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特許拒絶査定不服審判

2024-014697

アライメントセンサーとビーム測定センサーを備えている荷電粒子リソグラフィシステム

審判番号
2024-014697
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-036220
請求日
2024年09月13日
審決日
2026年03月23日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】大貫 敏史
  • 【請求人代理人】江口 昭彦
  • 【請求人代理人】内藤 和彦
審判長/審判官
  • 審判長 波多江 進
  • 審判官 藤田 年彦
  • 審判官 堀井 康司
分類
P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第44条、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 36220「アライメントセンサーとビーム測定センサーを備えている荷電粒子リソグラフィシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 5月11日出願公開、特開2022- 69530〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 出願分割の経緯の概略 本願は、令和4年3月9日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2012年(平成24年)3月8日(以下「優先日」という。) 米国)、平成25年3月8日に出願した特願2014-560393号を最先の出願とする、いわゆる第3世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。 最先の出願 :特願2014-560393号(平成25年 3月 8日) 第1世代分割:特願2017-220887号(平成29年11月16日) 第2世代分割:特願2019-186915号(令和 元年10月10日) 第3世代分割:特願2022-036200号(令和 4年 3月 9日) 2 本願の手続の経緯の概略 本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和4年 3月10日 :翻訳文の提出 同年 4月 8日 :手続補正書の提出 同月19日 :上申書、手続補正書の提出 令和5年 4月18日付け:拒絶理由通知書 同年10月12日 :意見書、手続補正書の提出 同年12月 8日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和6年 3月13日 :意見書、手続補正書の提出 同年 5月 2日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月13日 :原査定の謄本の送達) 同年 9月13日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年9月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年9月13日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 令和6年9月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年10月12日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 ビームグリッドとして、基板の表面上に複数の荷電粒子ビームレットを投影するためのマルチビームレット荷電粒子露光装置であって、 ターゲットのターゲット表面に複数の荷電粒子ビームレットを投影するように構成された投影系と、 移動可能なチャックであって、前記チャックの表面に設けられた少なくとも第一の位置マークおよび第二の位置マークを含む、移動可能なチャックと、 前記チャックを移動するように構成されたアクチュエーターシステムと、 前記チャックの位置を測定するように構成されたチャック位置測定系であって、前記投影系に対して前記チャックの前記位置を測定するように構成された二つ以上の干渉計を備える、チャック位置測定系と、 位置マークの位置を測定するための位置マーク測定系であって、前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを検出するように構成された、少なくとも第一のアライメントセンサーおよび第二のアライメントセンサーを含む、位置マーク測定系と、 高さ測定系であって、前記位置マーク測定系に対する基準表面の距離、および/または、傾斜に関する少なくとも一つの値を測定するように構成され、前記基準表面は前記チャック上に設けられ、前記基準表面は前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを提供する、高さ測定系と、 前記チャック上に設けられ、前記荷電粒子ビームレットの一つ以上のパラメーターを検出して、前記位置マーク測定系に対する前記荷電粒子ビームレットの位置を決定するように構成された、ビームレット測定センサーと を含む、マルチビームレット荷電粒子露光装置。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 ビームグリッドとして、基板の表面上に複数の荷電粒子ビームレットを投影するためのマルチビームレット荷電粒子露光装置であって、 ターゲットのターゲット表面に複数の荷電粒子ビームレットを投影するように構成された投影系と、 移動可能なチャックであって、前記チャックの表面に設けられた少なくとも第一の位置マークおよび第二の位置マークを含む、移動可能なチャックと、 前記チャックを移動するように構成されたアクチュエーターシステムと、 前記チャックの位置を測定するように構成されたチャック位置測定系であって、前記投影系に対して前記チャックの前記位置を測定するように構成された二つ以上の干渉計を備える、チャック位置測定系と、 位置マークの位置を測定するための位置マーク測定系であって、前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを検出するように構成された、少なくとも第一のアライメントセンサーおよび第二のアライメントセンサーを含む、位置マーク測定系と、 高さ測定系であって、前記位置マーク測定系に対する基準表面の距離、および/または、傾斜に関する少なくとも一つの値を測定するように構成され、前記基準表面は前記チャック上に設けられ、前記基準表面は前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを提供する、高さ測定系と、 前記チャック上に設けられ、前記荷電粒子ビームレットの一つ以上のパラメーターを検出して、前記位置マーク測定系に対する前記荷電粒子ビームレットの位置を決定するように構成された、ビームレット測定センサーと を含み、 前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークは、表面上は、前記第一のアライメントセンサーと前記第二のアライメントセンサーとの間のセパレーションと同じセパレーションに配置される、 マルチビームレット荷電粒子露光装置。」 2 本件補正の目的 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「第一の位置マーク」及び「第二の位置マーク」について、「前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークは、表面上は、前記第一のアライメントセンサーと前記第二のアライメントセンサーとの間のセパレーションと同じセパレーションに配置される」ものであることに限定するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Hまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】、【図3】、【図13】及び【図14a】を掲載し、対応する図内の番号を、本件補正発明の構成に括弧書きで付した。 <本件補正発明の分説> X ビームグリッドとして、基板の表面(312)上に複数の荷電粒子ビームレット(7)を投影するためのマルチビームレット荷電粒子露光装置(1)であって、 A ターゲット(24)のターゲット表面(13)に複数の荷電粒子ビームレット(7)を投影するように構成された投影系(311)と、 B 移動可能なチャック(313)であって、前記チャックの表面に設けられた少なくとも第一の位置マーク(490)および第二の位置マーク(495)を含む、移動可能なチャック(313)と、 C 前記チャック(313)を移動するように構成されたアクチュエーターシステムと、 D 前記チャック(313)の位置を測定するように構成されたチャック位置測定系であって、前記投影系(311)に対して前記チャック(313)の前記位置を測定するように構成された二つ以上の干渉計(315)を備える、チャック位置測定系と、 E 位置マークの位置を測定するための位置マーク測定系(317)であって、前記第一の位置マーク(495)および前記第二の位置マーク(490)を検出するように構成された、少なくとも第一のアライメントセンサー(361)および第二のアライメントセンサー(362)を含む、位置マーク測定系(317)と、 F 高さ測定系(320)であって、前記位置マーク測定系(317)に対する基準表面(485)の距離、および/または、傾斜に関する少なくとも一つの値を測定するように構成され、前記基準表面(485)は前記チャック(313)上に設けられ、前記基準表面(485)は前記第一の位置マーク(495)および前記第二の位置マーク(490)を提供する、高さ測定系(320)と、 G 前記チャック(313)上に設けられ、前記荷電粒子ビームレット(7)の一つ以上のパラメーターを検出して、前記位置マーク測定系(317)に対する前記荷電粒子ビームレット(7)の位置を決定するように構成された、ビームレット測定センサー(460)と を含み、 H 前記第一の位置マーク(495)および前記第二の位置マーク(490)は、表面上は、前記第一のアライメントセンサー(361)と前記第二のアライメントセンサー(362)との間のセパレーションと同じセパレーションに配置される、 X マルチビームレット荷電粒子露光装置(1)。 <参考図> 【図1】 [図:0001438751000001.jpg] 【図3】 [図:0001438751000002.jpg] 【図13】 [図:0001438751000003.jpg] 【図14a】 [図:0001438751000004.jpg] イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、パターンを基板の表面に転写するためのマルチビームレット荷電粒子リソグラフィシステムおよび方法に関し、特には、アライメントセンサーとビーム測定センサーを有しているリソグラフィシステムと、そのシステムを使用する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 半導体産業では、より小さい構造体を高い精度および信頼性で製造したいという常に増大する要望が存在する。荷電粒子リソグラフィは、高い要求を満たす有望なテクノロジーである。この種のリソグラフィでは、荷電粒子が、基板(一般にウェーハ)のターゲット表面上に転写するように操作される。 【0003】 リソグラフィ処理は一般に、次々に形成される層の中に形成される特徴が、集積回路を作り出すように連結されるように、互いの上面の複数層の露出を内包している。したがって、後の露出セッションにおいて露出されるパターンは、十分に正確な手法で先に作り出された一つ以上のパターンと整列されるべきである。同一基板上の一つの層中のパターンと、先にパターニングされた層中のパターンの間の位置差は、オーバーレイと呼ばれる。 【0004】 リソグラフィ装置などのマルチビーム荷電粒子露出装置におけるオーバーレイを制御するため、露出される基板と荷電粒子放射の間の関係が測定される。この目的のため、アライメントマークが、処理される基板上に存在する。しかしながら、処理される基板と、荷電粒子放射、または、そのような放射を基板上に直接投影するために使用される投影系との間の関係を測定することは可能でない。したがって、貴重な時間を要するマルチプル測定が必要とされる。 【0005】 多数の荷電粒子ビームレットの特性を測定するための、特に、リソグラフィシステムにおいて使用される荷電粒子ビームレットのためのセンサーは、本出願人に譲渡された米国特許出願公開第2007/057204号に説明されており、その内容は、参照によってそのままここに組み込まれる。 【0006】 米国第2007/057204号は、蛍光スクリーンやドープドYAG材料などのコンバーター要素を使用して、荷電粒子ビームレットが光ビームに変換されるセンサーおよび方法を説明している。続いて、光ビームは、ダイオード、CCDまたはCMOSデバイスなどの光感応検出器のアレイによって検出される。多数の光感応検出器を単一動作で読み取ることによって比較的速い測定が達成され得る。加えて、センサー構造、特に光検出器のアレイは、リソグラフィシステムのステージ部分の領域中に過度に大きな構造の測定機なしで、測定される多数のビームの非常に小さいピッチを可能にする。 【0007】 しかしながら、スループットの損失のない小さい寸法に関する産業の連続的に増大する要求を考慮すると、リソグラフィシステムにおける、特には、高スループットを提供するために設計された多数の荷電粒子ビームレットを包含するリソグラフィ機械装置における、ビームレット特性の測定のためのより正確なデバイスおよび技術を提供する必要が依然としてある。」 「【0015】 前記荷電粒子ビームレットを受けるための前記ビームレット測定センサーの前記表面と前記位置マークの間の(たとえば前記ビームレット測定センサーの前記荷電粒子遮断構造体と前記位置マークの前記光遮断構造体の間の)の既知の空間的関係は、前記システムが、前記ビームレット測定センサーを使用して得られた測定値と、前記位置マーク測定系を使用して得られた測定値の相関を取ることを可能にする。たとえば、(たとえば荷電粒子遮断構造体によって形成された前記ナイフエッジの一つ以上をビームレットが横切るときに)に前記ビームレット測定センサーよってなされたビームレット位置の測定と、ビームレット位置測定がなされたときに得られるチャック位置の測定は、ビームレット位置とチャック位置の間の関係を定めるために使用されることが可能である。前記ビームレット位置は、ただ一つのビームレットの位置、または一群のビームレットまたは前記ビームレットのすべての基準点であってよい。たとえば、一群のビームレットの幾何学的中心が基準点として使用されてよい。 【0016】 前記位置マーク測定系の前記アライメントセンサーが前記位置マークに対してある位置にあるときに(たとえば前記位置マークの光遮断構造体によって反射された光が前記アライメントセンサーに対する前記チャックのあるアライメントを示すときに)得られるチャック位置の測定は、チャック位置とアライメントセンサー位置の間の関係を定めるために使用されることが可能である。前記アライメントセンサー位置は、前記アライメントセンサーの基準点、たとえば前記アライメントセンサーの光ビームプロジェクターの位置であってよい。 【0017】 総合して、これらの二つの関係は、前記アライメントセンサーに対するビームレット位置の計算を可能にする。これは、前記アライメントセンサーと最終レンズ素子を保持している構造体の熱膨張、前記ビームレットのドリフト、その他などの影響に起因する前記ビームレットと前記アライメントセンサーの相対位置の変化のため、重要である。前記アライメントセンサーは、前記基板上の位置マークを測定するため、それから、前記基板と、前記基板に前に形成されたパターンに対するビームレットの正確な位置決めを可能にするために使用されることができる。」 「【0117】 好ましくは、第二のステップにおいて。チャック313は、基準プレート480がアライメントセンサー361,362の下に配置され、高さ測定系320または420などの高さ測定系は、基準プレート480の表面485までのアライメントセンサー361,362の距離を測定する。この高さ測定に基づいて、チャック313は、基準プレート表面485が高さ測定系の所定の平面内にあるように、必要なときに、z方向に移動され、Rx方向とRy方向に回転され得る。この第二のステップは、したがって、アライメント水準センサー361,362に対するz、Rx方向およびRy方向のzのチャック313の基準位置を定義し得る。」 (2) 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である特開2000-114137号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(ウ)の引用発明及び後記(エ)の引用文献1技術事項の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 「【要約】 【課題】 光学式マーク検出器を使用する電子ビーム露光装置におけるステージの移動距離を低減して、低コストで高精度の位置決め精度実現する。 【解決手段】 電子ビーム源11と、電子ビーム源の出力する電子ビームを収束するための収束手段13,16,19,20 と、電子ビームを偏向するための偏向手段21とを有する電子光学コラム10と、収束手段及び偏向手段を制御する制御装置8と、電子ビームが照射される試料100を保持するステージ31を移動するステージ移動機構32,33と、試料上又はステージ上の位置検出用マーク110を電子ビームで走査した時の反射電子を検出し、検出した反射電子の信号から位置検出用マークの位置を検出するマーク検出器22と、光学的に位置検出用マークの位置を検出する光学式マーク検出器とを備える電子ビーム露光装置において、光学式マーク検出器を、少なくとも2個23A,23B備える。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、露光位置の位置決めのための位置検出マークの検出を、電子ビームで位置検出マークを走査した時の反射電子を検出して行う方式と、光学的に位置検出用マークを検出する光学式マーク検出器を併用する電子ビーム露光装置及びそのような装置において露光位置の位置決めを行うアライメント方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、ステッパなどの光学的なパターン露光方式の限界が指摘されており、より微細なパターンを露光可能な方式として電子ビーム露光装置が注目されている。図1は、電子ビーム露光装置の基本構成を示す図である。電子銃11は電子ビームを放射するLaB6 などで作られたフィラメントである。電子銃11からの電子ビームは加速された後、ブランキング電極12を通過し、第1レンズ13でビーム成形用スリット14上に収束される。電子ビームは、更に第2レンズ16でアパーチャ17上に収束されるが、この時ビーム成形用静電偏向器15で方向を調整することにより、所定のビーム形状に成形される。成形された電子ビームは、第3レンズ19により縮小され、第4レンズ20により露光面上に結像される。電子ビームの照射位置は、位置指定用静電偏向器21による偏向量により決定される。後述するように、試料100上の電子ビームの照射位置は、試料に設けられた位置検出用マークを電子ビームで走査し、その反射散乱電子を電子検出器22で検出することにより検出される。なお、実際には、上記の要素の他に、複数の静電偏向器や電磁偏向器が設けられるのが、ここでは省略してある。以上のような要素を有する筐体を電子光学コラムと呼んでおり、参照番号10はこの電子光学コラムを示す。電子光学コラムの各部は、制御回路8により制御される。」 [図:0001438751000005.jpg] 「【0007】図1に戻って、試料100はステージ31上に載置される。ステージ31は、2次元移動機構によりXYの2方向に移動可能であり、その機構例を図3に示す。参照番号33は移動機構のベースであり、その上にはX方向の移動機構が設けられており、DCサーボモータ45を駆動することによりX移動台32がX方向に移動する。X移動台32の上にはY方向の移動機構が設けられており、DCサーボモータ46を駆動することによりステージ31がY方向に移動する。ステージ31の移動量はレーザ干渉計により測定される。周波数安定化レーザ36から出射されたレーザビームは、2つのビームに分けられ、ベース33に固定されたX方向レーザ干渉ユニット37とY方向レーザ干渉ユニット38に入力される。X方向レーザ干渉ユニット37に入射したレーザビームは2つに分割されて出射され、一方のレーザビーム42はベース33に固定された参照ミラー39で逆方向に反射されて再びX方向レーザ干渉ユニット37に戻る。他方のレーザビーム41はステージ31に固定されたミラー34で逆方向に反射されて再びX方向レーザ干渉ユニット37に戻る。戻った2つのレーザビームはX方向レーザ干渉ユニット37内で合成されて干渉縞を生じる。ステージ31(当審注:「ステージ34」は「ステージ31」の誤記と認められるから、誤記を正して摘記した。