特許異議申立
2026-700183
成膜装置、成膜方法、酸化ガリウム膜および積層体
- 審判番号
- 2026-700183
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-505629
- 登録番号
- 7731969
- 請求日
- 2026年03月02日
- 審決日
- 2026年06月29日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】信越化学工業株式会社
- 【権利者代理人】好宮 幹夫
- 【権利者代理人】小林 俊弘
- 【権利者代理人】大塚 徹
- 【異議申立人】西郷 新
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 陽一
- 審判官 井上 猛
- 審判官 石川 雄太郎
- 分類
- P1651.113-Y (C23C) / P1651.121-Y (C23C) / P1651.16 -Y (C23C) / P1651.536-Y (C23C) / P1651.537-Y (C23C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第184条の13、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7731969号発明「成膜装置、成膜方法、酸化ガリウム膜および積層体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7731969号の請求項1~28に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件の特許第7731969号(以下「本件特許」という。)の請求項1~28に係る特許についての出願(特願2023-505629号。以下「本願」という。)は、令和 4年 3月10日(優先権主張:令和 3年 3月12日)を国際出願日とする出願であって、令和 7年 8月22日にその特許権の設定登録がされ、同年 9月 1日に特許掲載公報が発行され、その後、令和 8年 3月 2日に、その請求項1~28(全請求項)に係る特許について、特許異議申立人である西郷 新(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1~28に係る発明は、本願の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~28に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、以下において、本願の請求項1~28に係る発明をそれぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明28」といい、総称して、「本件特許発明」という。また、本願の願書に添付した明細書を「本件特許明細書」という。
「 【請求項1】
ミスト化された原料溶液を熱処理して基板上に成膜を行う成膜装置であって、
前記原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト化部と、
該ミスト化部で発生させた前記ミストを搬送するキャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、
前記基板を載置する載置部を内部に備え、前記キャリアガスにより搬送された前記ミストが前記基板上に供給される成膜部と、
該成膜部から排気ガスを排気する排気部と、
を備え、
前記成膜部内の前記載置部の上方に、
前記基板上へ前記ミストを供給するノズルと、
該ノズルから供給された前記ミストを前記基板に沿って整流する天板と、
を更に備えるものであることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記ノズルと前記天板が、前記載置部の鉛直上方に設置されているものであることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記天板が、前記ノズルの側面に接して設置されているものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記天板が、前記ノズルの開口面と同一平面内に設置されているものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記天板の底面と、前記載置部の前記基板が載置される面とが平行になるように前記天板が設置されているものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記天板の底面と、前記載置部の前記基板が載置される面との高さ位置の差が0.15cm以上6.05cm以下となるように前記天板が設置されているものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記ノズルの開口面と、前記載置部に載置された前記基板との高さ位置の差が0.1cm以上6.0cm以下となるように前記ノズルが設置されているものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記天板の底面の面積をB[cm2]としたとき、B≧40のものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記基板の面積をA[cm2]、前記天板の底面の面積をB[cm2]としたとき、B/A≧0.5のものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記ノズルの下方で前記基板を移動させる移動機構を更に備えるものであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記原料溶液がガリウムを含むものであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項12】
前記原料溶液がハロゲンを含むものであることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項13】
ミスト化した原料溶液を熱処理して基板上に成膜を行う成膜方法であって、
前記原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト発生工程と、
前記ミストをキャリアガスにより成膜部に搬送するミスト搬送工程と、
前記成膜部内の載置部に載置した前記基板上に前記ミストを供給して熱処理し成膜を行いつつ排気ガスを排気する成膜工程と、
を含み、
前記成膜工程において、
前記基板上への前記ミストの供給を、前記載置部の上方に備えたノズルから、前記載置部の上方に備えた天板と前記基板の間に行うことで、前記基板上に該基板に沿って整流された前記ミストを供給することを特徴とする成膜方法。
【請求項14】
前記ノズルと前記天板を、前記載置部の鉛直上方に設置することを特徴とする請求項13に記載の成膜方法。
【請求項15】
前記天板を、前記ノズルの側面に接して設置することを特徴とする請求項13または請求項14に記載の成膜方法。
【請求項16】
前記天板を、前記ノズルの開口面と同一平面内に設置することを特徴とする請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項17】
前記天板の底面と、前記載置部の前記基板が載置される面とが平行になるように前記天板を設置することを特徴とする請求項13から請求項16のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項18】
