特許異議申立
2023-700838
経口組成物
- 審判番号
- 2023-700838
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-020527外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7223501
- 請求日
- 2023年08月15日
- 審決日
- 2024年04月23日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ロート製薬株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
- 【異議申立人】鈴木 幸子
- 分類
- P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法114条4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第113条第4号、特許法第114条第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7223501号発明「経口組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7223501号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、5について訂正することを認める。
特許第7223501号の請求項〔1-3〕、4、及び5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7223501号(以下「本件特許」という。)の出願(特願2018-20527号)は、平成30年2月7日に出願され、令和5年2月8日にその特許権の設定登録がされ(請求項の数 5)、令和5年2月16日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和5年8月15日に特許異議申立人である鈴木幸子(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~5に係る特許に対して特許異議の申立てがなされた。
その後の本件特許異議申立事件の主な手続の経緯は、次のとおりである(日付は、当審による起案を除き、書類の受付日である。)。
令和5年10月23日付け 取消理由通知書
同年12月25日 訂正請求書及び意見書(特許権者)
令和6年 2月14日付け 訂正請求があった旨の通知書
第2 訂正請求について
1 請求の趣旨及び訂正の内容
(1)請求の趣旨
令和5年12月25日受付の訂正請求書による訂正請求の趣旨は、「特許第7223501号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3、5について訂正することを求める」というものである。
そして、上記訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(2)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「以下のいずれかの組み合わせを含有する経口組成物が、カプセル皮膜に充填されているカプセル剤:
(1)(A)コウボクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)コウボクとテプレノンとが併用される。)。
(2)(A)ソウジュツと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)ソウジュツとテプレノンとが併用される。)。
(3)(A)チンピと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)チンピとウコンとが併用される。)。
(4)(A)ウイキョウと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(5)(A)ケイヒと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(6)(A)ウコンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、小麦胚芽油、大豆油、ツバキ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(7)(A)ダイオウと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(8)(A)オウバクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)オウバクとウコンとが併用される。)。
(9)(A)オンジエキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(10)(A)ゲンノショウコと、(B)非イオン性界面活性剤であって、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(11)(A)ジュウヤク乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(12)(A)センブリと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(13)(A)ヨクイニン乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用される。)。
(14)(A)ベラドンナエキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(15)(A)テプレノンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、サラシミツロウ、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、プロピレングリコール脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(16)(A)レバミピドと、(B)非イオン性界面活性剤であって、POEソルビタン脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(17)(A)アルジオキサと、(B)非イオン性界面活性剤である、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(18)(A)アズレンスルホン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(19)(A)トリメブチンマレイン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、オリブ油が併用される。)。
(20)(A)ピレンゼピン塩酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(21)(A)スクラルファートと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。」とあるのを、
「以下のいずれかの組み合わせを含有する経口組成物が、カプセル皮膜に充填されているカプセル剤:
(1)(A)コウボクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)コウボクとテプレノンとが併用される。)。
(2)(A)ソウジュツと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)ソウジュツとテプレノンとが併用される。)。
(3)(A)チンピと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)チンピとウコンとが併用される。)。
(4)(A)ウイキョウと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(5)(A)ケイヒと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(7)(A)ダイオウと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(8)(A)オウバクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)オウバクとウコンとが併用される。)。
(9)(A)オンジエキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(10)(A)ゲンノショウコと、(B)非イオン性界面活性剤であって、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(11)(A)ジュウヤク乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(12)(A)センブリと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(13)(A)ヨクイニン乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用される。)。
(14)(A)ベラドンナエキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(15)(A)テプレノンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、サラシミツロウ、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、プロピレングリコール脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(16)(A)レバミピドと、(B)非イオン性界面活性剤であって、POEソルビタン脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(17)(A)アルジオキサと、(B)非イオン性界面活性剤である、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(18)(A)アズレンスルホン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(19)(A)トリメブチンマレイン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、オリブ油が併用される。)。
(20)(A)ピレンゼピン塩酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(21)(A)スクラルファートと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。」に訂正する。
請求項1を引用する請求項2及び3も同様に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5において、
「以下のいずれかの組み合わせを経口組成物に共存させること、及び、該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む、カプセル剤の製造方法:
(1)(A)コウボクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)コウボクとテプレノンとが併用される。)。
(2)(A)ソウジュツと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)ソウジュツとテプレノンとが併用される。)。
(3)(A)チンピと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)チンピとウコンとが併用される。)。
(4)(A)ウイキョウと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(5)(A)ケイヒと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(6)(A)ウコンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、小麦胚芽油、大豆油、ツバキ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(7)(A)ダイオウと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(8)(A)オウバクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)オウバクとウコンとが併用される。)。
(9)(A)オンジエキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(10)(A)ゲンノショウコと、(B)非イオン性界面活性剤であって、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(11)(A)ジュウヤク乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(12)(A)センブリと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(13)(A)ヨクイニン乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用される。)。
(14)(A)ベラドンナエキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(15)(A)テプレノンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、サラシミツロウ、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、プロピレングリコール脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(16)(A)レバミピドと、(B)非イオン性界面活性剤であって、POEソルビタン脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(17)(A)アルジオキサと、(B)非イオン性界面活性剤である、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(18)(A)アズレンスルホン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(19)(A)トリメブチンマレイン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、オリブ油が併用される。)。
(20)(A)ピレンゼピン塩酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(21)(A)スクラルファートと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。」とあるのを、
「以下のいずれかの組み合わせを経口組成物に共存させること、及び、該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む、カプセル剤の製造方法:
(1)(A)コウボクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)コウボクとテプレノンとが併用される。)。
(2)(A)ソウジュツと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)ソウジュツとテプレノンとが併用される。)。
