特許異議申立
2023-700650
充填システムおよび充填方法
- 審判番号
- 2023-700650
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-081476外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7193700
- 請求日
- 2023年06月20日
- 審決日
- 2024年10月29日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 分類
- P1651.121-ZAA(B67C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7193700号発明「充填システムおよび充填方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7193700号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、8について訂正することを認める。
特許第7193700号の請求項1~8に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7193700号(以下「本件特許」という。)の請求項1~8に係る特許についての出願は、平成30年4月20日に出願され、令和4年12月13日にその特許権の設定登録がされ、令和4年12月21日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~8に係る特許に対し、令和5年6月20日に特許異議申立人鈴木佐知子(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。それ以降の経緯は以下のとおりである。
令和5年10月10日付け:取消理由通知書
令和5年12月 7日 :訂正請求書及び意見書(特許権者)
令和6年 1月 9日付け:手続補正指令書
令和6年 2月 8日 :訂正請求書及び意見書についての手続補正書(
特許権者)
令和6年 3月26日 :意見書(申立人)
令和6年 5月 7日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和6年 7月 9日 :訂正請求書及び意見書(特許権者)
令和6年 7月23日 :訂正請求書についての手続補正書(特許権者)
令和6年 8月29日 :意見書(申立人)
なお、特許法第120条の5第7項の規定により、令和5年12月7日の訂正の請求は、取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
手続補正書により補正された訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正自体を「本件訂正」という。)は、「特許第7193700号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-8について訂正することを求める。」ものであり、本件訂正の内容は、次の訂正事項からなるものである。なお、下線は、当審が訂正箇所に付したものである。
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1に「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備えることを特徴とする充填ステム。」とあるのを、
「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、
前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置され、
前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~40mmとなるように配置され、
前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で吹き出すように構成され、
前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で吹き出すように構成されていることを特徴とする充填システム。」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2、3、5~7も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
訂正前の請求項2に「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置されていることを特徴とする請求項1に記載の充填システム。」とあるのを、
「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置され、
前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~10mmとなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の充填システム。」に訂正する。
(請求項2の記載を引用する請求項3、5~7も同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
訂正前の請求項4に「前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で吹き出すように構成され、
前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で吹き出すように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の充填システム。」とあるうち、請求項1を引用するものについて独立形式に改めた上で、
「殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、
ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路と、殺菌処理機構とを備え、
前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機と、前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され、
前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、
前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成され、
前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成されていることを特徴とする充填システム。」に訂正する。
(請求項4の記載を引用する請求項5~7も同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
訂正前の請求項8に「前記補完殺菌処理では、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に噴出することを特徴とする充填方法。」とあるのを、
「前記補完殺菌処理では、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが容器と2~40mmの間隔となるように配置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を70m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に80m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出することを特徴とする充填方法。」に訂正する。
(5)訂正事項5
訂正前の明細書の段落【0008】に「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備えることにより、前記課題を解決するものである。」とあるのを、
「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置され、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~40mmとなるように配置され、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で吹き出すように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
また、殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路と、殺菌処理機構とを備え、前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機と、前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され、前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。」に訂正する。
(6)訂正事項6
訂正前の明細書の段落【0008】に「前記補完殺菌処理では、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に噴出することにより、前記課題を解決するものである。」とあるのを、
「前記補完殺菌処理では、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが容器と2~40mmの間隔となるように配置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を70m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に80m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出することにより、前記課題を解決するものである。」に訂正する。
(7)訂正事項7
訂正前の明細書の段落【0009】に「本請求項1、8に係る発明によれば、ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施すとともに、ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路において、容器に補完殺菌処理を施すように構成されている。」とあるのを、
「本請求項1、4、8に係る発明によれば、ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施すとともに、ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路において、容器に補完殺菌処理を施すように構成されている。」に訂正する。
(8)訂正事項8
訂正前の明細書の段落【0010】に「本願請求項1、8に係る発明によれば、補完殺菌処理において、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に噴出することにより、ホットエアーの噴出によって容器内部の余分な殺菌剤を吹き飛ばして除去できるばかりでなく、ブロー成形によって生じる容器口部や容器底部等の容器各部の内面間の温度差を低減し、容器各部の内面に塗布された殺菌剤による殺菌効果を均一にすることが可能であるため、補完殺菌処理において容器に塗布される殺菌剤の量を低減することを実現して、容器内の殺菌剤の濃度を規定値以下まで下げることを容易にし、ブロー成形ターレットと充填部との間の容器搬送路を短く設計することができる。」とあるのを、
「本願請求項1、4、8に係る発明によれば、補完殺菌処理において、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に噴出することにより、ホットエアーの噴出によって容器内部の余分な殺菌剤を吹き飛ばして除去できるばかりでなく、ブロー成形によって生じる容器口部や容器底部等の容器各部の内面間の温度差を低減し、容器各部の内面に塗布された殺菌剤による殺菌効果を均一にすることが可能であるため、補完殺菌処理において容器に塗布される殺菌剤の量を低減することを実現して、容器内の殺菌剤の濃度を規定値以下まで下げることを容易にし、ブロー成形ターレットと充填部との間の容器搬送路を短く設計することができる。」に訂正する。
(9)訂正事項9
訂正前の明細書の段落【0010】に「そこで、本願請求項1、8に係る発明では、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に噴出することにより、ブロー成形によって生じる容器口部の内面や容器底部の内面等の容器各部の内面間の温度差を低減することが可能であるため、容器各部の内面間における殺菌効果の均一化、殺菌剤の量の低減、および、容器搬送路の短縮化を実現することができる。」とあるのを、
「そこで、本願請求項1、4、8に係る発明では、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に噴出することにより、ブロー成形によって生じる容器口部の内面や容器底部の内面等の容器各部の内面間の温度差を低減することが可能であるため、容器各部の内面間における殺菌効果の均一化、殺菌剤の量の低減、および、容器搬送路の短縮化を実現することができる。」に訂正する。
(10)訂正事項10
訂正前の明細書の段落【0011】に「本願請求項2に係る発明によれば、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが、容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置されていることにより、各ノズルを容器内部に挿入するように構成された場合と比較して、装置構成を簡素化できるばかりでなく、容器各部の内面のうち、ブロー成形直後で温度が低い容器口部の内面を効率的に温めることが可能であるため、容器各部の内面間の温度差を効率的に低減することができる。
本願請求項3に係る発明によれば、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルの内径が、容器口部の内径よりも小さく設定されていることにより、各ノズルから噴出される殺菌流体およびホットエアーの流速を向上させることができるばかりでなく、容器内部に殺菌流体およびホットエアーを確実に送り込み、容器各部の内面間の温度差を効率的に低減することができる。
本願請求項4に係る発明によれば、殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で吹き出すとともに、ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で吹き出すことにより、容器内部に殺菌流体およびホットエアーを確実に送り込むことが可能であるため、容器各部の内面間の温度差を確実に低減することができる。」とあるのを、
「本願請求項1に係る発明によれば、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが、容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置され殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルは、容器との間隔が2~40mmとなるように配置されていることにより、各ノズルを容器内部に挿入するように構成された場合と比較して、装置構成を簡素化できるばかりでなく、容器各部の内面のうち、ブロー成形直後で温度が低い容器口部の内面を効率的に温めることが可能であるため、容器各部の内面間の温度差を効率的に低減することができる。
本願請求項2に係る発明によれば、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルは、容器との間隔が2~10mmとなるように配置されていることにより、容器各部の内面間の温度差をさらに効率的に低減することができる。
本願請求項3に係る発明によれば、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルの内径が、容器口部の内径よりも小さく設定されていることにより、各ノズルから噴出される殺菌流体およびホットエアーの流速を向上させることができるばかりでなく、容器内部に殺菌流体およびホットエアーを確実に送り込み、容器各部の内面間の温度差を効率的に低減することができる。
本願請求項4、8に係る発明によれば、殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すとともに、ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すことにより、容器内部に殺菌流体およびホットエアーを確実に送り込むことが可能であるため、容器各部の内面間の温度差を確実に低減することができる。」に訂正する。
