特許異議申立
2020-701006
滑り性と安定生産性の優れたポリアミドフィルム
- 審判番号
- 2020-701006
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-057407外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6718271
- 請求日
- 2020年12月23日
- 審決日
- 2022年01月14日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】興人フィルム&ケミカルズ株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
- 【異議申立人】合同会社 SAS
- 分類
- P1651.537-ZAA(C08J) / P1651.121-ZAA(C08J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項2号特許法113条2号特許法113条4号特許法120条の5第4項特許法120条の5第9項特許法120条の8第1項特許法126条4項特許法126条7項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第113条、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6718271号発明「滑り性と安定生産性の優れたポリアミドフィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6718271号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正することを認める。
特許第6718271号の請求項1、3、4、6及び7に係る特許を取り消す。
特許第6718271号の請求項2及び5に係る特許についての特許異議の申し立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6718271号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成28年3月22日の出願であって、令和2年6月16日にその特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、同年7月8日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、同年12月23日に特許異議申立人 合同会社SAS(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし7)がされ、令和3年3月12日付けで取消理由が通知され、同年5月17日に特許権者 興人フィルム&ケミカルズ株式会社(以下、「特許権者」という。)から意見書が提出されるとともに訂正請求がされ、同年同月21日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年6月25日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年9月10日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、それに対し特許権者からは何ら応答がなかったものである。
第2 本件訂正について
1 訂正の内容
令和3年5月17日にされた訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1について、「ポリアミド樹脂に対して、0.20~0.60重量%の表面処理された無機フィラーと、0.03~0.1重量%の長鎖脂肪酸系ビスアミドとを含有させた二軸延伸ポリアミドフィルムであって、
前記無機フィラーは窒素ガス吸着法で測定した細孔容積が0.5ml/g以下の無機フィラーである、二軸延伸ポリアミドフィルム。」を、「ポリアミド樹脂に対して、0.20~0.60重量%の表面処理されたシリカと、0.03~0.1重量%の炭素数20~50の長鎖脂肪酸系ビスアミドとを含有させた二軸延伸ポリアミドフィルムであって、
前記シリカは窒素ガス吸着法で測定した細孔容積が0.2ml/g以下でありかつBET法で測定した比表面積が200m2/g以下のシリカである、二軸延伸ポリアミドフィルム。」と訂正する。
併せて、請求項1を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項1を訂正したことに伴う訂正をする。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に記載された「請求項1または2に記載」を、「請求項1に記載」と訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4について、「前記シランカップリング剤の添加量が前記無機フィラーに対して3~10重量%である請求項1~3のいずれか一項に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。」を、「前記シランカップリング剤の添加量が前記シリカに対して3~10重量%である請求項1または3に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。」と訂正する。
併せて、請求項4を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項4を訂正したことに伴う訂正をする。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に記載された「請求項1~5のいずれか一項に記載」を、「請求項1、3または4に記載」と訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に記載された「請求項1~6のいずれか一項に記載」を、「請求項1、3、4または6に記載」と訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の【0035】に記載された「実施例1~6」を、「実施例1~3、5、6及び参考例4」と訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の【0036】に記載された「実施例1~6」を、「実施例1~3、5、6」と訂正する。
(10)訂正事項10
明細書の【0039】に記載された「【表1】
[図:0001385136000001.jpg]
」を「【表1】
[図:0001385136000002.jpg]
」と訂正する。
(11)訂正事項11
明細書の【0020】に記載された「長鎖脂肪族系ビスアミド化合物」を、「長鎖脂肪酸系ビスアミド化合物」と訂正する。
2 訂正の目的、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)請求項1についての訂正について
訂正事項1による請求項1についての訂正は、「無機フィラー」を「シリカ」に限定し、「長鎖脂肪酸」又は「長鎖脂肪酸系ビスアミド」を「炭素数20~50」のものに限定し、「細孔容積」の数値範囲を狭くし、さらに「BET法で測定した比表面積が200m2/g以下」という限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1による請求項1についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)請求項2についての訂正について
訂正事項2による請求項2についての訂正は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)請求項3についての訂正について
