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特許異議申立

2018-700955

表面処理銅箔及びその製造方法、並びに銅張積層板

審判番号
2018-700955
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-113917外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年11月28日
審決日
2019年07月16日
公報発行日
2019年10月25日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1652.113-YAA(C23C) / P1652.121-YAA(C23C) / P1652.537-YAA(C23C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6334034号発明「表面処理銅箔及びその製造方法、並びに銅張積層板」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6334034号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1~26〕,27について訂正することを認める。 特許第6334034号の請求項14,15,18,20ないし26に係る特許を維持する。 特許第6334034号の請求項1ないし13,27に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 1 手続の経緯 特許第6334034号(以下「本件特許」という。)についての出願(特願2017-113917)は,平成29年 6月 9日に出願され,平成30年 5月11日にその特許権の設定の登録がされ,同年 5月30日に特許掲載公報が発行された。その後,本件特許について,同年11月28日に特許異議申立人 竹松靖子(以下「申立人」という。)により,請求項1~15,18,20~27に係る特許に対して特許異議の申立てがされ,当審は,平成31年 3月 1日に取消理由を通知した。特許権者は,その指定期間内である同年 4月26日に意見書を提出するとともに訂正の請求を行い,その訂正の請求に対して,申立人は,令和 1年 6月14日に意見書を提出した。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は,次のとおりである。なお,下線は,訂正箇所を示すために当審が付した。 ア 訂正事項1 請求項14に「前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比、2種類の前記第1シラン化合物の体積比、又は2種類の前記第2シラン化合物の体積比が10:90~90:10である、請求項1及び3~13のいずれか一項に記載の表面処理銅箔。」と記載されているのを,「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物及び前記第2シラン化合物が、下記の(1)~(4): (1)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が4-アミノブチルトリエトキシシランである (2)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランである (3)前記第1シラン化合物が3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランである (4)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである のいずれか一つの組み合わせであり、 前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が10:90~90:10である表面処理銅箔。」に訂正する。 イ 訂正事項2 請求項15に「請求項1及び3~14のいずれか一項に記載の表面処理銅箔」と記載されているのを,「請求項14に記載の表面処理銅箔」と訂正する。 ウ 訂正事項3 請求項16に「前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が4-アミノブチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が50:75~90:10である、請求項1及び3~15のいずれか一項に記載の表面処理銅箔。」と記載されているのを,「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が4-アミノブチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が50:50~90:10である表面処理銅箔。」と訂正する。 エ 訂正事項4 請求項17に「前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が90:10である請求項1及び3~15のいずれか一項に記載の表面処理銅箔。」と記載されているのを,「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が90:10である表面処理銅箔。」と訂正する。 オ 訂正事項5 請求項18に「前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がグリシドキシプロピルトリエトキシシラン又は3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が75:25である請求項1及び3~15のいずれか一項に記載の表面処理銅箔。」と記載されているのを,「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がグリシドキシプロピルトリエトキシシラン又は3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が75:25である表面処理銅箔。」と訂正する。 カ 訂正事項6 請求項19に「前記第1シラン化合物が3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が50:50である請求項1及び3~15のいずれか一項に記載の表面処理銅箔。」と記載されているのを,「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物が3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が50:50である表面処理銅箔。」と訂正する。 キ 訂正事項7 請求項20に「請求項1~19のいずれか一項に記載の表面処理銅箔」と記載されているのを,「請求項14~19のいずれか一項に記載の表面処理銅箔」と訂正する。 ク 訂正事項8 請求項21に「請求項1~20のいずれか一項に記載の表面処理銅箔」と記載されているのを,「請求項14~20のいずれか一項に記載の表面処理銅箔」と訂正する。 ケ 訂正事項9 請求項24に「請求項1~23のいずれか一項に記載の表面処理銅箔」と記載されているのを,「請求項14~23のいずれか一項に記載の表面処理銅箔」と訂正する。 コ 訂正事項10~22,23 請求項1~13,27を削除する。 (2)訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1(請求項14の訂正)について この訂正は,訂正前の請求項14において,訂正前の請求項1,3~13の引用を解消して独立形式請求項へ改めるとともに,複数のシラン化合物の組み合わせのうち「2種類の第1シラン化合物」及び「2種類の第2シラン化合物」を削除して「第1シラン化合物と第2シラン化合物」に限定し,かつ,その組み合わせを,訂正前の請求項13に記載されていた具体的化合物を用いた4つの組み合わせに特定するものである。よって,この訂正は,請求項間の引用関係の解消,及び,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,本件特許明細書の発明の詳細な説明(特に,実施例6~10,36~43,48~51)には,上記の具体的化合物を用いた4つの組み合わせが記載されている。よって,この訂正は,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 イ 訂正事項2(請求項15の訂正)について この訂正は,訂正前の請求項15において,訂正前の請求項1,3~14の引用を,請求項14のみの引用へ改めるものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,この訂正は,引用請求項の選択肢が減縮されたにすぎないものであるから,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 ウ 訂正事項3(請求項16の訂正)について この訂正は,訂正前の請求項16において,訂正前の請求項1,3~15の引用を解消して独立形式請求項へ改めるとともに,第1シラン化合物と第2シラン化合物との体積比を,50:75~90:10から50:50~90:10に改めるものである。よって,この訂正は,請求項間の引用関係の解消,及び,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,本件特許明細書の発明の詳細な説明には,第1シラン化合物と第2シラン化合物との体積比が50:50~90:10であることが記載されている。よって,この訂正は,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 エ 訂正事項4(請求項17の訂正)について この訂正は,訂正前の請求項17において,訂正前の請求項1,3~15の引用を解消して独立形式請求項へ改めるものであるから,請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。 