以下同様。)がX方向に移動してミラー34の位置が変化すると干渉縞が変化するので、その変化を計数すると、ステージ31のX方向の移動量が検出できる。Y方向レーザ干渉ユニット38についても同様であり、ステージ31にはミラー35が設けられ、Y方向レーザ干渉ユニット38から出射されるレーザビーム43を逆方向に反射し、ステージ31(当審注:「ステージ35」は「ステージ31」の誤記と認められるから、誤記を正して摘記した。)のY方向の移動量が検出できる。」 [図:0001438751000006.jpg] 「【0008】従って、ミラー34と35は、ステージ35が移動してもX方向及びY方向レーザ干渉ユニット37、38から出射されるレーザビーム41と43を反射する必要があり、図示のように、ミラー34と35の長さはステージ35の移動範囲に相当する長さ以上であることが必要である。図1の制御部8は、電子検出器22と光学式マーク検出器23の出力や、描画パターンデータなどから制御信号を生成して、電子光学コラム10の各部や2次元移動機構を制御する。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】ここで、ステージ31が必要とする移動範囲について、図4を参照して考える。図4の(1)は、電子光学コラム10の中心が試料100の中心に位置している状態を示している。電子ビームの照射範囲は中心付近の狭い領域なので、試料100の全面を露光するには、試料100の露光域が電子光学コラム10の中心に位置するようにステージが移動できることが必要である。ここでは説明を簡単にするために、試料100の全面が露光域であるとする。従って、図4の(1)の状態からXとYの両方向に、それぞれ逆方向に試料の半径に相当する長さ移動できることが必要である。また、上記のように、マーク110を検出するにはマーク110が光学式マーク検出器23の直下に位置することが必要である。そのため、マーク110が試料100の周辺に位置するとすれば、試料の光学式マーク検出器23の直下に位置するようにステージが移動できることが必要である。図4の(2)は、試料100のもっとも左側に或るマーク110が光学式マーク検出器23の直下に位置する状態を示している。」 [図:0001438751000007.jpg] 「【0010】従って、ステージ31は、Y方向については、図4の(1)の状態から上下両方向に試料の半径に相当する長さ移動できることが必要である。すなわち、Y方向の移動距離は試料100の直径と同じである。X方向については、図4の(1)の状態からステージ31を左側に試料の半径に相当する長さ移動した状態と図4の(2)の状態の間で移動できることが必要である。そのため、X方向の移動距離は、試料100の直径と電子光学コラム10と光学式マーク検出器23の中心間の距離Lの和である。従って、光学式マーク検出器23を使用すると、ステージ31の移動距離を、電子光学コラム10と光学式マーク検出器23の中心間の距離Lだけ余分に長くすることが必要である。 【0011】上記のように、レーザ干渉計からのレーザビームを反射するミラー34と35は、ステージ31の移動距離以上の長さを有する必要がある。そのため、X方向の移動距離を長くすると、その分ミラー34を長くする必要があり、ミラー34はステージ31に設けられるので、ステージ31を長くする必要が生じる。これは、ミラー34やステージ31のコストを増加させるだけでなく、ステージ31の大型化による移動精度やミラー34の精度低下による移動距離の検出精度の低下を招く。更に、ステージ31が大型化するため、ステージ31の重量が増加し、制御性の低下も生じる。 【0012】本発明は、このような問題を解決するもので、光学式マーク検出器を使用する電子ビーム露光装置におけるステージの移動距離を低減して、低コストで高精度の位置決め精度を有する電子ビーム露光装置及びそれにおけるアライメント方法を実現することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明の電子ビーム露光装置は、上記目的を実現するため、光学式マーク検出器を複数個備える。すなわち、本発明の電子ビーム露光装置は、電子ビーム源と、電子ビーム源の出力する電子ビームを収束するための収束手段と、電子ビームを偏向するための偏向手段とを有する電子光学コラムと、収束手段及び偏向手段を制御する制御装置と、電子ビームが照射される試料を保持するステージを移動するステージ移動機構と、試料上又はステージ上の位置検出用マークを電子ビームで走査した時の反射電子を検出し、検出した反射電子の信号から位置検出用マークの位置を検出するマーク検出器と、光学的に前記位置検出用マークの位置を検出する光学式マーク検出器とを備える電子ビーム露光装置において、光学式マーク検出器を、少なくとも2個備えることを特徴とする。」 「【0016】もし、試料が大きく、電子光学コラムの両側に配置された光学式マーク検出器の距離が試料の直径より小さければ、移動距離は試料の大きさに相当する距離であり、光学式マーク検出器を設けても移動距離を長くする必要はない。また、この場合、複数の光学式マーク検出器で同時に位置検出用マークを検出でき、その場合には少なくとも2個の光学式マーク検出器で、複数の位置検出用マークの位置を略同時に検出すれば、アライメントに要する時間を低減できる。」 「【0018】 【発明の実施の形態】図5は、本発明の第1実施例の電子ビーム露光装置の各要素の配置関係を示す図である。図示のように、2個の光学式マーク検出器23Aと23Bが設けられている点が従来例と異なり、他は図1から図3に示した従来例と同じである。第1実施例の電子ビーム露光装置では、2個の光学式マーク検出器23Aと23Bが、電子光学コラム10の中心軸に対して、反対方向に配置されている。電子光学コラム10と各光学式マーク検出器23A又は23Bの中心間の距離をLとする。従って、2個の光学式マーク検出器23Aと23Bの中心間の距離は、2Lである。」 [図:0001438751000008.jpg] 「【0020】X方向の移動範囲については、図6を参照して説明する。図6の(1)は、右側の光学式マーク検出器23Aが試料100の右側の位置検出用マーク110の真上に位置している状態を示し、(2)は左側の光学式マーク検出器23Bが試料100の左側の位置検出用マーク110の真上に位置している状態を示している。第1実施例では、試料100の中心より右側にある位置検出用マーク110は、右側の光学式マーク検出器23Aで検出し、試料100の中心より左側にある位置検出用マーク110は、左側の光学式マーク検出器23Bで検出する。従って、試料100の中心が右側の光学式マーク検出器23Aの直下に位置している状態がステージ31がもっとも右側に移動した状態であり、試料100の中心が左側の光学式マーク検出器23Bの直下に位置している状態がステージ31がもっとも左側に移動した状態である。それぞれの状態になるには、図5の状態からそれぞれ右側と左側に、距離L(当審注:「距離L」は「距離L-試料100の中心と左側又は右側の位置検出用マーク110の間の距離」の誤りと認められる。)移動する必要がある。従って、移動距離は2L(当審注:「距離2L」は「2距離L-試料100の中心と左側又は右側の位置検出用マーク110の間の距離の2倍」の誤りと認められる。)である。」 [図:0001438751000009.jpg] 「【0021】前述のように、光学式マーク検出器を1個使用した場合のX方向の移動距離は試料100の直径と、電子光学コラム10と光学式マーク検出器との間の距離Lの和である。従って、Lが試料100の直径より小さければ、従来例に比べて移動距離を小さくできる。現在の電子ビーム露光装置では、一般にLの方が試料100の直径より小さいので、本発明を適用することにより、ステージ31の移動距離を小さくできる。従って、ミラー34の長さも短くできる。 【0022】第1実施例の電子ビーム露光装置でアライメントを行う場合には、まずキャリブレーションを行う。キャリブレーション(当審注:キョリブレーション」との誤記を正して摘記した。)では、電子ビームで走査しても検出することができ且つ光学式マーク検出器23Aと23Bでも検出できるマーク110を形成した参照用試料(ウエハ)100を使用する。マーク110は、参照用試料100の左半分と右半分にそれぞれ1個以上設けられている。参照用試料100をステージ31上に載置し、このマーク110を電子ビームで走査して電子光学コラム10の移動機構の座標に対する位置関係を求める。次に右半分にあるマーク110を光学式マーク検出器23Aで検出して光学式マーク検出器23Aと移動機構の座標に対する位置関係を求める。同様に、左半分にあるマーク110を光学式マーク検出器23Bで検出して光学式マーク検出器23Bと移動機構の座標に対する位置関係を求める。これらの関係から電子光学コラム10と光学式マーク検出器23Aと23Bの位置関係を求める。この結果、2個の光学式マーク検出器23Aと23Bの位置関係も求められることになる。 【0023】キャリブレーションが終了すると、露光動作を行う。露光する試料の位置検出用マーク110は電子ビームの走査では検出できない。試料の右半分に位置する位置検出用マーク110を検出する時には、この位置検出用マークを右側の光学式マーク検出器23Aの直下に移動してマーク110を検出する。検出したマーク110の位置と上記のキャリブレーションで求めた関係から算出した分だけステージ31を移動することで、所望の位置に電子ビームを露光することができる。他の位置検出用マークについても同様であり、試料の左半分に位置する位置検出用マーク110を検出する時には、左側の光学式マーク検出器23Bを使用する。なお、一旦キャリブレーションを行っても、温度変化などに応じて位置関係が変化するので、試料の代わりに参照用試料を載置してキャリブレーションを適宜行う。 【0024】また、ステージ移動機構が固定される装置のベースと電子光学コラムの間の振動や温度により位置関係が変化する。そのため、電子光学コラムの装置のベースに対する位置関係の変化をレーザ干渉計で常時検出し、露光位置を補正することが行われている。光学式マーク検出器についても位置関係が変化することが考えられるので、ベースに対する位置関係の変化をレーザ干渉計で同様に検出することが望ましい。そして、その検出結果に基づいて、アライメントの値を補正することが望ましい。 【0025】図7は、本発明の第2実施例の電子ビーム露光装置の各要素の配置関係を示す図である。図示のように、第1実施例とは、ステージ31上にキャリブレーション用の位置検出マーク51と52が設けられている点が異なる。キャリブレーションを行う時には、右側の位置検出マーク51を電子ビームを走査して位置を検出すると共に、図8の(1)に示すように、右側の光学式マーク検出器23Aで検出し、電子光学コラムと右側の光学式マーク検出器23Aとの位置関係を求める。