特許訂正審判
2018-390126
深溝玉軸受
- 審判番号
- 2018-390126
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2007-337771
- 登録番号
- 特許第5012498号(P5012498)
- 請求日
- 2018年08月29日
- 審決日
- 2018年11月20日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 大町 真義
- 審判官 平田 信勝
- 審判官 小関 峰夫
- 分類
- P141 .851-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C) / P141 .857-Y (F16C) / P141 .854-Y (F16C) / P141 .855-Y (F16C) / P141 .856-Y (F16C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条1項4号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5012498号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5012498号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5012498号は、平成19年12月27日の出願であって、平成24年6月15日にその特許権の設定登録がなされたものである。
そして、平成30年8月29日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5012498号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
3 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、次のとおりである。(下線部は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1~4、6~8を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5の「テーパ状または段差状の切欠き」との記載を、「テーパ状の切欠き」とした上で、「請求項1~4のいずれか1項に記載の深溝玉軸受。」とあるうちの請求項1を引用するものについて、独立形式に改め次のようにする。(訂正後の請求項5を直接または間接的に引用する訂正後の請求項10~13においても同様に訂正する。)
「外周面に内輪軌道溝を有する内輪と、内周面に外輪軌道溝を有する外輪と、前記外輪軌道溝と前記内輪軌道溝との間に転動自在に配置された複数の玉と、該複数の玉を円周方向に所定の間隔で保持する保持器と、を有し、軸受内部を潤滑するための潤滑油が、前記玉に対して軸方向一方側から供給され、前記玉に対して軸方向他方側から排出される環境下で使用される深溝玉軸受において、
前記軸方向一方側のみに設けられた、前記外輪の内周面に固定された状態で前記内輪の肩部に向けて延びる環状板をさらに有し、
前記環状板の内周部と前記内輪の外周部との間には、前記軸受内部に前記潤滑油を供給するための環状の開口部が形成され、
前記環状板は、軸受幅寸法内に収まるように配置され、
前記保持器は、円環部及び該円環部の片方の軸方向端面に突設された複数の柱部を有し、該柱部間に形成された球面ポケットに前記玉を収容することで前記玉を円周方向に所定の間隔で保持する樹脂製の冠型保持器であり、
前記冠型保持器の前記円環部は、前記軸方向一方側に向けて配置され、
前記環状板の内周部と対向する前記内輪の肩部にテーパ状の切欠きが設けられていることを特徴とする深溝玉軸受。」
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5の「テーパ状または段差状の切欠き」との記載を、「テーパ状の切欠き」とした上で、「請求項1~4のいずれか1項に記載の深溝玉軸受。」とあるうちの請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、新たに請求項9として次のようにする。(訂正後の請求項9を直接または間接的に引用する訂正後の請求項10~13においても同様に訂正する。)
「外周面に内輪軌道溝を有する内輪と、内周面に外輪軌道溝を有する外輪と、前記外輪軌道溝と前記内輪軌道溝との間に転動自在に配置された複数の玉と、該複数の玉を円周方向に所定の間隔で保持する保持器と、を有し、軸受内部を潤滑するための潤滑油が、前記玉に対して軸方向一方側から供給され、前記玉に対して軸方向他方側から排出される環境下で使用される深溝玉軸受において、
前記軸方向一方側のみに設けられた、前記外輪に固定された状態で前記内輪の肩部に向けて延びる環状板をさらに有し、
該環状板の内周部と前記内輪の外周部との間には、前記軸受内部に前記潤滑油を供給するための環状の開口部が形成され、
前記環状板は、ハウジングに一体に設けられ、
