特許訂正審判
2018-390167
遊技機
- 審判番号
- 2018-390167
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-223545外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年10月19日
- 審決日
- 2019年01月09日
- 公報発行日
- 2019年04月26日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (A63F) / P141 .853-Y (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6380345号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6380345号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件審判の請求に係る特許6380345号(以下、「本件特許」という。)は平成27年11月14日に出願され、平成30年8月10日に特許権の設定登録がなされ、その後、同年10月22日に本件訂正審判が請求されたものである
第2 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の明細書(以下、「本件特許明細書」という。)、特許請求の範囲(以下、「本件特許請求の範囲」という。)を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
1 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に、
「遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技領域を流通する遊技球が入球可能な入球部と、
前記入球部に遊技球が入球したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
前記取得した特別情報を、予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段が記憶した特別情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記取得情報記憶手段が記憶した前記特別情報の数と対応する数の保留表示を所定の表示態様で表示するとともに、表示されている前記保留表示の表示態様を変化可能な保留表示手段と、
前記判定手段の判定結果に対応した演出を実行する演出実行手段と、
を備える遊技機であって、
前記演出実行手段は、
前記保留表示手段が前記保留表示の表示態様を変化させることに先立って、前記保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段を備え、
前記保留表示の前記表示態様は、
当該保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性を示唆するとともに、当該可能性の高低に対応して上位から下位までの複数の段階の表示態様が設定されており、前記保留表示の前記表示態様が前記複数の段階の上位になるにつれて、前記保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性が高いことを示唆し、
前記保留表示手段は、
前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定する決定手段と、
保留表示の表示態様を変化させる場合に、表示態様を変化させる対象の保留表示に対応する特別情報より先に前記判定手段による前記判定の対象となる特別情報に対応する保留表示の表示態様よりも上位の段階の表示態様に変化させる上位変化手段と、を備える
ことを特徴とする遊技機。」
と記載されているのを、
「遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技領域を流通する遊技球が入球可能な入球部と、
前記入球部に遊技球が入球したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
前記取得した特別情報を、予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段が記憶した特別情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段と、
前記取得情報記憶手段が記憶した前記特別情報の数と対応する数の保留表示を所定の表示態様で表示するとともに、表示されている前記保留表示の表示態様を変化可能な保留表示手段と、
前記判定手段の判定結果に対応した演出を実行する演出実行手段と、
を備える遊技機であって、
前記演出実行手段は、
前記保留表示手段が前記保留表示の表示態様を変化させることに先立って、前記保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段を備え、
前記保留表示の前記表示態様は、
当該保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性を示唆するとともに、当該可能性の高低に対応して上位から下位までの複数の段階の表示態様が設定されており、前記保留表示の前記表示態様が前記複数の段階の上位になるにつれて、前記保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性が高いことを示唆し、
前記保留表示手段は、
前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記先行判定の結果に基づいて決定する決定手段と、
保留表示の表示態様を変化させる場合に、表示態様を変化させる対象の保留表示に対応する特別情報より先に前記判定手段による前記判定の対象となる特別情報に対応する保留表示の表示態様よりも上位の段階の表示態様に変化させる上位変化手段と、を備える
ことを特徴とする遊技機。」
に訂正する(下線部は訂正箇所を表す。以下も同様。)。
2 訂正事項2
本件特許明細書の段落【0006】に、
「[形態]
遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技領域を流通する遊技球が入球可能な入球部と、
前記入球部に遊技球が入球したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
前記取得した特別情報を、予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段が記憶した特別情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記取得情報記憶手段が記憶した前記特別情報の数と対応する数の保留表示を所定の表示態様で表示するとともに、表示されている前記保留表示の表示態様を変化可能な保留表示手段と、
前記判定手段の判定結果に対応した演出を実行する演出実行手段と、
を備える遊技機であって、
