2022-009939
測定装置及び測定システム
- 審判番号
- 2022-009939
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-109734外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月28日
- 審決日
- 2023年03月01日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 28項目
第1.手続の経緯
本願は、平成30年6月7日(優先権主張 平成29年10月26日(以下「優先日」という。))の出願であって、出願の手続の経緯は概略以下のとおりである。
また、令和4年6月28日に提出された手続補正書による補正を以下「本件補正」という。
第2.本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1~19の記載は、次のとおり補正された。ここで、各構成単位冒頭の「A1」、「1A」などは分説のために当審で付した分説番号であり、以下該各構成単位を該分説番号をもとに「構成A1」、「構成1A」などという。また、下線部は請求人が本件補正による補正箇所を示すために付したものに対応する。
本件補正後請求項1~18には「測定装置」についての発明が記載され、うち、本件補正後請求項1、18は独立形式で記載されている。
本件補正後請求項19には「測定システム」についての発明が記載されている。
「 【請求項1】A1 被検者の耳介に装着される装着部と、B1 前記装着部に結合された本体部と、C1 前記本体部に結合され、前記被検者に装着可能に構成され、酸素飽和度を測定可能な第1測定部と、続きを表示(全64行)D1 前記本体部に結合され、前記装着部が装着された状態で前記被検者に接触し、体温を測定可能な第2測定部と、E1 前記被検者に音を聞かせる音出力部と、F1 前記音出力部が、前記被検者の状態に応じて、ソルフェジオ周波数を含む所定の音として、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz及び963Hzのうち少なくともいずれかの周波数を含む音であって前記各周波数を含む音についてヒトの精神及び身体の少なくとも一方に与え得るそれぞれ異なる影響が定義される音を出力するように制御する制御部と、を備え、G1 前記制御部は、前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する、H1 測定装置。【請求項2】A2 前記制御部は、前記音出力部が前記所定の音を出力している間に、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が、前記被検者の酸素飽和度及び体温の少なくとも一方を測定するように制御する、請求項1に記載の測定装置。【請求項3】A3 前記制御部は、前記第1測定部が前記被検者の酸素飽和度を測定するように制御するとともに、前記第2測定部が前記被検者の体温を測定するように制御する、請求項2に記載の測定装置。【請求項4】A4 前記制御部は、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が測定した情報に基づき、前記被検者の状態を推定する、請求項1から3のいずれかに記載の測定装置。【請求項5】A5 前記制御部は、前記被検者の推定された状態に基づいて、前記音出力部が出力する前記所定の音を選択する、請求項4に記載の測定装置。【請求項6】A6 前記制御部は、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が測定した情報であって所定の条件を満たす情報に基づき、前記被検者の状態を推定する、請求項4に記載の測定装置。【請求項7】A7 前記制御部は、前記被検者の状態を、時間情報及び位置情報の少なくとも一方も加味して推定する、請求項4から6のいずれかに記載の測定装置。【請求項8】A8 前記制御部は、前記音出力部が所定の音を出力している間に、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が測定した結果が記憶されるように制御する、請求項2から7のいずれかに記載の測定装置。【請求項9】A9 前記制御部は、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が測定した情報に基づき、前記音出力部が出力する音を変化させる、請求項2から8のいずれかに記載の測定装置。【請求項10】A10 前記被検者の他方の耳介に装着される他の装着部と、前記装着部と前記他の装着部とを結合する結合部と、を備え、前記本体部は、前記結合部に設けられる、請求項1に記載の測定装置。【請求項11】A11 前記結合部に、当該測定装置を駆動するためのバッテリを備え、前記本体部と前記バッテリとは、前記結合部において、前記装着部から前記耳介にかかる力と前記他の装着部から前記他方の耳介にかかる力とが略等しくなるように配置されている、請求項10に記載の測定装置。【請求項12】A12 前記音出力部は人体への振動伝達により前記被検者に音を聞かせる、請求項1に記載の測定装置。【請求項13】A13 前記音出力部は、前記被検者に対し心理的及び/又は生理的に作用する音を出力する、請求項1に記載の測定装置。【請求項14】A14 前記被検者の状態に応じて前記音出力部が出力する前記所定の音の情報が記憶される、請求項5に記載の測定装置。【請求項15】A15 前記第1測定部は、前記被検者の耳垂に装着可能に構成される、請求項1に記載の測定装置。