審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2022-700029

フレキソ印刷版

審判番号
2022-700029
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-537783外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6904484
請求日
2022年01月14日
審決日
2022年12月05日
公報発行日
2023年03月31日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(G03F) / P1651.121-YAA(G03F) / P1651.537-YAA(G03F) / P1651.851-YAA(G03F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6904484号発明「フレキソ印刷版」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許第6904484号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4-6〕について訂正することを認める。
特許第6904484号の請求項1、2、4ないし6に係る特許を維持する。
特許第6904484号の請求項3に係る申立ては却下する。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

特許第6904484号の請求項1乃至6に係る特許についての出願は、令和2年7月1日(優先権主張2019年8月23日、日本国)を国際出願日とする特許出願であって、令和3年6月28日にその特許権の設定登録がされ、同年7月14日に特許掲載公報が発行された。

その後、令和4年1月14日付けで特許異議申立人 村野親(以下、「特許異議申立人」という。)より請求項1乃至6に対して特許異議の申立てがされ、同年2月9日付けで取消理由が通知され、同年4月21日に特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされ、同年6月1日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年7月26日に特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされた。

なお、特許異議申立人は意見書の提出を希望しており、当審は令和4年7月26日に提出された訂正請求書による訂正の請求について、同年8月30日付けの通知書によって意見を提出する機会を与えたが、特許異議申立人から期間内に応答はなかった。

2 訂正の適否についての判断(請求項1~6に係る一群の請求項に係る訂正)

(1)訂正の内容

本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。(注:下線部分は訂正箇所を示す。)

ア 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「少なくとも支持体(A)と感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)が順次積層されてなるフレキソ印刷原版より得られるフレキソ印刷版であって、感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物が、(a)共役ジエンを重合して得られるポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、及び(c)光重合開始剤を含み、(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)を含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の含有量が7~13質量%であり、感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量が2.5~9質量%であること、網点の複合弾性率が35~80MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が5~15MPaであること、及びフレキソ印刷原版が、感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)の間に、酸素バリヤ層(D)を有することを特徴とするフレキソ印刷版。」と記載されているのを、「少なくとも支持体(A)と感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)が順次積層されてなるフレキソ印刷原版より得られるフレキソ印刷版であって、感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物が、(a)共役ジエンを重合して得られるポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、及び(c)光重合開始剤を含み、(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)を含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の含有量が7~13質量%であり、感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量が2.5~7質量%であること、(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が10~20質量%であること、網点の複合弾性率が35~70MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が9~14MPaであること、及びフレキソ印刷原版が、感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)の間に、酸素バリヤ層(D)を有することを特徴とするフレキソ印刷版。」に訂正する。

請求項1の記載を引用する請求項2、4~6も同様に訂正する。

イ 訂正事項2

特許請求の範囲の請求項2に「感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率が0.20~0.55の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のフレキソ印刷版。」と記載されているのを、「感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率が0.23~0.54の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のフレキソ印刷版。」に訂正する。

請求項2の記載を引用する請求項4~6も同様に訂正する。

ウ 訂正事項3

特許請求の範囲の請求項3を削除する。

エ 訂正事項4

特許請求の範囲の請求項4に「(c)光重合開始剤が、ベンジルアルキルケタール系とベンゾフェノン系の2種類の化合物を含み、ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比が99:1~80:20の範囲にあることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のフレキソ印刷版。」と記載されているのを、「(c)光重合開始剤が、ベンジルアルキルケタール系とベンゾフェノン系の2種類の化合物を含み、ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比が15:1~150:20の範囲にあることを特徴とする請求項1~2のいずれかに記載のフレキソ印刷版。」に訂正する。

請求項4の記載を引用する請求項5及び6も同様に訂正する。

オ 訂正事項5

特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれかに記載のフレキソ印刷版。」と記載されているのを、「請求項1,2,4のいずれかに記載のフレキソ印刷版。」に訂正する。

カ 訂正事項6

特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれかに記載のフレキソ印刷版」と記載されているのを、「請求項1,2,4,5のいずれかに記載のフレキソ印刷版」に訂正する。

キ 訂正事項7

明細書の段落【0012】に

「 即ち、本発明は、以下の(1)~(6)の構成を有するものである。
(1)少なくとも支持体(A)と感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)が順次積層されてなるフレキソ印刷原版より得られるフレキソ印刷版であって、感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物が、(a)共役ジエンを重合して得られるポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、及び(c)光重合開始剤を含み、(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)を含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の含有量が7~13質量%であり、感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量が2.5~9質量%であること、網点の複合弾性率が35~80MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が5~15MPaであること、及びフレキソ印刷原版が、感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)の間に、酸素バリヤ層(D)を有することを特徴とするフレキソ印刷版。
(2)感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率が0.20~0.55の範囲にあることを特徴とする(1)に記載のフレキソ印刷版。
(3)(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が5~25質量%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のフレキソ印刷版。
(4)(c)光重合開始剤が、ベンジルアルキルケタール系とベンゾフェノン系の2種類の化合物を含み、ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比が99:1~80:20の範囲にあることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載のフレキソ印刷版。
(5)水系の現像液を使用してフレキソ印刷原版を現像して得られることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のフレキソ印刷版。
(6)(1)~(5)のいずれかに記載のフレキソ印刷版を用いたことを特徴とするフレキソ印刷法。」と記載されているのを、
「 即ち、本発明は、以下の(1)~(6)の構成を有するものである。
(1)少なくとも支持体(A)と感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)が順次積層されてなるフレキソ印刷原版より得られるフレキソ印刷版であって、感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物が、(a)共役ジエンを重合して得られるポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、及び(c)光重合開始剤を含み、(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)を含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の含有量が7~13質量%であり、感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量が2.5~7質量%であること、(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が10~20質量%であること、網点の複合弾性率が35~70MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が9~14MPaであること、及びフレキソ印刷原版が、感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)の間に、酸素バリヤ層(D)を有することを特徴とするフレキソ印刷版。
(2)感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率が0.23~0.54の範囲にあることを特徴とする(1)に記載のフレキソ印刷版。
(3)(削除)
(4)(c)光重合開始剤が、ベンジルアルキルケタール系とベンゾフェノン系の2種類の化合物を含み、ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比が15:1~150:20の範囲にあることを特徴とする(1)~(2)のいずれかに記載のフレキソ印刷版。
(5)水系の現像液を使用してフレキソ印刷原版を現像して得られることを特徴とする(1),(2),(4)のいずれかに記載のフレキソ印刷版。
(6)(1),(2),(4),(5)のいずれかに記載のフレキソ印刷版を用いたことを特徴とするフレキソ印刷法。」に訂正する。

ク 訂正事項8

明細書の段落【0056】に

「実施例2~14、比較例15、比較例1~6
感光性樹脂層を構成する感光性樹脂組成物中の各成分の配合割合を表1及び表2に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法でフレキソ印刷原版を作製し、その原版から印刷版を得た。なお、レリーフ深度が0.6mmとなるように裏露光時間を調整し、主露光時間は直径16μmの網点が印刷版上に再現する時間とした。」と記載されているのを、
「実施例2~13、比較例14、比較例15、比較例1~6
感光性樹脂層を構成する感光性樹脂組成物中の各成分の配合割合を表1及び表2に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法でフレキソ印刷原版を作製し、その原版から印刷版を得た。なお、レリーフ深度が0.6mmとなるように裏露光時間を調整し、主露光時間は直径16μmの網点が印刷版上に再現する時間とした。」に訂正する。

ケ 訂正事項9

明細書の段落【0057】に

「実施例1~14、比較例15、比較例1~6の評価結果を表1及び表2に示す。」と記載されているのを、

「実施例1~13、比較例14、比較例15、比較例1~6の評価結果を表1及び表2に示す。」に訂正する。

コ 訂正事項10

明細書の段落【0058】に

「【表1】
[図:0001395198000001.jpg]
」と記載されているのを、
「【表1】
[図:0001395198000002.jpg]
」に訂正する。

サ 訂正事項11

明細書の段落【0061】に

「上記の表の評価結果からわかるように、網点の複合弾性率とベタ部分の複合弾性率が本発明の範囲内である実施例1~14では、微小網点のドットゲイン抑制とベタ部分のインキ乗りが両立できている。このように網点とベタの複合弾性率を本発明の範囲内とする方法としては、従来よりも光重合開始剤量を多量に配合すること、低分子量(メタ)アクリレート化合物を一定量配合すること、及び光重合開始剤と低分子(メタ)アクリレート化合物の配合比率を一定範囲内とすることが重要である。さらに、高分子量の(メタ)アクリレート化合物を配合することで光重合開始剤を多量配合した場合でも独立点の再現性や印刷版の耐久性を損なわない(実施例1~8,11~13と実施例9,10,14の対比)。さらに、光重合開始剤にベンゾフェノンを併用することで網点の複合弾性率を選択的に高めることができる(実施例1~6,9~14と実施例7,8の対比)。さらに、酸素バリア層を持たせることで微小網点のドットゲインとベタ部分のインキ乗りをさらに高めることができる(実施例1~14と比較例15の対比)。」と記載されているのを、

