2022-700372
水性グラビアインキ
- 審判番号
- 2022-700372
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-218573外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6958812
- 請求日
- 2022年04月28日
- 審決日
- 2023年04月18日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.113-YAA(C09D) / P1651.121-YAA(C09D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第5項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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1 本件特許に係る出願は、平成29年11月13日(優先権主張 平成28年11月14日(以下「本件優先日」という。)日本国受理)に出願され、令和3年10月11日にその特許権の設定登録(請求項の数8)がされ、同年11月2日に特許掲載公報が発行されたところ、令和4年4月28日に特許異議申立人 平居 博美(以下「申立人」という。)により請求項1~8に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。
2 その後の経過は次のとおりである。
令和4年 9月27日付 当審から取消理由通知
令和4年11月25日 意見書及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正の内容を「本件訂正」という。)
令和4年12月 1日付 当審から申立人に訂正請求があった旨の通知
なお、申立人は通知に対して指定期間内に応答しなかった。
第2 本件訂正についての判断
1 請求の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、「特許第6958812号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求める。」というものである。
2 訂正事項
本件訂正は次の訂正事項からなる。当審が訂正箇所に下線を引いた。
(1)訂正事項1
請求項1において、
「該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量が15質量%以下であり、該界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤を含み、水の含有量が50質量%以上70質量%以下である、水性グラビアインキ。」という記載を、
「該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量が15質量%以下であり、該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕が5/10以上であり、該界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤を含み、該水性グラビアインキ中の該アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が0.7質量%以上3質量%以下であり、水の含有量が50質量%以上70質量%以下である、水性グラビアインキ。」と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、3、5~8も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
請求項4を削除する。
(3)訂正事項3
請求項5における「請求項1~4のいずれかに記載の」という記載を、「請求項1~3のいずれかに記載の」と訂正する。(請求項5の記載を引用する請求項6、7も同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
請求項7における「請求項1~6のいずれかに記載の」という記載を、「請求項1~3及び5~6のいずれかに記載の」に訂正する。(請求項7の記載を引用する請求項8も同様に訂正する。)
(5)訂正事項5
請求項8における「請求項1~7のいずれかに記載の」という記載を、「請求項1~3及び5~7のいずれかに記載の」に訂正する。
3 訂正要件について
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項1~8のうち、請求項2~8は、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項であるから、訂正前の請求項1~8は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項であるといえる。
(2)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前に特定のなかった「アセチレングリコール系界面活性剤」の含有量及び「該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕」を、それぞれ限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと解される。
イ 実質上の拡張・変更の有無
前記アで検討したように、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものであるから、特許請求の範囲を実質的に拡張・変更するものではない。したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項1のうち、「アセチレングリコール系界面活性剤」の量を限定する訂正は、訂正前の請求項4の記載「0.7質量%以上3質量%以下」に基づくものである。
また、訂正事項1のうち「該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕」を限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0050】における「「該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕は、好ましくは5/10~10/10」という記載に基づくものである。したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものといえる。
(3)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、請求項4を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 実質上の拡張・変更の有無
訂正事項2は、請求項4を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものといえない。したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項2は、請求項4を削除するというものであるから、新規事項を追加するものでない。したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。
(4)訂正事項3~5について
ア 訂正の目的
訂正事項3~5は、いずれも引用する請求項から、請求項4を削除するものである。したがって、訂正事項3~5は、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 実質上の拡張・変更の有無
前記アで検討したように、訂正事項3~5は、引用する請求項から請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲を実質的に拡張・変更するものではない。したがって、訂正事項3~5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項3~5は、引用する請求項から請求項4を削除するというものであるから、新規事項を追加するものでない。したがって、訂正事項3~5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。
4 訂正についての小括
以上のとおり、本件訂正は訂正要件を満たすから、本件訂正を認める。
第3 本件発明等
1 前記第2において本件訂正が認められたから、本件特許の請求項1~8に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明8」といい、まとめて「本件発明」ということもある。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】顔料、ポリマー、水溶性有機溶剤、界面活性剤及び水を含む水性グラビアインキであって、該水溶性有機溶剤が、沸点100℃以上260℃以下のグリコールエーテルを含み、該水性グラビアインキ中の該グリコールエーテルの含有量が1質量%以上10質量%以下であり、該水溶性有機溶剤が、さらにグリコールを含み、続きを表示(全22行)該水性グラビアインキ中の沸点が100℃未満の水溶性有機溶剤の含有量が3質量%未満であり、該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量が15質量%以下であり、該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕が5/10以上であり、該界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤を含み、該水性グラビアインキ中の該アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が0.7質量%以上3質量%以下であり、水の含有量が50質量%以上70質量%以下である、水性グラビアインキ。【請求項2】前記グリコールの水性グラビアインキ中の含有量が0.5質量%以上8質量%以下である、請求項1に記載の水性グラビアインキ。【請求項3】水性グラビアインキ中の前記グリコールエーテルに対する前記グリコールの質量比〔グリコール/グリコールエーテル〕が、10/90~70/30である、請求項1又は2に記載の水性グラビアインキ。【請求項4】〔削除〕【請求項5】前記ポリマーがビニル系ポリマーである、請求項1~3のいずれかに記載の水性グラビアインキ。【請求項6】前記ビニル系ポリマーが、(a-1)イオン性モノマーに由来する構成単位を5質量%以上40質量%以下含有する、請求項5に記載の水性グラビアインキ。【請求項7】顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bを含む、請求項1~3及び5~6のいずれかに記載の水性グラビアインキ。【請求項8】前記顔料の形態が、ポリマーで分散させた顔料粒子Aである、請求項1~3及び5~7のいずれかに記載の水性グラビアインキ。」