【請求項16】A16 前記第2測定部は、前記装着部が装着された状態で前記被検者の乳突部に接触する、請求項1に記載の測定装置。【請求項17】A17 前記第2測定部は前記装着部が装着された状態で前記乳突部側に付勢される、請求項16に記載の測定装置。【請求項18】A18 被検者の耳介に装着される装着部と、B18 前記被検者の生体情報を測定可能な測定機器を着脱可能なコネクタを備える本体部と、C18 前記本体部に結合され、前記装着部が装着された状態で前記被検者に接触し、体温を測定可能な体温測定部と、D18 前記被検者に音を聞かせる音出力部と、E18 前記音出力部が、前記被検者の状態に応じて、ソルフェジオ周波数を含む所定の音として、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz及び963Hzのうち少なくともいずれかの周波数を含む音であって前記各周波数を含む音についてヒトの精神及び身体の少なくとも一方に与え得るそれぞれ異なる影響が定義される音を出力するように制御する制御部と、を備え、F18 前記制御部は、前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する、G18 測定装置。【請求項19】A19 被検者の耳介に装着される装着部と、コネクタを備える本体部と、前記本体部に結合され、前記装着部が装着された状態で前記被検者に接触し、体温を測定可能な体温測定部と、前記被検者に音を聞かせる音出力部と、前記音出力部が、前記被検者の状態に応じて、ソルフェジオ周波数を含む所定の音として、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz及び963Hzのうち少なくともいずれかの周波数を含む音であって前記各周波数を含む音についてヒトの精神及び身体の少なくとも一方に与え得るそれぞれ異なる影響が定義される音を出力するように制御する制御部と、を備え、B19 前記制御部は、前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する、測定装置と、C19 前記コネクタに着脱可能に構成され、前記被検者の生体情報を測定可能な測定機器と、D19 を備える測定システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和3年10月11日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~20の記載は次のとおりである。
本件補正前請求項1~19には「測定装置」についての発明が記載され、うち、本件補正前請求項1、19は独立形式で記載されている。
本件補正前請求項20には「測定システム」についての発明が記載されている。
「 【請求項1】1A 被検者の耳介に装着される装着部と、1B 前記装着部に結合された本体部と、1C 前記本体部に結合され、前記被検者に装着可能に構成され、酸素飽和度を測定可能な第1測定部と、続きを表示(全61行)1D 前記本体部に結合され、前記装着部が装着された状態で前記被検者に接触し、体温を測定可能な第2測定部と、1E 前記被検者に音を聞かせる音出力部と、1F 前記音出力部が、前記被検者の状態に応じて、ソルフェジオ周波数を含む所定の音として、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz及び963Hzのうち少なくともいずれかの周波数を含む音であって前記各周波数を含む音についてヒトの精神及び身体の少なくとも一方に与え得るそれぞれ異なる影響が定義される音を出力するように制御する制御部と、1G を備える測定装置。【請求項2】2A 前記制御部は、前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する、請求項1に記載の測定装置。【請求項3】3A 前記制御部は、前記音出力部が前記所定の音を出力している間に、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が、前記被検者の酸素飽和度及び体温の少なくとも一方を測定するように制御する、請求項1又は2に記載の測定装置。【請求項4】4A 前記制御部は、前記第1測定部が前記被検者の酸素飽和度を測定するように制御するとともに、前記第2測定部が前記被検者の体温を測定するように制御する、請求項3に記載の測定装置。【請求項5】5A 前記制御部は、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が測定した情報に基づき、前記被検者の状態を推定する、請求項1から4のいずれかに記載の測定装置。【請求項6】6A 前記制御部は、前記被検者の推定された状態に基づいて、前記音出力部が出力する前記所定の音を選択する、請求項5に記載の測定装置。【請求項7】7A 前記制御部は、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が測定した情報であって所定の条件を満たす情報に基づき、前記被検者の状態を推定する、請求項5に記載の測定装置。【請求項8】8A 前記制御部は、前記被検者の状態を、時間情報及び位置情報の少なくとも一方も加味して推定する、請求項5から8のいずれかに記載の測定装置。【請求項9】9A 前記制御部は、前記音出力部が所定の音を出力している間に、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が測定した結果が記憶されるように制御する、請求項3から8のいずれかに記載の測定装置。