また,この訂正は,前記のとおり独立形式請求項へ改めるものであるから,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 オ 訂正事項5(請求項18の訂正)について この訂正は,訂正前の請求項18において,訂正前の請求項1,3~15の引用を解消して独立形式請求項へ改めるものであるから,請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。 また,この訂正は,前記のとおり独立形式請求項へ改めるものであるから,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 カ 訂正事項6(請求項19の訂正)について この訂正は,訂正前の請求項19において,訂正前の請求項1,3~15の引用を解消して独立形式請求項へ改めるものであるから,請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。 また,この訂正は,前記のとおり独立形式請求項へ改めるものであるから,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 キ 訂正事項7(請求項20の訂正)について この訂正は,訂正前の請求項20において,訂正前の請求項1~19の引用を,請求項14~19の引用へ改めるものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,この訂正は,引用請求項の選択肢が減縮されたにすぎないものであるから,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 ク 訂正事項8(請求項21の訂正)について この訂正は,訂正前の請求項21において,訂正前の請求項1~20の引用を,請求項14~20の引用へ改めるものであって,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,この訂正は,引用請求項の選択肢が減縮されたにすぎないものであるから,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 ケ 訂正事項9(請求項24の訂正)について この訂正は,訂正前の請求項24において,訂正前の請求項1~23の引用を,請求項14~23の引用へ改めるものであって,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,この訂正は,引用請求項の選択肢が減縮されたにすぎないものであるから,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 コ 訂正事項10~22,23(請求項1~13,27の訂正)について これらの訂正は,訂正前の請求項1~13,27を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,これらの訂正は,請求項を削除するものであるから,新規事項の追加に該当せず,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 (3)一群の請求項について 訂正前の請求項14~26はいずれも,請求項1を直接又は間接に引用するものであって,請求項1の訂正に連動して訂正されるものであるから,訂正前の請求項14~26は,一群の請求項であって,特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。 なお,特許権者は,訂正後の請求項16~19及び訂正後の請求項16~19を引用する訂正後の請求項20~26については,当該請求項についての訂正が認められる場合には,一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。しかしながら,訂正後の請求項20~26は,訂正後の請求項16~19だけでなく訂正後の請求項14,15との引用関係もあるから,別の訂正単位とすることはできない。よって,訂正後の請求項〔1~26〕,27について,訂正することを認める。 (4)独立特許要件について ア 請求項16,17,19について 請求項16,17,19に係る特許については,特許異議の申立てがされていないところ,訂正後の請求項16,17,19に係る発明は,次のとおりである。 (ア)訂正後の請求項16に係る発明 「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が4-アミノブチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が50:50~90:10である表面処理銅箔。」 なお,上記において,「第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン」であり,「第2シラン化合物が4-アミノブチルトリエトキシシラン」である組み合わせは,訂正後の請求項14に係る発明の(1)に相当する。 (イ)訂正後の請求項17に係る発明 「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が90:10である表面処理銅箔。」 なお,上記において,「第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン」であり,「第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルリエトキシシラン」である組み合わせは,訂正後の請求項14に係る発明の(2)に相当する。 (ウ)訂正後の請求項19に係る発明 「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物が3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が50:50である表面処理銅箔。」 なお,上記において,「第1シラン化合物が3-アミノプロピルトリエトキシシラン」であり,「第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルリエトキシシラン」である組み合わせは,訂正後の請求項14に係る発明の(3)に相当する。 イ 独立特許要件についての検討 後記4(3)ア~エで検討するとおり,申立人が提示する証拠のいずれも,訂正後の請求項14に係る発明が規定する,第1シラン化合物と第2シラン化合物の組み合わせ(1)~(4)を記載ないし示唆するものではない。 そうすると,そのような第1シラン化合物と第2シラン化合物の組み合わせ(1)~(4)のうち,(1)を特定する訂正後の請求項16に係る発明,同じく(2)を特定する訂正後の請求項17に係る発明,及び,同じく(3)を特定する訂正後の請求項19に係る発明については,訂正後の請求項14に係る発明と同様に,当業者が容易に発明できたものとはいえない。 そして,訂正後の請求項16,17,19に係る発明は,そのようなシラン化合物の組み合わせを適用することにより,各々,実施例36~39,実施例40~43,実施例6~10(当審注:【0055】における「KBM903」は,そのような第1シラン化合物の例示がないこと,【0049】や表1の記載との整合性よりみて「KBE903」の誤記と認める。)のとおり,90度ピール強度が高く,【0023】に記載の,「樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材との接着性を高めることが可能な表面処理銅箔」を提供することができるという,本件特許明細書に記載のとおりの効果を奏するものである。 その他,訂正後の請求項16,17,19に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができないとする事情は見いだせない。 よって,請求項16,17,19に係る本件訂正は,特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に適合するものである。 (5)訂正の適否についてのまとめ 以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1及び4号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,同条第9項において準用する同法第126条第5項から第7項までの規定に適合する。 したがって,特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1~26〕,27について訂正することを認める。 3 訂正後の本件発明 上記2で検討したとおり,本件訂正請求による特許請求の範囲の訂正は適法なものである。そして,その訂正後の請求項14~26に係る発明は,訂正特許請求の範囲の請求項14~26に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。 「【請求項1】~【請求項13】(削除) 【請求項14】 第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物及び前記第2シラン化合物が、次の(1)~(4): (1)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が4-アミノブチルトリエトキシシランである (2)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランである (3)前記第1シラン化合物が3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランである (4)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである のいずれか一つの組み合わせであり、 前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が10:90~90:10である表面処理銅箔。 【請求項15】 前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が25:75~90:10である、請求項14に記載の表面処理銅箔。 