特許異議申立
2023-700388
硬化膜、その製造方法及び積層体
- 審判番号
- 2023-700388
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-142957外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7156204
- 請求日
- 2023年04月17日
- 審決日
- 2024年06月27日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.121-YAA(C08J) / P1651.536-YAA(C08J) / P1651.537-YAA(C08J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法113条4号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第113条第4号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7156204号発明「硬化膜、その製造方法及び積層体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7156204号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6、8~12〕について訂正することを認める。
特許第7156204号の請求項1~12に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7156204号(以下「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、
令和 1年 8月 2日を出願日とする出願であって、
令和 4年10月11日にその特許権の設定登録(請求項の数12)がされ、
令和 4年10月19日に特許掲載公報が発行され、
その後、その特許に対し、
令和 5年 4月17日に特許異議申立人 加藤 浩志(以下「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされ、
令和 5年 6月30日付けで取消理由が通知され、
令和 5年 9月 1日に特許権者 三菱ケミカル株式会社(以下「特許権者」という。)より意見書が提出され、
令和 5年10月13日付けで取消理由<決定の予告>が通知され、
令和 5年12月13日に特許権者より訂正の請求がされるとともに意見書が提出され、
令和 5年12月21日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、
令和 6年 1月31日に特許異議申立人から意見書が提出され、
令和 6年 3月 7日付けで取消理由<決定の予告>の通知がされ、
令和 6年 5月 8日に特許権者より訂正の請求がされるとともに意見書が提出されたものである。
なお、令和 5年12月13日に提出された訂正請求書による請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
また、令和 6年 5月 8日にされた訂正請求については、すでに特許異議申立人に意見書の提出の機会が与えられている場合であって、後記のとおり、訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、事件において提出された全ての証拠や意見を踏まえてさらに審理を進めたとしても、特許を維持すべきとの結論となると合議体が判断したため、特許異議申立人に対して改めて意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるものと判断し、意見書提出の機会を与えないこととした。
第2 本件訂正について
1 請求の趣旨
令和 6年 5月 8日にされた訂正請求項における訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項
特許請求の範囲の請求項1を、
「【請求項1】
表面に、凸条が環状に形成された構造を有し、
前記構造の大きさが、無作為に選んだ前記構造の内側の領域の最大直径の10点平均値として1~300μmであり、
前記凸条は、前記構造の周方向に沿って、環状又は環の一部を欠いた形状に形成されている複数の凸部が、前記凸条の幅方向に沿って配列したしわ状の凹凸で構成され、
平面視かつ前記凸条の幅方向において、前記凹凸中の凸部と前記凸部に隣接する凹部の中心間距離が0.5~20μmであり、
前記表面の算術平均高さSaが0.01~5μmである、硬化膜。」に訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2~6及び8~12についても同様に訂正する。
(2)一群の請求項について
訂正前の請求項1~6及び8~12について、請求項2~6及び8~12はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、訂正事項によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~6及び8~12に対応する訂正後の請求項1~6及び8~12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2 訂正の目的、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記1の訂正事項に係る請求項1の訂正は、硬化膜表面における凸条構造について、「前記構造の周方向に沿って、環状又は環の一部を欠いた形状に形成されている複数の凸部が、前記凸条の幅方向に沿って配列したしわ状の凹凸で構成され」ることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記1の訂正事項の訂正は、本件特許の明細書の【0011】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2~6及び8~12についても同様である。