「上記の表の評価結果からわかるように、網点の複合弾性率とベタ部分の複合弾性率が本発明の範囲内である実施例1~13では、微小網点のドットゲイン抑制とベタ部分のインキ乗りが両立できている。このように網点とベタの複合弾性率を本発明の範囲内とする方法としては、従来よりも光重合開始剤量を多量に配合すること、低分子量(メタ)アクリレート化合物を一定量配合すること、及び光重合開始剤と低分子(メタ)アクリレート化合物の配合比率を一定範囲内とすることが重要である。さらに、高分子量の(メタ)アクリレート化合物を配合することで光重合開始剤を多量配合した場合でも独立点の再現性や印刷版の耐久性を損なわない(実施例1~8,11~13と実施例9,10の対比)。さらに、光重合開始剤にベンゾフェノンを併用することで網点の複合弾性率を選択的に高めることができる(実施例1~6,9~13と実施例7,8の対比)。さらに、酸素バリア層を持たせることで微小網点のドットゲインとベタ部分のインキ乗りをさらに高めることができる(実施例1~13と比較例15の対比)。」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び一群の請求項について

ア 訂正事項1

(ア)訂正の目的について

訂正事項1は、訂正前の請求項1の「フレキソ印刷版」の「光重合開始剤の含有量」について、「2.5~9質量%」から「2.5~7質量%」と限定するもの(以下「訂正事項1-1」という。)、「(b)エチレン性不飽和化合物」について、「(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が10~20質量%であること、」と更に限定するもの(以下「訂正事項1-2」という。)、「網点の複合弾性率」について、「35~80MPa」から「35~70MPa」と限定するもの(以下「訂正事項1-3」という。)、「ベタ部分の複合弾性率」について、「5~15MPa」から「9~14MPa」と限定するもの(以下「訂正事項1-4」という。)、である。

そうすると、訂正事項1-1乃至1-4のいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

同様に、訂正後の請求項2、4~6は、訂正後の請求項1を引用することにより、訂正後の請求項1の「フレキソ印刷版」をより具体的に特定し、上記訂正事項1-1乃至1-4のとおり限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

上記アのとおり、訂正事項1-1乃至1-4は、訂正前の請求項1に記載されていた「光重合開始剤の含有量」、「(b)エチレン性不飽和化合物」、「網点の複合弾性率」、「ベタ部分の複合弾性率」について、限定するものであり、いずれの訂正事項も、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

同様に、訂正事項1-1乃至1-4は、訂正前の請求項2~6が引用する請求項1に記載されていた「光重合開始剤の含有量」、「(b)エチレン性不飽和化合物」、「網点の複合弾性率」、「ベタ部分の複合弾性率」について、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

そうすると、訂正事項1-1乃至1-4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

訂正事項1-1の「光重合開始剤の含有量」について、「7質量%」という事項は、明細書の【0058】【表1】の実施例3の光重合開始剤ベンジルジメチルケタールの値に基づいて導き出される事項である。

訂正事項1-2の「(b)エチレン性不飽和化合物」について、「数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が10~20質量%であること、」という事項は、明細書の【0058】【表1】の実施例9及び10の高分子量アクリレート(BAC45)の含有量の値に基づいて導き出される事項である。

訂正事項1-3の「網点の複合弾性率」について、「70MPa」という事項は、明細書の【0058】【表1】の実施例3の複合弾性率(MPa)網点の値に基づいて導き出される事項である。

訂正事項1-4の「ベタ部分の複合弾性率」について、「8~14MPa」という事項は、明細書の【0058】【表1】の実施例3及び実施例14の複合弾性率(MPa)ベタ部分の値に基づいて導き出される事項である。

そうすると、訂正事項1-1乃至1-4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正事項2について

(ア)訂正の目的について

訂正事項2は、訂正前の請求項2の「フレキソ印刷版」の「感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率」について、「0.20~0.55の範囲」から「0.23~0.54の範囲」と限定するものである。

そうすると、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

同様に、訂正後の請求項3~6は、訂正後の請求項2を引用することにより、訂正後の請求項2の「感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率」をより具体的に特定し、上記訂正事項2のとおり限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

上記アのとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載されていた「感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率」の数値範囲について、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

同様に、訂正事項2は、訂正前の請求項3~6が引用する請求項2に記載されていた「感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率」の数値範囲について、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

そうすると、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

訂正事項2の「感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率」について、「0.23~0.54の範囲」という事項は、明細書の【0058】【表1】の実施例5及び実施例3の光重合開始剤/低分子量(メタ)アクリレート化合物の比率の値に基づいて導き出される事項である。

そうすると、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 訂正事項3について

(ア)訂正の目的について

訂正事項3は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

訂正事項3は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

訂正事項3は、請求項を削除するものであるから、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

エ 訂正事項4について

(ア)訂正の目的について

訂正事項4は、訂正前の請求項4の「フレキソ印刷版」の「ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比」について、「99:1~80:20の範囲」から「15:1~150:20の範囲」と限定するもの(以下「訂正事項4-1」という。)、上記訂正事項3に係る訂正に伴い訂正前の請求項4が「請求項1~3のいずれか」を引用していたところ、「請求項1~2のいずれか」を引用するもの(以下「訂正事項4-2」という。)、である。

そうすると、訂正事項4-1及び4-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

同様に、訂正後の請求項5及び6は、訂正後の請求項4を引用することにより、更に訂正後の請求項1~2のいずれかを引用することにより、訂正後の請求項2の「ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比」をより具体的に特定し、上記訂正事項4-1及び4-2のとおり限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

上記(ア)のとおり、訂正事項4-1は、訂正前の請求項4に記載されていた「ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比」の数値範囲について、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

同様に、訂正事項4-1は、訂正前の請求項5及び6が引用する請求項4に記載されていた「ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比」の数値範囲について、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

訂正事項4-2は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

同様に、訂正事項4-2は、訂正前の請求項5及び6が引用する請求項4が引用する請求項を削除するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

そうすると、訂正事項4-1及び4-2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

訂正事項4-1の「ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比」について、「15:1~150:20の範囲」という事項は、明細書の【0058】【表1】の実施例7及び実施例8の感光性樹脂層成分(質量%) 光重合開始剤 ベンジルジメチルケタールとベンゾフェノンの比率の値に基づいて導き出される事項である。

そうすると、訂正事項4-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

訂正事項4-2は、引用する請求項を削除するものであるから、当該訂正事項4-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

オ 訂正事項5

(ア)訂正の目的について

訂正事項5は、上記訂正事項3に係る訂正に伴い訂正前の請求項5が「請求項1~4のいずれか」を引用していたところ、「請求項1,2,4のいずれか」を引用するものである。

そうすると、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

訂正事項5は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

訂正事項5は、上記(ア)のとおり、引用する請求項を削除するものであるから、当該訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

カ 訂正事項6

(ア)訂正の目的について

訂正事項6は、上記訂正事項3に係る訂正に伴い訂正前の請求項6が「請求項1~5のいずれか」を引用していたところ、「請求項1,2,4,5のいずれか」を引用するものである。

そうすると、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

訂正事項6は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

訂正事項6は、上記(ア)のとおり、引用する請求項を削除するものであるから、当該訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

キ 訂正事項7

(ア)訂正の目的について

訂正事項7は、訂正事項1乃至6に係る訂正に伴い、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の【0012】の記載との整合を図るためのものであるから、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

訂正事項7は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るために訂正するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、上記ア乃至カのとおり、訂正事項1乃至6が、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合するものであって、訂正事項7が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかであるから、訂正事項7は、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

上記(ア)のとおり、訂正事項7は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、訂正事項1乃至6に対応する訂正であるから、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ク 訂正事項8

(ア)訂正の目的について

訂正事項8は、訂正事項1、2及び4に係る訂正に伴い、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6から除外された実施例14を比較例14とするものであって、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の【0056】の記載との整合を図るためのものであるから、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

訂正事項8は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るために訂正するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、上記ア乃至カのとおり、訂正事項1乃至6が、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合するものであって、訂正事項8が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかであるから、訂正事項8は、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

上記(ア)のとおり、訂正事項8は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、訂正事項1乃至6に対応する訂正であるから、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ケ 訂正事項9

(ア)訂正の目的について

訂正事項9は、訂正事項1、2及び4に係る訂正に伴い、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6から除外された実施例14を比較例14とするものであって、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の【0057】の記載との整合を図るためのものであるから、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

訂正事項9は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るために訂正するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、上記ア乃至カのとおり、訂正事項1乃至6が、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合するものであって、訂正事項9が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかであるから、訂正事項9は、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

上記(ア)のとおり、訂正事項9は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、訂正事項1乃至6に対応する訂正であるから、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

