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特許異議申立

2026-700094

金属材料、金属材料の製造方法、半導体処理装置のパッシベーション方法、半導体デバイスの製造方法、および、充填済み容器の製造方法

審判番号
2026-700094
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-569748
登録番号
7719370
請求日
2026年02月02日
審決日
2026年06月19日
公報発行日
2026年07月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】セントラル硝子株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人WisePlus
  • 【異議申立人】小宮山 侑生
審判長/審判官
  • 審判長 粟野 正明
  • 審判官 井上 猛
  • 審判官 酒井 英夫
分類
P1651.113-Y (C23C) / P1651.121-Y (C23C) / P1651.536-Y (C23C) / P1651.537-Y (C23C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第113条第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7719370号発明「金属材料、金属材料の製造方法、半導体処理装置のパッシベーション方法、半導体デバイスの製造方法、および、充填済み容器の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7719370号の請求項1~9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件の特許第7719370号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願(特願2021-569748号。以下「本願」という。)は、2020年(令和 2年)11月19日(優先権主張 令和 2年 1月 6日)を国際出願日とする出願であって、令和 7年 7月29日にその特許権の設定登録がされ、同年 8月 6日に特許掲載公報が発行されたものである。 本件は、その後、令和 8年 2月 2日に、その請求項1~9(全請求項)に係る特許について、特許異議申立人である小宮山 侑生(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、本願の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、以下において、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明を「本件発明1」~「本件発明9」といい、総称して「本件発明」という。また、本願の願書に添付した明細書及び図面を「本件明細書等」という。 「【請求項1】 金属基材と、 前記金属基材の表面に設けられ、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜と、を備え、 前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表され、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下である、半導体デバイスの製造過程用の金属材料。 【請求項2】 前記金属基材が、ステンレス鋼、マンガン鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケルおよびニッケル合金からなる群から選ばれるいずれか一つ以上から構成される、請求項1に記載の半導体デバイスの製造過程用の金属材料。 【請求項3】 前記金属基材が、配管、保存容器またはチャンバーであり、 前記皮膜が、前記金属基材の内面に設けられている、請求項1または2に記載の半導体デバイスの製造過程用の金属材料。 【請求項4】 金属基材の表面を、300℃以下の温度で、MoF6を含むガスに暴露することにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を前記金属基材の表面に形成し、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下であり、前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表される、半導体デバイスの製造過程用の金属材料の製造方法。 【請求項5】 前記ガス中のMoF6の濃度が5体積%以上100体積%以下である、請求項4に記載の半導体デバイスの製造過程用の金属材料の製造方法。 【請求項6】 金属材料から構成されるチャンバーと、前記チャンバーに接続された配管とを備える半導体処理装置のパッシベーション方法であって、 前記チャンバーおよび前記配管の内面を、300℃以下の温度で、MoF6を含むガスに暴露することにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を前記チャンバーの内面に形成し、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下であり、前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表される、半導体処理装置のパッシベーション方法。 【請求項7】 前記配管が金属材料から構成され、 前記配管の内面にも前記皮膜が形成される、請求項6に記載の半導体処理装置のパッシベーション方法。 【請求項8】 請求項6または7に記載の半導体処理装置のパッシベーション方法を行う工程と、 前記半導体処理装置に、MoF6を含むガスを流通させる工程と、を備える、半導体デバイスの製造方法。 【請求項9】 金属材料から構成される、半導体デバイスの製造過程用保存容器の内面を、300℃以下の温度で、MoF6を含むガスに暴露することにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を前記保存容器の内面に形成する工程と、 前記保存容器に、MoF6を含むガスを充填する工程と、を備え、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下であり、前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表される、充填済み容器の製造方法。」 第3 申立理由の概要 申立人は、証拠方法として下記6の甲第1号証(以下「甲1」という。)を提出し、以下の理由により、本件特許の請求項1~9に係る特許は取り消されるべきものであることを主張している。 1 申立理由1(新規性) 本件発明1~9は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。したがって、本件発明1~9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 申立理由2(進歩性) 本件発明1~9は、甲1に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件発明1~9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 申立理由3(実施可能要件) 本件発明1~9について、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから、請求項1~9に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 4 申立理由4(サポート要件) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものとはいえないから、請求項1~9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 5 申立理由5(明確性要件) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえないから、請求項1~9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 6 証拠方法 甲1:特表2019-502253号公報 第4 当合議体の判断 当合議体は、以下に示すとおり、上記第3の申立理由1~5によっては、本件特許の請求項1~9に係る特許を取り消すことはできないと判断する。 