特許異議申立
2024-700217
ケーソン点群抽出システム及びプログラム
- 審判番号
- 2024-700217
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-047408
- 登録番号
- 7342294
- 請求日
- 2024年03月07日
- 審決日
- 2025年09月29日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】オリエンタル白石株式会社
- 【権利者代理人】安彦 元
- 【権利者代理人】眞榮城 繁樹
- 【異議申立人】合同会社 SAS
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 立澤 正樹
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P1651.113-ZDB(E02D) / P1651.121-ZDB(E02D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法113条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条、特許法第29条、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項、特許法第120条の8第1項、特許法第120条の5第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7342294号発明「ケーソン点群抽出システム及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
令和7年1月20日付け訂正請求において、特許第7342294号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2、3、8、〔9、10〕、11について訂正することを認める。
特許第7342294号の請求項1、4~7に係る特許を取り消す。
特許第7342294号の請求項8~11に係る特許を維持する。
特許第7342294号の請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7342294号の請求項1~11に係る特許についての出願は、令和5年3月23日に出願され、同年9月1日にその特許権の設定登録がされ、同月11日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 3月 7日 :特許異議申立人合同会社SAS(以下、「申
立人」という)による請求項1~11に係る
特許に対する特許異議の申立て
令和6年 7月 8日付け:取消理由通知書
同年 9月 3日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 9月30日付け:訂正拒絶理由通知書
同年11月 1日 :特許権者による意見書の提出
同年11月18日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和7年 1月20日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 4月17日付け:訂正拒絶理由通知書
同年 5月22日 :特許権者による意見書及び手続補正書(方
式)の提出
同年 8月 8日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年9月3日提出の訂正請求書による訂正請求は、令和7年1月20日に新たな訂正請求がされたことにより、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。
第2 訂正の適否についての判断
1 令和7年1月20日提出の訂正請求書による訂正の内容
令和7年1月20日にされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)請求項1、4~7に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤの位置を示すワイヤ位置情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のケーソン点群抽出システム。」と記載されているのを、
「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、
前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、
前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、
前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備えること
を特徴とするケーソン点群抽出システム。」に訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のケーソン点群抽出システム。」と記載されているのを、
「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、
前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、
前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、
前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、
前記算出手段は、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データと前記ワイヤ位置情報とに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出すること
を特徴とするケーソン点群抽出システム。」に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6及び7も同様に訂正する)。
エ 訂正事項4
願書に添付した明細書の段落[0009]を削除する。
オ 訂正事項5
願書に添付した明細書の段落[0012]に「第4発明に係るケーソン点群抽出システムは、第1発明において、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤの位置を示すワイヤ位置情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする。」と記載されているのを、
「第4発明に係るケーソン点群抽出システムは、ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。」に訂正する。
カ 訂正事項6
願書に添付した明細書の段落[0013]に「第5発明に係るケーソン点群抽出システムは、第1発明において、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする。」と記載されているのを、
「第5発明に係るケーソン点群抽出システムは、ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、前記算出手段は、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データと前記ワイヤ位置情報とに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出することを特徴とする。」に訂正する。
キ 訂正事項7
願書に添付した明細書の段落[0021]に「第1発明~第11発明によれば、本発明のケーソン点群抽出システムは、第1点群データに基づいて、アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する。これによって、アースバケットのワイヤを示す点群データを自動的に把握することが可能となり、アースバケットにケーソンショベルを用いて、より安全に自動的に土砂を積載することができる。」と記載されているのを、
「第4発明~第11発明によれば、本発明のケーソン点群抽出システムは、第1点群データに基づいて、アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する。これによって、アースバケットのワイヤを示す点群データを自動的に把握することが可能となり、アースバケットにケーソンショベルを用いて、より安全に自動的に土砂を積載することができる。また、本発明のケーソン点群抽出システムは、第1点群データに基づいて、アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する。これによって、アースバケットを示す点群から一定範囲内にある直線上の点群を第3点群データとして抽出することが可能となるため、より高精度にアースバケットのワイヤを示す点群データを自動的に把握することができる。また、本発明のケーソン点群抽出システムは、第4点群データに基づいて、アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する。これによって、つるを示す点群に隣接する直線上の点群を第3点群データとして抽出することが可能となるため、より高精度にアースバケットのワイヤを示す点群データを自動的に把握することができる。また、本発明のケーソン点群抽出システムは、ワイヤ位置情報を算出する。これによって、ワイヤの位置を自動的に算出することが可能となる。」に訂正する。
ク 訂正事項8
願書に添付した明細書の段落[0024]を削除する。
ケ 一群の請求項についての説明
訂正前の請求項1、4~7について、請求項4、5は、請求項1を引用するものであり、請求項6、7は、請求項5を引用するものであるため、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1、4~7に対応する訂正後の請求項1、4~7は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
コ 別の訂正単位とする求めについて
訂正後の請求項4、5に係る訂正について、特許権者は、当該訂正が認められるときに、請求項1とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
(2)請求項2、8に係る訂正
ア 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
イ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項8に「前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの位置を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のケーソン点群抽出システム。」と記載されているのを、
「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、
前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、
前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、
前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、
前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの位置を算出する算出手段をさらに備えること
を特徴とするケーソン点群抽出システム。」に訂正する。
ウ 訂正事項11
願書に添付した明細書の段落[0010]を削除する。
エ 訂正事項12
願書に添付した明細書の段落[0016]に「第8発明に係るケーソン点群抽出システムは、第2発明において、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットを認識する認識手段をさらに備えることを特徴とする。」と記載されているのを、
「第8発明に係るケーソン点群抽出システムは、ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報とを備え、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの位置を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする。」に訂正する。
オ 訂正事項13
願書に添付した明細書の段落[0022]を削除する。
カ 一群の請求項についての説明
訂正前の請求項2、8について、請求項8は、請求項2を引用するものであるため、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項2、8に対応する訂正後の請求項2、8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
キ 別の訂正単位とする求めについて
訂正後の請求項8に係る訂正について、特許権者は、当該訂正が認められるときに、請求項2とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
(3)請求項3に係る訂正
ア 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
イ 訂正事項15
願書に添付した明細書の段落[0011]を削除する。
ウ 訂正事項16
願書に添付した明細書の段落[0023]を削除する。
(4)請求項9、10に係る訂正
ア 訂正事項17
特許請求の範囲の請求項9に「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記取得手段により取得された第1点群データと、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データとの差分に基づいて、前記アースバケットの積載状態を示す積載情報を算出する算出手段とを備えることを特徴とするケーソン点群抽出システム。」と記載されているのを、
「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、
前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、
