審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-009977

熱電変換モジュール

審判番号
2023-009977
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-048660
請求日
2023年06月15日
審決日
2024年05月08日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】三菱マテリアル株式会社
  • 【請求人代理人】松沼 泰史
  • 【請求人代理人】寺本 光生
  • 【請求人代理人】細川 文広
  • 【請求人代理人】大浪 一徳
審判長/審判官
  • 審判長 瀧内 健夫
  • 審判官 中野 浩昌
  • 審判官 松永 稔
分類
P18 .575-Z (H01L) / P18 .113-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 48660「熱電変換モジュール」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月17日出願公開、特開2020-150215〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成31年3月15日の出願であって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 9月21日 拒絶理由通知(起案日) 令和4年11月25日 意見書、手続補正書の提出 令和5年 3月14日 拒絶査定(原査定)(起案日) 令和5年 6月15日 審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和5年6月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年6月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は補正箇所を示す。) 「複数の熱電変換素子と、これら熱電変換素子の一端側に配設された第1電極部及び他端側に配設された第2電極部と、を有し、前記第1電極部及び前記第2電極部を介して複数の前記熱電変換素子が電気的に接続してなる熱電変換モジュールであって、 前記熱電変換素子は、絶縁性の無機材料を含むポッティング材の硬化物からなる封止層によって封止されており、前記第1電極部及び前記第2電極部の一面が前記封止層から露出しており、 前記第1電極部側が固定され、前記第2電極部が固定されていないハーフスケルトン構造とされていることを特徴とする熱電変換モジュール。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の請求項1の記載は、令和4年11月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。 「複数の熱電変換素子と、これら熱電変換素子の一端側に配設された第1電極部及び他端側に配設された第2電極部と、を有し、前記第1電極部及び前記第2電極部を介して複数の前記熱電変換素子が電気的に接続してなる熱電変換モジュールであって、 前記熱電変換素子は、絶縁性の無機材料を含むポッティング材の硬化物からなる封止層によって封止されており、前記第1電極部及び前記第2電極部の一面が前記封止層から露出していることを特徴とする熱電変換モジュール。」 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1電極部」及び「第2電極部」について、「前記第1電極部側が固定され、前記第2電極部が固定されていないハーフスケルトン構造とされている」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献及び引用発明 ア 引用文献の記載 原査定の拒絶の理由で引用された中国特許出願公開第105742470号明細書(以下「引用文献」という。)には、以下の記載がある。(訳文は当審訳で示し、強調のために下線を付した。) 「 [図:0001412045000001.jpg] [図:0001412045000002.jpg] (当審訳) [0016] 符号の説明 [0017] 100、…、500、…、800、…:熱電モジュール [0018] 110、…、510、…、810、…:第1基板 [0019] 120、…:第2基板 [0020] 130A、…、530A、…、830A、…:第1電極板 [0021] 130B、…、530B、…、830B、…:第2電極板 [0022] 140、…、540、…、840、…:第3電極板 [0023] 150、…、550、…、850、…:熱電素子 [0024] …:熱電気ピン [0025] 152、…、552、…:第1拡散バリア層 [0026] 154、…、554、…:第2拡散バリア層 [0027] 156A、…、556A、…、856A、…:第1型熱電材料 [0028] 156B、…、556B、…、856B、…:第2型熱電材料 [0029] …:熱電材料 [0030] 160、…、560、…、860、…:第1接合構造 [0031] 170、…、570、…、870、…:第2接合構造 [0032] 180、…、580、…、880、…:絶縁保護構造 [0033] 200:熱電ブロック材 [0034] …:第3拡散バリア層 [0035] …:拡散バリア構造 [0036] S:素子設置スペース [0037] S200、S210、S220、S230:熱電ブロック材製造方法のステップ [0038] S300、S310、S320、S400、S410、S420、S430、S600、S610、S620、S630、S900、S910、S920、S930:熱電モジュール製造方法のステップ」 「 [図:0001412045000003.jpg] [図:0001412045000004.jpg] (当審訳) [0040] 本発明は、熱電素子の周囲の高温によって引き起こされる酸化、材料の揮発、及び沈殿を回避するために、高温耐性の絶縁接着材料を使用して周囲の熱電ブロックを絶縁保護構造として直接覆うことを提案する。