前記演出実行手段は、
前記保留表示手段が前記保留表示の表示態様を変化させることに先立って、前記保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段を備え、
前記保留表示の前記表示態様は、
当該保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性を示唆するとともに、当該可能性の高低に対応して上位から下位までの複数の段階の表示態様が設定されており、前記保留表示の前記表示態様が前記複数の段階の上位になるにつれて、前記保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性が高いことを示唆し、
前記保留表示手段は、
前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定する決定手段と、
保留表示の表示態様を変化させる場合に、表示態様を変化させる対象の保留表示に対応する特別情報より先に前記判定手段による前記判定の対象となる特別情報に対応する保留表示の表示態様よりも上位の段階の表示態様に変化させる上位変化手段と、を備える
ことを特徴とする遊技機。」
と記載されているのを、
「[形態]
遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技領域を流通する遊技球が入球可能な入球部と、
前記入球部に遊技球が入球したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
前記取得した特別情報を、予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段が記憶した特別情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段と、
前記取得情報記憶手段が記憶した前記特別情報の数と対応する数の保留表示を所定の表示態様で表示するとともに、表示されている前記保留表示の表示態様を変化可能な保留表示手段と、
前記判定手段の判定結果に対応した演出を実行する演出実行手段と、
を備える遊技機であって、
前記演出実行手段は、
前記保留表示手段が前記保留表示の表示態様を変化させることに先立って、前記保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段を備え、
前記保留表示の前記表示態様は、
当該保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性を示唆するとともに、当該可能性の高低に対応して上位から下位までの複数の段階の表示態様が設定されており、前記保留表示の前記表示態様が前記複数の段階の上位になるにつれて、前記保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性が高いことを示唆し、
前記保留表示手段は、
前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記先行判定の結果に基づいて決定する決定手段と、
保留表示の表示態様を変化させる場合に、表示態様を変化させる対象の保留表示に対応する特別情報より先に前記判定手段による前記判定の対象となる特別情報に対応する保留表示の表示態様よりも上位の段階の表示態様に変化させる上位変化手段と、を備える
ことを特徴とする遊技機。」
に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、本件特許請求の範囲の請求項1に、「前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段」を追加し、同請求項1の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定する決定手段」を「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記施行判定の結果に基づいて決定する決定手段」に訂正するものである。
ア 本件特許請求の範囲の請求項1に、「前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段」を追加することについて
本件特許請求の範囲の請求項1に、「前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段」を追加する訂正は、発明を特定するための事項である「前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段」を直列的に付加する訂正であるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
イ 本件特許請求の範囲の請求項1の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定する決定手段」を「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記施行判定の結果に基づいて決定する決定手段」に訂正することについて
訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定する決定手段」との記載によれば、「決定手段」は、「表示態様」を「特別情報に基づいて決定する」ということができる。
一方、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記施行判定の結果に基づいて決定する決定手段」との記載によれば、「決定手段」は、「表示態様」を「特別情報の前記先行判定の結果に基づいて決定する」ということができるが、「特別情報の前記先行判定の結果」は、「特別情報」の「先行判定」により得られるものであるから、「特別情報」に基づいているといえる。したがって、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の「決定手段」は、「表示態様」を、「特別情報」に基づいて「決定する」ものであり、かつ、「先行判定の結果に基づいて決定する」ものである。
よって、本件特許請求の範囲の請求項1の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定する決定手段」を「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記施行判定の結果に基づいて決定する決定手段」とする訂正は、「決定手段」の「決定」の態様を限定するものであり、特許請求の範囲を減縮するものである。
ウ 上記ア、イより、訂正事項1は、特許法126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
ア 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面の記載について
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面(本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面を、以下「願書に添付した明細書等」という。)には、以下の記載がある(下線は当審が付した。)。
