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特許異議申立

2024-700167

炭素原子間の不飽和結合によるプラズマ硬化性化合物を含む段差基板被覆膜形成組成物

審判番号
2024-700167
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-512557
登録番号
7332982
請求日
2024年02月22日
審決日
2025年04月09日
公報発行日
2025年07月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日産化学株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
  • 【異議申立人】麻生 陽一郎
審判長/審判官
  • 審判長 神谷 健一
  • 審判官 宮澤 浩
  • 審判官 本田 博幸
分類
P1651.113-YAA(G03F) / P1651.121-YAA(G03F) / P1651.1 -YAA(G03F) / P1651.161-YAA(G03F) / P1651.537-YAA(G03F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第36条、特許法第29条、特許法第120条の5第4項、特許法第29条の2、特許法第120条の5第7項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7332982号発明「炭素原子間の不飽和結合によるプラズマ硬化性化合物を含む段差基板被覆膜形成組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7332982号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6、13~28〕、〔7~12〕について訂正することを認める。 特許第7332982号の請求項1~28に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7332982号(以下「本件特許」という。)の請求項1~28に係る特許についての出願(特願2019-512557号、以下「本件出願」という。)は、2018年(平成30年)4月11日(先の出願に基づく優先権主張 2017年(平成29年)4月14日)を国際出願日とする出願であって、令和5年8月16日にその特許権の設定登録がされ、令和5年8月24日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許について、特許掲載公報の発行から6月以内である令和6年2月22日に、特許異議申立人 麻生 陽一郎(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和6年 5月20日付け:取消理由通知 同年 7月26日 :特許権者による訂正請求書、意見書の提出 同年 8月30日 :異議申立人による意見書の提出 同年 9月30日付け:取消理由通知(決定の予告) 同年11月18日 :特許権者による訂正請求書、意見書の提出 同年12月26日 :異議申立人による意見書の提出 なお、特許法120条の5第7項の規定により、令和6年7月26日にされた訂正の請求は取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年11月18日に提出された訂正請求書による訂正を、以下「本件訂正」といい、その内容は以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の特許請求の範囲の請求項1について、 「下記式(1-1)乃至式(1-7)で表される部分構造(I): 【化1】 [図:0001424569000001.jpg] (式中、R1、R1a、R3、R5a、及びR6aはそれぞれ独立して炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-、-NRb-又はそれらの組み合わせからなる2価の基を表し、 R5は、それぞれ独立して、窒素原子、又は窒素原子と炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる3価の基を表し、 R2、R2a、R4、及びR6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は水素原子と、炭素原子数1~10のアルキレン基、酸素原子、カルボニル基、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる1価の基を表し、 Raは水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、 Rbは、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数1~10のアルキルカルボニル基を表し、 nは1~10の繰り返し単位数を表し、及び 点線は隣接原子との化学結合を表す。) から選ばれる少なくとも一つの部分構造を含む化合物(E)と溶剤(F)とを含み、 該化合物(E)が、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物であり、 上記エポキシ化合物(B)が、下記式(B-1)、(B-4)乃至(B-26)で表される化合物である、 プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物。 【化2】 [図:0001424569000002.jpg] 【化3】 [図:0001424569000003.jpg] 【化4】 [図:0001424569000004.jpg] 【化5】 [図:0001424569000005.jpg] 【化6】 [図:0001424569000006.jpg] 【化7】 [図:0001424569000007.jpg] 」を、 「下記式(1-1)乃至式(1-7)で表される部分構造(I): 【化1】 [図:0001424569000008.jpg] (式中、R1、R1a、R3、R5a、及びR6aはそれぞれ独立して炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-、-NRb-又はそれらの組み合わせからなる2価の基を表し、 R5は、それぞれ独立して、窒素原子、又は窒素原子と炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる3価の基を表し、 R2、R2a、R4、及びR6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は水素原子と、炭素原子数1~10のアルキレン基、酸素原子、カルボニル基、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる1価の基を表し、 Raは水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、 Rbは、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数1~10のアルキルカルボニル基を表し、 nは1~10の繰り返し単位数を表し、及び 点線は隣接原子との化学結合を表す。) から選ばれる少なくとも一つの部分構造を含む化合物(E)と溶剤(F)とを含み、 該化合物(E)が、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物であり(但し、該化合物(E)は下記構造: 【化2】 [図:0001424569000009.jpg] [図:0001424569000010.jpg] で表される化合物を除く)、 上記エポキシ化合物(B)が、下記式(B-1)、(B-4)乃至(B-26)で表される化合物である、 プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物。 【化3】 [図:0001424569000011.jpg] 【化4】 [図:0001424569000012.jpg] 【化5】 [図:0001424569000013.jpg] 【化6】 [図:0001424569000014.jpg] 【化7】 [図:0001424569000015.jpg] 【化8】 [図:0001424569000016.jpg] 」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2乃至請求項6、請求項13乃至請求項28も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7について、 「段差を有する基板に、下記式(1-1)乃至式(1-7)で表される部分構造(I): 【化8】 [図:0001424569000017.jpg] (式中、R1、R1a、R3、R5a、及びR6aはそれぞれ独立して炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-、-NRb-又はそれらの組み合わせからなる2価の基を表し、 R5は、それぞれ独立して、窒素原子、又は窒素原子と炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる3価の基を表し、 R2、R2a、R4、及びR6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は水素原子と、炭素原子数1~10のアルキレン基、酸素原子、カルボニル基、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる1価の基を表し、 Raは水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、 Rbは、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数1~10のアルキルカルボニル基を表し、 nは1~10の繰り返し単位数を表し、及び 点線は隣接原子との化学結合を表す。) から選ばれる少なくとも一つの部分構造を含む化合物(E)と溶剤(F)とを含み、 該化合物(E)が、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物である、プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物を塗布する工程(i)、及び該段差を有する基板にプラズマを照射する工程(ii)を含む被覆基板の製造方法。」