その一例が熱電ピン被覆であり、各熱電素子の両端以外の表面を熱電ピンとして直接覆い、密着させる絶縁保護構造の形態であり、この例における絶縁保護構造は、熱電素子の周囲を実質的に覆っている。もう1つの例は、モジュールの隙間を完全に覆うことであり、この形式の絶縁保護構造は、熱電モジュール内の基板、電極板、熱電材料の間の隙間を本質的に完全に埋めるものである。すなわち、この例における絶縁保護構造は、モジュール内の隙間をほぼ完全に埋める。また、本発明の絶縁保護構造は、基板上に設けられたバリア構造であってもよい。このバリア構造は熱電モジュール内のすべての熱電素子を取り囲み、上下の基板または電極板との間で真空状態の密閉空間を形成する。一方、本発明は、高温耐性の絶縁保護構造を組み合わせており、熱電材料をブロックに調製する場合、ホットプレスプロセス中に熱電材料及び拡散バリア構造とともにバッチで製造することができ、これにより、熱電モジュールの製造プロセスと時間が短縮される。 [0041] さらに、本発明は、中温及び高温の熱電モジュール用の絶縁保護構造として、ガラス、エナメル塗料またはセラミックなどの高融点材料の使用を提供するものであり、材料の特性に影響を与える中高温負荷下での熱電材料のガス化と揮発を回避できる。さらに、モジュール式熱電素子は、拡散バリア構造と熱電材料をバッチで迅速に熱プレスしてアレイタイプの熱電ピンを形成できるため、材料の製造時間を大幅に短縮できる。本発明の熱電モジュール構造はまた、熱電モジュールの拡散バリア構造として適切な金属材料を使用するものであり、これにより、接合構造の金属材料または接点合金と熱電材料の間の相互作用拡散を抑制し、穴や亀裂の形成を防ぎ、部品の信頼性への影響を回避し得る。以下、本発明を説明するためにいくつかの実施形態を提供するが、本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。」 「 [図:0001412045000005.jpg] (当審訳) [0042] 図1は、本発明の一実施形態による熱電モジュールの構造を示す概略図である。図1を参照すると、この例示的な実施形態の熱電モジュール100は、第1基板110、第2基板120、及び少なくとも1つの熱電素子150を含む。熱電素子150は、第1電極板130A、第2電極板130B、及び第3電極板140を含む。第1基板110、熱電素子150及び第2基板120は積層構造を形成する。第1電極板130A及び第2電極板130Bは、熱電素子150の一端として第1基板110上に配置される。第3電極板140は、熱電素子150の他端として機能し、第1型熱電材料156A及び第2型熱電材料156B上に配置される。この例示的な実施形態では、熱電モジュール100は、例えば、ろう付けもしくは固液拡散接合によって、あるいはナノ銀材料を使用して構成要素と層状構造を接合して積層構造を形成することによって組み立てられるが、本発明はこれに限定されない。例示的な実施形態では、熱電モジュール100の組み立ては、電気的接続を達成するために直接圧入によって達成されてもよい。 [0043] この例示的な実施形態では、熱電素子150は、その周囲に絶縁保護構造180を含み、これにより、高温負荷下で第1型熱電材料156A及び第2型熱電材料156Bが酸化、材料揮発、沈殿または劣化して熱電モジュール100の出力性能に影響を与えることを少なくとも防止することができる。本実施形態では、絶縁保護構造180の材質は、ガラス、エナメル塗料、セラミックスの3種類から選択されるが、これに限定されるものではない。この例示的な実施形態では、絶縁保護構造180は、熱電モジュール100の内部の空隙を完全に覆う。すなわち、絶縁保護構造180は、熱電モジュール100内の第1基板110、第1電極板130A、第2電極板130B、第1型類の熱電材料156A、第2型熱電材料156B及び第3の熱電材料156B、3つの電極板140と第2基板120との間の隙間を実質的に完全に充填する。」 「 [図:0001412045000006.jpg] (当審訳) [0045] 本実施形態では、第1型熱電材料156Aと第2型熱電材料156Bは、第1電極板130A、第2電極板130B及び第3電極板140を介して電気的に接続される。第1型熱電材料156Aと第2型熱電材料156Bは、直列抵抗状態または並列抵抗状態で接続され得るが、本発明はこれに限定されない。この例示的な実施形態では、熱電モジュール100は、第1接合構造160及び第2接合構造170をさらに含む。第1接合構造160は、第1型熱電材料156Aと第1電極板130Aとの間に配置され、第2型熱電材料156Bと第2電極板130Bとの間に配置される。