特許拒絶査定不服審判
2024-017912
スピンする反射性基板の分析のためのハードウェア改善及び方法
- 審判番号
- 2024-017912
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-541622
- 請求日
- 2024年11月08日
- 審決日
- 2026年03月09日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東京エレクトロン株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
- 【請求人】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
- 審判長/審判官
- 審判長 波多江 進
- 審判官 堀井 康司
- 審判官 東松 修太郎
- 分類
- P18 .113-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-541622「スピンする反射性基板の分析のためのハードウェア改善及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和3年7月15日国際公開、WO2021/141648、令和5年3月8日国内公表、特表2023-509479〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)9月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年1月6日、米国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年 7月 5日 :翻訳文の提出
令和6年 2月22日付け:拒絶理由通知書
同年 5月14日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月 2日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月 9日 :原査定の謄本の送達)
同年11月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
以下、令和2年1月6日を「優先日」という。
第2 令和6年11月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年11月8日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和6年11月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年5月14日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「【請求項1】
流体分注システムの1つ以上の特性を監視する方法であって、前記方法は、
前記流体分注システム内にチャックを提供するステップであって、前記チャックはスピンするように構成されている、ステップと、
前記流体分注システム内に基板を提供するステップと、
第1の毎分回転数で前記チャックをスピンさせるステップと、
光源を提供するステップと、
光学センサを提供するステップであって、前記光学センサは、前記基板で反射された前記光源からの光を受光し、前記光学センサは、受光した光を、前記光学センサのデータ取得フレームレートである第1のサンプリングレートでサンプリングする、ステップと、
前記第1の毎分回転数と前記第1のサンプリングレートとを同期させるステップと、
前記光学センサからデータを取得して、前記基板上に分注された流体の状態を監視するステップと、を含む
方法。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】
流体分注システムの1つ以上の特性を監視する方法であって、前記方法は、
前記流体分注システム内にチャックを提供するステップであって、前記チャックはスピンするように構成されている、ステップと、
前記流体分注システム内に基板を提供するステップと、
第1の毎分回転数で前記チャックをスピンさせるステップと、
連続光を発する光源を提供するステップと、
光学センサを提供するステップであって、前記光学センサは、前記基板で反射された前記光源からの光を受光し、前記光学センサは、受光した光を、前記光学センサのデータ取得フレームレートである第1のサンプリングレートでサンプリングする、ステップと、
前記第1の毎分回転数と前記第1のサンプリングレートとを同期させるステップと、
前記光学センサからデータを取得して、前記基板上に分注された流体の状態を監視するステップと、を含む
方法。」
2 本件補正の目的
本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「光源」を「連続光を発する」ものに限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成X、X′と構成Aから構成Gまでに分説する。
<本件補正発明の分説>
X 流体分注システムの1つ以上の特性を監視する方法であって、前記方法は、
A 前記流体分注システム内にチャックを提供するステップであって、前記チャックはスピンするように構成されている、ステップと、
B 前記流体分注システム内に基板を提供するステップと、
C 第1の毎分回転数で前記チャックをスピンさせるステップと、
D 連続光を発する光源を提供するステップと、
E 光学センサを提供するステップであって、前記光学センサは、前記基板で反射された前記光源からの光を受光し、前記光学センサは、受光した光を、前記光学センサのデータ取得フレームレートである第1のサンプリングレートでサンプリングする、ステップと、
F 前記第1の毎分回転数と前記第1のサンプリングレートとを同期させるステップと、
G 前記光学センサからデータを取得して、前記基板上に分注された流体の状態を監視するステップと、を含む
X′方法。
(2) 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である米国特許出願公開第2019/0287793号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、当合議体により、後記(イ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。また、引用文献1の日本語ファミリー文献である特表2021-518658号公報も参考にしつつ当合議体で作成した翻訳を括弧内に示した。
「[0011] FIG. 1 is a cross-sectional schematic view of an example dispense system according to embodiments herein.
([0011] FIG.1は、本明細書における実施形態による例示的な分配システムの概略断面図である。)
[0012] Techniques herein include methods and systems of tuning film thickness of a dispensed resist. Techniques herein include controlling a final thickness of a resist film by manipulating substrate spin speed, viscosity of photoresist, amount of solids within a photoresist, and solvent evaporation rates in real time from a dispense module. This includes mixing a higher-concentration photoresist with a dilution fluid proximate to a dispense nozzle just before deposition on a substrate.