前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、
前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された第1点群データと、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データとの差分に基づいて、前記アースバケットの積載状態を示す積載情報を算出すること
を特徴とするケーソン点群抽出システム。」に訂正する(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項10も同様に訂正する)。
イ 訂正事項18
願書に添付した明細書の段落[0017]に「第9発明に係るケーソン点群抽出システムはニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記取得手段により取得された第1点群データと、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データとの差分に基づいて、前記アースバケットの積載状態を示す積載情報を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。」と記載されているのを、
「第9発明に係るケーソン点群抽出システムは、ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、前記算出手段は、前記取得手段により取得された第1点群データと、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データとの差分に基づいて、前記アースバケットの積載状態を示す積載情報を算出することを特徴とする。」に訂正する。
ウ 一群の請求項についての説明
訂正前の請求項9、10について、請求項10は、請求項9を引用するものであるため、訂正事項17によって記載が訂正される請求項9に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項9、10に対応する訂正後の請求項9、10は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(5)請求項11に係る訂正
ア 訂正事項19
特許請求の範囲の請求項11に「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより抽出された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするケーソン点群抽出プログラム。」と記載されているのを、
「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出ステップと、
前記第1抽出ステップにより抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出ステップと、
前記第3抽出ステップにより抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出ステップと、
前記第2抽出ステップにより抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするケーソン点群抽出プログラム。」に訂正する。
イ 訂正事項20
願書に添付した明細書の段落[0020]に「第11発明に係るケーソン点群抽出プログラムは、ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより抽出された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。」と記載されているのを、
「第11発明に係るケーソン点群抽出プログラムは、ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出ステップと、前記第1抽出ステップにより抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出ステップと、前記第3抽出ステップにより抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出ステップと、前記第2抽出ステップにより抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。」に訂正する。
2 訂正拒絶理由の概要
(1)訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合しない。
(2)訂正事項6に係る訂正は、訂正事項3に係る訂正と同様の訂正が含まれているから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではない。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合しない。
(3)一群の請求項[1、4-7]についてする訂正(訂正事項1~8)は認めることができない。
3 令和7年5月22日提出の手続補正書(方式)による手続補正について
(1)補正の内容
令和7年5月22日提出の手続補正書(方式)(以下、「手続補正書」という。)による補正(以下、「本件補正」という。)は、令和7年1月20日提出の訂正請求書、訂正特許請求の範囲及び訂正明細書の全文を、手続補正書に添付した訂正請求書、訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり手続補正するものである。
補正前後の訂正請求書、訂正特許請求の範囲及び訂正明細書の記載、及び令和7年5月22日提出の意見書の「(3)訂正について」(2枚目21行-3枚目下から3行)についての記載をふまえると、実質的には、訂正請求書のうちの訂正事項3及び訂正事項6に係る記載とともに、訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のうちの前記訂正事項に係る部分を補正したものと認められる。
よって、訂正事項3及び訂正事項6に係る補正は、以下のとおり整理することができる。
ア 「ウ 訂正事項3」の補正
補正前において、
「特許請求の範囲の請求項5に「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のケーソン点群抽出システム。」と記載されているのを、
「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、
前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、
前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、
前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、
前記算出手段は、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データと前記ワイヤ位置情報とに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出すること
を特徴とするケーソン点群抽出システム。」に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6及び7も同様に訂正する)。」と記載されているのを、
補正後において、
「特許請求の範囲の請求項5に「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のケーソン点群抽出システム。」と記載されているのを、
「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、
前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、
前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、
前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、
前記算出手段は、前記ワイヤ位置情報に基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出すること
を特徴とするケーソン点群抽出システム。」に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6及び7も同様に訂正する)。」に補正する。
イ 「カ 訂正事項6」の補正
補正前において、
「願書に添付した明細書の段落[0013]に「第5発明に係るケーソン点群抽出システムは、第1発明において、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする。」と記載されているのを、
「第5発明に係るケーソン点群抽出システムは、ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、前記算出手段は、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データと前記ワイヤ位置情報とに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出することを特徴とする。」に訂正する。」と記載されているのを、
補正後において、
「願書に添付した明細書の段落[0013]に「第5発明に係るケーソン点群抽出システムは、第1発明において、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする。」と記載されているのを、
「第5発明に係るケーソン点群抽出システムは、ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、前記算出手段は、前記ワイヤ位置情報に基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出することを特徴とする。」に訂正する。」に補正する。
(2)各訂正事項の補正の適否についての当審の判断
ア 補正の適否の判断基準
訂正拒絶理由通知に対しては、訂正事項の削除、軽微な瑕疵の補正等、訂正請求書の要旨を変更しないものであれば補正することができる。しかし、新たな訂正事項を加えることや、訂正事項を変更することは、訂正請求書の要旨を変更するものである。(審判便覧67-05.3の4.(4)イ参照)。
そこで、以下、各訂正事項に関する補正が、訂正請求書の要旨を変更するものであるか否かについて、検討する。
イ 訂正事項3の補正について
訂正事項3の補正は、訂正後の「前記算出手段」が、「前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する」場合に、補正前において、「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データと前記ワイヤ位置情報とに基づ」くものから、補正後において、「前記ワイヤ位置情報に基づ」くものとして訂正事項3の内容を実質的に変更する補正である。
よって、上記補正は、訂正事項の削除、軽微な瑕疵の補正等には該当せず、訂正事項を変更するものであるから、審判請求書の訂正事項3について、要旨を変更するものである。
したがって、訂正事項3の補正を認めることができない。
ウ 訂正事項6の補正について
訂正事項6の補正は、訂正事項3の補正と同様の内容を含むものであるから、訂正事項3の補正と同様に、要旨を変更するものである。
したがって、訂正事項6の補正を認めることができない。
(3)特許権者の主張について
特許権者は、令和7年5月22日提出の意見書において、訂正後の特許請求の範囲の請求項5に係る発明は、「前記算出手段は、前記ワイヤ位置情報に基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する」とし、これにより、「方向情報」は、「ワイヤ位置情報」に基づくことが明確となったため、訂正後の特許請求の範囲の請求項5に係る発明は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であると思慮する旨主張する。(意見書の5(4))
しかしながら、本件補正が適法であるか否かは、上記(2)アに示す基準に照らして判断すべきであり、上記ア(イ)及び(ウ)で示したとおり、上記(2)アに示す基準に照らすと、訂正事項3及び訂正事項6の補正は、補正の要件を満たす軽微な瑕疵の補正には該当せず、訂正事項を変更するものであるから、訂正事項3及び訂正事項6の補正を認めることができない。
なお、特許権者は、上記補正後の記載について、補正後の本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないと主張するが、当該補正が認められるべき理由ではない。
よって、特許権者の主張を採用することができない。
(4)本件補正についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、訂正請求書の要旨を変更するものであり、特許法120条の5第9項で準用する同法131条の2第1項の規定により、本件補正を認めない。
4 訂正の適否について
上記3のとおり、本件補正は認められないから、訂正の内容は、上記1(1)~(5)のとおりである。
(1)本件明細書等
特許第7342294号の明細書を、以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件明細書等」という。
ア「【0065】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図10は、本発明を適用したアースバケット自動楊重システム6の全体構成を示すブロック図である。アースバケット自動楊重システム6は、ニューマチックケーソン工法に使用されるアースバケット31の位置を検出する。アースバケット自動楊重システム6は、上述した第1センサ90と、第2センサ91と、第3センサ92と、地上センサ93と、作業室センサ94と、マテリアルセンサ95と、各種センサにより検出された情報を取得する遠隔操作装置12と、遠隔操作装置12から送信された信号に応じて、ワイヤ38を制御するリール39等の構成とを備える。
【0066】