2 本件特許明細書には次の記載がある。
(1)「【0006】しかしながら、特許文献1~3に記載の水性インキ組成物は、印刷する際にベースインキの希釈液として低沸点のエタノールやイソプロパノールを使用していることから環境負荷が少ないインキとはいえない。低沸点溶剤を含まない水を主成分とするインキでは表面張力が高いため印刷基材に対する濡れ性が劣り、乾燥性も低下する。また、水性グラビアインキをセルから印刷基材に転写した後に十分に広がらず、該インキが印刷基材上に点在し、印刷抜けやざらつき感に起因して色ムラが生じ、高精細な印刷物が得られない。そのため、インキの広がり性(以下、単に「レベリング性」ともいう)を十分に満たす、環境負荷の少ない水性グラビアインキが求められている。本発明は、環境負荷が少なく、優れたレベリング性により高精細に印刷できる水性グラビアインキを提供することを課題とする。・・・【発明の効果】【0008】本発明によれば、環境負荷が少なく、優れたレベリング性により高精細に印刷できる水性グラビアインキを提供することができる。」
(2)「【0049】本発明のインキは、沸点が100℃未満又は260℃を超える水溶性有機溶剤を含有してもよい。100℃未満の水溶性有機溶剤としては、エタノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-プロパノール(n-プロピルアルコール)等の一価アルコールが挙げられる。260℃を超える水溶性有機溶剤としては、トリエチレングリコール(沸点285℃)、トリプロピレングリコール(沸点273℃)、グリセリン(沸点290℃)等が挙げられる。続きを表示(全24行)インキ中の沸点が100℃未満の水溶性有機溶剤の含有量は、レベリング性を向上させる観点から、好ましくは5質量%未満、より好ましくは3質量%未満、更に好ましくは1質量%未満であり、そして、下限値は0質量%である。沸点が100℃未満の水溶性有機溶剤が5質量%未満、好ましくは3質量%未満であると、乾燥性を抑制することができ、溶剤を追加する必要がなく、高揮発性有機化合物を低減し、環境負荷を少なくできる。インキ中の沸点が260℃を超える水溶性有機溶剤の含有量は、レベリング性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましく3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。・・・【0051】前記グリコールエーテルとしては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。前記グリコールエーテルのアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である。該アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル(125℃)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(142℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(171℃)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(161℃)等のエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(207℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(231℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(220℃)等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(121℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(150℃)等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(187℃)等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル;トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(220℃)等のトリプロピレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。アルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールジメチルエーテル(162℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(176℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(189℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(216℃)等が挙げられる。なお、括弧内の数値は沸点を示したものである。これらは単独で又は2つ以上併用してもよい。・・・【0054】前記グリコールとしては、エチレングリコール(197℃)、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)(188℃)、1,2-ブタンジオール(194℃)、1,2-ペンタンジオール(210℃)、1,2-ヘキサンジオール(224℃)、1,2-オクタンジオール(131℃)、1,2-デカンジオール(255℃)等の炭素数2以上10以下の1,2-アルカンジオール;1,3-プロパンジオール(230℃)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(214℃)、3-メチル-1,3-ブタンジオール(203℃)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(244℃)等の炭素数3以上8以下の1,3-アルカンジオール;ジプロピレングリコール(231℃)、ジエチレングリコール(244℃)等のポリアルキレングリコールなどが挙げられる。なお、括弧内の数値は沸点を示したものである。・・・【0056】<界面活性剤>本発明に用いられる界面活性剤は、アセチレングリコール系界面活性剤を含む。アセチレングリコール系界面活性剤としては、レベリング性を向上させる観点から、炭素数8以上22以下のアセチレングリコール及び該アセチレングリコールのエチレン付加物が好ましく、炭素数8以上22以下のアセチレングリコールがより好ましい。前記アセチレングリコールの炭素数は、好ましくは10以上、より好ましく12以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下である。具体的には、レベリング性を向上させる観点から、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、及び2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオールから選ばれる1種以上のアセチレングリコール、及び該アセチレングリコールのエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらの中でも、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤のHLB(親水性親油性バランス;Hydrophile-Lipophile Balance)は、好ましくは0以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、より更に好ましくは2.5以上であり、そして、好ましくは5以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3.5以下である。アセチレングリコール系界面活性剤は、単独で又は2つ以上併用してもよい。【0057】商業的に入手しうるこれらの具体例としては、エアープロダクツアンドケミカルズ社のサーフィノール104(2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、HLB:3.0)、同104E(2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのエチレングリコール50%希釈品)、同104PG-50(2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのプロピレングリコール50%希釈品)、サーフィノール420(2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのEO平均1.3モル付加物、HLB:4.7)、川研ファインケミカル株式会社製のアセチレノールE13T(EO平均付加モル数:1.3、HLB:4.7)等が挙げられる。」