【請求項16】 第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が4-アミノブチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が50:50~90:10である表面処理銅箔。 【請求項17】 第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が90:10である表面処理銅箔。 【請求項18】 第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がグリシドキシプロピルトリエトキシシラン又は3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が75:25である表面処理銅箔。 【請求項19】 第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物が3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランであり、前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が50:50である表面処理銅箔。 【請求項20】 前記銅箔と前記シラン処理層との間に、耐熱処理層、防錆処理層及びクロメート処理層からなる群から選択される1種以上の層を有する、請求項14~19のいずれか一項に記載の表面処理銅箔。 【請求項21】 樹脂基材に接合される、請求項14~20のいずれか一項に記載の表面処理銅箔。 【請求項22】 前記樹脂基材が低誘電材料である、請求項21に記載の表面処理銅箔。 【請求項23】 前記低誘電材料が、液晶ポリマー、低誘電ポリイミド、低誘電エポキシ樹脂、フッ素樹脂又はポリフェニレンエーテル樹脂である、請求項22に記載の表面処理銅箔。 【請求項24】 請求項14~23のいずれか一項に記載の表面処理銅箔の前記シラン処理層上に、樹脂基材が接合された銅張積層板。 【請求項25】 前記樹脂基材が、液晶ポリマー、低誘電ポリイミド、低誘電エポキシ樹脂、フッ素樹脂又はポリフェニレンエーテル樹脂である、請求項24に記載の銅張積層板。 【請求項26】 フレキシブル配線板、リジッド配線板、シールド材、RF-ID、面状発熱体又は放熱体に用いられる、請求項24又は25に記載の銅張積層板。 【請求項27】(削除)」 4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 当審が通知した取消理由の要旨は,次のとおりのものである。 なお,当該取消理由は,申立人が主張する理由のうち,訂正前の請求項12に対する実施可能要件及びサポート要件を除く,全ての理由(甲第1号証に基づく新規性及び進歩性,甲第5号証に基づく新規性及び進歩性,訂正前の請求項10に対する実施可能要件及びサポート要件)を包含するものである。 (証拠一覧) 甲第1号証:特開2008-179127号公報(以下「甲1」という。) 甲第2号証:特表2007-509586号公報(以下「甲2」という。) 甲第5号証:特開平7-170064号公報(以下「甲5」という。) 甲第6号証:特開2003-201585号公報(以下「甲6」という。) 甲第7号証:特開2013-155415号公報(以下「甲7」という。) ア 理由1(甲1に基づく新規性) 訂正前の請求項1,3~9,11,13,14~15,20~27に係る発明は,甲1に記載された発明であって,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 イ 理由2(甲2に基づく新規性) 訂正前の請求項1,3,5,14~15,20,26,27に係る発明は,甲2に記載された発明であって,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 ウ 理由3(甲5に基づく新規性) 訂正前の請求項2~9,11~13,20,26に係る発明は,甲5に記載された発明であって,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 エ 理由4(甲6に基づく新規性) 訂正前の請求項2,4,5,8,10,20~26に係る発明は,甲6に記載された発明であって,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 オ 理由5(甲7に基づく新規性) 訂正前の請求項2,4,5,8,10,20~26に係る発明は,甲7に記載された発明であって,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 カ 理由6(進歩性) 訂正前の請求項1~15,20~27に係る発明は,甲1,甲2,甲5~甲7に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 キ 理由7(実施可能要件) 訂正前の請求項10に記載の第2シラン化合物について,発明の詳細な説明には,当業者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載されておらず,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから,本件特許の請求項10に係る特許は取り消すべきものである。 ク 理由8(サポート要件) 訂正前の請求項10に記載の第2シラン化合物は,発明の詳細な説明に記載されておらず,本件発明10は,発明の詳細な説明に記載されていないから,本件特許の請求項10に係る特許は取り消すべきものである。 (2)証拠の記載事項 ア 甲1について (ア)甲1の記載 甲1には,「銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法」(発明の名称)に関して,次の記載がある。なお,下線は当審が付した。 「【請求項1】 銅箔積層構造体において、 銅箔;及び 上記銅箔表面に塗布された接着力向上層;を含んでなり、 上記接着力向上層は、アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ(glycidoxy)作用基を有したシランカップリング剤の混合シランカップリング剤を用いて形成されたことを特徴とする銅箔積層構造体。 【請求項2】 上記銅箔と上記接着力向上層との間に防錆処理層がさらに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の銅箔積層構造体。 【請求項3】 銅箔積層構造体において、 銅箔; 上記銅箔表面に形成されたノジュール(nodule)層; 上記ノジュール層を包むバリアメッキ層;及び 上記バリアメッキ層の上面に塗布された接着力向上層;を含んでなり、 上記接着力向上層は、アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤が混合されたシランカップリング剤を用いて形成されたことを特徴とする銅箔積層構造体。 【請求項4】 上記バリアメッキ層と上記接着力向上層との間に防錆処理層がさらに形成されていることを特徴とする請求項3に記載の銅箔積層構造体。 【請求項5】 上記バリアメッキ層は、Zn‐As組成液、Zn‐Co組成液、Ni‐Mo‐Zn組成液、Mo‐Zn組成液及びCo‐Ni‐Zn組成液からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物を用いて形成されたことを特徴とする請求項3に記載の銅箔積層構造体。 【請求項6】 上記混合シランカップリング剤は、上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤及び上記グリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の重量比が1:4ないし4:1の比率で混合されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうち何れか1項に記載の銅箔積層構造体。 【請求項7】 上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(3‐aminopropyltrimethoxysilane)、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(3‐aminopropyltriethoxysilane)及びN‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(N‐2‐aminoethyl‐3‐aminopropyltriethoxysilane)からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物であることを特徴とする請求項6に記載の銅箔積層構造体。 【請求項8】 上記グリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3‐glycidoxypropyltrimethoxysilane)、3‐グリシドキシプロピルエトキシジメトキシシラン(3‐glycidoxypropylethoxydimethoxysilane)及び3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3‐glycidoxypropyltriethoxysilane)からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物であることを特徴とする請求項6に記載の銅箔積層構造体。」 「【0001】 本発明は、銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法に関するものであって、より詳しくは、シランカップリング剤を用いて銅箔表面を塗布することで、後続して銅箔の上面に積層される絶縁材層表面の反応基(reaction group)の特性(塩基性または酸性)に影響を受けずにカップリング剤の使用によるシナジー(synergy)効果を極大化して、電子機器の信頼性を改善することができる銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法に関する。 