1 申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)について (1)甲1に記載された事項 本願の優先日前に公知となった甲1には、以下の記載がある(なお、下線は当合議体が付したものである。また、「・・・」は記載の省略を表す。以下同様。)。 ア 「【請求項1】 フッ素化反応物質を用いて基板から層を除去する方法であって、(a)前記フッ素化反応物質の蒸気を、基板が中に配置された反応器中に導入するステップであって、前記基板がその上に層を有するステップと、(b)前記基板から前記層の少なくとも一部をエッチングするステップとを含み、前記フッ素化反応物質が、式MFx(式中、xは2~6(両端の値を含む)の範囲であり、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Mo、およびWからなる群から選択される元素である)で表される、方法。 【請求項2】 前記フッ素化反応物質が、VF5、NbF5、MoF6、WF6、NbF5(SEt)、およびNbF4(SEt)2からなる群から選択される請求項2に記載の方法。 ・・・」 イ 「【0002】 式MFx(付加物)n(式中xは2~6(両端の値を含む)の範囲であり;nは0~5(両端の値を含む)の範囲であり;MはP、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、およびWからなる群から選択される元素であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム(polyglyme)、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、またはメチルシアニドから選択される中性有機分子である)で表されるフッ素化反応物質を用いて基板から層を除去する熱的方法が開示される。本発明のフッ素化反応物質によって、プラズマを用いずに層のドライエッチングが行われる。 【背景技術】 【0003】 金属および高k材料などのCMOSゲートスタック中の新しい材料の導入に伴って、エッチングは新しい課題に対処する必要がある。いくつかの課題としては、シリコンのくぼみの形成を回避して低表面粗さを得るためのプロセス選択性、ゲートエッチング異方性、エッチング速度の原子層または多原子層スケールでの制御、残留物がないこと、およびプロセス後の反応器壁の洗浄が挙げられる。」 ウ 「【0042】 フッ素化反応物質の蒸気は、層を上に有する基板を収容する反応器中に導入される。約0Torr~約500Torrの範囲の全圧を反応器中で得るために、フッ素化反応物質の蒸気を約0.1sccm~約1slmの範囲の流量で反応器に導入することができる。蒸気はN2、Ar、またはKrなどのキャリアガスによって希釈することができる。たとえば、200mmのウエハサイズの場合、フッ素化反応物質の蒸気は、約0.1sccm~約200sccm(両端の値を含む)の範囲の流量でチャンバーに導入することができる。あるいは、450mmのウエハサイズの場合、フッ素化反応物質の蒸気は、約100sccm~約600sccm(両端の値を含む)の範囲の流量でチャンバーに導入することができる。当業者であれば、流量が工具ごとに変動することを理解されよう。代案の1つでは、フッ素化反応物質の蒸気は、チャンバー中に連続的に導入することができる。別の代案の1つでは、フッ素化反応物質の蒸気は、チャンバー中に逐次導入され、すなわち、パージの順序によって交互にパルスによって導入される(これは場合により原子層エッチングと呼ばれる)。 【0043】 フッ素化反応物質は、配管および/または流量計などの従来手段によって蒸気の形態で反応器中に導入される。反応物質の蒸気の形態は、従来の気化ステップ、たとえば直接気化、蒸留、直接液体注入により反応物質を気化させることによって、バブリングによって、またはXuらの国際公開第2009/087609号パンフレットに開示されるものなどの昇華器の使用によって導入することができる。反応物質は、反応器中に導入する前に気化が行われる蒸発器に液体状態で供給することができる。あるいは、反応物質は、反応物質を収容する容器中にキャリアガスを通すことによって、またはキャリアガスを反応物質中にバブリングすることによって、気化させることができる。キャリアガスとしてはAr、He、N2、およびそれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。キャリアガスのバブリングによって、反応物質中に存在する溶存酸素を除去することもできる。キャリアガスおよび反応物質は、次に反応器中に蒸気として導入される。 【0044】 必要であれば、本開示のフッ素化反応物質の容器は、反応物質がその液相で存在できる、および/または十分な蒸気圧を有することができる温度まで加熱することができる。容器は、たとえば、約0℃~約150℃(両端の値を含む)の範囲内の温度に維持することができる。当業者であれば、気化する反応物質の量を制御するために周知に方法で容器の温度を調節できることを理解されよう。」 エ 「【0046】 図1は、フッ素化反応物質送出装置1の一実施形態の側面図である。図1中、本開示のフッ素化反応物質11は、入口導管3および出口導管4の2つの導管を有する容器2中に収容される。反応物質の技術分野の当業者であれば、容器2、入口導管3、および出口導管4は、高温および高圧でさえも気体の形態のフッ素化反応物質11が漏れるのを防止できるように製造されることを理解されよう。 【0047】 送出装置1は、反応器(図示せず)、またはガスキャビネットなどの送出装置と反応器との間の別の構成要素に、バルブ6および7によって流体的に接続される。好ましくは、容器2、入口導管3、バルブ6、出口導管4、およびバルブ7は、316L EPまたは304ステンレス鋼でできている。しかし、当業者であれば、別の非反応性材料を本明細書の教示において使用することもでき、任意の腐食性フッ素化反応物質11では、たとえばHaynes International,Inc.より商標のHastelloy(登録商標)またはHuntington Alloys Corporationより商標のInconel(登録商標)で販売されるニッケル系合金などのより耐食性の材料の使用が必要となりうることを理解されるであろう。あるいは、フッ素化反応物質11、および特にフッ素化反応物質11を収容する貯蔵容器に対して露出する部品は、限定するものではないが、ニッケル、ダイヤモンド状炭素、過フッ素化炭素、アルミナ、炭化ケイ素、および炭窒化物、金属炭化物など、ならびにそれらの多層などのフッ化物耐性のコーティングで被覆することができる。 【0048】 図1中、入口導管3の末端8は、フッ素化反応物質11の表面より上に位置し、一方、出口導管4の末端9はフッ素化反応物質11の表面より下に位置する。この実施形態では、フッ素化反応物質11は、好ましくは液体の形態である。限定するものではないが窒素、アルゴン、ヘリウム、およびそれらの混合物などの不活性ガスを入口導管3中に導入することができる。不活性ガスは送出装置2を加圧し、それによって液体フッ素化反応物質11が出口導管4を通って反応器(図示せず)まで押し出される。反応器は、酸化物膜を上に有する基板に蒸気を送出するために、ヘリウム、アルゴン、窒素、またはそれらの混合物などのキャリアガスを使用して、または使用せずに液体フッ素化反応物質11を蒸気に変換する蒸発器を含むことができる。 【0049】 図2は、フッ素化反応物質送出装置1の第2の実施形態の側面図である。