を 「段差を有する基板に、下記式(1-1)乃至式(1-5)及び式(1-7)で表される部分構造(I): 【化9】 [図:0001424569000018.jpg] (式中、R1、R3、R5a、及びR6aはそれぞれ独立して炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-、-NRb-又はそれらの組み合わせからなる2価の基を表し、 R5は、それぞれ独立して、窒素原子、又は窒素原子と炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる3価の基を表し、 R2、R2a、R4、及びR6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は水素原子と、炭素原子数1~10のアルキレン基、酸素原子、カルボニル基、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる1価の基を表し、 Raは水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、 Rbは、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数1~10のアルキルカルボニル基を表し、 nは1~10の繰り返し単位数を表し、及び 点線は隣接原子との化学結合を表す。) から選ばれる少なくとも一つの部分構造を含む化合物(E)と溶剤(F)とを含み、 該化合物(E)が、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物である(但し、該化合物(E)は、下記構造: 【化10】 [図:0001424569000019.jpg] [図:0001424569000020.jpg] [図:0001424569000021.jpg] で表される化合物、及び下記構造: 【化11】 [図:0001424569000022.jpg] で表される混合物を除く)、プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物を塗布する工程(i)、及び該段差を有する基板にプラズマを照射する工程(ii)を含む被覆基板の製造方法。」と訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8乃至請求項12も同様に訂正する。)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項16に記載された「請求項15に記載の被覆基板の製造方法。」を、「請求項15に記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する(請求項16の記載を引用する請求項17乃至請求項19も同様に訂正する。)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項17に記載された「請求項15又は請求項16に記載の被覆基板の製造方法。」を、「請求項15又は請求項16に記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する(請求項17の記載を引用する請求項19も同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項18に記載された「請求項15又は請求項16に記載の被覆基板の製造方法。」を、「請求項15又は請求項16に記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する(請求項18の記載を引用する請求項19も同様に訂正する。)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項19に記載された「請求項14乃至請求項18に記載の被覆基板の製造方法。」を、「請求項14乃至請求項18のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項24に記載された「請求項23に記載の被覆基板の製造方法。」を、「請求項23に記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する(請求項24の記載を引用する請求項25乃至請求項27も同様に訂正する。)。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項25に記載された「請求項23又は請求項24に記載の被覆基板の製造方法。」を、「請求項23又は請求項24に記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する(請求項25の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。)。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項26に記載された「請求項23又は請求項24に記載の被覆基板の製造方法。」を、「請求項23又は請求項24に記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する(請求項26の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。)。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項27に記載された「請求項22乃至請求項26の何れか1項に記載の被覆基板の製造方法。」を、「請求項22乃至請求項26の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する。 2 訂正の許否の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、請求項1に係る発明の「化合物(E)」について、「(但し、該化合物(E)は下記構造: 【化2】 [図:0001424569000023.jpg] [図:0001424569000024.jpg] で表される化合物を除く)、」との記載により、「化合物(E)」から特定の構造で表される化合物を除外するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項1に係る訂正は、「化合物(E)」から上記の特定の構造で表される化合物を除外するものであって、新たな技術的事項を導入しないことは明らかである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 ウ 許請求の範囲の拡張又は変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項1に係る訂正によって、訂正前の特許請求の範囲には含まれなかった発明が訂正後に特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、訂正要件を満たしている。 また、訂正後の請求項1の記載を引用して記載された訂正後の請求項2~6、13~28についても同様である。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2に係る訂正は、請求項7に係る発明の「部分構造(I)」について、「下記式(1-1)乃至式(1-5)及び式(1-7)で表される」場合に限定(すなわち、「式(1-6)で表される」場合を除外)し、当該限定に伴い、式中の基の説明から式(1-1)乃至式(1-5)及び式(1-7)中に含まれない基である「R1a」を定義する記載を削除すると共に、請求項7に係る発明の「化合物(E)」について、「(但し、該化合物(E)は、下記構造: 【化10】 [図:0001424569000025.jpg] [図:0001424569000026.jpg] [図:0001424569000027.jpg] で表される化合物、及び下記構造: 【化11】 [図:0001424569000028.jpg] で表される化合物を除く)」との記載により、「化合物(E)」から特定の構造で表される化合物を除外するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項2に係る訂正は、上記アで説示したとおりであって、「部分構造(I)」について、選択肢の一つであった「式(1-6)で表される」場合、及び、「化合物(E)」から上記の特定の構造で表される化合物及び混合物を除外するものであり、新たな技術的事項を導入しないことは明らかである。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項2に係る訂正によって、訂正前の特許請求の範囲には含まれなかった発明が訂正後に特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項2に係る訂正は、訂正要件を満たしている。 また、訂正後の請求項7の記載を引用して記載された訂正後の請求項8~12についても同様である。 (3)訂正事項3 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項16中の「請求項15に記載の被覆基板の製造方法」という記載を「請求項15に記載の半導体装置の製造方法」という記載に訂正するものである。 ここで、請求項15は「半導体装置の製造方法」の発明であって、「被覆基板の製造方法」の発明ではなく、訂正前の請求項16の上記記載に誤記があったと解することが相当である。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。 また、この訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかである。 以上のとおりであるから、訂正事項3に係る訂正は、訂正要件を満たしている。 また、訂正後の請求項7の記載を引用して記載された訂正後の請求項8~28についても同様である。 (4)訂正事項4、5、7~10 訂正事項4、5、7~10に係る各訂正は、上記(3)で説示した訂正事項3に係る訂正と同様のものであるから、特許法120条の5第2項ただし書2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。 また、訂正事項4、5、7~10に係る各訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかである。 以上のとおりであるから、訂正事項4、5、7~10に係る各訂正は、訂正要件を満たしている。 また、上記訂正事項4、5、7~9に係る訂正後の各請求項の記載を引用して記載された訂正後の各請求項についても同様である。 (5)訂正事項6 訂正事項6に係る訂正は、上記(3)で説示した訂正事項3に係る訂正と同様の訂正を行うことを含むものである。 さらに、訂正事項6に係る訂正は、請求項19が請求項14乃至請求項18の多数項を引用する形式で記載されているところ、請求項19に係る発明を明確にするべく、訂正後の請求項19を他の二以上の請求項の記載の引用を択一的にする記載、つまり「請求項14乃至請求項18のいずれか1項に記載の」という記載に訂正することを含むものである。 したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」、及び、同項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、訂正事項6に係る各訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかである。 以上のとおりであるから、訂正事項6に係る各訂正は、訂正要件を満たしている。 