特許拒絶査定不服審判
2023-007488
電子機器
- 審判番号
- 2023-007488
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-184538外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年05月09日
- 審決日
- 2024年04月09日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社PFU
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-184538「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月 2日出願公開、特開2020- 53649〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年9月28日の出願であって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 8月24日 拒絶理由通知(起案日)
令和4年10月13日 意見書、手続補正書の提出
令和5年 2月 8日 拒絶査定(原査定)(起案日)
令和5年 5月 9日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年5月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年5月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は補正箇所を示す。)
「 基板に形成される複数の孔をそれぞれ貫通する複数のスペーサと、
ヒートシンクと、
前記基板と前記ヒートシンクとの間に配置される伝熱部品と、
前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持される複数の弾性体とを備え、
前記基板に搭載される複数の電子部品のうちの発熱部品は、前記基板のうちの前記ヒートシンクに向く第1面が前記発熱部品に対向するように前記基板と前記伝熱部品との間に配置されて前記基板に固定され、
前記複数の弾性体は、前記発熱部品が前記伝熱部品に接触するように、前記基板に弾性力を与え、
前記複数の電子部品のうちの前記発熱部品と異なる他の電子部品は、前記発熱部品の高さより高い電子部品を含み、前記基板と前記ヒートシンクとの間に配置されないで、前記基板のうちの前記第1面の裏側の第2面が前記他の電子部品に対向するように配置されて前記基板に固定される電子機器。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の請求項1の記載は、令和4年10月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「 発熱部品と複数の電子部品とが搭載される基板に形成される複数の孔をそれぞれ貫通する複数のスペーサと、
ヒートシンクと、
前記発熱部品と前記ヒートシンクとの間に配置される伝熱部品と、
前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持され、前記発熱部品が前記伝熱部品に接触するように、前記基板に弾性力を与える複数の弾性体とを備え、
前記発熱部品は、前記基板のうちの第1面に対向して前記基板に固定され、
前記複数の電子部品は、前記基板のうちの前記第1面の裏側の第2面に対向して前記基板に固定される電子機器。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1についての補正を含むところ、請求項1についての本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記発熱部品は、前記基板のうちの第1面に対向して前記基板に固定され」について、「前記基板に搭載される複数の電子部品のうちの発熱部品は、前記基板のうちの前記ヒートシンクに向く第1面が前記発熱部品に対向するように前記基板と前記伝熱部品との間に配置されて前記基板に固定され」と、下線部の限定を付加し、同様に本件補正前の「前記複数の電子部品は、前記基板のうちの前記第1面の裏側の第2面に対向して前記基板に固定される」について、「前記複数の電子部品のうちの前記発熱部品と異なる他の電子部品は、前記発熱部品の高さより高い電子部品を含み、前記基板と前記ヒートシンクとの間に配置されないで、前記基板のうちの前記第1面の裏側の第2面が前記他の電子部品に対向するように配置されて前記基板に固定される」と、下線部の限定を付加するとともに、これらの限定の付加と整合するように、本件補正前の「発熱部品と複数の電子部品とが搭載される基板に形成される複数の孔をそれぞれ貫通する複数のスペーサ」を「 