(11)一群の請求項について
訂正前の請求項1~7は、請求項2~7が、本件訂正請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項〔1~7〕、8について請求されたものである。
また、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1~7〕、8について請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の殺菌流体ノズル及びホットエアーノズルの設置場所及び噴出条件を限定するものであるとともに、訂正前の「充填ステム。」が正しくは「充填システム。」であることは明らかであるところを「充填システム。」として誤記を訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものである。
そして、前者については、本件明細書の【0039】に基づく訂正であり、後者については、願書に最初に添付した明細書の【0001】の記載に基づく訂正であるから、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載の殺菌流体ノズル及び前記ホットエアーノズルの配置場所を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的するものであり、本件明細書の【0039】、図5の下から3つ目及び4つ目の実験例の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項1~3の何れかを引用する請求項4のうち請求項1を引用するものについて独立形式に改めた上で、殺菌流体ノズル及びホットエアーノズルの噴出条件を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項を引用しないものとすることを目的とするものであり、本件明細書の【0039】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項8に記載の殺菌流体ノズル及びホットエアーノズルの配置場所及び噴出条件を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書の【0039】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
(5)訂正事項5~10
訂正事項5~10は、訂正前の明細書の【0008】~【0011】の記載を、本件訂正後の請求項の記載に整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、8について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記のとおり、本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~8に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、
ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路と、殺菌処理機構とを備え、
前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機と、前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され、
前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、
前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置され、
前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~40mmとなるように配置され、
前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で吹き出すように構成され、
前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で吹き出すように構成されていることを特徴とする充填システム。
【請求項2】
前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置され、
前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~10mmとなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の充填システム。
【請求項3】
前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルの内径は、容器口部の内径よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充填システム。
【請求項4】
殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、
ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路と、殺菌処理機構とを備え、
前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機と、前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され、
前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、
前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成され、
前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成されていることを特徴とする充填システム。
【請求項5】
前記容器搬送路に設置される搬送機を更に備え、
前記搬送機は、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルを設置した区間において、容器を正立状態で搬送するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の充填システム。
【請求項6】
前記殺菌流体噴出器は、前記容器搬送路における容器搬送方向に沿って前記殺菌流体ノズルを移動させる殺菌流体ノズル移動手段を有し、
前記ホットエアー噴出器は、前記容器搬送路における容器搬送方向に沿ってホットエアーノズルを移動させるホットエアーノズル移動手段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の充填システム。
【請求項7】
前記容器成形ユニットは、プリフォーム内に無菌エアーを吹き込むブロー機を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の充填システム。
【請求項8】
殺菌済みの容器に内容液を充填する充填方法であって、
容器成形ユニットのブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施し、
前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路において、容器に補完殺菌処理を施し、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記補完殺菌処理では、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが容器と2~40mmの間隔となるように配置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を70m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に80m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出することを特徴とする充填方法。」
第4 取消理由通知(決定の予告)の概要
当審において特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。
取消理由(進歩性)
本件特許の請求項1~8に係る発明は、下記の引用文献1~8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
1 引用文献等一覧(申立人が提出した甲○号証は以下「甲○」という。)
引用文献1:特開2010-235209号公報(甲1)
引用文献2:特表2003-512260号公報(甲2)
引用文献3:国際公開第03/022689号(甲3)
引用文献4:特開2015-116816号公報(甲4、周知技術を示す文
献)
引用文献5:特開平7-251442号公報(甲5、周知技術を示す文献)
引用文献6:特開2018-52514号公報(甲6)
引用文献7:滝口陽介,外1名,“過酸化水素蒸気による効率的殺菌方法の
検討 第2報 過酸化水素ガス濃度測定値に関する検討”,空
気調和・衛生工学会大会学術講演論文集,空気調和・衛生工学
会,2019年9月,p.117~120(周知技術を示す文
献)
引用文献8:柿田公太郎,“過酸化水素の危険性”,安全工学,Vol.9
,No.6(1970),p.360~367(周知技術を示
す文献)
第5 当審の判断
当審合議体は、上記取消理由(決定の予告)で通知した理由によって、訂正後の請求項1~8に係る特許は取り消されるべきものと判断する。
1 各引用文献について
以下において下線は当審が付した。また、「・・・」は省略を示す。
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載
引用文献1には以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料充填方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリフォームを搬送しながら殺菌剤で殺菌処理し、このプリフォームをブロー成形機によってボトルに成形し、このボトルに飲料を充填し、キャッピングして無菌包装体とするというインラインシステムとしての無菌充填方法が提案されている(例えば、特許文献1,2,3,4,5,6,7参照。)。」
「【0045】
ボトル2は成形後も連続走行しつつ、図3(E)に示すように本殺菌される。この本殺菌は、殺菌剤である過酸化水素のミストM又はガスGが殺菌用ノズル6から吹き付けられることによって行われる。殺菌用ノズル6はプリフォーム1の口部2aに対峙するように配置される。殺菌用ノズル6から吐出された過酸化水素のミストM又はガスGは、ボトルの口部2aからボトル2内に侵入してボトル2の内面を殺菌する。」
「【0052】
この過酸化水素のミストM又はガスGの吹き付け後もボトル2は連続走行し、図3(F)に示すように、エアリンスに付される。エアリンスは無菌エアNがノズル45からボトル2内に吹き込まれることによって行われ、この無菌エアNの流れによってボトル2内から異物、過酸化水素等が除去される。その際、ボトル2は正立状態とされる。ただし、必要に応じて倒立状態としてもよい。」
「【0058】
図5に示すように、この充填装置は、口部2aを有する有底筒状のプリフォーム1(図2(A)参照)を所定の間隔で順次供給するプリフォーム供給機11と、ブロー成形機12と、成形されたボトル2に飲料aを充填、密封する充填機13とを備える。」
「【0070】
ブロー成形機12は、上記プリフォーム供給機11の加熱部19aで加熱されたプリフォーム1を受け取ってボトル2に加熱成形する金型4及びブローノズル5(図2(C)参照)を複数セット備える。」
「【0072】
金型4及びブローノズル5は、ホイール21の回りに複数個配置され、ホイール21の回転とともにホイール21の周りを一定速度で旋回する。」
「【0084】
ホイール23の外周には、ボトル2について本殺菌を行うための殺菌用ノズル6(図3(E)参照)が配置される。上記金型4で成形されたボトル2に対して、殺菌用ノズル6から過酸化水素のミストM又はガスGが吹き付けられる・・・。」
「【0088】
ホイール27の外周には、エアリンス用のノズル45(図3(F)参照)が配置される。このノズル45からボトル2内に無菌エアが吹き込まれ、ボトル2内から異物や残留した過酸化水素が除去される。
【0089】
また、無菌状態のボトル2に飲料aを充填するためのフィラー39が設けられ、ホイール37の回りには飲料aが充填されたボトル2にキャップ3(図1参照)を取り付けて密封するためのキャッパー40が設けられる。
「【0094】
まず、プリフォームコンベア14、ホイール15,16,17,18の列によってプリフォーム1が加熱部19aへと搬送される。
【0095】
加熱部19aに入る前に、図5に示すノズル24から、図2(A)に示すように、プリフォーム1に過酸化水素ミスト又はガスKが吹き付けられる。これにより、プリフォーム1の表面に薄い過酸化水素の凝結皮膜が形成される。各プリフォーム1に形成される過酸化水素の凝結皮膜の付着量は、望ましくは35重量%換算で0.0035μL/cm2~0.35μL/cm2、より望ましくは0.07μL/cm2~0.07μL/cm2である。
【0096】
加熱部19aにおいてプリフォーム1は、コンベア19によって搬送されつつ、全体の温度が成形に好適な温度域まで均一に加熱される。
【0097】
また、この加熱部19aでの加熱により、上記過酸化水素の凝結皮膜が付着したプリフォーム1の予備殺菌が行われ、プリフォーム1の口部2a以外の表面に付着したほとんどの微生物が殺菌される。
【0098】
加熱部19aで加熱され、予備殺菌されたプリフォーム1は、ホイール21の外周を通過する際に図2(C)のごとく金型4により抱持され、ブローノズル5からの高圧エアの吹き込みによってキャビティC内でボトル2の完成品まで膨張する。
【0099】
成形されたボトル2は、金型4の型開き後にホイール22のグリッパによって金型4外に取り出され、検査装置によって成形不良等の有無について検査された後、ホイール23の外周を通過する際に図3(E)のごとく殺菌用ノズル6から過酸化水素のガスG又はミストAを吹き付けられ本殺菌に付される。」
「【0101】
この成形され殺菌されたボトル2は、ホイール23から下流側のホイール27へと流れ、ホイール27の回りで、図3(F)のごとくノズル45から無菌エアを吹き込まれることによって、エアリンスに付される。
【0102】
その後、ホイール34,35,36,37,38の列へと受け渡されつつ充填機13内を走行する。
【0103】
充填機13においてボトル2には、図3(G)のごとく滅菌処理された飲料aがフィラー39の充填ノズル10により充填される。飲料aが充填されたボトル2は、キャッパー40によりキャップ3が施されて密封され(図1、図3(H)参照)、チャンバー41の出口から排出される。」
「【図2】
[図:0001421338000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001421338000002.jpg]
」
「【図5】
[図:0001421338000003.jpg]
」
イ 引用文献1の記載から認定される事項
(ア)【0058】の記載から、口部2aを有する有底筒状のプリフォーム1を所定の間隔で順次供給するプリフォーム供給機11と、ブロー成形機12と、成形されたボトル2に飲料aを充填、密封する充填機13とを備える充填装置であることがわかる。
(イ)【0070】、【0072】の記載から、回りに金型4を配置するホイール21を有するブロー成形機12であることがわかる。
(ウ)【0089】の記載、図5から、ブロー成形機12の下流側に配置されボトル2に飲料aを充填するフィラー39を有する充填機13であることがわかる。
(エ)【0094】~【0103】の記載から、プリフォームコンベア14、ホイール15、16、17、18の列によってプリフォーム1が加熱部19aへと搬送され、
加熱部19aに入る前に、ノズル24から、プリフォーム1に過酸化水素ミスト又はガスが吹き付けられ、
加熱部19aにおいてプリフォーム1は、コンベア19によって搬送されつつ、全体の温度が成形に好適な温度域まで均一に加熱されることでプリフォーム1の予備殺菌が行われ、
予備殺菌されたプリフォーム1は、ホイール21の外周を通過する際に金型4により抱持され、ブローノズル5からの高圧エアの吹き込みによってキャビティC内でボトル2の完成品まで膨張され、
成形されたボトル2は、金型4の型開き後にホイール22のグリッパによって金型4外に取り出され、検査装置によって成形不良等の有無について検査された後、ホイール17を経てホイール23の外周を通過する際に、殺菌用ノズル6からボトル2の口部2aに向けて過酸化水素ミスト又はガスを吹き付けられることによって本殺菌に付され、