(3)(A)チンピと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)チンピとウコンとが併用される。)。
(4)(A)ウイキョウと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(5)(A)ケイヒと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(7)(A)ダイオウと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(8)(A)オウバクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)オウバクとウコンとが併用される。)。
(9)(A)オンジエキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(10)(A)ゲンノショウコと、(B)非イオン性界面活性剤であって、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(11)(A)ジュウヤク乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(12)(A)センブリと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(13)(A)ヨクイニン乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用される。)。
(14)(A)ベラドンナエキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(15)(A)テプレノンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、サラシミツロウ、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、プロピレングリコール脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(16)(A)レバミピドと、(B)非イオン性界面活性剤であって、POEソルビタン脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(17)(A)アルジオキサと、(B)非イオン性界面活性剤である、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(18)(A)アズレンスルホン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(19)(A)トリメブチンマレイン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、オリブ油が併用される。)。
(20)(A)ピレンゼピン塩酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(21)(A)スクラルファートと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。」と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正前の請求項1においては発明を特定するための事項が択一的な選択肢(1)~(21)で記載されていたところ、訂正事項1はこのうち「(6)(A)ウコンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、小麦胚芽油、大豆油、ツバキ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。」を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項1において択一的な選択肢として記載されていた(1)~(21)のうちの1つを削除するものであるから、本件特許の明細書又は特許請求の範囲のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
よって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(2)一群の請求項について
訂正前の請求項2、3は、請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(3)訂正事項2について
訂正前の請求項5においては発明を特定するための事項が択一的な選択肢(1)~(21)で記載されていたところ、訂正事項2はこのうち「(6)(A)ウコンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、小麦胚芽油、大豆油、ツバキ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。」を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。
また、訂正事項2は、択一的な選択肢として記載されていた(1)~(21)のうちの1つを削除するものであるから、本件特許の明細書又は特許請求の範囲のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
よって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
3 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する適法なものである。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 本件訂正後の本件特許に係る発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の本件特許の特許請求の範囲は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。なお、訂正後の請求項に係る発明を、以下、請求項の番号に従って「本件発明1」等ということがある。また、これらをまとめて単に「本件発明」ということがある。
[請求項1]
以下のいずれかの組み合わせを含有する経口組成物が、カプセル皮膜に充填されているカプセル剤:
(1)(A)コウボクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)コウボクとテプレノンとが併用される。)。
(2)(A)ソウジュツと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)ソウジュツとテプレノンとが併用される。)。
(3)(A)チンピと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)チンピとウコンとが併用される。)。
(4)(A)ウイキョウと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(5)(A)ケイヒと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(7)(A)ダイオウと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(8)(A)オウバクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)オウバクとウコンとが併用される。)。
(9)(A)オンジエキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(10)(A)ゲンノショウコと、(B)非イオン性界面活性剤であって、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(11)(A)ジュウヤク乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(12)(A)センブリと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(13)(A)ヨクイニン乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用される。)。
(14)(A)ベラドンナエキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(15)(A)テプレノンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、サラシミツロウ、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、プロピレングリコール脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(16)(A)レバミピドと、(B)非イオン性界面活性剤であって、POEソルビタン脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(17)(A)アルジオキサと、(B)非イオン性界面活性剤である、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(18)(A)アズレンスルホン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(19)(A)トリメブチンマレイン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、オリブ油が併用される。)。
(20)(A)ピレンゼピン塩酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(21)(A)スクラルファートと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
[請求項2]
前記経口組成物が、液状経口組成物である、請求項1に記載のカプセル剤。
[請求項3]
速溶解性及び/又は速放出性である、請求項1又は2に記載のカプセル剤。
[請求項4]
以下のいずれかの組み合わせを経口組成物に共存させること、及び、該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む、該カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法:
(1)(A)コウボクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種 (但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)コウボクとテプレノンとが併用される。)。
(2)(A)ソウジュツと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種 (但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)ソウジュツとテプレノンとが併用される。)。
(3)(A)チンピと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種 (但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)チンピとウコンとが併用される。)。
(4)(A)ウイキョウと、(B)非イオン性界面活性剤であ る、グリセリン脂肪酸エステ ルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(5)(A)ケイヒと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(6)(A)ウコンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、小麦胚芽油、大豆油、ツバキ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(7)(A)ダイオウと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(8)(A)オウバクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種 (但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)オウバクとウコンとが併用される。)。
(9)(A)オンジ エキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(10)(A)ゲンノショウコと、(B)非イオン性界面活性剤であって、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(11)(A)ジュウヤク 乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(12)(A)センブリと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(13)(A)ヨクイニン 乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用される。)。
(14)(A)ベラドンナ エキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(15)(A)テプレノンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、サラシミツロウ、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、プロピレングリコール脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(16)(A)レバミピドと、(B)非イオン性界面活性剤であって、POEソルビタン脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(17)(A)アルジオキサと、(B)非イオン性界面活性剤である、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(18)(A)アズレンスルホン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(19)(A)トリメブチンマレイン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、オリブ油が併用される。)。
(20)(A)ピレンゼピン塩酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(21)(A)スクラルファートと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。) 。
[請求項5]
以下のいずれかの組み合わせを経口組成物に共存させること、及び、該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む、カプセル剤の製造方法:
(1)(A)コウボクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)コウボクとテプレノンとが併用される。)。
(2)(A)ソウジュツと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、(A)ソウジュツとテプレノンとが併用される。)。
(3)(A)チンピと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)チンピとウコンとが併用される。)。
