特許異議申立
2018-700085
容器詰飲料
- 審判番号
- 2018-700085
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-257285外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年02月01日
- 審決日
- 2019年01月08日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】花王株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人アルガ特許事務所
- 【異議申立人】水野 智之
- 分類
- P1651.113-ZDA(A23L) / P1651.121-ZDA(A23L) / P1651.536-ZDA(A23L) / P1651.537-ZDA(A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6175048号発明「容器詰飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6175048号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕、8について訂正することを認める。
特許第6175048号の請求項1~7に係る特許を取り消す。
特許第6175048号の請求項8に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6175048号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成29年7月14日付けでその特許権の設定登録がされ、平成29年8月2日に特許掲載公報が発行された。その後、平成30年2月1日に特許異議申立人水野智之(以下、「申立人」という。)により請求項1ないし8に対して特許異議の申立てがされ、平成30年4月3日付けで取消理由を通知し、その指定期間内である平成30年6月1日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がされ、平成30年7月12日付けで申立人から意見書が提出された。そして、平成30年9月26日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかったものである。
以下、平成30年6月1日付けの訂正の請求を「本件訂正請求」といい、これに係る訂正を「本件訂正」という。
第2 本件訂正の適否
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「(A)イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物:0.008~0.1質量%」とあるのを、「(A)イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物:0.05~0.1質量%」(審決注:下線部は訂正箇所。以下同じ。)に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「かつpHが2~5である、」とあるのを、「製造直後の容器詰飲料のLab表色系におけるb値が4以下であり、かつpHが2~5である、」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に「α?1,4結合」とあるのを、「α-1,4結合」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項8に「(A)イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物:0.008~0.1質量%」とあるのを、「(A)イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物:0.05~0.1質量%」に訂正する。
2.訂正の適否
(1)訂正事項1及び4について
訂正事項1及び4は、請求項1及び8において、イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物(以下、「成分(A)」と言うことがある。)の含有量を、訂正前の「0.008~0.1質量%」から訂正後の「0.05~0.1質量%」へとより狭い範囲に減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件特許明細書の段落【0016】には、「本発明の容器詰飲料中の成分(A)の含有量は0.005~0.5質量%であるが、生理効果の観点から、0.006質量%以上が好ましく、0.008質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましい。また、風味の観点から、0.3質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。」