この成形され殺菌されたボトル2は、ホイール23から下流側のホイール27へと流れ、ホイール27の回りで、ノズル45からボトル2の口部2aに向けて無菌エアを吹き込まれることによってエアリンスに付され、
その後、ボトル2は、ホイール34、35、36、37、38の列へと受け渡されつつ充填機13内を走行し、
充填機13においてボトル2は、ホイール35の回りを走行しつつ飲料aがフィラー39の充填ノズル10により充填されるとともにキャッパー40によりキャップ3が施されて密封され、チャンバー41の出口から排出される充填装置であることがわかる。
(オ)【0095】、図2(A)から、プリフォーム1の内面及び外面に過酸化水素ミスト又はガスが吹き付けられることがわかる。
また、【0045】、【0084】、図3(E)から、ホイール23の外周に、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように殺菌用ノズル6が配置されることがわかる。
さらに、【0052】、【0088】、図3(F)から、ホイール27の外周に、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように配置されるエアリンス用のノズル45が配置されることがわかる。
(カ)図3(E)及び図3(F)から、殺菌用ノズル6及びエアリンス用のノズル45の内径が、ボトル2の口部2aの内径よりも小さいこと、及び、容器搬送路(ホイール22、17、23、27、34)の殺菌用ノズル6及びエアリンス用のノズル45を設置した区間においてボトル2が正立状態であることがわかる。
(キ)図2(C)から、ホイール21の外周を通過する際にプリフォーム1の口部2aが金型4の外部に配置された状態で抱持されていることがわかる。
ウ 引用文献1に記載された発明
以上を総合すると、引用文献1には以下の各発明(以下それぞれを「引用装置発明1」、「引用装置発明1-1」、「引用方法発明1」という。)が記載されている。
[引用装置発明1]
「口部2aを有する有底筒状のプリフォーム1を所定の間隔で順次供給するプリフォーム供給機11と、回りに金型4を配置するホイール21を有するブロー成形機12と、前記ブロー成形機12の下流側に配置されボトル2に飲料aを充填するフィラー39を有する充填機13とを備える充填装置において、
プリフォームコンベア14、ホイール15、16、17、18の列によってプリフォーム1が加熱部19aへと搬送され、
加熱部19aに入る前に、ノズル24から、プリフォーム1の内面及び外面に過酸化水素ミスト又はガスが吹き付けられ、
加熱部19aにおいてプリフォーム1は、コンベア19によって搬送されつつ、全体の温度が成形に好適な温度域まで均一に加熱されることでプリフォーム1の予備殺菌が行われ、
予備殺菌されたプリフォーム1は、ホイール21の外周を通過する際に口部2aが金型4の外部に配置された状態で抱持され、ブローノズル5からの高圧エアの吹き込みによってキャビティC内でボトル2の完成品まで膨張され、
成形されたボトル2は、金型4の型開き後にホイール22のグリッパによって金型4外に取り出され、検査装置によって成形不良等の有無について検査された後、ホイール17を経てホイール23の外周を通過する際に、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように配置される殺菌用ノズル6からボトル2の口部2aに向けて過酸化水素ミスト又はガスを吹き付けられることによって本殺菌に付され、
この成形され殺菌されたボトル2は、ホイール23から下流側のホイール27へと流れ、ホイール27の回りで、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように配置されるノズル45からボトル2の口部2aに向けて無菌エアを吹き込まれることによってエアリンスに付され、
その後、ボトル2は、ホイール34、35、36、37、38の列へと受け渡されつつ充填機13内を走行し、
充填機13においてボトル2は、ホイール35の回りを走行しつつ飲料aがフィラー39の充填ノズル10により充填されるとともにキャッパー40によりキャップ3が施されて密封され、チャンバー41の出口から排出される、充填装置。」
[引用装置発明1-1]
上記引用装置発明1の事項に、さらに以下の事項を有する発明。
「殺菌用ノズル6及びエアリンス用のノズル45の内径が、ボトル2の口部2aの内径よりも小さく、
容器搬送路(ホイール22、17、23、27、34)におけるホイール23の外周には殺菌用ノズル6が配置され、ホイール27の外周にはエアリンス用のノズル45が配置され、
容器搬送路(ホイール22、17、23、27、34)の殺菌用ノズル6及びエアリンス用のノズル45を設置した区間においてボトル2が正立状態である」事項。
[引用方法発明1]
「口部2aを有する有底筒状のプリフォーム1を所定の間隔で順次供給するプリフォーム供給機11と、回りに金型4を配置するホイール21を有するブロー成形機12と、前記ブロー成形機12の下流側に配置されボトル2に飲料aを充填するフィラー39を有する充填機13とを備える充填装置による充填方法において、 プリフォームコンベア14、ホイール15、16、17、18の列によってプリフォーム1が加熱部19aへと搬送され、
加熱部19aに入る前に、ノズル24から、プリフォーム1の内面及び外面に過酸化水素ミスト又はガスが吹き付けられ、
加熱部19aにおいてプリフォーム1は、コンベア19によって搬送されつつ、全体の温度が成形に好適な温度域まで均一に加熱されることでプリフォーム1の予備殺菌が行われ、
予備殺菌されたプリフォーム1は、ホイール21の外周を通過する際に金型4により抱持され、ブローノズル5からの高圧エアの吹き込みによってキャビティC内でボトル2の完成品まで膨張され、
成形されたボトル2は、金型4の型開き後にホイール22のグリッパによって金型4外に取り出され、検査装置によって成形不良等の有無について検査された後、ホイール17を経てホイール23の外周を通過する際に、ボトル2の口部2aに対峙するように配置される殺菌用ノズル6からボトル2の口部2aに向けて過酸化水素ミスト又はガスを吹き付けられることによって本殺菌に付され、
この成形され殺菌されたボトル2は、ホイール23から下流側のホイール27へと流れ、ホイール27の回りで、ボトル2の口部2aに対峙するように配置されるノズル45からボトル2の口部2aに向けて無菌エアを吹き込まれることによってエアリンスに付され、
その後、ボトル2は、ホイール34、35、36、37、38の列へと受け渡されつつ充填機13内を走行し、
充填機13においてボトル2は、ホイール35の回りを走行しつつ飲料aがフィラー39の充填ノズル10により充填されるとともにキャッパー40によりキャップ3が施されて密封され、チャンバー41の出口から排出される、充填方法。」
(2)引用文献2
ア 引用文献2の記載
引用文献2には以下の記載がある。
「【請求項1】 搬送路に沿って所定のタイミングで送られる、熱に対して不安定なプラスチックから成るボトル、特にPETボトルを、滅菌剤の使用により滅菌する方法において、
滅菌開始温度に加熱された過酸化物エアロゾルをボトルの内室へ吹き込んで、ボトルの内壁に過酸化物凝縮物フィルムを形成し、続いて過酸化物エアロゾルの滅菌開始温度を上回る活性化温度を有する滅菌空気をボトルの内室に、エアロゾル凝縮物が蒸発するまで吹き込み、その後、新たに滅菌空気を吹き込むことによって、過酸化物残留物をボトルの内室から追い出すことを特徴とする、PETボトルを滅菌する方法。
・・・
【請求項3】 過酸化物エアロゾルが、ボトルに投入される前に、滅菌開始温度である約60~90℃、有利には約70~80℃に加熱される、請求項1又は2記載の方法。
・・・
【請求項9】 滅菌空気が、約90~120℃、有利には約110℃の活性化温度に加熱される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。」
「【0001】
本発明は、搬送路に沿って所定のタイミングで送られる、熱に対して不安定なプラスチックから成るボトル、特にPETボトルを、滅菌剤の使用により滅菌する方法に関する。」
「【0008】
ポジション11では、熱に対して不安定なプラスチックから成るボトル8、特にPETボトルに、滅菌開始温度に加熱された過酸化物エアロゾルが吹き込まれる。これはランス20によって行われ、このランス20は、その供給管21と共に、矢印9の方向に、上方の出発位置から図示の下方の運転位置へと、駆動装置(図示せず)を用いて動かすことができる。供給管21は、過酸化物エアロゾル発生装置(図示せず)へと続いている。この過酸化物エアロゾル発生装置は、過圧を有する過酸化物エアロゾルを発生させて、ランスが下げられている際には、過酸化物霧状物、例えばH2O2霧状物をボトル8の内室へと吹き込ませる。」
イ 引用文献2に記載された事項
引用文献2の請求項1、3及び9を参照すると、引用文献2には以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「搬送路に沿って所定のタイミングで送られるPETボトルを、滅菌剤の使用により滅菌する技術において、
滅菌開始温度である約60~90℃に加熱された過酸化水素霧状物をボトルの内室へ吹き込んで、ボトルの内壁に過酸化物凝縮物フィルムを形成し、続いて約90~120℃の活性化温度に加熱された滅菌空気をボトルの内室に、過酸化水素霧状物が蒸発するまで吹き込み、その後、新たに滅菌空気を吹き込むことによって、過酸化物残留物をボトルの内室から追い出す、PETボトルを滅菌すること。」
(3)引用文献3
ア 引用文献3の記載
引用文献3には以下の記載がある。
(ア)「本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、物品を適切な温度に加熱しつつ過酸化水素等の殺菌剤のミストを物品内に満遍なく導入して、均一かつ優れた殺菌効果を得ることが可能な殺菌方法及び装置を提供することにある。
本発明の殺菌方法は、熱風に殺菌剤のミストを混ぜる処理と、前記ミストが混ぜられた熱風を物品の内部に供給する処理とを備えるものである。
この方法によれば、物品内に供給される熱風を利用して殺菌剤のミストを物品の内部の隅々まで満遍なく導入することができる。ミストの導入中にボトル内に熱が絶えず供給されてボトル内の温度が一定に保たれるので、熱風の温度や流量を低く設定しても均一でかつ十分な殺菌効果が得られる。つまり、本発明によれば、殺菌剤のミストを一定温度下で一定期間物品の内部に導入するという殺菌条件を容易に実現することができるので、均一かつ優れた殺菌効果を確実に得ることができる。」(明細書1ページ下から4行~2ページ9行)
(イ)「(第1の実施形態)
第1図は、本発明の第1の実施形態に係る殺菌方法の手順を示す図である。この実施形態はPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルの内面殺菌を行う方法を示している。この殺菌方法では、まず、予備加熱処理が行われる(ステップS11)。予備加熱では、ボトル1の口部1aから内部へノズル2が挿入され、そのノズル2から熱風が送り込まれてボトル1が予備加熱される。同時に、ボトル1の口部1aの外周にはノズル3,3が設置され、それらのノズル3から熱風が口部1aに吹き付けられて口部1aがさらに加熱される。また、予備加熱処理と並行して殺菌剤のミストをボトル1内に導入する処理も行われる。ミストの導入は、予備加熱のために供給される熱風にミストを混ぜることによって実現される。」(明細書4ページ下から13行~同4行)
(ウ)「ヒータ13からノズル2に向かう熱風には、ミスト供給部15から送られる、過酸化水素を主成分とする殺菌剤のミストが混ぜられる。」(明細書5ページ4~5行)
(エ)「ミストの吹き込み時間はボトル1本に対して0.1秒~1秒の範囲が好ましい。」(明細書6ページ9~10行)
(オ)「第1図に戻って、ミストの供給後はエアーリンス処理が行われる(ステップS12)。エアーリンス処理では、ボトル1の内部にノズル5が挿入された状態、又は挿入されない状態で、そのノズル5から無菌化された熱風が送り込まれる。熱風によりボトル1は内面から加熱され、殺菌剤ミストによる殺菌効果が高まるとともに、過酸化水素のボトル1への吸着や浸透が抑制されて過酸化水素がボトル1の内面に浮かび易くなる。さらに、ボトル1の内部に漂っているミストが熱風によりボトル1外へ排出される。」(明細書6ページ13~19行)
(カ)「熱風の吹き込みは、ボトル1の内部に漂っているミストをすベて排出できる範囲で行えばよく、時間にして1秒~5秒程度で十分である。」(明細書6ページ24~25行)
(キ)「第7図にも示したように、ミスト導入装置54には複数のノズル2…2が設けられており、それらのノズル2はボトル1内に挿入された状態でボトル1とともに円形の循環経路に沿って所定方向(矢印F方向)に移動する。ミスト導入装置54におけるポトル1の移動速度は一定であり、ボトル1内にノズル2が挿入されている区間も一定である。これによりボトル1の内部には一定温度の熱風が供給されつつ一定の時間だけ殺菌剤のミストが導入される。
・・・
第6図に戻って、ミスト導入装置54を通過したボトル1はターンテーブル55a~55cを順次経由して洗浄装置57のターンテーブル57aに導かれる。中間のターンテーブル55bはエアーリンス装置56の一部として機能する。ェアーリンス装置56では、ターンテーブル55bに搬送されるボトル1の上部にノズル5(第1図及び第4図参照)が配置され、そのノズル5から無菌エアーが送風されつつノズル5がターンテーブル55bに追従してボトル1と同一の位置関係を保つように移動することにより、ボトル1内に一定時間無菌エアーが吹き込まれる。」(明細書10ページ12~11ページ1行)
(ク)「(実施例1)
第1の実施形態の手順に従って500mlのPETボトルを殺菌した。具体的な殺菌手順は次の通りである。
(1)ノズル口での温度が105~125°Cの熱風を、内径10mmのノズルから風量0.5m3/minでボトル内へ導入した。この時、毎分80~400gの割合で35%過酸化水素を気化させて殺菌剤ミストを生成し、これを熱風に混合してボトル内に導入した。
(2)その後、熱風の供給を停止し、その0.5~3.5秒後に、ボトル内部に予備加熱と同様の条件(但し、ミストは混入されていない)で熱風を1秒間吹き込んだ。」(明細書11ページ下から3行~12ページ1~7行)
(ケ)「
[図:0001421338000004.jpg]
」(第1図)
(コ)「
[図:0001421338000005.jpg]
」(第7図)
イ 引用文献3に記載された事項
上記アの記載を参照し、特に実施例1に着目すると、引用文献3には以下の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「PETボトルのノズル口に、温度が105~125℃の熱風に過酸化水素を主成分とする殺菌剤ミストを混合してボトル内に0.1秒~1秒の範囲で吹き込み、その後、同条件で熱風を1秒~5秒の範囲で吹き込むことでPETボトルを殺菌する技術において、各流体の流速を106m/s(ノズル内径10mm、流速0.5m3/minから算出)とすることで、殺菌剤ミストの導入中にボトル内に熱が絶えず供給されてボトル内の温度が一定に保たれるので、熱風の温度や流量を低くしても均一でかつ十分な殺菌効果を得ること。」
(4)引用文献4
引用文献4には以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルの殺菌方法及び装置に関する。」
「【0205】
なお、殺菌剤供給ノズル93と無菌エア供給ノズル45は、各ホイール90,92の回りにボトル2のピッチと同じピッチで多数配置し、各ホイール90,92と同期的に旋回運動をさせつつボトル2内に過酸化水素のガスGや無菌エアNを吹き込むようにしてもよい。」
(5)引用文献5
引用文献5には以下の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック容器のブロー成形装置に関し、特に、成形容器内を無菌状態として密封することの可能な無菌ブロー成形装置に関する。」
「【0013】次に、図1に示すように、金型4A、4Bの主キャビティ5よりも長くパリソン3が形成された後、図2に示すように、金型4A、4Bを閉じ、パリソン3を金型4A、4B内の主キャビティ5及び補助キャビティ6内に収納し、不要部分を切り離す(なお、主キャビティ5内のパリソン3は二点鎖線で示している)。次いでエアノズル2を下降させて、その先端が主キャビティ5内に開口するようにする。その後、図5において、バルブDV2を閉じ、バルブDV1を開く。これにより、無菌フィルタ19を通った無菌エアが高圧でエアノズル2から金型4A、4B内のパリソン3内に供給され、ブロー成形が行われる。以上の動作により図2に示すように、容器部3aとその上端に接続した細管部3bとが形成される。」
(6)引用文献6
ア 引用文献6の記載