前記天板の底面と、前記載置部の前記基板が載置される面との高さ位置の差が0.15cm以上6.05cm以下となるように前記天板を設置することを特徴とする請求項13から請求項17のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項19】
前記ノズルの開口面と、前記載置部に載置された前記基板との高さ位置の差が0.1cm以上6.0cm以下となるように前記ノズルを設置することを特徴とする請求項13から請求項18のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項20】
前記天板の底面の面積をB[cm2]としたとき、B≧40とすることを特徴とする請求項13から請求項19のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項21】
前記基板の面積をA[cm2]、前記天板の底面の面積をB[cm2]としたとき、B/A≧0.5とすることを特徴とする請求項13から請求項20のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項22】
前記成膜工程において、前記ノズルの下方で前記基板を移動させることを特徴とする請求項13から請求項21のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項23】
前記原料溶液をガリウムを含むものとすることを特徴とする請求項13から請求項22のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項24】
前記原料溶液をハロゲンを含むものとすることを特徴とする請求項13から請求項23のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項25】
前記ノズルから供給する前記キャリアガスの流量をQ[L/分]、前記排気ガスの流量をE[L/分]としたとき、E/Qを5以下とすることを特徴とする請求項13から請求項24のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項26】
前記基板を、成膜される面の面積が50cm2以上のもの、または、直径が4インチ(100mm)以上のものとすることを特徴とする請求項13から請求項25のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項27】
コランダム構造を有する酸化ガリウム膜であって、
該酸化ガリウム膜は、面積が50cm2以上、又は、直径が4インチ(100mm)以上のものであり、
前記酸化ガリウム膜の膜厚の面内分布は±3.1%以上11.7%以下であることを特徴とする酸化ガリウム膜。
【請求項28】
コランダム構造を有する酸化ガリウム膜と基板の積層体であって、
該積層体の前記酸化ガリウム膜は、面積が50cm2以上、又は、直径が4インチ(100mm)以上のものであり、
前記酸化ガリウム膜の膜厚の面内分布が±3.1%以上11.7%以下であることを特徴とする積層体。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠方法として、甲第1号証~甲第3号証(以下「甲1」~「甲3」という。)を提出し(下記6参照。)、以下の理由により、本件特許の請求項1~28に係る特許は取り消されるべきものである旨主張している。
1 申立理由1(新規性)
本件特許発明1~8、10、13~20、22、25は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立理由2(進歩性)
(1)申立理由2-1
本件特許発明1~26は、甲1に記載された発明、及び甲2に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2-2
本件特許発明27~28は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 申立理由3(拡大先願)
本件特許発明27~28は、本願の優先日前の日本語特許出願であって、その優先日後に国際公開がされた甲3に係る日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許発明27~28の発明者が甲3に係る日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、その出願人が上記日本語特許出願の出願人と同一でもないので(特許法第184条の13参照。)、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
4 申立理由4(明確性要件)
本件特許発明27~28において、「面内分布は±3.1%以上11.7%以下であること」との記載があるが、数値の「幅」が3.1%以上であることを指すのか、あるいはプラスマイナスの各々の絶対値が3.1%以上を指すのか、文言上、その技術的範囲を一義的に定めることができない。
また、本件特許発明27~28において、「面内分布は±3.1%以上11.7%以下であること」との記載があるが、通常、分布は小さいことが求められる技術パラメータであるにもかかわらず、その範囲の下限を3.1%に設定する意図が不明であり、これが絶対値の範囲を指すのか、特定の偏差以上を排除しないという意味なのか不明確である。
したがって、本件特許の請求項27~28に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
5 申立理由5(サポート要件)、申立理由6(実施可能要件)
本件特許の実施例は、基板面積が4インチであるものに限定されており、ミストCVD法において、膜厚の均一性を維持することは、基板面積の増大に伴って飛躍的に困難になることが技術常識である。
それにもかかわらず、本件特許発明27~28においては、発明特定事項に基板面積が特定されておらず、一律に±11.7%以下の分布を達成できるかのように請求項を記載しているが、これを裏付ける技術的な説明や実施例が不足しているから、本件特許発明は発明の詳細な説明に記載された範囲を超えて広範に権利を主張するものである。
したがって、本件特許の請求項27~28に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件特許の請求項27~28に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
6 証拠方法
甲1:国際公開第2020/026823号
甲2:特開2020-2396号公報
甲3:国際公開第2021/065940号
第4 当合議体の判断
以下に述べるとおり、当合議体は、上記第3のいずれの申立理由によっても、本件特許の請求項1~28に係る特許を取り消すことができないと判断する。
1 申立理由1(新規性)、及び申立理由2-1(進歩性)について
(1)甲1に記載された発明
本件特許の出願前に公知となった甲1(発明の名称:ミスト発生装置、並びにミスト成膜方法、及びミスト成膜装置)の段落[0011]、[0012]、[0014]、[0017]、[0018]、[0020]、[0023]、[0024]、[0037]及び[0051]の記載を総合勘案し、特に第1の実施の形態における、ミスト発生部14からミスト改質部20、ミスト噴出部30及びミスト回収部32を経て乾燥処理に至る構成及び動作に着目すると、甲1には、次の発明が記載されているものと認められる。
「シート基板Pを支持してX方向に搬送する搬送ユニット5と、