【背景技術】 【0002】 最近、電気・電子機器の軽薄短小化が加速化されるにつれて基板上に形成された印刷回路が微細化・高集積・小型化されている。これによって印刷回路基板に用いられる銅箔にも様々な物性が要求されている。 硬性印刷回路基板の製造に用いられている銅箔には、強い接着強度、高い耐熱特性及び耐薬品性が要求され、層間絶縁のために用いられる絶縁材も低い単価の材料として、外部衝撃に強い有機繊維をエポキシ樹脂に含浸させたFR‐4 プリプレグ(prepreg)が用いられている。 【0003】 一方、軟性印刷回路基板の製造に用いられる銅箔としては、高屈曲特性を示すように低粗度、高延伸率、高屈曲特性を示す銅箔が採用されており、絶縁材としても屈曲特性に優れているポリイミドフィルムまたはワニス(varnish)を採用している。 一般に、印刷回路基板は銅箔を高温高圧下で積層させた後フォトリソグラフィー工程などを通じて基板上に回路パターンを形成して製造されている。 印刷回路基板の製造工程において銅箔と絶縁材との間の接着力を向上させるために従来技術で使用する方法としては、銅箔表面に小さい凹凸を形成させた後銅箔の表面にシランカップリング剤を塗布して銅箔と絶縁材との間の密着力を確保する方法がある。特に、従来技術の場合、シランカップリング剤の作用基として、エポキシ(epoxy)、メルカプタン(mercaptan)、ビニル(vinyl)、アミノ(amino)系などを単独で適用して銅箔と絶縁材との間の接着力を向上させる技術であるが、シランカップリング剤と絶縁材との間の化学的結合力を極大化するのに技術的限界が確認されている。 従って、前述した従来技術の問題点を解決するための努力が関連業界で持続されており、このような技術的背景の下で本発明が案出された。」 「【0004】 本発明が解決しようとする技術的課題は、銅箔の上面に積層される絶縁材表面の反応基の特性(塩基性または酸性)に影響を受けずに混合カップリング剤の使用によるシナジー効果を極大化して、銅箔と絶縁材との間の接着力を向上させることで電子機器の信頼性を改善しようとすることにあり、このような技術的課題を達成することができる銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法を提供することに本発明の目的がある。」 「【0026】 上記シランカップリング剤に含まれるシラン化合物が無機物との反応のためにはアルキルシラン部分でアルコキシに該当する低分子物質の除去が先行されなければならない。その後、接着面上に水/メタノールにより加水分解された混合シランカップリング剤を塗布するか、または接着対象面を加水分解された混合シランカップリング剤の溶液に浸してカップリング剤による化学結合を有機‐無機混合物の界面に導入するようになる。このように導入されたシランを含む有機官能基が他の有機物との化学結合及び吸着による物理的結合をもたらして強い結合を形成するようになる。 【0027】 上記のような混合液で表面処理された銅箔の表面に塗布した後150℃以上の温度で熱処理することができる。上記熱処理の温度が上記範囲未満の場合には、シランカップリング剤が乾燥されないため工程中シランカップリング剤が脱離され、銅箔と絶縁材を積層するとき乾燥されていないシランカップリング剤の揮発による銅箔と絶縁樹脂との間の接着力低下などを引き起こす恐れがあるため望ましくない。 【0028】 以下、本発明の望ましい実施例と比較例を通じてより具体的に説明する。 実施例1 電解銅箔に銅ノジュールを形成するため粗化メッキ処理をし、その表面にバリア層形成のためのメッキ処理をした。その後、電解クロメイト防錆処理をした電解銅箔の表面に、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン3g/l及び3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1g/lを水/メタノールの混合溶液で加水分解させて得た液を塗布した。次いで、上記電解銅箔にポリイミドワニスをコートした後、200℃で10分間乾燥した。なお、必要に応じては、ノジュール形成のための粗化メッキ処理、バリアメッキ層を形成するためのメッキ処理、及び防錆処理などをしない場合もあり、それから形成される銅箔積層構造体も本発明の範疇に含まれることは自明である。 【0029】 実施例2 上記実施例1で使用した3‐アミノプロピルトリメトキシシランを1g/lにし3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシランを4g/lにして、上記実施例1と同様の方法で実施した。 【0030】 実施例3 上記実施例1で使用した3‐アミノプロピルトリメトキシシランを4g/lにし3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1g/lにして、上記実施例1と同様の方法で実施した。」 「【0036】 前述した方法により用意された銅箔とポリイミドとの間の初期接着強度及び18% HCl浸漬後の接着強度をそれぞれ測定した後、下記数1に従う接着強度低下率を計算し、その結果を下記表1に示した。 【0037】 初期接着強度は、前述した方法により製造されたそれぞれのFCCLサンプルをフォトリソグラフィー工程を通じて1mmのパターンを形成した後、その試片をJIS C 6471 8.1規格の90゜接着強度分析法で測定した値である。 接着強度低下率は、上記のように初期接着強度を測定したそれぞれの試片を18% HCl溶液に1時間浸漬した後、同一のJIS C 6471 8.1規格の90゜接着強度分析法で測定した値である。」 (イ)甲1に記載された発明 甲1の請求項1,6,7及び8を参酌すると,甲1には,次の発明が記載されているといえる (以下「甲1発明」という。)。 「銅箔;及び 上記銅箔表面に塗布された接着力向上層;を含んでなり、 上記接着力向上層は、アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ(glycidoxy)作用基を有したシランカップリング剤の重量比が1:4ないし4:1の比率で混合された混合シランカップリング剤を用いて形成され、 上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐アミノプロピルトリエトキシシランであり、 上記グリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシランである、銅箔積層構造体。」 イ 甲2について (ア)甲2の記載 甲2には,「処理した銅箔および処理した銅箔を製造するプロセス」(発明の名称)に関して,次の記載がある。なお,下線は当審が付した。 「【請求項1】 以下を含有する、処理した銅箔: 銅箔であって、該銅箔は、その少なくとも一面のベース表面には、酸化亜鉛層が接着されており、該酸化亜鉛層は、約3Å~約80Åの厚さを有する;および 三価酸化クロム層であって、該三価酸化クロム層は、該酸化亜鉛層に接着されている; ここで、該三価酸化クロム層は、六価酸化クロムを使用して形成される、 処理した銅箔。 【請求項2】 前記三価酸化クロム層が、CrO3、クロミル化合物、クロメート化合物またはジクロメート化合物を使用して形成される、請求項1に記載の箔。 【請求項3】 シランカップリング剤層が、前記三価酸化クロム層に接着されている、請求項1に記載の箔。」 「【請求項15】 誘電基材と該基板に接着した請求項1~6のいずれかに記載の銅箔とを含む、積層板。」 「【0001】 (技術分野) 本発明は、処理した銅箔に関し、この処理した銅箔を製造するプロセスに関する。この処理した銅箔は、酸化亜鉛の薄層(これは、この箔の少なくとも一面のベース表面に接着されている)および三価酸化クロム層(これは、この酸化亜鉛層の接着されている)を有する。この処理した銅箔は、積層板および印刷回路基板を製造する際に有用である。 【0002】 (発明の背景) 銅箔は、印刷回路基板の製造で使用されている。優れた電子伝導性があるものの、このような箔を使用することにともなって、固有の問題がある。銅は、簡単に酸化され腐食する。印刷回路基板の製造では、一般に、この銅箔を誘電基材に結合して、寸法安定性および構造安定性を備えた箔を提供する必要がある。メッキまたは圧延するとき、このような誘電基材への銅箔の接着性は、一般に、不十分である。銅はまた、誘電基材の分解を加速または触媒することが知られている。これらの理由のために、銅箔は、典型的には、その表面に1層またはそれ以上の保護層を塗布して販売されている。」 「【0021】 有用なシランカップリング剤混合物は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランである。前者と後者との重量比は、約1:10~約10:1、1実施形態では、約1:5~約5:1の範囲であり得、1実施形態では、この重量比は、約4:1である。」 「【0027】 本発明の銅箔は、このような箔に寸法安定性および構造安定性を与えるために、誘電基材に結合できる。上述のように、この誘電基材は、時には、プリプレグと呼ばれている。有用な誘電基材は、織物ガラス強化材料に部分硬化樹脂(通常、エポキシ樹脂(例えば、二官能性、四官能性および多官能性エポキシド))を含浸することにより、作製され得る。他の有用な樹脂には、ホルムアルデヒドと尿素またはホルムアルデヒドとメラミンとの反応により生成されるアミノ型樹脂、ポリエステル、フェノール、シリコーン、ポリアミド、ポリイミド、フタル酸ジ-アリル、フェニルシラン、ポリベンズイミダゾール、ジフェニルオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、シアネートエステルなどが挙げられる。」 「【0058】 (実施例1) 1oz/ft2の重量の電着した銅箔試料を、そのマット面に、以下の条件下にて、150ft./分の表面速度で回転している円筒形カソードを使用して、亜鉛金属層でメッキする: ZnSO4:0.5g/lのZn++イオン H3PO3:0.4g/lのP+++イオン Na2SO4:15g/l 浴のpH:5.0 電流密度:25amps/ft2 メッキ時間:20秒間 浴温度:37.8℃(100°F) この亜鉛金属層は、49Åの厚さを有する。