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特許異議申立

2024-701014

露光方法、蒸着マスクの製造方法、および、露光装置

審判番号
2024-701014
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-561695
登録番号
7468805
請求日
2024年10月16日
審決日
2026年02月27日
公報発行日
2026年05月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】TOPPANホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】恩田 誠
  • 【権利者代理人】恩田 博宣
  • 【異議申立人】村野 親
審判長/審判官
  • 審判長 井上 猛
  • 審判官 粟野 正明
  • 審判官 石川 雄太郎
分類
P1651.113-YAA(C23C) / P1651.121-YAA(C23C) / P1651.161-YAA(C23C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条の2、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項、特許法第41条第3項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7468805号発明「露光方法、蒸着マスクの製造方法、および、露光装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7468805号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、10について訂正することを認める。 特許第7468805号の請求項1~10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件の特許第7468805号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願(特願2023-561695号。以下「本願」という。)は、2023年(令和 5年) 4月21日(優先権主張:令和 4年 4月21日)を国際出願日とする出願であって、令和 6年 4月 8日にその特許権の設定登録がされ、同年 4月16日に特許掲載公報が発行され、その後、令和 6年10月16日に、その請求項1~9(全請求項)に係る特許について、特許異議申立人である村野 親(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 そして、本件特許異議の申立てにおける、その後の手続きの経緯は、以下のとおりである。 令和 6年10月16日 特許異議の申立て 令和 7年 2月14日付け 取消理由通知書 同年 4月18日 特許権者による訂正請求書(以下「先の訂正請求書」という。)及び意見書の提出 同年 6月30日 申立人による意見書の提出 同年 9月26日付け 取消理由通知書(決定の予告) 同年12月 1日 特許権者による訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)及び意見書の提出 なお、本件訂正請求書による訂正(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)については、すでに申立人に意見書の提出の機会が与えられている場合であって、訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、事件において提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論となると合議体が判断した場合であり、特許法第120条の5第5項ただし書に規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるとき」に該当するといえるから、申立人に意見書を提出する機会を与えないこととした。 第2 本件訂正請求について 1 請求の趣旨、及び訂正の内容 本件訂正請求に係る請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6、10について訂正することを求める、というものであり、本件訂正の内容は、以下のとおりである(訂正箇所には、当合議体が下線を付した。)。 なお、令和 7年 4月18日提出の訂正請求書による訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなされる。 (1)訂正事項1 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成される露光方法。」と記載されているのを、「前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成され、前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、前記露光することは、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することと、各蒸着マスクについて、前記第1端部と前記第2端部との少なくとも一方における幅が、前記中央部の幅とは異なるように、前記レジスト層を露光することと、を含む露光方法。」に訂正する。 (2)訂正事項2 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2に「前記第2端部を形成するための第4露光領域とから構成される露光方法。」と記載されているのを、「前記第2端部を形成するための第4露光領域とから構成され、前記蒸着マスクは、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む第1段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る第2段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、前記第1段差部と前記第2段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶとともに、前記第1長辺および前記第2長辺の一方が、前記段差方向において窪む第3段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、前記第1長辺および前記第2長辺の他方が、前記段差方向において突き出る第4段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、かつ、前記第3段差部と前記第4段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む露光方法。」に訂正する。 (3)訂正事項3 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含む露光方法。」と記載されているのを、「前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含み、前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、前記複数の単位露光領域は、前記第1端部を形成するための第1露光領域と、前記中央部を形成するための第2露光領域と、前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成され、前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、かつ、前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む露光方法。」に訂正する。 (4)訂正事項4 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5のいずれか一項に記載の露光方法によって前記レジスト層を露光すること、」と記載されているのを、「請求項1,2,4,5のいずれか一項に記載の露光方法によって前記レジスト層を露光すること、」に訂正する。 (5)訂正事項5 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6に「蒸着マスク用基材にレジスト層を形成すること、請求項1から5のいずれか一項に記載の露光方法によって前記レジスト層を露光すること、前記レジスト層を現像し、これによってレジストマスクを形成すること、および、前記レジストマスクを用いて前記蒸着マスク用基材をエッチングすること、を含む蒸着マスクの製造方法。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、独立形式に改め、「蒸着マスク用基材にレジスト層を形成すること、前記レジスト層を露光すること、前記レジスト層を現像し、これによってレジストマスクを形成すること、および、前記レジストマスクを用いて前記蒸着マスク用基材をエッチングすること、を含み、前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、前記露光することは、前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、前記露光することは、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含み、前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、前記中央部は、第1中央部と第2中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、前記複数の単位露光領域は、前記第1端部を形成するための第1露光領域と、前記第1中央部を形成するための第2露光領域と、前記第2中央部を形成するための第3露光領域と、前記第2端部を形成するための第4露光領域とから構成され、前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む蒸着マスクの製造方法。」として、新たに請求項10とする。 (6)一群の請求項について ア 本件訂正前の請求項6は、訂正前の請求項1を引用するものであって、訂正事項1に係る請求項1の訂正に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1、6は、一群の請求項である。 イ また、本件訂正前の請求項6は、訂正前の請求項2を引用するものであって、訂正事項2に係る請求項2の訂正に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項2、6は、一群の請求項である。 ウ さらに、本件訂正前の請求項4~6は、訂正前の請求項3を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項3に係る請求項3の訂正に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項3~6は、一群の請求項である。 エ そして、請求項6を共通の請求項とするこれら3つの「一群の請求項」は、組み合わされて1つの「一群の請求項」となるから、本件訂正前の請求項1~6は、一群の請求項である。 オ そうすると、本件訂正請求は、当該一群の請求項ごとに訂正を請求するものであるところ、本件訂正前の請求項1~6に対応する、訂正後の請求項1~6、10のうち、訂正後の請求項10については、当該請求項について訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めるものである。 なお、特許権者は、本件訂正請求書の第17頁において、「ウ 別の訂正単位とする求め」として、「訂正後の請求項1,2,3,10については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。」