したがって、第1型熱電材料156Aの一端は第1電極板130Aに電気的に接続され、第2型熱電材料156Bの一端は第2電極板130Bに電気的に接続される。第2接合構造170は、第1型熱電材料156Aと第3電極板140との間、及び第2型熱電材料156Bと第3電極板140との間に配置される。したがって、第1型熱電材料156Aの他端及び第2型熱電材料156Bの他端は、第3電極板140に電気的に接続される。第1接合構造160及び第2接合構造170は、集合はんだとして用いられ、第1拡散バリア層152と第1電極板130A及び第2電極板130Bは、それぞれ第1型熱電材料156A及び第2型熱電材料156Bに接合されており、第1型熱電材料156A及び第2型熱電材料は、156Bの第2拡散バリア層154と第3の電極板140とが接合される。この例示的な実施形態において、第1接合構造160及び第2接合構造170は、導電性の金属または非金属材料を含むが、本発明はこれらに限定されない。本実施形態において、第1接合構造160及び第2接合構造170の形成方法は、電気めっき工程、無電解めっき工程、スパッタリング又は化学蒸着工程を含むが、これに限定されない。熱電モジュール100が固液拡散接合法を用いて組み立てられる一実施形態において、第1接合構造体160及び第2接合構造体170はスズ金属膜であってもよい。 [0046] 注意すべきことは、図1には、熱電モジュール100が熱電素子150の熱電ピンとして2つの第1型熱電材料156A及び第2型熱電材料156Bを含むことだけが示されているが、それらの数は例示のためだけであり、本発明によって限定されるものではないことである。上面図から見ると、第1型熱電材料156A及び第2型熱電材料156Bは、第1基板110上にアレイ状に配置されて複数の熱電素子150を形成することができる。この例示的な実施形態では、第1型熱電材料156A及び第2型熱電材料156Bは、熱を電気に変換できる材料を含み、P型熱電材料またはN型熱電材料であり得る。例えば、各熱電材料156は、Bi2Te3、GeTe、PbTe、CoSb3またはZn4Sb3系合金材料を含むが、本発明はこれらに限定されない。この例示的な実施形態では、第1型熱電材料156Aは例えばP型熱電材料であり、第2型熱電材料156Bは例えばN型熱電材料である。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、一実施形態において、第1型熱電材料156Aは例えばN型熱電材料であり、第2型熱電材料156Bは例えばP型熱電材料である。」 「 [図:0001412045000007.jpg] (当審訳) [0049] 図4は、本発明の一実施形態による熱電モジュールの製造方法を示す図である。図1の熱電モジュール100を例として図1及び図4を参照すると、この例示的な実施形態では、まず、ステップS400において、その上に予め第3電極板140及び第2接合構造170が形成されている第2基板120が提供される。次に、ステップS410において、熱電ブロック200が第1基板110上に配置される。このステップでは、第1基板110上に第1電極板130A、第2電極板130B及び第1接合構造160が予め形成されている。本実施形態では、熱電ブロック200は、例えば図2に示した製造方法により一括して製造されるが、これに限定されるものではない。その後、ステップS420において、第1基板110と第2基板120とが組み立てられて、第1基板110、第1電極板130A、第2電極板130B、第1型熱電材料156A、第2型熱電材料156B、第3電極板140及び第2基板120の積層構造が形成される。このステップでは、熱電モジュール100は、例えば、ろう付けもしくは固液拡散接合によって、あるいはナノ銀材料を使用して構成要素と層状構造を接合して積層構造を形成することによって組み立てられる。一実施形態において、熱電モジュール100の組立方法は、加圧加熱工程や直接プレス工程などにより各部品と積層構造体とを接合することもできるが、本発明はこれに限定されない。次に、ステップS430において、熱電モジュール100の隙間に絶縁保護構造180を充填して、各素子及び積層構造を完全に保護する。 [0050] 図5は、本発明の他の実施形態による熱電モジュールの構造を示す概略図である。図1及び図5を参照すると、この例示的な実施形態の熱電モジュール500は、図1例示的な実施形態の熱電モジュール100と類似しているが、両者の主な違いは、例えば、本実施形態の熱電モジュール500が第2基板170を含まないことである。本実施形態において、第2基板を備えない熱電モジュール500を熱電変換に用いる場合、第3電極板540は、例えば、第2基板を介さずに熱源に直接取り付けられる。この方法は、熱電モジュール500の熱電変換効率や出力性能に影響を与える、第2基板を熱源に長期間取り付けることによって引き起こされる第2基板の材料劣化や、第2基板と第3電極板540の材質間に生じる物理的または化学的変化を避けることができる。」 「 [図:0001412045000008.jpg] (当審訳) [0056] 図9は、本発明の他の実施形態による熱電モジュールの製造方法を示す図である。図8及び図9を参照すると、本実施形態における熱電モジュールの製造方法は、図4の実施形態における熱電モジュールの製造方法と類似しているが、両者の主な相違点は以下のとおりである。