3 訂正についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、訂正前の請求項1~12について特許異議申立がされているから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6、8~12〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1~6、8~12〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1~12に係る発明(以下、「本件特許発明1」~「本件特許発明12」という。)は、令和 6年 5月 8日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
表面に、凸条が環状に形成された構造を有し、
前記構造の大きさが、無作為に選んだ前記構造の内側の領域の最大直径の10点平均値として1~300μmであり、
前記凸条は、前記構造の周方向に沿って、環状又は環の一部を欠いた形状に形成されている複数の凸部が、前記凸条の幅方向に沿って配列したしわ状の凹凸で構成され、
平面視かつ前記凸条の幅方向において、前記凹凸中の凸部と前記凸部に隣接する凹部の中心間距離が0.5~20μmであり、
前記表面の算術平均高さSaが0.01~5μmである、硬化膜。
【請求項2】
前記構造が2つ以上、隣接して配置されている、請求項1に記載の硬化膜。
【請求項3】
平面視において、前記表面の総面積に対する前記凸部の面積の割合が1~40%である、請求項1又は2に記載の硬化膜。
【請求項4】
前記表面の60°鏡面光沢度が60以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化膜。
【請求項5】
防眩膜である、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化膜。
【請求項6】
活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する活性基を有するモノマー(x)に基づく単位と、炭素数4以上のアルキル基を有するモノマー(y)に基づく単位と、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生しないビフェニル構造を有するモノマー(z)に基づく単位とを有する共重合体(A)と、1分子に2つ以上のラジカル重合性基を有する多官能化合物(B)とを含む硬化性組成物の硬化物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化膜。
【請求項7】
活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する活性基を有するモノマー(x)に基づく単位と、炭素数4以上のアルキル基を有するモノマー(y)に基づく単位と、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生しないビフェニル構造を有するモノマー(z)に基づく単位とを有する共重合体(A)と、1分子に2つ以上のラジカル重合性基を有する多官能化合物(B)とを含む硬化性組成物の塗膜を形成し、前記塗膜に活性エネルギー線を照射する、硬化膜の製造方法。
【請求項8】
基材層と、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化膜からなる層とを有する積層体。
【請求項9】
前記基材層に対して前記硬化膜からなる層が存在する側の最表面の60°鏡面光沢度が60以下である、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
ヘイズが20%以上である、請求項8又は9に記載の積層体。
【請求項11】
防眩性フィルムである、請求項8~10のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項12】
さらに、前記基材層と前記硬化膜からなる層との間に設けられたプライマー層、前記硬化膜からなる層の前記基材層側とは反対側の面上に設けられた表面機能層、及び前記基材層の前記硬化膜からなる層側とは反対側の面上に設けられた裏面機能層からなる群から選ばれる1つ以上の層を有する、請求項8~11のいずれか一項に記載の積層体。」
第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要
令和 5年 4月17日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。
1 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性)
本件特許発明1~5及び8~12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~5及び8~12に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
2 申立理由2(明確性)
