審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2023-701256

ホットメルト組成物

審判番号
2023-701256
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-008877外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7283905
請求日
2023年11月29日
審決日
2024年06月28日
公報発行日
2024年09月27日
結論
請求成立(取消)
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-ZC (C08L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7283905号発明「ホットメルト組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7283905号の請求項1、3ないし6に係る特許を取り消す。 特許第7283905号の請求項2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7283905号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成31年1月23日を出願日とする出願であって、令和5年5月22日にその特許権の設定登録がされ、同年同月30日に特許掲載公報が発行された。 本件特許の請求項1~6に係る特許に対して、令和5年11月29日に特許異議申立人濱田かおり(以下、単に「申立人」という。)より、特許異議の申立てがされた。 当審において、令和6年2月22日付けで、本件特許の請求項1、3~6に係る特許に対して取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。 第2 本件発明の認定 本件特許の請求項1~6に係る発明は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 (A)非晶性ポリαオレフィン、 (B)重量平均分子量が35000以上の結晶性プロピレン系重合体、および (C)粘着付与樹脂 を含むホットメルト組成物であって、 (A)非晶性ポリαオレフィンは、(A1)軟化点が150℃以上の非晶性ポリαオレフィンを含み、 成分(B)は、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが5~350g/10分である結晶性プロピレン系重合体を含み、 成分(A)、(B)および(C)の総重量100重量部に対し、成分(A)の含有量は50~80重量部であり、成分(B)の含有量は1~18重量部であり、成分(C)の含有量は10重量部以上、40重量部以下であるホットメルト組成物(ただし、下記(i)の接着性樹脂組成物を含まない); (i)エチレン・酢酸ビニル共重合体(a)30~98重量%と 下記要件(b-1)および(b-2)を共に満たすプロピレン系重合体(b)60~0重量%、並びに下記要件(c-1)および(c-2)を満たすプロピレン系重合体(c)40~100重量%(ここで、成分(b)と成分(c)とは合計して100重量%)からなるプロピレン系樹脂組成物(P)70~2重量%(ここで、成分(a)と成分(P)は合計して100重量%)と からなる接着性樹脂組成物、 (b-1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点Tm(b)が120~170℃である。 (b-2)メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重下)が0.1~500g/10分である。 (c-1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点Tm(c)が120℃未満または融点が観測されない。 (c-2)メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重下)が0.1~500g/10分である。 【請求項2】 (A)非晶性ポリαオレフィンは、(A1-1)軟化点が150℃以上の非晶性エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体と、(A2)軟化点が150℃未満の非晶性エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体とを含む、請求項1に記載のホットメルト組成物。 【請求項3】 さらに、(D)ワックスを含む、請求項1又は2に記載のホットメルト組成物。 【請求項4】 請求項1~3のいずれか一項に記載のホットメルト組成物が塗布されたポリオレフィン系基材。 【請求項5】 請求項4に記載のポリオレフィン系基材を備えた車輌用内装材。 【請求項6】 請求項5に記載の車輌用内装材を有する車輌。」 以下では、本件の請求項1~請求項6に係る発明を、順に「本件発明1」~「本件発明6」といい、これらをまとめて「本件発明」ともいう。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。 第3 特許異議申立書の申立理由 1 特許異議申立書(以下「申立書」ということがある。)の申立理由 (1)申立理由1(甲第1号証又は甲第2号証に基づく新規性欠如) ア 本件特許の請求項1、3~6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3~6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 イ 本件特許の請求項1、3に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)申立理由2(甲第1号証又は甲第2号証を主引例とする進歩性欠如) ア 本件特許の請求項1、3~6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3~6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 イ 本件特許の請求項1、3に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 ウ 本件特許の請求項2に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 証拠方法 (1)申立書に添付した証拠方法 ・甲第1号証:特表2009-504891号公報 ・甲第2号証:特開2016-155916号公報 ・甲第3号証:特開2009-57397号公報 ・甲第4号証:特開2005-298758号公報 ・甲第5号証:特開2005-290296号公報 ・甲第6号証:L-MODUTM(出光興産株式会社)カタログ (2)当審が職権調査により発見した証拠方法 ・参考文献1:特表2016-524002号公報 以下、「甲第1号証」等を、番号にあわせて「甲1」等といい、「参考文献1」と「参1」という。 第4 取消理由の概要 当審において、本件発明1、3~6に係る特許に対して、令和6年2月22日付けで特許権者に通知した取消理由(進歩性)の概要は、次のとおりである。 本件特許の請求項1、3~6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1又は甲2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 第5 当審の判断 本件特許の請求項1、3~6に係る特許は、上記第4の取消理由(進歩性)によって、取り消されるべきものである。 以下、甲1を主引例とする進歩性欠如、甲2を主引例とする進歩性欠如の順に検討する。 1 甲1を主引例とする進歩性欠如 (1)甲1に記載された事項及び甲1に記載された発明 ア 甲1に記載された事項 甲1には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 ホットメルト接着剤組成物であって、以下の成分: 約5重量%~50重量%のガラス状のポリ-α-オレフィン; 約5重量%~70重量%のゴム状ポリマー; 約5重量%~65重量%の相溶性粘着付与剤; 約0重量%~3重量%の安定剤; 約0重量%~10重量%の可塑剤;および、 約0重量%~50重量%のワックス; のブレンドを含み、 該組成物の上記成分を加えて100重量%になる組成物。 【請求項2】 約10重量%~30重量%のガラス状ポリ-α-オレフィンポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 ガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーが60℃より高い融点を有する、請求項1に記載の組成物。 【請求項4】 ガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーが100℃より高い融点を有する、請求項1に記載の組成物。 【請求項5】 ガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーが120℃より高い融点を有する、請求項1に記載の組成物。 【請求項6】 ガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーが130℃より高い融点を有する、請求項1に記載の組成物。 【請求項7】 ガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーが約0.1g/10分~2,000g/10分の溶融流量を有する、請求項1に記載の組成物。 【請求項8】 ガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーが約5g/10分~200g/10分の溶融流量を有する、請求項1に記載の組成物。 【請求項9】 ガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーが約8g/10分~100g/10分の溶融流量を有する、請求項1に記載の組成物。 【請求項10】 ガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーが、C2~C10炭素を有する少なくとも1種のα-オレフィンの重合生成物を含むポリマーである、請求項1に記載の組成物。 【請求項11】 ガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーが、主として、プロピレン(C3)モノマー単位を含む、請求項10に記載の組成物。 【請求項12】 約15重量%~55重量%のゴム状ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。 ・・・ 【請求項19】 前記ゴム状のポリマーが、非晶質ポリ-α-オレフィン類(APAO)、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリエチレンプラストマー、ポリプロピレンプラストマー、ポリイソプレンおよびポリブタジエンからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。 【請求項20】 約30重量%~50重量%の粘着付与剤を含む、請求項1に記載の組成物。 ・・・ 【請求項24】 ラミネート構造を製造する方法であって、 接着剤受容表面を有する第1の基板を用意し; 第2の基板を用意し; 第1の基板の前記接着剤受容表面上に請求項1に記載のホットメルト接着剤を塗被し; 加圧下、第1および第2の基板を相互に接触させて第1の基板を第2の基板に接着させる; 各工程を含む方法。 ・・・ 【請求項47】 接着剤受容表面を有する第1の基板; 前記接着剤受容表面に面する表面を有する第2の基板;および、 前記第1および第2の基板を一緒に接着してラミネート構造を形成する前記第1の基板の前記接着剤受容表面に配置した請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物; を含むラミネート構造。 ・・・ 【請求項70】 ホットメルト接着剤としてそれに塗被された請求項1に記載の組成物を少なくとも一部含む自動車ヘッドライナー。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0017】 発明の概要 したがって、本発明の目的は、本明細書にて上記した要求に合致するポリオレフィン基体のホットメルト接着剤組成物を提供することである。 【0018】 もう1つの目的は、耐久性を有する物品を製造するための組み立て用途にて本発明の接着剤を使用する技術を教示することである。 本発明のもう1つの目的は、本接着剤組成物を標的基板に塗被し、続いて、第2の基板に接着する方法または手段を提供することである。 【0019】 もう1つの目的は、本発明の組成物により接着された物品を提供することである。 本発明の目的は、ガラス状のα-オレフィンポリマー;軟質またはゴム状のポリマー;粘着付与剤;安定剤;および、場合によっては、ワックスおよび/または可塑剤を含む新規なポリオレフィン基体の接着剤組成物により満たされる。本組成物は、また、その特性をさらに改良するために、その他の添加剤および充填剤を含むのがよい。」 「【0027】 本発明のホットメルト接着剤組成物は、主要なポリマー成分の1つとして、約5重量%~50重量%、好ましくは、約10重量%~30重量%のガラス状のポリ-α-オレフィンポリマーを含む。ガラス状のポリ-α-オレフィンは、C2~C10炭素長を有する少なくとも1種のα-オレフィンモノマーのいずれかの重合生成物からなる群より選択しうる。2種以上の前記モノマー間のコポリマーが好ましい。本発明に適したポリマーは、通常、半結晶質であり、DSC法により測定される融点60℃より高い、好ましくは、100℃より高い、さらに好ましくは、120℃より高い、最も好ましくは、130℃より高い;ASTM D1238-190℃/2.16当りエチレンタイプのポリマーについてのメルトインデックス(MI)またはASTM D1238-230℃/2.16当りプロピレンタイプのポリマーについての溶融流量(MFR)0.1g/10分~2,000g/10分、好ましくは、5g/10分~200g/10分、最も好ましくは、8g/10分~100g/10分を有するのが有益である。本明細書にて上記したいずれのポリ-α-オレフィン類も、本発明に使用することができるが、主としてプロピレン(C3)モノマー単位からなるポリマーが好ましく;このようなプロピレンポリマーの例としては、慣用的なアイソタクチックプロピレンホモポリマーランダムおよびインパクトコポリマー、シンジオタクチックポリプロピレンホモおよびコポリマー(SPP)が挙げられる。本発明の組成物のためのさらに好ましいポリマーは、メタロセン触媒ホモポリマー;または、プロピレンとエチレンおよびC4~C10αオレフィンモノマーからなる群より選択される1種以上のその他α-オレフィンモノマーとのコポリマーである。最も好ましいガラス状のポリマーは、プロピレンとEPRまたはEPDMゴムとの2成分ポリマーブレンド類であり、後者のポリマーブレンドは、機械的ブレンドによるかまたはin situ重合法、例えば、Basellにより開発されたCatalloy TMのいずれかによって製造することができる。本明細書にて上記したタイプのポリ-α-オレフィン類の製造は、当業者周知であり、多数の製造元、例えば、Total Petrochemicalsから商標名Finacene TMおよびFinaplast TMの下、EXXsonMobil Chemical Company から商標名Exact TMの下、Basellから商標名AdflexTMの下に市販入手可能である。」 「【0032】 本発明の組成物は、第2の主要ポリマー成分として、約5重量%~70重量%、好ましくは、約15重量%~55重量%の、ガラス転移温度(Tg)20℃より低い、好ましくは、0℃より低い、最も好ましくは、-10℃より低い軟質またはゴム状のポリマーを含む。本明細書に記載する軟質またはゴム状のポリマーは、APAOとして公知の低分子量、本質的に非晶質のα-オレフィンポリマー類;または、合成ゴムとして慣用的に公知の軟質高分子量低引張強さの高分子材料の類を称し、これらとしては、エチレン-プロピレンゴム(EPR);エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM);ブチルゴム;ポリイソプレン;ポリブタジエン;および、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 【0033】 本発明にて有用なAPAOポリマーは、アタクチック、低分子量、低溶融粘度および本質的に非晶質のプロピレン基体のポリマーの数種の異なるカテゴリーからなる。これらポリマーは、当業者に周知であり、プロピレンのホモポリマーまたはプロピレンの1種以上のα-オレフィンコモノマー、例えば、エチレン、ブテン-1、ヘキセン-1およびオクテン-1とのコポリマーのいずれかであってもよい。本発明の範囲内のAPAOポリマーの平均重量分子量は、約1,000~約300,000g/mol、好ましくは、約10,000~約100,000g/molの範囲内である。前記ポリマーは、軟化点約80~170℃とガラス転移温度約-5~-40℃を有するので有益である。本明細書にて上記した物理的特性の範囲内に入るいずれのAPAOポリマーも使用することができるが、最も好ましいAPAOは、プロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンコポリマー、プロピレン-ブテン-1コポリマーおよびプロピレン-エチレン-ブテン-1ターポリマーからなる群より選択される。本明細書にて上記したタイプのAPAOポリマーは、Eastman Chemical Company,Kingsport,TNから商標名Eastoflexの下に、Huntsman Corporation,Houston,TXから商標名Reflexの下に、Degussa Corporation,Passipanny,NJから商標名Vestoplastの下に市販入手可能である。」 「【0034】 ・・・ 本発明のホットメルト接着剤に使用される粘着付与樹脂または粘着付与剤は、接着剤特性を拡張し、固有接着力(specific adhesion)を改善するものである。本明細書にて使用する場合、“粘着付与樹脂”という用語は: (a) ASTM法E28-58Tにより決定したRing & Ball軟化点10℃~160℃を有する脂肪族および脂環式石油炭化水素樹脂であり、後者の樹脂は、主に脂肪族および/または脂環式オレフィン類およびジオレフィン類からなるモノマーの重合によって生じ;また、水素化された脂肪族および脂環式石油炭化水素樹脂を含み;このタイプのC5オレフィン画分を基体とするこのような市販入手可能な樹脂の例は、Hercules Corpによって販売されているpiccotac95粘着付与樹脂およびExxonMobil Chemistry Companyによって販売されているEscoreze 1310LCである; ・・・ 【0035】 上記したように、本発明の範囲内で有用な粘着付与樹脂は、約5重量%~65重量%を占める。好ましくは、粘着付与樹脂は、いずれかの非極性タイプから選択され、これらは、市販入手可能である。好ましい樹脂は、脂肪族石油炭化水素樹脂であり、それらの例は、C5オレフィン、例えば、HerculesCorp.から入手可能なHercotac 1148を基体とする。軟化点70℃より上を有する水素化されたジシクロペンタジエン(DCPD)基体またはその芳香族改質誘導体が最も好ましい。このような樹脂の例は、ExxonMobil Chemical Companyによって販売されているEscoreze 5400およびEscoreze 5600である。」 「【0037】 ワックス類は、ホットメルト接着剤組成物の溶融粘度を低下させるために使用することができる。約0重量%~50重量%の可変量を本発明の組成物にて使用することができるが、好ましい量は、0重量%~25重量%である。これらワックス類は、また、接着剤の硬化時間および軟化点に影響を及ぼしうる。有用なワックス類としては: 1. ASTM法D-1321によって決定される硬度値約0.1~120を有し、ASTM軟化点約65℃~140℃を有する低分子量、すなわち、数平均分子量(Mn)500~6000に等しいポリエチレン; 2. 石油ワックス類、例えば、融点約50℃~80℃を有するパラフィンワックスおよび融点約55℃~100℃を有する微結晶質ワックスであり、その後者の融点は、ASTM法D127-60によって決定される; 3. 一酸化炭素および水素を重合させることによって製造される合成ワックス類、例えば、Fischer-Tropschワックス;および、 4. ポリオレフィンワックス類。本明細書で使用する場合、“ポリオレフィンワックス”という用語は、オレフィン性モノマー単位によって構成される高分子または長鎖オレフィンワックスを称す。このタイプの材料は、商標名“Epolene”の下、Eastman Chemical Co.より市販入手可能である。本発明の組成物にて使用するのに好ましい材料は、Ring & Ball軟化点約100℃~170℃を有する。理解されるであろうに、これら各ワックス希釈剤は、室温で固体である。」 「【0049】 本発明は、また、本明細書にて上記開示したホットメルト塗布装置を使用することによる接着剤組成物を塗布または塗被する方法に係り、この方法は、以下の工程を含む: 1. 適当な溶融容器、例えば、Nordson TM Hot meltメルター等の手段により、約250°F~約450℃、好ましくは、約300°F~約400°F、最も好ましくは、約350°F~約400°Fの温度で接着剤を溶融する; 2. ホットメルト組成物を第1の基板に塗被または塗布する; 3. 圧縮または加圧下それら基板を相互に接触させることにより前記第1の基板を第2の基板に接着する; 4. 接着した部品またはウエブを製造サイクルの続く加工工程に移す。 【0050】 好ましい実施態様にて、本発明のホットメルト接着剤は、スパイラルスプレーを使用し基板上に噴霧され、スパイラルスプレーは、工業的なアセンブリ用のフィラメント状のスパイラルパターンを製造するための好ましい技術である。・・・もう1つの好ましい実施態様にて、本発明の接着剤は、ビーズ塗布技術を使用することによって塗被される。この方法は、電気器具および自動車OEM業界にて特に一般的である。1つの例にて、接着剤ビーズは、手動グルーガン(manual glue gun)を介して塗被される。ビーズ径は、好ましくは、0.5mm~10mmの範囲内、好ましくは、0.5mm~5mmの範囲内、最も好ましくは、1mm~5mmの範囲内でコントロールされる。」 