図8の熱電モジュール800を例に挙げると、この例示的な実施形態では、ステップS910で提供される第1基板810は、その上に第1電極板830A、第2電極板830B、及び第1接合構造860が予め形成され、そして、アレイ状に配置された複数の熱電素子850がバッチで完成する。このステップでは、第1型熱電材料856A及び第2型熱電材料856Bは、絶縁保護構造880によって囲まれていない。また、ステップS930では、組み立てられ接合された熱電モジュール800を液体または溶融した耐熱絶縁材料に浸漬し、その後、耐熱絶縁材料を抽出して固化させるか、第1型熱電材料856A、第2型熱電材料856Bの周囲に噴霧する(すなわち、第1型熱電材料856A及び第2型熱電材料856Bの周囲に、スプレーや浸漬などにより耐熱性絶縁材料を形成する。)ことで、絶縁保護構造880は、各コンポーネント及び層状構造を保護するために形成される。したがって、本発明の例示的な実施形態では、絶縁保護構造は必ずしも基板の周囲に延在する必要はない。」 「 [図:0001412045000009.jpg] 」(以下「図1」という。) 「 [図:0001412045000010.jpg] 」(以下「図5」という。) 「 [図:0001412045000011.jpg] 」(以下「図9」という。) イ 引用文献に記載された発明 上記アの記載より、引用文献には以下の事項が記載されている。 (ア)図5に[500]、「510」、「530A」、「530B」、「540」、「550」、「552」、「554」、「556A」、「556B」、「560」、「570」及び「580」と付された各部材は、段落0017~0032によれば、それぞれ「熱電モジュール500」、「第1基板510」、「第1電極板530A」、「第2電極板530B」、「第3電極板540」、「熱電素子550」、「第1拡散バリア層552」、「第2拡散バリア層554」、「第1型熱電材料556A」、「第2型熱電材料556B」、「第1接合構造560」、「第2接合構造570」及び「絶縁保護構造580」を表すものであり、さらに、段落0050の「図5は、本発明の他の実施形態による熱電モジュールの構造を示す概略図である。図1及び図5を参照すると、」「両者の主な違いは、例えば、本実施形態の熱電モジュール500が第2基板170を含まないことである。」(当審注:「第2基板170」は「第2基板120」の誤記と認める。)との記載から、それぞれ図1の熱電モジュール100における第2の基板120を除いた、「熱電モジュール100」、「第1基板110」、「第1電極板130A」、「第2電極板130B」、「第3電極板140」、「熱電素子150」、「第1拡散バリア層152」、「第2拡散バリア層154」、「第1型熱電材料156A」、「第2型熱電材料156B」、「第1接合構造160」、「第2接合構造170」及び「絶縁保護構造180」と同様のものといえる。そして、この点を踏まえると、図5の熱電モジュールについて、以下のことがいえる。 (イ)段落0042の「熱電モジュール100は、第1基板110、第2基板120、及び少なくとも1つの熱電素子150を含む。熱電素子150は、第1電極板130A、第2電極板130B、及び第3電極板140を含む。第1基板110、熱電素子150及び第2基板120は積層構造を形成する。第1電極板130A及び第2電極板130Bは、熱電素子150の一端として第1基板110上に配置される。第3電極板140は、熱電素子150の他端として機能し、第1型熱電材料156A及び第2型熱電材料156B上に配置される。」との記載より、熱電モジュール500は、第1基板510と熱電素子550を含み、熱電素子550は、第1電極板530A、第2電極板530B、及び第3電極板540、並びに、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bを含むものといえ、さらに、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bの一端側に第1電極板530A及び第2電極板530Bが配置され、他端側に第3電極板540が配置されるものといえる。 (ウ)段落0045の「第1型熱電材料156Aと第2型熱電材料156Bは、第1電極板130A、第2電極板130B及び第3電極板140を介して電気的に接続される。」との記載より、熱電モジュール500は、第1型熱電材料556Aと第2型熱電材料556Bが、第1電極板530A、第2電極板530B及び第3電極板540を介して電気的に接続されるものといえる。 (エ)段落0046の「第1型熱電材料156A及び第2型熱電材料156Bは、熱を電気に変換できる材料を含み、P型熱電材料またはN型熱電材料であり得る。」との記載によれば、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bは、熱を電気に変換できる材料のことである。 (オ)段落0043の「熱電素子150は、その周囲に絶縁保護構造180を含み」、「絶縁保護構造180の材質は、ガラス、エナメル塗料、セラミックスの3種類から選択される」及び「絶縁保護構造180は、熱電モジュール100の内部の空隙を完全に覆う。」との記載、並びに、図5によれば、絶縁保護構造580は、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bの周囲を覆うように配置されていることが看取できることから、熱電モジュール500は、ガラス、エナメル塗料、セラミックスの3種類から選択される材質の絶縁保護構造580により、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bの周囲を含めて、内部の空隙を完全に覆うように構成されたものといえる。 