2023-017009
チャネル状態情報に対する物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースの選択
- 審判番号
- 2023-017009
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-554285外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年10月06日
- 審決日
- 2024年04月17日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クゥアルコム・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
- 分類
- P18 .113-Z (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、2019年(平成31年)4月1日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2018年4月6日 アメリカ合衆国(US)、2019年3月29日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 3月 4日 手続補正書及び上申書の提出
令和5年 2月 7日付け 拒絶理由通知書
令和5年 4月 6日 意見書及び手続補正書の提出
令和5年 6月26日付け 拒絶査定
令和5年10月 6日 審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和5年10月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年10月6日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「 【請求項1】ユーザ機器(UE)によって実行されるワイヤレス通信の方法において、チャネル状態情報(CSI)ペイロードを構築するのに使用されるランクインジケータの第2の値とは無関係である前記ランクインジケータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて、前記CSIペイロードを送信するのに使用されることになる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースのセットを決定することと、前記ランクインジケータの前記第1の値は、前記CSIペイロードのサイズとは無関係であり、前記UEおよび基地局(BS)が、PUCCHリソースのどのセットが前記CSIペイロードを含めることになるかを識別するように構成されたパラメータであり、前記ランクインジケータは、前記UEによって決定されるダウンリンクチャネル品質に対応し、前記PUCCHリソースのセットからの1つ以上のリソースを使用して、前記CSIペイロードを前記BSに送信することと、を含む方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和5年4月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】ユーザ機器(UE)によって実行されるワイヤレス通信の方法において、チャネル状態情報(CSI)ペイロードを構築するのに使用されるランクインジケータの第2の値とは無関係である前記ランクインジケータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて、前記CSIペイロードを送信するのに使用されることになる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースのセットを決定することと、前記ランクインジケータの前記第1の値は、前記CSIペイロードのサイズとは無関係であり、前記PUCCHリソースのセットに対して構成されたパラメータであり、前記ランクインジケータは、前記UEによって決定されるダウンリンクチャネル品質に対応し、前記PUCCHリソースのセットからの1つ以上のリソースを使用して、前記CSIペイロードを基地局(BS)に送信することと、を含む方法。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「パラメータ」について、「前記PUCCHリソースのセットに対して構成された」ものを「前記UEおよび基地局(BS)が、PUCCHリソースのどのセットが前記CSIペイロードを含めることになるかを識別するように構成された」と限定し、当該限定により「基地局(BS)」が特定されたことにより、この後で特定される「前記CSIペイロードを基地局(BS)に送信する」との事項を「前記CSIペイロードを前記BSに送信する」と補正するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、当該補正は特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記「1」の「(1)」に記載したとおりのものである。
(2)引用文献に記載された事項、及び引用発明等
原査定(令和5年6月26日付け拒絶査定)における拒絶の理由で引用された本願優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、Huawei, HiSilicon, Summary for Al 7.1.3.2.2. PUCCH structure in long-duration [online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #92 R1-1803534,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_92/Docs/R1-1803534.zip>,2018年3月5日アップロード(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)