訂正事項1による請求項3についての訂正は、請求項1についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項3による請求項3についての訂正は、引用請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1及び3による請求項3についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)請求項4についての訂正について
訂正事項1及び3による請求項4についての訂正は、請求項1及び3についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項4による請求項4についての訂正は、「無機フィラー」を「シリカ」に限定した上で、引用請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1、3及び4による請求項4についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(5)請求項5についての訂正について
訂正事項5による請求項5についての訂正は、請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(6)請求項6についての訂正について
訂正事項1、3及び4による請求項6についての訂正は、請求項1、3及び4についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項6による請求項6についての訂正は、引用請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1、3、4及び6による請求項6についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(7)請求項7についての訂正について
訂正事項1、3、4及び6による請求項7についての訂正は、請求項1、3、4及び6についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項7による請求項7についての訂正は、引用請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1、3、4、6及び7による請求項7についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(8)明細書についての訂正について
訂正事項8ないし10による明細書についての訂正は、訂正事項1ないし7による特許請求の範囲についての訂正に伴い、実施例に該当しなくなったものを参考例にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項11による明細書についての訂正は、「長鎖脂肪族系ビスアミド」という誤記を訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とするものである。
そして、訂正事項8ないし11による明細書についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 むすび
以上のとおり、請求項1ないし7及び明細書についての訂正は、それぞれ、特許法120条の5第2項ただし書第1ないし3号のいずれかに掲げる事項を目的とするものである。
また、請求項1ないし7及び明細書についての訂正は、いずれも、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。
なお、訂正前の請求項1ないし7は一群の請求項に該当するものである。そして、訂正事項1ないし7は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
また、訂正事項8ないし11は願書に添付した明細書を訂正するものであるが、当該明細書の訂正に係る一群の請求項の全てについて訂正は行われており、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
さらに、特許異議の申立ては、訂正前の請求項1ないし7に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ポリアミド樹脂に対して、0.20~0.60重量%の表面処理されたシリカと、0.03~0.1重量%の炭素数20~50の長鎖脂肪酸系ビスアミドとを含有させた二軸延伸ポリアミドフィルムであって、
前記シリカは窒素ガス吸着法で測定した細孔容積が0.2ml/g以下でありかつBET法で測定した比表面積が200m2/g以下のシリカである、二軸延伸ポリアミドフィルム。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記表面処理がシランカップリング剤によるものである請求項1に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
【請求項4】
前記シランカップリング剤の添加量が前記シリカに対して3~10重量%である請求項1または3に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記ポリアミド樹脂の主成分がナイロン6である請求項1、3または4に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
【請求項7】
高さ0.1μm以上の表面突起数が800個/mm2以上でありかつ高さ0.2μm以上の表面突起数が250個/mm2以下である請求項1、3、4または6に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。」
第4 取消理由(決定の予告)の概要
令和3年9月10日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は次のとおりである。
1 取消理由2(甲第3号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1、3、4、6及び7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明及び参考資料1に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3、4、6及び7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
甲第3号証:特開2006-241439号公報
参考資料1:特開2006-240035号公報
2 取消理由5(明確性要件)
本件特許の請求項1、3、4、6及び7に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。
第5 取消理由(決定の予告)についての判断
上記取消理由(決定の予告)に対して、特許権者は応答せず、再度検討しても、当該取消理由(決定の予告)は妥当なものと認められるので、本件特許の請求項1、3、4、6及び7に係る特許は、この取消理由(決定の予告)によって取り消すべきものである。
第6 結語
上記第5のとおりであるから、本件特許の請求項1、3、4、6及び7に係る特許は、特許法第113条第2及び4号に該当し取り消すべきものである。
また、本件特許の請求項2及び5に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人による請求項2及び5に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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