成分の含有量に対する前記(B)成分の含有量の質量比が0.5~10であることを特徴とする酸化染毛剤第1剤。」 甲1b)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところが、酸化染料としてm-アミノフェノール、5-アミノ-o-クレゾール、又はα-ナフトールを所定量配合する酸化染毛剤組成物において、炭酸塩を併用した場合、かかる炭酸塩により染料の安定性が低下する場合があるという問題があった。 【0006】 そこで、本発明の目的は、酸化染毛剤第1剤中に炭酸塩を含む構成において、染料の安定性を向上することができる酸化染毛剤第1剤及び酸化染毛剤組成物の色調安定化方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明は、酸化染毛剤第1剤中に炭酸塩を含む構成において、レゾルシン等を併用することにより、染料の安定性を向上できることを見出したことに基づくものである。尚、成分の含有量を示す質量%の数値は、水等の可溶化剤も含めた剤型中における数値である。」 甲1c)「【0012】 <第1剤> 第1剤は、アルカリ剤及び染料の他に、酸化染料の安定性を向上させるために(A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含有する。 【0013】 炭酸塩は、明度向上の観点から配合される。炭酸塩としては、特に限定されず、公知の炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸アンモニウム、及び炭酸水素アンモニウムを使用することができる。これらの炭酸塩のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。 【0014】 第1剤中における炭酸塩の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。炭酸塩の含有量が0.01質量%以上であると、特に明度を、より向上させることができる。また、アルカリ剤としてアンモニアを併用する場合、アンモニアの配合量を低減させることによりアンモニア由来の刺激臭の低減効果も期待することができる。 【0015】 第1剤中における炭酸塩の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。炭酸塩の含有量が20質量%以下であると、特に可溶化剤を使用する場合、可溶化剤に対する溶解性を向上させることができる。 【0016】 アルカリ剤として、上記炭酸塩のみから構成してもよく、炭酸塩以外のアルカリ剤を併用してもよい。炭酸塩以外のアルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、及び塩基性アミノ酸が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、及びケイ酸カリウムが挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸カリウムが挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウムが挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウムが挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸第1アンモニウム、及びリン酸第2アンモニウムが挙げられる。有機アミンの具体例としては、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、及びグアニジンが挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、例えばアルギニン、及びリジンが挙げられる。これらの炭酸塩以外のアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、染毛力の向上の観点から、アンモニア及びアンモニウム塩が好ましく使用される。 【0017】 また、炭酸塩以外のアルカリ剤を併用する場合、第1剤及び第2剤の混合物中における総アルカリ剤の含有量に対する炭酸塩の含有量の質量比は、特に限定されないが、炭酸塩を用いた場合の刺激臭の低減効果の発揮の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上である。つまり、全アルカリ剤中における炭酸塩以外のアルカリ剤の含有量の割合は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。かかる全アルカリ剤中における炭酸塩以外のアルカリ剤の含有量の割合の下限は、特に限定されないが、明度向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。 ・・・ 【0032】 第1剤において、(A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が配合される。レゾルシンの誘導体としては、例えばアルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン等が挙げられる。アルキル化レゾルシンの具体例としては、2-メチルレゾルシン等が挙げられる。ハロゲン化レゾルシンの具体例としては、4-クロロレゾルシン、2-クロロレゾルシン等が挙げられる。これらのレゾルシンのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。(A)成分は、第1剤中に炭酸塩を含む構成において、上述した酸化染料、特に(B)成分の安定性を向上させる。 【0033】 第1剤中における上記(A)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上である。(A)成分の含有量が0.005質量%以上であると、酸化染料の安定性をより向上させることができる。 【0034】 第1剤中における上記(A)成分の含有量の上限は、0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。(A)成分の含有量が0.2質量%以下であると、(A)成分由来の色調の発現を抑制し、彩度をより向上させることができる。」 甲1d)「【0037】 第1剤は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば可溶化剤、水溶性高分子化合物、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、糖、防腐剤、安定剤、上記以外のpH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、及び酸化助剤をさらに含有してもよい。 ・・・ 【0042】 油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、第1剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有する。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。 【0043】 油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、・・・ ・・・ 【0057】 <第2剤> 第2剤は、酸化剤の他、上述した可溶化剤等を配合することもできる。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性をより向上させる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、・・・。第2剤中における酸化剤の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。酸化剤の含有量が0.1質量%以上の場合、メラニンの脱色性をより向上することができる。また、第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは9.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。酸化剤の含有量が15.0質量%以下の場合、毛髪の損傷等をより抑制することができる。」 甲1e)「【0060】 次に、本実施形態の第1剤の作用について説明する。 第1剤中に炭酸塩を含む構成において、特定の酸化染料を使用すると、酸化染料の安定性が低下する場合があった。特に、一般的に高い明度及び彩度が求められているファッションカラーの分野において用いられているm-アミノフェノール等の酸化染料は、炭酸塩と併用した場合、保存安定性が低下し、染毛処理後の色調が変化する場合があった。例えば、酸化染料の配合量を増加させた場合、酸化染料が安定化する場合があるが、明度が低下する方向へ変化することがあるため、所望の明度を得ながら酸化染料の安定性を向上させることは容易ではなかった。本発明は、特定量の(A)レゾルシン等の芳香族化合物をさらに添加することにより、長期保存した場合であっても、m-アミノフェノール等の酸化染料の保存安定性を向上させることができ、それにより色調の変化を抑制することができる。また、酸化染料の安定性向上のために酸化染料の配合量を調整する必要がないため、かかる観点からも色調の変化を抑制することができる。」 甲1f)「【実施例】 【0067】 次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。 (処方例1) 表1,2に示す各成分を含有する、クリーム状の酸化染毛剤組成物の第1剤及び第2剤を調製した。表1,2における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である(表3以降も同じ)。そして、第1剤と第2剤とを1:1の質量比で混合して酸化染毛剤組成物を調製した。得られた酸化染毛剤組成物を、黒毛の人毛毛束(15cmのビューラックス社製)(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、室温(25℃)にて30分間放置した。次に、毛束に付着した酸化染毛剤組成物を水で洗い流した後、毛束にシャンプー(ホーユー社製のビゲントリートメントシャンプー)を2回、及びリンス(ホーユー社製のビゲントリートメントリンス)を1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。染毛処理が施された毛束について、下記に示す方法に従い明度及び彩度の評価を行った。また、各実施例及び比較例の第1剤を所定期間保存した後、染毛処理した際の毛束について、下記に示す方法に従い色調の変化について評価を行った。尚、表中「成分」欄における(A)~(C)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。 【0068】 <明度> 10名のパネラーが各酸化染毛剤組成物で処理した後の人毛毛束の明度を標準光源下で目視にて観察し、3点、2点、1点の3段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が2.6点以上を「◎」、1.6点以上2.6点未満を「○」、1.6点未満を「×」とし、評価結果とした。結果を表1に示す。 【0069】 <彩度> 10名のパネラーが各酸化染毛剤組成物で処理した後の人毛毛束の彩度を標準光源下で目視にて観察し、3点、2点、1点の3段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が2.6点以上を「◎」、1.6点以上2.6点未満を「○」、1.6点未満を「×」とし、評価結果とした。結果を表1に示す。 【0070】 <色調の変化> 各例の第1剤を45℃の恒温槽中で1か月保存した。所定期間保存された各例の第1剤を用いて、上記と同様に染毛処理することにより各毛束を得た。保存処理していない各例の第1剤についても、同様に染毛処理することにより各毛束を作成し、それをコントロールとした。得られた各毛束について、保存処理の有無による色調(明度及び彩度)の変化の有無を10名のパネラーが標準光源下で目視にて観察し、下記の基準に従い評価した。 【0071】 コントロールと比べ染毛結果に殆ど変化がない場合を3点、コントロールと比べ染毛結果に僅かな変化が見られる場合を2点、コントロールと比べ染毛結果に変化が見られる場合を1点とし、3段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が2.6点以上を「◎」、1.6点以上2.6点未満を「○」、1.6点未満を「×」とし、評価結果とした。結果を表1に示す。 【0072】 【表1】 [図:0001439180000001.jpg] 【0073】 【表2】 [図:0001439180000002.jpg] 表1に示されるように、各実施例に係る第1剤を用いた酸化染毛剤組成物において、各比較例に対し明度、彩度、及び色調の変化の評価が高いことが分かった。 【0074】 表1に示されるように、レゾルシンを含有しない比較例1~4は、各実施例に対し色調の変化の評価が低いことが分かった。第1剤中におけるレゾルシンの配合量が0.3質量%である比較例5は、各実施例に対し彩度の評価が低いことが分かった。炭酸塩を含有しない比較例6は、各実施例に対し明度の評価が低いことが分かった。(C)成分の含有量が0.5質量%である比較例7は、各実施例に対し明度及び彩度の評価が低いことが分かった。 【0075】 (処方例2) 処方例2では、表3に示す各成分を含有する、エアゾール缶より泡状に吐出される酸化染毛剤組成物の第1剤及び第2剤を調製した。表3に示す第1剤及び第2剤をそれぞれエアゾール缶に充填し、使用時に各剤をブラシ上に泡状に吐出した。尚、第1剤と第2剤は、1:1の質量比で吐出した。次に、処方例1と同様の毛束を使用し、ブラシで塗布しながら各剤を混合した。以降、処方例1と同様の方法を用いて染毛処理した。処方例1に示す方法に従い明度、彩度、及び色調の変化の各評価を行った。結果を表3に示す。尚、処方例2において、レゾルシンを配合しない点のみ異なる比較例も併せて実施した(データ不添付)。 【0076】 【表3】 [図:0001439180000003.jpg] 表3に示されるように、本処方においても、比較例に対し、特に色調の変化等の評価が高いことが分かった。」 (イ)甲2 甲2には以下の記載がある。 甲2a)「【請求項1】 炭酸塩を含有する染毛剤組成物において、 (A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種であって、(A)成分の配合量の上限が0.2質量%以下と、 (B)5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、及びニトロ染料から選ばれる少なくとも1種の染料と、を含有することを特徴とする染毛剤組成物。」 甲2b)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところが、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、又はニトロ染料を所定量配合する染毛剤組成物において、染料の安定性が低下する場合があった。特に、炭酸塩を併用した場合、かかる炭酸塩により染料の安定性が低下する場合があるという問題があった。 【0006】 そこで、本発明の目的は、染毛剤組成物中に炭酸塩を含む構成において、染料の安定性を向上することができる染毛剤組成物及び染毛剤組成物の色調安定化方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明は、染毛剤組成物中に炭酸塩を含む構成において、レゾルシン等を併用することにより、染料の安定性を向上できることを見出したことに基づくものである。