(ア) 「【0080】
なお、第1保留エリアRaに記憶された大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の一組の組み合わせが、第1始動口33に係る保留情報に相当し、第2保留エリアRbに記憶された大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の一組の組み合わせが、第2始動口34に係る保留情報に相当し、これらの保留情報が、本発明における特別情報に相当する。」
(イ) 「【0206】
<変動開始処理>
次に、変動開始処理について説明する。変動開始処理は、遊技回制御処理のサブルーチン(図19:S605)として主制御装置60のMPU62によって実行される。
…
【0208】
ステップS802では、高確率モード用の当否テーブルを参照して当否判定を行う。具体的には、実行エリアAEに記憶されている大当たり乱数カウンタC1の値が、図7(b)に示す高確率モード用の当否テーブルにおいて大当たり当選として設定されている値と一致しているか否かを判定する。その後、ステップS804に進む。一方、ステップS801において高確率モードではないと判定した場合には(S801:NO)、ステップS803に進む。
【0209】
ステップS803では、低確率モード用の当否テーブルを参照して当否判定を行う。具体的には、実行エリアAEに記憶されている大当たり乱数カウンタC1の値が、図7(a)に示す低確率モード用の当否テーブルにおいて大当たり当選として設定されている値と一致しているか否かを判定する。その後、ステップS804に進む。」
(ウ) 「【0697】
図88(b)は、本実施形態のパチンコ機10において設定されている保留表示の表示態様を説明する説明図である。図示するように、本実施形態においては、保留表示の表示態様は、大当たり抽選に当選する可能性の高低に対応して、上位から下位までの複数の段階の表示態様が設定されている。保留表示の表示態様は、上位から順に、実表示レベルLvr5、実表示レベルLvr4、実表示レベルLvr3、実表示レベルLvr2、実表示レベルLvr1の5段階のレベルに分けて設定される。大当たり抽選に当選する可能性が高いほど上位の実表示レベルLvrに対応する表示態様が設定され、大当たり抽選に当選する可能性が低いほど下位の実表示レベルLvrに対応する表示態様が設定される。」
(エ) 「【0729】
<保留演出用パラメータ設定処理>
図93は、保留演出用パラメータ設定処理を示すフローチャートである。保留演出用パラメータ設定処理は、入賞時の更新処理のサブルーチン(図91:S3505)として音声発光制御装置90のMPU92によって実行される。」
…
【0734】
<表示レベル上限値設定処理>
図94は、表示レベル上限値設定処理を示すフローチャートである。表示レベル上限値設定処理は、保留演出用パラメータ設定処理のサブルーチン(図93:S3601)として音声発光制御装置90のMPU92によって実行される。
【0735】
ステップS3701では、上限値設定用カウンタCmの値を取得する。上限値設定用カウンタCmは音光側MPU92が表示レベル上限値Lvmを決定する際に用いられる。上限値設定用カウンタCmは、0~99の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。ステップS3701を実行した後、ステップS3702に進む。
【0736】
ステップS3702では、今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回における大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり抽選に当選しているか否かを判定する。具体的には、今回の始動口への入球を契機として実行された先判定処理によって、音光側MPU92が主側MPU62から取得した保留コマンドに含まれる先判定処理の判定結果に関する情報に基づいて判定する。
【0737】
ステップS3702において、今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回が大当たり抽選に当選していると判定した場合には(S3702:YES)、ステップS3703に進む。
【0738】
ステップS3703では、大当たり用上限値テーブルを参照する。具体的には、大当たり用上限値テーブルを参照して、取得した上限値設定用カウンタCmに対応する表示レベル上限値Lvmの値を抽出する。
…
【0745】
一方、ステップS3702において、今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回が大当たり抽選に当選していないと判定した場合には(S3702:NO)、ステップS3704に進む。
【0746】
ステップS3704では、今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回がリーチを発生させる遊技回に該当するか否かを判定する。すなわち、今回の保留遊技回に対応するリーチ乱数カウンタC3がリーチ発生に該当しているか否かを判定する。具体的には、今回の始動口への入球を契機として実行された先判定処理によって音光側MPU92が主側MPU62から取得した保留コマンドに含まれる先判定処理の判定結果に関する情報に基づいて判定する。
【0747】
ステップS3704において、今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回がリーチを発生させる遊技回に該当していると判定した場合には(S3704:YES)、ステップS3705に進む。
【0748】
ステップS3705では、リーチ用上限値テーブルを参照する。より具体的には、リーチ用上限値テーブルを参照して、取得した上限値設定用カウンタCmに対応する表示レベル上限値Lvmの値を抽出する。その後、ステップS3707に進む。
【0749】
一方、ステップS3704において、今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回がリーチを発生させる遊技回に該当していないと判定した場合には(S3704:NO)、ステップS3706に進む。
【0750】
ステップS3706では、リーチ非発生用上限値テーブルを参照する。より具体的には、リーチ非発生用上限値テーブルを参照して、取得した上限値設定用カウンタCmに対応する表示レベル上限値Lvmの値を抽出する。その後、ステップS3707に進む。」
(オ) 「【0844】
ステップS4305では、付加表示レベルLvaを決定する。すなわち、保留表示の表示態様を変化させる場合に、どれだけ上位の表示態様に変化させるかを決定する。より詳細には、保留表示の表示態様における変化前と変化後との間の、表示態様の複数の段階における段階的な幅を決定する。
【0845】