前記保持器は、円環部及び該円環部の片方の軸方向端面に突設された複数の柱部を有し、該柱部間に形成された球面ポケットに前記玉を収容することで前記玉を円周方向に所定の間隔で保持する樹脂製の冠型保持器であり、
前記環状板の内周部と対向する前記内輪の肩部にテーパ状の切欠きが設けられていることを特徴とする深溝玉軸受。」
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に記載の深溝玉軸受。」とあるうちの請求項3を引用するものについて、訂正後の請求項5または9を引用する形式に改め、新たな請求項10として次のようにする。
「前記冠型保持器の径方向幅の中央位置が、前記玉の中心よりも軸受の内径側に偏っていることを特徴とする請求項5または9に記載の深溝玉軸受。」
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に記載の深溝玉軸受。」とあるうちの請求項4を引用するものについて、訂正後の請求項5、9または10を引用する形式に改め、新たな請求項11として次のようにする。
「前記玉の中心が、前記内輪と外輪の軸方向幅の中心位置よりも、前記軸方向他方側にオフセットされていることを特徴とする請求項5、9又は10のいずれか1項に記載の深溝玉軸受。」
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれか1項に記載の深溝玉軸受。」とあるうちの請求項5を引用するものについて、訂正後の請求項5、9~11のいずれか1項を引用する形式に改め、新たな請求項12として次のようにする。
「前記環状板の内周部に、軸受内部側に折り曲げられた折り曲げ壁が設けられていることを特徴とする請求項5、9~11のいずれか1項に記載の深溝玉軸受。」
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれか1項に記載の深溝玉軸受。」とあるうちの請求項5を引用するものについて、訂正後の請求項5、9~12のいずれか1項を引用する形式に改め、新たな請求項13として次のようにする。
「前記保持器の球面ポケットの内周部のエッジに面取りまたは曲面が形成されていることを特徴とする請求項5、9~12のいずれか1項に記載の深溝玉軸受。」
(8)訂正事項8
明細書の段落【0010】を次のようにする。
「前述した目的を達成するために、本発明に係る深溝玉軸受は、下記(1)~(6)を特徴としている。
(1) 外周面に内輪軌道溝を有する内輪と、内周面に外輪軌道溝を有する外輪と、前記外輪軌道溝と前記内輪軌道溝との間に転動自在に配置された複数の玉と、該複数の玉を円周方向に所定の間隔で保持する保持器と、を有し、軸受内部を潤滑するための潤滑油が、前記玉に対して軸方向一方側から供給され、前記玉に対して軸方向他方側から排出される環境下で使用される深溝玉軸受において、
前記軸方向一方側のみに設けられた、前記外輪の内周面に固定された状態で前記内輪の肩部に向けて延びる環状板をさらに有し、
前記環状板の内周部と前記内輪の外周部との間には、前記軸受内部に前記潤滑油を供給するための環状の開口部が形成され、
前記環状板は、軸受幅寸法内に収まるように配置され、
前記保持器は、円環部及び該円環部の片方の軸方向端面に突設された複数の柱部を有し、該柱部間に形成された球面ポケットに前記玉を収容することで前記玉を円周方向に所定の間隔で保持する樹脂製の冠型保持器であり、
前記冠型保持器の前記円環部は、前記軸方向一方側に向けて配置され、前記環状板の内周部と対向する前記内輪の肩部にテーパ状の切欠きが設けられていることを特徴とする深溝玉軸受。
(2) 外周面に内輪軌道溝を有する内輪と、内周面に外輪軌道溝を有する外輪と、前記外輪軌道溝と前記内輪軌道溝との間に転動自在に配置された複数の玉と、該複数の玉を円周方向に所定の間隔で保持する保持器と、を有し、軸受内部を潤滑するための潤滑油が、前記玉に対して軸方向一方側から供給され、前記玉に対して軸方向他方側から排出される環境下で使用される深溝玉軸受において、
前記軸方向一方側のみに設けられた、前記外輪に固定された状態で前記内輪の肩部に向けて延びる環状板をさらに有し、
該環状板の内周部と前記内輪の外周部との間には、前記軸受内部に前記潤滑油を供給するための環状の開口部が形成され、
前記環状板は、ハウジングに一体に設けられ、
前記保持器は、円環部及び該円環部の片方の軸方向端面に突設された複数の柱部を有し、該柱部間に形成された球面ポケットに前記玉を収容することで前記玉を円周方向に所定の間隔で保持する樹脂製の冠型保持器であり、前記環状板の内周部と対向する前記内輪の肩部にテーパ状の切欠きが設けられていることを特徴とする深溝玉軸受。
(3) 前記冠型保持器の径方向幅の中央位置が、前記玉の中心よりも軸受の内径側に偏っていることを特徴とする(1)または(2)に記載の深溝玉軸受。
(4) 前記玉の中心が、前記内輪と外輪の軸方向幅の中心位置よりも、前記軸方向他方側にオフセットされていることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の深溝玉軸受。
(5) 前記環状板の内周部に、軸受内部側に折り曲げられた折り曲げ壁が設けられていることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の深溝玉軸受。