([0012] 本明細書における技法は、分配されたレジストの膜厚を調整する方法及びシステムを含む。本明細書における技法は、基板の回転速度、フォトレジストの粘度、フォトレジスト中の固形物の量、及び溶媒の蒸発速度を分配モジュールからリアルタイムで操作することにより、レジスト膜の最終的な厚さを制御することを含む。これは、基板上に堆積させる直前に、高濃度のフォトレジストを希釈液と分配ノズルの近くで混合することを含む。)」
「[0018] Methods herein can include calculating an amount of dilution fluid to mix with the photoresist fluid to result in the diluted photoresist dispensed forming a photoresist film having the specified film thickness. In other words, enough solvent or sufficient solvent is added to the concentrated photoresist to result is a desired film thickness. Spin speed of the substrate can be adjusted to result in a deposited photoresist film having the specified film thickness. A final film thickness can be a function of both photoresist thickness and substrate spin speed, so both can be controlled to result in a desired thickness. The amount of dilution fluid added is based on film thickness measurements from prior film depositions and dilution amounts.
([0018] 本明細書における方法は、分配された希釈フォトレジストが指定膜厚を有するフォトレジストフィルムを形成するように、フォトレジスト液と混合する希釈液の量を計算することを含み得る。換言すれば、濃縮されたフォトレジストに所望の膜厚となるのに足りる溶媒又は十分な溶媒を加える。基板の回転速度は、指定膜厚を有する堆積されたフォトレジストフィルムを得るように調整され得る。最終的な膜厚は、フォトレジストの厚さと基板の回転速度との両方に関係し得るため、両方を制御して所望の厚さが得られる。希釈液の添加量は、以前のフィルム堆積からの膜厚測定及び希釈量に基づく。)」
「[0019] The amount of dilution fluid added can be based on real time feedback of photoresist film progression across the substrate. For example, real time feedback of photoresist film progression can be obtained by analysis of stroboscopic images of the surface of the substrate.
([0019] 希釈液の添加量は、基板にわたるフォトレジストフィルムの進行のリアルタイムフィードバックに基づき得る。例えば、フォトレジストフィルムの進行のリアルタイムフィードバックは、基板の面のストロボ画像を分析することにより取得され得る。)」
「[0031] Referring now to FIG. 1, a cross-sectional schematic is illustrated showing an example apparatus for executing methods described herein. System 100 is a system for dispensing liquid on a substrate 105. Substrate holder 122 is configured to hold substrate 105 and rotate substrate 105 about an axis. Motor 123 can be used to rotate the substrate holder 122 at a selectable rotational velocity. A dispense unit 118-A and 118-B is configured to dispense liquid on a working surface of the substrate 105 while the substrate 105 is being rotated by the substrate holder 122. Dispense units 118-A and 118-B can be positioned directly over a substrate holder, or can be positioned at another location. If positioned away from the substrate holder, than conduits 112-A and 112-B can be used to deliver fluid to mixing chamber 114. Mixed fluid can exit through nozzle 111. FIG. 1 illustrates mixed fluid 117 (diluted fluid) being dispensed onto a working surface of substrate 105. Collection system 127 can then be used to catch or collect excess mixed fluid 117 that spins off substrate 105 during a given dispense operation.
([0031] 次にFIG.1を参照すると、本明細書で説明される方法を実行するための例示的な装置を示す概略断面図が示されている。システム100は、基板105上に液体を分配するためのシステムである。基板ホルダ122は、基板105を保持し、且つ軸の周りで基板105を回転させるように構成される。モータ123を使用して、基板ホルダ122を選択可能な回転速度で回転させることができる。基板105が基板ホルダ122によって回転されている間、分配ユニット118-A及び118-Bが、基板105の作業面上に液体を分配するように構成される。分配ユニット118-A及び118-Bは、基板ホルダの直上に配置することができるか又は別の場所に配置することができる。基板ホルダから離れて配置される場合、導管112-A及び112-Bを使用して流体を混合チャンバ114に送達することができる。混合流体は、ノズル111を通って出ることができる。FIG.1は、混合流体117(希釈液)が基板105の作業面上に分配されていることを示す。次いで、所与の分配作業中、基板105から振り落とされる過度の混合流体117を捕捉又は収集するために収集システム127が使用され得る。)