引用文献6には以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルに飲料等を無菌雰囲気で充填、密封した製品を、無菌ゾーンから非無菌ゾーンに排出するために、無菌ゾーンと非無菌ゾーンの間に殺菌剤含有エアを供給するゾーンを設ける無菌充填機及び無菌充填方法に関する。」
「【0029】
(無菌充填機及び無菌充填方法の概要)
図1に示すように、本実施形態に係る無菌充填機は、プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置5、プリフォーム1をボトル2に成形する成形部16、成形されたボトル2を殺菌する殺菌部30、殺菌されたボトル2をエアリンスするエアリンス部34及びエアリンスされたボトル2に殺菌された内容物を充填し、殺菌されたキャップ4により密封する充填部39を備えている。さらに、密封されたボトル2が通過する、殺菌剤を含有するエアが供給されるバリアチャンバー49、及びボトル2が排出コンベヤ62に載置され、非無菌ゾーンに排出される出口チャンバー61を備える。」
「【0036】
加熱炉12に入ったプリフォーム1は、図4(B)に示すように、赤外線ヒータ14又はその他の加熱手段によって、後のブロー成形に適した温度まで加熱される。この温度は90℃から130℃であると好適である。
【0037】
なお、プリフォーム1の口部1aの温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。」
「【0039】
加熱されたプリフォーム1は、スピンドル19から解放され、グリッパ22に把持されて、ホイール15を経て、ブロー成形機の成形ホイール18に搬送される。成形ホイール18に備えられた金型20により、図4(C)に示すように、ボトル2にブロー成形される。金型20及びブローノズル21は、成形ホイール18の回りに複数個配置され、成形ホイール18の回転とともに成形ホイール18の周りを一定速度で旋回する。加熱されたプリフォーム1が到来すると、金型20はプリフォーム1を挟み込む。続いてブローノズル21がプリフォーム1に接合され、図示しない延伸ロッドがブローノズル21に設けられた孔に導かれ、プリフォーム1内に挿入され、ブローノズル21からプリフォーム1内に空気等の気体が吹きこまれることにより、金型20内でボトル2が成形される。成形されたボトル2は、図4(D)に示すように、金型20から取り出され、検査ホイール23に設けられたグリッパ22によりサポートリング1bを把持され、検査ホイール23に受け渡される。」
「【0044】
検査機材24による検査により異常と判断されなかったボトル2は、殺菌部30で発生する殺菌剤のガス又はミストが成形部16に流入しないように、成形部16と殺菌部30の間に向けられた雰囲気遮断チャンバー27のホイール25、26を経て、殺菌部30に搬送される。
【0045】
殺菌部30に搬送されたボトル2は、ホイール28において殺菌される。殺菌剤ガス吹き付け工程を図5(E)に示す。ボトル2に殺菌剤のガスを吹き付けるため、殺菌剤ガス吹き付けノズル31が設けられる。殺菌剤ガス吹き付けノズル31は、その先端のノズル孔が直下を走行するボトル2の口部1aの開口に正対し得るように固定される。また、必要に応じて殺菌剤ガス吹き付けノズル31の下方にボトル2の走行路に沿って、図5(E)に示すように殺菌剤ガス吹き付けトンネル32が設けられる。殺菌剤ガス吹き付けノズル31は一本であっても複数本であっても構わない。ボトル2に吹き付けられた殺菌剤のガスがボトル2の内部に流入し、ボトル2の内面を殺菌する。このとき、ボトル2は殺菌剤ガス吹き付けトンネル32内を走行することで、殺菌剤のガス又はミストが、ボトル2の外面にも流れて、ボトル2の外面を殺菌する。」
「【0053】
殺菌部30で殺菌されたボトル2は図1に示すように、ホイール29を経て、エアリンス部34に搬送される。ボトル2は、図1に示すエアリンスホイール35において、図5(F)に示すようにエアリンスノズル38により無菌エアが吹き付けられる。無菌エアは常温でも構わないが、加熱されることが好ましい。無菌エアは、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出し、残存する殺菌剤を分解してさらに殺菌効果を高め、ボトル2の内部に異物が存在する場合は排除する効果もある。」
「【0055】
エアリンス部34でエアリンスされたボトル2は図1に示すように、ホイール37を経て、充填部39に搬送される。充填部39では、図1に示すホイール40にて、図5(G)に示す充填工程のように、充填ノズル42によりボトル2に内容物が充填される。内容物はあらかじめ殺菌されており、ボトル2と同期的に走行する充填ノズル42により、ボトル2内に一定量の飲料等の内容物が充填される。」
「【0069】
図1に示すホイール7において図10に示すプリフォーム1の殺菌を行うこともできる。図10(I)に示すように、殺菌剤のガスが殺菌剤ガス吹き付けノズル31からプリフォーム1に吹き付けられる。殺菌剤のガスの生成には、ボトル2の殺菌に使用する殺菌剤ガス生成器51と同様のものが使用される。また、殺菌剤も同様のものが使用され、殺菌剤は少なくとも過酸化水素を含有していることが好ましく、その含有量は0.5質量%~65質量%の範囲が適当である。0.5質量%未満では殺菌力が不足する場合があり、65質量%を超えると安全上、扱いが困難となる。また、さらに好適なのは0.5質量%~40質量%であり、40質量%以下では扱いがより容易である。」
「【0071】
殺菌剤のガスは殺菌剤ガス吹き付けノズル31からプリフォーム1に向かって吹き付けられるが、図10(I)に示すように、殺菌剤のガスは、殺菌剤ガス吹き付けノズル31内で二手に分かれて流れ、その一方がノズル31aからプリフォーム1の内部に向かって吹き付けられ、他方がプリフォーム1の外面に向かってノズル31bに設けられた吹き出し口から吹き付けられてもかまわない。殺菌剤のガスは、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から出た後、ガス状態のままで若しくはガスが凝結したミストとなって又はそれらの混合物となって、プリフォーム1の内部に流入し、あるいはプリフォーム1の外面に吹き付けられる。」
「【0082】
本発明の実施形態において、殺菌はプリフォーム1に対して行っても、ボトル2に対して行っても、また、プリフォーム1とボトル2の両方に対して行っても構わない。プリフォーム1に対してだけ殺菌を行う場合、雰囲気遮断チャンバー27、ボトル殺菌を行う殺菌部30は不要である。エアリンス部34は設けなくても構わない。」
「【図1】
[図:0001421338000006.jpg]
」
「【図4】
[図:0001421338000007.jpg]
」
「【図5】
[図:0001421338000008.jpg]
」
「【図10】
[図:0001421338000009.jpg]
」
イ 引用文献6の記載から認定される事項
(ア)【0029】の記載から、プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置5と、成形部16と、成形されたボトル2を殺菌する殺菌部30と、殺菌されたボトル2をエアリンスするエアリンス部34と、ボトル2に内容物を充填しキャップ4により密封する、充填部39と、密封されたボトル2が通過するとともに殺菌剤を含有するエアが供給されるバリアチャンバー49と、ボトル2が排出コンベヤ62により非無菌ゾーンに排出される出口チャンバー61を備える無菌充填機であることがわかる。
そして、【0039】の記載及び図1から、成形ホイール18を有する成形部16であることがわかり、【0055】及び図1から、ホイール40を有する充填部39であることがわかる。
(イ)【0039】、【0044】~【0045】、【0053】、【0055】、図1の記載から、成形ホイール18とホイール40との間においてボトル2が搬送される、検査ホイール23、ホイール25、26、28、29、37を備えることがわかる。
(ウ)【0069】、【0071】、図1、図10の記載から、成形部16に搬送されたプリフォーム1は、ホイール7において、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内面及び外面が殺菌されることがわかる。
(エ)【0036】、【0039】の記載から、その後、加熱炉12に入ったプリフォーム1は、後のブロー成形に適した温度まで加熱され、ホイール15を経て、成形ホイール18に搬送され、成形ホイール18に備えられた金型20において、ブローノズル21の延伸ロッドがプリフォーム1内に挿入されて、ボトル2にブロー成形されることがわかる。
(オ)【0045】の記載から、殺菌部30に搬送されたボトル2は、ホイール28において、殺菌剤ガス吹き付けノズル31からボトル2の口部1aに吹き付けられた殺菌剤により内部及び外面が殺菌されることがわかり、図5E、【0045】の記載から、ボトル2の口部1aと離間して正対するように配置される殺菌剤ガス吹き付けノズル31であることが看取される。
(カ)【0053】の記載から、殺菌部30で殺菌されたボトル2は、ホイール29を経て、エアリンス部34に搬送され、エアリンスホイール35において、エアリンスノズル38からボトル2の口部1aに吹き付けられた、加熱されることが好ましい無菌エアにより、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出されるとともに、残存する殺菌剤が分解されてさらに殺菌効果が高められ、ボトル2の内部に異物が存在する場合は排除されることがわかり、図5F、【0053】の記載から、ボトル2の口部2aと離間して正対するように配置されることがわかる。
(キ)図5(E)及び図5(F)から、殺菌剤ガス吹き付けノズル31及びエアリンスノズル38の内径が、容器口部の内径よりも小さいこと、及び、容器搬送路(検査ホイール23、ホイール25、26、28、29、37)の殺菌剤ガス吹き付けノズル31及びエアリンスノズル38を設置した区間においてボトル2が正立状態であることがわかる。
(ク)図4(C)から、成形ホイール18に備えられた金型20において、プリフォーム1の口部1aが金型20の外部に配置された状態であることがわかる。
ウ 引用文献6に記載された発明
以上を総合し、特に【0082】の殺菌をプリフォーム1とボトル2の両方に対して行っても構わない旨の記載に着目すると、引用文献6には以下の各発明(以下それぞれを「引用装置発明2」、「引用装置発明2-1」、「引用方法発明2」という。)が記載されている。
[引用装置発明2]
「プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置5と、成形ホイール18を有する成形部16と、成形されたボトル2を殺菌する殺菌部30と、殺菌されたボトル2をエアリンスするエアリンス部34と、ボトル2に内容物を充填しキャップ4により密封する、ホイール40を有する充填部39と、密封されたボトル2が通過するとともに殺菌剤を含有するエアが供給されるバリアチャンバー49と、ボトル2が排出コンベヤ62により非無菌ゾーンに排出される出口チャンバー61を備える無菌充填機において、
成形ホイール18とホイール40との間においてボトル2が搬送される、検査ホイール23、ホイール25、26、28、29、37を備え、
成形部16に搬送されたプリフォーム1は、ホイール7において、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内面及び外面が殺菌され、
その後、加熱炉12に入ったプリフォーム1は、後のブロー成形に適した温度まで加熱され、ホイール15を経て、成形ホイール18に搬送され、成形ホイール18に備えられた金型20において、口部1aが金型20の外部に配置された状態でブローノズル21の延伸ロッドがプリフォーム1内に挿入されて、ボトル2にブロー成形され、
殺菌部30に搬送されたボトル2は、ホイール28において、ボトル2の口部1aと離間して正対するように配置される殺菌剤ガス吹き付けノズル31からボトル2の口部1aに吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内部及び外面が殺菌され、
殺菌部30で殺菌されたボトル2は、ホイール29を経て、エアリンス部34に搬送され、エアリンスホイール35において、ボトル2の口部2aと離間して正対するように配置されるエアリンスノズル38からボトル2の口部1aに吹き付けられた、加熱された無菌エアにより、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出されるとともに、残存する殺菌剤が分解されてさらに殺菌効果が高められ、ボトル2の内部に異物が存在する場合は排除される、無菌充填機。」
[引用装置発明2-1]
上記引用装置発明2の事項に、さらに以下の事項を有する発明。
「殺菌剤ガス吹き付けノズル31及びエアリンスノズル38の内径が、容器口部の内径よりも小さく、
容器搬送路(検査ホイール23、ホイール25、26、28、29、37)におけるホイール28には殺菌剤ガス吹き付けノズル31が配置され、エアリンスホイール35にはエアリンスノズル38が配置され、
容器搬送路(検査ホイール23、ホイール25、26、28、29、37)の殺菌剤ガス吹き付けノズル31及びエアリンスノズル38を設置した区間においてボトル2が正立状態である」事項。
[引用方法発明2]
「プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置5と、成形ホイール18を有する成形部16と、成形されたボトル2を殺菌する殺菌部30と、殺菌されたボトル2をエアリンスするエアリンス部34と、ボトル2に内容物を充填しキャップ4により密封する、ホイール40を有する充填部39と、密封されたボトル2が通過するとともに殺菌剤を含有するエアが供給されるバリアチャンバー49と、ボトル2が排出コンベヤ62により非無菌ゾーンに排出される出口チャンバー61を備える無菌充填機による無菌充填方法において、
成形ホイール18とホイール40との間においてボトル2が搬送される、検査ホイール23、ホイール25、26、28、29、37を備え、
成形部16に搬送されたプリフォーム1は、ホイール7において、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内面及び外面が殺菌され、
その後、加熱炉12に入ったプリフォーム1は、後のブロー成形に適した温度まで加熱され、ホイール15を経て、成形ホイール18に搬送され、成形ホイール18に備えられた金型20において、ブローノズル21の延伸ロッドがプリフォーム1内に挿入されて、ボトル2にブロー成形され、
殺菌部30に搬送されたボトル2は、ホイール28において、ボトル2の口部1aと離間して正対するように配置される殺菌剤ガス吹き付けノズル31からボトル2の口部1aに吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内部及び外面が殺菌され、
殺菌部30で殺菌されたボトル2は、ホイール29を経て、エアリンス部34に搬送され、エアリンスホイール35において、ボトル2の口部2aと離間して正対するように配置されるエアリンスノズル38からボトル2の口部1aに吹き付けられた、加熱された無菌エアにより、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出されるとともに、残存する殺菌剤が分解されてさらに殺菌効果が高められ、ボトル2の内部に異物が存在する場合は排除される、無菌充填方法。」
(7)引用文献8
引用文献8には以下の記載がある。
「
[図:0001421338000010.jpg]
」(360ページ)
(8)申立人が令和6年8月29日提出の意見書に添付して提出した甲8である特開2008-133049号公報(以下「引用文献9」という。)
引用文献9には以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、ペット(PET)ボトル等の薄肉のプラスチックボトルの殺菌方法に関する。」
「【0022】
[加熱殺菌方法]
薄肉プラスチックボトルへの加熱殺菌方法は、従来より知られている各種方法を使用することができる。加熱殺菌流体としては、液体としては60℃~90℃、より好ましくは65℃~85℃に加温した過酢酸、過酸化水素、アルカリ等の殺菌剤または温水を使用することができる。加熱殺菌流体の好ましい噴射時間は2~10秒間で、ボトルの殺菌に必要な熱量を供給することができる。また、液体に代えてあるいは併用して蒸気を使用することもできる。」
「【0031】
図3(a)に示す噴射ノズル20は、倒立状態の薄肉プラスチックボトルの口部A下方からボトルと非接触状態で加熱殺菌流体などの流体を噴射するノズルであって、・・・。
【0032】
噴射ノズル20は、ボトルの口部Aから排出される流体の排水性や後述するジャグリング効果を得やすくすることなどを考慮し、ボトルの口部Aの頂面より5~50mm程度、好ましくは10~30mm程度間隔(h)を設けて配置することが望ましい。・・・」
「【図3(a)】
[図:0001421338000011.jpg]
」