基板に形成される複数の孔をそれぞれ貫通する複数のスペーサ」に補正し、同様に「前記発熱部品と前記ヒートシンクとの間に配置される伝熱部品」を「前記基板と前記ヒートシンクとの間に配置される伝熱部品」と補正し、同様に「前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持され、前記発熱部品が前記伝熱部品に接触するように、前記基板に弾性力を与える複数の弾性体とを備え」を「前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持される複数の弾性体とを備え」に補正するとともに、「 前記複数の弾性体は、前記発熱部品が前記伝熱部品に接触するように、前記基板に弾性力を与え、」との事項を、他の記載と整合する位置に配置したものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献
ア 引用文献1の記載と引用発明
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶理由で引用された特開平11-163232号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。(下線は当審で付した。以下同じ。)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LSI等の電子部品の放熱に用いられる電子部品の放熱装置に関する。」
「【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1(a)は本発明の一実施形態による電子部品の放熱装置の構成を示す一部裁断側面図であり、図1(b)は同一実施形態による電子部品の放熱装置の構成を示す平面図である。また、図2は、図1(a)に示す円A内の構成を示す一部裁断拡大断面図である。図1(a)において、10は、LSI(大規模集積回路)11等の電子部品を実装する回路基板である。この回路基板10には、都合4カ所に図2に示す貫通穴10aが形成されている。LSI11は、例えば、シリコンチップ、該シリコンチップをパッケージングするLSIケース11a、シリコンチップと回路基板1(当審注:「回路基板10」の誤記と認める。)とを接続する複数のはんだボール11b、11b、…(図2参照)から構成されている。上記はんだボール11b、11b、…は、BGA(Ball Grid Array)を構成している。
【0008】図1(a)に示す12は、熱伝導率が高い材料から構成されたプレートであり、LSIケース11aの表面全体に密着するように取り付けられている。また、上記プレート12には、都合2カ所に雌ネジ部(図示略)が形成されている。13は、熱伝導率が高い材料から構成された伝熱シートであり、プレート12の表面全体に貼着されている。
【0009】14は、LSI11により発生された熱を空気中に放熱するヒートシンクであり、図1(b)に示すネジ20、20により、伝熱シート13を介してプレート11(当審注:「プレート12」の誤記と認める。)の雌ネジ部に取り付けられている。すなわち、ネジ20、20により、ヒートシンク14とプレート12との間の接触圧力が所定値以上とされ、ひいては、ヒートシンク14とプレート12との熱抵抗が所定値以下とされている。
【0010】また、ヒートシンク14の4隅には、回路基板10の貫通穴10a(図2参照)に対向するように図2に示す取り付け穴14aが各々形成されている。16は、ヒートシンク14と回路基板10との間に介挿された円筒形状の第1のスペーサであり、ヒートシンク14の取り付け穴14aと貫通穴10aとを連通するようにして設けられている。
【0011】上記第1のスペーサ16は、ヒートシンク14の裏面から回路基板10の表面までの距離よりわずかに短い高さd1となるように形成されている。また、第1のスペーサ16は、振動やヒートシンク14に力が加えられて上記距離が縮まった場合に、ヒートシンク14の裏面から回路基板10の表面までの距離が規定距離以下とならないようにする役目をしている。ここで、上記規定距離とは、はんだボール11b、11b、…に対して作用する力が、はんだボール11b、11b、…に変形、クラック等が生じない大きさとされる距離をいう。言い換えれば、第1のスペーサ16は、はんだボール11b、11b、…に所定以上の力が作用しないようにする役目をしている。
【0012】21は、回路基板10の裏面に当接するようにして設けられた板状のスフィスナであり、回路基板10の反りを防止する役目をしている。このスフィスナ21の四隅には、貫通穴10aに対応して貫通穴21aが各々形成されている。15は、略釘形状であって頭部15aを有するピンであり、その頭部15aがヒートシンク14側に位置するようにして、取り付け穴14a、第1のスペーサ16、貫通穴10aおよび貫通穴21aを貫通するように設けられている。また、ピン15の先端部分は、スフィスナ21から突出されており、さらにピン15の先端部には、溝部15bが形成されている。