(3)「【0087】なお、表1中の各表記は下記のとおりである。ポリマー粒子B2:塩化ビニル-アクリル系ハイブリッド樹脂エマルジョン、固形分濃度30%(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン700)MG:エチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業株式会社製、沸点125℃)続きを表示(全18行)iPG:エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(和光純薬工業株式会社製、沸点142℃)BG:エチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業株式会社製、沸点171℃)MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業株式会社製、沸点194℃)iPDG:ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(和光純薬工業株式会社製、沸点207℃)iBDG:ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(和光純薬工業株式会社製、沸点220℃)BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業株式会社製、沸点231℃)BTG:トリエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業株式会社製、沸点271℃)PG:プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製、沸点188℃)iPA:2-プロパノール(和光純薬工業株式会社製、沸点82℃)SF104PG50:アセチレングリコール系界面活性剤(2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール(HLB:3.0)のプロピレングリコール50%希釈品、エアープロダクツアンドケミカルズ社製、商品名:サーフィノール104PG-50、有効分50%)SF420:アセチレングリコール系界面活性剤(2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのEO平均1.3モル付加物(HLB:4.7)、エアープロダクツアンドケミカルズ社製、商品名:サーフィノール420、有効分100%)KF6011:ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KF-6011、PEG-11メチルエーテルジメチコン)増粘剤:アデカノールUH-420(株式会社ADEKA社製)表1中のSF104PG50は、有効分としての量を示す。」
第4 通知した証拠方法及び取消理由の一覧
1 申立人の提示した証拠方法は次のとおりである。以下、甲第1号証を甲1などという。
2 取消理由の一覧
(1)本件発明1~3、5~8は、本件優先日前に頒布された刊行物である甲1及び甲2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当する発明であり、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。したがって、本件発明1~3、5~8に係る特許は、同法第113条第2号の規定により、取り消すべきものである。
(2)本件発明1~8は、本件優先日前に頒布された刊行物である甲1及び甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。したがって、本件発明1~8に係る特許は、同法第113条第2号の規定により、取り消すべきものである。
第5 引用例の記載事項
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1 甲1には次の記載がある。半角の文字及び記号は、全角に変換した部分がある。
(1)「【請求項1】水溶性樹脂(A)の存在下、水性媒体中でエチレン性不飽和単量体(B)を重合してなる水性インキ用コアシェル型樹脂微粒子分散体であって、下記の(1)~(4)であることを特徴とする水性インキ用コアシェル型樹脂微粒子分散体。(1)水溶性樹脂(A)が、芳香族エチレン性不飽和単量体(a-1)と続きを表示(全42行)カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a-2)とを含むエチレン性不飽和単量体(a)を重合してなる水溶性樹脂であり、エチレン性不飽和単量体(a)100重量%中、芳香族エチレン性不飽和単量体(a-1)を20~70重量%、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a-2)を30~40重量%含有する。(2)エチレン性不飽和単量体(B)が、芳香族エチレン性不飽和単量体(b-1)と、一般式(1)からなるエチレン性不飽和単量体(b-2)とを必須成分とするエチレン性不飽和単量体であって、エチレン性不飽和単量体(B)100重量%中、芳香族エチレン性不飽和単量体(b-1)を15~40重量%、エチレン性不飽和単量体(b-2)を60~85重量%含有する。(3)エチレン性不飽和単量体(B)の合計100重量部に対し、水溶性樹脂(A)の量が40~60重量部である。(4)水性インキ用コアシェル型樹脂微粒子分散体の平均粒子径が45~90nm、ガラス転移温度が-10~30℃である。一般式(1)【化1】[図:0001399342000001.jpg]Rは炭素数1~4のアルキル基を示す。【請求項2】コアシェル型樹脂微粒子分散体の重量平均分子量が200000~500000である事を特徴とする請求項1記載の水性インキ用コアシェル型樹脂微粒子分散体。【請求項3】エチレン性不飽和単量体(B)の合計100重量%中、ケト基含有エチレン性不飽和単量体を1~3重量%含有する事を特徴とする請求項1または2記載の水性インキ用コアシェル型樹脂微粒子分散体。【請求項4】顔料(C)、顔料分散樹脂(D)、水、親水性溶剤(E)及び請求項1~3いずれか記載の水性インキ用コアシェル型樹脂微粒子分散体を含有することを特徴とする水性インキ組成物。【請求項5】顔料分散樹脂(D)が芳香族エチレン性不飽和単量体(d-1)を含むエチレン性不飽和単量体(d)を重合してなる水溶性樹脂であり、エチレン性不飽和単量体(d)100重量%中、芳香族エチレン性不飽和単量体(d-1)を20~70重量%、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d-2)を10~40重量%含有する事を特徴とする請求項4記載の水性インキ組成物。【請求項6】水性インキ組成物の最低造膜温度が0℃以下である事を特徴とする請求項4または5記載の水性インキ組成物。【請求項7】親水性溶剤(E)にジエチレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤を含有することを特徴とする請求項4~6いずれか記載の水性インキ組成物。【請求項8】ジエチレングリコールモノアルキルエーテル溶剤系が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルのいずれかであることを特徴とする請求項7記載の水性インキ組成物。【請求項9】フレキソ印刷またはグラビア印刷に用いられる、請求項4~8いずれか記載の水性インキ組成物。」
(2)「【0062】次に本発明の水性インキ組成物について説明する。本発明の水性インキ組成物は、顔料(C)、顔料分散樹脂(D)、樹脂微粒子分散体、親水性溶剤(E)、ならびに水を含有する。・・・【0064】続きを表示(全34行)顔料分散に使用する顔料分散樹脂(D)としては、インキの安定性を維持し、顔料分散能を有するものであれば任意の水溶性樹脂を用いる事ができる。・・・【0067】さらに樹脂微粒子分散体との相溶性の観点から、顔料分散樹脂(D)は、芳香族エチレン性不飽和単量体(d-1)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d-2)を含むエチレン性不飽和単量体(d)を重合してなる水溶性樹脂であり、エチレン性不飽和単量体(d)の合計100重量%中、芳香族エチレン性不飽和単量体(d-1)を20~70重量%、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d-2)を10~40重量%含有する事が好ましい。・・・・・・【0076】水性インキ組成物100重量%中、親水性溶剤(E)は1~10重量%含有していることが好ましく、より好ましくは2~5重量%の範囲内である。親水性溶剤(E)が1重量%未満であると、印刷適性が悪化して塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が低下する場合がある。一方、親水性溶剤(E)の含有量が10重量%を超えると、塗膜の乾燥不良が発生し、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)が低下してしまう場合がある。【0077】親水性溶剤(E)としては、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノールなどの一価のアルコール溶剤;エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等のラクタム系溶剤;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、出光製エクアミドM-100、エクアミドB-100等のアミド系溶剤等が挙げられる。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。【0078】親水性溶剤(E)の中でも、インキの分散安定性維持、乾燥性の制御、樹脂の造膜促進に優れる点から、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤を使用する事が好ましい。さらにその中でも、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルのいずれかを使用する事がさらに好ましい。【0079】本発明の水性インキ組成物に含まれる親水性溶剤(E)100重量%中、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤は0.3~4重量%含有していることが好ましい。親水性溶剤(E)が0.3重量%未満であると、造膜ならび相溶促進の効果が十分に得られない場合がある。一方、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤の含有量が4重量%を超えると、塗膜の乾燥不良が発生し、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロキング性)が低下してしまう場合がある。・・・【0083】また、本発明の水性インキ組成物には、塗膜の耐摩擦性を向上させる目的で市販のワックス微粒子分散体を使用する事ができる。ワックス樹脂微粒子分散体としては、例えば、三井化学社製、ケミパールW100、W200、W300、W310、W306、W400、W401、W4005、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WH201、WP100などが挙げられる。・・・【0085】また。本発明の水性インキ組成物は、基材へのレベリング性を調節する目的で各種表面調整剤を使用する事ができる。表面調整剤としては例えば、日信化学社製、サーフィノール104E,104H、104A、104PA,104PG-50、104S、420、440、465、485、SE,SE-F、PSA-336、61、2502、ダイノール604、607、ビックケミー社製BYK-381、3441、302、307、325、331、333、342、345、346、347、348、349、378、3455等が挙げられるがこれらに限らない。・・・【0086】表面調整剤の添加量は、塗膜物性への悪影響のバランスを考慮して、水性インキ組成物100重量%中、固形分換算で0~1重量%程度使用するのが好ましい。・・・【0088】本発明の水性インキ組成物は、低温乾燥条件下においても、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエチレンテレフタラートなどの非極性フィルム基材に良好な基材密着性を有し、優れた耐水摩擦性や耐ブロッキング性を発現するため、これまで非極性フィルム基材などの基材拡張が困難であった水性のフレキソ印刷、グラビア印刷への展開が可能である。また、上質紙などの浸透性基材やアート紙、コート紙など、従来の基材に対しても塗膜物性向上の目的で使用する事ができる。」
