特許拒絶査定不服審判
2023-020677
ハイブリッド接合構造およびハイブリッド接合方法
- 審判番号
- 2023-020677
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-568089
- 請求日
- 2023年12月05日
- 審決日
- 2024年11月13日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】華為技術有限公司
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】野村 進
- 審判長/審判官
- 審判長 小宮 慎司
- 審判官 緑川 隆
- 審判官 三浦 みちる
- 分類
- P18 .575-Z (H01L) / P18 .113-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-568089「ハイブリッド接合構造およびハイブリッド接合方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年11月19日国際公開、WO2020/227961、令和 4年 7月21日国内公表、特表2022-533104〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和1年)5月15日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月22日 :手続補正書の提出
令和5年 2月13日付け:拒絶理由通知書
令和5年 5月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 8月 8日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和5年12月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年12月 5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年12月 5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであり、本件補正後の請求項1の記載は、次のとおりである。(下線部は、手続補正書の記載のとおりである。)
「 【請求項1】
第1のチップおよび第2のチップを備えるハイブリッド接合構造であって、
前記第1のチップの表面は、第1の誘電体層および第1の金属層を含み、前記第1の誘電体層は、第1の絶縁誘電体を含み、前記第1の金属層は、第1の金属を含み、前記第1の金属の縁と前記第1の絶縁誘電体との間に第1の間隙領域があり、
前記第2のチップの表面は、第2の誘電体層および第2の金属層を含み、前記第2の誘電体層は、第2の絶縁誘電体を含み、前記第2の金属層は、第2の金属を含み、前記第2の金属の縁と前記第2の絶縁誘電体とは緊密に組み合わされ、
前記第1の金属の表面は、前記第1の絶縁誘電体の表面よりも高く、
前記第2の金属の表面は、前記第2の絶縁誘電体の表面よりも低く、
金属接合は、前記第1の金属が前記第2の金属と接触した後に形成され、前記第1の金属は、前記第1の間隙領域内で縦方向および横方向に変形され、
絶縁誘電体接合は、前記第1の絶縁誘電体が前記第2の絶縁誘電体と接触した後に形成される、ハイブリッド接合構造。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和5年5月10日に提出された手続補正書の、特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
第1のチップおよび第2のチップを備えるハイブリッド接合構造であって、
前記第1のチップの表面は、第1の誘電体層および第1の金属層を含み、前記第1の誘電体層は、第1の絶縁誘電体を含み、前記第1の金属層は、第1の金属を含み、前記第1の金属の縁と前記第1の絶縁誘電体との間に第1の間隙領域があり、
前記第2のチップの表面は、第2の誘電体層および第2の金属層を含み、前記第2の誘電体層は、第2の絶縁誘電体を含み、前記第2の金属層は、第2の金属を含み、
前記第1の金属の表面は、前記第1の絶縁誘電体の表面よりも高く、
前記第2の金属の表面は、前記第2の絶縁誘電体の表面よりも低く、
金属接合は、前記第1の金属が前記第2の金属と接触した後に形成され、前記第1の金属は、前記第1の間隙領域内で縦方向および横方向に変形され、
絶縁誘電体接合は、前記第1の絶縁誘電体が前記第2の絶縁誘電体と接触した後に形成される、ハイブリッド接合構造。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2の金属」及び「第2の絶縁誘電体」について、「前記第2の金属の縁と前記第2の絶縁誘電体とは緊密に組み合わされ」るとの限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献1の記載、及び引用発明