尚、成分の含有量を示す質量%の数値は、水等の可溶化剤も含めた剤型中における数値である。」 甲2c)「【0013】 <第1剤> 第1剤は、アルカリ剤及び染料の他に、染料の安定性を向上させるために(A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含有する。 【0014】 炭酸塩は、明度向上の観点から配合される。炭酸塩としては、特に限定されず、公知の炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸アンモニウム、及び炭酸水素アンモニウムを使用することができる。これらの炭酸塩のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。 【0015】 第1剤中における炭酸塩の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。炭酸塩の含有量が0.01質量%以上であると、特に明度を、より向上させることができる。また、アルカリ剤としてアンモニアを併用する場合、アンモニアの配合量を低減させることによりアンモニア由来の刺激臭の低減効果も期待することができる。 【0016】 第1剤中における炭酸塩の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。炭酸塩の含有量が20質量%以下であると、特に可溶化剤を使用する場合、可溶化剤に対する溶解性を向上させることができる。 【0017】 アルカリ剤として、上記炭酸塩のみから構成してもよく、炭酸塩以外のアルカリ剤を併用してもよい。炭酸塩以外のアルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、及び塩基性アミノ酸が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、及びケイ酸カリウムが挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸カリウムが挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウムが挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウムが挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸第1アンモニウム、及びリン酸第2アンモニウムが挙げられる。有機アミンの具体例としては、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、及びグアニジンが挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、例えばアルギニン、及びリジンが挙げられる。これらの炭酸塩以外のアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、染毛力の向上の観点から、アンモニア及びアンモニウム塩が好ましく使用される。 【0018】 また、炭酸塩以外のアルカリ剤を併用する場合、第1剤及び第2剤の混合物中における総アルカリ剤の含有量に対する炭酸塩の含有量の質量比は、特に限定されないが、炭酸塩を用いた場合の刺激臭の低減効果の発揮の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上である。つまり、全アルカリ剤中における炭酸塩以外のアルカリ剤の含有量の割合は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。かかる全アルカリ剤中における炭酸塩以外のアルカリ剤の含有量の割合の下限は、特に限定されないが、明度向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。 ・・・ 【0025】 本実施形態において用いられる(C)染料中間体としては、例えばp-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、p-アミノフェノール、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルアミン、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩が挙げられる。これらの染料中間体の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの(C)染料中間体の使用により、より高い明度及び彩度を得ることができる。特に高い明度及び彩度が求められているファッションカラーの分野において好ましい色調とすることができる。 ・・・ 【0027】 第1剤中における上記(C)染料中間体の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.02質量%以上である。(C)染料中間体の含有量が0.001質量%以上であると、特に彩度を、より向上させることができる。 【0028】 第1剤中における上記(C)染料中間体の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。(C)染料中間体の含有量が5質量%以下であると、明度及び彩度をより向上させることができる。 ・・・ 【0033】 第1剤において、(A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が配合される。レゾルシンの誘導体としては、例えばアルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン等が挙げられる。アルキル化レゾルシンの具体例としては、2-メチルレゾルシン等が挙げられる。ハロゲン化レゾルシンの具体例としては、4-クロロレゾルシン、2-クロロレゾルシン等が挙げられる。これらのレゾルシンのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。(A)成分は、特に第1剤中に炭酸塩を含む構成において、上述した染料としての(B)成分の安定性を向上させる。 【0034】 第1剤中における上記(A)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上である。(A)成分の含有量が0.005質量%以上であると、上述した(B)成分の安定性をより向上させることができる。 【0035】 第1剤中における上記(A)成分の含有量の上限は、0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。(A)成分の含有量が0.2質量%以下であると、(A)成分由来の色調の発現を抑制し、彩度をより向上させることができる。」 甲2d)「【0037】 第1剤は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば可溶化剤、水溶性高分子化合物、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、糖、防腐剤、安定剤、上記以外のpH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、及び酸化助剤をさらに含有してもよい。 ・・・ 【0042】 油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、第1剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有する。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。 【0043】 油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、・・・ ・・・ 【0057】 <第2剤> 第2剤は、酸化剤の他、上述した可溶化剤等を配合することもできる。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性をより向上させる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、・・・。第2剤中における酸化剤の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。酸化剤の含有量が0.1質量%以上の場合、メラニンの脱色性をより向上することができる。また、第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは9.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。酸化剤の含有量が15.0質量%以下の場合、毛髪の損傷等をより抑制することができる。」 甲2e)「【0060】 次に、本実施形態の第1剤の作用について説明する。 例えば、一般的に高い明度及び彩度が求められているファッションカラーの分野において用いられている5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、又はニトロ染料は、染料の安定性が低下する場合があった。特に、炭酸塩と併用した場合、保存安定性が低下し、染毛処理後の色調が変化する場合があった。例えば、染料の配合量を増加させた場合、染料が安定化する場合があるが、明度が低下する方向へ変化することがあるため、所望の明度を得ながら染料の安定性を向上させることは容易ではなかった。本発明は、特定量の(A)レゾルシン等の芳香族化合物をさらに添加することにより、長期保存した場合であっても5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、又はニトロ染料の保存安定性を向上させ、色調の変化を抑制することができる。また、染料の安定性向上のために染料の配合量を調整する必要がないため、かかる観点からも色調の変化を抑制することができる。」 甲2f)「【実施例】 【0067】 次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。 (処方例1) 処方例1は、本実施形態の染毛剤組成物を酸化染毛剤組成物のクリーム状の第1剤として構成した。表1,2に示す各成分を含有する、酸化染毛剤組成物の第1剤及び第2剤を調製した。表1,2における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。そして、第1剤と第2剤とを1:1の質量比で混合して酸化染毛剤組成物を調製した。得られた酸化染毛剤組成物を、黒毛の人毛毛束(15cmのビューラックス社製)(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、室温(25℃)にて30分間放置した。次に、毛束に付着した酸化染毛剤組成物を水で洗い流した後、毛束にシャンプー(ホーユー社製のビゲントリートメントシャンプー)を2回、及びリンス(ホーユー社製のビゲントリートメントリンス)を1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。染毛処理が施された毛束について、下記に示す方法に従い明度及び彩度の評価を行った。また、各実施例及び比較例の第1剤を所定期間保存した後、染毛処理した際の毛束について、下記に示す方法に従い色調の変化について評価を行った。尚、表中「成分」欄における(A)~(C)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。 【0068】 <明度> 10名のパネラーが各酸化染毛剤組成物で処理した後の人毛毛束の明度を標準光源下で目視にて観察し、3点、2点、1点の3段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が2.6点以上を「◎」、1.6点以上2.6点未満を「○」、1.6点未満を「×」とし、評価結果とした。結果を表1に示す。 【0069】 <彩度> 10名のパネラーが各酸化染毛剤組成物で処理した後の人毛毛束の彩度を標準光源下で目視にて観察し、3点、2点、1点の3段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が2.6点以上を「◎」、1.6点以上2.6点未満を「○」、1.6点未満を「×」とし、評価結果とした。結果を表1に示す。 【0070】 <色調の変化> 各例の第1剤を45℃の恒温槽中で1か月保存した。所定期間保存された各例の第1剤を用いて、上記と同様に染毛処理することにより各毛束を得た。保存処理していない各例の第1剤についても、同様に染毛処理することにより各毛束を作成し、それをコントロールとした。得られた各毛束について、保存処理の有無による色調(明度及び彩度)の変化の有無を10名のパネラーが標準光源下で目視にて観察し、下記の基準に従い評価した。 【0071】 コントロールと比べ染毛結果に殆ど変化がない場合を3点、コントロールと比べ染毛結果に僅かな変化が見られる場合を2点、コントロールと比べ染毛結果に変化が見られる場合を1点とし、3段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が2.6点以上を「◎」、1.6点以上2.6点未満を「○」、1.6点未満を「×」とし、評価結果とした。結果を表1に示す。 【0072】 【表1】 [図:0001439180000004.jpg] 【0073】 【表2】 [図:0001439180000005.jpg] 表1に示されるように、各実施例に係る第1剤を用いた酸化染毛剤組成物において、各比較例に対し明度、彩度、及び色調の変化の評価が高いことが分かった。 【0074】 表1に示されるように、レゾルシンを含有しない比較例1~3は、各実施例に対し色調の変化の評価が低いことが分かった。第1剤中におけるレゾルシンの配合量が0.3質量%である比較例4は、各実施例に対し彩度の評価が低いことが分かった。炭酸塩を含有しない比較例5は、各実施例に対し明度の評価が低いことが分かった。 【0075】 (処方例2) 処方例2では、本実施形態の染毛剤組成物を酸化染毛剤組成物の泡状の第1剤として構成した。表3に示す各成分を含有し、エアゾール缶に充填され、泡状に吐出される酸化染毛剤組成物の第1剤及び第2剤を調製した。使用時に、表3に示す第1剤及び第2剤をそれぞれエアゾール缶からブラシ上に泡状に吐出した。尚、第1剤と第2剤は、1:1の質量比で吐出した。次に、処方例1と同様の毛束を使用し、ブラシで塗布しながら各剤を混合した。以降、処方例1と同様の方法を用いて染毛処理した。処方例1に示す方法に従い明度、彩度、及び色調の変化の各評価を行った。結果を表3に示す。尚、処方例2において、レゾルシンを配合しない点のみ異なる比較例も併せて実施した(データ不添付)。 【0076】 【表3】 [図:0001439180000006.jpg] 表3に示されるように、本処方においても、比較例に対し、特に色調の変化等の評価が高いことが分かった。」 (ウ)甲3 甲3には以下の記載がある。 甲3a)「【請求項1】 下記(A)~(D)成分を含有する酸化染毛剤第1剤。 (A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種であって、(A)成分の配合量の上限が0.15質量%以下、 (B)m-アミノフェノール、5-アミノ-o-クレゾール、α-ナフトール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種のカプラー、 (C)p-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、p-アミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の染料中間体を0.01~0.45質量%、 (D)アルカノールアミン。」 