「【0052】 現代の耐久性物品OEM製造環境にて、多数の異なる構成部品または部品が含まれる種々かつ複雑な接着剤接着用途に出くわすことが多いかもしれない。これらの構成部品または部品は、通常、異なる材料製であり、したがって、広範なスペクトルの基板に対して良好な接着力を生じ、かつ、一体となった苛酷な使用環境に対して耐久性および耐熱性を有する接着剤に対する厳格な要件を有する。EVA、SBCブロックコポリマー、APAO、ポリエステルおよびポリアミドを基体とする従来技術のホットメルト類は、接着力もしくは耐熱性またはその両方を欠き、したがって、全ての要件に合致することはできない。本発明は、従来技術のホットメルトが金属、処理および未処理プラスチック、木材、織布および不織布、塗布および未塗布段ボール、ゴムホース、加硫ゴム断面材、ポリオレフィンおよびポリウレタン発泡体、電気ケーブル、配線およびガラスを相互にまたはそれ自体接着するために優れた接着力、接着耐久性および耐熱性を付与することのできなかった要件に合致するのに十分に適している。接着プロセスの最終製品としては、完成物品;続いて最終物品に製造される構成部品または部品;および、部品または完成物品を製造するためにさらに加工されるかもしくは組み込まれるかまたは組み合わされるであろう中間体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。」 「【0053】 試験および材料 ASTM- D-3236法に従い、350°Fで、Brookfield粘度を試験した。 ASTM E28法に従い、自動化したHerzogユニットで、Ring & Ball軟化点を決定した。 【0054】 クラフトをクラフトラミネートした標品に使用することにより、Minitrend TM 205自動剪断ステーションを備えたBlueM TMプログラム可能なオーブンで、剪断接着破損温度(SAFT)を測定した。試験標品を製造するために、ホットメルト接着剤を350°Fで溶融させ、高温プレート上に保ち、温め続けた。ついで、1ミル引落バーで100lbs/reamを上回る基本重量の1”幅の未使用クラフトライナーボード片に接着剤を塗被した。同シートの第2の片を即座に第1の片に接着して、1”×1”接着された面を生じさせた。周囲温度で少なくとも12時間のコンディショニング後、標品を剪断ステーション状態に置き、重り1kgを各標品の末端に架けた。オーブンをついで3°F/分の加熱速度で加熱した。接着破損温度の°FをSAFTとして記録した。 【0055】 100lbs/ream未使用クラフトライナーボード上に塗布したほぼ2mm径の接着剤ビーズで開放時間を測定した。ハンドグルーガンから塗被後直ちに、約0.25”幅のクラフトストリップをビーズ上に置き、一定の時間間隔で指で押圧した。各接着剤の予想される開放時間に従い、時間間隔を変化させた。接着剤が破損して繊維の引裂接着を生ずることのできない開始時間を開放時間と定義し、秒または分のいずれかで示す。 【0056】 以下の方法に従い、接着力を測定した。試験する接着剤を最初に350°Fで溶融させ、ついで、スパチュラを使用することにより、約1平方インチの面積を覆うように、未処理プラスチック試験プラクー(4″×1″×1/8″寸法)に塗被した。室温で24時間のコンディショニング後、Hyde TMパティナイフを使用することにより、プラクーから接着剤を剥ぐ試みを行った。接着剤が容易にかつねばねばして剥がれる場合、それを1と等級づけた。それが剥がれない場合、それを4と等級づけた。中間の等級2および3は、接着剤を剥がす困難性の程度に従い、割り当て、高い数字がより強力な接着を意味する。試験するために使用したプラスチックプラクーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネートおよびポリメチルメタクリレート製が挙げられる。これらプラスチック材料は、全て、市販供給元から入手され、以下に、さらに説明する。 【0057】 以下の方法で、接着環境耐久性試験を行った。試験標品を製造するために、図3に概略的に示すように、ハンドグルーガンを介して塗被した3mmビーズを使用することにより、複合体自動車ヘッドライナーボードのポリエステル不織布外層にポリエチレン自動車ヘッドライナー安全プラスチックを接着した。室温で24時間コンディショニング後、接着した標品をついで-20°Fで24時間、ついで、180°Fで24時間の3回の冷温サイクルに賦した。各サイクルの終了時に、剥離について、標品を観測した。剥離の見られなかった標品は、合格とし、剥離の見られた標品は、不合格とした。ついで、安全プラスチックをボードから手で剥がした。不合格のモードを記録した。 【0058】 Union Carbide DEFD1331 NAT等級の高密度ポリエチレン樹脂からポリエチレンプラスチック試験プラクーを製造した。それは、Union Carbide Corporation, Houston、TX、現在のDow Chemical of Midland,MIの1部門から入手した。 【0059】 Eastoman Chemical Company,Kingsport、TNから入手されるTenite V525等級のポリプロピレン樹脂からポリプロピレンプラスチック試験プラクーを製造した。 GE Plastics,Pitfield,MAから入手されるCycolvac AR 3501等級のABS樹脂からABSプラスチック試験プラクーを製造した。 【0060】 GE Plasticsによっても供給されているLexan L52-4158等級のポリカーボネート樹脂からポリカーボネートプラスチック試験プラクーを製造した。 Ato Haas,Philadelphia,PAによって供給されているPlexiglas V825等級樹脂からポリメチルメタクリレート試験プラクーを製造した。 【0061】 ポリエチレン自動車ヘッドライナー安全プラスチックおよび複合体自動車ヘッドライナーボードは、Oakwood Group,Inc.Dearborn,MIから入手した。 Finaplast 1751は、US特許5,476,914に開示されているような単一部位メタロセン触媒システムを使用することにより製造されるSPPsのプロピレン-エチレンコポリマータイプである。ポリマーは、約10重量%のエチレンを含有し、Total Petrochemicals Inc.,Houston,TXから市販入手可能である。それは、r値約95%、密度0.87g/ccおよびDSC融点130℃を有する。それは、ASTM法D-1238を使用することによって決定される溶融流量約25g/10分を有する。 【0062】 Finacene EOD 02-15は、Total Petrochemicalsから入手され、密度0.89g/ccおよびMFR約12を有するmRCPのプロピレン-エチレンコポリマータイプである。 N01096-02は、Total Petrochemicalsから入手され、約10重量%のエチレンを有する開発されたプロピレン-エチレンコポリマーSPPである。それは、r値約95%、密度0.87g/ccおよび溶融流量75g/10分を有する。 【0063】 N01163-Bは、Total Petrochemicalsから入手され、密度0.89g/ccおよび溶融流量100g/10分を有するmRCPタイプの開発されたプロピレン-エチレンコポリマーである。 Eastoflex P1010は、Eastman Chemical Company,Kingsport,TNから入手され、190℃でのBrookfield粘度約1,000cP、Tg約-10℃および軟化点約150℃を有するAPAOのアタクチックのホモポリプロピレンタイプである。 【0064】 Eastoflex P1023は、Eastman Chemical Company,Kingsport,TNから入手され、190℃でのBrookfield粘度約2,300cP、Tg約-10℃および軟化点約155℃を有するAPAOのアタクチックタイプのホモポリプロピレンタイプである。 【0065】 Eastoflex E1060も、また、Eastman Chemical Companyから入手され、190℃でのBrookfield粘度約6000cP、Tg約-23℃および軟化点約135℃を有するAPAOのアタクチックプロピレン-エチレンコポリマータイプである。 【0066】 Eastoflex E-1200も、また、Eastman Chemical Companyから入手され、190℃でのBrookfield粘度約12,000cP、Tg約-28℃および軟化点約135℃を有するAPAOのアタクチックプロピレン-エチレンコポリマータイプである。 【0067】 Vestoplast 703は、190℃でのBrookfield粘度約2700cP、Tg約-28℃および軟化点約124℃を有するプロピレンリッチなAPAOである。それは、Degussa Corporation,Parsippany,NJから市販入手可能である。 【0068】 Adflex X100Fは、Willmington,DEのBasell Polyolefinsから入手されるEPRおよび半結晶質のポリオレフィンのブレンドである。それは、密度0.90g/ccおよびMFR約8g/10分を有する。 【0069】 Piccotac 9095は、R & B軟化点100℃を有する芳香族改質されたC5脂肪族炭化水素樹脂である。それは、Eastman Corporationから購入される。 Epolene N-10は、密度0.925g/cc、125℃でのBrookfield粘度1,500cPおよびR & B軟化点約111℃を有するポリオレフィンワックスである。それは、Eastman Chemical Companyから市販入手可能である。 【0070】 Epolene-N-15は、密度0.902g/cc、190℃でのBrookfield粘度600cPおよびR & B軟化点約163℃を有するポリプロピレンワックスである。それは、また、Eastman Chemical Companyから市販入手可能である。 【0071】 Nyplast 222Bは、Nanas USA,Inc.,Houston,TXから入手される鉱油可塑剤である。 Indopol 100は、Chemicentral Milwakee,New Berlin,WIから購入され、低分子量のイソブテン-ブテンコポリマーを含む液体可塑剤である。 【0072】 Irganox 1010は、ヒンダードフェノールタイプの抗酸化剤である。それは、Ciba Speciality Chemicals,Tarrytown,NYから市販入手可能である。 Sylvarez ZT 115 LTは、R & B軟化点115℃を有するスチレン化されたテルペンである。それは、Arizona Chemicals,Panama City,Floridaから購入される。 【0073】 Vistamaxx 2210は、ExxonMobil Chemicals,Houston,TXから入手され、単一部位触媒を使用することによって製造されるプロピレン-エチレンコポリマーである。それは、約13重量%のエチレン単位を含有し、密度0.867g/ccおよびMFR約24g/分を有する。 【0074】 以下に記載する実施例によって、本発明をさらに例示する。 【実施例】 【0075】 実施例1~3 本明細書にて上記した成分および混合方法により、表1に示したホットメルト接着剤の実施例1~3を製造した。試料1は、SPPおよびmRCPの両方を含有し、他方、試料2および3は、SPP単独を基体とする。