(4)(A)ウイキョウと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(5)(A)ケイヒと、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(7)(A)ダイオウと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(8)(A)オウバクと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、プロピレングリコール脂肪酸エステルの場合には、(A)オウバクとウコンとが併用される。)。
(9)(A)オンジエキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(10)(A)ゲンノショウコと、(B)非イオン性界面活性剤であって、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(11)(A)ジュウヤク乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(12)(A)センブリと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド。
(13)(A)ヨクイニン乾燥エキスと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤である、中鎖脂肪酸トリグリセリド(但し、(B)成分が、グリセリン脂肪酸エステルの場合には、POEソルビタン脂肪酸エステルが併用される。)。
(14)(A)ベラドンナエキスと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(15)(A)テプレノンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、サラシミツロウ、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種(但し、(B)成分が、POEソルビタン脂肪酸エステルの場合には、プロピレングリコール脂肪酸エステルが併用され、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
(16)(A)レバミピドと、(B)非イオン性界面活性剤であって、POEソルビタン脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(17)(A)アルジオキサと、(B)非イオン性界面活性剤である、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、ツバキ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(18)(A)アズレンスルホン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、及び、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、大豆油、及び、オリブ油からなる群より選択される少なくとも1種。
(19)(A)トリメブチンマレイン酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤である、グリセリン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリブ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、オリブ油が併用される。)。
(20)(A)ピレンゼピン塩酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、大豆油からなる群より選択される少なくとも1種。
(21)(A)スクラルファートと、(B)非イオン性界面活性剤である、POEソルビタン脂肪酸エステルと、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。
第4 取消通知に記載した取消理由について
訂正前の請求項1~3,5に係る特許に対して、当審が特許権者に令和5年10月27日付けで通知した取消理由の要旨は、以下のとおりである。
1.(新規性) 本件特許の請求項1~3,5に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された以下の引用文献等1~4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2.(進歩性) 本件特許の請求項1~3,5に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された以下の引用文献等1~6に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
<引用文献等一覧>
1.国際公開2005/097152号(異議申立人の甲第1号証)
2.特開2015-24979号公報(異議申立人の甲第2号証)
3.中央薬品株式会社「極撰ウコン プレミアム&NEXT」のWEBアーカイブ(URL:http://web.archive.org/web/20120602011613/http://www.chuo-yakuhin.com:80/kenkousyokuhin/ukon-p_n.html)(異議申立人の甲第3号証)
4.特開2010-222313号公報(異議申立人の甲第4号証)
5.特開2005-104886号公報(異議申立人の甲第5号証)
6.特開2005-126414号公報(異議申立人の甲第6号証)
第5 取消理由についての当審の判断
1 取消理由1(新規性)、取消理由2(進歩性)について
本件発明1は、発明を特定するための事項が択一的な選択肢(1)~(21)で記載されているところ、当該選択肢のうち(6)を選択した場合の本件発明1を「本件発明1(6)」という。
本件発明2~5についても同様である。
(1)取消理由の概要
ア 引用文献1を主引例とする場合
本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)、本件発明5(6)は、引用文献1に記載された発明であるか、引用文献1に記載された発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 引用文献2を主引例とする場合
本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)、本件発明5(6)は、引用文献2に記載された発明である。
ウ 技術情報3を主引例とする場合
本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)は、技術情報3に記載された発明である。
本件発明5(6)は、技術情報3に記載された発明並びに技術情報3に記載された事項及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 引用文献4を主引例とする場合
本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)、本件発明5(6)は、引用文献4に記載された発明である。
オ 引用文献5を主引例とする場合
本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)、本件発明5(6)は、引用文献5に記載された発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 引用文献6を主引例とする場合
本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)、本件発明5(6)は、引用文献6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)引用文献に記載された発明
ア 引用文献1に記載された発明
引用文献1には、次の発明が記載されているといえる。
(ア)物の発明について
「ウコン抽出物、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する経口組成物が、ゼラチン皮膜に圧入さているソフトカプセル剤。」
(引用文献1の[0003]、[0006]、[0028]、[0033]、[0041]参照)
(イ)製造方法の発明について
「ウコン抽出物、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する経口組成物をゼラチン皮膜に圧入することを含む、ソフトカプセル剤の製造方法。」
(引用文献1の[0033]、[0041]参照)
イ 引用文献2に記載された発明
引用文献2には、次の発明が記載されているといえる。
(ア)物の発明について
「ウコン粉末、グリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する経口組成物が、皮膜シートの間に充填されているソフトカプセル剤。」
(引用文献2の[0002]、[0015]、[0016]~[0018]、[0020][表2])
(イ)製造方法の発明について
「ウコン粉末、グリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する経口組成物を皮膜シートの間に充填することを含む、ソフトカプセル剤の製造方法。」
(引用文献2の[0002]、[0015]、[0016]~[0018]、[0020][表2])
ウ 技術情報3に記載された発明
技術情報3には、次の発明が記載されているといえる。
(ア)物の発明について
「ウコン抽出物、グリセリン脂肪酸エステル、ダイズ油を含有する経口組成物を含むカプセル剤。」
(技術情報3ウェブページ中央のカラムの第1~11行、ウェブページ中央のカラムの下部、「原材料名」の項、ウェブページ下部、「栄養成分表示」及び「主要成分量表示」の表、ウェブページ左カラム、第1番目の表)
(イ)製造方法の発明について
「ウコン抽出物、グリセリン脂肪酸エステル、ダイズ油を含有する経口組成物を含む、カプセル剤が製造されたこと。」
(技術情報3ウェブページ中央のカラムの第1~11行、ウェブページ中央のカラムの下部、「原材料名」の項、ウェブページ下部、「栄養成分表示」及び「主要成分量表示」の表、ウェブページ左カラム、第1番目の表)
エ 引用文献4に記載された発明
引用文献4には、次の発明が記載されているといえる。
(ア)物の発明について
「マンゴージンジャー抽出物、グリセリン脂肪酸エステル及び食用大豆油を含有する経口組成物を含むソフトカプセル剤。」
(引用文献4特許請求の範囲、[0022]~[0024]、[0039]、[0041]、[0044]、
[0047]、[0050])
(イ)製造方法の発明について
「マンゴージンジャー抽出物、グリセリン脂肪酸エステル及び食用大豆油を含有する経口組成物を含むソフトカプセル剤を公知の方法で調製すること。」
(引用文献4特許請求の範囲、[0022]~[0024]、[0039]、[0041]、[0044]、
[0047]、[0050])
オ 引用文献5に記載された発明
引用文献5には、次の発明が記載されているといえる。
(ア)物の発明について
「マンゴージンジャー抽出物、グリセリン脂肪酸エステル及び植物油を含有する経口組成物を用いて、打ち抜き法により製造した、ソフトカプセル剤。」
(引用文献5特許請求の範囲、[0013]、[0033]、[0043]、[0073])
(イ)製造方法の発明について
「マンゴージンジャー抽出物、グリセリン脂肪酸エステル及び植物油を含有する経口組成物を用いた、打ち抜き法によるソフトカプセル剤の製造方法。」
(引用文献5特許請求の範囲、[0013]、[0033]、[0043]、[0073])
カ 引用文献6に記載された発明
引用文献6には、次の発明が記載されているといえる。
(ア)物の発明について
「秋ウコン根茎粉末、グリセリン脂肪酸エステル、オリーブ油を含有する経口組成物がソフトカプセルに包まれたソフトカプセル剤。」
(引用文献6特許請求の範囲、[0008]、[0009]、[0020]、[0022]、[0034])
(イ)製造方法の発明について
「秋ウコン根茎粉末、グリセリン脂肪酸エステル、オリーブ油を含有する経口組成物をソフトカプセルで包むことを含む、ソフトカプセル剤の製造方法。」
(引用文献6特許請求の範囲、[0008]、[0009]、[0020]、[0022]、[0034])
(3)本件発明1~3及び本件発明5と引用発明1~6との対比・判断
ア 本件発明1~3,5と引用発明1との対比・判断
上記1(1)ア記載の取消理由は、訂正前の請求項1~3及び請求項5の選択肢において(6)を選択した本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)及び本件発明5(6)に対するものであったところ、本件訂正により請求項1~3及び請求項5の選択肢(6)は削除された。
そうすると、本件発明1~3及び本件発明5は、引用文献1に記載された発明とはいえないし、引用文献1に記載された発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
したがって、本件発明1~3及び本件発明5は、特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
イ 本件発明1~3及び本件発明5と引用発明2との対比・判断
上記1(1)イ記載の取消理由は、訂正前の請求項1~3及び請求項5の選択肢において(6)を選択した本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)及び本件発明5(6)に対するものであったところ、本件訂正により請求項1~3及び請求項5の選択肢(6)は削除された。
そうすると、本件発明1~3及び本件発明5は、引用文献2に記載された発明とはいえない。
したがって、本件発明1~3及び本件発明5は、特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
ウ 本件発明1~3及び本件発明5と引用発明3との対比・判断
上記1(1)ウ記載の取消理由は、訂正前の請求項1~3及び請求項5の選択肢において(6)を選択した本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)及び本件発明5(6)に関するものであったところ、本件訂正により請求項1~3及び請求項5の(6)は削除された。
そうすると、本件発明1~3及び本件発明5は、技術情報3に記載された発明とはいえないし、技術情報3に記載された発明及び技術情報3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
したがって、本件発明1~3及び本件発明5は、特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
エ 本件発明1~3及び本件発明5と引用発明4との対比・判断
上記1(1)エ記載の取消理由は、訂正前の請求項1~3及び請求項5の選択肢において(6)を選択した本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)及び本件発明5(6)に関するものであったところ、本件訂正により請求項1~3及び請求項5の(6)は削除された。
そうすると、本件発明1~3及び本件発明5は、引用文献4に記載された発明とはいえない。
したがって、本件発明1~3及び本件発明5は、特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
オ 本件発明1~3及び本件発明5と引用発明5との対比・判断
上記1(1)オ記載の取消理由は、訂正前の請求項1~3及び請求項5の選択肢において(6)を選択した本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)及び本件発明5(6)に関するものであったところ、本件訂正により請求項1~3及び請求項5の(6)は削除された。