(9)申立人が令和6年8月29日提出の意見書に添付して提出した甲9である特開2016-120597号公報(以下「引用文献10」という。) 引用文献10には以下の記載がある。
「【0002】
プリフォーム内に塵埃等の異物が残留していると、プリフォームからボトルを成形した後も、異物がボトル内に残る。さらに、飲料等の内容物をボトルに充填密封した後も、異物が内容物内に残る。これを防止するためには、プリフォームの段階でプリフォーム内から異物を除去しておくのが望ましい。」
「【0032】
続いて、図1(B)に示すように、倒立状態で搬送されるプリフォーム1に対し、その口部2aから、濾過エアP2が吹き込まれる。これにより、プリフォーム1の内部から異物がエアP2と共にプリフォーム1外に排出される。
・・・
【0034】
濾過エア用ノズル97の口内径は、3mmφ~6mmφが望ましく、ノズル口とプリフォーム1との間の距離は10mm以内、より好ましくは5mm以内であるのが望ましい。」
「【図1(B)】
[図:0001421338000012.jpg]
」
(10)周知技術
ア 周知技術1
過酸化水素の沸点は約150℃であることは周知の事実であり(参考URL<https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/files/information/ra/160617.4-2.pdf>の1ページ目)、引用文献8の360ページの「第1表 過酸化水素水の物理的性質」からは、過酸化水素水の沸点が100℃以上であることがわかる。
そうすると、以下の事項は周知技術(以下「周知技術1」という。)であるといえる。
「殺菌に用いられる過酸化水素水の沸点はおおむね100℃以上であること。」
イ 周知技術2
引用文献3の10ページ12~11ページ1行の記載(上記(3)ア(キ))、及び引用文献4の【0205】(上記(4))に記載されているように、以下の技術事項は周知技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。
「ボトル殺菌装置において、殺菌流体ノズル及びホットエアーノズルを容器搬送方向に沿って移動させること。」
ウ 周知技術3
引用文献5の【0013】(上記(5))に記載されているように、以下の技術事項は周知技術(以下「周知技術3」という。)であるといえる。
「プラスチック容器のブロー成形装置において、無菌エアにより容器をブロー成形を行うこと。」
2 引用文献1を主引用文献とした進歩性
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と引用装置発明1を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
<各構成について>
(ア)引用装置発明1の「プリフォーム1」、「ボトル2」及び「ボトル2の口部2a」は、それぞれ、本件発明1の「プリフォーム」、「容器」及び「容器口部」に相当する。
(イ)引用装置発明1の「ホイール21を有」し、「予備殺菌されたプリフォーム1は、ホイール21の外周を通過する際に口部2aが金型4の外部に配置された状態で抱持され、ブローノズル5からの高圧エアの吹き込みによってキャビティC内でボトル2の完成品まで膨張され」る「ブロー成形機12」は、本件発明1の「ブロー成形ターレットを有し」、「プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形する」「容器成形ユニット」に相当する。
(ウ)引用装置発明1の「前記ブロー成形機12の下流側に配置されボトル2に飲料aを充填するフィラー39を有する充填機13」は、本件発明1の「前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニット」に相当する。
(エ)引用装置発明1における「ホイール21」(「ブロー成形ターレット」に相当。)と「ホイール35」及び「フィラー39」(「充填部」に相当。)の間に配置される「ホイール22」、「ホイール17」、「ホイール23」、「ホイール27」及び「ホイール34」は、本件発明1の「前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路」に相当する。
(オ)引用装置発明1の「予備殺菌が行われ」る構成及び「本殺菌に付され、」「エアリンスに付され」る構成は、本件発明1の「本殺菌機と」「補完殺菌機とを備え」る「殺菌処理機構」に相当する。
(カ)引用装置発明1の「充填装置」は、殺菌済みのボトル2に飲料aを充填するから、本件発明1の「殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システム」に相当する。
<本殺菌機について>
(キ)本件装置発明1の「本殺菌処理」はプリフォームの殺菌処理ともいえるところ、引用装置発明1の「予備殺菌」もプリフォームの殺菌処理であるから、引用装置発明1の「予備殺菌」は、本件発明1の「本殺菌処理」に相当する。
そうすると、引用装置発明1の「加熱部19aに入る前に、ノズル24から、プリフォーム1の内面及び外面に過酸化水素ミスト又はガスが吹き付けられ、加熱部19aにおいてプリフォーム1は、コンベア19によって搬送されつつ、全体の温度が成形に好適な温度域まで均一に加熱されることでプリフォーム1の予備殺菌が行われ」る構成は、本件発明1の「前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機」であって、「前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され」る構成に相当する。
<補完殺菌機について>
(ク)引用装置発明1の「本殺菌」は、ホイール17を経てホイール23の外周を通過する経路(本件発明1の「容器搬送路」に相当。)において付される処理であるから、本件発明1の「補完殺菌処理」に相当する。
また、引用装置発明1の「過酸化水素ミスト又はガス」を吹き出す「殺菌用ノズル6」は、本件発明1の「殺菌流体」を噴出する「殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器」に相当し、引用装置発明1の「無菌エア」を吹き出す「ノズル45」と、本件発明1の「ホットエアー」を噴出する「ホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器」は、「エアーを噴出するノズルを有したエアー噴出器」である限りにおいて一致する。
(ケ)そうすると、引用装置発明1の「ホイール17を経てホイール23の外周を通過する際に、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように配置される殺菌用ノズル6からボトル2の口部2aに向けて過酸化水素ミスト又はガスを吹き付けられることによって本殺菌に付され、この成形され殺菌されたボトル2は、ホイール23から下流側のホイール27へと流れ、ホイール27の回りで、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように配置されるノズル45からボトル2の口部2aに向けて無菌エアを吹き込まれることによってエアリンスに付され」る構成と、本件発明1の「前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、」「容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置され、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~40mmとなるように配置され、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で吹き出すように構成されている」構成は、「前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、」「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、エアーを噴出するエアーノズルを有したエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体ノズルおよび前記エアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはエアーを噴出するように設置されている」構成の限りにおいて一致する。
以上を総合すると、本件発明1と引用装置発明1は、以下の点で一致し、相違する。
[一致点1-1]
「殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、
ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路と、殺菌処理機構とを備え、
前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機と、前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され、
前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、エアーを噴出するエアーノズルを有したエアー噴出器とを備え、
前記殺菌流体ノズルおよび前記エアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはエアーを噴出するように設置されている、充填システム。」
[相違点1-1]
補完殺菌機について、本件発明1では、殺菌流体が「容器口部の内面側温度以上」であり、エアーが「容器口部の内面側温度以上のホットエアー」であるのに対し、引用装置発明1では、ボトル2の口部2aの温度、過酸化水素ミスト又はガスの温度、及び、無菌エアの温度がいずれも不明である点。
[相違点1-2]
補完殺菌機について、本件発明1では、「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~40mmとなるように配置され、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で吹き出すように構成されている」のに対し、引用装置発明1では、各ノズルとボトル2の口部2aとの間隔が不明であり、各流体の流速が不明な点。
イ 判断
(ア)相違点1-1について
引用装置発明1における口部2aの温度について、引用文献1の「プリフォーム1は、・・・、ブロー成形に適した加熱状態とされる。ただし、口部2aは、・・・、変形等しないように40℃から50℃程度までの昇温に抑えられる。」(【0036】~【0037】)との記載を踏まえると、本殺菌においても口部2aの温度は50℃以下であることが推認できる。
次に、本殺菌用の過酸化水素ミスト又はガスの温度について、引用文献1には「このミスト生成器7は、殺菌剤である過酸化水素の水溶液を滴状にして供給する二流体スプレーである過酸化水素供給部8と、この過酸化水素供給部8から供給された過酸化水素の噴霧をその沸点以上の非分解温度以下に加熱して気化させる気化部9とを備える。」(【0048】)と、過酸化水素水溶液の噴霧を気化するために加熱することが記載されている。そして、殺菌に用いられる過酸化水素の沸点に係る周知技術1を踏まえると、引用装置発明1において、気化部9で発生する過酸化水素ガスGは、おおむね100℃以上に加熱されているといえる。さらに【0048】~【0049】及び図4の記載を踏まえ、気化部9において気化後の過酸化水素水がさらに過熱される可能性、吐出ノズル9bから気化部9外に凝結ミストMとなって噴出する際に降温する可能性、前記凝結ミストMが熱風Hによってガス化する際に昇温する可能性、前記凝結ミストM又はガスGが殺菌用ノズル6に至る経路において降温する可能性等を総合的に考慮しても、引用装置発明1において、過酸化水素ミスト又はガスの温度が、50℃以下である口部2aの内面側温度以上であることは、引用文献1に記載されているに等しい事項である。
更に、無菌エアの温度について、引用装置発明1と同様、容器に過酸化水素霧状物及び空気を順次吹き込むことで殺菌する技術に関する引用文献2記載事項を参照することで、引用装置発明1における無菌エアの温度を、口部2aの内面側温度以上とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、引用装置発明1において、周知技術1及び引用文献2記載事項を参照して、相違点1-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ)相違点1-2について
a 各流体の流速について
引用装置発明1と引用文献3記載事項は、PETボトルの殺菌方法に関するものである点で共通している。さらに、引用文献1の「本殺菌での過酸化水素の使用量を低減することができる」(【0019】)との記載及び引用文献3の「熱風の温度や流量を低く設定しても均一でかつ十分な殺菌効果が得られる。」(2ページ5~6行)との記載を踏まえると、引用装置発明1と引用文献3記載事項は、PETボトルの殺菌効果を向上するという課題においても共通している。
そうすると、引用装置発明1において、引用文献3記載事項を参照することで、各流体の流速を、相違点1-2に係る本件発明1の数値範囲内とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
b 各ノズルと口部との間隔について
上記1(8)で示したように、引用文献9には、倒立状態としたプラスチックボトルの口部に対向して配置した噴射ノズルから加熱殺菌流体を噴射する技術において、ボトルの口部と噴射ノズルの間隔を5~50mm程度とすることが記載されており、上記1(9)で示したように、引用文献10には、容器の飲料用ボトルのプリフォームに対向して配置したノズルから異物除去用の濾過エアを噴射する技術において、プリフォームと濾過エア用ノズルの間隔を10mm以内とすることが記載されている。
上記の引用文献9、10の記載を踏まえると、相違点1-2に係る本件発明1の各ノズルと口部との間隔は通常用いられる間隔にすぎない。
そもそも、引用装置発明1において、各ノズルと口部2aとの間隔は、ボトルの配置状態(正立状態か倒立状態か)、流体の流速や流量、ノズル径等に応じて当業者が適宜設定し得ることであると認められるし、本件明細書全体を参酌しても、本件発明1において、各ノズルと容器との間隔を2~10mmとしたことによる効果(前記間隔を2~10mm以外とした場合との効果の差)は確認できない。
そうすると、引用装置発明1において、各ノズルと口部2aとの間隔を、相違点1-2に係る本件発明1の数値範囲内とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
(ウ)作用効果についての検討
上記の相違点を総合的に勘案しても、本件発明1の奏する作用効果は、引用装置発明1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(エ)特許権者の主張について
a 特許権者は、令和6年7月9日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、本件発明1は、相違点1-1及び相違点1-2に係る構成を有することで、「ブロー成形によって生じる容器口部や容器底部等の容器各部の内面間の温度差を低減し、容器各部の内面に塗布された殺菌剤による殺菌効果を均一にすることが可能であるため、補完殺菌処理において容器に塗布される殺菌剤の量を低減することを実現して、容器内の殺菌剤の濃度を規定値以下まで下げることを容易にし、ブロー成形ターレットと充填部との間の容器搬送路を短く設計することができる。」(意見書5ページ23~33行)という格別な作用効果について主張する。
しかしながら、上記1(3)で示した引用文献3記載事項には、「各流体の流速を106m/s(ノズル内径10mm、流速0.5m3/minから算出)とすることで、殺菌剤ミストの導入中にボトル内に熱が絶えず供給されてボトル内の温度が一定に保たれるので、熱風の温度や流量を低くしても均一でかつ十分な殺菌効果を得る」ことが示されているから、特許権者の主張のうち均一な殺菌効果については、引用文献3記載事項から当業者が予測できる範囲内のものである。また、その余の作用効果については、均一な殺菌効果に付随して奏する作用効果にすぎない。
b さらに特許権者は、意見書において、「容器との間隔が2mmより小さい場合、・・・ノズルと接触してしまう虞がある・・・40mmを超える場合、噴出されたホットエアーの容器口部に達する前の温度変化が大きくなり、・・・虞があります。」(6ページ1~7行)と主張する。
しかしながら、上記(イ)bで説示したとおり、引用装置発明1において、各ノズルと口部2aとの間隔は、ボトルの配置状態(正立状態か倒立状態か)、流体の流速や流量、ノズル径等に応じて当業者が適宜設定し得ることであり、その際に、容器口部とノズルの衝突の可能性や流体の温度低下も含めて検討し得ることは明らかである。