旨主張しているが、本件訂正によっても、訂正後の請求項1~6については、訂正後の請求項6を介した上記ア~ウの引用関係が維持されているから、請求項1~3についての訂正が認められる場合であっても、これを一群の請求項の他の請求項である請求項4~6と別途訂正することは認められない。 カ したがって、本件訂正請求は、訂正後の請求項〔1~6〕、10をそれぞれ訂正単位とする訂正を請求するものである。 2 訂正の適否についての当合議体の判断 (1)訂正の目的、特許請求の範囲の拡張、変更の存否、及び新規事項の有無について ア 訂正事項1について (ア)訂正の目的について 訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成される露光方法。」と記載されているのを、「前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成され、前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、前記露光することは、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することと、各蒸着マスクについて、前記第1端部と前記第2端部との少なくとも一方における幅が、前記中央部の幅とは異なるように、前記レジスト層を露光することと、を含む露光方法。」に訂正することによって、訂正前の請求項1における「レジスト層」が、第1マスク領域と第2マスク領域を含む複数の単位マスク領域を含むものであることを特定するものであるとともに、訂正前の請求項1における「露光すること」が、第1マスク領域の単位露光領域と、第2マスク領域の単位マスク領域とを同時に露光するものであること、および、各蒸着マスクについて、第1端部と第2端部との少なくとも一方における幅が、中央部の幅とは異なるように露光するものであることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の拡張、変更の存否について 訂正事項1に係る訂正は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 (ウ)新規事項の有無について 本願の願書に添付した明細書又は図面(以下「本件明細書等」という。)の【0155】には、レジスト層が単位マスク領域を複数含み、当該複数の単位マスク領域が第1マスク領域と第2マスク領域とを含むこと、及び露光することが第1マスク領域の単位露光領域と、第2マスク領域の単位露光領域とを同時に露光することを含んでもよいことが記載され、同じく【0139】には、図23及び図24を参照して、露光を経て製造された蒸着マスクの第1端部及び第2端部のマスク幅が、中央部におけるマスク幅よりも大きい又は小さいこと、すなわち、第1端部と第2端部の幅が中央部の幅とは異なることが記載されている。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 よって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 イ 訂正事項2について (ア)訂正の目的について 訂正事項2に係る訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2に「前記第2端部を形成するための第4露光領域とから構成される露光方法。」と記載されているのを、「前記第2端部を形成するための第4露光領域とから構成され、前記蒸着マスクは、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む第1段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る第2段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、前記第1段差部と前記第2段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶとともに、前記第1長辺および前記第2長辺の一方が、前記段差方向において窪む第3段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、前記第1長辺および前記第2長辺の他方が、前記段差方向において突き出る第4段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、かつ、前記第3段差部と前記第4段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む露光方法。」に訂正することにより、訂正前の請求項2における「蒸着マスク」が、「第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であ」るものであることを限定するとともに、訂正前の請求項2における「露光すること」が、「前記第1長辺が、前記段差方向において窪む第1段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る第2段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、前記第1段差部と前記第2段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶとともに、前記第1長辺および前記第2長辺の一方が、前記段差方向において窪む第3段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、前記第1長辺および前記第2長辺の他方が、前記段差方向において突き出る第4段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、かつ、前記第3段差部と前記第4段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光すること」であることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の拡張、変更の存否について 訂正事項2に係る訂正は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 (ウ)新規事項の有無について 本件明細書等の【0031】~【0042】及び図2~図5には、蒸着マスク10の第1長辺10L1が、第2長辺10L2に向かう段差方向において窪む第1段差部L1Sを第1中央部10C1と第2中央部10C2との境界に有し、上記第2長辺10L2が、上記段差方向において突き出る第2段差部L2Sを上記第1中央部10C1と上記第2中央部10C2との境界に有し、上記第1段差部L1Sと上記第2段差部L2Sとが短辺10Sの延びる方向において並ぶことが記載され、また、上記第1長辺10L1及び上記第2長辺10L2の一方が、上記段差方向において窪む第3段差部を上記第1端部10E1と上記第1中央部10C1との境界に有し、上記第1長辺10L1及び上記第2長辺10L2の他方が、上記段差方向において突き出る第4段差部を上記第1端部10E1と上記第1中央部10C1との境界に有し、上記第3段差部と上記第4段差部とが短辺10Sの延びる方向において並ぶことが記載されている。 そうすると、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 訂正事項3について (ア)訂正の目的について 訂正事項3に係る訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含む露光方法。」と記載されているのを、「前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含み、前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、前記複数の単位露光領域は、前記第1端部を形成するための第1露光領域と、前記中央部を形成するための第2露光領域と、前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成され、前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、かつ、前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む露光方法。」に訂正することにより、訂正前の請求項3における「蒸着マスク」が、「第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さ」ないものであることを限定するとともに、訂正前の請求項3における「複数の単位露光領域」が、「前記第1端部を形成するための第1露光領域と、前記中央部を形成するための第2露光領域と、前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成され、前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であ」るものであることを限定し、さらに、訂正前の請求項3における「露光すること」が、「前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、かつ、前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光すること」であることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の拡張、変更の存否について 訂正事項3に係る訂正は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 (ウ)新規事項の有無について a 本件明細書等の【0026】、【0027】及び【0134】には、蒸着マスク10が第1端部10E1と、第2端部10E2と、第1方向D1において上記第1端部10E1と上記第2端部10E2に挟まれている中央部10Cとから構成され、上記中央部10Cは蒸着パターンを形成するためのマスク孔10Hを複数有しているのに対して、上記第1端部10E1及び上記第2端部10E2は、マスク孔10Hを有していないことが記載されている。 b また、本件明細書等の【0105】及び【0146】には、各単位マスク領域MAが搬送方向に沿って並ぶ第1露光領域、第2露光領域及び第3露光領域から構成されることが記載されている。 c さらに、本件明細書等の【0031】~【0042】及び図2~図5には、蒸着マスク10の第1長辺10L1及び第2長辺10L2の一方が、段差方向において窪む段差部を第1端部10E1と第1中央部10C1との境界に有し、上記第1長辺10L1及び上記第2長辺10L2の他方が、上記段差方向において突き出る段差部を上記第1端部10E1と上記第1中央部10C1との境界に有し、上記第1長辺の段差部と上記第2長辺の段差部とが、短辺10Sの延びる方向において並ぶことが記載されている。 