[0032] Dispense components can include nozzle arm 113 as well as support member 115, which can be used to move a position of nozzle 111 across the substrate 105, or to be moved away from the substrate holder 122 to a resting location, such as for rest upon completion of dispense operations. Dispense unit 118-A and 118-B can have one or more valves in communication with system controller 160. Image capturing device 130 can include a single camera or multiple cameras. Stroboscope 140 can be used to make the substrate appear slow moving or stationary to better see liquid progression across the substrate. Processor 150 can collect captured images for analysis and transmit data and/or instructions to system controller 160
([0032] 分配構成要素は、ノズルアーム113及び支持部材115を含むことができ、これを使用して、基板105にわたってノズル111の位置を移動させるか、又は分配作業の完了時点での休止などのために、基板ホルダ122から離して静止位置に移動させることができる。分配ユニット118-A及び118-Bは、システムコントローラ160と連通する1つ以上のバルブを有することができる。画像取込みデバイス130は、単一のカメラ又は複数のカメラを含むことができる。ストロボスコープ140を使用して、基板にわたる液体の進行をより良く見るために基板が低速で移動しているか又は静止しているように見えるようにすることができる。プロセッサ150は、分析のために取り込んだ画像を収集し、データ及び/又は命令をシステムコントローラ160に送信できる。)」
「
[図:0001438785000001.jpg]
」
(イ) 引用発明の認定
前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項から、引用文献1には、実施形態による分配されたレジストの膜厚を調整する方法に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「 分配されたレジストの膜厚を調整する方法であって、([0012])
方法は、分配された希釈フォトレジストが指定膜厚を有するフォトレジストフィルムを形成するように、フォトレジスト液と混合する希釈液の量を計算することを含み、([0018])
希釈液の添加量は、基板にわたるフォトレジストフィルムの進行のリアルタイムフィードバックに基づき、フォトレジストフィルムの進行のリアルタイムフィードバックは、基板の面のストロボ画像を分析することにより取得され、([0019])
方法を実行するためのシステム100は、基板105上に液体を分配するためのシステムであり、基板ホルダ122は、基板105を保持し、且つ軸の周りで基板105を回転させるように構成され、モータ123を使用して、基板ホルダ122を選択可能な回転速度で回転させることができ、基板105が基板ホルダ122によって回転されている間、分配ユニット118-A及び118-Bが、基板105の作業面上に液体を分配するように構成され、([0031])
画像取込みデバイス130は、単一のカメラ又は複数のカメラを含み、ストロボスコープ140を使用して、基板にわたる液体の進行をより良く見るために基板が静止しているように見えるようにすることができ、プロセッサ150は、分析のために取り込んだ画像を収集する、([0032])
方法」
イ 引用文献4に記載された事項及び引用文献4技術事項の認定
(ア) 引用文献4に記載された事項
本審決において新たに引用する、優先日前に発行された文献である実願昭50-178902号(実開昭52-91134号)のマイクロフィルム(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
a 1ページ13行~2ページ6行、第1図
「 本考案はプロペラの回転翼のキャビテーション等を観測するための回転体観測装置に関する。
従来、実船或は模型のスクリュー、プロペラ等の回転翼のキャビテーションを観測する装置としては、第1図に示すように回転翼例えばスクリュー1の回転軸2に同期信号発生器3を取付け、所定の翼例えば翼1aの回転と同期した信号Sを得、該信号Sを高速充放電ストロボ4に印加して翼1aが所定の回転位置に来たときにその翼1aのみにストロボ4の光を照射し、回転せる翼1aを停止して見えるようにして、スチールカメラ、ムービーカメラまたはビデオカメラ等の光学記録器5或は肉眼等で観測するようにしていた。」
「 第1図
[図:0001438785000002.jpg]
」
b 2ページ7行~5ページ14行、第2図
「 しかしながら、上記観側装置は高速度で連続放電可能なストロボを必要とし、このようなストロボは高価であり且つ大型である。また、かかる装置は暗い所でないと使用することができず、従って、実船の観測は夜間のみに限られ作業能率及び作業条件が非常に悪い。また、模型等による水槽実験を行う場合には実験室を暗くすることが必要であり実験設備費が非常に高価となる。更に、前記ビデオカメラ等で記録した後再生観測時において翼位置(回転角)を記録時とは異なった観測位置に変更することができない等多くの欠点があった。
本考案は上述の欠点を除去する目的でなされたもので、自然光或は普通のライトでスクリュー等の回転体を照明しながらテレビカメラで撮影し、且つ回転軸に取付けた同期信号発生器の同期信号により回転軸と同期させて観測したい位置に翼が来たときのみを録画し、或は観測したい位置のみを再生することにより、更には、同期信号から再生までの時間を変えることにより観測すべき翼の位置(回転角)を任意に変えて観測することが可能な回転体観測装置を提供するものである。