遠隔操作装置12は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。各種センサから入力されたデータに基づいて、遠隔操作装置12は、アースバケット31の位置を算出してもよい。遠隔操作装置12は、取得部80と、取得部80に接続された算出部81と、算出部81に接続された制御部82と提示部83との機能を備える。
【0067】
取得部80は、各種センサから検出された情報を取得する。取得部80は、例えば第1センサ90、第2センサ91、第3センサ92から検出された検出情報を取得する。また、取得部80は、荷重計35により計測されたワイヤ38に係る荷重に関する荷重情報を取得してもよい。取得部80は、例えば地上センサ93により検出されたアースバケット31とマテリアルシャフト23の搬入口23aとのそれぞれの位置を示すバケット位置情報と搬入口位置情報とを取得してもよい。取得部80は、例えば作業室センサ94から画像情報、第1点群データを取得してもよい。また、取得部80は、マテリアルセンサ95から、検出情報を取得してもよい。また、取得部80は、アースバケット自動楊重システム6を利用するユーザから入力された各種情報を取得してもよい。取得部80は、取得した各種データを算出部81に出力する。
【0068】
算出部81は、取得部80から入力された各種情報に基づいて、アースバケット31の位置を示す位置情報を算出する。算出部81は、算出した位置情報を制御部82に出力する。」
イ 「【0113】
次に、アースバケット31に土砂を積載する動作について説明する。アースバケット自動楊重システム6は、図15に示すように、ケーソンショベル100がアースバケット31に土砂を積載する軌跡を示す軌跡情報を生成してもよい。かかる場合、まず、ステップS30において、作業室センサ94がアースバケット31を含む作業室2内の第1点群データを検出する。第1点群データは、アースバケットを含む作業室2内の点群からなるデータである。作業室センサ94は、第1点群データを取得部80に送信する。
【0114】
次に、ステップS31において、取得部80は、第1点群データを取得する。取得部80は、送信された第1点群データを算出部81に出力する。
【0115】
次に、ステップS32において、算出部81は、出力された第1点群データから、作業室2内にあるアースバケット31を示す第2点群データを抽出する。第2点群データは、アースバケット31を示す点群からなるデータである。また、算出部81は、第2点群データからアースバケット31の位置を算出してもよい。
【0116】
次に、ステップS33において、算出部81は、アースバケット31に設けられたワイヤ38を示す第3点群データを抽出する。第3点群データは、ワイヤ38を示す点群からなるデータである。かかる場合、算出部81は、ステップS31により抽出した第1点群データにある直線上の点群を第3点群データとしてもよい。また、算出部81は、ステップS32により抽出した第2点群データが示すアースバケット31から閾値内の距離にある直線上の点群を第3点群データとしてもよい。また、図6(b)に示す推定直線230との差が閾値以下となる点群を第3点群データとしてもよい。推定直線230は、3次元空間上の直線を示す方程式を満たす座標の集合からなるモデルである。
【0117】
また、ステップS33において、算出部81は、ステップS32により抽出した第2点群データに基づいて、アースバケット31のつる40を示す第4点群データを抽出し、抽出した第4点群データに基づいて、第3点群データを抽出してもよい。かかる場合、算出部81は、第2点群データから予め設定されたマッチング形状231のモデルと一致又は近似する点群データを第4点群データとして抽出してもよい。マッチング形状231のモデルは、3次元空間上のつる40を示す方程式を満たす座標の集合からなるモデルである。かかる場合、例えばRANSAC(Random Sample Consensus)等を用いて点群データを抽出してもよい。
【0118】
ステップS33において、抽出した第4点群データに基づいて、第3点群データを抽出してもよい。かかる場合、第4点群データに隣接する推定直線230を満たす点群データを第3点群データとして抽出してもよい。また、各点群データから、アースバケット31の上面31aとつる40との接点を支点Aとし、つる40とワイヤ38との接点を支点Bとし、ワイヤ38の上端を支点Cとして抽出してもよい。
【0119】
次に、ステップS34において、ステップS31により取得した第1点群データと、ステップS32により抽出した第2点群データとに基づいて、アースバケット31の積載状態を示す積載情報を算出する。算出部81は、例えば第1点群データから、抽出した第2点群データを消去することにより、アースバケット31の内部に積載された積載物を示す点群データを抽出し、抽出した積載物を示す点群データに基づいて、積載量を示す積載情報を取得してもよい。積載情報は、アースバケット31の積載状態を示す情報であり、例えばアースバケット31の内部に積載された土砂の量を示す情報であってもよい。
【0120】
次に、ステップS35において、ステップS34により算出した積載情報に基づいて、アースバケット31に土砂が積み込み可能かを判定する。かかる場合、算出部81は、積載情報が示す土砂の量、又は高さが基準値以下の場合、積み込み可能と判定し、基準値以上の場合、積み込み不可と判定する。
【0121】
次に、ステップS36において、ステップS33により抽出した第3点群データに基づいて、ワイヤの位置を示すワイヤ位置情報を算出する。ワイヤ位置情報は、3次元空間上のワイヤ38の位置を示す情報である。また、ワイヤ位置情報は、ワイヤ38のアースバケット31との相対位置を示す情報であってもよい。また、ワイヤ位置情報は、図6(b)に示すように、ワイヤ38が支点Aより方向x側にあるか、方向xの逆側にあるかを示す情報であってもよい。また、ステップS36において、提示部83は、ワイヤ位置情報等の各情報をユーザに提示してもよい。
【0122】
次に、ステップS37において、第3点群データに基づいて、作業室2内のケーソンショベル100がアースバケット31に土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する。方向情報は、例えば図6(b)に示すように、方向xからケーソンショベル100がアースバケット31に土砂が積載可能であることを示す情報であってもよい。かかる場合、例えば算出部81は、第3点群データに基づいて、ワイヤ位置情報を算出し、算出したワイヤ位置情報に基づいて、方向情報を算出してもよい。算出部81は、例えばワイヤ位置情報が、ワイヤ38が支点Aより方向x側にあることを示す場合、方向xに積載可能であることを示す方向情報を算出してもよい。また、ステップS37において、提示部83は、方向情報等の各情報をユーザに提示してもよい。これにより、ワイヤ38とケーソンショベル100とを接触させることなく、自動的にアースバケット31に土砂を積載することが可能となる。」
ウ(ア)【図6】
「
[図:0001434094000001.jpg]
」
(イ)【図10】
「
[図:0001434094000002.jpg]
」
(2)請求項1、4~7に係る訂正について
事案に鑑み、訂正事項3及び訂正事項6から検討する。
ア 訂正事項3
(ア)訂正事項3の内容
訂正事項3は、以下の訂正事項を含むものである。
a 訂正前の請求項5の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、訂正後において、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しない記載とし、請求項5を独立形式請求項へ改めること
b 訂正前の請求項5が引用する、訂正前の請求項1に記載されていた「前記取得手段により抽出された第1点群データ」を、訂正後の請求項5において、「前記取得手段により取得された第1点群データ」との記載に訂正すること
c 訂正前の請求項5が引用する、訂正前の請求項1に記載されていた「前記取得手段により抽出された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」を、訂正後の「前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」に訂正すること
d(d1)訂正前の請求項1を引用する請求項5において、「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え」との記載を付加し、
(d2)訂正前の請求項5に記載されていた「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する算出手段をさらに備えること」を、「前記算出手段は、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データと前記ワイヤ位置情報とに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出すること」に訂正すること
上記a~dの訂正事項を、以下、訂正事項3(a)~訂正事項3(d)といい、まとめて訂正事項3という。
(イ)訂正の目的について
a 訂正事項3(a)に係る訂正は、訂正前の請求項5の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、訂正後において、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しない記載とし、請求項5を独立形式請求項へ改めるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
b 訂正前の請求項5が引用する、訂正前の請求項1には、「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段」と記載され、すなわち、「第1点群データ」は、「取得手段」により「取得」されることが記載されている。
また、訂正前の本件明細書の段落【0067】には、「取得部80は、各種センサから検出された情報を取得する。・・・取得部80は、例えば作業室センサ94から画像情報、第1点群データを取得してもよい。」と記載され、段落【0113】には、「作業室センサ94がアースバケット31を含む作業室2内の第1点群データを検出する。第1点群データは、アースバケットを含む作業室2内の点群からなるデータである。作業室センサ94は、第1点群データを取得部80に送信する。」と記載され、段落【0114】には、「次に、ステップS31において、取得部80は、第1点群データを取得する。」と記載されており、「作業室センサ94」が検出した「第1点群データ」は、取得手段である「取得部80」により「取得」される点が記載されている。このように、訂正前の本件明細書においては、「第1点群データ」は、取得手段により「取得」される点が示されている。
よって、本件明細書等において、「第1点群データ」は、取得手段により「取得」されることが明らかであって、訂正前の請求項5が引用する請求項1に記載されていた「前記取得手段により抽出された第1点群データ」における「抽出」は誤記である。
そうすると、訂正事項3(b)に係る訂正は、訂正前の請求項5が引用する、訂正前の請求項1に記載されていた「前記取得手段により抽出された第1点群データ」のうち、「抽出」との記載を、本来その意であることが、本件明細書等から明らかな内容の字句、語句である「取得」に訂正しているから、特許法第120条の5第2項ただし書2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
c 訂正事項3(c)に係る訂正は、訂正前の請求項1を引用する請求項5において、「前記取得手段により抽出された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」について、「前記取得手段により抽出された第1点群データ」から、「前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データ」を「第2抽出手段」にて抽出するまでの途中の手段につき、何ら特定がされていないものから、訂正後の請求項5において、「第1抽出手段」、「第3抽出手段」の手段を用いるとともに、「第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づ」く「前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」と、限定して特定したから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
d 訂正事項3(d)に係る訂正は、訂正前の請求項1を引用する請求項5において、「算出手段」を備えないものから、訂正後の請求項5において、「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段」を備えるものとし、さらに、「前記算出手段は、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データと前記ワイヤ位置情報とに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出すること」と特定したものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
e 訂正事項3に係る訂正の目的についてのまとめ
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1、2及び4号に規定する特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
(ウ)新規事項の有無について
a 訂正事項3(a)について
訂正事項3(a)に係る訂正は、訂正前の請求項5の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しない記載とする訂正であるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
b 訂正事項3(b)について
訂正前の請求項1、本件明細書の段落【0062】、【0113】及び【0114】には、「第1点群データ」が、取得手段により「取得」される点が記載されている。よって、「第1点群データ」が、「取得手段」により「取得」されることを導き出せる。
したがって、訂正事項3(b)に係る訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