「3.10 Key correction 10: Reference payload size of CSI part 2Since rank of CQI is determined by UE, payload size of CSI part 2 is unknown to gNB. At least for the following two cases:Case 1: Dynamic HARQ-ACK and P-CSI on dynamical configured HARQ-ACK resourceCase 2: HARQ-ACK for SPS PDSCH and P-CSI on semi-statically configured P-CSI resource続きを表示(全46行)When gNB configures PUCCH resource for UE, gNB cannot calculate the PUCCH resource caused by the unknown payload size. So a reference payload size of CSI part 2 is needed.Proposal 3-10:・PUCCH resource (set) selection and determination of PRB number for UCI transmission on PUCCH format 3/4 is done based on a reference payload size of CSI part 2.oFFS: how to determine reference payload size of CSI part 2.Opt 1: When calculating the resource for CSI part 2 on PUCCH or PUSCH, rank 1 is assumed as the reference payload size of CSI part 2.Opt 2: The reference numbers of CSI part 2 bits for PUCCH resource (set) and RB determination are set differently based on the expected HARQ-ACK payload bits as follows:レ Possible minimum number of CSI part 2 bits in case of HARQ-ACK/SR and CSI on PUCCH format 3 and 4 configured for HARQ-ACKレ Possible maximum number of CSI part 2 bits in case of HARQ-ACK/SR and CSI on PUCCH format 3 and 4 configured for CSI reportingOpt 3: Reference payload size of CSI part 2 is determined by the RRC configured parameter, e.g. assumed RI.(当審仮訳:3.10 重要な訂正10:CSI部分2の参照ペイロードサイズCQIのランクはUEによって決定されるので、CSI部分2のペイロードサイズはgNBにとって未知である。少なくとも、以下の2つのケースに対して:ケース1:動的に構成されたHARQ-ACKリソース上の動的なHARQ-ACK及びP-CSIケース2:半静的に構成されたP-CSI及びP-CSIリソース上のSPS PDSCH及びP-CSI対するHARQ-ACKgNBがUEに対してPUCCHリソースを構成する場合、gNBは、未知のペイロードサイズが原因で、PUCCHリソースを計算することができない。そのため、CSI部分2の参照ペイロードサイズが必要とされる。提案3-10:・PUCCHリソース(セット)の選択と、PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号の決定は、CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいてなされる。○FFS:CSI部分2の参照ペイロードサイズの決定方法。オプション1:PUCCH又はPUSCH上のCSI部分2のためのリソースを計算する時、ランク1をCSI部分2の参照ペイロードサイズと仮定する。オプション2:PUCCHリソース(セット)及びRB決定のためのCSI部分2のビットの参照数は、期待されるHARQ-ACKペイロードのビットに基づいて、以下のように、異なって設定される。レ HARK-ACKのために構成されるPUCCHフォーマット3及び4上のHARQ-ACK/SR及びCSIの場合、CSI部分2ビットの可能な最小数。レ CSI報告のために構成されるPUCCHフォーマット3及び4上のHARQ-ACK/SR及びCSIの場合、CSI部分2ビットの可能な最大数。オプション3:CSI部分2の参照ペイロードサイズは、RRC構成パラメータ、例えば、仮定されたRIによって決定される。)上記引用文献1に記載された事項、及び移動通信分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。ア 上記の第1段落の「CQIのランクはUEによって決定されるので、CSI部分2のペイロードサイズはgNBにとって未知である。」との記載、及び同第2段落の「gNBは、未知のペイロードサイズが原因で、PUCCHリソースを計算することができない。そのため、CSI部分2の参照ペイロードサイズが必要とされる。」