特許訂正審判
2024-390147
遊技機
- 審判番号
- 2024-390147
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-135128
- 登録番号
- 7072333
- 請求日
- 2024年12月04日
- 審決日
- 2025年02月19日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 大一商会
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 大浜 康夫
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 分類
- P141 .851-Y (A63F) / P141 .853-Y (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7072333号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7072333号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7072333号(以下「本件特許」という。)は、令和1年7月23日に出願され、令和4年5月12日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和6年12月4日に本件訂正審判の請求がなされた。
第2 審判請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数の演出の中から演出を決定する演出決定手段と、
前記演出決定手段によって決定された演出を実行する演出実行手段と、」
とあるのを、
「前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数の演出の中から演出を決定し、該決定された演出を実行する周辺制御基板と、」
に訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「前記演出実行手段によって実行された演出を表示可能な演出表示手段と、
前記始動条件の成立は満たされたものの前記開始条件の成立が満たされなかった場合には、所定数を上限として前記抽選情報を記憶する保留手段と、
前記保留手段が記憶した前記抽選情報及び実行中の変動に対応する抽選情報それぞれに対応する保留表示を、前記演出表示手段に表示する保留表示手段と、を備え、」
とあるのを、
「前記周辺制御基板によって実行される演出を表示可能な演出表示装置と、
前記始動条件の成立は満たされたものの前記開始条件の成立が満たされなかった場合には、所定数を上限として前記抽選情報を記憶する保留手段と、
前記保留手段が記憶した前記抽選情報及び実行中の変動に対応する抽選情報それぞれに対応する保留表示を、前記演出表示装置に表示する保留表示手段と、を備え、」
に訂正する。
第4 訂正の適否についての判断
1 特許法第126条第1項ただし書に規定する要件について
(1) 訂正事項1について
ア 訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1において、「前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数の演出の中から演出を決定する演出決定手段と、前記演出決定手段によって決定された演出を実行する演出実行手段と、」としていたのを、「前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数の演出の中から演出を決定し、該決定された演出を実行する周辺制御基板と、」とすることにより、「複数の演出の中から演出を決定する演出決定手段」と「演出決定手段によって決定された演出を実行する演出実行手段」が、ともに「周辺制御基板」であることを特定したものである。
イ 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)には、次のとおり記載されている。
「【0133】
[3-3.周辺制御基板]
周辺制御基板1510は、図17に示すように、主制御基板1310からのコマンドに基づいて演出制御を行う周辺制御部1511と、この周辺制御部1511からの制御データに基づいて演出表示装置1600、サブ演出表示装置3114や上皿演出表示装置244の描画制御を行う演出表示制御部1512と、を備えている。」
「【0209】
一方、演出表示装置1600では、主制御基板1310からの制御信号(変動パターンコマンド、判定結果通知コマンド等)に基いて、周辺制御基板1510によって間接的に制御され、演出画像によって特別抽選結果の示唆が行われる。具体的には、・・・。つまり、始動入賞発生時に取得した特別乱数(第一特別乱数、第二特別乱数)に基づく特別抽選結果(第一特別抽選結果、第二特別抽選結果)に応じて、複数の装飾図柄列が変動表示された後に特別抽選結果(第一特別抽選結果、第二特別抽選結果)を示唆するように停止表示される演出画像が表示されるようになっている。・・・」
「【1037】
[11-1.遊技履歴を記録する遊技機の基本構成]
本実施例のパチンコ機1では、周辺制御部1511は、主制御基板1310から送信される変動パターンコマンドに適合する演出を複数用意された演出の中から決定し、決定された演出を演出表示装置1600に表示する。・・・」
ウ 上記イに摘記した記載によれば、訂正前の「演出決定手段」及び「演出実行手段」は、いずれも、「周辺制御基板1510」が行う制御に関わるものであって、このうち、「演出決定手段」は、「周辺制御基板1510」の「周辺制御部1511」が、「始動入賞発生時に取得した特別乱数(第一特別乱数、第二特別乱数)に基づく特別抽選結果(第一特別抽選結果、第二特別抽選結果)に応じて」、「主制御基板1310から」「変動パターンコマンド」に係る「制御信号」が「送信され」、「主制御基板1310から送信される変動パターンコマンドに適合する演出を複数用意された演出の中から決定」することに対応し、また、「演出実行手段」は、「周辺制御基板1510」の「演出表示制御部1512」が、「決定された演出」について、「周辺制御部1511からの制御データに基づいて演出表示装置1600」の「描画制御を行う」ことに対応しており、訂正前の特許請求の範囲の請求項1は、上記「演出決定手段」として、「前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数の演出の中から演出を決定する」という機能を実現する手段を備え、上記「演出実行手段」として、「前記演出決定手段によって決定された演出を実行する」という機能を実現する手段を備えていることを特定していると理解される。
エ 一方、訂正事項1による訂正によって「前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数の演出の中から演出を決定し、該決定された演出を実行する周辺制御基板」とすることで、訂正前の「演出決定手段」として、「前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数の演出の中から演出を決定する」という機能を実現する手段(周辺制御基板1510の周辺制御部1511)、及び、「演出実行手段」として、「前記演出決定手段によって決定された演出を実行する」という機能を実現する手段(周辺制御基板1510の演出表示制御部1512)が、「周辺制御基板」(周辺制御基板1510)に搭載されていることが限定されることとなった。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2) 訂正事項2について
ア 訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1において、「前記演出実行手段によって実行された演出を表示可能な演出表示手段」としていたのを、「前記周辺制御基板によって実行される演出を表示可能な演出表示装置」とすることにより、
(2-1)「演出実行手段」が「周辺制御基板」であること、及び、「演出表示手段」が「演出表示装置」であることを特定し、
(2-2)「(演出実行手段)によって実行された演出」を「(周辺制御基板)によって実行される演出」としたものである。
以下、上記(2-1)の訂正については「訂正事項2-1」といい、上記(2-2)の訂正については「訂正事項2-2」という。
イ 訂正事項2-1について検討する。