(3)「【0090】以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。【0091】<水溶性樹脂(A)の製造>続きを表示(全27行)[製造例1]攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた別の反応容器に、メチルイソブチルケトン94.0部を仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度100℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン55.0部、アクリル酸30.0部、ラウリルメタクリレート15.0部を3時間かけて滴下した。もう一方からは、ジメチル2,2‘-アゾビスイソブチレート6.0部をメチルイソブチルケトン12.0部に溶解させ、4時間かけてそれを滴下した。滴下完了後、更に10時間反応させて反応を完了した。冷却後、得られた水溶性樹脂(A)溶液に25%アンモニア水23.3部を加えて中和した。更にイオン交換水を加えて、加熱しながら溶剤置換をおこない、水溶性樹脂(A)の水溶液を得た。最後にイオン交換水により、水溶性樹脂(A)溶液の固形分を35.0%に調整した。水溶性樹脂(A)の酸価は220、重量平均分子量は12800であった。[製造例2~11]表1に示す配合組成で、製造例1と同様の方法で水溶性樹脂(A)溶液を調製した。中和剤である25%アンモニア水は、水溶性樹脂(A)のカルボキシル基とアンモニアが等モルになるように添加した。さらに製造例1と同様の操作をおこない、固形分35%の水溶樹脂(A)水溶液を調製した。水溶性樹脂(A)については、酸価ならびに重量平均分子量を評価した。・・・【0094】【表1】[図:0001399342000002.jpg]【0095】<コアシェル型樹脂微粒子分散体の製造>[実施例1]攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた別の反応容器に、イオン交換水91.8部と製造例1で調製した水溶性樹脂(A)溶液114.3部仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度80℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン20.0部、ベンジルメタクリレート18.0部、n-ブチルアクリレート62.0部を2時間かけて滴下した。もう一方からは、過硫酸アンモニウム20%水溶液5.0部を2時間かけて滴下した。滴下完了後、更に4時間反応させて樹脂微粒子分散体を得た。イオン交換水により、樹脂微粒子分散体の固形分を45%に調整した。得られた樹脂微粒子分散体の平均粒子径は84nm、重量平均分子量は470000、酸価は63、ガラス転移温度は2.0℃であった。樹脂微粒子分散体の酸価は、水溶性樹脂(A)の酸価と仕込み量から計算して算出した。ガラス転移温度(Tg)についてはエチレン性不飽和単量体の組成から、先述のFOXの式により算出した。樹脂微粒子分散体1kg当たりの合成時における凝集物の発生量は0.05gであった。【0096】[実施例2~15および比較例1~17]表2、表3に示す配合組成で、実施例1と同様の方法でコアシェル型樹脂微粒子分散体を調製した。実施例10、12、13、14については、合成後、架橋剤のアジピン酸ジヒドラジドを、樹脂微粒子分散体中におけるケト基に対してヒドラジド基が等モルになるように添加した。樹脂微粒子分散体の固形分は全て45.0%に調整した。得られた樹脂微粒子分散体について、実施例1と同様の方法で酸価、ガラス転移温度(Tg)を算出し、平均粒子径、重量平均分子量、凝集物の有無について評価した。・・・【0099】【表2】[図:0001399342000003.jpg]【0100】【表3】[図:0001399342000004.jpg]」
(4)「【0101】<水性インキ組成物の製造>【0102】<顔料分散樹脂(D)の製造>続きを表示(全13行)[製造例12]攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた別の反応容器に、メチルイソブチルケトン94部を仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度100℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン50部、α-メチルスチレン5部、メタクリル酸30部、ラウリルメタクリレート15部を3時間かけて滴下した。もう一方からは、ジメチル2,2‘-アゾビスイソブチレート5部をメチルイソブチルケトン10部に溶解させ、4時間かけてそれを滴下した。滴下完了後、更に10時間反応させて反応を完了した。冷却後、得られた顔料分散樹脂(D)溶液に25%アンモニア水19.5部を加えて中和した。更にイオン交換水を加えて、加熱しながら溶剤置換をおこない、水溶性樹脂(A)の水溶液を得た。最後にイオン交換水をさらに加えて、水溶性樹脂(A)溶液の固形分を30%に調整した。顔料分散樹脂(D)の酸価は186、重量平均分子量は10500であった。【0103】[製造例13~22]表4に示す配合組成で、製造例12と同様の方法で、製造例13~22の顔料分散樹脂(D)水溶液を調製した。中和剤として25%アンモニア水を、顔料分散樹脂(D)のカルボキシル基に対して、当モルになるように添加し、さらに製造例12と同様の操作をおこない、固形分30%の顔料分散樹脂(D)水溶液を調製した。また、製造例23、24のように、市販の固形樹脂を顔料分散剤として使用する場合には、イオン交換水ならびに25%アンモニア水(顔料分散樹脂(D)のカルボキシル基に対してアンモニアが等モル量)を添加し、加熱、撹拌しながら水溶化させ、固形分を30%に調整した。表5に使用した市販の固形樹脂の概要を示す。顔料分散樹脂(D)については、水溶性樹脂(A)と同様の方法で酸価ならびに重量平均分子量を評価した。【0104】【表4】[図:0001399342000005.jpg]」
(5)「【0110】[製造例38]<濃縮藍顔料分散液の製造>顔料[リオノールブルーFG7330 トーヨーカラー社製]35.9部、製造例12の顔料分散剤水溶液(固形分30%)21.5部、イオン交換水39.7部、表面調整剤[サーフィノール420 日信化学工業製]0.4部をペイントコンディショナーにて2時間分散し、濃縮藍顔料分散液を得た。続きを表示(全39行)【0111】[製造例39~50]表7に示す配合組成で、製造例38と同様の方法で濃縮藍顔料分散液を調製した。【0112】【表7】[図:0001399342000006.jpg]【0113】<水性インキ組成物の調製>[実施例16]実施例1で得られた樹脂微粒子水分散体40.2部に対して、製造例25の濃縮白顔料分散液47.5部、ケミパールW500 5.0部、親水性溶剤としてN-プロパノール部2.5部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル2.0部、イオン交換水2.8部を加えた後、混練して白色水性インキ組成物を得た。【0114】[実施例17~41および比較例18~34]表8および表9に示す配合組成で、実施例1と同様の方法で調製し、白色水性インキ組成物を得た。【0115】【表8】[図:0001399342000007.jpg]【0116】【表9】[図:0001399342000008.jpg]【0117】[実施例42]実施例1で得られた樹脂微粒子水分散体40.9部に対して、製造例36の濃縮藍顔料分散液41.6部、ケミパールW500 4.5部、親水性溶剤としてN-プロパノール部3.0部、イオン交換水10.0部を加えた後、混練して藍色水性インキ組成物を得た。【0118】[実施例43~67および比較例35~51]表10および表11に示す配合組成で、実施例41と同様の方法で調製し、藍色水性インキ組成物を得た。【0119】[最低造膜温度]最低造膜温度(MFT)は、300μのアプリケーターで水性インキ組成物をガラス板に塗工したものを熱勾配試験機(理学工業社製)にかけて測定した。【0120】【表10】[図:0001399342000009.jpg]【0121】【表11】[図:0001399342000010.jpg]」
2 甲2には次の記載がある。
(1)「【請求項7】フレキソ印刷またはグラビア印刷に用いられる、請求項5または6記載の水性インキ組成物。・・・【0002】水性インキ組成物は、一般的に顔料、顔料分散樹脂、水、保湿剤成分、およびバインダー樹脂により構成されている。このうちバインダー樹脂は、印字物の塗膜耐性(耐水性、耐擦性、密着性、スクラッチ性など)を向上させる目的で添加されており、優れた塗膜物性、インキ物性及び印刷適性を両立できる事から、樹脂微粒子分散体が多く使用されている。このような水性インク組成物は、これまで主に紙やダンボールなどの基材を対象として開発されてきたが、近年、省エネ、低コスト、環境負荷低減の観点から、低温乾燥条件下で、オレフィンやPETなどの非極性フィルム基材に対し、優れた塗膜物性(基材密着性や耐水摩擦性)を発現する機能が求められており、同時にそれに対応できるバインダー樹脂組成物の開発も求められている。【0003】特許文献1では、オールアクリルタイプの樹脂微粒子分散体のバインダー樹脂組成物が開示されている。しかしながらこの樹脂微粒子分散体は合成時に発生する粗大粒子数が多い上に、顔料分散樹脂との相溶性が著しく悪い。したがって、この樹脂微粒子分散体をインキに使用した場合、造膜性が悪く、塗膜耐性が大幅に悪化する。また、紙などの浸透性基材と異なり、フィルム基材上での乾燥性が悪いため、残留成分由来の耐水ブロッキングの悪化、臭気が問題となっている。」