(6) 前記保持器の球面ポケットの内周部のエッジに面取りまたは曲面が形成されていることを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の深溝玉軸受。」
(9)訂正事項9
明細書の段落【0015】の「テーパ状または段差状の切欠き」との記載を、「テーパ状の切欠き」とする。
(10)訂正事項10
明細書の段落【0051】の「本発明の深溝玉軸受」との記載を、「深溝玉軸受」とする。
(11)訂正事項11
明細書の段落【0071】【図6】の「本発明の第1」との記載を、「第1」とする。
(12)訂正事項12
明細書の段落【0071】【図8】の「本発明の」との記載を削除する。
(13)訂正事項13
明細書の段落【0071】【図9】の「本発明の第2実施形態」との記載を、「図8」とする。
4 当審の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1~4、6~8を削除する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1~4、6~8を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、
(ア)訂正前の請求項5の「テーパ状または段差状の切欠き」との記載を、「テーパ状の切欠き」とする訂正、
(イ)訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項2~4を引用しないものとし、請求項1を引用するものについて引用関係を解消して独立形式の請求項へ改めるための訂正、
を含んでいる。
上記(ア)は、択一的記載の要素を削除する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
上記(イ)は、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項2は、択一的記載の要素を削除するとともに、引用関係を解消する訂正であるので、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、
(ア)訂正前の請求項5の「テーパ状または段差状の切欠き」との記載を、「テーパ状の切欠き」とする訂正、
(イ)訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1、3及び4を引用しないものとし、請求項2を引用するものについて引用関係を解消して独立形式の請求項へ改めるための訂正、
を含んでいる。
上記(ア)は、択一的記載の要素を削除する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
上記(イ)は、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項3は、択一的記載の要素を削除するとともに、引用関係を解消する訂正であるので、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1、2及び4を引用しないものとし、請求項3を引用するものについてする訂正であり、実質的に、多数項を引用している請求項の引用請求項数を減少する訂正といえる。
ここで、訂正前の請求項3は、訂正前の請求項1または2を引用するものであるので、訂正前の請求項3を引用する請求項5に係る発明は、訂正前の請求項1、3及び5に記載のすべての事項を含むものと、訂正前の請求項2、3及び5に記載のすべての事項を含むものとが存在していた。
他方で、上記の訂正事項2及び3により、訂正前の請求項1または2を引用する請求項5は、択一的記載の要素を削除する訂正とともに訂正後の請求項5または9となった。
そうすると、訂正事項4は、訂正前の請求項3を引用する請求項5について、訂正事項2及び3による訂正後の請求項5または9を引用して、訂正前の請求項3の内容を記載した請求項とし、引用の関係で請求項番を10と改める訂正であり、訂正事項2及び3に伴いされた訂正ともいえる。
以上を踏まえると、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項4による訂正後の請求項10は、訂正前の請求項3を引用する請求項5から、択一的記載の要素を削除したものに等しいので、訂正事項4は、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項4は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1~3を引用しないものとし、請求項4を引用するものについてする訂正であり、実質的に、多数項を引用している請求項の引用請求項数を減少する訂正といえる。
ここで、訂正前の請求項4は、訂正前の請求項1~3のいずれか1項を引用するものであるので、訂正前の請求項4を引用する請求項5に係る発明は、訂正前の請求項1、4及び5に記載のすべての事項を含むもの、訂正前の請求項1、3、4及び5に記載のすべての事項を含むもの、訂正前の請求項2、4及び5に記載のすべての事項を含むもの、及び、訂正前の請求項2、3、4及び5に記載のすべての事項を含むものが存在していた。