3 一群の請求項 訂正前の請求項1~6、13~28について、請求項2~6、13~28はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~6、13~28に対応する訂正後の請求項1~6、13~28は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、訂正前の請求項7~12について、請求項8~12は請求項7を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項7~12に対応する訂正後の請求項7~12は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 4 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号ないし3号に掲げる事項を目的とするものである。また、同訂正は、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 よって、結論に記載のとおり、特許第7332982号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6、13~28〕、〔7~12〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正は上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1~28に係る発明(以下「本件訂正発明1」~「本件訂正発明28」といい、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~28に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項1】 下記式(1-1)乃至式(1-7)で表される部分構造(I): 【化1】 [図:0001424569000029.jpg] (式中、R1、R1a、R3、R5a、及びR6aはそれぞれ独立して炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-、-NRb-又はそれらの組み合わせからなる2価の基を表し、 R5は、それぞれ独立して、窒素原子、又は窒素原子と炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる3価の基を表し、 R2、R2a、R4、及びR6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は水素原子と、炭素原子数1~10のアルキレン基、酸素原子、カルボニル基、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる1価の基を表し、 Raは水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、 Rbは、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数1~10のアルキルカルボニル基を表し、 nは1~10の繰り返し単位数を表し、及び 点線は隣接原子との化学結合を表す。) から選ばれる少なくとも一つの部分構造を含む化合物(E)と溶剤(F)とを含み、 該化合物(E)が、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物であり(但し、該化合物(E)は下記構造: 【化2】 [図:0001424569000030.jpg] [図:0001424569000031.jpg] で表される化合物を除く)、 上記エポキシ化合物(B)が、下記式(B-1)、(B-4)乃至(B-26)で表される化合物である、 プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物。 【化3】 [図:0001424569000032.jpg] 【化4】 [図:0001424569000033.jpg] 【化5】 [図:0001424569000034.jpg] 【化6】 [図:0001424569000035.jpg] 【化7】 [図:0001424569000036.jpg] 【化8】 [図:0001424569000037.jpg] 【請求項2】 上記R5a、及びR6aはそれぞれ炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、又はそれらの組み合わせからなる2価の基である請求項1に記載のプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物。 【請求項3】 上記炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)が、炭素原子間の不飽和結合含有カルボン酸、炭素原子間の不飽和結合含有酸無水物、炭素原子間の不飽和結合含有アミン、炭素原子間の不飽和結合含有アミド、炭素原子間の不飽和結合含有イソシアヌレート、炭素原子間の不飽和結合含有フェノール、又は炭素原子間の不飽和結合含有チオールである請求項1又は請求項2に記載のプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物。 【請求項4】 プラズマがエッチングガスで用いられるプラズマガス照射によるものである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物。 【請求項5】 プラズマが、ハロゲン含有ガスプラズマ、酸素ガスプラズマ、又は水素ガスプラズマである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物。 【請求項6】 上記段差基板被覆組成物が、半導体装置製造のリソグラフィー工程に用いられるレジスト下層膜形成組成物である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物。 【請求項7】 段差を有する基板に、下記式(1-1)乃至式(1-5)及び式(1-7)で表される部分構造(I): 【化9】 [図:0001424569000038.jpg] (式中、R1、R3、R5a、及びR6aはそれぞれ独立して炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-、-NRb-又はそれらの組み合わせからなる2価の基を表し、 R5は、それぞれ独立して、窒素原子、又は窒素原子と炭素原子数1~10のアルキレン基、炭素原子数6~40のアリーレン基(該アルキレン基及びアリーレン基は、1つ又は2つ以上のアミド基又はアミノ基で任意に置換されていても良い)、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる3価の基を表し、 R2、R2a、R4、及びR6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は水素原子と、炭素原子数1~10のアルキレン基、酸素原子、カルボニル基、-C(O)-NRa-及び-NRb-からなる群から選択される少なくとも一つ以上の基との組み合わせからなる1価の基を表し、 Raは水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、 Rbは、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数1~10のアルキルカルボニル基を表し、 nは1~10の繰り返し単位数を表し、及び 点線は隣接原子との化学結合を表す。) から選ばれる少なくとも一つの部分構造を含む化合物(E)と溶剤(F)とを含み、 該化合物(E)が、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物である(但し、該化合物(E)は、下記構造: 【化10】 [図:0001424569000039.jpg] [図:0001424569000040.jpg] [図:0001424569000041.jpg] で表される化合物、及び下記構造: 【化11】 [図:0001424569000042.jpg] で表される混合物を除く)、プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物を塗布する工程(i)、及び該段差を有する基板にプラズマを照射する工程(ii)を含む被覆基板の製造方法。 【請求項8】 工程(i)に従うプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物の塗布の後に該組成物に対し70乃至400℃の温度で、10秒~5分間の加熱を行う工程(ia)をさらに含む請求項7に記載の被覆基板の製造方法。 【請求項9】 工程(ii)に従うプラズマ照射が、フッ素含有ガス、又は酸素と不活性ガスとの混合ガスによるプラズマ照射である請求項7又は請求項8に記載の被覆基板の製造方法。 【請求項10】 工程(ii)に従うプラズマ照射が、ドライエッチング工程に用いられる装置を用いたエッチングガスによるものである請求項7又は請求項8に記載の被覆基板の製造方法。 【請求項11】 基板がオープンエリア(非パターンエリア)と、DENCE(密)及びISO(粗)のパターンエリアとを有し、パターンのアスペクト比が0.1~10である請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の被覆基板の製造方法。 【請求項12】 オープンエリアとパターンエリアとのBias(塗布段差)が1乃至50nmである請求項11に記載の被覆基板の製造方法。 【請求項13】 段差を有する基板上に請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の段差基板被覆膜形成組成物により下層膜を形成する工程、該下層膜の上にレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、該レジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及び該パターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。 【請求項14】 上記段差を有する基板がオープンエリア(非パターンエリア)と、DENCE(密)及びISO(粗)のパターンエリアとを有し、パターンのアスペクト比が0.1~10である請求項13に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項15】 上記段差基板被覆膜形成組成物により下層膜を形成する工程が、段差を有する基板に、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物を塗布する工程(i)、及び該段差を有する基板にプラズマを照射する工程(ii)を含む方法により形成されたものである請求項13又は請求項14に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項16】 工程(i)に従うプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物の塗布の後に該組成物に対し70乃至400℃の温度で、10秒~5分間の加熱を行う工程(ia)をさらに含む請求項15に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項17】 工程(ii)に従うプラズマ照射が、フッ素含有ガス、又は酸素と不活性ガスとの混合ガスによるプラズマ照射である請求項15又は請求項16に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項18】 工程(ii)に従うプラズマ照射が、ドライエッチング工程に用いられる装置を用いたエッチングガスによるものである請求項15又は請求項16に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項19】 オープンエリアとパターンエリアとのBias(塗布段差)が1乃至50nmである請求項14乃至請求項18のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項20】 段差基板被覆膜形成組成物により得られた下層膜が1乃至50nmのオープンエリアとパターンエリアとのBias(塗布段差)を有する請求項13に記載の半導体装置の製造 方法。 