ア 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された特開2016-18879号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は、引用箇所を示すために当審において付加した。)
「【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に半導体素子や集積回路が形成されたチップを多段に貼合することによって、半導体装置の占有面積を低減する技術がある。貼合されるチップの各貼合面には、絶縁層が設けられ、各絶縁層の対応する位置には、チップが貼合されることによって接続される複数の電極が設けられる。かかる各チップは、貼合面が平坦になるように研磨されてから貼合される。
【0003】
しかしながら、各チップの貼合面を研磨する工程では、絶縁層の貼合面と電極の貼合面とが面一とならない場合がある。かかる場合、チップ同士の接合部分に接合不良が生じて歩留まりが低下することがある。
・・・(中略)・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの実施形態は、歩留まりを向上させることができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、半導体装置が提供される。半導体装置は、絶縁層と、電極と、溝とを備える。絶縁層は、基板の表面に設けられる。電極は、前記絶縁層に埋設されて一方の端面が絶縁層から露出する。溝は、前記電極の外側面を一方の側面とし、前記絶縁層の表面側が開放されて前記電極を囲む。」
「【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。また、以下では、半導体装置が固体撮像装置である場合を例に挙げて説明するが、実施形態に係る半導体装置は、固体撮像装置に限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1および図2は、第1の実施形態に係る半導体装置1を示す斜視による説明図であり、図2は、図1に示す半導体装置1の分解斜視図である。図1に示すように、半導体装置1は、互いに貼合される第1チップ2と、第2チップ3とを備える。
・・・(中略)・・・
【0012】
図2に示すように、第2チップ3は、ロジック回路などが設けられる基板31と、基板31の上側表面に設けられる絶縁層32と、絶縁層32に埋設されて一方の端面が絶縁層32から露出する複数の電極33とを備える。各電極33は、例えば、基板31内部の配線を介してロジック回路などに接続される。
【0013】
一方、第1チップ2は、CMOSセンサ20などが設けられる基板21と、基板21の下側表面に設けられる絶縁層22と、絶縁層22における第2チップ3の電極33と対応する位置に埋設され、一方の端面が絶縁層22から露出する複数の対応電極とを備える。各対応電極は、例えば、基板21内部の配線を介してCMOSセンサ20などに接続される。
【0014】
これら第1チップ2および第2チップ3は、各貼合面が研磨されて平坦化された後、接着剤を使用せずに直接貼合される。これにより、第1チップ2と第2チップ3とは、絶縁層21,22間の分子間力による水素結合によって仮接合される。その後、第1チップ2および第2チップ3には、熱処理が施される。これにより、第1チップ2と第2チップ3とは、絶縁層22,32間の共有結合によって本接合される。
【0015】
このように、半導体装置1では、第1チップ2が備えるCMOSイメージセンサ20の下面に設けられる対応電極と、第2チップ3の上面に設けられる電極33とを接続することができる。したがって、例えば、第2チップ3が備えるロジック回路によれば、CMOSイメージセンサ20の直下から信号の読み出しを行うことができるので、チップの占有面積を低減することが可能となる。
【0016】
かかる半導体装置1では、第1チップ2の貼合面が研磨された場合に、絶縁層22の貼合面と、対応電極の貼合面とが面一にならないことがある。同様に、第2チップ3でも、貼合面が研磨された場合に、絶縁層32の貼合面と、電極33の貼合面とが面一にならないことがある。
【0017】
そして、第1チップ2の対応電極が絶縁層22の接合面から突出していると、第1チップ2と第2チップ3とを貼合した際に、電極33と対応電極との接合部分が接合面の面方向へせり出し、周囲の絶縁層22,32間に挟まることがある。
【0018】
このように、電極33や対応電極のせり出し部分が絶縁層22,32間に挟まった場合、絶縁層22,32間にボイドと呼ばれる未接合部が生じ、ボイドが原因となって第1チップ2が第2チップ3から剥がれて半導体装置1の歩留まりが低下する恐れがある。