(2)「【0064】次に本発明の水性インキ組成物について説明する。本発明の水性インキ組成物は、水性インキバインダー組成物の他に、顔料分散樹脂(E)、顔料(F)、親水性溶剤(G)および水を含有する。【0065】本発明の水性インキ用バインダー組成物は水性インキ組成物100重量%中、樹脂固形分換算で5~40重量%使用するのが好ましく、さらに好ましくは10~30重量%の範囲である。樹脂固形分が5%未満であると、レベリング性が悪化すると同時に、基材と顔料、もしくは顔料同士の結着力が不十分となるため、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が低下する場合がある。一方で40重量%を超えると、インキ組成物の粘度が著しく上昇し、インキの分散安定性が悪化したり、乾燥不良が起こり、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が悪化する場合がある。続きを表示(全29行)【0066】顔料分散に使用する顔料分散樹脂(E)としては、インキの安定性を維持し、顔料分散能を有するものであれば任意の水溶性樹脂を用いる事ができる。顔料分散樹脂(E)としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(市販品としては例えば、ISP社製K-30、K-60、K-90など)、ポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、マレイン酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン-(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、ビニルピロリドン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ビニルピロリドン-スチレン共重合体、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー株式会社製 ポリナスPS-1、ポリナスPS-5など)、スチレンスルホン酸-マレイン酸共重合体、ポリイタコン酸、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド-(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエステル、カルボキシビニルポリマー等の水溶性のビニル系共重合体;ポリイソシアネートとポリオールの重付加反応により得られるウレタン樹脂であり、親水基の導入により樹脂全体が水溶化された水溶性ポリウレタン樹脂;多価カルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるポリエステル樹脂であり、親水基の導入により樹脂全体が水溶化された水溶性ポリエステル樹脂;メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボシキメチルスセルロース、アルカリ金属カルボキシメチルセルロース、アルカリ金属セルロース硫酸塩、セルロースグラフト重合体等のセルロース誘導体;ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等のポリペプチド類;等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。・・・【0069】さらに水性バインダー樹脂組成物との相溶性の観点から、顔料分散樹脂(E)は、芳香族エチレン性不飽和単量体(e-1)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(e-2)を含むエチレン性不飽和単量体(e)を重合してなる水溶性樹脂である事が好ましい。・・・【0072】エチレン性不飽和単量体(e)の合計100重量%中、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(e-2)を10~40重量%含有する事が好ましい。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(e-2)が10重量%未満であると、造膜時に樹脂微粒子分散体との相溶性が低下して膜物性が低下する場合がある。一方で40重量%を超えると、乾燥不良が発生し、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)が低下する場合がある。上記の組成の顔料分散樹脂(E)は、樹脂微粒子分散体との相溶に大変優れており、低温乾燥下においても、均質な塗膜を形成する。したがって、組み合わせる事でさらに塗膜物性向上を期待する事ができる。・・・【0080】水性インキ組成物100重量%中、親水性溶剤(G)は1~10重量%含有していることが好ましく、より好ましくは2~5重量%の範囲内である。親水性溶剤(G)が1重量%未満であると、レベリング性が悪化して塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が低下する場合がある。一方、親水性溶剤(G)の含有量が10重量%を超えると、塗膜の乾燥不良が発生し、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)が低下してしまう場合がある。【0081】親水性溶剤(G)としては、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノールなどの一価のアルコール溶剤;エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等のラクタム系溶剤;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、出光製エクアミドM-100、エクアミドB-100等のアミド系溶剤等が挙げられる。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。」
・・・
【0085】
また、本発明の水性インキ組成物には、塗膜の耐摩擦性を向上させる目的で市販のワックス微粒子分散体を使用する事ができる。ワックス樹脂微粒子分散体としては、例えば、三井化学社製、ケミパールW100、W200、W300、W310、W306、W400、W401、W4005、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WH201、WP100などが挙げられる。
【0086】
ワックス微粒子分散体の添加量は、塗膜物性における耐摩擦性向上と色相への悪影響のバランスを考慮して、水性インキ組成物100重量%中、固形分換算で1~5重量%程度使用するのが好ましい。
【0087】
また。本発明の水性インキ組成物は、基材へのレベリング性を調節する目的で各種表面調整剤を使用する事ができる。表面調整剤としては例えば、日信化学社製、サーフィノール104E,104H、104A、104PA,104PG-50、104S、420、440、465、485、SE,SE-F、PSA-336、61、2502、ダイノール604、607、ビックケミー社製BYK-381、3441、302、307、325、331、333、342、345、346、347、348、349、378、3455等が挙げられるがこれらに限らない。
【0088】
表面調整剤の添加量は、塗膜物性への悪影響のバランスを考慮して、水性インキ組成物100重量%中、固形分換算で0~1重量%程度使用するのが好ましい。
・・・
【0090】
本発明の水性インキ組成物は、低温乾燥条件下においても、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエチレンテレフタラートなどの非極性フィルム基材に良好な基材密着性を有し、優れた耐水摩擦性や耐ブロッキング性を発現するため、これまで非極性フィルム基材などの基材拡張が困難であった水性のフレキソ印刷、グラビア印刷への展開が可能である。また、上質紙などの浸透性基材やアート紙、コート紙など、従来の基材に対しても塗膜物性向上の目的で使用する事も可能である。」
(3)「【実施例】【0092】以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。【0093】続きを表示(全15行)<水溶性樹脂(A)の製造>[製造例1]攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた別の反応容器に、メチルイソブチルケトン94.0部を仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度100℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン55.0部、アクリル酸30.0部、ラウリルメタクリレート15.0部を3時間かけて滴下した。もう一方からは、ジメチル2,2‘-アゾビスイソブチレート10.0部をメチルイソブチルケトン12.0部に溶解させ、4時間かけてそれを滴下した。滴下完了後、更に10時間反応させた。冷却後、得られた水溶性樹脂(A)溶液に25%アンモニア水28.3部部を加えて中和した。更にイオン交換水を加えて、加熱しながら溶剤置換をおこない、水溶性樹脂(A)の水溶液を得た。最後にイオン交換水により、水溶性樹脂(A)溶液の固形分を35.0%に調整した。水溶性樹脂(A)の酸価は212、重量平均分子量は12800であった。【0094】[製造例2~7]表1に示す配合組成で、製造例1と同様の方法で水溶性樹脂(A)溶液を調製した。中和剤である25%アンモニア水は、水溶性樹脂(A)のカルボキシル基とアンモニアが等モルになるように添加した。さらに製造例1と同様の操作をおこない、固形分35%の水溶樹脂(A)水溶液を調製した。水溶性樹脂(A)については、酸価、重量平均分子量を評価した。・・・【0097】【表1】[図:0001399342000011.jpg]」