この亜鉛金属層を、18amps/ft2の電流密度を使用して、10秒間にわたって、NaOHでpHを5.0に調整したCrO3溶液(3.0g/l)に接触させることにより、酸化する。得られた三価酸化クロム層の厚さは、30~40Åである。次いで、この試料を乾燥し、そして試料を0.5重量%エポキシシラン水溶液に浸けることにより、シランカップリング剤層で被覆する。試料を乾燥する。乾燥したシラン被覆の厚さは、約50Åである。得られた処理した銅箔を、ノンジシプリプレグに積層する。このプリプレグ材料は、Polyclad ATS(四官能性エポキシ樹脂および非アミン硬化剤を使って製造したプリプレグとして同定されるPolycladの製品)である。この試料を、初期剥離強度およびHClアンダーカットについて試験する。この初期剥離強度は、9lb/inchである。このHClアンダーカットは、13.3%である。(HClアンダーカットは、この試料を18%のHClに1時間浸した後の剥離強度損失パーセントの尺度である)。」 (イ)甲2に記載された発明 甲2の請求項1,3,15,【0021】,【0058】の実施例1の記載を参酌すると,甲2には,次の発明が記載されているといえる(以下「甲2発明」という。)。 「銅箔の少なくとも一面のベース表面に、酸化亜鉛層が接着されており、 三価酸化クロム層が、該酸化亜鉛層に接着されており、 シランカップリング剤層が、前記三価酸化クロム層に接着されており、 該シランカップリング剤層のシランカップリング剤混合物は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであって、前者と後者との重量比は、約1:10~約10:1であり、 該シランカップリング剤層は、シランカップリング剤混合物を基材に塗布乾燥した硬化物である、銅箔。」 ウ 甲5について (ア)甲5の記載 甲5には,「接着性促進層を有する金属箔」(発明の名称)に関して,次の記載がある。なお,下線は当審が付した。 「【請求項1】 少なくとも一面に接着性促進層を有する金属箔であって、 該接着性促進層が、少なくとも1つのシランカップリング剤を含有し、クロムが存在しないことによって特徴づけられ、 該接着性促進層の下に形成される該金属箔のベース表面が、表面粗さが加えられないこと、または該ベース表面に付着した亜鉛層もしくはクロム層が存在しないことによって特徴づけられる、 金属箔。」 「【請求項12】 前記シランカップリング剤が、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(N-スチリルメチル-2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、…(略)…からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、 請求項1に記載の金属箔。」 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、金属箔に関し、さらに詳しくは、少なくともその片面を覆う接着性促進層を有する金属箔に関する。1つの実施態様において、これらの金属箔は印刷回路板(PCB)の製造に用いられる導体箔(例えば、銅箔)である。 【0002】 【従来の技術】PCBは、通常銅箔である導体箔および高分子樹脂基板を有する積層板から形成される電子素子の構成要素である。導体箔は電子素子中に導体を形成し、高分子樹脂基板は導体間に絶縁体を形成する。導体および絶縁体は密着しており、導体と絶縁体との間の接着により導体および絶縁体で形成される電子素子に性能および信頼性が与えられる。」 「【0108】 有用なシランカップリング剤の混合物は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランである。前者の後者に対する重量比は、好ましくは約1:10から約10:1、より好ましくは約1:5から約5:1の範囲であり、また1つの実施態様では重量比は約1:3である。 【0109】有用なシランカップリング剤の混合物は、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシランおよびクロロプロピルトリメトキシシランである。前者の後者に対する重量比は、好ましくは約1:10から約10:1、より好ましくは約1:5から約5:1の範囲であり、また1つの実施態様では重量比は約1:1である。 【0110】有用なシランカップリング剤の混合物は、3-(N-スチリルメチル-2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランおよびN-メチルアミノプロピルトリメトキシシランである。前者の後者に対する重量比は、好ましくは約1:10から約10:1、より好ましくは約1:5から約5:1の範囲であり、また1つの実施態様では重量比は約1:1である。 【0111】有用なシランカップリング剤の混合物は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびN-メチルアミノプロピルトリメトキシシランである。前者の後者に対する重量比は、好ましくは約1:10から約10:1、より好ましくは約1:5から約5:1の範囲であり、また1つの実施態様では重量比は約1:3である。 【0112】1つの実施態様では、シランカップリング剤は3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン以外のものである。」 「【0137】 (実施例9)N―(2―アミノエチル―3―アミノプロピル)トリメトキシシランを脱イオン水に溶かした0.5重量%水溶液を調製する。下記のような粗さおよび処理特性を有する重量1oz/ft2の電着銅箔試料をこの溶液に30秒間浸漬し、圧搾して余分な溶液を艶消し面から除去して風乾する。試料を、炉で90±5゜Cで1分間加熱し、シラン処理試料を得る。シラン処理試料、およびシラン処理を行わない以外はこれと同一の箔試料を、積層して二官能性エポキシプリプレグにする。試料に1/4インチ幅で線を刻んで、初期剥離強度を評価する。…。 」 「【0151】 (実施例16)シラン混合物を脱イオン水に溶かした0.5重量%水溶液を調製する。シラン混合物は、3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン50重量%と、N―メチルアミノプロピルトリメトキシシラン50重量%から成る。下記のような粗さおよび処理特性を有する重量1oz/ft2の電着銅箔試料をこの溶液に30秒間浸漬し、圧搾して余分な溶液を光沢面から除去して風乾する。試料を、炉で90±5゜Cで1分間加熱し、シラン処理試料を得る。シラン処理試料、およびシラン処理を行わない以外はこれと同一の箔試料を、積層して二官能性エポキシプリプレグにする。試料に1/4インチ幅で線を刻んで、初期剥離強度を評価する。…」 (イ)甲5に記載された発明 甲5の請求項1,12,【0137】の実施例9の記載を参酌すると,甲5には,次の発明が記載されているといえる(以下「甲5発明」という。)。 「少なくとも一面に接着性促進層を有する金属箔であって、 該接着性促進層が、少なくとも1つのシランカップリング剤を含有し、 前記シランカップリング剤が、N―(2―アミノエチル―3―アミノプロピル)トリメトキシシランである、銅箔。」 エ 甲6について (ア)甲6の記載 甲6には,「表面処理銅箔」(発明の名称)に関して,次の記載がある。なお,下線は当審が付した。 「【請求項1】 表面処理銅箔であって、銅箔の少なくとも片面に耐熱処理層及びオレフィン系シランカップリング剤層を順に設けた表面処理銅箔。 【請求項2】 上記耐熱処理層の上にさらに防錆処理層が形成され、該防錆処理層の上に上記オレフィン系シランカップリング剤層が形成されている請求項1に記載の表面処理銅箔。」 「【0009】 【発明が解決しようとする課題】 以上、高周波対応用基板及び高周波対応用の多層プリント回路内層用基板では、樹脂の変更と銅箔のロープロファイル化により、銅箔と絶縁樹脂との接着強度は低くなり、その接着性を改善させることが強く要望されている。 【0010】 粗化粒子を銅箔につける粗化処理は、上記のように従来の技術では必ず行われている。しかしながら、それらの粗化粒子はめっきをこぶ状又は針状にするため、電流密度を高く設定しており、製造コストがかさむ。その上、エッチングによって回路を形成する際、粗化粒子が残存する可能性があり、そのためファインライン形成に不利である。そのため、この粗化処理の代替方法、すなわち化学処理によって接着強度を向上することが望まれている。 【0011】 さらに、上記のように銅箔と絶縁樹脂との接着性を改善させる手段としては、シランカップリング剤の表面処理又は樹脂への添加の方法がとられるのが一般的である。エポキシ系やアミノ系の市販のシランカップリング剤は効果があり、長年使用されてきていたが、近年の上記高周波化への対応には、要求特性を満足出来ない場合が増えてきている現状にある。 【0012】 そこで、本発明は、高周波化への対応を可能とする、高周波対応基板及び高周波対応の多層プリント回路内層用基板において絶縁樹脂との接着性を向上した銅箔を提供することを目的とするものである。」 「【0029】 上記のように耐熱処理及び防錆処理を施した銅箔は、次にオレフィン系シランカップリング剤を塗布してその薄膜が形成される。その薄膜の厚さは1.0nm~10μm、より好ましくは10nm~1.0μmである。塗布溶液は有効成分の濃度が0.001~10重量%、好ましくは0.01~6重量%になるように水、弱酸性水溶液などを溶媒として用いて調製する。0.001重量%未満では、接着の改善効果が少なく、また10重量%を超えると効果が飽和すると共に溶解性が悪くなるので好ましくない。銅箔への塗布方法は、オレフィン系シランカップリング剤溶液のスプレーによる吹き付け、コーターでの塗布、浸漬、流しかけ等いずれでもよい。 【0030】 オレフィン系シランカップリング剤としては、例えばビニル系シラン、アクリル系シラン、メタクリル系シランが挙げられる。