との記載があり、また、段落【0053】の【表1】には成分(A)の含有量が「0.05質量%」である実施例2,3,8及び9の記載があり、訂正事項1及び4はこれら記載に基づくものであるから、新規事項を付加するものではなく、また、特許請求の範囲の記載を拡張・変更するものでもない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項1の容器詰飲料に「製造直後の容器詰飲料のLab表色系におけるb値が4以下であり、」という特定事項を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件特許明細書の段落【0025】には、「本発明の容器詰飲料の保存前(例えば、製造直後)のb値は、5以下が好ましく、4.5以下がより好ましく、4以下が更に好ましく、」との記載及び「また、「b値」とは、Lab表色系において黄~青の軸で表される色相・彩度であり、b値が大きいほど黄色の色相が高く、b値が小さいほど青色の色相が高いことを意味する。」の記載があり、訂正事項2はこれら記載に基づくものであるから、新規事項を付加するものではなく、また、特許請求の範囲の記載を拡張・変更するものでもない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、請求項5の訂正前の「α?1,4結合」の誤記を、本来の意味内容を表す訂正後の「α-1,4結合」に訂正するものであり、この訂正は誤記の訂正を目的とするものである。
そして、本件特許明細書の段落【0014】には、「本発明で使用するイソクエルシトリン糖付加物は、イソクエルシトリンのグルコース残基に、1以上のグルコースがα-1,4結合した化合物であり、グルコースの結合数は、1~15が好ましく、」と記載されているから、この訂正は、新規事項を付加するものではなく、また、特許請求の範囲の記載を拡張・変更するものでもない。
(4)一群の請求項に係る訂正か否かについて
訂正事項1ないし3に係る訂正前の請求項1ないし7について、請求項2ないし7はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、請求項2ないし7は、訂正事項1及び2によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正事項1ないし3は、一群の請求項について請求されたものである。
また、訂正事項4は、訂正前の請求項8について請求されたものである。
したがって、本件訂正は一群の請求項ごとに請求されたものである。
(5)小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び同第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~7〕,8についての訂正を認める。
第3 本件発明
上記のとおり本件訂正は認められるので、本件請求項1ないし8に記載された発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明8」という。)は、次のとおりのものである。
【請求項1】
次の成分(A)及び(B);
(A)イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物:0.05~0.1質量%
(B)デヒドロアスコルビン酸:0.0001~0.02質量%
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が12~70であり、
製造直後の容器詰飲料のLab表色系におけるb値が4以下であり、かつ pHが2~5である、容器詰飲料。
【請求項2】
更に、成分(C)として甘味料を含有する、請求項1記載の容器詰飲料。
【請求項3】
(C)甘味料が高甘味度甘味料である、請求項1又は2記載の容器詰飲料。
【請求項4】
高甘味度甘味料の含有量が0.001~5質量%である、請求項3記載の容器詰飲料。
【請求項5】
イソクエルシトリン糖付加物が、イソクエルシトリンのグルコース残基に、1~15個のグルコースがα-1,4結合した化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
【請求項6】
容器が、ポリエチレンテレフタラートを主成分とする成形容器、金属缶、金属箔若しくはプラスチックフィルムと複合された紙容器、又は瓶である、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
【請求項7】
加熱殺菌されたものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
【請求項8】
次の成分(A)及び(B);
(A)イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物:0.05~0.1質量%
(B)デヒドロアスコルビン酸:0.0001~0.02質量%
