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特許異議申立

2016-700422

原稿供給装置及び画像読取装置

審判番号
2016-700422
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-053661
登録番号
特許第5814165号(P5814165)
請求日
2016年05月13日
審決日
2017年08月23日
公報発行日
2017年11月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社PFU
  • 【権利者代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
  • 【権利者代理人】伊藤 剣太
  • 【権利者代理人】香島 拓也
  • 【異議申立人】東京総合コンサルティング 株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 黒瀬 雅一
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 吉村 尚
分類
P1651.113-YAA(B65H) / P1651.121-YAA(B65H) / P1651.537-YAA(B65H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5814165号発明「原稿供給装置及び画像読取装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5814165号の明細書、及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4-7〕について訂正することを認める。 特許第5814165号の請求項1、4ないし7に係る特許を維持する。 特許第5814165号の請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 特許第5814165号の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成27年10月2日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人東京総合コンサルティング株式会社より請求項1~7に対して特許異議の申立てがされ、平成28年7月6日付けで取消理由が通知され、同年9月6日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年10月25日に特許異議申立人東京総合コンサルティング株式会社から意見書が提出され、同年11月8日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年12月9日に意見書の提出がされ、平成29年1月23日付けで取消理由通知(決定の予告)が通知され、同年3月16日に特許異議申立人東京総合コンサルティング株式会社から上申書が提出され、同年3月24日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年4月25日付けで取消理由通知(決定の予告)が通知され、同年6月22日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年7月18日に特許異議申立人東京総合コンサルティング株式会社から意見書が提出されたものである。 2.訂正の適否 (1)平成29年6月22日付けの訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、の内容は以下のア乃至ツのとおりである。(下線は当審で付した。以下同様。) ア 訂正事項1(請求項1に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項1の記載を「1つの給送軸に伝達された単一の駆動源からの駆動力により回転し、原稿を搬送方向に搬送する複数のローラを有する給送ローラと、 前記給送ローラに接圧してニップを形成し、搬送対象の原稿以外で前記ニップに進入した原稿が当該ニップに保持されるよう、所定の搬送負荷を前記給送ローラとの間に進入した前記原稿に作用させるブレーキ手段と、 前記給送ローラの搬送方向における下流側に配置された搬送ローラと、 を備える原稿供給装置において、 前記給送ローラが有するローラのそれぞれと前記給送軸との間には、前記ローラが前記原稿を搬送方向に搬送する搬送回転方向に回転することを許容し、かつ前記搬送回転方向と逆回転方向への回転を規制する回転規制手段が個別に配置され、 前記駆動源により、前記給送ローラの周速度を前記搬送ローラの周速度より相対的に遅く制御可能とされ、前記給送ローラと前記搬送ローラとによって前記原稿を前記搬送方向に搬送しているときに、前記給送ローラの前記複数のローラにおける一のローラと前記ブレーキ手段との間から前記原稿が前記搬送方向に抜けた場合、当該一のローラが停止すると共に、前記給送ローラの前記複数のローラにおける他のローラが回転を続けることで前記原稿を搬送方向に搬送することを特徴とする原稿供給装置。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4~7も同様に訂正する)。 訂正事項1における各訂正の内容をそれぞれ、以下の(ア)訂正事項1-1及び(イ)訂正事項1-2とする。 (ア)訂正事項1-1 特許請求の範囲の請求項1の「媒体」を「原稿」と訂正する。 (イ)訂正事項1-2 特許請求の範囲の請求項1の「前記給送ローラに接圧して、所定の搬送負荷を前記給送ローラとの間に進入した前記媒体に作用させるブレーキ手段」を「前記給送ローラに接圧してニップを形成し、搬送対象の原稿以外で前記ニップに進入した原稿が当該ニップに保持されるよう、所定の搬送負荷を前記給送ローラとの間に進入した前記原稿に作用させるブレーキ手段」と訂正する。 イ 訂正事項2(請求項2に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項2の記載を削除する。(請求項2の記載を引用する請求項4~7も同様に訂正する。) ウ 訂正事項3(請求項3に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項3の記載を削除する。(請求項3の記載を引用する請求項4~7も同様に訂正する。) エ 訂正事項4(請求項4に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項4の記載を「前記給送ローラの搬送方向の上流側に配置された、1つの回転軸まわりに回転可能な少なくとも2つのローラを有するピックアップローラを備え、 前記ピックアップローラが有するローラのそれぞれと前記回転軸との間には、前記ローラが前記原稿を搬送方向に搬送する搬送回転方向に回転することを許容し、かつ前記搬送回転方向と逆回転方向への回転を規制する回転規制手段が個別に配置される ことを特徴とする、請求項1に記載の原稿供給装置。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5~7も同様に訂正する)。 訂正事項4における各訂正の内容をそれぞれ、以下の(ア)訂正事項4-1及び(イ)訂正事項4-2とする。 (ア)訂正事項4-1 特許請求の範囲の請求項4の「媒体」を「原稿」と訂正する。 (イ)訂正事項4-2 特許請求の範囲の請求項4の「請求項1~3のいずれか1項に記載の」を「請求項1に記載の」と訂正する。 オ 訂正事項5(請求項5に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項5の記載を「前記給送ローラの前記給送軸方向の全幅が、前記原稿の最小設定サイズの幅より小さいことを特徴とする、請求項1または4に記載の原稿供給装置。」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6~7も同様に訂正する)。 