との記載によれば、引用文献1では、CQIのランクはUEによって決定されるので、CSI部分2のペイロードサイズはgNBにとって未知であり、そのため、PUCCHリソースを計算することができず、CSI部分2の参照ペイロードサイズが必要とされるといえる。イ 上記の第3段落には「オプション1」として、「PUCCH・・・上のCSI部分2のためのリソースを計算する時、ランク1をCSI部分2の参照ペイロードサイズと仮定する。」との記載によれば、引用文献1では、PUCCH上のCSI部分2のためのリソースを計算する時、ランク1をCSI部分2の参照ペイロードサイズと仮定する。ウ 上記の第2段落には「提案3-10」として、「PUCCHリソース(セット)の選択と、PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号の決定は、CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいてなされる。」との記載によれば、引用文献1では、CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいて、PUCCHリソース(セット)の選択と、PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号の決定がなされるといえる。エ 上記の第2段落には「提案3-10」として、「PUCCHリソース(セット)の選択と、PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号の決定は、CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいてなされる。」との記載がある。ここで、引用文献1は、「3GPP TSG RAN WG1 Meeting#92 R1-1803534」との文献名から明らかなように、3GPP(3rd Generation Partnership Project)という標準化団体において、RAN(Radio Access Network)のWG1(Working Group 1)というTSG(Technical Specification Group)の第92回会合における「R1-1803534」という寄書であり、3GPPはワイヤレス通信に関する標準化団体であることが、移動通信業界では広く知られている。また、引用文献1の「PUCCH」とは、上記3GPPにより標準化されるワイヤレス通信において用いられる物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control CHannel;PUCCH)を表すことが移動通信分野における技術常識である。これらを考慮すると、引用文献1は、ワイヤレス通信に関するものといえる。そして、引用文献1には、PUCCHリソースの選択や、そこで送信されるUCI送信のためのPRB番号の決定を行うための方法が記載されているといえる。そうすると、引用文献1には、ワイヤレス通信の方法が記載されているといえる。したがって、上記「ア」ないし「エ」を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。「ワイヤレス通信方法において、CQIのランクはUEによって決定されるので、CSI部分2のペイロードサイズはgNBにとって未知であり、そのため、PUCCHリソースを計算することができず、CSI部分2の参照ペイロードサイズが必要とされ、PUCCH上のCSI部分2のためのリソースを計算する時、ランク1をCSI部分2の参照ペイロードサイズと仮定すること、当該CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいて、PUCCHリソース(セット)の選択と、PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号の決定がなされる方法。」(3)対比本件補正発明と引用発明とを対比する。ア 本件補正発明の「ユーザ機器(UE)によって実行されるワイヤレス通信の方法」と、引用発明の「ワイヤレス通信の方法」とは、「ワイヤレス通信の方法」である点で共通する。イ 移動通信分野において、「UE」とはユーザ機器を表すことが技術常識であることを考慮すると、引用発明の「UE」は、本件補正発明の「ユーザ機器(UE)」に相当する。ウ 移動通信分野において、「CSI」とはチャネル状態情報(Channel State Information)を表すことが技術常識であることを考慮すると、引用発明の「CSI」は、本件補正発明の「チャネル状態情報(CSI)」及び「CSI」に相当する。エ 引用発明の「CSI部分2」はCSIの一部分を表すものと解されるから、引用発明の「CSI部分2のペイロード」は、本件補正発明の「チャネル状態情報(CSI)ペイロード」及び「CSIペイロード」に含まれる。オ 移動通信分野において、「PUCCH」とは物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control CHannel;PUCCH)を表すことが技術常識であることを考慮すると、引用発明の「PUCCH」は、本件補正発明の「物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)」に相当し、引用発明の「PUCCHリソース(セット)」は、本件補正発明の「PUCCHリソースのセット」に相当する。カ 引用発明において、「CSI部分2のペイロードサイズはgNBにとって未知であり、そのため、PUCCHリソースを計算することができず、CSI部分2の参照ペイロードサイズが必要とされ」、「当該CSI部分2の参照ペイロードサイスに基づいて、PUCCHリソース(セット)の選択」がなされるのであるから、引用発明の「CSI部分2の参照ペイロードサイスに基づいて」選択がなされた「PUCCHリソース(セット)」は、「CSI部分2のペイロード」を送信することに使用されることは明らかである。