c よって、特許権者の上記主張は採用できない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、引用装置発明1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明2について
本件発明2と引用装置発明1を対比すると、上記(1)で示した相当関係のとおりである。
そうすると、本件発明2と引用装置発明1は、上記(1)で示した一致点で一致し、上記(1)で示した相違点に加え、本件発明2は、「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~10mmとなるように配置されている」のに対し、引用装置発明1は、殺菌用ノズル6及びエアリンス用のノズル45とボトル2の口部2aの間隔が不明である点で相違する。
しかしながら、引用文献10の【0034】(上記1(9))の記載を踏まえると、ノズルと口部の間隔が10mm以内であることは通常用いられる間隔にすぎない。
そうすると、本件発明2は、引用装置発明1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明3について
本件発明3と引用装置発明1-1を対比すると、上記(1)で示した相当関係に加え、引用装置発明1-1の「殺菌用ノズル6及びエアリンス用のノズル45の内径が、ボトル2の口部2aの内径よりも小さ」いことは、本件発明3の「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルの内径は、容器口部の内径よりも小さく設定されていること」に相当する。
そうすると、本件発明3と引用装置発明1-1とは、上記(1)で示した一致点に加え、「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルの内径は、容器口部の内径よりも小さく設定されていること」で一致し、上記(1)、(2)で示した相違点においてのみ相違する。
そうすると、本件発明3は、引用装置発明1-1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と引用装置発明1を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者の相当関係は、以下の点を除き上記(1)ア(ア)~(ク)で示したものと同様である。
引用装置発明1の「ホイール17を経てホイール23の外周を通過する際に、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように配置される殺菌用ノズル6からボトル2の口部2aに向けて過酸化水素ミスト又はガスを吹き付けられることによって本殺菌に付され、この成形され殺菌されたボトル2は、ホイール23から下流側のホイール27へと流れ、ホイール27の回りで、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように配置されるノズル45からボトル2の口部2aに向けて無菌エアを吹き込まれることによってエアリンスに付され」る構成と、本件発明4の「前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、」「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成されている」構成は、「前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、」「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、エアーを噴出するエアーノズルを有したエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を、容器に向けて吹き出すように構成され、前記エアー噴出器は、前記エアーノズルからエアーを、容器に向けて吹き出すように構成されている」限りにおいて一致する。
以上を総合すると、本件発明4と引用装置発明1は、以下の点で一致し、相違する。
[一致点1-2]
「殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、
ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路と、殺菌処理機構とを備え、
前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機と、前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され、
前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、エアーを噴出するエアーノズルを有したエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を、容器に向けて吹き出すように構成され、前記エアー噴出器は、前記エアーノズルからエアーを、容器に向けて吹き出すように構成されている、充填システム。」
[相違点1-3]
補完殺菌機について、本件発明4では、殺菌流体が「容器口部の内面側温度以上」であり、エアーが「容器口部の内面側温度以上のホットエアー」であるのに対し、引用装置発明1では、ボトル2の口部2aの温度、過酸化水素ミスト又はガスの温度、及び、無菌エアの温度がいずれも不明である点。
[相違点1-4]
補完殺菌機について、本件発明4では、「前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成され、
前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成されている」のに対し、引用装置発明1では、各流体の流速が不明であり、各流体の噴出時間が不明な点。
イ 判断
(ア)相違点1-3について
上記(1)イで相違点1-1について説示した事項と同様である。
(イ)相違点1-4について
引用装置発明1と引用文献3記載事項は、PETボトルの殺菌方法に関するものである点で共通している。さらに、引用文献1の「本殺菌での過酸化水素の使用量を低減することができる」(【0019】)との記載及び引用文献3の「熱風の温度や流量を低く設定しても均一でかつ十分な殺菌効果が得られる。」(2ページ5~6行)との記載を踏まえると、引用装置発明1と引用文献3記載事項は、PETボトルの殺菌効果を向上するという課題においても共通している。
そうすると、引用装置発明1において、引用文献3記載事項を参酌することで、引用装置発明1における過酸化水素ミスト又はガス並びに無菌エアの流速と噴出時間を、相違点1-4に係る数値範囲内とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)作用効果についての検討
上記の相違点を総合的に勘案しても、本件発明4の奏する作用効果は、引用装置発明1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(エ)特許権者の主張について
a 特許権者は、意見書において、本件発明4は、相違点1-3及び相違点1-4に係る構成を有することで、「ブロー成形によって生じる容器口部や容器底部等の容器各部の内面間の温度差を低減し、容器各部の内面に塗布された殺菌剤による殺菌効果を均一にすることが可能であるため、補完殺菌処理において容器に塗布される殺菌剤の量を低減することを実現して、容器内の殺菌剤の濃度を規定値以下まで下げることを容易にし、ブロー成形ターレットと充填部との間の容器搬送路を短く設計することができる。」(意見書7ページ下から11行~同5行)という格別な作用効果について主張する。
しかしながら、上記1(3)で示した引用文献3記載事項には、「温度が105~125℃の熱風に殺菌剤ミストを混合してボトル内に0.1秒~1秒の範囲で吹き込み、その後、同条件で熱風を1秒~5秒の範囲で吹き込むことでPETボトルを殺菌する技術において、各流体の流速を106m/s(ノズル内径10mm、流速0.5m3/minから算出)とすることで、殺菌剤ミストの導入中にボトル内に熱が絶えず供給されてボトル内の温度が一定に保たれるので、熱風の温度や流量を低くしても均一でかつ十分な殺菌効果を得る」ことが示されているから、特許権者の主張のうち均一な殺菌効果については、引用文献3記載事項から当業者が予測できる範囲内のものである。また、その余の作用効果については、均一な殺菌効果に付随して奏する作用効果にすぎない。
b よって、特許権者の上記主張は採用できない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明4は、引用装置発明1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)本件発明5について
本件発明5と引用装置発明1-1を対比すると、上記(1)、(3)、(4)で示した相当関係に加え、引用装置発明1-1の「ホイール23」及び「ホイール27」は本件発明5の「搬送機」に相当し、引用装置発明1-1の「容器搬送路(ホイール22、17、23、27、34)の殺菌用ノズル6及びエアリンス用のノズル45を設置した区間においてボトル2が正立状態である」ことは、本件発明5の「前記搬送機は、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルを設置した区間において、容器を正立状態で搬送するように構成されていること」に相当する。
そうすると、本件発明5と引用装置発明1-1は、上記(1)、(3)、(4)で示した一致点に加え、「前記搬送機は、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルを設置した区間において、容器を正立状態で搬送するように構成されている」ことで一致し、上記(1)、(2)、(4)で示した相違点においてのみ相違する。
そうすると、本件発明5は、引用装置発明1-1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)本件発明6について
本件発明6と引用装置発明1-1を対比すると、上記(1)、(3)~(5)で示した相当関係のとおりである。
そうすると、本件発明6と引用装置発明1-1は、上記(1)、(3)~(5)で示した一致点で一致し、上記(1)、(2)、(4)で示した相違点に加え、本件発明6は、「前記殺菌流体噴出器は、前記容器搬送路における容器搬送方向に沿って前記殺菌流体ノズルを移動させる殺菌流体ノズル移動手段を有し、前記ホットエアー噴出器は、前記容器搬送路における容器搬送方向に沿ってホットエアーノズルを移動させるホットエアーノズル移動手段を有している」のに対し、引用装置発明1-1は、殺菌用ノズル6及びエアリンス用のノズル45がボトル2の搬送方向に移動するか不明である点で相違する。
しかしながら、引用装置発明1-1に周知技術2を適用することで、上記相違点に係る本件発明6の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、本件発明6は、引用装置発明1-1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7)本件発明7について
本件発明7と引用装置発明1-1を対比すると、上記(1)、(3)~(5)で示した相当関係のとおりである。
そうすると、本件発明7と引用装置発明1-1は、上記(1)、(3)~(5)で示した一致点で一致し、上記(1)、(2)、(4)、(6)で示した相違点に加え、本件発明7は、「前記容器成形ユニットは、プリフォーム内に無菌エアーを吹き込むブロー機を備えている」のに対し、引用装置発明1-1は、ブローノズル5からの高圧エアが無菌エアであるか不明である点で相違する。
しかしながら、引用装置発明1-1は引用文献1の記載全体からみて無菌充填を意図しているものであるから、周知技術3を参照することで、引用装置発明1-1のブローノズル5からの高圧エアを無菌エアとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、本件発明7は、引用装置発明1-1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1~3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8)本件発明8について
ア 対比
本件発明8と引用方法発明1を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
<各構成について>
(ア)引用方法発明1の「プリフォーム1」、「ボトル2」及び「ボトル2の口部2a」は、それぞれ、本件発明8の「プリフォーム」、「容器」及び「容器口部」に相当する。
(イ)引用方法発明1の「ホイール21を有」し「予備殺菌されたプリフォーム1は、ホイール21の外周を通過する際に金型4により抱持され、ブローノズル5からの高圧エアの吹き込みによってキャビティC内でボトル2の完成品まで膨張され」る「ブロー成形機12」は、引用文献1の図2(C)からプリフォーム1の口部2aが金型4の外部に配置されていることが看取できるから、本件発明8の「ブロー成形ターレット」を有し、「プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形する」「容器成形ユニット」に相当する。
(ウ)引用方法発明1の「前記ブロー成形機12の下流側に配置されボトル2に飲料aを充填するフィラー39」は、本件発明8の「充填部」に相当する。
(エ)引用方法発明1における「ホイール21」(「ブロー成形ターレット」に相当。)と「ホイール35」及び「フィラー39」(「充填部」に相当。)の間に配置される「ホイール22」、「ホイール17」、「ホイール23」、「ホイール27」及び「ホイール34」は、本件発明8の「前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路」に相当する。
(オ)引用方法発明1の「充填装置による充填方法」は、殺菌済みのボトル2に飲料aを充填するから、本件発明8の「殺菌済みの容器に内容液を充填する充填方法」に相当する。
<本殺菌処理について>
(カ)本件発明8の「本殺菌処理」はプリフォームの殺菌処理ともいえるところ、引用方法発明1の「予備殺菌」もプリフォームの殺菌処理であるから、引用方法発明1の「予備殺菌」は、本件発明8の「本殺菌処理」に相当する。
そうすると、引用方法発明1の「加熱部19aに入る前に、ノズル24から、プリフォーム1の内面及び外面に過酸化水素ミスト又はガスが吹き付けられ、加熱部19aにおいてプリフォーム1は、コンベア19によって搬送されつつ、全体の温度が成形に好適な温度域まで均一に加熱されることでプリフォーム1の予備殺菌が行われ」る工程は、
本件発明8の「容器成形ユニットのブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施」す工程に相当する。
<補完殺菌処理について>
(キ)引用方法発明1の「本殺菌」は、ホイール17を経てホイール23の外周を通過する経路(本件発明8の「容器搬送路」に相当。)において付される処理であるから、本件発明8の「補完殺菌処理」に相当する。
また、引用方法発明1の「過酸化水素ミスト又はガス」を吹き出す「殺菌用ノズル6」は、本件発明8の「殺菌流体ノズル」に相当する。
引用方法発明1の「無菌エア」を吹き出す「ノズル45」と、本件発明8の「ホットエアーノズル」は、「エアーノズル」である限りにおいて一致する。
(ク)そうすると、引用方法発明1の「ホイール17を経てホイール23の外周を通過する際に、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように配置される殺菌用ノズル6からボトル2の口部2aに向けて過酸化水素ミスト又はガスを吹き付けられることによって本殺菌に付され、この成形され殺菌されたボトル2は、ホイール23から下流側のホイール27へと流れ、ホイール27の回りで、ボトル2の口部2aと離間して対峙するように配置されるノズル45からボトル2の口部2aに向けて無菌エアを吹き込まれることによってエアリンスに付され」る工程と、
本件発明8の「前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路において、容器に補完殺菌処理を施し、」「前記補完殺菌処理では、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが容器と2~40mmの間隔となるように配置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を70m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に80m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出する」工程は、
「前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路において、容器に補完殺菌処理を施し、」「前記補完殺菌処理では、殺菌流体ノズルおよびエアーノズルが配置され、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、エアーを容器に噴出する」工程である限りにおいて一致する。