訂正事項5における各訂正の内容をそれぞれ、以下の(ア)訂正事項5-1及び(イ)訂正事項5-2とする。 (ア)訂正事項5-1 特許請求の範囲の請求項5の「媒体」を「原稿」と訂正する。 (イ)訂正事項5-2 特許請求の範囲の請求項5の「請求項1~4のいずれか1項に記載の」を「請求項1または4に記載の」と訂正する。 カ 訂正事項6(請求項6に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項6の記載を「前記給送ローラの前記給送軸方向の全幅をL1、前記給送ローラの前記複数のローラのそれぞれの幅をL2、給送ローラの前記ローラの個数をnとして、 n・L2/L1≦0.95 を満たすことを特徴とする、請求項1、4~5のいずれか1項に記載の原稿供給装置。」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する)。 訂正事項6における各訂正の内容をそれぞれ、以下の(ア)訂正事項6-1及び(イ)訂正事項6-2とする。 (ア)訂正事項6-1 特許請求の範囲の請求項6の「媒体」を「原稿」と訂正する。 (イ)訂正事項6-2 特許請求の範囲の請求項6の「請求項1~5のいずれか1項に記載の」を「請求項1、4~5に記載の」と訂正する。 キ 訂正事項7(請求項7に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項7の記載を「請求項1、4~6のいずれか1項に記載の原稿供給装置と、 前記原稿供給装置の下流側に配置され、前記原稿の画像を読み取る画像読取部と、 前記画像読取部により読み取られた前記原稿の画像の傾斜を補正する補正手段と、 を備えることを特徴とする画像読取装置。」に訂正する。 訂正事項7における各訂正の内容をそれぞれ、以下の(ア)訂正事項7-1及び(イ)訂正事項7-2とする。 (ア)訂正事項7-1 特許請求の範囲の請求項7の「媒体」を「原稿」と訂正する。 (イ)訂正事項7-2 特許請求の範囲の請求項7の「請求項1~6のいずれか1項に記載の」を「請求項1、4~6に記載の」と訂正する。 ク 訂正事項8 願書に添付した明細書の【発明の名称】の記載を、「原稿供給装置及び画像読取装置」に訂正する。 ケ 訂正事項9 願書に添付した明細書の段落【0001】の記載を、「本発明は、原稿供給装置及び画像読取装置に関する。」に訂正する。 コ 訂正事項10 願書に添付した明細書の段落【0007】の記載を、「本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で原稿のスキュー状態の連鎖を抑制できる原稿供給装置及び画像読取装置を提供することを目的とする。」に訂正する。 サ 訂正事項11 願書に添付した明細書の段落【0008】の記載を、「上記課題を解決するために、本発明に係る原稿供給装置は、1つの給送軸に伝達された単一の駆動源からの駆動力により回転し、原稿を搬送方向に搬送する少なくとも2つのローラを有する給送ローラと、前記給送ローラに接圧してニップを形成し、搬送対象の原稿以外で前記ニップに進入した原稿が当該ニップに保持されるよう、所定の搬送負荷を前記給送ローラとの間に進入した前記原稿に作用させるブレーキ手段と、前記給送ローラの搬送方向における下流側に配置された搬送ローラと、を備える原稿供給装置において、前記給送ローラが有するローラのそれぞれと前記給送軸との間には、前記ローラが前記原稿を搬送方向に搬送する搬送回転方向に回転することを許容し、かつ前記搬送回転方向と逆回転方向への回転を規制する回転規制手段が個別に配置され、前記駆動源により、前記給送ローラの周速度を前記搬送ローラの周速度より相対的に遅く制御可能とされ、前記給送ローラと前記搬送ローラとによって前記原稿を前記搬送方向に搬送しているときに、前記給送ローラの前記複数のローラにおける一のローラと前記ブレーキ手段との間から前記原稿が前記搬送方向に抜けた場合、当該一のローラが停止すると共に、前記給送ローラの前記複数のローラにおける他のローラが回転を続けることで前記原稿を搬送方向に搬送することを特徴とする。」に訂正する。 シ 訂正事項12 願書に添付した明細書の段落【0009】の記載を削除する。 ス 訂正事項13 願書に添付した明細書の段落【0010】の記載を削除する。 セ 訂正事項14 願書に添付した明細書の段落【0011】の記載を、「また、上記の原稿供給装置は、前記給送ローラの搬送方向の上流側に配置された、1つの回転軸まわりに回転可能な少なくとも2つのローラを有するピックアップローラを備え、前記ピックアップローラが有するローラのそれぞれと前記回転軸との間には、前記ローラが前記原稿を搬送方向に搬送する搬送回転方向に回転することを許容し、かつ前記搬送回転方向と逆回転方向への回転を規制する回転規制手段が個別に配置されることが好ましい。」に訂正する。 ソ 訂正事項15 願書に添付した明細書の段落【0012】の記載を、「また、上記の原稿供給装置では、前記給送ローラの前記給送軸方向の全幅が、前記原稿の最小設定サイズの幅より小さいことが好ましい。」に訂正する。 タ 訂正事項16 願書に添付した明細書の段落【0013】の記載を、「また、上記の原稿供給装置では、前記給送ローラの前記給送軸方向の全幅をL1、前記給送ローラの少なくとも2つのローラのそれぞれの幅をL2、給送ローラの前記ローラの個数をnとして、 n・L2/L1≦0.95 を満たすことが好ましい。」に訂正する。 チ 訂正事項17 願書に添付した明細書の段落【0014】の記載を、「また、上記課題を解決するために、本発明に係る画像読取装置が、上記の原稿供給装置と、前記原稿供給装置の下流側に配置され、前記原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた前記原稿の画像の傾斜を補正する補正手段と、を備えることが好ましい。」に訂正する。 ツ 訂正事項18 願書に添付した明細書の段落【0015】の記載を、「本発明に係る原稿供給装置は、給送ローラから搬送ローラに進入した原稿がスキュー状態である場合でも、給送ローラの各ローラに配置された回転規制手段により、ローラと原稿との接触状態に応じて、各ローラが異なる挙動をとることにより、次に給送する原稿にスキューが伝達されるのを抑制でき、この結果、簡易な構成で原稿のスキュー状態の連鎖を抑制できるという効果を奏する。」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、及び一群の請求項について ア 訂正事項1(請求項1に係る訂正)について (ア)訂正事項1-1について 訂正事項1-1は、「媒体」に関して、「原稿」へと、具体的に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当初明細書の段落【0020】には、「シート状の媒体Sとは、例えば、原稿や名刺等のシート状の読み取り対象物や印刷用紙、枚葉紙等のシート状の被記録媒体を含む。」と記載されているから、訂正事項1-1は、願書に添付した特許請求の範囲(請求項1)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (イ)訂正事項1-2について 訂正事項1-2は、「前記給送ローラに接圧して、所定の搬送負荷を前記給送ローラとの間に進入した前記媒体に作用させるブレーキ手段」に関して、「前記給送ローラに接圧してニップを形成し、搬送対象の原稿以外で前記ニップに進入した原稿が当該ニップに保持されるよう」と、その作用を具体的に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1-2について、当初明細書の段落【0032】には、「ブレーキローラ3のローラ32a,32bは、給送ローラ2のローラ22a,22bに接圧している。これにより、ブレーキローラ3のローラ32aと給送ローラ2のローラ22aとの間、また、ブレーキローラ3のローラ32bと給送ローラ2のローラ22bとの間には、両ローラの接触面であるニップが形成されている。」