本件特許発明1~12は、下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対して特許されたものであるから、本件特許の請求項1~12に係る特許は、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。
(1)「環状」について
請求項1における「環状」の用語の意味が不明確であり、「環状」の用語だけでは発明の技術的範囲を明確に定めることができない。
請求項2~6、8~12についても同様である。
(2)「しわ状」について
請求項1は「しわ状」と特定しているが、一概に「しわ」といっても種々のものが想定され、断面視で単なる凸部又は凹部とどのように異なるのか、単に平面的にみて不規則な線であることを指しているのかが不明確であるため、発明の範囲を不明確なものとしている。
請求項2~6、8~12についても同様である。
(3)「無作為」について
請求項1は、「無作為に選んだ前記構造の内側の領域の最大直径の10点平均値」と特定しているが、「無作為」といっても人が選択するのであるから(段落16)、どの構造を選択するかによって当該10点平均値は大きく変動する。したがって、発明の範囲が不明確である。
請求項2~6、8~12についても同様である。
(4)塗膜の形成について
請求項7は、「塗膜を形成し」と規定しているが、基材が記載されておらず、どのようにして塗膜を形成するのか不明確である。
3 申立理由3(サポート要件)
本件特許発明1~12は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対して特許されたものであるから、本件特許の請求項1~12に係る特許は、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。
(1)「環状」について
請求項1の課題は「艶消し性及び耐擦傷性に優れる硬化膜及び積層体、並びに艶消し性及び耐擦傷性に優れる硬化膜が得られる製造方法を提供すること」であると考えられる(段落5)。
請求項1は「凸条が環状に形成された構造」と特定しているが、当該「環状に形成された構造」は、図2の比較例をも包含する記載であり、請求項1の課題を解決しえない態様をも包含している。
よって、請求項1は、サポート要件に違反している。
請求項2~6、8~12についても同様である。
(2)最大直径、凹凸の中心間距離、表面の平均高さについて
本件特許明細書及び図面において、発明の課題を解決し得ることを示しているのは、特定の1つの構造(実施例1、表2、図1)のみであるのに対し、請求項1は、硬化膜の表面構造について極めて広い範囲を記載しており、当該範囲で発明の課題を解決しうるとは考えられない。
請求項2~6、8~12についても同様である。
(3)硬化性組成物について
請求項1には実施例1で用いられた硬化性組成物以外の組成物が包含され、請求項6、7には実施例1で用いられたモノマー(x)、(y)及び(z)以外にも様々なモノマーが包含されるが、実施例1に記載のもの以外のモノマーを用いた場合に、上記課題を解決できるとは到底考えられない。
特に、請求項7は、共重合体(A)及び多官能化合物(B)についてしか特定していないが、発明の課題を達成するためには、各モノマーの質量%、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)、含有量、加熱乾燥、活性エネルギー線の照射量等を制御する必要があり(段落34)、請求項7は請求項1に係る環状の凹凸構造を製造できない無数の態様を包含している。
請求項2~5、8~12についても同様である。
(4)硬化時間について
請求項7は、所定の硬化性組成物の塗膜を形成し、活性エネルギー線を照射することしか特定していないが、当該特定のみで発明の課題を解決する硬化膜を製造できないことは明らかである。
4 申立理由4(実施可能要件)
本件特許発明1~12は、下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件特許の請求項1~12に係る特許は、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。
(1)硬化膜の表面構造について
請求項1は、環状の凸条構造を有する硬化膜の表面構造が、特定の最大直径の10点平均値、凹凸部の中心間距離、算術平均粗さを有することを特定し(特定の表面形状)、請求項6、7は、硬化性組成物がモノマー(x)、(y)及び(z)の共重合体(A)及び多官能化合物(B)を含むことが記載されている。
他方で、本件特許明細書には、環状の凹凸構造・周期構造について段落34、41、47~51、63~65に説明されているが、これらの記載だけからみても、特定の環状の凹凸構造・周期構造の硬化膜を得るためには、各モノマーの質量%、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)及び含有量、加熱乾燥と活性エネルギー線の照射量がそれぞれ大きく影響することが理解でき、これらの全てのファクターを調整することは当業者に過度な試行錯誤を要求するものである。
よって、発明の詳細な説明には請求項1を当業者が実施可能な程度に記載されているといえない。
請求項2~12についても同様である。
(2)最大直径、中心間距離、算術平均粗さの制御について
請求項1は、環状の最大直径が、1μm×1μm(実施例1の約(1/53)2の大きさ)、300μm×300μm(実施例1の約(300/53)2倍の大きさ)、300μm×1μm(ほぼ線状)、のように、実施例1とは大きさやその比率が全く異なる形状を包含しているが、このように著しく大きさやその比率が異なる表面構造をどのようにして製造し使用しうるのかについて、当業者が実施できる程度に説明されていない。