図2中、入口導管3の末端8はフッ素化反応物質11の表面より下に位置し、一方、出口導管4の末端9はフッ素化反応物質11の表面より上に位置する。図2は、フッ素化反応物質11の温度を上昇させることができる任意選択の加熱要素14も含む。この実施形態では、フッ素化反応物質11は固体または液体の形態であってよい。限定するものではないが窒素、アルゴン、ヘリウム、およびそれらの混合物などの不活性ガスが入口導管3中に導入される。不活性ガスはフッ素化反応物質11を通過して気泡となり、不活性ガスと気化したフッ素化反応物質11との混合部を出口導管4および反応器まで運ぶ。 【0050】 図1および2は、バルブ6および7を含む。当業者であれば、それぞれ導管3および4を通って流れるように、バルブ6および7を開放位置または閉鎖位置に配置できることを理解されよう。フッ素化反応物質11が蒸気の形態である場合、または十分な蒸気圧が固相/液相の上に存在する場合は、図1および2中の送出装置1、または存在する任意の固体または液体の表面より上に末端が位置する1つの導管を有するより単純な送出装置のいずれかを使用することができる。この場合、図1中のバルブ6または図2中のバルブ7を単純に開放することによって、導管3または4から、フッ素化反応物質11が蒸気の形態で送出される。送出装置1は、たとえば任意選択の加熱要素14を使用することによって、蒸気の形態で送出されるフッ素化反応物質11の十分な蒸気圧を得るために適切な温度に維持することができる。 【0051】 図1および2はフッ素化反応物質送出装置1の2つの実施形態を開示しているが、当業者であれば、本明細書の開示から逸脱せずに、入口導管3および出口導管4の両方が、フッ素化反応物質11の表面の上または下に位置することもできることを理解されよう。・・・対照的に、液体のVF5およびMoF6の蒸気は、真空を用いて生成し、液体フッ素化反応物質11の表面の上に1つの出口導管4を配置した。」 オ 「【0059】 反応器は、限定するものではないが、炉、平行板型反応器、コールドウォール型反応器、ホットウォール型反応器、シングルウエハ反応器、マルチウエハ反応器(すなわち、炉)、または別の種類の堆積システムなどの、反応物質が酸化物層と反応して揮発性のフッ素化種を形成するのに適切な条件下で堆積方法が行われる装置中の任意の筐体またはチャンバーであってよい。 【0060】 いずれのフッ素化反応物質がチャンバー材料と反応して、短期または長期の使用でその性能を低下させるかどうかを調べるために、材料適合性試験が重要である。チャンバー、バルブなどの部品中に含まれる重要な材料は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、PCTFE、PVDF、PTFE、ならびのその他の金属およびポリマーを含む。時には、これらの材料は、より高い温度および圧力に曝露され、それによって劣化が促進されることがある。計測方法としては、目視検査、重量測定、SEMにおけるナノメートルスケールの変化の測定、引張強度、硬度などを挙げることができる。以下の実施例に示されるように、NbF5は、Al2O3およびSiO2などの典型的なチャンバー材料のエッチングを引き起こさなかった。これは驚くべきことであり、その理由は、背景技術で議論したように、NbCl5は反応器のシリカ側壁と反応することが知られているからである(Surface and Coatings Technology,260,2014,pp.126-132)。 【0061】 反応器中の温度および圧力は、熱エッチングに適切な条件で維持される。言い換えると、フッ素化反応物質の蒸気をチャンバー中に導入した後、チャンバー中の条件は、層の少なくとも一部がエッチングされるような条件となる。「層の少なくとも一部がエッチングされる」とは、層の一部または全てがフッ素化反応物質と反応して揮発性フッ素化種を形成することを意味することを、当業者は理解されよう。たとえば、反応器中の圧力は、エッチングパラメータにより必要であれば、約1Pa~約105Paの間、より好ましくは約25Pa~約103Paの間に維持することができる。同様に、反応器中の温度は、約50℃~約500℃の間、好ましくは約100℃~約400℃の間に維持することができる。「層の少なくとも一部がエッチングされる」とは、層の一部または全てが除去されることを意味することを、当業者は理解されよう。 【0062】 反応器の温度は、基板ホルダーの温度の制御、または反応器壁の温度の制御のいずれかによって制御することができる。基板の加熱に使用される装置は当技術分野において周知である。反応器壁は、十分なエッチング速度および所望の選択性でエッチングするのに十分な温度まで加熱される。反応器壁を加熱することができる非限定的で例示的な温度範囲としては約100℃~約500℃が挙げられる。熱処理が行われる場合、エッチング温度は約100℃~約500℃の範囲であってよい。」 カ 「【0072】 図4は、実施例1~6の試験のために使用される装置の概略図である。この装置は、ウエハステージ101を含む反応器400を含む。反応器400の壁は120℃まで加熱した。ウエハステージ101は、以下の実施例で指定される温度まで加熱した。ポンプ108に接続されるロードロックチャンバー102によって、ウエハがウエハステージ101まで移される。反応器400の上にはシャワーヘッド103が配置され、RF発生器106によってプラズマを発生させることができる。しかし、実施例1~6ではプラズマを使用しなかった。反応器400の内容物は乾燥ポンプ105によって除去される。 【0073】 送出装置200からライン201を介してフッ素化反応物質が反応器400に導入される。当業者であれば、送出装置200が図1~3の装置のいずれかまたはそれらの変形形態であってよいことを理解されよう。必要であれば、フッ素化反応物質を蒸気の形態に維持するために、ライン201を加熱することができる。ライン301を介して、Arなどの不活性ガス300を送出装置200に送出することができる。不活性ガス300はライン302を介して反応器400に送出することもできる。 【0074】 ライン201、301、および302は多数の圧力計、チェックバルブ、バルブ、および圧力調整器を含むことができ、圧力調節またはバイパス流のためのさらなるラインは図面を簡略化するために含まれていないことは、当業者は理解されよう。」 キ 「【0091】 実施例4:MoF6による酸化物層および窒化物層のエッチングの試験 Nb2O5、Ta2O5、ZrO2、HfO2、TiO2、Al2O3、SiO2、TiN、TaN、およびSiNの基板を、図4の熱反応器400中にロードロックチャンバー102を介して導入し、150℃、200℃、300℃、350℃、400℃、または425℃に加熱したウエハステージ101の上に配置した。 【0092】 反応器400の圧力は5~6Torrに維持した。室温の容器200中にMoF6を入れた。MoF6の蒸気を、キャリアガスは使用せずに、反応器400中に連続的に導入した。 【0093】 図7は、MoF6導入時間および温度の関数としての異なる酸化物層の厚さを示している。酸化物層およびSiNは、150℃において全MoF6の導入から10秒後、20秒後、および30秒後;200℃において1秒後、3秒後、10秒後、および30秒後;300℃において1秒後、3秒後、10秒後、20秒後、および30秒後;350℃において1秒後、3秒後、5秒後、10秒後、20秒後、および30秒後;ならびに400℃において1秒後、2秒後、10秒後、および30秒後に、偏光解析装置によって測定した。TiNおよびTaNをSEMによって測定した。表4は、MoF6導入時間および温度の関数としての膜エッチング速度(Å/秒)のまとめを示している。 【0094】 【表4】 [図:0001437414000001.jpg] 」 ク 「【図4】 [図:0001437414000002.jpg] 」 (2)甲1に記載された発明 ア 上記(1)ア、イによれば、甲1は、CMOS等の半導体デバイスを製造するための技術であって、フッ素化反応物質の蒸気を用いて基板から層をエッチング除去する方法について記載されたものである。また、甲1には、該フッ素化反応物質として、MoF6が用いられることも記載されている(【請求項2】)。 