ビニル系シランは、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルジアルコキシアルキルシラン等であり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルジエトキシメチルシラン等である。アクリル系シランは、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。メタクリル系シランは、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。そのなかでさらに好適なのは、ビニル系シランで、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが特に好ましい。 【0031】 銅箔に上記のオレフィン系シランカップリング剤を塗布した後は、処理銅箔は風乾又は加熱乾燥される。水が蒸発すればよく、本発明の効果を十分に発揮するが、50~180℃で乾燥すると、シランカップリング剤と銅箔の反応が促進し好適である。 【0032】 本発明の銅箔を表面処理するための各処理液は、必要に応じて、他のシランカップリング剤、pH調整剤、緩衝剤等の添加剤を適宜添加配合することができる。」 「【0035】 以上のようにして処理された本発明の銅箔に基板となる絶縁樹脂を積層する。本発明の銅箔を適用する高周波対応基板とは、2重結合を硬化系としている絶縁樹脂であり、例えば、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン系重合体を含む熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、トリアリルシアヌレートの重合体や共重合体を含む樹脂組成物、メタクリル又はアクリル変性したエポキシ樹脂組成物、フェノール類付加ブタジエン重合体、ジアリルフタレート樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、多官能性メタクリロイル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン、スチレン-ブタジエン・スチレン-ブタジエン等の架橋ポリマー等が挙げられる。これらの樹脂は、単一の化合物とは限らず、所望の特性を得るために様々な他の物質が添加されたり、変性されて用いられている。熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂がブレンドされていてもよい。また、上記熱硬化性樹脂に、充填材や添加剤を配合していてもよい。」 (イ)甲6に記載された発明 甲6の請求項1,2,【0029】~【0032】の記載を参酌すると,甲6には,以下の発明が記載されているといえる(以下「甲6発明」という。)。 「銅箔の少なくとも片面に耐熱処理層、その上にさらに防錆処理層が形成され、該防錆処理層の上にオレフィン系シランカップリング剤を塗布し、風乾又は加熱乾燥されることによりオレフィン系シランカップリング剤層が形成されている表面処理銅箔であって、 シランカップリング剤は、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである、銅箔。」 オ 甲7について (ア)甲7の記載 甲7には,「高周波伝送用表面処理銅箔、高周波伝送用積層板及び高周波伝送用プリント配線板」(発明の名称)に関して,次の記載がある。なお,下線は当審が付した。 「【請求項2】 未処理銅箔の少なくとも片面に粗化処理層、耐熱処理層、防錆処理層及びシランカップリング剤層を順に設けてなる表面処理銅箔であって、前記表面処理銅箔の表面処理側面凹凸の算術平均粗さRaが0.35μm以下、最大高さRyが1.0μm以上、粗面凹凸の頂部の丸味半径(R)が0.1μm以上である高周波伝送用表面処理銅箔。 【請求項3】 前記耐熱処理層がニッケル、亜鉛、亜鉛-ニッケル、ニッケル-銀、銅-亜鉛、銅-ニッケル-コバルト及びニッケル-コバルトのうちの少なくとも1種類以上の層で形成されている請求項1または2に記載の高周波伝送用表面処理銅箔。 【請求項4】 前記カップリング層がメタクリロ系、アクリル系またはアミン系のカップリング剤で形成されている請求項2に記載の高周波伝送用表面処理銅箔。 【請求項5】 吸水率0.5%以下の高周波対応の絶縁樹脂と請求項1または2に記載の高周波用表面処理銅箔とを積層してなる高周波伝送用積層板。 【請求項6】 吸水率0.5%以下の高周波対応の絶縁樹脂と請求項1または2に記載の高周波用表面処理銅箔とを積層してなる高周波伝送用プリント配線板。」 「【0040】 メタクリル系シランカップリング剤としては、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。 アクリル系シランカップリング剤としては、3-アクリロキシプロビルトリメトキシシランなどが好ましい。 またアミン系シランカップリング剤としては、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどが好ましい。 【0041】 銅箔に上記のメタクリル系、アクリル系またはアミン系シランカップリング剤を塗布した後風乾又は加熱乾燥する。乾燥は溶媒(水)が蒸発すればよく、加熱乾燥の温度は50~180℃とする。 【0042】 以上のようにして処理された本発明の表面処理銅箔を吸水率が0.05%以下の絶縁樹脂(このような樹脂は比誘電率や誘電正接が低い樹脂である。)と積層して積層板とし、該積層板を加工してプリント配線板とする。 吸水率0.5%以下の絶縁樹脂としては、例えば日立製MCL-FX-2、パナソニック製MEGTRON6若しくは三菱ガス化学製CCL-HL832-MG等が市販されている。このような絶縁樹脂(以下高周波対応の絶縁樹脂という)と本発明表面処理銅箔とを熱プレスで積層して、高周波伝送用プリント積層板を作製し、この積層板を使用して、フォトグラフィック技術等を用いて、微細回路パターンを形成し、高周波対応プリント配線板とする。」 (イ)甲7に記載された発明 甲7の請求項2,【0040】の記載を参酌すると,甲7には,次の発明が記載されているといえる(以下「甲7発明」という。)。 「未処理銅箔の少なくとも片面に粗化処理層、耐熱処理層、防錆処理層及びシランカップリング剤層を順に設けてなる、高周波伝送用表面処理銅箔であって、 シランカップリング剤は、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである、高周波伝送用プリント配線板に用いる、高周波伝送用表面処理銅箔。」 (3)当審の判断 当審は,請求項1~13,27が削除され,また,請求項14(引用する請求項15,20~26を含む。)及び請求項18に係る各発明は,新規性,進歩性,実施可能要件及びサポート要件の全てに適合することから,上記4(1)の取消理由1~8はいずれも解消したものと判断する。その理由は次のとおりである。 ア 理由1(甲1に基づく新規性)について (ア)請求項14に係る発明(上記3のとおり。)と,甲1発明(上記(2)ア(イ)のとおり。)とを対比する。 甲1発明の「銅箔」及び「上記銅箔表面に塗布された接着力向上層」は,各々,請求項14に係る発明の「銅箔」及び「シラン処理層」に相当するから,甲1発明の「銅箔積層構造体」は,請求項14に係る発明の「表面処理銅箔」に相当する。 甲1発明の「接着力向上層」は,「アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ(glycidoxy)作用基を有したシランカップリング剤の重量比が1:4ないし4:1の比率で混合された混合シランカップリング剤」を用いて形成されたものであり,請求項14に係る発明の「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物」に相当し,「体積比が10:90~90:10」とも実質的に重複している。 甲1発明の「3-アミノプロピルトリエトキシシラン」は,請求項14に係る発明の(1)~(4)の組み合わせのうち(3)の「(前記第1シラン化合物が)3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、」に相当する。 よって,両者は次の一致点,相違点を有する。 (一致点) 「第1シラン化合物である3-アミノプロピルトリエトキシシラン、及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が10:90~90:10である表面処理銅箔。」である点。 (相違点) 第1シラン化合物及び第2シラン化合物の組み合わせに関して,甲1発明は,請求項14に係る発明が特定する(1)~(4)の組み合わせがない点。 上記相違点について検討すると,請求項14に係る発明は,第1シラン化合物(2種類)及び第2シラン化合物(3種類)の組み合わせを, (1)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が4-アミノブチルトリエトキシシランである (2)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランである (3)前記第1シラン化合物が3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランである (4)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである のいずれか一つに具体的に特定するものである。 これに対し,甲1発明におけるシラン化合物の組み合わせは,「3-アミノプロピルトリエトキシシラン」及び「3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」であって,この組み合わせは,上記(1)~(4)のいずれにも該当しない。前者の「3-アミノプロピルトリエトキシシラン」については,上記(3)の第1シラン化合物ではあるが,このものと組み合わせる後者の「3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」に代えて,上記(3)の第2シラン化合物である「N-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン」を適用することは,甲1には記載も示唆もされていない。 