コ 訂正事項10

(ア)訂正の目的について

訂正事項10は、訂正事項1、2及び4に係る訂正に伴い、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6から除外された実施例14を比較例14とするものであって、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の【0058】の【表1】の記載との整合を図るためのものであるから、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

訂正事項10は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るために訂正するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、上記ア乃至カのとおり、訂正事項1乃至6が、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合するものであって、訂正事項10が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかであるから、訂正事項10は、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

上記(ア)のとおり、訂正事項10は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、訂正事項1乃至6に対応する訂正であるから、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

サ 訂正事項11

(ア)訂正の目的について

訂正事項11は、訂正事項1、2及び4に係る訂正に伴い、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6から除外された実施例14を比較例14とするものであって、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の【0061】の記載との整合を図るためのものであるから、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

訂正事項11は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るために訂正するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、上記ア乃至カのとおり、訂正事項1乃至6が、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合するものであって、訂正事項11が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかであるから、訂正事項11は、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か

上記(ア)のとおり、訂正事項11は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、訂正事項1乃至6に対応する訂正であるから、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

シ 一群の請求項について

訂正前の請求項1乃至6について、請求項2乃至6は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1乃至6に対応する訂正後の請求項1乃至6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

ス 特許出願の際に独立して特許を受けることができること

特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(所謂独立特許要件)については、本件訂正に係る本件特許の請求項1乃至6に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、本件訂正請求による訂正後の請求項1乃至6に係る発明については課されない。

(3)まとめ

上記のとおり、令和4年7月26日に特許権者が行った本件訂正における本件訂正前の請求項1乃至6に係る訂正事項1乃至11は、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするもの、であり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正後の請求項1乃至6について、訂正を認める。

3 訂正後の本件訂正特許発明

上記2で検討したとおり、請求項1乃至6に係る一群の請求項に係る訂正を認めることができるから、請求項1乃至6に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」乃至「本件訂正特許発明6」という。)

「【請求項1】
少なくとも支持体(A)と感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)が順次積層されてなるフレキソ印刷原版より得られるフレキソ印刷版であって、感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物が、(a)共役ジエンを重合して得られるポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、及び(c)光重合開始剤を含み、(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)を含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の含有量が7~13質量%であり、感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量が2.5~7質量%であること、(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が10~20質量%であること、網点の複合弾性率が35~70MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が9~14MPaであること、及びフレキソ印刷原版が、感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)の間に、酸素バリヤ層(D)を有することを特徴とするフレキソ印刷版。
【請求項2】
感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率が0.23~0.54の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のフレキソ印刷版。
続きを表示(全11行)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
(c)光重合開始剤が、ベンジルアルキルケタール系とベンゾフェノン系の2種類の化合物を含み、ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比が15:1~150:20の範囲にあることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のフレキソ印刷版。
【請求項5】
水系の現像液を使用してフレキソ印刷原版を現像して得られることを特徴とする請求項1,2,4のいずれかに記載のフレキソ印刷版。
【請求項6】
請求項1,2,4,5のいずれかに記載のフレキソ印刷版を用いたことを特徴とするフレキソ印刷法。」

4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について

(1)取消理由(決定の予告)の概要

請求項1乃至6に係る特許に対して、上記令和4年6月1日付けの取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由は以下の理由を含み、その概要は、以下のとおりである。

取消理由(進歩性)

請求項1乃至6に係る特許は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2019/017474号公報(甲第1号証)に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1乃至6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2)各甲号証