成膜の材料物質となるナノ粒子を含む溶液を貯留する溶液タンク10と、
溶液から数μm~十数μm程度の粒径のミストを効率的に発生するミスト発生部14と、
内部容器14Aの上部空間に開口部が配置されたパイプ16と、パイプ16を通るキャリアガスCGSの流量を調整する流量調整弁15と、
発生したミストの化学的又は物理的な状態を紫外線によって改質するミスト改質部20と、
パイプ24を介して供給される改質されたミストを含む気体であるキャリアガスCGSをシート基板Pに向けて噴霧するミスト噴出部30と、
シート基板Pに付着せずに浮遊したミストを含むキャリアガスCGSを回収するミスト回収部32と、
ミストを含むキャリアガスCGSの外気への漏れ出しを抑制するために、ミスト噴出部30、ミスト回収部32、搬送ユニット5を覆うように設けられたチャンバー部40と、
ミスト噴出部30とミスト回収部32の各底部とシート基板Pの間に設けられ、ミスト噴出部30のスリット状のノズルからミスト回収部32の底部に形成された回収ポート部に向けて、ミストを含むキャリアガスCGSを滑らかに流すための導風部材31と、
を備え、
ミスト噴出部30の底部のスリット状のノズルから下向きに噴霧されたミストは、下流側のミスト回収部32の底部に形成された回収ポート部に形成される負圧に向かって、シート基板Pの表面に沿って流れつつ、シート基板Pの表面に付着し、
導風部材31は、ミストを含むキャリアガスCGSの流れを乱さないように、シート基板Pの平坦な表面とほぼ平行な平面状に構成されており、
板状の導風部材31は、XY面と平行な底面31Aと、Y方向の両側の各々に-Z方向に所定量だけ突出してX方向に延設された側板31B、31Cとを備え、
ミスト成膜された直後のシート基板Pの表面が、ミストの付着によって薄い液膜で覆われて湿った状態となり、その液膜を蒸発させて乾燥することにより、乾燥処理後のシート基板Pの表面に、ナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成する、
ミスト成膜装置。」(以下「甲1装置発明」という。)
「シート基板Pを支持してX方向に搬送する搬送ユニット5により、シート基板Pを+X方向に移動させ、
内部容器14Aの上部空間に開口部が配置されたパイプ16と、パイプ16を通るキャリアガスCGSの流量を調整する流量調整弁15とによって、所定の流量でキャリアガスCGSを供給し、
ミスト発生部14内で成膜の材料物質となるナノ粒子を含む溶液から発生したミストを、キャリアガスCGSの流れに乗ってパイプ17を通ってミスト改質部20に送り、
ミスト改質部20の流路部20Aを通って改質されたミストを含むキャリアガスCGSを、パイプ24を介してミスト噴出部30の上部から供給し、
ミスト噴出部30のシート基板Pと対向する底部に形成されたスリット状のノズルから所定の流量となってシート基板Pに噴霧し、
ミスト噴出部30の底部のスリット状のノズルから下向きに噴霧されたミストを、下流側のミスト回収部32の底部に形成された回収ポート部に形成される負圧に向かって、シート基板Pの表面に沿って+X方向に流れつつ、シート基板Pの表面に付着させ、
ミスト噴出部30とミスト回収部32の各底部とシート基板Pの間に設けられた導風部材31により、ミスト噴出部30のスリット状のノズルからミスト回収部32の底部に形成された回収ポート部に向けて、ミストを含むキャリアガスCGSを滑らかに流し、
シート基板Pの表面を、ミスト噴出部30から噴霧されてミスト回収部32で回収されるミストを含むキャリアガスCGSの層流に曝しながら+X方向に移動させ、
ミスト成膜された直後のシート基板Pの表面を、ミストの付着によって薄い液膜で覆われて湿った状態とし、
その液膜を蒸発させて乾燥し、
乾燥処理後のシート基板Pの表面に、ナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成する、
ミスト成膜方法。」(以下「甲1方法発明」という。)
(2)本件特許発明1について
ア 対比
(ア)甲1装置発明の「成膜の材料物質となるナノ粒子を含む溶液」は、本件特許発明1の「原料溶液」に相当し、甲1装置発明の「シート基板P」は、本件特許発明1の「基板」に相当する。そして、甲1装置発明の「ミスト成膜装置」は、「成膜の材料物質となるナノ粒子を含む溶液」から発生したミストを「シート基板P」に向けて噴霧し、当該ミストをシート基板Pの表面に付着させることにより成膜を行う「ミスト成膜装置」であるから、本件特許発明1の「ミスト化された原料溶液」により「基板上に成膜を行う成膜装置」に相当する。
(イ)甲1装置発明の「溶液から数μm~十数μm程度の粒径のミストを効率的に発生するミスト発生部14」は、上記(ア)も踏まえると、本件特許発明1の「前記原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト化部」に相当する。
(ウ)a 甲1には、「内部容器14Aの上部空間に開口部が配置されたパイプ16と、パイプ16を通るキャリアガス(キャリア気体)CGSの流量を調整する流量調整弁15とによって、所定の流量(又は圧力)でキャリアガスCGSが供給される」(段落[0012])、「ミスト発生部14内で発生したミストは、キャリアガスCGSの流れに乗ってパイプ17を通ってミスト改質部20に送られる」(段落[0014])と記載されている。
b そうすると、甲1装置発明の「流量調整弁15」及び「パイプ16」は、「ミスト発生部14」で発生したミストを搬送するキャリアガスCGSを供給するものであるから、本件特許発明1の「該ミスト化部で発生させた前記ミストを搬送するキャリアガスを供給するキャリアガス供給部」に相当する。
(エ)甲1装置発明の「シート基板Pを支持してX方向に搬送する搬送ユニット5」は、シート基板Pを支持するものであって、シート基板Pが載置される部分を有するものといえるから、上記(ア)も踏まえると、本件特許発明1の「前記基板を載置する載置部」に相当する。
(オ)甲1装置発明の「チャンバー部40」は、「ミスト噴出部30」、「ミスト回収部32」及び「搬送ユニット5」を覆うように設けられたものであり、その内部において、ミストを含むキャリアガスCGSが搬送ユニット5により支持されるシート基板Pに向けて噴霧されるから、上記(エ)も踏まえると、本件特許発明1の「前記基板を載置する載置部を内部に備え、前記キャリアガスにより搬送された前記ミストが前記基板上に供給される成膜部」に相当する。
(カ)甲1装置発明の「ミスト回収部32」は、シート基板Pに付着せずに浮遊したミストを含むキャリアガスCGSを回収するものであるから、本件特許発明1の「該成膜部から排気ガスを排気する排気部」に相当する。
(キ)甲1装置発明の「ミスト噴出部30の底部のスリット状のノズル」は、シート基板Pに向けてミストを噴霧するものであるから、本件特許発明1の「前記基板上へ前記ミストを供給するノズル」に相当する。
(ク)以上によれば、本件特許発明1と甲1装置発明とは、
「ミスト化された原料溶液により基板上に成膜を行う成膜装置であって、
前記原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト化部と、
該ミスト化部で発生させた前記ミストを搬送するキャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、
前記基板を載置する載置部を内部に備え、前記キャリアガスにより搬送された前記ミストが前記基板上に供給される成膜部と、
該成膜部から排気ガスを排気する排気部と、
を備え、
前記基板上へ前記ミストを供給するノズルと、