イ 上記(1)カ、クによれば、甲1には、反応器400、送出装置200、ライン201を備えた装置に関し、反応器400の壁が120℃まで加熱されること、送出装置200、ライン201を介してフッ素化反応物質が反応器400に導入されることが記載されている(【0072】~【0073】、図4)。 ウ 上記(1)キ、クによれば、甲1には、実施例4として、室温の容器200中にMoF6を入れ、MoF6の蒸気を、キャリアガスは使用せずに反応器400中に連続的に導入することが記載されている(【0091】~【0092】、図4)。 エ 上記イ、ウについて、「送出装置200」及び「容器200」が同一のものを指すことは明らかである。 オ 以上によれば、甲1には、実施例4に着目すると、以下の発明が記載されていると認められる。 「室温の容器200中にMoF6を入れ、該容器200からライン201を介してMoF6の蒸気を壁が120℃まで加熱された反応器400中に連続的に導入することにより、反応器400、容器200、ライン201を備えた装置を用いて、CMOS等の半導体デバイスを製造するための基板から層をエッチング除去する方法。」(以下「甲1発明1」という。) カ また、上記オの方法における反応器400に着目すると、甲1には以下の発明も記載されていると認められる。 「甲1発明1に用いられた反応器400。」(以下「甲1発明2」という。) キ さらに、上記オの方法における容器200に着目すると、MoF6を室温の容器200中に入れることで、MoF6の入った容器200を製造していると解することができるから、甲1には以下の発明も記載されていると認められる。 「甲1発明1に用いられる容器200を製造する方法であって、CMOS等の半導体デバイスを製造するためのMoF6を室温の容器200中に入れ、MoF6の入った容器200を製造する方法。」(以下「甲1発明3」という。) (3)本件発明6について ア 対比 本件発明6と甲1発明1とを対比する。 (ア)甲1発明1の「反応器400」及び「ライン201」は、それぞれ、本件発明6の「チャンバー」及び「配管」に相当する。また、甲1発明1の「反応器400、容器200、ライン201を備えた装置」は、「CMOS等の半導体デバイスを製造するため」の装置を構成するものであるから、本件発明6の「半導体処理装置」に相当する。 (イ)甲1発明1は、ライン201を介してMoF6の蒸気を反応器400中に連続的に導入するものであり、「ライン201」が「反応器400」に接続されていることは明らかであるから、本件発明6の「チャンバーに接続された配管」に相当する発明特定事項を備えるものである。 (ウ)甲1発明1の「反応器400、容器200、ライン201を備えた装置を用いてCMOS等の半導体デバイスを製造するための基板から層をエッチング除去する方法」は、「半導体処理装置」を用いた「方法」である限りにおいて、本件発明6の「半導体処理装置のパッシベーション方法」と共通する。 (エ)そうすると、本件発明6と甲1発明1とは、 「チャンバーと、前記チャンバーに接続された配管とを備える半導体処理装置を用いた方法。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点6-1> 本件発明6は、チャンバーが「金属材料から構成され」、「前記チャンバーおよび前記配管の内面を、300℃以下の温度で、MoF6を含むガスに暴露することにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を前記チャンバーの内面に形成し、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下であり、前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表される」ものであるのに対して、甲1発明1は、反応器400が「金属材料から構成される」かが不明であり、「ライン201を介してMoF6の蒸気を壁が120℃まで加熱された反応器400中に連続的に導入することにより」、上記のような「含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜」を反応器400の「内面に形成」しているかが不明である点。 <相違点6-2> 本件発明6は、「半導体処理装置のパッシベーション方法」であるのに対して、甲1発明1は、「反応器400、容器200、ライン201を備えた装置を用いて、CMOS等の半導体デバイスを製造するための基板から層をエッチング除去する方法」である点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑み、相違点6-1について検討する。 (ア)まず、相違点6-1が実質的なものであるかについて検討する。 甲1には、反応器400の材質を「金属材料から構成」した上で、「ライン201を介してMoF6の蒸気を壁が120℃まで加熱された反応器400中に連続的に導入することにより」、本件発明6のような所定の「含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜」を反応器400の「内面に形成」することについては何らの記載もされていない。 この点、甲1には、上記(1)オに示すように、「いずれのフッ素化反応物質がチャンバー材料と反応して、短期または長期の使用でその性能を低下させるかどうかを調べるために、材料適合性試験が重要である。チャンバー、バルブなどの部品中に含まれる重要な材料は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、PCTFE、PVDF、PTFE、ならびのその他の金属およびポリマーを含む。」(【0060】)という記載がある。したがって、甲1には、甲1発明1の反応器400の材質として、ステンレス鋼やアルミニウム、ニッケルといった金属材料を選択し得ることは示されているといえるが、PCTFE、PVDF、PTFEといったポリマーで構成され得ることも併せて示されているといえ、甲1発明1の反応器400の材質が「金属材料から構成される」もののみに限定されると解することはできない。 そして、該反応器が上述のポリマーで構成されたものであれば、本願優先権主張の日当時の技術常識を考慮しても、MoF6の蒸気により、本件発明6のように、反応器400の内面に「含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜」が形成されるとは考えにくいものである。 したがって、相違点6-1は実質的なものである。 (イ)次に、上記相違点6-1の容易想到性について検討する。 甲1には、反応器400の材質としてステンレス鋼等の金属材料が用いられ得ることは記載されている(【0060】)ものの、反応器400の材質をステンレス鋼等の金属材料から構成した上で、ライン201を介してMoF6の蒸気を壁が120℃まで加熱された反応器400中に連続的に導入することにより、該反応器400の内壁に本件発明6のような所定の含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を形成することについては何らの記載もされておらず、本願優先日当時の技術常識を考慮しても、甲1発明1において、相違点6-1に係る発明特定事項を備えさせることが動機付けられるとはいえない。 以上によれば、甲1発明1において、相違点6-1に係る発明特定事項を備えさせることは、当業者において容易になし得たものであるということはできない。 (ウ)申立人は、特許異議申立書において、甲1の【0042】、【0061】、実施例4には、エッチングを行わない期間に反応装置の表面は、0~67kPaの圧力、50℃以上150℃未満の温度でMoF6に暴露されていたことが理解でき、請求項3や【0060】には、チャンバー、 バルブなどの部品中に含まれる重要な材料はステンレス鋼であることが記載されているから、反応装置の内面や基板を構成するステンレス鋼の表面には、本件発明6と同様な厚さが1nm以上20μm以下の皮膜が形成されたと考えられることを主張する(第15頁第12~21行)。 