と記載され、ニップが形成されていることが示されており、また、段落【0034】には、「他の媒体も一緒に重送されニップに進入した場合には、…搬送対象の媒体S1のみをニップから送り出し、他の媒体はニップの中に保持する」と記載され、媒体がニップに保持されることが示されているから、訂正事項1-2は、願書に添付した特許請求の範囲(請求項1)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ 訂正事項2(請求項2に係る訂正)について 訂正事項2は、請求項2を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ウ 訂正事項3(請求項3に係る訂正)について 訂正事項3は、請求項3を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 エ 訂正事項4(請求項4に係る訂正)について 訂正事項4-1は、請求項4が請求項1を引用するものであって、訂正事項1-1と共通するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した特許請求の範囲(請求項4)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項4-2は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、削除された請求項2、及び3を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ 訂正事項5(請求項5に係る訂正)について 訂正事項5-1は、訂正事項1-1と共通するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した特許請求の範囲(請求項5)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項5-2は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、削除された請求項2、及び3を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 カ 訂正事項6(請求項6に係る訂正)について 訂正事項6-1は、訂正事項1-1と共通するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した特許請求の範囲(請求項6)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項6-2は、訂正前の請求項6が請求項1~5のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、削除された請求項2、及び3を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 キ 訂正事項7(請求項7に係る訂正)について 訂正事項7-1は、訂正事項1-1と共通するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した特許請求の範囲(請求項7)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項7-2は、訂正前の請求項7が請求項1~6のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、削除された請求項2、及び3を引用しないものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ク 訂正事項8について 訂正事項8は、特許請求の範囲の請求項1を訂正する訂正事項1-1と同じ内容の訂正を、発明の名称に対して行うものであるから、上記「ア (ア)訂正事項1-1について」より、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した特許請求の範囲(請求項1)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ケ 訂正事項9について 訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項1を訂正する訂正事項1-1と同じ内容の訂正を、発明の詳細な説明の段落【0001】に対して行うものであるから、上記「ア (ア)訂正事項1-1について」より、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した特許請求の範囲(請求項1)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 コ 訂正事項10について 訂正事項10は、特許請求の範囲の請求項1を訂正する訂正事項1-1と同じ内容の訂正を、発明の詳細な説明の段落【0007】に対して行うものであるから、上記「ア (ア)訂正事項1-1について」より、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した特許請求の範囲(請求項1)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 サ 訂正事項11について 訂正事項11は、特許請求の範囲の請求項1の記載と発明の詳細な説明の段落【0008】の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 シ 訂正事項12について 訂正事項12は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ス 訂正事項13について 訂正事項13は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 セ 訂正事項14について 訂正事項14は、特許請求の範囲の請求項4の記載と発明の詳細な説明の段落【0011】の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ソ 訂正事項15について 訂正事項15は、特許請求の範囲の請求項5の記載と発明の詳細な説明の段落【0012】の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 タ 訂正事項16について 訂正事項16は、特許請求の範囲の請求項6の記載と発明の詳細な説明の段落【0013】の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 チ 訂正事項17について 訂正事項17は、特許請求の範囲の請求項7の記載と発明の詳細な説明の段落【0014】の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ツ 訂正事項18について 訂正事項18は、特許請求の範囲の請求項1の記載と発明の詳細な説明の段落【0015】の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 テ 一群の請求項についての適否 訂正事項1~7に係る訂正前の請求項1~7について、請求項2~7はすべて直接的又は間接的に「請求項1」を引用しているものであって、訂正事項2、及び3によって削除される請求項2,及び3に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当するものである。 よって、訂正事項1~7による訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する「一群の請求項ごとに」適法に請求されたものである。 また、訂正事項8乃至18は、願書に添付した明細書を訂正するものであり、該訂正事項8乃至18に係る訂正の請求は、当該明細書の訂正に係る、訂正前の請求項1~7の全てについて行われたものである。 よって、訂正事項8乃至18は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。 また、訂正後の請求項1~7は、一群の請求項である。