2020-700242
加飾パネル及びこれを備えた車両用内装品並びに加飾パネルの製造方法
- 審判番号
- 2020-700242
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-099078外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年04月07日
- 審決日
- 2021年04月09日
- 公報発行日
- 2021年08月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ダイキョーニシカワ株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人前田特許事務所
- 【異議申立人】渡辺 寛
- 分類
- P1651.121-YAA(B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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特許第6588387号の請求項1~8に係る特許についての出願は、平成28年5月17日にした出願であって、令和元年9月20日にその特許権の設定登録がされ、令和元年10月9日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
第2訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求は、特許第6588387号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の明細書及び訂正後の請求項1~8について訂正することを求めるものであり、訂正箇所の下線を付すと、本件訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4の「請求項3に記載の加飾パネルにおいて、上記第1装飾部(23)及び第2装飾部(25)の境界は、上記凹条部(19)の第1装飾部(23)側の側壁における凹条部(19)開放方向中央よりも反開放側に位置していることを特徴とする加飾パネル。」を、「樹脂製の基材(13)と、上記基材(13)の表面に被着されたフィルム(15)とを備え、上記基材(13)には、開口部(11)が形成され、当該基材(13)の表面には、溝部(17)が形成され、上記フィルム(15)の上記溝部(17)対応箇所には、当該溝部(17)表面に沿うように裏面側に凹む凹条部(19)が形成され、上記フィルム(15)は印刷層(l5b)を有し、当該印刷層(15b)における上記基材(l3)の開口部(11)の周縁部に対応する領域は、金属調の光輝性顔料で着色された環状の第1装飾部(23)を構成している一方、上記印刷層(15b)における第1装飾部(23)に隣接する領域は、上記第1装飾部(23)とは異なる顔料で着色された第2装飾部(25)を構成し、上記第1装飾部(23)及び第2装飾部(25)の境界は、上記凹条部(19)の第1装飾部(23)側の側壁における凹条部(19)開放方向中央よりも反開放側に位置していることを特徴とする加飾パネル。」と訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5の「請求項1~4のいずれか1項に記載の加飾パネルを備えた車両用内装品であって、上記基材(13)は、透明な樹脂材で構成され、上記フィルム(15)には、透明又は透光性を有する表示領域(22)が変速機の変速段の切替位置を表示する文字の形状をなすように形成され、上記車両用内装品(5)は、上記フィルム(15)の表示領域(22)に裏面側から基材(13)を介して光を照射する光源(33)をさらに備えていることを特徴とする車両用内装品。」を、「請求項4に記載の加飾パネルを備えた車両用内装品であって、上記基材(13)は、透明な樹脂材で構成され、上記フィルム(15)には、透明又は透光性を有する表示領域(22)が変速機の変速段の切替位置を表示する文字の形状をなすように形成され、上記車両用内装品(5)は、上記フィルム(15)の表示領域(22)に裏面側から基材(13)を介して光を照射する光源(33)をさらに備えていることを特徴とする車両用内装品。」と訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7の「請求項6に記載の加飾パネルの製造方法において、上記射出成形工程の実行前に、裏面側に凹む凹条部(19)を上記フィルム(15)の第1装飾部(23)及び第2装飾部(25)の境界に真空成形又はプレス成形により形成することを特徴とする加飾パネルの製造方法。」と記載されているのを、「請求項4に記載の加飾パネルの製造方法であって、上記フィルム(15)の印刷層(15b)を印刷により形成する印刷工程と、上記フィルム(15)の裏面側に樹脂(R)を射出充填することにより、上記基材(13)を成形する射出成形工程とを有し、上記射出成形工程の実行前に、裏面側に凹む凹条部(19)を上記フィルム(15)の第1装飾部(23)及び第2装飾部(25)の境界に真空成形又はプレス成形により形成することを特徴とする加飾パネルの製造方法。」と訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落0007の「具体的には、第1の発明は、樹脂製の基材と、上記基材の表面に被着されたフィルムとを備え、上記フィルムは印刷層を有し、当該印刷層における一部の領域は、金属調の光輝性顔料で着色された環状の第1装飾部を構成している一方、上記印刷層における第1装飾部に隣接する領域は、上記第1装飾部とは異なる顔料で着色された第2装飾部を構成していることを特徴とする。」