合計、各々、250グラムを製造し、モーターにより駆動されるプロペラ;加熱マントル;温度コントロールユニット;および、寸法約1ピントの容器からなる実験室タイプのミキサー内で、二酸化炭素雰囲気下、350~375°Fで混合を行った。表に示した比により計算されるSSCポリマー以外の各成分の適量を容器に加えた。容器の温度をついで上昇させて、内容物を溶融させた。容器内の成分が完全に溶解した後、モータのスイッチをオンにして、攪拌を開始した。続いて、SSCポリマー成分を導入した。これらの実施例は、本発明の組成物の使用により達成可能な広範囲の開放時間を有するように特に配合した。本明細書にて上記した方法に従い、実施例1~3の接着剤を試験し、その結果を表1に列挙する。 【0076】 【表1】 [図:0001414200000001.jpg] 」 「【0081】 本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、本明細書にて上記開示した構成部品を使用することにより、多くの実施態様および変更をなすことができる。 実施例11 本実施例は、本発明の接着剤を手動で塗被する方法およびそれにより接着される物品の製造を示す。実施例1の接着剤を空気循環オーブン内で350°Fに加熱して溶融させた。続いて、溶融した接着剤約50グラムをMiniSquirt手動グルーガンの試料チャンバに導入し、その温度を約350°Fに維持した。接着剤ビーズ径約3mmをついで自動車ヘッドライナーボードのポリエステル不織布側に塗被して、長方形面積約2”×3”寸法を覆った。長方形の各寸法にてHDPE自動車ヘッドライナー安全プラスチック約四分の一インチ(1/4”)より長の片を幾分か指で押してビーズに手動で塗被した。アセンブリ全体をついで室温まで冷却した。自動車ヘッドライナーボードと安全プラスチックとの間に強力な接着が形成された。このプロセスを実施例2~10の接着剤について繰り返した。室温で24時間コンディショニング後、接着した表品を本明細書にて上記概説したサイクル接着耐久性試験に賦した。サイクルの終了時に、接着一体性について標品を試験した。試験した標品のいずれにも剥離の徴候は存在せず、これらは、全て、接着環境耐久性試験に合格した。 【0082】 実施例12 本実施例は、パイロットホットメルトかまにて本発明の接着剤を製造する方法を示す。モータおよびプロペラを備えたジャケット付きのかま内で実施例2の配合物および成分を使用することにより、接着剤試料合計100ポンドを製造した。ホースによりジャケットに連結した循環オイルヒータによりそのジャケットを介してオイル媒体を循環させることにより、かまを約350°Fまで加熱した。以下の成分の各々、36ポンドのPiccotac 9095、0.5ポンドのIrganox 1010、22.3ポンドのEastoflex P1010および26.2ポンドのEastoflex E1200を攪拌下かまの口を通して順に緩やかに加えた。内容物をついで溶融させた。内容物の温度が350°Fに到達した後、15ポンドのFinaplast 1751ポリマーを加え、ついで、口を閉じた。ポリマーが完全に溶解するまで、二酸化炭素保護下、混合を継続した。接着剤試料をついで排出し、5ポンド容量のシリコーン塗布された紙器に充填し、次に使用するまで貯蔵した。 ・・・ 【0084】 実施例14 本実施例は、ホットメルト塗布装置を使用することによる本発明の接着剤を塗被する方法および接着した物品の製造を示す。図1に示したタイプのNordson Corporationから購入したMicrosetTMホットメルトコータを使用することにより、実施例12および13の接着剤試料を各々塗被した。コータは、本明細書にて上記したタイプのスパイラルスプレーノズルを固定したNordson Model AD-31STRを備えていた。実施例12の接着剤約10ポンドをコータの溶融タンクに加え、約375°Fまで加熱した。ホース温度もまた同様の温度に維持した。実施例11と同じタイプの自動車ヘッドライナー上に圧縮された空気の助けを借りて、接着剤を噴霧して、ほぼ4″×6″の面積を覆った。塗膜は、約15~20g/cm2に調節した。塗布したヘッドライナーボードをついで約同寸法の自動車安全プラスチックと合わせて一緒に接着して、物品を形成した。実施例13の接着剤について、同方法を繰り替えした。室温まで冷却後、手で物品を試験し、繊維引裂接着強さを示した。 【0085】 実施例15 本実施例は、ロボットコントロールしたビーズノズルを介して自動的に本発明の接着剤を塗被する方法およびそれで接着された物品の製造を示す。ABB Inc.,Auburn Hill,MIから購入したASEA Model IRB 6工業用ロボットのアームに、Nordson FoamMeltTMIRB FM151ホットメルトコータを連結した。塗布ヘッドをビーズノズルで固定し、ビーズの形で接着剤を計量した。塗布ヘッドは、また、必要とあれば、発泡体の形で接着剤の計量を可能とする空気混合チャンバを備えていた。長さ約6インチに複合体自動車ヘッドライナーボードに固体ビーズで実施例13の接着剤を塗被した。溶融タンクおよびコーチングヘッドを通して、塗布温度を375°Fに均一に設定した。接着剤ビーズ約5mm径を計量するように、ロボットをプログラムした。塗布後直ちに、約0.25”ODのゴムホースに接着剤ビーズを塗被して、接着された物品を製造した。自動車の配線に接着されたのと同様の自動車ヘッドライナーボードからなる1つの物品;および、ボードおよび高密度ポリエチレン(HDPE)ブレースからなるもう1つの物品を同様に製造した。これらの物品としては、自動車のインテリアトリム、例えば、ヘッドライナーに見られる接着された構成部品が挙げられる。」 イ 甲1に記載された発明 甲1において、実施例2に着目して、ホットメルト接着剤について整理すると、以下の発明が記載されている。 「Piccotac 9095 36.0wt%、Eastoflex P1010 22.3wt%、Eastoflex E1200 26.2wt%、Finaplast 1751 15.0wt%、Irganox 1010 0.5wt%からなるホットメルト接着剤。 ここで、上記各成分は、以下のとおりである。 ・Piccotac 9095は、R & B軟化点100℃を有する芳香族改質されたC5脂肪族炭化水素樹脂である。それは、Eastman Corporationから購入される。 ・Eastoflex P1010は、Eastman Chemical Company,Kingsport,TNから入手され、190℃でのBrookfield粘度約1,000cP、Tg約-10℃および軟化点約150℃を有するAPAOのアタクチックのホモポリプロピレンタイプである。 ・Eastoflex E-1200も、また、Eastman Chemical Companyから入手され、190℃でのBrookfield粘度約12,000cP、Tg約-28℃および軟化点約135℃を有するAPAOのアタクチックプロピレン-エチレンコポリマータイプである。 ・Finaplast 1751は、US特許5,476,914に開示されているような単一部位メタロセン触媒システムを使用することにより製造されるSPPsのプロピレン-エチレンコポリマータイプであり、ポリマーは、約10重量%のエチレンを含有し、Total Petrochemicals Inc.,Houston,TXから市販入手可能であって、r値約95%、密度0.87g/ccおよびDSC融点130℃、ASTM法D-1238を使用することによって決定される溶融流量約25g/10分を有する。 ・Irganox 1010は、ヒンダードフェノールタイプの抗酸化剤であり、Ciba Speciality Chemicals,Tarrytown,NYから市販入手可能である。」(以下、「甲1発明」という。) (2)甲2に記載された事項 甲2には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 (A)非晶性ポリα-オレフィン、(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン、及び(C)粘着付与樹脂を含み、 (A)~(C)の総重量100重量部に対して(C)が5~30重量部含まれており、 180℃での溶融粘度が3,000mPa・s以下であるホットメルト接着剤。」 「【0084】 (B)メタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα―オレフィン ・・・ (B2)ポリプロピレンホモポリマー(エルモーデュS600(商品名)、出光興産社製、MFR350g/10min:230℃、密度0.87g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー」 (3)甲4に記載された事項 甲4には、以下の事項が記載されている。 「【0032】 ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JISK 7210-1999に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した値で、・・・」 「【0046】 (4)三井化学(株)製(三井ポリプロ) (a)プロピレン単独重合体 J139(MFR=50)、J136(MFR=20)、CJ700(MFR=10)、J108M(MFR=45)、J107G(MFR=30)、J106G(MFR=15)、J105G(MFR=9)」 (4)甲5に記載された事項 甲5には、以下の事項が記載されている。 「【0034】 比較例3 非晶質ポリプロピレンホモポリマー(RT2180A 、DSC チャート図1、図2、重量平均分子量Mw7.1 万、ハンツマン社製)54.4重量部、非晶質エチレン・プロピレン共重合体(RT2280A 、重量平均分子量Mw6.9 万、ハンツマン社製)5.5重量部、テルペンフェノール樹脂系粘着付与剤(ポリスターT160、ヤスハラ化学工業株式会社製)28.8重量部、ポリプロピレン分解型ワックス(ハイワックスNP500、三井化学株式会社製)20.0重量部、結晶性ポリプロピレン樹脂(J107G、分子量22万、三井化学株式会社製)7.65重量部と水添スチレンブタジエンラバー(ダイナロン1321P、JSR株式会社製)3.65重量部及び酸化防止剤(アンテージDAH 、川口化学工業株式会社製)0.3重量部を容器に入れ約200~220℃に加熱し、これら成分が溶融した後、各成分が均一に分散するように十分に撹拌し、樹脂組成物を作成した。」 (5)参1に記載された事項 参1には、以下の事項が記載されている。 「【0045】 ベースポリマーは、表1に列挙された出光L-MODUポリプロピレンホモポリマーの1種であった。 【表2】 [図:0001414200000002.jpg] 」 (6)本件発明1について ア 対比 (ア)甲1発明の「Eastoflex P1010」は、軟化点約150℃を有するAPAOのアタクチックのホモポリプロピレンタイプであり、同「Eastoflex E-1200」は、軟化点約135℃を有するAPAOのアタクチックプロピレン-エチレンコポリマータイプであるから、いずれも本件発明1の「(A)非晶性ポリαオレフィン」に相当し、かつ、甲1発明の「Eastoflex P1010」は、本件発明1の「(A1)軟化点が150℃以上の非晶性ポリαオレフィン」に相当する。 (イ)甲1発明の「Finaplast 1751」は、SPPsのプロピレン-エチレンコポリマータイプであり、DSC融点130℃、ASTM法D-1238による溶融流量約25g/10分である。 