凹凸の中心間距離及び算術平均粗さについても、発明の詳細な説明にはこれらをどのように制御するのか当業者が実施できる程度に説明されていない。
請求項2~6、8~12についても同様である。
5 証拠方法
甲第1号証:国際公開第2009/118820号
甲第2号証:国際公開第2019/026470号
甲第3号証:特開2018-123403号公報
なお、証拠の表記は、特許異議申立書の記載におおむね従った。以下、順に「甲1」のようにいう。
第5 令和 6年 3月 7日付けで特許権者に通知した取消理由<決定の予告>の概要
当審が令和 6年 3月 7日付けで特許権者に通知した取消理由<決定の予告>の要旨は次のとおりである。
取消理由1(甲1に基づく新規性・進歩性)
本件特許発明1~5及び8~12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲1に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~5及び8~12に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
該取消理由1は、申立理由1と同旨である。
第6 当審の判断
以下に述べるように、当審が令和 6年 3月 7日付けで特許権者に通知した取消理由通知における取消理由1及び特許異議申立書に記載した申立理由2~4は、いずれも理由がないものと判断する。
1 取消理由1(甲1に基づく新規性・進歩性)についての判断
(1)甲1に記載された事項等
ア 甲1に記載された事項
甲1には、「防眩性膜及びその製造方法」に関して、おおむね次の事項が記載されている。
・「[0081](防眩性膜の特性)
このようにして得られた防眩性膜は、複数のポリマーの相分離に伴う対流により、対流ドメインの配列に応じた比較的制御された間隔で、その表面において、紐状(又は線状)凸部がランダムな方向に分散して形成されている。各紐状凸部の形状(膜表面の二次元形状)は、通常、略直線状であるか、部分的又は全体的に曲線部を有する紐状であり、部分的な重複により、楕円形状や交差形状を形成していてもよい。このような紐状凸部は、膜の表面で満遍なく分散し、前述の如く、部分的に連続した構造となっているため、膜の表面は、二次元ネットワーク的に網目状構造(あたかも、マスクメロンの皮の網目状模様)を形成しているように観察できる。なお、このような紐状凸部は、おおよそ網目状構造を形成していればよく、通常、連続部分と非連続部分とが混在した構造を形成している。
[0082] 紐状凸部の平均高さは、例えば、0.05~10μm、好ましくは0.1~5μm、さらに好ましくは0.3~3μm(特に0.5~2μm)程度である。紐状凸部の平均幅は、例えば、0.1~30μm、好ましくは1~20μm、さらに好ましくは3~15μm(特に5~10μm)程度である。紐状凸部の高さ及び幅ともに、大きすぎると、低屈折率層に対する追従性が低下し、逆に、小さすぎると防眩性能が低下する。
[0083] 本発明では、特定の(メタ)アクリル系樹脂を選定し、相分離及び対流を発生させているため、対流による隆起領域は、このような紐状凸部となり、膜表面において占める面積も低くなる。具体的には、紐状凸部の面積割合は、全表面に対して50%以下(例えば、1~50%)であり、好ましくは10~48%、さらに好ましくは20~45%(特に30~45%)程度である。紐状凸部の面積は、膜表面において、このような低い範囲あるため、本発明の防眩性膜は、凹部として形成される平坦部の面積が大きく、防眩性膜の低屈折率層に対する追従性が向上する。なお、本発明では、この紐状凸部の面積は、立体的な紐状凸部の表面積ではなく、顕微鏡写真で観察される二次元的な面積に基づいて算出されている。
[0084] さらに、前記紐状凸部は、その凸部表面において、凹部(又は窪地)を有していてもよい。凹部の形状や個数は特に限定されないが、通常、紐状凸部の形状に応じた紐状凹部が形成されている。すなわち、紐状凹部が紐状凸部の長さ方向に沿って形成され、紐状凸部の両側部は長さ方向に沿って堤防(土手又は畝)のように延出して形成されていてもよい。このような凹部が形成される理由は明確ではないが、相分離及び対流に伴った紐状凸部の隆起とともに形成され、このような凹部により、ドメインの凸部間隔がより均等になり、均一な間隔を有する凹凸形状が形成できるため、特に好ましい。なお、凹部は、紐状凸部の形状に応じて形成されていなくてもよく、例えば、点状凹部が形成されていてもよい。
[0085] 凹部の平均深さは、例えば、0.001~5μm、好ましくは0.005~3μm、さらに好ましくは0.01~2μm(特に0.1~1μm)程度である。
[0086] 対流によって形成された凹凸形状は、通常、その間隔において、実質的に規則性又は周期性を有している。例えば、平均凸間距離Smが10~300μm程度であってもよく、好ましくは25~250μm、さらに好ましくは30~200μm程度である。平均凸間距離Smは、例えば、対流発生時の塗膜厚みによって制御可能である。
[0087] 防眩性膜の全光線透過率は、例えば、70~100%、好ましくは80~100%、さらに好ましくは85~100%(例えば、85~95%)、特に90~100%(例えば、90~99%)程度である。
[0088] 防眩性膜のヘイズは、例えば、0.5~50%、好ましくは1~40%、さらに好ましくは2~35%程度である。また、防眩性膜の上に後述する低屈折率層をコーティングした場合には、ヘイズは防眩性単独のヘイズよりも一般的に1~10%程度低下する。防眩性膜と低屈折率層とを組み合わせた場合のヘイズは、例えば、0.5~30%、好ましくは1~25%、さらに好ましくは1~20%程度であり、通常、1~10%程度である。低屈折率層を形成する場合には、ヘイズの低下を考慮して、防眩性膜のヘイズを調節するのが好ましい。