また、図5によれば、第1電極板530A、第2電極板530B及び第3電極板540の、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bが配置される側の面と反対側の面は、絶縁保護構造580から露出していることが看取できる。 (カ)段落0042の「第1電極板130A及び第2電極板130Bは、熱電素子150の一端として第1基板110上に配置される。」との記載から、第1電極板530A及び第2電極板530Bは、第1基板510上に配置されるところ、段落0049の「ステップS420において、」「第1基板110、第1電極板130A、第2電極板130B」「の積層構造が形成される。このステップでは、熱電モジュール100は、例えば、ろう付けもしくは固液拡散接合によって、あるいはナノ銀材料を使用して構成要素と層状構造を接合して積層構造を形成することによって組み立てられる。」との記載によれば、第1電極板530A及び第2電極板530Bは、例えば、ろう付けもしくは固液拡散接合によって、あるいはナノ銀材料を使用して第1基板510に固定されているといえる。 一方、熱電モジュール500は、熱電モジュール100が備える第2基板120を備えないから、第3電極板540は、基板に固定されていないものといえる。 (キ)以上によれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 第1基板510と熱電素子550を含み、熱電素子550は、第1電極板530A、第2電極板530B、及び第3電極板540、並びに、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bを含み、さらに、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bの一端側に第1電極板530A及び第2電極板530Bが配置され、他端側に第3電極板540が配置され、(上記(イ)) 第1型熱電材料556Aと第2型熱電材料556Bは、第1電極板530A、第2電極板530B及び第3電極板540を介して電気的に接続され、(上記(ウ)) 第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bは、熱を電気に変換できる材料のことである熱電モジュール500であって、(上記(エ)) ガラス、エナメル塗料、セラミックスの3種類から選択される材料の絶縁保護構造580が、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bの周囲を含めて、内部の空隙を完全に覆うように構成され、第1電極板530A、第2電極板530B及び第3電極板540の、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bが配置される側の面と反対側の面は、絶縁保護構造580から露出しており、(上記(オ)) 第1電極板530A及び第2電極板530Bは第1基板510に固定され、第3電極板540は基板に固定されていない(上記(カ)) 熱電モジュール500。(図5) (3)対比・判断 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「第1型熱電材料556A」及び「第2型熱電材料556B」は、熱を電気に変換できる材料のことであるから、いずれも本件補正発明の「熱電変換素子」に相当し、合わせて「複数の熱電変換素子」といえる。 また、引用発明の「第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556B」の一端側に配置される「第1電極板130A及び第2電極板130B」及び他端側に配置される「第3電極板140」は、それぞれ本件補正発明の「これら熱電変換素子の一端側に配設された第1電極部及び他端側に配設された第2電極部」に相当する。 また、引用発明の「第1型熱電材料556Aと第2型熱電材料556Bは、第1電極板530A、第2電極板530B及び第3電極板540を介して電気的に接続され」ることは、本件補正発明の「前記第1電極部及び前記第2電極部を介して複数の前記熱電変換素子が電気的に接続して」いることに相当する。 引用発明の「熱電モジュール」は、熱を電気に変換するものである点で、本件補正発明の「熱電変換モジュール」に相当する。 イ 本件補正発明の「絶縁性の無機材料を含むポッティング材の硬化物からなる封止層」について、本件明細書の段落0034によれば、ポッティング材は、水等を含む液状のものであるが、同段落に「120℃以上150℃以下の温度で240分以上保持し、ポッティング材を完全に硬化させ、封止層15を形成する。」と記載されており、また、本件明細書の段落0037には、「熱電変換モジュール10においては、熱電変換素子11が、絶縁性の無機材料からなる封止層15によって、封止されているので、250℃以上の高温領域で使用した場合であっても、封止層15が変質せずに耐候性に優れており」と記載されていることから、形成された封止層15、すなわち本件補正発明の「絶縁性の無機材料を含むポッティング材の硬化物からなる封止層」は、最終的な物の構成としての「絶縁性の無機材料からなる封止層」に他ならない。 