ここで、本件明細書において、「結晶性を有する」とは明確な融点が存在すること(【0036】)と記載されていることを踏まえると、上記「Finaplast 1751」がDSC融点130℃を有することから、結晶性であると認められる。 そして、甲1では、ASTM D1238-230℃/2.16当りプロピレンタイプのポリマーについての溶融流量(MFR)を測定するものだから(【0027】)、上記「Finaplast 1751」は、本件発明1の「(B)」「結晶性プロピレン系重合体」であって、上述のように、「ASTM法D-1238による溶融流量約25g/10分」であるから、「230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが5~350g/10分である結晶性プロピレン系重合体」に相当する。 (ウ)甲1発明の「Piccotac 9095」は、R&B軟化点100℃を有する芳香族改質されたC5脂肪族炭化水素樹脂であり(【0069】)、甲1では粘着付与樹脂として用いられること(【0034】)が記載されていることから、本件発明1の「(C)粘着付与樹脂」に相当する。 (エ)甲1発明は、「ホットメルト接着剤」中に、「非晶性ポリαオレフィン」として「Eastoflex P1010」、「Eastoflex E1200」をそれぞれ22.3wt%、26.2wt%、「結晶性プロピレン系重合体」として「Finaplast 1751」を15.0wt%、「粘着付与樹脂」として「Piccotac 9095」を36.0wt%含有するものであるから、「非晶性ポリαオレフィン」、「結晶性プロピレン系重合体」、「粘着付与樹脂」の総重量を100重量部とすると、「非晶性ポリαオレフィン」が約48.7重量部(≒(22.3+26.2)×100/(22.3+26.2+15.0+36.0))、「結晶性プロピレン系重合体」が約15.1重量部(≒15.0×100/(22.3+26.2+15.0+36.0))、「粘着付与樹脂」が約36.2重量部(≒36.0×100/(22.3+26.2+15.0+36.0))となる。 そうすると、甲1発明において、「非晶性ポリαオレフィン」、「結晶性プロピレン系重合体」、「粘着付与樹脂」の総重量100重量部に対し、「結晶性プロピレン系重合体」が約15.1重量部、「粘着付与樹脂」が約36.2重量部であることは、本件発明1において「成分(B)の含有量は1~18重量部」、「成分(C)の含有量は10重量以上、40重量部以下」であることに相当する。 (オ)甲1発明は、本件発明1の「(i)の接着性樹脂組成物」を含有しない。 以上から、本件発明1と甲1発明とは、 「(A)非晶性ポリαオレフィン、 (B)結晶性プロピレン系重合体、および (C)粘着付与樹脂 を含むホットメルト組成物であって、 (A)非晶性ポリαオレフィンは、(A1)軟化点が150℃以上の非晶性ポリαオレフィンを含み、 成分(B)は、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが5~350g/10分である結晶性プロピレン系重合体を含み、 成分(A)、(B)および(C)の総重量100重量部に対し、成分(B)の含有量は1~18重量部であり、成分(C)の含有量は10重量部以上、40重量部以下であるホットメルト組成物(ただし、下記(i)の接着性樹脂組成物を含まない); (i)エチレン・酢酸ビニル共重合体(a)30~98重量%と 下記要件(b-1)および(b-2)を共に満たすプロピレン系重合体(b)60~0重量%、並びに下記要件(c-1)および(c-2)を満たすプロピレン系重合体(c)40~100重量%(ここで、成分(b)と成分(c)とは合計して100重量%)からなるプロピレン系樹脂組成物(P)70~2重量%(ここで、成分(a)と成分(P)は合計して100重量%)と からなる接着性樹脂組成物、 (b-1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点Tm(b)が120~170℃である。 (b-2)メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重下)が0.1~500g/10分である。 (c-1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点Tm(c)が120℃未満または融点が観測されない。 (c-2)メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重下)が0.1~500g/10分である。」 で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。 <相違点1> 成分(B)の結晶性プロピレン系重合体に関し、本件発明1では重量平均分子量が35000以上であるのに対し、甲1発明では不明である点 <相違点2> 成分(A)、(B)および(C)の総重量100重量部に対する成分(A)の含有量に関し、本件発明1では50~80重量部であるのに対し、甲1発明では48.7重量部である点 イ 判断 上記相違点について、順に検討する。 (ア)<相違点1>について 甲1発明の「Finaplast 1751」と同様に結晶性プロピレン系重合体である、いくつかの製品のMFRと重量平均分子量とを見てみると以下のとおりである。 まず、上記(2)に摘記した甲2より、結晶性のプロピレン系重合体である(B2)ポリプロピレンホモポリマー(エルモーデュS600(商品名)、出光興産社製)のMFRが350g/10minであり、上記(5)に摘記した参1より、同一商品である「L-MODE S600」の重量平均分子量が70000であることが把握できる。 ついで、上記(3)に摘記した甲4より、結晶性プロピレン樹脂(J107G、三井化学(株)製)のMFRが30g/10分であり、上記(4)に摘記した甲5より、同製品の重量平均分子量が22万であることが把握できる。 これらのMFRは、甲1発明の「結晶性プロピレン系重合体」の有する約25g/10分よりも大きいものであるところ、重量平均分子量はいずれも35000以上であり、一般に重量平均分子量とMFRとが相関することを踏まえると、甲1発明の「結晶性プロピレン系重合体」の重量平均分子量は、少なくとも35000以上である蓋然性が高いものである。 してみると、<相違点1>は実質的な相違点ではない。 (イ)<相違点2>について 甲1には、「ホットメルト接着剤組成物」中に、本件発明1の「(A)非晶性ポリαオレフィン」に相当する重合体として「ゴム状ポリマー」を、上記組成物の全量100重量%に対して「約5~70重量%」含むこと(請求項1)、APAO等のゴム状ポリマーを第2の主要ポリマー成分として、約5重量%~70重量%含むこと(【0032】)が記載されている。 してみると、「ゴム状ポリマー」の含有量を、約5重量%~70重量%の数値範囲から選択し、約48.7重量部近傍の50重量部程度とすることは、当業者には適宜なし得る設計変更である。 また、本件発明1において、「(A)非晶性ポリαオレフィン」の含有量が50~80重量部と特定されているところ、本件明細書には、この数値範囲にすることの技術的意義を説明する記載はない。 そして、本件明細書の実施例をみても、本件発明1の「(A)非晶性ポリαオレフィン」の含有量を特定の数値範囲とすることで、有利な効果を奏することが把握できないから、その数値範囲の上限下限には臨界的意義が見いだせない。 そうすると、甲1発明の「非晶性ポリαオレフィン」の含有量を、甲1に記載された数値範囲内で最適化することにより、本件発明1の「成分(A)の含有量」とすることは、当業者には格別の困難性を有しない。 したがって、<相違点2>における数値範囲は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が適宜なしうることである。 ウ 小括 本件発明1は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7)本件発明3について 本件発明3は、本件発明1又は2において、「さらに、(D)ワックスを含む」ことを、さらに特定するものである。 この点について、甲1には、ホットメルト接着剤組成物に、約0重量%~50重量%のワックスを含むこと(請求項1)、ワックス類は、ホットメルト接着剤組成物の溶融粘度を低下させるために使用できること(【0037】)が記載されており、当業者が適宜含有させればよいものである。 よって、本件発明3は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (8)本件発明4について 本件発明4は、本件発明1~3のいずれかに記載の「ホットメルト組成物が塗布されたポリオレフィン系基材」であることを、特定するものである。 この点について、甲1には、第1の基板の接着剤受容表面にホットメルト接着剤を塗被し、加圧下、第1及び第2の基板を相互に接触させて第1の基板を第2の基板に接着させること(請求項24)、ホットメルト塗布装置を使用することによる接着剤組成物を塗布又は塗被する方法として、ホットメルト接着剤を第1の基板に塗被又は塗布する工程、圧縮又は加圧下それら基板を相互に接触させることにより第1の基板を第2の基板に接着させる工程を有すること(【0049】)、金属、処理および未処理プラスチック、・・・、織布および不織布、・・・、ゴムホース、加硫ゴム断面材、ポリオレフィンおよびポリウレタン発泡体、電気ケーブル、配線・・・を相互にまたはそれ自体接着するために優れた接着力、接着耐久性および耐熱性を付与することのできなかった要件に合致するのに十分に適しているホットメルト接着剤組成物であること(【0052】)が記載されている。 これらの記載によると、ホットメルト組成物を基板に塗布又は塗被する際に、該基板がポリオレフィン発泡体であってよいことが把握できる。 してみると、本件発明4は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (9)本件発明5、6について 本件発明5は、本件発明4に記載の「ポリオレフィン系基材を備えた車輌用内装材」であることを、本件発明6は、本件発明5に記載の「車輌用内装材を有する車輌」であることを、特定するものである。 この点について、甲1では、ホットメルト接着剤の適用が自動車ヘッドライナーであること(請求項70)、実施例12では実施例2の配合物及び成分(「甲1発明」に相当。)を使用して接着剤を製造し、実施例14では上記接着剤を用いてヘッドライナーボードと自動車安全プラスチックを接着して物品を形成したことが記載されている。 これらの記載によると、ヘッドライナーボードと安全プラスチック(HDPE)とを接着剤で接着した物品を得たことが把握でき、上記物品はヘッドライナーであるから、車輌用内装材であり、当然に車輌に用いられるものである。 してみると、本件発明5、6は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (10)小括 以上から、本件発明1、3~6は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 甲2を主引例とする進歩性欠如 (1)甲2に記載された事項及び甲2に記載された発明 ア 甲2に記載された事項 甲2には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 (A)非晶性ポリα-オレフィン、(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン、及び(C)粘着付与樹脂を含み、 (A)~(C)の総重量100重量部に対して(C)が5~30重量部含まれており、180℃での溶融粘度が3,000mPa・s以下であるホットメルト接着剤。 