d 上記a~cに摘記した本件明細書等の記載を考慮すれば、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 e したがって、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 エ 訂正事項4について (ア)訂正の目的について 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項6が請求項1から5の記載を引用するものであったところ、下記訂正事項5において請求項3を引用するものについて独立形式に改めることによって、請求項3を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項4に係る訂正は、多数項を引用している訂正前の請求項6の引用請求項数を削減するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の拡張、変更の存否について 訂正事項4に係る訂正は、上記(ア)のとおり、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」と「特許請求の範囲の減縮」とを目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 (ウ)新規事項の有無について 訂正事項4に係る訂正は、請求項間の引用関係を解消することと、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減することとを目的とするものであるから、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 オ 訂正事項5について (ア)訂正の目的について 訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項6が請求項1から5の記載を引用するものであったところ、そのうち請求項3を引用するものについて、独立形式に改めるとともに、さらに特定事項を加えて、「蒸着マスク用基材にレジスト層を形成すること、前記レジスト層を露光すること、前記レジスト層を現像し、これによってレジストマスクを形成すること、および、前記レジストマスクを用いて前記蒸着マスク用基材をエッチングすること、を含み、前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、前記露光することは、前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、前記露光することは、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含み、前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、前記中央部は、第1中央部と第2中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、前記複数の単位露光領域は、前記第1端部を形成するための第1露光領域と、前記第1中央部を形成するための第2露光領域と、前記第2中央部を形成するための第3露光領域と、前記第2端部を形成するための第4露光領域とから構成され、前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む蒸着マスクの製造方法。」として新たに請求項10とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び同第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の拡張、変更の存否について 訂正事項5に係る訂正は、上記(ア)のとおり、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」と「特許請求の範囲の減縮」とを目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 (ウ)新規事項の有無について a 本件明細書等の【0025】~【0027】には、蒸着マスク10が第1端部10E1と、第2端部10E2と、第1方向D1において上記第1端部10E1と上記第2端部10E2に挟まれている中央部10Cとから構成され、上記中央部10Cは、第1中央部10C1と第2中央部10C2とから構成され、蒸着パターンを形成するためのマスク孔10Hを複数有しているのに対して、上記第1端部10E1及び上記第2端部10E2は、マスク孔10Hを有していないことが記載されている。 b また、本件明細書等の【0105】には、各単位マスク領域MAが搬送方向に沿って並ぶ第1露光領域、第2露光領域、第3露光領域及び第4露光領域から構成されることが記載されている。 c さらに、本件明細書等の【0037】~【0042】及び図4、図5には、蒸着マスク10の第1長辺10L1及び第2長辺10L2の一方が、段差方向において窪む段差部を第1中央部10C1と第2中央部10C2との境界に有し、上記第1長辺10L1及び上記第2長辺10L2の他方が、上記段差方向において突き出る段差部を上記第1中央部10C1と上記第2中央部10C2との境界に有し、上記第1長辺の段差部と上記第2長辺の段差部とが、短辺10Sの延びる方向において並ぶことが記載されている。 d ここで、訂正事項5に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとする訂正事項を含むものであるところ、それによって新たな技術的事項を導入するものとはいえないことは、明らかである。 e また、上記a~cに摘記した本件明細書等の記載を考慮すれば、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 f したがって、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2)独立特許要件について 本件は、訂正前の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1~5について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3 本件訂正請求についてのむすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、10について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2の3のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~10に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、以下において、本件特許の請求項1~10に係る発明をそれぞれ「本件発明1」~「本件発明10」といい、総称して、「本件発明」という。また、本願の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。 「【請求項1】 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記露光することは、 前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、 前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成され、 前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、 複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、 前記露光することは、 前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することと、 各蒸着マスクについて、前記第1端部と前記第2端部との少なくとも一方における幅が、前記中央部の幅とは異なるように、前記レジスト層を露光することと、を含む 露光方法。 【請求項2】 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記露光することは、 前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、 前記中央部は、第1中央部と第2中央部とから構成され、 各中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記第1中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2中央部を形成するための第3露光領域と、 前記第2端部を形成するための第4露光領域とから構成され、 前記蒸着マスクは、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、 前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、 前記露光することは、 前記第1長辺が、前記段差方向において窪む第1段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、 前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る第2段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、 前記第1段差部と前記第2段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶとともに、 前記第1長辺および前記第2長辺の一方が、前記段差方向において窪む第3段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、 前記第1長辺および前記第2長辺の他方が、前記段差方向において突き出る第4段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、かつ、 前記第3段差部と前記第4段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む 露光方法。 【請求項3】 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、 前記複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、 前記露光することは、 前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、 前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成され、 前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、 前記露光することは、 前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、 前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、かつ、 前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む 露光方法。 【請求項4】 前記露光することは、 前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光することを含む 請求項3に記載の露光方法。 【請求項5】 前記単位マスク領域は、1枚の長手方向に延びる帯状を有した前記蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域であり、 前記単位マスク領域が含む前記複数の単位露光領域は、前記長手方向に並び、 前記複数の単位露光領域は、1つの前記単位露光領域である当該単位露光領域とは異なる構造を有した他の前記単位露光領域を備える 請求項4に記載の露光方法。 【請求項6】 蒸着マスク用基材にレジスト層を形成すること、 請求項1,2,4,5のいずれか一項に記載の露光方法によって前記レジスト層を露光すること、 前記レジスト層を現像し、これによってレジストマスクを形成すること、および、 前記レジストマスクを用いて前記蒸着マスク用基材をエッチングすること、を含む 蒸着マスクの製造方法。 【請求項7】 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光するための露光装置であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記露光装置は、 単位露光領域ごとに露光する露光部と、 前記複数の単位露光領域のなかで、露光済の単位露光領域を検知することが可能に構成された検知部と、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を前記露光部に露光させた後に、前記検知部の検知した結果に基づいて、前記レジスト層のうち、前記第1の単位露光領域とは異なる第2の単位露光領域を前記露光部に露光させる制御部と、を備え、 前記制御部は、前記露光部に前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光させ、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、 前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成される 露光装置。 