ここで、引用発明の「PUCCHリソース」も「CSI部分2の参照ペイロードサイズ」に基づくものであるから、当該「PUCCHリソース(セット)」と前記「PUCCHリソース」が同じものを表していることは明らかである。そうすると、引用発明の「CSI部分2のペイロードサイズ」を送信することに使用され、「CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいて」選択がなされた「PUCCHリソース(セット)」は、本件補正発明の「CSIペイロードを送信するのに使用されることになる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースのセット」に含まれる。キ 引用発明は「ランク1をCSI部分2の参照ペイロードサイズと仮定する」ものである。ここで、移動通信分野において、CSIには、チャネル品質インジケータ(Channel Quality Indicator;CQI)、プリコーディング行列インジケータ(Precoding Matrix Indicator;PMI)、ランクインジケータ(Rank Indicator;RI)が含まれ、ランクインジケータ(RI)の値によって、CSIの情報量が変化することが技術常識である。当該技術常識を踏まえると、引用発明における上記「ランク1」とは、ランクインジケータ(RI)の値を表していることは明らかである。そうすると、引用発明の上記「CSI部分2の参照ペイロードサイズ」は、ランクインジケータ(RI)の「ランク1」という値自体ではなく、ランクインジケータを「ランク1」とした場合の「CSI部分2のペイロード」サイズを表していることは明らかである。また、引用発明は「当該CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいて、PUCCHリソース(セット)の選択」がなされるから、引用発明は、「ランク1」に基づいて、「PUCCHリソース(セット)の選択」がなされているといえる。そして、当該選択されたPUCCHリソース(セット)を、使用するリソース(セット)として決定していることは自明といえる。ここで、上記「カ」で検討したように、引用発明の「CSI部分2のペイロードサイズ」を送信することに使用され、「CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいて」選択がなされた「PUCCHリソース(セット)」が、本件補正発明の「CSIペイロードを送信するのに使用されることになる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースのセット」に含まれることを考慮すれば、本件補正発明の「CSIペイロードを送信するのに使用されることになる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースのセット」を「決定」することに用いられる「ランクインジケータの第1の値」と、引用発明のPUCCHリソース(セット)の選択」に用いられる「ランク1」は、「CSIペイロードを送信するのに使用されることになる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースのセット」を決定することに用いられる「ランクインジケータの第1の値」である点で共通する。
そうすると、本件補正発明の「ランクインジケータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて、CSIペイロードを送信するのに使用されることになる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースのセットを決定すること」と、引用発明のランクインジケータを「ランク1」とした場合の「CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいて、PUCCHリソース(セット)の選択」がなされることは、「ランクインジケータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて、CSIペイロードを送信するのに使用されることになる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースのセットを決定すること」である点で共通する。
したがって、上記「ア」ないし「キ」を総合すれば、本件補正発明と引用発明は、以下の点で一致し、また相違する。
<一致点>
「 ワイヤレス通信の方法において、ランクインジケータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて、CSIペイロードを送信するのに使用されることになる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースのセットを決定することと、を含む方法。」
<相違点1>
「ワイヤレス通信の方法」について、本件補正発明では「ユーザ機器(UE)によって実行される」ことが特定されているのに対して、引用発明では当該発明特定事項が特定されていない点。
<相違点2>
本件補正発明では「ランクインジケータの第1の値」が「チャネル状態情報(CSI)ペイロードを構築するのに使用されるランクインジケータの第2の値とは無関係であ」り、「ランクインジケータの第1の値は、CSIペイロードのサイズとは無関係であり、UE及び基地局(BS)が、PUCCHリソースのどのセットが前記CSIペイロードを含めることになるかを識別するように構成されたパラメータであ」ることが特定されているのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。
<相違点3>
本件補正発明では「前記ランクインジケータは、前記UEによって決定されるダウンリンクチャネル品質に対応」することが特定されているのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。