(4)「【0098】<コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の製造>[製造例8]攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた別の反応容器に、イオン交換水91.8部と製造例1で調製した水溶性樹脂(A)溶液40.5部仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度80℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン20.0部、ベンジルメタクリレート18.0部、n-ブチルアクリレート62.0部を2時間かけて滴下した。もう一方からは、過硫酸アンモニウム20%水溶液4.0部(固形分で0.8部)を2時間かけて滴下した。滴下完了後、更に4時間反応させて樹脂微粒子分散体を得た。イオン交換水により、樹脂微粒子分散体の固形分を45.0%に調整した。樹脂微粒子分散体の酸価は61、ガラス転移温度(Tg)は7℃、平均粒子径は84nmであった。樹脂微粒子分散体の酸価は、水溶性樹脂(A)の酸価と仕込み量から計算して算出した。ガラス転移温度(Tg)についてはエチレン性不飽和単量体の組成から、先述のFOXの式により算出した。続きを表示(全14行)【0099】[製造例9~21]表2に示す配合組成で、製造例1と同様の方法で樹脂微粒子分散体を調製した。製造例15、21については、合成後、架橋剤のアジピン酸ジヒドラジドを、樹脂微粒子分散体中におけるケト基に対してヒドラジド基が等モルになるように添加した。製造例8と同様に、)イオン交換水により、樹脂微粒子分散体の固形分を全て45%に調整した。得られた樹脂微粒子分散体について、平均粒子径について評価した。【0100】[平均粒子径]樹脂微粒子分散体を500倍に水希釈し、該希釈液約5mlを動的光散乱測定法(測定装置はマイクロトラック(株)日機装製)により測定をおこなった。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを平均粒子径とした。【0101】【表2】[図:0001399342000012.jpg]」
(5)「【0102】<樹脂微粒子分散体(D)の製造>[製造例22]攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水39.0部と界面活性剤(C)としてハイテノールLA-12(有効成分:95% 第一工業製薬製)0.5部とを仕込み、別途、スチレン25.0部、メチルメタクリレート30.0部、2-エチルヘキシルアクリレート41.0部、2-ヒドロキシエチルアクリレート1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.5部、アクリルアミド1.0部、アクリル酸1.5部、イオン交換水66.0部、および乳化剤として、ハイテノールLA-12 1.0部を攪拌混合して調製した乳化液を、7.0部加えた。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液12.0部を添加して重合を開始した。内温を80℃に保ちながら上記の乳化液の残りを3時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。反応終了後、温度を30℃まで冷却し、25%アンモニア水1.4部で中和した。さらにイオン交換水により、樹脂微粒子分散体(D)の固形分を45.0%に調整した。樹脂微粒子分散体の酸価は10、ガラス転移温度(Tg)は17℃、平均粒子径は125nmであった。樹脂微粒子分散体の酸価はカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の仕込み量から計算して算出した。ガラス転移温度(Tg)についてはエチレン性不飽和単量体の組成から、先述のFOXの式により算出した。続きを表示(全11行)【0103】[製造例23~31]表3に示す配合組成で、製造例22と同様の方法で樹脂微粒子分散体(D)を調製した。合成後、カルボキシル基に対してアンモニアが等モルになるように25%アンモニア水で中和した。製造例22と同様に、イオン交換水により、樹脂微粒子分散体の固形分を全て45.0%に調整した。得られた樹脂微粒子分散体について、平均粒子径を評価した。【0104】【表3】[図:0001399342000013.jpg]」
(6)「【0105】<水性インキ用バインダー樹脂組成物の調製>[実施例1]製造例8で合成した樹脂微粒子分散体(B)50.0部と製造例22で合成した樹脂微粒子分散体(D)50.0部をホモミキサーで撹拌して水性インキ用バインダー樹脂組成物を調製した。(樹脂固形分45.0%)続きを表示(全14行)【0106】[実施例2~15および比較例1~5]表4、表5に示す配合組成で実施例1と同様の方法で水性インキ用バインダー組成物を調製した。【0107】【表4】[図:0001399342000014.jpg]【0108】【表5】[図:0001399342000015.jpg]」
(7)「【0109】<顔料分散樹脂(E)の製造>[製造例32]攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた別の反応容器に、メチルイソブチルケトン94.0部を仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度100℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン55.0部部、α-メチルスチレン5.0部、メタクリル酸30.0部、エチルアクリレート15.0部を3時間かけて滴下した。もう一方からは、ジメチル2,2‘-アゾビスイソブチレート5部をメチルイソブチルケトン10部に溶解させ、4時間かけてそれを滴下した。滴下完了後、更に10時間反応させて反応を完了した。得られた顔料分散樹脂(E)溶液に25%アンモニア水23.7部部を加えて中和した。更にイオン交換水を加えて、加熱しながら溶剤置換をおこない、水溶性樹脂(A)の水溶液を得た。最後にイオン交換水をさらに加えて、水溶性樹脂(A)溶液の固形分を30.0%に調整した。顔料分散樹脂(E)の酸価は179、重量平均分子量は10500であった。続きを表示(全14行)【0110】[製造例33~38]表6に示す配合組成で、製造例32と同様の方法で、製造例33~38の顔料分散樹脂(E)水溶液を調製した。中和剤として25%アンモニア水を、顔料分散樹脂(E)のカルボキシル基に対して、アンモニアが等モルになるように添加して中和し、さらに製造例32と同様の操作をおこない、固形分30.0%の顔料分散樹脂(E)水溶液を調製した。また、製造例39、40のように、市販の固形樹脂を顔料分散剤として使用する場合には、イオン交換水を加え、25%アンモニア水を顔料分散樹脂(E)のカルボキシル基とアンモニアが等モルになる様に添加し、加熱、撹拌しながら水溶化させ、固形分を30.0%に調整した。表7に使用した市販の固形樹脂の概要を示す。顔料分散樹脂(E)については、水溶性樹脂(A)と同様の方法で酸価ならびに重量平均分子量を評価した。【0111】【表6】[図:0001399342000016.jpg]【0112】【表7】[図:0001399342000017.jpg]」
(8)「【0113】<濃縮顔料分散液の製造>【0114】[製造例41]続きを表示(全23行)<濃縮白顔料分散液の製造>顔料[タイペークCR80 石原産業社製]67.5部、製造例32の顔料分散剤水溶液(固形分30.0%)21.3部、イオン交換水5.8部、表面調整剤[サーフィノール420 日信化学工業製]0.4部をペイントコンディショナーにて2時間分散し、濃縮白顔料分散液を得た。【0115】[製造例42~49]表8に示す配合組成で、製造例41と同様の方法で濃縮白顔料分散液を調製した。【0116】【表8】[図:0001399342000018.jpg]【0117】[製造例50]<濃縮藍顔料分散液の製造>顔料[リオノールブルーFG7330、トーヨーカラー社製]35.9部、製造例32の顔料分散剤水溶液(固形分30.0%)21.5部、イオン交換水39.7部、表面調整剤[サーフィノール420 日信化学工業製]0.4部をペイントコンディショナーにて2時間分散し、濃縮藍顔料分散液を得た。【0118】[製造例51~58]表9に示す配合組成で、製造例50と同様の方法で濃縮藍顔料分散液を調製した。【0119】【表9】[図:0001399342000019.jpg]」
(9)「【0120】<水性インキ組成物の調製>[実施例16]実施例1で得られた水性インキ用バインダー樹脂組成物40.2部に対して、製造例24の濃縮白顔料分散液47.5部、ケミパールW500 5部、親水性溶剤としてN-プロパノール部2.5部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル1.0部、イオン交換水3.8部を加えた後、混練して白色水性インキ組成物を得た。続きを表示(全27行)【0121】[実施例17~30および比較例6~10]表10および表11に示す配合組成で、実施例16と同様の方法で調製し、白色水性インキ組成物を得た。【0122】【表10】[図:0001399342000020.jpg]【0123】【表11】[図:0001399342000021.jpg]【0124】[実施例31]実施例1で得られた水性インキ用バインダー樹脂組成物40.9部に対して、製造例50の濃縮藍顔料分散液41.6部、ケミパールW500 4.5部、親水性溶剤としてN-プロパノール部3.0部、イオン交換水10.0部を加えた後、混練して藍色水性インキ組成物を得た。【0125】[実施例32~45および比較例11~15]表12および表13に示す配合組成で、実施例31と同様の方法で調製し、藍色水性インキ組成物を得た。・・・【0127】【表12】[図:0001399342000022.jpg]【0128】【表13】[図:0001399342000023.jpg]」
3 甲3には次の記載がある。
「【0023】(沸点が260℃以下のアルキルポリオール)・・・1,6-ヘキサンジオール(250℃)・・・(括弧内の数値は標準沸点を表す)・・・」
4 甲4には次の記載がある。
「【0002】【従来の技術】近年、印刷画像の高品位化、高精細化に伴い、写真や絵画等の再現性が良く、美しい印刷面を形成するグラビア印刷の要求が高まっている。グラビア印刷は従来溶剤ベースのインクが用いられていたが、最近の地球環境問題への意識の高まり及び作業環境の問題等から、溶剤を排したいわゆる水系ベースのインクに変わりつつある。しかし、水性インクを用いるグラビア印刷では、溶剤系インクを用いた場合に比べインクの乾燥速度が著しく遅く、印刷面のインク乾燥性の低下等の問題がある。」