次に、左側の位置検出マーク52を電子ビームを走査して位置を検出すると共に、図8の(2)に示すように、左側の光学式マーク検出器23Bで検出し、電子光学コラムと左側(当審注:「右側」は「左側」の誤記と認められるから、誤記を正して摘記した。)の光学式マーク検出器23Bとの位置関係を求める。他は第1実施例と同じである。」 [図:0001438751000010.jpg] [図:0001438751000011.jpg] (イ) 引用文献1に記載された事項から当業者が把握できる事項 【0018】の「図5は、本発明の第1実施例の電子ビーム露光装置の各要素の配置関係を示す図である。図示のように、2個の光学式マーク検出器23Aと23Bが設けられている点が従来例と異なり、他は図1から図3に示した従来例と同じである」及び【0025】の「図7は、本発明の第2実施例の電子ビーム露光装置の各要素の配置関係を示す図である。図示のように、第1実施例とは、ステージ31上にキャリブレーション用の位置検出マーク51と52が設けられている点が異なる。」との記載から、従来の電子ビームの基本構成に係る【0007】の記載及びキャリブレーション用のマーク110を形成した参照用試料(ウエハ)100を使用することを除く【0022】~【0024】の第1実施例に係る記載が、第2実施例にも該当することが理解できる。 (ウ) 引用発明の認定 前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項及び前記(イ)の引用文献1に記載された事項から当業者が把握できる事項を総合すると、引用文献1には、第2実施例(【図7】、【図8】)に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。x等は説明のために付した。 <引用発明> 「a 電子ビーム源11と、電子ビーム源の出力する電子ビームを収束するための収束手段13,16,19,20と、電子ビームを偏向するための偏向手段21とを有する電子光学コラム10と、収束手段及び偏向手段を制御する制御装置8と、電子ビームが照射される試料100を保持するステージ31を移動するステージ移動機構32,33と、ステージ上の位置検出用マーク110を電子ビームで走査した時の反射電子を検出し、検出した反射電子の信号から位置検出用マークの位置を検出するマーク検出器22と、光学的に前記位置検出用マークの位置を検出する光学式マーク検出器23A,23Bとを備える電子ビーム露光装置において、光学式マーク検出器23A,23Bを、少なくとも2個備え(【0013】、符号については要約を参照した。)、 b 試料100はステージ31上に載置され、ステージ31は、2次元移動機構によりXYの2方向に移動可能であり、ステージ31の移動量はレーザ干渉計により測定され、レーザビームは、2つのビームに分けられ、ベース33に固定されたX方向レーザ干渉ユニット37とY方向レーザ干渉ユニット38に入力され、X方向レーザ干渉ユニット37に入射したレーザビームは2つに分割されて出射され、一方のレーザビーム42はベース33に固定された参照ミラー39で逆方向に反射されて再びX方向レーザ干渉ユニット37に戻り、他方のレーザビーム41はステージ31に固定されたミラー34で逆方向に反射されて再びX方向レーザ干渉ユニット37に戻り、戻った2つのレーザビームはX方向レーザ干渉ユニット37内で合成されて干渉縞を生じ、ステージ31がX方向に移動してミラー34の位置が変化すると干渉縞が変化するので、その変化を計数すると、ステージ31のX方向の移動量が検出でき、Y方向レーザ干渉ユニット38についても同様であり、ステージ31にはミラー35が設けられ、Y方向レーザ干渉ユニット38から出射されるレーザビーム43を逆方向に反射し、ステージ31のY方向の移動量が検出でき(【0007】、前記(イ))、 c ステージ31上にキャリブレーション用の位置検出マーク51と52が設けられ、キャリブレーションを行う時には、右側の位置検出マーク51を電子ビームを走査して位置を検出すると共に、右側の光学式マーク検出器23Aで検出し、電子光学コラムと右側の光学式マーク検出器23Aとの位置関係を求め、次に、左側の位置検出マーク52を電子ビームを走査して位置を検出すると共に、左側の光学式マーク検出器23Bで検出し、電子光学コラムと左側の光学式マーク検出器23Bとの位置関係を求め(【0025】)、これらの関係から電子光学コラム10と光学式マーク検出器23Aと23Bの位置関係を求め、この結果、2個の光学式マーク検出器23Aと23Bの位置関係も求められ(【0022】、前記(イ))、 d キャリブレーションが終了すると、露光動作を行い、試料の右半分に位置する位置検出用マーク110を検出する時には、この位置検出用マークを右側の光学式マーク検出器23Aの直下に移動してマーク110を検出し、検出したマーク110の位置と上記のキャリブレーションで求めた関係から算出した分だけステージ31を移動することで、所望の位置に電子ビームを露光することができ、他の位置検出用マークについても同様であり、試料の左半分に位置する位置検出用マーク110を検出する時には、左側の光学式マーク検出器23Bを使用し、一旦キャリブレーションを行っても、温度変化などに応じて位置関係が変化するので、キャリブレーションを適宜行い(【0023】、前記(イ))、 e ステージ移動機構が固定される装置のベースと電子光学コラムの間の振動や温度により位置関係が変化し、そのため、電子光学コラムの装置のベースに対する位置関係の変化をレーザ干渉計で常時検出し、露光位置を補正することが行われ、光学式マーク検出器についても位置関係が変化することが考えられるので、ベースに対する位置関係の変化をレーザ干渉計で同様に検出することが望ましく、そして、その検出結果に基づいて、アライメントの値を補正することが望ましい(【0024】、前記(イ))、 x 電子ビーム露光装置(【0013】、【0025】)。」 (エ) 引用文献1技術事項の認定 前記(ア)に摘記した引用文献1の【0016】の記載のとおり、引用文献1には、次の技術事項(以下「引用文献1技術事項」という。)が記載されているものと認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用文献1技術事項> 「試料が大きく、電子光学コラムの両側に配置された光学式マーク検出器の距離が試料の直径より小さければ、移動距離は試料の大きさに相当する距離であり、光学式マーク検出器を設けても移動距離を長くする必要はなく、この場合、複数の光学式マーク検出器で同時に位置検出用マークを検出でき、その場合には少なくとも2個の光学式マーク検出器で、複数の位置検出用マークの位置を略同時に検出すれば、アライメントに要する時間を低減できること(【0016】)。」 イ 引用文献2に記載された事項及び引用文献2技術事項の認定 (ア) 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である特開2005-116731号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、リソグラフィ技術に係り、特に、半導体プロセス等に用いられる電子ビーム描画技術に関する。 【背景技術】 【0002】 電子ビーム計測装置において、光でウエハ位置を検出し、電子ビームで計測する装置が提案されている。特開平9-22676号公報においては、光と電子ビームでそれぞれマーク位置を検出することで両者の距離を知り、その後、光でのマーク検出値を電子ビームの位置制御にフィードバックしていた。 【0003】 また、特開平1-214117号公報においては、光でウエハ位置を検出し、電子ビームで描画する方法を報告している。 【0004】 一方、特開平6-275500号公報においては、ステージ上にある開口を透過した透過電子で電子ビームの焦点や非点を計測する方法が提案されている。 【0005】 【特許文献1】特開平9-22676号公報 【0006】 【特許文献2】特開平1-214117号公報 【特許文献3】特開平6-275500号公報 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 上述した従来例(特許文献1)による方法では、双方ともマークからの反射信号を用いているので精度に限界があった。また、従来例(特許文献2)の場合も、検出は反射電子によって行われている。従って、両従来例ともに、マーク検出の精度に関して十分に考慮されているとは言いがたい。 【0008】 一方、従来例(特許文献3(当審注:「2」は「3」の誤記と認められるので、誤記を正して摘記した。))は、電子ビームの高精度な調整に有効なものの、描画時における下地ウエハパターンとの位置合わせに関しては何ら考慮されていない。 【0009】 そこで、本発明の目的は、光を用いたマーク検出を行う際に、高精度な合わせ描画を行うことを可能とする、電子ビーム描画技術を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上記目的を達成するために、本発明では、位置検出用の光ビームと、描画用の電子ビームに同じ側から照射される、支持体と開口部からなるマーク基板をステージ上に有し、照射側と反対方向に設けられた電子の受光面(ここでは、電子ビームを受ける面を光で使われている用語を受光面と呼ぶ)と、照射側と同じ方向に設けられた光の受光面とを有する電子ビーム描画装置を構成し、これにより、電子ビームは、効率、コントラストに優れた透過ビームで、光ビームは、ウエハマーク検出との互換性を図れる反射光で計測することを特徴とする。 【0011】 先述した従来例(特許文献1)では、電子ビームによる試料上パターンの計測を反射電子や2次電子で行うために、電子ビームのマーク検出も反射電子や2次電子で行うことが望ましかった。 【0012】 これに対して、本発明は、描画を行う装置であるために、電子ビームのマーク検出を透過電子で行うことが装置精度に悪影響を与えることはない。また、電子ビームでのマーク検出を試料位置以外で行うことにより、ステージに検出器を設置することが可能となり、透過電子を利用することが出来る。このように、本発明による検出方式は、描画装置の特性を活かすことで見出されたものである。」 