を含有させ、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]を12~70に、pHを2~5に、それぞれ調整する、フラボノイド糖付加物を含有する容器詰飲料の色調変化の抑制方法。
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
本件特許に対して、平成30年4月3日付けで通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)取消理由1(新規性)
本件特許の請求項1~8に係る発明は、本件特許の優先日前日本国内または外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(2)取消理由2(進歩性)
本件特許の請求項1~8に係る発明は、本件特許の優先日前日本国内または外国において頒布された甲第1~6号証に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
刊行物等一覧:
甲第1号証:特開2013-81454号公報
甲第2号証:嶋林博,“Technical Report 酵素処理イソクエルシトリンがFEMA GRASに認可される”,FFIジャーナル,FFIジャーナル編集委員会,平成17年8月1日,Vol.210,No8,p.800-805
甲第3号証:特開2012-183063号公報
甲第4号証:特開平4-99771号公報
甲第5号証:特開2013-81455号公報
甲第6号証:特開2011-19422号公報
以下、甲第1~6号証を、それぞれ甲1~6という。
2.刊行物等の記載
(1)甲1の記載
甲1には、以下の事項が記載されている。
ア.「次の成分(A)及び(B):
(A)イソクエルシトリン及びその糖付加物 0.03~0.25質量%、
(B)アルコール類 0.0004質量%以上1質量%未満
を含有し、pHが2~5である容器詰飲料。」(【請求項1】)
イ.「イソクエルシトリン及びその糖付加物を含有する容器詰飲料の色調変化抑制方法であって、
次の成分(A)及び(B)を、
(A)イソクエルシトリン及びその糖付加物 0.03~0.25質量%、
(B)アルコール類 0.0004質量%以上1質量%未満
となるように配合し、pHを2~5に調整する、色調変化抑制方法。」(【請求項6】)
ウ.「イソクエルシトリンの生理作用を、より効果的に発現させるためには、酵素処理等によりイソクエルシトリンに糖を付加させてその摂取量及び体内吸収量を増やすことが有効であり、また、それを簡便に達成可能とする手段として飲料の形態とすることが挙げられる。
しかしながら、フラボノール配糖体を始めとするポリフェノールは一般に酸化されやすいため、それを含有する飲料を長期間にわたって保存すると徐々に着色が進んで色調が大きく変化してしまう。
本発明者は、酵素処理イソクエルシトリンを飲料に配合し、それを高濃度化するに従い色調変化が顕在化することを見出した。また、高濃度の酵素処理イソクエルシトリンを含有する場合でも、低水分の食品や、ゼリー等の高粘度食品では色調変化が見られないとの知見を得た。このように、酵素処理イソクエルシトリンを含有する飲食品において、色調変化は低粘度の飲料の形態に特有の課題であることが判明した。
したがって、本発明の課題は、長期間保存しても色調変化のし難いイソクエルシトリン及びその糖付加物を含有する容器詰飲料を提供することにある。また、本発明の課題は、イソクエルシトリン及びその糖付加物を含有する容器詰飲料の色調変化抑制方法を提供することにある。」(段落【0007】)
エ.「更に、本発明の容器詰飲料には、甘味料を含有させることができる。かかる甘味料としては、例えば、果糖,ブドウ糖,タガトース,アラビノース等の単糖、乳糖,トレハロース,麦芽糖,ショ糖等の二糖、粉末水あめ等の多糖といった結晶性糖類や、マルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等のオリゴ糖、水あめ等の非結晶性糖類、更にはブドウ糖や果糖等の糖分が約7割を占める蜂蜜等を挙げることができる。これら甘味料は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の容器詰飲料中の甘味料の含有量は適宜決定することが可能であるが、0.02~1質量%、更に0.05~0.8質量%、更に0.05~0.6質量%であることが色調変化抑制の観点から好ましい。」(段落【0029】)
オ.「また、本発明の容器詰飲料に使用できる容器としては、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器が挙げられる。
更に、容器に充填後、例えば、金属缶のような加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件で殺菌することができる。他方、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。」(段落【0037】)
カ.「7.色調変化の測定
