審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2019-700397

傾斜圧延機

審判番号
2019-700397
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-185219外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年05月20日
審決日
2020年01月24日
公報発行日
2020年06月26日
結論
請求成立(取消)
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-ZDA(B21B) / P1651.851-ZDA(B21B) / P1651.857-ZDA(B21B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6424527号発明「傾斜圧延機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6424527号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。 特許第6424527号の請求項1に係る特許を取り消す。 特許第6424527号の請求項2に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 1 手続の経緯 特許第6424527号の請求項1~2に係る特許についての出願は、平成26年9月11日に出願され、平成30年11月2日にその特許権の設定登録がされ、平成30年11月21日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和1年 5月20日  : 特許異議申立人 吉田 敦子による請求項1~2に係る特許に対する特許異議の申立て 令和1年 7月18日付け: 取消理由通知書 令和1年 8月29日  : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和1年10月10日  : 特許異議申立人 吉田 敦子による意見書の提出 令和1年10月29日付け:取消理由通知書(決定の予告) なお、令和1年10月29日付け取消理由通知書(決定の予告)に対する特許権者からの応答はなかった。 2 訂正の適否 (1)訂正の内容 特許権者は、特許請求の範囲の請求項1を、以下の事項により特定されるとおりに訂正することを請求する(訂正事項1)。 「【請求項1】 パスライン周りに配置される複数の傾斜ロールと、 前記傾斜ロールを駆動する駆動装置と、 各々が対応する前記傾斜ロールと前記駆動装置との間に配置され、対応する前記傾斜ロールに前記駆動装置の動力を伝える複数のドライブシャフトとを備え、 前記ドライブシャフトは、 前記傾斜ロールと連結される第1軸部材と、 前記駆動装置と連結される第2軸部材と、 前記第1及び第2軸部材との間に配置される中間軸部材と、 前記中間軸部材と前記第1軸部材との間に配置される第1ユニバーサルジョイントと、 前記中間軸部材と前記第2軸部材との間に配置される第2ユニバーサルジョイントと、 前記中間軸部材を軸周りに回転可能に支持する支持装置と、 を含み、 前記支持装置は、 中央に貫通孔を有し、所定位置に止まって動かないように建屋に固定されたスタンドと、 前記貫通孔に嵌め込まれ、前記中間軸部材が挿入されたベアリングとを含み、 前記ドライブシャフトの振れ回りを防止する、傾斜圧延機。」 さらに、特許権者は、特許請求の範囲の請求項2について、請求項1との引用関係を解消し、以下の事項により特定されるとおりの請求項2として訂正することを請求する(訂正事項2)。 「【請求項2】 パスライン周りに配置される複数の傾斜ロールと、 前記傾斜ロールを駆動する駆動装置と、 各々が対応する前記傾斜ロールと前記駆動装置との間に配置され、対応する前記傾斜ロールに前記駆動装置の動力を伝える複数のドライブシャフトとを備え、 前記ドライブシャフトは、 前記傾斜ロールと連結される第1軸部材と、 前記駆動装置と連結される第2軸部材と、 前記第1及び第2軸部材との間に配置される中間軸部材と、 前記中間軸部材と前記第1軸部材との間に配置される第1ユニバーサルジョイントと、 前記中間軸部材と前記第2軸部材との間に配置される第2ユニバーサルジョイントと、 前記中間軸部材を軸周りに回転可能に支持する支持装置と、 を含み、 前記支持装置は、 中央に貫通孔を有し、所定位置に止まって動かないように建屋に固定されたスタンドと、 前記貫通孔に嵌め込まれ、前記中間軸部材が挿入されたベアリングとを含み、 前記中間軸部材は、 一列に並んだ複数のサブ軸部材と、 隣り合う前記サブ軸部材との間に配置されるユニバーサルジョイントとを含み、 前記支持装置は、 各々が対応するサブ軸部材を、軸周りに回転可能に支持する複数のサブ支持装置を含む、傾斜圧延機。」 