そうすると、本件発明1~3及び本件発明5は、引用文献5に記載された発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、本件発明1~3及び本件発明5は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
カ 本件発明1~3及び本件発明5と引用発明6との対比・判断
上記1(1)カ記載の取消理由は、訂正前の請求項1~3及び請求項5の選択肢において(6)を選択した本件発明1(6)、本件発明2(6)、本件発明3(6)及び本件発明5(6)に関するものであったところ、本件訂正により請求項1~3及び請求項5の(6)は削除された。
そうすると、本件発明1~3及び本件発明5は、引用文献6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、本件発明1~3及び本件発明5は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
(4) 小括
前記(3)より、本件発明1~3及び本件発明5は、引用文献1~4に記載された発明ではなく、また、引用文献1~6に記載された発明及び引用文献1~6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 取消理由通知で採用しなかった異議申立理由についての当審の判断
1 申立人による申立ての理由の概要及び証拠
申立人は、その特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、本件訂正前の請求項1~5に係る発明を取り消すべき理由として、以下の(1)に概要を示す申立ての理由(以下、「申立理由1」~「申立理由3」という。)を主張するとともに、証拠方法として、以下の(2)に示す甲第1号証~甲第6号証(以下、それぞれ番号順に「甲1」等ともいう。)を提出した。なお、ここでいう「本件特許発明1」等の表記は、本件訂正前の本件特許の請求項1に係る発明等を意味するものである。また、申立理由の項目番号は、便宜のため当審合議体が付したものである。
(1) 申立人による申立ての理由の概要
ア 申立理由1(新規性欠如)、申立理由2(進歩性欠如)
(ア)甲1を主引例とする場合
本件特許発明1~5は、甲1記載の発明であるか、または甲1記載の発明及び甲1に記載された事項から当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第1項第3号あるいは特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(イ)甲2を主引例とする場合
本件特許発明1~5は、甲2記載の発明であるか、または甲2記載の発明及び甲2に記載された事項から当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第1項第3号あるいは特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(ウ)甲3を主引例とする場合
本件特許発明1~5は、甲3記載の発明であるか、または甲3記載の発明及び甲3に記載された事項から当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第1項第3号あるいは特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(エ)甲4を主引例とする場合
本件特許発明1~5は、甲4記載の発明であるか、または甲4記載の発明及び甲4に記載された事項から当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第1項第3号あるいは特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(オ)甲5を主引例とする場合
本件特許発明1~5は、甲5記載の発明及び甲5に記載された事項から当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(カ)甲6を主引例とする場合
本件特許発明1~5は、甲6記載の発明及び甲6に記載された事項から当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
イ 申立理由3(サポート要件非充足)
本件特許発明1~5は、以下の(ア)及び(イ)の点で、特許請求の範囲の記載に不備があるため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号により取り消されるべきである。
(ア) 本件発明の解決すべき課題は、「カプセル剤において、カプセル皮膜と充填内容物の液なじみをよくすることで、カプセル皮膜に充填内容物を内封させる際に、充填内容物の偏り、泡かみ、液漏れなどの発生を抑制し、製造効率がよく、品質が一定の経口組成物を提供する」ことであり、前記課題を解決するために、「充填内容物に胃腸薬系生薬又は胃腸消炎修復成分である(A)成分と、疎水性基材である(C)成分と非イオン性界面活性剤である(B)成分と、を共存させる」、という手段が開示されている。しかし、充填内容物の液なじみは共存させる(A)成分、(B)成分及び(C)成分の量比によって変わるもので、量比によっては充填内容物の液なじみが改善されないことは自明である一方、本件特許発明1~5では、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の量比を特定していない。また、本件特許の明細書では、段落[0049]、[0063]及び[0064]において各成分の量比の好ましい範囲に関する記載があるものの、対応する処方例を開示した実施例を参照しても、その量比の全範囲にわたって充填内容物の液なじみの改善が達成できるとは認識できない。
(イ) 本件特許の明細書には、カプセル剤の製造効率がよくなったことも、品質が一定となったことも、実施例などにおいて具体的に示されていないことから、本件特許が製造効率の改善や品質を一定化させることができるのかが、当業者に理解できない。また、本件特許の明細書では、完成したカプセル製剤の皮膜に対する液なじみが開示されているが、カプセル製剤は、内容物の充填後にカプセル皮膜を乾燥させて製造されるものであることから、完成したカプセル製剤の皮膜とカプセル製剤を製造する時の皮膜とは水分含有量が全く異なる。そうすると、乾燥した皮膜に対する充填内容物の液なじみが改善された場合であっても、乾燥前の皮膜に充填内容物を内封させる際に、内容物の偏り、泡かみ、液漏れなどの発生を抑制できるかどうかは全く予想できない。よって、本件発明が、製造効率の改善や品質を一定化させることができるのかが、当業者に理解できない。さらに、カプセル皮膜と充填内容物の液なじみがよくなることにより、直ちに製造効率がよくなったり、品質が一定となるとの技術常識はなく、当業者であればむしろ製造効率が低下したり、品質にばらつきが生じたりする可能性があると理解することから、カプセル皮膜と充填内容物の液なじみがよくなることと、製造効率がよくなったり、品質が一定となることとの因果関係が不明である。
(2) 申立人が提出した証拠(証拠方法)
甲第1号証:国際公開2005/097152号(上記取消理由通知の引用文献1)
(甲1) (2005年10月20日発行)
甲第2号証:特開2015-24979号公報(上記取消理由通知の引用文献2)
(甲2) (2015年2月5日発行)
甲第3号証:中央薬品株式会社「極撰ウコン プレミアム&NEXT」のWEBアーカイブ
(URL:http://web.archive.org/web/20120602011613/http://www.chuo-yakuhin.com:80/kenkousyokuhin/ukon-p_n.html)(上記取消理由通知の技術情報3)
(甲3) (令和5年7月21日作成)
甲第4号証:特開2010-222313号公報(上記取消理由通知の引用文献4)
(甲4) (2010年10月7日発行)
甲第5号証:特開2005-104886号公報(上記取消理由通知の引用文献5)
(甲5) (2005年4月21日発行)
甲第6号証: 特開2005-126414号公報(上記取消理由通知の引用文献6)
(甲6) (2005年5月19日発行)
甲第7号証: 薬剤学第5版
(甲7) (平成23年10月30日発行)
甲第8号証:特願2018-20527号の出願審査において提出された意見書
(甲8) (2022年2月25日受付)
甲第9号証:丸善 食品総合辞典
(甲9) (平成10年3月25日発行)
2 取消理由通知で採用しなかった異議申立理由
上記1に記載した異議申立理由のうち、取消理由通知で採用しなかったものは、申立理由1、申立理由2のうち本件発明4に対するもの、及び申立理由3である。
以下、これらの理由について検討する。
(1) 本件発明4に対する申立理由1(新規性欠如)及び申立理由2(進歩性欠如)について
ア 甲1を主引例とする場合
(ア)甲1には、以下の事項が記載されている。下線は当審合議体が付した。
甲1ア 請求の範囲
「[1]
ウコン抽出物を40重量%を超えて含有し、且つ、中鎖脂肪酸トリグリセリド及び/又は油脂及び/又はHLB値が8.5以下の親油性乳化剤からなることを特徴とするウコン抽出物含有組成物。
[2]
中鎖脂肪酸トリグリセリド及び/又はHLB値が8.5以下の親油性乳化剤からなることを特徴とする請求項1記載のウコン抽出物含有組成物。
[3]
親油性乳化剤がグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のウコン抽出物含有組成物。
…
[6]
親油性乳化剤がジグリセリンモノオレイン酸エステルであることを特徴とする請求項1又
は2に記載のウコン抽出物含有組成物。
…
[8]
請求項1~7の何れかに記載の組成物を封入してなるカプセル。」
甲1イ [0002]
「ショウガ科ウコン属に分類されるウコン(春ウコン:Curcuma aromatica、秋ウコン:Curcuma longa)は、一般的にはカレースパイスの一つであるターメリックとして知られており、広く食用として利用されている。一方、中国の漢方、インドのアーユルヴェーダ、インドネシアのジャムー等の伝統療法においては、止血作用、健胃作用、抗菌作用、抗炎症作用があることが古くから知られており、薬用としても利用されている。また、ウコン及び主要成分クルクミンの効能が着目され、抗酸化作用、胆汁分泌促進作用(利胆作用)、内臓(肝臓、膵臓)機能増強作用、発癌抑制作用、脂質代謝改善作用、美白作用等様々な生理作用が明らかにされてきている。更には、ウコン抽出物に、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症等のマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善する効果を有することが知られている(国際公開第02/47699号パンフレット)、ウコンは様々な機能を有する極めて有用な素材である。」
甲1ウ [0003]
「しかしながらウコン抽出物(ウコンオレオレジン)は、クルクミン及びクルクミン誘導体(クルクミノイド)の他にビサボラン型セスキテルペン等のテルペン類を含有している為、その性状は高粘度の油状で粘結性を呈し、流動性の悪さや容器等への付着の問題からそのままでは極めて扱いにくく、例えばソフトカプセル等へ封入することも極めて困難であった。」
甲1エ [0006]
「本発明の目的は、極めて有用な生理作用を有するウコン抽出物の利用に関し、上述の好ましくない性状を改善することで、流動性の悪さや容器等への付着の問題を解決し、そのままでは極めて扱いにくいウコン抽出物を高濃度に含有する組成物を提供することにある。」
甲1オ [0015]
「本発明に用いられる中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下MCTとも記載する)は、構成脂 肪酸残基として炭素数 6~10の脂肪酸残基を有するトリグリセリドである。」
甲1カ [0019]、[0020]
「…乳化剤としては、例えばモノグリセリン脂肪酸エステル、…、ポリグリセリン脂肪酸エステル、…等のグリセリン脂肪酸エステル類、…が挙げられ、…使用することができる。中でも、効果的に粘結性を改善できることからグリセリン脂肪酸エステル類が好ましくポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルがより好ましい。…ポリグリセリン脂肪酸エステルは構成脂肪酸の炭素数が6~22の脂肪酸であるものが例示され、中でも構成脂肪酸が不飽和脂肪酸であることが好ましく、例えば、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、…等が好適であり、より好ましくは、ジグリセリンモノオレイン酸エステルである。」
甲1キ [0028]
「上述の方法により調整されたウコン抽出物含有組成物は、そのまま食品へ添加することも可能であるが、より効果的に摂取するためにはカプセル形態とするのが好ましく、例えば、ソフトカプセル、ハードカプセル、シームレスカプセル等を用いることができる。」
甲1ク [0033]
「(実施例1)
ウコンオレオレジン(丸善製薬株式会社製:クルクミノイド31%、テルペン類39%含有)50重量%、MCT(理研ビタミン株式会社製、商品名:アクターM2)25重量%、ジグリセリンモノオレイン酸エステル(理研ビタミン株式会社製、商品名:ポエムDO-100V、HLB値=8.0)25重量%を用い、40℃加温条件下でパドルミキサーにより混合した。得られたウコン抽出物含有組成物は、流動性、付着性及び均一性が大きく改善され、即ち粘結性が大きく改善された非常に良好な性状を示した(表1)。」
甲1ケ [0041]
「(実施例9)
実施例1のウコン抽出物含有組成物300mg、ミツロウ30mgを均一に混合した後、ロータリー式ソフトカプセル製造装置を用いてゼラチン皮膜に圧入し、内容量330mgのソフトカプセル剤を得た。調合タンク内およびソフトカプセル製造装置内への付着による内容物の残存量はごく僅かであり、工業的に何ら問題のないことが確認された。」
(イ)甲1に記載された発明
上記甲1ケに記載されているウコン抽出物含有組成物は、甲1クの記載から、ウコンオレオレジン、MCT及びジグリセリンモノオレイン酸エステルを含む組成物である。
そして、前記文献1ケの「実施例1のウコン抽出物含有組成物」とミツロウとの混合物もまた、ウコンオレオレジン、MCT及びジグリセリンモノオレイン酸エステルを含む組成物であり、これを「ゼラチン皮膜に圧入」して得た「ソフトカプセル剤」は、ウコンオレオレジン、MCT及びジグリセリンモノオレイン酸エステルを含有する組成物が、ゼラチン皮膜に圧入されているソフトカプセル剤である。
また、上記甲1ウには、「ウコン抽出物(ウコンオレオレジン)」は「高粘度の油状で粘結性を呈し、流動性の悪さや容器等への付着の問題からそのままでは極めて扱いにくく、例えばソフトカプセル等へ封入することも極めて困難であった。」と記載されていることから、ウコン抽出物(ウコンオレオレジン)は流動性が悪く容器への付着性を有するものであったといえるところ、甲1クには、ウコンオレオレジン、MCT及びジグリセリンモノオレイン酸エステルを「混合」して「得られたウコン抽出物含有組成物は流動性、付着性及び均一性が大きく改善され」たことが記載され、また、甲1ケには、実施例1のウコン抽出物含有組成物とミツロウとを混合しゼラチン皮膜に圧入すると、「調合タンク内およびソフトカプセル製造装置内への付着による内容物の残存量はごく僅か」であったことが記載されていることから、ウコンオレオレジン、MCT及びジグリセリンモノオレイン酸エステルを含有する組成物を、ゼラチン皮膜に圧入することで、調合タンク内及びソフトカプセル製造装置内への付着性が改善されているといえる。
