特許訂正審判
2017-390137
グリース組成物及び転動装置
- 審判番号
- 2017-390137
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2003-338473外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年12月01日
- 審決日
- 2018年01月24日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (C10M) / P141 .853-Y (C10M) / P141 .856-Y (C10M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4360166発明「グリース組成物及び転動装置」に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4360166号の明細書及び特許請求の範囲を本件訂正審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第4360166号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成15年9月29日に出願され、平成21年8月21日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許権者日本精工株式会社(以下、「特許権者」という。)より請求項1ないし3に対して、平成29年12月1日に訂正審判の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4360166号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認めるとの審決を求めるものである。
そして、その訂正の内容は、次の訂正事項1ないし9のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記第二増ちょう剤は、第一増ちょう剤及び第二増ちょう剤の全体量を100重量%に対して」と記載されているのを「前記第二増ちょう剤は、第一増ちょう剤及び第二増ちょう剤の全体量100重量%に対して」に訂正する。
また、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2、3も併せて訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「100重量%に対して40重量%~70重量%であり」と記載されているのを「100重量%に対して50重量%であり」に訂正する。
また、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2、3も併せて訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)が、基油の50重量%以上70重量%以下であり」と記載されているのを「前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)が、基油の50重量%であり」に訂正する。
また、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2、3も併せて訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「前記第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤の全量が、グリース組成物全体の24~28重量%である」と記載されているのを「前記第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤の全量が、グリース組成物全体の24重量%である」に訂正する。
また、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2、3も併せて訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0012】に「前記第二増ちょう剤は、第一増ちょう剤及び第二増ちょう剤の全体量を100重量%に対して40重量%~70重量%であり」と記載されているのを「前記第二増ちょう剤は、第一増ちょう剤及び第二増ちょう剤の全体量100重量%に対して50重量%であり」に訂正し、同段落の「前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)が、基油の50重量%以上70重量%以下であり」と記載されているのを「前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)が、基油の50重量%であり」に訂正し、同段落の「前記第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤の全量が、グリース組成物全体の24~28重量%である」と記載されているのを「前記第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤の全量が、グリース組成物全体の24重量%である」に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0014】に「増ちょう剤全量に対して、前記ジウレア化合物を30~80重量%、前記フッ素樹脂を70~20重量%の範囲で含むことが好ましく、特に、ジウレア化合物を30~60重量%、フッ素樹脂を70~40重量%の範囲で含むことが好ましい。」と記載されているのを「増ちょう剤全量に対して、ジウレア化合物を50重量%、フッ素樹脂を50重量%の範囲で含む。」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0015】に「前記基油が、基油全量に対して、エステル系合成油を30~80重量%、パーフルオロポリエーテル油を70~20重量%含むことが好ましい。」と記載されているのを「前記基油が、基油全量に対して、エステル系合成油(芳香族エステル油)を50重量%、パーフルオロポリエーテル油を50重量%含む。」に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落【0016】に「前記第一増ちょう剤及び前記第二増ちょう剤の合計量が、前記グリース組成物全体の5~40重量%であることが好ましい。」と記載されているのを「前記第一増ちょう剤及び前記第二増ちょう剤の合計量が、前記グリース組成物全体の24重量%である。」に訂正し、同段落の「ただし、グリース組成物の混和ちょう度、及び、転動装置への適用の観点からは、増ちょう剤の含有量がグリース組成物全体の10~30重量%であることが好ましい。」と記載されているのを「ただし、グリース組成物の混和ちょう度、及び、転動装置への適用の観点からは、増ちょう剤の含有量がグリース組成物全体の24重量%であることが好ましい。」に訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0068】の表1の実施例2~6を参考例5~9に訂正し、明細書の段落【0061】、【0064】及び【0067】の「実施例1~6、参考例1~4」と記載されているのを「実施例1、参考例1~9」に訂正し、明細書の段落【0062】の「実施例1~10」と記載されているのを「実施例1、参考例1~9」に訂正する。
第3 当審の判断
1.訂正の目的(特許法第126条第1項ただし書)について
まず、上記訂正事項1~9の各訂正事項に係る本件訂正が、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものであるか、検討する。
(1)訂正事項1について
訂正前の請求項1において「前記第二増ちょう剤は、第一増ちょう剤及び第二増ちょう剤の全体量を100重量%に対して」と記載されているところ、「全体量を100重量%に対して」なる日本語表記は意味をなさず、不明瞭である。当該記載は、第一増ちょう剤及び第二増ちょう剤の全体量を100重量%とした場合の第二増ちょう剤の含量を規定するものであるから、訂正事項1は、本来の意味を明確にするため、「前記第二増ちょう剤は、第一増ちょう剤及び第二増ちょう剤の全体量100重量%に対して」と訂正するものである。