【請求項10】10A 前記制御部は、前記第1測定部及び前記第2測定部の少なくとも一方が測定した情報に基づき、前記音出力部が出力する音を変化させる、請求項3から9のいずれかに記載の測定装置。【請求項11】11A 前記被検者の他方の耳介に装着される他の装着部と、前記装着部と前記他の装着部とを結合する結合部と、を備え、前記本体部は、前記結合部に設けられる、請求項1に記載の測定装置。【請求項12】12A 前記結合部に、当該測定装置を駆動するためのバッテリを備え、前記本体部と前記バッテリとは、前記結合部において、前記装着部から前記耳介にかかる力と前記他の装着部から前記他方の耳介にかかる力とが略等しくなるように配置されている、請求項11に記載の測定装置。【請求項13】13A 前記音出力部は人体への振動伝達により前記被検者に音を聞かせる、請求項1に記載の測定装置。【請求項14】14A 前記音出力部は、前記被検者に対し心理的及び/又は生理的に作用する音を出力する、請求項1に記載の測定装置。【請求項15】15A 前記被検者の状態に応じて前記音出力部が出力する前記所定の音の情報が記憶される、請求項6に記載の測定装置。【請求項16】16A 前記第1測定部は、前記被検者の耳垂に装着可能に構成される、請求項1に記載の測定装置。【請求項17】17A 前記第2測定部は、前記装着部が装着された状態で前記被検者の乳突部に接触する、請求項1に記載の測定装置。【請求項18】18A 前記第2測定部は前記装着部が装着された状態で前記乳突部側に付勢される、請求項19に記載の測定装置。【請求項19】19A 被検者の耳介に装着される装着部と、19B 前記被検者の生体情報を測定可能な測定機器を着脱可能なコネクタを備える本体部と、19C 前記本体部に結合され、前記装着部が装着された状態で前記被検者に接触し、体温を測定可能な体温測定部と、19D 前記被検者に音を聞かせる音出力部と、19E 前記音出力部が、前記被検者の状態に応じて、ソルフェジオ周波数を含む所定の音として、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz及び963Hzのうち少なくともいずれかの周波数を含む音であって前記各周波数を含む音についてヒトの精神及び身体の少なくとも一方に与え得るそれぞれ異なる影響が定義される音を出力するように制御する制御部と、19F を備える測定装置。【請求項20】20A 被検者の耳介に装着される装着部と、コネクタを備える本体部と、前記本体部に結合され、前記装着部が装着された状態で前記被検者に接触し、体温を測定可能な体温測定部と、前記被検者に音を聞かせる音出力部と、前記音出力部が、前記被検者の状態に応じて、ソルフェジオ周波数を含む所定の音として、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz及び963Hzのうち少なくともいずれかの周波数を含む音であって前記各周波数を含む音についてヒトの精神及び身体の少なくとも一方に与え得るそれぞれ異なる影響が定義される音を出力するように制御する制御部と、を備える測定装置と、20B 前記コネクタに着脱可能に構成され、前記被検者の生体情報を測定可能な測定機器と、20C を備える測定システム。」
2.補正の適否
(1)本件補正に含まれる補正事項
本件補正は、特許請求の範囲について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
本件補正前請求項1の構成1Fで特定される「制御部」について、本件補正後請求項1の構成G1で「前記制御部は、前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する」と特定する補正。
イ 補正事項2
本件補正前請求項19の構成19Eで特定される「制御部」について、本件補正後請求項18の構成F18で「前記制御部は、前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する」と特定する補正。
ウ 補正事項3
本件補正前請求項20の構成20Aで特定される「制御部」について、本件補正後請求項19の構成B19で「前記制御部は、前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する」と特定する補正。
エ 補正事項4
本件補正前請求項2を削除する補正。
(2)新規事項の有無についての検討
ア 補正事項1~補正事項3について
本件出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0037】には「また、一実施形態に係る測定装置10において、音出力部160は、測定機器20及び体温測定部140の少なくとも一方が測定した情報に基づき、所定の音を出力することができる。・・・例えば、一実施形態に係る測定装置10おいて、音出力部160が出力する音は、ソルフェジオ周波数を含む音としてもよい。」なる記載があり、【0038】には「音出力部160が例えば396Hzの音を出力している時、測定装置10は、被検者をリラックスさせた状態で、」なる記載がある。
よって、補正事項1~補正事項3は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
イ 補正事項4について
補正事項4が当初明細書等の記載に対しいわゆる新規事項を追加するものでないことは明らかである。
(3)補正の目的についての検討
ア 補正事項1~3について