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)本件特許発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1乃至7に係る発明(以下「本件特許発明1」乃至「本件特許発明7」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1乃至請求項7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 1つの給送軸に伝達された単一の駆動源からの駆動力により回転し、原稿を搬送方向に搬送する複数のローラを有する給送ローラと、 前記給送ローラに接圧してニップを形成し、搬送対象の原稿以外で前記ニップに進入した原稿が当該ニップに保持されるよう、所定の搬送負荷を前記給送ローラとの間に進入した前記原稿に作用させるブレーキ手段と、 前記給送ローラの搬送方向における下流側に配置された搬送ローラと、 を備える原稿供給装置において、 前記給送ローラが有するローラのそれぞれと前記給送軸との間には、前記ローラが前記原稿を搬送方向に搬送する搬送回転方向に回転することを許容し、かつ前記搬送回転方向と逆回転方向への回転を規制する回転規制手段が個別に配置され、 前記駆動源により、前記給送ローラの周速度を前記搬送ローラの周速度より相対的に遅く制御可能とされ、前記給送ローラと前記搬送ローラとによって前記原稿を前記搬送方向に搬送しているときに、前記給送ローラの前記複数のローラにおける一のローラと前記ブレーキ手段との間から前記原稿が前記搬送方向に抜けた場合、当該一のローラが停止すると共に、前記給送ローラの前記複数のローラにおける他のローラが回転を続けることで前記原稿を搬送方向に搬送することを特徴とする原稿供給装置。 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】 前記給送ローラの搬送方向の上流側に配置された、1つの回転軸まわりに回転可能な少なくとも2つのローラを有するピックアップローラを備え、 前記ピックアップローラが有するローラのそれぞれと前記回転軸との間には、前記ローラが前記原稿を搬送方向に搬送する搬送回転方向に回転することを許容し、かつ前記搬送回転方向と逆回転方向への回転を規制する回転規制手段が個別に配置される ことを特徴とする、請求項1に記載の原稿供給装置。 【請求項5】 前記給送ローラの前記給送軸方向の全幅が、前記原稿の最小設定サイズの幅より小さいことを特徴とする、請求項1または4に記載の原稿供給装置。 【請求項6】 前記給送ローラの前記給送軸方向の全幅をL1、前記給送ローラの前記複数のローラのそれぞれの幅をL2、給送ローラの前記ローラの個数をnとして、 n・L2/L1≦0.95 を満たすことを特徴とする、請求項1、4~5のいずれか1項に記載の原稿供給装置。 【請求項7】 請求項1、4~6のいずれか1項に記載の原稿供給装置と、 前記原稿供給装置の下流側に配置され、前記原稿の画像を読み取る画像読取部と、 前記画像読取部により読み取られた前記原稿の画像の傾斜を補正する補正手段と、 を備えることを特徴とする画像読取装置。」 (2)平成29年4月25日付けの取消理由通知の概要 請求項1、4乃至7に係る発明は、甲第1号証及び周知の技術手段から当業者が容易に想到し得るものである。 (3) 各刊行物の記載 ア 刊行物1(甲第1号証) 取消理由通知において引用した刊行物1(特開平5-278895号公報)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項3】 回転することで当接している紙幣を繰り出すピッカローラと、 集積した紙幣を前記ピッカローラ方向に押圧し、最先端の紙幣を該ピッカローラに当接させる押圧手段と、 ピッカローラにより繰り出された紙幣をさらに繰り出すフィードローラと、 このフィードローラと対向配置され、繰り出された紙幣の2枚送りを防止するためのリバースローラと、 前記ピッカローラとフィードローラを駆動する繰り出し駆動手段と、 繰り出し駆動手段からフィードローラへの駆動力伝達経路に介在するワンウエイクラッチと、 対向配置されたローラ群あるいは対向配置されたベルトと、これらを駆動する手段とより構成され、ピッカローラとフィードローラにより繰り出された紙幣を受けて搬送する搬送手段を具備し、搬送方向の長さの異なる複数種の紙幣を扱う紙幣自動支払装置において、 前記繰り出し駆動手段からピッカローラへの駆動力伝達経路に介在するワンウエイクラッチと、 繰り出された紙幣の先端を検出する検出手段と、 前記検出手段が紙幣の先端を検出すると繰り出し駆動手段の回転駆動を停止するとともに時間監視を行い、所定時間経過後繰り出し駆動手段の回転駆動を開始する制御手段を具備し、 前記検出手段は、最も搬送方向の長さの短い紙幣の先端がこの検出手段による検出位置に到達した時点で、この紙幣の後端がピッカローラとの接触から開放され、かつ、紙幣の先端側をローラ間あるいはベルト間に挟持することで搬送手段が確実にこの紙幣の搬送可能とした後に、紙幣の先端が検出手段による検出位置に到達する、搬送手段の入口側のローラ間あるいはベルト間での紙幣挟持位置から紙幣の搬送方向に所定量ずれた位置にくるように設けられたことを特徴とする紙幣自動支払装置。 【請求項4】 前記ピッカローラは、紙幣の繰り出し方向に対して同軸上に左右2個設けられ、それぞれのピッカローラが独立してワンウエイクラッチに支持されていることを特徴とする請求項2および請求項3記載の紙幣自動支払装置。」 (イ)「【0008】23はピッカローラで、外周が高摩擦部材により構成されている。このピッカローラ23はピッカローラシャフト24に所定の間隔をあけて2個取り付けられており、このピッカローラシャフト24はその両端にベアリング25a,25bを配してフレーム26a,26bに支持されて滑らかに回転するように構成されている。 【0009】27は立位状態で集積して金庫4内に収納されている支払用の紙幣、28は図示しないバネ等の力を受けて紙幣27をピッカローラ23方向へ押して、最先端の紙幣27aをピッカローラ23に当接させるステージである。29はフィードローラで、外周が高摩擦部材により構成されており、前記ピッカローラ23から見て紙幣27の搬送方向に位置して、このフィードローラ29によりピッカローラ23により繰り出された紙幣27をさらに上方に繰り出す。 【0010】このフィードローラ29は前記ピッカローラシャフト24と平行なフィードローラシャフト30に所定の間隔をあけて2個取り付けられており、このフィードローラシャフト30はその両端にベアリング31a,31bを配してフレーム26a,26bに支持されて滑らかに回転するように構成されている。32は前記ピッカローラ23とフィードローラ29とを回転駆動するためのモータ、33はこのモータ32の軸に固定されたプーリである。 【0011】34はピッカローラシャフト24に取り付けられたプーリ、35はフィードローラシャフト30に取り付けられたプーリで、これらプーリ34,35と前記モータ32の軸に固定されたプーリ33との間でベルト36をかけて、モータ32からの駆動力をピッカローラ23とフィードローラ29に伝達する。前記プーリ34はピッカローラシャフト24に直接取り付けられており、モータ32からの駆動力がピッカローラ23に直接伝達される。 【0012】前記プーリ35の内部には中央にワンウエイクラッチ37が設けられ、その両端にはベアリング38が設けられており、プーリ35はフィードローラシャフト30にワンウエイクラッチ37およびベアリング38を介して取り付けられている。このワンウエイクラッチ37により、モータ32がフィードローラ29を紙幣27を繰り出す方向(図32において時計まわり)に回転させようとしたときには、モータ32の駆動力がフィードローラ29に伝達される。 【0013】そして、モータ32が停止した状態で、フィードローラ29を紙幣27を繰り出す方向(図32において時計まわり)に回転させようとしたときは、フィードローラ29がプーリ35に対して前記方向に自在に回転できるようになっている。39はフィードローラ29に対向配置されたリバースローラで、このリバースローラ39は外周が高摩擦部材で構成されており、フィードローラ29との間に適度な間隔を保ち、ピッカローラ23とフィードローラ29による紙幣27の繰り出し方向と逆方向に紙幣27を送るように回転して、紙幣27の2枚送りを防止している。 