[0089] ヘイズ及び全光線透過率は、JIS K7105に準拠して、日本電色工業(株)製、NDH-300Aヘイズメーターを用いて測定できる。」
・「[0094] 防眩性膜の粗さとしては、中心線平均粗さRaが、0.01~0.25μm程度であり、好ましくは0.01~0.2μm、さらに好ましくは0.02~0.15μm程度である。また、防眩性膜に低屈折率層がコートされている場合は、低屈折率層をコートした後の値がこの範囲にあるのが好ましい。」
・「[0096] [防眩性フィルム]
前記防眩性膜の支持体として、非剥離性支持体(好ましくは透明支持体)を用いることにより、支持体と、この支持体の上に形成された防眩性膜とで構成された積層構造の防眩性フィルムとすることができる。また、この防眩性フィルムの防眩性膜の上に、さらに低屈折率層(薄膜層)を形成することもできる。さらに、低屈折率層を防眩性膜に積層した後、支持体を防眩性膜から剥離したり、支持体から防眩性膜を剥離した後、低屈折率層を前記防眩層に積層したりすることにより防眩層及び低屈折率層で構成された積層構造の防眩性フィルムを得ることもできる。支持体としては、光透過性を有する支持体、例えば、合成樹脂フィルムなどの透明支持体が使用される。また、光透過性を有する支持体は、光学部材を形成するための透明ポリマーフィルムで構成されていてもよい。」
・「請求の範囲
[1] 重量平均分子量30,000~1,000,000の非反応性(メタ)アクリル系樹脂と、重量平均分子量1,000~100,000であり、かつ重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、多官能性(メタ)アクリレートとの硬化物で構成された防眩性膜であって、表面において紐状凸部がランダムな方向に分散して形成され、かつ前記紐状凸部の面積割合が全表面に対して50%以下である防眩性膜。
・・・(略)・・・
[3] 紐状凸部の平均高さが0.05~10μmであり、かつ平均幅が0.1~30μmである請求項1記載の防眩性膜。」
・「
[図:0001414159000001.jpg]
」
イ 甲1に記載された発明
甲1に記載された事項を、特に請求項1、3に関して整理すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
<甲1発明>
「重量平均分子量30,000~1,000,000の非反応性(メタ)アクリル系樹脂と、重量平均分子量1,000~100,000であり、かつ重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、多官能性(メタ)アクリレートとの硬化物で構成された防眩性膜であって、表面において紐状凸部がランダムな方向に分散して形成され、かつ前記紐状凸部の面積割合が全表面に対して50%以下であり、紐状凸部の平均高さが0.05~10μmであり、かつ平均幅が0.1~30μmである防眩性膜。」
(2)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明における「防眩性膜」は、硬化物で構成されていることから、本件特許発明1における「硬化膜」に相当する。
甲1発明における「紐状凸部」は、本件特許発明1における「凸条」に相当し、「しわ状の凹凸で構成され」との特定事項を満たす。
すると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「表面に、凸条が形成された構造を有し、凸状がしわ条の凹凸で構成された硬化膜。」
そして、両者は次の点で相違する。
<相違点1>
本件特許発明1においては、「凸条」が「前記構造の周方向に沿って、環状又は環の一部を欠いた形状に形成されている複数の凸部が、前記凸条の幅方向に沿って配列した」と特定されているのに対して、甲1発明においては、そのようには特定されていない点。
<相違点2>
本件特許発明1においては、「前記構造の大きさが、無作為に選んだ前記構造の内側の領域の最大直径の10点平均値として1~300μmであり」と特定されているのに対して、甲1発明においては、そのようには特定されていない点。
<相違点3>
本件特許発明1においては、「平面視かつ前記凸条の幅方向において、前記凹凸中の凸部と前記凸部に隣接する凹部の中心間距離が0.5~20μmであり」と特定されているのに対して、甲1発明においては、そのようには特定されていない点。
<相違点4>
本件特許発明1においては、「前記表面の算術平均高さSaが0.01~5μmであり」と特定されているのに対して、甲1発明においては、そのようには特定されていない点。
相違点1について検討する。
甲1発明は、防眩性膜の表面に「紐状凸部」が形成されるものであるが、当該「紐状凸部」が「前記構造の周方向に沿って、環状又は環の一部を欠いた形状に形成されている複数の凸部が、前記凸条の幅方向に沿って配列した」ものであることは記載されておらず、甲1の図面から見てもそのような構造を有しているものでもないし、硬化膜表面における相違点1に係る構造が出願時の技術常識であるとの事情もないことから、相違点1は実質的なものである。
よって、その他の点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1発明ではない。