補正事項1~3は、本件補正前の請求項1,19,20の発明特定事項である「制御部」について、「前記制御部は、前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する」と限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1,19,20に記載された発明と、本件補正後の請求項1,18,19に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、補正事項1~3は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 補正事項4について
補正事項4は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当する。
3.本件発明の独立特許要件についての検討
上記2.(3)のとおり、補正事項1~3は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。
(1)本件補正発明について
本件補正発明は、上記1.(1)に分説番号と共に記載した請求項1のとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
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ア 引用文献4の記載事項
原査定の拒絶理由において引用文献4として提示された、本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である国際公開第2014/050612号には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
(ア)明細書の記載事項
「[0147] <脈波センサ(第3実施形態)>図34及び図35は、それぞれ、脈波センサの第3実施形態を示す外観図及びブロック図である。第3実施形態の脈波センサ401は、イヤホン(ヘッドホン)401Xと本体ユニット401Yを有し、脈波測定機能を備えた携帯型のオーディオプレーヤとして提供される。なお、オーディオプレーヤという概念には、オーディオ再生専用機だけでなく、オーディオ再生機能を備えた携帯電話端末、スマートフォン、及び、携帯ゲーム端末なども含まれる。[0148] イヤホン401Xは、ユーザの外耳E(特に耳介(耳殻))に装着して使用されるインナーイヤー型であり、筐体410と、光センサ部411と、スピーカ412と、ドライバ413と、コード414と、コネクタ415と、を含む。・・・続きを表示(全22行)[0174] なお、図34及び図35では、イヤホン401Xと本体ユニット401Yを別体とした構成を例に挙げたが、脈波センサ401の構成はこれに限定されるものではなく、イヤホン401Xと本体ユニット401Yを一体とした構成にしても構わない。その場合、コード414やプラグ415は不要となる。[0175] また、イヤホン401Xの形態や外耳Eへの装着例についても、図36A~図36Dで示すように、種々のバリエーションが考えられる。図36A~図36Dは、それぞれ、イヤホン401Xの第1形態~第4形態と、各形態における外耳Eへの装着例を模式的に示す正面図である。・・・[0179] 第4形態(図36D)のイヤホン401Xは、耳介Eに懸架されるクリップ部材410yを有する耳掛け型である。クリップ部材410yは、耳介Eと当接する箇所に光センサ部411を担持する。従って、第4形態のイヤホン401Xでは、上対耳輪脚E6、三角窩E7、下対耳輪脚E8、若しくは、耳甲介E9の裏側辺りに光センサ部411が当接される形となる。・・・[0187] <睡眠センサ>図39は、睡眠センサの一構成例(体調管理システムとしての適用例)を示したブロック図である。本構成例の睡眠センサ501は、光センサ部511と、温度センサ部512と、加速度センサ部513と、マイクロフォン514と、制御部515と、表示部516と、スピーカ517と、操作部518と、記憶部519と、通信部520と、電源部521と、を有する。[0188] 光センサ部511は、被験者の生体に光を照射した後、生体内を透過して戻ってくる光の強度を検出することにより、被験者の脈波や血中酸素飽和度に関する測定データを取得する。なお、光センサ部511については、先出の第1~第3実施形態と同様の構成を採用すればよいので、重複した説明は割愛する。[0189] 温度センサ部512は、被験者の体温や体表面温度に関する測定データを取得する。・・・[0192] 制御部515は、睡眠センサ501全体の動作を統括的に制御する。なお、制御部515としては、CPUなどを好適に用いることができる。・・・[0201] なお、睡眠センサ501で取得された測定データの詳細な解析は、上記の理由から、外部の情報端末502に委ねることが望ましいが、睡眠センサ501で取得された測定データから被験者の睡眠状態を解析して表示部516やスピーカ517を駆動する機能を制御部515に具備することは非常に有益である。[0202] 例えば、制御部515は、被験者の脈波に関する測定データ(脈拍数や脈拍変動など)から被験者のレム睡眠/ノンレム睡眠を判定し、表示部516やスピーカ517を駆動する構成にするとよい。例えば、被験者のレム睡眠に合わせてスピーカ517から目覚まし用の音楽や環境音(鳥のさえずり音や水のせせらぎ音など)を出力することにより、被験者に心地の良い寝覚めを提供することが可能となる。また、制御部515は、被験者の脈波に関する測定データから被験者の睡眠深度を判定し、表示部516やスピーカ517を駆動する構成としてもよい。