【0019】
そこで、半導体装置1では、第1チップ2および第2チップ3の各貼合面の形状を工夫することによって、歩留まりの向上を可能とした。かかる第1チップ2および第2チップ3における接合部分の形状について、次に、図3および図4を参照して説明する。
【0020】
なお、第1チップ2および第2チップ3の各貼合面の構成は同様であるため、ここでは、第2チップ3における貼合面の形状について説明し、第1チップ2については、その説明を省略する。
【0021】
図3は、実施形態に係る第2チップ3の電極33部分を示す平面視による説明図である。また、図4は、図3に示すA-A´線による第2チップ3の模式的な断面を示す説明図である。なお、図4には、基板31上面の絶縁層32が設けられる部分を選択的に図示しており、その他の部分については、図示を省略している。
【0022】
図3および図4に示すように、第2チップ3は、絶縁層32に埋設されて一方の端面が絶縁層32から露出する電極33を備える。電極33は、外側面および底面がバリアメタル34によって形成され、バリアメタル34の内周面がシード膜35によって被覆され、シード膜35によって被覆された空間内に導電性材料によって形成されるコンタクトプラグ36が設けられる構造である。
【0023】
かかる電極33は、図4に示すように、基板31内に設けられる配線37に接続され、配線37を介して、例えば、ロジック回路などに接続される。なお、電極33と配線37との接続部を除く基板31と絶縁層32との間には、絶縁膜38が設けられる。
【0024】
また、第2チップ3は、図3および図4に示すように、電極33の外側面を一方の側面とし、絶縁層32の表面側が開放されて電極33を環状に囲む溝39を備える。これにより、半導体装置1では、仮に第1チップ2の対応電極が絶縁層22の接合面から突出していても、第1チップ2と第2チップ3とを貼合した際に、電極33と対応電極との接合部分が周囲の絶縁層22,32間に挟まることを抑制することができる。かかる点について、次に、図5および図6を参照して説明する。
【0025】
図5は、第1の実施形態に係る貼合前の第1チップ2および第2チップ3の模式的な断面を示す説明図であり、図6は、第1の実施形態に係る貼合後の第1チップ2および第2チップ3の模式的な断面を示す説明図である。
・・・(中略)・・・
【0030】
ここで、第1チップ2では、例えば、研磨に使用されるスラリーの配合などに起因して、対応電極23が十分に研磨されず、絶縁層22の貼合面から突出することがある。この状態から第1チップ2を第2チップ3へ貼合すると、対応電極23が絶縁層22から突出しているため、図6に示すように、対応電極23と電極33との接合部分が接合面の面方向へせり出す場合がある。
【0031】
このような場合、絶縁層22,32に溝29,39がなければ、対応電極23および電極33のせり出した接合部分が絶縁層22,32間に挟まり、ボイドが生じて接合不良やチップ剥離の原因となる。
【0032】
そこで、半導体装置1では、電極33の周囲に溝39が設けられ、対応電極23の周囲に溝29が設けられる。これにより、半導体装置1では、これらの溝29,39内の空間が、対応電極23および電極33のせり出した接合部分の逃げ場となる。
【0033】
したがって、半導体装置1によれば、対応電極23および電極33のせり出した接合部分が絶縁層22,32間へ挟まることによるボイドや接合不良に起因したチップ剥離を抑制することによって、歩留まりを向上させることができる。」
「【0038】
次に、図8および図9を参照し、第1の実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。図8および図9は、第1の実施形態に係る半導体装置1の製造工程を示す説明図である。ここでは、第2チップ3の電極33部分を形成する製造工程について説明する。なお、第1チップ2の対応電極23部分を形成する製造工程は、電極33を形成する製造工程と同様である。
【0039】
図8の(a)に示すように、第2チップ3の電極33部分を形成する場合には、内部に配線37やロジック回路などが形成された基板31を用意する。なお、第1チップ2の対応電極23部分を形成する場合には、内部に配線27やCMOSイメージセンサ20などが形成された基板21を用意する。配線37は、例えば、ダマシン法によって形成されるCu(銅)配線である。
【0040】
続いて、基板31の表面に、例えば、窒化シリコンなどの絶縁材料によって絶縁膜38を形成した後、絶縁膜38の表面に、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)などの絶縁材料によって絶縁層32を形成する。
【0041】
その後、図8の(b)に示すように、絶縁層32における電極33の形成位置に、開口41を形成する。ここでは、まず、絶縁層32の表面部分に、後に形成する電極33の貼合面と略同一開口面積の孔を形成した後、孔の底面中央から配線37の上面まで達するビアを形成することによって、開口41を形成する。
