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特許訂正審判

2021-390176

遊技機

審判番号
2021-390176
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2019-216006
登録番号
6875753
請求日
2021年11月01日
審決日
2022年03月15日
公報発行日
2022年06月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 サンセイアールアンドディ
  • 【請求人代理人】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
審判長/審判官
  • 審判長 長崎 洋一
  • 審判官 鷲崎 亮
  • 審判官 北川 創
分類
P141 .841-Z (A63F) / P141 .851-Z (A63F) / P141 .852-Z (A63F) / P141 .853-Z (A63F) / P141 .854-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項特許法126条5項特許法126条6項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6875753号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 特許第6875753号(以下「本件特許」という。)は、令和1年11月29日の出願(特願2019-216006号)であって、令和3年4月27日にその特許権の設定登録がなされ、同年11月1日に本件訂正審判の請求がなされた後、当審において、令和4年1月4日付けで訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなかったものである。 2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める、との審決を求めるものである(以下、訂正前の「明細書」及び「特許請求の範囲」を、それぞれ「本件明細書」及び「本件特許請求の範囲」という。)。 (1)訂正事項1 本件特許請求の範囲の請求項1に「前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させてから前記報知演出を実行する」とあるのを、「前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させてから前記有利遊技状態になることを報知する報知演出を実行する」と訂正する。 (2)訂正事項2 本件特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 本件明細書の段落【0006】に「前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させてから前記報知演出を実行する」とあるのを、「前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させてから前記有利遊技状態になることを報知する報知演出を実行する」と訂正する。 3 訂正拒絶理由の概要 令和4年1月4日付けで当審が通知した訂正拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 訂正事項1及び3は、第1報知演出と第2報知演出とが同一の演出である場合に加え、両者が異なる演出である場合を新たに含み得るものであることから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当せず、また、同項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするもの、同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものには該当しない。そして、訂正事項1及び3が、同項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることに該当しないことは明らかである。 また、訂正事項1及び3は、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく同条第5項の規定に適合せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであることは明らかであることから、同条第6項の規定に適合しない。 4 当審の判断 (1)訂正事項1及び3について ア 訂正の目的について (ア)特許請求の範囲の減縮について 訂正事項1及び3は、本件特許請求の範囲の請求項1及び本件明細書の段落【0006】において、「前記特別図柄が変動表示されてから前記有利遊技状態にするという判定の結果を示す態様で停止表示されるまでの間に、前記有利遊技状態になることを報知する報知演出を実行してから前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させるとき」における「報知演出」(以下、本件審判請求書の記載に倣い「第1報知演出」という。)と、「前記特別図柄が変動表示されてから前記有利遊技状態にするという判定の結果を示す態様で停止表示されるまでの間に、前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させてから前記報知演出を実行するとき」における「報知演出」(以下、同様に「第2報知演出」という。)とが実施されるところ、第2報知演出について、「前記報知演出」から「前記有利遊技状態になることを報知する報知演出」と変更するものである。 