【請求項2】 (A)非晶性ポリα-オレフィンがプロピレンに由来する化学構造を有する、請求項1に記載のホットメルト接着剤。 【請求項3】 (A)非晶性ポリα-オレフィンがプロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体を含んでいる、請求項1または2に記載のホットメルト接着剤。 【請求項4】 (A)非晶性ポリα-オレフィンは、さらに、ポリプロピレンホモポリマーを含んでいる、請求項3に記載のホットメルト接着剤。 【請求項5】 (B)結晶性ポリα-オレフィンがポリプロピレンホモポリマーを含んでいる、請求項1~4のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤。」 「【0034】 (A)非晶性ポリα-オレフィンは、(A)~(C)の総重量100重量部に対して20~90重量部含まれており、好ましくは39~83重量部含まれ、さらに好ましくは45~75重量部含まれている。」 「【0040】 (B)結晶性ポリα-オレフィンは、(A)~(C)の総重量100重量部に対して5~50重量部含まれており、好ましくは10~45重量部含まれ、さらに好ましくは25~40重量部含まれている。」 「【0046】 (C)粘着付与樹脂は、(A)~(C)の総重量100重量部に対して5~30重量部含まれており、好ましくは6~25重量部含まれ、さらに好ましくは7~20重量部含まれている。」 「【0070】 本発明に係るホットメルト接着剤は、一般的に知られているホットメルト接着剤の製造方法を用いて、(A)非晶性ポリα-オレフィン、(B)結晶性ポリα-オレフィン、(C)粘着付与樹脂、更に必要に応じて可塑剤やワックス、上述の各種添加剤を配合して製造される。」 「【実施例】 【0082】 以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。実施例に示した割合は、特に断らない限り不揮発分の重量を基準にしたものである。ホットメルト接着剤を製造するための成分を以下に示す。 【0083】 (A)非晶性ポリα-オレフィン (A1)非晶性プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体(ベストプラスト703(商品名)、エボニック社製、粘度2700mPa・s:190℃、軟化点124℃、密度0.87g/cm3) (A2)非晶性プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体(ベストプラスト704(商品名)、エボニック社製、粘度3500mPa・s:190℃、軟化点105℃、密度0.87g/cm3) (A3)非晶性プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体(ベストプラスト750(商品名)、エボニック社製、粘度50000mPa・s:190℃、軟化点107℃、密度0.87g/cm3) (A4)非晶性エチレン/プロピレン共重合体(レキセンタック2304(商品名)、ハンツマン社製、粘度450mPa・s:190℃、軟化点141℃、密度0.86g/cm3) (A5)非晶性プロピレンホモポリマー(イーストフレックスP1010PL(商品名)、イーストマンケミカル社製、粘度1000mPa・s:190℃、軟化点155℃、密度0.87g/cm3) 【0084】 (B)メタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン (B1)ポリプロピレンホモポリマー(エルモーデュS400(商品名)、出光興産社製、MFR2000g/10min:230℃、密度0.87g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B2)ポリプロピレンホモポリマー(エルモーデュS600(商品名)、出光興産社製、MFR350g/10min:230℃、密度0.87g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B3)ポリプロピレンホモポリマー(リコセンPP6102(商品名)、クラリアント社製、粘度60mPa・s:170℃、密度0.90g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B4)プロピレン/エチレン共重合体(ビスタマックス6202(商品名)、エクソンモービル社製、MFR20g/10min:230℃、密度0.86g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B5)エチレン/オクテン共重合体(アフィニティGA1900(商品名)、ダウケミカル社製、MFR1000g/10min:190℃、密度0.87g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B'6)ポリエチレンホモポリマー(ペトロセン353(商品名)、東ソー社製、MFR145g/10min:190℃、 密度0.92g/cm3)チーグラーナッタ触媒で重合して得られたポリマー (B'7)エチレン/ポリブテン共重合体(DP8911ME(商品名)、バセル社製、MFR200g/10min:190℃、 密度0.90g/cm3)チーグラーナッタ触媒で重合して得られたポリマー 【0085】 (C)粘着付与樹脂 (C1)水素添加ジシクロペンタジエン系樹脂(アイマーブP100(商品名)、出光興産社製、軟化点100℃) (C2)水素添加環状脂肪族石油炭化水素樹脂(アルコンP90(商品名)、荒川化学工業社製、軟化点90℃) (C3)水素添加テルペン樹脂(クリアロンP105(商品名)、ヤスハラケミカル社製、軟化点105℃) 【0086】 (D)軟化剤 (D1)パラフィンオイル(ダイアナフレシアS32(商品名)、出光興産社製) (D2)パラフィンオイル(ダイアナプロセスオイルPW-90(商品名)、出光興産社製) (D3)ナフテンオイル(サンピュアN90(商品名)、日本サン石油社製) 【0087】 (E)ワックス (E1)パラフィンワックス(パラフィンワックス150(商品名)、日本精蝋社製) (E2)ポリエチレンワックス(ネオワックスL(商品名)、ヤスハラケミカル社製) (E3)フィッシャートロプシュワックス(FT-115(商品名)、日本精蝋社製) 【0088】 (F)安定化剤 (F1)酸化防止剤(アデカスタブAO-60(商品名)、アデカ社製) 【0089】 これらの成分を表1、3、5、7に示す割合で、万能攪拌機を用い、約145℃で約1時間かけて溶融混合し、実施例及び比較例のホットメルト接着剤を調製した。これらホットメルト接着剤について、溶融粘度、段ボールに対する“最大静止摩擦係数”、傾斜角測定(アンチスリップ性)及び段ボール基材損傷性を評価し、作業性を確認するために糸引き性、塗布性を評価した。結果を表2、4、6、8に示す。 【0090】 ○物性・性能評価 <粘度測定> JAI7-1991B法に基づき、160℃、180℃で各ホットメルト接着剤の粘度を評価した。測定には、ブルックフィールド粘度計、27番ローターを使用した。 【0091】 <静止摩擦係数評価> 50μ厚のPETフィルムに、実施例や比較例のホットメルト接着剤を塗布し、冷却固化して厚さ50μmの塗膜を形成した。その後、PETフィルムを40cm2正方形(63mm×63mm)にカットし、静止摩擦係数を求めるためのサンプルを作製した。 【0092】 このサンプルを、底部の大きさが40cm2正方形の200gの錘にPETフィルム側から貼り付けて“すべり片”とし、“すべり片”をKライナー段ボールの上に置き、速度100mm/分で引っ張った。 【0093】 ホットメルト接着剤の静止摩擦力を求め、その静止摩擦力の最初のピーク強度(明瞭なピークが出ない場合は最大強度)から静止摩擦係数を算出した。応力の測定はフォースゲージ(イマダ社製)を用いた。 【0094】 静止摩擦係数の算出式を以下に示す。 μ=Fs/Fp μ:静止摩擦係数 Fs:静止摩擦力(N) Fp:滑り変の質量によって生じる法線力(1.96N) 【0095】 <傾斜角測定> Kライナー段ボールに、180℃で溶融させたホットメルト接着剤をビード状に塗布し、冷却固化し、評価用サンプル基材の下段を作製し、サンプル基材下段を両面テープで台に固定した。塗布部分の長さは3cm、塗布量は3g/mであった。ホットメルト接着剤が完全に固化した後、このホットメルト接着剤の塗膜上に、3kgの錘が付いた別のKライナー段ボールをサンプル基材上段として乗せた。台を徐々に傾けていき、サンプル基材上段が滑り落ちた時の角度を測定した。滑り防止性能(アンチスリップ性)を傾斜角の大きさで評価した。評価基準は以下のとおりである。 【0096】 ◎:傾斜角が45度以上 ○:傾斜角が40度以上、45度未満 △:傾斜角が35度以上、40度未満 ×:傾斜角が35度未満 【0097】 <基材損傷性測定> Kライナー段ボールの表面四隅に、180℃で溶融しているホットメルト接着剤0.04g程度をハンドガンで塗布した。 【0098】 ホットメルト接着剤が完全に固化した後、別の段ボールを重ね合わせ、3kgの錘を段ボールに乗せ、荷重をかけた状態で40℃雰囲気下中に24時間精置した。その後、積み重ねた段ボールを手で剥離し、段ボールの状態を確認することで基材損傷性を評価した。段基材損傷性の評価基準を以下に示す。 【0099】 ◎:損傷なし。 ○:やや毛羽立ちあり。 △:4点中、1点のみが剥がれ。 ×:4点中、2点以上が剥がれた。 【0100】 ○作業性評価 <糸曳き性評価> ホットメルトガンの先端から20cm離れた被着体に対し、ホットメルト接着剤を垂直に間欠塗布した.ホットメルトガンと被着体との間の落下物の状態を目視にて観察し、糸曳き性を評価した。尚、測定条件は以下のとおりである。 【0101】 温度設定:タンク内温度、ホース内温度、及びノズル内温度は全て180℃ ノズル径:16/1000インチ ノズル:oriffice(吐出口の数:1) 塗出圧力:0.3MPa 塗出ショット数:90ショット/30秒 【0102】 ○:ノズルから被着体までの間で糸は曳かない。 △:ノズルから被着体までの間で糸を曳くことがある。 ×:ほとんどの場合でノズルから被着体まで糸を曳くか、若しくは、吐出後、ノズルの垂れから糸曳きが見られる。 【0103】 <塗布性> 0.05g程度のホットメルト接着剤を段ボールに垂らし、その直後に0.10mm間隙のハンドコーターで素早くホットメルト接着剤を段ボール上に塗布した。ホットメルト接着剤の塗布状態を確認することで、塗布性を評価した。塗布性の評価基準を以下に示す。 【0104】 ○:塗布部分全体が均一である。 △:塗布部分の端部のみが不均一である。 ×:塗布部分全体が不均一である。 【0105】 [表1] [図:0001414200000003.jpg] 【0106】 [表2] [図:0001414200000004.jpg] 」 イ 甲2に記載された発明 甲2において、実施例4に着目して、ホットメルト接着剤について整理すると、以下の発明が記載されている。 