しかし、上記(ア)に示したとおり、甲1発明1における反応器400の材質は、ステンレス鋼等の「金属材料から構成される」もののみに限定されるものではないから、反応器400の内面に本件発明6のような所定の含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜が形成されるかどうかは不明であるため、申立人の上記主張は、その前提において誤りを含んでおり、採用することができない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、相違点6-2について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1に記載された発明とはいえないし、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本件発明7~8について 本件特許の請求項7~8は、請求項6の記載を直接または間接的に引用するものであるから、本件発明7~8は、本件発明6の発明特定事項をすべて備えたものである。 そして、上記(3)のとおり、本件発明6が甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、同様に、本件発明7~8も、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)本件発明4について ア 対比 (ア)本件発明4と甲1発明1とを対比すると、本件発明4の「金属材料」は、「金属基材」と所定の「皮膜」から構成されるものと認められるところ、甲1発明1の「反応器400」は、何らかの材料で構成されていることは明らかであるから、本件発明4の「金属材料」を構成する「基材」に相当する。 (イ)そうすると、本件発明4と甲1発明1とは、少なくとも、以下の点で相違する。 <相違点4-1> 本件発明4は、基材が「金属」から構成され、「金属基材の表面を、300℃以下の温度で、MoF6を含むガスに暴露することにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を前記金属基材の表面に形成し、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下であり、前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表される」ものであるのに対して、甲1発明1は、反応器400が「金属」から構成されるかが不明であり、「ライン201を介してMoF6の蒸気を壁が120℃まで加熱された反応器400中に連続的に導入することにより」、上記のような「含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜」を反応器400の「内面に形成」しているかが不明である点。 イ 相違点についての判断 相違点4-1について検討するに、該相違点4-1は、相違点6-1と同様なものである。そして、上記(3)イに示したとおり、相違点6-1は実質的なものであり、甲1発明1において、相違点6-1に係る発明特定事項を備えさせることが、当業者において容易になし得たものであるとはいえないから、同様に、相違点4-1は実質的なものであり、甲1発明1において、相違点4-1に係る発明特定事項を備えさせることが、当業者において容易になし得たものであるとはいえない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明4は、甲1に記載された発明とはいえないし、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (6)本件発明5について 本件特許の請求項5は、請求項4の記載を直接引用するものであるから、本件発明5は、本件発明4の発明特定事項をすべて備えたものである。 そして、上記(5)のとおり、本件発明4が甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、同様に、本件発明5も、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (7)本件発明1について ア 対比 (ア)本件発明1と甲1発明2とを対比すると、本件発明1の「金属材料」は、「金属基材」と所定の「皮膜」から構成されるものと認められるところ、甲1発明2の「反応器400」は、何らかの材料で構成されていることは明らかであるから、本件発明1の「金属材料」を構成する「基材」に相当する。 (イ)そうすると、本件発明1と甲1発明2とは、少なくとも、以下の点で相違する。 <相違点1-1> 本件発明1は、基材が「金属」から構成され、「金属基材の表面に」「含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜」が「設けられ」、「前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表され、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下である」のに対して、甲1発明2は、反応器400が「金属」から構成されるかが不明であり、反応器400「の表面に」上記のような「含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜」が「設けられ」ているかが不明である点。 イ 相違点についての判断 相違点1-1について検討するに、該相違点1-1は、相違点6-1と同様なものである。そして、上記(3)イに示したとおり、相違点6-1は実質的なものであり、甲1発明1において、相違点6-1に係る発明特定事項を備えさせることが、当業者において容易になし得たものであるとはいえないから、同様に、相違点1-1は実質的なものであり、甲1発明2において、相違点1-1に係る発明特定事項を備えさせることが、当業者において容易になし得たものであるとはいえない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえないし、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (8)本件発明2~3について 本件特許の請求項2~3は、請求項1の記載を直接または間接的に引用するものであるから、本件発明2~3は、本件発明1の発明特定事項をすべて備えたものである。 そして、上記(7)のとおり、本件発明1が甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、同様に、本件発明2~3も、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (9)本件発明9について ア 対比 本件発明9と甲1発明3とを対比する。 (ア)甲1発明3の「容器200」は、「CMOS等の半導体デバイスを製造するためのMoF6」を入れるものであり、反応器400へ供給されるまで、該MoF6を「保存」するものであることは明らかであるから、本件発明9の「半導体デバイスの製造過程用」「保存容器」に相当する。 (イ)甲1発明3の「MoF6を室温の容器200中に入れ」ることは、MoF6を容器に充填していることに他ならない。そして、「MoF6」は、その沸点が約34℃であり、常温においてもきわめて気化しやすい化合物であるから、該「MoF6」は、室温の容器内において少なくとも一部がガスとして存在することは明らかである。したがって、甲1発明3の「MoF6を室温の容器200中に入れ」ることは、本件発明9の「保存容器に、MoF6を含むガスを充填する」ことに相当する。 また、甲1発明3におけるMoF6が入れられた後の「容器200」は、本件発明9の「充填済み容器」に相当する。 (ウ)そうすると、本件発明9と甲1発明3とは、 「半導体デバイスの製造過程用保存容器に、MoF6を含むガスを充填する工程を備えた、充填済み容器の製造方法。