甲3b)「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ところが、酸化染料としてm-アミノフェノール等を配合する酸化染毛剤組成物において、アルカノールアミンを併用した場合、かかるアルカノールアミンにより染料の安定性が低下する場合があるという問題があった。 【0007】 そこで、本発明の目的は、酸化染毛剤第1剤中にアルカノールアミンを含む構成において、染料の安定性を向上することができる酸化染毛剤第1剤及び酸化染毛剤組成物の色調安定化方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明は、酸化染毛剤第1剤中にアルカノールアミンを含む構成において、レゾルシン等を併用することにより、染料の安定性を向上できることを見出したことに基づくものである。尚、成分の含有量を示す質量%の数値は、水等の可溶化剤も含めた剤型中における数値である。」 甲3c)「【0014】 <第1剤> 第1剤は、アルカリ剤及び染料の他に、酸化染料の安定性を向上させるために(A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含有する。 【0015】 (D)アルカノールアミンは、アルカリ剤として配合され、毛髪の明度を向上させる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。 【0016】 第1剤中における(D)アルカノールアミンの含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。(D)アルカノールアミンの含有量が1.5質量%以上であると、アルカノールアミンによる酸化染料の安定性が低下しやすいため、(A)成分による酸化染料の安定性向上効果をより期待することができる。また、アルカリ剤としてアンモニアを併用する場合、アンモニアの配合量を低減させることによりアンモニア由来の刺激臭の低減効果も期待することができる。 【0017】 第1剤中における(D)アルカノールアミンの含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。(D)アルカノールアミンの含有量が20質量%以下であると、毛髪の損傷をより抑制することができる。 【0018】 アルカリ剤として、上記アルカノールアミンのみから構成してもよく、アルカノールアミン以外のアルカリ剤を併用してもよい。アルカノールアミン以外のアルカリ剤としては、例えばアンモニア、炭酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウム等が挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウム等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸第1アンモニウム、リン酸第2アンモニウム等が挙げられる。有機アミンの具体例としては、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン等が挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、例えばアルギニン、リジン等が挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらのアルカノールアミン以外のアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、染毛力の向上の観点から、アンモニア及びアンモニウム塩が好ましく使用される。 【0019】 また、アルカノールアミン以外のアルカリ剤を併用する場合、第1剤及び第2剤の混合物中における総アルカリ剤の含有量に対するアルカノールアミンの含有量の質量比は、特に限定されないが、アルカノールアミンを用いた場合の刺激臭の低減効果の発揮の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上である。つまり、全アルカリ剤中におけるアルカノールアミン以外のアルカリ剤の含有量の割合は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。かかる全アルカリ剤中におけるアルカノールアミン以外のアルカリ剤の含有量の割合の下限は、特に限定されないが、明度向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。 ・・・ 【0034】 第1剤において、(A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が配合される。レゾルシンの誘導体としては、例えばアルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン等が挙げられる。アルキル化レゾルシンの具体例としては、2-メチルレゾルシン等が挙げられる。ハロゲン化レゾルシンの具体例としては、4-クロロレゾルシン、2-クロロレゾルシン等が挙げられる。これらのレゾルシンのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。(A)成分は、第1剤中にアルカノールアミンを含む構成において、上述した酸化染料、特に(B)成分の安定性を向上させる。 【0035】 第1剤中における上記(A)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上である。(A)成分の含有量が0.005質量%以上であると、酸化染料の安定性をより向上させることができる。 【0036】 第1剤中における上記(A)成分の含有量の上限は、0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.08質量%以下である。(A)成分の含有量が0.15質量%以下であると、(A)成分由来の色調の発現を抑制し、彩度をより向上させることができる。」 甲3d)「【0039】 第1剤は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば可溶化剤、水溶性高分子化合物、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、糖、防腐剤、安定剤、上記以外のpH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、及び酸化助剤をさらに含有してもよい。 ・・・ 【0044】 油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、第1剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有してもよい。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン等が挙げられる。 【0045】 油脂の具体例としては、例えばアルガニアスピノサ核油、ラノリン、オリーブ油(オリブ油)、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油等が挙げられる。ロウの具体例としては、・・・ ・・・ 【0061】 <第2剤> 第2剤は、酸化剤の他、上述した可溶化剤等を配合することもできる。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性をより向上させる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、・・・。第2剤中における酸化剤の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは1.0質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。酸化剤の含有量が1.0質量%以上の場合、メラニンの脱色性をより向上することができる。また、第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは9.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。酸化剤の含有量が15.0質量%以下の場合、毛髪の損傷等をより抑制することができる。」 甲3e)「【0064】 次に、本実施形態の第1剤の作用について説明する。 酸化染料は、使用される酸化染料の種類、アルカリ剤との組み合わせ等によって安定性が低下する場合があった。例えばアルカリ剤として炭酸塩を使用し、m-アミノフェノール等の特定の酸化染料を所定量使用した場合、安定性が低下することがあった。本出願人は、かかる酸化染料の安定性の低下を、レゾルシン等を使用することにより抑制した酸化染毛剤組成物を既に出願している(特願2015-010747)。本出願人は、さらに研究を行った結果、アルカリ剤として炭酸塩を用いた場合とアルカノールアミンを用いた場合とでは、酸化染料の種類により安定性低下の傾向が異なっていることを見出している。例えば、酸化染料として2,4-ジアミノフェノキシエタノール等を使用する場合、アルカリ剤としてアルカノールアミンと組み合わされると安定性が低下する場合があった。また、酸化染料の配合量を増加させた場合、酸化染料が安定化する場合があるが、明度が低下する方向へ変化することがあるため、所望の明度を得ながら酸化染料の安定性を向上させることは容易ではなかった。本発明は、特定量の(A)レゾルシン等の芳香族化合物をさらに添加することにより、長期保存した場合であっても、2,4-ジアミノフェノキシエタノール等の酸化染料の保存安定性を向上させることができ、それにより色調の変化を抑制することができる。また、酸化染料の安定性向上のために酸化染料の配合量を調整する必要がないため、かかる観点からも色調の変化を抑制することができる。」 甲3f)「【実施例】 【0073】 次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。 (処方例1) 表1~3に示す各成分を含有する、クリーム状の酸化染毛剤組成物の第1剤及び第2剤を調製した。表1~3における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である(表4以降も同じ)。そして、第1剤と第2剤とを1:1の質量比で混合して各例の酸化染毛剤組成物を調製した。得られた酸化染毛剤組成物を、黒毛及び白毛の毛束(10cmのビューラックス社製)(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、室温(25℃)にて30分間放置した。次に、毛束に付着した酸化染毛剤組成物を水で洗い流した後、毛束にシャンプー(ホーユー社製のビゲントリートメントシャンプー)を2回、及びリンス(ホーユー社製のビゲントリートメントリンス)を1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。染毛処理が施された毛束について、下記に示す方法に従い明度及び彩度の評価を行った。また、各実施例及び比較例の第1剤を所定期間保存した後、染毛処理した際の毛束について、下記に示す方法に従い色調の変化について評価を行った。尚、表中「成分」欄における(A)~(C)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。一方、表中「成分」欄における「b」の表記は、本願請求項記載の各成分の対比化合物を示す。 【0074】 <明度> 10名のパネラーが各酸化染毛剤組成物で処理した後の人毛毛束の明度を標準光源下で目視にて観察し、4点、3点、2点、1点の4段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が3.6点以上を「◎」、2.6点以上3.6点未満を「○」、1.6点以上2.6点未満を「△」、1.6点未満を「×」とし、評価結果とした。結果を表1,2に示す。 【0075】 <彩度> 10名のパネラーが各酸化染毛剤組成物で処理した後の人毛毛束の彩度を標準光源下で目視にて観察し、4点、3点、2点、1点の4段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が3.6点以上を「◎」、2.6点以上3.6点未満を「○」、1.6点以上2.6点未満を「△」、1.6点未満を「×」とし、評価結果とした。結果を表1,2に示す。 【0076】 <色調の変化> 各例の第1剤を45℃の恒温槽中で1か月保存した。所定期間保存された各例の第1剤を用いて、上記と同様に染毛処理することにより各毛束を得た。保存処理していない各例の第1剤についても、同様に染毛処理することにより各毛束を作成し、それをコントロールとした。得られた各毛束について、保存処理の有無による色調(明度及び彩度)の変化の有無を10名のパネラーが標準光源下で目視にて観察し、下記の基準に従い評価した。 【0077】 コントロールと比べ染毛結果に殆ど変化がない場合を4点、コントロールと比べ染毛結果に僅かな変化が見られる場合を3点、コントロールと比べ染毛結果に変化がやや大きい場合を2点、コントロールと比べ染毛結果に大きな変化が見られる場合を1点とし、4段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が3.6点以上を「◎」、2.6点以上3.6点未満を「○」、1.6点以上2.6点未満を「△」、1.6点未満を「×」とし、評価結果とした。結果を表1,2に示す。 【0078】 【表1】 [図:0001439180000007.jpg] 【0079】 【表2】 [図:0001439180000008.jpg] 【0080】 【表3】 [図:0001439180000009.jpg] 表1,2に示されるように、各実施例に係る第1剤を用いた酸化染毛剤組成物において、各比較例に対し明度、彩度、及び色調の変化の評価が高いことが分かった。 【0081】 表1に示されるように、レゾルシンを含有しない比較例1~5は、各実施例に対し色調の変化の評価が低いことが分かった。(B)成分のカプラーの代わりにニトロ染料を使用した比較例6は、レゾルシンによる安定性向上効果が得られないことが確認された。アルカリ剤として炭酸塩を用い、レゾルシンによる安定性向上効果について評価した特願2015-010747とは異なる傾向が確認された。 【0082】 表2に示されるように、第1剤中におけるレゾルシンの配合量が0.15質量%を超える比較例7,8は、各実施例に対し彩度の評価が低いことが分かった。第1剤中における(C)成分の含有量が0.45質量%を超える比較例9は、各実施例に対し明度及び彩度の評価が低いことが分かった。アルカノールアミンを含有しない比較例10は、各実施例に対し明度の評価が低いことが分かった。 【0083】 (処方例2) 処方例2では、表4に示す各成分を含有する、エアゾール缶より泡状に吐出される酸化染毛剤組成物の第1剤及び第2剤を調製した。表4の実施例10に示す第1剤及び第2剤をそれぞれエアゾール缶に充填し、使用時に各剤をブラシ上に泡状に吐出した。尚、第1剤と第2剤は、1:1の質量比で吐出した。次に、処方例1と同様の毛束を使用し、ブラシで塗布しながら各剤を混合した。以降、処方例1と同様の方法を用いて染毛処理した。処方例1に示す方法に従い明度、彩度、及び色調の変化の各評価を行った。結果を表4に示す。尚、処方例2において、レゾルシンを配合しない点のみ異なる比較例も併せて実施した(データ不添付)。 【0084】 【表4】 [図:0001439180000010.jpg] 表4に示されるように、本処方においても、比較例に対し、特に色調の変化等の評価が高いことを確認した。」 