一方、引用発明の「ガラス、エナメル塗料、セラミックスの3種類から選択される材料」は、絶縁性の無機材料といえるから、引用発明の「ガラス、エナメル塗料、セラミックスの3種類から選択される材料の絶縁保護構造580」は、本件補正発明の「絶縁性の無機材料からなる封止層」、すなわち「絶縁性の無機材料を含むポッティング材の硬化物からなる封止層」に相当する。 そうすると、引用発明の「ガラス、エナメル塗料、セラミックスの3種類から選択される材料の絶縁保護構造580が、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bの周囲を含めて、内部の空隙を完全に覆うように構成され」ることは、本件補正発明の「前記熱電変換素子は、絶縁性の無機材料を含むポッティング材の硬化物からなる封止層によって封止されて」いることに相当する。 さらに、引用発明の「第1電極板130A、第2電極板130B及び第3電極板140の、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bが配置される側の面と反対側の面は、絶縁保護構造580から露出して」いることは、本件補正発明の「前記第1電極部及び前記第2電極部の一面が前記封止層から露出して」いることに相当する。 ウ 引用発明の「第1電極板530A及び第2電極板530Bは第1基板510に固定され、第3電極板540は基板に固定されていない」構造は、本件補正発明の「前記第1電極部側が固定され、前記第2電極部が固定されていないハーフスケルトン構造」に相当する。 エ 以上から、本件補正発明と引用発明は、発明特定事項に相違するところがない。 したがって、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、独立して特許を受けることができないものである。 (4)請求人の主張について ア 請求人は、審判請求書(5頁14~17行)において、「引用文献2においては、図2及び図3に示すように、予め形成された絶縁保護構造180の孔部に熱電変換素子を配設する構成とされており、熱電変換素子の両側に配設された電極が固定されたリジット構造とされており、本願の補正後の請求項1に係る発明とは構成が全く異なっている。」と主張するので、以下検討する。なお、主張中の引用文献2は、引用文献のことである。 イ 確かに、本件補正発明の封止層と、引用発明の絶縁保護構造580とは、これらの形成方法において異なるものの、本件補正発明は熱電変換モジュールの発明であって、その製造方法についての発明ではなく、また、引用発明は「絶縁保護構造580が、第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bの周囲を含めて」、熱電モジュール500の「内部の空隙を完全に覆うように構成され」るものであるから、両者の間で発明特定事項に相違するところがないことは上記(3)イで検討したとおりである。 ウ 仮に、本件補正発明と引用発明との間に、本件補正発明の封止層の形成方法と、引用発明の絶縁保護構造580の形成方法との違いに基づく相違点があるとして、該相違点について検討する。 引用文献の段落0056の「ステップS910で提供される第1基板810は、その上に第1電極板830A、第2電極板830B、及び第1接合構造860が予め形成され、そして、アレイ状に配置された複数の熱電素子850がバッチで完成する。このステップでは、第1型熱電材料856A及び第2型熱電材料856Bは、絶縁保護構造880によって囲まれていない。また、ステップS930では、組み立てられ接合された熱電モジュール800を液体または溶融した耐熱絶縁材料に浸漬し、その後、耐熱絶縁材料を抽出して固化させるか、第1型熱電材料856A及び第2型熱電材料856Bの周囲に噴霧する(すなわち、第1型熱電材料856A及び第2型熱電材料856Bの周囲に、スプレーや浸漬などにより耐熱性絶縁材料を形成する。)ことで、絶縁保護構造880は、各コンポーネント及び層状構造を保護するために形成される。」との記載、及び図9によれば、引用文献には、S920において、絶縁保護構造880を除いて組み立てられ接合された熱電モジュール800を、液体または溶融した耐熱絶縁材料に浸漬し、その後、耐熱絶縁材料を抽出して固化させるか、第1型熱電材料856A及び第2型熱電材料856Bの周囲に、スプレーや浸漬などにより耐熱性絶縁材料を形成することで、絶縁保護構造880によって第1型熱電材料856A及び第2型熱電材料856Bを囲うように構成すること、すなわち絶縁保護構造880によって第1型熱電材料856A及び第2型熱電材料856Bを封止することが記載されている。 また、引用文献の段落0041には、「各実施形態を適宜組み合わせてもよい。」との記載もあることから、引用発明において、耐熱絶縁材料であるガラス、エナメル塗料、セラミックスの3種類から選択される材料によって第1型熱電材料556A及び第2型熱電材料556Bを封止するように構成することは、当業者が容易に想到し得るものである。 したがって、本件補正発明と引用発明とに、封止層の形成方法の違いに基づく相違点があるとしても、該相違点は、引用発明と引用文献に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、独立して特許を受けることができないものである。 エ 以上のとおりであるから、請求人の上記アの主張を採用することはできない。 また、請求人が審判請求書において主張する上記ア以外の主張についても、上記(3)の判断を左右するものではない。