を、「具体的には、第1の発明は、樹脂製の基材と、上記基材の表面に被着されたフィルムとを備え、上記基材には、開口部が形成され、当該基材の表面には、溝部が形成され、上記フィルムの上記溝部対応箇所には、当該溝部表面に沿うように裏面側に凹む凹条部が形成され、上記フィルムは印刷層を有し、当該印刷層における上記基材の開口部の周縁部に対応する領域は、金属調の光輝性顔料で着色された環状の第1装飾部を構成している一方、上記印刷層における第1装飾部に隣接する領域は、上記第1装飾部とは異なる顔料で着色された第2装飾部を構成し、上記第1装飾部及び第2装飾部の境界は、上記凹状部の第1装飾部側の側壁における凹条開放方向中央よりも反開放側に位置していることを特徴とする。」と訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落0008~0010を削除する。
(10)訂正事項10
明細書の段落0011の「第5の発明は、第1~4のいずれか1つの発明に係る加飾パネルを備えた車両用内装品であって、」を、「第2の発明は、第1の発明に係る加飾パネルを備えた車両用内装品であって、」と訂正する。
(11)訂正事項11
明細書の段落0012の「第6の発明は、第1~4のいずれか1つの発明に係る加飾パネルの製造方法であって、上記フィルムの印刷層を印刷により形成する印刷工程と、上記フィルムの裏面側に樹脂を射出充填することにより、上記基材を成形する射出成形工程とを有することを特徴とする。」を、「第3の発明は、第1の発明に係る加飾パネルの製造方法であって、上記フィルムの印刷層を印刷により形成する印刷工程と、上記フィルムの裏面側に樹脂を射出充填することにより、上記基材を成形する射出成形工程とを有し、上記射出成形工程の実行前に、裏面側に凹む凹条部を上記フィルムの第1装飾部及び第2装飾部の境界に真空成形又はプレス成形により形成することを特徴とする。」と訂正する。
(12)訂正事項12
明細書の段落0013を削除する。
(13)訂正事項13
明細書の段落0014の「第8の発明は、第7の発明に係る加飾パネルの製造方法において、」を、「第4の発明は、第3の発明に係る加飾パネルの製造方法において、」と訂正する。
(14)訂正事項14
明細書の段落0016の「第2の発明によれば、」を、「また、」に訂正する。
(15)訂正事項15
明細書の段落0017の「第3の発明によれば、」を、「また、」に訂正する。
(16)訂正事項16
明細書の段落0019の「第4の発明によれば、」を、「また、」に訂正する。
(17)訂正事項17
明細書の段落0021の「第5の発明によれば、」を、「第2の発明によれば、」に訂正する。
(18)訂正事項18
明細書の段落0022において、「第6の発明によれば、」を「第3の発明によれば、」に訂正するとともに、「第1~4のいずれか1つの発明の加飾パネル」を「第1の発明の加飾パネル」に訂正する。
(19)訂正事項19
明細書の段落0023の「第7の発明によれば、第3の発明と同様に」を、「また、第1の発明と同様に、」に訂正する。
(20)訂正事項20
明細書の段落0025の「第8の発明によれば、」を、「第4の発明によれば、」に訂正する。
2.一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~8について、請求項2~8は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであるところ、訂正事項1~7は、訂正前に引用関係を有する請求項1~8に対して請求されたものである。
よって、本件訂正請求は、一群の請求項ごとに請求されている。
また、訂正事項8~20による明細書の訂正に係る請求項は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項に規定する一群の請求項の全てについて行われたものである。
3.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1~3及び訂正事項6
訂正事項1~3及び訂正事項6は、訂正前の請求項1~3及び請求項6を削除するものであるから、特許請求の範囲の限縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項1又は請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3をさらに引用する請求項4を、実質的に請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3をさらに引用するようにしたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項1~4のそれぞれを直接的又は間接的に引用する請求項5を、請求項4のみを引用するようにしたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項7
訂正事項7は、訂正前の請求項1~4のそれぞれを直接的又は間接的に引用する請求項6を更に引用する請求項7を、請求項6との引用関係を解消しつつ、請求項4のみを引用するようにしたものであるから、特許請求の範囲の限縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項8~20