【0042】
続いて、図8の(c)に示すように、開口41の内周面および絶縁層32の上面に、例えば、Ta(タンタル)、TaN(窒化タンタル)、Ti(チタン)、TiW(チタンタングステン)などの導電材料によってバリアメタル34を成膜する。
【0043】
その後、バリアメタル34の表面に、例えば、Cuなどの導電材料によってメッキ用のシード膜35を成膜した後、電解メッキによってシード膜35の表面にCuを析出させてコンタクトプラグ36を形成する。これにより、電極33が形成される。なお、シード膜35およびコンタクトプラグ36の材料は、Cuに限定されるものではなく、Cu以外の金属であってもよい。
【0044】
続いて、図9の(a)に示すように、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によって、絶縁層32および電極33上の不要なCuを除去する。その後、タッチアップCMPによって第2チップ3の表面を研磨することにより、絶縁層32上のバリアメタル34を除去し、絶縁層32および電極33の貼合面を面一とする。
【0045】
続いて、図9の(b)に示すように、溝39の形成位置を除く絶縁層32の上面および電極33の上面にレジスト51を形成し、レジスト51をマスクとしてドライエッチングを行う。これにより、図9の(c)に示すように、溝39が形成される。最後にレジスト51を除去することによって、図4に示す第2チップ3が完成する。なお、絶縁層32を選択的にエッチングする条件の場合、電極33上にレジスト51を形成する必要はない。
【0046】
上述したように、第1の実施形態に係る半導体装置1は、基板31の表面に絶縁層32が設けられ、絶縁層32に電極33が埋設される。そして、絶縁層32には、電極33を囲むように環状の溝39が設けられる。
【0047】
かかる半導体装置1によれば、第2チップ3の電極33が絶縁層32から突出する場合や、第1チップ2の対応電極23が絶縁層22から突出する場合に、第1チップ2が第2チップ3から剥落することを抑制することで歩留まりを向上させることができる。」
「【0056】
(第2の実施形態)
次に、図11~図13を参照し、第2の実施形態に係る半導体装置について説明する。第2の実施形態に係る半導体装置は、絶縁層の形状が図5に示す絶縁層22,32と異なる点を除き、第1の実施形態に係る半導体装置1と同様の構成である。
【0057】
また、第2の実施形態に係る第1チップの絶縁層および第2チップの絶縁層の形状は同一である。このため、ここでは、第2の実施形態に係る第2チップの形状について説明し、第1のチップについては、その説明を省略する。
【0058】
図11は、第2の実施形態に係る第2チップ3bの模式的な断面を示す説明図である。また、図12は、第2の実施形態に係る第2チップ3bの製造工程を示す説明図である。また、図13は、第2の実施形態に係る貼合前の第1チップ2bおよび第2チップ3bの模式的な断面を示す説明図である。
【0059】
なお、ここでは、図11に示す第2チップ3bの構成要素のうち、図4に示す第2チップ3の構成要素と同一の材料によって形成され、同一の機能を担う構成要素については、図4に示す符号と同一の符号を付することにより、その説明を省略する。
【0060】
図11に示すように、第2チップ3bは、電極33の貼合面となる一方の端面が絶縁層32の表面から高さd分突出している点が、図4に示す第2チップ3とは異なる。かかる第2チップ3bを製造する場合には、まず、図12(a)に示すように、第1の実施形態に係る第2チップ3を用意する。
【0061】
そして、第1チップ3に設けられた電極33の貼合面となる上面にレジスト52を形成する。続いて、図12の(b)に示すように、レジスト52をマスクとして、絶縁層32に対するエッチングを行うことによって、絶縁層32の貼合面および溝39の底面を絶縁層32の深さ方向へ厚さd分後退させる。その後、レジスト52を除去することによって、図11に示す第2チップ3bが完成する。なお、絶縁層32を選択的にエッチングする条件の場合、電極33上にレジスト52を形成する必要はない。
【0062】
かかる第2チップ3bによれば、電極33や対応電極23の貼合面が製造過程で窪んだ場合であっても、電極33と対応電極23とを適切に接続させることができる。具体的には、図13に示すように、第1チップ2bは、電極23の貼合面に窪みが生じる場合がある。
【0063】
かかる窪みは、例えば、対応電極23および絶縁層22の貼合面を面一にする研磨工程において、対応電極23が絶縁層22に比べて過度に研磨された場合に生じることがある。このような場合であっても、図13に示すように、第2の実施形態によれば、第1チップ2bの対応電極23が絶縁層22の表面から高さd分突出し、第2チップ3bの電極33が絶縁層32の表面から高さd分突出する。