ウ 引用発明 (ア)甲1発明 甲1には、炭酸塩、(A)レゾルシン等、(B)m-アミノフェノール等のカプラー及び(C)p-フェニレンジアミン等の染料中間体を含有する酸化染毛剤第1剤についての記載があるところ(摘記甲1a~甲1f)、その具体例として、第1剤及び第2剤がそれぞれエアゾール缶に充填され、使用時に第1剤と第2剤とが1:1の質量比で吐出され、その後ブラシで毛束に塗布しながら混合される酸化染毛剤組成物(処方例2、実施例12)が記載されている。 したがって、甲1には、次に示す発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明> 「以下の表3に示される処方の第1剤及び第2剤がそれぞれエアゾール缶に充填され、使用時に第1剤と第2剤とが1:1の質量比で吐出され、その後ブラシで毛束に塗布しながら混合される酸化染毛剤組成物。 【表3】 [図:0001439180000011.jpg] (表中の数値の単位は質量%である。)」 (イ)甲2発明 甲2には、炭酸塩、(A)レゾルシン等及び(B)5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール等の染料を含有する染毛剤組成物についての記載があるところ(摘記甲2a~甲2f)、その具体例として、エアゾール缶に充填され、使用時に第1剤と第2剤とが1:1の質量比で吐出され、その後ブラシで毛束に塗布しながら混合される第1剤及び第2剤からなる酸化染毛剤組成物が記載されている(処方例2、実施例14)。 したがって、甲2には、次に示す発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 「以下の表3に示される処方のエアゾール缶に充填され、使用時に第1剤と第2剤とが1:1の質量比で吐出され、その後ブラシで毛束に塗布しながら混合される第1剤及び第2剤からなる酸化染毛剤組成物。 【表3】 [図:0001439180000012.jpg] (表中の数値の単位は質量%である。)」 (ウ)甲3発明 甲3には、(A)レゾルシン等、(B)m-アミノフェノール等のカプラー、(C)p-フェニレンジアミン等の染料中間体及び(D)アルカノールアミンを含有する酸化染毛剤第1剤についての記載があるところ(摘記甲3a~甲3f)、その具体例として、第1剤及び第2剤がそれぞれエアゾール缶に充填され、使用時に第1剤と第2剤とが1:1の質量比で吐出され、その後ブラシで毛束に塗布しながら混合される酸化染毛剤組成物が記載されている(処方例2、実施例10)。 したがって、甲3には、次に示す発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。 「以下の表4に示される処方の第1剤及び第2剤がそれぞれエアゾール缶に充填され、使用時に第1剤と第2剤とが1:1の質量比で吐出され、その後ブラシで毛束に塗布しながら混合される酸化染毛剤組成物。 【表4】 [図:0001439180000013.jpg] (表中の数値の単位は質量%である。)」 エ 対比・判断 (ア)本件発明1について a 甲1発明について (a)本件発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明は第1剤と第2剤を含有する「酸化染毛剤組成物」であるところ、甲1発明の「p-フェニレンジアミン」は、本件発明1の「主要中間体」に相当し(本件訂正後の明細書(以下「本件明細書」という。)の【0025】)、甲1発明の「レゾルシン」及び「m-アミノフェノール」は本件発明1の「カプラー」に相当する(本件請求項1及び【0026】)から、甲1発明は、本件発明1において特定される「酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有する」、「複数剤式の酸化染毛剤組成物」である。 甲1発明の第1剤が「28%アンモニア水」を含有することは、本件発明1の「第1剤が(A)アンモニアを含有」することに相当する。 甲1発明の第2剤が「35%過酸化水素水」を含有することは、本件発明1の「第2剤が(B)過酸化水素を含有する」ことに相当する。 甲1発明は、酸化染料である「p-フェニレンジアミン」(主要中間体)、「レゾルシン」(カプラー)及び「m-アミノフェノール」(カプラー)を第1剤の原液全量100.0質量%に対して、それぞれ、0.1質量%、0.05質量%及び0.1質量%含有するから、その合計含有量が0.25質量%であるところ、甲1発明の第1剤及び第2剤の原液:噴射剤比はいずれも95:5であり、第1剤と第2剤の吐出時の質量比が1:1であるから、使用時の酸化染料の純分換算の合計含有量は、約0.13質量%((0.1+0.05+0.1)×0.5)である。 したがって、甲1発明は、本件発明1の「酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内」であるとの要件を満たす。 甲1発明は、第2剤の原液全量100.0質量%に対して35%過酸化水素水を15.0質量%含有するところ、使用時の酸化染毛剤組成物全量に対する過酸化水素の濃度は、約2.6質量%(35×0.15×0.5)と計算されるから、甲1発明は、本件発明1の「使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内」であるとの要件を満たす。 甲1発明が「オリーブ油」を含有することは、本件発明1の「(E)植物油を含有」することに相当する。 甲1発明が「レゾルシン」を含有することは、本件発明1の「前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み」、「(D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩」であることに相当する。 (b)してみると、本件発明1と甲1発明とは、 「酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、 前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内であり、 使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有し、 前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含む酸化染毛剤組成物。 (D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1―甲1-1> 本件発明1は「使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内」であるのに対し、甲1発明は、使用時の総アルカリ度が明らかではない点。 <相違点1-甲1-2> 本件発明1は「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内」であるのに対し、甲1発明は、約0.67である点。 (甲1発明は、酸化染料である「p-フェニレンジアミン」(主要中間体)、「レゾルシン」(カプラー)及び「m-アミノフェノール」(カプラー)を第1剤の原液全量100.0質量%に対して、それぞれ、0.1質量%、0.05質量%及び0.1質量%含有するから、カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比は約0.67(0.1/(0.05+0.1))である。) <相違点1-甲1-3> 本件発明1は「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上である」のに対し、甲1発明は、約33質量%(0.05×100/0.15)である点。 (甲1発明におけるカプラーは、「レゾルシン」及び「m-アミノフェノール」であり、第1剤におけるそれらの合計含有量は、0.15質量%(0.05+0.1)であるから、レゾルシンの割合は、約33質量%(0.05×100/0.15)である。) (c)上記相違点について検討する。 事案に鑑みて、相違点1―甲1-2及び相違点1―甲1-3について検討する。 (i)相違点1―甲1-2について検討するに、甲1発明において相違点1―甲1-2に係る技術的事項を備えたものとするには、カプラーであるレゾルシンの含有量を増加させることが考えられる。 甲1には、レゾルシンの配合量の上限が0.2質量%以下であること(摘記甲1a)、より好ましくは0.1質量%以下であること(摘記甲1c)が記載されており、実施例6及び7には、レゾルシンを0.1及び0.2質量%配合した具体例が記載されている(摘記甲1f、【0072】)。 したがって、甲1発明において、レゾルシンを、0.2質量%以下である、例えば0.1質量%含有するものとすることは当業者が容易になし得た事項であり、その際の「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比」は0.5(0.1/(0.1+0.1))であるから、相違点1-甲1-2に係る技術的事項を備えたものとすることは当業者が容易になし得た事項であると、一応いうことができる。 しかし、本件発明1は、上記一致点である「酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内」であるという要件を備えるものであり、上記のとおりにレゾルシンの含有量を変更した場合には、当該合計含有量が、0.15質量%((0.1+0.1+0.1)×0.5)となり、上記要件を満たさないものとなる。 この点について、上記一致点を保持したまま、上記合計含有量が本件発明1の上限である0.13質量%となるように、甲1発明においてレゾルシンの含有量を変更するには、レゾルシンの含有量を0.06質量%(0.13×2-0.1-0.1)とすることとなるが、その場合の「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比」は、0.625(0.1/(0.06+1)であり、本件発明1の同質量比の「0.01~0.6」の範囲内にない。 そして、甲1には、「酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内」であること、及び「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内」であることの両方を満たすような酸化染毛剤組成物とすることは記載も示唆もされていない。 してみると、甲1発明において、レゾルシンの含有量を増加させることによって、相違点1-甲1-2に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 (ii)次に、相違点1-甲1-3について検討するに、甲1発明において相違点1―甲1-3に係る技術的事項を備えたものとするには、カプラーであるレゾルシンの含有量を増加させることが考えられるが、上述のとおり、酸化染料の純分換算の使用時の合計含有量を本件発明1の上限である0.13質量%となるように、甲1発明においてレゾルシンの含有量を変更するには、レゾルシンの含有量を0.06質量%とすることとなるが、その場合の「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合」は「純分換算」で約38質量%(0.06×100/(0.06+0.1))であり、本件発明1の同割合である、「50質量%以上」の範囲内にない。 してみると、甲1発明において、レゾルシンの含有量を増加させることによって、相違点1-甲1-3に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 (iii)さらに、甲1発明において、相違点1―甲1-2に係る技術的事項を備えたものとするために、主要中間体であるp-フェニレンジアミンの含有量を減らすこと、相違点1―甲1-3に係る技術的事項を備えたものとするために、甲1発明において、「m-アミノフェノール」に代えて、甲1に、m-アミノフェノールと選択的に含有することが記載されている(摘記甲1a)、「α-ナフトール」又は「5-アミノ-o-クレゾール」を用いることが考えられる。 しかし、仮に上記各技術的事項がそれぞれ独立に当業者が容易になし得た事項であるといえたとしても、甲1には、上記一致点を保持したまま、相違点1―甲1-2に係る、「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内」とすること、相違点1―甲1-3に係る「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上」とすることを同時に備えたものとすることは記載も示唆もされていないから、当業者が、甲1に記載された採用し得る多くの選択肢の中から、上記2つの技術的事項を同時に備えたものとする動機があるとはいえない。 したがって、甲1発明において、相違点1-甲1-2及び相違点1-甲1-3に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 (d)以上のとおりであるから、相違点1―甲1-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 b 甲2発明について (a)本件発明1と甲2発明を対比する。 甲2発明は甲1発明の「m-アミノフェノール」が「1,5-ジヒドロキシナフタレン」に置き換わったほかは甲1発明と組成が同じ組成物であり、本件明細書において、1,5-ジヒドロキシナフタレンはm-アミノフェノールと同様にカプラーであることが記載されている(【0026】)。 (b)してみると、本件発明1と甲2発明とは、 「酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、 前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内であり、 使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有し、 前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含む酸化染毛剤組成物。 (D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1―甲2-1> 本件発明1は「使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内」であるのに対し、甲2発明は、使用時の総アルカリ度が明らかではない点。 <相違点1-甲2-2> 本件発明1は「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内」であるのに対し、甲2発明は、約0.67である点。 (甲2発明は、酸化染料である「p-フェニレンジアミン」(主要中間体)、「レゾルシン」(カプラー)及び「1,5-ジヒドロキシナフタレン」(カプラー)を第1剤の原液全量100.0質量%に対して、それぞれ、0.1質量%、0.05質量%及び0.1質量%含有するから、カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比は約0.67(0.1/(0.05+0.1))である。) <相違点1-甲2-3> 本件発明1は「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上である」のに対し、甲2発明は、約33質量%(0.05×100/0.15)である点。 (甲2発明におけるカプラーは、「レゾルシン」及び「1,5-ジヒドロキシナフタレン」であり、第1剤におけるそれらの合計含有量は、0.15質量%(0.05+0.1)であるから、レゾルシンの割合は、約33質量%(0.05×100/0.15)である。) (c)上記相違点について検討する。 事案に鑑みて、相違点1―甲2-2及び相違点1―甲2-3について検討する。 (i)相違点1―甲2-2について検討するに、甲2発明において相違点1―甲2-2に係る技術的事項を備えたものとするには、カプラーであるレゾルシンの含有量を増加させることが考えられる。 