【0013】17は、上端面が開放され、かつ下端面に貫通穴17aが形成されてなる略円筒形状の第2のスペーサであり、貫通穴17aがピン15に貫通されるようにしてスフィスナ21の下方に設けられており、その高さは、d2とされている。この第2のスペーサ17は、ヒートシンク14の裏面から回路基板10の表面までの距離が振動等により大きくなった場合に、上記距離が上述した規定距離以上とならないようにする役目をしている。19は、溝部15bに嵌合されたリングであり、第2のスペーサ17がピン15から抜け落ちるのを防止している。
【0014】18は、第2のスペーサ17の下端面とスフィスナ21の裏面との間に介挿されたバネであり、ピン15を介してヒートシンク14を同図下方向へ付勢している。すなわち、バネ18は、ヒートシンク14を回路基板10側へ押しつける役目をしている。ここで、バネ18による弾性力は、LSI11のはんだボール11b、11b、…に変形、クラックが生じない大きさとされている。」
「【図1】
[図:0001410981000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001410981000002.jpg]
」
(イ)引用発明
a 上記(ア)の【図1】及び【図2】を見ると、同【0007】に記載された回路基板10の都合4ヵ所の貫通穴10aのそれぞれに、同【0012】に記載されたピン15が4本設けられているといえる。
b さらに、同【図1】及び【図2】を見ると、上記aのピン15のそれぞれに、同【0014】に記載されたバネ18が都合4本設けられ、ピン15は、バネ18の内側を貫通するように設けられているといえる。
c 上記(ア)の【0007】及び【図2】によれば、引用文献1には、LSI等の電子部品とその放熱装置とが記載されているといえ、LSI等には、LSI11が含まれることは明らかである。
d 上記(ア)の記載及び上記a~cによれば、引用文献1には、LSI11等の電子部品とその放熱装置とを合わせた装置についての、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「LSI11等の電子部品を実装する回路基板10であって、都合4ヵ所に貫通穴10aが形成されている回路基板10と、(同【0007】)
シリコンチップ、該シリコンチップをパッケージングするLSIケース11a、シリコンチップと回路基板10とを接続する複数のはんだボール11b、11b、…から構成されているLSI11と、(同【0007】)
熱伝導率が高い材料から構成され、LSIケース11aの表面全体に密着するように取り付けられているプレート12と、(同【0008】)
LSI11により発生された熱を空気中に放熱するヒートシンク14であって、伝熱シート13を介してプレート12に取り付けられており、回路基板10の貫通穴10aに対向するように取り付け穴14aが各々形成されているヒートシンク14と、(同【0009】、【0010】)
ヒートシンク14と回路基板10との間に介挿された円筒形状の第1のスペーサであって、ヒートシンク14の取り付け穴14aと貫通穴10aとを連通するようにして設けられている第1のスペーサ16と、(同【0010】)
回路基板10の裏面に当接するようにして設けられた板状のスフィナ21であって、貫通穴10aに対応して貫通穴21aが各々形成されているスフィナ21と、(同【0012】)
略釘形状であり頭部15aを有するピン15であって、それぞれその頭部15aがヒートシンク14側に位置するようにして、取り付け穴14a、第1のスペーサ16、貫通穴10aおよび貫通穴21aを貫通するように設けられており、先端部分は、スフィスナ21から突出されており、さらに先端部には、溝部15bが形成されている4本のピン15と、(同【0012】、上記a)
上端面が開放され、かつ下端面に貫通穴17aが形成されてなる略円筒形状の第2のスペーサであって、貫通穴17aがピン15に貫通されるようにしてスフィスナ21の下方に設けられている第2のスペーサ17と、(同【0013】)
溝部15bに嵌合されたリング19と、(同【0013】)
第2のスペーサ17の下端面とスフィスナ21の裏面との間に介挿されたバネ18であって、ピン15を介してヒートシンク14を付勢し回路基板10側へ押しつける役目をしている4個のバネ18と、(【0014】、上記b)を備え、
ピン15は、バネ18の内側を貫通するように設けられている(上記b)
LSI11等の電子部品とその放熱装置とを合わせた装置。(上記c)」
イ 周知技術について
(ア)周知文献1の記載
当審で新たに引用する特開2009-212236号公報(以下「周知文献1」という。)には、以下の記載がある。
「【0033】