また、甲1発明において、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載は、甲1及び他のいずれの証拠にもないから、甲1発明において相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
したがって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件特許発明2~5及び8~12について
本件特許発明2~5及び8~12は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1発明ではなく、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)取消理由1についてのむすび
したがって、本件特許発明1~5及び8~12は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえず、また、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1~5及び8~12に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、取消理由1の理由では取り消すことはできない。
2 特許権者に通知した取消理由以外の特許異議申立理由についての判断
取消理由において採用しなかった特許異議申立理由は、
・申立理由2(明確性)
・申立理由3(サポート要件)
・申立理由4(実施可能要件)
である。
以下、順に検討する。
(1)申立理由2(明確性)について
ア 明確性要件の判断基準
特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
そこで、検討する。
イ明確性要件の判断
(ア)特許請求の範囲の記載
特許請求の範囲の記載は上記第3のとおりである。
(イ)明確性要件についての判断
本件特許の請求項1~12の記載は、それ自体に不明瞭な記載はなく、願書に添付した明細書の記載とも整合する。
したがって、本件特許発明1~12に関して、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
ウ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人の申立理由3については、上記第4 2(1)~(4)の主張をするが、本件特許の発明の詳細な説明【0010】、【0011】、【0015】及び図1には「凸条」の「環状構造」及び「しわ状」について記載されており、【0077】~【0086】及び【0151】には基材層について記載されており、その他の点についても、願書に添付した明細書の記載を考慮し、当業者であれば出願時における技術常識を基礎として理解できる程度のものであるから、これらの点を以て第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
エ 申立理由2についてのまとめ
上記のとおり、本件特許発明1~12に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、特許法第113条第4号に該当しない。
よって、申立理由2によって本件特許の請求項1~12に係る特許を取り消すことはできない。
(3)申立理由3(サポート要件)について
ア サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
そこで、検討する。
イ サポート要件の判断
(ア)特許請求の範囲の記載
特許請求の範囲の記載は上記第3のとおりである。
(イ)サポート要件についての判断
本件特許発明の課題(以下、「本件発明の課題」という。)は、「本発明は、艶消し性及び耐擦傷性に優れる硬化膜及び積層体、並びに艶消し性及び耐擦傷性に優れる硬化膜が得られる製造方法を提供することを目的とする。」(【0005】)である。
そして、発明の詳細な説明には、「凹凸中の凸部と凸部に隣接する凹部の中心間距離は、0.5~20μm、好ましくは1~15μm、より好ましくは2~10μmである。中心間距離が上記下限値以上であれば、艶消し性がより優れる。中心間距離が上記下限値以下であれば、艶消し性及び耐擦傷性がより優れる。」(【0012】)こと、「環状構造の大きさは、無作為に選んだ環状構造の内側の領域の最大直径の10点平均値として、好ましくは1~300μm、より好ましくは10~200μmである。環状構造の大きさが上記下限値以上であれば、耐擦傷性がより優れる。環状構造の大きさが上記下限値以下であれば、艶消し性がより優れる。」(【0016】)こと、「硬化膜の表面の算術平均高さSaは、0.01~5μm、好ましくは0.05~4μm、より好ましくは0.l~3μmである。Saが上記範囲の下限値以上であれば、艶消し性及び耐擦傷性に優れる。Saが上記上限値以下であれば、耐擦傷性に優れる。」(【0021】)こと、「図1に示すとおり、実施例1の凹凸層は、環状構造を有していた。この凹凸層は、表2に示すとおり、艶消し性、耐擦傷性に優れており、防汚性も良好であった。」(図1、【0153】)ことが記載され、これらのことを裏付ける具体的な実施例(【0136】~【0153】)の記載もある。