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和5年6月15日にされた手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~6に係る発明は、令和4年11月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項によって特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶理由 本願発明についての原査定の拒絶理由の概要は以下のとおりである。 理由1:本願発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2:本願発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.(省略) 2.中国特許出願公開第105742470号明細書 3 引用文献 原査定の拒絶理由で引用された引用文献2は、上記第2で検討した引用文献のことであり、引用文献の記載及び引用発明は、上記第2の[理由]2(2)ア及びイに記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明の、「前記第1電極部側が固定され、前記第2電極部が固定されていないハーフスケルトン構造とされている」という限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由2]2(3)で説示したとおり、引用発明であるから、本願発明も引用発明である。仮に、本願発明と引用発明とに上記第2(4)ウで検討した相違点があるとしても、同ウで説示したとおり、この相違点は、引用発明と引用文献に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、同条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-009977

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決69件(三菱マテリアル株式会社)
  • 2025-012030拒絶査定不服審判 / 2026-08-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)鏡面加工体の梱包方法
    同じ当事者: 三菱マテリアル株式会社
  • 2025-008215拒絶査定不服審判 / 2026-06-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)表面被覆切削工具
    同じ当事者: 三菱マテリアル株式会社
  • 2025-001039拒絶査定不服審判 / 2026-03-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)表面被覆切削工具
    同じ当事者: 三菱マテリアル株式会社
  • 2024-008897拒絶査定不服審判 / 2026-02-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)モータステータのリサイクル方法
    同じ当事者: 三菱マテリアル株式会社
  • 2025-001036拒絶査定不服審判 / 2026-01-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)表面被覆切削工具
    同じ当事者: 三菱マテリアル株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,525件(113・H01L、121・H01L、575・H01L)
  • 2024-013328拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立光起電力モジュールの製造方法及び光起電力モジュール
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、575・H01L
  • 2024-017912拒絶査定不服審判 / 2026-03-09 / 請求不成立スピンする反射性基板の分析のためのハードウェア改善及び方法
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、575・H01L
  • 2023-020677拒絶査定不服審判 / 2024-11-13 / 請求不成立ハイブリッド接合構造およびハイブリッド接合方法
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、575・H01L
  • 2023-008256拒絶査定不服審判 / 2024-07-01 / 請求不成立吸収層を後処理する方法
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、575・H01L
  • 2023-000482拒絶査定不服審判 / 2023-09-20 / 請求不成立酸化ガリウム薄膜及び積層構造体
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、575・H01L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存