【0064】
このため、対応電極23の貼合面が窪んだ場合であっても、第1チップ2bと第2チップ3bとを貼合することによって、電極33と対応電極23とを適切に接続させることができる。また、第1チップ2bには、第1の実施形態と同様に溝29があり、第2チップ3bにも、第1の実施形態と同様に溝39がある。
【0065】
これにより、第2の実施形態によれば、電極33と対応電極23との接合部分が接合面の面方向へせり出したとしても、せり出した部分が絶縁層22,32間に挟まることを抑制することができるので、チップ剥離に起因した歩留まりの低下を抑制することができる。」
「【0072】
上述したように、第2の実施形態によれば、電極33の貼合面が絶縁層32の表面から突出し、溝39を備える第2チップ3cを提供することができる。第2の実施形態によれば、第2チップ3b,3cの電極33および第1チップ2bの対応電極23の貼合面に窪みが生じる場合であっても、電極33と対応電極23とを適切に接続させることが可能となり接続不良による歩留まりの低下を抑制することができる。
【0073】
なお、第1および第2の実施形態では、貼合される2枚のチップ双方の貼合面に溝がある場合について説明したが、溝は少なくとも一方のチップの貼合面に設けられてもよい。一方のチップに溝が設けられていれば、その溝が電極のせり出した接合部分の逃げ場となるので、電極のせり出した接合部分が比較的小さければ、第1および第2の実施形態と同様に歩留まりを向上させることができる。
【0074】
また、第2の実施形態では、貼合される2枚のチップ双方の電極を絶縁層から突出させる場合について説明したが、電極を絶縁層から突出させるのは、少なくとも一方のチップであってもよい。かかる構成によっても、貼合される2枚のチップの電極を十分適切に接続させることが可能である。」
「【図1】
[図:0001421059000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001421059000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001421059000003.jpg]
」
「【図4】
[図:0001421059000004.jpg]
」
「【図5】
[図:0001421059000005.jpg]
」
「【図6】
[図:0001421059000006.jpg]
」
「【図11】
[図:0001421059000007.jpg]
」
「【図13】
[図:0001421059000008.jpg]
」
イ 引用発明
(ア)段落【0009】の記載によれば、第1の実施形態に係る半導体装置1は、互いに貼合される第1チップ2と、第2チップ3とを備えており、段落【0056】の記載によれば、第2の実施形態に係る半導体装置は、絶縁層の形状が異なる点を除き、第1の実施形態に係る半導体装置1と同様の構成であり、段落【0064】の記載によれば、第2の実施形態に係る半導体装置は、第1チップ2bと第2チップ3bとを貼合したものである。
そうすると、(第2の実施形態に係る半導体装置の第1チップ2b、第2チップ3bは、第1の実施形態に係る半導体装置の第1チップ2、第2チップ3に対応し、)第2の実施形態に係る半導体装置は、互いに貼合される第1チップ2bと第2チップ3bとを備えたものである。
(イ)段落【0060】の記載によれば、第2チップ3bは、電極33の貼合面となる一方の端面が絶縁層32の表面から高さd分突出している点が、第2チップ3とは異なっており、段落【0064】の記載及び【図11】によれば、第2チップ3bは、電極33を囲む溝39を備えている。
そうすると、第2チップ3bは、電極33の貼合面となる一方の端面が絶縁層32の表面から高さd分突出しており、電極33を囲む溝39を備えている。
(ウ)段落【0062】、【0063】の記載によれば、第1チップ2bの対応電極23の貼合面には窪みが生じる場合があり、かかる窪みは、例えば、対応電極23および絶縁層22の貼合面を面一にする研磨工程において生じることがあり、第1チップ2bの対応電極23が絶縁層22の表面から高さd分突出している。また、段落【0064】の記載及び【図13】によれば、第1チップ2bは、対応電極23を囲む溝29を備えている。
そうすると、第1チップ2bは、対応電極23が絶縁層22の表面から高さd分突出しており、対応電極23の貼合面には窪みが生じる場合があり、かかる窪みは、例えば、対応電極23および絶縁層22の貼合面を面一にする研磨工程において生じるものであり、また、対応電極23を囲む溝29を備えている。
(エ)段落【0022】の記載によれば、電極33は、シード膜35によって被覆された空間内に導電性材料によって形成されるコンタクトプラグ36が設けられる構造であり、段落【0043】の記載によれば、シード膜35およびコンタクトプラグ36の材料は、CuやCu以外の金属である。また、段落【0038】の記載によれば、対応電極23部分を形成する製造工程は、電極33を形成する製造工程と同様である。