以下本考案を添附図面の一実施例に基いて詳細に説明する。
第2図において、回転体例えばスクリュー1は複数例えば5枚の翼1a~1eを有し、軸2を介して駆動装置(図示せず)に連結されており、所定の回転数で所定方向例えば時計方向に回転駆動されるようになっている。そして、軸2の所定位置に同期信号発生器3が取付けられている。この同期信号発生器3は例えば通常の回転検出器と同様のもので、軸2の所定位置に円板3aが固設されており、この円板3aの円周上且つ前記スクリュー1の所定の翼例えば翼1aと同一直線上の位置に例えば磁石3bがその一方の極例えばN極が外方を向くように固設されており、更に、その磁石3bと離隔対向して検出コイル3cが配設されている。従って、軸2の回転により磁石3bが該検出コイル3cを通過する瞬間、そのコイル3cに電流が誘起される。すなわち、検出コイル3cはスクリュー1が回転して翼1aが所定の回転角に位置したときにパルス状の信号Sを出力する。この信号Sを同期信号Sとして使用する。
照明灯6は所定位置に配設されており前記スクリュー1を照明するものである。尚、スクリュー1の撮影条件が自然光線で充分である場合には照明灯を使用する必要はない。
撮影カメラ例えばビデオカメラ7はスクリュー1の後方所定位置に配設されており、回転させ当該スクリュー1を連続撮影し映像信号eを出力する。従って、この信号eに基いて直接通常の再生表示を行った場合には肉眼で見た場合と全く同様にただスクリュー1が高速で回転しているのが見えるだけであり、各翼の形を見ることは不可能である。そこで、本考案においては、この信号eと前述の同期信号Sとを同期回路8に加え、ビデオカメラ7からの出力信号eをこの同期信号Sが印加されてから一定時間τ1の間(τ1は非常に短い時間である)のみ録画装置例えば磁気録画装置9に記録する。従って、この磁気録画装置9には前記同期信号Sが出力される位置にある翼1aのみが録画されることになる。従って、この磁気録画装置9からの再生出力信号esを表示装置例えばテレビ10で表示すれば、スクリュー1の同じ翼1aが同じ状態になったときに次々に連続して再生され、あたかもスクリュー1が停止しているように見える。尚、この場合、スクリュー1の観測すべき現象はそのままに再生される。」
「 第2図
[図:0001438785000003.jpg]
」
c 7ページ1行~14行
「 尚、本実施例においては回転体としてスクリューを使用した場合について記述したが、これに限らず、プロペラ、或はエンジン、モータ等の回転体一般の観測、記録、研究等に応用することが可能である。
以上説明したように本考案によれば、キャビテーションの観測と記録とを同時に且つ簡単に行うことができ、また、記録後観測したい位置(回転角)を適宜に設定することができる。更に、明るい所で観測することができるために実船実験を昼間行うことができ、また、模型実験の設備が簡単であり作業性、安全性を向上することができる。更に、高速度で充放電可能なストロボを必要とせず非常に経済的である等の優れた効果がある。」
(イ) 引用文献4技術事項の認定
前記(ア)に示した引用文献4の摘記事項から、引用文献4には次の技術事項(以下「引用文献4技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
<引用文献4技術事項>
「 従来、スクリュー、プロペラ等の回転翼のキャビテーションを観測する装置は高速度で連続放電可能なストロボを必要とし、このようなストロボは高価であり、かかる装置は暗い所でないと使用することができないという欠点を除去するために、(1ページ12行~2ページ20行)
自然光或は普通のライトでスクリュー等の回転体を照明しながらテレビカメラで撮影し、且つ回転軸に取付けた同期信号発生器の同期信号により回転軸と同期させて観測したい位置に翼が来たときのみを録画する回転体観測装置を提供し、(2ページ20行~3ページ8行)
ビデオカメラ7からの出力信号をこの同期信号が印加されてから一定時間τ1の間のみ録画装置例えば磁気録画装置9に記録し、従って、この磁気録画装置9には同期信号が出力される位置にある翼のみが録画されることになり、磁気録画装置からの再生出力信号を表示装置で表示すれば、スクリューの同じ翼が同じ状態になったときに次々に連続して再生され、あたかもスクリューが停止しているように見えること。(5ページ2行~13行)」
ウ 引用文献5~7に記載された事項及び技術常識Aの認定
(ア) 引用文献5に記載された事項
本審決において新たに引用する、優先日前に発行された文献である米国特許出願公開第2019/0082112(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。また、引用文献5の日本語ファミリー文献である特表2020-526853号公報も参考にしつつ当合議体で作成した翻訳を括弧内に示した。
「[0027] Initially, in Step 201, a light source within a scene is activated. In one or more embodiments of the invention, the light source is attached to an object in the scene. In one or more embodiments, the light source emits a strobe light, which changes intensity and/or color from time to time. For example, the strobe light emits a free-running light pattern in response to the light source being activated (e.g., turned on). In one or more embodiments, the light source emits a strobe light with a low repetition rate (e.g., 10 hertz, 20 hertz, etc.) comparing to a frame rate of a camera device. In one or more embodiments, the light source emits a strobe light that is synchronized with the frame rate of the camera device. For example, the strobe light may be initiated and/or synchronized based on a trigger signal sent from a tracking controller and/or the camera device.