【0014】上述した構成の繰り出し機構5により金庫4から1枚ずつ繰り出された紙幣27を搬送する搬送路9は、対向配置したベルト間に紙幣27を挟持して搬送する構造となっており、40a,40bは対向配置したベルト、41はこのベルト40a,40bを懸架する複数個のプーリである。このプーリ41は図示しない搬送モータから駆動力を受けて高速回転しており、プーリ41が高速回転することでベルト40a,40bが回転して、ベルト40a,40b間に挟持した紙幣27を搬送する。そして、搬送路9における紙幣27の搬送速度は、ピッカローラ23,フィードローラ29により紙幣27を繰り出す際の搬送速度より速くなっている。」 (ウ)「【0057】なお、本実施例においてフィードローラ29、リバースローラ39、プーリ41、搬送ベルト40a,40b、繰り出しモータ32等、繰り出し機構および搬送路の基本的な構成は従来例と同様であるため説明を省略する。23a,23bはピッカローラで、外周が高摩擦部材により構成されており、ピッカローラシャフト24に所定の間隔を開けて取り付けられている。 【0058】ピッカローラ23a,23bはそれぞれボス75a,75bに固定され、このボス75a,75bは中央部にワンウエイクラッチ76a,76bが設けられ、その両端にはベアリング77a,77bが設けられており、ピッカローラ23a,23bはピッカローラシャフト24にそれぞれワンウエイクラッチ76a,76bを介して取り付けられる。 【0059】これらワンウエイクラッチ76a,76bにより、モータ32がピッカローラ23a,23bを紙幣27を繰り出す方向(図1において時計まわり)に回転させようと、モータ32の回転力がベルト36を介してピッカローラシャフト24に伝達され、ピッカローラシャフト24が時計まわりに回転したときは、モータ32の駆動力がピッカローラ23a,23bに伝達されて、これらピッカローラ23a,23bも時計まわりに回転する。 【0060】そして、モータ32が停止した状態で、ピッカローラ23a,23bを時計まわりに回転させようとしたときは、ピッカローラ23a,23bはピッカローラシャフト24に対して前記方向に自在に回転できるようになっている。また、ピッカローラ23a,23bはピッカローラシャフト24に対してそれぞれワンウエイクラッチ76a,76bを介して取り付けられているので、モータ32が停止した状態で、ピッカローラ23a,23bは時計まわりにそれぞれ独立して回転可能である。 【0061】78は第1の光学センサで、この第1の光学センサ78が紙幣27の先端を検出すると、モータ32の回転を停止する信号が発せられる。79は第2の光学センサで、この第2の光学センサ79が前記第1の光学センサ78で先端を検出した紙幣27の後端を検出すると、モータ32を回転させる信号が発せられる。前記第1の光学センサ78は、紙幣27の先端が該第1の光学センサ78による検出位置Aに達した時に、紙幣27の後端がピッカローラ23a,23bとの接触から解放され、かつ、紙幣27の先端側を搬送ベルト23a,23bとの間に確実に挟持した後、第1の光学センサ78がこの紙幣27の先端を検出するように、搬送路9の入口側に位置するプーリ41,第1の光学センサ78,ピッカローラ23a,23bおよびフィードローラ29の位置関係を設定して、第1の光学センサ78による紙幣先端の検出位置Aが、搬送路9の入口側における搬送ベルト40a,40bによる紙幣27の挟持位置から紙幣27の搬送方向へわずかにずれた位置にくるようにしている。」 (エ)「【0064】図3において、図2に示すモータ32の駆動力を受けてピッカローラ23a,23bとフィードローラ29は時計方向に回転して、ピッカローラ23a,23bに当接している最先端の紙幣27aを上方へ繰り出す。なお、ピッカローラ23a,23bとフィードローラ29の周速度は、一例として1000mm/sに設定する。また、搬送ベルト40a,40bは一例として1800mm/sに設定する。 【0065】図4において、繰り出された紙幣27aの先端側は搬送ベルト40a,40b間に挟持される。搬送ベルト40a,40bの周速は1800mm/sで、ピッカローラ23a,23bとフィードローラ29の周速1000mm/sに対して速いため、紙幣27aをピッカローラ23a,23bとフィードローラ29から引き抜くように搬送する。搬送ベルト40a,40bは紙幣27aを引き抜くのに十分な搬送力を有している。 【0066】図5において、搬送ベルト40a,40bにより上方へ紙幣27aが搬送されると、紙幣27aの先端が第1の光学センサ78による紙幣先端の検出位置Aに到達する。第1の光学センサ78が紙幣27aの先端を検出すると、モータ32を停止させる信号が発せられてモータ32は停止し、モータ32によるピッカローラ23a,23bとフィードローラ29の紙幣を繰り出すための時計方向の回転は停止する。 【0067】ここで、本実施例では米ドル紙幣と日本円紙幣の両方を扱い可能としているが、第1の光学センサ78は長さの短い米ドル紙幣28aの先端側が搬送ベルト40a,40b間に確実に挟持された時点で、この紙幣27aの先端が第1の光学センサ78による検出位置Aに到達するとともに、紙幣27aの後端がピッカローラ23a,23bから解放される位置に配されている。」 (オ)「【0069】フィードローラ29は、フィードローラ29を固定しているフィードローラシャフト30と、モータ32からの駆動力を伝達するベルト36がかけられたプーリ35との間にワンウエイクラッチ37が介在しており、モータ32が停止した状態でも、フィードローラ29を時計まわりに回転させようとしたときは、フィードローラシャフト30がプーリ35に対して自在に回転できるようになっているので、モータ32が停止しても搬送ベルト40a,40bによる紙幣27aの引き抜きでフィードローラ29は自在に回転することができて、該フィードローラ29が負荷となることはない。」 (カ)「【0072】図8は紙幣が斜行して繰り出された状態を示す説明図で、次に、2個のピッカローラ23a,23b内にそれぞれ独立してワンウエイクラッチ76a,76bを設けた理由を、この図8を用いて説明する。第1の光学センサ78は、紙幣の搬送方向左右に2個設けられており、先行する紙幣27aが万一斜行(図8では右先行)して繰り出された場合、まず、右側の第1の光学センサ78でこの紙幣27aの右側の先端が検出される。これにより、モータ32の回転が停止して、ピッカローラ23a,23bとフィードローラ29の回転が停止する。 【0073】この状態で、右側のピッカローラ23bは紙幣27aと接しなくなる状態であるが、左側のピッカローラ23aは紙幣27aの後端側にLmmだけ接触箇所を残している。このため、各ピッカローラ23a,23bに独立にワンウエイクラッチを設けていない場合、例えばフィードローラ29のようにフィードローラシャフト30とプーリ35との間にワンウエイクラッチ37を介在させた構成にすると、紙幣27aを搬送ベルト40a,40bにより引き抜いた時に、左側のピッカローラ23aが紙幣27aをLmmだけ繰り出す分回転するが、この際に右側のピッカローラ23bも紙幣27aをLmmだけ繰り出す分回転してしまう。この時点で、右側のピッカローラ23bは次の紙幣27bにすでに当接しているので、この次の紙幣27bの右側がLmmだけ繰り出されてしまい、次の紙幣27bも斜行してしまうのである。 【0074】そのため、左右のピッカローラ23a,23bに独立してワンウエイクラッチ76a,76bを配しておけば、左側のピッカローラ23a(あるいは右側のピッカローラ23b)が紙幣をLmm繰り出す分回転しても、右側のピッカローラ23b(あるいは左側のピッカローラ23a)は停止しているので、次の紙幣27bは斜行することはない。 【0075】なお、本実施例において、フィードローラ29を固定しているフィードローラシャフト30とプーリ35との間にワンウエイクラッチ37を介在させた構成としているが、ピッカローラ23a,23bと同様に、それぞれのフィードローラ29内に独立してワンウエイクラッチ37を設けてもよい。