「(A4)非晶性エチレン/プロピレン共重合体:50.0重量部、(A5)非晶性プロピレンホモポリマー:23.3重量部、(B2)ポリプロピレンホモポリマー:17.4重量部、(C1)水素添加ジシクロペンタジエン系樹脂:9.3重量部、(D1)パラフィンオイル:12.8重量部、(E1)パラフィンワックス:3.5重量部、(F1)酸化防止剤:0.6重量部を含むホットメルト接着剤。 ここで、上記各成分は、以下のとおりである。 (A)非晶質ポリα―オレフィンとして ・(A4)非晶性エチレン/プロピレン共重合体:レキセンタック2304(商品名)、ハンツマン社製、粘度450mPa・s:190℃、軟化点141℃、密度0.86g/cm3 ・(A5)非晶性プロピレンホモポリマー:イーストフレックスP1010PL(商品名)、イーストマンケミカル社製、粘度1000mPa・s:190℃、軟化点155℃、密度0.87g/cm3 (B)結晶性ポリα―オレフィンとして ・(B2)ポリプロピレンホモポリマー:エルモーデュS600(商品名)、出光興産社製、MFR350g/10min:230℃、密度0.87g/cm3、メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (C)粘着付与樹脂として ・(C1)水素添加ジシクロペンタジエン系樹脂:アイマーブP100(商品名)、出光興産社製、軟化点100℃ (D)軟化剤として ・(D1)パラフィンオイル:ダイアナフレシアS32(商品名)、出光興産社製 (E)ワックスとして ・(E1)パラフィンワックス:パラフィンワックス150(商品名)、日本精蝋社製 (F)安定化剤として ・(F1)酸化防止剤:アデカスタブAO-60(商品名)、アデカ社製」(以下、「甲2発明」という。) (2)本件発明1について ア 対比 (ア)甲2発明の「(A)非晶性ポリα-オレフィン」である、「(A4)非晶性エチレン/プロピレン共重合体」、同「(A5)非晶性プロピレンホモポリマー」は、いずれも本件発明1の「(A)非晶性ポリαオレフィン」に相当し、かつ、甲2発明の「(A5)非晶性プロピレンホモポリマー」は軟化点が155℃であるから、本件発明1の「(A1)軟化点が150℃以上の非晶性ポリαオレフィン」に相当する。 (イ)甲2発明の「(B)結晶性ポリα-オレフィン」である、「(B2)ポリプロピレンホモポリマー」は、本件発明1の「(B)」「結晶性プロピレン系重合体」に相当する。 そして、甲2発明の「(B2)ポリプロピレンホモポリマー」は、測定時の荷重が不明であるMFR350g/10min:230℃であるところ、ポリプロピレンのMFRであることから、荷重2.16kgで測定されたものといえ、本件発明1の「成分(B)は、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが5~350g/10分である結晶性プロピレン系重合体」に相当する。 (ウ)甲2発明の「(C)粘着付与樹脂」である、「水素添加ジシクロペンタジエン系樹脂」は、本件発明1の「(C)粘着付与樹脂」に相当する。 (エ)成分(A)及び(B)の含有量に関し、甲2発明における、「(A)非晶性ポリα-オレフィン」、「(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性α-オレフィン」、「(C)粘着付与樹脂」の総重量が、100重量部であるから、「(A)非晶性ポリα-オレフィン」が73.3重量部(=50.0+23.3)、「(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性α-オレフィン」が17.4重量部、「(C)粘着付与樹脂」が9.3重量部となり、本件発明1では「成分(A)の含有量は50~80重量部」、「成分(B)の含有量は1~18重量部」であることに相当する。 (オ)甲2発明は、本件発明1の「(i)の接着性樹脂組成物」を含有しない。 以上から、本件発明1と甲2発明とは、 「(A)非晶性ポリαオレフィン、 (B)結晶性プロピレン系重合体、および (C)粘着付与樹脂 を含むホットメルト組成物であって、 (A)非晶性ポリαオレフィンは、(A1)軟化点が150℃以上の非晶性ポリαオレフィンを含み、 成分(B)は、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが5~350g/10分である結晶性プロピレン系重合体を含み、 成分(A)、(B)および(C)の総重量100重量部に対し、成分(A)の含有量は50~80重量部であり、成分(B)の含有量は1~18重量部であるホットメルト組成物(ただし、下記(i)の接着性樹脂組成物を含まない); (i)エチレン・酢酸ビニル共重合体(a)30~98重量%と 下記要件(b-1)および(b-2)を共に満たすプロピレン系重合体(b)60~0重量%、並びに下記要件(c-1)および(c-2)を満たすプロピレン系重合体(c)40~100重量%(ここで、成分(b)と成分(c)とは合計して100重量%)からなるプロピレン系樹脂組成物(P)70~2重量%(ここで、成分(a)と成分(P)は合計して100重量%)と からなる接着性樹脂組成物、 (b-1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点Tm(b)が120~170℃である。 (b-2)メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重下)が0.1~500g/10分である。 (c-1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点Tm(c)が120℃未満または融点が観測されない。 (c-2)メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重下)が0.1~500g/10分である。」 で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。 <相違点3> 成分(B)の結晶性プロピレン系重合体に関し、本件発明1では重量平均分子量が35000以上であるのに対し、甲2発明では不明である点 <相違点4> 成分(A)、(B)および(C)の総重量100重量部に対する成分(C)の含有量に関し、本件発明1では10重量部以上、40重量部以下であるのに対し、甲2発明では9.3重量部である点 イ 判断 上記相違点について、順に検討する。 (ア)<相違点3>について 甲2発明の結晶性のプロピレン系重合体である(B2)ポリプロピレンホモポリマー(エルモーデュS600(商品名)、出光興産社製)に関し、上記1(5)に摘記した参1によると、同一商品である「L-MODE S600」の重量平均分子量が70000であることが把握できる。 そうすると、甲2発明の(B2)ポリプロピレンホモポリマーの重量平均分子量は、少なくとも35000以上に該当する。 してみると、<相違点3>は実質的な相違点ではない。 (イ)<相違点4>について 甲2には、「ホットメルト接着剤」中に「(A)~(C)の総重量100重量部に対して(C)が5~30重量部含まれ」ること(請求項1)、(C)粘着付与樹脂は、(A)~(C)の総重量100重量部に対して5~30重量部含まれており、好ましくは6~25重量部含まれ、さらに好ましくは7~20重量部含まれていること(【0046】)が記載されている。 してみると、「(C)粘着付与樹脂」の含有量を、5~30重量部の数値範囲から選択し、9.3重量部近傍である10重量部程度とすることも、当業者には適宜なし得る設計変更である。 また、本件発明1において、「(C)粘着付与樹脂」の含有量が10重量部以上、40重量部以下と特定されているところ、本件明細書には、この数値範囲にすることの技術的意義を説明する記載はない。 そして、比較例3は、成分(C)を含まない唯一の試験例であるものの、該比較例3は、成分(A)の含有量が上記数値範囲の上限よりも多く、かつ、成分(C)を含まない試験例であって、耐久性試験が良好でない結果となっており、その理由が成分(A)の含有量が多すぎるせいなのか、成分(C)を含有しないからなのか不明である。 そうすると、本件明細書の実施例をみても、本件発明1の「(C)粘着付与樹脂」の含有量を特定の数値範囲とすることで、有利な効果を奏することが把握できないから、その数値範囲の上限下限には臨界的意義が見いだせない。 してみると、甲2発明の「(C)粘着付与樹脂」の含有量を、甲2に記載された数値範囲内で最適化することにより、本件発明1の「成分(C)の含有量」とすることは、当業者には格別の困難性を有しない。 以上から、<相違点4>における数値範囲の設定は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が適宜なしうることである。 ウ 小括 本件発明1は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件発明3について 本件発明3は、本件発明1又は2において、「さらに、(D)ワックスを含む」ことを、さらに特定するものである。 この点について、甲2発明は、ホットメルト接着剤中に(E1)パラフィンワックスを含有するものであるから、両者に新たな相違点は生じない。 してみると、本件発明3は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)小括 以上のとおり、本件発明1、3は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、本件発明2が、甲1発明又は甲2発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである旨主張しているが、以下に詳述するとおり、上記申立人の主張を採用することはできない。 (1)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1において、(A)非晶性ポリαオレフィンは、(A1-1)軟化点が150℃以上の非晶性エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体と、(A2)軟化点が150℃未満の非晶性エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体とを含むことを、さらに特定するものである。 そこで、以下では、本件発明2と、順に甲1発明、甲2発明とを対比、判断する。 ア 本件発明2と甲1発明の対比・判断 (ア)対比 上記1(6)アと同様の相当関係が成り立ち、上記相違点1、2のほか、相違点5で相違する以外は、両者は一致する。 <相違点5> (A)非晶性ポリαオレフィンに関し、本件発明2では、「(A1-1)軟化点が150℃以上の非晶性エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体と、(A2)軟化点が150℃未満の非晶性エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体とを含む」のに対し、甲1発明では、不明である点 (イ)判断 a 相違点1、2について 上記1(6)イに示したように、実質的な相違点でないか、当業者が適宜なし得ることである。 