【請求項8】 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光するための露光装置であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記露光装置は、 単位露光領域ごとに露光する露光部と、 前記複数の単位露光領域のなかで、露光済の単位露光領域を検知することが可能に構成された検知部と、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を前記露光部に露光させた後に、前記検知部の検知した結果に基づいて、前記レジスト層のうち、前記第1の単位露光領域とは異なる第2の単位露光領域を前記露光部に露光させる制御部と、を備え、 前記制御部は、前記露光部に前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光させ、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、 前記中央部は、第1中央部と第2中央部とから構成され、 各中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記第1中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2中央部を形成するための第3露光領域と、 前記第2端部を形成するための第4露光領域とから構成される 露光装置。 【請求項9】 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光するための露光装置であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記露光装置は、 単位露光領域ごとに露光する露光部と、 前記複数の単位露光領域のなかで、露光済の単位露光領域を検知することが可能に構成された検知部と、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を前記露光部に露光させた後に、前記検知部の検知した結果に基づいて、前記レジスト層のうち、前記第1の単位露光領域とは異なる第2の単位露光領域を前記露光部に露光させる制御部と、を備え、 前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、 複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、 前記制御部は、前記露光部に、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光させる 露光装置。 【請求項10】 蒸着マスク用基材にレジスト層を形成すること、 前記レジスト層を露光すること、 前記レジスト層を現像し、これによってレジストマスクを形成すること、および、 前記レジストマスクを用いて前記蒸着マスク用基材をエッチングすること、を含み、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、 複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、 前記露光することは、 前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、前記中央部は、第1中央部と第2中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、 前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記第1中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2中央部を形成するための第3露光領域と、 前記第2端部を形成するための第4露光領域とから構成され、 前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、 前記露光することは、 前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、 前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、 前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む 蒸着マスクの製造方法。」 第4 申立理由の概要 申立人は、証拠方法として甲第1号証~甲第7号証(以下「甲1」~「甲7」という。下記4参照。)を提出し、以下の理由により、本件特許の本件訂正前の請求項1~9に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 1 申立理由1(新規性:取消理由として一部採用) 本件訂正前の請求項1~6に係る発明は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 申立理由2(進歩性:取消理由として一部採用) 本件訂正前の請求項1~9に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて、又は、甲1に記載された発明及び甲4~甲7に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 申立理由3(拡大先願:取消理由として一部採用) 本件訂正前の請求項1、3~6に係る発明は、本願の優先権主張の日前の特許出願であって、特許法第41条第3項の規定によって本願の優先権主張の日後に出願公開(甲3)がされたものとみなされる甲2に係る特許出願(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本願の発明者が上記先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 4 証拠方法 甲1:韓国登録特許第10-2289722号公報及びその翻訳文 甲2:特願2021-102768号の願書、及び願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面 甲3:特開2023-1889号公報 甲4:特開2013-125079号公報 甲5:特開2019-45874号公報 甲6:特開2019-105675号公報 甲7:特開2007-316537号公報 5 なお、申立人は、令和 7年 6月30日提出の意見書に添付して、以下の甲第8号証~甲第10号証(以下「甲8」~「甲10」という。)を提出した。 甲8:特開2009-41054号公報 甲9:特開2004-218034号公報 甲10:特開2020-152939号公報 第5 令和 7年 2月14日付けで通知した取消理由の概要 当合議体は、上記第4の申立理由1~申立理由3それぞれの一部を採用し、令和 7年 2月14日付け取消理由通知書により、以下の取消理由を通知した。 1 取消理由1(新規性) 本件訂正前の請求項1、3~6に係る発明は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 取消理由2(進歩性) 本件訂正前の請求項1~6に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 取消理由3(拡大先願) 本件訂正前の請求項1、6に係る発明は、先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本願の発明者が上記先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものであるから、同請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 第6 令和 7年 9月26日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要 当合議体は、先の訂正請求書による訂正によって、上記取消理由1及び上記取消理由3は解消したと判断したものの、上記取消理由2は依然として解消しないと判断し、令和 7年 9月26日付け取消理由通知書(決定の予告)により以下の取消理由を通知した。 1 取消理由2(進歩性) 先の訂正請求書によって訂正された請求項2に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、同じく先の訂正請求書によって訂正された請求項3~6に係る発明は、甲1に記載された発明、及び甲10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、いずれも特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 第7 当合議体の判断 以下に述べるとおり、当合議体は、上記第4の申立理由、上記第5の取消理由、及び上記第6の取消理由(決定の予告)のいずれによっても、本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すことはできないと判断する。 1 取消理由1、2並びに申立理由1、2について (1)甲1に記載された発明 本願の優先日前に公知となった甲1には、その[0046]~[0052]、[0062]及び図1の記載に着目すると、以下の発明が記載されていると認められる。なお、以下は申立人が提出した甲1の翻訳文の記載に基づくものである。 「第8世代(3G)マスクに適した有効部(120)の長さを有する横長略矩形状の微細金属マスク(100)を作製するために金属板材(190)をマスクの長手方向と同じ方向に移動させながら露光する過程を備えた微細金属マスク(100)の作製方法において、 前記微細金属マスク(100)は前記有効部(120)と前記有効部(120)の両側に一体に構成されたグリップ部(110)で構成され、ディスプレイのOLED画素蒸着用加工孔は前記有効部(120)に形成され、 前記金属板材(190)上に空孔形成の基礎となるパターンを形成するために、まずフォトレジストを前記金属板材(190)上に塗布し、塗布されたフォトレジストの選択的な露光および現像のためにフォトマスクをフォトレジスト上に積層した後、露光を行い、 前記露光は、前記有効部(120)と前記グリップ部(110)を基本単位にして、複数の相互に隣接する加工対象微細金属マスク(100)に対して連続露光又は連続的露光を施すものであり、 まず、一番左側のグリップ部(110)を形成するために当該部分の前記金属板材(190)を露光し、以後には隣接する前記有効部(120)を露光し、その後順次に右側のグリップ部(110)を露光するか、または、前記右側のグリップ部(110)と、前記隣接する加工対象微細金属マスク(100)の左側のグリップ部(110)とを同時に露光するかして、この後に、前記隣接する加工対象微細金属マスク(100)の有効部(120)と右側のグリップ部(11)を順次露光し、 その後に、現像、エッチング及び剥離過程を順次実行する、 微細金属マスク(100)の作製方法。」(以下「甲1発明」という。) 「甲1発明に係る微細金属マスク(100)の作製方法を実行するための露光機。」(以下「甲1装置発明」という。) (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「ディスプレイのOLED画素蒸着用加工孔」が形成される「有効部(120)と前記有効部(120)の両側に一体に構成されたグリップ部(110)で構成され」る「微細金属マスク(100)を作製するため」の「金属板材(190)」は、本件発明1の「蒸着マスク用基材」に相当する。 (イ)上記(ア)の検討を踏まえると、甲1発明の「金属板材(190)上に」「塗布されたフォトレジスト」は、本件発明1の「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層」に相当する。 (ウ)上記(ア)、(イ)の検討を踏まえると、甲1発明において、「フォトレジストを前記金属板材(190)上に塗布し、塗布されたフォトレジストの選択的な露光および現像のためにフォトマスクをフォトレジスト上に積層した後、露光を行」うことは、本件発明1の「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法」に相当する。 (エ)甲1発明の「金属板材(190)上に塗布」される「フォトレジスト」のうち、「有効部(120)と前記有効部(120)の両側に一体に構成されたグリップ部(110)で構成され」る「加工対象微細金属マスク(100)」に対応する領域は、加工対象の「微細金属マスク(100)」を作製するために「エッチング」される領域であるから、本件発明1の「前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いる領域」である「単位マスク領域」に相当する。 (オ)甲1発明において、露光の「基本単位」となっている「有効部(120)」又は「グリップ部(110)」は、本件発明1の「単位マスク領域」に「複数」含まれる「単位露光領域」に相当する。 (カ)甲1発明の「前記微細金属マスク(100)は前記有効部(120)と前記有効部(120)の両側に一体に構成されたグリップ部(110)で構成され、ディスプレイのOLED画素蒸着用加工孔は前記有効部(120)に形成され」ることは、その「前記有効部(120)の両側に一体に構成されたグリップ部(110)」すなわち二つの「グリップ部(110)」がそれぞれ本件発明1の「第1端部」及び「第2端部」に相当し、「有効部(120)」が、本件発明1の「前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部」に相当するものであることを踏まえると、本件発明1の「前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、」「中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さ」ないことに相当する。 (キ)甲1発明の「一番左側のグリップ部(110)」、「隣接する前記有効部(120)」及び「右グリップ部(110)」で構成される領域と、「隣接する加工対象微細金属マスク(100)」に対応する領域とは、それぞれ、本件発明1の「レジスト層」に複数含まれる「単位マスク領域」である「第1マスク領域」及び「第2マスク領域」に相当する。 (ク)上記(カ)、(キ)の検討を踏まえると、甲1発明において、「同時に露光」される「右グリップ部(110)」と、「隣接する加工対象微細金属マスク(110)の左グリップ部(110)」とは、それぞれ、本件発明1の「同時に露光」される「前記第1マスク領域の前記単位露光領域」及び「前記第2マスク領域の前記単位露光領域」に相当する。 (ケ)上記(カ)~(ク)の検討を踏まえると、甲1発明の「前記露光は、前記有効部(120)と前記グリップ部(110)を基本単位にして連続露光又は連続的露光を施すものであり、まず、一番左側のグリップ部(110)を形成するために当該部分の前記金属板材(190)を露光し、以後には隣接する前記有効部(120)を露光し、その後順次に」「右グリップ部(110)と隣接する加工対象微細金属マスク(100)の左グリップ部(110)を同時に露光し、この後に、再び有効部(120)と右グリップ部を順次露光」することは、本件発明1の「前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み」、「前記露光することは、前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み」、「前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、前記露光することは、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光すること」に相当する。 (コ)上記(キ)の検討を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、「前記複数の単位露光領域は、」「前記第1端部を形成するための」「第1露光領域」と、中央部を形成するための「第2露光領域」と、「前記第2端部を形成するための」「第3露光領域とから構成され」るものである点で共通する。 (サ)そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記露光することは、 前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、 中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成され、 前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、 複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、 前記露光することは、 前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することと、を含む 露光方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点1> 本件発明1は、「各蒸着マスクについて、前記第1端部と前記第2端部との少なくとも一方における幅が、前記中央部の幅とは異なるように、前記レジスト層を露光すること」を含むものであるのに対して、甲1発明は、「グリップ部(110)」の幅と、「有効部(120)」の幅とが異なるように、フォトレジストを露光することを含むものか否かが不明である点。 イ 相違点についての判断 上記相違点1について、以下検討する。 (ア)本件明細書等の【0025】、【0140】、【0143】及び図1、図23、図24の記載によれば、本件発明1の「第1端部」、「第2端部」及び「中央部」の「幅」とは、蒸着マスクの長辺が延在する第1方向D1に直交している第2方向D2に沿う「マスク幅W」に対応するものと解される。 (イ)そうすると、甲1発明における「一番左側のグリップ部(110)」、「隣接する前記有効部(120)及び「右側のグリップ部(110)」が配置される左右方向に直交する方向に沿った各部の幅が、本件発明1の「第1端部」、「中央部」及び「第2端部」の「幅」に相当するものであるといえる。 (ウ)しかしながら、甲1発明においては、「一番左側のグリップ部(110)」、「隣接する前記有効部(120)及び「右側のグリップ部(110)」が配置される左右方向に直交する方向に沿った各部の幅については、何ら特定されておらず、上記「グリップ部(110)」の少なくとも一方と上記「有効部(120)」の幅が異なるか否かは不明と言わざるを得ない。この点は、甲1発明の認定の根拠となった甲1の[0046]~[0052]、[0062]及び図1の記載を参照しても同様である。 (エ)したがって、上記相違点1は、実質的な相違点である。 (オ)次に、上記相違点1の容易想到性について検討する。 a 甲1の記載を参照しても、甲1発明において、「一番左側のグリップ部(110)」及び「右側のグリップ部(110)」の少なくとも一方の幅を、「隣接する前記有効部(120)」の幅とは異なるようにすることを動機付けるような記載は見当たらない。 b また、甲4~甲7、及び甲10の記載を参照しても、同様に、甲1発明において、「一番左側のグリップ部(110)」及び「右側のグリップ部(110)」の少なくとも一方の幅を、「隣接する前記有効部(120)」の幅とは異なるようにすることを動機付けるような記載は見当たらない。 c したがって、甲1発明において、上記相違点1に係る特定事項を備えようとすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 小括 よって、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 また、本件発明1によって奏される効果について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び甲4~甲7、甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明2について ア 対比 本件発明2と甲1発明とを対比する。 (ア)上記(2)ア(ア)~(カ)、(ケ)、(コ)において本件発明1と甲1発明とを対比したのと同様の検討により、本件発明2と甲1発明とは、「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、前記露光することは、前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、前記露光することは、前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光することを含み、前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され」、「中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず」、「前記複数の単位露光領域は、前記第1端部を形成するための」露光領域「と、前記第中央部を形成するための」露光領域「と、「前記第2端部を形成するための」露光領域「とから構成される、露光方法。」である点で共通する。 (イ)甲1発明における「横長略矩形状の微細金属マスク(100)」は、本件発明2の「第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺に接続する一対の短辺と、を備え」る「蒸着マスク」に相当する。 (ウ)そうすると、本件発明2と甲1発明とは、 「 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記露光することは、 前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、 中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための露光領域と、 前記第中央部を形成するための露光領域と、 前記第2端部を形成するための露光領域とから構成され、 前記蒸着マスクは、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺に接続する一対の短辺と、を備える、 露光方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点2> 本件発明2は、「中央部」が「第1中央部と第2中央部とから構成され」、「複数の単位露光領域」を構成する単位露光領域が「第1中央部を形成するための第2露光領域」と「第2中央部を形成するための第3露光領域」とを含むのに対して、甲1発明は、その「有効部(120)」が別々に露光される2つの領域を含むものではない点。 <相違点3> 本件発明2は、「前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む第1段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る第2段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、前記第1段差部と前記第2段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶとともに、前記第1長辺および前記第2長辺の一方が、前記段差方向において窪む第3段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、前記第1長辺および前記第2長辺の他方が、前記段差方向において突き出る第4段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、かつ、前記第3段差部と前記第4段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む」ものであるのに対して、甲1発明は、「微細金属マスク(100)」の左右方向に沿った長辺における「有効部(120)」と「グリップ部(110)」との境界及び「有効部(120)」内の領域に、左右方向と直交する方向に沿った段差部を形成するように露光するものではない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑み、まず、上記相違点3について検討する。 (ア)上記相違点3が実質的な相違点であることは、明らかである。 (イ)そこで、次に、上記相違点3の容易想到性について検討する。 a 甲1の記載を参照しても、甲1発明において、「微細金属マスク(100)」の左右方向に沿った長辺における「有効部(120)」と「グリップ部(110)」との境界及び「有効部(120)」内の領域に、左右方向と直交する方向に沿った段差部を形成するように露光することを動機付けるような記載は見当たらない。 b また、甲4~甲7、及び甲10の記載を参照しても、同様に、甲1発明において、「微細金属マスク(100)」の左右方向に沿った長辺における「有効部(120)」と「グリップ部(110)」との境界及び「有効部(120)」内の領域に、左右方向と直交する方向に沿った段差部を形成するように露光することを動機付けるような記載は見当たらない。 c したがって、甲1発明において、上記相違点3に係る特定事項を備えようとすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 小括 よって、上記相違点2について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 また、上記相違点2、及び本件発明2によって奏される効果について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び甲4~甲7、甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本件発明3について ア 対比 本件発明3と甲1発明とを対比する。 (ア)上記(2)ア(ア)~(コ)において本件発明1と甲1発明とを対比したのと同様の検討により、本件発明3と甲1発明とは、「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、前記露光することは、前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、前記露光することは、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することと、を含み」、「前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され」、「中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、前記複数の単位露光領域は、前記第1端部を形成するための第1露光領域と、前記中央部を形成するための第2露光領域と、前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成され」る、「露光方法。」である点で共通する。 (イ)甲1発明における「横長略矩形状の微細金属マスク(100)」は、本件発明3の「第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺に接続する一対の短辺と、を備え」る「蒸着マスク」に相当する。 (ウ)そうすると、本件発明3と甲1発明とは、 「 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、 前記複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、 前記露光することは、 前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、 前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成される、 露光方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点4> 本件発明3は、「前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、かつ、前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む」ものであるのに対して、甲1発明は、「微細金属マスク(100)」の左右方向に沿った長辺における「有効部(120)」と「グリップ部(110)」との境界の領域に、左右方向と直交する方向に沿った段差部を形成するように露光するものではない点。 イ 相違点についての判断 上記相違点4について検討する。 (ア)上記相違点4が実質的な相違点であることは、明らかである。 (イ)そこで、次に、上記相違点4の容易想到性について検討する。 a 甲1の記載を参照しても、甲1発明において、「微細金属マスク(100)」の左右方向に沿った長辺における「有効部(120)」と「グリップ部(110)」との境界の領域に、左右方向と直交する方向に沿った段差部を形成するように露光することを動機付けるような記載は見当たらない。 b また、甲4~甲7、及び甲10の記載を参照しても、同様に、甲1発明において、「微細金属マスク(100)」の左右方向に沿った長辺における「有効部(120)」と「グリップ部(110)」との境界の領域に、左右方向と直交する方向に沿った段差部を形成するように露光することを動機付けるような記載は見当たらない。 c したがって、甲1発明において、上記相違点4に係る特定事項を備えようとすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 小括 よって、本件発明3は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 また、本件発明3によって奏される効果について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び甲4~甲7、甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (6)本件発明4~6について 本件特許の請求項4~6は、請求項1~3の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、本件発明4~6は、本件発明1~3の少なくともいずれかの発明特定事項を全て備えたものであるところ、上記(3)~(5)において検討したとおり、本件発明1~3が、甲1に記載された発明であるとはいえず、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び甲4~甲7、甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない以上、本件発明4~6についても、同様に、甲1に記載された発明であるとはいえず、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び甲4~甲7、甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 (7)本件発明7~9について ア 本件発明7と甲1装置発明との対比 本件発明7と甲1装置発明とを対比する。 (ア)上記(2)ア(ア)~(ウ)の検討を踏まえると、甲1装置発明の「露光機」は、本件発明7の「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光するための露光装置」に相当する。 (イ)甲1装置発明には、甲1発明に係る露光方法を実行するための露光部と、それを制御するための制御部とが、当然に備わっているものと認められる。 (ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえ、上記(2)ア(エ)~(カ)、(ケ)、(コ)において本件発明1と甲1発明とを対比したのと同様に検討すると、本件発明7と甲1装置発明とは、「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光するための露光装置であって、レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が単位マスク領域であり、前記単位マスク領域は複数の単位露光領域を含み、前記露光装置は、単位露光領域ごとに露光する露光部と」、「前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を前記露光部に露光させた後に」、「前記レジスト層のうち、前記第1の単位露光領域とは異なる第2の単位露光領域を前記露光部に露光させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記露光部に前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光させ、前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、前記複数の単位露光領域は、前記第1端部を形成するための第1露光領域と、前記中央部を形成するための第2露光領域と、前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成される露光装置。」である点で共通する。 (エ)そうすると、本件発明7と甲1装置発明とは、 「 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光するための露光装置であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記露光装置は、 単位露光領域ごとに露光する露光部と、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を前記露光部に露光させた後に、前記レジスト層のうち、前記第1の単位露光領域とは異なる第2の単位露光領域を前記露光部に露光させる制御部と、を備え、 前記制御部は、前記露光部に前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光させ、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、 前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成される 露光装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点5> 本件発明7は、「前記複数の単位露光領域のなかで、露光済の単位露光領域を検知することが可能に構成された検知部」を備えるとともに、「制御部」が「前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を前記露光部に露光させた後に、前記検知部の検知した結果に基づいて、前記レジスト層のうち、前記第1の単位露光領域とは異なる第2の単位露光領域を前記露光部に露光させる」のに対して、甲1装置発明は、露光済の「有効部(120)」又は「グリップ部(110)」(本件発明7の「単位露光領域」に相当)を検知することが可能に構成された検知部を備えておらず、そのような検知部が検知した結果に基づいて露光部に露光させるような制御部も備えていない点。 イ 相違点についての判断 上記相違点5について検討する。 (ア)上記相違点5が実質的な相違点であることは、明らかである。 (イ)そこで、次に、上記相違点5の容易想到性について検討する。 a 甲1の記載を参照しても、甲1装置発明において、「前記複数の単位露光領域のなかで、露光済の単位露光領域を検知することが可能に構成された検知部」を備えるとともに、「制御部」が「前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を前記露光部に露光させた後に、前記検知部の検知した結果に基づいて、前記レジスト層のうち、前記第1の単位露光領域とは異なる第2の単位露光領域を前記露光部に露光させる」ことを動機付けるような記載は見当たらない。 