5 甲5には次の記載がある。
「【0072】・・・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(EDG、沸点202℃、表面張力31.3dyn/cm2)・・・」
6 甲6には次の記載がある。
(1)「【0015】本発明で用いるスチレン-無水マレイン酸共重合体は、例えば下記式(1)で表されるものである。【化1】[図:0001399342000024.jpg]」
(2)「【0034】・スチレン-無水マレイン酸共重合体:サートマー・ジャパン(株)製「SMA3000」(式(1)におけるスチレン:無水マレイン酸=3:1、m=3、n=8~12)」
第5 取消理由についての当審の判断
1 甲1を主引用例とする検討
(1)甲1発明Aの認定
ア 前記第4、1(5)に摘記した甲1の【0118】に記載の実施例46(以下「甲1例46」という。)に注目する。甲1の【0118】及び【0120】の【表10】の記載によると、甲1例46は、「水性インキ組成物」であって、その成分として、「コアシェル型樹脂粒子分散体」が実施例4により得られたものが40.9質量%、「使用した濃縮藍顔料分散体」は、製造例41により得られたものが41.6質量%含まれることが読み取れ、さらに、ワックス粒子分散体としてケミパールW-500(固形分40%)を4.5質量%、イオン交換水を10質量%、エタノールを1質量%、イソプロパノールを0.5質量%、1,6-ヘキサンジオールを0.5質量%、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルを1質量%、それぞれ含まれることが読み取れる。
イ 甲1の実施例4
前記第4、1(3)に摘記した甲1の段落【0096】によると、実施例4により得られたものは、「コアシェル型樹脂粒子分散体」であって、固形分濃度が45%の樹脂粒子分散体である。
ウ 甲1の製造例41
(ア)前記第4、1(5)に摘記した甲1の段落【0110】~【0111】及び【0112】の【表7】の記載から、製造例41の濃縮藍顔料分散液は、顔料35.9部、製造例15により得られる顔料分散剤水溶液21.5部(甲1の段落【0103】から、固形分30%)、イオン交換水39.7部、表面調整剤(サーフィノール420)0.4部を混合したものである。
(イ)製造例15の顔料分散剤は、甲1の段落【0104】の【表4】の記載から、スチレン/α-メチルスチレン/アクリル酸=56/13/31であることが読み取れる。
(ウ)以上を整理すると次の表Aのようになる。
[図:0001399342000025.jpg]
エ 甲1発明A
(ア)甲1例46については、前記アに示した比率で、前記イの成分と前記ウの成分を含むものであるから、それらの量は、それぞれ、40.9/100及び41.6/100を掛けた量となる。
(イ)甲1例46は、さらに前記アの他の成分を含むものであって、これらの成分をそのまま加えると、次のようになり、この水性インキ組成物を以下「甲1発明A」という。
[図:0001399342000026.jpg]
(2)甲1発明Bの認定
ア 前記第4の1(5)に摘記した甲1の段落【0118】に記載された実施例51(以下「甲1例51」という。)に注目する。甲1の段落【0118】及び【0120】の【表10】の記載によると、甲1例51は、「水性インキ組成物」であって、その成分として、「コアシェル型樹脂粒子分散体」が実施例6により得られたものが40.9質量%、「使用した濃縮藍顔料分散体」は、製造例45により得られたものが41.6質量%含まれることが読み取れ、さらに、ワックス粒子分散体としてケミパールW-500(固形分40%)を4.5質量%、イオン交換水を8.5質量%、イソプロパノールを2質量%、ジエチレングリコールを0.5質量%、エチレングリコールモノメチルエーテルを1質量%、トリエチレングリコールジメチルエーテルを1質量%、それぞれ含まれることが読み取れる。
イ 甲1の実施例6
前記第4、1(3)に摘記した甲1の段落【0096】によると、実施例6により得られたものは、「コアシェル型樹脂粒子分散体」であって、固形分濃度が45%の樹脂粒子分散体である。
ウ 甲1の製造例19
(ア)前記第4、1(5)に摘記した甲1の【0110】~【0111】の記載から、製造例45の濃縮藍顔料分散液は、顔料35.9質量部、製造例19により得られた顔料分散剤水溶液21.5質量部(甲1の段落【0103】から、固形分30%)、イオン交換水39.7質量部、表面調整剤(サーフィノール420)0.4質量部を混合したものである。
(イ)製造例19の顔料分散剤は、甲1の【0104】の【表4】の記載から、スチレン/アクリル酸/メチルメタクリレート=16/30/54であることが読み取れる。
(ウ)以上を整理すると次の表Cのようになる。
[図:0001399342000027.jpg]
エ 甲1発明B
(ア)甲1例51は、前記アに示した比率で、前記イの成分と前記ウの成分を含むものであるから、それらの量は、それぞれ、40.9/100及び41.6/100を掛けた量となる。
(イ)甲1例51は、さらに前記アの他の成分を含むものであって、これらの成分のそのまま加えると、次のようになり、この水性インキ組成物を、以下「甲1発明B」という。
[図:0001399342000028.jpg]
(3)本件発明1との対比及び判断
ア 本件発明1と甲1発明Aの対比
本件発明1と甲1発明Aを対比すると、少なくとも次の2点で相違する。
(ア)相違点A1-1
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が0.7質量%以上3質量%以下」であるのに対し、同じくアセチレングリコール系界面活性剤である甲1発明Aにおけるサーフィノール420の量が0.2質量%である点。
(イ)相違点A1-2
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕が5/10以上」であるのに対して、甲1発明Aにおける比率が1/(1+0.5+0.5+1)=3.3/10である点。
イ 本件発明1と甲1発明Bの対比
本件発明1と甲1発明Bを対比すると、少なくとも次の2点で相違する。
(ア)相違点B1-1
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が0.7質量%以上3質量%以下」であるのに対し、同じくアセチレングリコール系界面活性剤である甲1発明Bにおけるサーフィノール420の量が0.2質量%である点。
(イ)相違点B1-2
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕が5/10以上」であるのに対して、甲1発明Bにおける比率が(1+0.5)/(2+0.5+1+0.5)=3.75/10である点。
ウ 相違点についての判断
前記ア(ア)(イ)及び前記イ(ア)(イ)のいずれの相違点も実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明A及び甲1発明Bに対して新規性がある。また、これらの相違点について、想到する動機付けがあるということはできないし、これらの相違点に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到しうると認めるに足る証拠があるということはできない。したがって、本件発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ということはできない。
(4)本件発明2、3、5~8についての判断
本件発明2、3、5~8は、本件発明1を包含し、さらに特定事項を追加したものであるから、本件発明1と同様に甲1発明に記載された発明に対して、新規性及び進歩性を有するものである。
2 甲2を主引用例とする検討
(1)甲2発明Aの認定
ア 前記第4、2(9)に摘記した甲2の【0125】に記載された実施例39(以下「甲2例39」という。)に注目する。
甲2の【0125】及び【0127】の【表12】の記載によると、甲2例39は、「水性インキ組成物」であって、その成分として、「コアシェル型樹脂粒子分散体」が実施例9により得られたものが40.9質量%、「使用した濃縮藍顔料分散体」は、製造例55により得られたものが41.6質量%含まれることが読み取れ、さらに、ワックス粒子分散体としてケミパールW-500(固形分40%)を5.0質量%、イオン交換水を8.5質量%、N-プロパノールを2質量%、ジエチレングリコールを0.5質量%、エチレングリコールモノメチルエーテルを0.5質量%、トリエチレングリコールジメチルエーテルを1質量%それぞれ含まれることが読み取れる。
イ 甲2の実施例9
前記第4、1(6)に摘記した甲2の【0105】~【0107】によると、実施例9により得られたものは、「コアシェル型樹脂粒子分散体」と「樹脂微粒子分散体」の混合物であって、固形分濃度が45%の樹脂粒子分散体である。
ウ 甲2の製造例55
(ア)前記第4、2(8)に摘記した甲2の【0117】~【0119】の記載から、甲2の製造例55は、顔料35.9部、製造例37により得られた顔料分散液21.5部(固形分30%)、イオン交換水39.7部、表面調整剤(サーフィノール420)0.4部を混合したものである。
(イ)製造例37の顔料分散剤は、甲2の【0111】の【表6】の記載から、スチレン/アクリル酸/2-ヒドロキシエチルアクリレート/エチルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート=23/30/2/35/10であることが読み取れる。
(ウ)以上を整理すると次の表のようになる。
[図:0001399342000029.jpg]
エ 甲2発明A
(ア)甲2例39は、前記アに示した比率で、前記イの成分と前記ウの成分を含むものであるから、それらの量は、それぞれ、40.9/100及び41.6/100を掛けた量となる。
(イ)甲2例39は、さらに前記アの他の成分を含むものであって、これらの成分のそのまま加えると、次のようになり、この水性インキ組成物を、以下「甲2発明A」という。
[図:0001399342000030.jpg]
(2)甲2発明Bの認定
ア 前記第4、2(9)に摘記した甲2の【0125】に記載の実施例44(以下「甲2例44」という。)に注目する。