b 相違点5について 甲1には、組成物には、約5重量%~70重量%の、ガラス転移温度(Tg)20℃より低い軟質又はゴム状のポリマーを含み、例えばAPAOとして公知の低分子量、本質的に非晶質のα-オレフィンポリマー類などが挙げられること(【0032】)、有用なAPAOポリマーはアタクチック、低分子量、低溶融粘度及び本質的に非晶質のプロピレン基体のポリマーの数種の異なるカテゴリーからなること、APAOポリマーの軟化点約80~170℃であること、最も好ましいAPAOは、プロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンコポリマー、プロピレン-ブテン-1コポリマー及びプロピレン-エチレン-ブテン-1ターポリマーからなる群から選択されること(【0033】)、実施例2では軟化点約150℃を有するAPAOのアタクチックのホモポリプロピレンタイプと軟化点約135℃を有するAPAOのアタクチックプロピレン-エチレンコポリマータイプを併用することが記載されている。 これらの記載によると、APAOの軟化点が約80~170℃であって、プロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンコポリマー、プロピレン-ブテン-1コポリマー及びプロピレン-エチレンーブテン-1ターポリマーがAPAOとして好ましいことが把握できる。 ここで、甲1には、APAOであるプロピレン-エチレンーブテン-1ターポリマーが、実施例で使用されたアタクチックプロピレンホモポリマー(軟化点約150℃)、アタクチックプロピレン-エチレンコポリマー(軟化点約135℃)と同列に記載されてはいる。 しかしながら、実施例で使用された2種のAPAOの両方を、該プロピレン-エチレン-ブテン-1ターポリマーに代える動機付けは甲1に記載も示唆もされていない。そして、甲1の実施例で使用された2種のAPAOは、150℃を境にして、150℃以上の軟化点を有するAPAOと150℃未満の軟化点を有するAPAOであるところ、そのような軟化点の関係を有する2種のAPAOを用いることの技術的意義について、甲1には何ら記載されていないため、この2種のAPAOのいずれもプロピレン-エチレンーブテン-1ターポリマーとすべき理由を見いだせない。 また、甲2、4及び5並びに参1を見ても、特定の2種のAPAOの組合せを想起させる記載もない。 してみると、甲1発明の2種の「ゴム状ポリマー」を、特定の軟化点の関係を有する2種のプロピレン-エチレンーブテン-1ターポリマーを含むことに代えることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件発明2では、特定の軟化点の関係を有する2種のプロピレン-エチレンーブテン-1ターポリマーを含むホットメルト組成物とすることにより、接着性および耐熱性が高いことに加えて、該ホットメルト組成物がプレコートされた基材を積層保管しても、ホットメルト組成物の転写が起こりにくいという効果(【0017】)を奏するものである。 よって、本件発明2は、甲1発明及び甲1、2、4及び5並びに参1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件発明2と甲2発明の対比・判断 (ア)対比 上記2(2)アと同様の相当関係が成り立ち、上記相違点3、4のほか、相違点5’で相違する以外は、両者は一致する。 <相違点5’> (A)非晶性ポリαオレフィンに関し、本件発明2では、「(A1-1)軟化点が150℃以上の非晶性エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体と、(A2)軟化点が150℃未満の非晶性エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体とを含む」のに対し、甲2発明では、不明である点 (イ)判断 a 相違点3、4について 上記2(2)イに示したように、実質的な相違点でないか、当業者が適宜なし得る設計変更である。 b 相違点5’について 甲2には、ホットメルト接着剤において、(A)非晶性ポリα-オレフィンがプロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体を含んでいること(請求項3)、(A)非晶性ポリα-オレフィンとして、例えば、非晶性のポリプロピレン、非晶性のポリエチレン、又は非晶性のプロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体、及び非晶性のエチレンと他のα-オレフィンとの共重合体を例示できること(【0031】)、具体的には、ポリプロピレン(ホモポリマー)、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1-ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1-ブテンの3元共重合体等を例示できること(【0032】)、実施例4では(A4)非晶性エチレン/プロピレン共重合体(軟化点141℃)と(A5)非晶性プロピレンホモポリマー(軟化点155℃)を併用することが記載されている。 これらの記載によると、(A)非晶性ポリα-オレフィンには、ポリプロピレン(ホモポリマー)、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1-ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1-ブテンの3元共重合体等が挙げられることが把握できる。 ここで、甲2では、プロピレン/エチレン/1-ブテンの3元共重合体が、実施例で使用された(A4)非晶性エチレン/プロピレン共重合体(軟化点141℃)、(A5)非晶性プロピレンホモポリマー(軟化点155℃)と同列に記載されてはいる。 しかしながら、実施例で使用された2種の非晶性ポリα-オレフィンの両方を、該プロピレン/エチレン/1-ブテンの3元共重合体に代える動機付けは甲2に記載も示唆もされていない。そして、甲2の実施例で使用された2種の非晶性ポリα-オレフィンは、150℃を境にして、150℃以上の軟化点を有する非晶性ポリα-オレフィンと150℃未満の軟化点を有する非晶性ポリα-オレフィンであるところ、そのような軟化点の関係を有する2種の非晶性ポリα-オレフィンを用いることの技術的意義について、甲2には何ら記載されていないため、この2種の非晶性ポリα-オレフィンのいずれもプロピレン/エチレン/1-ブテンの3元共重合体とすべき理由を見いだせない。 また、甲1、4及び5並びに参1を見ても、特定の2種の非晶性ポリα-オレフィンの組合せを想起させる記載もない。 してみると、甲2発明の2種の「非晶性ポリα-オレフィン」を、特定の軟化点の関係を有する2種のプロピレン/エチレン/1-ブテンの3元共重合体を含むことに代えることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件発明2では、特定の軟化点の関係を有する2種のプロピレン/エチレン/1-ブテンの3元共重合体を含むホットメルト組成物とすることにより、接着性および耐熱性が高いことに加えて、該ホットメルト組成物がプレコートされた基材を積層保管しても、ホットメルト組成物の転写が起こりにくいという効果(【0017】)を奏するものである。 よって、本件発明2は、甲2発明及び甲2、1、4及び5並びに参1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)小括 以上のとおり、本件発明2は、甲1に記載された発明又は甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、請求項1、3~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。 請求項2に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。また、他に請求項2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-701256

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決5件(ヘンケルジャパン株式会社、濱田 かおり)
  • 2023-701003異議申立 / 2024-03-27 / 訂正認容ホットメルト接着剤
    同じ当事者: ヘンケルジャパン株式会社
  • 2017-700333異議申立 / 2018-01-26 / 訂正認容ホットメルト接着剤
    同じ当事者: ヘンケルジャパン株式会社
  • 2017-700334異議申立 / 2017-07-28 / 維持ホットメルト接着剤
    同じ当事者: ヘンケルジャパン株式会社
  • 2017-700443異議申立 / 2017-07-26 / 維持ホットメルト接着剤
    同じ当事者: ヘンケルジャパン株式会社
  • 2023-000337拒絶査定不服審判 / 2025-04-24 / 請求不成立可視又は赤外レーザー硬化型のカチオン重合系エポキシ樹脂組成物
    同じ当事者: ヘンケルジャパン株式会社
同じ根拠条文の審決7,823件(特許法113条2号、特許法29条2項)
  • 2023-701055異議申立 / 2025-11-27 / 請求成立(取消)ポリオレフィン樹脂フィルム
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
  • 2024-701075異議申立 / 2025-06-16 / 請求成立(取消)難燃性シクロオレフィン系樹脂成形体製造方法
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
  • 2023-700635異議申立 / 2024-10-24 / 請求成立(取消)重合体組成物及びその製造方法、並びにタイヤ
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
  • 2022-701255異議申立 / 2024-07-04 / 請求成立(取消)室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化時間の測定方法
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
  • 2020-700991異議申立 / 2022-02-03 / 訂正認容樹脂組成物、これを用いた摩擦材、摩擦部材、及びドラムブレーキ用ブレーキシュー
    共通の条文: 特許法113条2号、特許法29条2項
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,266件(121・C08L)
  • 2026-700179異議申立 / 2026-06-29 / 維持バイオマス資源由来ポリエステルエラストマーを使用した難燃性樹脂組成物
    共通の審決分類: 121・C08L
  • 2026-700251異議申立 / 2026-06-23 / 維持食品の高温充填包装に好適なプロピレン-エチレンコポリマー組成物
    共通の審決分類: 121・C08L
  • 2025-700321異議申立 / 2026-06-04 / 訂正認容樹脂組成物及び成形体
    共通の審決分類: 121・C08L
  • 2025-700949異議申立 / 2026-05-29 / 訂正認容樹脂組成物およびパワーモジュール
    共通の審決分類: 121・C08L
  • 2025-700661異議申立 / 2026-04-30 / 訂正認容ポリプロピレンコーティング組成物
    共通の審決分類: 121・C08L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存