他方で、上記の訂正事項2及び3により、訂正前の請求項1または2を引用する請求項5は、択一的記載の要素を削除する訂正とともに訂正後の請求項5または9となり、訂正事項4により、訂正前の請求項3を引用する請求項5は、請求項10となった。
そうすると、訂正事項5は、訂正前の請求項4を引用する請求項5について、訂正事項2、3及び4による訂正後の請求項5、9または10のいずれか1項を引用して、訂正前の請求項4の内容を記載した請求項とし、引用の関係で請求項番を11と改める訂正であり、訂正事項2、3及び4に伴いされた訂正ともいえる。
以上を踏まえると、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項5による訂正後の請求項11は、訂正前の請求項4を引用する請求項5から、択一的記載の要素を削除したものに等しいので、訂正事項5は、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項5は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項1~5のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1~4を引用しないものとし、請求項5を引用するものについてする訂正であり、多数項を引用している請求項の引用請求項数を減少する訂正といえる。
また、訂正前の請求項5は訂正前の請求項1~4のいずれか1項を引用するものであったところ、訂正事項2~5により、訂正前の請求項1~4のいずれか1項を引用する請求項5は、択一的記載の要素を削除する訂正とともに、それぞれ訂正後の請求項5、9~11となった。
そうすると、訂正事項6は、訂正前の請求項5を引用する請求項6について、訂正事項2~5による訂正後の請求項5、9~11のいずれか1項を引用し、引用の関係で請求項番を12と改める訂正であり、訂正事項2~5に伴いされた訂正ともいえる。
以上を踏まえると、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項6による訂正後の請求項12は、訂正前の請求項5を引用する請求項6から、択一的記載の要素を削除したものに等しいので、訂正事項6は、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項5は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
訂正事項7は、訂正前の請求項7が請求項1~6のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1~4を引用しないものとし、請求項5または請求項5を引用する請求項6のいずれかを引用するものについてする訂正であり、多数項を引用している請求項の引用請求項数を減少する訂正といえる。
また、訂正前の請求項5は訂正前の請求項1~4のいずれか1項を引用するものであったところ、訂正事項2~5により、訂正前の請求項1~4のいずれか1項を引用する請求項5は、択一的記載の要素を削除する訂正とともに、それぞれ訂正後の請求項5、9~11となった。
さらに、訂正前の請求項5を引用する請求項6は、訂正事項6により、訂正後の請求項12となった。
そうすると、訂正事項7は、訂正前の請求項5または請求項5を引用する請求項6のいずれかを引用する請求項7について、訂正事項2~6による訂正後の請求項5、9~12のいずれか1項を引用し、引用の関係で請求項番を13と改める訂正であり、訂正事項2~6に伴いされた訂正ともいえる。
以上を踏まえると、訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項7による訂正後の請求項13は、訂正前の請求項5または請求項5を引用する請求項6のいずれか1項を引用する請求項7から、択一的記載の要素を削除したものに等しいので、訂正事項7は、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項7は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(8)訂正事項8
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0010】には、訂正前の特許請求の範囲の請求項1~8に対応する記載がなされていたところ、訂正事項8は、訂正後の請求項5、9~13の記載と整合するよう段落【0010】の記載を訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項8は、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合するようにする訂正であり、その内容は訂正事項1~7と等しいものであるのでその判断と同様に、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項8は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(9)訂正事項9