を更に備えるものである成膜装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
本件特許発明1は、「ミスト化された原料溶液を熱処理して基板上に成膜を行う成膜装置」であるのに対し、甲1装置発明は、ミスト成膜された直後のシート基板Pの表面が、ミストの付着によって薄い液膜で覆われて湿った状態となり、その液膜を蒸発させて乾燥することにより、乾燥処理後のシート基板Pの表面に、ナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成するものであって、「ミスト化された原料溶液を熱処理して基板上に成膜を行う」ものではない点。
<相違点1-2>
本件特許発明1は、「前記成膜部内の前記載置部の上方に、前記基板上へ前記ミストを供給するノズルと、該ノズルから供給された前記ミストを前記基板に沿って整流する天板と、を更に備える」ものであるのに対し、甲1装置発明は、ミスト噴出部30とミスト回収部32の各底部とシート基板Pの間に設けられ、ミスト噴出部30のスリット状のノズルからミスト回収部32の底部に形成された回収ポート部に向けて、ミストを含むキャリアガスCGSを滑らかに流すための導風部材31を備える点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み、まず相違点1-1について検討を行う。
(ア)a 本件特許明細書の段落【0075】には、ミストが熱処理されて熱反応して成膜されることが記載されており、また、本件特許明細書の段落【0078】~【0081】の実施例1には、ヨウ化ガリウム水溶液から発生したミストを基板に供給し、当該ミストを熱反応させて酸化ガリウムの薄膜を形成したことが記載されている。そうすると、本件特許発明1の「ミスト化された原料溶液を熱処理して基板上に成膜を行う」とは、ミスト化された原料溶液を熱処理して熱反応させることにより基板上に成膜を行うことを意味するものと理解できる。
b これに対し、甲1装置発明は、ミスト成膜された直後のシート基板Pの表面が、ミストの付着によって薄い液膜で覆われて湿った状態となり、その液膜を蒸発させて乾燥することにより、乾燥処理後のシート基板Pの表面に、ナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成するものである。
c しかし、当該乾燥処理は、シート基板P上に付着した液膜中の溶媒を蒸発させることにより、シート基板Pの表面にナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成するための処理であって、本件特許発明1のように、ミスト化された原料溶液を熱処理して熱反応させることにより基板上に成膜を行うためのものではない。
d そうすると、甲1装置発明は、本件特許発明1のように、「ミスト化された原料溶液を熱処理して基板上に成膜を行う」ものであるとはいえないから、相違点1-1は実質的な相違点である。
(イ)次に上記相違点1-1の容易想到性について検討する。
a 甲1装置発明は、ミスト成膜された直後のシート基板Pの表面が、ミストの付着によって薄い液膜で覆われて湿った状態となり、その液膜を蒸発させて乾燥することにより、乾燥処理後のシート基板Pの表面に、ナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成するものであるが、甲1には、ミスト化された原料溶液を熱処理して熱反応させることにより基板上に成膜を行うことについて記載も示唆もない。
b また、甲2には、原料溶液をミスト化して得られたミストをキャリアガスにより搬送し、加熱された基板上で熱反応させることにより酸化ガリウム膜を形成する成膜装置(段落【0054】~【0060】)が記載されているが、甲1装置発明とは、成膜の機序が異なるから、甲1装置発明において、甲2に記載された事項を適用して、甲1装置発明の成膜の機序を変更し、ミスト化された原料溶液を熱処理して熱反応させることにより基板上に成膜を行う構成を採用する動機付けがあるとはいえない。
c したがって、甲1装置発明において、上記相違点1-1に係る特定事項を備えることの動機付けがあるとはいえない。
d 以上によれば、甲1装置発明において、上記相違点1-1に係る特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
ウ 小括
したがって、その余の点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明2~12について
ア 甲1装置発明との対比・判断
上記(2)アの検討結果を踏まえて、本件特許発明2~12と甲1装置発明とを対比すると、本件特許発明2~12は、いずれも本件特許発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、両者は少なくとも、上記相違点1-1、1-2と同様の点で相違する。
そして、相違点1-1については、上記(2)イで検討したとおりであるから、甲1装置発明において、上記相違点1-1と同様の相違点に係る特定事項を備えようとする動機付けがあるとはいえない。
以上によれば、甲1装置発明において、上記相違点1-1と同様の相違点に係る特定事項を備えさせることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
イ 小括
したがって、その余の点について検討するまでもなく、本件特許発明2~12は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件特許発明13について
ア 対比
(ア)甲1方法発明の「成膜の材料物質となるナノ粒子を含む溶液」は、本件特許発明13の「原料溶液」に相当し、甲1方法発明の「シート基板P」は、本件特許発明13の「基板」に相当する。そして、甲1方法発明は、成膜の材料物質となるナノ粒子を含む溶液から発生したミストをシート基板Pに噴霧し、シート基板Pの表面に付着させることにより成膜を行う「ミスト成膜方法」であるから、本件特許発明13の「ミスト化した原料溶液」により「基板上に成膜を行う成膜方法」に相当する。
(イ)甲1方法発明の「ミスト発生部14内で」「ミスト」を「発生」させることは、上記(ア)も踏まえると、本件特許発明13の「前記原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト発生工程」に相当する。
(ウ)甲1方法発明の「内部容器14Aの上部空間に開口部が配置されたパイプ16と、パイプ16を通るキャリアガスCGSの流量を調整する流量調整弁15とによって、所定の流量でキャリアガスCGSを供給」すること、及び「ミスト発生部14内で成膜の材料物質となるナノ粒子を含む溶液から発生したミストを、キャリアガスCGSの流れに乗ってパイプ17を通ってミスト改質部20に送り」、「ミスト改質部20の流路部20Aを通って改質されたミストを含むキャリアガスCGSを、パイプ24を介してミスト噴出部30の上部から供給」することは、ミストをキャリアガスCGSによりミスト噴出部30が配置された成膜部に搬送するものであるから、本件特許発明13の「前記ミストをキャリアガスにより成膜部に搬送するミスト搬送工程」に相当する。
(エ)甲1方法発明の「シート基板Pを支持してX方向に搬送する搬送ユニット5」は、シート基板Pを支持するものであって、シート基板Pが載置される部分を有するものといえるから、上記(ア)も踏まえると、本件特許発明13の「載置部」に相当する。
(オ)a 甲1方法発明の「ミスト噴出部30のシート基板Pと対向する底部に形成されたスリット状のノズル」は、基板Pにミストを噴霧するものであるから、本件特許発明13の「前記基板上」に「前記ミスト」を「供給」する「ノズル」に相当する。
