特許訂正審判
2019-390047
転がり軸受及びその包装方法
- 審判番号
- 2019-390047
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-557639外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年04月12日
- 審決日
- 2019年06月11日
- 公報発行日
- 2019年09月27日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C) / P141 .857-Y (F16C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条1項4号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6183378号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6183378号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6183378号は、2013年10月3日(優先権主張2013年5月31日、日本国)を国際出願日とし、平成29年8月4日に特許権の設定登録がされ、平成31年4月12日に本件訂正審判の請求がされたものである。
2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、審判請求書の請求の趣旨に記載されているとおり、特許第6183378号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
3 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、次のとおりである。(下線部分は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1及び請求項2を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1または2記載の転がり軸受。」と記載されているところ、請求項1を引用するものについて独立項形式に改め、
「内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪との間に保持器により転動自在に保持された複数の転動体とを備える転がり軸受において、
軸受全面から塩化物イオン及び硫酸イオンが除去され、平均膜厚4.5~10μmの防錆油が付着されているとともに、
内輪と外輪と転動体とで形成される軸受内部空間にグリースを充填した状態で、軸受全体が気化性防錆フィルムで被覆され、かつ、前記気化性防錆フィルムと軸受との間が減圧状態に保持されていることを特徴とする転がり軸受。」
に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4及び請求項5を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「請求項4または5記載の転がり軸受。」と記載されているところ、請求項4を引用するものについて独立項形式に改め、
「軸受構成部材を組み立てた後の転がり軸受を包装する方法であって、
軸受全面から塩化物イオン及び硫酸イオンを除去した後、防錆油を4.5~10μmの平均膜厚で付着させ、
防錆油を付着した後、内輪と外輪と転動体とで形成される軸受内部空間にグリースを充填し、軸受全体を気化性防錆フィルムで被覆するとともに、前記気化性防錆フィルムと軸受との間を減圧状態に保持することを特徴とする転がり軸受の包装方法。」
に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0010】の
「(1)内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪との間に保持器により転動自在に保持された複数の転動体とを備える転がり軸受において、
軸受全面から塩化物イオン及び硫酸イオンが除去され、平均膜厚4.5~10μmの防錆油が付着されているとともに、軸受全体が気化性防錆フィルムで被覆され、かつ、前記気化性防錆フィルムと軸受との間が減圧状態に保持されていることを特徴とする転がり軸受。
(2)前記転がり軸受に付着している単位表面積当りの残留塩化物イオンの量が0.2~10ng/mm2であることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
(3)内輪と外輪と転動体とで形成される軸受内部空間にグリースを充填した状態で、軸受全体が気化性防錆フィルムで被覆され、かつ、前記気化性防錆フィルムと軸受との間が減圧状態に保持されていることを特徴とする上記(1)または(2)記載の転がり軸受。
(4)軸受構成部材を組み立てた後の転がり軸受を包装する方法であって、
軸受全面から塩化物イオン及び硫酸イオンを除去した後、防錆油を4.5~10μmの平均膜厚で付着させ、軸受全体を気化性防錆フィルムで被覆するとともに、前記気化性防錆フィルムと軸受との間を減圧状態に保持することを特徴とする転がり軸受の包装方法。
(5)前記転がり軸受全面からの塩化物イオンの除去により、該転がり軸受に付着している単位表面積当りの残留塩化物イオンの量が0.2~10ng/mm2にすることを特徴とする上記(4)記載の転がり軸受の包装方法。
(6)防錆油を付着した後、内輪と外輪と転動体とで形成される軸受内部空間にグリースを充填し、軸受全体を気化性防錆フィルムで被覆するとともに、前記気化性防錆フィルムと軸受との間を減圧状態に保持することを特徴とする上記(4)または(5)記載の転がり軸受の包装方法。」
との記載を、
「(1)内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪との間に保持器により転動自在に保持された複数の転動体とを備える転がり軸受において、
軸受全面から塩化物イオン及び硫酸イオンが除去され、平均膜厚4.5~10μmの防錆油が付着されているとともに、
内輪と外輪と転動体とで形成される軸受内部空間にグリースを充填した状態で、軸受全体が気化性防錆フィルムで被覆され、かつ、前記気化性防錆フィルムと軸受との間が減圧状態に保持されていることを特徴とする転がり軸受。
(2)軸受構成部材を組み立てた後の転がり軸受を包装する方法であって、
軸受全面から塩化物イオン及び硫酸イオンを除去した後、防錆油を4.5~10μmの平均膜厚で付着させ、
防錆油を付着した後、内輪と外輪と転動体とで形成される軸受内部空間にグリースを充填し、軸受全体を気化性防錆フィルムで被覆するとともに、前記気化性防錆フィルムと軸受との間を減圧状態に保持することを特徴とする転がり軸受の包装方法。」
に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0021】の「本発明では」との記載を削除する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0044】~【0050】の記載を削除する。
4 当審の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1及び2を削除する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1及び2を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1及び2を削除する訂正であるから、特許出願の際独立して特許を受けることができなくなるような事情は存在しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立項形式へ改めるための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるとともに、同項第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項2は、上記アに記載のとおり、実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か
訂正事項2は、上記アに記載のとおり、実質的な内容の変更を伴うものではなく、特許出願の際独立して特許を受けることができなくなるような特段の事情は存在しない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項4及び5を削除する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項4及び5を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項4及び5を削除する訂正であるから、特許出願の際独立して特許を受けることができなくなるような事情は存在しない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項6が請求項4又は5の記載を引用する記載であるところ、請求項5を引用しないものとした上で、請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立項形式へ改めるための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるとともに、同項第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項4は、上記アに記載のとおり、実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項4は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か
訂正事項4は、上記アに記載のとおり、実質的な内容の変更を伴うものではなく、特許出願の際独立して特許を受けることができなくなるような特段の事情は存在しない。
よって、訂正事項4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0010】には、訂正前の特許請求の範囲に対応する記載があるため、訂正事項1~4による訂正後の特許請求の範囲との関係で不明瞭となる。
訂正事項5は、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるための訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
上記(1)~(4)に記載したとおり、訂正事項1~4による特許請求の範囲の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるための訂正である訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0021】には、「本発明では単位面積当りの塩化物イオン量を0.2~10ng/mm2に抑える」と記載されているが、訂正事項1及び3により塩化物イオン量について規定している訂正前の請求項2及び5が削除されることに伴い、当該「本発明では」との記載が訂正後の特許請求の範囲との関係で不明瞭となる。
訂正事項6は、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るため、明細書中の「本発明では」との記載を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項6は、訂正後の特許請求の範囲の記載との整合を図るために、明細書中の「本発明では」との記載を削除するものに過ぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項6は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0044】~【0050】には、「(残留塩化物イオン量の検証)」についての試験例が記載されているが、訂正事項1及び3により塩化物イオン量について規定している訂正前の請求項2及び5が削除されることに伴い、当該試験例についての記載が訂正後の特許請求の範囲との関係で不明瞭となる。
訂正事項7は、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るため、訂正により削除される請求項2及び5に対応する試験例の記載を明細書から削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項7は、訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るため、訂正により削除される請求項2及び5に対応する試験例の記載を明細書から削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項7は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
5 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第3号及び第4号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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