甲2には、レゾルシンの配合量の上限が0.2質量%以下であること(摘記甲2a)、より好ましくは0.1質量%以下であること(摘記甲2c)が記載されているところ、実施例5、8及び9には、レゾルシンを0.1及び0.2質量%配合した具体例が記載されている(摘記甲2f、【0072】)。 したがって、甲2発明において、レゾルシンを、0.2質量%以下である、例えば0.1質量%含有するものとすることは当業者が容易になし得た事項であり、その際の「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比」は0.5(0.1/(0.1+0.1))であるから、相違点1-甲2-2に係る技術的事項を備えたものとすることは当業者が容易になし得た事項であると、一応いうことができる。 しかし、上記a(c)(i)で述べたのと同様の理由により、相違点1-甲2-2に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 (ii)次に、相違点1-甲2-3について検討するに、甲2発明において相違点1―甲2-3に係る技術的事項を備えたものとするには、カプラーであるレゾルシンの含有量を増加させることが考えられるが、上記a(c)(ii)で述べたのと同様の理由により、レゾルシンの含有量を増加させることによって、相違点1-甲2-3に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 (iii)さらに、甲2発明において、相違点1―甲2-2に係る技術的事項を備えたものとするために、主要中間体であるp-フェニレンジアミンの含有量を減らすこと、相違点1―甲2-3に係る技術的事項を備えたものとするために、甲2発明において、「1,5-ジヒドロキシナフタレン」に代えて、甲2に、1,5-ジヒドロキシナフタレンと選択的に含有することが記載されている(摘記甲2a)、「5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール」を用いることが考えられる。 しかし、仮に上記各技術的事項がそれぞれ独立に当業者が容易になし得た事項であるといえたとしても、甲2には、上記一致点を保持したまま、相違点1―甲2-2に係る、「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内」とすること、相違点1―甲2-3に係る「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上」とすることを同時に備えたものとすることは記載も示唆もされていないから、当業者が、甲2に記載された採用し得る多くの選択肢の中から、上記2つの技術的事項を同時に備えたものとする動機があるとはいえない。 したがって、甲2発明において、相違点1-甲2-2及び相違点1-甲2-3に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 (d)以上のとおりであるから、相違点1―甲2-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 c 甲3発明について (a)本件発明1と甲3発明を対比する。 甲3発明は、甲1発明において「28質量%アンモニア水」が5.0質量%であるのが、4.0質量%であり、甲1発明が含有する「炭酸水素アンモニウム4.0質量%」を含有せず、甲1発明の第1剤が含有しない「70質量%モノエタノールアミン」を第1剤に10.0質量%含有し、それら成分の含有量に応じて第1剤の精製水の量が甲1発明よりも5.0質量%少なく、甲1発明が含有する「マーコート100 0.5質量%」を含有しない一方で「ポリクオタニウム-6」を0.5質量%含有するほかは甲1発明と組成が同じ組成物である。 (b)してみると、本件発明1と甲3発明とは、 「酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、 前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内であり、 使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有し、 前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含む酸化染毛剤組成物。 (D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1―甲3-1> 本件発明1は「使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内」であるのに対し、甲3発明は、使用時の総アルカリ度が明らかではない点。 <相違点1-甲3-2> 本件発明1は「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内」であるのに対し、甲3発明は、約0.67である点。 (甲3発明は、酸化染料である「p-フェニレンジアミン」(主要中間体)、「レゾルシン」(カプラー)及び「m-アミノフェノール」(カプラー)を第1剤の原液全量100.0質量%に対して、それぞれ、0.1質量%、0.05質量%及び0.1質量%含有するから、カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比は約0.67(0.1/(0.05+0.1))である。) <相違点1-甲3-3> 本件発明1は「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上である」のに対し、甲3発明は、約33質量%(0.05×100/0.15)である点。 (甲3発明におけるカプラーは、「レゾルシン」及び「m-アミノフェノール」であり、第1剤におけるそれらの合計含有量は、0.15質量%(0.05+0.1)であるから、レゾルシンの割合は、約33質量%(0.05×100/0.15)である。) (c)上記相違点について検討する。 事案に鑑みて、相違点1―甲3-2及び相違点1―甲3-3について検討する。 (i)相違点1―甲3-2について検討するに、甲3発明において相違点1―甲3-2に係る技術的事項を備えたものとするには、カプラーであるレゾルシンの含有量を増加させることが考えられる。 甲3には、レゾルシンの配合量の上限が0.15質量%以下であること(摘記甲3a)、好ましくは0.1質量%以下であること(摘記甲3c)が記載されているところ、実施例6には、レゾルシンを0.15質量%配合した具体例が記載されている(摘記甲3f、【0079】)。 したがって、甲3発明において、レゾルシンを、0.15質量%以下である、例えば0.1質量%含有するものとすることは当業者が容易になし得た事項であり、その際の「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比」は0.5(0.1/(0.1+0.1))であるから、相違点1-甲3-2に係る技術的事項を備えたものとすることは当業者が容易になし得た事項であると、一応いうことができる。 しかし、上記a(c)(i)で述べたのと同様の理由により、上記一致点を変えないように、相違点1-甲3-2に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 (ii)次に、相違点1-甲3-3について検討するに、甲3発明において相違点1―甲3-3に係る技術的事項を備えたものとするには、カプラーであるレゾルシンの含有量を増加させることが考えられるが、上記a(c)(ii)で述べたのと同様の理由により、レゾルシンの含有量を増加させることによって、相違点1-甲3-3に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 (iii)さらに、甲3発明において、相違点1―甲3-2に係る技術的事項を備えたものとするために、主要中間体であるp-フェニレンジアミンの含有量を減らすこと、相違点1―甲3-3に係る技術的事項を備えたものとするために、甲3発明において、「m-アミノフェノール」に代えて、甲3に、m-アミノフェノールと選択的に含有することが記載されている(摘記甲3a)、「5-アミノ-o-クレゾール」、「αーナフトール」、「2,4-ジアミノフェノキシエタノール」又は「5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール」を用いることが考えられる。 しかし、仮に上記各技術的事項がそれぞれ独立に当業者が容易になし得た事項であるといえたとしても、甲3には、上記一致点を保持したまま、相違点1―甲3-2に係る、「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内」とすること、相違点1―甲3-3に係る「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上」とすることを同時に備えたものとすることは記載も示唆もされていないから、当業者が、甲3に記載された採用し得る多くの選択肢の中から、上記2つの技術的事項を同時に備えたものとする動機があるとはいえない。 したがって、甲3発明において、相違点1-甲3-2及び相違点1-甲3-3に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 (d)以上のとおりであるから、相違点1―甲3-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (イ)本件発明3について 本件発明3は、 「請求項1に記載の酸化染毛剤組成物を毛髪の既染部に適用することを特徴とする染毛方法。」 であるところ、上記(ア)で述べたとおり、本件発明1が甲1~甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないから、本件発明1の酸化染毛剤組成物を用いる方法の発明である本件発明3は、甲1~甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (ウ)申立人の主張について 申立人は、令和7年11月14日付けの意見書5~11頁において、甲1~甲3発明におけるレゾルシンの含有量を0.05質量%から0.1質量%に変更して、令和7年9月5日に提出された訂正請求書により訂正された請求項1及び3に係る発明とすることは当業者が容易に想到することが可能であること、同請求項1及び3に係る発明は甲1~甲3発明と比較して、有利な効果を奏するとも認められないこと等を指摘して、同請求項1及び3に係る発明は、甲1~甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。 しかしながら、上記エで述べたとおり、甲1~甲3発明においてレゾルシンの含有量を0.05質量%から0.1質量%に変更することによって本件発明1及び3とすることは、当業者が容易になし得た事項であるということはできない。 したがって、本件発明1及び3の効果について検討するまでもなく、上記主張を採用することはできない。 オ 小括 以上のとおりであるから、取消理由2は理由がない。 (2)取消理由4について 取消理由4は、令和7年9月5日に提出された訂正請求書により訂正された請求項2の「(レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)」との記載によってどのような範囲の「酸化染毛剤組成物」が除かれるのかが明確でなく、その結果、請求項2に係る発明の酸化染毛剤に含まれる物質の範囲が不明確であるから、請求項2に記載された特許を受けようとする発明は明確でないというものであるところ、本件訂正によって、上記請求項2の記載は存在しないものとなり、対応する記載が「(レゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)」との記載に訂正された。 そして、当該本件請求項2の記載に不明確な点はない。 したがって、取消理由4は理由がない。 2 特許異議申立理由について (1)特許法第36条第6項第1号について ア 本件明細書の記載 本件明細書には、以下の記載がある。 本1)「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 従来より、酸化染毛剤を用いた染毛を繰返し行うと、毛髪のうち染料重合物の残留が多い既染部(毛先側の部分)が過染色によって想定の明度よりも暗くなる「沈み込み」を起こし、毛髪の根本側である新生部とは明度差が生じるという不具合があった。一般的には、この不具合を解消するため、脱色・脱染剤を使用して、残留した染料重合物を分解させた後に染毛を行ったり、脱色剤等の染料を配合していない薬剤を既染部に使用して沈み込みの対応をしている。 しかし、脱染剤や脱色剤を使用した場合、複数の工程となるため長い施術時間を要したり、毛髪の既染部と新生部の明度は揃うが彩度の高い色表現ができなかったりするという課題が依然としてあった。 一方、染毛剤に対する一般的要求として染毛の堅牢性(色持ち)が求められるが、「永久染毛剤」とも呼ばれる酸化染毛剤では、この色持ちが特に強く求められる。 【0008】 そこで本発明は、酸化染毛剤を用いて繰返し染毛を行う際に、毛髪脱染剤や毛髪脱色剤に依存することなく、毛髪の既染部における過染色による沈み込みを抑制すると同時に彩度の高い色表現が可能であり、更に色持ちも良い酸化染毛剤を提供することを、解決すべき技術的課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 (第1発明の構成) 上記課題を解決するための本願第1発明は、 酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%の範囲内であり、かつカプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内であり、 使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内であり、使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有する、酸化染毛剤組成物である。 ・・・ 【発明の効果】 【0014】 (第1発明の効果) 第1発明の酸化染毛剤組成物は、第1剤においてアルカリ剤としてアンモニアを用い、使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内とされている点、及び、第2剤において酸化剤として過酸化水素を用い、使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内とされている点から、染毛の沈み込み(毛髪の明度低下)が起こり難い染毛環境が提供される。この点に加えて、酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%とすることにより、毛髪脱染剤や毛髪脱色剤を使用しなくても毛髪の過染色が有効に回避される。 【0015】 次に、上記の酸化染料の内、カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1にすることにより上記のように染毛の沈み込みを防止したもとで、彩度の高い色表現が可能である。 【0016】 更に、本願発明者は、以上のような構成の複数剤式酸化染毛剤組成物におけるいずれかの剤に植物油を配合すると、上記の染毛の沈み込み防止、彩度の高い色表現を確保したままで、色持ちも向上することを見出した。」 本2)「【0024】 〔酸化染毛剤組成物の必須成分〕 (酸化染料) 必須成分である酸化染料は主要中間体とカプラーに分類される。 【0025】 主要中間体の具体例として、まず本発明の(C)成分であるパラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びこれらの塩が好ましい。 