そして、前記文献1キの「調整されたウコン抽出物含有組成物は、そのまま食品へ添加することも可能であるが、より効果的に摂取するためには、カプセル形態とするのが好ましく、例えば、ソフトカプセル…等を用いることができる。」という記載から、前記「ソフトカプセル剤」は経口組成物であり、前記「ゼラチン皮膜」に圧入されたウコンオレオレジン、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む組成物もまた、「経口組成物」である。
ここで、前記文献1ウの「ウコン抽出物(ウコンオレオレジン)」という記載、前記文献1エの「中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下MCTとも記載する)」という記載から、前記「ウコンオレオレジン」及び「MCT」は、それぞれ、「ウコン抽出物」及び「中鎖脂肪酸トリグリセリド」と同義である。
そうすると、甲1には、次の発明が記載されているといえる。
「ウコン抽出物、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する経口組成物をゼラチン皮膜に圧入することを含む、経口組成物の調合タンク内およびソフトカプセル製造装置内への付着性を改善する方法。」(以下「甲1発明」という。)
(ウ)本件発明4と甲1発明との対比
本件発明4は、発明を特定するための事項が選択肢(1)~(21)で表現されており、前記選択肢のうち「(6)」を選択した場合の本件発明4を書き下すと次のとおりである。
「以下のいずれかの組み合わせを経口組成物に共存させること、及び、該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む、該カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法:
(6)(A)ウコンと、(B)非イオン性界面活性剤であって、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、POEソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種と、(C)疎水性基剤であって、中鎖脂肪酸トリグリセリド、小麦胚芽油、大豆油、ツバキ油、及び、サラシミツロウからなる群より選択される少なくとも1種(但し、(C)成分が、サラシミツロウの場合には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが併用される。)。」(以下「本件発明4(6)」という。)
本件発明4(6)と甲1発明とを対比すると、次のことがいえる。
甲1発明における「ウコン抽出物、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する経口組成物」と、本件発明4(6)における経口組成物とは、組成物成分の「組合せを経口組成物に共存させること」に関する点で共通する。
甲1発明における「経口組成物をゼラチン皮膜に圧入すること」は、本件発明4(6)における「経口組成物をカプセル皮膜に充填すること」に相当し、甲1発明における「ソフトカプセル剤」は、本件発明4(6)における「カプセル剤」に相当する。
甲1発明における「ウコン抽出物」について、前記甲1イには、ウコンには「健胃作用…があることが古くから知られており、薬用としても利用されている」と記載されていること、及び、甲1エには、「極めて有用な生理作用を有するウコン抽出物の利用に関し」と記載されていることから、前記「ウコン抽出物」は、その生理作用を利用するために配合されるものであるといえる。
本件発明4(6)における「(A)ウコン」について、本件特許の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の[0013]には、「(A)胃腸薬系生薬及び/又は胃腸消炎修復成分」と記載されており、同[0023]には、「胃腸薬系生薬のうち、ウコンは、…」と記載されていることから、前記「(A)ウコン」は、胃腸薬系生薬であるといえる。
そうすると、甲1発明における「ウコン抽出物」と本件発明4(6)における「(A)ウコン」とは、カプセル剤の有効成分である点で共通している。
甲1発明における「ジグリセリンモノオレイン酸エステル」について、前記甲1カには、「乳化剤としては、例えばモノグリセリン脂肪酸エステル、…、ポリグリセリン脂肪酸エステル、…等のグリセリン脂肪酸エステル類、…が挙げられ、…使用することができる。中でも、効果的に粘結性を改善できることからグリセリン脂肪酸エステル類が好ましくポリグリセリン脂肪酸エステル、…がより好ましい。…例えば、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、…等が好適であり、より好ましくは、ジグリセリンモノオレイン酸エステルである。」と記載されていることから、甲1発明における「ジグリセリンモノオレイン酸エステル」は、乳化作用を有する「グリセリン脂肪酸エステル」の一種であり、本件発明4(6)における「(B)グリセリン脂肪酸エステル」と「非イオン性界面活性剤」である点で、共通している。
そうすると、両者の一致点及び一応の相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「以下の組合せを経口組成物に共存させること、及び、該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む方法:有効成分と、非イオン性界面活性剤と、(C)中鎖脂肪酸トリグリセリド。」
<相違点1>
有効成分が、本件発明4(6)においては、「(A)ウコン」であるのに対して、甲1発明においては、「ウコン抽出物」である点。
<相違点2>
非イオン性界面活性剤が、本件発明4(6)においては、「(B)グリセリン脂肪酸エステル」であるのに対して、甲1発明においては、「ジグリセリンモノオレイン酸エステル」である点。
<相違点3>
方法が、本件発明4(6)においては、「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」であるのに対して、甲1発明においては、「経口組成物の調合タンク内およびソフトカプセル製造装置内への付着性を改善する方法」である点。
(エ)判断
a 申立理由1(新規性欠如)について
上記(ウ)のとおり、本件発明4(6)と甲1発明とは、相違点1~相違点3の点で相違し、これらは実質的な相違点であるから、本件発明4(6)は、甲1に記載された発明ではない。
よって、本件発明4(6)は、甲1に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
b 申立理由2(進歩性欠如)について
事案に鑑み、相違点3について検討する。
甲1ウの「しかしながらウコン抽出物(ウコンオレオレジン)は、クルクミン及びクルクミン誘導体(クルクミノイド)の他にビサボラン型セスキテルペン等のテルペン類を含有している為、その性状は高粘度の油状で粘結性を呈し、流動性の悪さや容器等への付着の問題からそのままでは極めて扱いにくく、例えばソフトカプセル等へ封入することも極めて困難であった。」という記載を踏まえると、甲1発明は、ウコン抽出物自体が高粘度の油状物質であり、流動性の悪さや容器等への付着の問題があったところ、甲1オ及び甲1カに記載されているトリグリセリド及び乳化剤を配合することで流動性及び容器等への付着性を改善したものである。
一方、本件明細書[0009]には、「本発明者らは、(A)胃腸薬系生薬及び/又は胃腸消炎修復成分(以下、本明細書において(A)成分ともいう)と、(C)疎水性基剤(以下、本明細書において(C)成分ともいう)とを含有する組成物は、カプセル皮膜との動的接触角が上昇し、液なじみが悪くなるという新規の課題を見出した。また、本発明者らは、(B)非イオン性界面活性剤(以下、本明細書において(B)成分ともいう)と、(C)疎水性基剤とが共存すると、動的接触角が上昇し、この組合せにおいても液なじみが悪くなる課題があることを見出した。本発明者らは、これらの課題に着目し、鋭意検討を行った結果、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を共存させることで、液なじみが効果的に改善することを見出し、本発明を完成するに至った。」と記載されていることから、本件発明4(6)は、(A)成分と(C)成分、(B)成分と(C)成分の特定の組み合わせにおいて、カプセル充填内容物のカプセル皮膜に対する液なじみが悪くなる課題を新たに見いだし、(A)成分、(B)成分、(C)成分の組み合わせを経口組成物に共存させることで、当該経口組成物にカプセル皮膜への液なじみ改善作用を付与するものであるから、甲1発明において、「経口組成物の調合タンク内およびソフトカプセル製造装置内への付着性を改善する方法」に換えて、「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」とする動機付けは認められない。
c そうすると、本件発明4(6)は、甲1に記載された発明及び甲1に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
(オ) 申立人の主張について
申立人は、(C)疎水性基材に(B)非イオン性界面活性剤を共存させると、界面活性機能によって(C)疎水性基材と水性のカプセル皮膜との液なじみが改善するのが通常である旨、実験データを示しつつ主張するとともに、ジグリセリンモノオレイン酸エステルは乳化剤として周知の成分であるところ、甲1発明において充填内容物に、乳化剤であるジグリセリンモノオレイン酸エステルを配合することで、表面張力が低下し、動的接触角(前進角)が小さくなることは、当業者に自明であるから、甲1発明において液なじみ改善作用を付与されていることは当業者に自明であるか、容易に理解できることである、と主張しているが、新規性・進歩性の判断については上記(エ)に記載したとおりであるから、申立人の主張は採用できない。
イ 甲2を主引例とする場合
(ア)甲2には、以下の事項が記載されている。
甲2ア [0002]
「ソフトカプセル及び液体充填ハードカプセルは、通常、水溶性のカプセル皮膜内に内容液を注入(充填)したものであり、水に接触させるとカプセル皮膜が溶解して内容液を放出することを利用して、上記製品の分野で製剤化されており、胃腸等の消化器官や入浴時の湯、芳香剤中の水等がカプセル皮膜の溶解用の水や水溶液として利用されている。上記したソフトカプセル及び液体充填ハードカプセルは、内容液に水、水溶液を含むと、カプセル皮膜が溶け易く、外部の温度、湿度、包装形態にもよるが、通常の室温保管では、注入後の製造工程、流通段階、保管中に内容液を漏出し、製品として機能しなくなるので、内容液の基剤は大半が油液になっている。…」
甲2イ [0003]、[0004]
「内容液の基剤が油液だと、唾液、胃液、腸液あるいは入浴時の湯、芳香剤の水等には溶解、拡散し難い場合があり、PEG400~1000に代わって食品用にもなる基剤が求められている。それ故、本発明は、上記の課題を解決する、食品用にもできる親水性基剤を内容液とする新規なソフトカプセル及び液体充填ハードカプセルを提供することを目的とする。・・・鋭意検討した結果、健康食品の主成分、有効成分として一部に使われており、それ自体が健康食品としても有用な以下の成分が該当することを発見し、これらを内容液の親水性基剤として用いたソフトカプセル及び液体充填ハードカプセルを提案するに至った。この新規の親水性基剤はポリデキストロース、キシロオリゴ糖、またはL-カルニチンの水溶液である。」
甲2ウ [0015]
「(製造方法)
カプセル剤は、常法により製造できる。例えば、ハードカプセル剤の場合には成型した空カプセルに内容液を充填して封止することで製造でき、ソフトカプセル剤の場合には金型が回転式のロータリーダイを利用して、二枚の皮膜シートの間にその内容液をそのまま充填しながら立体成型することで製造できる。」
甲2エ [0016]~[0018]
「このポリデキストロース、キシロオリゴ糖、L-カルニチンを基剤とし、代表的な健康食品成分であるビタミンC、ウコン粉末、コエンザイムQ10、水性エキスである黒酢エキス、梅エキスをそれぞれ目的成分として配合したものを内容液としたソフトカプセル剤と、対照として基剤に従来技術の代表的油液を用いたソフトカプセル剤を製造した。そして、それらの安定性および人工腸液への溶解性(体内吸収パラメーター)を比較した。
…
本試験の処方および評価結果を以下の表1~5に示す。」
甲2オ [0020][表2]
「
[図:0001413322000001.jpg]
」
(イ)甲2に記載された発明
上記甲2オに記載された「比較品2」の組成物は、ウコン粉末、MCT、ミツロウ+グリセリン脂肪酸エステルからなるものであり、前記「MCT」が「中鎖脂肪酸トリグリセリド」と同義であることは技術常識である(要すれば、上記文献1エを参照。)。
そして、先行する上記甲2エには、「対照として基剤に従来技術の代表的油液を用いたソフトカプセル剤を製造した」と記載されていることから、前記「比較品2」は、「基剤に従来技術の代表的油液を用いたソフトカプセル剤」の内容物と認められ、甲2ウには、「ソフトカプセル剤の場合には金型が回転式のロータリーダイを利用して、二枚の皮膜シートの間にその内容液をそのまま充填しながら立体成型することで製造できる」と記載されていることから、前記「比較品2」のウコン粉末、グリセリン脂肪酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む組成物は、「皮膜シート」の間に充填されてソフトカプセル剤に製剤化されたものと認められる。
また、甲2エには、「人工腸液への溶解性(体内吸収パラメーター)を比較した」と記載されていることから、前記ソフトカプセル剤は、経口組成物として製造されていることは明らかであり、その内容液である比較品2の組成物もまた経口組成物であるといえる。
上記甲2オの比較品2の組成及び上記甲2ウの「ソフトカプセル剤の場合には金型が回転式のロータリーダイを利用して、二枚の皮膜シートの間にその内容液をそのまま充填しながら立体成型することで製造できる」なる記載から、甲2には、ソフトカプセル剤の製造方法に係る「充填」の工程も記載されている。
そうすると、甲2には、次の発明が記載されているといえる。
「ウコン粉末、グリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する経口組成物を皮膜シートの間に充填することを含む、ソフトカプセル剤の製造方法。」(以下「甲2発明」という。)
(ウ)本件発明4(6)と甲2発明との対比
甲2発明における「ウコン粉末、グリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する経口組成物」と、本件発明4(6)における経口組成物とは、組成物成分の「組合せを経口組成物に共存させること」に関する点で共通する。
甲2発明における「経口組成物を皮膜シートの間に充填すること」は、本件発明4(6)における「経口組成物をカプセル皮膜に充填すること」に相当し、甲2発明における「ソフトカプセル剤」は、本件発明4(6)における「カプセル剤」に相当する。
甲2発明における「ウコン粉末」と本件発明4(6)における「(A)ウコン」とは、カプセル剤の有効成分である点で共通している(本件明細書の[0013]、[0023]を参照)。
そうすると、両者の一致点及び一応の相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「以下の組合せを経口組成物に共存させること、及び、該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む方法:有効成分と、(B)グリセリン脂肪酸エステルと、(C)中鎖脂肪酸トリグリセリド。」
<相違点4>
有効成分が、本件発明5(6)においては、「(A)ウコン」であるのに対して、甲2発明においては、「ウコン抽出物」である点。
<相違点5>
方法が、本件発明4(6)においては、「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」であるのに対して、甲2発明においては、「ソフトカプセル剤の製造方法」である点。
(エ)判断
a 申立理由1(新規性欠如)について