c 訂正事項3(c)について
本件明細書の段落【0115】には、「・・・算出部81は、出力された第1点群データから、作業室2内にあるアースバケット31を示す第2点群データを抽出する。第2点群データは、アースバケット31を示す点群からなるデータである。・・・」と記載され、段落【0116】には、「・・・算出部81は、アースバケット31に設けられたワイヤ38を示す第3点群データを抽出する。・・・」と記載され、段落【0117】には、「・・・算出部81は、ステップS32により抽出した第2点群データに基づいて、アースバケット31のつる40を示す第4点群データを抽出し、抽出した第4点群データに基づいて、第3点群データを抽出してもよい。・・・」と記載されている。
これらの記載から、訂正事項3(c)に係る訂正の訂正後の「前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」を備えることを導き出せる。
したがって、訂正事項3(c)に係る訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
d 訂正事項3(d)について
(a)本件明細書の段落【0118】には、「ステップS33において、抽出した第4点群データに基づいて、第3点群データを抽出してもよい。かかる場合、第4点群データに隣接する推定直線230を満たす点群データを第3点群データとして抽出してもよい。また、各点群データから、アースバケット31の上面31aとつる40との接点を支点Aとし、つる40とワイヤ38との接点を支点Bとし、ワイヤ38の上端を支点Cとして抽出してもよい。」と記載され、また、段落【0121】には、「次に、ステップS36において、ステップS33により抽出した第3点群データに基づいて、ワイヤの位置を示すワイヤ位置情報を算出する。ワイヤ位置情報は、3次元空間上のワイヤ38の位置を示す情報である。また、ワイヤ位置情報は、ワイヤ38のアースバケット31との相対位置を示す情報であってもよい。また、ワイヤ位置情報は、図6(b)に示すように、ワイヤ38が支点Aより方向x側にあるか、方向xの逆側にあるかを示す情報であってもよい。また、ステップS36において、提示部83は、ワイヤ位置情報等の各情報をユーザに提示してもよい。」と記載されている。上記記載は、「支点A」を、「アースバケット31の上面31aとつる40との接点」との接点とすること、また、「ワイヤの位置情報」が、前記「支点A」より、「方向x側」と、「方向xの逆側」にあるかを示す情報であることを示している。また図6(b)(上記4(3)ア参照)には、「支点A」及び「x」を添えた「→」が記載されており、アースバケットの側面からみて、前記「→」が、「支点A」の左右のうちの、右である一方向を示している点が記載されている。
よって、上記記載及び図6(b)の記載から、訂正事項3(ウ)に係る訂正の訂正後の「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え」ることを導き出せる。
(b)しかしながら、本件明細書の段落【0122】には、「次に、ステップS37において、第3点群データに基づいて、作業室2内のケーソンショベル100がアースバケット31に土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する。方向情報は、例えば図6(b)に示すように、方向xからケーソンショベル100がアースバケット31に土砂が積載可能であることを示す情報であってもよい。かかる場合、例えば算出部81は、第3点群データに基づいて、ワイヤ位置情報を算出し、算出したワイヤ位置情報に基づいて、方向情報を算出してもよい。算出部81は、例えばワイヤ位置情報が、ワイヤ38が支点Aより方向x側にあることを示す場合、方向xに積載可能であることを示す方向情報を算出してもよい。また、ステップS37において、提示部83は、方向情報等の各情報をユーザに提示してもよい。これにより、ワイヤ38とケーソンショベル100とを接触させることなく、自動的にアースバケット31に土砂を積載することが可能となる。」(下線は、当審において付した。)と記載されている。
すなわち、上記段落【0122】には、「アースバケット31に土砂を積載可能な方向を示す方向情報」については、「第3点群データ」に基づくこと、又は、「第3点群データに基づいて、ワイヤ位置情報を算出」し、算出した「ワイヤ位置情報」に基づくこと、のいずれかであることは記載されているものの、「第3点群データ」と「ワイヤ位置情報」の両者に基づいて「算出」することは、記載も示唆もされていない。上記段落及び図面以外の本件明細書等の記載をみても同様である。
よって、本件明細書等から、訂正事項3(d)に係る訂正の訂正後の「前記算出手段は、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データと前記ワイヤ位置情報とに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出すること」を導き出すことはできない。
(c)したがって、訂正事項3(d)に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではない。
e 訂正事項3に係る訂正の新規事項の有無についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項3(d)を含む訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合しない。
イ 訂正事項6
訂正事項6に係る訂正は、訂正事項3に係る訂正と同様の訂正が含まれているから、上記1(3)エで説明したのと同様に、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではない。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合しない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項3に係る訂正及び訂正事項6に係る訂正は、特許法120条の5第9項において準用する126条5項の規定に適合しない。
したがって、一群の請求項〔1、4-7〕についてする訂正(訂正事項1~8に係る訂正)は認めることができない。
(3)請求項2、8に係る訂正について
ア 訂正事項9
訂正事項9に係る訂正は、請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ 訂正事項10
(ア)訂正事項10の内容
上記訂正事項10は、以下の訂正事項を含むものである。
a 訂正前の請求項8の記載が訂正前の請求項2の記載を引用する記載であったものを、訂正後において、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しない記載とし、請求項8を独立形式請求項へ改めること
b 訂正前の請求項2を引用する請求項8の「前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」を、訂正後の「前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」に訂正すること
c 訂正前の請求項2を引用する請求項8において、「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え」との記載を付加すること
上記a~cの訂正事項を、以下、訂正事項10(a)~訂正事項10(c)といい、まとめて訂正事項10という。
(イ)訂正の目的について
a 訂正事項10(a)に係る訂正は、訂正前の請求項8の記載が訂正前の請求項2の記載を引用する記載であったものを、訂正後において、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しない記載とし、請求項8を独立形式請求項へ改めるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
b 訂正事項10(b)に係る訂正は、訂正前の請求項2を引用する請求項8において、「前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」について、「前記第1抽出手段により抽出された第2点群データ」から、「アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データ」を「第2抽出手段」にて抽出するまでの途中の手段につき、何ら特定がされていないものから、訂正後の請求項8において、「第3抽出手段」の手段を追加するとともに、「第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づ」く「前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」と、限定して特定したから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
c 訂正事項10(c)に係る訂正は、訂正前の請求項8において、「ワイヤ位置情報」に係る「算出手段」を備えないものから、訂正後の請求項8において、「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段」を備えるものと限定し特定したものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
d 訂正事項10に係る訂正の目的についてのまとめ
したがって、訂正事項10に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1及び4号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項10に係る訂正は、上記(イ)のとおり、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること目的とするものであって、請求項8に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
したがって、訂正事項10に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
(エ)新規事項の有無について
a 訂正事項10(a)について
訂正事項10(a)に係る訂正は、訂正前の請求項8の記載が訂正前の請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しない記載とする訂正であるから、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
b 訂正事項10(b)について
本件明細書の段落【0115】には、「・・・算出部81は、出力された第1点群データから、作業室2内にあるアースバケット31を示す第2点群データを抽出する。第2点群データは、アースバケット31を示す点群からなるデータである。・・・」と記載され、段落【0116】には、「・・・算出部81は、アースバケット31に設けられたワイヤ38を示す第3点群データを抽出する。・・・」と記載され、段落【0117】には、「・・・算出部81は、ステップS32により抽出した第2点群データに基づいて、アースバケット31のつる40を示す第4点群データを抽出し、抽出した第4点群データに基づいて、第3点群データを抽出してもよい。・・・」と記載されている。
これらの記載から、訂正事項10(b)に係る訂正の訂正後の「前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」を備えることを導き出せる。
したがって、訂正事項10(b)に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
c 訂正事項10(c)について
訂正事項10(c)に係る訂正は、訂正事項3(d)の前段(d1)と同様の記載を付加するものあるから、上記(2)ア(ウ)d(a)に示したのと同様に、訂正事項10(c)に係る訂正は、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
d 訂正事項10に係る訂正の新規事項の有無についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項10に係る訂正は、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
したがって、訂正事項10に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
ウ 訂正事項11~訂正事項13
訂正事項11~訂正事項13に係る訂正は、上記訂正事項9及び訂正事項10に係る訂正に伴い特許請求の範囲の請求項2及び8と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、請求項2及び請求項8に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項9~訂正事項13は、特許法120条の5第2項ただし書1、3及び4号に掲げる事項を目的とし、同法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(4)請求項3に係る訂正について
ア 訂正事項14
訂正事項14に係る訂正は、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項を追加するものではなく、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ 訂正事項15及び訂正事項16
訂正事項15及び訂正事項16に係る訂正は、上記訂正事項14に係る訂正に伴い特許請求の範囲の請求項3と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、請求項3に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項14~16に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1、3号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び6項の規定に適合する。
(5)請求項9、10に係る訂正について
ア 訂正事項17
(ア)訂正事項17の内容