訂正事項8~20は、訂正事項1~7に係る訂正に伴う特許請求の範囲の記載と明細書の記載との不整合を解消するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
4.小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正後の請求項1~8に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】(削除)【請求項2】(削除)【請求項3】(削除)【請求項4】続きを表示(全23行)樹脂製の基材(13)と、上記基材(13)の表面に被着されたフィルム(15)とを備え、上記基材(13)には、開口部(11)が形成され、当該基材(13)の表面には、溝部(17)が形成され、上記フィルム(15)の上記溝部(17)対応箇所には、当該溝部(17)表面に沿うように裏面側に凹む凹条部(19)が形成され、上記フィルム(15)は印刷層(l5b)を有し、当該印刷層(15b)における上記基材(l3)の開口部(11)の周縁部に対応する領域は、金属調の光輝性顔料で着色された環状の第1装飾部(23)を構成している一方、上記印刷層(15b)における第1装飾部(23)に隣接する領域は、上記第1装飾部(23)とは異なる顔料で着色された第2装飾部(25)を構成し、上記第1装飾部(23)及び第2装飾部(25)の境界は、上記凹条部(19)の第1装飾部(23)側の側壁における凹条部(19)開放方向中央よりも反開放側に位置していることを特徴とする加飾パネル。【請求項5】請求項4に記載の加飾パネルを備えた車両用内装品であって、上記基材(13)は、透明な樹脂材で構成され、上記フィルム(15)には、透明又は透光性を有する表示領域(22)が変速機の変速段の切替位置を表示する文字の形状をなすように形成され、上記車両用内装品(5)は、上記フィルム(15)の表示領域(22)に裏面側から基材(13)を介して光を照射する光源(33)をさらに備えていることを特徴とする車両用内装品。【請求項6】(削除)【請求項7】請求項4に記載の加飾パネルの製造方法において、上記フィルム(15)の印刷層(15b)を印刷により形成する印刷工程と、上記フィルム(15)の裏面側に樹脂(R)を射出充填することにより、上記基材(13)を成形する射出成形工程とを有し、上記射出成形工程の実行前に、裏面側に凹む凹条部(19)を上記フィルム(15)の第1装飾部(23)及び第2装飾部(25)の境界に真空成形又はプレス成形により形成することを特徴とする加飾パネルの製造方法。【請求項8】請求項7に記載の加飾パネルの製造方法において、上記フィルム(15)の凹条部(19)形成時における凹条部(19)の展開率は、250%以下であることを特徴とする加飾パネルの製造方法。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許及び請求項6に係る特許に対して、当審が令和2年8月20日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許の請求項1及び請求項6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許及び請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2.引用文献の記載事項、引用発明
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以下、下線は、強調のため、当審が付した。
(1)引用文献1
引用文献1には、次の記載がある。
「【請求項1】容器の表面に、インサート成形したラベルを備える合成樹脂製のラベル容器であって、前記ラベルは、透明又は半透明の膜からなりラベルの最外層を形成する表面層と、この表面層の裏面に設けられ当該表面層を透して立体感のある装飾として現れる装飾層との少なくとも二層を有し、前記表面層が容器の外表面を形成する立体装飾ラベルであることを特徴とする合成樹脂製のラベル容器。【請求項2】前記立体装飾ラベルは、前記表面層の裏面に設けられ当該表面層を透して前記装飾の背景として現れる光輝度加飾層を有することを特徴とする請求項1に記載のラベル容器。【請求項3】前記光輝度加飾層は、印刷又は蒸着によりなることを特徴とする請求項2に記載のラベル容器。」
「【0016】更に、光輝度加飾層は複数の金属粉末粒子を含み、当該金属粉末粒子それぞれを表面層に対して向きを同じく配列すれば、金属粉末粒子が光輝度加飾層内で乱反射することなく、立体装飾ラベルで均等に輝いてよりよい美観を奏する。特に、この場合、金属粉末粒子として主に用いられるアルミニウム粉末の粒子径が5~20μmであることから、光輝度加飾層の厚みをアルミニウム粉末の最大粒子径20μmよりも小さい2μm以上、10μm以下にすれば、個々の金属粉末粒子が表面層に対して向きを同じく配列されるため、均等な輝きによるよりよい美観を奏するラベル容器の量産が容易になる。」