よって,請求項14に係る発明は,甲1に記載された発明ではない。 (イ)請求項15,20,26に係る発明は,いずれも,請求項14に係る発明を引用して技術的事項を更に特定するものであるから,上記(ア)と同様の理由により,甲1に記載された発明ではない。 イ 理由2(甲2に基づく新規性)について (ア)請求項14に係る発明と,甲2に記載された発明(上記(2)イ(イ)のとおり。)とを対比する。 甲2発明の「シランカップリング剤層」は,請求項14に係る発明の「シラン処理層」に相当する。そして,甲2発明の「銅箔」は,酸化亜鉛層,三価酸化クロム層を介して「シランカップリング剤層」が接着しているものであって,請求項14に係る発明の「表面処理銅箔」に相当する。 甲2発明の「シランカップリング剤混合物」は,混合物であるから,請求項14に係る発明の「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物」に相当する。そして,混合物の硬化物が層を形成することは,自明である。 甲2発明におけるシランカップリング剤混合物の「重量比は、約1:10~約10:1」であり,これは,請求項14に係る発明の第1シラン化合物と第2シラン化合物との「体積比が10:90~90:10」であることと実質的に重複している。 よって,両者は次の一致点,相違点を有する。 (一致点) 「第1シラン化合物及び前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物を含む混合物の硬化物であるシラン処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔であって、 前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が10:90~90:10である表面処理銅箔。」である点。 (相違点) 第1シラン化合物及び第2シラン化合物の組み合わせに関して,甲2発明は,請求項14に係る発明が特定する(1)~(4)の組み合わせがない点。 上記相違点について検討すると,請求項14に係る発明は,第1シラン化合物(2種類)及び第2シラン化合物(3種類)の組み合わせを, (1)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が4-アミノブチルトリエトキシシランである (2)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランである (3)前記第1シラン化合物が3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、前記第2シラン化合物がN-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシランである (4)前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物が3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである のいずれか一つに具体的に特定するものである。 これに対し,甲2発明におけるシラン化合物の組み合わせは,「3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」及び「テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシラン」であって,この組み合わせは,上記(1)~(4)のいずれにも該当しない。 よって,請求項14に係る発明は,甲2に記載された発明ではない。 (イ)請求項15,20,26に係る発明は,いずれも請求項14に係る発明を引用して技術的事項を更に特定するものであるから,上記(ア)と同様の理由により,甲2に記載された発明ではない。 ウ 理由3(甲5に基づく新規性),理由4(甲6に基づく新規性),理由5(甲7に基づく新規性)について (ア)取消理由3~5は,いずれも,訂正前の請求項2,すなわち「第1シラン化合物」又は「前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物」に関する発明に対するものであって,請求項14に係る発明,すなわち「第1シラン化合物」及び「前記第1シラン化合物とは異なる第2シラン化合物」の混合物に関する発明に対して,当審は取消理由を通知していないものであるが,以下,検討する。 (イ)甲5には,シランカップリング剤として,「N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(N-スチリルメチル-2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、…(略)…からなる群から選択される少なくとも1つの化合物」(請求項12)の適用が示されている一方,有用なシランカップリング剤の混合物として示されているのは,【0108】に「3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」及び「フェニルトリエトキシシラン」,【0109】に「N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン」及び「クロロプロピルトリメトキシシラン」,【0110】に「3-(N-スチリルメチル-2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン」及び「N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン」,【0149】の実施例16に「3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」及び「N―メチルアミノプロピルトリメトキシシラン」の各記載があるのみである。 よって,甲5に,請求項14に係る発明における組み合わせ(1),(2),(4)の第1シラン化合物に相当する「N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン」,及び,(3)の第1シラン化合物に相当する「3-アミノプロピルトリエトキシシラン」が記載されていたとしても,そのことから直ちに,請求項14に係る発明におけるシラン化合物の組み合わせ(1)~(4)が記載ないし示唆されているとはいえない。 (ウ)甲6には,オレフィン系シランカップリング剤層を形成するシランカップリング剤として,「γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン」が【0030】に挙げられているが,このものと異なるシランカップリング剤との組み合わせは明示されていない。また,実施例で具体的に用いられる化合物として,「γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン」は記載されておらず,かつ,異なるシランカップリング剤の組み合わせも記載されていない。 よって,甲6に,請求項14に係る発明における組み合わせ(4)の第2シラン化合物に相当する「3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン」が記載されていたとしても,そのことから直ちに,請求項14に係る発明におけるシラン化合物の組み合わせ(1)~(4)が記載ないし示唆されているとはいえない。 (エ)甲7には,シランカップリング剤として,「3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン」が【0040】に挙げられているが,このものと異なるシランカップリング剤との組み合わせは明示されておらず,【0041】における「メタクリル系、アクリル系またはアミン系シランカップリング剤」との記載や,実施例の記載をみても,異なるシランカップリング剤の組み合わせは示されていない。 よって,甲7に,請求項14に係る発明における組み合わせ(4)の第2シラン化合物に相当する「3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン」が記載されていたとしても,そのことから直ちに,請求項14に係る発明におけるシラン化合物の組み合わせ(1)~(4)が記載ないし示唆されているとはいえない。 (オ)以上のとおり,甲5ないし甲7は,いずれも,請求項14に係る発明におけるシラン化合物の組み合わせ(1)~(4)を記載ないし示唆するものでないから,請求項14に係る発明は,甲5ないし甲7に記載された発明ではない。 また,請求項20~26に係る発明は,いずれも請求項14に係る発明を引用して技術的事項を更に特定するものであるから,上記と同様の理由により,甲5ないし甲7に記載された発明ではない。 エ 理由6(進歩性)について (ア)請求項14に係る発明について まず,甲1発明におけるシラン化合物の組み合わせは,「3-アミノプロピルトリエトキシシラン」及び「3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」であって,この組み合わせは,請求項14に係る発明におけるシラン化合物の組み合わせ(1)~(4)のいずれにも該当しない。前者の「3-アミノプロピルトリエトキシシラン」については,上記(3)の第1シラン化合物ではあるが,このものと組み合わせる後者の「3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」に代えて,上記(3)の第2シラン化合物である「N-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン」を適用することは,甲1には記載も示唆もされていない。特に,甲1の【0028】~【0030】には,実施例1~3として「3-アミノプロピルトリエトキシシラン」ではなく「3-アミノプロピルトリメトキシシラン」が用いられる一方,組み合わせるシラン化合物は「3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」のみであるから,甲1発明におけるシラン化合物の組み合わせに代えて,請求項14に係る発明におけるシラン化合物の組み合わせ(1)~(4)を適用する動機づけは見当たらない。 