分光光度計(形式Color Meter ZE-2000、日本電色工業社製)を使用し、試料を光路長10mmの石英セルに入れてL*a*b*表色系のb*値を測定した。製造直後の容器詰飲料、及び55℃で7日間保存後の容器詰飲料のb*値から、Δb*(保存後のb*値-保存前のb*値)を求めた。」(段落【0057】)
キ.「実施例1~12、比較例1~3
表1に示す組成で調合し、次いで85℃で2分殺菌を行い、200mLのPETボトルに160mL充填して容器詰飲料を調製した。各容器詰飲料の成分分析及び評価結果を表1に併せて示す。」(段落【0060】)
ク.「【表1】
」(段落【0061】)
以上の記載からすると、甲1には実施例1~6,8,9に関し、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「サンメリンパウダーC-10(三栄源エフ・エフ・アイ社製):0.55質量%を含有し、製造直後の容器詰飲料のLab表色系におけるb*値が4.4~4.9であり、かつpHが3.4~3.5である、容器詰飲料。」
また、同様に、次の発明(以下、「引用発明2」という。)も記載されている。
「サンメリンパウダーC-10(三栄源エフ・エフ・アイ社製):0.55質量%、アルコール類:0.10~0.60質量%を含有し、かつpHを3.4~3.5に、それぞれ調整する、フラボノイド糖付加物を含有する容器詰飲料の色調変化の抑制方法。」
更に、甲1には実施例10に関し、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。
「サンメリンパウダーC-10(三栄源エフ・エフ・アイ社製):0.28質量%を含有し、製造直後の容器詰飲料のLab表色系におけるb*値が2.3であり、かつpHが3.4である、容器詰飲料。」
また、同様に、次の発明(以下、「引用発明4」という。)も記載されている。
「サンメリンパウダーC-10(三栄源エフ・エフ・アイ社製):0.28質量%、アルコール類:0.50質量%を含有し、かつpHを3.4に、それぞれ調整する、フラボノイド糖付加物を含有する容器詰飲料の色調変化の抑制方法。」
(2)甲2の記載
甲2には、以下の事項が記載されている。
ア.「
」(800頁右欄の図2)
イ.「3.製造法
酵素処理イソクエルシトリンは、「「ルチン酵素分解物」とでん粉又はデキストリンの混合物に、シクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼを用いてグルコースを付加して得られたものである」と既存添加物名簿収載品目リストに記載されている。詳しくは、ルチンに部分加水分解酵素(ラムノシダーゼ)を作用させてルチンの糖鎖部に含まれるラムノース残基を取り除き、ルチン酵素分解物(イソクエルシトリン)とする。ついで、このイソクエルシトリンにデキストリンの存在下、糖転移酵素(シクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼ)を作用させ、グルコースがα-1,4結合で付加した酵素処理イソクエルシトリンとしたものである(図2)。」(800頁左欄下から3行~右欄下から7行)
ウ.「
」(801頁の表1)
(3)甲3の記載
甲3には、以下の事項が記載されている。
ア.「本発明者らの検討によると、茶飲料においては、予想に反して、アスコルビン酸の配合が少ないほうがケルセチン配糖体の残存率が高かった。アスコルビン酸は、飲料中で酸化され、デヒドロアスコルビン酸になり、それがラジカルになってケルセチン配糖体に酸化的損傷を与えている可能性がある。一方、香味・色調の面ではアスコルビン酸量が少ないと品質を保つことが困難であり、少なくとも100ppmのアスコルビン酸が存在したほうが好ましい。」(段落【0035】)
(4)甲4の記載
甲4には、以下の事項が記載されている。
ア.「アスコルビン酸は、アスコルビン酸自身の自動酸化による褐変反応が知られており、その使用方法が限定されている。一般に、アスコルビン酸単独の自動酸化では、アスコルビン酸がデヒドロアスコルビン酸、ジケトグロン酸を経由して、さらに脱炭酸、脱水反応を繰返して褐変重合物を生成することが知られている(例えば、日本食品工業学会誌、第33巻、第6号、456頁~462頁、1986年)。」(2頁左上欄5~13行)
イ.「実施例2
30%エタノール水溶液にアスコルビン酸Naが0.1%となるように調整したものにフラボノイド配糖体Aまたは、フラボノイド配糖体Bを濃度が0.1%となるように溶解し25℃で保存した。フラボノイド配糖体を加えないものをブランクとし、1週間後、及び4週間後に褐変度、アスコルビン酸、デヒドロアスコルビン酸(酸化型アスコルビン酸)を測定した。褐変度については、肉眼での観察の他、色差計(日本電色工業株式会社製デジタル測色色差計ND-504AA型)にてL値を測定した。L値は明度に対応しており、大きな値ほど明度が高い。アスコルビン酸に関しては高速液体クロマトグラフを用い265nmの吸光度により定量した。デヒドロアスコルビン酸に関してはo-フェニレンジアミンを用いた螢光測定法により定量をおこなった。
実験閉始4週間後のL値の減少率及び肉眼による観察の結果を第2表に示す。
ここでL値の減少率は次式で表される。