[0203] また、制御部515は、被験者の血中酸素飽和度に関する測定データから被験者の無呼吸症候群(睡眠の質)を判定し、表示部516やスピーカ517を駆動する構成にするとよい。例えば、無呼吸症候群の発症時にスピーカ517からアラーム音を出力すれば、被験者を強制的に覚醒させたり、被験者の異常を周囲に報知したりすることができる。[0204] また、制御部515は、被験者の体温または体表面温度に関する測定データから被験者の睡眠深度を判定して、表示部516やスピーカ517を駆動する構成にするとよい。例えば、被験者の睡眠状態が浅くなり体温が上昇したときにスピーカ517から目覚まし用の音楽や環境音を出力することにより、被験者に心地の良い寝覚めを提供することが可能となる。・・・[0213] 図41Bは、睡眠センサ501の第2装着例(耳装着型)を示す模式図である。図41Bでは、被験者の外耳に装着されるセンサユニット501Yと、被験者の襟や胸に装着される本体ユニット501Zが別個に分離して設けられている。センサユニット501Yには、各種センサ部511~514が収納されており、本体ユニット501Zには、その余の構成要素515~521が収納されている。このような構成とすることにより、被験者の外耳に装着されるセンサユニット501Yを小型化することができるので、被験者に違和感を与えずに済む。特に、外耳は、指や腕に比べて体動の少ない部位であるので、光センサ部511の出力信号が体動ノイズの影響を受けにくく、高精度に脈波や血中酸素飽和度の測定を行うことが可能となる。なお、センサユニット501Yの形態については、一般的なイヤホンの形態(インナーイヤー型、カナル型、クリップ型など)を採用してもよいし、或いは、外耳道に挿入される耳栓型を採用しても構わない(図36A~図36D、及び、図37を参照)。」
(イ)図面の記載事項
・図36D
[図:0001397010000001.jpg]
・図39
[図:0001397010000002.jpg]
(ウ)認定事項
(認定事項1)
[0213]に「図41Bは、睡眠センサ501の第2装着例(耳装着型)を示す模式図である。図41Bでは、被験者の外耳に装着されるセンサユニット501Yと、被験者の襟や胸に装着される本体ユニット501Zが別個に分離して設けられている。センサユニット501Yには、各種センサ部511~514が収納されており、本体ユニット501Zには、その余の構成要素515~521が収納されている。」なる記載がある。
また、睡眠センサについて、[0187]に「図39は、睡眠センサの一構成例(体調管理システムとしての適用例)を示したブロック図である。本構成例の睡眠センサ501は、光センサ部511と、温度センサ部512と、加速度センサ部513と、マイクロフォン514と、制御部515と、表示部516と、スピーカ517と、操作部518と、記憶部519と、通信部520と、電源部521と、を有する。」なる記載があり、図39にはブロック図が図示されている。
そうすると、以下の事項を導くことができる。
「被験者の外耳に装着されるセンサユニットと制御部を有する本体ユニットから構成される睡眠センサであって、センサユニットが、光センサ部と、温度センサ部と、加速度センサ部と、マイクロフォンを有するものであること。」
(認定事項2)
センサユニットについて、[0213]に「センサユニット501Yの形態については、一般的なイヤホンの形態(インナーイヤー型、カナル型、クリップ型など)を採用してもよいし、或いは、外耳道に挿入される耳栓型を採用しても構わない(図36A~図36D、及び、図37を参照)。」なる記載がある。
また、イヤホンの形態について、[0148]に「イヤホン401Xは、ユーザの外耳E(特に耳介(耳殻))に装着して使用されるインナーイヤー型であり、筐体410と、光センサ部411と、スピーカ412と、ドライバ413と、コード414と、コネクタ415と、を含む。」なる記載があり、[0179]に「第4形態(図36D)のイヤホン401Xは、耳介Eに懸架されるクリップ部材410yを有する耳掛け型である。クリップ部材410yは、耳介Eと当接する箇所に光センサ部411を担持する。」なる記載がある。
さらに、図36Dには、クリップ部材410yと筐体410が結合していることが見て取れる。
そうすると、以下の事項を導くことができる。
「センサユニットが、クリップ型のイヤホンの形態を有し、当該イヤホンは筐体410、光センサ部411、スピーカ412と被験者の耳介に装着されるクリップ部材410yを備え、当該クリップ部材410yは、筐体410と結合し、耳介と当接する箇所に光センサ部411を担持する構成であること。」
(エ)引用発明
上記(ア)~(ウ)によれば、引用文献4には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。分説番号は本件補正発明の分説番号に概ね対応させて当審で付与した。また各構成単位末尾の括弧内には、引用元となった引用文献4の記載箇所を示した。