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点9-1> 本件発明9は、半導体デバイスの製造過程用保存容器が「金属材料から構成され」、「半導体デバイスの製造過程用保存容器の内面を、300℃以下の温度で、MoF6を含むガスに暴露することにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を前記保存容器の内面に形成する工程」を備えるものであり、「前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下であり、前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表される」ものであるのに対し、甲1発明3は、容器200が「金属材料から構成される」かが不明であり、上記のような「含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜」を容器200の「内面に形成する工程」を備えていない点。 イ 相違点についての判断 相違点9-1について検討するに、甲1には、「MoF6を室温の容器200中に入れ」る工程とは別の「含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜」を容器200の「内面に形成する工程」について、何らの記載もなされていないから、相違点9-1は実質的なものであるし、甲1発明3において、そのような工程を付加することが、甲1の記載及び本願優先日当時の技術常識から動機付けられるともいえず、当業者において容易になし得たものであるということはできない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明9は、甲1に記載された発明とはいえないし、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 (10)申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1~9は、甲1に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当しないものである。また、本件発明1~9は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 したがって、申立理由1、2によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。 2 申立理由3(実施可能要件) (1)本件明細書等の記載 本件明細書等には、以下の記載がある。 ア 「【0008】 本発明者らが鋭意検討した結果、MoF6が保存容器、配管、チャンバーなどの金属と反応することにより、MoF6の純度が低下するとともに、低次のMoFx(xは3、4または5)が生成すること、および、MoFxの融点が高いことから、ガス中においてパーティクルが形成されることを見出した。このMoFxのパーティクルが、成膜中に取り込まれると成膜不良を起こし、また、半導体ウェハの表面に付着すると半導体デバイスの不良を起こすことになる。 【0009】 そこで、金属材料を構成する金属基材の表面に対して、事前にMoF6を用いて前処理を行い、MoOxFy(フッ化モリブデンまたは酸フッ化モリブデン)の皮膜を形成することにより、MoF6と金属との反応を抑制し、パーティクルの発生と、さらにはMoF6の純度の低下を防止する方法を見出した。 【0010】 本開示の金属材料は、金属基材と、上記金属基材の表面に設けられ、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜と、を備え、上記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表される。 【0011】 本開示の金属材料においては、上記金属基材が、ステンレス鋼、マンガン鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケルおよびニッケル合金からなる群から選ばれるいずれか一つ以上から構成されることが好ましい。 【0012】 本開示の金属材料においては、上記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下であることが好ましい。 【0013】 本開示の金属材料においては、上記金属基材が、配管、保存容器またはチャンバーであり、上記皮膜が、上記金属基材の内面に設けられていることが好ましい。 【0014】 本開示の金属材料の製造方法では、金属基材の表面を、300℃以下の温度で、MoF6を含むガスに暴露することにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を上記金属基材の表面に形成する。」 イ 「【0032】 皮膜に含まれる含フッ素モリブデン化合物は、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表される。上記含フッ素モリブデン化合物は、xが0の場合はフッ化モリブデンであり、xが0以外の場合は酸フッ化モリブデンである。 【0033】 含フッ素モリブデン化合物の組成は、X線光電子分光分析(XPS)により確認することができる。例えば、MgKα線(1253.6eV)またはAlKα線(1486.6eV)などの軟X線を試料に照射し、試料表面から放出される光電子の運動エネルギーを計測することで、試料表面を構成する元素の種類、存在量、化学結合状態に関する知見を得ることができる。 【0034】 皮膜の厚さは、1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。一方、皮膜の厚さは、20μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。 【0035】 皮膜の厚さは、XPSとアルゴンイオンビームによるエッチングとを組み合わせた深さ分析により測定することができる。」 ウ 「【0037】 [金属材料の製造方法] 本開示の金属材料の製造方法では、金属基材の表面を、300℃以下の温度で、MoF6を含むガスに暴露することにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を上記金属基材の表面に形成する。 【0038】 本開示の金属材料の製造方法においては、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を金属基材の表面に形成することで、MoF6と金属との反応が抑制される。その結果、パーティクルの発生と、さらにはMoF6の純度の低下を防止することができる。 【0039】 まず、金属基材として、例えば、配管、保存容器、チャンバーなどを準備する。この場合、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜が金属基材の内面に形成される。 【0040】 金属基材を構成する材料としては、[金属材料]で説明した金属を使用することができる。金属基材は、ステンレス鋼から構成されることが好ましい。」 エ 「【0044】 MoF6を含むガスに暴露する際の温度を高くすることにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を速やかに形成することができる。しかし、温度が高すぎると、金属基材が腐食して、パーティクルが発生するおそれがある。そのため、MoF6を含むガスに暴露する際の温度は、300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。一方、MoF6を含むガスに暴露する際の温度は、例えば、0℃以上であり、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがさらに好ましい。 【0045】 金属基材の表面を暴露するガスは、MoF6を100体積%含むガスであってもよいし、MoF6を窒素、アルゴンなどの不活性ガスなどで希釈したガスであってもよい。 【0046】 金属基材の表面を暴露するガス中のMoF6の濃度は特に限定されないが、MoF6の濃度が高いほど、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を速やかに形成することができる。