又、実験開始1週間後のアスコルビン酸の測定及び、4週間後のアスコルビン酸、デヒドロアスコルビン酸の測定結果を第3表に示す。
第 3 表
第2表で明らかなように、フラボノイド配糖体Aまたはフラボノイド配糖体Bをアスコルビン酸Naと共存させることによって、顕著なアスコルビン酸褐変防止効果がみられた。又、第3表で明らかなようにフラボノイド配糖体Aまたはフラボノイド配糖体Bをアスコルビン酸と共存させた場合、共存させない場合と比較して、実験開始4週間後でデヒドロアスコルビン酸が10倍以上も残存している。」(3頁右上欄11行~4頁左上欄3行)
(5)甲5の記載
甲5には、以下の事項が記載されている。
ア.「次の成分(A)及び(B):
(A)イソクエルシトリン及びその糖付加物 0.03~0.17質量%、
(B)アミノ酸 0.0001~2質量%
を含有し、pHが2~5である容器詰飲料。」(【請求項1】)
イ.「更に、高甘味度甘味料を0.0001~0.5質量%含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の容器詰飲料。」(【請求項5】)
(6)甲6の記載
甲6には、以下の事項が記載されている。
ア.「テアフラビン類と、紅茶抽出物の処理物と、ショ糖と、2種以上の人工甘味料とを含有することを特徴とする容器詰飲料。」(【請求項1】)
イ.「前記人工甘味料として、少なくともスクラロース及びアセスルファムカリウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の容器詰飲料。」(【請求項2】)
ウ.「本実施形態に係る容器詰飲料における2種以上の人工甘味料の合計含有量は、0.0003~0.03質量%であるのが好ましく、特に0.001~0.005質量%であるのが好ましい。また、人工甘味料としてスクラロース及びアセスルファムカリウムを用いる場合、それらの配合比率は、10:1~1:10であるのが好ましい。」(段落【0030】)
3.取消理由1について
(1)本件発明1の新規性について
甲2(上記2.(2)ウ.の表1参照。)によれば、サンメリンパウダーC-10には、15重量%の酵素処理イソクエルシトリン(上記2.(2)イ.の記載からすれば、本件発明1のイソクエルシトリン糖付加物に相当する。)が含まれている。
してみれば、引用発明1のイソクエルシトリン糖付加物の含有量は、計算値で、サンメリンパウダーC-10の配合量0.55質量%×サンメリンパウダーC-10中のイソクエルシトリン糖付加物の含有量0.15≒0.083質量%である。
一方、引用発明3のイソクエルシトリン糖付加物の含有量は、同様に計算値で、サンメリンパウダーC-10の配合量0.28質量%×サンメリンパウダーC-10中のイソクエルシトリン糖付加物の含有量0.15≒0.042質量%である。
そこで、本件発明1と引用発明1を対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。
【相違点1】
本件発明1は、製造直後の容器詰飲料のLab表色系におけるb値が4以下であるのに対して、引用発明1では4.4~4.9である点
また、本件発明1と引用発明3を対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。
【相違点2】
本件発明1は、イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物:0.05~0.1質量%を含有するのに対して、引用発明3は0.042質量%含有する点
そして、上記相違点1及び2に係る本件発明1の構成は、いずれも自明であるとか技術常識であるという証拠は認められない。
よって、本件発明1が、引用発明1又は3であるとはいえない。
(2)本件発明2ないし7の新規性について
本件発明2ないし7は、いずれも直接又は間接的に本件発明1を引用するものであり、本件発明1の特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2ないし7は、引用発明1又は3であるとはいえない。
(3)本件発明8の新規性について
甲2(上記2.(2)ウ.の表1参照。)によれば、サンメリンパウダーC-10には、15重量%の酵素処理イソクエルシトリン(上記2.(2)イ.の記載からすれば、本件発明8の「イソクエルシトリン糖付加物」に相当する。)が含まれている。
してみれば、引用発明2のイソクエルシトリン糖付加物の含有量は、計算値で、サンメリンパウダーC-10の配合量0.55質量%×サンメリンパウダーC-10中のイソクエルシトリン糖付加物の含有量0.15≒0.083質量%である。
一方、引用発明4のイソクエルシトリン糖付加物の含有量は、同様に計算値で、サンメリンパウダーC-10の配合量0.28質量%×サンメリンパウダーC-10中のイソクエルシトリン糖付加物の含有量0.15≒0.042質量%である。
してみれば、本件発明8と引用発明2を対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。
【相違点3】