上記訂正事項17は、以下の訂正事項を含むものである。
a 訂正後の請求項9において、「前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」との記載を付加すること。
b 訂正前の請求項9の「ケーソン点群抽出システム」において、「算出手段」を備えないものから、「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段」を備えるものとし、さらに、訂正前の請求項9の「前記取得手段により取得された第1点群データと、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データとの差分に基づいて、前記アースバケットの積載状態を示す積載情報を算出する算出手段とを備えること」を、訂正後において「前記算出手段は、前記取得手段により取得された第1点群データと、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データとの差分に基づいて、前記アースバケットの積載状態を示す積載情報を算出する算出すること」と記載すること。
上記a及びbの訂正事項を、以下、訂正事項17(a)及び訂正事項17(b)といい、まとめて訂正事項17という。
(イ)訂正の目的について
a 訂正事項17(a)に係る訂正は、訂正前の請求項9における、「第3点群データ」について、これを抽出する手段について何ら特定がされていないものから、訂正後の請求項9において「第3抽出手段」及び「第2抽出手段」の手段を用いるともに、「第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づ」く「前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」と、限定して特定したものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 訂正事項17(b)に係る訂正は、訂正前の請求項9において、「ワイヤ位置情報」に係る「算出手段」を備えないものから、訂正後の請求項9において、「前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段」を備えるものと特定し、訂正前の請求項9に記載されていた「前記取得手段により取得された第1点群データと、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データとの差分に基づいて、前記アースバケットの積載状態を示す積載情報を算出する」ことを、生成後においては、「前記算出手段」において算出することに特定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
c 訂正事項17に係る訂正の目的についてのまとめ
したがって、訂正事項17に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項17に係る訂正は、上記(イ)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、請求項9に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
したがって、訂正事項17に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
(エ)新規事項の有無について
a 訂正事項17(a)について
本件明細書の段落【0115】には、「・・・算出部81は、出力された第1点群データから、作業室2内にあるアースバケット31を示す第2点群データを抽出する。第2点群データは、アースバケット31を示す点群からなるデータである。・・・」と記載され、段落【0116】には、「・・・算出部81は、アースバケット31に設けられたワイヤ38を示す第3点群データを抽出する。・・・」と記載され、段落【0117】には、「・・・算出部81は、ステップS32により抽出した第2点群データに基づいて、アースバケット31のつる40を示す第4点群データを抽出し、抽出した第4点群データに基づいて、第3点群データを抽出してもよい。・・・」と記載されている。
これらの記載から、訂正事項17(a)に係る訂正の訂正後の「前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、」を備えることを導き出せる。
したがって、訂正事項17(a)に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
b 訂正事項17(b)について
訂正事項17(b)に係る訂正の前段は、訂正事項3(d)の前段(d1)と同様の記載を付加するものであるから、上記(2)ア(ウ)d(a)に示したのと同様である。
また、訂正事項17(b)に係る訂正の後段については、本件明細書の段落【0121】には、「算出部81は、第3点群データに基づいて、ワイヤ位置情報を算出し」と記載され、また、段落【0119】には、「算出部81は、例えば第1点群データから、抽出した第2点群データを消去することにより、アースバケット31の内部に積載された積載物を示す点群データを抽出し、抽出した積載物を示す点群データに基づいて、積載量を示す積載情報を取得してもよい。」と記載されている。
これらの記載から、「ワイヤ位置情報」を算出する「算出部81」は、「アースバケット31の内部に積載された積載物を示す点群データを抽出し、抽出した積載物を示す点群データに基づいて、積載量を示す積載情報を取得」する、すなわち当該積載情報を「抽出した積載物を示す点群データ」に基づいて、得られることを理解することができる。
したがって、訂正事項17(b)に係る訂正は、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
d 訂正事項17に係る訂正の新規事項の有無についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項17に係る訂正は、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてする訂正である。
したがって、訂正事項17に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
ウ 訂正事項18
訂正事項18に係る訂正は、上記訂正事項17に係る訂正に伴い特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、請求項9に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項17及び訂正事項18に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1及び3号に掲げる事項を目的とし、同法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(6)請求項11に係る訂正について
ア 訂正事項19
(ア)訂正事項19の内容
訂正事項19は、以下の訂正事項を含むものである。
a 訂正前の請求項11に記載されていた「前記取得ステップにより抽出された第1点群データ」を、訂正後の請求項11において、「前記取得ステップにより取得された第1点群データ」との記載に訂正すること
b 訂正前の11に記載されていた「前記取得ステップにより抽出された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出ステップ」を、訂正後の請求項11において、「前記取得ステップにより取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出ステップと、前記第1抽出ステップにより抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出ステップと、前記第3抽出ステップにより抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出ステップ」に訂正すること
c 訂正前の請求項11において、「前記第2抽出ステップにより抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出ステップ」との記載を付加する訂正をすること
上記a~cの訂正事項を、以下、訂正事項19(a)~訂正事項19(c)といい、まとめて訂正事項19という。
(イ)訂正の目的について
a 訂正事項19(a)に係る訂正は、訂正事項3(b)に係る訂正における「手段」を「ステップ」に表現を変えたものであるから、上記(1)ア(イ)bと同様に、特許法120条の5第2項ただし書2号に規定する、誤記の訂正を目的とするものである。
b 訂正事項19(b)に係る訂正は、訂正事項3(c)に係る訂正における「手段」を「ステップ」に表現を変えたものであるから、上記(1)ア(イ)cと同様に、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
c 訂正事項19(c)に係る訂正は、訂正事項3(d)に係る訂正の前段(d1)に対応するものであって、「手段」を「ステップ」に表現を変えたものであるから、上記(2)ア(イ)dの前段と同様に、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
d 訂正事項19に係る訂正の目的についてのまとめ
したがって、訂正事項19に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1及び2号に規定する特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項19に係る訂正は、上記(イ)のとおり、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものであって、請求項11に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
したがって、訂正事項19に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
(エ)新規事項の有無について
訂正事項19(a)、訂正事項19(b)及び訂正事項19(c)に係る訂正は、訂正事項3(b)、訂正事項3(c)及び訂正事項3(d)の前段(d1)に係る訂正と、それぞれ対応し、これら対応する訂正の「手段」を「ステップ」に表現を変えたのものであるから、上記(1)ア(ウ)b、c及びd(d)と同様に、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではない。
したがって、訂正事項19に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
イ 訂正事項20
訂正事項20に係る訂正は、上記訂正事項19に係る訂正に伴い特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、請求項11に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項19及び訂正事項20に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1号、2号及び3号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び6項の規定に適合する。
6 本件訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項3及び訂正事項6に係る訂正は、特許法120条の5第9項において準用する126条5項の規定に適合するものではないから、認めることはできない。
そして、第2の1(1)ケに示したとおり、訂正前の請求項1、4~7に対応する訂正後の請求項1、4~7は、一群の請求項を構成するから、請求項5に係る訂正事項3及び訂正事項6が認められないことにより、請求項5についての「別の訂正単位とする求め」は認められない。さらに、請求項5についての「別の訂正単位とする求め」が認められないので、請求項5と共に「一群の請求項」を構成する請求項1、4、6、7に係る訂正事項である訂正事項1,訂正事項2、訂正事項4、訂正事項5、訂正事項7、訂正事項8及び請求項4についての「別の訂正単位とする求め」についても認められない。
訂正事項9~訂正事項13に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1、3及び4号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び6項の規定に適合するものであるから認められる。
訂正事項14~16に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1、3号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び6項の規定に適合するものであるから認められる。
訂正事項17及び訂正事項18に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1及び3号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び6項の規定に適合するものであるから認められる。
訂正事項19及び訂正事項20に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1及び3号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び6項の規定に適合するものであるから認められる。
第3 訂正後の本件特許発明
上記第2のとおり、訂正事項1~訂正事項8に係る請求項1、4~7の訂正は認められず、訂正事項9~訂正事項13に係る請求項2及び8の訂正、訂正事項14~16に係る請求項3の訂正、訂正事項17及び訂正事項18に係る請求項9及び10の訂正、並びに、訂正事項19及び訂正事項20に係る請求項11の訂正は認められるから、本件特許の請求項1、4~7に係る発明は、本件特許公報の特許請求の範囲の請求項1、4~7に記載された事項により特定され、本件特許の請求項2、3、8~11に係る発明は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項2、3、8~11に記載された事項により特定されるものであり、次のとおりのものである (以下、各請求項に記載された発明を、その請求項番号に対応して「本件特許発明1」等といい、全体の発明を「本件特許発明」という。)。