なお、訂正前の請求項1~2は、請求項2が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1~2について請求されている。 また、訂正後の請求項2に係る訂正について、特許権者は、当該訂正が認められるときに請求項1とは別の訂正単位として扱われることを求めている。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1 訂正事項1に係る請求項1についての訂正は、支持装置がさらに「前記ドライブシャフトの振れ回りを防止する」との特定をするものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、明細書の段落【0016】には、「複数の軸部材がユニバーサルジョイントにより連結されたドライブシャフトを駆動させた場合、中間軸部材が振れ回る可能性がある。・・・」との記載、段落【0038】には、「支持装置6は、中間軸部材4を軸周りに回転可能に支持する。中間軸部材4は支持装置6により固定されるため、ドライブシャフト10が振れ回ることなく回転する。」との記載があるから、上記訂正は新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ 訂正事項2 訂正事項2に係る請求項2についての訂正は、特許請求の範囲の請求項2について請求項1との引用関係を解消するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項を引用しないものとすることを目的としており、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)小括 上記のとおり、訂正事項1及び2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。 3 取消理由の概要 訂正後の請求項1に係る特許に対して、当審が令和1年10月29日に特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開昭62-124003号公報)に記載された発明に、周知技術を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)訂正後の請求項1に係る発明 上記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、上記2(1)において示したとおりのものである。 (2)甲号証の記載 ア.甲第1号証 取消理由通知において引用した甲第1号証には以下の事項が記載されている。なお、下線は理解の便のため、当審で付与した。 (ア)「平面視でロール軸がパスラインと交叉するようパスラインを挾んで対向配置された一組の圧延ロールを有する交叉型傾斜圧延機において、前記圧延ロールの内、一方の駆動系をパスラインの入側に配置し、かつ、他方の駆動系をパスラインの出側に配置したことを特徴とする交叉型傾斜圧延機。」(特許請求の範囲) (イ)「(産業上の利用分野) 本発明は、継目無鋼管製造設備におけるピアサ等の交叉型傾斜圧延機に関するものである。 (従来の技術) 従来、継目無鋼管製造設備におけるピアサでは、第5図及び第6図に示す如く、平面視でロール軸がパスラインと角度αで交叉するようパスラインを挾んで一組の圧延ロールが対向配置されており、これらの駆動系は通常ともに素材に穿孔する側とは反対側のパスライン入側に配置されている。 一方、前記のロール駆動系は、スピンドルの一端をユニバーサルジョイントを介して、ピアサ本体内に軸支された圧延ロールに接続し、かつ、該スピンドルの他端をユニバーサルジョイントを介して駆動装置に接続した構成となっている。」(第1頁左下欄第13行-右下欄第9行) (ウ)「(発明が解決しようとする問題点) しかし、ロール交叉角αを大きくすると、前記従来のロール駆動系の配置方法ではロール側ユニバーサルジョイントのクロスピン部の合成角(スピンドルとロール軸の交叉角)が大きくなり、該ユニバーサルジョイントの寿命が著しく低下するという不都合があった。 (問題点を解決するための手段) 本発明の交叉型傾斜圧延機は、平面視でロール軸がパスラインと交叉するようパスラインを挾んで対向配置された一組の圧延ロールを有する交叉型傾斜圧延機において、前記圧延ロールの内、一方の駆動系をパスラインの入側に配置し、かつ、他方の駆動系をパスラインの出側に配置したことを特徴としており、ロール交叉角αの大小に充分対応できると共に、ユニバーサルジョイントのクロスピン部の合成角をできるだけ小さくしながら容易に素材の搬入と圧延材の搬出ができるようにしたものである。 (実施例) 以下、本発明の一実施例を継目無鋼管製造設備におけるピアサを示す図面により説明する。 図中1,1’はクレードルで、ハウジング2内に対向配置されており、核クレードル1,1’の対向部には、ロール軸3,3’を支持するロールチョック4,4’が設けられている。5,5’は圧延ロール(実施例ではピアサロール)で、ロール軸3,3’に一体的に装着されている。 この圧延ロール5,5’は、ロール軸3,3’が側面視で該圧延ロール5,5’の中心にてパスラインLに対し角度βで傾斜し、かつ、平面視でパスライン入側の一点にてパスラインLと角度αで交叉するよう、パスラインLを挾んで対向配置されている。 6,6’は駆動モータ、7,7’は該モータ出力軸と一端が接続された減速機で、これらから構成された一方の駆動装置6,7は、パスラインLの反圧延ロール5側でかつパスライン入側に設置され、他方の駆動装置6’,7’は、パスラインLの圧延ロール5’側でかつパスライン出側に設置されている。 8,8’はスピンドルで、該スピンドル8,8’の両端にはクロスピンタイプのユニバーサルジョイント9,9’が設けられ、中間には、ロール交換時用のスピンドル支持装置10,10’がスピンドル8,8’の回転に支障のないように接続されている。 スピンドル8の一端のユニバーサルジョイント9にはカップリング11を介して圧延ロール5のパスライン入側端が連結され、かつ、他端のユニバーサルジョイント9にはカップリング12を介して駆動装置6,7の出力軸が連結されている。」(第1頁右下欄第18行-第2頁左下欄第10行) (エ)「そして全体として、スピンドル8,8’両端のユニバーサルジョイント9,9’のクロスピン部の合成角が0°又はそれに近い小さい角度となるよう、つまり圧延ロール5,5’とその駆動装置が一直線上で接続されている。尚、駆動装置は、側面視で第1図,第2図に示す如くパスラインLの上方に配置しても、或は第3図,第4図に示す如くパスラインLの下方に配置しても同効である。 13は溝形のガイドローラで、ハウジング2内に図示しない軸受を介して回転可能に支持されて側面視でパスラインL上の圧延ロール5,5’の中心を挾んで上下に対向配置されており、図示しない連動機構を介して駆動装置14により回転駆動可能となっている。 (発明の効果) 以上の通り本発明は、一方のロール駆動をパスライン入側から行ない、かつ、他方のロール駆動をパスライン出側から行なう構成であるため、2つのロール駆動系の干渉は問題とならず、ロール交叉角αを任意に設定できると共に、ユニバーサルジョイントのクロスピン部の合成角を最適角度範囲内に、それもできるだけ小さく設定できるから、設備の簡素化及び機械効率の向上が図れる。それでいて、素材をパスライン上に側方から横送り搬入し、また圧延品をパスライン上から側方へ横送り搬出する搬入出作業を容易に行なうことができる。 4.図面の簡単な説明 第1図,第2図は本発明の一実施例を示す平面図,側面図、第3図,第4図は本発明の他の実施例を示す平面図,側面図である。第5図,第6図は従来例を示す平面図,側面図である。 5,5’…圧延ロール、6,6’…駆動モータ、7,7’…減速機、8,8’…スピンドル、9,9’…ユニバーサルジョイント、11,11’,12,12’…カップリング。」(第2頁左下欄第15行-第3頁左上欄第11行) (オ)第1-4図 (カ)第1-4図には、スピンドル8、8’はカップリング11、11’及びカップリング12、12’との間に配置され、圧延ロール5、5’側のユニバーサルジョイント9、9’はスピンドル8、8’とカップリング11、11’との間に配置され、駆動装置6、6’、7、7’側のユニバーサルジョイント9、9’はスピンドル8、8’とカップリング12、12’との間に配置されていることが記載されている。 (キ)第3-4図には、スピンドル支持装置10、10’は、 傾斜圧延機と同じ基台上に固定されたスタンドを含む点が記載されている。 