「【0021】 (3)本発明の電子ビーム描画装置は、所定のピッチ間隔で配列された複数の電子ビームの各々を独立にオンオフ制御し、オンオフ制御された前記電子ビームをまとめて偏向走査せしめて、前記試料上に所望のパターンを描画する電子光学系と、前記試料を搭載するステージと、前記試料を搭載するステージと、前記ステージに設けられたマーク基板と、前記電子ビームの照射方向と同じ側にあって前記マーク基板を照射する位置検出用の光ビームを放射する手段と、前記光ビームを放射する手段と同じ側にあって前記マーク基板で反射した反射光を受光する光検出手段と、前記光検出手段とは前記マーク基板に関して反対側にあって前記電子ビームの前記マーク基板への照射により得られる透過電子を受光する電子検出手段とを有し、かつ、検出された前記反射光および前記透過電子をもとに前記光ビームと前記電子ビームとの相対的位置情報を求めるよう構成したことを特徴とする。」 「【発明の効果】 【0023】 本発明によれば、電子ビーム描画装置の高精度な合わせ描画を行うことができ、高解像なデバイスパターンの形成が可能となる。特に、マルチビーム電子ビーム描画装置に効果的と考えられる。」 「【0039】 (実施例3) 図5に、本実施例の装置構成を示す。本実施例では、マルチビーム方式の電子ビーム描画装置を対象とした。電子源510で50kVに加速された電子ビーム511は、コンデンサレンズ512を通して平行ビームとし、複数の穴の空いたアパーチャ-アレイ513により複数のポイントビームに分離され、その後段にあるレンズアレイ514によりポイントビームの中間像516に結像される。複数のポイントビームは、個別にオンオフ制御可能なようにブランカーアレイ515、ブランキング絞り519が設けられている。こうして作られたマルチポイントビームは、第1投影レンズ518と第2投影レンズ521からなるダブレットレンズ522により縮小されて試料524上に結像される。ダブレットレンズの2つのレンズの間には偏向器520があり、試料524上での描画位置を規定する。 【0040】 試料524を搭載するステージ525には、位置検出用のマーク基板526があり、ステージ525の位置を計測するレーザ干渉計(図示してない)と透過電子検出器527を用いることで電子ビームの位置を測定することが出来る。更に、装置にはステージ525上に設置された位置検出用のマーク基板526の他に反射光検出器523、光源528が設けられており光の位置を測定することができる。」 [図:0001438751000012.jpg] (イ) 図面から読み取れる事項の認定[引用文献2に記載された事項から読み取れる事項の認定] 引用文献2の【0040】の記載を踏まえつつ【図5】を参照すると、次の事項(以下「認定事項1」という。)が読み取れる。 <認定事項1> 「透過型電子検出器527は、位置検出用のマーク基板526の下方のステージ525上に設けられること。」 (ウ) 引用文献2技術事項の認定 前記(イ)において認定した事項及び前記(ア)に摘記した引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には、実施例3に係るマルチビーム方式の電子ビーム描画装置について、次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されているものと認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用文献2技術事項> 「マルチビーム方式の電子ビーム描画装置において、(【0039】) 従来、反射電子によって行われていたマーク検出の精度限界に対して、光を用いたマーク検出を行う際に、高精度な合わせ描画を行うことを可能とする、電子ビーム描画技術を提供することを目的として(【0002】~【0009】、 マルチポイントビームは、第1投影レンズ518と第2投影レンズ521からなるダブレットレンズ522により縮小されて試料524上に結像され(【0039】)、 試料524を搭載するステージ525には、位置検出用のマーク基板526があり、ステージ525の位置を計測するレーザ干渉計と透過電子検出器527を用いることで電子ビームの位置を測定することが出来、更に、装置にはステージ525上に設置された位置検出用のマーク基板526の他に反射光検出器523、光源528が設けられており光の位置を測定することができ(【0040】)、 透過型電子検出器527は、位置検出用のマーク基板526の下方のステージ525上に設けられること(認定事項1)。」 ウ 引用文献3~5に記載された事項及び周知技術の認定 (ア) 引用文献3に記載された事項 本審決において新たに引用する、優先日前に発行された文献である特開2002-203773号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 「【0047】アライメント検出器9は、ウエハ6の表面上のアライメントマーク6aの投影光学系5(図1)の光軸に垂直な方向であるX,Y方向位置と共に、アライメントマーク近傍面の高さと傾き、つまりZ,ωx,ωy方向の検出もできるように構成されている。即ち、アライメントマーク6aの光軸方向の位置を検出するAMフォーカス検出系26としての機能を合わせ持っている。このアライメント検出器9は、投影レンズ5を介さずに検出を行なうタイプであり、オフ・アクシス方式である。」 【図1】 [図:0001438751000013.jpg] 【図3】 [図:0001438751000014.jpg] 「【0048】光源を含む照明光学系21から出射した光束は、ライトガイド22経由でアライメント検出器9本体に出射され、ビームスプリッタ23で反射し、ミラー24を経てウエハ6上にあるアライメントマーク6aを照明する。ウエハ6上のアライメントマーク6aによって反射した信号光は、再び順にミラー24を経てビームスプリッタ23に入射する。ビームスプリッタ23に入射した信号光は、ビームスプリッタ23を透過し、CCDカメラ25の撮像面25a上にアライメントマーク像を結像する。CCDカメラ25からのアライメントマーク像に基づく画像信号は、アライメント計測系14に転送され、アライメントマーク像と事前に得たアライメント検出器9内にある基準マーク像(不図示)の両者を比較し、アライメントマーク6aのX,Y方向位置を計測している。 【0049】また、アライメント検出器9に設けられたAM(Alignment Mark)フォーカス検出系26は、アライメント検出器9の対物光軸近傍のアライメントマーク近傍面が検出可能となるよう、光束を放射する投光系26aと反射光の位置情報を検出する受光系26bがアライメント検出器9の対物光軸を挟んで対称に設けられている。これらの投光系26aと受光系26bは、全体として3個ずつ(不図示)搭載されており、アライメントマーク近傍面のウエハ面位置と傾き(傾斜差分値)が同時に測定可能である。」 (イ) 引用文献4に記載された事項 本審決において新たに引用する、優先日前に発行された文献である特許第4046961号公報(以下「引用文献7」という。)には、次の記載がある。 「【0032】 【発明の実施の形態】 以下に、本発明に係る実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。 [第1実施形態] 図4に示す投影露光装置のOA検出系(アライメント検出系)4について、図8の詳細図を参照して説明する。」 【図4】 [図:0001438751000015.jpg] 「【0033】 図8において、照明光源400(ファイバー等)から導光された光は、照明リレー光学系401、401’を通過する。照明系リレー光学系401、401’によって、ファイバー端面が後述する回転開口絞り415上に結像するように構成されている。尚、ここで、ファイバー端面、開口絞り415は後述する対物レンズの瞳位置PL(対物絞り)と共役な関係となっている。回転開口絞り415を通過した特定の光は、更に照明光学系402を通過した後、偏光ビームスプリッタ403に導かれる。偏光ビームスプリッタ403によって反射された紙面垂直なS偏光光は、リレーレンズ404、λ/4板409を通過した後、円偏光に変換され、対物レンズ405を通ってウエハ6上に形成されたアライメントマークAMをケーラー照明する。 【0034】 アライメントマークAMから発生した反射光、回折光、散乱光は、再度対物レンズ405、λ/4板409、リレーレンズ404を戻り、今度は紙面平行なP偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ403を通過し、結像光学系410によって、アライメントマークAMの像を光電変換素子411(例えばCCDカメラ)上に形成する。光電変換されたアライメントマーク像の位置に基づいて、ウエハ6の位置を検出する。 【0035】 この時、ウエハ6上のアライメントマークAMを精度良く検出する為には、アライメントマークAMの像が鮮明に検出されなければならない。つまり、OA検出系4のピントがアライメントマークAMに合っていなければならない。 【0036】 その為に、一般的には不図示のAF検出系が構成されており、その検出結果に基づいて、アライメントマークをOA検出系のベストフォーカス面に駆動して、アライメントマークの検出を行っている。」 【図8】 [図:0001438751000016.jpg] (ウ) 引用文献5に記載された事項 本審決において新たに引用する、優先日前に発行された文献である特開2000-323394号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。 「【0002】 【従来の技術】投影露光装置で、半導体ウエハ等の表面上に微細なパターンを露光する際には、このパターンの原版であるレチクルの投影像を前記ウエハ上に投影し、このウエハ上に塗布されたレジストを露光する。この露光処理においては、レチクルとウエハの位置を正確に合わせる必要がある。このため、レチクル上とウエハ上との双方に位置合わせ用のアライメントマークを形成し、これらのアライメントマークの位置を正確に計測して位置合わせを行う。 【0003】このような目的でウエハ上に設けられるアライメントマークの位置を計測するセンサをウエハアライメントセンサと呼ぶ。このウエハアライメントセンサには、光学的なセンサが多く用いられている。ウエハアライメントセンサによる、ウエハ上のアライメントマークの位置計測に先だって、ウエハアライメントセンサの光学系のピントをウエハ上のアライメントマークに合わせる必要がある。ピントが合っていないと、アライメントマークの位置計測精度が低下する等の不具合が発生するため、ウエハアライメントセンサの光学系のピント合わせは、アライメントマークの位置計測において重要である。このピント合わせのために、前記ウエハアライメントセンサとは別に、アライメントAFセンサ等が設けられることがある。 【0004】このアライメントAFセンサとして電荷蓄積型のセンサを用いて、ウエハ上のアライメントマークにピントを合わせる場合には、前記アライメントAFセンサの出力信号を適当なレベルにするために、センサが入射光を電荷に変換する際の、電荷の蓄積時間を適正な時間に調整する必要がある。