本件発明8は、デヒドロアスコルビン酸:0.0001~0.02質量%を含有し、イソクエルシトリン糖付加物とデヒドロアスコルビン酸との質量比が12~70であるのに対し、引用発明2には、デヒドロアスコルビン酸の含有量及びイソクエルシトリン糖付加物の含有量に対するデヒドロアスコルビン酸の含有量の比率についての明示がなく、アルコール類を0.10~0.60質量%含有している点
上記相違点3について検討すると、本件発明8はイソクエルシトリン糖付加物及びデヒドロアスコルビン酸の含有量を調整することにより容器詰飲料の色調変化を抑制する方法に係る発明であるところ、引用発明2においては、サンメリンパウダーC-10中のL-アスコルビン酸が時間の経過と共に、一部デヒドロアスコルビン酸に変化することが甲3及び甲4の記載(上記2.(3)、(4)参照。)から伺えるものの、デヒドロアスコルビン酸の含有量を調整して容器詰飲料の色調変化を抑制しているものではなく、アルコール類の添加により色調変化の抑制を行っている(上記2.(1)イ.参照。)。
したがって、特定の時点において、引用発明2のデヒドロアスコルビン酸の含有量が本件発明8と同じになるとしても、引用発明2はアルコール類の添加により色調変化を抑制しているのであるから、デヒドロアスコルビン酸の含有量を調整して、色調変化を抑制しているとはいえない。
よって、本件発明8が、引用発明2であるとはいえない。
本件発明8と引用発明4を対比すると、両者は上記相違点3に加えて、次の点で相違する。
【相違点4】
本件発明8は、イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物:0.05~0.1質量%を含有するのに対して、引用発明4は0.042質量%含有する点
しかし、上記のとおり引用発明4が相違点3に係る本件発明8の構成を備えているとはいえないし、また、引用発明4は上記相違点4に係る本件発明8の構成を備えておらず、当該両構成が自明であるとか技術常識であるという証拠は認められないから、本件発明8が引用発明4であるとはいえない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明1~8は、甲1に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当しないから、請求項1~8に係る特許は、取消理由1によって取り消されるべきものとすることはできない。
4.取消理由2について
(1)引用発明1に対する進歩性について
ア.本件発明1の進歩性
本件発明1と引用発明1を対比すると、両者は少なくとも上記相違点1で相違する。
そこで、上記相違点1について検討すると、本件発明1は、容器詰飲料自体が過度に着色していると、本発明の効果が十分に享受され難い(段落【0025】参照。)ため、製造直後の容器詰飲料のLab表色系におけるb*値が4以下のイソクエルシトリン糖付加物を含有する容器詰飲料に対して、所定量のデヒドロアスコルビン酸を適用して、色調変化を抑制したものであるところ、引用発明1には甲2~6を参照しても、b*値を4以下とする動機付けはない。
よって、本件発明1は、引用発明1及び甲2~6の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
イ.本件発明2~7の進歩性
本件発明2~7は、いずれも直接又は間接的に本件発明1を引用するものであり、本件発明1の特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1と同様の理由により、引用発明1及び甲2~6の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(2)引用発明3に対する進歩性について
ア.本件発明1の進歩性
本件発明1と引用発明3を対比すると、引用発明3のサンメリンパウダーC-10は、L-アスコルビン酸を含み(上記、2.(2)ウ.の表1参照。)、甲3及び4によれば、L-アスコルビン酸は、酸化作用によりデヒドロアスコルビン酸に経時的に変化するものである(上記、2(3),(4)参照。)から、両者は下記の一致点を有し、上記相違点2に加えて、下記相違点5で相違する。
【一致点】
次の成分(A)及び(B);
(A)イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物から選ばれる一種又は二種以上であるフラボノイド糖付加物
(B)デヒドロアスコルビン酸
を含有し、
製造直後の容器詰飲料のLab表色系におけるb値が4以下であり、かつpHが2~5である、容器詰飲料。
【相違点5】
本件発明1は、デヒドロアスコルビン酸:0.0001~0.02質量%を含有し、イソクエルシトリン糖付加物とデヒドロアスコルビン酸との質量比が12~70であるのに対し、引用発明3には、デヒドロアスコルビン酸の含有量及びイソクエルシトリン糖付加物の含有量に対するデヒドロアスコルビン酸の含有量の比率について明示されていない点
以下、上記相違点2及び5について検討する。