回路基板10は、樹脂やセラミックなどからなる絶縁基材に、電極としてのランドを含む配線や配線間を接続するビアホール等(図示略)が形成された平面略矩形状の配線基板11と、この配線基板11の表面11a及び裏面11bに実装されたマイコン、パワートランジスタ、抵抗、コンデンサ、コネクタ等の電子部品12を有している。図1に示すように、パワートランジスタなどの過度に発熱する発熱部品12aは、回路基板10(配線基板11)の表面11a上のみに、例えばはんだ13を介して実装されている。また、表面11a上には、発熱部品12aとともに、発熱部品12aよりも表面11aからの高さが低いチップコンデンサなどの低背部品12bが実装されている。すなわち、回路基板10(配線基板11)の表面11aに実装された電子部品12のうち、発熱部品12aが最も背の高い部品となっている。そして、回路基板10(配線基板11)の裏面11b上には、発熱部品12aを除く電子部品12が実装されている。本実施形態では、裏面11b上に、発熱部品12aよりも背の高い高背部品であるアルミ電解コンデンサ12c、QFP12d、BGA12e、コネクタ12fなどが実装されている。
【0034】
筐体20は、回路基板10の厚さ方向(板厚方向)に分割された2つの筐体構成部材を組み付けてなり、筐体構成部材として、回路基板10の表面11a(発熱部品12aの実装面)側に配置される上ケース30と、回路基板10の裏面11b側に配置される下ケース40とを有している。上ケース30及び下ケース40は、例えばアルミダイカスト、プレス加工、樹脂成形などによってそれぞれ形成されており、その形態としては、互いに組み付けた状態で内部空間21を構成し、該内部空間21に回路基板10を収容できるものであれば良い。(以下省略)」
「【0036】
また、上ケース30には、少なくとも一部が弾性変形する支持部材50が、内面30b側(内部空間21内)において、回路基板10の裏面11b側における平面略矩形状の複数辺を跨ぐように固定されている。そして、回路基板10は、上ケース30の内面30bと表面11aが対向するように支持部材50と上ケース30の内面30bとの間に配置され、支持部材50の弾性変形の復元力により、上ケース30の内面30bに押し付けられた状態で保持されている。また、これにより、回路基板10の表面11a側に実装された電子部品12のうち、高背部品である発熱部品12aの上面(基板対向面の裏面)が、シリコンゲルなどの柔軟性を有する(粘弾性が低い)熱伝導部材14を介して、上ケース30の内面に接している。すなわち、発熱部品12aが、上ケース30と熱的に接続されている。」
「【0044】
このように、本実施形態に係る電子制御装置100(電子装置)及びその製造方法によれば、全体が低弾性体からなる帯状の支持部材50の弾性変形の復元力により、回路基板10を上ケース30の内面30bに押し付けることができる。また、回路基板10の表面11a上には、電子部品12として、発熱部品12aと低背部品12bのみが実装されている。したがって、支持部材50の復元力により、発熱部品12aと上ケース30との熱的な接続状態を確保し、放熱性を向上することができる。また、支持部材50は、その全てが筐体20の内部空間21に配置されるので、内部空間21が防水空間とされる防水構造の電子制御装置100にも好適である。」
「【図1】
[図:0001410981000003.jpg]
」
(イ)周知文献2の記載
当審で新たに引用する特開2015-124740号公報(以下「周知文献2」という。)には、以下の記載がある。
「【0038】
プリント基板4は、圧縮機1を可変速制御するインバータ回路等の制御回路が設けられており、この実施の形態では特に一方の面にコイルやコンデンサ等の電子部品10を装着するとともに他方の面にIPM(インテリジェントパワーモジュール)等の通電によって発熱する半導体素子11を装着して構成されている。さらに上記半導体素子11は通電によって発熱する個々の半導体素子11a、11bを重ね合わせてプリント基板4に装着してある。そして、このように構成された前記プリント基板4は前記半導体素子11を装着した側の面が収納ボックス3の開口部5に面するように配置され、半導体素子11実装側が基板取付け穴7aと基板固定用ネジ8で固定された側と反対側であるゴムブッシュ9側に位置している。なお、半導体素子11aはIPM、半導体素子11bはインバータ電源の平滑回路の整流用ダイオードである。」
「【0040】
蓋14は、プレス加工された熱伝導率の高い金属板、例えばアルミ合金製のアルミ板で構成されており(以下、実施形態の説明ではアルミ蓋板14と称す)、前記プリント基板4の半導体素子11と対向する部分に良熱伝導性のアルミ合金製平板が装着されてヒートシンク部15を一体形成されている。そして前記ヒートシンク部15が絶縁シート16を介して前記プリント基板4の半導体素子11に密接、すなわち熱的接触している。」
「【0048】
以上のようにして組み立てられた圧縮機用電子回路装置は、通電され駆動した際に半導体素子11が発熱するが、この発熱は半導体素子11からアルミ蓋14のヒートシンク部15に直接熱伝導し、アルミ蓋板14の全面に拡散して収納ボックス3の外部へと効率よく放熱される。したがって、半導体素子11の温度が過度に上昇することはなく、半導体素子11の温度を低減し、圧縮機用電子回路装置の信頼性を向上することができる。」