また、このセンサの後段にアンプを設けた場合、このアンプのゲインを適正な値に調整する必要がある。その理由は、ウエハ上のアライメントマークは、半導体プロセスによって形成されるが、形成されるときのプロセスの種類や、アライメントマークが形成された面を構成する物質によって、その反射率が異なるからである。」 「【0027】本実施形態では、ステップ・アンド・リピート方式、又はステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンを転写するため、例えば特開昭61-44429号公報に開示されているエンハンスド・グローバル・アライメント(EGA)方式を採用する。 EGA方式では、ウエハW上の少なくとも3個、例えば5~10個のショット領域をアライメントショット領域として選択し、各アライメントショット領域に形成されるアライメントマークWMをアライメント系26で検出する。このとき、アライメント系26に組み込まれているアライメントAFセンサ(詳細後述)によってアライメントマーク毎にアライメント系26に対する焦点合わせが行われる。アライメントコントローラACは、前述の通りアライメントマークWM、即ちアライメントショット領域の座標値(Xi、Yi)(i=1、2、…)を算出するとともに、各アライメントショット領域におけるその算出された座標値及び設計上の座標値を統計処理することによって、ウエハW上の各ショット領域の座標値を決定する。この決定された座標値(位置情報)はステージコントローラSCに送られ、この位置情報に基づいてレチクルステージRSTとウエハステージWSTの移動を制御してレチクルRとウエハWとのアライメントを行うことによって、ウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンを正確に重ね合わせて転写することが可能となる。」 【図1】 [図:0001438751000017.jpg] 「【0028】次に、アライメント系26に組み込まれるアライメントAFセンサについて説明する。図1において、アライメントAF系用の光源(LED、レーザダイオードなど)12から射出される検出光はレンズ13、及びミラーMを介してスリット板14を照明する。スリット板14には少なくとも1つのスリットパターン14a(図1では1つ)が形成されており、このスリットパターン14aを透過した検出光は、ビームスプリッタ5で反射された後、レンズ6、ハーフミラーHM1、及び第1対物レンズ7を介してウエハW上に照射される。スリット板14は、合焦状態ではレンズ6及び第1対物レンズ7の合成系に関してウエハWの表面とほぼ共役に配置され、ウエハWの表面にスリットパターン14aの像が投影されるとともに、その投影位置がストリートライン(スクライブライン)上に定められている。 【0029】ウエハWで反射された光は、第1対物レンズ7、及びハーフミラーHM1を経てハーフミラーHM2に入射し、このハーフミラーHM2で反射された光がレンズ15を介して視野絞り16に達し、この視野絞り16上にスリットパターンの像が再結像される。視野絞り16は、合焦状態では第1対物レンズ7及びレンズ15の合成系に関してウエハWの表面とほぼ共役に配置され、スリットパターンの像以外の反射光がカットされる。視野絞り16を透過した光は、レンズ17を介して三角ミラー18に入射し、この三角ミラー18で2分割された後、レンズ19を介して光電センサ(例えば1次元CCD、又はラインセンサなど)20に入射する。アライメントAFセンサの出力(光電センサ20の検出信号)は後述の電気回路に供給され、その電気回路においてアライメント系26の焦点位置情報、即ちアライメント系26の光軸AXaに沿った方向(Z方向)に関するウエハWの表面の位置情報が検出される。この位置情報はアライメントコントローラACに送られ、ステージコントローラSCによってウエハテーブルWT(3つのアクチュエータ)の駆動量を制御してアライメント系26に対するウエハWの焦点合わせを行う。」 (エ) 周知技術1の認定 前記(ア)~(ウ)に示した引用文献3~5の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術(以下「周知技術1」という。)であったと認められる。 <周知技術1> 「露光装置において、位置検出マークを適切な条件で検出するために、光学式マーク検出器にフォーカス検出系(高さ測定系)を備えること。」 (3) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 「X ビームグリッドとして、基板の表面上に複数の荷電粒子ビームレットを投影するためのマルチビームレット荷電粒子露光装置」の発明であることについて 引用発明の「電子ビーム露光装置」は、本件補正発明の「荷電粒子露光装置」に相当する。また、引用発明の「電子ビーム露光装置」は、「試料100」に「電子ビーム」を「照射」(a参照)するものであり、電子ビーム露光装置における試料は基板であることは技術常識であるから、本件補正発明でいう「基板の表面上に」「荷電粒子」「を」照射「するための」ものであるといえる。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「X’基板の表面上に荷電粒子」「を」照射「するための」「荷電粒子露光装置」の発明である点で共通する。 しかし、荷電粒子露光装置が、本件補正発明においては、「ビームグリッドとして、」「複数の荷電粒子ビームレットを投影するためのマルチビームレット」のものであるのに対して、引用発明においては、ビームグリッドとして、複数のビームレットを投影するためのマルチビームレットのものではない点で相違する。 (イ) 「A ターゲットのターゲット表面に複数の荷電粒子ビームレットを投影するように構成された投影系」を含むことについて 引用発明における「電子光学コラム10」は、「電子ビーム源と、電子ビーム源の出力する電子ビームを収束するための収束手段と、電子ビームを偏向するための偏向手段とを有」し、「電子ビームが」「試料100」に「照射される」(a参照)こととなるのであるから、引用発明の「試料100」は、本件補正発明の「ターゲット」に相当する共に、本件補正発明の「投影系」と、引用発明の「電子光学コラム10」は、いずれも荷電粒子を照射するように構成されたものである点で共通する。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「A’ターゲットのターゲット表面に」「荷電粒子」「を」照射「するように構成された」照射系を含む点で共通する。 しかし、照射系について、本件補正発明においては、「複数の荷電粒子ビームレットを投影するように構成された投影系」であるのに対し、引用発明においては、複数のビームレットを投影する投影系ではない点で相違する。 (ウ) 「B 移動可能なチャックであって、前記チャックの表面に設けられた少なくとも第一の位置マークおよび第二の位置マークを含む、移動可能なチャック」を含むことについて 引用発明の「ステージ31」は、本件補正発明の「チャック」に相当する。そして、引用発明の「ステージ31」は、「2次元移動機構によりXYの2方向に移動可能であ[る]」(b参照)ことから、本件補正発明でいう「移動可能な」ものである。 また、引用発明の「位置検出マーク51と52」は、本件補正発明の「第一の位置マークおよび第二の位置マーク」に相当する。そして、引用発明は、「ステージ31上にキャリブレーション用の位置検出マーク51と52が設けられ」(c参照)ているから、引用発明の「ステージ31」は、本件補正発明でいう「前記チャックの表面に設けられた少なくとも第一の位置マークおよび第二の位置マークを含む」ものである。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「B 移動可能なチャックであって、前記チャックの表面に設けられた少なくとも第一の位置マークおよび第二の位置マークを含む、移動可能なチャック」を含む点で一致する。 (エ) 「C 前記チャックを移動するように構成されたアクチュエーターシステム」を含むことについて 引用発明の「2次元移動機構」は、本件補正発明の「アクチュエーターシステム」に相当する。そして、引用発明の「2次元移動機構」は、「ステージ31」を「XYの2方向に移動可能」(b参照)にするものであるから、本件補正発明でいう「前記チャックを移動するように構成された」ものであるといえる。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「C 前記チャックを移動するように構成されたアクチュエーターシステム」を含む点で一致する。 (オ) 「D 前記チャックの位置を測定するように構成されたチャック位置測定系であって、前記投影系に対して前記チャックの前記位置を測定するように構成された二つ以上の干渉計を備える、チャック位置測定系」を含むことについて 引用発明の「レーザ干渉計」は、「ステージ31の移動量」を「測定」(b参照)するものであるから、本件補正発明の「チャック位置測定系」に相当するとともに、本件補正発明でいう「前記チャックの位置を測定するように構成された」ものであるといえる。 また、引用発明は、「X方向レーザ干渉ユニット37に入射したレーザビームは2つに分割されて出射され、一方のレーザビーム42はベース33に固定された参照ミラー39で逆方向に反射されて再びX方向レーザ干渉ユニット37に戻り、他方のレーザビーム41はステージ31に固定されたミラー34で逆方向に反射されて再びX方向レーザ干渉ユニット37に戻り、戻った2つのレーザビームはX方向レーザ干渉ユニット37内で合成されて干渉縞を生じ、ステージ31がX方向に移動してミラー34の位置が変化すると干渉縞が変化する」ことからみて、前記「ステージ31の移動量」とは、ベース33に対するステージ31の移動量を意味することが理解できる。 さらに、引用発明は、「e ステージ移動機構が固定される装置のベースと電子光学コラムの間の振動や温度により位置関係が変化し、そのため、電子光学コラムの装置のベースに対する位置関係の変化をレーザ干渉計で常時検出[する]」ものであることから、引用発明の「レーザ干渉計」は、ベース33を介して、電子光学コラム10に対するステージ31の移動量を検出するものであるということもできる。したがって、引用発明の「レーザ干渉計」は、本件補正発明でいう「前記投影系に対して前記チャックの前記位置を測定するように構成された」ものであるといえる。 さらに、引用発明の「レーザ干渉計」は、「X方向レーザ干渉ユニット37」と「Y方向レーザ干渉ユニット38」を備えるものと理解されるから(b参照)、本件補正発明でいう「二つ以上の干渉計を備える」ものであるといえる。