まず、上記相違点2については、引用発明3のサンメリンパウダーC-10のイソクエルシトリン糖付加物の含有量は上述したとおり0.042質量%であり(上記、3.(1),(3)参照。)、本件発明1より僅かに少ない。
しかし、甲1には他の実施例としてイソクエルシトリン糖付加物の含有量をより多くしたものが記載されている(実施例1~6,8,9参照。)ことからして、これを適宜増量調整して相違点2に係るイソクエルシトリン糖付加物の含有量とすることは当業者が容易になし得たことと認められる。
次に、相違点5について検討すると、甲2の表1の記載(上記2.(2)ウ.参照。)に基づけば、引用発明3のサンメリンパウダーC-10には0.030×10/15=0.020重量%のL-アスコルビン酸が含まれている。
そして、甲4の特に第3表(上記2.(4)イ.参照。)を参照すれば、フラボノイド配糖体が混入された水溶液において、アスコルビン酸は3週間の間に18.0/47.5又は15.0/50.5の割合でデヒドロアスコルビン酸に変わるから、3週間経過後のデヒドロアスコルビン酸の量は、0.0076重量%又は0.0059重量%である。
してみれば、引用発明3におけるイソクエルシトリン糖付加物とデヒドロアスコルビン酸との質量比は5.52又は7.12となる。
しかし、アスコルビン酸は酸化作用によりデヒドロアスコルビン酸に経時的に変化することからすれば、放置期間が短ければ、デヒドロアスコルビン酸の量はより少なくなり、引用発明3は、各成分の測定時期により当該質量比が12~70となるものも包含しているといえる。
よって、上記相違点5に係る本件発明1の構成は引用発明3も有しているといえる。
以上のとおりであるから、本件発明1は引用発明3(甲1に記載された発明)及び甲2,4に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
イ.本件発明2~4の進歩性について
本件発明2は、本件発明1に「成分(C)として甘味料を含有する」点を、本件発明3は、本件発明1又は2に「(C)甘味料が高甘度甘味料である」点を、本件発明4は、本件発明3に「高甘度甘味料の含有量が0.001~5質量%である」点を、それぞれ特定するものである。
しかし、甲1には0.02~1質量%の甘味料を含有させる旨の記載があり(上記2.(1)エ.参照。)、また、容器詰飲料の甘味料として高甘味度甘味料が甲5(上記2.(5)イ.参照。)又は甲6(上記2.(6)ウ.参照。)に記載されているように周知の事項であるから、上記各点は当該周知の事項に基づいて、当業者が容易になし得たことと認められる。
以上のとおりであるから、本件発明2~4は引用発明3(甲1に記載された発明)、甲2,4に記載された事項及び周知の事項から当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
ウ.本件発明5の進歩性について
本件発明5は、本件発明1~4に「イソクエルシトリン糖付加物が、イソクエルシトリンのグルコース残基に、1~15個のグルコースがα-1,4結合した化合物である」点を特定するものである。
しかし、甲2の記載(上記2.(2)ア.イ.参照。)によれば、引用発明3で用いられるサンメリンパウダーC-10に含まれるイソクエルシトリン糖付加物は、イソクエルシトリンのグルコース残基に数個のグルコースがα-1,4結合した酵素処理イソクエルシトリンを用いているといえるから、引用発明3のイソクエルシトリン糖付加物は、「イソクエルシトリンのグルコース残基に、1~15個のグルコースがα-1,4結合した化合物」に相当する。
したがって、上記ア.イ.において検討したことと同様に、本件発明5は引用発明3(甲1に記載された発明)、甲2,4に記載された事項及び周知の事項から当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
エ.本件発明6,7の進歩性
本件発明6は、本件発明1~5に「容器が、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器、金属缶、金属箔若しくはプラスチックフィルムと複合された紙容器、又は瓶である」点を、また、本件発明7は、本件発明1~6に「加熱殺菌されたものである」点を、それぞれ特定するものである。
しかし、甲1には、容器として、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器が挙げられており、また、容器に充填後加熱殺菌する旨の記載もあるから(上記2.(1)オ.参照。)、引用発明3に当該点を採用することは当業者が容易になし得たことと認められる。
したがって、上記ア.イ.ウ.において検討したことと同様に、本件発明6,7は引用発明3(甲1に記載された発明)、甲1,2,4に記載された事項及び周知の事項から当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(3)引用発明2又は4に対する進歩性
本件発明8と引用発明2又は4を対比すると、両者は少なくとも上記相違点3で相違する。