「【0020】図1は、本発明の一形態であるコンパクト容器1を示す斜視図であり、図2は、図1の線分A-Aにおける縦断面図である。【0021】コンパクト容器1は、図1に示す如く、蓋体2と容器本体3とをヒンジ4を介して開閉可能に連結したものである。蓋体2は、図2に示す如く、AS(アクリロニトリルスチレン共重合樹脂)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PP(ポリプロピレン)樹脂等からなり、上蓋2の外形を構成する基部2aの外表面に、続きを表示(全11行)接着層Adを介して立体装飾ラベル10を備え、この立体装飾ラベル10を上蓋2の最外層とするものである。【0022】図2において、符号11は、透明又は半透明のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂の薄膜からなり立体装飾ラベル10の最外層を形成するフィルム層(表面層)である。このフィルム層11は、上蓋2の外表面を形成する平坦な外表面11aを有する。【0023】符号12は、透明又は着色したインキ又はフィルムからなり、フィルム層11の裏面11bに接合して文字、図形や記号等の装飾Dを構成する装飾層である。装飾Dは、上蓋2をフィルム層11から眺めたときに、フィルム層11を透して立体感のある装飾として現れる。なお、本形態における装飾Dは、図1に示す如く、小さな丸模様の周りに5つの大きな丸模様を同心円状に配した形状として例示してあり、本形態に係る着色インキ又はフィルムには、金属色を含むものとする。【0024】符号13は、粒子径5~20μmのアルミニウム粉末Pを90%以上含み、このアルミニウム粉末Pと、アセチルブチルセルロース(CAB)等の結合剤とを重量比50:10~10:30の割合で混合し、このアルミニウム粉末Pと結合剤との合計重量に対して5~15倍のイソホロン等を稀釈溶剤とした光輝度インキを用い、フィルム層11の裏面11bにスクリーン印刷等で印刷した光輝度加飾層である。光輝度加飾層13も、上蓋2をフィルム層11から眺めたときに、このフィルム層11を透して金属光沢のある、装飾Dの背景として現れる。なお、光輝度加飾層13の金属光沢を印刷以外で発揮させる場合は、フィルム層11の裏面11bに、アルミニウム粉末粒子Pを蒸着させてもよい。」
「【0038】上述したところは、本発明の好適な形態の一例を示したに過ぎず、特許請求の範囲内において、様々な変更を加えることができる。例えば、装飾層12を、光輝度加飾層13と同様の光輝度インクを用いて印刷する等、装飾層12と光輝度加飾層13とを同一の構成とし、装飾層12が光輝度加飾層13と同様の金属光沢を放つようにしてもよい。また、立体装飾ラベル10は、上蓋2の一部に設けているが、上蓋2の全面に設けてもよい。更に、上蓋2のみならず、容器本体3を立体装飾ラベル10でインサート成形してもよい。【産業上の利用可能性】【0039】本発明は、コンパクト容器に限らず、ボトルや広口壜などの容器にも適用できる。」
「【0040】【図1】本発明の一形態である立体感のある装飾が施されたコンパクト容器を示す斜視図である。【図2】図1の線分A-Aにおける縦断面図である。【図3】同形態における光輝度加飾層内に含まれたアルミニウム粉末粒子の配列を説明する要部断面図である。【図4】(a),(b)はそれぞれ、同形態の上蓋をインサート成形する方法を例示する模式断面図である。」
「」
「」
図1及び図2には、「光輝度加飾層13」が「装飾層12」に隣接していることが図示されている。
以上の記載及び図示内容からみて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「AS(アクリロニトリルスチレン共重合樹脂)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PP(ポリプロピレン)樹脂等からなり、上蓋2の外形を構成する基部2aの外表面に、接着層Adを介して立体装飾ラベル10を備え、立体装飾ラベル10は、透明又は半透明のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂の薄膜からなり立体装飾ラベル10の最外層を形成するフィルム層(表面層)と、透明又は着色したインキ又はフィルムからなる装飾層12と、粒子径5~20μmのアルミニウム粉末Pを90%以上含み、このアルミニウム粉末Pと、アセチルブチルセルロース(CAB)等の結合剤とを重量比50:10~10:30の割合で混合し、このアルミニウム粉末Pと結合剤との合計重量に対して5~15倍のイソホロン等を稀釈溶剤とした光輝度インキを用い、フィルム層11の裏面11bにスクリーン印刷等で印刷し、金属光沢のある光輝度加飾層13を有し、装飾層12は、光輝度加飾層13に隣接する、立体装飾ラベル10を備えた上蓋2。」
3.当審の判断
本件発明4と引用発明とを対比する。
引用発明の「立体装飾ラベル10を備えた上蓋2」は、その形状からみて、本件発明4の「加飾パネル」に相当するから、引用発明の「AS(アクリロニトリルスチレン共重合樹脂)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PP(ポリプロピレン)樹脂等からなり、上蓋2の外形を構成する基部2a」は、本件発明4の「加飾パネル」が備える「樹脂製の基材(13)」に相当し、引用発明の「立体装飾ラベル10」は、「透明又は半透明のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂の薄膜からなり立体装飾ラベル10の最外層を形成するフィルム層(表面層)」を有しているものであるから、その構成からみて、本件発明4の「フィルム」に相当する。