また、MoF6の濃度が高いほど、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を安定して強固に形成することができる。そのため、上記ガス中のMoF6の濃度は、100体積%であることが好ましい。 【0047】 一方、MoF6の濃度が低すぎると、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜が形成される速度が遅くなり、皮膜が形成されるまでの時間が長くなるため、効率的に皮膜を形成することが難しくなる。そのため、上記ガス中のMoF6の濃度は、5体積%以上であることが好ましい。 【0048】 MoF6を含むガスに暴露する際の圧力は特に限定されないが、例えば、10kPa以上、1MPa以下の範囲で適宜設定することができる。なお、大気圧であってもよい。 【0049】 MoF6を含むガスに暴露する時間は特に限定されないが、例えば、1分間以上72時間以下の範囲で適宜設定することができる。」 オ 「【0073】 [実施例1] 実施例1では、樹脂(PFA)で構成されたチャンバー10および配管20~22を使用し、ステンレス鋼(SUS304)で構成された保存容器30を使用した。保存容器30に対して、以下の条件で前処理を行った。 【0074】 <保存容器の前処理> 1.保存容器30を40℃に加温し、不活性ガス(N2/He)を用いて容器内を置換した後、保存容器30を真空引きした。 【0075】 2.保存容器30内に、100体積%MoF6ガスを50kPa導入して、24時間保持した。 【0076】 3.保存容器30内のMoF6ガスを真空排気した。 【0077】 上記と同じ条件で表面処理したテストピース(SUS304を20mm×20mmに切断した金属片)に対してXPS分析を行ったところ、表面にモリブデンとフッ素が検出され、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜がテストピースの表面に形成されていることが確認された。また、アルゴンイオンビームを用いたエッチングを行い、XPSの深さ分析を行った結果、皮膜の厚さは約85nmであった。」 カ 「【0086】 [実施例2] 実施例2では、ステンレス鋼(SUS304)で構成されたチャンバー10、配管20~22および保存容器30を使用した。保存容器30に対して、実施例1と同じ条件で前処理を行った。さらに、チャンバー10および配管20に対して、以下の条件で前処理を行った。その後、 【0087】 <チャンバーおよび配管の前処理> 1.チャンバー10および配管20を150℃に加温し、不活性ガス(N2/He)を用いてチャンバー10および配管20内を置換した後、真空引きした。 【0088】 2.チャンバー10および配管20内に、MoF6ガスを50kPa導入して、24時間保持した。 【0089】 3.チャンバー10および配管20内のMoF6ガスを真空排気した。 【0089】 上記と同じ条件で表面処理したテストピース(SUS304を20mm×20mmに切断した金属片)に対してXPS分析を行ったところ、表面にモリブデンとフッ素が検出され、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜がテストピースの表面に形成されていることが確認された。また、アルゴンイオンビームを用いたエッチングを行い、XPSの深さ分析を行った結果、皮膜の厚さは約10nmであった。」 キ 「【0094】 表1に、前処理の条件および評価結果を示す。 【0095】 【表1】 [図:0001437414000003.jpg] 【0096】 実施例1および比較例1より、ステンレス鋼から構成される保存容器30に対して、MoF6を用いた前処理を行うことにより、パーティクルの発生が抑えられる。 【0097】 実施例2および比較例2より、ステンレス鋼から構成されるチャンバー10および配管20に対しても、MoF6を用いた前処理を行うことにより、パーティクルの発生が抑えられる。 【0098】 比較例3においては、400℃でのMoF6による前処理により、ステンレス鋼が腐食してしまい、パーティクルが発生した。」 (2)実施可能要件についての判断 ア 上記第2のとおり、本件発明1は、 「金属基材と、 前記金属基材の表面に設けられ、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜と、を備え、 前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表され、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下である、半導体デバイスの製造過程用の金属材料」である。 イ 一方、上記(1)ア~ウによれば、本件明細書等の発明の詳細な説明には、金属基材の表面を、300℃以下の温度で、MoF6を含むガスに暴露することにより、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を上記金属基材の表面に形成できることが記載されている。 また、上記(1)エによれば、本件明細書等の発明の詳細な説明には、MoF6を含むガスに暴露する際の温度が高すぎると、金属基材が腐食してパーティクルが発生するおそれがあること、MoF6の濃度が高いほど、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜を安定して強固に形成することができることが記載され、MoF6を含むガスに暴露する際の圧力や時間についても適切な範囲が記載されている。 ウ さらに、上記(1)オ~キに示された実施例1、2をみるに、本件明細書等の発明の詳細な説明には、40℃または150℃に加温したステンレス鋼(SUS304)をMoF6ガスに暴露して24時間保持することで、85nmまたは10nmの皮膜が形成されることが記載されている。 エ これらを勘案するに、上記ウに示した実施例1、2における処理条件を基準として、上記イの記載に基づいて、原料、分解反応時間及び重合反応時間を適宜に変更し、本件発明1において特定された皮膜を有する金属材料を作ることは、当業者において過度の試行錯誤を要するものとまではいえない。 また、そのように作られた金属材料は、上記(1)キに示されるとおり、パーティクルの発生が抑えられており、半導体デバイスの製造過程用の金属材料として使用できるものであることも明らかである。 オ 申立人は、特許異議申立書において、本件明細書等の発明の詳細な説明には、皮膜の組成について、所定条件で表面処理した「テストピース(SUS304を20mm×20mmに切断した金属片)に対してXPS分析を行ったところ、表面にモリブデンとフッ素が検出され、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜がテストピースの表面に形成されていることが確認された。」と記載されているにとどまり、該記載からは皮膜がモリブデンとフッ素を含むものであることしか把握できず、どのようにして一般式MoOxFyで表される皮膜を形成することができるのか当業者は理解できないことを主張する(第17頁(4-2)ア(ア))。 しかし、上記XPS分析により、形成された皮膜がモリブデンとフッ素が含まれた含フッ素モリブデン化合物を有していることは明らかであるし、金属材料表面に残留し得る酸素や水、酸化膜等によって皮膜中に酸素が取り込まれることも十分に考えられるから、該皮膜が、酸素を含み得る一般式MoOxFyで表される組成の化合物を含むものとなることは、当業者であれば理解できるものである。 したがって、申立人の上記主張は採用しない。 カ また、申立人は、特許異議申立書において、本件明細書等の発明の詳細な説明には、厚さが約85nm及び約10nmの皮膜が形成されることは記載されているが、本件発明において特定された「厚さが1nm以上20μm以下である」皮膜については記載がないこと、及び、金属材料としてステンレス鋼しか記載されておらず、ステンレス鋼以外の金属材料についても、ステンレス鋼と同じ前処理条件で厚さが1nm以上20μm以下である皮膜が形成されるか否かについても説明されていないことを主張する(第17~18頁(4-2)ア(イ))。 