以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「パスライン周りに配置される複数の圧延ロール5、5’と、 前記圧延ロール5、5’を駆動する駆動装置6、6’、7、7’と、 各々が対応する前記圧延ロール5、5’と前記駆動装置6、6’、7、7’との間に配置され、対応する前記圧延ロール5、5’に前記駆動装置6、6’、7、7’の動力を伝える複数のカップリング11、11’、12、12’、スピンドル8、8’、前記圧延ロール5、5’側のユニバーサルジョイント9、9’、前記駆動装置6、6’、7、7’側のユニバーサルジョイント9、9’、スピンドル支持装置10、10’とを備え、 前記カップリング11、11’は前記圧延ロール5、5’と連結され、 前記カップリング12、12’は前記駆動装置6、6’、7、7’ と連結され、 前記スピンドル8、8’は前記カップリング11、11’及び前記カップリング12、12’との間に配置され、 前記圧延ロール5、5’側のユニバーサルジョイント9、9’は前記スピンドル8、8’と前記カップリング11、11’との間に配置され、前記駆動装置6、6’、7、7’側のユニバーサルジョイント9、9’は前記スピンドル8、8’と前記カップリング12、12’との間に配置され、 前記スピンドル支持装置10、10’は、前記スピンドル8、8’の回転に支障のないように接続され、 前記スピンドル支持装置10、10’は、 傾斜圧延機と同じ基台上に固定されたスタンドを含む、 傾斜圧延機。」 イ 甲第2号証ないし甲第5号証 甲第2号証(特開平5-277512号公報)の段落【0001】、【0012】、第1図等の記載から、圧延装置において、ロールが貫通孔にベアリング7aにより回転支持されること、甲第3号証(特開平5-285502号公報)の段落【0001】、【0011】、第1図等の記載から、圧延装置において、ロールが貫通孔にベアリング7aにより回転支持されること、甲第4号証(特開平5-285505号公報)の段落【0001】、【0027】、第1図等の記載から、圧延機において、ロール軸10が貫通孔にベアリング11とベアリング15により支持されていること、甲第5号証(特公平2-49167号公報)の第2欄2~5行、第4欄第22~31行、第4図等の記載から、圧延機において、ベアリング44を介して上連結軸14が、ベアリング45を介して下連結軸24が貫通孔に保持されていることがみてとれる。 (3) 対比・判断 ア.対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「パスライン」は、本件発明1の「パスライン」に相当する。以下同様に、「圧延ロール5、5’」は「傾斜ロール」に、「駆動装置6、6’、7、7’」は「駆動装置」に、「カップリング11、11’」は「第1軸部材」に、「カップリング12、12’」は「第2軸部材」に、「スピンドル8、8’」は「中間軸部材」に、「圧延ロール5、5’側のユニバーサルジョイント9、9’」は「第1ユニバーサルジョイント」に、「駆動装置6、6’、7、7’側のユニバーサルジョイント9、9’」は「第2ユニバーサルジョイント」に、「傾斜圧延機と同じ基台上に固定されたスタンド」は「所定位置に止まって動かないように建屋に固定されたスタンド」にそれぞれ相当する。 甲1発明の「スピンドル支持装置10、10’」は、スピンドル8、8’の回転に支障のないように接続されているスピンドル8、8’の支持装置であるから、本件発明1の中間軸部材を軸回りに回転可能に支持する「支持装置」に相当する。 本件発明1の「ドライブシャフト」は、「第1軸部材」、「第2軸部材」、「中間部材」、「第1ユニバーサルジョイント」、「第2ユニバーサルジョイント」及び「支持装置」を含むものであり、甲1発明の「カップリング11、11’」、「カップリング12、12’」、「スピンドル8、8’」、「ユニバーサルジョイント9、9’」及び「スピンドル支持装置10、10’」の総体は、本件発明1の「ドライブシャフト」に相当するところ、甲1発明はこれを複数有するから、本件発明1の「複数のドライブシャフト」に相当する。 してみると、本件発明1と甲1発明とは以下の一致点及び相違点を有する。 (一致点) 「パスライン周りに配置される複数の傾斜ロールと、 前記傾斜ロールを駆動する駆動装置と、 各々が対応する前記傾斜ロールと前記駆動装置との間に配置され、対応する前記傾斜ロールに前記駆動装置の動力を伝える複数のドライブシャフトとを備え、 前記ドライブシャフトは、 前記傾斜ロールと連結される第1軸部材と、 前記駆動装置と連結される第2軸部材と、 前記第1及び第2軸部材との間に配置される中間軸部材と、 前記中間軸部材と前記第1軸部材との間に配置される第1ユニバーサルジョイントと、 前記中間軸部材と前記第2軸部材との間に配置される第2ユニバーサルジョイントと、 前記中間軸部材を軸周りに回転可能に支持する支持装置と、 を含み、 前記支持装置は、 所定位置に止まって動かないように建屋に固定されたスタンド を含む、傾斜圧延機。」 (相違点) 本件発明1では、「前記支持装置は、中央に貫通孔を有し、」「前記貫通孔に嵌め込まれ、前記中間軸部材が挿入されたベアリング」を有し、「ドライブシャフトの振れ回りを防止する」のに対し、甲1発明では、「前記スピンドル支持装置10、10’は、前記スピンドル8、8’の回転に支障のないように接続され」るものの、当該接続が貫通孔にベアリングを介したものか特定されておらず、「スピンドル支持装置10、10’」が、「カップリング11、11’」、「カップリング12、12’」、「スピンドル8、8’」、「ユニバーサルジョイント9、9’」及び「スピンドル支持装置10、10’」等の振れ回りを防止することに関し不明な点。 イ.相違点の判断 圧延装置の技術分野において、軸部材が回転に支障のないように、軸部材を挿入している貫通孔にベアリングを設けることは、甲第2号証ないし甲第5号証に記載されているように、周知技術である。してみると、甲1発明において、スピンドル8、8’の回転に支障が生じないように接続するために、上記周知技術を適用し、スピンドル支持装置10、10’とスピンドル8、8’との接続を、貫通孔にベアリングを介したものとすることは当業者であれば容易に想到し得たことである。また、甲1発明では、スピンドル支持装置10、10’が、スピンドル8、8’の回転に支障が生じないように接続されているから、スピンドル支持装置10、10’は、スピンドル8、8’の回転時にもスピンドル8、8’を支持していると解釈される。してみると、甲1発明に、上記周知技術のベアリングを適用した場合、スピンドル支持装置10、10’はスピンドル8、8’が回転する際に、振れ回りを防止する機能を自然と有することとなる。 なお、特許権者は、令和1年8月29日付け意見書において、甲1発明においてカップリング11、11’及びカップリング12、12’の各長さは、スピンドル8、8’の長さに対して、極端に短くなっており、スピンドル8、8’の振れ回りは発生しない旨主張しているが、本願において軸部材3、5の長さは特定されておらず、甲第1号証においても、カップリング11、11’、12、12’等の長さは特定されていないから、甲1発明において、振れ回りが発生しないほど短くなっているとまでは言えない。むしろ、振れ回りが発生するのは、本件特許明細書の段落【0016】に「複数の軸部材がユニバーサルジョイントにより連結されたドライブシャフトを駆動させた場合、中間軸部材が振れ回る可能性がある。」と記載されているように、複数の軸部材がユニバーサルジョイントにより連結されていることに起因すると解釈される。してみると、甲1発明においても、「カップリング11、11’」、「カップリング12、12’」及び「スピンドル8、8’」が、「ユニバーサルジョイント9、9’」によって連結されているのであるから、甲1発明において中間軸部材に相当する「スピンドル8、8’」が振れ回る可能性は十分にあると解釈され、特許権者の主張は採用できない。 (4)小括 以上のとおり、本件発明1は、令和1年10月29日付け取消理由(決定の予告)で通知したように、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立て理由について 特許異議申立人 吉田 敦子は、特許異議申立書において、「動力を伝達するドライブシャフトを複数の軸部材から構成して、隣り合う軸部材の間にユニバーサルジョイントを介在させて、該ドライブシャフトを限られたスペースの中に配置させることは周知の事項である。そうであってみれば、甲1発明の傾斜圧延機において、スピンドル(本件発明1の中間軸部材に相当)を2以上の一列に並んだ複数の軸部材(サブ軸部材に相当)からなるものとし、隣り合う軸部材の間にユニバーサルジョイントを配置し、また、各軸部材に、甲1発明と同様に、軸部材を軸周りに回転可能に支持するスピンドル支持装置(サブ支持装置に相当)を設けることは容易に想到し得るものである。」と主張し、本件発明2は、甲1発明及び周知技術に基づいて容易に発明することができたものである旨を主張している。 しかし、上記周知の事項について何ら文献を提示しておらず、「動力を伝達するドライブシャフトを複数の軸部材から構成して、隣り合う軸部材の間にユニバーサルジョイントを介在させて、該ドライブシャフトを限られたスペースの中に配置させること」が、本件特許の出願時において周知の事項であるとまでは言えないから、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 5 むすび 以上のとおり、本件発明1は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。そうすると、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件発明1に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件請求項2に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2019-700397