なお、A等の記号は、合議体が付与した。
「【請求項1】
A ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
C 前記取得手段により抽出された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段とを備えること
を特徴とするケーソン点群抽出システム。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
D 前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤの位置を示すワイヤ位置情報を算出する算出手段をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載のケーソン点群抽出システム。
【請求項5】
G 前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報を算出する算出手段をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載のケーソン点群抽出システム。
【請求項6】
H 前記算出手段により算出された方向情報を提示する提示手段をさらに備えること
を特徴とする請求項5に記載のケーソン点群抽出システム。
【請求項7】
I 前記算出手段により算出された方向情報に基づいて、前記ケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載する軌跡を示す軌跡情報を生成する生成手段をさらに備えること
を特徴とする請求項5に記載のケーソン点群抽出システム。
【請求項8】
A ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、
F 前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、
C’ 前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、
D’ 前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、
E 前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの位置を算出する算出手段をさらに備えること
を特徴とするケーソン点群抽出システム。
【請求項9】
A ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段と、
F 前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、
C’ 前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、
D’ 前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、
J’ 前記算出手段は、前記取得手段により取得された第1点群データと、前記第1抽出手段により抽出された第2点群データとの差分に基づいて、前記アースバケットの積載状態を示す積載情報を算出すること
を特徴とするケーソン点群抽出システム。
【請求項10】
K 前記算出手段により算出された積載情報に基づいて、前記アースバケットに土砂が積み込み可能かを判定する判定手段をさらに備えること
を特徴とする請求項9に記載のケーソン点群抽出システム。
【請求項11】
A’ ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得ステップと、
B’ 前記取得ステップにより取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出ステップと、
F’ 前記第1抽出ステップにより抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出ステップと、
C’’ 前記第3抽出ステップにより抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出ステップと、
D’’ 前記第2抽出ステップにより抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするケーソン点群抽出プログラム。」
第4 特許異議申立理由の概要、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の概要、及び証拠について
1 特許異議申立理由の概要
(1)請求項1、2、4、8、11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1、2、4、8、11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
(2)請求項3、5~7、9、10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3、5~7、9、10に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
2 取消理由(決定の予告)の概要
(1)請求項1、2、4、8、9、11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1、2、4、8、9、11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
(2)請求項1、2、4~11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、又は、甲第1号証に記載された発明、周知技術1(甲第2号証)、周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、4~11に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
(3)請求項3に係る特許は、訂正により削除されたことにより、請求項3に係る申立ては、申立の対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
<証拠>
甲第1号証:大崎颯成、外5名、「36.ニューマチックケーソン工法に
おける自動掘削システムの開発 天井走行式掘削機の自動化
および排土バケツ自動認識」、令和4年度 建設施工と建設
機械シンポジウム 論文集・梗概集、一般社団法人 日本建
設機械施工協会、令和4年11月29日、159~164頁
甲第2号証:特許第7014930号公報
なお、甲第1号証及び甲第2号証のそれぞれを、甲1及び甲2という。
第5 証拠について
1 甲1
(1)甲1の記載
甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。
ア 159頁左欄1~22行
「1.はじめに
ニューマチックケーソン工法(以下,ケーソン工法)では,ケーソン下部に設置された作業室内の天井に取り付けられた天井走行式掘削機(以下,掘削機)により,掘削作業を行う。
・・・
本論文では,この自動掘削システムの概要に加えて,新たに開発したLiDAR点群からの排土バケツ認識手法と,自動認識を組み入れた掘削からバケツへの排土動作の認証試験について述べる。」
イ 159頁左欄24行~160頁左欄9行
「2.自動掘削システムの概要
システムの構成図を図1に示す。本システムは作業室内の天井走行式掘削機,環境計測用3D LiDAR,および遠隔管理室に設置した遠隔制御PC,状態管理PC,制御パラメータ計算PCから構成される。・・・
・・・
自動掘削は,状態管理ソフトからの指令により行われる。状態管理ソフトはLiDARから得た点群により掘削位置や排土位置を自動決定し,掘削機の目標位置や姿勢と,掘削機に取り付けられたセンサ値を制御パラメータ計算PCに送信する。制御パラメータPCは,目標値とセンサ値との差分から制御量(レーバー入力値)を自動決定し,状態管理ソフトを通して遠隔制御PCに送信する。遠隔制御PCは,制御量に基づいて,掘削機のPLCに指令値を送信する。」
ウ 162頁左欄23~40行
「3.5 排土バケツ認識
ケーソン工法では,作業室内で発生した掘削土をケーソン外へ排土する必要があり,ケーソン上部のマテリアルシャフトから,クレーン等によりワイヤーで吊り下げた排土バケツを作業室まで下ろし,排土を行っている。掘削の自動化のためには,この排土バケツの位置を排土位置とし,ワイヤーに衝突しないように排土する必要がある。そこで我々のグループでは,作業室内天井部に取り付けた3D LiDARで取得した点群の中から,排土バケツとワイヤー位置を認識する手法を構築した。作業室内の点群は図10に示すように,排土バケツ以外にも掘削機本体やレール,作業室壁面,地表面が計測されている。排土バケツが設置される地面は,必ずしも平坦ではないため,毎回異なった位置,姿勢で設置される。また,ワイヤーを取り付けている吊り手の倒れる方向も定まっていないため.ワイヤー位置も不定である。」
エ 162頁右欄下から7~6行
「今回は,LiDARの計測誤差±5cmを範囲として点群数をカウントした。」
オ 163頁左欄13~29行
「○5(合議体注:「○5」は、○の中に5を付した文字。以下同様。) ワイヤー点群候補の抽出と直線の導出
排土バケツの上部には,天井の点またはワイヤーのみが含まれる。そのため,ここまでの処理で円が抽出されなかった層よりも,高い位置にあり,かつ天井近傍にない層の点群は,ワイヤー点であると仮定することができる。
図14-a)はワイヤー候補点を示している。ワイヤー候補点についても,これまでと同様にRANSACにより,直線を求める。通常ワイヤーなどの形状はカテナリー曲線となるが,厳密な形状は必要ではないため,計算の簡略化のために直線に近似している。図14-b)はワイヤーの近似結果を示している。
以上の手順により抽出した排土バケツ中心線とワイヤー線を抽出した結果を図15に示す。
また,排土バケツが存在しない場合もあるが,この場合は,中心線の長さや,点群の高さ方向の分散により判定する。」
カ 164頁左欄9~25行
「5.2 試験結果
排土バケツが満杯になるまでの5回の計測すべてでバケツ,ワイヤーは正しく認識された。評価試験時の自動掘削から排土までの一連の動作の様子を図17に示す。バケット先端が排土バケツ上部で,正しく排土できていることが見て取れる。図18に,排土バケツが満杯になるまでの,3DLiDARの計測結果を示す。○1は掘削開始前の状態であり,計4回の掘削で排土バケツがほぼ満杯になった。左下の排土バケツを見ると○5で排土バケツ上部まで土が到達していることが分かる。・・・掘削前に必ず計測を行うため,熟練オペレータよりも1連の動作に時間はかかるが,掘削から排土までの作業を自動で行うことができることから,実用的な時間であると考える。」
キ 164頁右欄の図17及び図18
「
[図:0001434094000003.jpg]
[図:0001434094000004.jpg]
」
ク 図18から看取できる事項
前記カによれば、図18は排土バケツが満杯になるまでの3DLiDARの計測結果を示すものであって、前記キで示した図18から以下の事項が看取できる。
・排土バケツへ排土された土の量が「天井からの高さ」によって示されていること
(2)甲1発明及び甲1プログラム発明
上記(1)から、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。
<甲1発明>
「ニューマチックケーソンの自動掘削システムにおいて(前記ア)、
LiDAR点群からの排土バケット認識手法に用いられる状態管理ソフトを有し(前記ア、イ)、
LiDARから得た点群により排土位置を自動決定し(前記イ)、
掘削機の目標位置や姿勢を目標値として送信し(前記イ)、
ワイヤーで吊り下げた排土バケツを作業室まで下ろし,排土を行う際に、掘削の自動化のために、この排土バケツの位置を排土位置としワイヤーに衝突しないように排土する必要があり(前記ウ)、
作業室内天井部に取り付けた3DLiDARで取得した点群の中から,排土バケツとワイヤー位置を認識し(前記ウ)、
排土バケツについて、ワイヤーを取り付けている吊り手の倒れる方向は定まっておらず(前記ウ)、
LiDARの計測誤差±5cmを範囲として点群数をカウントし(前記エ)、
点群の中から排土バケツ中心線とワイヤー線を抽出し(前記オ)、
ワイヤー線は計算により直線を求め(前記オ)、
排土バケツが満杯になるまでの3DLiDARの計測結果において、掘削開始前の状態から排土バケツがその上部まで土が到達する状態が分かり(前記カ)、
排土バケツへ排土された土の量が「天井からの高さ」によって示されている(前記ク)、
システム。」
また、甲1には、「状態管理ソフト」について記載され、ソフトウェアはコンピュータに処理を実行させるプログラムであることは明らかであるから、甲1には、以下のプログラムに関する発明が記載されていると認められる(以下、「甲1プログラム発明」という。)。
<甲1プログラム発明>
「甲1発明のシステムをコンピュータに実行させるプログラム。」
2 甲2
(1)甲2の記載
甲2には、次の事項が記載されている。
ア 段落【0052】~【0053】
「【0052】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図4は、本発明を適用したアースバケット認識システム6の全体構成を示すブロック図である。アースバケット認識システム6は、ニューマチックケーソン工法に使用されるアースバケット31の姿勢を認識する。アースバケット認識システムは、上述した外界センサ206と、外界センサ206を備えるケーソンショベル100に接続された遠隔操作装置12と、遠隔操作装置12に接続された上述したコントロールユニット165を備えている。
【0053】
遠隔操作装置12は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。外界センサ206から入力されたデータに基づいて、遠隔操作装置12は、アースバケット31の姿勢を認識してもよい。遠隔操作装置12は、抽出部80と、抽出部80に接続された変換部81と、変換部81に接続された認識部82とを備える。」
イ 段落【0078】
「【0078】
