特許拒絶査定不服審判
2023-013765
無菌充填機の洗浄・殺菌方法及び無菌充填機
- 審判番号
- 2023-013765
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-073499
- 請求日
- 2023年08月16日
- 審決日
- 2025年06月19日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】大日本印刷株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人インテクト国際特許事務所
- 【請求人代理人】石橋 良規
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 山崎 慎一
- 審判官 脇岡 剛
- 分類
- P18 .121-WY (B67C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2022- 73499「無菌充填機の洗浄・殺菌方法及び無菌充填機」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月23日出願公開、特開2022- 93496、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1.手続きの経緯
本願は、2021年(令和3年)5月14日(優先権主張 令和2年5月15日、令和2年5月29日、令和2年9月25日)を国際出願日とする特願2021-577834号の一部を令和4年4月27日に新たな特許出願としたものであって、その手続きの経緯は、概略、以下のとおりである。
令和5年 2月16日付け :拒絶理由通知
令和5年 4月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 5月15日付け :拒絶査定
令和5年 8月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2.原査定の概要
原査定(令和5年5月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1ないし5に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術、及び、引用文献3、4に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.特開2019-123526号公報
2.特開2010-6429号公報
3.特開昭56-57685号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2007-253093号公報(周知技術を示す文献)
第3.本願発明
本願請求項1ないし5に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、以下のとおり、令和5年8月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される発明である。
「 【請求項1】
加熱殺菌装置を経て充填機内へと飲料を送る飲料供給系配管を備えた無菌充填機の洗浄・殺菌方法であって、
アセプティックサージタンクから供給される前記飲料を貯留する充填機タンクから充填ノズルに至る下流側配管部に対し下流側帰還路を設け、多数の前記充填ノズルを複数に分割し、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルにより下流側循環路を形成し、
前記下流側配管部のCIP(Cleaning in Place)を前記下流側循環路に洗浄液を循環して行うとき、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルに前記洗浄液を流す循環及び分割した前記充填ノズルから前記充填機タンクに前記洗浄液を逆流させる循環を行い、
前記洗浄液を洗浄液供給装置から前記下流側帰還路に設けられる第1種圧力タンクに該当する下流側貯留タンクに供給し、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流入口に向かう管路の二方弁及び前記充填機タンクの流出口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路の二方弁を開き、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流出口に向かう管路の二方弁及び前記充填機タンクの流入口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路の二方弁を閉じて、前記下流側循環路に前記洗浄液を循環させ、
前記洗浄液を前記洗浄液供給装置から前記下流側貯留タンクに供給し、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流出口に向かう管路の二方弁及び前記充填機タンクの流入口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路の二方弁を開き、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流入口に向かう管路の二方弁及び前記充填機タンクの流出口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路の二方弁を閉じて、前記下流側循環路に前記洗浄液を逆流させる循環を行なうことを特徴とする無菌充填機の洗浄・殺菌方法。
【請求項2】
請求項1に記載の無菌充填機の洗浄・殺菌方法において、
前記下流側循環路の前記CIPの初期から又は途中から前記洗浄液の温度を、前記CIPに続いて行う前記下流側配管部を殺菌するSIP(Sterilizing in Place)に必要な温度に昇温して前記下流側配管部の前記SIPを行うことを特徴とする無菌充填機の洗浄・殺菌方法。