([0027] 最初に、ステップ201において、シーン内の光源が起動される。本発明の1つまたは複数の実施形態では、光源はシーン内の物体に取り付けられる。1つまたは複数の実施形態では、光源は、強度及び/又は色を時々変化させるストロボ光を放射する。例えば、ストロボ光は、光源が起動されている(例えば、点灯している)ことに応答して自由発振光パターンを放射する。1つ又は複数の実施形態において、光源は、カメラデバイスのフレームレートと比較して低い繰り返し率(例えば、10ヘルツ、20ヘルツなど)でストロボ光を放射する。1つ又は複数の実施形態において、光源は、カメラデバイスのフレームレートと同期したストロボ光を放射する。例えば、ストロボ光は、追跡コントローラ及び/又はカメラデバイスから送信されたトリガー信号に基づいて開始及び/又は同期され得る。)
[0028] In Step 202, a sequence of images of the scene is captured by a camera device. In particular, the object is within the field-of-view (FOV) of the camera lens and appears in the sequence of images. For example, the sequence of images may include or be part of a burst of still images. In another example, the sequence of images may include or be part of a video recording. In one or more embodiments, the sequence of images of the scene is captured while the light source emits the strobe light. In one or more embodiments, the frame rate of the sequence of images is selected based on the duty cycle and/or repetition rate of the light source such that consecutive images (or a pair of images with a particular separation in the sequence) include alternating bright level and dark level, and/or alternating colors from the light source. For example, the light source may be free running and the frame rate is selected based on a pre-determined duty cycle and/or repetition rate of the free running light source. In one or more embodiments, a timer of the camera device is used to control image capture according to the selected frame rate.
([0028] ステップ202において、シーンの画像シーケンスがカメラデバイスによってキャプチャされる。特に、物体は、カメラレンズの視野(FOV)内にあり、かつ画像シーケンス内に現れる。例えば、画像シーケンスは、静止画像のバーストを含むか、又は静止画像のバーストの一部であり得る。別の例では、画像シーケンスはビデオ記録を含むか、又はビデオ記録の一部であり得る。1つ又は複数の実施形態では、シーンの画像シーケンスは、光源がストロボ光を放射する間にキャプチャされる。1つ又は複数の実施形態では、画像シーケンスのフレームレートは、連続画像(又は、シーケンス内の特定の間隔を有する画像のペア)が光源からの交互の明るいレベルと暗いレベル、及び/又は交互の色を含むように、光源のデューティサイクル及び/又は繰り返し率に基づいて選択される。例えば、光源は自由発振であり得、フレームレートは、自由発振光源の所定のデューティサイクル及び/又は繰り返し率に基づいて選択される。1つまたは複数の実施形態において、カメラデバイスのタイマは、選択されたフレームレートに従って画像キャプチャを制御するために使用される。)」
「
[図:0001438785000004.jpg]
(
[図:0001438785000005.jpg]
)」
(イ) 引用文献6に記載された事項
本審決において新たに引用する、優先日前に発行された文献である特許第3215175号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のフローサイトメータでは、各粒子の形態情報(面積、周囲長等)を得ることはできなかった。また、ビデオカメラで撮像した粒子画像を処理することによって、各粒子の吸光量や形態情報を実時間で求めるためには、高価なビデオカメラ及び高性能で高価な専用画像処理装置が必要であった。さらに、ビデオカメラの1フレーム周期(1/30秒)の定間隔でストロボ光を照射して撮像するので、濃度の淡い粒子を効率良くすべての撮像画面にとらえることはできないので、検体処理能力あるいは分析結果の再現性の点で問題があった。」
(ウ) 引用文献7に記載された事項
本審決において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2007-52154号公報(以下「引用文献7」という。)には、次の記載がある。
「【0002】
昨今、固体撮像素子を用いたDSC(ディジタルスチルカメラ)やカメラ付き携帯電話機は、通常の静止画撮影だけでなく、動画撮影にも対応したものが普及している。この種の撮像装置は、一定のフレーム周期信号に応じて複数回の静止画撮影を繰り返し、動画像を得ている。