ア 甲第1号証

(ア)甲第1号証に記載した事項

本願の優先日前の2019年1月24日に利用可能となった国際公開第2019/017474号公報(以下「甲第1号証」という。)には、次の事項が記載されている。

「請求の範囲
[請求項1] 支持体(A)と、
モノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンを含む熱可塑性エラストマー(B-1)、エチレン性不飽和化合物(B-2)、及び光重合開始剤(B-3)を含有する感光性樹脂組成物層(B)と、
赤外線によりアブレーション可能な非赤外線遮蔽層(C)と、
続きを表示(全23行)
を、有する印刷版用感光性樹脂構成体であって、
前記非赤外線遮蔽層(C)が、分子内にカルボン酸基及びエステル結合基を有する重合体(C-2)、及び赤外線吸収剤(C-3)を含有し、
前記重合体(C-2)に含まれる全エステル結合基中、当該エステル結合基に結合している炭素がカルボン酸基に結合している炭素と隣り合っているエステル結合基の割合が、15%以上である、印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項2] 前記重合体(C-2)に含まれるエステル結合基が、飽和炭化水素鎖を有する、請求項1に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項3] 前記重合体(C-2)が、芳香族炭化水素基を含む、請求項1又は2に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項4] 前記重合体(C-2)に含まれる芳香族炭化水素基が、モノビニル置換芳香族炭化水素の重合体からなる、請求項3に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項5] 前記非赤外線遮蔽層(C)が、ポリアミド樹脂(C-1)を、さらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項6] 前記ポリアミド樹脂(C-1)と、前記赤外線吸収剤(C-3)との質量比が、
(C-1):(C-3)=1:0.15~2である、請求項5に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項7] 前記ポリアミド樹脂(C-1)と、前記重合体(C-2)との質量比が、
(C-1):(C-2)=1:0.0001~3である、請求項5又は6に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項8] 前記ポリアミド樹脂(C-1)と、前記重合体(C-2)との質量比が、
(C-1):(C-2)=1:0.001~1である、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項9] 前記非赤外線遮蔽層(C)中、前記赤外線吸収剤(C-3)を、10~80質量%含有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項10] 前記重合体(C-2)の数平均分子量が500以上である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項11] 前記非赤外線遮蔽層(C)と、前記感光性樹脂組成物層(B)との層間に、粒子層(D)を有し、
前記粒子層(D)は、細孔構造を有する粒子を含み、
前記細孔構造を有する粒子の比表面積が、350m2/g以上1000m2/g以下である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。
[請求項12] 前記非赤外線遮蔽層(C)と、前記感光性樹脂組成物層(B)との層間に、中間層(E)を有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の印刷版用感光性樹脂構成体。」
「技術分野
[0001] 本発明は、印刷版用感光性樹脂構成体、及びその製造方法に関する。
背景技術
[0002] 印刷方式には、印刷版に三次元形状を施すことで印刷が可能になる方式と、化学的な特徴を付与することで印刷可能な方式が知られており、前者の代表例として凸版印刷、凹版印刷がある。
凸版印刷では印刷版の凸部にインキが付着されることで印刷が可能となり、一方、凹版印刷では印刷版の凹部にインキが付着されることで印刷が可能となる。
凸版印刷に用いられる印刷版、特に、凸版印刷方法の一種であるフレキソ印刷に使用される印刷版は、一般的に支持体としてのポリエステルフィルムの上に感光性樹脂組成物層が積層された感光性樹脂構成体から製版される。
この感光性樹脂構成体を用いて印刷版用感光性樹脂版を製版し、印刷版を得る方法としては、以下の方法が挙げられる。
まず、感光性樹脂構成体の支持体であるポリエステルフィルムを通して全面に紫外線露光を行い(バック露光)、薄い均一な硬化層を設ける。次いで、感光性樹脂組成物層上にネガフィルムを配置し、ネガフィルムを通して感光性樹脂組成物層に画像露光(レリーフ露光)を行い、ネガフィルムのパターンに応じて感光性樹脂組成物層を光硬化させる。その後、感光性樹脂組成物層における露光されていない部分(すなわち、硬化されていない部分)を現像溶液で洗浄し、所望の画像、すなわちレリーフ画像を形成し、印刷版用感光性樹脂版を得、続いて所定の仕上げ処理を行い、印刷版を得る。」
「[0018]〔印刷版用感光性樹脂構成体〕
本実施形態の印刷版用感光性樹脂構成体は、
支持体(A)と、
モノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンを含む熱可塑性エラストマー(B-1)、エチレン性不飽和化合物(B-2)、及び光重合開始剤(B-3)を含有する感光性樹脂組成物層(B)と、
続きを表示(全25行)
赤外線によりアブレーション可能な非赤外線遮蔽層(C)と、
を、有する印刷版用感光性樹脂構成体であって、
前記非赤外線遮蔽層(C)が、分子内にカルボン酸基及びエステル結合基を有する重合体(C-2)、及び赤外線吸収剤(C-3)を含有し、
前記重合体(C-2)に含まれる全エステル結合基中、当該エステル結合基に結合している炭素がカルボン酸基に結合している炭素と隣り合っているエステル結合基の割合が、15%以上である。
全エステル結合基のうち、カルボン酸基に結合している炭素とエステル結合基に結合している炭素とが隣り合っているエステル結合基の割合は、後述するように、13C-NMRを用いて測定することができる。
[0019](支持体(A))
支持体(A)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルフィルムが挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
支持体(A)の厚みについても特に限定されるものではないが、50~300μmであるフィルムが挙げられる。
また、支持体(A)と後述する感光性樹脂組成物層(B)との間の接着力を高める目的で、支持体(A)上に接着剤層を設けてもよく、当該接着剤層としては、例えば、WO2004/104701号公報に記載の接着剤層が挙げられる。
[0020](感光性樹脂組成物層(B))
感光性樹脂組成物層(B)は、後述する熱可塑性エラストマー(B-1)、エチレン性不飽和化合物(B-2)、光重合開始剤(B-3)を含有し、必要に応じて補助添加成分をさらに含有してもよい。
[0021]<熱可塑性エラストマー(B-1)>
感光性樹脂組成物層(B)は、モノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンを含む熱可塑性エラストマー(B-1)を含有する。
当該熱可塑性エラストマー(B-1)は、モノビニル置換芳香族炭化水素からなる重合体ブロックと、共役ジエンからなる重合体ブロックと、を有する熱可塑性エラストマー(B-1)であることが好ましい。
当該熱可塑性エラストマー(B-1)を構成するモノビニル置換芳香族炭化水素としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、t-ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1、1-ジフェニルスチレン、N、N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N、N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、第三級ブチルスチレン、α-メチルスチレン、1、1-ジフェニルエチレン等が挙げられる。
特に感光性樹脂組成物層(B)を比較的低温で平滑に成型できる観点からスチレンが好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性エラストマー(B-1)を構成する共役ジエンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブタジエン、イソプレン、2、3-ジメチル-1、3-ブタジエン、2-メチル-1、3-ペンタジエン、1、3-ヘキサジエン、4、5-ジエチル-1、3-オクタジエン、3―ブチル-1、3-オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の印刷版用感光性樹脂構成体の耐久性の観点から、共役ジエンとしてはブタジエンが好ましい。」
「[0026]<エチレン性不飽和化合物(B-2)>
感光性樹脂組成物層(B)は、エチレン性不飽和化合物(B-2)を含有する。
エチレン性不飽和化合物(B-2)とは、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する化合物を言う。
…
続きを表示(全14行)
[0027] 本実施形態の印刷版用感光性樹脂構成体を用いて得られる印刷版用感光性樹脂版や印刷版の機械強度の観点から、エチレン性不飽和化合物(B-2)としては、少なくとも1種類以上の(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、少なくとも1種類以上の2官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
エチレン性不飽和化合物(B-2)の数平均分子量(Mn)は、不揮発性確保の観点から100以上であることが好ましく、ポリマー等の他成分との相溶性の観点から1000未満であることが好ましく、200以上800以下であることがより好ましい。
[0028] 感光性樹脂組成物層(B)におけるエチレン性不飽和化合物(B-2)の含有量は、本実施形態の印刷版用感光性樹脂構成体を用いて得られる印刷版の耐刷性の観点から、感光性樹脂組成物層(B)の製造工程において、感光性樹脂組成物の全量を100質量%としたとき、2質量%~30質量%とすることが好ましく、2質量%~25質量%とすることがより好ましく、2質量%~20質量%とすることがさらに好ましい。
[0029]<光重合開始剤(B-3)>
感光性樹脂組成物層(B)は、光重合開始剤(B-3)を含有する。
光重合開始剤(B-3)とは、光のエネルギーを吸収し、ラジカルを発生する化合物であり、崩壊型光重合開始剤、水素引抜き型光重合開始剤、水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物等が挙げられる。
光重合開始剤(B-3)としては、各種有機カルボニル化合物や、特に芳香族カルボニル化合物が好適である。
感光性樹脂組成物層(B)における光重合開始剤(B-3)の含有量は、本実施形態の印刷版用感光性樹脂構成体を用いて製造した印刷版の耐刷性の観点から、感光性樹脂組成物層(B)の製造工程において、感光性樹脂組成物全量を100質量%としたとき、0.1~10質量%の範囲とすることが好ましく、0.1~5質量%の範囲とすることがより好ましく、0.5~5質量%の範囲とすることがさらに好ましい。
[0030] 光重合開始剤(B-3)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゾフェノン、4、4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3、3'、4、4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3、3'、4、4'-テトラメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;t-ブチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン等のアントラキノン類;2、4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2、4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ミヒラーケトン;ジエトキシアセトフェノン、2、2-ジメトキシ-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン、トリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2、4、6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2、4、4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2、4、6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート;1、7-ビスアクリジニルヘプタン;9-フェニルアクリジン;アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等のアゾ化合物類が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。」
「[0040] 感光性樹脂組成物層(B)には、必要に応じて所定の、液状ジエン、補助添加成分が含有されていてもよい。
[0041]<液状ジエン>
液状ジエンとは液状の炭素・炭素二重結合を有する化合物である。
ここで、本明細書中、「液状ジエン」の「液状」とは、容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する性状を意味し、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するエラストマーに対応する用語である。
液状ジエンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエンの変性物、液状ポリイソプレンの変性物、液状アクリルニトリル-ブタジエンの共重合体、液状スチレン-ブタジエン共重合体が挙げられる。
液状ジエンは、ジエン成分が50質量%以上の共重合体であるものとする。
また、液状ジエンの数平均分子量については、20℃において液状である限り、特に限定されないが、本実施形態の印刷版用感光性樹脂構成体を用いて得られる印刷版用感光性樹脂版や印刷版の機械強度、取扱性の観点から、好ましくは500以上60000以下、より好ましくは500以上50000以下、さらに好ましくは800以上50000以下である。」
「[0067]<赤外線吸収剤(C-3)>
前記非赤外線遮蔽層(C)は、赤外線吸収剤(C-3)を含有する。
赤外線吸収剤としては、通常750~2000nmの範囲で強い吸収をもつ単体あるいは化合物が使用される。
赤外線吸収剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロム等の無機顔料や、ポリフタロシアニン化合物、シアニン色素、金属チオレート色素等の色素類等が挙げられる。
続きを表示(全12行)
特にカーボンブラックは粒径が13~85nmの広い範囲で使用が可能であり、粒径が小さいほど赤外線レーザーに対する感度も高くなる。
これらの赤外線吸収剤は、使用するレーザー光線で切除可能な感度を付与する範囲で添加される。一般的には、非赤外線遮蔽層(C)中、10~80質量%の添加が効果的であり、20~40質量%がより好ましく、25~35質量%がさらに好ましい。
[0068] 特に非赤外線遮蔽層(C)にポリアミド樹脂(C-1)を含む場合、ポリアミド樹脂(C-1)と赤外線吸収剤(C-3)の質量比は、(C-1):(C-3)=1:0.15~2であることが好ましく、1:0.3~2であることがより好ましく、1:0.5~2であることがさらに好ましい。
なお、ポリアミド樹脂(C-1)、分子内にカルボン酸基及びエステル結合基を有する重合体(C-2)、赤外線吸収剤(C-3)のそれぞれの質量については、硬化する前の印刷版から非赤外線遮断層(C)を剥離したのち、非赤外線遮蔽層(C)をテトラヒドロフラン等の溶剤に溶解させ、赤外線吸収剤(C-3)を濾別後、カラムクロマトグラフィーによってポリアミド樹脂(C-1)、分子内にカルボン酸基及びエステル結合基を有する重合体(C-2)を分離することによって、測定することができる。
[0069]<非赤外線遮蔽物質>
非赤外線遮蔽層(C)は、非赤外線遮蔽物質を含有することが好ましい。
非赤外線遮蔽物質としては、紫外光を反射又は吸収する物質が挙げられる。
紫外線吸収剤やカーボンブラック、グラファイト等はその好例であり、所要の光学濃度が達成できるように添加量を設定する。一般的には2.5以上、好ましくは3.0以上の光学濃度となるように添加することが好ましい。非赤外線遮蔽物質は赤外線吸収剤(C-3)と同一でも異なっていてもよい。」
「[0074](中間層(E))