甲2の【0125】及び【0127】の【表12】の記載によると、甲2例44は、「水性インキ組成物」であって、その成分として、「コアシェル型樹脂粒子分散体」が実施例14により得られたものが36.9質量%、「使用した濃縮藍顔料分散体」は、製造例58により得られたものが41.6質量%含まれることが読み取れ、さらに、架橋剤としてカルボジライトE-02(固形分40%)ワックス粒子分散体としてケミパールW-500(固形分40%)を4.5質量%、イオン交換水を10質量%、エタノールを1質量%、N-プロパノールを0.5質量%、1,6-ヘキサンジオールを0.5質量%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを1質量%、それぞれ含まれることが読み取れる。
イ 甲2の実施例14
前記第4、1(6)に摘記した甲2の【0105】~【0107】によると、実施例9により得られたものは、「コアシェル型樹脂粒子分散体」と「樹脂微粒子分散体」の混合物であって、固形分濃度が45%の樹脂粒子分散体である。
ウ 甲2の製造例58
(ア)前記第4、2(8)に摘記した甲2の【0117】~【0119】の記載から、甲2の製造例58は、顔料35.9部、製造例40により得られた顔料分散液21.5部(固形分30%)、イオン交換水39.7部、表面調整剤(サーフィノール420)0.4部を混合したものである。
(イ)製造例40の顔料分散剤は、甲2の【0112】の【表7】の記載から、SMA3000(サートマー社製、スチレン・マレイン酸樹脂)であることが読み取れる。
(ウ)以上を整理すると次の表のようになる。
[図:0001399342000031.jpg]
エ 甲2発明B
(ア)甲2例44は、前記アに示した比率で、前記イの成分と前記ウの成分を含むものであるから、それらの量は、それぞれ、36.9/100及び41.6/100を掛けた量となる。
(イ)甲2例44は、さらに前記アの他の成分を含むものであって、これらの成分のそのまま加えると、次のようになり、この水性インキ組成物を、以下「甲2発明B」という。
[図:0001399342000032.jpg]
(3)甲2発明Cの認定
ア 前記第4の2(9)に摘記した甲2の【0125】に記載された実施例45(以下「甲2例45」という。)に注目する。
甲2の【0125】及び【0127】の【表12】の記載によると、甲2例45は、「水性インキ組成物」であって、その成分として、「コアシェル型樹脂粒子分散体」が実施例15により得られたものが40.9質量%、「使用した濃縮藍顔料分散体」は、製造例58により得られたものが41.6質量%含まれることが読み取れ、さらに、ワックス粒子分散体としてケミパールW-500(固形分40%)を5.0質量%、イオン交換水を10.0質量%、N-プロパノールを1質量%、1,6-ヘキサンジオールを0.5質量%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを1質量%がそれぞれ含まれることが読み取れる。
イ 甲2の実施例15
前記第4、1(6)に摘記した甲2の【0105】~【0107】によると、実施例15により得られたものは、「コアシェル型樹脂粒子分散体」と「樹脂微粒子分散体」の混合物であって、固形分濃度が45%の樹脂粒子分散体である。
ウ 甲2の製造例58
甲2の製造例58は、前記(1)ウに摘記したとおりである。
エ 甲2発明C
(ア)甲2例44は、前記アに示した比率で、前記イの成分と前記ウの成分を含むものであるから、それらの量は、それぞれ、40.9/100及び41.6/100を掛けた量となる。
(イ)甲2例44は、さらに前記アの他の成分を含むものであって、これらの成分のそのまま加えると、次のようになり、この水性インキ組成物を、以下「甲2発明C」という。
[図:0001399342000033.jpg]
(4)本件発明1との対比及び判断
ア 本件発明1と甲2発明Aの対比
本件発明1と甲2発明Aを対比すると、少なくとも次の2点で相違する。
(ア)相違点2A-1
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が0.7質量%以上3質量%以下」であるのに対し、甲2発明Aにおけるサーフィノール420の量が0.2質量%である点。
(イ)相違点2A-2
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕が5/10以上」であるのに対して、甲2発明Aにおける比率が(0.5+1.0)/(0.5+1.0+2.0+0.5)=3.75/10である点。
イ 甲2発明Bとの対比
本件発明1と甲2発明Bを対比すると、少なくとも次の2点で相違する。
(ア)相違点2B-1
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が0.7質量%以上3質量%以下」であるのに対し、同じくアセチレングリコール系界面活性剤である甲2発明B1におけるサーフィノール420の量が0.2質量%である点。
(イ)相違点2B-2
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕が5/10以上」であるのに対して、甲2発明Bにおける比率が1/(1+0.5+1)=4/10である点。
ウ 甲2発明Cとの対比
本件発明1と甲2発明Cを対比すると、少なくとも次の2点で相違する。
(ア)相違点2C-1
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が0.7質量%以上3質量%以下」であるのに対し、同じくアセチレングリコール系界面活性剤である甲2発明Cにおけるサーフィノール420の量が0.2質量%である点。
(イ)相違点2C-2
本件発明1は、「該水性グラビアインキ中の該水溶性有機溶剤の総量に対する該グリコールエーテルの質量比〔グリコールエーテル/水溶性有機溶剤総量〕が5/10以上」であるのに対して、甲2発明Cにおける比率が1/(1+0.5+1)=4/10である点。
エ 相違点についての判断
前記ア(ア)(イ)、前記イ(ア)(イ)及び前記ウ(ア)(イ)のいずれの相違点も実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲2発明A、甲2発明B及び甲2発明Cに対して新規性がある。また、これらの相違点に係る本件発明1の構成について、想到する動機付けがあるということはできないし、これらの相違点に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到しうると認めるに足る証拠があるということはできない。したがって、本件発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ということはできない。
(4)本件発明2~8についての判断
本件発明2、3、5~8は、本件発明1を包含し、さらに特定事項を追加したものであるから、本件発明1と同様に甲1発明に記載された発明に対して、新規性及び進歩性を有するものである。
3 小括
前記1、2から、本件発明1~3、5~8は、甲1に記載された発明又は甲2に記載された発明に対し実質的な相違点を有するから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当せず、また、相違点に係る構成が当業者が容易に想到し得たものといえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ということもできない。したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件発明1~3、5~8に係る特許を取り消すことはできない。
第6 取消理由に採用しなかった特許異議の申立て理由
1 記載不備1(申立書44~45頁)
(1)申立人の主張
本件発明の解決すべき課題は、「優れたレベリング性」であって、これを解決するためには、本件発明における「ポリマー」が(a-1)イオン性モノマーと(a-2)ノニオン性モノマーを併用したポリマーであることを要するが、本件発明においてその点が特定されておらず、サポート要件または実施可能要件を満たさない。
(2)当審の判断
申立人が主張するように、本件特許明細書の実施例においては、唯一の例として、ポリマーaとして、イオン性モノマーであるメタクリル酸と、ノニオン性モノマーであるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとを共重合させたポリマーを用いているが、本件特許明細書の【0010】における「界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤を含むことによりインキの印刷基材に対する濡れ性も維持することができ、レベリング性が向上すると考えられる。」との記載から、「アセチレングリコール系界面活性剤」により前記課題の解決及びその実施ができることを理解できるし、イオン性モノマー単独やノニオン性モノマー単独でのポリマーにおいて、レベリング性が低下し、本件発明の課題が解決できなくなることを申立人は立証していない。申立人の主張は採用できない。
2 記載不備2(申立書45~46頁)
(1)申立人の主張
本件発明の解決すべき課題は、「優れたレベリング性」であって、これを解決するためには、本件発明7に規定されるように、「顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bを含む」必要があり、また、このポリマー粒子Bとして、本件明細書の段落【0037】に記載のように「アクリル樹脂と塩化ビニル-アクリル樹脂とを併用がより好ましい」とされており、この要件を含まない本件発明は発明の課題を解決できないか実施不能であり、サポート要件または実施可能要件を満たさない。
(2)当審の判断
本件発明の解決すべき課題の解決手段は、前記1(2)のとおりであって、前記(1)の本件特許明細書の段落【0037】の記載は、より好ましい態様を示したものである。その態様を欠くことで、本件発明の課題が解決できなくなったり、実施可能でなくなるというのは、申立人独自の見解であって、申立人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知及び申立人が主張する理由によっては、本件発明1~3、5~9に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件発明1~3、5~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項4は本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-700372