【請求項21】 段差を有する基板に請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物により下層膜を形成する工程、該下層膜の上にハードマスクを形成する工程、更に該ハードマスクの上にレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、該レジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、該パターン化されたハードマスクにより該下層膜をエッチングする工程、及び該パターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。 【請求項22】 上記段差を有する基板が、オープンエリア(非パターンエリア)と、DENCE(密)及びISO(粗)のパターンエリアとを有し、パターンのアスペクト比が0.1~10である請求項21に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項23】 上記段差基板被覆膜形成組成物により下層膜を形成する工程が、段差を有する基板に、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物を塗布する工程(i)、及び該段差を有する基板にプラズマを照射する工程(ii)を含む請求項21又は請求項22に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項24】 工程(i)に従うプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物の塗布の後に該組成物に対し70乃至400℃の温度で、10秒~5分間の加熱を行う工程(ia)をさらに含む請求項23に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項25】 工程(ii)に従うプラズマ照射が、フッ素含有ガス、又は酸素と不活性ガスとの混合ガスによるプラズマ照射である請求項23又は請求項24に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項26】 工程(ii)に従うプラズマ照射が、ドライエッチング工程に用いられる装置を用いたエッチングガスによるものである請求項23又は請求項24に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項27】 オープンエリアとパターンエリアとのBias(塗布段差)が1乃至50nmである請求項22乃至請求項26の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項28】 上記段差基板被覆膜形成組成物により得られた下層膜が1乃至50nmのオープンエリアとパターンエリアとのBias(塗布段差)を有する請求項21に記載の半導体装置の製造方法。」 第4 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~28に係る特許に対して、当審が令和6年9月30日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 理由1:(拡大先願)本件特許の請求項7~12に係る発明は、先の出願の日前の特許出願であって、先の出願の出願後に出願公開がされたものの願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者が他の特許出願に係る上記発明をした者と同一ではなく、また、本件特許の出願の時に本件特許の出願人が他の特許出願の出願人と同一でもないので、請求項7~12に係る特許は、特許法29条の2の規定に違反してされたものである。 <異議申立人の提出した証拠> 甲第3号証:特開2017-119670号公報(甲3) (当合議体注:甲3は理由1(拡大先願)における引用先願(特願2016-218071号)の公開公報である。) 第5 本件訂正発明に対する当合議体の判断 1 甲3の記載及び甲3に記載された発明 (1)甲3の記載 取消理由で引用された甲3の当初明細書等には、次の事項が記載されている。 なお、下線は当合議体が付与したものであって、引用発明の認定及び判断等において活用した箇所を示す。以下同様である。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 有機膜形成用の化合物であって、50℃以上300℃以下の範囲で測定される複素粘性率の最小値が10Pa・s以下のものであることを特徴とする有機膜形成用化合物。 ・・・中略・・・ 【請求項3】 前記有機膜形成用化合物が、下記一般式(1A)で示されるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機膜形成用化合物。 【化1】 [図:0001424569000043.jpg] (式中、Rは単結合、炭素数1~50の有機基、エーテル結合、-SO-基、又は-SO2-基であり、R1は下記一般式(1B)で示される基であり、m1及びm2は1≦m1≦5、1≦m2≦5、かつ2≦m1+m2≦8を満たす整数である。) 【化2】 [図:0001424569000044.jpg] (式中、X1は下記一般式(1C)で示される基であり、Xは下記一般式(1D)で示される基である。) 【化3】 [図:0001424569000045.jpg] (式中、(X)は前記Xとの結合箇所を示す。) 【化4】 [図:0001424569000046.jpg] (式中、X2は炭素数1~10の二価有機基であり、n1は0又は1であり、n2は1又は2であり、X3は下記一般式(1E)で示される基であり、n5は0、1、又は2である。) 【化5】 [図:0001424569000047.jpg] (式中、R10は水素原子又は炭素数1~10の飽和もしくは不飽和の炭化水素基であり、式中のベンゼン環上の水素原子は、メチル基又はメトキシ基で置換されていてもよい。) ・・・中略・・・ 【請求項5】 有機膜形成用の組成物であって、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機膜形成用化合物及び有機溶剤を含有するものであることを特徴とする有機膜形成用組成物。 ・・・中略・・・ 【請求項8】 半導体装置の製造工程で使用される有機平坦膜として機能する有機膜の形成方法であって、被加工基板上に請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の有機膜形成用組成物を回転塗布し、該有機膜形成用組成物を塗布した基板を100℃以上600℃以下の温度で10~600秒間の範囲で熱処理することにより硬化膜を形成することを特徴とする有機膜形成方法。 ・・・中略・・・ 【請求項10】 前記被加工基板として、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板を用いることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の有機膜形成方法。 【請求項11】 被加工体上に請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の有機膜形成用組成物を用いて有機膜を形成し、該有機膜の上にケイ素原子を含有するレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成し、該レジスト上層膜に回路パターンを形成し、該回路パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記レジスト下層膜にエッチングでパターンを転写し、該パターンが転写されたレジスト下層膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、更に、該パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体にエッチングでパターンを転写することを特徴とするパターン形成方法。」 イ 「【技術分野】 【0001】 本発明は、半導体装置等の製造における微細加工のための多層レジスト用の有機膜や半導体装置等の製造における平坦化用の有機膜を形成するための有機膜形成用化合物、該化合物を含有する有機膜形成用組成物、該組成物を用いた有機膜形成方法、及び前記組成物を用いたパターン形成方法に関する。」 ウ 「【発明が解決しようとする課題】 【0011】 本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、高度な埋め込み/平坦化特性を有する有機膜形成用組成物を与える有機膜形成用化合物、この化合物を含有する有機膜形成用組成物、この組成物を用いた有機膜形成方法、及びパターン形成方法を提供することを目的とする。」 エ 「【発明の効果】 【0045】 以上説明したように、本発明であれば、高度な埋め込み/平坦化特性を有する有機膜形成用組成物、及びこのような組成物に有用な有機膜形成用化合物を提供することができる。また、このような本発明の有機膜形成用組成物は、優れた埋め込み/平坦化特性を有するとともに、耐熱性、エッチング耐性等の他の特性にも優れたものとすることができるため、例えば、2層レジストプロセス、ケイ素含有レジスト下層膜あるいは無機ハードマスクを用いた3層レジストプロセス、又はケイ素含有レジスト下層膜あるいは無機ハードマスク及び有機反射防止膜を用いた4層レジストプロセスといった多層レジストプロセスに用いる有機膜材料、あるいは、半導体装置製造用平坦化材料として極めて有用である。また、本発明の有機膜形成方法であれば、被加工基板上に十分な有機溶剤耐性をもち、非常に平坦な有機膜を形成することができる。また、本発明のパターン形成方法であれば、多層レジストプロセスによって、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。」 オ 「【0062】 また、一般式(1A)で示される本発明の有機膜形成用化合物として、具体的には以下のものを挙げることができる。 ・・・中略・・・ 【0063】 【化23】 [図:0001424569000048.jpg] ・・・中略・・・ 【0068】 <有機膜形成用化合物の製造方法> 本発明の有機膜形成用化合物は、特に限定されないが、例えば下記反応式(2-1)~(2-8)で示されるようなエポキシ化合物とカルボン酸化合物との付加反応により得ることができる。 【化26】 [図:0001424569000049.jpg] (式中、R、X、m1、及びm2は上記と同様である。)」 