「a1 被験者の外耳に装着されるセンサユニットと制御部を有する本体ユニットから構成される睡眠センサであって、前記センサユニットがクリップ型のイヤホンの形態を有し、被験者の耳介に装着されるクリップ部材と(認定事項1、認定事項2)、b1 前記クリップ部材と結合する筐体部と、(認定事項2)、c1 被験者の耳介に装着されるクリップ部材の、耳介と当接する箇所に担持され、酸素飽和度を測定可能な光センサ部と(認定事項2、[0188])、d1 被験者の外耳に装着した状態で被験者の体温または体表面温度を測定可能な温度センサ部と(認定事項1、[0189]、[0204])、e1 被験者に対し目覚まし用の音楽や環境音(鳥のさえずり音や水のせせらぎ音など)を出力するスピーカと、を備え(認定事項2、[0202]、[0204])、f1 睡眠センサで取得された測定データから被験者の睡眠状態を解析して前記スピーカを駆動する機能を具備し、前記スピーカが、被験者に心地の良い寝覚めを提供するために、被験者の体温または体表面温度に関する測定データから被験者の睡眠深度を判定して目覚まし用の音楽や環境音(鳥のさえずり音や水のせせらぎ音など)を出力するよう制御する前記制御部と、を備える([0201]、[0204])、g1 睡眠センサ(認定事項1)。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明1を対比する。
ア 構成a1の「クリップ部材」は、被験者の耳介に装着されるものであるから、構成A1の「装着部」に相当する。そして、構成a1の「被験者の耳介に装着されるクリップ部」は、構成A1の「被検者の耳介に装着される装着部」に相当する。
イ 構成b1において、「筐体部」は「クリップ部材」に結合するものである。ここで、上記アで述べたとおり、構成b1の「クリップ部材」は、構成B1の「装着部」に相当するから、構成b1の「前記クリップ部材と結合する筐体部」は構成B1の「前記装着部に結合された本体部」に相当するといえる。
ウ(ア)構成c1の「光センサ部」は、被験者の酸素飽和度を測定可能である点で、構成C1の「第1測定部」に相当する。
(イ)構成c1における「光センサ部」は、被験者の耳介に装着されるクリップ部材の耳介と当接する箇所に担持されるから、クリップ部を介して「被検者に装着可能に構成され」たものである。
(ウ)上記(ア)、(イ)より、構成c1の「被験者の耳介に装着されるクリップ部材の、耳介と当接する箇所に担持され」た「酸素飽和度を測定可能な光センサ部」は、構成C1の「前記被検者に装着可能に構成され」た「酸素飽和度を測定可能な第1測定部」に相当する。
エ 構成d1の「温度センサ部」は、被験者の体温または体表面温度を測定可能なものであるから、構成D1の「体温を測定可能な第2測定部」に相当する。
オ 構成e1の「スピーカ」は、目覚まし用の音楽や環境音(鳥のさえずり音や水のせせらぎ音など)を出力して、被験者に目覚まし用の音楽や環境音の「音」を聞かせるものであるから、構成E1の「被検者に音を聞かせる音出力部」に相当する。
カ 構成f1の「被験者の睡眠深度」は、被験者の睡眠状態を示すものと解されるから、構成f1の「被験者の睡眠深度を判定して」は、構成F1の「被検者の状態に応じて」に相当するといえる。
そして、構成f1の「睡眠センサで取得された測定データから被験者の睡眠状態を解析して前記スピーカを駆動する機能を具備し、前記スピーカが、被験者に心地の良い寝覚めを提供するために、被験者の体温または体表面温度に関する測定データから被験者の睡眠深度を判定して目覚まし用の音楽や環境音(鳥のさえずり音や水のせせらぎ音など)を出力するよう制御する前記制御部と、を備える」ことは、構成F1の「前記音出力部が、前記被検者の状態に応じて、ソルフェジオ周波数を含む所定の音として、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz及び963Hzのうち少なくともいずれかの周波数を含む音であって前記各周波数を含む音についてヒトの精神及び身体の少なくとも一方に与え得るそれぞれ異なる影響が定義される音を出力するように制御する制御部と、を備え」ることと、「前記音出力部が、前記被検者の状態に応じて、音を出力するように制御する制御部と、を備え」る点で共通している。
キ 構成g1の「睡眠センサ」は、被験者の酸素飽和度や体温を測定可能なセンサ部を含むものであるから、構成H1の「測定装置」に相当する。
ク 上記ア~キによれば、本件補正発明と引用発明1とは、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)の点で相違する。
(ア)一致点
「A1 被検者の耳介に装着される装着部と、B1 前記装着部に結合された本体部と、C1’ 前記被検者に装着可能に構成され、酸素飽和度を測定可能な第1測定部と、D1’ 体温を測定可能な第2測定部と、E1 前記被検者に音を聞かせる音出力部と、F1’ 前記音出力部が、前記被検者の状態に応じて、音を出力するように制御する制御部と、を備える、H1 測定装置。」
(イ)相違点
相違点1(構成C1、構成D1)
第1測定部及び第2測定部が、本件補正発明は、「本体部に結合され」るものであるのに対し、引用発明1は、「筐体部」(本体部)に結合されていない点。
相違点2(構成D1)
第2測定部について、本件補正発明は、「前記装着部が装着された状態で前記被検者に接触」するものであるのに対し、引用発明1は、被験者の外耳に装着した状態で被験者に接触するものであるのか否か不明である点。
相違点3(構成F1、G1)
音出力部が前記被検者の状態に応じて出力する音及び制御部について、本件補正発明は、前記音が「ソルフェジオ周波数を含む所定の音として、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz及び963Hzのうち少なくともいずれかの周波数を含む音であって前記各周波数を含む音についてヒトの精神及び身体の少なくとも一方に与え得るそれぞれ異なる影響が定義される音」であって、前記制御部は「前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する」構成であるのに対し、引用発明1は、前記音が「目覚まし用の音楽や環境音(鳥のさえずり音や水のせせらぎ音など)」であるものの、その音の周波数が不明である点。