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「D’前記チャックの位置を測定するように構成されたチャック位置測定系であって、前記」照射系「に対して前記チャックの前記位置を測定するように構成された二つ以上の干渉計を備える、チャック位置測定系」の点で共通する。 しかし、照射系について、本件補正発明においては、「複数の荷電粒子ビームレットを投影するように構成された投影系」であるのに対し、引用発明においては、複数のビームレットを投影する投影系ではない点で相違する。 (カ) 「E 位置マークの位置を測定するための位置マーク測定系であって、前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを検出するように構成された、少なくとも第一のアライメントセンサーおよび第二のアライメントセンサーを含む、位置マーク測定系」を含むことについて 引用発明の「右側の光学式マーク検出器23A」及び「左側の光学式マーク検出器23B」は、それぞれ、「右側の位置検出マーク51」及び「左側の位置検出マーク52」を「検出」(c参照)するものであるから、本件補正発明の「第一のアライメントセンサーおよび第二のアライメントセンサー」に相当すると共に、本件補正発明でいう「位置マークの位置を測定するための」ものであり、かつ、[前記第一の位置マークおよび第二の位置マークを検出するように構成された」ものであるといえる。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「E 位置マークの位置を測定するための位置マーク測定系であって、前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを検出するように構成された、少なくとも第一のアライメントセンサーおよび第二のアライメントセンサーを含む、位置マーク測定系」を含む点で一致する。 (キ) 「F 高さ測定系であって、前記位置マーク測定系に対する基準表面の距離、および/または、傾斜に関する少なくとも一つの値を測定するように構成され、前記基準表面は前記チャック上に設けられ、前記基準表面は前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを提供する、高さ測定系」を含むことについて 引用発明の「光学式マーク検出器23Aで検出」される「位置検出マーク51」と、「光学式マーク検出器23Bで検出」される「位置検出マーク52」「が設けられ」た「ステージ31上」(c参照)の表面領域は、本件補正発明の「基準表面」に相当するといえるとともに、本件補正発明でいう「前記チャック上に設けられ、前記基準表面は前記第一の位置マーク及び第二の位置マークを提供する」ものであるといえる。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「F’基準表面は前記チャック上に設けられ、前記基準表面は前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを提供する」点で共通する。 しかし、本件補正発明においては、「高さ測定系であって、前記位置マーク測定系に対する基準表面の距離、および/または、傾斜に関する少なくとも一つの値を測定するように構成され[る]」「高さ測定系」を含むのに対し、引用発明においては、そのような高さ測定系を備えることが特定されていない点で相違する。 (ク) 「G 前記チャック上に設けられ、前記荷電粒子ビームレットの一つ以上のパラメーターを検出して、前記位置マーク測定系に対する前記荷電粒子ビームレットの位置を決定するように構成された、ビームレット測定センサー」を含むことについて 引用発明の「マーク検出器22」は、「試料上又はステージ上の位置検出用マーク110を電子ビームで走査した時の反射電子を検出し、検出した反射電子の信号から位置検出用マークの位置を検出する」ものであるから、本件補正発明の「荷電粒子」の「測定センサー」に相当するとともに、本件補正発明でいう「前記荷電粒子」「の一つ以上のパラメーターを検出[する]」ものであるといえる。 また、引用発明は、「c ステージ31上にキャリブレーション用の位置検出マーク51と52が設けられ、キャリブレーションを行う時には、右側の位置検出マーク51を電子ビームを走査して位置を検出すると共に、右側の光学式マーク検出器23Aで検出し、電子光学コラムと右側の光学式マーク検出器23Aとの位置関係を求め、次に、左側の位置検出マーク52を電子ビームを走査して位置を検出すると共に、左側の光学式マーク検出器23Bで検出し、電子光学コラムと左側の光学式マーク検出器23Bとの位置関係を求め[る]」ものであるところ、当該「電子光学コラムと右側の光学式マーク検出器23Aとの位置関係」及び「電子光学コラムと左側の光学式マーク検出器23Bとの位置関係」は、「電子ビームを走査して位置を検出する」ことに基づいて求められることから、電子ビームと右側/左側の光学式マーク検出器23A、Bとの位置関係を意味していることが理解される。そうすると、引用発明の「マーク検出器22」は、本件補正発明でいう「位置マーク測定系に対する荷電粒子の位置を決定するように構成された」ものであるといえる。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「G’前記荷電粒子」「の一つ以上のパラメーターを検出して、前記位置マーク測定系に対する前記荷電粒子」「の位置を決定するように構成された、」「測定センサー」を含む点で共通する。 しかし、測定センサーによって検出される荷電粒子について、本件補正発明においては、「ビームレット」であるのに対し、引用発明においては、ビームレットではない点で相違する。 また、測定センサーについて、本件補正発明においては、「チャック上に設けられ[る]」のに対し、引用発明においては、「ステージ上の位置検出用マークを電子ビームで走査した時の反射電子を検出し、検出した反射電子の信号から位置検出用マークの位置を検出する」ものであるから、ステージ上に設けられるものではない点で相違する。 (ケ) 「H 前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークは、表面上は、前記第一のアライメントセンサーと前記第二のアライメントセンサーとの間のセパレーションと同じセパレーションに配置される」ことについて 引用発明においては、「右側の位置検出マーク51」と「左側の位置検出マーク52」のセパレーションと、「右側の光学式マーク検出器23A」と「左側の光学式マーク検出器23B」のセパレーションの関係は不明である したがって、本件補正発明においては、「H 前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークは、表面上は、前記第一のアライメントセンサーと前記第二のアライメントセンサーとの間のセパレーションと同じセパレーションに配置される」のに対し、引用発明においては、「右側の位置検出マーク51」と「左側の位置検出マーク52」のセパレーションと、「右側の光学式マーク検出器23A」と「左側の光学式マーク検出器23B」のセパレーションの関係は不明である点で相違する。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次の(ア)及び(イ)に示すとおりである。 (ア) 一致点 「X’基板の表面上に荷電粒子を照射するための荷電粒子露光装置であって、 A’ターゲットのターゲット表面に荷電粒子を照射するように構成された照射系と、 B 移動可能なチャックであって、前記チャックの表面に設けられた少なくとも第一の位置マークおよび第二の位置マークを含む、移動可能なチャックと、 C 前記チャックを移動するように構成されたアクチュエーターシステムと、 D’前記チャックの位置を測定するように構成されたチャック位置測定系であって、前記照射系に対して前記チャックの前記位置を測定するように構成された二つ以上の干渉計を備える、チャック位置測定系と、 E 位置マークの位置を測定するための位置マーク測定系であって、前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを検出するように構成された、少なくとも第一のアライメントセンサーおよび第二のアライメントセンサーを含む、位置マーク測定系と、 F’基準表面は前記チャック上に設けられ、基準表面は前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークを提供し、 G’前記荷電粒子の一つ以上のパラメーターを検出して、前記位置マーク測定系に対する前記荷電粒子の位置を決定するように構成された、ビーム測定センサーと を含む、 X 荷電粒子露光装置。」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1(構成X) 荷電粒子露光装置について、本件補正発明においては、「ビームグリッドとして、」「複数の荷電粒子ビームレットを投影するためのマルチビームレット」のものであるのに対して、引用発明においては、ビームグリッドとして、複数のビームレットを投影するためのマルチビームレットのものではない点。 b 相違点2(構成A、D') 照射系について、本件補正発明においては、「複数の荷電粒子ビームレットを投影するように構成された投影系」であるのに対し、引用発明においては、複数のビームレットを投影する投影系ではない点。 c 相違点3(構成F) 本件補正発明においては、「高さ測定系であって、前記位置マーク測定系に対する基準表面の距離、および/または、傾斜に関する少なくとも一つの値を測定するように構成され[る]」「高さ測定系」を備えるのに対し、引用発明においては、そのような高さ測定系を備えることが特定されていない点。 d 相違点4(構成G) 測定センサーによって検出される荷電粒子について、本件補正発明においては、「ビームレット」であるのに対し、引用発明においては、ビームレットではない点。 e 相違点5(構成G) 測定センサーについて、本件補正発明においては、「チャック上に設けられ[る]」のに対し、引用発明においては、「ステージ上の位置検出用マークを電子ビームで走査した時の反射電子を検出し、検出した反射電子の信号から位置検出用マークの位置を検出する」ものであるから、ステージ上に設けられるものではない点。 f 相違点6(構成H) 本件補正発明においては、「H 前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークは、表面上は、前記第一のアライメントセンサーと前記第二のアライメントセンサーとの間のセパレーションと同じセパレーションに配置される」のに対し、引用発明においては、「右側の位置検出マーク51」と「左側の位置検出マーク52」のセパレーションと、「右側の光学式マーク検出器23A」と「左側の光学式マーク検出器23B」のセパレーションの関係は不明である点。 (4) 判断 ア 相違点1、2及び4について 相違点1、2及び4は、互いに関連するのでまとめて検討する。 前記(2)イ(ウ)で示した引用文献2技術事項に例示されるように、電子ビーム描画装置において、スループットの向上のために、マルチビーム方式とし、マルチビームを試料上に投影することは常套手段にすぎないから、引用発明の電子ビームに代えて、引用文献2技術事項に例示される常套手段である試料上にマルチビームを投影するマルチビーム方式を採用することに格別の困難性はなく、そのようにすれば、引用発明の電子ビーム露光装置は、相違点1に係る本件補正発明でいう「ビームグリッドとして、」「複数の荷電粒子ビームレットを投影するためのマルチビームレット」のものとなり、電子光学コラム10は、相違点2に係る本件補正発明でいう「複数の荷電粒子ビームレットを投影するように構成された投影系」となり、さらに、マーク検出器22が検出する電子は、相違点4に係る本件補正発明でいう「ビームレット」となる。 したがって、引用発明において前記常套手段を採用することにより、相違点1、2及び4に係る本件補正発明の構成に至ることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点3について 前記(2)ウ(エ)で周知技術1として示したように、露光装置において、位置検出マークを適切な条件で検出するために、光学式マーク検出器にフォーカス検出系(高さ測定系)を備えることは周知技術であり、引用発明において、位置検出マーク51と52を光学式マーク検出器23A,23Bで適切な条件で検出するために、周知技術1を採用して、フォーカス検出系(高さ測定系)を備えるようにすることは当業者が容易になし得たことであり、当該フォーカス検出系は、相違点3に係る本件補正発明の「高さ測定系」に相当する。またこのとき、当該フォーカス検出系(高さ検出系)が検出するフォーカスは、光学式マーク検出器23A、23Bと、位置検出マーク51、52が設けられたステージ31上の表面領域の間の距離に関する値であるといえるから、当該フォーカス検出系は、相違点3に係る本件補正発明でいう「前記位置マーク測定系に対する基準表面の距離に関する少なくとも一つの値を測定するように構成される」ものとなる。 したがって、引用発明において、周知技術1を採用することにより、相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 相違点5について 前記(2)イ(ウ)で示したように、引用文献2には、引用文献2技術事項が記載されている。 そして、高精度な合わせ描画を行うために、引用発明における、ステージ上の位置検出用マークの電子ビームの走査による検出手段として、反射電子を検出するものに代えて、引用文献2技術事項を適用して、位置検出用マーク51、52の下方のステージ31上に透過型電子検出器を設けるようにして、相違点5に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 エ 相違点6について 引用発明を開示する引用文献1には、「試料が大きく、電子光学コラムの両側に配置された光学式マーク検出器の距離が試料の直径より小さければ、移動距離は試料の大きさに相当する距離であり、光学式マーク検出器を設けても移動距離を長くする必要はなく、この場合、複数の光学式マーク検出器で同時に位置検出用マークを検出でき、その場合には少なくとも2個の光学式マーク検出器で、複数の位置検出用マークの位置を略同時に検出すれば、アライメントに要する時間を低減できること」(引用文献1技術事項)が記載されているところ、電子光学コラムの両側に配置された光学式マーク検出器の距離と、試料の直径の大小を比較していることからすれば、当該場合においては、位置検出用マークは試料上のものと解するのが相当であり、引用発明のようなステージ31上の位置検出用マーク51と52についての記載ではない。 しかしながら、引用文献1技術事項に接した当業者であれば、試料上の位置検出用マーク110と同様に、引用発明におけるステージ上の位置検出マーク51と52においても、複数の光学式マーク検出器23A,23Bで同時に検出できるようにすれば、アライメントに要する時間を低減できるものとなることは、容易に理解し得るものである。 そして、その際には、ステージ上の位置検出用マーク51と52が、複数の光学式マーク検出器23A,23Bとの間の間隔と同じ間隔に配置される必要があることは明らかであり、このことは、相違点6に係る本件補正発明でいう「前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークは、表面上は、前記第一のアライメントセンサーと前記第二のアライメントセンサーとの間のセパレーションと同じセパレーションに配置される」ことにほかならない したがって、引用発明において、引用文献1技術事項を考慮して、相違点6に係る本件補正発明の構成に至ることは、当業者が容易に想到したことである。 オ 総合評価 前記ア~エにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~6に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献1、2技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1~6を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献1、2技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 カ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張1について a 請求人の主張1の内容 請求人は、引用発明において、マーク検出器22が、試料上又はステージ上の位置検出用マークを電子ビームで走査した時の反射電子を検出するように構成されていることは、その発明の趣旨に基づくものであり、ステージ上にマーク検出器22を配置してしまうとステージで反射した電子を検出できなくなることから、引用発明のマーク検出器22を本件補正発明の「ビームレット測定センサー」の構成のように変更することは引用発明の目的に反することであり、他の引用文献を参照したとしても、当業者がそのような改変をすることはない旨、主張する。 b 請求人の主張1についての検討 しかしながら、引用発明は、光学式マーク検出器を使用する電子ビーム露光装置におけるステージの移動距離を低減して、低コストで高精度の位置決め精度を有する電子ビーム露光装置及びそれにおけるアライメント方法を実現することを課題として(引用文献1の【0012】参照。)、ステージ上の位置検出用マーク110を光学的に検出する光学式マーク検出器23A,23Bを少なくとも2個備えることによりこの課題を解決するものである(引用文献1の【0013】及び引用発明の構成a参照。)。 そうすると、引用発明において、ステージ上の位置検出用マーク110を電子ビームで走査して検出する際に、その反射電子を検出するか、引用文献2技術事項を適用して、その透過した電子を検出するかによって、前記課題及び課題解決手段に影響を与えるものでないことは明らかである。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (イ) 請求人の主張2について a 請求人の主張2の内容 請求人は、引用文献1に記載された発明の位置検出マーク51,52は、2つの光学式マーク検出器23A,23Bとの間のセパレーションと同じセパレーションに配置されておらず、また、引用文献1には、位置検出マーク51,52を、2つの光学式マーク検出器23A,23Bとの間のセパレーションと同じセパレーションに配置することについて何ら示唆はない旨、主張する。 b 請求人の主張2についての検討 しかしながら、前記エで述べたように、引用文献1技術事項に接した当業者であれば、試料上の位置検出用マーク110と同様に、引用発明におけるステージ上の位置検出マーク51と52においても、複数の光学式マーク検出器23A,23Bで同時に検出できるようにすれば、アライメントに要する時間を低減できるものとなることは、容易に理解し得るものである。 そして、その際には、ステージ上の位置検出用マーク51と52が、複数の光学式マーク検出器23A,23Bとの間の間隔と同じ間隔に配置される必要があることは明らかであり、そのようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、請求人の主張は採用できない。 キ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献1、2技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(4)キのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2000-114137号公報(主たる引用文献) 引用文献2.特開2005-116731号公報(副たる引用文献) 3 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 引用文献1及び2に記載された事項並びに引用発明、引用文献2技術事項及び周知技術1の認定は、前記第2の3(2)において示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から「前記第一の位置マークおよび前記第二の位置マークは、表面上は、前記第一のアライメントセンサーと前記第二のアライメントセンサーとの間のセパレーションと同じセパレーションに配置される」との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成を全て含み、その構成の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(4)において説示したとおり、引用発明、引用文献1、2技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明、引用文献2技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、同法49条2号に該当するから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-014697

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