図9は本発明の第2の実施例を示す繰り出し機構および搬送路の側面図、図10は第2の実施例における駆動力の伝達経路を示す繰り出し機構および搬送路の正面図である。」 (キ)上記「a 【請求項3】」、「b 【0014】」及び図32より、上記「b」に記載の「対向配置したベルト40a,40b」、「複数個のプーリ41」及び「搬送モータ」は、それぞれ、上記「a」に記載の「対向配置されたベルト」、「対向配置されたローラ群」及び「これらを駆動する手段」に対応するから、上記「b」【0014】より、「対向配置されたローラ群はこれらを駆動する手段から駆動力を受けて高速回転しており、対向配置されたローラ群が高速回転することで対向配置されたベルトが回転して、対向配置されたベルト間に挟持した紙幣を搬送し、搬送路における紙幣の搬送速度は、ピッカローラ,フィードローラにより紙幣を繰り出す際の搬送速度より速くなっている」といえる。 (ク)上記「f」及び図8より、複数のピッカローラと複数のフィードローラと対向配置されたローラ群あるいは対向配置されたベルトによって紙幣を搬送方向に搬送しているときに、複数のピッカローラにおける一のピッカローラから紙幣が搬送方向に抜けた場合、当該一のピッカローラが停止すると共に、前記複数のピッカローラにおける他のピッカローラが回転を続けることで前記紙幣を搬送方向に搬送する、といえる。 また、複数のフィードローラのフィードローラシャフト方向の全幅が、紙幣の幅より小さいことが、及び複数のフィードローラのフィードローラシャフト方向の全幅をL1、フィードローラの前記複数のローラのそれぞれの幅をL2、フィードローラの前記ローラの個数をnとして、n・L2/L1<1であることが看取できる。 i 上記「f」より、それぞれのフィードローラ内に、ピッカローラと同様に、独立してワンウエイクラッチを設けることが記載されている。そして、ワンウエイクラッチが設けられたピッカローラは、上記「h」のように動作するものであることから、ワンウエイクラッチが設けられたフィードローラも、上記「h」のように動作するものであることは明らかである。そして、上記「a」に記載されているように、リバースローラがフィードローラと対向配置されているから、紙幣が搬送方向に搬送されているときは、フィードローラとリバースローラとの間から紙幣が搬送方向に抜けることは明らかである。そうすると、複数のフィードローラと対向配置されたローラ群あるいは対向配置されたベルトによって紙幣を搬送方向に搬送しているときに、ワンウエイクラッチが設けられた複数のフィードローラは、複数のフィードローラにおける一のフィードローラとリバースローラとの間から紙幣が搬送方向に抜けた場合、当該一のフィードローラが停止すると共に、前記複数のフィードローラにおける他のフィードローラが回転を続けることで前記紙幣を搬送方向に搬送する、といえる。 これらの記載を総合すると、刊行物1(甲第1号証)には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「回転することで当接している紙幣を繰り出すピッカローラと、 集積した紙幣を前記ピッカローラ方向に押圧し、最先端の紙幣を該ピッカローラに当接させる押圧手段と、 ピッカローラシャフトと平行なフィードローラシャフトに所定の間隔をあけて2個取り付けられており、ピッカローラにより繰り出された紙幣をさらに繰り出すフィードローラと、 このフィードローラと対向配置され、フィードローラとの間に適度な間隔を保ち、繰り出された紙幣の2枚送りを防止するためのリバースローラと、 前記ピッカローラとフィードローラを駆動する繰り出し駆動手段と、 繰り出し駆動手段からフィードローラへの駆動力伝達経路に介在するワンウエイクラッチと、 対向配置されたローラ群あるいは対向配置されたベルトと、これらを駆動する手段とより構成され、ピッカローラとフィードローラにより繰り出された紙幣を受けて搬送する搬送手段を具備し、搬送方向の長さの異なる複数種の紙幣を扱う紙幣自動支払装置において、 前記繰り出し駆動手段からピッカローラへの駆動力伝達経路に介在するワンウエイクラッチと、 繰り出された紙幣の先端を検出する検出手段と、 前記検出手段が紙幣の先端を検出すると繰り出し駆動手段の回転駆動を停止するとともに時間監視を行い、所定時間経過後繰り出し駆動手段の回転駆動を開始する制御手段を具備し、 前記検出手段は、最も搬送方向の長さの短い紙幣の先端がこの検出手段による検出位置に到達した時点で、この紙幣の後端がピッカローラとの接触から開放され、かつ、紙幣の先端側をローラ間あるいはベルト間に挟持することで搬送手段が確実にこの紙幣の搬送可能とした後に、紙幣の先端が検出手段による検出位置に到達する、搬送手段の入口側のローラ間あるいはベルト間での紙幣挟持位置から紙幣の搬送方向に所定量ずれた位置にくるように設けられ、 対向配置されたローラ群はこれらを駆動する手段から駆動力を受けて高速回転しており、対向配置されたローラ群が高速回転することで対向配置されたベルトが回転して、対向配置されたベルト間に挟持した紙幣を搬送し、搬送路における紙幣の搬送速度は、ピッカローラ,フィードローラにより紙幣を繰り出す際の搬送速度より速くなっており、 前記ピッカローラは、紙幣の繰り出し方向に対して同軸上に左右2個設けられ、それぞれのピッカローラが独立してワンウエイクラッチに支持されており、 複数のピッカローラと複数のフィードローラと対向配置されたローラ群あるいは対向配置されたベルトによって紙幣を搬送方向に搬送しているときに、複数のピッカローラにおける一のピッカローラから紙幣が搬送方向に抜けた場合、当該一のピッカローラが停止すると共に、前記複数のピッカローラにおける他のピッカローラが回転を続けることで前記紙幣を搬送方向に搬送し、 ピッカローラと同様に、それぞれのフィードローラ内に独立してワンウエイクラッチを設け、 複数のフィードローラと対向配置されたローラ群あるいは対向配置されたベルトによって紙幣を搬送方向に搬送しているときに、ワンウエイクラッチが設けられた複数のフィードローラは、複数のフィードローラにおける一のフィードローラとリバースローラとの間から紙幣が搬送方向に抜けた場合、当該一のフィードローラが停止すると共に、前記複数のフィードローラにおける他のフィードローラが回転を続けることで前記紙幣を搬送方向に搬送し、 複数のフィードローラのフィードローラシャフト方向の全幅が、紙幣の幅より小さく、 複数のフィードローラのフィードローラシャフト方向の全幅をL1、フィードローラの前記複数のローラのそれぞれの幅をL2、フィードローラの前記ローラの個数をnとして、n・L2/L1<1である、紙幣自動支払装置。」 イ 刊行物2(甲第2号証) 取消理由通知において引用した刊行物2(特開2002-300367号公報)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】積載された媒体を搬送路に沿って搬送し、搬送された媒体の画像を読取る画像読取部により媒体を読取り、読取り後の媒体を排出部へ排出する、画像読取装置であって、 搬送路に沿って搬送される媒体の状態を検出する媒体検出手段と、 搬送された媒体の画像を読取る画像読取部において読取った画像から媒体の斜行量を算出することが可能な画像読取手段と、 該媒体検出手段により検出した媒体の通過状態から、媒体の斜行量を算出して、算出した斜行量によって、該画像読取手段により読取った画像から斜行量を算出するか否かの判断を行う斜行量判断手段と、を有し、 該斜行量判断手段の結果により、媒体を読取った結果について斜行の補正制御を行うことを特徴とする画像読取装置。」 (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、画像読取装置において媒体の斜行を補正する場合に用いて好適な装置に関する。」 (ウ)「【0024】そこで、本発明は、無駄な処理時間をかけずに、実際の斜行量にあった斜行補正処理を高速に行うことを目的としている。 【0025】さらに、本発明は、画像読取部の裏当てを、必要に応じて白と黒に自動で切替えることで、画像読取り時の白基準補正と、原稿の斜行量が大きな場合での読取部での正確な斜行量の検出及び補正を可能とすることで、高速で正確な画像読取処理を実現することを目的としている。」 (エ)「【0034】31はピックローラであり、ホッパ10に載置されている原稿を搬送路に導くためのローラである。また32は分離ローラであり、プレ分離用パッド33とブレーキローラ34により、ピックローラ31から搬送路に繰り出された原稿が重送されないようにするものである。搬送ローラ、ピックローラ31、分離ローラ32は図示されないモータにより駆動される。320、330、322、332、324、334、326、336、328、338はそれぞれ搬送ローラであり、図示省略したモータにより駆動される。また、616は、画像読取タイミングセンサであり、原稿先端が検出された時点で、図示省略したタイマにより原稿搬送の時間を計測し、原稿先端が読取りのために読取部の位置に達するタイミングで原稿の読取り動作が行われる。 【0035】37は画像読取用の光学ユニットであり、この位置で通過する原稿を読み取るものである。35は用紙検出センサであり、ここを通過した用紙はフィードローラ361,362に挟まれて、画像読取部37へ送られる。 … 【0037】尚、本発明の画像読取装置では、装置の中心を基準として原稿の搬送が行われるため、ピックローラや分離ローラ、フィードローラ、等の搬送用のローラは、装置の中心線上に設けられる。」 (オ)「【0054】斜行角度が許容範囲外である場合は、次に規定の範囲内か、例えば0.5度以上10度以下であるか判断して(F154)範囲内であれば、裏当てはそのままの状態の白のままで、画像読取部において画像を読み込み(F156-2)読込んだデータをメモリに保存し(F157)、斜行角度に応じた斜行補正処理、例えばアフィン変換(F158)を行う。斜行補正の方法については、後述する。読込んだ画像データに対して斜行補正処理を施した後に、画像データを出力する(F160)。」 (カ)上記「d 【0037】」より、ピックローラや分離ローラ、フィードローラ、等の搬送用のローラによって、原稿(媒体)を搬送するといえる。 これらの記載を総合すると、刊行物2(甲第2号証)には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「ホッパに載置されている原稿を搬送路に導くためのローラであるピックローラ、分離ローラ、プレ分離用パッドとブレーキローラにより、ピックローラから搬送路に繰り出された原稿が重送されないようにするものであり、 積載された媒体をピックローラや分離ローラ、フィードローラ、等の搬送用のローラによって、搬送路に沿って搬送し、搬送された媒体の画像を読取る画像読取部により媒体を読取り、読取り後の媒体を排出部へ排出する、画像読取装置であって、 搬送路に沿って搬送される媒体の状態を検出する媒体検出手段と、 搬送された媒体の画像を読取る画像読取部において読取った画像から媒体の斜行量を算出することが可能な画像読取手段と、 該媒体検出手段により検出した媒体の通過状態から、媒体の斜行量を算出して、算出した斜行量によって、該画像読取手段により読取った画像から斜行量を算出するか否かの判断を行う斜行量判断手段と、を有し、 該斜行量判断手段の結果により、媒体を読取った結果について斜行の補正制御を行う画像読取装置。」 (4)対比 本件特許発明1と引用発明1とを対比すると、 ア 後者の「紙幣」と、前者の「原稿」とは、「媒体」との概念で共通するから、後者の「紙幣自動支払装置」と、前者の「原稿供給装置」とは、「媒体供給装置」との概念で共通する。そして、後者の「フィードローラ」は、その構造、機能、作用等からみて、前者の「給送ローラ」に相当し、後者の「繰り出された紙幣の2枚送りを防止するためのリバースローラ」と、前者の「所定の搬送負荷を前記給送ローラとの間に進入した前記原稿に作用させるブレーキ手段」とは、「所定の搬送負荷を前記給送ローラとの間に進入した前記媒体に作用させるブレーキ手段」との概念で共通する。 イ 後者の「フィードローラシャフト」、「繰り出し駆動手段」、及び「2個取り付けられており、ピッカローラにより繰り出された紙幣をさらに繰り出すフィードローラ」は、それぞれ、前者の「1つの給送軸」、「単一の駆動源」、及び「複数のローラを有する給送ローラ」に相当する。 ウ 後者の「対向配置されたローラ群」は、「これらを駆動する手段」とより「ピッカローラとフィードローラにより繰り出された紙幣を受けて搬送する搬送手段」を構成するものであるから、「給送ローラの搬送方向における下流側に配置された搬送ローラ」といえる。 エ 後者の「それぞれのフィードローラ内に独立して設けられたワンウエイクラッチ」は、「給送ローラが有するローラのそれぞれと前記給送軸との間には、前記ローラが前記原稿を搬送方向に搬送する搬送回転方向に回転することを許容し、かつ前記搬送回転方向と逆回転方向への回転を規制する回転規制手段」に相当し、「個別に配置されている」といえる。 オ 後者は、「対向配置されたローラ群はこれらを駆動する手段から駆動力を受けて高速回転しており、対向配置されたローラ群が高速回転することで対向配置されたベルトが回転して、対向配置されたベルト間に挟持した紙幣を搬送し、搬送路における紙幣の搬送速度は、ピッカローラ,フィードローラにより紙幣を繰り出す際の搬送速度より速くなって」いるから、後者の「ピッカローラとフィードローラを駆動する繰り出し駆動手段」は、「給送ローラの周速度を搬送ローラの周速度より相対的に遅く制御可能」といえる。 カ 後者は、「それぞれのフィードローラ内に独立してワンウエイクラッチを設け、複数のフィードローラと対向配置されたローラ群あるいは対向配置されたベルトによって紙幣を搬送方向に搬送しているときに、ワンウエイクラッチが設けられた複数のフィードローラは、複数のフィードローラにおける一のフィードローラとリバースローラとの間から紙幣が搬送方向に抜けた場合、当該一のフィードローラが停止すると共に、前記複数のフィードローラにおける他のフィードローラが回転を続けることで前記紙幣を搬送方向に搬送する」ものであるから、「給送ローラと前記搬送ローラとによって前記原稿を前記搬送方向に搬送しているときに、前記給送ローラの前記複数のローラにおける一のローラと前記ブレーキ手段との間から前記原稿が前記搬送方向に抜けた場合、当該一のローラが停止すると共に、前記給送ローラの前記複数のローラにおける他のローラが回転を続けることで前記原稿を搬送方向に搬送する」といえる。 したがって、両者は、 「1つの給送軸に伝達された単一の駆動源からの駆動力により回転し、媒体を搬送方向に搬送する複数のローラを有する給送ローラと、 所定の搬送負荷を前記給送ローラとの間に進入した前記媒体に作用させるブレーキ手段と、 前記給送ローラの搬送方向における下流側に配置された搬送ローラと、 を備える媒体供給装置において、 前記給送ローラが有するローラのそれぞれと前記給送軸との間には、前記ローラが前記媒体を搬送方向に搬送する搬送回転方向に回転することを許容し、かつ前記搬送回転方向と逆回転方向への回転を規制する回転規制手段が個別に配置され、 前記駆動源により、前記給送ローラの周速度を前記搬送ローラの周速度より相対的に遅く制御可能とされ、前記給送ローラと前記搬送ローラとによって前記媒体を前記搬送方向に搬送しているときに、前記給送ローラの前記複数のローラにおける一のローラと前記ブレーキ手段との間から前記媒体が前記搬送方向に抜けた場合、当該一のローラが停止すると共に、前記給送ローラの前記複数のローラにおける他のローラが回転を続けることで前記媒体を搬送方向に搬送する媒体供給装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 媒体に関して、本件特許発明1が、「原稿」であるのに対し、引用発明1は、「紙幣」である点。 [相違点2] 本件特許発明1が、「給送ローラに接圧してニップを形成し、搬送対象の原稿以外で前記ニップに進入した原稿が当該ニップに保持されるよう」に作用させるブレーキ手段を備えるのに対し、引用発明1は、「フィードローラと対向配置され、フィードローラとの間に適度な間隔を保」つリバースローラを備えている点。 (5)判断 上記相違点2について、以下検討する。 