b 甲1方法発明の「ミスト回収部32」は、シート基板Pに付着せずに浮遊したミストを含むキャリアガスCGSを回収するものであるから、本件特許発明13の「排気ガスを排気する」ための構成に相当する。
c 甲1方法発明の「ミスト噴出部30のシート基板Pと対向する底部に形成されたスリット状のノズルから所定の流量となってシート基板Pに噴霧し」、「ミスト噴出部30のスリット状のノズルから下向きに噴霧されたミストを、下流側のミスト回収部32の底部に形成された回収ポート部に形成される負圧に向かって、シート基板Pの表面に沿って+X方向に流れつつ、シート基板Pの表面に付着させ」ることは、搬送ユニット5に支持されたシート基板P上にミストを供給して、シート基板P上に成膜を行いつつ、ミストを含むキャリアガスCGSをミスト回収部32により回収するものであるから、本件特許発明13の「前記成膜部内の載置部に載置した前記基板上に前記ミストを供給して」「成膜を行いつつ排気ガスを排気する成膜工程」に相当する。
(カ)以上によれば、本件特許発明13と甲1方法発明とは、
「ミスト化した原料溶液により基板上に成膜を行う成膜方法であって、
前記原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト発生工程と、
前記ミストをキャリアガスにより成膜部に搬送するミスト搬送工程と、
前記成膜部内の載置部に載置した前記基板上に前記ミストを供給して成膜を行いつつ排気ガスを排気する成膜工程と、
を含む成膜方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-3>
本件特許発明13は、「ミスト化した原料溶液を熱処理して基板上に成膜を行う成膜方法」であり、成膜工程において「前記基板上に前記ミストを供給して熱処理し成膜を行」うものであるのに対し、甲1方法発明は、ミスト成膜された直後のシート基板Pの表面を、ミストの付着によって薄い液膜で覆われて湿った状態とし、その液膜を蒸発させて乾燥し、乾燥処理後のシート基板Pの表面に、ナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成するものであって、「ミスト化した原料溶液を熱処理して基板上に成膜を行う」ものではない点。
<相違点1-4>
本件特許発明13は、「前記成膜工程において、前記基板上への前記ミストの供給を、前記載置部の上方に備えたノズルから、前記載置部の上方に備えた天板と前記基板の間に行うことで、前記基板上に該基板に沿って整流された前記ミストを供給する」ものであるのに対し、甲1方法発明は、ミスト噴出部30とミスト回収部32の各底部とシート基板Pの間に設けられた導風部材31により、ミスト噴出部30のスリット状のノズルからミスト回収部32の回収ポート部に向けて、ミストを含むキャリアガスCGSを滑らかに流すものである点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み、まず相違点1-3について検討を行う。
(ア)a 本件特許明細書の段落【0075】には、ミストが熱処理されて熱反応して成膜されることが記載されており、また、本件特許明細書の段落【0078】~【0081】の実施例1には、ヨウ化ガリウム水溶液から発生したミストを基板に供給し、当該ミストを熱反応させて酸化ガリウムの薄膜を形成したことが記載されている。そうすると、本件特許発明13の「前記基板上に前記ミストを供給して熱処理し成膜を行」うとは、ミスト化した原料溶液を基板上に供給して熱処理し、熱反応させることにより基板上に成膜を行うことを意味するものと理解できる。
b これに対し、甲1方法発明は、ミスト成膜された直後のシート基板Pの表面を、ミストの付着によって薄い液膜で覆われて湿った状態とし、その液膜を蒸発させて乾燥し、乾燥処理後のシート基板Pの表面にナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成するものである。
c しかし、当該乾燥処理は、シート基板P上に付着した液膜中の溶媒を蒸発させることにより、シート基板Pの表面にナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成するための処理であって、本件特許発明13のように、ミスト化された原料溶液を熱処理して熱反応させることにより基板上に成膜を行うためのものではない。
d そうすると、甲1方法発明は、本件特許発明13のように、「ミスト化された原料溶液を熱処理して基板上に成膜を行う」ものであるとはいえないから、相違点1-3は実質的な相違点である。
(イ)次に上記相違点1-3の容易想到性について検討する。
a 甲1方法発明は、ミスト成膜された直後のシート基板Pの表面を、ミストの付着によって薄い液膜で覆われて湿った状態とし、その液膜を蒸発させて乾燥し、乾燥処理後のシート基板Pの表面に、ナノ粒子が密に堆積した薄膜を形成するものであるが、甲1には、ミスト化された原料溶液を熱処理して熱反応させることにより基板上に成膜を行うことについて記載も示唆もない。
b また、甲2には、原料溶液をミスト化して得られたミストをキャリアガスにより搬送し、加熱された基板上で熱反応させることにより酸化ガリウム膜を形成する成膜方法(段落【0054】~【0060】)が記載されているが、甲1方法発明とは、成膜の機序が異なるから、甲1方法発明において、甲2に記載された事項を適用して、甲1方法発明の成膜の機序を変更し、ミスト化された原料溶液を熱処理して熱反応させることにより基板上に成膜を行う工程を採用する動機付けがあるとはいえない。
c したがって、甲1方法発明において、上記相違点1-3に係る特定事項を備えることの動機付けがあるとはいえない。
d 以上によれば、甲1方法発明において、上記相違点1-3に係る特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
ウ 小括
したがって、その余の点について検討するまでもなく、本件特許発明13は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明14~26について
ア 甲1方法発明との対比・判断
上記(4)アの検討結果を踏まえて、本件特許発明14~26と甲1方法発明とを対比すると、本件特許発明14~26は、いずれも本件特許発明13を直接又は間接的に引用するものであるから、両者は少なくとも、上記相違点1-3、1-4と同様の点で相違する。
そして、相違点1-3については、上記(4)イで検討したとおりであるから、甲1方法発明において、上記相違点1-3と同様の相違点に係る特定事項を備えようとする動機付けがあるとはいえない。
以上によれば、甲1方法発明において、上記相違点1-3と同様の相違点に係る特定事項を備えさせることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
イ 小括
したがって、その余の点について検討するまでもなく、本件特許発明14~26は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)申立理由1及び申立理由2-1についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明1~8、10、13~20、22、25は、甲1に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものとはいえず、申立理由1によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。