認識部82は、認識したアースバケット31の姿勢がユーザに認識できるように出力してもよい。これによって、ユーザは、アースバケット31の姿勢を認識できるようになり、アースバケット31に土砂を詰め込む作業を遠隔操作する場合、アースバケット31の姿勢に応じて、ケーソンショベル100を精度よく操作することが可能となる。」
(2)甲2記載技術
上記(1)から、甲2には、次の技術が記載されていると認められる(以下「甲2記載技術」という。)。
<甲2記載技術>
「ニューマチックケーソン工法に使用されるアースバケット31の姿勢を認識するアースバケット認識システム6において(前記ア)、
アースバケット認識システム6は遠隔操作装置12を備え(前記ア)、
遠隔操作装置12は認識部82を備え(前記イ)、
認識部82は、認識したアースバケット31の姿勢がユーザに認識できるように出力することで、ユーザは、アースバケット31の姿勢に応じて、ケーソンショベル100を精度よく操作することが可能となる(前記イ)、
技術。」
3 引用文献1
(1)引用文献1の記載
本件特許出願前に発行された特開2016-89559号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
ア「【0001】
本発明は、掘削積込作業を行う油圧ショベル等の建設機械に係り、特に作業の一部を自動運転により行う建設機械に関する。」
イ「【0033】
図4に示すように、掘削積込作業のサイクルとして、油圧ショベル1のバケット4Cで土砂を掘削する掘削動作A、バケット4Cが掘削した土砂を保持した状態で、旋回体3が掘削位置からダンプトラック101の荷台102側へ旋回する運搬動作B、土砂をバケット4Cからダンプトラック101の荷台102へ落とす放土動作C、ダンプトラック101の荷台102側から旋回して掘削位置へ戻るリーチング動作Dがある。
・・・
【0035】
特に、掘削積込作業の一連の動作A~Dのうち運搬動作B及びリーチング動作Dは、ダンプトラック101の荷台102や油圧ショベル1の周囲の障害物に接触させないように 、オペレータが気を使う作業であるため、オペレータが慎重に操作レバー7a1~7a4を操作すると、作業に時間を費やして生産性が低下する可能性がある。また、ダンプトラック101の荷台102に油圧ショベル1の旋回体3やフロント作業機4を接触させると、油圧ショベル1及びダンプトラック101が破損する可能性がある。
・・・
【0037】
そこで、本発明の第1実施形態では、制御装置17は、図2に示すように、掘削積込作業の一連の動作A~Dうち運搬動作B及びリーチング動作Dを自動で操作する自動運転を行う自動運転制御部17Aと、運転室7の操作レバー7a1~7a4又は遠隔操作装置19の操作レバー19a1~19a4によって手動運転から自動運転(自動運転モード)へ移行するための所定の操作が行われたかどうかを判定する運転移行判定部としてのレバー操作判定部17Bと、手動運転による掘削動作Aが終了したかどうかを判定する掘削終了判定部17Cと、フロント作業機4によって掘削された土砂を放土可能な状況にあるかどうかを判定する後述の放土判定部とを含んでいる。そして、制御装置17は、レバー操作判定部17Bによって上述の所定の操作が行われたと判定されたことを条件として車体の自動運転を実行するための制御を開始するようにしている。
・・・
【0040】
自動運転制御部17Aは、環境認識装置18の認識結果に基づいて、目標とする掘削位置や放土位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道を演算する。そして、自動運転制御部17Aは、各油圧アクチュエータ3a,4a~4cの角度センサ3a1,4a1~4c1及び圧力センサ3a2,3a3,4a2,4a3,4b2,4b3,4c2,4c3の検出信号をフィードバックし、油圧ショベル1の旋回体3及びフロント作業機4が演算した掘削位置や放土位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道で動作するように、油圧制御弁14を介して各油圧アクチュエータ3a,4a~4cを制御する。」
(2)引用文献1記載技術
上記(1)から、引用文献1には、次の技術が記載されていると認められる(以下「引用文献1記載技術」という。)。
(引用文献1記載技術)
「掘削積込作業を行う建設機械において、
掘削積込作業の一連の動作のうち運搬動作Bを自動で操作する自動運転を行う場合に、目標とする掘削位置や放土位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道を演算し、油圧ショベル1の旋回体3及びフロント作業機4が演算した掘削位置や放土位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道で動作すること。」
4 引用文献2
本件特許出願前に発行された特開2019-65661号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)引用文献2の記載
ア「【0001】
本発明は、積込機械および運搬車両が配備された作業現場において積込機械を制御する積込機械制御装置および制御方法に関する。」
イ「【0015】
《積込機械》
図2は、第1の実施形態に係る積込機械の外観図である。
第1の実施形態に係る積込機械100は、油圧ショベルである。なお、他の実施形態に係る積込機械100は、油圧ショベル以外の積込機械であってもよい。また図2に示す積込機械100はフェイスショベルであるが、バックホウショベルやロープショベルであってもよい。
・・・」
ウ「【0047】
操作信号生成部5109は、排土位置特定部5106が特定した排土位置P13、回避位置特定部5107が特定した干渉回避位置P12に基づいて、バケット113を排土位置P13まで移動させるための操作信号を生成する。すなわち、操作信号生成部5109は、掘削完了位置P10から、位置P11および干渉回避位置P12を経由して、排土位置P13に到達するように、操作信号を生成する。また、操作信号生成部5109は、ブーム111およびアーム112が駆動してもバケット113の角度が変化しないように、バケット113の操作信号を生成する。」
(2)引用文献2記載技術
上記アから、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる(以下「引用文献2記載技術」という。)。
(引用文献2記載技術)
「油圧ショベルを制御する積込機械制御装置において、
バケットを掘削完了位置から、排土位置に到達するように、操作信号を生成すること。」
5 周知技術
(1)周知技術1
例えば、甲2に示されるように、情報処理システムにおいて、算出した情報をユーザが認識できるように出力することは周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。
(2)周知技術2
例えば、引用文献1及び引用文献2に示されるように、自動掘削システムにおいて、掘削の自動化を行う際に、掘削機の位置や姿勢だけでなく土砂を積載場所に積載する軌跡を目標値として生成することは、周知技術(以下、「周知技術2」という。)である。
なお、引用文献1及び2は、周知技術2の周知例として示したものである。
第6 当審の判断
訂正後の本件特許発明について、以下、検討する。
なお、上記第3で示したとおり、訂正後の請求項2及び3は削除されている。
1 本件特許発明1、4~7について
(1)本件特許発明1
ア 対比・判断
(ア)構成Aについて
甲1発明の「ニューマチックケーソンの」「作業室内天井部に取り付けた3D LiDAR」は、本件特許発明1の「ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサ」に相当する。そして、甲1発明における「3D LiDAR」が、対象物に光を照射し、その反射光を光センサでとらえて距離を測定するセンサであることは技術常識より明らかであるから、本件特許発明1の「点群センサの位置から取得対象までの距離情報」を測定するものであって、甲1発明の「状態管理ソフト」は、「3D LiDARで」「点群」を「取得」するものであるから、本件特許発明1の「点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段」に相当するものを有している。
よって、甲1発明は、本件特許発明1の構成Aに相当する構成を有する。
(イ)構成Cについて
構成Cの「前記取得手段により抽出された」の「抽出」は、上記第2の4(2)ア(イ)bで説明したとおり、本来の意味は「取得」を意味するものとして、検討する。
甲1発明の「排土バケツ」は、本件特許発明1の「アースバケット」に相当し、甲1発明の「ワイヤー」は「排土バケツ」を「吊り下げ」たものであるから、本件特許発明1の「アースバケットに設けられたワイヤ」に相当する。
そして、甲1発明の「状態管理ソフト」は、「作業室内天井部に取り付けた3D LiDARで取得した点群の中から」「ワイヤー位置を認識し」、「ワイヤー線を抽出」するものであるから、本件特許発明1の「前記取得手段により抽出された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」に相当するものを有する。
また、甲1発明の「ニューマチックケーソンの自動掘削システム」は、上記のとおり「点群の中から排土バケツ中心線とワイヤー線を抽出」するものであるから、本件特許発明1の「ケーソン点群抽出システム」に相当する。
よって、甲1発明は、本件特許発明1の構成Cに相当する構成を有する。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、相違点はない。
「A ニューマチックケーソンの作業室内にある点群センサの位置から取得対象までの距離情報を示す第1点群データを取得する取得手段と、
C 前記取得手段により抽出された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段とを備える
ケーソン点群抽出システム。」
イ 小括
したがって、本件特許発明1は、甲1に記載された発明である。また、仮に相違する点があるとしても、仮に相違する点があるとしても、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に想到し得る程度のものである。
(2)本件特許発明4
ア 対比・判断
本件特許発明4が、本件特許発明1と共通する構成(構成A、構成C)については、上記(1)アで説明したとおりである。
(ア)構成Dについて
甲1発明の「状態管理ソフト」は「点群の中から」「ワイヤー線を抽出し」「ワイヤー線は計算により直線を求め」るものであるから、本件特許発明4とは、「第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤの位置示すワイヤ位置情報を算出する算出手段」を備える点で一致する。
そうすると、本件特許発明4と甲1発明とは、上記(1)アで示した一致点に加えて、上記の点でも一致するから、相違点はない。
イ 小括
したがって、本件特許発明4は甲1に記載された発明である。また、仮に相違する点があるとしても、本件特許発明4は、甲1発明に基づいて当業者が容易に想到し得る程度のものである。
(3)本件特許発明5
ア 対比
(ア)本件特許発明5が、本件特許発明1と共通する構成(構成A、構成C)については、上記(1)アで説明したとおりである。
(イ)甲1発明の「状態管理ソフト」は「ワイヤー線は計算により直線を求め、排土バケツが満杯になるまでの3D LiDARの計測結果において、掘削開始前の状態から排土バケツがその上部まで土が到達する状態が分かり、排土バケツへ排土された土の量が「天井からの高さ」によって示されている」るものであるから、ワイヤー線のない方向で排土バケツにおいて満杯になっていない部分は上記計測結果で示されている。また、甲1発明において上記計測結果が算出されたものであることは明らかであるので、甲1発明が、算出する手段を有していることも明らかである。
そうすると、本件特許発明5と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
(相違点1)
本件特許発明5は、前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、「前記作業室内のケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載可能な方向を示す方向情報」を算出する算出手段(構成G)を備えるのに対し、甲1発明では、3D LiDARの計測結果に基づいて、ワイヤー線のない方向で排土バケツにおいて満杯になっていない部分の情報を算出する手段を有しているものの、上記手段が、掘削機が排土バケツに土を積載可能な方向を示す方向情報を算出するものであると特定されていない点。
イ 判断
上記相違点1について検討する。
甲1発明においても、「排土バケツについて、ワイヤーを取り付けている吊り手の倒れる方向は定まって」いない状況の中で、「ワイヤー線を求め」「排土バケツが満杯になるまで」「排土する」ように「自動掘削」を行うものであるため、自動掘削が円滑に進むように、3D LiDARの計測結果から掘削機が排土バケツに土を積載可能な方向を示す方向情報を算出することは、当業者が適宜なし得たことである。
また、上記相違点1に係る本件特許発明5の構成Gが奏する効果は、甲1発明から当業者が予測し得た程度のものにすぎない。
ウ 小括
よって、本件特許発明5は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件特許発明6
ア 対比
(ア)本件特許発明6が、本件特許発明1及び本件特許発明5と共通する構成(構成A、構成C及び構成G)については、上記(1)ア及び(3)アで説明したとおりである。
(イ)本件特許発明6と甲1発明とは、上記相違点1に加えて、以下の点で相違しその余の点で一致する。
(相違点2)
本件特許発明6は、「前記算出手段により算出された方向情報を提示する提示手段」(構成H)を備えるのに対し、甲1発明は、そのような提示手段を備えるものであるか否か不明な点。
イ 判断
上記相違点について検討する。
相違点1については、上記(3)イで検討したとおりである。
上記相違点2について検討する。
情報処理システムにおいて、算出した情報をユーザが認識できるように出力することは周知技術1である。
甲1発明においても、上記周知技術1を適用して、自動掘削システムのユーザが排土バケツの姿勢を認識できるように、排土バケツの姿勢も含めた土を積載可能な方向を示す情報を出力する手段を設けること、すなわち、相違点2に係る本件特許発明6のように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、上記相違点に係る本件特許発明6の構成Hが奏する効果は、甲1発明及び周知技術1から当業者が予測し得た程度のものにすぎない。