また、引用発明の「粒子径5~20μmのアルミニウム粉末Pを90%以上含み、このアルミニウム粉末Pと、アセチルブチルセルロース(CAB)等の結合剤とを重量比50:10~10:30の割合で混合し、このアルミニウム粉末Pと結合剤との合計重量に対して5~15倍のイソホロン等を稀釈溶剤とした光輝度インキを用い、フィルム層11の裏面11bにスクリーン印刷等で印刷し、金属光沢のある光輝度加飾層13」は、「印刷層における一部の領域」「を構成している」「金属調の光輝性顔料で着色された第1装飾部」の限りで、本件発明4の「印刷層における上記基材(l3)の開口部(11)の周縁部に対応する領域」「を構成している」「金属調の光輝性顔料で着色された環状の第1装飾部」に一致し、引用発明の「光輝度加飾層13に隣接する」「透明又は着色したインキ又はフィルムからなる装飾層12」は、「第1装飾部に隣接する領域」「を構成している」「第1装飾部とは異なる顔料で着色された第2装飾部」の限りで、「印刷層における第1装飾部に隣接する領域」「を構成している」「第1装飾部とは異なる顔料で着色された第2装飾部」に一致する。
したがって、本件発明4と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
[一致点]
「樹脂製の基材と、上記基材の表面に被着されたフィルムとを備え、上記フィルムは印刷層を有し、当該印刷層における一部の領域は、金属調の光輝性顔料で着色された第1装飾部を構成している一方、第1装飾部に隣接する領域は、上記第1装飾部とは異なる顔料で着色された第2装飾部を構成していることを特徴とする加飾パネル。」
[相違点1]
本件発明4は「上記基材(13)には、開口部(11)が形成され、当該基材(13)の表面には、溝部(17)が形成され、上記フィルム(15)の上記溝部(17)対応箇所には、当該溝部(17)表面に沿うように裏面側に凹む凹条部(19)が形成され」ているのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
[相違点2]
「金属調の光輝性顔料で着色された第1装飾部を構成している」「印刷層における一部の領域」について、本件発明4は「上記基材(l3)の開口部(11)の周縁部に対応する領域」であるのに対し、引用発明はそのような領域ではない点。
[相違点3]
「第1装飾部」について、本件発明4は「環状」であるのに対し、引用発明はその点不明である点。
[相違点4]
「第2装飾部」について、本件発明4は「印刷層における」「領域」であるのに対し、引用発明の「装飾層12」は「インキ」「からなる」ものではあるものの、印刷によるものであるのか否かが不明である点。
[相違点5]
本件発明4は「上記第1装飾部(23)及び第2装飾部(25)の境界は、上記凹条部(19)の第1装飾部(23)側の側壁における凹条部(19)開放方向中央よりも反開放側に位置し」ているのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
相違点1について検討する。
引用発明の「上蓋2」は、引用文献1に記載されたとおり「容器本体3と」「ヒンジ4を介して開閉可能に連結したもの」(【0021】)であり、「上蓋2」は「容器本体3」を密閉する機能を奏するものであるところ、「上蓋2」に開口を設けると、前記機能を奏することができなくなるから、引用発明の「上蓋2」に開口を設けることには、阻害要因がある。
なお、引用文献1には「・・・また、立体装飾ラベル10は、上蓋2の一部に設けているが、上蓋2の全面に設けてもよい。更に、上蓋2のみならず、容器本体3を立体装飾ラベル10でインサート成形してもよい。」(【0038】)及び「本発明は、コンパクト容器に限らず、ボトルや広口壜などの容器にも適用できる。」(【0039】)」と記載されているが、「立体装飾ラベル10」を、「上蓋2」に換えて、「容器本体3」や「ボトルや広口壜などの容器」に設けたとしても、上記阻害要因が解消するわけでもない。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明4は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明5及び本件発明7~8は、本件発明4を更に限定するものであるから、本件発明5及び本件発明7~8は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4.申立人の意見について
申立人は「イ 第2の相違点は、本件特許発明の「G 上記基材(13)には、開口部(11)が形成され、」です。 しかし、第2の相違点は、周知技術であり、例えば甲3発明には、「g’ 透孔24(段落0027~0030、図1)が記載されています。さらに、甲4発明には、「g'' レバー用開口部7(段落0003、図2及び図3)」が記載されています。」(意見書4ページ7~12行)と主張する。
しかし、「開口部」が周知技術であったとしても、上記3.のとおり、本件発明4と引用発明との間の上記相違点1に係る構成を想到するには、上記阻害要因があるから、申立人の上記主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項4~5に係る特許及び請求項7~8に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項4~5に係る特許及び請求項7~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件請求項1~3に係る特許及び本件請求項6に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1~3及び請求項6に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700242