具体的には、表示態様を変化させる対象である保留表示に対応する保留遊技回における表示レベル上限値Lvmと実表示レベルLvrとの差分値を算出し、差分値の中から一の値を決定する。例えば、図101(a)の第1保留演出用記録エリアに示した保留表示Dm13に対応する保留遊技回を表示態様を変化させる対象に決定した場合、保留表示Dm13の表示レベル上限値Lvm(=4)と実表示レベルLvr(=1)との差分値(=3)を算出する。そして、1から差分値である3までの値の中から一の値を決定し、当該決定した値を付加表示レベルLvaに決定する。一の値を決定する方法としては、乱数を用いて決定してもよいし、常に、取り得る値の最大値(本具体例においては3)を採用してもよい。このようにして付加表示レベルLvaを決定する。ステップS4305を実行した後、ステップS4306に進む。
…
【0847】
また、変化後の保留表示の表示態様を決定する際には、表示態様を変化させる対象の保留表示の実表示レベルLvrと付加表示レベルLvaとの加算値を算出し、当該加算値に対応した表示態様を、図88(b)に示した実表示レベルLvrと保留表示の表示態様との対応関係に基づいて決定する。例えば、図101(a)の第1保留演出用記録エリアに示した保留表示Dm13に対応する保留遊技回を表示態様を変化させる対象に決定した場合であって、付加表示レベルLvaを2に決定した場合には、実表示レベルLvr(=1)と付加表示レベルLva(=2)との加算値は3であるため、図88(b)に示した実表示レベルLvrと保留表示の表示態様との対応関係に基づき、変化後の保留表示の表示態様を緑に決定する。ステップS4306を実行した後、ステップS4307に進む。」
(カ) 「【1156】
[特徴P4]
特徴P1または特徴P2に記載の遊技機であって、
前記保留表示の前記表示態様は、
当該保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性を示唆するとともに、当該可能性の高低に対応して上位から下位までの複数の段階の表示態様が設定されており、前記保留表示の前記表示態様が前記複数の段階の上位になるにつれて、前記保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性が高いことを示唆し(図88(b))、
前記保留表示手段は、
前記保留表示の前記表示態様を、当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定するとともに、
保留表示の表示態様を変化させる場合には、表示態様を変化させる対象の保留表示に対応する特別情報より先に前記判定手段による前記判定の対象となる特別情報に対応する保留表示の表示態様よりも上位の段階の表示態様に変化させる(図101,図103,図104)
ことを特徴とする遊技機。」
イ 本件特許請求の範囲の請求項1に、「前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段」を追加することについて
(ア) 願書に添付した明細書等の【0080】から、願書に添付した明細書等においては、「大当たり乱数カウンタC1」は「特別情報」に対応する。また、【1156】には、「前記保留表示の前記表示態様が前記複数の段階の上位になるにつれて、前記保留表示に対応する特別情報が前記所定の条件を満たす可能性が高いことを示唆し(図88(b))」と記載され、「図88(b)」について、【0697】には、「保留表示の表示態様は、大当たり抽選に当選する可能性の高低に対応して、上位から下位までの複数の段階の表示態様が設定されている。」と記載されていることから、願書に添付した明細書等においては、「大当たり抽選に当選する」ことは、「所定の条件を満たす」ことに対応する。
(イ) 願書に添付した明細書等の【0206】、【0208】から、「MPU62によって」、「変動開始」時に「ステップS802」、「ステップS803」が実行され、「大当たり乱数カウンタC1」が、「大当たり当選として設定されている値と一致しているか否か」、つまり、「大当たり抽選に当選」しているか否かが判定されているといえる。したがって、願書に添付した明細書等には、「変動開始時に、大当たり乱数カウンタC1が大当たり抽選に当選しているか否かを判定するMPU62」が記載されているといえる。
(ウ) 願書に添付した明細書等の【0734】、【0736】から、「MPU92によって」、「表示レベル上限値設定処理」において、「ステップS3702」が実行され、「今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回における大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり抽選に当選しているか否か」が「判定」されているといえる。また、【0729】、【0734】から、「表示レベル上限値設定処理」は、「入賞時の更新処理」の「サブルーチン」である「保留演出用パラメータ設定処理」の「サブルーチン」であるから、「入賞時」に行われるといえる。したがって、願書に添付した明細書等には、「入賞時に、大当たり乱数カウンタC1が大当たり抽選に当選しているか否かを判定するMPU92」が記載されているといえる。
(エ) 上記(ア)~(ウ)から、願書に添付した明細書等には、「変動開始時に、大当たり乱数カウンタC1が大当たり抽選に当選しているか否かを判定するMPU62」と、それより先のタイミングである「入賞時」に、「大当たり乱数カウンタC1が大当たり抽選に当選しているか否かを判定するMPU92」が記載されているといえ、これらはそれぞれ、訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の請求項1の「前記取得情報記憶手段が記憶した特別情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段」と、「前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段」に対応する。
よって、訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の請求項1の「前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段」は、願書に添付した明細書等に基づいて導き出される構成ということができる。
ウ 本件特許請求の範囲の請求項1の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定する決定手段」を「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記施行判定の結果に基づいて決定する決定手段」に訂正することについて