b また、甲4~甲7、及び甲10の記載を参照しても、同様に、甲1装置発明において、「前記複数の単位露光領域のなかで、露光済の単位露光領域を検知することが可能に構成された検知部」を備えるとともに、「制御部」が「前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を前記露光部に露光させた後に、前記検知部の検知した結果に基づいて、前記レジスト層のうち、前記第1の単位露光領域とは異なる第2の単位露光領域を前記露光部に露光させる」ことを動機付けるような記載は見当たらない。 c したがって、甲1装置発明において、上記相違点5に係る特定事項を備えようとすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 小括 よって、本件発明7は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 また、本件発明7によって奏される効果について検討するまでもなく、本件発明7は、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び甲4~甲7、甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 本件発明8、9について (ア)本件発明8、9と甲1装置発明とを対比すると、上記アにおいて検討したのと同様であるから、両者は、少なくとも上記相違点5と同様の点で相違する。 (イ)そして、上記相違点5が実質的な相違点であること、また、甲1装置発明において、上記相違点5に係る特定事項を備えようとすることが、当業者が容易に想到し得たこととはいえないことは、上記イにおいて検討したとおりである。 (ウ)小括 よって、本件発明8,9は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 また、本件発明8、9によって奏される効果について検討するまでもなく、本件発明8、9は、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び甲4~甲7、甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (8)本件発明10について ア 対比 本件発明10と甲1発明とを対比する。 (ア)上記(2)ア(ア)の検討を踏まえると、甲1発明の「微細金属マスク(100)の作製方法」は、本件発明10の「蒸着マスクの製造方法」に相当する。 (イ)上記(2)ア(ア)~(ウ)の検討を踏まえると、甲1発明において、「フォトレジストを前記金属板材(190)上に塗布し、塗布されたフォトレジストの選択的な露光および現像のためにフォトマスクをフォトレジスト上に積層した後、露光を行」い、「その後に、現像、エッチング及び剥離過程を順次実行する」ことは、本件発明10の「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を形成すること、前記レジスト層を露光すること、前記レジスト層を現像し、これによってレジストマスクを形成すること、および、前記レジストマスクを用いて前記蒸着マスク用基材をエッチングすること、を含む」ことに相当する。 (ウ)上記(ア)を踏まえ、さらに上記(2)ア(ア)~(コ)において本件発明1と甲1発明とを対比したのと同様の検討によれば、本件発明10と甲1発明とは、「前記レジスト層を露光すること」は、「前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、前記露光することは、前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、前記露光することは、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含み」、「前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され」、「中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、前記複数の単位露光領域は、前記第1端部を形成するための」「露光領域」と、「前記中央部を形成するための」「露光領域」と、「前記第2端部を形成するための」「露光領域とから構成され」る、「蒸着マスクの製造方法。」である点で共通する。 (エ)甲1発明における「横長略矩形状の微細金属マスク(100)」は、本件発明10の「第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺に接続する一対の短辺と、を備え」る「蒸着マスク」に相当する。 (オ)そうすると、本件発明10と甲1発明とは、 「 蒸着マスク用基材にレジスト層を形成すること、 前記レジスト層を露光すること、 前記レジスト層を現像し、これによってレジストマスクを形成すること、および、 前記レジストマスクを用いて前記蒸着マスク用基材をエッチングすること、を含み、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、 複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、 前記露光することは、 前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、 前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための露光領域と、 前記中央部を形成するための露光領域と、 前記第2端部を形成するための露光領域とから構成され、 前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、 蒸着マスクの製造方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点6> 本件発明10は、「中央部」が「第1中央部と第2中央部とから構成され」、「複数の単位露光領域」を構成する単位露光領域が「第1中央部を形成するための第2露光領域」と「第2中央部を形成するための第3露光領域」とを含むのに対して、甲1発明は、その「有効部(120)」が別々に露光される2つの領域を含むものではない点。 <相違点7> 本件発明10は、「前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む」ものであるのに対して、甲1発明は、「微細金属マスク(100)」の左右方向に沿った長辺における「有効部(120)」内の領域に、左右方向と直交する方向に沿った段差部を形成するように露光するものではない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑み、まず、上記相違点7について検討する。 (ア)上記相違点7が実質的な相違点であることは、明らかである。 (イ)そこで、次に、上記相違点7の容易想到性について検討する。 a 甲1の記載を参照しても、甲1発明において、「微細金属マスク(100)」の左右方向に沿った長辺における「有効部(120)」内の領域に、左右方向と直交する方向に沿った段差部を形成するように露光することを動機付けるような記載は見当たらない。 b また、甲4~甲7、及び甲10の記載を参照しても、同様に、甲1発明において、「微細金属マスク(100)」の左右方向に沿った長辺における「有効部(120)」内の領域に、左右方向と直交する方向に沿った段差部を形成するように露光することを動機付けるような記載は見当たらない。 c したがって、甲1発明において、上記相違点7に係る特定事項を備えようとすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 小括 よって、上記相違点6について検討するまでもなく、本件発明10は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 また、上記相違点6、及び本件発明10によって奏される効果について検討するまでもなく、本件発明10は、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び甲4~甲7、甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (9)取消理由1、2並びに申立理由1、2についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件発明1~10は、特許法第29条第1項3号に該当するものであるとはいえず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、取消理由1、2並びに申立理由1、2によっては、本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。 2 取消理由3及び申立理由3について (1)先願発明 本願の優先日前の先の特許出願(特願2021-102768号。以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(甲2)と、当該先の特許出願を基礎とした後の特許出願(特願2022-94348号)であって、本願の優先日後に出願公開がされた、上記後の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(甲3)の双方に記載された事項を総合勘案し、特に、【請求項1】、【請求項2】、【0003】、【0018】、【0019】、【0070】、【0078】、【0081】、【0082】、【0086】、【0145】~【0171】、【0252】、【0253】、図5、図9A~図12B(いずれも甲2における記載箇所を表す。)に記載された「マスクの製造方法」に着目すると、甲2及び甲3には、以下の発明が記載されていると認められる。 「マスクの製造方法であって、 前記マスクは、第1方向において対向する第1端部及び第2端部と、前記第1端部と第2端部との間に位置し、蒸着材料が通る貫通孔群を含む中間部と、を備え、横長略矩形状であり、 前記製造方法は、 オリジナル基材の表面にレジスト層を設けるステップと、 オリジナル基材に前記中間部の外縁及び前記貫通孔群を形成する中間部形成ステップと、 前記オリジナル基材に前記第1端部の外縁を形成する第1端部形成ステップと、 前記オリジナル基材に前記第2端部の外縁を形成する第2端部形成ステップと、を備え、 前記中間部形成ステップは、第1露光マスクを用いて前記オリジナル基材上の前記中間部に対応する領域に位置するレジスト層を露光するプロセスと、露光及び現像された前記レジスト層を介して前記オリジナル基材をエッチングするプロセスと、を含み、 前記第1端部形成ステップは、 第2露光マスクを用いて前記オリジナル基材上の前記第1端部に対応する領域に位置するレジスト層を露光するプロセスと、露光及び現像された前記レジスト層を介して前記オリジナル基材をエッチングするプロセスと、を含み、 前記第2端部形成ステップは、 第3露光マスクを用いて前記オリジナル基材の前記第2端部に対応する領域に位置するレジスト層を露光するプロセスと、露光及び現像された前記レジスト層を介して前記オリジナル基材をエッチングするプロセスと、を含み、 前記中間部形成ステップにおける第1露光マスクを用いた露光プロセスと、前記第1端部形成ステップにおける第2露光マスクを用いた露光プロセス及び前記第2端部形成ステップにおける第3露光マスクを用いた露光プロセスとは、異なるタイミングで実施される、 マスクの製造方法。」(以下「先願発明」という。) (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と先願発明とを対比する。 (ア)先願発明の「蒸着材料が通る貫通孔群を含む中間部」を備えた「マスク」及び「オリジナル基材」は、本件発明1の「蒸着マスク」及び「蒸着マスク用基材」に相当する。 (イ)先願発明の「中間部形成ステップ」、「第1端部形成ステップ」及び「第2端部形成ステップ」において、オリジナル基材上のレジスト層を露光するプロセスを含む方法は、本件発明1の「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法」に相当する。 (ウ)先願発明の「レジスト層」において、「マスク」が備える「中間部」、「第1端部」及び「第2端部」に対応する領域の全体は、本件発明1の「前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域」である「単位マスク領域」に相当する。 (エ)先願発明の「マスク」が備える「第1端部」及び「第2端部」は、本件発明1の「蒸着パターンを形成するための」「マスク孔を有さ」ない「第1端部」及び「第2端部」に相当する。また、先願発明の「マスク」が備える「前記第1端部と第2端部との間に位置し、蒸着材料が通る貫通孔群を含む中間部」は、本件発明1の「前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる」「蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有」する「中央部」に相当する。 (オ)先願発明の「レジスト層」において、「マスク」が備える「第1端部」、「中間部」及び「第2端部」に対応するそれぞれの領域は、本件発明1の「単位マスク領域」に含まれる「単位露光領域」である「第1露光領域」、「第2露光領域」及び「第3露光領域」に相当する。 (カ)先願発明において、「前記中間部形成ステップにおける第1露光マスクを用いた露光プロセスと、前記第1端部形成ステップにおける第2露光マスクを用いた露光プロセス及び前記第2端部形成ステップにおける第3露光マスクを用いた露光プロセスとは、異なるタイミングで実施される」ことは、本件発明1において、「前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、」「前記露光することは、前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、」「前記露光することは、前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光することを含」むことに相当する。 (キ)そうすると、本件発明1と先願発明とは、 「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記露光することは、 前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、 前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成される 露光方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点8> 本件発明1は、「前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、前記露光することは、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光すること」を含むものであるのに対して、先願発明は、そのような露光をすることを含むものか否かが不明である点。 <相違点9> 本件発明1は、「各蒸着マスクについて、前記第1端部と前記第2端部との少なくとも一方における幅が、前記中央部の幅とは異なるように、前記レジスト層を露光すること」を含むものであるのに対して、先願発明は、そのような露光をすることを含むものか否かが不明である点。 イ 相違点についての判断 上記相違点8、9についてまとめて判断する。 (ア)まず、上記相違点8、9が実質的な相違点であることは、明らかである。 (イ)また、本件明細書の【0015】、【0016】、【0140】~【0145】の記載を参照すれば、上記相違点8、9に係る特定事項が課題解決における具体的手段における微差であるともいえない。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、先願発明と実質同一であるとはいえない。 (3)本件発明2について ア 対比 (ア)先願発明の「横長略矩形状」の「マスク」は、本件発明2の「第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え」る「蒸着マスク」に相当する。 (イ)上記(ア)の点を踏まえた上で、上記(2)アと同様に、本件発明2と先願発明とを対比すると、両者は、 「 蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記露光することは、 前記単位マスク領域に含まれる全ての前記単位露光領域を個別に露光することを含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、 中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための露光領域と、 前記中央部を形成するための露光領域と、 前記第2端部を形成するための露光領域とから構成され、 前記蒸着マスクは、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備える、 露光方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点10> 本件発明2は、「中央部」が「第1中央部と第2中央部とから構成され」、「複数の単位露光領域」を構成する単位露光領域が「第1中央部を形成するための第2露光領域」と「第2中央部を形成するための第3露光領域」とを含むのに対して、先願発明は、その「中間部」が別々に露光される2つの領域を含むものではない点。 <相違点11> 本件発明2は、「前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む第1段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る第2段差部を前記第1中央部と前記第2中央部との境界に有し、かつ、前記第1段差部と前記第2段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶとともに、前記第1長辺および前記第2長辺の一方が、前記段差方向において窪む第3段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、前記第1長辺および前記第2長辺の他方が、前記段差方向において突き出る第4段差部を前記第1端部と前記第1中央部との境界に有し、かつ、前記第3段差部と前記第4段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む」ものであるのに対して、先願発明は、そのような露光をすることを含むものか否かが不明である点。 イ 相違点についての判断 上記相違点10、11についてまとめて判断する。 (ア)まず、上記相違点10、11が実質的な相違点であることは、明らかである。 (イ)また、本件明細書の【0031】~【0042】の記載を参照すれば、上記相違点10、11に係る特定事項が課題解決における具体的手段における微差であるともいえない。 ウ 小括 したがって、本件発明2は、先願発明と実質同一であるとはいえない。 (4)本件発明3について ア 対比 (ア)上記(3)ア(ア)の点を踏まえた上で、上記(2)アと同様に、本件発明3と先願発明とを対比すると、両者は、 「蒸着マスク用基材上に位置するレジスト層を露光する方法であって、 前記レジスト層のうち、1枚の蒸着マスクをエッチングによって形成するために用いられる領域が、単位マスク領域であり、 前記単位マスク領域は、複数の単位露光領域を含み、 前記複数の単位露光領域に含まれる全ての単位露光領域を露光することを含み、 前記露光することは、 前記複数の単位露光領域に含まれる第1の単位露光領域を露光することと、 前記複数の単位露光領域に含まれる第2の単位露光領域を前記第1の単位露光領域とは異なるタイミングで露光することと、を含み、 前記蒸着マスクは、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とに挟まれる中央部とから構成され、かつ、第1方向に沿って延びる第1長辺と、前記第1長辺に平行な第2長辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延び、前記第1長辺を前記第2長辺に接続する一対の短辺と、を備え、 前記中央部は、蒸着パターンを形成するためのマスク孔を複数有し、 前記第1端部および前記第2端部は、前記マスク孔を有さず、 前記複数の単位露光領域は、 前記第1端部を形成するための第1露光領域と、 前記中央部を形成するための第2露光領域と、 前記第2端部を形成するための第3露光領域とから構成される 露光方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点12> 本件発明3は、「前記レジスト層は、前記単位マスク領域を複数含み、複数の前記単位マスク領域は、第1マスク領域と第2マスク領域とを含み、前記露光することは、前記第1マスク領域の前記単位露光領域と、前記第2マスク領域の前記単位露光領域とを同時に露光すること」を含むものであるのに対して、先願発明は、そのような露光をすることを含むものか否かが不明である点。 <相違点13> 本件発明3は、「前記第1長辺から前記第2長辺に向かう方向が段差方向であり、前記露光することは、前記第1長辺が、前記段差方向において窪む段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、前記第2長辺が、前記段差方向において突き出る段差部を前記第1端部と前記中央部との境界に有し、かつ、前記第1長辺の前記段差部と前記第2長辺の前記段差部とが、前記短辺が延びる方向において並ぶように、前記レジスト層を露光することを含む」ものであるのに対して、先願発明は、そのような露光をすることを含むものか否かが不明である点。 イ 相違点についての判断 上記相違点12、13についてまとめて判断する。 (ア)まず、上記相違点12、13が実質的な相違点であることは、明らかである。 (イ)また、本件明細書の【0015】、【0016】、【0031】~【0036】の記載を参照すれば、上記相違点12、13に係る特定事項が課題解決における具体的手段における微差であるともいえない。 ウ 小括 したがって、本件発明3は、先願発明と実質同一であるとはいえない。 (5)本件発明4~6について 本件特許の請求項4~6は、請求項1~3の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、本件発明4~6は、本件発明1~3の少なくともいずれかの発明特定事項を全て備えたものであるところ、上記(2)~(4)において検討したとおり、本件発明1~3が、先願発明と実質同一であるとはいえない以上、本件発明4~6についても、同様に、先願発明と実質同一であるとはいえない。 (6)本件発明10について 本件発明10と先願発明とを対比すると、少なくとも上記相違点10、12と同様の点で相違するところ、上記相違点10、12については、上記(3)イ、及び上記(4)イにおいて検討したとおりであるから、本件発明10は、先願発明と実質同一であるとはいえない。 (7)取消理由3及び申立理由3についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件発明1、3~6、10は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。 よって、取消理由3及び申立理由3によっては、本件特許の請求項1、3~6、10に係る特許を取り消すことはできない。 第8 むすび 以上のとおり、令和 7年 9月26日付けで通知した取消理由(決定の予告)、令和 7年 2月14日付けで通知した取消理由、及び申立人による特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701014

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