また,甲2発明におけるシラン化合物の組み合わせは,「3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」及び「テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシラン」であって,この組み合わせは,上記(1)~(4)のいずれにも該当しない。甲2のその他の記載を参酌しても,甲2発明におけるシラン化合物の組み合わせに代えて,請求項14に係る発明におけるシラン化合物の組み合わせ(1)~(4)を適用する動機づけは見当たらない。 さらに,甲5~甲7には,請求項14に係る発明における組み合わせ(1)~(4)のうち,一部の化合物が重複して記載されるに止まり,甲1発明ないし甲2発明と組み合わせる動機づけは見当たらない。その他,申立人が提示した甲3,甲4,甲8~甲13の各記載を参酌しても,甲1発明ないし甲2発明におけるシラン化合物の組み合わせに代えて,請求項14に係る発明におけるシラン化合物の組み合わせ(1)~(4)を適用する動機づけは見当たらない。 そして,請求項14に係る発明は,上記シラン化合物の組み合わせ(1)~(4)を適用することにより,各々,実施例36~39,実施例40~43,実施例6~10(当審注:【0055】における「KBM903」は,そのような第1シラン化合物の例示がないこと,【0049】や表1の記載との整合性よりみて「KBE903」の誤記と認める。),実施例48~51のとおり,90度ピール強度が高く,【0023】に記載の,「樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材との接着性を高めることが可能な表面処理銅箔」を提供することができるという,本件特許明細書に記載のとおりの効果を奏するものである。 したがって,請求項14に係る発明は,甲1,甲2,甲5~甲7の各記載に基いて当業者が容易に発明できたものではない。 (イ)請求項15,20~26に係る発明について 請求項15,20~26に係る発明は,いずれも請求項14に係る発明を引用して技術的事項を更に特定するものであるから,上記(ア)と同様の理由により,甲1,甲2,甲5~甲7の各記載に基いて当業者が容易に発明できたものではない。 (ウ)請求項18に係る発明について 請求項18に係る発明(上記3のとおり。)は,請求項14に係る発明と同様,独立形式請求項で特定された発明であるが,請求項14に係る発明が(1)~(4)の組み合わせを発明特定事項とするのに対し,請求項18に係る発明は, 「前記第1シラン化合物がN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランであり、前記第2シラン化合物がグリシドキシプロピルトリエトキシシラン又は3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランであ」り、かつ,前記第1シラン化合物と前記第2シラン化合物との体積比が75:25である点を発明特定事項とするものである。 そして,上記組み合わせは,請求項14に係る発明における(4)の組み合わせ,又は,第1シラン化合物が「N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン」であり,第2シラン化合物が「グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」である組み合わせを,発明特定事項とするものである。 そこで検討するに,まず,上記(ア)のとおり,甲1,甲2,甲5~甲7の各記載や申立人が提示した甲3,甲4,甲8~甲13の各記載を参酌しても,上記(4)の組み合わせを適用する動機づけは見当たらない。 また,甲1には,シラン化合物の組み合わせとして「N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン」及び「3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」は記載されているものの,その前者に代えて,「N-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン」を適用することは示されておらず,まして,その体積比が75:25であることは,記載も示唆もされていない。 同様に,甲2には,シラン化合物の組み合わせとして「3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」及び「テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシラン」は記載されているものの,前者に代えて「3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」,後者に代えて「N-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン」を適用することは示されておらず,まして,その体積比が75:25であることは,記載も示唆もされていない。 さらに,甲5~甲7の各記載や申立人が提示した甲3,甲4,甲8~甲13の各記載を参酌しても,第1シラン化合物が「N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン」であり,第2シラン化合物が「グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」である組み合わせを適用動機づけは見当たらない。 そして,請求項18に係る発明は,上記シラン化合物の組み合わせ(4),又は,第1シラン化合物が「N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン」であり,第2シラン化合物が「グリシドキシプロピルトリエトキシシラン」である組み合わせを適用することにより,各々,実施例48~51(特に実施例49),実施例44~47(特に実施例45)のとおり,90度ピール強度が高く,【0023】に記載の,「樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材との接着性を高めることが可能な表面処理銅箔」を提供することができるという,本件特許明細書に記載のとおりの効果を奏するものである。 したがって,請求項14に係る発明は,甲1,甲2,甲5~甲7の各記載に基いて当業者が容易に発明できたものではない。 オ 理由7(実施可能要件),理由8(サポート要件)について 理由7,8はいずれも,請求項10に記載の第2シラン化合物に係る記載不備を指摘するものであるが,請求項10は訂正によりその内容が削除されたので,取消理由は解消した。 なお,申立人が主張する理由のうち,請求項12に対する実施可能要件及びサポート要件について,当審は取消理由を通知していないが,上記と同様,請求項12は訂正によりその内容が削除された。 カ 申立人の主張について (ア)申立人は,令和 1年 6月14日提出の意見書において,訂正後の請求項14,15に係る発明に関して,シラン化合物の組み合わせのうち(2)~(4)については,第2シラン化合物の単体よりも性能に劣る比較例相当の体積比を包含するものであるから,発明の詳細な説明に記載されたものでなはなく,また,依然として進歩性を有しない旨,主張している。 上記の主張は特許異議申立書において申立の理由として主張していたものではなく,また,その補正ができる期間内に主張したものでもないので,特許異議申立の要旨を変更するものであるから,採用しない。 (イ)なお,本件特許明細書における各実施例の結果(90度ピール強度,kg/cm)は,以下に示すとおり,第1シラン化合物の単体を用いた結果よりもピール強度が高いものである。 シラン化合物の組み合わせ(2):実施例65(0.38)に対して,実施例40(1.31),実施例41(0.73),実施例42(0.74)。 シラン化合物の組み合わせ(3):実施例64(0.72)に対して,実施例7(0.85),実施例8(1.00),実施例9(0.99)。 シラン化合物の組み合わせ(4):実施例65(0.38)に対して,実施例49(1.38),実施例50(0.90),実施例51(0.59)。 (ウ)そして,上記エ(ア)(イ)のとおり,請求項14,15に係る発明は,上記シラン化合物の組み合わせ(1)~(4)を適用することにより,各々,実施例36~39,実施例40~43,実施例6~10(当審注:【0055】における「KBM903」は,そのような第1シラン化合物の例示がないこと,【0049】や表1の記載との整合性よりみて「KBE903」の誤記と認める。),実施例48~51のとおり,90度ピール強度が高く,【0023】に記載の,「樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材との接着性を高めることが可能な表面処理銅箔」を提供することができるという,本件特許明細書に記載のとおりの効果を奏するものである。 6 むすび 以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては,請求項14,15,18,20~26に係る特許を取り消すことはできない。 また,他に請求項14,15,18,20~26に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また,請求項1~13,27に係る特許は,訂正により削除されたから,請求項1~13,27に係る特許異議の申立ては,その対象が存在しないものとなったため,特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって,結論のとおり決定する。

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2018-700955

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