しかし、形成される皮膜の厚みが、MoF6を含むガスに暴露する温度や圧力、時間等の条件により変わるものであることは当業者であれば明らかであり、これらの条件を上記ウ、エに示される範囲において適宜設定し、所望の厚さの皮膜を得ようとすることは、当業者に過度の試行錯誤を強いるものではない。また、金属材料についても、本件明細書等における「金属基材を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、マンガン鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金などの金属が挙げられる」(【0026】)の記載を参照して適宜に選択すれば良いのであって、金属材料の種類に応じて上記の条件を適宜設定し、所望の厚さの皮膜を得ようとすることも、同様に、当業者に過度の試行錯誤を強いるものではない。 したがって、申立人の上記主張は採用しない。 キ 以上のとおりであるから、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1を実施できる程度に明確かつ十分なものであるといえる。同様に、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は、本件発明2~9を実施できる程度に明確かつ十分なものである。 (3)申立理由3(実施可能要件)についてのまとめ 以上のとおり、本件明細書等の発明の詳細な説明は、本件発明1~9について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。したがって、申立理由3によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。 3 申立理由4(サポート要件) (1)上記第2のとおり、本件発明1は、 「金属基材と、 前記金属基材の表面に設けられ、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜と、を備え、 前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表され、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下である、半導体デバイスの製造過程用の金属材料」である。 (2)一方、本件明細書等の発明の詳細な説明、特に、【0006】~【0009】の記載をみるに、本件発明1において解決すべき課題(以下、単に「課題」という。)は、半導体デバイスの製造過程で使用するのに適したパーティクルの少ないMoF6を供給することと認められる。 (3)ア 上記2(1)アに示した、本件明細書等の発明の詳細な説明の【0008】、【0009】の記載をみるに、上記パーティクルを減少させるためには、金属基材の表面に対して、事前にMoF6を用いて前処理を行い、MoOxFy(フッ化モリブデンまたは酸フッ化モリブデン)の皮膜を形成することにより、MoF6と金属との反応を抑制することが肝要であることが把握される。 イ また、上記2(1)オ~キをみるに、本件明細書等の発明の詳細な説明には、実施例1、2として、40℃または150℃に加温したステンレス鋼(SUS304)をMoF6ガスに暴露して24時間保持することで、85nmまたは10nmの皮膜が形成されたステンレス鋼を用いることにより、パーティクルの発生が抑制されることが記載されている。 ウ 上記ア、イに基づき、上記2(1)イ【0034】の記載等も参酌すれば、MoOxFy(フッ化モリブデンまたは酸フッ化モリブデン)の皮膜を所定の厚みで形成することにより、上記(2)の課題を解決できることが明らかといえる。 (4)申立人は、特許異議申立書において、本件明細書等の発明の詳細な説明には、MoOxFyで表される皮膜が記載されていないことを主張する(第17頁(4-2)ア(ア))。 しかし、上記2(2)オに説示したとおり、モリブデンとフッ素が含まれた含フッ素モリブデン化合物を有する皮膜が形成されることは、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載されているし、金属材料表面に残留し得る酸素や水、酸化膜等によって皮膜中に酸素が取り込まれることも十分に考えられるから、該皮膜が、酸素を含み得る一般式MoOxFyで表される組成の化合物を含むものとなることは、当業者であれば理解できるものである。 (5)また、申立人は、特許異議申立書において、本件明細書等の発明の詳細な説明には、厚さが約85nm及び約10nmの皮膜が形成されることは記載されているが、本件発明において特定された「厚さが1nm以上20μm以下である」皮膜については記載がないこと、及び、ステンレス鋼以外の金属材料について記載がないことを主張する(第17~18頁(4-2)ア(イ))。 しかし、金属材料表面とMoF6ガスとの接触をある程度遮断できる程度の厚さの皮膜であれば、パーティクルの発生をある程度抑制できることは明らかであるから、本件発明1において特定される「厚さが1nm以上20μm以下である」皮膜により、上記(2)の課題を解決できると解される。また、上記厚さの所定の皮膜が形成できるものであるならば、ステンレス鋼以外の金属材料であっても、上記(2)の課題を解決できることも明らかである。 (6)そうすると、本件発明1は、発明の詳細な説明において、上記(2)の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものとはいえない。この点は、本件発明2~9についても同様である。 (7)申立理由4(サポート要件)についてのまとめ 以上のとおり、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものといえ、特許法第36条第6項第1号に適合するものであるから、申立理由4によっては、同請求項に係る特許を取り消すことはできない。 4 申立理由5(明確性要件) (1)上記第2のとおり、本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、「金属基材と、 前記金属基材の表面に設けられ、含フッ素モリブデン化合物を含む皮膜と、を備え、 前記含フッ素モリブデン化合物が、一般式MoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)で表され、前記皮膜の厚さが1nm以上20μm以下である、半導体デバイスの製造過程用の金属材料」と記載されており、該記載により、本件発明1が、金属基材表面に、厚さが1nm以上20μm以下のMoOxFy(xは0~2の数、yは2~5の数)なる化合物の皮膜が形成された半導体デバイスの製造過程用の金属材料であることが明確に特定されており、特許を受けようとする発明は明確である。請求項2~9の記載についても、同様である。 (2)申立人は、特許異議申立書において、請求項1の、「MoOxFy」なる皮膜の組成、「1nm以上20μm以下である」皮膜の厚さ、「金属材料」についての記載が明確ではないことを主張する(第17~18頁(4-2)ア(ア)、(イ))が、上記(1)のとおり、請求項1の記載自体はそもそも明確であり、申立人の該主張には理由がない。 (3)そうすると、本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確である。また、請求項2~9の記載も同様である。 (4)申立理由5(明確性要件)についてのまとめ 以上のとおり、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9の記載は明確であり、特許法第36条第6項第2号に適合するものであるから、申立理由5によって、同請求項に係る特許を取り消すことはできない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、申立人による特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700094

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