上記(ウ)のとおり、本件発明4(6)と甲2発明とは、相違点4、相違点5の点で相違し、これらは実質的な相違点であるから、本件発明4(6)は、甲2に記載された発明ではない。
よって、本件発明4(6)は、甲2に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
b 申立理由2(進歩性欠如)について
事案に鑑み、相違点5について検討する。
前記甲2ア及びイの記載から、甲2発明は、従来のソフトカプセル及び液体充填ハードカプセルは「内容液に水、水溶液を含むと、カプセル皮膜が溶け易く」、「内容液の基剤は大半が油液」となっていたところ、「ポリデキストロース、キシロオリゴ糖、またはL-カルニチンの水溶液」を内容液の親水性基剤として含む新規なソフトカプセル及び液体充填ハードカプセルを提供することを目的とするものである。そうすると、甲2発明の認定の基礎となった、甲2オの比較品2は従来技術の代表的油液として記載されているものであるから、敢えて当業者が甲2発明である「ソフトカプセル剤の製造方法」に着目し、相違点5に係る構成である「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」とする動機付けは認められない。
c そうすると、相違点4について検討するまでもなく、本件発明4(6)は、甲2に記載された発明及び甲2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
(オ)申立人の主張について
申立人は、甲2発明において、カプセル内容液に、分散剤としての乳化剤であるグリセリン脂肪酸エステルを配合することで、表面張力が低下し、動的接触角(前進角)が小さくなることは、当業者に自明であり、甲2製法発明は、カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用をカプセル内容液に付与する方法でもあると理解される、と主張しているが、甲2発明は上記(イ)で認定したとおりであり、新規性・進歩性の判断についても(エ)で記載したとおりであるから、申立人の主張は採用できない。
ウ 甲3を主引例とする場合
(ア)甲3には、以下の事項が記載されている。
甲3ア ウェブページ中央のカラムの第1~11行
「ウコン(英名ターメリック)はインド原産のショウガ科の多年草で「体を元気にする薬草」として古くからインドや中国で使用されてきました。…本品はこれらに加え、大豆レシチン、シソ油、ビタミンE、ギャバ等をバランスよく配合した健康補助食品です。
《クルクミン》
ウコンはインド原産のショウガ科の多年草で、クルクミンが豊富に含まれており、健康に役立つ食品として古くから食生活に用いられています。」
甲3イ ウェブページ中央のカラムの下部、「原材料名」の項
「シソ油、ウコン抽出物、大豆油、トルラ酵母エキス(システインペプチド)、マリアアザミ抽出物(シリマリン含有)、ビタミンE含有植物油、L-オルニチン塩酸塩、ギャバ(γ-アミノ酪酸)、グリセリン脂肪酸エステル、ミツロウ、レシチン(大豆由来)、DLアラニン」
甲3ウ ウェブページ下部、「栄養成分表示」及び「主要成分量表示」の表
「
[図:0001413322000002.jpg]
」
甲3エ ウェブページ左カラム、第1番目の表
「
[図:0001413322000003.jpg]
」
(イ)甲3に記載された発明
甲3アには、「健康補助食品」と記載され、甲3ウには、「栄養成分表示(3カプセル中)」及び「主要成分量表示(3カプセル中)」と記載されていることから、甲3には、カプセル剤の形態の健康補助食品が記載されている。
甲3アには、「ウコンはインド原産のショウガ科の多年草で、クルクミンが豊富に含まれており」と記載され、甲3ウには、「主要成分量表示」中に「クルクミン」と記載されていることから、甲3イの「原材料名」中の「ウコン抽出物」は、カプセル剤の皮膜成分ではなく、内容物である。
また、原材料名に記載される成分は、配合量の多い順に記載されるのが通常であるところ、甲3イの「原材料名」欄には、「シソ油、ウコン抽出物、大豆油」と記載されていることから、常温で液状の「大豆油」等の植物油もカプセル剤の内容物である。また、液状油を含むカプセル剤において「グリセリン脂肪酸エステル」が添加されることは技術常識であることをふまえると(要すれば、上記甲2エ及び甲2オの「比較品2」を参照)、甲3のカプセル剤の原材料中のグリセリン脂肪酸エステルもまた、カプセル剤の内容物である。
そして、甲3に記載されるカプセル剤は、健康食品であるから、経口組成物であることは明らかであって、その内容物もまた経口組成物である。
また、甲3は、甲3エのように、販売商品を掲載したものであるから、前記カプセル剤が実際に製造されたことは明らかである。
そうすると、甲3には、次の発明が記載されているといえる。
「ウコン抽出物、グリセリン脂肪酸エステル、ダイズ油を含有する経口組成物を含む、カプセル剤が製造されたこと。」(以下「甲3発明」という。)
(ウ)本件発明4(6)と甲3発明との対比
甲3発明における「ウコン抽出物、グリセリン脂肪酸エステル、ダイズ油を含有する経口組成物」と、本件発明4(6)における経口組成物とは、組成物成分の「組合せを経口組成物に共存させること」に関する点で共通する。
甲3発明における「ウコン抽出物」について、甲3アには、「ウコン(英名ターメリック)はインド原産のショウガ科の多年草で「体を元気にする薬草」として古くからインドや中国で使用されてきました。…本品はこれらに加え、…等をバランスよく配合した健康補助食品です。…ウコンはインド原産のショウガ科の多年草で、クルクミンが豊富に含まれており、健康に役立つ食品として古くから食生活に用いられています。」と記載されているから、前記「ウコン抽出物」は、カプセル剤の健康補助成分であるといえるところ、本件発明4(6)における「(A)ウコン」は、胃腸系生薬として配合されているものであるから(本件明細書の[0013]、[0023]を参照)、甲3発明における「ウコン抽出物」と本件発明4(6)における「(A)ウコン」とは、カプセル剤の有効成分である点で共通している。
また、甲3発明における「ダイズ油」は、本件発明4(6)における「大豆油」に相当する。
そうすると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「以下の組合せを経口組成物に共存させること:有効成分と、(B)グリセリン脂肪酸エステルと、(C)大豆油。」
<相違点6>
有効成分について、本件発明4(6)においては、「(A)ウコン」であるのに対して、甲3発明においては、「ウコン抽出物」である点。
<相違点7>
本件発明4(6)においては、「該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む」と特定されているのに対し、甲3発明においては、そのような工程が特定されていない点。
<相違点8>
本件発明4(6)においては、「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」であるのに対して、甲3発明においては、「カプセル剤が製造されたこと」である点。
(エ)判断
a 申立理由1(新規性欠如)について
上記(ウ)のとおり、本件発明4(6)と甲3発明とは、相違点6~相違点8の点で相違し、これらは実質的な相違点であるから、本件発明4(6)は、甲3に記載された発明ではない。
よって、本件発明4(6)は、甲3に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
b 申立理由2(進歩性欠如)について
事案に鑑み、相違点8について検討する。
甲3発明はカプセル剤を製造したことが記載されているにすぎないことから、甲3発明を「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する」方法とする動機付けは認められない。
c そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4(6)は、甲3に記載された発明及び甲3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
(オ)申立人の主張について
申立人は、甲3発明において、グリセリン脂肪酸エステルは乳化剤として周知の成分であり、乳化剤が、それを含む組成物の表面張力を低下させ、液なじみ改善作用が得られることは自明であるか、又は容易に理解できることである、と主張しているが、新規性・進歩性の判断については上記(エ)で記載したとおりであるから、申立人の主張は採用できない。
エ 甲4を主引例とする場合
(ア)甲4には、以下の事項が記載されている。
甲4ア 特許請求の範囲
「[請求項1]
ショウガ科マンゴージンジャー(Curcuma amada ROXB.)の植物体またはその抽出物を含むヒアルロン酸産生促進剤。」
甲4イ [0022]~[0024]
「本発明で用いるマンゴージンジャー(Curcuma amada ROXB.)はショウガ科ウコン属に属する植物で、インドの野生に分布または栽培される一年草本である。
…
マンゴージンジャー(C. amada)は生のままでも乾燥したものでも使用することができるが、使用性、製剤化等の点から乾燥粉末あるいは溶媒抽出物として用いることが好ましい。
…
マンゴージンジャーの使用部位としては、全草、葉、塊根、花、種子等、任意に用いられ得る。中でも塊根部が好ましく用いられる。…」
甲4ウ [0039]
「本発明のヒアルロン酸産生促進剤を飲食品や飼料等に配合する場合、マンゴージンジャー抽出物の配合量(乾燥質量)は、それらの種類、目的、形態、利用方法などに応じて、適宜決めることができ、例えば、飲食品全量中に錠剤やカプセル剤等の場合は1~90質量%が好ましく、その他の飲食品では0.001~50質量%が好ましい。…」
甲4エ [0041]
「本発明のヒアルロン酸産生促進剤を医薬製剤として用いる場合、該製剤は経口的にあるいは非経口的(静脈投与、腹腔内投与、等)に適宜に使用される。剤型も任意で、例えば…カプセル剤等の経口用固形製剤や、…など、いずれの形態にも公知の方法により適宜調製することができる。…」
甲4オ [0044]
「…
・マンゴージンジャー抽出物:「マンゴージンジャー乾燥エキスF」(丸善製薬(株))を用いた。
…」
甲4カ [0047]
「以下に配合処方例を示す。…」
甲4キ [0050]
「[配合例3:ソフトカプセルA]
食用大豆油 528mg
ヒアルロン酸産生促進剤 136mg
(内訳)マンゴージンジャー抽出物 50mg
コラーゲンペプチド 70mg
ユズ種子抽出物 16mg
ハス胚芽抽出物 16mg
ローヤルゼリー 70mg
マカ 60mg
GABA(=γ-アミノ酪酸) 38mg
ミツロウ 60mg
ゼラチン 375mg
グリセリン 112mg
グリセリン脂肪酸エステル 105mg
(合計)1500mg」
(イ)甲4に記載された発明
甲4カに記載された「配合処方例」の一つである、甲4キの「ソフトカプセルA」の配合処方中には、食用大豆油、マンゴージンジャー抽出物、ゼラチン、グリセリン及びグリセリン脂肪酸エステルが含まれ、このうち、ゼラチン及びグリセリンは、技術常識からみてソフトカプセル皮膜の材料であることは明らかであるから、前記ソフトカプセルの内容物は、食用大豆油、マンゴージンジャー抽出物及びグリセリン脂肪酸エステルを含む組成物であるといえる。
また、甲4ウには、「飲食品全量中に錠剤やカプセル剤等の場合」と記載され、甲4エには、「例えば…カプセル剤等の経口用固形製剤」と記載されていることから、前記「ソフトカプセルA」は経口組成物であるといえ、その内容物もまた経口組成物である。
甲4エには、「剤型も任意で、例えば…カプセル剤等の経口用固形製剤や、…など、いずれの形態にも公知の方法により適宜調製することができる」と記載されているから、甲4には、次の発明が記載されているといえる。
「マンゴージンジャー抽出物、グリセリン脂肪酸エステル及び食用大豆油を含有する経口組成物を含むソフトカプセル剤を公知の方法で調製する方法。」(以下「甲4発明」という。)
(ウ)本件発明4(6)と甲4発明との対比
甲4発明における「マンゴージンジャー抽出物、グリセリン脂肪酸エステル及び食用大豆油を含有する経口組成物」と、本件発明4(6)における経口組成物とは、組成物成分の「組合せを経口組成物に共存させること」に関する点で共通する。
甲4発明における「ソフトカプセル剤」は、本件発明4(6)における「カプセル剤」に相当する。
甲4発明における「マンゴージンジャー抽出物」と本件発明4(6)の「(A)ウコン」とは、カプセル剤の有効成分である点で共通している(本件明細書の[0013]、[0023]を参照)。
そうすると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「以下の組合せを経口組成物に共存させることを含む方法:有効成分と、(B)グリセリン脂肪酸エステルと、(C)大豆油。」
<相違点9>
有効成分が、本件発明4(6)においては、「(A)ウコン」であるのに対して、甲4発明においては、「マンゴージンジャー抽出物」である点。
<相違点10>
製造方法が、本件発明4(6)においては、さらに、「該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む」と特定されているのに対し、甲4発明においては、そのような工程が特定されていない点。
<相違点11>
本件発明4(6)においては、「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」であるのに対して、甲4発明においては、「ソフトカプセル剤を公知の方法で調製する方法」である点。
(エ)判断
a 申立理由1(新規性欠如)について
上記(ウ)のとおり、本件発明4(6)と甲4発明とは、相違点9~相違点11の点で相違し、これらは実質的な相違点であるから、本件発明4(6)は、甲4に記載された発明ではない。
よって、本件発明4(6)は、甲4に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
b 申立理由2(進歩性欠如)について
事案に鑑み、相違点11について検討する。
甲4発明はソフトカプセル剤を公知の方法で調製する方法が記載されているにすぎないことから、甲4発明を「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する」方法とする動機付けは認められない。
c そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4(6)は、甲4に記載された発明及び甲4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
(オ)申立人の主張について
申立人は、甲4発明において、グリセリン脂肪酸エステルは乳化剤として周知の成分であり、乳化剤が、それを含む組成物の表面張力を低下させ、液なじみ改善作用が得られることは自明であるか、又は容易に理解できることである、と主張しているが、新規性・進歩性の判断については上記(エ)で記載したとおりであるから、申立人の主張は採用できない。
オ 甲5を主引例とする場合
(ア)甲5には、以下の事項が記載されている
甲5ア 特許請求の範囲
「[請求項1]
ショウガ科マンゴージンジャー(Curcuma amada ROXB.)の抽出物を含むコラーゲン合成促進剤。
[請求項2]
ショウガ科マンゴージンジャー(Curcuma amada ROXB.)の抽出物を含む線維芽細胞増殖促進剤。
[請求項3]
ショウガ科マンゴージンジャー(Curcuma amada ROXB.)の抽出物を含むサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤。
[請求項4]
ショウガ科マンゴージンジャー(Curcuma amada ROXB.)の抽出物を含むチロシナーゼ阻害剤。
[請求項5]
ショウガ科マンゴージンジャー(Curcuma amada ROXB.)の抽出物を含む血小板凝集抑制剤。
…
[請求項7]