さらに、本実施形態の印刷版用感光性樹脂構成体は、前記非赤外線遮蔽層(C)と、前記感光性樹脂組成物層(B)との層間に、中間層(E)を有する構成としてもよい。
[0075] 中間層(E)は印刷版の可撓性を損なわないよう、十分な柔軟性を有することが好ましく、中間層(E)に好適に用いられる材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース誘導体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、シリコンゴム、ブチルゴム、及びイソプレンゴム等が挙げられる。これらのポリマーは、一種のみを単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
[0076] 中間層(E)は、印刷版用感光性樹脂構成体の取扱性の観点から、ポリアミド樹脂を含むことが好ましく、洗浄液への溶解性の観点から、ダイマー酸系熱可塑性ポリアミド又は水溶性ポリアミドであることが好ましい。
「水溶性ポリアミド」とは、水に溶解性を示すポリアミドを意味し、具体的には、水に対する溶解度が25℃で3質量%以上であることを意味する。」
「[0091]〔印刷版用感光性樹脂版、及び印刷版〕
本実施形態の印刷版用感光性樹脂構成体を用いて、印刷版用感光性樹脂版、及び印刷版を製造することができる。
以下に、その製版方法の一例を示す。
先ず、前記支持体(A)を通して露光を行って、感光性樹脂組成物層を光硬化させ、薄い均一な硬化層を設ける(バック露光)。
続きを表示(全51行)
印刷用感光性樹脂構成体の非赤外線遮蔽層(C)にフィルムが貼り合わされている場合には、まずフィルムを剥離する。
その後、非赤外線遮蔽層(C)に赤外線をパターン照射して、感光性樹脂組成物層上にマスクを形成する。
好適な赤外線レーザーの例としては、ND/YAGレーザー(例えば、1064nm)又はダイオードレーザー(例えば、830nm)が挙げられる。
この赤外線レーザーアブレーション技術においては、適当なレーザーシステムが市販されており、例えば、ダイオードレーザーシステムCDI Spark(ESKO GRAPHICS社)を使用できる。
このレーザーシステムは、印刷原版を保持する回転円筒ドラム、IRレーザーの照射装置、及びレイアウトコンピュータを含み、画像情報は、レイアウトコンピュータからレーザー装置に直接送信される。
非赤外線遮蔽層(C)にパターン描画した後、感光性樹脂組成物層(B)に紫外線を全面照射する。
この照射ユニットは、支持体(A)側からの紫外線照射で用いたものと同様のユニットを使用できる。
感光性樹脂組成物層を光硬化させるため用いられる光源としては、以下に限定されるものではないが、例えば、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、太陽光等が挙げられる。
この全面露光後に、未露光部分を洗い出す現像処理を行う。
現像溶剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1、1、1-トリクロロエタン、テトラクロルエチレン等の塩素系有機溶剤;ヘプチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のエステル類;石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類;さらに、これらにプロパノール、ブタノール、ペンタノールのアルコール類を混合したものが挙げられる。
現像溶液としては、水系現像液も使用することができ、例えば、水をアルコールの混合液、界面活性剤等が挙げられる。
水系洗浄液としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ノニオン系、アニオン系、カチオン系あるいは両性の界面活性剤を一種又は二種類以上含有する洗浄液が挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、平均炭素数8~16のアルキルを有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、平均炭素数10~20のα-オレフィンスルホン酸塩、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4~10のジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸低級アルキルエステルのスルホン酸塩、平均炭素数10~20のアルキル硫酸塩、平均炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均0.5~8モルのエチレンオキサイドを附加したアルキルエーテル硫酸塩、及び平均炭素数10~22の飽和または不飽和脂肪酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アルキルアミンエチレンオキシド付加物、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、サパミン型第4級アンモニウム塩、あるいはピリジウム塩等が挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型の高級アルコールアルキレンオキシド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アルキレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキシド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキシド付加物、油脂のアルキレンオキシド付加物、及びポリプロピレングリコールアルキレンオキシド付加物、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールとソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル及びアルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムやラウリルジメチルベタイン等が挙げられる。
現像溶液中の界面活性剤の濃度については、特に限定されるものではないが、通常洗浄液全量に対して0.5~10質量%の範囲が好ましい。
水性洗浄液には、上述した界面活性剤のほかに、必要に応じて、洗浄促進剤やpH調整剤等の洗浄助剤を配合してもよい。
未露光部の洗い出しは、ノズルからの噴射によって行ってもよく、またはブラシによるブラッシングによって行ってもよい。
現像処理後、リンス洗浄及び乾燥の工程を経て、後露光を行い、印刷版用感光性樹脂版が得られ、これに所定の処理を施し、印刷版が得られる。
実施例
[0092] 以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0093]〔実施例1~11〕、〔比較例1~5〕
下記のようにして感光性樹脂組成物を調製し、印刷版用感光性樹脂構成体を製造した。
まず、下記表1に示す材料組成に従い、これらをニーダー(株式会社パウレック、FM-MW-3型)にて140℃で60分間、混練し、感光性樹脂組成物を調製した。
下記表1に示す比率は、全て質量部を示している。
表1の成分は次の通りである。
ポリマーA:スチレン-ブタジエンのブロック共重合体である熱可塑性エラストマー「D-KX405」(クレイトンポリマージャパン、商品名)
液状ポリブタジエンA:数平均分子量6000、重量平均分子量/数平均分子量=1.15、1、2-ビニル結合量55%、38℃における粘度5.3Pa・sである液状ポリブタジエン
液状ポリブタジエンB:数平均分子量3200、重量平均分子量/数平均分子量=1.29、1、2-ビニル結合量90%、45℃における粘度25.0Pa・sの液状ポリブタジエン
液状ポリブタジエンC:数平均分子量4600、重量平均分子量/数平均分子量=3.79、1、2-ビニル結合量1%、40℃における粘度0.70Pa・sの液状ポリブタジエン
1、9-ノナンジオールジアクリレート
2、2-ジメトキシ-フェニルアセトフェノン
2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4―モルフォリンイル)-1-プロパノン
フェノール系安定剤:2、6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール
[0094]
[表1]
[図:0001395198000003.jpg]
[0095] 次に、下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を、下記のようにして製造した。
エチレングリコール93g、ネオペンチルグリコール374g、及びフタル酸382gを、空気雰囲気中、反応温度180℃、1.33×103Paの減圧下で6時間縮合反応させ、その後、4、4-ジフェニレンジイソシアネート125gを加え、更に80℃で5時間反応させ、樹脂を得た。
当該樹脂を10%水溶液とし、溶融押し出したポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、塗布後、二軸延伸することで、下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
得られた下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体に相当)の厚みは100μmであり、下引き層の厚みは0.05μmであった。
[0096] 次に、下記表2、表3に示す材料組成に従い、非赤外線遮蔽層を製造した。
表2、表3の成分は以下の通りである。
((C-1)ポリアミド樹脂)
ポリアミド樹脂A:熱可塑性ポリアミド樹脂である、「テクノメルト6900」(ヘンケルジャパン株式会社、商品名)
ポリアミド樹脂B:熱可塑性ポリアミド樹脂である、「テクノメルト6212」(ヘンケルジャパン株式会社、商品名)」
「[0102]((C-3)赤外線吸収剤)
カーボンブラック:粒子径30nmであるカーボンブラック「三菱カーボンブラック #30」(三菱ケミカル株式会社、商品名)
[0103] 表2、表3に示した質量部の各組成を全体で100gとし、トルエン560g、n-ブタノール140gの混合溶剤に超音波を利用して溶解させ、実施例1~11、及び比較例1~5の、非赤外線遮蔽層形成用の塗工液を作製した。
この塗工液を、100μmの厚みのカバーシートとなるポリエステルフィルム上に、乾燥後の塗布量が2.5g/m2となるようにナイフコーターを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥して、非赤外線遮蔽層を具備するフィルムを得た。
続きを表示(全41行)
[0104] 次に、上述のようにして製造した感光性樹脂組成物、下引き層を有するポリエステルフィルム、及び非赤外線遮蔽層を有するフィルムを用いて、印刷版用感光性樹脂構成体を製造した。
前記支持体の下引き層側を、上述のようにして調製した感光性樹脂組成物に合わせ、また、非紫外線遮蔽層を具備するフィルムを非赤外線遮蔽層側が感光性樹脂組成物に面するようにし、前記感光性樹脂組成物層を、前記下引き層を有するポリエステルフィルムと、前記非赤外線遮蔽層を具備するフィルムとで挟み込み、全体の厚さが1.5mmになるように、加熱及び圧縮成型し、印刷版用感光性樹脂構成体を得た。
このときの熱プレスは130℃の条件で1.96×107Paの圧力をかけた。
1枚の印刷版用感光性樹脂構成体のサイズは10cm×15cmとした。
[0105]〔実施例12〕
〔実施例1〕で作製した非赤外線遮蔽層上に、以下の粒子層を形成した。
バインダーとしてTR2787(JSR株式会社製、商品名)を75質量部、細孔構造を持つ粒子としてシリカであるサイリシア430(富士シリシア社製、平均粒子径4.1μm、比表面積350g/m2)25質量部をトルエンに超音波を利用して溶解し、固形分濃度25%の均一な塗工液を調製した。
〔実施例1〕の非赤外線線遮蔽層上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにナイフコーターを用いて前記塗工液を塗布し、80℃で4分間乾燥して、非赤外線遮断層上に粒子層を有する具備するフィルムを得た。
このフィルムを用い、粒子層が感光性樹脂組成物層と接するように、加熱成型した以外は、上述した〔実施例1~11〕と同様にして、実施例12の印刷版用感光性樹脂構成体を作製した。 この実施例12の印刷版用感光性樹脂構成体に対して、〔実施例1~11〕と同様に評価を行い、表2に示す結果を得た。
[0106]〔実施例13、14〕
〔実施例1〕で作製した非赤外線遮蔽層上に、以下の中間層を形成した。
表4に示した質量部の各組成を全体で100gとし、トルエン350g、n-ブタノール350gの混合溶剤に超音波を利用して溶解させ、実施例13及び14の中間層用の塗工液を作製した。
なお、ポリアミド樹脂Cとしては、以下のものを使用した。
ポリアミド樹脂C:熱可塑性ポリアミド樹脂である、「テクノメルト6812」(ヘンケルジャパン株式会社、商品名)
[0107] 〔実施例1〕の非赤外線遮蔽層上に乾燥後の厚さが5μmとなるようにナイフコーターを用いて前記中間層用塗工液を塗布し、90℃で2分間乾燥して、非赤外線遮蔽層上に中間層を有する具備するフィルムを得た。
このフィルムを用い、中間層が感光性樹脂組成物層と接するように、加熱成型した以外は、上述した〔実施例1〕と同様にして、実施例13、14の印刷版用感光性樹脂構成体を作製した。
この実施例13、14の印刷版用感光性樹脂構成体に対して、後述する(印刷版用感光性樹脂版の作製、及び評価)に示した方法で印刷版を得たのち、得られた印刷版に対して下記<微小ドットの形成性>に示す方法により評価を行った。
[0108]〔実施例15~18〕
前記〔実施例1〕で作製した非赤外線遮蔽層上に、以下の中間層を形成した。
表4に示した質量部の各組成を全体で100gとし、水450g、エタノール450gの混合溶剤に超音波を利用して溶解させ、実施例15~18の中間層用の塗工液を作製した。
なお、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリウレタンとして、下記のものを使用した。
水溶性ポリアミド樹脂A:水溶性ポリアミド樹脂である、「AQナイロンP-70」(東レ株式会社、商品名)
水溶性ポリアミド樹脂B:水溶性ポリアミド樹脂である、「ファインレックス FR-700E」(鉛市社製、商品名)
水溶性ポリアミド樹脂C:水溶性ポリアミド樹脂である、「AQナイロンA-90」(東レ株式会社、商品名)
水溶性ポリウレタン樹脂A:水溶性ポリウレタン樹脂である、「ユリアーノW321」(荒川化学株式会社、商品名)
[0109] 前記〔実施例1〕の非赤外線遮蔽層上に乾燥後の厚さが3μmとなるようにナイフコーターを用いて前記中間層用の塗工液を塗布し、90℃で2分間乾燥して、非赤外線遮断層上に中間層を有する具備するフィルムを得た。
このフィルムを用い、中間層が感光性樹脂組成物層と接するように、加熱成型した以外は、上述した〔実施例1〕と同様にして、実施例15~18の印刷版用感光性樹脂構成体を作製した。
この実施例15~18の印刷版用感光性樹脂構成体に対して、〔実施例13、14〕と同様に評価を行い、表4に結果示した。
[0110]〔印刷版用感光性樹脂版の製造〕
上述した〔実施例1~18〕、〔比較例1~5〕の印刷版用感光性樹脂構成体において、非赤外線遮蔽層が感光性樹脂組成物層に転写するようにポリエステルフィルムのみを剥ぎ取り、非性外線遮蔽層を外側にして、「CDI-Spark」(Esko-Graphics社製、商品名、1064nmのYAGレーザー)上のドラムに装填した。
レーザーパワーを20Wとし、ドラム回転スピードを600rpmとし、印刷版用感光性樹脂構成体上の非赤外線遮蔽層にレーザー描画を行い、非赤外線遮蔽層の一部を切除し、150線(1インチあたりの網点が何個配置されるかを示す値)、1%~5%(印刷の濃淡を表現するために使用する網点の面積率を表す値)のハイライトがあるテストパターンのレーザー描画を行った。
「AFP-1216E」露光機(旭化成社製、商品名)上で、下側紫外線ランプ(PHILIPS社製UVランプTL80W/10R、商品名)を用いて、まず下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム側から100mJ/cm2のバック露光を行った。
続いて、上側ランプ(PHILIPS社製UVランプTL80W/10R、商品名)にて非赤外線遮蔽層側から8000mJ/cm2の紫外線を照射した。
なお、露光強度はオーク製作所製のUVメーター「UV-MO2」機を用いて「UV-35-APRフィルター」にて測定した。
次いで、3-メトキシブチルアセテートを現像液として、「AFP-1500」現像機(旭化成社製、商品名)の回転するドラムに、上述したバック露光を行った側に両面テープを貼り付けて固定を行い、液温25℃で5分間現像を行い、60℃で2時間乾燥させた。
その後、後露光処理として、ALF-200UP(旭化成社製、商品名)を用いて254nmを中心波長に持つ殺菌灯(東芝社製、GL-30、商品名)を用いて、乾燥後の印刷版用感光性樹脂構成体の表面全体に2000mJ/cm2の露光を行い、印刷版用感光性樹脂版を得た。
ここでの殺菌灯による後露光量は「UV-MO2」機のUV-25フィルターを用いて測定した照度から算出した。」
「[0118]
[表2]
[図:0001395198000004.jpg]
[0119]
[表3]
[図:0001395198000005.jpg]
[0120]
[表4]
[図:0001395198000006.jpg]
」