そうすると、対応電極23と電極33は、CuやCu以外の金属を含んでいる。
(オ)段落【0064】、【0065】の記載によれば、第1チップ2bと第2チップ3bとを貼合することによって、電極33と対応電極23とを適切に接続させることができ、第1チップ2bの溝29と、第2チップ3bの溝39により、電極33と対応電極23との接合部分が接合面の面方向へせり出したとしても、せり出した部分が絶縁層22,32間に挟まることを抑制することができる。
(カ)段落【0009】、【0014】の記載によれば、第1の実施形態に係る半導体装置1が備える、第1チップ2と第2チップ3は、各貼合面が研磨されて平坦化された後、接着剤を使用せずに直接貼合されて、絶縁層21,22間の分子間力による水素結合によって仮接合され、その後、熱処理が施されて、第1チップ2と第2チップ3は、絶縁層22,32間の共有結合によって本接合される。
そして、段落【0056】の記載によれば、第2の実施形態に係る半導体装置は、絶縁層の形状が異なる点を除き、第1の実施形態に係る半導体装置1と同様の構成であり、段落【0061】の「絶縁層32の貼合面」との記載及び段落【0063】の「絶縁層22の貼合面」との記載に基づけば、第2の実施形態に係る半導体装置において、第1チップ2bの絶縁層22と第2チップ3bの絶縁層32は貼合されるものであり、接着剤を使用せずに直接貼合されて仮接合され、その後、熱処理が施されて本接合されるものといえる。
(キ)段落【0064】、【0073】の記載によれば、第2の実施形態に係る半導体装置では、第1チップ2bの溝29と第2チップ3bの溝39は、少なくとも一方のチップの貼合面に設けられてもよいものである。
(ク)段落【0063】、【0074】の記載によれば、第2の実施形態に係る半導体装置では、絶縁層22の表面から高さd分突出する第1チップ2bの対応電極23と絶縁層32の表面から高さd分突出する第2チップ3bの電極33のうち、電極を絶縁層から突出させるのは、少なくとも一方のチップであってもよいものである。
(ケ)上記(ア)~(ク)を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。なお、参考のため、認定の根拠となった箇所を括弧内に示す。
「互いに貼合される第1チップ2bと第2チップ3bとを備えた第2の実施形態に係る半導体装置であって、(ア)
第2チップ3bは、電極33の貼合面となる一方の端面が絶縁層32の表面から高さd分突出しており、電極33を囲む溝39を備えており、(イ)
第1チップ2bは、対応電極23が絶縁層22の表面から高さd分突出しており、対応電極23の貼合面には窪みが生じる場合があり、かかる窪みは、例えば、対応電極23および絶縁層22の貼合面を面一にする研磨工程において生じるものであり、また、対応電極23を囲む溝29を備えており、(ウ)
対応電極23と電極33は、CuやCu以外の金属を含んでおり、(エ)
第1チップ2bと第2チップ3bとを貼合することによって、電極33と対応電極23とを適切に接続させることができ、第1チップ2bの溝29と、第2チップ3bの溝39により、電極33と対応電極23との接合部分が接合面の面方向へせり出したとしても、せり出した部分が絶縁層22,32間に挟まることを抑制することができ、(オ)
第1チップ2bの絶縁層22と第2チップ3bの絶縁層32は貼合されるものであり、接着剤を使用せずに直接貼合されて仮接合され、その後、熱処理が施されて本接合され、(カ)
第1チップ2bの溝29と第2チップ3bの溝39は、少なくとも一方のチップの貼合面に設けられてもよく、(キ)
絶縁層22の表面から高さd分突出する第1チップ2bの対応電極23と絶縁層32の表面から高さd分突出する第2チップ3bの電極33のうち、電極を絶縁層から突出させるのは、少なくとも一方のチップであってもよいもの。(ク)」
(3)対比
本件補正発明と、引用発明とを対比する。
ア 「第1のチップおよび第2のチップを備えるハイブリッド接合構造であって、」について
引用発明の「第2の実施形態に係る半導体装置」は、「互いに貼合される第1チップ2bと第2チップ3bとを備えた」ものである。また、引用発明は、「第1チップ2bと第2チップ3bとを貼合することによって」、「第2チップ3b」の「電極33」と「第1チップ2b」の「対応電極23」を接続するものであり、「第1チップ2bの絶縁層22と第2チップ3bの絶縁層32は貼合されるもの」であるから、ハイブリッド接合構造であるといえる。
してみると、引用発明と本件補正発明は、「第1のチップおよび第2のチップを備えるハイブリッド接合構造」である点で共通する。
イ 「前記第1のチップの表面は、第1の誘電体層および第1の金属層を含み、前記第1の誘電体層は、第1の絶縁誘電体を含み、前記第1の金属層は、第1の金属を含み、前記第1の金属の縁と前記第1の絶縁誘電体との間に第1の間隙領域があり、」について