「【0053】
さらにまた、この実施の形態では、上記プリント基板4はコイルやコンデンサ等の電子部品10を装着した面と反対側の面に半導体素子11を装着して構成しているから、半導体素子11を電子部品装着面と同じ面に装着した場合に必要となる構成、すなわち従来例でも示したようにプリント基板にミニ基板を取り付けてこれに半導体素子を装着することによって各電子部品よりも半導体素子の背丈を高くするような複雑な構成を採用する必要もなくなり、特殊構造のヒートシンク専用部材はもちろんミニ基板等の部品も不要となり、組み立て工数の削減とコストダウンを大きく前進させることができる。(以下省略)」
「【図3】
[図:0001410981000004.jpg]
」
(ウ)周知文献1及び周知文献2に記載された周知技術
a 周知文献1(上記(ア)の【0033】)の「マイコン、パワートランジスタ、抵抗、コンデンサ、コネクタ等の電子部品12」及び「パワートランジスタなどの過度に発熱する発熱部品12a」の記載から、発熱部品12aは電子部品12といえる。
また、周知文献1(同【0034】、【0036】)に記載された、例えば、アルミダイカストによって形成された上ケース30は、発熱部品12aと熱的に接続されているから、放熱部品といえる。
b 周知文献2(上記(イ)の【0038】)に記載された「IPM(インテリジェントパワーモジュール)等の通電によって発熱する半導体素子11」は、電子部品といえる。
また、周知文献2(同【0048】)の「通電され駆動した際に半導体素子11が発熱するが、この発熱は半導体素子11からアルミ蓋14のヒートシンク部15に直接熱伝導し、アルミ蓋板14の全面に拡散して収納ボックス3の外部へと効率よく放熱される。」の記載から、アルミ蓋板14は、半導体素子11が発熱した熱を放熱する放熱部品といえる。
さらに、周知文献2(同【0053】)の「上記プリント基板4はコイルやコンデンサ等の電子部品10を装着した面と反対側の面に半導体素子11を装着して構成しているから、」「従来例でも示したようにプリント基板にミニ基板を取り付けてこれに半導体素子を装着することによって各電子部品よりも半導体素子の背丈を高くするような複雑な構成を採用する必要もなくなり」の記載から、基板の半導体素子11を装着する面と反対側の面に装着される「コイルやコンデンサ等の電子部品10」は、半導体素子11より背丈の高い電子部品といえる。
c 上記a及びbを踏まえると、周知文献1の上記(ア)及び周知文献2の上記(イ)に記載されているように、「発熱部品で発生した熱を効率よく放熱するために、電子部品のうちの発熱部品は、回路基板の一方の面に固定されるとともに放熱部品と熱的に接続され、電子部品のうちの発熱部品より高背の電子部品は、回路基板の他方の面に固定されること。」(以下「周知技術」という。)は、周知の技術である。
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「LSI11等の電子部品を実装する回路基板10」は、電子部品が実装、すなわち搭載されるものである点で、本件補正発明の「電子部品」が「搭載される」「基板」に相当する。
また、引用発明の「回路基板10」に形成された「4ヵ所」の「貫通穴10a」は、本件補正発明の「基板に形成される複数の孔」に相当する。
b 引用発明の「それぞれその頭部15aがヒートシンク14側に位置するようにして、取り付け穴14a、第1のスペーサ16、貫通穴10aおよび貫通穴21aを貫通するように設けられて」いる「4本のピン15」は、「4本のピン15」がそれぞれ回路基板10の貫通孔10aを貫通するものである点で、本件補正発明の「基板に形成される複数の孔をそれぞれ貫通する複数のスペーサ」に相当する。
c 引用発明の「熱を空気中に放熱するヒートシンク14」は、本件補正発明の「ヒートシンク」に相当する。
d 引用発明は、「LSI11」が「回路基板10」と接続され、「プレート12」は、「LSI11」の「LSIケース11aの表面全体に密着するように取り付けられ」、「ヒートシンク14」は、「伝熱シート13を介してプレート12に取り付けられ」ているから、「プレート12」は、「回路基板10」と「ヒートシンク14」との間に配置されているといえる。さらに、引用発明の「プレート12」は、「熱伝導率が高い材料から構成され」ており、LSI11で発生した熱をヒートシンク14に伝熱するものである。
そうすると、引用発明の「プレート12」は、本件補正発明の「前記基板と前記ヒートシンクとの間に配置される伝熱部品」に相当する。