(ア) まず、「演出実行手段」を「周辺制御基板」と訂正することは、訂正事項1に伴う訂正であるから、上記(1)で検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ) 次に、「演出表示手段」を「演出表示装置」とする訂正について検討するにあたり、訂正前の「演出表示手段」については、本件特許明細書に次のとおり記載されている。
「【0133】
[3-3.周辺制御基板]
周辺制御基板1510は、図17に示すように、主制御基板1310からのコマンドに基づいて演出制御を行う周辺制御部1511と、この周辺制御部1511からの制御データに基づいて演出表示装置1600、サブ演出表示装置3114や上皿演出表示装置244の描画制御を行う演出表示制御部1512と、を備えている。」
「演出表示手段」を「演出表示装置」とする訂正については、訂正前の「演出表示手段」が、上記の摘記した記載において説明されるように、「周辺制御基板1510」が備える「演出表示制御部1512」が「描画制御」する「演出表示装置1600、サブ演出表示装置3114や上皿演出表示装置244」といった各種の表示装置のうち、「演出表示装置」(演出表示装置1600)であることを特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(ウ) したがって、訂正事項2-1に係る訂正により、「演出実行手段」が「周辺制御基板」であること及び「演出表示手段」が「演出表示装置」であることを特定することは、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ 続いて、訂正事項2-2について検討する。
(ア) 訂正前の請求項1は、「複数の演出の中から演出を決定」し、「決定された演出を実行」し、「演出表示手段」に「実行された演出を表示可能」とする制御の手順を特定するものであるが、ここで、「実行された演出を表示可能」としていることについては、「実行された演出」、すなわち、いったん表示された演出を「表示可能」とすることを意味しているように理解される余地を残しており、制御の手順が必ずしも明瞭に記載されているとはいえなかった。
(イ) そして、訂正前の請求項1の全記載からは、「複数の演出」について、「演出実行手段」によって「実行される演出」を、「演出表示手段」に「表示可能」とするという制御の手順を示していると理解するのが自然であるから、訂正事項2-2は、訂正前の請求項1における、「実行された演出を表示可能」という明瞭でない記載を、その本来の意味である「実行される演出を表示可能」という記載に訂正して、その意味を明瞭にするものと認められる。
また、上記したように請求項1の記載を「実行される演出を表示可能」と訂正することは、上記(1)ウで検討した、「演出実行手段」に対応する、「周辺制御基板1510」の「演出表示制御部1512」が、「決定された演出」について、「周辺制御部1511からの制御データに基づいて演出表示装置1600」の「描画制御を行う」旨の記載とも整合するものである。
(ウ) したがって、訂正事項2-2に係る、「(演出実行手段)によって実行された演出」を「(周辺制御基板)によって実行される演出」とする訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(3) 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、同項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものにも該当する。
2 特許法第126条第5項に規定する要件について
(1) 訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、上記1(1)で検討したように、特許請求の範囲の記載を、本件特許明細書の【0133】、【0209】、【1037】等の記載に基づいて、訂正前の「演出決定手段」(周辺制御基板1510の周辺制御部1511)及び「演出実行手段」(周辺制御基板1510の演出表示制御部1512)が、「周辺制御基板」(周辺制御基板1510)に搭載されていることを特定したものである。
よって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(2) 訂正事項2について
ア 訂正事項2-1について
訂正事項2-1に係る訂正は、上記1(2)イで検討したように、特許請求の範囲の記載を、本件特許明細書の【0133】、【0209】、【1037】等の記載に基づいて、訂正前の「演出実行手段」(周辺制御基板1510の演出表示制御部1512)が、「周辺制御基板」(周辺制御基板1510)に搭載されていることを特定し、「演出表示手段」が「演出表示装置」(演出表示装置1600)であることを特定したものである。
よって、訂正事項2-1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2-1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
イ 訂正事項2-2について
訂正事項2-2に係る訂正は、上記1(2)ウで検討したように、訂正前の請求項1に存在する、「実行された演出を表示可能」という明瞭でない記載を、その本来の意味である「実行される演出を表示可能」という記載に訂正して、その意味を明瞭にするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2-2に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3 特許法第126条第6項に規定する要件について
(1) 訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、上記1(1)で検討したように、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に記載の「演出決定手段」及び「演出実行手段」が、「周辺制御基板」(周辺制御基板1510)に搭載されていることを特定して限定したものであるから、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項2について
ア 訂正事項2-1について
訂正事項2-1に係る訂正は、上記1(2)イで検討したように、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に記載の「演出実行手段」が「周辺制御基板」に搭載されていること及び「演出表示手段」が「演出表示装置」であることを特定して限定したものであるから、訂正事項2-1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項2-1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2-2について
訂正事項2-2に係る訂正は、上記1(2)ウで検討したように、訂正前の請求項1における、「実行された演出を表示可能」という明瞭でない記載を、その本来の意味である「実行される演出を表示可能」という記載に訂正して、その意味を明瞭にするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。
よって、訂正事項2-2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 特許法第126条第7項に規定する要件について
訂正事項1、及び訂正事項2のうち訂正事項2-1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない(いわゆる独立特許要件)。
そこで検討するに、本件訂正前の請求項1に係る発明は、特許を受けることができない理由を発見しないとして特許を受けることができたものと認められるところ、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とする本件訂正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由が新たに発見される事情はない。
よって、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
5 まとめ
以上のとおり、訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
したがって、本件訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、本件訂正審判の請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
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