引用発明の「第2チップ3b」は、「電極33の貼合面となる一方の端面が絶縁層32の表面から高さd分突出しており、電極33を囲む溝39を備えており」とされていることから、「第2チップ3b」の表面は、「絶縁層32」および「電極33」を含み、「電極33」と「絶縁層32」との間に「溝39」を備えているといえる。また、引用発明の「電極33」は、「CuやCu以外の金属を含んでいる」。
そして、半導体装置において、誘電率の低い絶縁材料を用いて絶縁層を形成することが普通に行われていることを鑑みれば、引用発明の「絶縁層32」が絶縁誘電体であることは自明であり、また、引用発明の「溝39」は、「電極33」と「絶縁層32」との間に間隙を設けるものであるから、間隙領域であるといえる。
してみると、引用発明の「第2チップ3b」と本件補正発明の「第1のチップ」とは対応するとみることができ、引用発明と本件補正発明は、「前記第1のチップの表面は、第1の誘電体層および第1の金属層を含み、前記第1の誘電体層は、第1の絶縁誘電体を含み、前記第1の金属層は、第1の金属を含み、前記第1の金属の縁と前記第1の絶縁誘電体との間に第1の間隙領域があ」る点で共通する。
ウ 「前記第2のチップの表面は、第2の誘電体層および第2の金属層を含み、前記第2の誘電体層は、第2の絶縁誘電体を含み、前記第2の金属層は、第2の金属を含み、」について
引用発明の「第1チップ2b」は、「対応電極23が絶縁層22の表面から高さd分突出しており」とされていることから、「第1チップ2b」の表面は、「絶縁層22」および「対応電極23」を含んでいるといえる。また、引用発明の「対応電極23」は、「CuやCu以外の金属を含んでいる」。更に、上記イで示した「絶縁層32」と同様に、引用発明の「絶縁層22」が絶縁誘電体であることは自明である。
してみると、引用発明の「第1チップ2b」と本件補正発明の「第2のチップ」とは対応するとみることができ、引用発明と本件補正発明は、「前記第2のチップの表面は、第2の誘電体層および第2の金属層を含み、前記第2の誘電体層は、第2の絶縁誘電体を含み、前記第2の金属層は、第2の金属を含」む点で共通する。
エ 「前記第2の金属の縁と前記第2の絶縁誘電体とは緊密に組み合わされ、」について
引用発明の「第1チップ2bの溝29と第2チップ3bの溝39は、少なくとも一方のチップの貼合面に設けられてもよ」いものであるから、引用発明は、「第2チップ3bの溝39」を設け、「第1チップ2bの溝29」を設けないとする構成を含むものである。また、引用発明は、「絶縁層22の表面から高さd分突出する第1チップ2bの対応電極23と絶縁層32の表面から高さd分突出する第2チップ3bの電極33のうち、電極を絶縁層から突出させるのは、少なくとも一方のチップであってもよいもの」であるから、引用発明は、「第2チップ3bの電極33」を「絶縁層32の表面から高さd分突出」させ、「第1チップ2bの対応電極23」を「絶縁層22の表面から高さd分突出」させないとする構成を含むものである。
そして、そのような「第1チップ2bの溝29」を設けず、かつ、「第1チップ2bの対応電極23」を「絶縁層22の表面から高さd分突出」させない構成では、「第1チップ2b」の「対応電極23」と「絶縁層22」との間に、「溝29」による間隙がないことから、「対応電極23」の縁と「絶縁層22」とは緊密に組み合わされているといえる。
してみると、引用発明と本件補正発明は、「前記第2の金属の縁と前記第2の絶縁誘電体とは緊密に組み合わされ」る点で共通する。
オ 「前記第1の金属の表面は、前記第1の絶縁誘電体の表面よりも高く、」について
引用発明の「第2チップ3b」は、「電極33の貼合面となる一方の端面が絶縁層32の表面から高さd分突出して」いるため、「電極33」の表面は、「絶縁層32の表面」よりも高いことは明らかである。
してみると、引用発明と本件補正発明は、「前記第1の金属の表面は、前記第1の絶縁誘電体の表面よりも高く」構成されている点で共通する。
カ 「前記第2の金属の表面は、前記第2の絶縁誘電体の表面よりも低く、」について
上記エで示したように、引用発明は、「第2チップ3bの電極33」を「絶縁層32の表面から高さd分突出」させ、「第1チップ2bの対応電極23」を「絶縁層22の表面から高さd分突出」させないとする構成を含むものである。
また、「対応電極23の貼合面には窪みが生じる場合があり、かかる窪みは、例えば、対応電極23および絶縁層22の貼合面を面一にする研磨工程において生じるもの」であるから、「対応電極23の貼合面」は、突出させない場合には、「窪み」の分だけ「絶縁層22」の表面より低くなる場合があることは明らかである。
してみると、引用発明と本件補正発明は、「前記第2の金属の表面は、前記第2の絶縁誘電体の表面よりも低く」構成されている点で共通する。