【請求項3】
請求項2に記載の無菌充填機の洗浄・殺菌方法において、
前記SIPを前記下流側循環路に前記洗浄液を循環して行うとき、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルに洗浄液を流す循環及び分割した前記充填ノズルから前記充填機タンクに洗浄液を逆流させる循環を行うことを特徴とする無菌充填機の洗浄・殺菌方法。
【請求項4】
加熱殺菌装置を経て充填機内へと飲料を送る飲料供給系配管を備えた無菌充填機であって、
アセプティックサージタンクから供給される前記飲料を貯留する充填機タンクから充填ノズルに至る下流側配管部に対し下流側帰還路を設け、多数の前記充填ノズルを複数に分割し、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルにより下流側循環路を形成し、
前記下流側配管部のCIP(Cleaning in Place)を前記下流側循環路に行う洗浄液を供給する洗浄液供給装置を設け、
前記下流側循環路に前記洗浄液を循環するとき、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルに前記洗浄液を流す循環及び分割した前記充填ノズルから前記充填機タンクに洗浄液を逆流させる循環を行うように前記下流側循環路を構成し、
前記下流側帰還路には、前記洗浄液を貯留する第1種圧力タンクに該当する下流側貯留タンクを設け、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流入口に向かう管路、前記充填機タンクの流出口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流出口に向かう管路及び前記充填機タンクの流入口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路に二方弁を設けることを特徴とする無菌充填機。
【請求項5】
請求項4に記載の無菌充填機において、
前記下流側循環路に前記洗浄液供給装置から供給される洗浄液をSIP(Sterilizing in Place)に必要な温度に加熱する熱交換装置を備えることを特徴とする無菌充填機。」
第4.当審の判断
1.引用文献
(1)引用文献1
ア.引用文献1の記載事項
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審が付与した。以下、同様。)
「【0027】
また、図3中太線で示すように、マニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、ヘッドタンク11及び充填機2を経てマニホルドバルブ8に至る下流側配管部7bに対して下流側帰還路6bが設けられることによって、CIP又はSIPを行うための循環路である下流側処理経路が形成される。
…中略…
【0031】
また、下流側配管部7bに対しては、CIP又はSIPのために充填機2の各充填ノズル2aの開口に対して各々接離可能なカップ9が配置される。CIP又はSIPを行う際に各カップ9が図示しないアクチュエータによって充填機2の充填ノズル2aの先端の開口部に接合されることで、ドレン管20の始端が、充填ノズル2aの開口に接続される。
…中略…
【0041】
下流側処理経路のCIPは、図示しない洗浄液供給源から供給された洗浄液を図3に示すように、飲料供給系配管7のマニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、ヘッドタンク11、充填機2を経由する下流側処理経路に循環させることにより行う。洗浄液を活性化するために下流側配管部7bに備えられた加熱装置21によって、洗浄液は所定の温度(例えば80℃)まで昇温される。また、図示しない洗浄液供給源からは一定量の洗浄液が常に又は間欠的に供給され、飲料供給系配管7内に付着した前回の飲料などの残留物を循環しながら除去する。また、適宜装置外へ排出してもよい。そして、洗浄液を所定の温度で所定の時間流した後、CIPが終了となる。このCIPの終了はコントローラ17によって管理され、次にSIPへ移行する。
【0042】
下流側処理経路のCIPを行う前に、カップ9が充填ノズル2aの開口部に接合され、充填ノズル2aにドレン管20が接続されることにより、下流側処理経路となる下流側帰還路6bを経て洗浄液が循環することができる。」
「【図3】
[図:0001424009000001.jpg]
」
イ.引用発明1
上記ア.によると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「加熱殺菌装置を経て充填機内へと飲料を送る飲料供給系配管を備えた無菌充填機の洗浄・殺菌方法であって、(段落0041、図3)
アセプティックサージタンクから供給される飲料を貯留する充填機タンクから充填ノズルに至る下流側配管部に対し下流側帰還路を設け、充填機タンクから充填ノズルにより下流側循環路を形成し、(段落0027、0042、図3)
下流側配管部のCIPを下流側循環路に洗浄液を循環して行うとき、充填機タンクから充填ノズルに洗浄液を流す循環を行う、
無菌充填機の洗浄・殺菌方法。(段落0041、0042、図3)」
(2)引用文献2
ア.引用文献2の記載事項
引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
充填バルブの数が多い大型の充填装置の場合には、すべての充填バルブを開放して装置全体を同時に洗浄するためには、一度に大量の洗浄液を流す必要があり、設備が大型化してしまうという問題があった。そこで、多数の充填バルブを分割して複数回に分けて洗浄するようにした充填装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
…中略…
【0004】
前記特許文献1に記載された発明に係る定量充填機の洗浄装置は、充填バルブの数が多い大型の機種の場合には、大量の洗浄水を供給する必要があるため、多数の充填バルブを分割して一部分ずつ(例えば、すべての充填バルブの1/2ずつ)洗浄することを可能にして、洗浄用の設備を大型化する必要をなくしたものである。