カ 「【0117】 <パターン形成方法> [ケイ素含有レジスト下層膜を用いた3層レジストプロセス] 本発明では、被加工体上に上述の本発明の有機膜形成用組成物を用いて有機膜を形成し、該有機膜の上にケイ素原子を含有するレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成し、該レジスト上層膜に回路パターンを形成し、該回路パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記レジスト下層膜にエッチングでパターンを転写し、該パターンが転写されたレジスト下層膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、更に、該パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体にエッチングでパターンを転写するパターン形成方法を提供する。 ・・・中略・・・ 【0121】 また、被加工体として、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板を用いることが好ましい。 ・・・中略・・・ 【0128】 次に、回路パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにしてレジスト下層膜にエッチングでパターンを転写する。レジスト上層膜パターンをマスクにして行うレジスト下層膜のエッチングは、フルオロカーボン系のガスを用いて行うことが好ましい。これにより、ケイ素含有レジスト下層膜パターンを形成する。 【0129】 次に、パターンが転写されたレジスト下層膜をマスクにして有機膜にエッチングでパターンを転写する。ケイ素含有レジスト下層膜は、酸素ガス又は水素ガスによるエッチング耐性を示すため、ケイ素含有レジスト下層膜パターンをマスクにして行う有機膜のエッチングは、酸素ガス又は水素ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。これにより、有機膜パターンを形成する。 【0130】 次に、パターンが転写された有機膜をマスクにして被加工体にエッチングでパターンを転写する。次の被加工体(被加工層)のエッチングは、常法によって行うことができ、例えば被加工体がSiO2、SiN、シリカ系低誘電率絶縁膜であればフロン系ガスを主体としたエッチング、p-SiやAl、Wであれば塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行う。基板加工をフロン系ガスによるエッチングで行った場合、ケイ素含有レジスト下層膜パターンは基板加工と同時に剥離される。一方、基板加工を塩素系、臭素系ガスによるエッチングで行った場合は、ケイ素含有レジスト下層膜パターンを剥離するために、基板加工後にフロン系ガスによるドライエッチング剥離を別途行う必要がある。」 キ 「【実施例】 【0144】 以下、合成例、比較合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、分子量及び分散度としては、テトラヒドロフランを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め、分散度(Mw/Mn)を求めた。また、Mwの計算値を計算する際には、各元素の原子量は、水素:1、炭素:12、窒素:14、酸素:16、硫黄:32とした。 【0145】 以下の合成例には、下記に示すエポキシ化合物(E-A1)~(E-A9)、(E-B1)~(E-B6)を用いた。 【化41】 [図:0001424569000050.jpg] 【0146】 また、以下の合成例には、下記に示すカルボン酸化合物(C-A1)~(C-A10)、(C-B1)~(C-B4)を用いた。 【化42】 [図:0001424569000051.jpg] 【0147】 [合成例1]有機膜形成用化合物(A-1)の合成 エポキシ化合物(E-A1)78.1g、カルボン酸化合物(C-A1)74.1g、及び2-メトキシ-1-プロパノール1,000gを窒素雰囲気下、液温100℃で均一溶液とした後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド11.4gを加え液温120℃で12時間撹拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン3,000gを加え、有機層を純水600gで5回洗浄した。有機層を減圧乾固し、有機膜形成用化合物(A-1)を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=713、Mw/Mn=1.04であった。 【0148】 [合成例2~27]有機膜形成用化合物(A-2)~(A-27)の合成 表1に示されるエポキシ化合物、カルボン酸化合物を使用した以外は、合成例1と同じ反応条件で、表2~5に示されるような有機膜形成用化合物(A-2)~(A-27)を得た。これらの化合物の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)を求め、表2~5に示した。 【0149】 [合成例28、29]化合物(B-1)、(B-2)の合成 表1に示されるエポキシ化合物、カルボン酸化合物を使用した以外は、合成例1と同じ反応条件で、表5に示されるような化合物(B-1)、(B-2)を得た。これらの化合物の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)を求め、表5に示した。 【0150】 [合成例30]化合物(C-1)の合成 下記のナフトール化合物(C-1A)166g、4-ヒドロキシメチルフェノール(C-1B)250g、及び2-メトキシ-1-プロパノール2,000gを窒素雰囲気下、液温80℃で均一溶液とした後、20%パラトルエンスルホン酸2-メトキシ-1-プロパノール溶液50gをゆっくり加え、液温110℃で12時間撹拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン2,500gを加え、有機層を純水1,000gで5回洗浄後、有機層を減圧乾固した。残渣にテトラヒドロフラン(THF)1,000mLを加え、ヘキサン4,000mLで晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別し減圧乾燥して化合物(C-1)を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=1,062、Mw/Mn=1.57であった。 【化43】 [図:0001424569000052.jpg] 【0151】 【表1】 [図:0001424569000053.jpg] 【0152】 【表2】 [図:0001424569000054.jpg] 【0153】 【表3】 [図:0001424569000055.jpg] 【0154】 【表4】 [図:0001424569000056.jpg] 【0155】 【表5】 [図:0001424569000057.jpg] ・・・中略・・・ 【0162】 [有機膜形成用組成物(UDL-1~38)の調製] 上記の有機膜形成用化合物(A-1)~(A-27)、化合物(B-1)、(B-2)、(C-1)、(R-1)~(R-4)、添加剤として架橋剤(CR1)、(CR2)、酸発生剤(AG1)、高沸点溶剤として(S-1)1,6-ジアセトキシヘキサン(沸点260℃)又は(S-2)トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点242℃)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表7に示す割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって有機膜形成用組成物(UDL-1~38)をそれぞれ調製した。なお、本発明の有機膜形成用化合物(A-1)~(A-27)を含有するUDL-1~34が本発明の有機膜形成用組成物であり、架橋開始時の複素粘性率が10Pa・sを超える化合物(R-1)~(R-4)を含有するUDL-35~38は比較用の有機膜形成用組成物である。 【0163】 【表7】 [図:0001424569000058.jpg] 【0164】 以下に、架橋剤(CR1)、(CR2)、及び酸発生剤(AG1)を示す。 【化48】 [図:0001424569000059.jpg] 」 キ 「【0171】 [パターン形成試験:実施例3-1~3-34] 上記の有機膜形成用組成物(UDL-1~34)をそれぞれ、トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板上に塗布し、250℃で60秒間焼成して、有機膜を形成した。その上に下記のケイ素含有レジスト下層膜材料(SOG1)を塗布し、200℃で60秒間ベークして膜厚35nmのケイ素含有レジスト下層膜を形成した。その上にレジスト上層膜材料として下記のArF用単層レジストを塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。フォトレジスト膜上に下記の液浸保護膜材料(TC-1)を塗布し、90℃で60秒間ベークして膜厚50nmの保護膜を形成した。 【0172】 ケイ素含有レジスト下層膜材料(SOG1)としては、以下のポリマーのプロピレングリコールエチルエーテル2%溶液を調製した。 【化49】 [図:0001424569000060.jpg] 【0173】 レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)としては、ポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、塩基性化合物(Amine1)を、FC-430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表10の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。 【表10】 [図:0001424569000061.jpg] 【0174】 ポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、及び塩基性化合物(Amine1)を以下に示す。 【化50】 [図:0001424569000062.jpg] 【0175】 液浸保護膜材料(TC-1)としては、ポリマー(PP1)を有機溶剤中に表11の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。 【表11】 [図:0001424569000063.jpg] 【0176】 ポリマー(PP1)を以下に示す。 【化51】 [図:0001424569000064.jpg] 【0177】 次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターン(レジスト上層膜パターン)を得た。 【0178】 次いで、レジスト上層膜パターンをマスクにして東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いてケイ素含有レジスト下層膜をドライエッチング加工(パターン転写)し、得られたケイ素含有レジスト下層膜パターンをマスクにして有機膜をドライエッチング加工(パターン転写)し、得られた有機膜パターンをマスクにしてSiO2ウエハー基板(SiO2膜)をドライエッチング加工(パターン転写)した。