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0015】には【発明の効果】について記載されており、訂正前の特許請求の範囲の請求項5に対応して「テーパ状または段差状の切欠き」との記載がなされていたところ、訂正事項2及び3により、訂正前の請求項5に対応する訂正後の請求項5及び9では「テーパ状の切欠き」に特定されたため、明細書の記載が特許請求の範囲の記載と整合しないものとなった。
訂正事項9は、段落【0015】の前記記載から「または段差状」との記載を削除し、明細書の記載と特許請求の範囲の記載とを整合を図るための訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項9は、明細書の記載を訂正事項2及び3による訂正後の特許請求の範囲の記載と整合するようにする訂正であり、その内容は訂正事項2及び3と等しいものであるのでその判断と同様に、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項9は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(10)訂正事項10~13
ア 訂正の目的について
(ア)訂正事項10及び11について
訂正前の明細書の段落【0051】には、「図6(a)~(e)は、本発明の深溝玉軸受の第1~第5変形例を示す概略構成図である。」と記載され、段落【0052】~【0054】には、図6(a)~図6(c)にテーパ状の切欠きの代わりに段差状の切欠きを設けた第1~第3変形例が示され、段落【0055】~【0056】には、図6(d)~図6(e)に切欠きを設けない第4~第5変形例が示されている旨記載されている。また、段落【0071】には、【図面の簡単な説明】として、「【図6】(a)~(e)は、本発明の第1~第5変形例に係る深溝玉軸受を示す要部概略断面図である。」と記載されている。
しかしながら、上述のとおり、訂正事項1により、訂正前の特許請求の範囲に記載されていた独立形式の請求項1及び2は削除され、訂正事項2及び3により、訂正前の請求項1及び2を引用する請求項5が新たな独立形式の請求項5及び9とされるとともに、「テーパ状の切欠き」を有すると特定されたため、上記の第1~第5変形例は本件発明に含まれないものとなり、明細書の記載と特許請求の範囲の記載とが不整合を来すことになった。
そこで、訂正事項10は段落【0051】の記載から「本発明の」との記載を削除し、訂正事項11は段落【0071】【図6】の説明から「本発明の」との記載を削除することで、明細書の記載と特許請求の範囲の記載とを整合を図ろうとするものである。
よって、訂正事項10及び11は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ)訂正事項12及び13について
訂正前の明細書の段落【0071】には、【図面の簡単な説明】として、「【図8】本発明の試験1及び試験2に使用される深溝玉軸受の概略断面図である。」及び「【図9】本発明の第2実施形態の軸受における数値限定の意義を検証する第1の試験結果を示すグラフである。」と記載されている。また、明細書の段落【0061】及び【0064】の記載から、【図9】は【図8】に示す深溝玉軸受の試験結果であることが理解できる。
そして、図面の【図8】には、段差状の切欠きを設けたものが記載されているところ、上記(ア)で述べたとおり、訂正後の請求項5及び9に記載された本件発明は「テーパ状の切欠き」を有するものと特定されたため、【図8】に記載のものは本件発明に含まれないものとなった。
そこで、訂正事項12は段落【0071】【図8】の説明から「本発明の」との記載を削除し、訂正事項13は段落【0071】【図9】の説明の「本発明の第2実施形態」を「図8」とすることで、明細書の記載と特許請求の範囲の記載とを整合を図ろうとするものである。
よって、訂正事項12及び13は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項10~13は、明細書の記載を訂正事項1~3による訂正後の特許請求の範囲の記載と整合するようにする訂正であるので、訂正事項2及び3についての判断と同様に、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項10~13は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(11)特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か
訂正事項1~7は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項5、9~13に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討すべきところ、当該発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
よって、訂正事項1~7は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-390126