キ 「金属接合は、前記第1の金属が前記第2の金属と接触した後に形成され、前記第1の金属は、前記第1の間隙領域内で縦方向および横方向に変形され、」について
引用発明は、「第1チップ2bと第2チップ3bとを貼合することによって、電極33と対応電極23とを適切に接続させることができ」るものであるから、「CuやCu以外の金属」を含む「電極33と対応電極23」を貼合して、接触させた後に、金属接合が形成されるものである。また、「第1チップ2bの溝29と、第2チップ3bの溝39により、電極33と対応電極23との接合部分が接合面の面方向へせり出したとしても、せり出した部分が絶縁層22,32間に挟まることを抑制することができ」るものであるところ、上記エで示したように、「第1チップ2bの溝29」を設けない構成とした場合、「接合面の面方向へせり出した」「電極33と対応電極23との接合部分」は、本件補正発明の「第1の間隙領域」に対応する「第2チップ3bの溝39」内へせり出し、その際、「CuやCu以外の金属を含」んでいる「電極33」は、「溝39」内で縦方向および横方向に変形することは明らかである。
してみると、引用発明と本件補正発明は、「金属接合は、前記第1の金属が前記第2の金属と接触した後に形成され、前記第1の金属は、前記第1の間隙領域内で縦方向および横方向に変形され」る点で共通する。
ク 「絶縁誘電体接合は、前記第1の絶縁誘電体が前記第2の絶縁誘電体と接触した後に形成される、ハイブリッド接合構造。」について
引用発明の「第1チップ2bの絶縁層22と第2チップ3bの絶縁層32は貼合されるものであり、接着剤を使用せずに直接貼合されて仮接合され、その後、熱処理が施されて本接合され」ることから、「絶縁層32」が「絶縁層22」と接触した後に絶縁誘電体接合が形成されているものである。また、引用発明の「第2の実施形態に係る半導体装置」は、上記アで示したように「ハイブリッド接合構造」である。
してみると、引用発明と本件補正発明は、「絶縁誘電体接合は、前記第1の絶縁誘電体が前記第2の絶縁誘電体と接触した後に形成される、ハイブリッド接合構造」である点で共通する。
(4)判断
上記「(3)対比」で示したとおり、本件補正発明を構成している発明特定事項の全てを引用発明は備えているので、本件補正発明の発明特定事項と引用発明の発明特定事項との間に差異はない。
したがって、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
また、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)審判請求書での請求人の主張について
請求人は、「本願請求項1及び11に記載の発明は、「前記第2の金属の縁と前記第2の絶縁誘電体とは緊密に組み合わされ」るという特徴を有します。当該特徴は引用文献1から3のいずれにも記載されていないものと思料いたします。
引用文献1から3のいずれも、両方の電極の周囲に変形を許容するための間隙を有します。
本願発明において、接合時に第1の金属は第1の間隙領域内で変形されます(段落[0046])が、第2の金属は変形が制限されます。したがって、第2の金属が変形する場合に比べてより強固に第2の金属が第1の金属に押し付けられて信頼性の高い接合が可能となります。」(審判請求書第5頁中段~第5頁下段)と主張する。
しかしながら、上記(3)エで示したとおり、引用発明は、「第1チップ2b」の「対応電極23」と「絶縁層22」との間に、「溝29」による間隙がない構成を含むものであり、そのような構成とした場合には、「対応電極23」の縁と「絶縁層22」とは緊密に組み合わされているものとなる。そうすると、「対応電極23」と「第2チップ3b」の「電極33」とを接続する際に、「溝29」による間隙がある場合と比較して、「対応電極23」の変形が制限され、引用発明が本件補正発明と同様の効果を有することは明らかであるから、請求人の上記主張を採用することができない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~22に係る発明は、令和5年5月10日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次のとおり。
理由1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2016-18879号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記第2の金属の縁と前記第2の絶縁誘電体とは緊密に組み合わされ、」との限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明であり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明であり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-020677