(ア) 願書に添付した明細書等の【0736】~【0738】、【0745】~【0750】には、「今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回における大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり抽選に当選していると判定した場合には」、「大当たり用上限値テーブルを参照して」、「表示レベル上限値Lvmの値を抽出」し、「今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回における大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり抽選に当選していないと判定した場合には」、「リーチ用上限値テーブル」または「リーチ非発生用上限値テーブルを参照」して、「表示レベル上限値Lvmの値を抽出する」ことが記載されている。また、【0845】、【0847】には、「表示レベル上限値Lvmと実表示レベルLvrとの差分値を算出し、差分値の中から一の値を決定」し、「当該決定した値を付加表示レベルLvaに決定」し、「表示態様を変化させる対象の保留表示の実表示レベルLvrと付加表示レベルLvaとの加算値を算出し、当該加算値に対応した表示態様を」「決定」し、「変化後の保留表示の表示態様を決定する」ことが記載されている。
したがって、願書に添付した明細書等には、「今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回における大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり抽選に当選している」か否かに基づいて、「表示レベル上限値Lvmの値」を「抽出」し、該「表示レベル上限値Lvmの値」に基づいて、「変化後の保留表示の表示態様を決定する」ことが記載されている。つまり、願書に添付した明細書等には、「変化後の保留表示の表示態様を、今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回における大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり抽選に当選しているか否かに基づいて決定すること」が記載されているといえる。そして、上記イ(ア)、(ウ)で述べたことから、願書に添付した明細書等においては、「今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回における大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり抽選に当選しているか否か」は、「入賞時に、特別情報が所定の条件を満たすか否かを判定」した結果に対応するといえ、また、上記イ(エ)で述べたことから、これは、訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の請求項1の「当該保留表示に対応する特別情報の前記先行判定の結果」に対応する。
よって、願書に添付した明細書等の、「変化後の保留表示の表示態様を、今回の遊技球の入球に対応する保留遊技回における大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり抽選に当選しているか否かに基づいて決定すること」は、訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の請求項1の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記先行判定の結果に基づいて決定する」ことに対応する。
以上より、訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の請求項1の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記先行判定の結果に基づいて決定する決定手段」は、願書に添付した明細書等に基づいて導き出される構成ということができる。
エ 上記ア~ウを総合すると、訂正事項1は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正といえるものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
また、訂正事項1は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないので、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正に対応させて、訂正前の本件特許明細書の段落【0006】に「前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段」を追加し、同段落の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定する決定手段」を「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記施行判定の結果に基づいて決定する決定手段」に訂正するものである。
したがって、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項1に伴って生じる訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2は、訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正に対応させて、訂正前の本件特許明細書の段落【0006】に「前記判定手段の判定よりも先のタイミングで実行され、少なくとも前記特別情報の判定を含む先行判定を行う先行判定手段」を追加し、同段落の「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報に基づいて決定する決定手段」を「前記保留表示の前記表示態様を、少なくとも当該保留表示に対応する特別情報の前記施行判定の結果に基づいて決定する決定手段」に訂正するものである。
そして、上記「1 訂正事項1について」の「(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について」にて示したとおり、訂正事項1が、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるのだから、訂正事項2もまた、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
また、訂正事項2もまた、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないので、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
3 独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見することはできない。したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第5 むすび
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5~7項の規定に適合するものであり、また、本件訂正審判の請求に係る訂正事項2は、同条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5、6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-390167