訂正事項1は、明瞭でない日本語表記の本来の意味を明確にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1において「100重量%に対して40重量%~70重量%であり」と記載されているところ、「100重量%に対して50重量%であり」と訂正するものであり、当該訂正は、第二増ちょう剤の含量範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項1において「前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)が、基油の50重量%以上70重量%以下であり」と記載されているところ、「前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)が、基油の50重量%以下であり」と訂正するが、当該訂正は、パーフルオロポリエーテル油(PFPE)の基油における含量範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項1において「前記第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤の全量が、グリース組成物全体の24~28重量%である」と記載されているところ、「前記第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤の全量が、グリース組成物全体の24重量%である」と訂正するが、当該訂正は、第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤のグリース組成物における含量範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とが一致せず不明りょうとなっているため、明細書の段落【0012】の記載を、訂正後の請求項1の記載に合わせて、不明りょうな記載である「全体量を100重量%に対して」を「全体量100重量%に対して」に訂正し、第二増ちょう剤の含量を「40重量%~70重量%」から「50重量%」に減縮訂正し、パーフルオロポリエーテル油(PFPE)の含量を「50重量%以上70重量%以下」から「50重量%」に減縮訂正し、前記第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤の全量を「24~28重量%」から「24重量%」に減縮訂正するものである。
訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(6)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とが一致せず不明りょうとなっているため、明細書の段落【0014】の記載を、訂正後の請求項1の記載に合わせて、「ちょう剤全量に対して、前記ジウレア化合物を30~80重量%、前記フッ素樹脂を70~20重量%の範囲で含むことが好ましく、特に、ジウレア化合物を30~60重量%、フッ素樹脂を70~40重量%の範囲で含むことが好ましい。」から「増ちょう剤全量に対して、ジウレア化合物を50重量%、フッ素樹脂を50重量%の範囲で含む。」に減縮訂正するものである。
訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(7)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とが一致せず不明りょうとなっているため、明細書の段落【0015】の記載を、訂正後の請求項1の記載に合わせて、「前記基油が、基油全量に対して、エステル系合成油を30~80重量%、パーフルオロポリエーテル油を70~20重量%含むことが好ましい。」から「前記基油が、基油全量に対して、エステル系合成油(芳香族エステル油)を50重量%、パーフルオロポリエーテル油を50重量%含む。」に減縮訂正するものである。
訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(8)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とが一致せず不明りょうとなっているため、明細書の段落【0016】の記載を、訂正後の請求項1の記載に合わせて、「前記第一増ちょう剤及び前記第二増ちょう剤の合計量が、前記グリース組成物全体の5~40重量%であることが好ましい。」から「前記第一増ちょう剤及び前記第二増ちょう剤の合計量が、前記グリース組成物全体の24重量%である。」に減縮訂正し、「ただし、グリース組成物の混和ちょう度、及び、転動装置への適用の観点からは、増ちょう剤の含有量がグリース組成物全体の10~30重量%であることが好ましい。」から「ただし、グリース組成物の混和ちょう度、及び、転動装置への適用の観点からは、増ちょう剤の含有量がグリース組成物全体の24重量%であることが好ましい。」に減縮訂正するものである。
訂正事項8は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(9)訂正事項9について
訂正事項9は、明細書の段落【0061】、【0062】、【0064】、【0067】及び【0068】【表1】には、訂正事項2~4における特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴って訂正後の請求項1の技術的範囲に含まれなくなった態様が実施例として記載されているため、明細書の段落【0068】の表1の実施例2~6を参考例5~9に訂正し、訂正後の明細書の段落【0061】、【0064】及び【0067】の「実施例1~6、参考例1~4」と記載されているのを「実施例1、参考例1~9」に訂正するものである。なお、明細書の段落【0062】の「実施例1~10」との記載は、平成21年6月19日付手続補正書による補正により「実施例1~6」に補正すべきところ、補正されずに出願時明細書の記載のままとなっていた記載である。
訂正事項9は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(10)小括
以上のとおり、訂正事項1,5~9は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、訂正事項2~4は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
2.新規事項の追加の有無(特許法第126条第5項)について
上記1.のとおり、訂正事項1,5~9は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、訂正事項2~4は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものと認められる。
したがって、訂正事項1~9に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3.特許請求の範囲の拡張・変更(特許法第126条第6項)について
上記1.のとおり、訂正事項1,5~9は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、訂正事項2~4は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許請求の範囲は、拡張・変更されないと認められる。
したがって、訂正事項1~9に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4.独立特許要件(特許法第126条第7項)について
上記訂正事項2~4の訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1~3に係る発明は、いずれも発明の特定事項をさらに限定するものであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、本訂正により特許法第36条第4項第1号又は第6項に規定する要件を満たさなくなるものでもないから、独立特許要件を満たし、訂正事項2~4は、特許法第126条第7項に規定される要件に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求の請求に係る訂正事項は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、特許法同条第5項から第7項までの規定に適合するので、本件訂正請求による訂正を認める。
よって、結論のとおり決定する。
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