その他にも、公知の各種の主要中間体、例えば、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、オルト-アミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、2-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、オルト-クロル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール及びそれらの塩などが挙げられる。 【0026】 カプラーの具体例として、まず、本発明の(D)成分である2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、レゾルシン及びそれらの塩が好ましい。これらの内、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びそれらの塩が彩度の効果の観点から特に好ましい。 その他にも、公知の各種のカプラー、例えばm-アミノフェノール、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、m-フェニレンジアミン、トルエン-3,4-ジアミン、ジフェニルアミン、3,3’-イミノジフェニール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、タンニン酸、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラメチルアミノフェノール、ニトロパラフェニレンジアミン及びそれらの塩などが挙げられる。 【0027】 酸化染料である主要中間体とカプラーはそれぞれ1種以上が使用されるが、それらの合計含有量は、酸化染毛剤組成物の使用時(複数剤の混合時)に純分換算で0.01~0.15質量%の範囲内であるが、0.03~0.14質量%の範囲内であることがより好ましく、0.04~0.13質量%の範囲内であることが特に好ましく、0.05~0.12の範囲内であることが更に好ましい。主要中間体とカプラーの使用時の合計量が0.01質量%以上となることで彩度の効果が得られ、0.15質量%以下となることで沈み込み抑制の効果が得られる。またカプラーの合計含有量に対する主要中間体の合計含有量の質量比(主要中間体/カプラー)は、彩度の効果の観点から、純分換算で0.01~1の範囲内であるが、0.1~0.9質量%の範囲内であることがより好ましく、0.15~0.8質量%の範囲内であることが特に好ましく、0.2~0.6であることが更に好ましい。更に、彩度の効果の観点から、カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合は純分換算で50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、80質量%以上であることが一層好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましく、100%であることが非常に好ましい。 主要中間体の含有量は、純分換算で0.001~0.07質量%であることが好ましく、0.002~0.06質量%であることがより好ましく、0.005~0.05であることが特に好ましい。カプラーの含有量は、0.005~0.15質量%であることが好ましく、0.01~0.1質量%であることがより好ましく、0.02~0.08質量%であることが特に好ましい。 【0028】 (アンモニア) ・・・ 第1剤は、これらのアルカリ剤の配合により、使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内となるように調整されているが、使用時の総アルカリ度が4.5~14ml/gの範囲内となるように調整することがより好ましく、5.0~13.8ml/gの範囲内となるように調整することが特に好ましい。第1剤におけるアンモニアの含有量は、第1剤の総アルカリ度が上記の範囲内である限りにおいて限定されないが、例えば第1剤中に28質量%アンモニア水として2~10質量%程度配合されることが好ましく、4~8質量%程度配合されることがより好ましく、5~7質量%程度配合されることが特に好ましいい。 ・・・ 【0030】 (過酸化水素) ・・・ 【0031】 第2剤における過酸化水素の含有量は、酸化染毛剤組成物の使用時(各剤の混合時)における過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内となるように調整されているが、より好ましくは1.6~4.5質量%の範囲内、特に好ましくは1.8~4.3質量%の範囲内、更に好ましくは2.0~4.1質量%の範囲内となるように調整される。 【0032】 (植物油) 植物油としては、アボカド油、オリブ油(オリーブ油)、メドウフォーム油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、アルモンド油、サフラワー油、ツバキ油、大豆油、ゴマ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、メドウフォーム油、ホホバ油、茶実油、サザンカ油、ハトムギ油、ブドウ種子油、カロット油、アルガニアスピノサ核油、アンズ油綿実油、トウモロコシ油、月見草油、マンゴー種子油、植物性スクワラン、ククイナッツ油、ナズナ種子油、ヘーゼルナッツ油、杏仁油、パーシック油、桃仁油、パーム油等が例示される。 好ましい植物油は彩度の観点からアボカド油、オリブ油(オリーブ油)、メドウフォーム油、ヒマワリ油、ローズヒップ油である。特に好ましい植物油は、アボカド油、オリブ油である。 植物油の配合量は、0.05~7質量%であることが好ましく、0.07~6質量%であることがさらに好ましく、0.1~5質量%であることが特に好ましい。 使用時の植物油の含有量に対する主要中間体とカプラーの合計含有量の質量比は、色持ちの観点から0.01~0.15であることが好ましく、0.03~0.14であることがより好ましく、0.04~0.13であることが特に好ましい。 使用時の植物油の含有量に対するカプラーの含有量の質量比は、色持ちの観点から0.005~0.2であることが好ましく、0.008~0.17であることがより好ましく、0.01~0.16であることが特に好ましい。」 本3)「【実施例】 【0057】 以下に本発明の実施例及び比較例を説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例及び比較例によって限定されない。なお、以下、実施例11は、参考例11に置き換えるものとする。 【0058】 〔2剤式酸化染毛剤の構成〕 本発明の2剤式酸化染毛剤における、末尾の表1~表3に示す組成の実施例1~22、比較例1~8に係る第1剤を常法に従って調製した。これらの各実施例及び比較例に係る第1剤は、いずれも同一組成の第2剤と組合わせて使用するものであり、その第2剤の組成を末尾の表4に示した。第1剤はクリーム状、第2剤は乳液状である。 【0059】 表1~4において、本発明の(A)~(E)成分には成分名の隣にそれぞれ(A)~(E)と付記した。また、表1~4において成分の含有量を示す数値は質量%単位である。但し、表1~3に示す酸化染料の塩類、即ち硫酸パラトルエンジアミン、硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及び塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノールについては、実際の配合量ではなく、純分換算した配合量を質量%単位で示している。 【0060】 各実施例及び比較例において組合わせて使用する第1剤及び第2剤の質量単位の混合比はいずれも第1剤:第2剤=1:1である。表1~3中の「染料総量 混合中」は、この混合比に基づく酸化染料の合計含有量の計算値である。表4に示す第2剤中の過酸化水素濃度は6質量%であるが、この混合比に従って第1剤と第2剤を混合した後の使用時濃度は、各実施例及び比較例において3質量%である。 【0061】 更に表1~3において「中間体/カプラー」とは「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比」であり、「総アルカリ度(ml/g)」とは使用時の総アルカリ度であり、「(D/全カプラー総量)」とはカプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合のパーセンテージである。 【0062】 〔酸化染毛剤の評価〕 (沈み込みの抑制) 1)酸化染毛の履歴を与える前処理 ホーユー株式会社製の酸化染毛剤の第1剤(ホーユー株式会社製のプロステップ グレイカラーGS-6)と、第2剤(ホーユー株式会社製のクリームオキシダン(6%)とを質量比1:1で混合し、その混合物をビューラックス社製の黒色毛束に塗布して酸化染毛処理を行った。この処理の後、2度のシャンプー(ホーユー株式会社製のビゲントリートメントシャンプー)と1度のリンス(ホーユー株式会社製のビゲントリートメントリンス)とのセットの処理を7回繰返し、その後にドライヤーで乾燥させた。以上の一連の処理を3度繰返すことにより、同一の酸化染毛履歴を持つ「既染部毛束」を所定数作成した。 【0063】 2)本発明の酸化染毛剤の評価 本発明の実施例1~22、比較例1~8に係る酸化染毛剤の第1剤及び第2剤を上記のように第1剤:第2剤=1:1の質量比で混合して得た混合物(以下、これを「酸化染毛剤混合物」と呼ぶ)をそれぞれ既染部毛束1g当たり3gの割合になるように均一に塗布し、30℃にて30分放置した。その後、2度のシャンプー(ホーユー株式会社製のビゲントリートメントシャンプー)及び1度のリンス(ホーユー株式会社製のビゲントリートメントリンス)を行い、ドライヤーで乾燥させて、標準光源下で目視にて、沈み込みの抑制効果を評価した。 【0064】 評価は10名のパネラーが行い、各パネラーが、効果が非常に優れる場合に5ポイント、効果が優れる場合に4ポイント、効果が良好である場合に3ポイント、効果が劣る場合に2ポイント、効果が非常に劣る場合に1ポイントの評価点を与えた。そして各実施例、各比較例ごとに全パネラーの評価ポイントの平均値を算出し、その平均値が4.6以上なら評価ランク「5」、3.6~4.5なら評価ランク「4」、2.6~3.5なら評価ランク「3」、1.6~2.5なら評価ランク「2」、1.5以下なら評価ランク「1」とした。これらの評価ランクを表1~3の「沈み込み抑制」の欄に記入した。 【0065】 (彩度) 本発明の実施例1~22、比較例1~8に係る酸化染毛剤混合物をそれぞれビューラックス社製の白色毛束1g当たり3gの割合になるように均一に塗布し30℃にて30分放置した。その後、ホーユー株式会社製のビゲントリートメントシャンプーで2回シャンプーし、次いでホーユー株式会社製のビゲントリートメントリンスで1回リンスを行い、ドライヤーで乾燥させて、標準光源下で目視にて彩度を評価した。 【0066】 評価は10名のパネラーが行い、各パネラーが効果が非常に優れる(非常に高い)場合に5ポイント、効果が優れる場合に4ポイント、効果が良好である場合に3ポイント、効果が劣る場合に2ポイント、効果が非常に劣る場合に1ポイントの評価点を与えた。そして各実施例、各比較例ごとに全パネラーの評価ポイントの平均値を算出し、その平均値が4.6以上なら評価ランク「5」、3.6~4.5なら評価ランク「4」、2.6~3.5なら評価ランク「3」、1.6~2.5なら評価ランク「2」、1.5以下なら評価ランク「1」とした。これらの評価ランクを表1~3の「彩度」の欄に記入した。 【0067】 (色持ち) 本発明の実施例1~22、比較例1~8の内、表3に示す各実施例、各比較例に係る酸化染毛剤混合物をビューラックス社製の白色毛束1g当たり3gの割合になるように均一に塗布し、30℃にて30分放置した。その後、ホーユー株式会社製のビゲントリートメントシャンプーで2回シャンプーし、次いでホーユー株式会社製のビゲントリートメントリンスで1回リンスを行い、ドライヤーで乾燥させた。そしてこれらの毛束を50℃のラウリル硫酸ナトリウム1%水溶液に10分間浸漬して褪色処理を行った。次いでしっかりと水洗してからドライヤーで乾燥させ、標準光源下で目視にて色持ちを評価した。 【0068】 評価は10名のパネラーが行い、各パネラーが色持ちが非常に優れる場合に5ポイント、色持ちが優れる場合に4ポイント、色持ちが良好である場合に3ポイント、色持ちが劣る場合に2ポイント、色持ちが非常に劣る場合に1ポイントの評価点を与えた。そして各実施例、各比較例ごとに全パネラーの評価ポイントの平均値を算出し、その平均値が3.0以上なら評価「○」、2.9以下なら評価「×」とした。これらの評価結果を表3の「色持ち」の欄に記入した。 なお、表3の実施例3、7における「色持ち」の評価欄以外の記載は、表1の実施例3、7の記載のコピーである。 【0069】 【表1】 [図:0001439180000014.jpg] 【0070】 【表2】 [図:0001439180000015.jpg] 【0071】 【表3】 [図:0001439180000016.jpg] 【0072】 【表4】 [図:0001439180000017.jpg] 」 イ 本件発明の課題 本件明細書の記載事項の全体、特に【0008】の記載からみて、本件発明の解決しようとする課題は、「酸化染毛剤を用いて繰返し染毛を行う際に、毛髪脱染剤や毛髪脱色剤に依存することなく、毛髪の既染部における過染色による沈み込みを抑制すると同時に彩度の高い色表現が可能であり、更に色持ちも良い酸化染毛剤を提供すること、及び該染毛剤を毛髪の既染部に適用する染毛方法を提供すること」であると認める。 ウ 判断 本件明細書には、上記課題を解決するための手段が記載されている(摘記本1、【0009】)ところ、本件発明は、当該手段を備えたものである。 また、本件明細書には、本件発明の酸化染毛剤が含有する各成分の具体例、含有量等について記載されている(摘記本2)。 そして、実施例として、本件発明に相当する二剤式酸化染毛剤について、沈み込みの抑制、彩度及び色持ちを評価した結果が記載され、いずれの項目についても、優れる又は良好である評価が得られたことが記載されている(摘記本3)。 してみると、本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明であり、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 エ 申立人の主張について 申立人の主張する具体的な理由は次のとおりである。 a 「パラフェニレンジアミン、硫酸パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール」及びこれらの類似化合物に加えて、それら以外のあらゆる主要中間体をも包含する本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。 b アボカド油、オリブ油、メドウフォーム油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、アルモンド油、サフラワー油、ツバキ油、及びシュガースクワランに加えて、それら以外のあらゆる植物油をも包含する本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。 c 植物油の配合量が1.00質量%よりも十分に小さいときでさえ、色持ちの評価ポイントの平均値が確実に3.0以上となり、よって本件特許発明の課題を解決できるのか否か明らかではない。 上記a~cの主張について検討する。 (ア)aについて 申立人は、甲4も提示して、本件発明1では、「主要中間体」について何ら具体的には特定されていないから、本件明細書に記載された主要中間体に加えて、甲第4号証に記載される非常に多くの化合物をも包含し得るが、本件明細書の実施例では、「主要中間体」として、「パラフェニレンジアミン、硫酸パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、及び硫酸2,2[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールを使用した場合についてしか具体的には開示されておらず、それら具体的に開示された主要中間体以外の主要中間体を使用した場合に同様の効果を奏することについても示されていないこと、本件明細書には、いかなる「主要中間体」を使用した場合であっても、本件発明の課題を解決できるであろうと当業者が認識できるような作用機序についても何ら記載されていないこと等を指摘して、主要中間体について、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨を主張する。 しかしながら、本件明細書には、本件発明の課題を解決するための構成は、本件発明が該当する「第1発明の構成」であることが記載され(摘記本1、【0009】)、主要中間体の好ましい具体例が記載されるとともに、用いることができる公知の各種の主要中間体の具体例が記載され(摘記本2、【0025】)、実施例において、申立人が指摘する4種の主要中間体を使用した酸化染毛剤が、沈み込みの抑制、彩度及び色持ちにおいて、優れる又は良好である評価が得られたことが記載されている(摘記本3)。 そして、上記「第1発明の構成」とは、主要中間体及び植物油の種類ではなく、主要中間体とカプラーを含有すること、第1剤が(A)アンモニアを含有すること、第2剤が(B)過酸化水素を含有すること、酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内であること、カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内であること、使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内であること、使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であること、(E)植物油を含有することに特徴を有するものであるということができる。 また、本件明細書には、それらの構成を採用することで、染毛の沈み込み(毛髪の明度低下)が起こり難い染毛環境が提供され、毛髪脱染剤や毛髪脱色剤を使用しなくても毛髪の過染色が有効に回避され、染毛の沈み込みを防止したもとで、彩度の高い色表現が可能であり、染毛の沈み込み防止、彩度の高い色表現を確保したままで、色持ちも向上することを見出したことが記載されている(摘記本1、【0014】~【0016】)。 さらに、甲4に「かかる酸化毛髪着色系及び組成物において、多種多様な主要中間体及びカプラーが利用されてきた。」(【0002】)と記載されるとおり、本件特許の出願時において、多種多様な化合物が「主要中間体」という共通した概念で酸化染毛剤に用いられることは周知の技術的事項であるから、酸化染毛剤に配合する酸化染料を「主要中間体」としてひとつのまとまりのある物質として捉えることは合理的である。 したがって、主要中間体の種類によって、彩度等が異なることがあるとしても、本件明細書の記載を参酌すれば、当業者は、実施例に記載された主要中間体以外の主要中間体であっても本願発明の上記課題を解決できると認識できるといえる。 よって、上記aの主張は採用できない。 (イ)bについて 申立人は、甲6及び甲7も提示して、本件発明1では、「(E)植物油」について何ら具体的には特定されていないから、本件特許明細書に記載される植物油に加えて、甲6に記載される非常に多くの材料をも包含し得るが、本件明細書の実施例では、「(E)植物油」として、「アボカド油、オリブ油、メドウフォーム油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、アルモンド油、サフラワー油、ツバキ油、及びシュガースクワラン」を使用した場合についてしか具体的には開示されておらず、それら以外の植物油を使用した場合に、これらの植物油を使用した場合と同様の効果を奏することについても示されていないこと、オリブ油及びヤシ油についての甲7の記載を示して、同じ植物油であっても、物性や組成は全く異なる場合があること、本件明細書には、いかなる「(E)植物油」を使用した場合であっても、本件発明の課題を解決できるであろうと当業者が認識できるような作用機序についても何ら記載されていないこと等を指摘して、「(E)植物油」について、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨を主張する。 しかしながら、本件明細書には、本件発明の課題を解決するための構成は、本件発明が該当する「第1発明の構成」であることが記載され(摘記本1、【0009】)、植物油の具体例が記載され(摘記本2、【0032】)、実施例において、申立人が指摘する9種の植物油を使用した酸化染毛剤が、沈み込みの抑制、彩度及び色持ちにおいて、優れる又は良好である評価が得られたことが記載されている(摘記本3)。 そして、上記「第1発明の構成」についての解釈は、上記(ア)に示したとおりであり、さらに、本件特許の出願時において、多種多様な植物油が「植物油」という共通した概念で用いられることは酸化染毛剤の分野を含めて(特開2012-56924号公報、特許第5140318号公報、特許第4277738号公報参照。)周知の技術的事項であるから、酸化染毛剤に配合される植物油を「植物油」としてひとつのまとまりのある物質として捉えることは合理的である。 したがって、植物油の種類によって、彩度等が異なることがあるとしても、本件明細書の記載を参酌すれば、当業者は、実施例に記載された植物油以外の植物油であっても本願発明の上記課題を解決できると認識できるといえる。 よって、上記bの主張は採用できない。 (ウ)cについて 申立人は、本件明細書の【0016】及び【0032】の記載から、植物油の配合量が少ない場合には、色持ちの効果が小さく、配合量を多くするにつれて、色持ちの効果が大きくなると認められること、本件明細書の実施例3、7、及び14~22の全てにおいて植物油の配合量は1.00質量%であり、一方で各実施例及び比較例の具体的な評価ポイントの平均値は開示されていないから、植物油の配合量が1.00質量%よりも十分に小さいときでさえ、色持ちの評価ポイントの平均値が確実に3.0以上となり、本件発明の課題を解決できるのか否か明らかではないこと、本件明細書では、実施例で具体的に開示された特定の植物油を1.00質量%等の特定の配合量において使用した場合に、本件発明の課題を解決できることが示されているにすぎないこと等を指摘して、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになるか、又は本件発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨を主張する。 しかしながら、本件明細書には、本件発明の課題を解決するための構成は、本件発明が該当する「第1発明の構成」であることが記載され(摘記本1、【0009】)、植物油の配合量の好ましい範囲が記載され(摘記本2、【0032】)、実施例において、各種植物油を第1剤中に1.00質量%配合した酸化染毛剤が、沈み込みの抑制、彩度及び色持ちにおいて、優れる又は良好である評価が得られたことが記載されている(摘記本3)。 そして、本件明細書の「植物油を配合すると、上記の染毛の沈み込み防止、彩度の高い色表現を確保したままで、色持ちも向上することを見出した。」との記載(摘記本1、【0016】)からみて、植物油の配合量が色持ちに影響するといえるものの、本件明細書には、「使用時の植物油の含有量に対する主要中間体とカプラーの合計含有量の質量比は、色持ちの観点から0.01~0.15であることが好ましく、0.03~0.14であることがより好ましく、0.04~0.13であることが特に好ましい。使用時の植物油の含有量に対するカプラーの含有量の質量比は、色持ちの観点から0.005~0.2であることが好ましく、0.008~0.17であることがより好ましく、0.01~0.16であることが特に好ましい。」と記載されている(摘記本1、【0032】)から、当業者は、必ずしも植物油の配合量だけではなく、主要中間体及びカプラーの含有量との関係において色持ちが変化することを理解するといえる。 したがって、植物油の配合量によって、色持ちが異なることがあるとしても、本件明細書の記載を参酌すれば、当業者は、植物油の配合量について、実施例に記載された以外の配合量であっても本願発明の上記課題を解決できると認識できるといえる。 したがって、上記cの主張は採用できない。 オ 小括 以上のとおりであるから、(1)特許法第36条第6項第1号についての特許異議申立理由は理由がない。 (2)特許法第36条第6項第2号について 本件請求項1~4の記載に不明確な点はない。 ア 申立人の主張について 申立人の主張する具体的な理由の概要は次のとおりである。 a 本件特許発明1の「主要中間体」の用語は明確ではない。 b 本件特許発明1の「植物油」の用語は明確ではない。 (ア)aについて 申立人は、本件発明1では、「主要中間体」については何ら具体的には規定されていない一方で、甲4において、本件明細書で示される化合物とは異なる化合物が記載されており、「主要中間体」の意味するところは当業者にとって明確ではないこと、例えば、主要中間体について、甲5の【0041】ではジアミノピリジン類、2,5-ジアミノピリジンが主要中間体の例示として記載されている一方で、本件明細書の【0017】では、カプラーとして、2,6-ジアミノピリジンと記載されており、ジアミノピリジン類が主要中間体ではなく、カプラーとして記載されていること等を指摘して、具体的な化合物等が特定されていない本件発明1の「主要中間体」の意味内容を当業者は理解することができず、よって本件発明1は明確ではない旨主張する。 しかしながら、例えば、甲4に、「かかる酸化毛髪着色系及び組成物において、多種多様な主要中間体及びカプラーが利用されてきた。」(【0002】)と記載され、甲5に、「酸化染毛剤組成物は、一般的に、使用時に混合して毛髪に塗布される2剤式である。その第1剤(染毛剤組成物)は、主要中間体及びカプラーからなる酸化染料中間体と、その毛髪への浸透性を向上させるためのアルカリ剤とを、主成分として含有している。」(【0002】)と記載されるとおり、当該技術分野において、「主要中間体」と「カプラー」は通常使用される用語であって、甲4の【0015】及び【0017】、並びに甲5の【0041】~【0043】には、それぞれ、「主要中間体」及び「カプラー」の具体例も記載されているから、当業者は、「主要中間体」がどのようなものであるかを理解することができるといえる。 したがって、甲4に本件明細書で示される化合物とは異なる化合物が記載されていても、そのことによって、「主要中間体」が明確でないとすることはできず、また、本件明細書に、甲5に主要中間体として記載されている具体的な物質がカプラーとして記載されているわけでもないから、甲5の記載を根拠として、「主要中間体」が明確でないとすることはできない。仮に、本件明細書に、甲5に主要中間体として記載されている具体的な物質がカプラーとして記載されていたとしても、当業者は、本件発明においては、そのような物質は主要中間体ではなく、カプラーであると認識するから、本件発明が明確でないということはできない。 したがって、aの主張は採用できない。 (イ)bについて bは、本件の特許時の明細書の【0032】に、植物油の例示として「卵黄油」が記載されていたことに基づく主張であるところ、本件訂正によって、【0032】の植物油の例示の記載から、卵黄油が削除された。 したがって、bの主張は採用できない。 イ 小括 以上のとおりであるから、(2)特許法第36条第6項第2号についての特許異議申立理由は理由がない。 (3)特許法第29条第2項について この理由のうち、請求項1及び請求項3に係る特許に対する理由は、上記第4の6で示した、第2予告で通知した取消理由2と同趣旨である。 したがって、以下、本件請求項2及び本件請求項4に係る特許に対する理由について検討する。 ただし、申立人は、甲1の実施例6の記載並びに甲2の実施例8及び9の記載に基づく進歩性欠如の主張もしているので、この点は別途判断する。 ア 引用文献、その記載事項及び引用発明 引用文献、その記載事項及び引用発明は、上記1(1)ア~ウに記載したとおりである。 イ 対比・判断 (ア)本件発明2について a 甲1発明について (a)上記1(1)エ(ア)a(a)で述べたことを踏まえて、本件発明2と甲1発明を対比する。 本件発明2は本件発明1と比較すると、 (i) 本件発明1は、「前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内」とされているが、 本件発明2は、「前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%の範囲内」とされている点、 (ii) 本件発明1は、「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~0.6の範囲内」とされているが、 本件発明2は、「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内」とされている点、 (iii) 本件発明2は、「前記主要中間体が下記(C)成分から選ばれる1種以上を含む」とされ、かつ、「(C)パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びこれらの塩」とされているのに対し、本件発明1はかかる特定がされていない点、 (iv) 本件発明2は、「(レゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)」とされているのに対し、本件発明1はかかる特定がされていない点 において相違する。 (i)について、甲1発明は、本件発明1の「酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.13質量%の範囲内」であるとの要件を満たすから、本件発明2の「前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%の範囲内」であるとの要件も満たす。 (ii)について、甲1発明は、「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比」が約0.67であるから、本件発明2の「カプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内」であるとの要件を満たす。 (iii)について、甲1発明は、「p-フェニレンジアミン」(主要中間体)を含有するから、本件発明2の「前記主要中間体が下記(C)成分から選ばれる1種以上を含む」とされ、かつ、「(C)パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びこれらの塩」との要件を満たす。 (b)してみると、本件発明2と甲1発明とは、 「酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、 前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%の範囲内であり、かつカプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内であり、 使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有し、 前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み、前記主要中間体が下記(C)成分から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする酸化染毛剤組成物。 (D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。 (C)パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びこれらの塩。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-甲1-1> 本件発明2は「使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内」であるのに対し、甲1発明は、使用時の総アルカリ度が明らかではない点。 <相違点2-甲1-2> 本件発明2は「(レゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)」とされているのに対し、甲1発明は、レゾルシンを含む酸化染毛剤組成物である点。 <相違点2-甲1-3> 本件発明1は「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上」であるのに対し、甲1発明は、約33質量%(0.05×100/0.15)である点。 (c)上記相違点について検討する。 事案に鑑みて、相違点2―甲1-2及び相違点2-甲1-3について検討する。 甲1には、発明の目的が、酸化染毛剤第1剤中に炭酸塩を含む構成において、染料の安定性を向上することができる酸化染毛剤第1剤及び酸化染毛剤組成物の色調安定化方法を提供することにあり、その解決手段が、レゾルシン等を併用することにより、染料の安定性を向上できることを見出したことに基づくものであることが記載されており、請求項1には、(A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を必須の成分とする酸化染毛剤第1剤が記載されている(摘記甲1a、甲1b)。 したがって、当業者は、甲1発明のレゾルシンを他の成分に変更する場合、レゾルシンの塩又はレゾルシン誘導体若しくはその塩に変更するといえるが、甲1発明のレゾルシンを、甲1に記載された、レゾルシンの塩、又はアルキル化レゾルシン若しくはハロゲン化レゾルシン又はそれらの塩に変更した場合には、依然として相違点2―甲1-2が相違点のままである。また、レゾルシン誘導体若しくはその塩に変更した場合には、一致点である、「前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み」及び「(D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。」との点が一致点ではないことになる。 そして、甲1の記載を参酌しても、甲1発明において、「前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み」及び「(D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。」とし、かつレゾルシンに関する相違点である相違点2-甲1-2及びカプラーに関する相違点である相違点2-甲1-3の技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 (d)以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 b 甲2発明について (a)本件発明2と甲2発明を対比する。 甲2発明は甲1発明の「m-アミノフェノール」が「1,5-ジヒドロキシナフタレン」に置き換わったほかは甲1発明と組成が同じ組成物であり、本件明細書において、1,5-ジヒドロキシナフタレンはm-アミノフェノールと同様にカプラーであることが記載されている(【0026】)。 (b)してみると、本件発明2と甲2発明とは、 「酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、 前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%の範囲内であり、かつカプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内であり、 使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有し、 前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み、前記主要中間体が下記(C)成分から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする酸化染毛剤組成物。 (D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。 (C)パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びこれらの塩。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-甲2-1> 本件発明2は「使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内」であるのに対し、甲2発明は、使用時の総アルカリ度が明らかではない点。 <相違点2-甲2-2> 本件発明2は「(レゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)」とされているのに対し、甲2発明は、レゾルシンを含む酸化染毛剤組成物である点。 <相違点2-甲2-3> 本件発明1は「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上」であるのに対し、甲1発明は、約33質量%(0.05×100/0.15)である点。 (c)上記相違点について検討する。 事案に鑑みて、相違点2―甲2-2及び相違点2-甲2-3について検討する。 甲2には、発明の目的が、染毛剤組成物中に炭酸塩を含む構成において、染料の安定性を向上することができる染毛剤組成物及び染毛剤組成物の色調安定化方法を提供することにあり、その解決手段が、レゾルシン等を併用することにより、染料の安定性を向上できることを見出したことに基づくものであることが記載されており、請求項1には、(A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を必須の成分とする染毛剤組成物が記載されている(摘記甲2a、甲2b)。 したがって、当業者は、甲2発明のレゾルシンを他の成分に変更する場合、レゾルシンの塩又はレゾルシン誘導体若しくはその塩に変更するといえるが、甲2発明のレゾルシンを、甲2に記載された、レゾルシンの塩、又はアルキル化レゾルシン若しくはハロゲン化レゾルシン又はそれらの塩に変更した場合には、依然として相違点2―甲2-2が相違点のままである。また、レゾルシン誘導体若しくはその塩に変更した場合には、一致点である、「前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み」及び「(D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。」との点が一致点ではないことになる。 そして、甲2の記載を参酌しても、甲2発明において、「前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み」及び「(D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。」とし、かつレゾルシンに関する相違点である相違点2-甲2-2及びカプラーに関する相違点である相違点2-甲2-3の技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 (d)以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 c 甲3発明について (a)本件発明2と甲3発明を対比する。 甲3発明は、甲1発明において「28質量%アンモニア水」が5.0質量%であるのが、4.0質量%であり、甲1発明が含有する「炭酸水素アンモニウム4.0質量%」を含有せず、甲1発明が含有しない「70質量%モノエタノールアミン」を10.0質量%含有し、それら成分の含有量に応じて第1剤の精製水の量が甲1発明よりも5.0質量%少なく、甲1発明が含有する「マーコート100 0.5質量%」を含有しない一方で「ポリクオタニウム-6」を0.5質量%含有するほかは甲1発明と組成が同じ組成物である。 (b)してみると、本件発明2と甲3発明とは、 「酸化染料として主要中間体及びカプラーを含有すると共に、第1剤が(A)アンモニアを含有し、第2剤が(B)過酸化水素を含有する複数剤式の酸化染毛剤組成物であって、 前記酸化染料の純分換算の合計含有量が使用時に0.01~0.15質量%の範囲内であり、かつカプラーの含有量に対する主要中間体の含有量の純分換算の質量比が0.01~1の範囲内であり、 使用時の過酸化水素濃度が1.5~5.0質量%の範囲内であり、 更に(E)植物油を含有し、 前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み、前記主要中間体が下記(C)成分から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする酸化染毛剤組成物。 (D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。 (C)パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びこれらの塩。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-甲3-1> 本件発明2は「使用時の総アルカリ度が4~14ml/gの範囲内」であるのに対し、甲3発明は、使用時の総アルカリ度が明らかではない点。 <相違点2-甲3-2> 本件発明2は「(レゾルシン、アルキル化レゾルシン、ハロゲン化レゾルシン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含む酸化染毛剤組成物を除く)」とされているのに対し、甲3発明は、レゾルシンを含む酸化染毛剤組成物である点。 <相違点2-甲3-3> 本件発明1は「カプラーの合計含有量に占める(D)成分の含有量の割合が純分換算で50質量%以上」であるのに対し、甲3発明は、約33質量%(0.05×100/0.15)である点。 (c)上記相違点について検討する。 事案に鑑みて、相違点2―甲3-2及び相違点2-甲3-3について検討する。 甲3には、発明の目的が、酸化染毛剤第1剤中にアルカノールアミンを含む構成において、染料の安定性を向上することができる酸化染毛剤第1剤及び酸化染毛剤組成物の色調安定化方法を提供することにあり、その解決手段が、レゾルシン等を併用することにより、染料の安定性を向上できることを見出したことに基づくものであることが記載されており、請求項1には、(A)レゾルシン及びその誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を必須の成分とする酸化染毛剤第1剤が記載されている(摘記甲3a、甲3b)。 したがって、当業者は、甲3発明のレゾルシンを他の成分に変更する場合、レゾルシンの塩又はレゾルシン誘導体若しくはその塩に変更するといえるが、甲3発明のレゾルシンを、甲3に記載された、レゾルシンの塩、又はアルキル化レゾルシン若しくはハロゲン化レゾルシン又はそれらの塩に変更した場合には、依然として相違点2―甲3-2が相違点のままである。また、レゾルシン誘導体若しくはその塩に変更した場合には、一致点である、「前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み」及び「(D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。」との点が一致点ではないことになる。 そして、甲3の記載を参酌しても、甲3発明において、「前記カプラーが下記(D)成分から選ばれる1種以上を含み」及び「(D)2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール及びレゾルシン、及びこれらの塩。」とし、かつレゾルシンに関する相違点である相違点2-甲3-2及びカプラーに関する相違点である相違点2-甲3-3の技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 (d)以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (イ)本件発明4について 本件発明4は、 「請求項2に記載の酸化染毛剤組成物を毛髪の既染部に適用することを特徴とする染毛方法。」 であるところ、上記(ア)で述べたとおり、本件発明2が甲1~甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないから、本件発明2の酸化染毛剤組成物を用いる方法の発明である本件発明4は、甲1~甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (ウ)甲1の実施例6の記載並びに甲2の実施例8及び9の記載に基づく理由について 甲1の実施例6に係る酸化染毛剤組成物並びに甲2の実施例8及び9に係る酸化染毛剤組成物はいずれも「植物油」を含有しないから、本件発明1~4と対比すると、酸化染毛剤組成物が、本件発明1~4は植物油を含有するのに対して甲1(実施例6)及び甲2(実施例8及び9)に記載された発明は、植物油を含有しない点において相違する。 当該相違点について、甲1及び甲2には、第1剤に植物油に相当する油脂を配合し得ることが記載されているものの(摘記甲1d、特に【0043】、摘記甲2d、特に【0043】)、甲1及び甲2には、第1剤に配合し得る成分として、多様な成分が記載されており、その中から、特に植物油に着目して甲1の実施例6に係る酸化染毛剤組成物並びに甲2実施例8及び9に係る酸化染毛剤組成物に植物油を配合する動機があるとはいえない。 また、仮に甲1の実施例6に係る酸化染毛剤組成物並びに甲2の実施例8及び9に係る酸化染毛剤組成物に植物油を配合することが、当業者が容易になし得た事項であるといえたとしても、本件明細書の【0016】に記載されるとおりの、「染毛の沈み込み防止、彩度の高い色表現を確保したままで、色持ちも向上する」という効果を奏することは、甲1及び甲2の記載並びに出願時の技術常識から予測し得る範囲内であるということはできない。 したがって、他の点について検討するまでもなく、本件発明1~4は、甲1及び甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、(3)特許法第29条第2項についての特許異議申立理由は理由がない。 3 申立人が、令和7年5月16日提出の意見書において主張する新たな取消理由について この理由は、令和7年3月31日に提出された訂正請求書により訂正された、「(レゾルシン、p-フェニレンジアミン0.1質量%、28%アンモニア水5.0質量%又は28質量%アンモニア水4.0質量%、炭酸水素アンモニウム4.0質量%又は70質量%モノエタノールアミン10.0質量%、オリーブ油3.0質量%を含む酸化染毛剤第1剤と、35%過酸化水素15.0質量%又は35質量%過酸化水素15.0質量%を含む酸化染毛剤第2剤を1:1で混合する酸化染毛剤組成物の構成を除く。)」との記載についての理由であるが、上記訂正請求書による訂正の請求は取り下げられたものとみなされたので、この理由は、理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできず、ほかに請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701182

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