上記[0104]のとおりであるから、印刷版用感光性樹脂構成体は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)、感光性樹脂組成物、熱可塑性ポリアミド樹脂もしくは水溶性ポリアミド樹脂からなる中間層、非赤外線遮蔽層が順次積層されたものといえる。

(イ)甲1発明

そうすると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が示されているものと認められる。

「ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)、感光性樹脂組成物、非赤外線遮蔽層、からなる印刷版用感光性樹脂構成体を露光、水系現像液で現像、乾燥して得た印刷版用感光性樹脂版であって、
感光性樹脂組成物は、ポリマーA:スチレン-ブタジエンのブロック共重合体である熱可塑性エラストマー「D-KX405」(クレイトンポリマージャパン、商品名)、1、9-ノナンジオールジアクリレート(分子量:296.4):7質量部、光重合開始剤(B-3)として2、2-ジメトキシ-フェニルアセトフェノン:2質量部及び2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4―モルフォリンイル)-1-プロパノン:1質量部からなり、
印刷版用感光性樹脂構成体は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)、感光性樹脂組成物、熱可塑性ポリアミド樹脂もしくは水溶性ポリアミド樹脂からなる中間層、非赤外線遮蔽層が順次積層されたものである、
フレキソ印刷に用いる印刷版用感光性樹脂版。」

イ-1 甲第2-1号証

本願の優先日前の2020年1月7日に頒布された「A Global Leader in Photopolymer Printing Plates & Equipment」MacDermid GRAPHICS SOLUTIONS『LUX ITPTM 60』(以下「甲第2-1号証」という。)には、次の事項が記載されている。

「
[図:0001395198000007.jpg]
」(ShoreA硬度78,71)

イ-2 甲第2-2号証

本願の優先日前の2019年4月に頒布された『DuPontTM CyrelR EASY ESX』(以下「甲第2-2号証」という。)(上付きRは〇囲いRを意味する。以下同じ。)には、次の事項が記載されている。

「
[図:0001395198000008.jpg]
」(ShoreA硬度74-76)

イ-3 甲第2-3号証

本願の優先日前の2019年4月に頒布された『DuPontTM CyrelR EASY ESE』(以下「甲第2-3号証」という。)には、次の事項が記載されている。

「
[図:0001395198000009.jpg]
」(ShoreA硬度74-76)

イ-4 甲第2-4号証

本願の優先日前の2019年4月に頒布された『DuPontTM CyrelR EASY FAST EFE』(以下「甲第2-4号証」という。)には、次の事項が記載されている。

「
[図:0001395198000010.jpg]
」(ShoreA硬度74-76)

イ-5 甲第2-5号証

本願の優先日前の2019年4月に頒布された『DuPontTM CyrelR EASY FAST EFX』(以下「甲第2-5号証」という。)には、次の事項が記載されている。

「
[図:0001395198000011.jpg]
」(ShoreA硬度74-76)