e 本件補正発明の「前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持される複数の弾性体」について、本願明細書には、「複数の第2スペーサ32は、ねじ34がヒートシンク3のねじ孔に締結されることにより、ヒートシンク3に固定されている。」(発明の詳細な説明の【0017】)、及び、「複数の圧縮コイルばね38のうちのある第2スペーサに対応する圧縮コイルばねは、その第2スペーサがコイルの内側を貫通するように配置されている。」(同【0019】)と記載されている。これらの記載によれば、本件補正発明の「前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持される複数の弾性体」は、複数のスペーサがヒートシンクに固定され、それぞれのスペーサが弾性体の内側を貫通するように配置されて、スペーサに支持されるもの、すなわち、ヒートシンクに固定された複数のスペーサにそれぞれ支持されるものといえる。
一方、引用発明は、「4本のピン15」に対応して「4個のバネ18」があるところ、ピン15が、「バネ18の内側を貫通するように設けられ」ており、また、ピン15は、「その頭部15aがヒートシンク14側に位置するように」され、バネ18が「ピン15を介してヒートシンク14を付勢し回路基板10側へ押しつける」ことで、ヒートシンク14に固定されているといえる。そうすると、引用発明の「4個のバネ18」は、それぞれヒートシンク14に固定された4本のピン15に内側を貫通するように配置されて、4本のピン15に支持されるもの、すなわち、ヒートシンクに固定された4本のピン15にそれぞれ支持されるものといえる。
以上によれば、引用発明の「4個のバネ18」は、本件補正発明の「前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持される複数の弾性体」に相当するといえる。
f 引用発明の「LSI11等の電子部品を実装する回路基板10」に実装される「LSI11」は電子部品である。また、引用発明の「ヒートシンク14」は「LSI11により発生された熱を空気中に放熱する」ものであるから、「LSI11」は発熱部品といえる。
そうすると、引用発明の「LSI11」と、本件補正発明の「前記基板に搭載される複数の電子部品のうちの発熱部品」とは、「前記基板に搭載される」「電子部品のうちの発熱部品」である点で共通する。
また、上記dの検討を参照すると、引用発明は、「回路基板10」からみて、「回路基板10」、「LSI11」、「プレート12」及び「ヒートシンク14」の順に配置されて、「回路基板10」に接続されているから、LSI11は、回路基板10のヒートシンク14に向く面に配置され、かつ、回路基板10とプレート12との間に配置されていることは明らかであり、また、回路基板10のヒートシンク14に向く面は、LSI11に対向する面である。そして、引用発明の前記回路基板10のヒートシンク14に向く面は、本件補正発明の「前記基板のうちの前記ヒートシンクに向く第1面」に相当する。
そうすると、引用発明の「LSI11」と、本件補正発明の「発熱部品」とは、「前記基板のうちの前記ヒートシンクに向く第1面が前記発熱部品に対向するように前記基板と前記伝熱部品との間に配置されて前記基板に固定され」ている点で共通する。
g 引用発明の「4個のバネ18」は、「第2のスペーサ17」を介して「ピン15の先端部分」に形成された「溝部15bに嵌合されたリング19」を付勢することで、「ピン15を介してヒートシンク14を付勢し回路基板10側へ押しつける役目をしている」ものである一方、「4個のバネ18」は、その反作用として「回路基板10の裏面に当接するようにして設けられた板状のスフィナ21」を介して「回路基板10」を付勢する、すなわち「回路基板10」に弾性力を与えるものである。そして、「ヒートシンク14を付勢し回路基板側10へ押しつける」ことで、ヒートシンク14と回路基板10との間に配置された「LSI11」と「プレート12」は、互いに接触する方向に付勢されるものといえる。
そうすると、引用発明の「4個のバネ18」と、本件補正発明の「前記複数の弾性体」とは、「前記発熱部品が前記伝熱部品に接触するように、前記基板に弾性力を与え」るものである点で共通する。
h 引用発明の「LSI11等の電子部品とその放熱装置とを合わせた装置」は、LSI11等の電子部品により制御される電子装置の一部といえるから、上記a~gの各構成を有する点で、本件補正発明の「電子機器」に相当する。
i 上記a~hによれば、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点及び相違点1を有する。
[一致点]
「基板に形成される複数の孔をそれぞれ貫通する複数のスペーサと、
ヒートシンクと、
前記基板と前記ヒートシンクとの間に配置される伝熱部品と、
前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持される複数の弾性体とを備え、
前記基板に搭載される電子部品のうちの発熱部品は、前記基板のうちの前記ヒートシンクに向く第1面が前記発熱部品に対向するように前記基板と前記伝熱部品との間に配置されて前記基板に固定され、
前記複数の弾性体は、前記発熱部品が前記伝熱部品に接触するように、前記基板に弾性力を与える
電子機器。」