また、本件特許発明1~26は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえず、申立理由2-1によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。
2 申立理由2-2(進歩性)について
(1)甲2に記載された発明
本件特許の出願前に公知となった甲2(発明の名称:成膜装置及び成膜方法)の段落【0054】~【0060】の記載を総合勘案し、特に、実施例2に着目すると、甲2には、次の発明が記載されていると認められる。
「直径8インチ(200mm)のc面サファイア基板上に形成され、平均膜厚が5.4μm、標準偏差が0.2μmである、
コランダム構造を有する酸化ガリウム(α-Ga2O3)の薄膜。」(以下「甲2発明」という。)
(2)本件特許発明27について
ア 対比
(ア)甲2発明の「酸化ガリウム(α-Ga2O3)の薄膜」、「コランダム構造を有する酸化ガリウム(α-Ga2O3)の薄膜」は、それぞれ、本件特許発明27の「酸化ガリウム膜」、「コランダム構造を有する酸化ガリウム膜」に相当する。
(イ)甲2発明の「直径8インチ(200mm)のc面サファイア基板上に形成された、コランダム構造を有する酸化ガリウム(α-Ga2O3)の薄膜」は、c面サファイア基板と同等の大きさであることが明らかであるから、「該酸化ガリウム膜は、面積が50cm2以上、又は、直径が4インチ(100mm)以上のものであ」ることに相当する。
(ウ)そうすると、本件特許発明27と甲2発明とは、
「コランダム構造を有する酸化ガリウム膜であって、
該酸化ガリウム膜は、面積が50cm2以上、又は、直径が4インチ(100mm)以上のものである酸化ガリウム膜。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点2>
「酸化ガリウム膜の膜厚の面内分布」について、本件特許発明27では、「±3.1%以上11.7%以下である」ことが特定されているのに対し、甲2発明では、「±3.1%以上11.7%以下」であるか不明である点。
イ 相違点についての検討
(ア)甲2には、酸化ガリウム(α-Ga2O3)の薄膜の面内分布について記載はないから、相違点2は、実質的な相違点である。
(イ)次に上記相違点2の容易想到性について検討する。
a 甲2には、甲2発明の目的として、「膜厚の面内均一性や成膜速度に優れミストCVD法が適用可能な成膜装置、及び、均一性や成膜速度に優れた成膜方法を提供すること」(段落【0006】)という記載があるから、膜厚の面内分布を「±3.1%以上11.7%以下」という具体的な数値範囲に定める動機付けはないため、甲2発明において、上記相違点2に係る特定事項を備えようとする動機付けがあるとはいえない。
b この点に関し、申立人は、特許異議申立書の第34頁~第35頁において、甲2発明には、本件特許と同一の技術分野において、平均膜厚5.4μmに対し標準偏差0.2μm(実施例2)という成膜結果が開示されており、当業者は、面内分布を評価するにあたり、平均膜厚と標準偏差から最大・最小をおおむね最大膜厚≒平均膜厚+(係数×標準偏差)、最小膜厚≒平均膜厚-(係数×標準偏差)と見積もると言えるから、当業者の換算として面内分布[±%]≒(係数×標準偏差)/(平均膜厚)×100が得られるため、甲2発明に開示された、平均膜厚=5.4、標準偏差=0.2のとき、面内分布[±%]≒(係数×0.2)/5.4×100=3.7037×係数(%)であって、係数=1(1σ相当)なら±3.70%、係数=3(3σ相当)なら±11.11%であるので、相違点は、甲2発明の平均膜厚=5.4、標準偏差=0.2から当業者が通常想定する1σ~3σ相当の管理幅と実質的に整合し、当業者が容易に到達できる範囲内であると主張する。
c しかしながら、甲2において、平均膜厚=5.4、標準偏差=0.2であることは記載されているものの、各測定点の膜厚値、最大膜厚及び最小膜厚は記載されていない。したがって、甲2の記載から、本件特許明細書の段落【0045】に記載された式、すなわち、膜厚分布[±%]=(最大膜厚-最小膜厚)/(平均膜厚)/2×100により算出される膜厚の面内分布を直接求めることはできず、申立人の主張する換算値は、測定値の分布形状や係数の選択を前提とする推定にすぎないから、当業者が容易に到達できる範囲内であるとまではいえず、上記bの主張は採用しない。
d また、申立人は、特許異議申立書の第35頁において、サイズの大きい基板の面内分布が小さいことが望ましいことは当業者にとって自明であるので、「面内分布が閾値以下」という規定は、当業者が常に望んでいることを規定しているに過ぎず、その上限を11.7%以下とすることには特段の技術的意義はなく、3.1%という下限にも特段の技術的意義もないと主張している。
e しかしながら、仮に、サイズの大きい基板の面内分布が小さいことが望ましいとしても、そのことから直ちに、本件特許発明27における「膜厚の面内分布は±3.1%以上11.7%以下」であるとの具体的な数値範囲が動機付けられるとはいえず、上記dの主張は採用しない。
f したがって、甲2発明において、上記相違点2に係る特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
ウ 小括
よって、本件特許発明27は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明28について
ア 対比
上記(2)アの検討に加えて、本件特許発明28と甲2発明とを対比すると、以下のとおりである。
(ア)甲2発明の「c面サファイア基板」は、本件特許発明28の「基板」に相当し、甲2発明において、「c面サファイア基板」、及び、「コランダム構造を有する酸化ガリウム(α-Ga2O3)の薄膜」は、本件特許発明28の「コランダム構造を有する酸化ガリウム膜と基板の積層体」に相当する。
(イ)以上から、本件特許発明28と甲2発明とは、相違点2と同様の点でのみ相違する。
イ 相違点についての検討
(ア)上記相違点2と同様の相違点については、上記(2)イで検討したとおりである。
(イ)申立人は、特許異議申立書の第37頁において、本件特許発明28と甲2発明との相違点の評価は、本件特許発明27と甲2発明との相違点の評価と同じである旨を主張する。
しかしながら、上記(2)イで検討したとおりであるから、甲2発明において、相違点2と同様の相違点に係る発明特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえないから、上記主張は採用できない。
ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明28は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)申立理由2-2についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明27~28は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえず、申立理由2-2によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。
3 申立理由3(拡大先願)について
(1)甲3に係る日本語国際出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明