ウ 甲第3号証

本願の優先日前の平成11年12月21日に頒布された特開平11-349628号公報(以下「甲第3号証」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0090】実施例1
水酸基を末端に有する液状ポリブタジエン(出光石油化学(株)製:Poly-bd R-45HT、数平均分子量2800)900部、アクリル酸74部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部および無水マレイン酸0.09部をn-ヘプタン900部に溶解した溶液を攪拌機付きフラスコに入れ、80℃まで昇温し還流を行った。酸価が14以下になった時点で反応を終了し、冷却後、n-ヘプタン346部にて希釈、加圧濾過器にて濾過後、酸価を10以下に保ちながら濃縮、濃度調製を行い、エチレン性不飽和化合物Iを得た。このエチレン性不飽和化合物Iは、数平均分子量7100、Mw/Mnが3.8、20℃における粘度が7500mPa/sであった。
【0091】実施例2
実施例1と同様の方法により、水酸基を末端に有する液状ポリブタジエン(出光石油化学(株)製:Poly-bd R45HT、数平均分子量2800)とアクリル酸を混合して、脱水化反応を行い、数平均分子量8000、Mw/Mnが4.3、20℃における粘度が9500mPa/sであるエチレン性不飽和化合物IIを得た。
【0092】実施例3
実施例1と同様の方法により、水酸基を末端に有する液状ポリブタジエン(出光石油化学(株)製:Poly-bd R-45HT、数平均分子量2800)とアクリル酸メチルを混合して、エステル交換反応を行い、数平均分子量(Mn)5700、Mw/Mn3.1、20℃における粘度が4100mPa/sであるエチレン性不飽和化合物IIIを得た。」
「【0101】<感光性樹脂組成物の調製>実施例1で得られたエチレン性不飽和化合物I27部、上記親水性ポリマーI10部、塩素化ポリエチレン(昭和電工(株)製:エラスレン:301MA;ガラス転移温度:-30℃~-25℃)46部、ポリブタジエン(日本合成ゴム(株)製:BRO2LL,ガラス転移温度:-102℃~-75℃)14部、ベンジルジメチルケタール1部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、2,6-ジ-t-ブチルクレゾール0.2部、メチルナフトキノン0.05部、2-エチルアントラキノン0.5部、グリセロールトリステアレート3部、(融点71℃)、トルエン100部、および水10部を、75℃にて加圧ニーダーで混練し、溶剤を除去して感光性樹脂組成物を得た。
【0102】実施例8
実施例7において、エチレン性不飽和化合物I27部のかわりにエチレン性不飽和化合物IIを27部用いたこと以外は、実施例7と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
…
【0104】実施例10
実施例7において、塩素化ポリエチレン46部、ポリブタジエン14部、エチレン性不飽和化合物I27部のかわりに、実施例1と同様の塩素化ポリエチレンを36部、ポリイソプレンゴム(クラレ製:IR-10)を14部、エチレン性不飽和化合物Iを21部、ステアリルメタアクリレートを6部、ジオクチルフタレートを10部用いたこと以外は、実施例7と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0105】実施例11
実施例8において、エチレン性不飽和化合物II27部のかわりに、エチレン性不飽和化合物IIを21部、1,9-ノナンジオールメタアクリレートを6部用いたこと以外は、実施例8と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
…
【0107】<感光性樹脂組成物の調製>実施例11において、親水性ポリマーI10部、エチレン性不飽和化合物II21部のかわりに、親水性ポリマーIIを10部、エチレン性不飽和化合物IIIを21部用いたこと以外は、実施例11と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。」

エ 甲第4号証

本願の優先日前の平成11年12月24日に頒布された特開平11-352687号公報(以下「甲第4号証」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0090】<感光性樹脂組成物の調製>上記親水性ポリマーIを10部、塩素化ポリエチレン(昭和電工(株)製:エラスレン:301MA;ガラス転移温度:-30℃~-25℃)46部、ポリブタジエン(日本合成ゴム(株)製:BRO2LL,ガラス転移温度:-102℃~-75℃)14部、エチレン性不飽和化合物Iを27部、ベンジルジメチルケタール1部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、2,6-ジ-t-ブチルクレゾール0.2部、メチルナフトキノン0.05部、2-エチルアントラキノン0.5部、トルエン100部、および水10部を、75℃にて加圧ニーダーで混練し、溶剤を除去して感光性樹脂組成物を得た。」

「【0097】実施例5
実施例1において、塩素化ポリエチレン46部の代わりに、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(日本合成ゴム(株)製:JSR N230SH)46部、エチレン性不飽和化合物I27部の代わりに、エチレン性不飽和化合物I22部と1,9-ノナンジオールジメタクリレート5部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。」

オ 甲第5号証

本願の優先日前の平成10年10月23日に頒布された特開平10-282661号公報(以下「甲第5号証」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0076】<エチレン性不飽和化合物Iの調製>水酸基を末端に有する液状ポリブタジエン(出光石油化学(株)製:Poly-bd R-45HT、数平均分子量2800)とアクリル酸を混合して、脱水化反応を行い、数平均分子量7100、Mw/Mnが3.8、20℃における粘度が7500センチポイズであるエチレン性不飽和化合物Iを得た。
【0077】<感光性樹脂組成物の調製>上記親水性ポリマーIを10部、塩素化ポリエチレン(昭和電工(株)製:エラスレン:301MA;ガラス転移温度:-30℃~-25℃)46部、ポリブタジエン(日本合成ゴム(株)製:BRO2LL,ガラス転移温度:-102℃~-75℃)14部、エチレン性不飽和化合物Iを27部、ベンジルジメチルケタール1部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、2,6-ジ-t-ブチルクレゾール0.2部、メチルナフトキノン0.05部、2-エチルアントラキノン0.5部、トルエン100部、および水10部を、75℃にて加圧ニーダーで混練し、溶剤を除去して感光性樹脂組成物を得た。
実施例2
<エチレン性不飽和化合物IIの調製>水酸基末端液状ポリブタジエン(出光石油化学(株)製:Poly-bd R45HT、数平均分子量2800)とアクリル酸を混合して、脱水化反応を行い、数平均分子量8000、Mw/Mnが4.3、20℃における粘度が9500センチポイズであるエチレン性不飽和化合物IIを得た。
…
【0079】実施例3
実施例1において、塩素化ポリエチレンのかわりに、ニトリルブタジエンゴム(日本合成ゴム(株)製:JSR222SH)46部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0080】実施例4
実施例1において、塩素化ポリエチレン、ポリブタジエン、エチレン性不飽和化合物Iのかわりに、実施例1と同様の塩素化ポリエチレン36部、ポリイソプレンゴム(クラレ製:IR-10)14部、エチレン性不飽和化合物Iを21部、ステアリルメタアクリレート6部、ジオクチルフタレート10部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。」

「【0083】<エチレン性不飽和化合物IIIの調製>水酸基を末端に有する液状ポリブタジエン(出光石油化学(株)製:Poly-bd R-45HT、数平均分子量2800)とアクリル酸メチルを混合して、エステル交換反応を行い、数平均分子量(Mn)5700、Mw/Mn3.1、20℃における粘度が4100センチポイズであるエチレン性不飽和化合物IIIを得た。」

カ 甲第6号証

本願の優先日前の平成30年5月10日に頒布された特開2018-72456号公報(以下「甲第6号証」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0053】
(感光性樹脂組成物の作製)
引き続いて、イソシアネート基含有エチレン性不飽和化合物を付加させたポリアミド55質量部にトリメチロールプロパントリグリシジルエステルのアクリル酸付加物40.0質量部、乳酸4質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン0.02質量部およびベンジルメチルケタール1.0質量部を添加して30分間攪拌した。次いで、徐々に昇温してメタノールを留出させ、釜内の温度が110℃となるまで濃縮し、流動性のある粘稠なアンモニウム塩型三級窒素原子含有ポリアミドを含有する感光性樹脂組成物を得た。」

(3)当審の判断

ア 本件訂正特許発明1について

(ア)対比

そこで、本件訂正特許発明1と甲1発明とを対比すると、

甲1発明の「ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)」、「感光性樹脂組成物」、「非赤外線遮蔽層」、「印刷版用感光性樹脂構成体」、「印刷版用感光性樹脂版」、「ポリマーA:スチレン-ブタジエンのブロック共重合体である熱可塑性エラストマー「D-KX405」(クレイトンポリマージャパン、商品名)」、「分子量:296.4の1、9-ノナンジオールジアクリレート:7質量部」、「光重合開始剤(B-3)として2、2-ジメトキシ-フェニルアセトフェノン:2質量部、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4―モルフォリンイル)-1-プロパノン:1質量部」及び「熱可塑性ポリアミド樹脂もしくは水溶性ポリアミド樹脂からなる中間層」は、それぞれ、本件訂正特許発明1の「支持体(A)」、「感光性樹脂層(B)」、「感熱マスク層(C)」、「フレキソ印刷原版」、「フレキソ印刷版」、「(a)共役ジエンを重合して得られるポリマー」、「『数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)を含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の含有量が7~13質量%』である『(b)エチレン性不飽和化合物』」、「(c)光重合開始剤が2.5~7質量%」及び「酸素バリヤ層(D)」に相当する。

甲1発明の「印刷版用感光性樹脂構成体」は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)、感光性樹脂組成物、熱可塑性ポリアミド樹脂もしくは水溶性ポリアミド樹脂からなる中間層、非赤外線遮蔽層が順次積層されたものであるから、本件訂正特許発明1の「フレキソ印刷原版」と甲1発明の「印刷版用感光性樹脂構成体」とは、「支持体(A)と感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)が順次積層されてなるフレキソ印刷原版」である点で一致する。

そうすると、本件訂正特許発明1と、甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。

[一致点]