以上を総合すると、本件発明8と引用方法発明1は、以下の点で一致し、相違する。
[一致点1-3]
殺菌済みの容器に内容液を充填する充填方法であって、
容器成形ユニットのブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施し、
前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路において、容器に補完殺菌処理を施し、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記補完殺菌処理では、殺菌流体ノズルおよびエアーノズルが配置され、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、エアーを容器に噴出する充填方法。」
[相違点1-5]
補完殺菌処理について、本件発明8では、殺菌流体が「容器口部の内面側温度以上」であり、エアーが「容器口部の内面側温度以上のホットエアー」であるのに対し、引用方法発明1では、ボトル2の口部2aの温度、過酸化水素ミスト又はガスの温度、及び、無菌エアの温度がいずれも不明である点。
[相違点1-6]
補完殺菌処理について、本件発明8では、「殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが容器と2~40mmの間隔となるように配置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を70m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に80m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出する」工程であるのに対し、引用方法発明1では、各ノズルとボトル2の口部2aとの間隔が不明であり、各流体の流速が不明であり、各流体の噴出時間が不明な点。
イ 判断
(ア)相違点1-5について
上記(1)イ(ア)で相違点1-1について説示した事項と同様である。
(イ)相違点1-6について
上記(1)イ(イ)で相違点1-2について説示した事項、及び、上記(4)イ(イ)で相違点1-4について説示した事項と同様である。
(ウ)作用効果についての検討
上記の相違点を総合的に勘案しても、本件発明8の奏する作用効果は、引用方法発明1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、引用文献9、10に記載された事項及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(エ)特許権者の主張について
a 特許権者は、意見書において、本件発明8は、相違点1-5及び相違点1-6に係る構成を有することで、「ブロー成形によって生じる容器口部や容器底部等の容器各部の内面間の温度差を低減し、容器各部の内面に塗布された殺菌剤による殺菌効果を均一にすることが可能であるため、補完殺菌処理において容器に塗布される殺菌剤の量を低減することを実現して、容器内の殺菌剤の濃度を規定値以下まで下げることを容易にし、ブロー成形ターレットと充填部との間の容器搬送路を短く設計することができる。」(意見書8ページ下から4行~9頁2行)という格別な作用効果について主張する。
しかしながら、上記主張については、上記(1)イ(エ)及び上記(4)イ(エ)で説示した事項と同様である。
b よって、特許権者の上記主張は採用できない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明8は、引用方法発明1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(9)まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~8は、引用装置発明1、引用装置発明1-1又は引用方法発明1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、及び周知技術1~3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 引用文献6を主引用文献とした進歩性
(1)本件発明1について
ア 対比
<各構成について>
(ア)引用装置発明2の「プリフォーム1」、「ボトル2」及び「ボトル2の口部1a」は、それぞれ、本件発明1の「プリフォーム」、「容器」及び「容器口部」に相当する。
(イ)引用装置発明2の「成形ホイール18」を有し「成形ホイール18に備えられた金型20において、口部1aが金型20の外部に配置された状態でブローノズル21の延伸ロッドがプリフォーム1内に挿入されて、ボトル2にブロー成形され」る「成形部16」は、本件発明1の「ブロー成形ターレット」を有し、「プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形する」「容器成形ユニット」に相当する。
(ウ)引用装置発明2の「ホイール40」を有する「充填部39」は、「成形部16」の下流側に位置するから、本件発明1の「前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニット」に相当する。
(エ)引用装置発明2における「成形ホイール18とホイール40との間においてボトル2が搬送される、検査ホイール23、ホイール25、26、28、29、37」は、本件発明1の「前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路」に相当する。
(オ)引用装置発明2のプリフォーム1が殺菌される構成、及び、ボトル2が殺菌されるとともにエアリンスされる構成は、本件発明1の「本殺菌機と」「補完殺菌機とを備え」る「殺菌処理機構」に相当する。
(カ)引用装置発明2の「無菌充填機」は、殺菌済みのボトル2に内容物を充填するから、本件発明1の「殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システム」に相当する。
<本殺菌機について>
(キ)本件発明1の「本殺菌処理」はプリフォームの殺菌処理ともいえるところ、引用装置発明2の「成形部16に搬送されたプリフォーム1は、ホイール7において、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内面及び外面が殺菌され」る構成もプリフォームの殺菌処理であるから、引用装置発明2の「成形部16に搬送されたプリフォーム1は、ホイール7において、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内面及び外面が殺菌され」る構成は、本件発明1の「本殺菌処理」に相当する。
そうすると、本件発明1の「前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機」であって、「前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され」る構成に相当する。
<補完殺菌機について>
(ク)また、引用装置発明2の「殺菌剤」を吹き出す「殺菌剤ガス吹き付けノズル31」は、本件発明1の「殺菌流体」を噴出する「殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器」に相当し、引用装置発明2の「加熱された無菌エア」を吹き出す「エアリンスノズル38」は、本件発明1の「ホットエアー」を噴出する「ホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器」に相当する。
(ケ)そうすると、引用装置発明2の「殺菌部30に搬送されたボトル2は、ホイール28において、ボトル2の口部1aと離間して正対するように配置される殺菌剤ガス吹き付けノズル31からボトル2の口部1aに吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内部及び外面が殺菌され、殺菌部30で殺菌されたボトル2は、ホイール29を経て、エアリンス部34に搬送され、エアリンスホイール35において、ボトル2の口部2aと離間して正対するように配置されるエアリンスノズル38からボトル2の口部1aに吹き付けられた、加熱された無菌エアにより、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出されるとともに、残存する殺菌剤が分解されてさらに殺菌効果が高められ、ボトル2の内部に異物が存在する場合は排除される」構成と、
本件発明1の「前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機」であって、「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置され、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~40mmとなるように配置され、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で吹き出すように構成されている」構成は、
「前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、」「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、ホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置されている」構成である限りにおいて一致する。
以上を総合すると、本件発明1と引用装置発明2は、以下の点で一致し、相違する。
[一致点2-1]
「殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、
ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路と、殺菌処理機構とを備え、
前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機と、前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され、
前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、ホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、前記容器搬送路を搬送される容器の容器口部からノズル長手方向に離れた位置から殺菌流体またはホットエアーを噴出するように設置されている充填システム。」
[相違点2-1]
補完殺菌機について、本件発明1では、殺菌流体及びホットエアーが「容器口部の内面側温度以上」であるのに対し、引用装置発明2では、ボトル2の口部1aの温度、殺菌剤の温度、及び、無菌エアの温度がいずれも不明である点。
[相違点2-2]
補完殺菌機について、本件発明1では、「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~40mmとなるように配置され、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で吹き出すように構成されている」のに対し、引用装置発明2では、各ノズルとボトル2の口部2aとの間隔が不明であり、各流体の流速が不明な点。
イ 判断
(ア)相違点2-1について
引用装置発明2におけるボトル2の口部の温度について、引用文献6の「プリフォーム1の口部1aの温度は、変形を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。」(【0037】)との記載を踏まえると、殺菌部30においても口部1aの温度は70℃以下であることが推認できる。
次に、殺菌部30における殺菌剤の温度について、引用文献6には、「殺菌剤ガス生成器51は、殺菌剤を滴状にして供給する二流体スプレーノズルである殺菌剤供給部52と、この殺菌剤供給部52から供給された殺菌剤を分解温度以下に加熱して気化させる気化部53とを備える。殺菌剤供給部52は、殺菌剤供給路52a及び圧縮空気供給路52bからそれぞれ殺菌剤と圧縮空気を導入して殺菌剤を気化部53内に噴霧するようになっている。気化部53は内外壁間にヒータ53aを挟み込んだパイプであり、このパイプ内に吹き込まれた殺菌剤を加熱し気化させる。」(【0046】)と、殺菌剤を気化するために加熱することが記載されている。そして、引用装置発明2の殺菌剤は過酸化水素を含有するから、過酸化水素の沸点に係る周知技術1を踏まえると、引用装置発明2において、気化部53で発生する殺菌剤のガスは、おおむね100℃以上に加熱されているといえる。さらに【0046】の記載を踏まえ、気化部53において気化後の殺菌剤ガスがさらに加熱される可能性、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から気化部53外に噴出する際に減圧して降温する可能性を総合的に考慮しても、引用装置発明2において、過酸化水素ガスの温度が、70℃以下である口部1aの内面側温度以上であることは、引用文献6に記載されているに等しい事項である。
次に、無菌エアの温度について、引用装置発明2と同様、容器に過酸化水素霧状物及び空気を順次吹き込むことで殺菌する技術に関する引用文献2記載事項を参照することで、引用装置発明2における無菌エアの温度を、口部1aの内面側温度以上とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、引用装置発明2において、周知技術1及び引用文献2記載事項を参照して、相違点2-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ)相違点2-2について
上記2(1)イ(イ)で相違点1-2について説示した事項と同様である。
(ウ)作用効果についての検討
上記の相違点を総合的に勘案しても、本件発明1の奏する作用効果は、引用装置発明2、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、引用装置発明2、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明2について
本件発明2と引用装置発明2を対比すると、上記(1)で示した相当関係のとおりである。
そうすると、本件発明2と引用装置発明2は、上記(1)で示した一致点で一致し、上記(1)で示した相違点に加え、本件発明2は、「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルは、容器との間隔が2~10mmとなるように配置されている」のに対し、引用装置発明2は、殺菌剤ガス吹き付けノズル31及びエアリンスノズル38とボトル2の口部2aの間隔が不明である点で相違する。
しかしながら、引用文献10の【0034】(上記1(9))の記載を踏まえると、ノズルと口部の間隔が10mm以内であることは通常用いられる間隔にすぎない。
そうすると、本件発明2は、引用装置発明2、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明3について
本件発明3と引用装置発明2-1を対比すると、上記(1)で示した相当関係に加え、引用装置発明2-1の「殺菌剤ガス吹き付けノズル31及びエアリンスノズル38の内径が、容器口部の内径よりも小さ」いことは、本件発明3の「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルの内径は、容器口部の内径よりも小さく設定されていること」に相当する。
そうすると、本件発明3と引用装置発明2-1とは、上記(1)で示した一致点に加え、「前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルの内径は、容器口部の内径よりも小さく設定されていること」で一致し、上記(1)、(2)で示した相違点においてのみ相違する。
そうすると、本件発明3は、引用装置発明2-1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と引用装置発明2を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者の相当関係は、以下の点を除き上記(1)ア(ア)~(ク)で示したものと同様である。
引用装置発明2の「殺菌部30に搬送されたボトル2は、ホイール28において、ボトル2の口部1aと離間して正対するように配置される殺菌剤ガス吹き付けノズル31からボトル2の口部1aに吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内部及び外面が殺菌され、