【0003】
このような動画撮影において、暗所で撮影しようとする場合には、連続発光可能な人工照明が必要となるが、このような人工照明にストロボ装置を用いる場合、動画撮影におけるフレーム周期信号に同期してトリガ回路を駆動し、フレーム毎に閃光放電管の発光を間欠的に繰り返させることにより対応している(例えば特許文献1参照)。」
(エ) 技術常識Aの認定
前記(ア)~(ウ)に示した引用文献5~7の摘記事項に例示されているように、次の技術事項(以下「技術常識A」という。)は、当業者にとって技術常識であったと認められる。
<技術常識A>
「ストロボ光を用いてカメラにより動画又は静止画の連写の撮影をする際に、カメラのフレームレートとストロボ光の発光周期を同期させること。」
(3) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成X、X′の観点
a 構成X、X′は、本件補正発明が「流体分注システムの1つ以上の特性を監視する方法」の発明であることを特定するものである。
b 引用発明の「基板105上に液体を分配するためのシステム100」は、本件補正発明の「流体分注システム」に相当する。
c 引用発明の「フォトレジストフィルムの進行」は、本件補正発明の「流体分注システムの1つ以上の特性」に相当する。
d 引用発明の「分配されたレジストの膜厚を調整する方法」は本件補正発明の「方法」に相当する。そして、引用発明における「分配されたレジストの膜厚を調整する方法」は、「フォトレジストフィルムの進行のリアルタイムフィードバックは、基板の面のストロボ画像を分析することにより取得され[る]」ものであり、前記b、cで説示したことも踏まえると、本件補正発明における「流体分注システムの1つ以上の特性を監視する」ものであるといえる。
e したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「流体分注システムの1つ以上の特性を監視する方法」の発明である点。
(イ) 構成Aの観点
a 構成Aは、「前記流体分注システム内にチャックを提供するステップであって、前記チャックはスピンするように構成されている、ステップ」を含むことである。
b 引用発明の「基板ホルダ122」は、「基板105を保持し、且つ軸の周りで基板105を回転させるように構成され[る]」ものであるから、本件補正発明の「チャック」に相当するとともに、本件補正発明にいう「スピンするように構成されている」ものである。
c 引用発明の「基板ホルダ122」は「システム100」を構成するものであると理解されるから、前記b及び前記(ア)bも踏まえれば、引用発明が、本件補正発明にいう「前記流体分注システム内にチャックを提供するステップ」を含むものであることは明らかである。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記流体分注システム内にチャックを提供するステップであって、前記チャックはスピンするように構成されている、ステップ」を含む点。
(ウ) 構成Bの観点
a 構成Bは、「前記流体分注システム内に基板を提供するステップ」を含むことである。
b 引用発明の「システム100」は、「基板105上に液体を分配するための」ものであることから、引用発明が、本件補正発明にいう「前記流体分注システム内に基板を提供するステップ」を含むものであることは明らかである。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点に.おいて一致する。
「前記流体分注システム内に基板を提供するステップ」を含む点。
(エ) 構成Cの観点
a 構成Cは、「第1の毎分回転数で前記チャックをスピンさせるステップ」を含むことである。
b 引用発明の「回転速度」は本件補正発明の「第1の毎分回転数」に相当し、引用発明における「基板ホルダ122を選択可能な回転速度で回転させる」ことは、本件補正発明における「第1の毎分回転数で前記チャックをスピンさせるステップ」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「第1の毎分回転数で前記チャックをスピンさせるステップ」を含む点。
(オ) 構成Dの観点
a 構成Dは、「連続光を発する光源を提供するステップ」を含むことである。
b 引用発明における「ストロボスコープ140を使用[する]」ことは、本件補正発明の「連続光を発する光源を提供するステップ」と、「光源を提供するステップ」である点で共通する。
一方、「光源」が、本件補正発明は「連続光を発する」ものであるのに対して、引用発明は、「ストロボスコープ140」であり、連続光を発するものではない。
c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Dの観点において次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。
(a) 構成Dの観点での一致点
「光源を提供するステップ」を含む点。
(b) 構成Dの観点での相違点
「光源」が、
本件補正発明は、「連続光を発する」ものであるのに対して、
引用発明は、「ストロボスコープ140」であり、連続光を発するものではない点。
(カ) 構成Eの観点
a 構成Eは、「光学センサを提供するステップであって、前記光学センサは、前記基板で反射された前記光源からの光を受光し、前記光学センサは、受光した光を、前記光学センサのデータ取得フレームレートである第1のサンプリングレートでサンプリングする、ステップ」を含むことである。
b 引用発明の「画像取り込みデバイス130」は、「単一のカメラ又は複数のカメラを含[む]」ものであるから、本件補正発明の「光学センサ」に相当する。
c 引用発明の「画像取り込みデバイス130」は「システム100」を構成するものであると理解されるから、前記b及び前記(ア)bも踏まえれば、引用発明が、本件補正発明にいう「光学センサを提供するステップ」を含むものであることは明らかである。