<相違点4>
本件補正発明は「前記PUCCHリソースのセットから1つ以上のリソースを使用して、前記CSIペイロードを前記BSに送信すること」が特定されているのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。
(4)判断
ア 相違点1及び4について
上記(3)の「カ」で説示したように、引用発明の「PUCCHリソース」は、CSI部分2のペイロードを送信するのに使用されるものであるから、引用発明において、選択される「PUCCHリソース(セット)」や、決定される「UCI送信のためのPRB番号」を用いて、「gNB」と「UE」との間で、CSI部分2のペイロードの送受信が行われていることは明らかである。そして、引用発明において、選択される「PUCCHリソース(セット)」や、決定される「UCI送信のためのPRB番号」の認識が、「UE」と「gNB」で相違すると、「UE」から送信された「CSI部分2のペイロード」を「gNB」が受信したり、復号したりすることができないことは明らかである。そうすると、引用発明の「ワイヤレス通信方法」は、「UE」及び「gNB」の両方で実施されていることは明らかである。
したがって、引用発明の「ワイヤレス通信方法」は、「UE」で実施されているといえるから、本件補正発明と同様、「ユーザ機器(UE)によって実行されるワイヤレス通信方法」といえる。
よって、上記相違点1は実質的な相違点ではない。
また、引用発明は「当該CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいて、PUCCHリソース(セット)の選択と、PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号の決定がなされる」ものである。ここで、「CSI」は、UCI(Uplink Control Information;アップリンク制御情報)の一種であることが、移動通信分野における技術常識であることを考慮すれば、引用発明において、「PUCCHリソース(セット)の選択と、PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号の決定がなされ」た後、選択されたPUCCHリソース(セット)を使用して、PUCCHフォーマット3/4で、UCIの一種であるCSI部分2のペイロードを「gNB」に送信することは自明である。そして、PUCCHフォーマット3/4を送信するためには、選択されたPUCCHリソース(セット)の中から1つ以上のリソースが使用されることも自明である。ここで、移動通信分野において、「gNB」とは、基地局(Base Station;BS)の一種であることが技術常識であることを考慮すると、引用発明の「gNB」は、本件補正発明の「基地局(BS)」及び「BS」に含まれる。以上を踏まえると、引用発明において、「選択」された「PUCCHリソース(セット)」の中から1つ以上のリソースを使用して、「CSI部分2のペイロード」を「gNB」に送信することが自明といえるから、引用発明は、本件発明同様、「前記PUCCHリソースのセットから1つ以上のリソースを使用して、前記CSIペイロードを前記BSに送信する」ものといえる。
したがって、上記相違点4は実質的な相違点でない。
イ 相違点2及び3について
移動通信分野において、ランクインジケータ(RI)とは、ユーザ機器(UE)が、基地局から送信される参照信号を測定し、測定したダウンリンクのチャネル品質に基づいて決定するものであり、CSIを算出する際にユーザ機器(UE)において通常行われていることが技術常識であり、引用発明の「UE」においても、基地局から送信される参照信号を測定し、測定したダウンリンクのチャネル品質に基づいて、ランクインジケータ(RI)を決定していることは明らかである。そうすると、引用発明において、「UE」が測定したダウンリンクチャネル品質に基づいて決定された「ランク」の値が、本件補正発明の「ランクインジケータ」と同様、「UEによって決定されるダウンリンクチャネル品質に対応」することは明らかである。そうすると、引用発明において、「UE」が測定したダウンリンクチャネル品質に基づいて決定された「ランク」の値は、本件補正発明の「ランクインジケータ」と同様、「前記UEによって決定されるダウンリンクチャネル品質に対応」するものといえる。
したがって、上記相違点3は実質的な相違点ではない。
また、引用発明の「ランク1」は「CSI部分2のためのリソースを計算する時」のランクの値であるから、「UE」が測定したチャネル品質に基づいて決定したランクの値ではないことが明らかである。一方で、ランクインジケータ(RI)は、移動通信分野において、基地局に報告されるCSIに含まれる情報であることが技術常識であることを考慮すると、「UE」が測定したダウンリンクのチャネル品質に基づいて決定したランクの値が、「CSI部分2のペイロード」として構築するのに使用されることは明らかである。そうすると、引用発明において、「UE」が測定したダウンリンクのチャネル品質に基づいて決定したランクの値が、本件補正発明の「チャネル状態情報(CSI)ペイロードを構築するのに使用されるランクインジケータの第2の値」に含まれ、引用発明において、「CSI部分2のためのリソースを計算する時」の「ランク1」は、本件補正発明と同様、「チャネル状態情報(CSI)ペイロードを構築するのに使用されるランクインジケータの第2の値とは無関係であ」るといえる。
さらに、基地局に報告される「CSI部分2のペイロード」は、「UE」が測定したダウンリンクのチャネル品質に基づいて決定したランクの値が使用されることは明らかであり、当該チャネル品質に基づいて決定したCSI部分2のペイロードサイズに関係するランクの値と、「CSI部分2のためのリソースを計算する時」の値である「ランク1」は、互いに無関係であることは明らかである。そうすると、引用発明の「CSI部分2のためのリソースを計算する時」の値である「ランク1」は、本件補正発明の「ランクインジケータの第1の値」と同様、「CSIペイロードのサイズとは無関係であ」るといえる。