ここで、本件特許請求の範囲の請求項1及び本件明細書の段落【0006】では、第2報知演出について「前記報知演出」と特定していることから、第1報知演出と第2報知演出とは同一の演出であると解される。一方、訂正事項1及び3は、第2報知演出について、「前記有利遊技状態になることを報知する報知演出」と特定するものであるが、その結果、第2報知演出は「前記有利遊技状態になることを報知する報知演出」であればどのような報知演出であっても良く、パチンコ遊技機の技術分野において有利遊技状態になることを報知する報知演出は多種多様な演出が存在することが技術常識であることも考慮すると、訂正事項1及び3は、第1報知演出と第2報知演出とが異なる演出である場合も含み得るものであると解される。 してみると、訂正事項1及び3は、第1報知演出と第2報知演出とが同一の演出である場合に加え、両者が異なる演出である場合を新たに含み得るものであることから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。 (イ)誤記又は誤訳の訂正について 次に、訂正事項1及び3が、同項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正に該当するかについて検討する。本件特許請求の範囲の請求項1及び本件明細書の段落【0006】において、第2報知演出を「前記報知演出」と特定している点は、上述のとおり、第1報知演出と第2報知演出とが同一の演出であると解される点において文意は明らかであることから、誤記又は誤訳が存在するとは認められない。 また、本件明細書には、以下のとおり記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。 「【0449】 また、第1実施形態では、フィナーレ演出やキャラクターリーチにおける大当たり示唆演出に共通して、盤可動装置55が作動し、盤可動体55k全体が正面視で作動位置まで下降し、所定時間その位置で保持され、さらに、このとき、回転部材55k1が回転すると共に、表示部50aの全体に、盤可動体55kの動作に伴うエフェクト画像G13が表示される演出が行われる。以下において、この共通する演出のことを「大当たり確定報知演出」と称する。そして、パチンコ遊技機PY1においては、大当たりの場合に、大当たり確定報知演出が実行された後に、大当たりを示す態様で演出図柄EZ1~EZ3の暫定的な停止表示が行われる場合(キャラクターリーチ大当たり変動に基づく特図変動演出)と、大当たりを示す態様で演出図柄EZ1~EZ3の暫定的な停止表示が行われた後に、大当たり確定報知演出が実行される場合(即当たり大当たり変動に基づく特図変動演出)と、がある。…(略)…」 「【0471】 8-3-1.発明C1 発明C1に係る遊技機は、 遊技者に有利な有利遊技状態(大当たり遊技状態、高確率高ベース遊技状態、低確率高ベース遊技状態)にするか否かの判定(大当たり判定、大当たり図柄種別判定)を行い、当該判定で前記有利遊技状態にすると判定した場合に前記有利遊技状態にする遊技制御手段(遊技制御用マイコン101)と、 演出を制御する演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、 前記演出制御手段は、前記判定の結果に基づいて演出図柄の変動表示(演出図柄EZ1~EZ3)を実行可能である遊技機において、 前記演出制御手段は、前記判定で前記有利遊技状態にすると判定された場合、前記有利遊技状態になることを報知する報知演出(盤可動装置55が作動し、盤可動体55k全体が正面視で作動位置まで下降し、所定時間その位置で保持され、さらに、このとき、回転部材55k1が回転すると共に、表示部50aの全体に、盤可動体55kの動作に伴うエフェクト画像G13が表示される演出)を実行した後に、前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させるときと、前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させた後に、前記報知演出を実行するときとがあることを特徴とする遊技機。」 本件明細書の上記記載に基づけば、第1報知演出及び第2報知演出は、いずれも本件明細書の「盤可動装置55が作動し、盤可動体55k全体が正面視で作動位置まで下降し、所定時間その位置で保持され、さらに、このとき、回転部材55k1が回転すると共に、表示部50aの全体に、盤可動体55kの動作に伴うエフェクト画像G13が表示される演出」である「大当たり確定報知演出」に対応することは明らかであり、本件特許請求の範囲の請求項1及び本件明細書の段落【0006】において、第2報知演出が「前記報知演出」と特定されていることとの矛盾もない。 さらに、審判請求人は令和2年10月29日提出の意見書において、「本願発明の「前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させた後に、前記報知演出を実行するとき」の「前記報知演出」には「前記」と記載されているから、「前記判定で前記有利遊技状態にすると判定された場合、前記有利遊技状態になることを報知する報知演出を実行した後に、前記有利遊技状態になることを示す態様で前記演出図柄を停止表示させるとき」の「報知演出」と同一の演出であると解するのが妥当であると考えられ」ると主張しており、「前記報知演出」との用語に係る技術的意義を積極的に論じていることからしても、「前記報知演出」との記載が誤記又は誤訳であったとも認められない。 してみると、訂正事項1及び3は、同項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものには該当しない。 (ウ)明瞭でない記載の釈明等について 上述のとおり、本件特許請求の範囲の請求項1及び本件明細書の段落【0006】において第1報知演出と第2報知演出とが同一の演出であることは明らかであり、上記意見書における主張内容とも矛盾するように解されるものの、審判請求人は本件審判請求書において、第1報知演出及び第2報知演出は、本件明細書ではそれぞれ「大当たり示唆演出」及び「フィナーレ演出」という異なる演出名で特定されており、「第1報知演出と第2報知演出とが完全に同一の演出であるかのうに解釈されるおそれがあり、不明瞭となっている」(合議体注:「あるかのうに」は「あるかのように」の誤記と認められる。)旨を主張することから、訂正事項1及び3が、同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当するか、本件明細書の記載も参酌して検討する。 上述した本件明細書の段落【0449】及び【0471】の記載から明らかなとおり、第1報知演出及び第2報知演出が、「大当たり示唆演出」及び「フィナーレ演出」の全体に対応するのではなく、「大当たり示唆演出」及び「フィナーレ演出」において共通して行われる、「盤可動装置55が作動し、盤可動体55k全体が正面視で作動位置まで下降し、所定時間その位置で保持され、さらに、このとき、回転部材55k1が回転すると共に、表示部50aの全体に、盤可動体55kの動作に伴うエフェクト画像G13が表示される演出」である「大当たり確定報知演出」に対応することは、先に述べたとおりである。 してみると、本件特許請求の範囲の請求項1及び本件明細書の段落【0006】において「前記報知演出」と特定される点について、本件明細書の記載を踏まえても、審判請求人が主張するような不明瞭さは存在しないことから、訂正事項1及び3は、同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものには該当しない。 また、訂正事項1及び3が、同項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることに該当しないことは明らかである。 (エ)小括 以上のことから、訂正事項1及び3は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものでない。 イ 新規事項の有無について 上記アに示したとおり、訂正事項1及び3は、第1報知演出と第2報知演出とが異なる演出である場合を新たに含み得るものであるが、本件明細書には、「盤可動装置55が作動し、盤可動体55k全体が正面視で作動位置まで下降し、所定時間その位置で保持され、さらに、このとき、回転部材55k1が回転すると共に、表示部50aの全体に、盤可動体55kの動作に伴うエフェクト画像G13が表示される演出」という「大当たり確定報知演出」を、第1報知演出と第2報知演出とすることは開示されているものの(上記段落【0449】及び【0471】を参照。)、「大当たり確定演出」を第1報知演出と第2報知演出とで異なる演出とすることについては、記載も示唆もされていない。 したがって、訂正事項1及び3は、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第126条第5項の規定に適合しない。 ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について 上記アに示すように、訂正事項1及び3は、第1報知演出と第2報知演出とが異なる演出である場合を新たに含み得るものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであることは明らかである。 よって、訂正事項1及び3は、特許法第126条第6項の規定に適合しない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項の削除であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、訂正事項2は、本件特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項2の削除であるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。よって、同条第5項及び第6項の規定にも適合する。 (3)一群の請求項について 本件特許請求の範囲の請求項1及び2について、請求項2は、請求項1の記載を直接的に引用する請求項であるから、訂正事項1によって請求項1に連動して訂正がされるものである。そのため、請求項1及び2は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項に該当する。 5 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1及び3は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものではなく、同条第5項及び第6項の規定にも適合しない。よって、訂正事項1及び3に係る訂正は認められない。 また、本件訂正審判の請求に係る訂正事項2は、同条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同条第5項及び第6項の規定に適合する。しかしながら、訂正事項1及び3に係る訂正が認められないため、請求項1と共に一群の請求項を構成する請求項2についての訂正事項2に係る訂正も、一体的に認められない。 したがって、本件訂正審判の請求による請求項1及び2並びに明細書の段落【0006】についての訂正は、認められない。 よって、結論のとおり審決する。

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