d 引用発明における「ストロボスコープ140を使用して、基板にわたる液体の進行をより良く見るために基板が静止しているように見えるようにする」ことは、「画像取り込みデバイス130」が含む「単一のカメラ又は複数のカメラ」を使って基板を撮影することを意味することは明らかである。そして、当該撮影が、ストロボスコープによる照明光が基板で反射した光を受光することにより行われることは、技術常識に照らして明らかである。したがって、引用発明の「画像取り込みデバイス130」は、本件補正発明にいう「前記基板で反射された前記光源からの光を受光[する]」ものであるといえる。
e 引用発明の「画像」を「取り込」むことは、本件補正発明の「受光した光を、」「サンプリングする」ことに相当する。また、引用発明の「画像取り込みデバイス130」が「画像」を「取り込」む際に、所定のフレームレートで行われることは、カメラの技術常識に照らして自明であり、当該所定のフレームレートは、本件補正発明の「前記光学センサのデータ取得フレームレートである第1のサンプリングレート」に相当する。そうすると、引用発明の「画像取り込みデバイス130」は、本件補正発明にいう「受光した光を、前記光学センサのデータ取得フレームレートである第1のサンプリングレートでサンプリングする」ものであるといえる。
f したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「光学センサを提供するステップであって、前記光学センサは、前記基板で反射された前記光源からの光を受光し、前記光学センサは、受光した光を、前記光学センサのデータ取得フレームレートである第1のサンプリングレートでサンプリングする、ステップ」を含む点。
(キ) 構成Fの観点
a 構成Fは、「前記第1の毎分回転数と前記第1のサンプリングレートとを同期させるステップ」を含むことである。
b 引用発明は、「ストロボスコープ140を使用して、基板にわたる液体の進行をより良く見るために基板が静止しているように見えるようにする」ものであるが、基板ホルダ122の回転速度と画像取り込みデバイス130のフレームレートの関係は特定されていない。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Fの観点において次の点において相違する。
本件補正発明は、「前記第1の毎分回転数と前記第1のサンプリングレートとを同期させるステップ」を含むのに対して、
引用発明は、「ストロボスコープ140を使用して、基板にわたる液体の進行をより良く見るために基板が静止しているように見えるようにする」ものであるが、基板ホルダ122の回転速度と画像取り込みデバイス130のフレームレートの関係は特定されていない点。
(ク) 構成Gの観点
a 構成Gは、「前記光学センサからデータを取得して、前記基板上に分注された流体の状態を監視するステップ」を含むことである。
b 引用発明は、「分配された希釈フォトレジストが指定膜厚を有するフォトレジストフィルムを形成するように、フォトレジスト液と混合する希釈液の量を計算する」ものであることを踏まえると、引用発明の「フォトレジストフィルムの進行」は、本件補正発明の「前記基板上に分注された流体の状態」に相当するといえる。そして、引用発明における「基板にわたるフォトレジストフィルムの進行のリアルタイムフィードバック」は、本件補正発明の「前記基板上に分注された流体の状態を監視するステップ」に相当する。
c 引用発明の「取り込んだ画像」は、本件補正発明の「データ」に相当する。そして、引用発明における「取り込んだ画像」が、「画像取込みデバイス130」により取り込まれたものであることは明らかであるから、前記(カ)bも踏まえると、引用発明における「分析のために取り込んだ画像を収集[する]」ことは、本件補正発明における「前記光学センサからデータを取得[する]」ことに相当するといえる。
d 引用発明における「フォトレジストフィルムの進行のリアルタイムフィードバック」は、「基板の面のストロボ画像を分析することにより取得され[る]」ものであるから、前記b及びcをまとめると、引用発明は、本件補正発明にいう「前記光学センサからデータを取得して、前記基板上に分注された流体の状態を監視するステップ」を含むものであるといえる。
e したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記光学センサからデータを取得して、前記基板上に分注された流体の状態を監視するステップ」を含む点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「 流体分注システムの1つ以上の特性を監視する方法であって、前記方法は、
前記流体分注システム内にチャックを提供するステップであって、前記チャックはスピンするように構成されている、ステップと、
前記流体分注システム内に基板を提供するステップと、
第1の毎分回転数で前記チャックをスピンさせるステップと、
光源を提供するステップと、
光学センサを提供するステップであって、前記光学センサは、前記基板で反射された前記光源からの光を受光し、前記光学センサは、受光した光を、前記光学センサのデータ取得フレームレートである第1のサンプリングレートでサンプリングする、ステップと、
前記光学センサからデータを取得して、前記基板上に分注された流体の状態を監視するステップと、を含む
方法。」である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
「光源」が、
本件補正発明は、「連続光を発する」ものであるのに対して、
引用発明は、「ストロボスコープ140」であり、連続光を発するものではない点。
b 相違点2
本件補正発明は、「前記第1の毎分回転数と前記第1のサンプリングレートとを同期させるステップ」を含むのに対して、
引用発明は、「ストロボスコープ140を使用して、基板にわたる液体の進行をより良く見るために基板が静止しているように見えるようにする」ものであるが、基板ホルダ122の回転速度と画像取り込みデバイス130のフレームレートの関係は特定されていない点。
(4) 判断
ア 相違点2について
事案に鑑み、まず相違点2を検討する。