加えて、上記「ア」で説示したように、引用発明の「ワイヤレス通信方法」は、「UE」及び「gNB」の両方で実施されていることは明らかであるから、引用発明は、「UE」及び「gNB」の両方で、「ランク1」とした場合の「CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいて、PUCCHリソース(セット)の選択と、PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号の決定がなされる」といえる。そうすると、引用発明の「CSI部分2のためのリソースを計算する時」の値である「ランク1」は、「UE」及び「gNB」が、相手先で選択された「PUCCHリソース(セット)」及び決定された「PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号」を識別することに利用できるように構成されたパラメータとなっていることは明らかである。してみれば、引用発明の「CSI部分2のためのリソースを計算する時」の値である「ランク1」は、本件補正発明の「ランクインジケータの第1の値」と同様、「UE及び基地局(BS)が、PUCCHリソースのどのセットが前記CSIペイロードを含めることになるかを識別するように構成されたパラメータであ」るといえる。
したがって、上記相違点2は実質的な相違点ではない。
ウ 上記「ア」及び「イ」で検討したように、本件補正発明と引用発明とは実質的に相違する点はなく、本件補正発明は引用発明である。
エ 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書の「3」の「(3-2)」において「引用文献1~4には、補正後の請求項1に記載の「前記CSIペイロードのサイズとは無関係であり、前記UEおよび基地局(BS)が、PUCCHリソースのどのセットが前記CSIペイロードを含めることになるかを識別するように構成されたパラメータ」は、記載も示唆もされていません。」と主張している。
しかしながら、上記「イ」で検討したとおりであることから、上記請求人が主張する点は、引用文献1に実質的に記載されているといえる。
よって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。
(5)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年10月6日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成5年4月6日にされた手続補正より補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2」の「[理由]」の「1」の「(2)」に記載のとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由の概要は、(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献1 Huawei, HiSilicon, Summary for Al 7.1.3.2.2. PUCCH structure in long-duration [online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #92 R1-1803534,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_92/Docs/R1-1803534.zip>,2018年3月5日アップロード
3 引用文献に記載された事項、及び引用発明等
原査定における拒絶の理由で引用された引用文献1に記載された事項は、上記「第2」の「[理由]」の「2」の「(2)」に記載したとおりである。
4 対比、及び判断
本願発明は、上記「第2」の「[理由]」の「2」で検討した本件補正発明から、「パラメータ」に係る「前記UEおよび基地局(BS)が、PUCCHリソースのどのセットが前記CSIペイロードを含めることになるかを識別するように構成された」という限定事項を削除し、「パラメータ」が「前記PUCCHリソースのセットに対して構成された」ものとするとともに、前記限定がなくなったことにより、この後で特定される「前記CSIペイロードを前記BSに送信する」との記載を「前記CSIペイロードを基地局(BS)に送信する」ものとしたものである。
そして、引用発明の「RI」の「ランク1」によって、「CSI部分2の参照ペイロードサイズが決定され、当該CSI部分2の参照ペイロードサイズに基づいて、PUCCHリソース(セット)の選択と、PUCCHフォーマット3/4上のUCI送信のためのPRB番号の決定がなされる」ものであるから、引用発明の「RI」の「ランク1」は、選択されるPUCCHリソースの(セット)に対して構成されていることは明らかである。そうすると、本願発明の「前記ランクインジケータの前記第1の値は、・・・前記PUCCHリソースのセットに対して構成されたパラメータであ」る点において、本願発明の「ランクインジケータの第1の値」と引用発明の「RI」の「ランク1」との間に実質的な差異はない。
そして、当該点を除き、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2」の「[理由]」の「2」の「(3)」及び「(4)」に記載したとおり引用発明であるから、本願発明も引用発明である。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の理由及び他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-017009