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決359件(吉田 敦子、日本製鉄株式会社)
  • 2025-701117異議申立 / 2026-04-17 / 維持高炉の操業方法及びバイオマス炭の粉砕物の製造方法
    同じ当事者: 吉田 敦子、日本製鉄株式会社
  • 2023-700940異議申立 / 2026-03-11 / 訂正認容鋼管用ねじ継手
    同じ当事者: 吉田 敦子、日本製鉄株式会社
  • 2024-700573異議申立 / 2025-05-08 / 訂正認容プロジェクション溶接継手の製造方法、プロジェクション溶接継手、及び自動車部品
    同じ当事者: 吉田 敦子、日本製鉄株式会社
  • 2024-701077異議申立 / 2025-02-25 / 維持二相ステンレス継目無鋼管
    同じ当事者: 吉田 敦子、日本製鉄株式会社
  • 2024-700583異議申立 / 2024-09-04 / 維持液体アンモニア中応力腐食割れ特性の評価方法
    同じ当事者: 吉田 敦子、日本製鉄株式会社
同じ根拠条文の審決7,823件(特許法113条2号、特許法29条2項)
  • 2023-700662異議申立 / 2024-09-12 / 請求成立(取消)金属材料の製造仕様決定方法、製造方法、および製造仕様決定装置
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
  • 2026-700337異議申立 / 2026-08-05 / 維持発酵ビールテイストアルコール飲料およびその製造方法
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
  • 2026-700500異議申立 / 2026-07-29 / 維持フェノール樹脂発泡体
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
  • 2025-700663異議申立 / 2026-07-03 / 請求成立(取消)
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
  • 2026-700149異議申立 / 2026-06-29 / 維持野菜含有調味料、及び野菜含有調味料の製造方法
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
同じ論点・分野の審決(審決分類)42件(121・B21B、851・B21B、857・B21B)
  • 2024-700030異議申立 / 2026-03-26 / 訂正認容調質圧延機のバックアップロール、調質圧延機および調質圧延方法
    共通の審決分類: 121・B21B
  • 2024-700294異議申立 / 2025-06-06 / 請求成立(取消)ばね部材用金属箔、ばね部材用金属箔の製造方法、および、電子機器用ばね部材
    共通の審決分類: 121・B21B
  • 2024-700293異議申立 / 2025-05-30 / 請求成立(取消)ばね部材用金属箔、ばね部材用金属箔の製造方法、および、電子機器用ばね部材
    共通の審決分類: 121・B21B
  • 2023-701401異議申立 / 2024-12-05 / 訂正認容中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための方法およ…
    共通の審決分類: 121・B21B
  • 2023-700662異議申立 / 2024-09-12 / 請求成立(取消)金属材料の製造仕様決定方法、製造方法、および製造仕様決定装置
    共通の審決分類: 121・B21B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存