請求項1から5のいずれかに記載のマンゴージンジャーの抽出物を有効成分として含有する飲食品。」
甲5イ [0013]
「前記マンゴージンジャー(Mango ginger)は、ショウガ科に属する植物で、学名:Curcuma amada ROXB.といい、インドの野生に分布又は栽培される一年生草本であり、高さ60~90cm、根茎は太く円筒状、淡桃色で生のマンゴーの香がするものである。
ここで、前記マンゴージンジャーの根茎部は、古くから胆汁症、皮膚病、気管支炎、損傷による炎症に効果があるとされ、インドでは調味料として利用されており、その他の効果としては、解熱作用、健胃作用、駆風作用等が確認されている。…」
甲5ウ [0033]
「前記油脂類としては、例えば、大豆油、アマニ油、ゴマ油、ヌカ油、綿実油、ナタネ油、サフラワー油、トウモロコシ油、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、ヒマシ油、落花生油、カカオ油、パーム核油、牛脂、ミンク油、ホホバ油、月見草油、馬油、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。」
甲5エ [0043]
「…
また、本発明の飲食品は飲料、ハードカプセル、ソフトカプセル、顆粒などの形状に形態に加工することにより簡便に飲食でき、広範囲に利用することが可能である。」
甲5オ [0073]
「(実施例9)
-カプセル剤-
下記の原料を混合し、打ち抜き法によりソフトカプセル状の健康食品を製造した。
マンゴージンジャー50質量%エタノール抽出物(製造例1) 90g
ウコンオレンジオレジンターメリック 25g
植物油 113g
グリセリン脂肪酸エステル 12g
ミツロウ 60g
計 300g
(イ)甲5に記載された発明
甲5オには、「カプセル剤」と記載され、また、「下記の原料を混合し、打ち抜き法によりソフトカプセル状の健康食品を製造した。」と記載されていることから、前記「カプセル剤」は、ソフトカプセル剤である。
甲5オの下線部の記載から、前記ソフトカプセル剤は、「マンゴージンジャー50質量%エタノール抽出物(製造例1)」、植物油及びグリセリン脂肪酸エステル等の「原料を混合し、打ち抜き法により」製造した「健康食品」、すなわち、経口組成物であるから、前記混合物もまた、経口組成物である。
上記甲5アのとおり、ソフトカプセル剤は「打ち抜き法」で製造されているから、甲5には、次の発明も記載されているといえる。
「マンゴージンジャー抽出物、グリセリン脂肪酸エステル及び植物油を含有する経口組成物を用いた、打ち抜き法によるソフトカプセル剤の製造方法。」(以下「甲5発明」という。)
(ウ)本件発明4(6)と甲5発明との対比
甲5発明における「マンゴージンジャー抽出物、グリセリン脂肪酸エステル及び植物油を含有する経口組成物」と、本件発明4(6)における経口組成物とは、組成物成分の「組合せを経口組成物に共存させること」に関する点で共通する。
甲5発明における「ソフトカプセル剤」は、本件発明4(6)における「カプセル剤」に相当する。
甲5発明における「マンゴージンジャー抽出物」と本件発明4(6)の「(A)ウコン」とは、カプセル剤の有効成分である点で共通している(本件明細書の[0013]、[0023]を参照)。
甲5発明における「植物油」は、本件発明4(6)の「疎水性基剤」に相当する。
そうすると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「以下の組合せを経口組成物に共存させることを含む方法:有効成分と、(B)グリセリン脂肪酸エステルと、疎水性基剤。」
<相違点12>
有効成分が、本件発明4(6)においては、「(A)ウコン」であるのに対して、甲5発明においては、「マンゴージンジャー抽出物」である点。
<相違点13>
疎水性基剤が、本件発明4(6)においては、大豆油、ツバキ油であるのに対して、甲5発明においては植物油である点。
<相違点14>
本件発明4(6)においては、さらに、「該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む」と特定されているのに対し、甲5発明においては、そのような工程が特定されていない点。
<相違点15>
方法が、本件発明4(6)においては、「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」であるのに対して、甲5発明においては、「打ち抜き法によるソフトカプセル剤の製造方法」である点。
(エ)判断
a 申立理由2(進歩性欠如)について
事案に鑑み、相違点15について検討する。
甲5発明はソフトカプセル剤の「製造方法」に関するものであることから、甲5発明を「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」とする動機付けは認められない。
b そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4(6)は、甲5に記載された発明及び甲5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
(オ)申立人の主張について
申立人は、甲5発明において、乳化剤であるグリセリン脂肪酸エステルが「原料混合物」の表面張力を低下させ、液なじみ改善作用が得られることは自明であるか、又は容易に理解できることであり、甲5発明は、ソフト皮膜カプセルに対する液なじみ改善作用を原料混合物に付与する方法でもある、と主張しているが、新規性・進歩性の判断については上記(エ)で記載したとおりであるから、申立人の主張は採用できない。
カ 甲6を主引例とする場合
(ア)甲6には、以下の事項が記載されている
甲6ア 特許請求の範囲
「[請求項1]
乳化剤とジアシルグリセロールと生薬成分とを含有することを特徴とする生薬成分含有組成物。」
甲6イ [0008]
「本発明を完成するに当たり、実施形態では、生薬として秋ウコンの根茎(学名curcuma longa)を、秋ウコンの根茎に含有される有効な脂溶性成分として乾燥根茎に数%含有されるクルクミン(curcumin C21H20O6)を使用した。」
甲6ウ [0009]
「…したがって本発明においては生薬成分を抽出する溶媒としては主としてジアシルグリセロールを使用するが、必ずしも高濃度の生薬成分を必要としない場合においては他の食用油も使用する。」
甲6エ [0020]
「又、トリアシルグリセロールは食用油の主成分をなし、約80%~99%を占める。食用油には、大豆油、オリーブ油、ゴマ油、菜種油、コーン油、椰子油、落花生油、胚芽油、シソ油などの植物油。もしくは、牛脂、ラード、肝油、魚油、卵油、烏骨鶏卵油、蛇油、EPA、DHAなどの動物油。もしくはこれらの油を加工して得られたスクワラン、スクワレンなどの食用に供される油であり、本発明では、これらの食用油をまとめてトリアシルグリセロール系食用油と称する。脂溶性成分を抽出する溶媒としてジアシルグリセロール単独及び/又はトリアシルグリセロール系食用油より選ばれた油が使用される。あるいは、脂溶性成分をそれほど高濃度に抽出する必要がない場合にはトリアシルグリセロール系食用油が単独でも使用される。」
甲6オ [0022]
「
[図:0001413322000004.jpg]
」
甲6カ [0034]
「ジアシルグリセロール70gとオリーブ油30g合計100gにレシチン5gとW/O型乳化剤グリセリン脂肪酸エステル2gを添加し、60℃に加熱して溶解する。これに秋ウコン根茎粉末50gを加えて攪拌しながら90~100℃で約30分加熱抽出する。得られたどろどろのクルクミンを高濃度に含有する生薬成分含有組成物はそのままソフトカプセルに包み健康食品とする。」
(イ)甲6に記載された発明
甲6カには、「…とオリーブ油…に…グリセリン脂肪酸エステル…を添加し、60℃に加熱して溶解する。これに秋ウコン根茎粉末…を加えて攪拌しながら90~100℃で約30分加熱抽出する。得られたどろどろのクルクミンを高濃度に含有する生薬成分含有組成物はそのままソフトカプセルに包み健康食品とする。」と記載されていることから、甲6カに記載された「健康食品」は、「生薬成分含有組成物」が「ソフトカプセルに包」まれたソフトカプセル剤であり、前記「生薬成分含有組成物」は、オリーブ油、グリセリン脂肪酸エステル及び秋ウコン根茎粉末を含むものである。
また、健康食品であるソフトカプセル剤は経口組成物であるから、その内容物である「生薬成分含有組成物」もまた、経口組成物である。
甲6には、経口組成物をソフトカプセルに包むという工程を経て、ソフトカプセル剤を製造することが記載されているから、甲6には、次の発明が記載されているといえる。
「秋ウコン根茎粉末、グリセリン脂肪酸エステル、オリーブ油を含有する経口組成物をソフトカプセルで包むことを含む、ソフトカプセル剤の製造方法。」(以下、「甲6発明」という)
(ウ)本件発明4(6)と甲6発明との対比
甲6発明における「秋ウコン根茎粉末、グリセリン脂肪酸エステル、オリーブ油を含有する経口組成物」と、本件発明4(6)における経口組成物とは、組成物成分の「組合せを経口組成物に共存させること」に関する点で共通する。
甲6発明における「経口組成物をソフトカプセルで包むことを含む、ソフトカプセル剤の製造方法」について、前記「ソフトカプセルで包む」の部分の「ソフトカプセル」が「ソフトカプセル皮膜」であることは明らかであるから、甲6発明の「経口組成物をソフトカプセルで包むこと」は、本件発明4(6)の「経口組成物をカプセル皮膜に充填すること」に相当する。
甲6発明における「秋ウコン根茎粉末」と本件発明4(6)における「(A)ウコン」とは、カプセル剤の有効成分である点で共通している(本件明細書の[0013]、[0023]を参照)。
甲6発明における「オリーブ油」は、本件発明4(6)における「疎水性基剤」に相当する。
そうすると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「以下の組合せを経口組成物に共存させること、及び、該経口組成物をカプセル皮膜に充填することを含む方法:有効成分と、(B)グリセリン脂肪酸エステルと、疎水性基剤。」
<相違点16>
有効成分が、本件発明4(6)においては、「(A)ウコン」であるのに対して、甲6発明においては、「秋ウコン根茎粉末」である点。
<相違点17>
疎水性基剤が、本件発明4(6)においては、大豆油であるのに対して、甲6発明においては、オリーブ油である点。
<相違点18>
方法が、本件発明4(6)においては、「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」であるのに対して、甲6発明においては、「ソフトカプセル剤の製造方法」である点。
(エ)判断
a 申立理由2(進歩性欠如)について
事案に鑑み、相違点18について検討する。
甲6発明はソフトカプセル剤の「製造方法」に関するものであることから、甲6発明を「カプセル皮膜に対する液なじみ改善作用を該経口組成物に付与する方法」とする動機付けは認められない。
b そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4(6)は、甲6に記載された発明及び甲6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由は、その理由がない。
(オ)申立人の主張について
申立人は、甲6発明において、乳化剤であるグリセリン脂肪酸エステルが「生薬成分含有組成物」の表面張力を低下させ、液なじみ改善作用が得られることは自明であるか、又は容易に理解できることであり、甲6発明は、ソフト皮膜カプセルに対する液なじみ改善作用を原料混合物に付与する方法でもある、と主張しているが、新規性・進歩性の判断については上記(エ)で記載したとおりであるから、申立人の主張は採用できない。
(2) 申立理由3(サポート要件非充足性)について
ア サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
そこで、この観点に沿って、以下検討する。
イ 本件発明1について
(ア) 本件発明1は、前記第3で記載したとおりのものである。
(イ) 本件発明1の課題について
本件の発明の詳細な説明(以下、「発明の詳細な説明」という。)の第0007段落から第0009段落には、次のとおりに記載されている。
[0007]
「カプセル剤、特に軟カプセル剤は、製造方式に関わらず、カプセル皮膜に充填内容物を内封させる際に、両者の液なじみが悪いと、充填内容物の偏り、泡かみ、液漏れなどが生じる恐れがある。それにより製造効率が低下したり、医薬製品の作用や品質の均一性等が損なわれる恐れがある。」
[0008]
「よって、本発明は、カプセル皮膜と充填内容物の液なじみが良好で、製造効率が良く、品質が一定の経口組成物を提供することを目的とする。」
[0009]
「本発明者らは、(A)胃腸薬系生薬及び/又は胃腸消炎修復成分(以下、本明細書において(A)成分ともいう)と、(C)疎水性基剤(以下、本明細書において(C)成分ともいう)とを含有する組成物は、カプセル皮膜との動的接触角が上昇し、液なじみが悪くなるという新規の課題を見出した。また、本発明者らは、(B)非イオン性界面活性剤(以下、本明細書において(B)成分ともいう)と、(C)疎水性基剤とが共存すると、動的接触角が上昇し、この組合せにおいても液なじみが悪くなる課題があることを見出した。」
そうすると、本件発明1の解決しようとする課題は、カプセル皮膜に充填する内容物のうち、本件発明1における(A)成分及び(C)成分、あるいは(B)成分及び(C)成分とが共存すると、カプセル皮膜と充填内容物との動的接触角が上昇し、液なじみが悪くなるという問題があるところ、(A)成分、(B)成分、(C)成分を共存させることでカプセル皮膜と充填内容物との液なじみの良好な経口組成物を提供することであると認められる。
(ウ) 発明の詳細な説明の記載
発明の詳細な説明には、以下の事項が示されている。
a.(B)成分について
「[0044]
[(B)成分]
本発明の経口組成物における(B)非イオン性界面活性剤は、後述する(C)成分と共存することによって、経口組成物のカプセル皮膜に対する液なじみを低下させるという課題を生じる。一方、(B)成分は、(A)成分及び(C)成分と共存することによって、経口組成物のカプセル皮膜に対する液なじみを改善することができる成分である。」
b.(B)成分の配合量について
「[0048]
本発明の経口組成物において、(B)成分の含有量は、(A)成分や(C)成分の種類や量、他の成分の種類や量、患者の状態(体重、年齢、性別、症状、体調等)、及び本発明の経口組成物の剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、(B)成分の総量として、経口組成物全量に対して、0.1~80質量%、好ましくは1~60質量%、より好ましくは2~40質量%、特に好ましくは4~20質量%とすることができる。
[0049]
また、本発明の経口組成物における(A)成分と(B)成分との配合比は、(A)成分や(B)成分の種類、他の成分の種類や量、及び本発明の経口組成物の剤形等に応じて適宜設定できるが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、(A)成分1質量部に対して、(B)成分の総量が、0.001~150質量部、好ましくは、0.003~100質量部、より好ましくは、0.005~60質量部、さらに好ましくは、0.008~20質量部、最も好ましくは、0.01~10質量部とすることができる。」
c.(C)成分について
「[0050]
[(C)成分]
本発明の経口組成物における(C)疎水性基剤は、(A)成分と共存することによって、経口組成物のカプセル皮膜に対する液なじみを低下させるという課題を生じる。また、(C)疎水性基剤は、(B)成分と共存することによっても、経口組成物のカプセル皮膜に対する液なじみを低下させ得る。一方、(C)成分は、(A)成分及び(B)成分と共存することによって、経口組成物のカプセル皮膜に対する液なじみを改善することができる成分である。また、(A)成分、(B)成分及び(C)成分が経口組成物において共存することによって、水に対する分散性を改善することができる。