…中略…
【0028】
この実施例に係る充填装置1を洗浄する際には、充填ノズル10の数が1/3ずつになるように3つの領域に均等に分割し、各領域でそれぞれ異なる通路の洗浄を行う。例えば、第1段階では、第1の領域X(図1参照)は、充填時に充填液が流通する液通路の洗浄を行い、第2の領域Yは、カウンタ通路58の洗浄を行い、第3の領域Zは、スニフト通路60の洗浄を行う。そして、第2段階では、第1の領域Xがカウンタ通路58の洗浄、第2の領域Yがスニフト通路60の洗浄、第3の領域Zが充填液の通路の洗浄を行う。さらに、第3段階では、第1の領域Xがスニフト通路60、第2の領域Yが充填液の通路、第3の領域Zがカウンタ通路58の洗浄を行う。このように3つの領域X、Y、Zに分割した場合には、3回の工程でこの充填装置1全体のすべての液通路および気体通路の洗浄を行うことが可能である。
…中略…
【0032】
以上のように充填装置1を3分割して第1段階の洗浄を行った後、第2段階として、各領域で第1段階と異なる別の通路の洗浄を行う。つまり、第1の領域Xでカウンタ通路58を、第2の領域Yでスニフト通路60を、そして第3の領域Zで充填時に充填液が流通する通路をそれぞれ洗浄する。その後、第3段階として、第1の領域Xでスニフト通路60を、第2の領域Yで充填液の通路を、そして第3の領域Zでカウンタ通路58をそれぞれ洗浄する。このように充填装置1に設けられている多数の充填ノズル10を3分割し、3回の工程で充填液の通路および気体通路のすべてを洗浄することができる。この充填装置1では、多数の充填ノズル10を備えているが、洗浄時には、その1/3だけを一度に洗浄するので、洗浄液の供給用の設備を大型化する必要が無い。また、分割して洗浄を行う場合に、充填液の通路を洗浄していない領域では気体通路の洗浄を行っているので、無駄な時間が無く、効率よい洗浄を行うことができる。また、3分割したすべての領域で、常にいずれかの通路に洗浄液を流して洗浄しているので、すべての充填ノズル10および通路が常に高温の洗浄液によって温度が維持されることになり、洗浄していない部分での温度低下のおそれが無く、昇温に要する時間を短縮できる。」
イ.引用技術2
上記ア.によると、引用文献2には、次の事項が記載されていると認められる。
「無菌充填機の洗浄・殺菌方法において、多数の充填ノズルを複数に分割して、分割した充填ノズルに対して洗浄液を流すこと」
(3)引用文献3
引用文献3には、次の事項が記載されていると認められる。
「ノズル及び配管の洗浄において、順方向及び逆方向に洗浄液を流すことで洗浄効果を高めること(第2頁左上欄第17行ないし左下第14行)」
(4)引用文献4
引用文献4には、次の事項が記載されていると認められる。
「ガラス基板等の表面に所定幅で塗布液を塗布するスリットノズルの洗浄方法において、洗浄液を、ポンプ、スリットノズルの塗布液供給口、スリットノズルの吐出口、洗浄層1、循環槽、ポンプの順で順方向に循環し、また、洗浄液を、スリットノズルの吐出口、スリットノズルの塗布液供給口、ポンプ、循環槽、洗浄槽の順で逆方向に循環し、洗浄液をスリットノズル2の塗布液供給口からスリットノズル2の吐出口に流す工程と、洗浄液をスリットノズルの吐出口から吸引して洗浄槽へ戻す工程とを交互に行って洗浄することによって、装置のメンテナンス時間の短縮化及び作業量の低減化を図ること。(段落0001、0023、0031ないし0034、図2、3)」
2.本願発明1について
(1)対比
ア.引用発明1の「アセプティックサージタンクから供給される飲料を貯留する充填機タンクから充填ノズルに至る下流側配管部に対し下流側帰還路を設け、充填機タンクから充填ノズルにより下流側循環路を形成」することと、本願発明1の「アセプティックサージタンクから供給される前記飲料を貯留する充填機タンクから充填ノズルに至る下流側配管部に対し下流側帰還路を設け、多数の前記充填ノズルを複数に分割し、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルにより下流側循環路を形成」することとは、「アセプティックサージタンクから供給される飲料を貯留する充填機タンクから充填ノズルに至る下流側配管部に対し下流側帰還路を設け、前記充填機タンクから充填ノズルにより下流側循環路を形成」する点で共通する。
イ.引用発明1の「前下流側配管部のCIPを下流側循環路に洗浄液を循環して行うとき、充填機タンクから充填ノズルに洗浄液を流す循環を行う」ことと、本願発明1の「前記下流側配管部のCIP(Cleaning in Place)を前記下流側循環路に洗浄液を循環して行うとき、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルに前記洗浄液を流す循環及び分割した前記充填ノズルから前記充填機タンクに前記洗浄液を逆流させる循環を行」うこととは、「前下流側配管部のCIPを下流側循環路に洗浄液を循環して行うとき、充填機タンクから充填ノズルに洗浄液を流す循環を行う」点で共通する。
ウ.以上のとおりであるから、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致し、また、相違する。
【一致点】
「加熱殺菌装置を経て充填機内へと飲料を送る飲料供給系配管を備えた無菌充填機の洗浄・殺菌方法であって、
アセプティックサージタンクから供給される飲料を貯留する充填機タンクから充填ノズルに至る下流側配管部に対し下流側帰還路を設け、充填機タンクから充填ノズルにより下流側循環路を形成し、
下流側配管部のCIPを下流側循環路に洗浄液を循環して行うとき、充填機タンクから充填ノズルに洗浄液を流す循環を行う、
無菌充填機の洗浄・殺菌方法。」
【相違点】
・相違点1
本願発明1の「下流側循環路」は、「多数の前記充填ノズルを複数に分割し、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルにより」形成されるものであるのに対して、引用発明1の「下流側循環路」は、当該事項が特定されていない点。