「支持体(A)と感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)が順次積層されてなるフレキソ印刷原版より得られるフレキソ印刷版であって、感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物が、(a)共役ジエンを重合して得られるポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、及び(c)光重合開始剤を含み、(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)を含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の含有量が7~13質量%であり、感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量が2.5~7質量%であること、網点の複合弾性率が35~80MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が5~15MPaであること、及びフレキソ印刷原版が、感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)の間に、酸素バリヤ層(D)を有することを特徴とするフレキソ印刷版。」

[相違点1]

「(b)エチレン性不飽和化合物」が、本件訂正特許発明1は、「数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が10~20質量%」であるのに対し、甲1発明は、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)を含まない点。

[相違点2]

本件訂正特許発明1は、「網点の複合弾性率が35~70MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が9~14MPaである」のに対し、甲1発明は、網点及びベタ部分の複合弾性率が不明な点。

(イ)判断

a 相違点1についての判断

そこで、上記相違点1について検討する。

甲1発明は、数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)のみを含むものであるから、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)を併用することは記載も示唆もされていない。

また、特許異議申立人が提示した他の甲号証を見ても、数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)と共に、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)を併用することは記載も示唆もされてない。

してみると、相違点1に係る本件訂正特許発明1は、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

b 相違点2についての判断

特許異議申立人が提示した他の甲号証を見ても、網点の複合弾性率が35~70MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が9~14MPaであるフレキソ印刷版は記載も示唆もされてない。

してみると、相違点2に係る本件訂正特許発明1は、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

(ウ)小括

以上のとおり、本件訂正特許発明1と甲1発明とは、上記相違点1及び相違点2において相違するものであって、本件訂正特許発明1は、甲第1号証に記載された発明から、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

イ 本件訂正特許発明2、4、5及び6について

本件訂正特許発明2、4、5及び6は、本件訂正特許発明1を引用し、さらに、限定を付加したものであるから、上記アの検討のとおり、甲第1号証に記載された発明から、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

5 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由及び令和4年2月8日付けの取消理由通知の取消理由について

(1)特許異議申立理由(特許法第29条第1項第3号)(以下「申立理由」という。)の概要

請求項1、2及び6に係る特許は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、2及び6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2)令和4年2月8日付けの取消理由通知の取消理由

ア 取消理由1(特許法第29条第1項第3号)

請求項5に係る特許は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

イ 取消理由3(特許法第36条第6項第1号)

請求項1乃至6に係る特許は、下記理由で、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

(理由)本件特許明細書等には、

「支持体(A)と感光性樹脂層(B)と感熱マスク層(C)が順次積層されてなるフレキソ印刷原版より得られるフレキソ印刷版であって、
感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量が2.5~7質量%であること、網点の複合弾性率が35~70MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が8~14MPaであり、
感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率が0.23~0.54の範囲にあり、
(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量600超20、000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が10~20質量%であり、
(c)光重合開始剤が、ベンジルアルキルケタール系とベンゾフェノン系の2種類の化合物を含み、ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比が15:1~150:20の範囲にある、
フレキソ印刷版。」

なる実施例のみが記載されている。

しかし、本件特許明細書等には、

請求項1に係る発明の発明特定事項である「感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量が7~9質量%であること、網点の複合弾性率が70~80MPaであり、かつベタ部分の複合弾性率が5~8もしくは14~15MPaである」こと、

請求項1を引用する請求項2に係る発明の発明特定事項である「感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の質量と数平均分子量100以上600以下の(メタ)アクリレート化合物(i)の質量との比率が0.20~0.23、もしくは0.54~0.55の範囲にあ」ること、

請求項1又は2を引用する請求項3に係る発明の発明特定事項である「(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が5~10もしくは20~25質量%であ」ること、

請求項1~3を引用する請求項4に係る発明の発明特定事項である「(c)光重合開始剤が、ベンジルアルキルケタール系とベンゾフェノン系の2種類の化合物を含み、ベンジルアルキルケタール系化合物とベンゾフェノン系化合物の質量比が99:1~15:1もしくは80:20~150:20の範囲にある」フレキソ印刷板が、上記本件訂正特許発明が解決しようとする課題を解決することは記載されていない。

そうすると、本件訂正特許発明1乃至4及び本件訂正特許発明1乃至4を直接的又は間接的に引用する本件訂正特許発明5及び6は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。

(3)当審の判断

ア 申立理由及び取消理由1について

上記「4 (3)」のとおり、本件訂正特許発明1、2、5及び6は、甲第1号証に記載された発明から、当業者が容易に発明できたものとはいえないのであるから、本件訂正特許発明1、2、5及び6は、甲第1号証に記載された発明とはいえない。

そうすると、本件訂正特許発明1、2、5及び6は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないから、申立理由及び取消理由1により、本件特許請求の範囲の請求項1、2、5及び6に係る特許を取り消すことはできない。

イ 取消理由2について

(ア)令和4年7月26日に提出された訂正請求により訂正された請求項3に係る発明は削除されたことから、当該請求項3に係る発明に対する取消理由2はその対象が消滅したから、当該請求項3に係る発明に対する取消理由2は解消した。

(イ)本件訂正により、「光重合開始剤の含有量」について、「2.5~7質量%」と限定され、「(b)エチレン性不飽和化合物」について、「(b)エチレン性不飽和化合物が、数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)をさらに含み、感光性樹脂組成物中の数平均分子量600超20,000以下の(メタ)アクリレート化合物(ii)の含有量が10~20質量%であること、」と限定され、「網点の複合弾性率」について、「35~70MPa」と限定され、「ベタ部分の複合弾性率」について、「9~14MPa」と限定された。

そうすると、本件訂正特許発明1、2、4乃至6は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないとはいえないから、取消理由2により、本件特許請求の範囲の請求項1、2、4乃至6に係る特許を取り消すことはできない。

6 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、4乃至6に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件請求項1、2、4乃至6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

さらに、請求項3は、本件訂正請求により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議申立てについて、請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-700029

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決259件(村野 親、東洋紡株式会社)
  • 2026-700086異議申立 / 2026-05-28 / 維持液浸冷却システム用冷却液
    同じ当事者: 村野 親
  • 2026-700087異議申立 / 2026-05-28 / 維持液浸冷却システム用冷却液
    同じ当事者: 村野 親
  • 2026-700153異議申立 / 2026-05-18 / 維持二軸配向ポリエステルフィルム
    同じ当事者: 東洋紡株式会社
  • 2024-701014異議申立 / 2026-02-27 / 訂正認容露光方法、蒸着マスクの製造方法、および、露光装置
    同じ当事者: 村野 親
  • 2025-700200異議申立 / 2025-12-26 / 訂正認容液晶化合物配向層転写用配向フィルム
    同じ当事者: 東洋紡株式会社
同じ根拠条文の審決2,126件(特許法120条の8第1項、特許法135条)
  • 2021-700369異議申立 / 2024-12-26 / 訂正認容ペリクル膜、ペリクル枠体、ペリクル、その製造方法、露光原版、露光装置、半導体装置…
    共通の条文: 特許法120条の8第1項、特許法135条
  • 2022-700335異議申立 / 2023-09-14 / 訂正認容ペリクルフレーム、ペリクル、ペリクル付露光原版及び露光方法、並びに半導体装置又は…
    共通の条文: 特許法120条の8第1項、特許法135条
  • 2022-700474異議申立 / 2023-03-31 / 訂正認容膜密度が向上したレジスト下層膜を形成するための組成物
    共通の条文: 特許法120条の8第1項、特許法135条
  • 2021-700153異議申立 / 2023-03-30 / 訂正認容電子材料製造用薬液の製造方法、パターン形成方法、半導体デバイスの製造方法、電子材…
    共通の条文: 特許法120条の8第1項、特許法135条
  • 2021-700108異議申立 / 2021-12-22 / 訂正認容感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、硬化物の製造方法、積層体、及び電子部品
    共通の条文: 特許法120条の8第1項、特許法135条
同じ論点・分野の審決(審決分類)450件(113・G03F、121・G03F、537・G03F ほか)
  • 2024-701219異議申立 / 2026-03-06 / 維持感光性樹脂組成物、樹脂膜、および電子装置
    共通の審決分類: 113・G03F、121・G03F、537・G03F
  • 2024-700181異議申立 / 2025-06-03 / 訂正認容フレキソ印刷版原版及びフレキソ印刷版
    共通の審決分類: 113・G03F、121・G03F、537・G03F
  • 2024-700167異議申立 / 2025-04-09 / 訂正認容炭素原子間の不飽和結合によるプラズマ硬化性化合物を含む段差基板被覆膜形成組成物
    共通の審決分類: 113・G03F、121・G03F、537・G03F
  • 2024-700933異議申立 / 2025-04-07 / 請求成立(取消)感光性樹脂組成物、それを用いて製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルタ
    共通の審決分類: 113・G03F、121・G03F、537・G03F
  • 2021-700369異議申立 / 2024-12-26 / 訂正認容ペリクル膜、ペリクル枠体、ペリクル、その製造方法、露光原版、露光装置、半導体装置…
    共通の審決分類: 113・G03F、121・G03F、537・G03F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存