(4)相違点の検討
ア 相違点1について
引用発明1において、被験者の外耳に装着されるセンサユニットが、クリップ部材、筐体部、光センサ部、温度センサ部、スピーカを備えるものであり、クリップ部材、光センサ部、温度センサ部、スピーカの各要素を備えた上でクリップ型のイヤホンの形態を有するものである。
また、引用発明1におけるセンサユニットの要素の1つであるクリップ部材は筐体部に結合されている。
ここで、引用文献4の[0174]に「なお、図34及び図35では、イヤホン401Xと本体ユニット401Yを別体とした構成を例に挙げたが、脈波センサ401の構成はこれに限定されるものではなく、イヤホン401Xと本体ユニット401Yを一体とした構成にしても構わない。」なる記載があり、[0175]に「また、イヤホン401Xの形態や外耳Eへの装着例についても、図36A~図36Dで示すように、種々のバリエーションが考えられる。」なる記載があるように、センサユニットとして様々な構成にすることが許容されているといえる。
そうすると、引用発明1において、光センサ部及び温度センサ部の各要素を備えた上でクリップ型のイヤホンの形態とするにあたり、光センサ部及び温度センサ部を、クリップ部材と同様に、筐体部に結合される構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。また、引用文献4の記載を勘案すれば、上記構成とすることに阻害要因はない。
よって、引用発明1に基づいて相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
温度センサとして接触式温度センサは周知である。
また、引用発明1において、温度センサ部と同様にセンサユニットが備える光センサ部は、クリップ部が装着された状態で被験者に当接するものである。
そうすると、引用発明1において、温度センサ部として上記周知の接触式温度センサを採用し、光センサ部と同様にクリップ部が装着された状態で被験者に接触させて、相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 相違点3について
(ア) 周知文献1
本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2013-541728号公報には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0030】一実施態様において、本発明はアコースティックまたは電子楽器として説明する事ができる。その楽器は 9 個の個別の音響発生器を含むことができる。それぞれの音響発生器が個別に、174 Hz、285 Hz、396 Hz、417 Hz、528 Hz、639 Hz、741 Hz、852 Hz、963 Hz からなるの周波数グループの中から選ばれた周波数を発生するよう設定することができる。その楽器は、操作する事によって対応する音響発生器から特定の周波数の音響が発生するように設計されてもよい。この意味で本発明による楽器は、アコースティック装置でも電子音装置でも、療法として、音楽教育として、またヒーリングの目的で、あるいは音楽創作のためにも使用されてもよい。」
(イ)ソルフェジオ周波数について
「174Hz、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz及び963Hz」の9つの周波数がソルフェジオ周波数として、人間の精神及び/又は身体に影響を与え得るものであることは、本願の優先日よりも前から広く知られた事項である。
なお、本願明細書の【0038】に「ここで、ソルフェジオ周波数とは、ヒトの精神及び/又は身体に何らかの影響を与え得ると考えられている音の周波数である。過去の研究により、ヒトの精神及び/又は身体に影響を与え得ると考えられている周波数の音として、例えば以下のようなものが知られている。174Hzの音は、苦痛の軽減に有効と考えられている。285Hzの音は、多次元領域を知覚した意識の拡大、促進に有効と考えられている。396Hzの音は、罪、トラウマ、恐怖からの解放に有効と考えられている。417Hzの音は、ネガティブな状況からの回復、変容の促進に有効と考えられている。528Hzの音は、理想への変換、奇跡、細胞の回復に有効と考えられている。639Hzの音は、人とのつながり、関係の修復に有効と考えられている。741Hzの音は、表現力の向上、問題の解決に有効と考えられている。852Hzの音は、直感力の覚醒、目覚めに有効と考えられている。963Hzの音は、高次元、宇宙意識とのつながりに有効と考えられている。」と記載されているように、本願明細書中にも、ソルフェジオ周波数がヒトの精神及び/又は身体に影響を与え得ると考えられている周波数として既に知られたものであることが記載されている。
(ウ)引用発明1について
引用発明1は、被験者に心地の良い寝覚めを提供するために、目覚まし用の音楽や環境音(鳥のさえずり音や水のせせらぎ音など)をスピーカから出力するものであるから、当該音楽や環境音により、被験者を心地の良い状態にすることが期待されているといえる。
(エ)上記(ア)によれば、ヒーリングの目的で285 Hz、396 Hz、417 Hz、528 Hz、639 Hz、741 Hz、852 Hz、963 Hz からなる周波数グループの中から選ばれた周波数の音響を発生するよう設定することは、周知文献1に記載されているように周知技術である。