本願の優先日前の日本語特許出願であって、その優先日後に国際公開がされた甲3に係る日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、「積層構造体および半導体装置」(発明の名称)に関する記載があり、その段落[0073]と、段落[0075]に記載の実施例1~2に着目すると、次の発明が記載されているものと認められる。
「サファイア基板の結晶成長面上にストライプ状のパターンを有するELOマスクを形成し、
ミストCVD法でもって、α-Ga2O3からなる結晶成長層を形成し、
結晶成長層上に支持基板としてSiC基板を貼り付けて、
サファイア基板を、機械的剥離手段を用いて、剥離し、
ELOマスクを、CMPを用いて除去することで得られ、
面積において、100cm2以上、膜厚分布において、5%以下である積層構造体。」
(以下「先願発明」という。)
(2)本件特許発明27について
ア 対比
本件特許発明27と先願発明とを対比する。
(ア)先願明細書等の段落[0002]の記載によれば、α-Ga2O3はコランダム構造を有するから、先願発明の「α-Ga2O3からなる結晶成長層」は、本件特許発明27の「コランダム構造を有する酸化ガリウム膜」に相当する。
(イ)先願発明の「積層構造体」が「面積において、100cm2以上」であることは、積層構造体中の1つの層に、「結晶成長層」が含まれることから、本件特許発明27の「酸化ガリウム膜」の「面積が50cm2以上」であることに相当する。
(ウ)以上から、本件特許発明27と先願発明とは、「コランダム構造を有する酸化ガリウム膜であって、該酸化ガリウム膜は、面積が50cm2以上、又は、直径が4インチ(100mm)以上のものである酸化ガリウム膜。」である点で一致するとともに、以下の点で相違する。
<相違点3>
本件特許発明27の「酸化ガリウム膜」では、「膜厚の面内分布は±3.1%以上11.7%以下」であるのに対し、先願発明の「積層構造体」では、「膜厚分布において、5%以下である」点。
イ 相違点についての検討
(ア)本件特許発明27の「酸化ガリウム膜」では、「膜厚の面内分布は±3.1%以上」と記載されているのに対して、先願発明の「積層構造体」では、膜厚分布の下限値が定められていない。そして、「5%以下」との記載は、膜厚分布が5%を超えないことを意味するにすぎず、膜厚分布が本件特許発明27の「±3.1%以上」であることまでを特定するものではないから、先願発明の「積層構造体」の膜厚分布が本件特許発明27の「膜厚の面内分布は±3.1%以上」であるとはいえない
(イ)また、本件特許明細書の段落【0045】には、「膜厚分布[±%]=(最大膜厚-最小膜厚)/(平均膜厚)/2×100」と記載されているが、先願明細書等の段落[0013]には、「膜厚の分布」とは、「前記結晶膜の平均膜厚に対する最大膜厚と最小膜厚の差」と記載されており、2で割るか否かに関して、膜厚分布の算出方法は互いに異なっている。
(ウ)以上によれば、相違点3は、実質的な相違点である。
(エ)また、本件特許明細書の【0035】、【0037】、【0045】の記載を参照すれば、上記相違点3に係る発明特定事項が課題解決のための具体的手段における微差であるともいえない。
(オ)よって、本件特許発明27は、先願発明と実質同一であるとはいえない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書の第36頁において、本件特許発明27と先願発明とは構成要件が完全に一致し、相違点はない旨を主張する。
しかしながら、上記イのとおり、本件特許発明27と先願発明とは相違しているから、上記主張は採用できない。
エ 小括
以上のとおり、本件特許発明27は、甲3に係る日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるとはいえない。
(3)本件特許発明28について
ア 対比
上記(2)アの検討に加えて、本件特許発明28と先願発明とを対比すると、以下のとおりである。
(ア)先願発明の「SiC基板」は、本件特許発明28の「基板」に相当し、先願発明の「積層構造体」は、「α-Ga2O3からなる結晶成長層」と「基板」とを有しているから、本件特許発明28の「コランダム構造を有する酸化ガリウム膜と基板の積層体」に相当する。
(イ)以上から、本件特許発明28と先願発明とは、相違点3と同様の点でのみ相違する。
イ 相違点についての検討
上記相違点3と同様の相違点については、上記(2)イで検討したとおりである。
ウ 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書の第37頁において、本件特許発明28と先願発明とは構成要件が完全に一致し、相違点はない旨を主張する。
しかしながら、上記イのとおり、本件特許発明28と先願発明とは相違しているから、上記主張は採用できない。
エ 小括
以上のとおり、本件特許発明28は、甲3に係る日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるとはいえない。
(4)申立理由3についてのまとめ
したがって、本件特許発明27~28は、甲3に係る日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるとはいえないから、申立理由3(拡大先願)によっては、本件特許の請求項27~28に係る特許を取り消すことはできない。
4 申立理由4(明確性)について
(1)本件特許の請求項27~28の記載は、上記第2のとおりのものであるところ、請求項27~28の記載に不明確なところはなく、その意味は明確であるから、本件特許発明27~28について、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確である。
(2)ア 申立人は、特許異議申立書の第38頁において、本件特許発明27~28において、「面内分布は±3.1%以上11.7%以下であること」との記載があるが、数値の「幅」が3.1%以上であることを指すのか、あるいはプラスマイナスの各々の絶対値が3.1%以上を指すのか、文言上、その技術的範囲を一義的に定めることができない。」と主張している。
イ しかしながら、本件特許明細書の段落【0045】には、「膜厚分布[±%]=(最大膜厚-最小膜厚)/(平均膜厚)/2×100」と明確に定義されている。したがって、「前記酸化ガリウム膜の膜厚の面内分布は±3.1%以上11.7%以下であることを特徴とする酸化ガリウム膜。」とは、当該式により算出される膜厚分布[±%]が3.1以上11.7以下であることを意味するものと理解できるから、その技術的範囲を一義的に把握できるといえる。
(3)ア 申立人は、特許異議申立書の第38頁において、本件特許発明27~28において、「面内分布は±3.1%以上11.7%以下であること」との記載があるが、通常、分布は小さいことが求められる技術パラメータであるにもかかわらず、その範囲の下限を3.1%に設定する意図が不明であり、これが絶対値の範囲を指すのか、特定の偏差以上を排除しないという意味なのか不明確であると主張している。
イ しかしながら、本件特許明細書の段落【0045】には、「膜厚分布[±%]=(最大膜厚-最小膜厚)/(平均膜厚)/2×100」と明確に定義されている。したがって、「前記酸化ガリウム膜の膜厚の面内分布は±3.1%以上11.7%以下であることを特徴とする酸化ガリウム膜。」とは、当該式により算出される膜厚分布[±%]が3.1以上11.7以下であることを意味するものと理解できるから、当該記載は「絶対値の範囲」ではなく、「特定の偏差以上を排除しない」意味でもないことが明らかであり、その技術的範囲を一義的に把握できるといえる。