[相違点1]
本件補正発明では、基板に複数の電子部品が搭載されるものであり、「前記複数の電子部品のうちの前記発熱部品と異なる他の電子部品は、前記発熱部品の高さより高い電子部品を含み、前記基板と前記ヒートシンクとの間に配置されないで、前記基板のうちの前記第1面の裏側の第2面が前記他の電子部品に対向するように配置されて前記基板に固定される」ものであるのに対し、引用発明は、LSI11以外の電子部品について特定されておらず、またLSI11以外の電子部品が回路基板10にどのように固定されるかについても特定されていない点。
(4)判断
上記相違点1について検討する。
まず、相違点1に係る本件補正発明の「前記複数の電子部品のうちの前記発熱部品と異なる他の電子部品は、前記発熱部品の高さより高い電子部品を含み、前記基板と前記ヒートシンクとの間に配置されないで、前記基板のうちの前記第1面の裏側の第2面が前記他の電子部品に対向するように配置されて前記基板に固定される」ことは、請求項1の他の記載も考慮すれば、前記複数の電子部品のうちの前記発熱部品と異なる他の電子部品は、前記発熱部品の高さより高い電子部品を含み、前記基板と前記ヒートシンクとの間に配置されないで、前記基板のうちの発熱部品が固定される第1面の裏側の第2面に配置されて前記基板に固定されることを意味すると解される。
ここで、上記(2)イ(ウ)で示したとおり、周知文献1及び周知文献2には、「発熱部品で発生した熱を効率よく放熱するために、電子部品のうちの発熱部品は、回路基板の一方の面に固定されるとともに放熱部品と熱的に接続され、電子部品のうちの発熱部品より高背の電子部品は、回路基板の他方の面に固定されること。」という周知技術が記載されており、「発熱部品で発生した熱を効率よく放熱する」ことは周知の技術課題であるといえる。
そして、引用発明の「LSI11等の電子部品とその放熱装置とを合わせた装置」は、発熱部品である「LSI11」以外の電子部品について特定されていないが、当該装置を構成する上で、発熱部品である「LSI11」以外の電子部品も必要であることは明らかである。
そうすると、引用発明の回路基板10に発熱部品である「LSI11」以外の電子部品を固定するに際し、発熱部品で発生した熱を効率よく放熱するという周知の技術課題を解決するために上記周知技術を採用し、電子部品のうちの発熱部品より高背の電子部品を、回路基板の発熱部品が固定されている面とは反対側の面に配置して固定すること(この場合、発熱部品より高背の電子部品は、回路基板10とヒートシンク14との間に配置されないことは、明らかである。)で、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、その発明の技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到し得ることである。
(5)請求人の主張について
請求人は、令和5年5月9日に提出した審判請求書において、
「 一方、引用文献1~3には、基板に搭載される複数の電子部品の高さについて記載がなく、基板に搭載される複数の電子部品が発熱部品の高さより高い電子部品を含んでいるときに、どのようにすれば、伝熱部品の高さを低く形成することができるのかに関して記載がありません。このため、引用文献1~3のいずれにも「基板に搭載される複数の電子部品のうちの発熱部品が、基板のヒートシンクの側に配置され、発熱部品と異なる他の電子部品が、基板のヒートシンクの側に配置されないで基板の発熱部品と反対側に配置され、発熱部品の高さより高い電子部品を含んでいる」構成に対応する構成について開示も示唆もされておりません。したがって、補正後の請求項1に記載の発明は、引用文献1~2に基づいて論理的に導き出すことはできないものであります。補正後の請求項2~4が補正後の請求項1を引用していることから、補正後の請求項2~4の発明は、引用文献1~3に基づいて論理的に導き出すことはできないものであります。」(審判請求書第5頁下から5行目から第6頁第7行)
と主張するが、請求人が、原査定で引用された引用文献1~3に記載されていないとする「基板に搭載される複数の電子部品のうちの発熱部品が、基板のヒートシンクの側に配置され、発熱部品と異なる他の電子部品が、基板のヒートシンクの側に配置されないで基板の発熱部品と反対側に配置され、発熱部品の高さより高い電子部品を含んでいる」構成は、上記(2)イ(ウ)のとおり、周知文献1及び周知文献2に記載されている周知技術であって、当該構成についての判断は、上記(4)で検討したとおりである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(6)小括