そして、上記(ウ)より、引用発明1に対し、被験者を心地の良い状態にすることを期待して、上記周知技術を適用して、スピーカから285 Hz、396 Hz、417 Hz、528 Hz、639 Hz、741 Hz、852 Hz、963 Hz からなる周波数グループの中から選ばれた周波数の音を出力するよう制御部で制御することは、当業者が容易に想到し得たことである。ここで、「285 Hz、396 Hz、417 Hz、528 Hz、639 Hz、741 Hz、852 Hz、963 Hz からなる周波数グループの中から選ばれた周波数の音」がソルフェジオ周波数であり、ヒトの精神及び身体の少なくとも一方にそれぞれ異なる影響を与え得るものであることは、上記(イ)で述べたように、本願の優先日よりも前に広く知られた事項である。
また、引用発明1に対し、上記周知技術を適用したものにおいて、285 Hz、396 Hz、417 Hz、528 Hz、639 Hz、741 Hz、852 Hz、963 Hz からなる周波数グループからどの周波数を設定するかは、当業者が適宜選択し得る設計事項にすぎず、被験者をリラックスさせ得るヒーリング効果を期待して、「396 Hz」の周波数を選択して出力することに、当業者にとって格別困難性はない。
よって、引用発明1及び周知技術に基づいて相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
エ 本件補正発明の効果について
上記アのとおり、相違点1については、引用文献4に基づいたものに過ぎないから、引用発明1において上記相違点1の構成とすることによる作用効果は、当業者にとって予測可能なものである。
また、上記イのとおり、相違点2については、引用発明1に周知技術を適用したものに過ぎないから、引用発明1において上記相違点2の構成とすることによる作用効果は、当業者にとって周知技術から予測可能なものである。
さらに、上記ウのとおり、相違点3については、引用発明1に周知技術を適用したものに過ぎないから、引用発明1において上記相違点3の構成とすることによる作用効果は、当業者にとって周知技術から予測可能なものである。
そして、相違点1ないし3による効果を総合的に判断しても、本件補正発明は、引用発明1及び周知技術と比較して格別な作用効果を奏するものとはいえない。
オ 審判請求書人の主張について
審判請求人は、審判請求書において「本願発明は、上述した独自の構成により、利便性を向上させることができるという、顕著な効果を奏するものです。
本願発明の効果は、引用発明1が意図していない、引用発明1が有する効果よりも優れた効果を奏するものであり、本願発明の各構成の結合により初めてもたらされたものです。
そして、上述した特徴に係る構成は、当業者が出願当初の技術水準から予測し、適宜なし得る事項ではないものと思料します。」と主張している。
しかしながら、前記エで述べたように、本願発明の構成及び作用効果は、いずれも引用発明1及び周知技術から当業者が予測し得るものであるから、上記主張を採用することはできない。
(5)小括
したがって、上記において検討したように、本件補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.本件補正についてのむすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年10月11日に提出された手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.2.(2)において請求項1として記載したとおりのものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、概略次のとおりである。
(1)理由1.(進歩性):この出願の請求項1~20に係る発明は、引用文献1~5のいずれか及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2006-109311号公報
2.国際公開第2016/120870号
3.国際公開第2009/001449号
4.国際公開第2014/050612号
5.国際公開第2005/034742号
6.国際公開第2016/148180号(周知技術を示す文献)
7.特開2017-35327号公報(周知技術を示す文献)
8.特許第6150935号公報(周知技術を示す文献)
9.米国特許出願公開第2013/0104812号明細書(周知技術を示す文献)
10.米国特許第08708705号明細書(周知技術を示す文献)
3.引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4の記載事項及び引用発明1は、前記第2.3.(2)アに示したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は前記第2.3.で検討した本件補正発明から、構成G1の「前記制御部は、前記所定の音として、396Hzの周波数を含む音であって前記被検者の精神及び身体の少なくとも一方をリラックスさせ得る音を出力するように制御する」との限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2.3.(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献4に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009939