引用発明は、「ストロボスコープ140を使用して、基板にわたる液体の進行をより良く見るために基板が静止しているように見えるようにする」ものであるから、当業者であれば、基板ホルダ122の回転周期とストロボスコープ140の発光周期は同期していることを理解できる。そして、前記(2)ウ(エ)で説示したとおり、「ストロボ光を用いてカメラにより動画又は静止画の連写の撮影する際に、カメラのフレームレートとストロボ光の発光周期を同期させること」は技術常識(技術常識A)であるから、当業者であれば、基板ホルダ122の回転周期とストロボスコープ140の発光周期が同期している引用発明は、基板ホルダ122の回転周期と画像取込みデバイス130のフレームレートも同期していることを理解できる。
したがって、相違点2は実質的な相違点ではない。また、仮に相違点2が実質的な相違点であったとしても、相違点2に係る本件補正発明の構成は、技術常識Aに基づいて当業者が容易に想到し得ることにすぎない。
イ 相違点1について
次に、相違点1について検討する。
引用発明は、ストロボスコープ140を使用して基板が静止しているように見えるようにするものであるところ、当業者にとって、ストロボスコープは高価であり暗いところでしか撮影できないという課題は、自明の課題であるといえる。
そうすると、引用発明において、当該自明の課題に基づいて引用文献4技術事項を適用し、ストロボスコープ140を使用することに替えて、自然光或は普通のライトで回転している基板を照明することにより、相違点1に係る本件補正発明の構成に至ることは、当業者であれば容易になし得ることである。
ウ 総合評価
前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1、2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献4技術事項及び技術常識Aに基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1、2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献4技術事項及び技術常識Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張1について
a 請求人の主張1の内容
引用文献1では、ストロボスコープが点灯していないときにブラックアウト画像を定期的に取り込み、その後、プロセッサ150がブラックアウト画像を除外しているから、引用文献1は、基板の回転数と画像取込みデバイス130のサンプリングレートを同期させることについて何ら開示されていない。
b 請求人の主張1についての検討
前記イで説示したとおり、「ストロボ光を用いてカメラにより動画又は静止画の連写の撮影する際に、カメラのフレームレートとストロボ光の発光周期を同期させること」は技術常識(技術常識A)であることを踏まえると、引用発明において、基板ホルダ122の回転周期と画像取込みデバイス130のフレームレートも同期しているといえ、またそのようにすることは当業者が容易になし得たことであることは、前記イで説示したとおりである。
したがって、主張1は採用できない。
(イ) 請求人の主張2について
a 請求人の主張2の内容
引用文献1は、本願の請求項1の「連続光を発する光源」について何ら開示していない。
b 請求人の主張2についての検討
前記(2)イ(イ)で説示した引用文献4技術事項における「自然光或は普通のライト」は、本件補正発明にいう「連続光を発する光源」であるから、前記aにおいて請求人が開示されていないと主張する構成は、引用発明に引用文献4技術事項を適用することにより、当業者が容易に想到し得る構成である。
したがって、主張2は採用できない。
オ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献4技術事項及び技術常識Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反している。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(4)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由である理由2(新規性の欠如)及び理由3(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(新規性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由3(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.米国特許出願公開第2019/0287793号明細書(主たる引用文献)
3 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
各引用文献に記載された事項並びに引用発明及び技術常識Aの認定は、前記第2の3(2)ア及び同ウにおいて示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から「光源」が「連続光を発する」ものであるという限定を省いたものである。
そして、前記第2の3(3)イ(イ)aにおいて認定した相違点1は、本件補正に起因するものであり、本願発明と引用発明の相違点とはならず、また、同bにおいて認定した相違点2は、前記第2の3(4)アで説示したとおり、実質的な相違点ではないから、引用発明は本願発明の構成を全て備えるものである。
したがって、本願発明は、引用発明である。また、本願発明は、引用発明及び技術常識Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえる。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当するため、同項の規定により、特許を受けることができない。また、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-017912