(4)したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件特許発明27~28について、特許法第36条第6項第2号に適合するものであるから、申立理由4によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。
5 申立理由5(サポート要件)について
(1)本件特許明細書によれば、本件特許発明27が解決しようとする課題は、「膜厚の面内均一性が良好な大面積の膜」を提供すること(段落【0036】)であり、本件特許発明28が解決しようとする課題は、「基板上に、膜厚の面内均一性が良好な大面積の酸化ガリウム膜を有する積層体」を提供すること(段落【0038】)であると認められる。
(2)本件特許明細書によれば、上記(1)に記載の課題は、「コランダム構造を有する酸化ガリウム膜であって、該酸化ガリウム膜は、面積が50cm2以上、又は、直径が4インチ(100mm)以上のものであり、前記酸化ガリウム膜の膜厚の面内分布は±3.1%以上11.7%以下であることを特徴とする酸化ガリウム膜を提供する」こと(段落【0035】)、「コランダム構造を有する酸化ガリウム膜と基板の積層体であって、該積層体の前記酸化ガリウム膜は、面積が50cm2以上、又は、直径が4インチ(100mm)以上のものであり、前記酸化ガリウム膜の膜厚の面内分布が±3.1%以上11.7%以下であることを特徴とする積層体を提供する」こと(段落【0037】)によって解決することができるとされている。
(3)そして、本件特許発明27、28は、それぞれ、上記解決手段を備えているから、本件特許の特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。
(4)申立人は、特許異議申立書の第38~39頁において、本件特許の実施例は、基板面積が4インチであるものに限定されており、ミストCVD法において、膜厚の均一性を維持することは、基板面積の増大に伴って飛躍的に困難になることが技術常識である。それにもかかわらず、本件特許発明27~28においては、発明特定事項に基板面積が特定されておらず、一律に±11.7%以下の分布を達成できるかのように請求項を記載しているが、これを裏付ける技術的な説明や実施例が不足しているから、本件特許発明は発明の詳細な説明に記載された範囲を超えて広範に権利を主張するものであると主張している。
(5)ア しかしながら、上記(2)に記載の解決手段によれば、酸化ガリウム膜が、面積が50cm2以上、又は、直径が4インチ(100mm)以上のものであり、酸化ガリウム膜の膜厚の面内分布が±3.1%以上11.7%以下であれば、上記(1)に記載の課題を解決できることは明らかである。
イ そして、本件特許発明27及び28は、酸化ガリウム膜の面積及び膜厚の面内分布を発明特定事項として規定するものであるから、仮に基板面積の増大に伴って膜厚の均一性を維持できない酸化ガリウム膜が存在するとしても、膜厚の面内分布が±3.1%以上11.7%以下を満たさない酸化ガリウム膜は、本件特許発明27及び28の範囲に含まれない。
ウ したがって、実施例が4インチ基板を用いたものに限られることをもって、本件特許発明27及び28が発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものとはいえない。
エ よって、当該主張は採用しない。
(6)したがって、本件特許発明27~28は、発明の詳細な説明に記載したものであり、特許請求の範囲の請求項27~28の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものであるから、同法第113条第4号には該当しないので、申立理由5によっては、同請求項に係る特許を取り消すことはできない。
6 申立理由6(実施可能要件)について
(1)ア 本件特許明細書の段落【0045】、【0052】~【0076】には、本件発明に係る膜厚の面内分布の算出方法、酸化ガリウム膜及び積層体を得るための成膜装置及び成膜方法が記載されている。
イ また、本件特許明細書の段落【0078】~【0095】には、実施例1~13、及び、比較例1として、成膜条件を異ならせて、上記成膜装置及び成膜方法により酸化ガリウム膜を形成し、得られた膜について膜厚を測定し、膜厚分布を算出したことが記載されている。
(2)上記記載によれば、本件特許明細書には、本件特許発明27に係る酸化ガリウム膜及び本件特許発明28に係る積層体を得るための成膜装置、成膜方法、原料、成膜条件、基板面積の例、並びに膜厚分布の測定・算出方法が記載されており、当業者であれば、技術常識を考慮しつつ、上記(1)の記載等を参照して適宜条件を設定することによって、過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明27に係る酸化ガリウム膜及び本件特許発明28に係る積層体を製造することが可能であるといえる。
(3)申立人は、特許異議申立書の第38~39頁において、本件特許の実施例は、基板面積が4インチであるものに限定されており、ミストCVD法において、膜厚の均一性を維持することは、基板面積の増大に伴って飛躍的に困難になることが技術常識である。それにもかかわらず、本件特許発明27~28においては、発明特定事項に基板面積が特定されておらず、一律に±11.7%以下の分布を達成できるかのように請求項を記載しているが、これを裏付ける技術的な説明や実施例が不足しているから、本件特許発明は発明の詳細な説明に記載された範囲を超えて広範に権利を主張するものであると主張している。
(4)ア しかしながら、本件特許明細書の段落【0044】には、「なお、膜の面積や直径が大きいほど大面積のものを得られるので上限は特に限定されないが、上限例としては、面積が750cm2、又は、直径が12インチ(300mm)とすることができる」と記載されている。
イ そうすると、本件特許発明27及び28における「面積が50cm2以上、又は、直径が4インチ(100mm)以上」との記載は、当該技術分野において通常想定される基板やウエハの大面積化を前提としたものとして理解されるのであって、工業的に想定し難い任意の巨大面積までをも含むものとして理解されるものではなく、技術常識に基づいて、自ずと基板面積の上限値が定まるものといえる。
ウ したがって、本件特許発明27及び28については、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づき、当業者が、上記のような技術分野において通常想定される大面積の酸化ガリウム膜、又は、当該酸化ガリウム膜を有する積層体を実施することができると認められる。
エ よって、当該主張は採用しない。
(5)したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件特許の請求項27~28に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであり、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものであるから、同法第113条第4号には該当しないので、申立理由6によっては、同請求項に係る特許を取り消すことはできない。
第5 むすび
以上のとおり、申立人による特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~28に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~28に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2026-700183