一般に、対向配置されたローラ間で媒体を挟持して搬送する対向配置されたローラ同士は、少なくとも媒体を挟持して搬送している最中は、媒体を介してお互いに接圧していることは、媒体の搬送原理からして、明らかであるし、また、給送ローラと対向配置されたブレーキ手段(ローラ)とで媒体を挟み、すなわち、給送ローラと対向配置されたブレーキ手段(ローラ)とを接圧し、進入した媒体に搬送負荷を作用させることは、周知の技術事項(例えば、甲第2号証の【0035】参照。以下「周知の技術事項」という。)である。 しかし、搬送対象の原稿以外でニップに進入した原稿が当該ニップに保持されるように作用させるブレーキ手段は、甲第2号証には記載されていないし、当業者にとって設計的事項といえる理由もない。 しかも、本件特許発明1は、上記相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、「本発明に係る媒体供給装置は、給送ローラから搬送ローラに進入した媒体がスキュー状態である場合でも、給送ローラの各ローラに配置された回転規制手段により、ローラと媒体との接触状態に応じて、各ローラが異なる挙動をとることにより、次に給送する媒体にスキューが伝達されるのを抑制でき、この結果、簡易な構成で媒体のスキュー状態の連鎖を抑制できるという効果を奏する。」(【0015】参照。)という作用効果を奏するものである。 したがって、本件特許発明1は、甲第1号証記載の発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 本件特許発明4乃至本件特許発明7は、本件特許発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明4乃至本件特許発明7は、甲第1号証記載の発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (6)平成29年4月25日付けの取消理由通知に記載しなかった異議申立ての理由について ア 申立理由1「請求項1~請求項6の発明は、甲第1号証に記載された発明である。」 上記「(4)対比」のとおり、本件特許発明1と甲第1号証とは、上記[相違点1]及び[相違点2]で相違するから、本件特許発明1、本件特許発明4乃至本件特許発明7は、甲第1号証に記載された発明とはいえない、 よって、特許異議申立人の主張する申立理由1の主張は、理由がない。 イ 申立理由3-1「「当該一のローラが停止する」理由が、請求項1の記載から理解することができず、請求項1は発明の内容が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反している。また、請求項1は、「当該一のローラが停止する」手段として、給送軸の回転停止以外の手段も包含しているが、本件特許明細書には、給送軸の回転停止以外の手段はサポートされておらず、特許法第36条第6項第1号の規定に違反している。」(特許異議申立書30頁3行~33頁2行) 本件特許発明1には、「1つの給送軸に伝達された単一の駆動源からの駆動力により回転し、原稿を搬送方向に搬送する複数のローラを有する給送ローラ」と特定されているから、技術常識を踏まえれば、「給送軸の回転」は、「停止」するものであることは明らかである。 また、本件特許明細書には、給送軸の回転停止については開示されているのであるから(【0053】及び【0054】参照。)、サポート要件違反とまではいえない。 よって、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用する本件特許発明4乃至本件特許発明7について、特許異議申立人の主張する申立理由3-1の主張は、理由がない。 ウ 申立理由3-2「給送軸の停止により「当該一のローラが停止」しつつ、「他のローラ」が回転を続けるためには、給送軸と、搬送ローラとを独立して駆動する構成が必須となるが、請求項1はそのような構成は規定されておらず、どのようにして、「当該一のローラが停止」しつつ、「他のローラ」が回転を続けるかが不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反している。また、請求項1は、「当該一のローラが停止」しつつ、「他のローラ」が回転を続けるための駆動源の構成として、給送ローラ用の駆動源と搬送ローラ用の駆動源とを備える構成以外の構成も包含しているが、本件特許明細書には、給送ローラ用の駆動源と搬送ローラ用の駆動源とを備える構成以外の構成はサポートされておらず、特許法第36条第6項第1号の規定に違反している。」(特許異議申立書33頁3行~34頁3行) 本件特許発明1には、「給送ローラの搬送方向における下流側に配置された搬送ローラ」、「前記給送ローラが有するローラのそれぞれと前記給送軸との間には、前記ローラが前記原稿を搬送方向に搬送する搬送回転方向に回転することを許容し、かつ前記搬送回転方向と逆回転方向への回転を規制する回転規制手段が個別に配置され」、及び「前記駆動源により、前記給送ローラの周速度を前記搬送ローラの周速度より相対的に遅く制御可能とされ」と特定されているから、技術常識を踏まえれば、給送ローラのうちの他のローラは、搬送ローラにより搬送される原稿からの摩擦力により空転することは明らかである。 また、本件特許明細書には、他のローラは、搬送ローラにより搬送される原稿からの摩擦力により空転することは開示されているのであるから(【0050】)、サポート要件違反とまではいえない。 よって、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用する本件特許発明4乃至本件特許発明7について、特許異議申立人の主張する申立理由3-2の主張は、理由がない。 エ 申立理由3-3「請求項2の「前記駆動源により、前記給送ローラの周速度を前記搬送ローラの周速度より相対的に遅くする制御を実行する」と規定するが、この制御と請求項1の記載の上記規定1との関係が不明瞭であるから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反している。」(特許異議申立書34頁5~8行)、及び「請求項2は、「前記駆動源により、前記給送ローラの周速度を前記搬送ローラの周速度より相対的に遅くする制御を実行」し、給送軸が回転を継続する場合にも、「当該一のローラが停止する」ことを包含しているが、本件特許明細書には、その例がサポートされておらず、特許法第36条第6項第1号の規定に違反している。」(特許異議申立書35頁7~11行) 請求項2に係る発明は、訂正により、削除されたため、申立理由3-3は却下された。 オ 申立理由3-4「請求項3の「前記媒体検出手段により、前記媒体が前記搬送ローラに進入したことを検出すると、前記駆動源による前記給送軸の回転を停止する制御を実行する」と規定するが、この制御と請求項1の記載の上記規定1との関係が不明瞭であるから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反している。」(特許異議申立書35頁13~16行)、及び「請求項3は、請求項3の制御が請求項1の「当該一のローラが停止する」ことと無関係な制御である場合も包含しているが、本件特許明細書には、該制御により「当該一のローラが停止する」こと以外の制御はサポートされておらず、特許法第36条第6項第1号の規定に違反している。」(特許異議申立書36頁1~4行) 請求項3に係る発明は、訂正により、削除されたため、申立理由3-4は却下された。 4.むすび 以上のとおり、本件特許発明1、本件特許発明4乃至本件特許発明7に係る特許は、取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件特許発明1、本件特許発明4乃至本件特許発明7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2及び3に係る特許は訂正により削除されたため、本件特許の請求項2及び3に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700422

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