殺菌部30で殺菌されたボトル2は、ホイール29を経て、エアリンス部34に搬送され、エアリンスホイール35において、ボトル2の口部2aと離間して正対するように配置されるエアリンスノズル38からボトル2の口部1aに吹き付けられた、加熱された無菌エアにより、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出されるとともに、残存する殺菌剤が分解されてさらに殺菌効果が高められ、ボトル2の内部に異物が存在する場合は排除される」構成と、本件発明4の「前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機」であって、「前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成されている」構成は、「前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機であって、前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、ホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を、容器に向けて吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを、容器に向けて吹き出すように構成されている」限りにおいて一致する。
以上を総合すると、本件発明4と引用装置発明2は、以下の点で一致し、相違する。
[一致点2-2]
「殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、
ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間に設置された容器搬送路と、殺菌処理機構とを備え、
前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施す本殺菌機と、前記容器搬送路において容器に補完殺菌処理を施す補完殺菌機とを備え、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記本殺菌機は、プリフォームまたは容器の内面、または、プリフォームまたは容器の内面および外面に本殺菌処理を施すように構成され、
前記補完殺菌機は、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出する殺菌流体ノズルを有した殺菌流体噴出器と、前記殺菌流体ノズルの下流側に設置され、容器口部側から容器に向けて、ホットエアーを噴出するホットエアーノズルを有したホットエアー噴出器とを備え、前記殺菌流体噴出器は、前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を、容器に向けて吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを、容器に向けて吹き出すように構成されている充填システム。」
[相違点2-3]
補完殺菌機について、本件発明4では、殺菌流体及びホットエアーが「容器口部の内面側温度以上」であるのに対し、引用装置発明2では、ボトル2の口部1aの温度、殺菌剤の温度、及び、無菌エアの温度がいずれも不明である点。
[相違点2-4]
補完殺菌機について、本件発明4では、「前記殺菌流体ノズルから殺菌流体を70m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成され、前記ホットエアー噴出器は、前記ホットエアーノズルからホットエアーを80m/s以上の流速で、容器に向けて0.5~2.5秒吹き出すように構成されている」のに対し、引用装置発明2では、各流体の流速が不明であり、各流体の噴出時間が不明な点。
イ 判断
(ア)相違点2-3について
上記(1)イにおいて相違点2-1について説示した事項と同様である。
(イ)相違点2-4について
引用装置発明2と引用文献3記載事項は、PETボトルの殺菌方法に関するものである点で共通している。さらに、引用文献6の「無菌エアは、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出し、残存する殺菌剤を分解してさらに殺菌効果を高め」(【0053】)との記載及び引用文献3の「熱風の温度や流量を低く設定しても均一でかつ十分な殺菌効果が得られる。」(2ページ5~6行)との記載を踏まえると、引用装置発明2と引用文献3記載事項は、PETボトルの殺菌効果を向上するという課題においても共通している。
そうすると、引用装置発明2において、引用文献3記載事項を参照することで、引用装置発明2における殺菌剤及び無菌エアの流速と噴出時間を、相違点2-4に係る数値範囲内とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)作用効果についての検討
上記の相違点を総合的に勘案しても、本件発明4の奏する作用効果は、引用装置発明2、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明4は、引用装置発明2、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)本件発明5について
本件発明5と引用装置発明2-1を対比すると、上記(1)、(3)、(4)で示した相当関係に加え、引用装置発明2-1の「ホイール28」及び「エアリンスホイール35」は本件発明5の「搬送機」に相当し、引用装置発明2-1の「容器搬送路(検査ホイール23、ホイール25、26、28、29、37)の殺菌剤ガス吹き付けノズル31及びエアリンスノズル38を設置した区間においてボトル2が正立状態である」ことは、本件発明5の「前記搬送機は、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルを設置した区間において、容器を正立状態で搬送するように構成されていること」に相当する。
そうすると、本件発明5と引用装置発明2-1は、上記(1)、(3)、(4)で示した一致点に加え、「前記搬送機は、前記殺菌流体ノズルおよび前記ホットエアーノズルを設置した区間において、容器を正立状態で搬送するように構成されている」ことで一致し、上記(1)、(2)、(4)で示した相違点においてのみ相違する。
そうすると、本件発明5は、引用装置発明2-1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)本件発明6について
本件発明6と引用装置発明2-1を対比すると、上記(1)、(3)~(5)で示した相当関係のとおりである。
そうすると、本件発明6と引用装置発明2-1は、上記(1)、(3)~(5)で示した一致点で一致し、上記(1)、(2)、(4)で示した相違点に加え、本件発明6は、「前記殺菌流体噴出器は、前記容器搬送路における容器搬送方向に沿って前記殺菌流体ノズルを移動させる殺菌流体ノズル移動手段を有し、前記ホットエアー噴出器は、前記容器搬送路における容器搬送方向に沿ってホットエアーノズルを移動させるホットエアーノズル移動手段を有している」のに対し、引用装置発明2-1は、殺菌剤ガス吹き付けノズル31及びエアリンスノズル38がボトル2の搬送方向に移動するか不明である点で相違する。
しかしながら、引用装置発明2-1に周知技術2を適用することで、上記相違点に係る本件発明6の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、本件発明6は、引用装置発明2-1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7)本件発明7について
本件発明7と引用装置発明2-1を対比すると、上記(1)、(3)~(5)で示した相当関係のとおりである。
そうすると、本件発明7と引用装置発明2-1は、上記(1)、(3)~(5)で示した一致点で一致し、上記(1)、(2)、(4)、(6)で示した相違点に加え、本件発明7は、「前記容器成形ユニットは、プリフォーム内に無菌エアーを吹き込むブロー機を備えている」のに対し、引用装置発明2-1は、ブローノズル21からの流体が無菌エアであるか不明である点で相違する。
しかしながら、引用装置発明2-1のブローノズル21からの流体は、引用文献6の【0039】の記載を踏まえると空気等であり、引用装置発明2-1は引用文献6の記載全体からみて無菌充填を意図しているものであるから、周知技術3を参照することで、引用装置発明2-1のブローノズル21からの流体を無菌エアとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、本件発明7は、引用装置発明2-1、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知技術1~3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8)本件発明8について
ア 対比
本件発明8と引用方法発明2を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
<各構成について>
(ア)引用方法発明2の「プリフォーム1」、「ボトル2」及び「ボトル2の口部1a」は、それぞれ、本件発明8の「プリフォーム」、「容器」及び「容器口部」に相当する。
(イ)引用方法発明2の「成形ホイール18」を有し「成形ホイール18に備えられた金型20において、ブローノズル21の延伸ロッドがプリフォーム内に挿入されて、ボトル2にブロー成形され」る「成形部16」は、引用文献6の図4(C)からプリフォーム1の口部1aが金型20の外部に配置されていることが看取できるから、本件発明8の「ブロー成形ターレット」を有し、「プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形する」「容器成形ユニット」に相当する。
(ウ)引用方法発明2の「ホイール40」を有する「充填部39」は、「成形部16」の下流側に位置するから、本件発明8の「充填部」に相当する。
(エ)引用方法発明2における「成形ホイール18とホイール40との間においてボトル2が搬送される、検査ホイール23、ホイール25、26、28、29、37」は、本件発明8の「前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間に設置された容器搬送路」に相当する。
(オ)引用方法発明2の「無菌充填方法」は、殺菌済みのボトル2に内容物を充填するから、本件発明8の「殺菌済みの容器に内容液を充填する充填方法」に相当する。
<本殺菌処理について>
(カ)本件発明8の「本殺菌処理」はプリフォームの殺菌処理ともいえるところ、引用方法発明2の「成形部16に搬送されたプリフォーム1は、ホイール7において、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内面及び外面が殺菌され」る工程もプリフォームの殺菌処理であるから、引用方法発明2の「成形部16に搬送されたプリフォーム1は、ホイール7において、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内面及び外面が殺菌され」る工程は、
本件発明8の「容器成形ユニットのブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施」す工程に相当する。
<補完殺菌処理について>
(キ)引用方法発明2の「殺菌剤」を吹き出す「殺菌剤ガス吹き付けノズル31」は、本件発明8の「殺菌流体ノズル」に相当する。引用方法発明2の「加熱された無菌エア」を吹き出す「エアリンスノズル38」は、本件発明8の「ホットエアーノズル」に相当する。
(ク)そうすると、引用方法発明2の「殺菌部30に搬送されたボトル2は、ホイール28において、ボトル2の口部1aと離間して正対するように配置される殺菌剤ガス吹き付けノズル31からボトル2の口部1aに吹き付けられた過酸化水素を含有する殺菌剤により内部及び外面が殺菌され、殺菌部30で殺菌されたボトル2は、ホイール29を経て、エアリンス部34に搬送され、エアリンスホイール35において、ボトル2の口部2aと離間して正対するように配置されるエアリンスノズル38からボトル2の口部1aに吹き付けられた、加熱された無菌エアにより、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出される」工程と、
本件発明8の「前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路において、容器に補完殺菌処理を施し、」「前記補完殺菌処理では、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが容器と2~40mmの間隔となるように配置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を70m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に80m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出する」工程は、
「前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路において、容器に補完殺菌処理を施し、」「前記補完殺菌処理では、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが配置され、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、ホットエアーを容器に噴出する」工程である限りにおいて一致する。
以上を総合すると、本件発明8と引用方法発明2は、以下の点で一致し、相違する。
[一致点2-3]
殺菌済みの容器に内容液を充填する充填方法であって、
容器成形ユニットのブロー成形ターレットの容器リリースポイントよりも上流側においてプリフォームまたは容器に本殺菌処理を施し、
前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間の容器搬送路において、容器に補完殺菌処理を施し、
前記容器成形ユニットは、プリフォームの容器口部を金型の外部に出した状態で前記金型内に配置された加熱したプリフォーム内にエアーを吹き込むことで、容器をブロー成形するように構成され、
前記補完殺菌処理では、殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが配置され、容器口部側から容器に向けて、殺菌流体を噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、ホットエアーを容器に噴出する充填方法。
[相違点2-5]
補完殺菌処理について、本件発明8では、殺菌流体及びホットエアーが「容器口部の内面側温度以上」であるのに対し、引用方法発明2では、ボトル2の口部1aの温度、殺菌剤の温度、及び、無菌エアの温度がいずれも不明である点。
[相違点2-6]
補完殺菌処理について、本件発明8では、「殺菌流体ノズルおよびホットエアーノズルが容器と2~40mmの間隔となるように配置され、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上の殺菌流体を70m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出した後に、容器口部側から容器に向けて、容器口部の内面側温度以上のホットエアーを容器に80m/s以上の流速で、0.5~2.5秒噴出する」工程であるのに対し、引用方法発明2では、各ノズルとボトル2の口部1aとの間隔が不明であり、各流体の流速が不明であり、各流体の噴出時間が不明な点。
イ 判断
(ア)相違点2-5について
上記(1)イ(ア)で相違点2-1について説示した事項と同様である。
(イ)相違点2-6について
上記(1)イ(イ)で相違点2-2について説示した事項、及び、上記(4)イ(イ)で相違点2-4について説示した事項と同様である。
(ウ)作用効果についての検討
上記の相違点を総合的に勘案しても、本件発明8の奏する作用効果は、引用方法発明2、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明8は、引用方法発明2、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(9)まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~8は、引用装置発明2、引用装置発明2-1又は引用方法発明2、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、及び周知技術1~3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1~8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-700650