ウ 小括
したがって、本件特許発明6は、甲1発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)本件特許発明7
ア 対比
(ア)本件特許発明7が、本件特許発明1及び本件特許発明5と共通する構成(構成A、構成C及び構成G)については、上記(1)ア及び(3)アで説明したとおりである。
(イ)本件特許発明7と甲1発明とは、上記相違点1に加えて、以下の点で相違しその余の点で一致する。
(相違点3)
本件特許発明7は「算出手段により算出された方向情報に基づいて、前記ケーソンショベルが前記アースバケットに土砂を積載する軌跡を示す軌跡情報を生成する生成手段」を有するのに対し、甲1発明は、掘削機の目標位置や姿勢を目標値として生成しているものの、そのような軌跡情報を生成する構成を有しているか不明な点。
イ 判断
上記相違点について検討する。
相違点1については、上記(3)イで検討したとおりである。
上記相違点3について検討する。
自動掘削システムにおいて、掘削の自動化を行う際に、掘削機の位置や姿勢だけでなく土砂を積載場所に積載する軌跡を目標値として生成することは、周知技術2である。
そして、甲1発明において、円滑に掘削の自動化を行うために、上記周知技術2を適用して、掘削機に関する生成情報として、掘削機の位置や姿勢だけでなく土砂を積載場所に積載する軌跡を目標値として生成すること位置や姿勢のみならず、軌跡も含め、相違点3に係る本件特許発明7のように構成することは当業者が容易に想到し得たことである。
また、上記相違点に係る本件特許発明7の構成Iが奏する効果は、甲1発明及び周知技術2から当業者が予測し得た程度のものにすぎない。
ウ 小括
したがって、本件特許発明7は、甲1発明及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 本件特許発明8について
(1)対比
ア 本件特許発明8が、本件特許発明1と共通する構成(構成A)については、上記(1)アで説明したとおりである。
イ 構成Bについて
上記1(1)ア(ア)の対比をふまえると、甲1発明の「状態管理ソフト」は、「作業室内天井部に取り付けた3D LiDARで取得した点群の中から」「排土バケツ」「位置を認識し」、「排土バケツ中心線を抽出」するものであり、「排土バケツ」に係る「点群」データが抽出されるのは明らかであるから、本件特許発明8の「前記取得手段により取得された第1点群データに基づいて、前記作業室内にあるアースバケットを示す第2点群データを抽出する第1抽出手段」に相当するものを有している。
よって、甲1発明は、本件特許発明8の構成Bに想到する構成を有している。
ウ 構成Fについて
甲1発明の「排土バケツ」について、ワイヤーを取り付けている「吊り手」を有するものであって、通常、「吊り手」はバケツの上面に設けられることは明らかである。してみれば、甲1発明の上記「吊り手」は、本件特許発明8の「アースバケットの上面に設けられたつる」に相当する。
エ 構成C’について
甲1発明の「排土バケツ」は、本件特許発明8の「アースバケット」に相当し、甲1発明の「ワイヤー」は「排土バケツ」を「吊り下げ」たものであるから、本件特許発明1の「アースバケットに設けられたワイヤ」に相当する。
そして、甲1発明の「状態管理ソフト」は、「作業室内天井部に取り付けた3D LiDARで取得した点群の中から」「ワイヤー位置を認識し」、「ワイヤー線を抽出」するものであるから、本件特許発明8の「前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」に相当するものを有する。
オ 構成Eについて
甲1発明の「状態管理ソフト」は、「作業室内天井部に取り付けた3D LiDARで取得した点群の中から」「排土バケツ」「位置を認識し」、「排土バケツ中心線を抽出」するものである。そして、甲1発明において、「排土バケツ中心線」は、ワイヤー線と同様に計算によって求められていることは明らかであるから、本件特許発明8の「前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの位置を算出する算出手段」に相当するものを有している。
よって、甲1発明は、本件特許発明8の構成Eに相当する構成を有している。
そうすると、本件特許発明8と甲1発明とは、以下の点で相違しその余の点で一致する。
(相違点4)
本件特許発明8は、
「F 前記第1抽出手段により抽出された第2点群データに基づいて、前記アースバケットの上面に設けられたつるを示す第4点群データを抽出する第3抽出手段と、
C’ 前記第3抽出手段により抽出された第4点群データに基づいて、前記アースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段と、
D’ 前記第2抽出手段により抽出された第3点群データに基づいて、前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段とを備え、」ているのに対して、
本件特許発明8の構成Fに関し、甲1発明は、「吊り手」(本件特許発明8の「つる」)は備えているものの、当該吊り手を示す点群データを抽出することについて特定がされておらず、
本件特許発明8の構成C’に関し、甲1発明は、「3DLiDARで取得した点群の中から」「ワイヤー線」を抽出することから、「前記作業室内にあるアースバケットに設けられたワイヤを示す第3点群データを抽出する第2抽出手段」に相当する構成を有しているといえるものの、「吊り手」を示す点群データに基づいて「ワイヤを示す第3点群データを抽出する」との特定がされておらず、
本件特許発明8の構成 D’に関し、甲1発明は、「抽出された第3点群データ」に相当するものを有するものの、当該「抽出された第3点群データ」に基づいて、「前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段」を備えていない点。
(2)判断
上記相違点は4は、実質的な相違点である。
したがって、本件特許発明8は、甲1に記載された発明ではない。
次ぎに、上記相違点4について検討する。
「吊り手」(「つる」)の位置情報を取得することについては、甲2や周知技術として例示した引用文献1及び2の何れにも、記載も示唆もされておらず、甲1発明において、「吊り手」を示す点群データを抽出する(「本件特許発明8の構成F」関係)動機もない。
したがって、甲1発明に、甲2、引用文献1及び2に記載された事項を適用しても、「吊り手」を示す点群データに基づいて、「ワイヤを示す第3点群データを抽出する」こと(「本件特許発明8の構成C’」関係)や、「前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段」を備えること(「本件特許発明8の構成D’」関係)はできない。
よって、甲1発明に、甲2記載技術、周知技術として例示した引用文献1及び2を適用しても、相違点4に係る本件特許発明8の構成とすることはできない。
(3)申立人の主張について
申立人は、甲1には、排土バケツとワイヤ位置を認識する手法が開示されている点、吊り手(「つる」に相当)の倒れる方向が定まらずに、ワイヤ位置が定まらないことが課題として認識されている点が記載されており、当業者であればこれらの記載事項に基づいて、ワイヤが支点より第1方向側にあるか、又は、逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出することは容易に思いつく旨主張する。(令和7年8月8日付け意見書3.(2))
しかしながら、上記(2)のとおり、甲1発明は、吊り手を示す点群データを抽出しておらず、「吊り手」を示す点群データを抽出する動機もない。また、吊り手を示す点群データを抽出する技術は、甲2、引用文献1及び2に記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明において、「吊り手」を示す点群データに基づいて「ワイヤを示す第3点群データを抽出する」ことや、「前記ワイヤが前記つると前記上面との接点である支点より第1方向側にあるか、又は前記第1方向の逆側にあるかを示すワイヤ位置情報を算出する算出手段」を備えることが容易に想到できるとはいえない。
以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。
(4)小括
したがって、本件特許発明8は、甲1に記載された発明ではない。
また、本件特許発明8は、甲1発明、甲2技術事項、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件特許発明9及び10について
(1)本件特許発明9
ア 対比・判断
本件特許発明9は、本件特許発明8と同様に構成F、構成C’及び構成D’を有することから、本件特許発明9と甲1発明とを対比すると、上記2(1)で示した相違点4と同様の点で相違する。
また、上記2(2)で示したとおり、相違点4は実質的な相違点であるから、本件特許発明9は、甲1に記載された発明ではない。
上記相違点について、上記2(2)で検討したとおりである。
イ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明9は、甲1に記載された発明ではない。
また、本件特許発明9は、甲1発明、甲2技術事項、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件特許発明10について
本件特許発明10は、本件特許発明9を引用しさらに限定したものであるから、本件特許発明9と同様の理由により、甲1発明、甲2技術事項、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本件特許発明11について
(1)対比・判断
本件特許発明11は、上記のとおり、構成F’、構成C’’及び構成D’’を有しており、これらは、構成F’、構成C’’及び構成D’’それぞれの「手段」を「ステップ」に表現を変えたものである。
そうすると、本件特許発明11と甲1プログラム発明とを対比すると、上記2(1)アで示した相違点4の「手段」を「ステップ」に変えた相違点(以下、「相違点4’」という。)で相違する。
また、上記2(2)で示したとおり、相違点4は実質的な相違点であるから、相違点4’も同様に、実質的な相違点である。
よって、本件特許発明11は、甲1に記載された発明ではない。
次ぎに、相違点4’について検討する。
相違点4’は、上記のとおり、「手段」を「ステップ」に変えたものであることをふまえれば、上記2(2)で検討したとおりである。
(2)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明11は、甲1に記載された発明ではない。
また、本件特許発明11は、甲1プログラム発明、甲2技術事項、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、本件特許発明9及び10が、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張するので、以下検討する。
なお、申立人が主張する周知技術とは、排土バケットの積載状態を求めることである。
(1)本特許発明9について
ア 対比・判断
上記3(1)で検討したとおり、本件特許発明9と甲1発明とを対比すると、上記2(1)で示した相違点4と同様の点で相違する。
申立人が主張する周知技術であるとして示す甲2には、アースバケットの点群データ抽出手段や、アースバケットの姿勢がユーザに認識できるように出力することは記載されているが、排土バケットの積載状態を求めることは記載されていない。
また、上記2(2)で述べたとおり、甲2には、「吊り手」(「つる」)の位置情報を取得することについては、記載も示唆もされていない。
よって、甲1発明に、申立人が主張する周知技術(甲2)を適用しても、相違点に係る本件特許発明9の構成に想到することはできない。
イ 小括
したがって、本件特許発明9は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲2)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件特許発明10について
本件特許発明10は、本件特許発明9を引用しさらに限定したものであるから、本件特許発明と同様の理由により、甲1発明及び周知技術(甲2)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明9及び10に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によって、取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本件特許発明1及び4は、甲1に記載された発明であるから、本件特許の請求項1及び4に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。
また、本件特許発明1、4~7は、甲1発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1、4~7に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、請求項1、4~7に係る特許は、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
また、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許発明8~11に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件請求項8~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件特許の請求項2及び3に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、本件特許の請求項2及び3に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用す る同法135条の規定によって却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-700217