上記相違点3について検討すると、本件発明8はデヒドロアスコルビン酸を所定量添加することにより容器詰飲料の色調変化を抑制する方法に係る発明であるから、色調変化を抑制するためにデヒドロアスコルビン酸の含有量を調整することが必要であると認められるところ、引用発明2及び4はサンメリンパウダーC-10中のL-アスコルビン酸が時間の経過と共に、一部デヒドロアスコルビン酸に変化することが甲3及び甲4の記載(上記2.(3)、(4)参照。)から伺えるものの、引用発明2及び4はアルコール類の添加により色調変化を抑制するものであり、デヒドロアスコルビン酸の含有量を調整することにより色調変化を抑制しているものとは認められない。 したがって、特定の時点において、引用発明2及び4のデヒドロアスコルビン酸の添加量が本件発明8と一致するとしても、引用発明2及び4が「容器詰飲料の色調変化の抑制方法」としての相違点3に係る構成を備えているとはいえないし、引用発明2及び4はデヒドロアスコルビン酸の含有量を特定量とすることにより容器詰飲料の色調変化を抑制するものとはいえず、相違点3に係る本件発明8の構成を引用発明2又は4から当業者が容易に想到し得たともいえない。
以上のとおりであるから、本件発明8は引用発明2又は4から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明1~7は、引用発明3(甲1に記載された発明)、甲1,2,4に記載された事項及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、請求項1~7に係る特許は、取消理由2によって取り消されるべきものである。
一方、本件発明8は、甲1~6に基いて当業者が容易に発明できたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反しているとはいえないから、請求項8に係る特許は、取消理由2によって取り消されるべきものとすることはできない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1.明確性(特許法第36条第6項第2号)について
申立人は、成分(A)の含有量の数値範囲と成分(B)の含有量の数値範囲に照らすと、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が技術的に正しくない記載を含んでしまうので発明が不明確となっていると主張している。
しかし、請求項1及び8では、当該(A),(B)の含有量及び(A)/(B)の質量比の値を個別に特定し、すべて満たすものを特定しているのであるから、相互の数値範囲の関係に不整合なものが含まれるとしても、そのことのみをもって特許請求の範囲の記載が不明確であるとはいえない。
2.サポート要件及び実施可能要件(特許法第36条第6項第1号及び同条第4項第1号)について
申立人は、発明の詳細な説明中に、「収斂味」の抑制及び「後味のキレ」の改善について、基準の明確性、評点の妥当性、パネルの人数及び添加剤の有無等の観点から客観的な評価ができているとはいえないから、サポート要件を満たさず、また実施可能要件を満たしていないと主張している。
しかし、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「収斂味」や「後味のキレ」について、評価基準を明確にして実験結果が示されており(段落【0048】、【0049】)、当該実験結果に基づけば、比較例との対比において有効性が示されているといえる。
また、発明の詳細な説明には発明の評価方法が具体的に記載されており、当該記載に基いて発明を実施することはできるから、サポート要件又は実施可能要件を満たしていないとすることもできない。
なお、申立人は平成30年7月12日付け意見書において、イソクエルシトリン糖付加物の含有量について、その上限値が0.1質量%である点を指摘し、当該上限値まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨主張している(同意見書8頁17行~9頁3行参照。)。
しかし、当該上限値については、請求項1に本件訂正請求前から存在しているから、上記主張は実質的に新たな内容を含むものであり、採用しない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1~7は、引用発明3(甲1に記載された発明)、甲1,2,4に記載された事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。そうすると、本件発明1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1~7に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
一方、本件発明8については、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては取り消すことができない。さらに、他に本件請求項8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2018-700085