エッチング条件は下記に示す通りである。 【0179】 (レジスト上層膜パターンのケイ素含有レジスト下層膜への転写条件) チャンバー圧力 10.0Pa RFパワー 1,500W CF4ガス流量 75mL/min O2ガス流量 15mL/min 時間 15sec 【0180】 (ケイ素含有レジスト下層膜パターンの有機膜への転写条件) チャンバー圧力 2.0Pa RFパワー 500W Arガス流量 75mL/min O2ガス流量 45mL/min 時間 120sec 【0181】 (有機膜パターンのSiO2ウエハー基板への転写条件) チャンバー圧力 2.0Pa RFパワー 2,200W C5F12ガス流量 20mL/min C2F6ガス流量 10mL/min Arガス流量 300mL/min O2ガス流量 60mL/min 時間 90sec 【0182】 得られたパターンの断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)にて観察した結果を表12に示す。 【表12】 [図:0001424569000065.jpg] 【0183】 表12に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(UDL-1~34)を使用した実施例3-1~3-34では、いずれもレジスト上層膜パターンが最終的にSiO2ウエハー基板まで良好に転写されており、本発明の有機膜形成用組成物が、段差を有する基板上においても、多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。 【0184】 以上のことから、本発明の有機膜形成用化合物を含有する本発明の有機膜形成用組成物であれば、優れた埋め込み/平坦化特性を有するとともに、エッチング耐性にも優れるため、多層レジストプロセスに用いる有機膜材料として極めて有用であり、またこれを用いた本発明のパターン形成方法であれば、被加工体が段差を有する基板であっても、微細なパターンを高精度で形成することができることが明らかとなった。」 ク 「【図3】 [図:0001424569000066.jpg] 」 (2)甲3に記載された発明 上記(1)カ、キより、甲3の当初明細書等には、「有機膜形成用組成物(UDL-1)」を用いて「パターン形成試験」を行った「実施例3-1」として記載される、「トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板」に「パターン形成」したものを製造する製造方法の発明が記載されている。 そして、当該製造方法の発明について、以下の事項が理解される。 ア 有機膜形成用組成物(UDL-1) (ア)甲3の当初明細書等(特に、【0152】【表2】、【0162】、【0163】【表7】等を参照。)の記載より、「有機膜形成用組成物(UDL-1)」は、下記構造の「有機膜形成用化合物(A-1)」「をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に」「10:90」「の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって」「調製」されたものである。 [図:0001424569000067.jpg] (イ)また、甲3の当初明細書等(特に、【0145】~【0147】、【0151】【表1】等を参照。)より、上記「有機膜形成用化合物(A-1)」は、下記式で表される「エポキシ化合物(E-A1)78.1g、カルボン酸化合物(C-A1)74.1g、及び2-メトキシ-1-プロパノール1,000gを窒素雰囲気下、液温100℃で均一溶液とした後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド11.4gを加え液温120℃で12時間撹拌し」、「室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン3,000gを加え、有機層を純水600gで5回洗浄し」、「有機層を減圧乾固し」、得られたものである。 [図:0001424569000068.jpg] [図:0001424569000069.jpg] イ パターン形成試験 (ア)甲3の当初明細書等(特に、【0171】、【0177】、【0178】等を参照。)の記載より、上記「パターン形成試験」は、「有機膜形成用組成物(UDL-1)」を「トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板上に塗布し、250℃で60秒間焼成して、有機膜を形成し」、「その上に」「ケイ素含有レジスト下層膜材料」「を塗布し、200℃で60秒間ベークして膜厚35nmのケイ素含有レジスト下層膜を形成し」、「その上にレジスト上層膜材料」「を塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成し」、「フォトレジスト膜上に」「液浸保護膜材料」「を塗布し、90℃で60秒間ベークして膜厚50nmの保護膜を形成し、」「次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターン(レジスト上層膜パターン)を得て」、「次いで、レジスト上層膜パターンをマスクにして東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いてケイ素含有レジスト下層膜をドライエッチング加工(パターン転写)し、得られたケイ素含有レジスト下層膜パターンをマスクにして有機膜をドライエッチング加工(パターン転写)し、得られた有機膜パターンをマスクにしてSiO2ウエハー基板(SiO2膜)をドライエッチング加工(パターン転写)」する工程を含むものである。 (イ)ここで、上記「ケイ素含有レジスト下層膜をドライエッチング加工(パターン転写)」、「ケイ素含有レジスト下層膜パターンをマスクにして有機膜をドライエッチング加工(パターン転写)」、「有機膜パターンをマスクにしてSiO2ウエハー基板(SiO2膜)をドライエッチング加工(パターン転写)」の各条件については、以下のとおりである。 a ケイ素含有レジスト下層膜をドライエッチング加工(パターン転写) チャンバー圧力 10.0Pa RFパワー 1,500W CF4ガス流量 75mL/min O2ガス流量 15mL/min 時間 15sec b ケイ素含有レジスト下層膜パターンをマスクにして有機膜をドライエッチング加工(パターン転写) チャンバー圧力 2.0Pa RFパワー 500W Arガス流量 75mL/min O2ガス流量 45mL/min 時間 120sec c 有機膜パターンをマスクにしてSiO2ウエハー基板(SiO2膜)をドライエッチング加工(パターン転写) チャンバー圧力 2.0Pa RFパワー 2,200W C5F12ガス流量 20mL/min C2F6ガス流量 10mL/min Arガス流量 300mL/min O2ガス流量 60mL/min 時間 90sec ウ 甲3発明 上記ア、イから、甲3の当初明細書等には、「トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板にパターン形成したものを製造する製造方法」の発明として、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。 「トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板にパターン形成したものを製造する製造方法において、 有機膜形成用組成物(UDL-1)をトレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板上に塗布し、250℃で60秒間焼成して、有機膜を形成し、その上にケイ素含有レジスト下層膜材料を塗布し、200℃で60秒間ベークして膜厚35nmのケイ素含有レジスト下層膜を形成し、その上にレジスト上層膜材料を塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成し、フォトレジスト膜上に液浸保護膜材料を塗布し、90℃で60秒間ベークして膜厚50nmの保護膜を形成し、次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスクで露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターン(レジスト上層膜パターン)を得て、次いで、レジスト上層膜パターンをマスクにして東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いてケイ素含有レジスト下層膜を、チャンバー圧力 2.0Pa、RFパワー 500W、Arガス流量 75mL/min、O2ガス流量 45mL/min、時間 120secの条件でドライエッチング加工(パターン転写)し、得られたケイ素含有レジスト下層膜パターンをマスクにして有機膜を、チャンバー圧力 2.0Pa、RFパワー 500W、Arガス流量 75mL/min、O2ガス流量 45mL/min、時間 120secの条件でドライエッチング加工(パターン転写)し、得られた有機膜パターンをマスクにしてSiO2ウエハー基板(SiO2膜)を、チャンバー圧力 2.0Pa、RFパワー 2,200W、C5F12ガス流量 20mL/min、C2F6ガス流量 10mL/min、Arガス流量 300mL/min、O2ガス流量 60mL/min、時間 90secの条件でドライエッチング加工(パターン転写)する工程を含み、 -上記有機膜形成用組成物(UDL-1)は、下記構造の有機膜形成用化合物(A-1)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に10:90の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製されたものであり、 [図:0001424569000070.jpg] -上記有機膜形成用化合物(A-1)は、下記式で表されるエポキシ化合物(E-A1)78.1g、カルボン酸化合物(C-A1)74.1g、及び2-メトキシ-1-プロパノール1,000gを窒素雰囲気下、液温100℃で均一溶液とした後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド11.4gを加え液温120℃で12時間撹拌し、室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン3,000gを加え、有機層を純水600gで5回洗浄し、有機層を減圧乾固し、得られたものである、 [図:0001424569000071.jpg] [図:0001424569000072.jpg] 製造方法。」 2 本件訂正発明7 (1)対比 本件訂正発明7と甲3発明とを対比する。 ア 段差を有する基板 甲3発明の「トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板」は、本件訂正発明7の「段差を有する基板」に相当する。 イ 化合物(E) (ア)部分構造(I) 甲3発明の「有機膜形成用化合物(A-1)」は、その構造式より、ビニル基を含む以下の部分構造を末端に有するものであるが、当該部分構造は、本件訂正発明7の「式(1-1)」における「R1」が「炭素原子数6のアリーレン基」、「R2」が「水素原子」である構造である。 [図:0001424569000073.jpg] してみれば、甲3発明の「有機膜形成用化合物(A-1)」は、本件訂正発明7の「下記式(1-1)乃至式(1-5)及び式(1-7)で表される部分構造(I)」「から選ばれる少なくとも一つの部分構造を含む」との要件を満たす「化合物(E)」に相当する。 (当合議体注:式(1-1)乃至式(1-5)及び式(1-7)の構造式、及び、各式に含まれる基を定義する記載は省略した。以下、同様に記載を省略する場合がある。) (イ)炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)、エポキシ化合物(B)、反応物 a 甲3発明の「有機膜形成用化合物(A-1)」の合成に用いられる「カルボン酸化合物(C-A1)」は、その構造式からみて、炭素原子間の二重結合(不飽和結合)とカルボキシル基とを有するものである。ここで、カルボキシル基は1つのプロトンを発生する「プロトン発生基」であるから、甲3発明における「カルボン酸化合物(C-A1)」は、本件訂正発明7の「炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)」に相当する。 また、甲3発明における「有機膜形成用化合物(A-1)」の合成に用いられる「エポキシ化合物(E-A1)」は、本件訂正発明7の「エポキシ化合物(B)」に相当する。 b モル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物 甲3発明における「有機膜形成用化合物(A-1)」の構造、及び、当該「有機膜形成用化合物(A-1)」の合成に用いられた「カルボン酸化合物(C-A1)」、「エポキシ化合物(E-A1)」の構造からみて、甲3発明における「有機膜形成用化合物(A-1)」は、「カルボン酸化合物(C-A1)」のカルボキシル基から発生するプロトンと「エポキシ化合物(E-A1)」のエポキシ基とが1:1で反応して生成した反応物であることは明らかである。 してみれば、甲3発明における「有機膜形成用化合物(A-1)」は、「炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物」に相当する。 (ウ)化合物(E)から除かれる化合物及び混合物 甲3発明における「有機膜形成用化合物(A-1)」は、その構造からみて、「化合物(E)」から除かれている。 ウ 溶剤(F) 甲3発明の「有機膜形成用組成物(UDL-1)」に含まれる「PGMEA」は、本件訂正発明7の「溶剤(F)」に相当する。 エ プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物を塗布する工程(i) (ア)プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物 甲3発明の「有機膜形成用組成物(UDL-1)」は、塗布によって基板上に有機膜が「形成」されるものであるところ、当該有機膜は、基板を「被覆」する「膜」といえるから、本件訂正発明7の「プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物」と甲3発明の「有機膜形成用組成物(UDL-1)」とは、「化合物(E)と溶剤(F)とを含」むとの要件を満たす「段差基板被覆膜形成組成物」である点で共通する。 (イ)塗布する工程(i) 甲3発明の有機膜形成用組成物(UDL-1)を「トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板」(段差を有する基板)上に「塗布」することは、本件訂正発明7の「段差を有する基板に、」「塗布する工程(i)」に相当する。 オ 被覆基板の製造方法 甲3発明で製造される「トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板にパターン形成したもの」は、「SiO2ウエハー基板」(基板)が有機膜で「被覆」されたものといえるから、甲3発明の「製造方法」は、本件訂正発明7の「被覆基板の製造方法」に相当する。 (2)一致点、相違点 上記(1)の対比結果を踏まえれば、本件訂正発明7と甲3発明とは、 「段差を有する基板に、下記式(1-1)乃至式(1-5)及び式(1-7)で表される部分構造(I)から選ばれる少なくとも一つの部分構造を含む化合物(E)と溶剤(F)とを含み、 該化合物(E)が、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物である、段差基板被覆膜形成組成物を塗布する工程(i)を含む被覆基板の製造方法。」 である点で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。 (相違点1) 本件訂正発明7の「段差基板被覆膜形成組成物」は「プラズマ硬化性」であるのに対し、甲3発明で用いられる「有機膜形成用組成物(UDL-1)」はそのように特定されたものでない点。 (相違点2) 本件訂正発明7は「該段差を有する基板にプラズマを照射する工程(ii)」を有するのに対し、甲3発明は、このような工程を有することが特定されていない点。 (相違点3) 「化合物(E)」について、本件訂正発明7は、下記構造: [図:0001424569000074.jpg] [図:0001424569000075.jpg] [図:0001424569000076.jpg] で表される化合物、及び下記構造: [図:0001424569000077.jpg] で表される混合物を除くのに対し、甲3発明は、「有機膜形成用化合物(A-1)」が下記構造を有しており、本件訂正発明7の「化合物(E)」から除かれた化合物に該当する点。 [図:0001424569000078.jpg] (3)判断 ア 相違点3 事案に鑑み、相違点3について検討する。 甲3発明の「有機膜形成用化合物(A-1)」は、本件訂正発明7の「化合物(E)」から除かれた化合物に該当するから、上記相違点3は実質的な相違点である。 また、甲3発明の有機膜形成用化合物(A-1)は、課題を解決するための手段である特定の物性を有する化合物を具体化したものであるから、有機膜形成用化合物(A-1)を除くとする上記相違点3が、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)であるとも認められない。 イ 小括 上記アより、本件訂正発明7は、甲3発明でない。 なお、上記(1)~(3)では、上記1(2)の「有機膜形成用組成物UDL-1」を用いた「実施例3-1」として記載された発明(甲3発明)を引用発明として対比・判断を行ったが、甲3の当初明細書等に記載される「有機膜形成用組成物UDL-8」、「有機膜形成用組成物UDL-9」、「有機膜形成用組成物UDL-18」を用いた「実施例3-8」、「実施例3-9」、「実施例3-18」として記載された発明を引用発明としても、その判断は同様である。 以下の3で説示する、本件訂正発明8~12についての判断も同様である。 3 本件訂正発明8~12 本件訂正発明8~12は、本件訂正発明7の構成を全て備えるものであるから、本件訂正発明8~12も、本件訂正発明7と同じ理由により、甲3発明でない。 4 小括 上記1~3で説示したとおり、本件訂正発明7~12は、甲3に記載された発明と同一でない。 第6 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった申立ての理由について 1 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった申立ての理由の概要 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった申立ての理由は、概略、以下のとおりである。 (1)新規性 本件特許の請求項1~28に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、請求項1~28に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。 (2)進歩性 本件特許の請求項1~28に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲1及び甲2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~28に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 (3)拡大先願 本件特許の請求項1~6、13~28に係る発明は、先の出願の日前の特許出願であって、先の出願の出願後に出願公開がされた甲3の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者が他の特許出願に係る上記発明をした者と同一ではなく、また、本件特許の出願の時に本件特許の出願人が他の特許出願の出願人と同一でもないので、請求項1~6、13~28に係る特許は、特許法29条の2の規定に違反してされたものである。 (4)発明該当性 本件特許の請求項1~28に係る発明は、特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。 (5)サポート要件 本件特許の請求項1~28に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるということができないから、請求項1~請求項28に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (6)明確性要件 本件特許の請求項1~28に係る発明は、特許を受けようとする発明が明確であるということができないから、請求項1~28に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった申立ての理由についての合議体の判断 (1)新規性 甲1に記載された発明の「化合物(A-8)」は、以下の構造式を有するものであり、下記「カルボン酸化合物(C-8)」と「エポキシ化合物(E-6)」との反応物であるが、当該「エポキシ化合物(E-6)」は、本件訂正発明1の「エポキシ化合物(B)」である「式(B-1)、(B-4)乃至(B-26)で表される化合物」のいずれにも該当しない。 [図:0001424569000079.jpg] [図:0001424569000080.jpg] [図:0001424569000081.jpg] したがって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明でない。 本件訂正発明1を直接あるいは間接的に引用する本件訂正発明2~6、13~28についても同様である。 また、甲1に記載された発明の「化合物(A-8)」は、両末端にプロパルギル基(2-プロピニル基)を有しているが、「プロパルギル基」は、本件特許発明7の「部分構造(I)」のうちの「式(1-1)乃至式(1-5)及び式(1-7)」のいずれにも該当しない。 したがって、本件訂正発明7は、甲1に記載された発明でない。 本件訂正発明7を直接あるいは間接的に引用する本件訂正発明8~12についても同様である。 (2)進歩性 プラズマ硬化性の組成物を基板に塗布してプラズマ硬化させることが、甲2に記載されているように本件発明が出願される前に公知であったとしても、甲1に記載された発明において、「エポキシ化合物(E-6)」に替えて、本件訂正発明1の「エポキシ化合物(B)」である「式(B-1)、(B-4)乃至(B-26)で表される化合物」を適用する動機はなく、また、甲1に記載された発明において、「化合物(A-8)」の両末端に有する「プロパルギル基」に替えて、本件訂正発明7の「式(1-1)乃至式(1-5)及び式(1-7)で表される部分構造(I)」を適用する動機もない。 したがって、本件訂正発明1及び本件訂正発明7は、甲1及び甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 本件訂正発明1又は本件訂正発明7をそれぞれ直接あるいは間接的に引用する本件訂正発明2~6、13~28及び本件訂正発明8~12についても同様である。 (3)拡大先願 甲3に記載された発明の「エポキシ化合物(E-A1)」は、本件訂正発明1の「エポキシ化合物(B)」であり「式(B-1)、(B-4)乃至(B-26)で表される化合物」のいずれにも該当しないから、本件訂正発明1は、甲3に記載された発明でない。 甲3の当初明細書等に記載される「有機膜形成用組成物UDL-8」、「有機膜形成用組成物UDL-9」、「有機膜形成用組成物UDL-18」を用いた「実施例3-8」、「実施例3-9」、「実施例3-18」として記載された発明を甲3に記載された発明としても、その判断は同様である。 本件訂正発明1を直接あるいは間接的に引用する本件訂正発明2~6、13~28についても同様である。 (4)発明該当性 異議申立人は特許異議申立書の99頁7行~101頁26行において、本件発明の目的を達成し、効果を奏するためには、本件発明では熱硬化性、光硬化性であってはならず、熱架橋部位や酸触媒をもってはならず、架橋剤や酸触媒を含むものであってはならず、また、熱リフロー時に架橋反応を生じてはならないにも関わらず、これらの要件が本件独立項である請求項1および請求項7に全く謳われていないから、現在の本件独立項である請求項1及び請求項7に記載された要件だけでは、必須要件が欠缺しており、本発明の目的および効果を奏することはできず、課題を解決することができないものであり、未完成発明である旨を主張している。 異議申立人の上記主張について検討すると、本件訂正発明1は、「プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物」であって、段差基板被覆膜形成組成物が、プラズマを照射することにより硬化するという性質を有することを発明特定事項とするものの、当該組成物が熱硬化性、光硬化性であることや、熱架橋部位や架橋剤、酸触媒を含むこと、熱リフロー時に架橋反応を生じることを排除していない。 しかしながら、本件訂正発明1の解決しようとする課題は、「パターンへの充填性が高く、脱ガスや熱収縮が発生しない塗膜形成が可能な平坦化性を有する被膜を基板上に形成するためのプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物を提供する」ことであり、当該課題は、脱ガスによる熱収縮が発生しないプラズマ照射による架橋が行われる「プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物」により解決されるものと認められる。 したがって、本件訂正発明1は、本発明の課題を解決することが不可能なものではないから、未完成発明ではない。 本件訂正発明7は、「プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物」を用いた「被覆基板の製造方法」であるから、本件訂正発明1と同様の理由により、未完成発明ではない。 本件訂正発明1及び本件訂正発明7をそれぞれ直接あるいは間接的に引用する本件訂正発明2~6、13~28及び本件訂正発明8~12についても同様である。 (5)サポート要件 ア 判断基準 特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項1号に記載する要件(いわゆる、サポート要件)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認定できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。 これを本願発明についてみると、以下のとおりとなる。 イ 判断 本件特許明細書の【0007】~【0009】、【0019】、【0047】~【0052】、【0080】~【0088】等の記載からみて、本件訂正発明は、分子間又は分子内で炭素原子と炭素原子との不飽和結合のプラズマ反応で架橋構造を形成することができる化合物(E)を含む段差基板被覆膜形成組成物を調製し、段差を有する基板に段差基板被覆膜形成組成物を塗布する工程(i)、及びプラズマを照射する工程(ii)を含み被覆基板を製造すること(課題を解決するための手段)によって、パターンへの充填性が高く、脱ガスや熱収縮が発生しない塗膜形成が可能な平坦化性を有する被膜を基板上に形成するためのプラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物を提供するという課題(【0005】、【0006】等を参照)(以下「本件課題」という。)を解決することに技術的意義を有する発明であると認められる。 そして、本件特許明細書の各実施例及び比較例を用いた評価結果からみて、本件訂正発明1~28については、課題を解決するための手段が十分に反映されていると認められる。 そうすると、本件訂正発明1~28は、当業者が本件課題を解決することができると認識できるものである。 よって、本件訂正発明1~28は、発明の詳細な説明に記載したものである。 したがって、本件訂正発明は、特許請求の範囲の請求項1~28の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしている。 ウ 異議申立人の主張について 異議申立人は特許異議申立書の99頁7行~102頁5行において、本件発明の目的を達成し、効果を奏するためには、本件発明では熱硬化性、光硬化性であってはならず、熱架橋部位や酸触媒をもってはならず、架橋剤や酸触媒を含むものであってはならず、また、熱リフロー時に架橋反応を生じてはならないにも関わらず、これらの要件が本件独立項である請求項1および請求項7に全く謳われていないから、現在の本件独立項である請求項1及び請求項7に記載された要件だけでは、必須要件が欠缺していることから、明細書に記載された発明と請求項に記載された発明が異なると言える上に、技術的にも誤っているものであるから、その意味で不明朗であり、サポート要件も具備していない旨を主張している。 異議申立人の上記主張について検討すると、本件訂正発明1は、「プラズマ硬化性段差基板被覆膜形成組成物」であって、段差基板被覆膜形成組成物が、プラズマを照射することにより硬化するという性質を有することを発明特定事項とするものの、当該組成物が熱硬化性、光硬化性であることや、熱架橋部位や架橋剤、酸触媒を含むこと、熱リフロー時に架橋反応を生じることを排除していない。 また、本件特許明細書の【0008】に「本発明の段差基板被覆膜形成組成物は基板上に塗布され、『場合により』更に加熱によるリフローによりパターンに充填される」(合議体注:『』(二重かぎ括弧)は合議体が追記した。以下同様とする。)と記載されており、【0050】に「また工程(ia)として、塗布後に『加熱することができ』」と記載されていることからも分かるように、本件訂正発明において、段差基板被覆膜形成組成物を「熱リフロー」することは、必須の要件ではない。 したがって、上記イのとおり、本件訂正発明1~28については、課題を解決するための手段が十分に反映されていると認められるから、異議申立人の上記主張を採用することはできない。 (6)明確性要件 異議申立人は、特許異議申立書の102頁2~9行において、現在の本件独立項である請求項1及び請求項7に記載された要件だけでは、必須要件が欠缺していることから、明細書に記載された発明と請求項に記載された発明が異なると言える上に、技術的にも誤っているものであるから、その意味で不明朗であり、さらに、本件発明の組成物は、プラズマ硬化性であるとともに熱硬化性でもあり、熱硬化性であってはならないという本件発明の趣旨に反しており矛盾するから、不明瞭な発明である旨を主張している。 しかしながら、本件訂正発明は、段差基板被覆膜形成組成物が、特定の部分構造を含み、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)とエポキシ化合物(B)との反応物である「化合物(E)」を含むことを特定するものであって、当該組成物が熱硬化性、光硬化性であることや、熱架橋部位や架橋剤、酸触媒を含むこと、熱リフロー時に架橋反応を生じることを排除するものではないことは明らかである。 したがって、異議申立人が主張する点が、本件訂正発明で特定されていないとしても、そのことによって本件訂正発明が不明確であるとはいえない。 そうすると、本件訂正発明は明確であり、第三者に不測の不利益をもたらすとはいえない。 さらに、異議申立人は、特許異議申立書の102頁10行~103頁23行において、本件請求項1は組成物という物の発明であるにもかかわらず、「該化合物(E)が、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物であり」と記載しており、物の発明を方法により規定しているところ、方法により物を特定することが認められるのは、物を直接特定することに「不可能・非実際的事情」が存在する場合に限られるが、本件の場合そのような事情が全く存在しない旨を主張している。 しかしながら、本件訂正発明1~28の「化合物(E)」は、「エポキシ化合物(B)」として、本件訂正発明1の「式(B-1)、(B-4)乃至(B-11)、(B-25)」を用いた場合のように、ポリマーである場合を含んでいる。 そして、ポリマーを合成する際には、非常に多数存在するエポキシ基等の反応性基が必ずしも全て反応するわけではなく、また、未反応の反応性基の割合を定量的に示すことが困難であることも明らかである。 したがって、本件訂正発明1~28における「該化合物(E)が、炭素原子間の不飽和結合を含むプロトン発生化合物(A)のプロトンとエポキシ化合物(B)のエポキシ基とのモル比1:1~1:1.5の該プロトン発生化合物(A)と該エポキシ化合物(B)との反応物であり」との記載は、「化合物(E)」という物を方法により特定しているが、物を直接特定することに「不可能・非実際的事情」が存在するものと認められる。 そうすると、本件訂正発明1~28は明確であり、第三者に不測の不利益をもたらすとはいえない。 したがって、本件訂正発明は、特許請求の範囲の請求項1~28の記載が、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしている。 第7 まとめ 請求項1~28に係る特許については、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び取消理由通知書に記載した取消しの理由によっては取り消すことはできない。 また、他に請求項1~28に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700167

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