また、発明の詳細な説明には、「硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する活性基(以下、単に「活性基」とも記す。)を有するモノマー(x)に基づく単位と、炭素数4以上のアルキル基、フッ素原子及びケイ素原子からなる群から選ばれる1種以上を有するモノマー(y)に基づく単位と、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生しない2つ以上の芳香環を含む構造を有するモノマー(z)に基づく単位とを有する共重合体(A)と、1分子に2つ以上のラジカル重合性基を有する多官能化合物(B)とを含む。・・・硬化性組成物に活性エネルギー線を照射すると、共重合体(A)の活性基からラジカルが発生し、発生したラジカルを起点として、多官能化合物(B)のラジカル重合性基同士の反応が進行し、硬化性組成物全体が硬化する。硬化性組成物の塗膜を形成し、この塗膜に活性エネルギー線を照射すると、塗膜の表面側が先に硬化して硬化被膜が形成される。その後、塗膜の内部を硬化すると、表面側の硬化塗膜が座屈することで、表面にしわ状の凹凸を有する硬化膜が形成される。」(【0029】~【0030】)ことが記載され、このような製造方法で製造された硬化膜が上記本件発明の課題を解決し得ることを裏付ける具体的な実施例の記載もある。
そうすると、当業者は、表面に凸条が環状に形成された構造を有し、前記構造の大きさが、無作為に選んだ前記構造の内側の領域の最大直径の10点平均値として1~300μmであり、前記凸条がしわ状の凹凸で構成され、平面視かつ前記凸条の幅方向において、前記凹凸中の凸部と前記凸部に隣接する凹部の中心間距離が0.5~20μmであり、前記表面の算術平均高さSaが0.01~5μmである硬化膜は、上記本件発明の課題を解決することができると認識できる。
また、当業者は、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する活性基を有するモノマー(x)に基づく単位と、炭素数4以上のアルキル基を有するモノマー(y)に基づく単位と、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生しないビフェニル構造を有するモノマー(z)に基づく単位とを有する共重合体(A)と、1分子に2つ以上のラジカル重合性基を有する多官能化合物(B)とを含む硬化性組成物の塗膜を形成し、前記塗膜に活性エネルギー線を照射する、硬化膜の製造方法は、上記本件発明の課題を解決することができると認識できる。
そして、本件特許発明1~12は、上記発明の課題を解決することができる特定事項を全て含み、あるいは、さらに限定するものであるから、本件発明の課題を解決できるものである。
したがって、本件特許発明1~12は、本件特許の発明の詳細な説明に記載されたものであり、本件特許の発明の詳細な説明により当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲ものであるといえる。
よって、本件特許発明1~12に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合する。
ウ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人の申立理由3については、上記第4 3(1)~(4)の主張をするが、いずれも本件発明の課題を解決し得ないとする具体的な証拠を挙げるものでもないから、何れの主張も採用することができない。
エ 申立理由3についてのむすび
上記のとおり、本件特許発明1~12は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当しない。
よって、申立理由3によって本件特許の請求項1~12に係る特許を取り消すことはできない。
(4)申立理由4(実施可能要件)について
ア 実施可能要件の判断基準
上記第3のとおり、本件特許発明1~6及び8~12は物の発明であるところ、物の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産し、使用することができる程度の記載があることを要する。
また、上記第3のとおり、本件特許発明7は物を生産する方法の発明であるところ、物を生産する方法の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産する方法の使用をし、その方法により生産した物の使用をすることができる程度の記載があることを要する。
そこで、検討する。
イ 実施可能要件の判断
発明の詳細な説明には、上記(3)イ(イ)のとおり、本件特許発明1~12の各発明特定事項について具体的に記載され、実施例についてもその製造方法を含め具体的に記載されている。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づき、過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明1~12を生産し、使用することができる程度の記載があるといえるから、よって、本件特許発明1~12に関して、発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を充足する。
ウ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人の申立理由4については、上記第4 4(1)及び(2)の主張をするが、いずれも、本件特許発明を実施することができないとする具体的な証拠を挙げるものでもないから、何れの主張も採用することができない。
エ 申立理由4についてのまとめ
上記のとおり、本件特許発明1~12は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、特許法第113条第4号に該当しない。
よって、申立理由4によって本件特許の請求項1~12に係る特許を取り消すことはできない。
第7 結語
以上のとおり、本件特許の請求項1~12に係る特許は、取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700388