・相違点2
本願発明1は、「前記下流側帰還路に設けられる第1種圧力タンクに該当する下流側貯留タンク」を備えるのに対して、引用発明1は、当該事項が特定されていない点。
・相違点3
本願発明1は、「CIPを前記下流側循環路に洗浄液を循環して行う」ことは、「前記充填機タンク」から「前記充填ノズル」に洗浄液を流す循環及び「前記充填ノズル」から「前記充填機タンク」に「洗浄液を逆流させる」循環を行うものであるのに対して、引用発明1では、上記「洗浄液を逆流させる」循環が特定されていない点。
・相違点4
本願発明1は、「前記下流側循環路」の構成として、「前記洗浄液を洗浄液供給装置から前記下流側帰還路に設けられる第1種圧力タンクに該当する下流側貯留タンクに供給し、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流入口に向かう管路の二方弁及び前記充填機タンクの流出口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路の二方弁を開き、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流出口に向かう管路の二方弁及び前記充填機タンクの流入口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路の二方弁を閉じて、前記下流側循環路に前記洗浄液を循環させ、前記洗浄液を前記洗浄液供給装置から前記下流側貯留タンクに供給し、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流出口に向かう管路の二方弁及び前記充填機タンクの流入口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路の二方弁を開き、前記下流側貯留タンクの流出口から前記充填機タンクの流入口に向かう管路の二方弁及び前記充填機タンクの流出口から前記下流側貯留タンクの流入口に向かう管路の二方弁を閉じて、前記下流側循環路に前記洗浄液を逆流させる循環を行う」との事項を備えているのに対して、引用発明1は、当該事項が特定されていない点。
(2)判断
事案に鑑みて、まず相違点2について検討する。
本願発明1の「充填ノズル」から「アセプティックサージタンクから供給される飲料を貯留する充填機タンク」に至る「下流側帰還路」に設けられる「第1種圧力タンクに該当する貯留タンク」は、引用文献1ないし3のいずれにも記載されておらず、本願出願時における技術常識であるともいえない。
また、引用文献4には、「ポンプ」から「スリットノズルの塗布液供給口」を経て「スリットノズルの吐出口」に至る配管に対して「帰還路」を設け、当該帰還路に「循環槽」を設けること、すなわち「貯留タンク」を設けることが記載されているといえるところ、引用発明1は、「加熱殺菌装置を経て充填機内へと飲料を送る飲料供給系配管を備えた無菌充填機の洗浄・殺菌方法」であるのに対して、引用文献4に記載された事項は、「ガラス基板等の表面に所定幅で塗布液を塗布するスリットノズルの洗浄方法」に係るものであり、実質的に異なる技術分野に属し、かつ、引用文献4に記載された事項は、「加熱殺菌装置を経て充填機内へと飲料を送る飲料供給系配管を備えた無菌充填機」に係る構成を備えるものではないため、引用発明1に引用文献4に記載された事項を適用する動機付けがあるとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、及び、引用文献2ないし4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3.本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1、及び、引用文献2ないし4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4.本願発明4について
本願発明4は、本願発明1の「加熱殺菌装置を経て充填機内へと飲料を送る飲料供給系配管を備えた無菌充填機の洗浄・殺菌方法」において用いられる「加熱殺菌装置を経て充填機内へと飲料を送る飲料供給系配管を備えた無菌充填機」であって、当該「無菌充填機」が、「アセプティックサージタンクから供給される前記飲料を貯留する充填機タンクから充填ノズルに至る下流側配管部に対し下流側帰還路を設け、多数の前記充填ノズルを複数に分割し、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルにより下流側循環路を形成し」、「前記下流側循環路に前記洗浄液を循環するとき、前記充填機タンクから分割した前記充填ノズルに前記洗浄液を流す循環及び分割した前記充填ノズルから前記充填機タンクに洗浄液を逆流させる循環を行」い、「前記下流側帰還路には、前記洗浄液を貯留する第1種圧力タンクに該当する下流側貯留タンクを設け」るとの事項を備える点において、本願発明1と共通するものといえる。
そうすると、本願発明4は、少なくとも、上記2.(1)で説示した相違点1ないし3に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1、及び、引用文献2ないし4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5.本願発明5について
本願発明5は、本願発明4と同一の構成を備えるものであるから、本願発明4と同様の理由により、引用発明1、及び、引用文献2ないし4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6.まとめ
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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