・・・
[0051]
疎水性基剤とは、(A)成分及び(B)成分のうちの少なくとも一種、好ましくは(A)成分及び(B)成分の全てを分散させる疎水性の基剤である。・・・」
d.(C)成分の配合量について
「[0062]
本発明において、(C)成分の含有量は、(A)成分や(B)成分の種類や量、他の成分の種類や量、患者の状態(体重、年齢、性別、症状、体調等)、及び本発明の経口組成物の剤形等に応じて適宜設定できる。(C)成分の含有量は、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、(C)成分の総量として、経口組成物全量に対して、15~99質量%、好ましくは25~98質量%、より好ましくは30~97質量%、更に好ましくは40~96質量%、特に好ましくは50~95質量%とすることができる。
[0063]
また、本発明の経口組成物における(A)成分と(C)成分の配合比は、(A)成分の種類、他の成分の種類や量、経口組成物の用途等に応じて適宜設定できるが、例えば、(A)成分1質量部に対して、(C)成分の総量が、0.01~300質量部、好ましくは、0.01~200質量部、より好ましくは、0.01~150質量部、更に好ましくは、0.01~100質量部、より更に好ましくは、0.05~80質量部、特に好ましくは、0.1~50質量部とすることができる。
[0064]
また、本発明の経口組成物における(B)成分と(C)成分の配合比は、(B)成分の種類、他の成分の種類や量、経口組成物の用途等に応じて適宜設定できるが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、(B)成分の総量1質量部に対して、(C)成分の総量が、0.01~300質量部、好ましくは、0.1~200質量部、より好ましくは、0.5~150質量部、さらに好ましくは、1~100質量部とすることができる。」
e.カプセル製造方法について
「[0102]
本発明の経口組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する経口組成物をカプセル皮膜に充填することによって製造される。充填方法は、特に限定されず、例えば、ロータリー法や、シームレス法などの公知の方法を採用することができる。本発明によれば、充填される経口組成物がカプセル皮膜に対して、より効果的な液なじみを備えるため、充填工程を高度に制御することが可能となる。例えば、ロータリー法の場合、2枚のシート状カプセル皮膜の間に経口組成物を吐出する工程において、経口組成物の液なじみが良好であるため、経口組成物の偏り、泡かみ、液漏れが生じにくいという効果を奏する。また、本発明は、カプセル皮膜が薄くなるように設計する場合や、微小サイズのカプセル剤を設計する場合にも、好適に使用することが可能である。」
f.液なじみ改善作用について
「[0103]
[カプセル皮膜に対する液なじみを改善する作用を付与する方法]
・・・カプセル皮膜に対する液なじみとは、カプセル皮膜と、充填される内容物との接触面における濡れをいう。カプセル皮膜に対する液なじみの指標としては、例えば、カプセル皮膜上に滴下した液滴の濡れを動的接触角(前進角)の大きさで表すことができる。動的接触角が大きい程流動する液体の濡れが低く、液なじみが低い。動的接触角が小さいほど、カプセル皮膜と接して流動する液体の濡れが高く、液なじみが高いことになる。このような「カプセル皮膜に対する液なじみ」が向上すると、カプセル皮膜に内容物を充填する工程を高度に制御することが可能となり、例えば、充填内容物の偏り、泡かみ、液漏れが生じにくいとの効果を奏する。」
g.液なじみ改善率の測定について
「[0109]
[試験方法1:動的接触角(前進角)の測定方法]
・・・試験例1-1~1-13の各液状組成物の動的接触角(前進角)を測定した。・・・
[0113]
[カプセル皮膜]
試験方法1で用いたカプセル皮膜は、以下の表1のとおりである。各試験例の表では、表1に記載のアルファベット記号(a~d)により、カプセル皮膜の種類を表記している。
[0114]
[図:0001413322000005.jpg]
[0115]
表1において、カプセル皮膜a(コルゲンコーワ鼻炎ソフトミニカプセル)は、ゼラチン、グリセリン、酸化チタン、パラベン、及びポリソルベート80を含有するゼラチン皮膜である。
カプセル皮膜b(ロートアルガード鼻炎ソフトカプセルEX)は、ゼラチン、グリセリン及び酸化チタンを含有するゼラチン皮膜である。
カプセル皮膜c(デイトナS)は、コハク化ゼラチン、濃グリセリン、酸化チタン、黄色三二酸化鉄を含有するゼラチン皮膜である。
カプセル皮膜d(エスタック鼻炎ソフトニスキャップ)は、ゼラチン、グリセリン、青色1号等を含有するゼラチン皮膜である。
[0116]
[試験例1-1] 動的接触角(前進角)の評価1
表2に示す各液状組成物を、上記の試験方法1で示した手順に従い、各試験液を調製後、すぐに動的接触角(前進角)を測定した(3つの測定値の平均)。・・・下記[式1]により、各試験液で用いた(C)成分のみからなる液に対する各試験液の液なじみ改善率を算出した。算出した結果を表2に併せて示す。
[式1]
各試験液で用いた(C)成分のみからなる液に対する液なじみ改善率(%)={1-(各試験液の動的接触角/(C)成分のみからなる液の動的接触角)}×100」
h.表2
[図:0001413322000006.jpg]
i.表3
[図:0001413322000007.jpg]
j.表4
[図:0001413322000008.jpg]
k.表6
[図:0001413322000009.jpg]
l.表7
[図:0001413322000010.jpg]
m.表8
[図:0001413322000011.jpg]
n.表9
[図:0001413322000012.jpg]
o.表10
[図:0001413322000013.jpg]
p.表11
[図:0001413322000014.jpg]
q.表12
[図:0001413322000015.jpg]
r.表14
[図:0001413322000016.jpg]
s.表15
[図:0001413322000017.jpg]
t.表16
[図:0001413322000018.jpg]
u.表17
[図:0001413322000019.jpg]
v.表18
[図:0001413322000020.jpg]
(エ) 当審合議体の判断
発明の詳細な説明の前記a.及びc.では、(A)成分及び(C)成分、あるいは(B)成分及び(C)成分とを共存させることで液なじみが低下する一方、(A)成分、(B)成分、(C)成分を共存させることで液なじみを改善することができることが記載されており、前記h.~v.では、さまざまな(A)成分及び/又は(B)成分と、(C)成分とをさまざまな量比で配合した試験液について、前記g.に記載された試験方法に従ってゼラチン皮膜a~dに対する動的接触角を測定し、以下の[式1]にて算出した液なじみ改善率が記載されている。
[式1] 各試験液で用いた(C)成分のみからなる液に対する液なじみ改善率(%)={1-(各試験液の動的接触角/(C)成分のみからなる液の動的接触角)}×100」
そして、前記h.及びi.では、(B)グリセリン脂肪酸エステル40mgと(C)中鎖脂肪酸トリグリセリド3840mgを含む比較例1-1の試験液はカプセル皮膜aに対する液なじみ改善率が-7.1であり、(A)コウボク末1500mgと(C)中鎖脂肪酸トリグリセリド3840mgを含む比較例2-1の試験液は液なじみ改善率が-6.6である一方、(A)コウボク末1500mg、(B)グリセリン脂肪酸エステル40mg、(C)中鎖脂肪酸トリグリセリド3800mgを含む実施例2-1の試験液は液なじみ改善率が9.5であることが記載されている。上記[式1]から、液なじみ改善率が負の値であれば、(C)のみからなる液と比較して動的接触角が上昇していることを示し、正の値であれば、動的接触角が改善していることを示すから、上記(B)成分及び(C)成分のみを含む比較例1-1と(A)成分及び(C)成分のみを含む比較例2-1ではゼラチン皮膜に対する動的接触角が上昇し、(A)成分、(B)成分、(C)成分をすべて含む実施例2-1の試験液ではゼラチン皮膜に対する動的接触角が改善し、液なじみが改善されているといえる。
上記(A)成分のコウボク末、(B)成分のグリセリン脂肪酸エステル、(C)成分の中鎖脂肪酸トリグリセリドは、本件発明1に記載された選択肢のうちの(1)の場合に該当するものであるが、同様に、前記h.~v.では本件発明1の(2)~(5)及び(7)~(21)のそれぞれの選択肢を採用した場合について、(A)成分、(B)成分、(C)成分をさまざまな量比で共存させることで液なじみが改善されることが記載されている。
さらに、前記b.及びd.では、(A)成分、(B)成分、(C)成分の好ましい配合比とともに、それぞれの成分の種類や量、他の成分の種類や量等に応じて適宜調節可能であることが記載され、前記e.ではカプセル製造方法として公知の方法を採用できることも記載されていることを踏まえると、本件発明1の(A)成分、(B)成分、(C)成分を共存させた場合には、それぞれの配合量比が変化したとしても、(A)成分及び(B)成分のみ、又は(B)成分及び(C)成分のみを共存させた場合に比して、カプセル皮膜と充填内容物との液なじみが改善された経口組成物を提供することができると認識できる。
(オ) 以上より、本件発明1が上記(イ)の課題を解決できることを、発明の詳細な説明の記載から当業者が認識できるといえる。
ウ 本件発明2,3について
本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2,3についても同様である。
エ 本件発明4について
(ア)本件発明4は、前記第3で記載したとおりのものである。
(イ)本件発明4の課題について
前記イ(イ)の記載からすると、本件発明4の解決しようとする課題は、カプセル皮膜に充填する内容物のうち、本件発明4における(A)成分及び(C)成分、あるいは(B)成分及び(C)成分とが共存すると、カプセル皮膜と充填内容物との動的接触角が上昇し、液なじみが悪くなるという問題があるところ、(A)成分、(B)成分、(C)成分を経口組成物に共存させることで、カプセル皮膜と経口組成物との液なじみを改善する方法を提供することであると認められる。
(ウ)当審合議体の判断
本件発明4における(A)成分、(B)成分、(C)成分を含む経口組成物についてカプセル皮膜との液なじみを改善できることは前記イ(エ)に記載のとおりである。
(エ) 以上より、本件発明4が上記(イ)の課題を解決できることを、発明の詳細な説明の記載から当業者が認識できるといえる。
カ 本件発明5について
(ア)本件発明5は、前記第3で記載したとおりのものである。
(イ)本件発明5の課題について
前記イ(イ)の記載からすると、本件発明5の解決しようとする課題は、カプセル皮膜に充填する内容物のうち、本件発明5における(A)成分及び(C)成分、あるいは(B)成分及び(C)成分とが共存すると、カプセル皮膜と充填内容物との動的接触角が上昇し、液なじみが悪くなるという問題があるところ、(A)成分、(B)成分、(C)成分を共存させることでカプセル皮膜と充填内容物との液なじみの良好な経口組成物を用いたカプセル剤の製造方法を提供することであると認められる。
(ウ)当審合議体の判断
本件発明5における(A)成分、(B)成分、(C)成分を含む経口組成物についてカプセル皮膜との液なじみを改善できることは前記イ(エ)に記載のとおりである。
(エ) 以上より、本件発明5が上記(イ)の課題を解決できることを、発明の詳細な説明から当業者が認識できるといえる。
キ 小括
よって、本件発明1~5について、特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合するといえる。
ク 申立人の主張について
(ア) 申立人は、前記1(1)イ(ア)に記載したように、充填内容物の液なじみは共存させる(A)成分、(B)成分及び(C)成分の量比によって変わることから、各成分の量比の全範囲にわたって充填内容物の液なじみの改善が達成できるとは認識できない旨を主張しているが、本件発明1~5には、それぞれの成分の量比を特定する構成は記載されていないのであるから、請求人の主張は、特許請求の範囲の記載に基づかないものである。なお、たとえ量比について検討したとしても、前記h.~v.にはさまざまな成分を異なる量比で配合した試験液が記載され、それぞれについて良好な液なじみ改善率を示したことが記載されていることは上記イで説示したとおりであるから、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を共存させることにより一定の液なじみ改善作用が得られることは認識できると認められる。
(イ) 申立人は、前記1(1)イ(イ)に記載したように、本件特許の明細書ではカプセル剤の製造効率がよくなったことも、品質が一定となったことも具体的に示されておらず、また、カプセル皮膜と充填内容物の液なじみがよくなることと、製造効率がよくなったり、品質が一定となることとの因果関係が不明であることに加え、本件特許の明細書で開示されている乾燥した皮膜に対する充填内容物の液なじみが改善されたことをもって、乾燥前の皮膜に充填内容物を内封させる際に、内容物の偏り、泡かみ、液漏れなどの発生を抑制できるかどうかは全く予想できない旨を主張している。
しかしながら、本件特許は(A)成分及び(C)成分、又は(B)成分及び(C)成分を共存させることでカプセル皮膜への液なじみが低下するという新たな課題に対し、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を共存させることで液なじみを改善できることを見いだした点に特徴を有するものであり、完成カプセル剤の皮膜とはいえ、前記h.~v.にて4種類の皮膜を用いて液なじみ改善作用が具体的に確認できた旨が記載されているのであるから、本件発明において、組成の異なるカプセル皮膜を用いた場合でも、(A)成分及び(C)成分、又は(B)成分及び(C)成分を共存させた場合に比して一定の液なじみ改善作用が期待できることは認識できるものである。
また、前記イ(ウ)e.の「本発明によれば、充填される経口組成物がカプセル皮膜に対して、より効果的な液なじみを備えるため、充填工程を高度に制御することが可能となる。例えば、ロータリー法の場合、2枚のシート状カプセル皮膜の間に経口組成物を吐出する工程において、経口組成物の液なじみが良好であるため、経口組成物の偏り、泡かみ、液漏れが生じにくいという効果を奏する。また、本発明は、カプセル皮膜が薄くなるように設計する場合や、微小サイズのカプセル剤を設計する場合にも、好適に使用することが可能である。」という記載、及び前記イ(ウ)f.の「「カプセル皮膜に対する液なじみ」が向上すると、カプセル皮膜に内容物を充填する工程を高度に制御することが可能となり、例えば、充填内容物の偏り、泡かみ、液漏れが生じにくいとの効果を奏する。」という記載から、液なじみが改善されることで、カプセル充填工程での高度な制御が可能となり、製造効率や製剤品質へ影響しうる充填内容物の偏り、泡かみ、液漏れを一定程度生じにくくしうることは十分認識できることである。
ケ 小括
したがって、上記申立人の主張はいずれも採用できないから、本件特許の請求項1~5に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、特許法第113条第4号に該当しない。
よって、本件特許の請求項1~5に係る特許は、申立理由3によって取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、並びに、申立人による特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法第114条第4項の規定により、本件請求項1~5に係る特許について、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-700838