よって、本件補正発明は、引用発明並びに周知文献1及び周知文献2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年10月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項によって特定される、上記第2の[理由]1(2)に記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶理由は、この出願の請求項1~4に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
・請求項1、2に対して引用文献等1
・請求項1、4に対して引用文献等2
・請求項3に対して引用文献等1、3
<引用文献等一覧>
1.特開平11-163232号公報
2.特開2011-171526号公報
3.特開2014-140034号公報
3 引用文献
原査定の拒絶理由で引用された引用文献1の記載及び引用発明は、それぞれ上記第2の[理由]2(2)アの(ア)及び(イ)に記載したとおりである。
4 対比
本願発明と引用発明とを、本件補正発明と引用発明との対比(上記第2の[理由]2(3))を参照して対比する。
(1)上記第2の[理由]2(3)a、bの検討を参照すると、引用発明の「4本のピン15」と本願発明の「複数のスペーサ」とは、「発熱部品」「が搭載される基板に形成される複数の孔をそれぞれ貫通する複数のスペーサ」である点で共通する。
(2)同cの検討を参照すると、引用発明の「ヒートシンク14」は、本願発明の「ヒートシンク」に相当する。
(3)同d、fの検討を参照すると、引用発明の「プレート12」は、発熱部品であるLSI11とヒートシンク14との間に配置されているから、引用発明の「プレート12」と本願発明の「伝熱部品」とは、「前記発熱部品と前記ヒートシンクとの間に配置される」ものである点で共通する。
(4)同e、gの検討によれば、引用発明の「4個のバネ18」と本願発明の「複数の弾性体」とは、「前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持され、前記発熱部品が前記伝熱部品に接触するように、前記基板に弾性力を与える」ものである点で共通する。
(5)同fの検討を参照すると、引用発明の「LSI11」と本願発明の「発熱部品」とは、「前記基板のうちの前記第1面に対向して前記基板に固定され」るものである点で共通する。
(6)同hの検討と同様に、引用発明の「LSI11等の電子部品とその放熱装置とを合わせた装置」は、LSI11等の電子部品により制御される電子装置の一部といえるから、上記(1)~(5)の各構成を有する点で、本願発明の「電子機器」に相当する。
(7)上記(1)~(6)によれば、本願発明と引用発明とは、以下の一致点及び相違点2を有する。
[一致点]
「 発熱部品が搭載される基板に形成される複数の孔をそれぞれ貫通する複数のスペーサと、
ヒートシンクと、
前記発熱部品と前記ヒートシンクとの間に配置される伝熱部品と、
前記複数のスペーサを介して前記ヒートシンクにそれぞれ支持され、前記発熱部品が前記伝熱部品に接触するように、前記基板に弾性力を与える複数の弾性体とを備え、
前記発熱部品は、前記基板のうちの第1面に対向して前記基板に固定される、
電子機器。」
[相違点2]
本願発明では、基板に複数の電子部品が搭載されるものであり、「前記複数の電子部品は、前記基板のうちの前記第1面の裏側の第2面に対向して前記基板に固定される」ものであるのに対し、引用発明は、LSI11以外の電子部品について特定されておらず、またLSI11以外の電子部品が回路基板10にどのように固定されるかについても特定されていない点。
5 判断
上記相違点2について検討する。
引用発明の「LSI11等の電子部品とその放熱装置とを合わせた装置」は、発熱部品である「LSI11」以外の電子部品について特定されていないが、当該装置を構成する上で、発熱部品である「LSI11」以外の電子部品も必要であることは明らかである。
そして、電子部品を実装する回路基板の技術分野において、回路基板の発熱部品を実装する面と反対側の面に電子部品を実装することは、例えば周知文献1(上記第2の[理由]2(2)イ(ア))及び周知文献2(同(イ))に記載されている(また、実願平5-6054号(実開平6-60192号)のCD-ROMの段落0007に「電子装置2は表面に非発熱性または発熱が少ない電子部品3a、3bなどが実装され、裏面にトランジスタのような発熱性の電子部品4が実装されてなる基板5からなり・・・」と、特開2001-210985号公報の要約に「回路基板4の上側の面には、低耐熱素子6、8が実装され、この反対側の面には、パワートランジスタ10が実装されている。」と記載されている。)ように、一般的に行われていることであるから、引用発明において、発熱部品であるLSI11以外の電子部品を、回路基板のLSI11を接続する面とは反対側の面に固定すること、すなわち、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が必要に応じて適宜になし得ることである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-007488